JP6057801B2 - 再封可能な包装体 - Google Patents
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Description
本発明において、フィルムの製造方法としては、特に制限されるものではないが、粘着樹脂層(B)の保護や生産性および衛生性等に優れている共押出法を好適に用いることができる。すなわち、上述した表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)、およびヒートシール樹脂層(D)に用いる各樹脂組成物をそれぞれ別の押出機で加熱溶融させ、マルチマニホールド法やフィードブロック法等の公知の方法で溶融状態において(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層した後、Tダイ・チルロール法やインフレーション法等により多層フィルムに成形することができる。ここで、印刷適性やラミネート適性を向上させるために、得られた多層フィルムの表面樹脂層(A)の最外層の表面に表面処理を施すことが好ましい。表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理が挙げられるが、本発明においては、表面処理の効果や生産性および製造コストの観点からコロナ処理が好適に用いられる。
試料を縦4mm、横60mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ計測(株)製)を用い、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃ /分、チャック間25mmで横方向について、−100℃から測定し、得られたデータから損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度を求めた。
得られた深絞り包装体の底材と蓋材のヒートシール部を15mm幅の短冊状に切り出し試験片とした。この試験片を万能試験機(インテスコ(株)製)を用い、温度23℃ 、引張速度200mm/minの条件で180度の角度で引っ張った場合の、底材と蓋材の剥離する時の剥離強度を初期剥離強度(N/15mm幅)として測定した。
得られた深絞り包装体の底材と蓋材のヒートシール部から手で剥離する場合の状況を下記の基準で目視により評価した。
○:樹脂層がきれいに破断し、膜残りやケバ立ちがない場合
×:樹脂層が破断できなかったり、破断した場合でも膜残りやケバ立ちがあったりする場合
得られた深絞り包装体のヒートシール部から開封後に指で再度蓋材と容器を加圧圧着により再封した後、開封と再封を計5 回繰り返した後の剥離強度(再封剥離強度)を(2)初期剥離強度と同様の条件で測定した。また、下記の基準も併記した。
○:再封剥離強度が0.5N/15mm幅以上の場合
×:再封剥離強度が0.5N/15mm幅未満の場合
得られた深絞り包装体の底材と蓋材のヒートシール部から手で開封し、再び封をした後の外観を、下記基準で目視により評価した。
○:再封した箇所が白く、容易に未開封箇所との判別ができる場合
×:再封した箇所が透明で、未開封箇所との判別が困難な場合
[蓋材]
表面樹脂層(A)を以下の3種類の樹脂を用いて3層構成とした。
A1:エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物((株)クラレ製、商品名「エバールE105」、以下「EVOH」と略称する。)
A2:6−66ナイロン樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製、商品名「ノバミッド2030」、以下「6−66Ny」と略称する。)
A3:オレフィン系接着性樹脂(三井化学(株)製、商品名「アドマーN F558」、以下「AD1」と略称する。)
最外層側から、EVOH、6−66Ny、AD1、線状低密度ポリエチレン樹脂( 日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックLL UF240」、以下「LLDPE」と略称する。)に滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm、アンチブロッキング剤として天然シリカを2000ppm添加混合した樹脂組成物(ヒートシール樹脂層)の順に積層させ、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/30μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(Y1)を共押出法によって得た。この多層フィルム(Y1)の最外層側(EVOH面)に、総厚みが250μmの無延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学(株)製、商品名「ノバクリアー」)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み320μmのラミネートシート(Y1LS)を得、包装体の底材に使用した。なお、ドライラミネーション用接着剤としてはラミネートフィルム(X1LF)を作製する場合と同様のグレードを使用した。
深絞り包装機(ムルチバック社製、型番:R−530)を使用して、上記の底材(Y1LS)を無延伸ポリエチレンテレフタレートシート層が外層になるように深絞り成形することにより、縦130mm、横170mm、フランジ部幅6mmの長方形の形状の容器に加工し、ヒートシール部において、深絞りされた底材に設けられたフランジ部分に上記の蓋材(X1LF)を、ヒートシール温度: 140℃、シール時間:2秒、シール圧力:4kg/cm2の条件でヒートシールすることにより深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、粘着樹脂層(B)に使用する樹脂を、実施例1で使用したTPS190質量部とアイオノマー樹脂(三井・デュポンポリケミカル(株)製、商品名「1601」)10質量部とを混合した樹脂組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B) /(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/ 10μm/20μm/5μm/5μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X2)を得た。次いで、実施例1と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(X2LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
表面樹脂層(A)を以下の2種類の樹脂を用いて2層構成とした。
A1:EVOH
A2:AD1
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1で作製した多層フィルム(Y1)の最外層側(EVOH面)に2 軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材(ユニチカ(株)製、商品名「エンブレットPET」、厚さ16μm)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(Y1LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1で作製した多層フィルム(X1)の最外層側(EVOH面)に、総厚みが2 50μmの無延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学(株)製、商品名「ノバクリアー」)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み320μmのラミネートシート(X1LS)を得、包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例4と同様に、ラミネートフィルム(Y1LF)を包装体の蓋材に使用した。
実施例2で作製した多層フィルム(X2)の最外層側(EVOH面)に、総厚みが250μmの無延伸ポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学(株)製、商品名「ノバクリアー」)をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み320μmのラミネートシート(X2LS)を得、包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、剥離樹脂層(C)を配せず、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(D)の5層構成で、各層の平均厚さを各々10μm/20μm/10μm/20μm/5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、全層の厚さが65μmの多層フィルム(X5)を得た。次いで、実施例1と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み81μmのラミネートフィルム(X5LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、粘着樹脂層(B)に使用する樹脂をTPS1からスチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成(株)製、商品名「タフテックH1052」、スチレン含量: 20質量%、損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度:−42.2℃、20 ℃でのtanδ値:0 .06、以下、TPS2と略称する) に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/ (D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/20μm/5μm/5μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X6)を得た。次いで、実施例1と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(X6LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、剥離樹脂層(C)に使用する樹脂をガラス転移温度138℃のCOCから、ポリプラスチックス(株)製、商品名「TOPAS 8007F−04」、ガラス転移温度(Tg):78℃、以下「COC2」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/20μm/5μm/5μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X7)を得た。次いで、実施例1と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(X7LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、剥離樹脂層(C)に使用する樹脂をガラス転移温度138℃のCOCから、ポリプラスチックス(株)製、商品名「TOPAS 6017」、ガラス転移温度(Tg):180℃、以下「COC3」と略称する。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、各層の平均厚さが各々10μm/20μm/10μm/20μm/5μm/5μm、全層の厚さが70μmの多層フィルム(X8)を得た。次いで、実施例1と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み86μmのラミネートフィルム(X8LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
[蓋材]
実施例1において、(A1)/(A2)/(A3)/(B)/(C)/(D)の6層構成で、剥離樹脂層(C)の厚みのみを40μmとし、各層の平均厚さを各々10μm/20μm/10μm/20μm/40μm/5μ mに変更した以外は、実施例1と同様にして、全層の厚さが105μmの多層フィルム(X7)を得た。次いで、実施例1 と同様にして、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム基材をドライラミネーション法により貼り合わせて、総厚み121μmのラミネートフィルム(X7LF)を得、包装体の蓋材に使用した。
実施例1と同様に、ラミネートシート(Y1LS)を包装体の底材に使用した。
実施例1と同様の方法で、深絞り包装体を作製した。この深絞り包装体を用いて評価した結果を表1に示した。
これに対して、粘着樹脂層とヒートシール樹脂層の間に剥離樹脂層を配していないフィルムを用いた蓋材で形成された包装体の場合、初期剥離強度が大き過ぎるため手で容易に開封することは困難であった。また、再封剥離強度も不十分であったり(比較例1)、本発明で規定する範囲外の粘弾性特性を有するスチレン系熱可塑性エラストマーを粘着樹脂層に用いた場合には、再封剥離強度が不十分であったりした(比較例2)。本発明で規定する範囲外のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂を剥離樹脂層に用いた場合には、再封箇所と未開封箇所との判別が困難であった(比較例3、比較例4)。
なお、粘着樹脂層とヒートシール樹脂層との合計厚みが厚くなると(30μmを超える場合)、ヒートシール部から手で剥離する場合に剥離樹脂層とヒートシール樹脂層が破断できず、膜残りが生じた(参考例)。
2 底材
3 蓋材の表面樹脂層
4 蓋材の粘着樹脂層
5 蓋材の剥離樹脂層
6 蓋材のヒートシール樹脂層
7 底材の表面樹脂層
8 底材のヒートシール樹脂層
9 底材のヒートシール部
10 蓋材のタブ部
11 剥離時における粘着樹脂層の露出部
12 剥離時におけるヒートシール樹脂層の露出部
41 底材
42 蓋材
43 底材の表面樹脂層
44 底材の粘着樹脂層
45 底材の剥離樹脂層
46 底材のヒートシール樹脂層
47 蓋材の表面樹脂層
48 蓋材のヒートシール樹脂層
49 蓋材のヒートシール部
50 蓋材のタブ部
51 剥離時における粘着樹脂層の露出部
52 剥離時における剥離樹脂層の露出部
Claims (10)
- 表面樹脂層(A)、粘着樹脂層(B)、剥離樹脂層(C)、およびヒートシール樹脂層(D)が、(A)/(B)/(C)/(D)の順に積層されている多層フィルムであって、
前記粘着樹脂層(B)が、動的粘弾性測定により周波数10Hzで測定される損失正接(tanδ)のピーク値を示す温度が−35℃以上であるスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とし、前記剥離樹脂層(C)が、ガラス転移温度(Tg)100〜150℃の環状オレフィン樹脂から構成される層からなる再封機能付き多層フィルムを蓋材または底材とし、前記多層フィルムの前記ヒートシール樹脂層(D)を被シール体のヒートシール部にヒートシールすることで底材と蓋材とがヒートシールされた包装体であり、前記ヒートシール部において、前記粘着樹脂層(B)と前記剥離樹脂層(C)とが層間剥離したときに、両層が再封可能な状態で露出するとともに、いたずら及び改ざん防止機能を有することを特徴とする再封可能な包装体。 - 前記ヒートシール部において、前記粘着樹脂層(B)と前記剥離樹脂層(C)とが層間剥離し開封した後に、再封する際には再封箇所が白く見えることを特徴とする請求項1に記載の再封可能な包装体。
- 粘着樹脂層(B)の露出が、ヒートシール部において、ヒートシール樹脂層(C)の多層フィルムからの破断と、粘着樹脂層(B)とヒートシール樹脂層(C)との層間剥離と、ヒートシール樹脂層(C)の被シール体側への移行とにより行われる請求項1または2に記載の再封可能な包装体。
- 表面樹脂層(A)が、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エステル系樹脂、およびスチレン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を主成分として構成される請求項1〜3のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- ヒートシール樹脂層(D)がオレフィン系樹脂またはスチレン系熱可塑性エラストマーを主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- NMR法により測定された剥離樹脂層(C)のエチレン含量が10〜35重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- 表面樹脂層(A)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を主成分とする層またはポリアミド系樹脂を主成分とする請求項1〜6のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- 剥離樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との間にオレフィン系接着性樹脂および/又はスチレン系熱可塑性エラストマー系接着性樹脂を主成分として構成される接着性樹脂層(E)を有する請求項1〜7のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- 剥離樹脂層(C)とヒートシール樹脂層(D)との合計厚みが1〜30μmである請求項1〜8のいずれかに記載の再封可能な包装体。
- 剥離樹脂層(C)と接着性樹脂層(E)とヒートシール樹脂層(D)との合計厚みが1〜30μmである請求項8または9に記載の再封可能な包装体。
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