JP2015199002A - コアシェル触媒製造装置及びコアシェル触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極反応時の過電圧を低減することができるコアシェル触媒製造装置及び製造コストを低減することができるコアシェル触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】アンダーポテンシャル析出法により、コア金属9を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒を製造する装置であって、アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液1を収容し、且つ、作用極3と、参照極4を備える第一の槽6と、酸性化合物を第一の槽6における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液2を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極5を備える第二の槽7と、作用極3と参照極4と対極5の電位を制御する電位制御機構と、を有し、第一の槽6及び第二の槽7が、陽イオン交換膜8で互いに隔てられているコアシェル触媒製造装置10及び装置10を用いたコアシェル触媒の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、コアシェル触媒製造装置及びコアシェル触媒の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。そのため、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。
従来、燃料電池の燃料極(アノード電極)及び酸化剤極(カソード電極)の電極触媒として、白金及び白金合金材料が採用されてきた。しかし、現在の最新技術の電極触媒に必要な量の白金は、燃料電池の大量生産を商業的に実現可能にするには依然として高価である。したがって、白金をより安価な金属と組み合わせることにより、燃料電池の燃料極及び酸化剤極に含まれる白金の量を低減させる研究がなされてきた。
例えば、特許文献1には、アンダーポテンシャル析出(UPD)を応用した置換メッキにより、燃料電池用電極触媒として注目されているコア及び当該コアを被覆するシェルを備えるコアシェル触媒を製造する方法が記載されている。
特開2013−215701号公報
アンダーポテンシャル析出(UPD)は、コア金属よりも相対的に卑である金属(以下、相対的卑金属と称する)と結合力の強いコア金属(例えばPd)材料表面に、相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位で、相対的卑金属の単原子層が形成される現象である。
表面にUPDにより相対的卑金属原子層が形成されたコア金属材料を、シェル金属イオンを含有する溶液に浸漬し、イオン化傾向の違いを利用して相対的卑金属(例えばCu)をシェル金属(例えばPt)で置換することによって、コア金属材料表面をシェル金属含有シェルで被覆したコアシェル触媒を製造することができる。
UPDや、UPDの前処理としてコア金属材料の表面の酸化膜や不純物を除去する場合、作用極と白金等の耐腐食性貴金属を用いた対極との間に電圧を印加することによって、対極側で水の酸化反応(2HO→O+4H+4e=+1.23V)を起こさせる必要がある。
コアシェル触媒を大量製造するために装置を大型化すると、作用極と対極との電極間隔が広がるため、それに伴い過電圧が大きくなり、上記したような対極側での水の酸化反応を進行させることが困難になるという問題がある。
そのため、過電圧を低減させ、対極側での水の酸化反応を促進させるためには、対極面積を大きくする必要があるが、そうすると対極に使用する耐腐食性貴金属が大量に必要となり、製造コストが増大するという問題がある。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、電極反応時の過電圧を低減することができるコアシェル触媒の製造装置及び製造コストを低減することができるコアシェル触媒の製造方法を提供することである。
本発明のコアシェル触媒製造装置は、アンダーポテンシャル析出法により、コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒を製造する装置であって、
アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、
前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、
前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、
前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられていることを特徴とする。
本発明のコアシェル触媒製造装置において、前記酸性化合物が、硫酸であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒製造装置において、前記第二の槽における前記硫酸が前記第一の槽における前記硫酸よりも10〜100倍高濃度であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒製造装置において、前記第一の槽が前記作用極としても機能するものであってもよい。
本発明のコアシェル触媒の製造方法は、コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒の製造方法であって、
アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられている装置を準備する工程と、
前記第一の槽に、コア金属材料及び前記コア金属よりも相対的に卑である金属のイオンを含有する卑金属イオン含有溶液を供給する工程と、
前記卑金属イオン含有溶液及び前記酸性溶液を含む混合液中において、前記相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記コア金属材料の表面に前記相対的卑金属を析出させる工程と、
前記析出工程後、前記相対的卑金属が析出した前記コア金属材料に、前記シェル金属のイオンを含有するシェル金属イオン含有溶液を接触させることによって、前記相対的卑金属を前記シェル金属に置換することによって前記シェルを形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明のコアシェル触媒の製造方法において、前記酸性化合物が、硫酸であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒の製造方法において、前記第二の槽における前記硫酸が前記第一の槽における前記硫酸よりも10〜100倍高濃度であることが好ましい。
本発明のコアシェル触媒の製造方法は、前記供給工程において、前記コア金属材料の供給後、前記卑金属イオン含有溶液の供給前に、第一の槽における前記酸性溶液中で、前記コア金属材料に電位を印加することが好ましい。
本発明のコアシェル触媒の製造方法において、前記第一の槽が前記作用極としても機能するものであってもよい。
本発明のコアシェル触媒製造装置によれば、電極反応時の過電圧を低減することができる。
本発明のコアシェル触媒の製造方法によれば、製造コストを低減することができる。
本発明のコアシェル触媒製造装置の一例を示す断面模式図である。 本発明のコアシェル触媒製造装置の一例を示す断面模式図である。 本発明のコアシェル触媒製造装置の一例を示す断面模式図である。 本発明のコアシェル触媒の製造方法の一例を示すフローチャートである。 コアシェル触媒の(A)STEM写真、(B)EDSによる分析結果を示す図である。 (A)供給工程時、(B)析出工程時の酸性化合物濃度と印加電圧との関係を示す図である。 仕込みコア金属材料質量と印加電圧との関係を示す図である。 対極面積と印加電圧との関係を示す図である。
1.コアシェル触媒製造装置
本発明のコアシェル触媒製造装置は、アンダーポテンシャル析出法により、コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒を製造する装置であって、
アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、
前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、
前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、
前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられていることを特徴とする。
本発明により過電圧を低減することができるのは、第一の槽及び第二の槽を陽イオン交換膜で互いに隔て、第二の槽の酸性溶液に第一の槽よりも高濃度の酸性化合物を含有させることにより対極側の反応速度のみを上げることができ、さらに、酸性化合物の存在により、電極反応の活性化エネルギーを低下させることができるためと推察される。
本発明によれば、装置を大型化しても過電圧を低減することができる。
本発明によれば、第一の槽及び第二の槽を陽イオン交換膜で互いに隔てているため、第一の槽の酸性溶液に含有させる酸性化合物の濃度が第二の槽の酸性溶液に含有させる酸性化合物の濃度よりも低濃度であっても過電圧を低減することができるため、酸性化合物の使用量を低減することができる。
なお、本発明において、シェルがコアを被覆するとは、コアの全表面がシェルによって覆われている形態のみならず、コアの表面の一部がシェルによって被覆され、コアの表面の一部が露出している形態も含まれる。
図1は、本発明のコアシェル触媒製造装置の一例を示す断面模式図である。
図1に示す装置10は、酸性溶液1と、作用極3と、参照極4を収容する第一の槽6と、酸性溶液2と、対極5を収容する第二の槽7と、を有し、第一の槽6及び第二の槽7が、互いに隣接し、当該隣接部位の一部が陽イオン交換膜8で形成され、第一の槽6及び第二の槽7が陽イオン交換膜8で互いに隔てられている。
作用極3、参照極4は、酸性溶液1に十分に浸かるように配置され、対極5は、酸性溶液2に十分に浸かるように配置されている。作用極3、参照極4及び対極5が電位制御機構(例えば、ポテンショスタット等。図示せず)と電気的に接続され、作用極3の電位が制御できるようになっている。
酸性溶液2は、酸性溶液1よりも濃度の高い酸性化合物を含有している。
コア金属材料9は、第一の槽6の酸性溶液1にのみ添加されている。
本発明のコアシェル触媒製造装置の別の形態として、図2及び図3に示すものが挙げられる。なお、図2及び図3において、図1と共通する構成については、同じ番号を付し、また、その説明を省略する。
図2に示す装置20において、対極5は、陽イオン交換膜8を底部に有する第二の槽7に収容された状態で、第一の槽6内に配置されている。
図3に示す装置30において、対極5は、陽イオン交換膜8を底部に有する第二の槽7に収容された状態で、第一の槽6内に配置されている。また、第一の槽6は、良導電性材料で形成されており、その内表面が作用極3としても機能するものである。
装置は、第一の槽、第二の槽、電位制御機構を有し、第一の槽及び第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられているものであれば、特に限定されない。
本発明において、「第一の槽及び第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられている」とは、第一の槽及び第二の槽が隣接している場合は、第一の槽及び第二の槽が隣接している部分の少なくとも一部が、陽イオン交換膜で形成されていればよく、第二の槽が第一の槽に収容されている場合は、第二の槽は、第二の槽が第一の槽の酸性溶液と接触している部分の少なくとも一部(例えば底部)が陽イオン交換膜で形成されていればよく、第一の槽が第二の槽に収容されている場合は、第一の槽は、第一の槽が第二の槽の酸性溶液と接触している部分の少なくとも一部(例えば底部)が陽イオン交換膜で形成されていればよい。
陽イオン交換膜としては、例えば、Nafion(登録商標:DuPont社製)等のパーフルオロスルホン酸ポリマー系電解質膜のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。陽イオン交換膜により、陽イオンのみ第一の槽と第二の槽との間の移動が可能となり、対極へのコア金属材料の接触を防止することができる。また、例えば、陽イオン交換膜としてNafion膜を用い、後述する酸性化合物として硫酸を用いた場合、プロトンはNafion膜を透過するが、第一の槽の硫酸の濃度と第二の槽の硫酸の濃度は、装置の規模にもよるが、数日間であればあまり大きく変化しない。
電位制御機構としては、作用極と参照極と対極の電位を制御することができるものであれば特に限定されず、ポテンショスタット及びポテンショガルバノスタット等を用いることができる。
第一の槽は、酸性溶液を収容し、作用極と、参照極を備えるものであれば特に限定されず、必要に応じ、少なくとも一部が陽イオン交換膜で形成された第二の槽を収容する。また、第一の槽は、第一の槽の内表面の少なくとも一部を後述する作用極に用いられる導電性材料で形成し、作用極として機能させることもできる。
酸性溶液は、酸性化合物を含有するものであれば、特に限定されない。
酸性化合物は、アレニウスの定義による酸に該当するものであれば特に限定されず、水よりも酸化還元され易いものであることが好ましい。酸性化合物の具体例としては、硫酸、過塩素酸、硝酸、塩酸及び燐酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものが挙げられ、1種のみを用いることが好ましく、硫酸が特に好ましい。
第一の槽における酸性化合物の濃度は、特に限定されないが、酸性化合物が硫酸の場合は、0.01〜1.00Mであることが好ましい。
作用極としては、例えば、チタン等の金属材料、グラッシーカーボン、カーボン板等の導電性炭素材料等の導電性が担保できる材料を用いることができる。作用極は、第一の槽と別体であってもよいし、第一の槽の内表面の少なくとも一部であってもよいし、全表面であってもよい。
参照極としては、可逆水素電極(reversible hydrogen electrode;RHE)、銀−塩化銀電極及び銀−塩化銀−塩化カリウム電極等を用いることができる。
第一の槽の陽イオン交換膜以外の部分の材質は特に限定されず、ガラス、プラスチック、セラミックス等を用いることができ、第一の槽を作用極として機能させる場合は、上述した作用極に用いられる導電性材料を用いることができる。金属材料の第一の槽を作用極として用いる場合、第一の槽の内表面には、腐食を抑制する観点から、RuO等の耐腐食性材料をコーティングすることが好ましい。導電性炭素材料の第一の槽を作用極として用いる場合は、コーティング無しでそのまま使用することが可能である。
第二の槽は、酸性溶液を収容し、且つ、対極を備えるものであれば特に限定されず、必要に応じ、少なくとも一部が陽イオン交換膜で形成された第一の槽を収容する。
第二の槽における酸性溶液は、酸性化合物を第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有するものであれば特に限定されない。
第二の槽における酸性化合物の濃度は、第一の槽における濃度よりも高い濃度であれば特に限定されず、酸性化合物が硫酸の場合は、第一の槽における濃度よりも10〜100倍高濃度であることが好ましい。なお、第一の槽及び第二の槽の酸性溶液に含有させる酸性化合物の濃度が同じ場合であっても、酸性化合物の濃度を高濃度にすれば過電圧を低減することができるが、大量の酸性化合物が必要になる。そのため、酸性化合物を節約する観点から、第二の槽の酸性溶液に含有させる酸性化合物の濃度のみ高くすることが好ましい。
対極としては、金及び白金から選ばれる貴金属を含むものであれば特に限定されず、白金、金、白金合金、金合金、金及び白金の少なくとも一方とその他の金属とを含む混合物等が挙げられる。
白金合金の場合は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、金からなる群より選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、白金合金を構成する白金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
白金合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときの白金の含有割合が80質量%以上であることが好ましい。
金合金の場合は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、白金からなる群より選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、金合金を構成する金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
金合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときの金の含有割合が80質量%以上であることが好ましい。
対極の具体例としては、金板、白金板、白金黒、白金メッシュに白金黒をめっきしたもの等が挙げられる。
第二の槽の陽イオン交換膜以外の部分の材質は特に限定されず、ガラス、プラスチック、セラミックス等を用いることができる。
2.コアシェル触媒の製造方法
本発明のコアシェル触媒の製造方法は、コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒の製造方法であって、
アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられている装置を準備する工程と、
前記第一の槽に、コア金属材料及び前記コア金属よりも相対的に卑である金属のイオンを含有する卑金属イオン含有溶液を供給する工程と、
前記卑金属イオン含有溶液及び前記酸性溶液を含む混合液中において、前記相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記コア金属材料の表面に前記相対的卑金属を析出させる工程と、
前記析出工程後、前記相対的卑金属が析出した前記コア金属材料に、前記シェル金属のイオンを含有するシェル金属イオン含有溶液を接触させることによって、前記相対的卑金属を前記シェル金属に置換することによって前記シェルを形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、対極の面積を大きくしなくても、電極反応を進行させることができ、製造コストを下げることができる。
図4は、本発明のコアシェル触媒の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4に示すコアシェル触媒の製造方法は、(1)準備工程、(2)供給工程、(3)析出工程、(4)置換工程、(5)洗浄工程、(6)乾燥工程を有する。
本発明のコアシェル触媒の製造方法は、少なくとも(1)準備工程、(2)供給工程、(3)析出工程、(4)置換工程を有し、必要に応じ、置換工程の後に(5)洗浄工程、(6)乾燥工程等を有する。
以下、各工程について、順に説明する。
(1)準備工程
準備工程は、アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられている装置を準備する工程である。
準備工程で準備する装置は、上述の本発明のコアシェル触媒製造装置であるため、装置の説明は省略する。
(2)供給工程
供給工程は、前記第一の槽に、コア金属材料及び前記コア金属よりも相対的に卑である金属のイオンを含有する卑金属イオン含有溶液を供給する工程である。
コア金属は、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀及び金より選ばれる少なくとも1種の金属、並びに前記金属を含む合金よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、パラジウム及びパラジウム合金が特に好ましく、パラジウムがさらに好ましい。
パラジウム合金の場合は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀及び金からなる群より選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、パラジウム合金を構成するパラジウム以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
パラジウム合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときのパラジウムの含有割合が50質量%以上であることが好ましい。パラジウムの含有割合が50質量%以上であることにより、後述するシェル金属が白金の場合に均一な白金含有シェルを形成することができるからである。
本発明においてコア金属材料の形態は、特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。
コア金属材料は担体に担持されていてもよい。特に、本発明により得られるコアシェル触媒を燃料電池の電極触媒層に使用した際、電極触媒層に導電性を付与するという観点から、担体が導電性材料であることが好ましい。また、コア金属材料が導電性担体に担持されていることによって、コア金属材料に効率良く電位を印加することができる。
担体として使用できる導電性材料の具体例としては、ケッチェンブラック(商品名:ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製)、バルカン(商品名:Cabot社製)、ノーリット(商品名:Norit社製)、ブラックパール(商品名:Cabot社製)、アセチレンブラック(商品名:Chevron社製)等の炭素粒子や、炭素繊維等の導電性炭素材料;金属粒子や金属繊維等の金属材料;が挙げられる。
卑金属イオン含有溶液としては、コア金属材料の表面に相対的卑金属を析出させることができる溶液であれば特に限定されない。
卑金属イオン含有溶液は、通常、酸性化合物を含む酸性溶液に相対的卑金属の塩を所定量溶かしたものから構成されるが、特にこの構成に限定されず、卑金属イオンの一部又は全部が液中に解離して存在している溶液であればよい。
卑金属イオン含有溶液に用いられる酸性化合物としては、上記第一の槽における酸性溶液に含まれる酸性化合物として例示したものを用いることができる。
相対的卑金属としては、Cu、Pb、Bi、Sn、Ce、Ag、Sb、Tl等が挙げられ、Cuが好ましい。
相対的卑金属の塩としては、当該相対的卑金属が銅である場合には、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、亜塩素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅等が挙げられる。
卑金属イオン含有溶液中において、相対的卑金属イオン濃度は、特に限定されず、製造するコアシェル触媒の量に応じて適宜設定することができる。
なお、相対的卑金属の塩の対アニオンと、酸性溶液中の対アニオンとは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
また、卑金属イオン含有溶液は、予め、不活性ガスをバブリングしておくことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
供給工程において、コア金属材料の供給と、卑金属イオン含有溶液の供給は、同時であっても、いずれかが先であってもよいが、コア金属材料の供給が先であることが好ましい。
また、供給工程においては、コア金属材料の供給後、卑金属イオン含有溶液の供給前に、第一の槽における酸性溶液中で、コア金属材料に電位を印加することが好ましい。電位印加処理により、コア金属材料表面の酸化物を除去し、コア金属材料に対し、均一にシェル金属含有シェルを被覆することができるからである。
本発明によれば、供給工程における電極反応時の過電圧を低減することができる。
供給工程においてコア金属材料に電位を印加する場合のコア金属材料は、粉末状態で第一の槽における酸性溶液に添加することによって酸性溶液に浸漬、分散させてもよいし、予め、溶媒に分散させたものを、第一の槽における酸性溶液に添加することによって、酸性溶液に浸漬、分散させてもよい。上記溶媒としては、例えば、水、有機溶媒を用いることができ、さらに、該溶媒に、酸性化合物を含んでいてもよい。酸性化合物としては、上記第一の槽における酸性溶液に含まれる酸性化合物として例示したものを用いることができる。
また、導電性基材上や作用極上にコア金属材料を固定し、導電性基材や作用極のコア金属材料固定面を酸性溶液に浸漬させた状態で、該導電性基材や該作用極に電位を印加する方法が挙げられる。コア金属材料を固定する方法としては、例えば、電解質樹脂(例えばナフィオン(商品名)等)と、水やアルコール等の溶媒とを用いて、コア金属材料ペーストを調製し、導電性基材や作用極の表面に塗布する方法が挙げられる。
コア金属材料に電位を印加する方法は、特に限定されず、作用極、対極及び参照極を電位制御機構に接続し、作用極に電位を印加する方法が挙げられる。
供給工程においてコア金属材料の供給後、卑金属イオン含有溶液の供給前に第一の槽における酸性溶液中で、コア金属材料に電位を印加する場合、酸化物除去を速やかに進行させるという観点から、一定の電位範囲において、電位を複数回往復させることが好ましい。電位印加信号パターンは、三角波、矩形波、台形波等がある。
電位の範囲は、コア金属の種類によって適宜設定することができ、コア金属がパラジウムの場合には、0.05〜1.2V(vs.RHE)であることが好ましい。電位印加信号パターンが三角波である場合の電位サイクル数は、特に限定されないが、500〜3000サイクルであることが好ましく、電位の掃引速度は、例えば、5〜500mV/秒とすることができる。
供給工程における電位の印加は、酸性溶液中の酸素を可能な限り除去し、酸化物除去を速やかに進行させることができるという点から、酸性溶液中には、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをバブリングさせることが好ましい。
また、供給工程において電位を印加する場合の第一の槽における酸性溶液は、必要に応じて適宜攪拌することが好ましい。例えば、酸性溶液にコア金属材料を浸漬、分散させた場合、酸性溶液を攪拌することで、各コア金属材料を作用極の表面に接触させ、各コア金属材料に均一に電位を印加させることができるからである。この場合、攪拌は、電位印加中、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。第一の槽における酸性溶液を攪拌する方法は、特に限定されず、例えば、マグネチックスターラーによる攪拌等が挙げられる。
(3)析出工程
析出工程は、前記卑金属イオン含有溶液及び前記酸性溶液を含む混合液中において、前記相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記コア金属材料の表面に前記相対的卑金属を析出させる工程である。
本発明によれば、析出工程における電極反応時の過電圧を低減することができる。
析出工程におけるコア金属材料に電位を印加する方法は、上述した供給工程と同様とすることができる。
印加する電位は、コア金属材料の表面に相対的卑金属を析出させることができる電位、すなわち、相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位であれば、特に限定されない。例えば、相対的卑金属が銅の場合、0.75〜0.30V(vs.RHE)が好ましく、0.37V(vs.RHE)であることが特に好ましい。
電位を印加する時間は、特に限定されないが、2時間以上、特に15時間以上行うことが好ましく、反応電流が定常となり、ゼロに近づくまで行なうことがさらに好ましい。
析出工程は、相対的卑金属の安定性の観点から、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
また、析出工程において、混合液は、必要に応じて適宜攪拌することが好ましい。攪拌方法は、供給工程と同様とすることができる。
(4)置換工程
置換工程は、前記析出工程後、前記相対的卑金属が析出した前記コア金属材料に、前記シェル金属のイオンを含有するシェル金属イオン含有溶液を接触させることによって、前記相対的卑金属を前記シェル金属に置換することによって前記シェルを形成する工程である。
置換工程において、コア金属材料の表面に析出した相対的卑金属をシェル金属に置換する方法は特に限定されない。通常、シェル金属イオン含有溶液に、表面に相対的卑金属を析出させたコア金属材料を接触させることによって、イオン化傾向の違いにより、相対的卑金属とシェル金属とを置換することができる。
シェル金属は、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム及び金より選ばれる少なくとも1種の金属、並びに前記金属を含む合金からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、白金及び白金合金が特に好ましく、白金がさらに好ましい。
白金合金の場合は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル及び金からなる群より選ばれる金属材料との合金等が挙げられ、白金合金を構成する白金以外の金属は1種でも2種以上でもよい。
白金合金を使用する場合には、合金全体の質量を100質量%としたときの白金の含有割合が40質量%以上であることが好ましい。白金の含有割合が40質量%未満であるとすると、十分な触媒活性及び耐久性が得られないからである。
シェル金属イオン含有溶液としては、相対的卑金属をシェル金属に置換することができる溶液であれば特に限定されない。
シェル金属イオン含有溶液は、通常、酸性化合物を含む酸性溶液にシェル金属の塩を所定量溶かしたものから構成されるが、特にこの構成に限定されず、シェル金属のイオンの一部又は全部が液中に解離して存在している溶液であればよい。
シェル金属イオン含有溶液に用いられるシェル金属の塩は、シェル金属が白金である場合は、例えば、KPtCl、KPtCl等を用いることができ、また、([PtCl][Pt(NH])等のアンモニア錯体を用いることもできる。
シェル金属イオン含有溶液中において、シェル金属イオン濃度は特に限定されず、製造するコアシェル触媒の量に応じて適宜設定することができる。
シェル金属イオン含有溶液に用いることができる酸性化合物は、上記第一の槽における酸性溶液に含まれる酸性化合物として例示したものを用いることができる。
シェル金属イオン含有溶液は、事前に十分に攪拌し、析出した相対的卑金属の安定性の観点から、当該溶液中には予め窒素ガス等の不活性ガスをバブリングさせることが好ましい。
置換時間(シェル金属イオン含有溶液とコア金属材料との接触時間)は、特に限定されないが、120分以上行うことが好ましい。
なお、析出工程と置換工程とを、同じ装置内で行う場合には、析出工程に使用した混合液に、シェル金属塩やシェル金属イオン含有溶液を加えてもよい。
(5)洗浄工程
洗浄工程は、置換工程後、コアシェル触媒を洗浄する工程である。
コアシェル触媒の洗浄は、製造されたコアシェル触媒のコアシェル構造を損なうことなく、不純物を除去できる方法であれば特に限定されない。当該洗浄の例としては、水、過塩素酸、希硫酸、希硝酸等を用いて吸引濾過をする方法が挙げられる。
(6)乾燥工程
乾燥工程は、置換工程後、得られたコアシェル触媒を乾燥させる工程である。
コアシェル触媒の乾燥は、溶媒等を除去できる方法であれば特に限定されず、例えば、真空下、又は、不活性ガス雰囲気下、50〜100℃の温度を6〜12時間保持させる方法等が挙げられる。
コアシェル触媒は必要に応じて粉砕してもよい。粉砕方法は、固形物を粉砕できる方法であれば特に限定されない。当該粉砕の例としては、不活性ガス雰囲気下、或いは大気下における乳鉢等を用いた粉砕や、ジェットミル、ボールミル、ターボミル等のメカニカルミリングが挙げられる。
(実施例1)
[準備工程]
第一の槽及び第二の槽が互いに隣接し、当該隣接部分の一部が陽イオン交換膜(Nafion(登録商標:DuPont社製)膜)で形成され、第一の槽及び第二の槽が陽イオン交換膜で互いに隔てられている装置を用意した。
第一の槽には、酸性化合物として硫酸を含有する酸性溶液(0.05M硫酸溶液)を用い、作用極(カーボン 電極面積707cm)、参照極(銀/塩化銀)を酸性溶液に浸るように設置した。
第二の槽には、酸性化合物として第一の槽よりも10倍濃度の高い硫酸を含有する酸性溶液(0.5M硫酸溶液)を用い、対極(白金黒付き白金メッシュ 電極面積6.5m)を酸性溶液に浸るように設置した。
[供給工程]
パラジウム担持カーボン(Pd/C Pd担持率28質量%)10gを用意し、Pd/Cを第一の槽の酸性溶液に加え、Pd/Cを懸濁させた。続いて、装置を密閉し、酸性溶液を窒素ガスで十分にバブリングし、酸素を脱気した。
次に、ポテンショスタット(北斗電工株式会社製)を作用極、対極及び参照極に接続し、作用極に対して、電位掃引範囲0.05V〜1.0V(vs.RHE)、掃引速度50mV/秒で、サイクリックボルタンメトリー(CV)を800サイクル実施し、パラジウム粒子表面の不純物や酸化物の除去を行った。なお、銀−塩化銀電極の電位はRHEへ換算して記載した。
その後、装置内の酸性溶液を窒素でバブリングしながら、卑金属イオン含有溶液として、硫酸銅300gを酸素脱気済みの0.05M硫酸水溶液1Lに溶解させた銅イオン含有溶液を、第一の槽に加えた。
[析出工程]
作用極の電位を0.37V(vs.RHE)に固定し、銅をパラジウム粒子上に析出させた。電位の印加は、反応電流が定常となり、ゼロに近づくまで行なった。
[置換工程]
電位制御を止め、シェル金属含有イオンとして、KPtCl5.5gを酸素脱気済みの0.05M硫酸水溶液1Lに溶解させた白金イオン含有溶液を、第一の槽内に徐々に加えた。添加終了後、装置内の自然電位がプラトーになるまで(すなわち、自然電位の変動が無くなるまで)攪拌し続け、パラジウム粒子表面の銅を白金に置換した。
[洗浄・乾燥工程]
置換工程後、装置内の溶液をろ過し、ろ過物を超純水により洗浄した。
超純水で洗浄したろ過物を、50℃の1.0M硝酸水溶液中に投入した。超音波ホモジナイザーにより硝酸水溶液中にろ過物を十分分散させた後、分散液を1時間攪拌した。その後、再度、溶液をろ過し、ろ過物を超純水により洗浄、乾燥し、コアシェル触媒を得た。
得られたコアシェル触媒について走査透過電子顕微鏡(STEM)を用いてエネルギー分散型X線分析法(Energy Dispersive x−ray Spectroscopy;EDS)による分析を行った。結果を図5に示す。図5(A)はSTEM写真であり、図5(B)は図5(A)に示すコアシェル触媒を矢印方向に観測したPt/Pd/C原子濃度比を示す図である。図5(B)に示すように、製造したコアシェル触媒は、パラジウムコアの表面に白金シェルが形成されていることが確認できた。
(実施例2〜7)
第二の槽に、酸性溶液として1.0M硫酸溶液を用い、Pd/Cを1g(実施例2)、7g(実施例3)、10g(実施例4)、20g(実施例5)、50g(実施例6)、100g(実施例7)用いたこと以外は、実施例1と同様にしてコアシェル触媒を製造した。
(実施例8)
第二の槽に、酸性溶液として5.0M硫酸溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコアシェル触媒を製造した。
(実施例9)
対極の面積を3.5mにしたこと以外は実施例1と同様にしてコアシェル触媒を製造した。
(実施例10)
対極の面積を1mにしたこと以外は実施例1と同様にしてコアシェル触媒を製造した。
(比較例1〜2)
第一の槽における酸性溶液と第二の槽における酸性溶液を共に0.05M硫酸溶液にし、Pd/Cを1g(比較例1)、7g(比較例2)用いたこと以外は実施例1と同様にしてコアシェル触媒を製造した。
(比較例3)
第一の槽における酸性溶液と第二の槽における酸性溶液を共に0.05M硫酸溶液にしたこと以外は実施例1と同様にして供給工程における電位の印加及び析出工程を試みた。しかし、反応を進行するのに必要な電圧がポテンショスタットの出力上限を超えており、電位を印加することができなかった。
(比較例4)
対極の面積を3.5mにし、第一の槽における酸性溶液と第二の槽における酸性溶液を共に0.05M硫酸溶液にしたこと以外は実施例1と同様にして供給工程における電位の印加及び析出工程を試みた。しかし、反応を進行するのに必要な電圧がポテンショスタットの出力上限を超えており、電位を印加することができなかった。
(比較例5)
対極の面積を1mにし、第一の槽における酸性溶液と第二の槽における酸性溶液を共に0.05M硫酸溶液にしたこと以外は実施例1と同様にして供給工程における電位の印加及び析出工程を試みた。しかし、反応を進行するのに必要な電圧がポテンショスタットの出力上限を超えており、電位を印加することができなかった。
(比較例6)
第二の槽に、酸性化合物として第一の槽と同じ濃度の硫酸を含有する酸性溶液(0.05M硫酸溶液)を用い、メタノール(CHOH+HO→CO+6H+6e=1.21V)を50g/Lの濃度となるように添加したこと以外は実施例1と同様にして供給工程における電位の印加及び析出工程を試みた。
しかし、反応進行中に陽イオン交換膜を通してメタノールが第一の槽へ移動したため処理を停止した。
[第二の槽に第一の槽よりも濃度の高い酸性化合物を用いた場合の効果]
図6に実施例1、4、8、比較例3の供給工程時(図6(A))及び析出工程時(図6(B))の作用極と対極との間に印加した電圧を示す。いずれの工程でも比較例3では過電圧が大きすぎて反応を進行させることができなかった。一方、実施例1、4、8では、供給工程時における電位走査した際の印加電圧は、10Vから−10V程度になり、析出工程時における作用極の電位を固定した際の印加電圧は、10V程度になり、いずれの工程でも第二の槽における硫酸の濃度が高くなると、過電圧が下がったことがわかる。
[仕込みコア金属材料質量と電圧との関係]
図7に実施例2〜7、比較例1〜3の、析出工程時の作用極と対極との間に印加した電圧を示す。比較例2、3の結果から、仕込みコア金属材料質量が7gを超えると、過電圧が大きすぎて反応を進行させることができなかったことがわかる。一方、比較例3と仕込みコア金属材料質量が同じである実施例4は、比較例3と比較して、析出工程時における作用極の電位を固定した際の印加電圧は、10V程度になり、過電圧が低下して反応を進行させることができたことがわかる。また、仕込みコア金属材料質量を100gとした実施例7であっても、析出工程時における作用極の電位を固定した際の印加電圧は、10V程度になり、過電圧が低下して反応を進行させることができたことがわかる。さらに、図7から仕込みコア金属材料が1kg以上である場合であっても反応を進行させることができると推察される。
[対極面積と電圧との関係]
図8に実施例1、9、10、比較例3〜5の析出工程時の作用極と対極との間に印加した電圧を示す。比較例3〜5では、過電圧が大きすぎて反応を進行させることができなかった。一方、対極面積を1m、仕込みコア金属材料質量を10gとした実施例10では、析出工程時における作用極の電位を固定した際の印加電圧は、10V程度になり、過電圧が低下しており、実施例1、9、10の結果から、対極面積を6.5mから1mに小さくしても反応を進行させることができ、製造コストを低減することができることがわかる。
1 第一の槽の酸性溶液
2 第二の槽の酸性溶液
3 作用極
4 参照極
5 対極
6 第一の槽
7 第二の槽
8 陽イオン交換膜
9 コア金属材料
10 装置
20 装置
30 装置

Claims (9)

  1. アンダーポテンシャル析出法により、コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒を製造する装置であって、
    アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、
    前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、
    前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、
    前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられていることを特徴とするコアシェル触媒製造装置。
  2. 前記酸性化合物が、硫酸である、請求項1に記載のコアシェル触媒製造装置。
  3. 前記第二の槽における前記硫酸が前記第一の槽における前記硫酸よりも10〜100倍高濃度である、請求項2に記載のコアシェル触媒製造装置。
  4. 前記第一の槽が前記作用極としても機能する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコアシェル触媒製造装置。
  5. コア金属を含むコアと、シェル金属を含み且つ前記コアを被覆するシェルと、を備えるコアシェル触媒の製造方法であって、
    アレニウスの定義による酸性化合物を含有する酸性溶液を収容し、且つ、作用極と、参照極を備える第一の槽と、前記酸性化合物を前記第一の槽における濃度よりも高い濃度で含有する酸性溶液を収容し、且つ、金及び白金から選ばれる貴金属を含む対極を備える第二の槽と、前記作用極と前記参照極と前記対極の電位を制御する電位制御機構と、を有し、前記第一の槽及び前記第二の槽が、陽イオン交換膜で互いに隔てられている装置を準備する工程と、
    前記第一の槽に、コア金属材料及び前記コア金属よりも相対的に卑である金属のイオンを含有する卑金属イオン含有溶液を供給する工程と、
    前記卑金属イオン含有溶液及び前記酸性溶液を含む混合液中において、前記相対的卑金属の酸化還元電位よりも貴な電位を印加することによって、前記コア金属材料の表面に前記相対的卑金属を析出させる工程と、
    前記析出工程後、前記相対的卑金属が析出した前記コア金属材料に、前記シェル金属のイオンを含有するシェル金属イオン含有溶液を接触させることによって、前記相対的卑金属を前記シェル金属に置換することによって前記シェルを形成する工程と、を有することを特徴とするコアシェル触媒の製造方法。
  6. 前記酸性化合物が、硫酸である、請求項5に記載のコアシェル触媒の製造方法。
  7. 前記第二の槽における前記硫酸が前記第一の槽における前記硫酸よりも10〜100倍高濃度である、請求項6に記載のコアシェル触媒の製造方法。
  8. 前記供給工程において、前記コア金属材料の供給後、前記卑金属イオン含有溶液の供給前に、第一の槽における前記酸性溶液中で、前記コア金属材料に電位を印加する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のコアシェル触媒の製造方法。
  9. 前記第一の槽が前記作用極としても機能する、請求項5乃至8のいずれか一項に記載のコアシェル触媒の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20180065397A (ko) * 2016-12-07 2018-06-18 한국에너지기술연구원 코어-쉘 촉매의 제조방법 및 이의 제조장치
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