JP2015189481A - 包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 食品衛生面に優れ、良好な易開封性と、底材に残った通気性の高い薄膜層により食肉の発色を促進できる包装体を提供する。【解決手段】 表面樹脂層(A)、酸素バリア樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、ヒートシール樹脂層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、前記層(B)と前記層(C)の剥離強度が0.05〜5.0N/15mm幅の層からなる多層フィルムを蓋材とし、当該多層フィルムの層(D)を被シール体のシール部にヒートシールすることで底材と蓋材とがヒートシールされた包装体であり、多層フィルムを剥離するときに、層(C)と層(D)とが層間剥離し、層(A)と層(B)と層(C)が除去され、被シール体に層(D)の薄膜層が露出して残ることを特徴とする包装体。【選択図】 図1

Description

本発明は、多層フィルムを蓋材とする包装体に関し、さらに詳細には、特に牛肉や鶏肉、豚肉等の食用生肉の包装に好適に用いられる層間剥離性ならび通気性を有する包装体に関するものである。
日本国内において、低酸素状態で包装した肉は、カビや細菌の発生を防ぐことができ、保存寿命も長くなるにも関わらず、肉の色が紫色を呈しているため、大半の消費者には好まれない傾向にある。肉中のミオグロビンが酸素と結合し鮮紅色になった肉は、鮮度が良く見え、食欲をそそるため、多くの消費者がこの赤い肉を好む傾向がある。
一般的にスーパーマーケット等の小売店では、販売する当日もしくは前日にバックヤードで、酸素バリア性のない発泡スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン等からなるトレーにラップ等でストレッチ包装したものが多く流通している。しかし、この包装形態では、酸素と結合しやすい状態なので包装直後からすぐに鮮紅色に変色しているが、食肉は腐敗しやすい状態なので保存期間を短くせざるを得ない。また、バックヤードの包装作業に手間がかかり、鮮紅色から黒赤色になってしまった肉は廃棄する食品ロスの問題を常に抱えている。
一方、米国や欧州においては、上記問題を解決した生肉の鮮度保持ならび発色技術の方法が確立されており、不透過性フィルムと透過性フィルムを重ねあわせた蓋材フィルムを有した各種の包装体が用いられている。例えば、特許文献1および2には、中央処理施設で肉を解体し、包装した製品を低酸素環境において配送して、スーパーマーケット等の小売店で蓋材を剥がし、離層した通気性フィルムが露出することで、製品のヘッドスペースに酸素が流入するパッケージが開示されている。この包装体は、トレーに食肉を乗せ、不活性気体等すなわち窒素あるいは炭酸ガスを充填した製品で、不透過性フィルム(バリアー層)が酸素を遮断することで製品の保存期間を長くすることができる。製品をスーパーマーケットなどの店頭で陳列する際には、表面の不透過性フィルムを剥離して、透過性フィルムを露出させると、急速に、酸素が包装体の中に浸透し、消費者が好む鮮やかな赤色になる。この包装体の透過性フィルムには、短時間で食肉の発色を促進するために、非常に微小な穴(例えば直径250μm未満)が穿孔されていることが好適で、およそ50,000cc/(m・24h・atm)の高い酸素透過率を有している特徴がある。
これらの不透過フィルムと透過性フィルムとを貼り合わす方法として、接着剤や押出しラミネート、サーマルラミネーションといったラミネート法があるが、これらの方法は熱と圧力を利用するので、透過性フィルムの孔が溶けてふさいでしまい酸素を通さなくなる恐れがあるため、各フィルム表面をコロナ処理し、1対のニップロールにより、フィルムをプレスする方法が推奨されている。
具体的には、特許文献2の実施例として、二軸延伸した共押出多層フィルムを静電放電により微孔を貫通させた後、インフレーション法で製膜した共押出フィルムと片面に酸化ケイ素層を蒸着被膜した延伸ポリエチレンテレフタレートとを、ラミネートした包装材料が例示されている。
しかしながら、上記の構成を有する包装体は、ラミネートする前段階で、コロナ処理を施す工程とニップロールでプレスする工程が発生するため、大気中に浮遊している塵、埃などが粘フィルム表面に付着し、異物が混入してしまう場合があり、さらにコロナ処理設備や圧着設備などの特別な設備も必要となり、製造コストがアップするなどの問題がある。
特許3675833号公報 特許4024868号公報
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、その解決課題は、食品衛生面に優れ、良好な易開封性と、底材に残った通気性の高い薄膜層により食肉の発色を促進できる包装体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の樹脂を有するアミド系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂を耐ピンホール性脂層の主成分として用い、酸素バリア性樹脂層とヒートシール樹脂層との層間に当該耐ピンホール性樹脂層を配することにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、表面樹脂層(A)、酸素バリア樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、ヒートシール樹脂層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、前記酸素バリア性樹脂層(B)と前記耐ピンホール性樹脂層(C)の剥離強度が0.05〜5.0N/15mm幅の層からなる多層フィルムを蓋材とし、当該多層フィルムのヒートシール樹脂層(D)を被シール体のシール部にヒートシールすることで底材と蓋材とがヒートシールされた包装体であり、多層フィルムを剥離するときに、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール(D)とが層間剥離し、表面樹脂層(A)と酸素バリア樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)が除去され、被シール体にヒートシール樹脂層(D)の薄膜層が露出して残ることを特徴とする包装体に存する。
本発明によれば、食品衛生面に優れ、良好な易開封性と開封後に被シール体に残った薄膜層を酸素が透過し、短時間に食肉が赤く発色する通気性を有する包装体を提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明の包装体の部分断面図 蓋材の一部を底材から剥離した状態の包装体の部分断面図 以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「主成分として構成される」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上100質量%以下、好ましくは85質量以上100質量%以下、さらに好ましくは95質量%以上100質量%以下を占めることを意味する。
本発明で使用するフィルムは、表面樹脂層(A)、酸素バリア樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、ヒートシール樹脂層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、前記酸素バリア性樹脂層(B)と前記耐ピンホール性樹脂層(C)の剥離強度が0.05〜5.0N/15mm幅の層からなる多層フィルムであり、これを蓋材として使用する。当該多層フィルムのヒートシール樹脂層(D)を被シール体のシール部にヒートシールすることで底材と蓋材とがヒートシールされた包装体が得られ、ヒートシール部において、多層フィルムを剥離するときに、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール(D)とが層間剥離し、前記表面樹脂層(A)と酸素バリア樹脂層(B)と前記耐ピンホール性樹脂層(C)が除去され、前記被シール体に前記ヒートシール樹脂層(D)の薄膜層が露出して残り、大気中の酸素が包装体の中に入る。
まず、本発明で使用するフィルムの表面樹脂層(A)について説明する。表面樹脂層(A)は、熱可塑性樹脂(a)を主成分として構成される層であり、剥離時に表面樹脂層(A)と酸素バリア性樹脂層(B)との間の層間剥離強度が、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との間の層間剥離強度よりも大きくなる層構成であれば特に制限されるものではなく、単層であっても多層であってもよい。
表面樹脂層(A)の主成分として用いられる熱可塑性樹脂(a)は、酸素バリア性樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、およびヒートシール樹脂層(D)の主成分として用いられる樹脂の種類を考慮して適宜選択する必要がある。熱可塑性樹脂(a)は、溶融押出温度が概ね180℃以上300℃以下の範囲であることから、この範囲内で溶融押出可能な熱可塑性樹脂が好適に用いられる。具体的に熱可塑性樹脂(a)としては、オレフィン系樹脂(エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂等)、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、カーボネート系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独あるいは2種以上の混合樹脂組成物として用いることができ、単層構成または多層構成を形成できる。
本発明では、成型加工性、製造コスト、透明性などを考慮すると、熱可塑性樹脂(a)としてはオレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エステル系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。
エチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE) 、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン系樹脂; エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン− アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA)、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(E−VA−GMA)、エチレン−無水マレイン酸共重合体(E−MAH)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、等のエチレン系共重合体;さらにはエチレン−アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属中和物等が挙げられる。これらは、一種のみを単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィン、例えばエチレン、ブテン等との共重合体が挙げられ、共重合体としてはランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれもが使用できる。また、立体規則性については、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造、アタクチック構造、ステレオブロック構造などいずれであってもよい。これらは、一種のみを単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
アミド系樹脂としては、まず、脂肪族ポリアミド重合体として、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、6ナイロンと称されるε−カプロラクタムの単独重合体や66ナイロンと称されるポリヘキサメチレンアジパミド、あるいは、これらの共重合体である6−66ナイロン等が挙げられる。また、芳香族ポリアミド重合体として、キシリレンジアミンと炭素数が6以上12以下のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル% 以上含有している樹脂等が使用できる。具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミド共重合体などの共重合体が挙げられる。これらは、一種のみを単独で、2種以上を混合して使用してもよい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン含有率が29%以上好ましくは32%以上であり、かつ47モル% 以下、好ましくは44モル%以下であり、またケン化度が90%以上、好ましくは95%以上のものが好適に用いられる。エチレン含有量とケン化度が上記範囲のグレードを選択することにより、フィルムのガスバリアー性や力学強度等を良好なものとすることができる。これらは、一種のみを単独で、2種以上を混合して使用してもよい。
エステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合樹脂、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位を全グリコール単量体単位中に15モル%以上50モル%以下含有する低結晶性あるいは非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン/ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂、ポリ乳酸系樹脂に代表される脂肪族ポリエステル樹脂類などが挙げられる。
また、前記エステル系樹脂にハードセグメントとして高融点高結晶性の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして非晶性ポリエステルや非晶性ポリエーテルなどを有する熱可塑性ポリエステル系エラストマーも適宜混合しても構わない。これらのエラストマーは、一種のみを単独で、または2種以上を適宜混合して使用してもよい。
スチレン系樹脂としては、汎用ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS) 、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン系ノマーと(メタ)アクリル酸エステルからなるスチレン系共重合体の連続相に分散粒子としてゴム状弾性体を1質量% 以上20質量% 以下含有した樹脂などが挙げられる。これらは、一種のみを単独でまたは2 種以上を混合して使用してもよい。
表面樹脂層(A)には、本発明の主旨を損なわない範囲でその他の成分を適宜添加しても構わない。具体的には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤等の成分が挙げられる。表面樹脂層(A)が多層構成である場合には、特定の層にのみ添加しても、あるいは、全ての層に添加してもかまわない。
次に、本発明で使用するフィルムの酸素バリア性樹脂層(B)について説明する。酸素バリア性樹脂層(B)は、少なくとも酸素透過率が23℃・50%RH環境下で3(cc・20μm/m・24hr・atm)以下のバリア性を有しているエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)またはポリメタキシレンアジパミド樹脂(MXDNy)が挙げられる。
ここで、酸素透過率が23℃・50%RH環境下で3(cc・20μm/m・24hr・atm)以下であれば、包装体のヘッドスペースを窒素や炭酸ガス等で置換してから店頭に陳列するまで一定期間、低酸素状態(好ましくは酸素濃度0.3%以下)を維持することができるため好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物としては、エチレン含有率が通常29%以上、好ましくは32%以上であり、かつ通常47モル%以下、好ましくは44モル%以下であり、またケン化度が90%以上、好ましくは95%以上のものが好適に用いられる。エチレン含有量とケン化度が上記範囲のグレードを選択することにより、フィルムのガスバリアー性や力学強度等を良好なものとすることができる。これらは、一種のみを単独で、2種以上を混合して使用してもよい。
次に、本発明で使用するフィルムの耐ピンホール性樹脂層(C)について説明する。耐ピンホール性樹脂層(C)は、熱可塑性樹脂(c)を主成分として構成される層であり、層間剥離時に耐ピンホール樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との間の層間剥離強度が、表面樹脂層(A)と酸素バリア性樹脂層(B) との間および酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)との間の層間剥離強度よりも小さくなるような層構成であれば特に制限されるものではなく、所望により単層であっても多層であってもよい。
耐ピンホール性樹脂層(C)の主成分として含有される熱可塑性樹脂(c)は、表面樹脂層(A)の主成分を構成する熱可塑性樹脂(a)と同様、溶融押出温度が概ね180℃以上300℃以下で溶融押出可能な熱可塑性樹脂が好適に用いられる。具体的に熱可塑性樹脂(c)としては、通気性をより上げるために前記ヒートシール層(D)側から機械的に穿孔したとしても、開孔した穴が酸素バリア性樹脂(B)の深さまで到達してしまわないように耐ピンホール性ならび剛性に優れているものが挙げられる。工業的に安定し、かつ比較的安価に入手できる成型加工性および透明性などを考慮すると、アミド系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が挙げられる。
表面樹脂層(A)および酸素バリア樹脂層(B)まで穿孔した穴が貫通してしまうと、酸素バリア性が低下してしまうため、表面樹脂層(A)および酸素バリア樹脂層(B)まで貫通しないようにする必要がある。多孔化技術としては、レーザー、静電放電、超音波、火炎放電、針など機械的または電気的なアプローチがあるが、機械的に針や刃の深さを数μm単位で調整しハーフカット状の穴を開ける場合、酸素バリア性樹脂層(B)とヒートシール樹脂層(D)との間に耐ピンホール性および剛性のある層を配することで、ヒートシール樹脂層(D)側から穿孔された穴が酸素バリア性樹脂層(B)まで貫通しないようにすることができる。中でも、剛性ならび柔軟性に富んだアミド系樹脂は、針や刃が耐ピンホール樹脂層まで到達しても、針や刃の形状に追従して変形する性質があるため、好適である。
脂肪族ポリアミド重合体として、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、6ナイロンと称されるε−カプロラクタムの単独重合体や66ナイロンと称されるポリヘキサメチレンアジパミド、あるいは、これらの共重合体である6−66ナイロン等が挙げられる。また、芳香族ポリアミド重合体として、キシリレンジアミンと炭素数が6以上12以下のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル% 以上含有している樹脂等が使用できる。具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミド共重合体などの共重合体が挙げられる。これらは、一種のみを単独で、2種以上を混合して使用してもよい。剛性ならび耐ピンホール性の観点からナイロン系樹脂(Ny)を用いることが好ましく、Nyとしては、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6I−6Tナイロン、MXD6ナイロン等の縮合単位の重合体またはこれら2種以上との共重合体、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。中でも、剛性や柔軟性、耐引き裂き強度(開封時のフィルムの裂けを防止)の点で6ナイロンや6−66ナイロンを用いることが好ましい。
ここで、アミド系樹脂は、各社から容易に入手可能であり、例えば ディーエスエムエンジニアリングプラスチックス(株)製の商品名「ノバミッド1020A(6ナイロン)」、「2030A(6−66ナイロン)」や宇部興産(株)製の商品名「UBEナイロン 1022B(6ナイロン)」等を例示できる。
また、耐ピンホール性樹脂層(C)には、酸素バリア樹脂層(B)との層間で安定した剥離性を発現させるために、耐ピンホール性樹脂層(C)の表面にブリードしやすい添加剤などの混合はできるだけ行わない方が好ましい。
次に、本発明のフィルムのヒートシール樹脂層(D)について説明する。ヒートシール樹脂層(D)は、酸素透過率が23℃・50%RH環境下で少なくとも25,000cc/(m2・24h・atm)以上であり、熱可塑性樹脂(d)を主成分として構成されるヒートシール可能な樹脂層である。ヒートシール樹脂層(D)は、通気性が良いことが重要で、好ましくは30,000cc/(m2・24h・atm)以上、さらに好ましくは50,000(m・24h・atm)以上の酸素透過率を有したものが好適に用いられる。
また、被シール体のヒートシール部でヒートシールさせ、次いで前記ヒートシール部から多層フィルムを剥離するときに、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)の間の層間剥離強度が、酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)の間の層間剥離強度よりも小さくなるような層構成であれば特に制限されるものではなく、所望により単層構成の樹脂層であっても、多層構成の樹脂層であってもよい。
ヒートシール樹脂層(D)の主成分を構成する熱可塑性樹脂(d)は、本発明のフィルムを包装体の蓋材として用いる場合、被シール体である底材のシール面の材質や表面樹脂層(A)、酸素バリア性樹脂層(B)、および耐ピンホール性樹脂層(C)の主成分として用いられる樹脂の種類を考慮して適切なヒートシール強度となるような樹脂を適宜選択し使用することができる。熱可塑性樹脂(d)を例示すれば、例えば、オレフィン系樹脂(エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂等)、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
これらの中でも本発明においては、酸素透過率が高く、安価で成形加工性等に優れ、また各種の多層フィルムで通常採用されているヒートシール条件(温度:120〜180℃程度)で耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)間の層間剥離強度が、酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)間の層間剥離強度よりも小さくすることができる超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン− メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(E−GMA)、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体(E−VA−GMA)、エチレン−無水マレイン酸共重合体(E−MAH)エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、等のエチレン系共重合体;さらにはエチレン−アクリル酸共重合体の金属中和物、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属中和物等が挙げられる。これらは、一種のみを単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィン、例えばエチレン、ブテン等との共重合体が挙げられ、共重合体としてはランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれもが使用できる。また、立体規則性については、アイソタクチック構造、シンジオタクチック構造、アタクチック構造、ステレオブロック構造などいずれであってもよい。これらは、一種のみを単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
また、さらに酸素透過性を高めるために、微小な孔を多数、開くことが好ましい。孔径は、通常0.01〜1mm(好ましくは0.1〜0.6mm)とすれば、酸素は侵入するが、ごみ、虫などは侵入できず衛生的である。また、孔はフィルム表面に散在するため、中身を見えにくくすることはない。
ヒートシール樹脂層(D)には、押出製膜時の加工適性や深絞り包装機などの充填機における包装適性の点から、滑剤やアンチブロッキング剤を適宜添加することが好ましい。さらに、本発明の主旨を損なわない範囲でその他の成分を適宜添加しても構わない。具体的には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
また、ヒートシール樹脂層(D)は、耐ピンホール性樹脂層(C)との間の層間剥離性を制御するために、ヒートシール樹脂層(D)に接着性樹脂を含有させるか、あるいは耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)の層間に接着性樹脂を主成分として構成される接着性樹脂層(E)を配することができる。
ここで、接着性樹脂としては、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE) 、およびエチレン− 酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレン系樹脂や、プロピレン単独重合体、およびプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などのプロピレン系樹脂に、アクリル酸、あるいはメタアクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、またはメチルアクリレート、メチルメタアクリレート、若しくはグリシジルメタアクリレートなどの一塩基性不飽和脂肪酸のエステル化合物、またはマレイン酸、フマル酸若しくはイタコン酸などの二塩基性脂肪酸の無水物などを化学的に結合させたオレフィン系接着性樹脂や、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)などのスチレン系熱可塑性エラストマーにカルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、およびアミノ基などの極性を持った官能基を含有させたスチレン系熱可塑性エラストマー系接着性樹脂が好適に用いられる。例えば、接着性樹脂層(E)に、他の樹脂を2種以上ブレンドして濃度を薄めて使用することで、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との接着強度を弱くして、開封性を変更することができる。
このような接着性樹脂の具体例としては、前者のオレフィン系接着性樹脂では、三井化学(株)製の商品名「アドマー」や三菱化学(株)製の商品名「モディック」等を例示できる。また、後者のスチレン系熱可塑性エラストマー系接着性樹脂では、JSR(株)製の商品名「ダイナロン」や旭化成ケミカルズ(株) 製の商品名「タフテック」等を例示することができる。
本発明で使用するフィルムは、当該フィルムのヒートシール樹脂層(D)を被シール体のヒートシール部でヒートシールさせ、次いでヒートシール部から多層フィルムを剥離するときに、ヒートシール樹脂層(D)の露出が、ヒートシール部において耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール性樹脂層(D)との層間剥離と、ヒートシール樹脂層(D)の被シール体側への移行により行われることから、各々の層に選定される樹脂の組み合わせとしては、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)の間の層間剥離強度が、表面樹脂層(A)と酸素バリア樹脂層(B)の間、かつ酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)の間の層間剥離強度よりも小さくなるような構成にすることが好ましい。同時に、わずかな衝撃などで容易に層間が剥離し、あるいは開封してしまうことがないよう、包装体としての機能が維持できる程度の層間剥離強度を確保していることも重要である。
これらの観点から耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール性樹脂層(D)に選定される樹脂の組み合わせとしては、層間剥離強度(初期剥離強度) が0.05N/15mm幅以上5N/15mm幅以下の範囲となるように選定することが好ましい。ここで、前記層間剥離強度が0.05N/15mm幅以上であれば、わずかな衝撃により包装体が容易に開封してしまうなどの不具合が発生しにくく、また5N/15mm幅以下であれば、包装体を手で容易に開封できる特性である易開封性が良好であるため好ましい。
本発明において、このような条件を満たす表面樹脂層(A)と酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)およびヒートシール樹脂層(D)の好適な組み合わせとしては、上述したように表面樹脂層(A)としてオレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、およびカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分として構成される層を配し、酸素バリア性樹脂層(B)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、またはポリメタキシレンアジパミド樹脂(MXDNy)からなる群から選ばれ、少なくともその酸素透過率が23℃・50%RH環境下で3(cc・20μm/m2・24h・atm)以下の樹脂を主成分として構成される層を配し、耐ピンホール性樹脂層(C)としては、アミド系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種の熱可塑性樹脂を主成分として構成される層を配し、さらにヒートシール樹脂層(D)の酸素透過率が23℃・50%RH環境下で少なくとも25,000cc/(m・24h・atm)以上でエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐メチルアクリレート共重合体、エチレン‐エチルアクリレート共重合体、エチレン‐メタルメタアクリレート共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐メタアクリル酸共重合体、アイオノマー、4−メチル−1−ペンテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分として構成される層を配したものが挙げられる。
次に、上述した各層の厚みについて説明する。表面樹脂層(A)は、単層あるいは多層構成の樹脂層であり、通常、その厚みは1μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、かつ1000μm以下、好ましくは600μm以下、さらに好ましく500μm以下である。ここで、表面樹脂層(A)の厚みが1μm以上であれば、ガスバリアー性や耐ピンホール性などの特性を付与する層や接着性樹脂層を配することが容易であり、またその厚みが1000μm以下であれば、ヒートシール時に熱がヒートシール樹脂層(D)に伝わりやすく被シール体のシール部と容易にヒートシールができるため好ましい。
酸素バリア性樹脂層(B)は、通常、単層構成の樹脂層であり、その厚みは、少なくとも酸素透過率が23℃・50%RH環境下で3(cc・20μm/m・24hr・atm)以下のバリア性を有していることが求められ、成形加工性、製造コストなどから、通常2μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であって100μm以下、好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下が好適に採用される。
耐ピンホール性樹脂層(C)の厚みは、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下であることが望ましい。酸素透過性の効果をより高めるため、ヒートシール樹脂層(D)側から機械的に穿孔することが好ましく、耐ピンホール性樹脂層(C)の厚みが5μm以上であれば、ヒートシール樹脂層(D)側から、針や刃によって穿孔により微細な穴を開けても、剛性の高い耐ピンホール性樹脂層の存在により、酸素バリア性樹脂層まで穴が到達せず酸素バリア性の低下等の不具合を防止できるため好ましく、またその厚みが100μm以下であれば、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)を剥離させる際に、容易にヒートシール樹脂層(D)の膜を露出することが可能になるため好ましい。
ヒートシール樹脂層(D)の厚みは、特に制限されるものではないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下であることが望ましい。ここで、合計厚みが5μm以上であれば、ヒートシール時にヒートシール熱板による加圧等により変形し、この層の機能が低下してしまうことや層間剥離時にシール層が破断してしまう、また表面樹脂層(A)/酸素バリア性樹脂層(B)/耐ピンホール性樹脂層(C)を剥離し、店頭にヒートシール樹脂層(D)の薄い膜が残った包装体を陳列する際に、該ヒートシール樹脂層(D)が破れる等の不具合が防止できるため好ましく、またその厚みが30μm以下であれば、通気性が高い状態を維持することが可能になるため好ましい。
耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との間にオレフィン系接着性樹脂および/またはスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分として構成される接着性樹脂層(E)を配する場合は、厚みが通常1μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、製造加工上ならび品質面の管理しやすく、安定した剥離強度を得ることができるので好適である。15μ以上になると、剥離強度が強くなる傾向が強まるため、30μm以下、さらには25m以下、特に15μm以下であることが望ましい。
次に、本発明で使用するフィルムの製造方法について説明する。
本発明で使用するフィルムの製造方法としては、特に制限されるものではないが、酸素バリア性樹脂層(B)ならび耐ピンホール性樹脂層(C)の保護や生産性および衛生性等に優れている共押出法を好適に用いることができる。すなわち、上述した表面樹脂層(A)、酸素バリア性樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、およびヒートシール樹脂層(D)に用いる各樹脂組成物をそれぞれ別の押出機で加熱溶融させ、マルチマニホールド法やフィードブロック法等の公知の方法で溶融状態において(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層した後、T ダイ・チルロール法やインフレーション法等により多層フィルムに成形することができる。ここで、印刷適性やラミネート適性を向上させるために、得られた多層フィルムの表面樹脂層(A)の最外層の表面に表面処理を施しても構わない。表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理が挙げられるが、本発明においては、表面処理の効果や生産性および製造コストの観点からコロナ処理が好適に用いられる。
本発明で使用するフィルムは、表面樹脂層(A)上に、ドライラミネーション法や押出ラミネーション法などの公知の方法により、必要に応じて、接着性樹脂や接着剤などを介してラミネート基材を積層させ、ラミネートフィルムやラミネートシートとすることができる。ここで、ラミネート基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、無延伸ポリプロピレンシート、無延伸ポリエチレンテレフタレートシート、アルミニウム箔、紙、不織布等が挙げられる。本発明においては、ドライラミネーション法が好適に用いられ、その際に用いられる接着剤としては、ポリエステル−ポリウレタン系接着剤、ポリエーテル−ポリウレタン系接着剤等が例示できる。
本発明で使用するフィルム自体、あるいは本発明で使用するフィルムとラミネート基材とを積層したラミネートフィルムやラミネートシートは、それぞれ各種の包装体の蓋材として用いることができる。当該フィルムを包装体(容器)の蓋材として使用した場合、この蓋材のヒートシール樹脂層(D)と、食品等の内容物が充填された包装体(容器)(被シール体)のヒートシール樹脂層とを重ね合わせてヒートシールすることにより、気密性や実用的な層間剥離強度および通気性機能を有する包装体(容器)とすることができる。この包装体(容器)は、開封後の底材にヒートシール性樹脂層(D)の膜が露出し、高い通気性により、大気中の酸素が包装体の中に流入し、スーパー等の小売店で陳列する際に消費者が望む赤く鮮やかな肉色にすることが可能となる。
次に、本発明のフィルムを蓋材として用いた深絞り包装体における層間剥離性および通気性について説明する。図1は、本発明のフィルムを蓋材として用いた深絞り包装体の部分断面図であり、図2は、図1で示す深絞り包装体において、蓋材の一部を底材から剥離した状態の包装体の部分断面図である。
ここで、図1および図2における符号1は蓋材、符号2は底材(被シール体)、符号3は蓋材の表面樹脂層、符号4は蓋材の酸素バリア性樹脂層、符号5は蓋材の耐ピンホール性樹脂層、符号6は蓋材のヒートシール樹脂層、符号7は底材の表面樹脂層、符号8は底材のヒートシール樹脂層、符号9はヒートシール部、符10はタブ部、符号11は剥離時における耐ピンホール性樹脂層5の露出部、符号12は剥離時におけるヒートシール樹脂層8の露出部である。
図1に示すように、蓋材1は、表面樹脂層3、酸素バリア性樹脂層4、耐ピンホール性樹脂層5、ヒートシール樹脂層6がこの順で構成される。蓋材1のヒートシール樹脂層6は、被シール体である底材2のヒートシール樹脂層8とヒートシールされている。つまり、蓋材1と底材2とは、ヒートシールによって形成されたヒートシール部9で接着されている。
蓋材1に設けられたタブ部10を摘んで引っ張ると、図2に示すように、ヒートシール部9において、先ずタブ部10側のヒートシール樹脂層6が蓋材1から破断されるとともに、蓋材1における耐ピンホール性樹脂層5とヒートシール樹脂層6との層間で剥離が開始される。耐ピンホール性樹脂層5とヒートシール樹脂層6との剥離がタブ部10側と反対側のヒートシール部9に到達した後も、蓋材1のヒートシール樹脂層は破断されず、被シート体である底材2側に移行し、耐ピンホール性樹脂層5の露出部11とヒートシール樹脂層6の露出部12が形成される。
本発明のフィルムによって構成される包装体は、各種容器の蓋材として用いることができ、その用途は特に新鮮な生肉製品全般の包装に関して、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、鹿肉、羊肉等の生肉を解体し包装して、スーパー等の小売店に陳列する時に蓋材の酸素バリア性フィルム部分を剥離してヒートシール樹脂層を露出して膜を残すことで、単体のパッケージ(蓋材とトレー容器)として用いることができる。
特に、表層の酸素バリア性フィルム部を剥離後、大気中の酸素がパッケージ中に流入し、消費者が好む鮮やかな赤色を呈した食肉にすることができるという特徴がある。
以下に実施例で本発明をさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の評価は次のようにして行った。
(1)剥離強度
得られた深絞り包装体の底材と蓋材のヒートシール部を15mm幅の短冊状に切り出し試験片とした。この試験片を万能試験機(インテスコ(株)製)を用い、温度23℃、引張速度200mm/minの条件で180度の角度で引っ張った場合の、底材と蓋材の剥離する時の剥離強度を初期剥離強度(N/15mm幅)として測定した。
(2)酸素バリア性
得られた深絞り包装体の底材と蓋材に、新鮮な牛の生肉を充填し、2℃の冷蔵庫に21日間保管した後、生肉の色を下記の基準で目視により評価した。(包装体のヘッドスペースを窒素ガスで置換し、初期酸素濃度0.01%以下とした。)
○:紫色を維持していた場合
×:黒赤色に変色していた場合、または腐敗が進んだ場合
(3)層間剥離性
得られた深絞り包装体のヒートシール部から、蓋材を手で剥離した場合のヒートシール樹脂層(D)の状態を下記の基準で目視により評価した。
○:ヒートシール樹脂層がきれいに露出し、底材に薄い膜が残った場合
×:ヒートシール樹脂層が露出しなかったり、破断したりケバ立ちがあったりする場合
(4)生肉の発色状態
得られた深絞り包装体の底材と蓋材に、新鮮な牛の生肉を充填し、ヒートシール部から手で剥離して、ヒートシール樹脂層の薄膜が残った状態で、2℃の冷蔵庫に12時間保管した際の生肉の発色状態を下記の基準で目視により評価した。
○:紫色から鮮やかな赤色に変色した場合
×:紫色のまま、もしくは黒赤色で腐敗が進んだ場合
実施例1:
[蓋材]
表面樹脂層(A)を以下の3種類の樹脂を用いて3層構成とした。
A1:6ナイロン樹脂(ディーエスエムエンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名「ノバミッド1020A」、以下「6Ny」と略称する。)
A2:オレフィン系接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーNF587」、以下「AD1」と略称する。)
A3:6−66ナイロン樹脂(ディーエスエムエンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名「ノバミッド2030A」、以下「6−66Ny」と略称する。)
酸素バリア性樹脂層(B)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物((株)クラレ製、商品名「エバールE105」、エチレン共重合比率:44mol、酸素透過率:1.5(cc・20μm/m2・24h・atm)、以下「EVOH1」と略称する。)の樹脂を用いて構成した。
耐ピンホール性樹脂層(C)は、6ナイロン樹脂(ディーエスエムエンジニアリングプラスチックスス(株)製、商品名「ノバミッド1020A」、以下「6Ny」と略称する。)の樹脂を用いて構成した。
ヒートシール樹脂層(D)は、エチレン‐酢酸ビニル共重合体(日本ポリエチレン商品名「ノバテックEVA LV430」以下「EVA」と略称する。)に滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm、アンチブロッキング剤として天然シリカを2000ppm添加混合した樹脂を用いて構成した。
上記の樹脂を(A)層用押出機(3層とも口径50mmの単軸押出機)、(B)層用押出機(口径50mmの単軸押出機)、(C)層用押出機(口径50mmの単軸押出機)、(D)層用押出機(口径50mmの単軸押出機) を有するT ダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置の各押出機にそれぞれ供給して、押出設定温度190〜250℃、Tダイ設定温度255℃の条件で共押出し、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X1)を得た。
[底材]
最外層側から、EVOH1、6−66Ny、AD1、線状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックLL UF240」、以下「LLDPE」と略称する。)に滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm、アンチブロッキング剤として天然シリカを2000ppm添加混合した樹脂組成物(ヒートシール樹脂層)の順に積層させ、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/30μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(Y1)を共押出法によって得た。この多層フィルム(Y1)の最外層側(EVOH面)に、総厚みが250μmの無延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学(株)製、商品名「ノバクリアー」)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み320μmのラミネートシート(Y1LS)を得、包装体の底材に使用した。
なお、ドライラミネーション用の接着剤としては2液硬化型接着剤(主剤として大日本インキ(株)製、商品名「ディックドライLX−75A」、硬化剤として大日本インキ(株) 製、商品名「ディックドライKW−40」を使用した。
[深絞り包装体]
深絞り包装機(ムルチバック社製、型番:R−530)を使用して、上記の底材(Y1LS)を無延伸ポリエチレンテレフタレートシート層が外層になるように深絞り成形することにより、縦130mm、横170mm、フランジ部幅6mmの長方形の形状の容器に加工し、ヒートシール部において、深絞りされた底材に設けられたフランジ部分に上記の蓋材(X1)を、ヒートシール温度:140℃、シール時間:2秒、シール圧力:4kg/cm2の条件でヒートシールすることにより深絞り包装体を作製した。深絞り包装体のヘッドスペースに、窒素ガスを充填し、酸素濃度を0.01%以下になるように置換した。
この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例2:
[蓋材]
実施例1で使用した表面樹脂層(A)に使用する樹脂を、A1:EVOH1、A2:6−66Ny A3:オレフィン系接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーNF587」、以下「AD1」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X2)を得た。
次いで、得られた多層フィルム(X2)の表面樹脂層(A)の最外層側に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材(ユニチカ(株)製、商品名「エンブレットPET」、厚さ16μm)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(X2LF)を得、包装体の蓋材に使用した。なお、ドライラミネーション用の接着剤としてはY1LSと同様のものを使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例3:
[蓋材]
実施例1で使用した酸素バリア性樹脂層(B)に使用する樹脂を、ポリメタキシレンアジパミド樹脂(三菱ガス化学(株)製、商品名「MXナイロン S6007」、以下「MXDNy」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X3)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例4:
[蓋材]
表面樹脂層(A)をA1:6Ny、A2:6−66Nyを用いて2層構成とし、実施例1で使用した耐ピンホール性樹脂層(C)に使用する樹脂を、非晶性ポリエステル樹脂(イーストマンケミカル(株) 製、商品名「EASTARPETG Co polyester6763」、以下「PETG」と略称する。)に変更、また酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)の間に接着樹脂層(E)としてオレフィン系接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーSF715」、以下「AD2」と略称する。)を配した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(B)/(E)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X4)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例5:
[蓋材]
表面樹脂層(A)をA1:6Ny、A2:6―66Ny用いて2層構成とし、実施例1で使用した耐ピンホール性樹脂層(C)に使用する樹脂を、シクロオレフィンポリマー樹脂、(ポリプラスチックス(株)製、商品名「ZEONOR 1020R」以下「COP」と略称する。)に変更、また酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)の間に、オレフィン系接着性樹脂AD1に変更、ヒートシール樹脂層(D)をランダムポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP EG7FTB」、以下PP1と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(B)/(E)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X5)を得、包装体の蓋材に使用した。次いで、得られた多層フィルム(X5)の最内層側から孔径0.1mmで深さ30μmの穴を間隔10mm×10mmで機械針により開孔し、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1の使用したヒートシール樹脂層をランダムポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテックPP EG7F」、以下PP2と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、最外層側から、EVOH1、6−66Ny、AD1、PP1に滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm、アンチブロッキング剤として天然シリカを2000ppm添加混合した樹脂組成物(ヒートシール樹脂層)の順に積層させ、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/30μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(Y2)を共押出法によって得た。この多層フィルム(Y2)の最外層側(EVOH面)に、総厚みが250μmの無延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学(株)製、商品名「ノバクリアー」)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み320μmのラミネートシート(Y2LS)を得、包装体の底材に使用した。
なお、ドライラミネーション用接着剤としてはラミネートフィルム(Y1LS)を作製する場合と同様のグレードを使用した。
[深絞り包装体]
ヒートシール温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例6:
[蓋材]
ヒートシール樹脂層(D)に使用する樹脂を、LLDPEに変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X6)を得た。
次いで、得られた多層フィルム(X6)のヒートシール樹脂層(D)の最内層側に孔径0.1mmで深さ30μmの穴を間隔10mm×10mmで機械針により開孔し、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
実施例7:
[蓋材]
表面樹脂層(A)をA1:6Ny、A2:6−66Nyを用いて2層構成とし、接着性樹脂層(E)として「AD1」10質量部と「LLDPE」90質量部を混合した樹脂組成物を耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)の間に配した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(B)/(C)/(E)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/5μm/20μm、全層の厚さが65μmの多層フィルム(X7)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例1:
[蓋材]
実施例1において、剥離樹脂層(C)を配せず、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(D)の5層構成で、各層の平均厚さを各々10μm/10μm/10μm/10μm/20μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、全層の厚さが6 0μmの多層フィルム(X8)を得た。次いで、得られた多層フィルム(X8)のヒートシール樹脂層(D)の最内層側に孔径0.1mmで深さ20μmの穴を間隔10mm×10mmで機械針により開孔し、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例2:
[蓋材]
実施例1において、耐ピンホール性樹脂層(C)の厚みを3μmにした以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/3μm/20μm、全層の厚さが63μmの多層フィルム(X9)を得た。
次いで、得られた多層フィルム(X9)のヒートシール樹脂層(D)の最内層側に孔径0.1mmで深さ20μmの穴を間隔10mm×10mmで機械針により開孔し、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例3:
[蓋材]
実施例7において、接着性樹脂層(E)として、「AD1」90質量部と「LLDPE」10質量部を混合した樹脂組成物に変更した以外は、実施例7と同様にして、(A1)/(A2)/(B)/(C)/(E)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/5μm/20μm、全層の厚さが65μmの多層フィルム(X10)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例4:
実施例1において、ヒートシール性樹脂層(D)を、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックHD HF560」、以下「HDPE」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B) /(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X11)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例5:
実施例1において、酸素バリア性樹脂層(B)の厚みを2μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/2μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが62μmの多層フィルム(X12)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
比較例6:
実施例1において、ヒートシール樹脂層(D)の厚みを5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B) /(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/10μm/10μm/10μm/10μm/5μm、全層の厚さが55μmの多層フィルム(X13)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
(参考例)
実施例1において、酸素バリア性樹脂層(B)をエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物((株)クラレ製、商品名「エバール G156B」、エチレン共重合比率48mol、酸素透過率:3.2(cc・20μm/m2・24h・atm)、以下「EVOH2」)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/5μm/10μm/10μm/10μm/20μm、全層の厚さが65μmの多層フィルム(X15)を得、包装体の蓋材に使用した。
[底材]
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
[深絞り包装体]
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
Figure 2015189481
表1より、本発明で規定するフィルムを用いた蓋材で形成された層間剥離性ならび通気性を有した包装体(深絞り包装体)は、剥離強度、酸素バリア性、層間剥離性および生肉の発色状態のすべての特性に問題がなく実用性に優れていることを確認できた(実施例1〜7)。これに対して、耐ピンホール性樹脂層(C)を配さなかった場合や耐ピンホール性樹脂層(C)の厚みを3μmにした多層フィルムは、穿孔により開孔された穴が酸素バリア性樹脂層(B)まで到達してしまい、酸素バリア性が低下して、生肉の色が紫色から徐々に黒くなり保存期間が短かった(比較例1、比較例2)。
接着性樹脂層(E)として接着性樹脂90質量部とLLDPE10質量部を混合した樹脂組成物を配した場合は、酸素バリア性樹脂層(B)ならび耐ピンホール性樹脂(C)との層間接着強度が、5.0N/15mm幅以上と強過ぎて開封しにくかった(比較例3)。
ヒート―シール樹脂層(D)にHDPEを配した場合は、層間剥離後の生肉の発色に数日間かかってしまった(比較例4)。
酸素バリア性樹脂層(B)を2μmにした場合や、エチレン共重合比率が48molのエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いた場合は、保存期間の21日間よりも早い段階で、生肉が紫色から黒赤色に変色してしまった(比較例5、参考例)。
ヒートシール樹脂層(D)の厚みを5μmにした場合は、層間剥離後に被シール体の底材側の枠シール箇所でヒートシール樹脂層(D)の膜が破断してしまった。(比較例6)
本発明の包装材は、例えば、牛肉や鶏肉、豚肉等の食用生肉の包装に好適に利用することができる。
1 蓋材
2 底材
3 蓋材の表面樹脂層
4 蓋材の酸素バリア性樹脂層
5 蓋材の耐ピンホール性樹脂層
6 蓋材のヒートシール樹脂層
7 底材の表面樹脂層
8 底材のヒートシール樹脂層
9 底材のヒートシール部
10 蓋材のタブ部
11 剥離時における耐ピンホール性樹脂層の露出部
12 剥離時におけるヒートシール樹脂層の露出部

Claims (12)

  1. 表面樹脂層(A)、酸素バリア樹脂層(B)、耐ピンホール性樹脂層(C)、ヒートシール樹脂層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層され、前記酸素バリア性樹脂層(B)と前記耐ピンホール性樹脂層(C)の剥離強度が0.05〜5.0N/15mm幅の層からなる多層フィルムを蓋材とし、当該多層フィルムのヒートシール樹脂層(D)を被シール体のシール部にヒートシールすることで底材と蓋材とがヒートシールされた包装体であり、多層フィルムを剥離するときに、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)とが層間剥離し、表面樹脂層(A)と酸素バリア樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)が除去され、被シール体にヒートシール樹脂層(D)の薄膜層が露出して残ることを特徴とする包装体。
  2. ヒートシール層(D)の酸素透過率が23℃・50%RH環境下で25,000cc/(m・24h・atm)以上である請求項1に記載の包装体。
  3. 表面樹脂層(A)、酸素バリア樹脂層(B)、および耐ピンホール性樹脂層(C)は開孔されておらず、ヒートシール樹脂層(D)のみ開孔されている請求項1または2に記載の包装体。
  4. 表面樹脂層(A)と酸素バリア樹脂層(B)との層間接着強度、および酸素バリア樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)との層間接着強度が、耐ピンホール性樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との剥離強度よりも大きい請求項〜3のいずれかに記載の包装体。
  5. 表面樹脂層(A)が、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、およびカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装体。
  6. 酸素バリア性樹脂(B)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、およびポリメタキシレンアジパミド樹脂からなる群から選ばれ、その酸素透過率が23℃・50%RH環境下で3(cc・20μm/m・24h・atm)以下の樹脂を主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。
  7. 耐ピンホール性樹脂(C)が、アミド系樹脂、エステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、および環状ポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種の熱可塑性樹脂を主成分とする請求項1〜6のいずれかに記載の包装体。
  8. ヒートシール樹脂層(D)が、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐メチルアクリレート共重合体、エチレン‐エチルアクリレート共重合体、エチレン‐メタルメタアクリレート共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐メタアクリル酸共重合体、アイオノマー、および4−メチル−1−ペンテンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分とする請求項1〜7のいずれかに記載の包装体。
  9. 酸素バリア性樹脂層(B)と耐ピンホール性樹脂層(C)との間に接着性樹脂層(E)を有し、酸素バリア性樹脂層(B)と接着性樹脂層(E)との剥離強度が0.05〜5.0N/15mm幅の層からなる請求項1〜8のいずれかの記載の包装体。
  10. 酸素バリア性樹脂層(B)の厚みが3〜100μmである請求項1〜9のいずれかに記載の包装体。
  11. 耐ピンホール性樹脂層(C)の厚みが5〜100μmである請求項1〜10のいずれかに記載の包装体。
  12. ヒートシール樹脂層(D)の厚みが5〜100μmである請求項1〜11のいずれかに記載の包装体。
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