JP2018114699A5 - - Google Patents

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熱収縮性多層フィルム
本発明は食品包装に用いられる熱収縮性多層フィルムに関する。
従来、熱収縮性多層袋及びパウチ等の包装材料が、食品包装に用いられている。包装材料に利用される熱収縮性多層フィルムとしては、例えば、樹脂積層体を管状ダイからフィルム状に押し出し、インフレーション法により二軸延伸することで得られる管状(チューブ状)のフィルムが挙げられる。この管状の熱収縮性多層フィルムは、袋状又は筒状に賦形され、底シールバッグ等の包装材料に製袋されたり、サイドシールバッグ等の包装材料に製袋されたりする。
底シールバッグ等の包装材料は、例えば、以下のように製袋される。まず、管状の熱収縮性多層フィルムが、フィルム状に押し出した押出方向に垂直な方向にヒートシール、インパルスシール又は高周波シール等によって一次シールされ、袋の底シール部を形成される。次に、底シール部の位置と、当該押出方向において異なる位置で、当該押出方向に垂直な方向に当該フィルムがカットされ、袋の開口部を形成される。このようにして、底シールバッグ等の包装材料が得られる。
サイドシールバッグ等の包装材料は、例えば、以下のように製袋される。まず、管状の熱収縮性多層フィルムが、押出方向に垂直な方向にヒートシール、インパルスシール又は高周波シール等によって一次シールされ、袋のサイドシール部(バッグ側面)が形成される。次に、押出方向に平行な方向に当該フィルムがカットされ、袋の開口部を形成される。このようにして、サイドシールバッグ等の包装材料が得られる。
また、熱収縮性多層フィルムがTダイから押出しされ、テンター法により延伸されたフラットフィルムである場合には、フラットフィルムのシール面が内側にして折りたたまれ、二枚のフラットフィルムのシール面同士を向き合わせて重ねられ、パウチの形状に添って一次シール及びカットされることでパウチ等の包装材料が得られる。
これらの熱収縮性の包装材料は、食品包装体に用いられる。食品包装体は、包装材料中に、食肉等の内容物を充填して脱気し、二次シールすることで真空包装を行い、熱処理により包装材料を熱収縮することで得られる。熱処理としては、例えば、真空包装された製品を熱水中に浸漬させたり、熱水シャワーに通したり、熱風トンネルを通過させたりする等の熱処理が挙げられる。
熱収縮性多層フィルムとしては、例えば、特許文献1及び2に、内容物と接する内表面層と、接着層と、当該接着層に隣接するガスバリア層と、中間層とが内側から外側へ、この順で積層されており、内表面層がエチレン系共重合体からなり、ガスバリア層がエチレン−ビニルアルコール共重合体からなり、中間層がポリアミド系樹脂からなる熱収縮性多層フィルムが記載されている。
また、特許文献3には、内容物と接する内表面層と、接着層と、当該接着層に隣接するエチレン系共重合体を含む層と、接着層と、ポリアミド系樹脂を含む層とが、内側から外側へ、この順に積層されており、内表面層がアイオノマー樹脂又はポリエチレンを含む層である熱収縮性多層フィルムが記載されている。
国際公開WO2014/178378号 国際公開WO2014/178379号 国際公開WO2016/053956号
ところで、上述の熱処理によって熱収縮性多層フィルムを収縮させる際に、包装材料の一次シールした部分である一次シール部に負担がかかり、切れてしまう虞がある。このことから、熱処理による収縮の際に、一次シール部が切れることのない熱収縮性多層フィルムの開発が望まれている。一次シール部が切れないようにするには、一次シール部のシール強度が高い必要がある。熱収縮性多層フィルムにおいては、収縮後にフィルムが内容物に美麗にフィットすることが望まれているため、高温下で高い収縮率を発現することが望ましいが、フィルムが収縮する際の応力によって、一次シール部が切れることがある。このことから、一次シール部が切れない熱収縮性多層フィルムとして、一次シール部のシール強度が高く、且つ、高温下で高い熱収縮率を有している熱収縮性多層フィルムが求められている。
しかしながら、本願発明者が検討を行った結果、特許文献1、2に記載の熱収縮性多層フィルムは、一次シール部の強度が十分ではなかった。また、特許文献3に記載の熱収縮性多層フィルムは、高温下での熱収縮率が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みられたものであり、その目的は、一次シール部のシール強度が高く、且つ、高温下で高い熱収縮率を有している熱収縮性多層フィルムを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、以下の本発明に達した。
本発明に係る熱収縮性多層フィルムは、熱収縮性多層フィルムであって、内容物と接する内表面層と、接着層と、該接着層に隣接する中間層とを含み、上記内表面層と上記接着層と上記中間層とが、上記熱収縮性多層フィルムの内側から外側へ、この順に積層されており、上記内表面層は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を含み、上記接着層は、酸変性エチレン系共重合体を含み、上記中間層は、ポリアミド系樹脂を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記内表面層と、上記接着層とが隣接していることが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記内表面層と上記接着層との間に、上記内表面層と上記接着層との両方に隣接している内面層をさらに含んでいてもよい。該内面層は、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度直鎖状ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及びアイオノマー(IO)からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミド及び非晶質芳香族ポリアミドのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6−12、ナイロン6−10及びナイロン6−66−12からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記接着層は、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたエチレン系共重合体を含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記接着層は、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体を含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記接着層は、無水マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合体及び無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)における酢酸ビニル単量体単位の含有量が10重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記中間層の外側に隣接しているバリア層をさらに含み、該バリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVОH)及びポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記バリア層の外側に隣接している外層をさらに含み、該外層は、ポリアミド系樹脂を含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記外層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミド及び非晶質芳香族ポリアミドのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、本発明に係る熱収縮性多層フィルムにおいて、上記外層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6−12、ナイロン6−10及びナイロン6−66−12からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
本発明に係る熱収縮性多層フィルムは、一次シール部のシール強度が高く、且つ、高温下で高い熱収縮率を有しているという効果を奏する。
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
<熱収縮性多層フィルム>
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、熱収縮性多層フィルムであって、内容物と接する内表面層と、接着層と、該接着層に隣接する中間層とを含み、上記内表面層と上記接着層と上記中間層とが、上記熱収縮性多層フィルムの内側から外側へ、この順に積層されており、上記内表面層は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を含み、上記接着層は、酸変性エチレン系共重合体を含み、上記中間層は、ポリアミド系樹脂を含む。
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムとしては、例えば、外表面を構成する層(最外層)から、食肉等の内容物と接触する層(内表面層)へ順に記載すると、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/ナイロン/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)をそれぞれ各層に含む層構成の熱収縮性多層フィルム、PET/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/ナイロン/EVOH/ナイロン/無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体/EVAをそれぞれ各層に含む層構成の熱収縮性多層フィルム、PET/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/EVOH/ナイロン/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/EVA、及び、PET/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/ナイロン/EVOH/ナイロン/無水マレイン酸変性エチレン系共重合体/アイオノマー(IО)/EVAをそれぞれ各層に含む層構成の熱収縮性多層フィルム等が挙げられる。
また、熱収縮性多層フィルムを構成する層には、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。樹脂以外の成分としては、各種の添加剤が挙げられ、例えば滑剤、防曇剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料及び顔料等が挙げられる。
熱収縮性多層フィルムの厚さとしては、フィルムの種類によっても異なるが、通常は5μm以上300μm以下であり、20μm以上150μm以下であることが好ましい。各層は、0.1μm以上200μm以下が好ましく、0.5μm以上100μm以下がより好ましい。また、内表面層と接着層との厚さの合計が、熱収縮性多層フィルムの厚さのうちの60%未満であることが好ましい。これにより、熱収縮性多層フィルムは機械加工性に優れ、一次シール強度により優れる。以下、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムを構成する、それぞれの層について詳細に説明する。
〔内表面層〕
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムに含まれる内表面層は、内容物に接する層である。
内表面層は、エチレンに由来する構造単位と、酢酸ビニルに由来する構造単位(以下、酢酸ビニル単量体単位という)とを有する共重合体である、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む。これにより、熱収縮性多層フィルムがセルフウエルド性に優れる。
内表面層におけるEVAの含有量は、50重量%以上100重量%以下が好ましく、70重量%以上100重量%以下がより好ましい。
また、内表面層は、ポリエチレン又はエチレン系共重合体をベースとする樹脂に滑、アンチブロッキング剤又は防曇剤等が含まれているマスターバッチを、上述のEVAと混合して内表面層を形成してもよい。このとき、混合するマスターバッチの重量は、内表面層を形成するための樹脂の全重量の20重量%以下であることが好ましい。
また、EVAにおける酢酸ビニル単量体単位の含有量は、10重量%以上20重量%以下が好ましく、12重量%以上20重量%以下がより好ましく、15重量%以上20重量%以下がさらに好ましい。酢酸ビニル単量体単位の含有量が10重量%以上であることにより、熱収縮率がより高くなり、熱収縮性多層フィルム製造時に容易に押出しすることができる。酢酸ビニル単量体単位の含有量が20重量%以下であることにより、一次シール部のシール強度がより高くなる。
〔接着層〕
接着層は、各層同士を接着する層である。
本実施形態では、接着層は、酸変性エチレン系共重合体、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたエチレン系共重合体を含み、当該接着層は、少なくとも中間層に接着している。また、接着層は、中間層における、接着層と接している面と反対側の面に内表面層が隣接している場合は内表面層に、内面層が隣接している場合は内面層に接着している。このように、酸変性エチレン系共重合体を含む接着層が中間層、及び、内面層又は内表面層に接着していることで、層間接着力を強くし、一次シール強度を高めることができる。
ここで、変性される元となるエチレン系共重合体は、エチレンと少なくとも1つの追加モノマーとから誘導される繰り返し単位を含むポリマーを意味する。追加モノマーは、例えば、α−オレフィン及び極性官能基を有するモノマーを挙げることができる。このエチレン系共重合体としては、エチレン−αオレフィン共重合体、EVA、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
エチレン−αオレフィン共重合体としては、チーグラー・ナッタ型触媒反応によって製造された樹脂、及び、メタロセン又はシングルサイト触媒反応によって製造された樹脂を挙げることができる。
変性に使用する酸としては、不飽和カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
上述の不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、アクリル酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びナジック酸等が好ましく、またその誘導体としては酸ハライド、アミド、イミド、無水物及びエステル等を挙げることができ、より具体的には、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル及びグリジルマレート等が用いられる。
接着層は、上述のエチレン系共重合体及び上述の不飽和カルボン酸のなかでも、エチレン−αオレフィン共重合体と無水マレイン酸との組み合わせ、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体と無水マレイン酸との組み合わせが好ましい。すなわち、接着層は、無水マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合体及び無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
変性に使用する酸の重量は、最終的に得られる変性エチレン系共重合体の全重量に対して0.01以上15重量%以下が好ましく、0.1以上10重量%以下がより好ましい。
また、接着層は、酸変性エチレン系共重合体以外に他のオレフィンホモポリマー及び/又はコポリマーをさらに含んでいてもよい。他のオレフィンホモポリマー及び/又はコポリマーの含有量は、層間接着力の観点から、接着層を構成する全樹脂重量の0.01重量%以上15重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上10重量%以下であることがより好ましい。
また、接着層は、タッキファイヤー等の粘着付与成分をさらに含んでもよい。このタッキファイヤーは主に延伸後及び/又は収縮後の層間接着力を高める目的で使用される。
使用されるタッキファイヤーとしては、ロジンエステル、水素化ロジンエステル及び重合ロジンエステル等のロジン類、αピネン重合体、βピネン重合体及びジテルペン重合体等のポリテルペン系樹脂、オレフィン系重合体及びシクロペンタジエン樹脂等の脂肪族系炭化水素、並びに、脂環族系炭化水素樹脂が好ましく、ロジンエステル、水素化ロジンエステル、及び、脂環族系炭化水素樹脂がより好ましい。
なお、接着層は、中間層に隣接している上述の接着層以外にも任意の数だけ設けることができ、例えば、後述する最外層と外層との間にさらに設けることができる。
接着層の厚さは、各0.5μm以上6.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以上5.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上4.0μm以下であることがさらに好ましい。
〔中間層〕
中間層は、接着層に隣接しており、内表面層及び接着層とバリア層との間にある層である。中間層は、一層構造であっても多層構造であってもよい。
中間層は、ポリアミド系樹脂を含めばよく、その中でも、脂肪族ポリアミド及び非晶質芳香族ポリアミドのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また、ポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミドと非晶質芳香族ポリアミドとの混合物である場合、ポリアミド系樹脂における脂肪族ポリアミドの含有量が60重量%以上100重量%以下であり、非晶質芳香族ポリアミドの含有量が0重量%以上40重量%以下であることが好ましい。また、熱収縮性多層フィルムの延伸性と剛性のバランスが優れるという観点から、脂肪族ポリアミドの含有量が60重量%以上95重量%以下であり、非晶質芳香族ポリアミの含有量が5重量%以上40重量%以下であることがより好ましく、脂肪族ポリアミドの含有量が70重量%以上90重量%以下であり、非晶質芳香族ポリアミドの含有量が10重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましい。
脂肪族ポリアミドとしては、融点が180℃以上270℃以下のものが好ましく用いられ、例えば、ナイロン6(融点:約220℃)、ナイロン66(融点:約260℃)ナイロン6−66(融点:180℃以上210℃以下)、ナイロン6−12(融点:約135℃以上190℃以下)、ナイロン6−10(融点:約220以上230℃以下)及びナイロン6−66−12(融点:約180℃以上190℃以下)等を挙げることができる。すなわち、中間層に含まれるポリアミド系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6−12、ナイロン6−66−12、からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。中間層がこれらを含むポリアミド系樹脂を含有することで、当該中間層を含む熱収縮性多層フィルムを容易に押し出し加工できる。
非晶質芳香族ポリアミドとしては、イソフタル酸及びテレフタル酸を主たる酸性分とする脂肪族ジアミンとの重縮合物が用いられる。酸性分としては、イソフタル酸成分を40mol%以上98mol%以下及びテレフタル酸成分を2mol%以上60mol%以下含む混合物が好ましい。特に汎用性の観点から、脂肪族ジアミンがヘキサメチレン単独からなり、ナイロン6I−6T(Ny6I−6T)と通称される非晶質ナイロンが好ましい。
脂肪族ポリアミドと非晶質芳香族ポリアミドとの混合物である場合、なかでも、二軸延伸性及び延伸フィルムの熱収縮性の観点からナイロン6−66とナイロン6I−6Tとの混合物であることが好ましい。
中間層におけるポリアミド系樹脂の含有量は、60重量%以上100重量%以下が好ましく、80重量%以上100重量%以下がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。すなわち、中間層はポリアミド系樹脂以外に、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー及びポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体等の樹脂を含んでいてもよいが、押出安定性及び延伸後のフィルムの透明性の観点からポリアミド系樹脂のみから構成されていることが好ましい。
また、中間層に含まれるポリアミド系樹脂のうち、特に、非晶質芳香族ポリアミドの含有量が5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。非晶質芳香族ポリアミドの含有量が、5重量%以上であることにより、延伸製膜性に優れ、40重量%以下であることにより、熱収縮性多層フィルムの剛性を適度に高くすることができる。
また、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムの全膜厚における中間層の厚さとしては、15%よりも高く50%以下であることが好ましく、20%以上45%以下であることがより好ましく、25%以上40%以下であることがさらに好ましい。15%よりも高いことにより、延伸性に優れ、50%以下であることにより、熱収縮性多層フィルムの柔軟性に優れる。中間層の厚さとしては、具体的には、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1.5μm以上40μm以下であることがより好ましく、2μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
なお、中間層には、必要に応じて、マレイン酸等の酸又はこれらの無水物によって変性されたオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂(IО)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のポリアミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂をポリアミド系樹脂に20重量%まで含ませることができる。
〔内面層〕
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、上述した内表面層、接着層及び中間層を必須の構成層として含むものであるが、必要に応じて内表面層と接着層との間にあり、内表面層と接着層との両方に隣接する内面層をさらに含んでいてもよい。
内面層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度直鎖状ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(PP−Et)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)、エチレンアクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)及びアイオノマー(IО)等を挙げることができ、LDPE、VLDPE、LLDPE、EAA、EVA及びIОのうちの少なくとも1つを含むことが好ましく、LDPE、VLDPE、LLDPE、EAA及びEVAのうちの少なくとも1つを含むことがより好ましく、LDPE、VLDPE、LLDPE及びEVAのうちの少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。上述の樹脂を内面層が含むことで、内表面層と接着層とが隣接している場合と同様に一次シール強度及び熱収縮率の高い熱収縮性多層フィルムを得ることができ、水蒸気バリア性も向上させることができる。
内面層におけるLDPE、VLDPE、LLDPE又はEVAの含有量は、60重量%以上100重量%以下が好ましく、70重量%以上100重量%以下がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。すなわち、内面層はLDPE、VLDPE、LLDPE又はEAAのみから構成されていてもよいが、熱収縮性多層フィルムを着色する場合には、例えば、ベースポリマーに顔料等が含まれているマスターバッチを、LDPE、VLDPE、LLDPE又はEAA等の樹脂と混合して、内面層を形成してもよい。この場合、混合するマスターバッチの重量は、内面層を形成するための樹脂の全重量の30重量%以下であることが好ましい。
内面層の厚さは、0μm以上50μm以下であることが好ましく、0μm以上45μm以下であることがより好ましく、0μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
〔バリア層〕
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、中間層の外側に隣接するガスバリア性の機能を有するバリア層を含んでいてもよい。
本実施形態では、熱収縮性多層フィルムの層構成が、外側から内側へ順に、バリア層/中間層/接着層/内表面層又は内面層となっている。このように、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムでは、接着層の直上にバリア層ではなく、中間層が積層されている。ここで、中間層は、バリア層よりも接着層と強固に接着する。そのため、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、層構成が、外側から内側へ順に、中間層/バリア層/接着層/内表面層又は内面層となっている熱収縮性多層フィルムよりも、層間接着力が高く、一次シール強度が高い。
本実施形態において、バリア層一層構造であっても多層構造であってもよく、例えば、包装内容物である生肉及び加工肉等の肉製品の、特に透過酸素による劣化を避けることができるものを好適に用いることができる。
バリア層に含まれるものとしては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)及びポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)等を挙げることができ、隣接するポリアミド系樹脂と積層することで耐熱性に優れるという観点からEVOH及びナイロンMXD6がより好ましく、延伸性に優れ、延伸後の熱収縮性多層フィルムが柔軟で扱いやすいという観点からEVOHがさらに好ましい。
EVOHとしては、ビニルアルコール単量体単位の含有量が27mol%以上48mol%以下であることが好ましく、32mol%以上48mol%以下であることがより好ましく、38mol%以上48mol%以下であることがさらに好ましい。ビニルアルコール単量体単位の含有量が上述の好ましい範囲にあることで、柔軟で熱収縮性に優れる熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
バリア層におけるEVOH又はナイロンMXD6の含有量は、60重量%以上100重量%以下が好ましく、70重量%以上100重量%以下がより好ましく、80重量%以上100重量%以下がさらに好ましい。すなわち、バリア層は上述の樹脂以外に、例えば、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン等の樹脂を含んでいてもよいが、バリア性の観点からEVOH又はナイロンMXD6が80重量%以上で構成されていることが好ましい。
バリア層の厚さとしては、例えば、1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上15μm以下であることがより好ましく、4μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。上述の好ましい範囲にあることにより、バリア層が十分な厚さとなる。これにより、延伸した後も、高湿度下において保管される場合も、熱収縮性多層フィルムが必要とされるバリア性を維持することができる。
バリア層がEVOHを含んでいる場合、EVOHは水と親和性が高いため、高湿度下でバリア性が低下する虞がある。ここで、熱収縮性多層フィルムが包装する肉等の内容物は、フィルム中で非常に湿度が高くなっている。そのため、特に、内容物を包装した熱収縮性多層フィルム(包装体)を、水に浸漬して収縮させた状態で保管した場合、包装体の湿度が高くなる。その結果、熱収縮性多層フィルムのバリア性が低下する虞がある。これに対し、バリア層の厚さが上述の好ましい範囲であることにより、熱収縮性多層フィルムのバリア性を維持することができる。
また、バリア層がナイロンMXD6を含んでいる場合、低湿度下におけるバリア性がEVOHに比べて低いが、バリア層の厚さが上述の好ましい範囲であることにより、熱収縮性多層フィルムのバリア性を維持することができる。
〔外層〕
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、バリア層の外側に隣接する外層を含んでいてもよい。
外層を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、上述の中間層と同様のポリアミド系樹脂を含むことができる。この場合、外層の外側に上述の接着層と同様の樹脂を含む接着層をさらに設けることにより、強固な層間接着力を有する多層フィルムとすることができる。
外層におけるポリアミド系樹脂の含有量は、60重量%以上100重量%以下が好ましく、80重量%以上100重量%以下がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。すなわち、外層はポリアミド系樹脂以外に、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー及びポリアミド/ポリエーテルブロック共重合体等の樹脂を含んでいてもよいが、押出安定性及び延伸後のフィルムの透明性の観点からポリアミド系樹脂のみから構成されていることが好ましい。
外層の厚さは、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1.5μm以上40μm以下であることがより好ましく、2μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
〔最外層〕
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、外層の外側に隣接する最外層を含んでいてもよい。
最外層に含まれる樹脂は、特に限定されないが、例えば、耐熱性熱可塑性樹脂が挙げられる。これにより、表面光沢性、印刷適性又はラベル貼付適性、及び、高速シール適性に優れる熱収縮性多層フィルムを得ることができる。
最外層に含まれる耐熱性熱可塑性樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂及び芳香族ポリアミド系樹脂等が挙げられ、脂肪族ポリエステル系樹脂及び芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、芳香族ポリエステル系樹脂がより好ましい。
芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート共重合体(共重合PET)及びポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)等を挙げることができ、PET及び共重合PETが好ましく、溶融共押出加工性の観点から共重合PETがより好ましい。
ここで、最外層は、上述の芳香族ポリエステル系樹脂以外に、滑剤及び/又は帯電防止剤をさらに含んでいてもよい。滑剤は液状、固体状のいずれであってもよい。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックス及びマイクロワックス等の炭化水素系滑剤、ステアリン酸及びラウリン酸等の脂肪酸系滑剤、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、アラキジン酸アミド、オレイン酸アミド、エスシン酸アミド、メチレンビスステアロアミド及びエチレンビスステアロアミド等の脂肪族アミド系滑剤、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート及びステアリン酸モノグリセライド等のエステル系滑剤、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウム等の炭素数12以上30以下の脂肪酸から誘導される金属石鹸類、並びに、シリカ及びゼオライト等の無機系滑剤を挙げることができ、これらのうちの1種類のみを用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。これらの滑剤のなかでも、脂肪酸アミド系滑剤及び金属石鹸類が好ましい。なお、滑は、例えば、滑マスターバッチ(シリカを含む共重合PET)として、上述の芳香族ポリエステル系樹脂と混合される形で最外層に含まれる。この場合、滑マスターバッチの含有量は、滑り性とフィルムの透明性の観点から、最外層を構成する全樹脂重量の3重量%以上30重量%以下が好ましく、5重量%以上25重量%以下がより好ましく、10重量%以上20重量%以下がさらに好ましい。ここで、滑マスターバッチのベースとなる樹脂は、最外層に含まれる樹脂と同じなので、最外層に含まれるシリカの含有量としては、最外層を構成する全樹脂重量の0.05重量%以上3重量%以下が好ましく、0.1重量%以上2重量%以下がより好ましく、0.2重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。最外層におけるエルカ酸アミドの含有量としては、最外層を構成する全樹脂重量の0.02重量%以上3重量%以下が好ましく、0.05重量%以上2重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤及び両性界面活性剤を挙げることができる。帯電防止剤は、これらのうちの1種類のみを用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。帯電防止剤の含有量としては、最外層を構成する全樹脂重量の0.01重量%以上3重量%以下が好ましく、0.05重量%以上2重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。
最外層の厚さは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上8μm以下であることがより好ましく、1.5μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
〔熱収縮性多層フィルム〕
上述のように、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、EVAを含む層であって内容物と接する内表面層と、酸変性エチレン系共重合体を含む接着層と、ポリアミド系樹脂を含む中間層とが、この順に積層されており、接着層と中間層とが隣接していることで、層間接着力が高くなっているため、一次シール部のシール強度が高く、且つ、高温下での熱収縮率が高くなっている。これにより、熱収縮性多層フィルムを収縮させる際に、包装材料の一次シールした部分である一次シール部に負担がかからず、一次シールが切れにくくなる。
なお、ここでいう一次シールとは、熱融着させていない状態の熱収縮性多層フィルムの一端をシールすることを意味する。また、一次シール部とは、一次シールした部分のことを意味する。熱収縮性多層フィルムの一端をシールする方法としては、例えば、ヒートシール又はインパルスシール等によって熱収縮性多層フィルム同士が重なった部分を熱融着する方法がある。
上述の熱収縮性多層フィルムを一次シールすることによって得られる包装材料としては、例えば、底シールバッグ及びサイドシールバッグ等がある。
底シールバッグは、樹脂積層体を管状ダイからフィルム状に押し出し、インフレーション法により二軸延伸することで得られた管状の熱収縮性多層フィルムを折りたたみ、当該管状の熱収縮性多層フィルムに対し、フィルム状に押し出した押出方向に垂直な方向にヒートシール又はインパルスシール等によって一次シールして袋の底シール部を形成し、底シール部の位置と、当該押出方向において異なる位置で、当該押出方向に垂直な方向に当該フィルムをカットして、袋の開口部を形成することで得られる。
サイドシールバッグは、上述の管状の熱収縮性多層フィルムに対し、当該押出方向に垂直な方向にヒートシール又はインパルスシール等によって一次シールして袋のサイドシール部(バッグ側面)を形成し、当該押出方向に平行な方向に当該フィルムをカットして、袋の開口部を形成することで得られる。
本実施形態において、一次シール部が切れにくい一次シール部のシール強度(接着力)とは、低温シール強度、23℃におけるシール強度及び90℃におけるシール強度に優れることを意味する。
ここで、低温シール強度は、例えば、5℃下でのシール部に対する落球試験を行うことでどのくらい優れるかを確かめることができる。当該落球試験は、生肉を充填する5℃前後での場所において、底シールバッグのユーザーが、5kgの生肉を勢いよく底シールバッグに落として充填した際に、生肉の重みで底シールバッグの一次シール部が破れてしまうかどうかを確認するための試験である。
以下に、5℃下でのシール部に対する落球試験の手順(1)〜(6)について具体的に説明する。
(1)まず、収縮前の熱収縮性多層フィルムから作成した10個の試験用底シールバッグを、5℃の冷蔵室内で24時間保管する。
(2)次に、5℃の冷蔵室内で底シールバッグの開口部を上に向け、一次シール部の中央部分が、冷蔵室の床から高さ30cmの位置となるように、底シールバッグを宙吊りにして固定する。
(3)次に、冷蔵室の床から100cm(一次シール部の中央部分から70cm)の高さから、重さ5.5kgのボーリングの球を一次シール部に自然落下させる。
(4)一次シールが破れた場合は、「シール破れ有り」とする。一次シール部が破れなかった場合は、続けてボーリングの球を一次シール部に落下させる。5回繰り返しても一次シール部が破れなかった場合は、「シール破れ無し」とする。
(5)「シール破れ有り」、又は、「シール破れ無し」と判定した場合は、底シールバッグにボーリングの球を落下させるのをやめ、別の底シールバッグに取り替え、手順(2)〜(4)を行う。このようにして、10個の試験用底シールバッグそれぞれに対し、手順(2)〜(4)を行う。
(6)シール破れ個数(破袋数)が10個中3個以下である場合、収縮前の熱収縮性多層フィルムは、低温シール強度に優れると判断できる。シール破れ個数が2個以下であれば、低温シール強度により優れ、シール破れ個数が1個以下であれば、低温シール強度にさらに優れる。
また、23℃及び90℃における一次シール部のシール強度に関しては、真空包装機(Multivac AGW)を用いてインパルスシールにより一次シールして作製した試料を、常温で2時間以上放置した後、当該試料の一次シール部を公知の引張試験機を用いて各温度において測定することができる。
なお、23℃における一次シール強度としては、22N/15mm以上であることが好ましく、24N/15mm以上であることがより好ましく、26N/15mm以上であることがさらに好ましい。また、90℃における一次シール強度としては、1.7N/15mm以上であることが好ましく、1.8N/15mm以上であることがより好ましく、1.9N/15mm以上であることがさらに好ましい。
一次シール強度は、高ければ高いほどよいが、一次シール強度が高すぎると、熱収縮性多層フィルムの内表面層(母材)が切れる可能性があり、母材が切れる一次シール強度を一次シール強度の上限値とみなすことができる。ここで、熱収縮性多層フィルムが切れる一次シール強度の上限値は、実質的に各熱収縮性多層フィルムの引張強度に近似することができる。また、層の構成が同じであっても、熱収縮性多層フィルムの厚さが厚いほど、一次シール強度の上限値は高くなる。例えば、40μmの熱収縮性多層フィルムの引張強度が85N/15mmであるとき、当該熱収縮性多層フィルムの一次シール強度の上限値は、85N/15mmとみなすことができる。また、当該熱収縮性多層フィルムの厚さを40μmから70μmと厚くした場合、当該フィルムの一次シール強度の上限値は、85N/15mmよりも高くなる。
また、層間接着力とは、ここでは、特に、23℃における接着層と中間層との間の接着力を意味する。層間接着力としては、1N/15mm以上であることが好ましく、2N/15mm以上であることがより好ましく、3N/15mm以上であることがさらに好ましい。層間接着力が上述の好ましい範囲にあることにより、一次シール部のシール強度をより高くすることができる。
層間接着力としては、例えば、熱収縮性多層フィルムから幅15mm、長さ100mmの試料を切り取り、試料の長さ方向の一方の端から85mmを残し、他の端から15mmまで、内表面層と中間層との間を剥離して、一方の層の端に長さ15mmの「つかみしろ」を有する試験片を作成する。そして、公知の引張試験機に、試験片の「つかみしろ」を固定し、一定の引張速度で試験片の残りの85mmを剥離するように内表面層と中間層とを引っ張り、剥離するのに必要な強度を測定することで求めることができる。
ここで、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、内表面層と接着層とは、層に含まれる樹脂が類似しており、互いに強固に接着しているため、内表面層と中間層とを引っ張った場合でも、これらの層間では剥離しない。一方で、接着層と中間層との間の接着力は内表面層と接着層との間の接着力に比べて弱いため、接着層と中間層との間で剥離する可能性がある。そのため、層間接着力を、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムにおいては、接着層と中間層との間の接着力とみなし、当該接着力を測定することで、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムの内表面層から中間層までの積層体が剥離しにくいかどうかを確かめることができる。
なお、上述の通り、接着層と中間層とは、内表面層と接着層との間の接着力に比べて低いが、それでもなお、接着層と中間層とを剥離しきれないほどに強固に接着している場合、例えば、接着層と中間層間との接着力が4N/15mmより大きい場合には、接着層と中間層とを剥離しきる前に、内表面層が切れ、「母材切れ」となることがある。すなわち、内表面層と中間層とを上述の条件で剥離した場合に、母材切れとなった場合には、接着層と中間層との間の接着力が4N/15mmより大きいように測定したことになる。
また、高温下の熱収縮率とは、80℃における熱収縮性多層フィルムのMDの熱収縮率と、TDの熱収縮率とのことを示す。MDの熱収縮率と、TDの熱収縮率は、それぞれ、28%以上50%以下であることが好ましく、30%以上45%以下であることがより好ましく、32%以上40%以下であることがさらに好ましい。
80℃におけるMDの熱収縮率と、TDの熱収縮率は、例えば、100mm(MD)×100mm(TD)に切り出した熱収縮性多層フィルムを、80℃の熱水中に10秒浸漬した後、取り出し、常温の水中で冷却し、冷却後に定規で測定したMDの長さ及びTDの長さと、浸漬前のMDの長さ及びTDの長さ、及び、収縮率(%)=(100−浸漬後の長さ)/100×100の式から、それぞれ求めることができる。
また、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、セルフウエルド性も優れる。本実施形態において、セルフウエルド性に優れるとは、例えば、熱収縮性多層フィルムをインパルスシール等によって一次シールすることでパウチ(袋)を作製し、当該パウチに内容物を充填した包装体を80℃の熱水中に約3秒浸漬して熱収縮させ、直ちに冷水にて冷却して得られた試料を雰囲気温度23℃、雰囲気湿度50%RHの部屋で1日以上放置したときの、試料の包装材料の余剰部分(耳部)における内表面層同士の接着力(セルフウエルド強度)が1N/15mm以上20N/15mm以下であることを言う。接着力は、公知の引張試験機を用いて測定することができる。
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、内容物と接する内表面層と、接着層と、当該接着層に隣接する中間層との少なくとも3層を含めば一次シール部が切れにくい包装材料として使用することができるが、内表面層と接着層との間にあり、内表面層と上記接着層との両方に隣接している内面層をさらに含んでいてもよい。また、必要に応じて、バリア層、バリア層の外側に接する外層、熱収縮性多層フィルムのうちの最も外側にある最外層、及び、内表面層と中間層との間以外にも各層同士を接着する接着層を有していてもよい。
〔内容物〕
内容物は、本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムに包装されるものである。本実施形態において、内容物としては、例えば、畜産肉等の食肉が挙げられ、より具体的には、牛、豚、羊及び鳥(例えば鶏、七面鳥及び鴨)等の肉が挙げられる。
それぞれの食肉の形状は問わないが、例えば牛肉、豚肉又は羊肉の場合、カット(枝肉から切断した5kg以上15kg以下の肉塊)、ブロック(枝肉から切断した5kg未満の肉塊)、スライス及びミンチ等が挙げられ、鳥肉の場合、ホール(頭部、羽根及び内臓を除去したもの)、ブロック、スライス並びにミンチ等が挙げられる。
<熱収縮性多層フィルムの製造方法>
本実施形態に係る熱収縮性多層フィルムは、各層を形成するための樹脂を複数の押出機でそれぞれ溶融押出しした後、溶融された樹脂を環状ダイ等に導入して共押出しし、公知の方法で延伸して製造する。
溶融押出しするときの温度は、各層に含まれる樹脂が溶融する温度以上であり、熱分解する温度未満であれば特に限定されず、任意の温度を取ることができる。
例えば、内表面層を形成するためのEVAの場合、100℃以上220℃以下であることが好ましく、110℃以上210℃以下であることがより好ましい。内面層を形成するための樹脂の場合、100℃以上220℃以下であることが好ましく、110℃以上210℃以下であることがより好ましい。接着層を形成するための樹脂の場合、100℃以上220℃以下であることが好ましく、110℃以上210℃以下であることがより好ましい。中間層を形成するための樹脂の場合、140℃以上260℃以下であることが好ましく、150℃以上250℃以下であることがより好ましい。バリア層を形成するための樹脂の場合、130℃以上280℃以下であることが好ましく、140℃以上270℃以下であることがより好ましい。外層を形成するための樹脂の場合、140℃以上260℃以下であることが好ましく、150℃以上250℃以下であることがより好ましい。最外層を形成するための樹脂の場合、230℃以上280℃以下であることが好ましく、240℃以上270℃以下であることがより好ましい。
環状ダイで共押出しする温度としては、230℃以上280℃以下であることが好ましく、235℃以上270℃以下であることがより好ましい。
次に、共押出しして環状ダイ出口から流出した溶融管状体を、水浴中で冷却させつつ、ピンチローラで押圧して、フィルム状の管状体にする。冷却温度としては、各層を構成する樹脂の融点以下であればよく、例えば、5℃以上30℃以下であることが好ましく、10℃以上25℃以下であることがより好ましい。
また、水浴中で冷却した後のフィルム状の管状体を、延伸前又は後で、公知の方法により、放射線を照射してもよい。このような形態により、各層に含まれる樹脂同士を架橋させることによって、延伸性、耐熱性及び機械的強度等を未照射のものに比べて向上させることができる。
放射線としては、α線、β線、電子線、γ線及びX線等公知の放射線を使用することができるが、照射前後での架橋効果の観点から、電子線及びγ線が好ましく、なかでも電子線が、熱収縮性多層フィルムを製造する上での作業性及び生産能力の高さ等の点でより好ましい。放射線の放射条件は、目的とする用途に応じて、適宜設定すればよく、一例を挙げるならば、電子線の場合は、加速電圧が150キロエレクトロンボルト以上500キロエレクトロンボルト(以下、「keV」と記載する)以下の範囲、照射線量が10キログレイ以上200キログレイ(以下、「kGy」と記載する)以下の範囲が好ましく、γ線の場合は、線量率が0.05以上3kGy/時間の範囲が好ましい。
また、冷却後のフィルム状の管状体又は電子線照射後のフィルム状の管状体を加熱した後、冷却しながら延伸する。
加熱は、例えば、温水中を通過させる等によって行い、延伸してバブル形状にする。再加熱の温度としては、延伸性の観点から、85℃以上89℃以下であることが好ましく、85℃以上87℃以下であることがより好ましい。
加熱により延伸した管状体フィルムは、所定のサイズに止めて、インフレーションバブルを安定させるため、冷却する。冷却温度としては、5℃以上30℃以下であることが好ましく、10℃以上25℃以下であることがより好ましい。
延伸工程において、延伸する方法としては、管状体の内部に流体を入れながら当該管状体を垂直方向に引き出すインフレーション法を用いる。一軸延伸又は二軸延伸によって製造することが好ましい。
一軸又は二軸延伸を適当に行うことにより、熱収縮性多層フィルムの熱収縮率を上述の好ましい範囲とすることができる。また、一般的には二軸延伸すると、分子が配向するので、透明性、バリア性及び強度の観点から二軸延伸することがより好ましい。
延伸倍率としては、特に限定されないが、縦方向(MD)の延伸倍率としては、2.5倍以上4.0倍以下であることが好ましく、2.7倍以上3.8倍以下であることがより好ましい。また、横方向(TD)の延伸倍率としては、2.6倍以上3.8倍以下であることが好ましく、2.8倍以上3.6倍以下であることがより好ましい。
次に、得られた延伸後の管状体フィルムを、熱処理用の筒の中に導き、熱処理筒の吹き出し口から吹き出された蒸気によって60℃以上90℃以下に加熱する。これにより、MDに3%以上25%以下緩和し、TDに3%以上25%以下緩和させる。この熱処理を1秒以上10秒以下行うことで、バブル形状の管状体の熱収縮性多層フィルムを製造することができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
実施例及び比較例に用いられる熱収縮性多層フィルムにおける各層の樹脂材料を以下に示す。
(1)共重合PET
実施例及び比較例における最外層に、ベルポリエステルプロダクツ株式会社製のBELLPET IFG−8L(共重合ポリエチレンテレフタレート)と、日本ピグメント株式会社製のMB60(滑マスターバッチ)とを重量比88:12で混合した樹脂を共重合PET(ポリエチレンテレフタレート)として使用した。
(2)Ny
実施例及び比較例における外層や中間層に、宇部興産株式会社製のUBE Nylon
5034B(ナイロン6−66)と、Dupont株式会社製のSelar PA3426(ナイロン6I−6T)とを重量比85:15で混合した樹脂をNy(ナイロン)として使用した。
(3)EVOH
実施例及び比較例におけるバリア層に、Kuraray株式会社製のEval G156BをEVOHとして使用した。
(4) Mod−PE
実施例及び比較例における接着層に、三井化学株式会社製のAdmer SF730をMod−PE(酸変性エチレン−αオレフィン共重合体)として使用した。
(5) Mod−EVA
実施例及び比較例における接着層に、DuPont社製のBynel3861をMod−EVA(酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体)として使用した。
(6)EVA+tackifier(10重量%)
比較例における接着層に、東ソー株式会社製のウルトラセン 635(EVA)と、荒川化学工業株式会社製の水素化ロジンエステル エステルガムHP(粘着付与剤)とを重量比90:10で混合した樹脂をEVA+tackifier(10重量%)として使用した。
(7)EVA+tackifier(30重量%)
比較例における接着層に、東ソー株式会社製のウルトラセン 635(EVA)と、荒川化学工業株式会社製の水素化ロジンエステル エステルガムHP(粘着付与剤)とを重量比70:30で混合した樹脂をEVA+tackifier(30重量%)として使用した。
(8)EVA
実施例及び比較例における内表面層に、EVAにおける酢酸ビニル単量体単位の含有量が18重量%であるDuPont社製のElvax3165を使用した。
(9)VLDPE
比較例における内表面層に、The Dow Chemical Company製のATTANE 4607GC(VLDPE)と、住友化学株式会社製のSUMIKATHENE A−26(アンチブロッキング剤マスターバッチ)とを重量比90:10で混合した樹脂をVLDPEとして使用した。
(10)IO
比較例における内表面層に、DuPont株式会社製のSURYN1707をIO(アイオノマー樹脂)として使用した。
<実施例1>
実施例1では、外側から内側へ順に、括弧内に示す厚さ(単位:μm)の共重合PET(2)/Mod−PE(1.5)/Ny(7)/EVOH(4)/Ny(7)/Mod−PE(1.5)/EVA(17)をそれぞれ各層に含む層構成の熱収縮性多層フィルムを以下の方法により作製した。
各樹脂を複数の押し出し機でそれぞれ溶融押出しした。溶融押出しされた樹脂を環状ダイに導入し、上述の層構成となるように溶融接合し、共押出し加工を行った。環状ダイ出口から流出した溶融管状体を、水浴中で約20℃に急冷しつつ、ピンチローラで押圧し、フィルム状の管状体にした。次に、得られたフィルム状の管状体を87℃の温水浴中を通過させてバブル形状の管状体フィルムにし、20℃以上25℃以下のエアリングで冷却しながらインフレーション法により縦方向(MD)に3.0倍、横方向(TD)に3.1倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。次いで、延伸後の管状体フィルムを、約2mの筒長を有する熱処理用の筒の中に導き、バブル形状の熱処理中の管状体フィルムにした。また、この管状体フィルムを、吹き出し口より吹き出させたスチームにより70℃に加熱し、縦方向に6%緩和、横方向に6%緩和させながら2秒間熱処理することで、管状体の熱収縮性多層フィルムを得た。
<実施例2>
実施例2では、接着層として、Mod−PEの代わりに、Mod−EVAを用いたこと以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<実施例3>
実施例3では、内表面層のEVAの厚さを17μmから37μmにし、Nyを含む中間層及びNyを含む外層の厚さを、それぞれ7μmから12μmに変更した以外は、実施例2と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<実施例4>
実施例4では、Nyを含む外層を設けない代わりにNyを含む中間層の厚さを7μmから14μmに変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例1>
比較例1では、Nyを含む中間層を設けない代わりにNyを含む外層の厚さを7μmから14μmに変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例2>
比較例2では、接着層として、Mod−PEの代わりに、Mod−EVAを用いたこと以外は、比較例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例3>
比較例3では、接着層として、Mod−PEの代わりに、EVA+tackifiler(10重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例4>
比較例4では、内表面層に隣接する接着層として、Mod−PEの代わりに、EVA+tackifier(30重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例5>
比較例5では、内表面層として、EVAの代わりにVLDPEを用いたこと以外は、実施例1と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例6>
比較例6では、Nyを含む中間層を設けない代わりにNyを含む外層の厚さを7μmから14μmに変更した以外は、比較例5と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<比較例7>
比較例7では、内表面層として、VLDPEの代わりに、IOを用いたこと以外は、比較例6と同様に熱収縮性多層フィルムを得た。
<熱収縮性多層フィルムの諸特性>
以下、実施例1〜4及び比較例1〜7で作製した熱収縮性多層フィルムの諸特性を測定した。
〔一次シール部のシール強度〕
低温シール強度(5℃落球強度)は、5℃下でのシール部に対する落球試験を行うことで測定した。当該落球試験は、生肉を充填する5℃前後での場所において、底シールバッグのユーザーが、5kgの生肉を勢いよく底シールバッグに落として充填した際に、生肉の重みで底シールバッグの一次シール部が破れてしまうかどうかを確認するための試験である。
5℃下でのシール部に対する落球試験を以下の手順(1)〜(6)に基づいて行った。
(1)まず、実施例1〜4及び比較例1〜7の、収縮前の熱収縮性多層フィルムから作成した10個の試験用底シールバッグを、5℃の冷蔵室内で24時間保管した。
(2)次に、5℃の冷蔵室内で底シールバッグの開口部を上に向け、一次シール部の中央部分が、冷蔵室の床から高さ30cmの位置となるように、底シールバッグを宙吊りにして固定した。
(3)次に、冷蔵室の床から100cm(一次シール部の中央部分から70cm)の高さから、重さ5.5kgのボーリングの球を一次シール部に自然落下させた。
(4)一次シールが破れた場合は、「シール破れ有り」とした。一次シール部が破れなかった場合は、続けてボーリングの球を一次シール部に落下させた。5回繰り返しても一次シール部が破れなかった場合は、「シール破れ無し」とした。
(5)「シール破れ有り」、又は、「シール破れ無し」と判定した場合は、底シールバッグにボーリングの球を落下させるのをやめ、別の底シールバッグに取り替え、手順(2)〜(4)を行った。このようにして、10個の試験用底シールバッグそれぞれに対し、手順(2)〜(4)を行った。
(6)シール破れ個数(破袋数)が10個中何個であるかを測定した。結果を表1に示す。
また、23℃及び90℃のシール強度に関しては、以下のように測定した。作製した熱収縮性多層フィルムに対し、真空包装機(Multivac AGW)を用いて、シール時間2秒、シール圧力1kg/cm、シールバーの幅1mm、シール温度160±2℃の条件で、インパルスシールによって一次シールし、試料を作成した。次に、当該試料を常温で2時間以上放置した後、試料の一次シール部を、オリエンテック社製の引張試験機テンシロンRTM−100を用いて、以下の条件で雰囲気温度23℃及び90℃において、それぞれ5回測定し、5回測定した測定値の平均値を一次シール部のシール強度とした。
・つかみ具(チャック)間距離:20mm
・つかみ具(チャック)速度:300mm/分
・試料幅:15mm
・雰囲気湿度:50%RH
得られた結果から、それぞれの温度における、一次シール部のシール強度の評価を以下の基準で行った。結果を表1に示す。
○:23℃のおける一次シール部のシール強度が25N/15mm以上
×:23℃のおける一次シール部のシール強度が25N/15mm未満
○:90℃のおける一次シール部のシール強度が1.8N/15mm以上
×:90℃のおける一次シール部のシール強度が1.8N/15mm未満
〔層間接着力〕
オリエンテック社製の引張試験機テンシロンRTM−100を用いて、作製した熱収縮性多層フィルムについて、23℃における接着層と中間層との層間接着力を測定した。より具体的には、熱収縮性多層フィルムから幅15mm、長さ100mmの試料を切り取り、試料の長さ方向の一方の端から85mmを残し、他の端から15mmまで、接着層と中間層とを剥離して、一方の端に長さ15mm「つかみしろ」を有する試験片を作成した。次に、引張試験機に、試験片の「つかみしろ」を固定し、引張速度200mm/minで、試験片の残りの85mmを剥離して、剥離に要する接着力を5回測定し、5回測定したときの平均値を層間接着力として求めた。結果を表1に示す。なお、接着層と中間層との層間接着力が4N/15mm以上であったものについては、接着層と中間層と剥離しきる前に、内表面層が切れた。このような場合は、「母材切れ」と記載した。
〔セルフウエルド性〕
折幅250mmになるように調整した管状の熱収縮性多層フィルムを流れ方向と垂直にヒートシールすることで幅250mm×長さ600mmの底シールバッグを作成した。次に幅約150mm、長さ約200mmの生肉(約2500g)を当該バッグに充填し、真空包装機(Multivac AGW)を用いて、真空包装体を得た。
得られた真空包装体を80℃熱水中に約3秒浸漬して熱収縮させ、直ちに冷水にて冷却し、セルフウエルド性を評価するためのサンプルを得た。
得られたサンプルを1日以上放置(調湿)した後、試料の耳部の内表面層同士の接着力を、オリエンテック社製の引張試験機テンシロンRTM−100を用いて、以下の条件で5回測定し、5回測定した測定値の平均値を内表面層同士の接着力(セルフウエルド強度)とした。
・つかみ具(チャック)間距離:20mm
・つかみ具(チャック)速度:300mm/分
・試料巾:15mm
・雰囲気温度:23℃
・雰囲気湿度:50%RH
内表面層同士の接着力の結果から、セルフウエルド性の評価を以下の基準で行った。結果を表1に示す。
○:内表面層同士の接着力が1N/15mm以上
×:内表面層同士の接着力が1N/15mm未満
〔熱収縮率〕
熱収縮性多層フィルムの熱収縮率を以下の方法で測定した。
100mm(縦方向:MD)×100mm(横方向:TD)に切り出した熱収縮性多層フィルムを、80℃の熱水中に10秒浸漬した後、取り出し、常温の水中で冷却した。
浸漬し、冷却した後の熱収縮性多層フィルムについて、MDの長さ及びTDの長さを定規で測定し、当該浸漬後のMDの長さ及びTDの長さ、浸漬前のMDの長さ及びTDの長さと、及び、収縮率(%)=(100−浸漬後の長さ)/100×100の式から、MDの収縮率及びTDの収縮率をそれぞれ求めた。結果を表1に示す。
Figure 2018114699
ここで、表1の層の構成における各層に含まれる樹脂の右上に記載されている数字は、各層の厚さを示している。
表1から明らかなように、Nyを含む中間層が設けられている実施例1〜4は、Nyを含む中間層が設けられていない比較例1、2及び7に比べて一次シール強度及び層間接着力が高くなっている。
また、内表面層にEVAを含み、当該内面層と、Mod−PE又はMod−EVAを含む接着層と、Nyを含む中間層とを、内側から外側にこの順で積層している実施例1〜4は、内表面層にVLDPE又はIOを含んでいる比較例5〜7に比べて熱収縮率が高くなっている。
本発明は、食肉等の真空包装材用のフィルムとして利用することができる。

Claims (12)

  1. 熱収縮性多層フィルムであって、
    内容物と接する内表面層と、接着層と、該接着層に隣接する中間層とを含み、
    上記内表面層と上記接着層と上記中間層とが、上記熱収縮性多層フィルムの内側から外側へ、この順に積層されており、
    上記内表面層は、酢酸ビニル単量体単位の含有量が10重量%以上20重量%以下のエチレン酢酸ビニル共重合体からなり
    上記接着層は、酸変性エチレン系共重合体を含み、
    上記中間層は、ポリアミド系樹脂を含むことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  2. 上記内表面層と、上記接着層とが隣接していることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 上記内表面層と上記接着層との間に、上記内表面層と上記接着層との両方に隣接している内面層をさらに含み、該内面層は、低密度ポリエチレン、超低密度直鎖状ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、エチレンアクリル酸エチル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体及びアイオノマーからなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 上記中間層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミド及び非晶質芳香族ポリアミドのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  5. 上記中間層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6−12、ナイロン6−10及びナイロン6−66−12からなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  6. 上記接着層は、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたエチレン系共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  7. 上記接着層は、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  8. 上記接着層は、無水マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合体及び無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  9. 上記中間層の外側に隣接しているバリア層をさらに含み、該バリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びポリメタキシリレンアジパミドからなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  10. 上記バリア層の外側に隣接している外層をさらに含み、該外層は、ポリアミド系樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  11. 上記外層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミド及び非晶質芳香族ポリアミドのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10に記載の熱収縮性多層フィルム。
  12. 上記外層に含まれる上記ポリアミド系樹脂は、ナイロン6、ナイロン6−66、ナイロン6−12、ナイロン6−10及びナイロン6−66−12からなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の熱収縮性多層フィルム。
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