JP2015124619A - 吸気弁用の弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
当該装置は、内燃機関の始動を迅速に行うことができ、且つ、始動後に直ちに相対回転位相の変更制御を開始できるよう、位相変更機構に作動流体を給排する給排手段と、ロック機構に作動流体を給排する給排手段とを備えている。この装置では、特に、前記相対回転位相がロック位相にあるときの始動に際して、まず相対回転位相を制御する位相変更機構に作動流体を供給し、相対位相が変更可能になったのちにロック機構に作動流体を供給してロック状態を解除する構成が記載されている。
一方、ロック機構を備えた弁開閉時期制御装置では、次の始動時に相対回転位相をロック位相に固定しておくために例えば内燃機関の停止時にロック位相に設定するよう制御するものが多い。しかしながら、ロック機構の動作不良などに起因して、ロック位相制御が完了しないまま内燃機関が停止することもあり得る。
そのような場合、内燃機関の始動直後に充填制御を実施すると、相対回転位相がロック位相から大きく外れてしまい、吸気弁および排気弁の過剰なオーバーラップ状態等が生じる結果、内燃機関が始動できない場合がある。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置の特徴構成は、
内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に対して相対回転可能に同軸上に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転体と、
前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相を検出する位相検出機構と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に形成され、容積拡大により前記相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室、及び、容積拡大により前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
前記相対回転位相を最進角位相と最遅角位相との間のロック位相に拘束可能なロック機構と、
前記進角室・前記遅角室・前記ロック機構に対して作動流体の供給・排出を行う給排機構と、
前記給排機構の作動を制御する制御部とを備え、
前記内燃機関の始動時において、前記位相検出機構により検出された前記相対回転位相が前記ロック位相にないとき、前記制御部が、前記遅角室および前記進角室に対して前記作動流体の順次供給を中止するように前記給排機構を制御する点にある。
本構成の如く、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相が、最進角位相と最遅角位相との間のロック位相に固定できる吸気弁用の弁開閉時期制御装置の場合、通常の運転であれば、内燃機関の始動時に相対回転位相はロック位相にあることが多い。内燃機関の始動時には、進・遅角室には作動流体が未だ充填されていない場合が多いから、ロック位相にあれば、給排機構が進角室あるいは遅角室に交互に作動流体を順次供給し、両室を作動流体で満たしてその後の位相変更動作を可能にする作動流体の給排制御を行うことができる。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置は、前記遅角室および前記進角室への作動流体の順次供給が中止された場合に、前記内燃機関に設けた温度センサにより検出された前記内燃機関の温度が予め設定された温度以上のとき、前記制御部が前記遅角室に前記作動流体が供給されるように前記給排機構の遅角制御を行うように構成された点にある。
吸気弁用の弁開閉時期制御装置では、内燃機関の温度が高い場合、燃焼室に供給された燃料の自己着火性が高まり、ピストンが上死点近傍の着火に適した位置に達するまでに着火する可能性が高まる。このような自己着火を防止するために、内燃機関が高温の場合には、例えばシリンダの圧縮比を下げるのが好ましい。圧縮比を下げても、作動流体が高温のため、クランキング回転数は高く維持され、内燃機関の始動は容易である。よって、本構成の如く内燃機関の温度が予め設定された温度以上であり、始動時に相対回転位相がロック位相にないときには、制御部は、主に遅角室に作動流体を供給して相対回転位相を遅角側に設定し、内燃機関の着火をより安定化させている。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置は、前記遅角室および前記進角室への作動流体の順次供給が中止された場合に、前記内燃機関に設けた温度センサにより検出された前記内燃機関の温度が予め設定された温度よりも低いとき、前記制御部が前記進角室に前記作動流体が供給されるように前記給排機構の前記進角制御を行うこととしてもよい。
内燃機関の温度が低いときには、作動流体の粘性の高まり等に起因して、例えば始動時のクランキング回転数が低くなる。その場合、仮に、相対回転位相が遅角側にあると、シリンダ内部の圧縮比が下がることとなる。このような場合には、クランキングに際して適切に着火する機会が減少して内燃機関の始動性が低下する。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置においては、前記遅角制御あるいは前記進角制御により前記相対回転位相がロック位相に固定されたとき、前記制御部は前記遅角室および前記進角室に作動流体が供給されるように前記給排機構を制御することとしてもよい。
上記遅角制御あるいは進角制御の段階では、進角室あるいは遅角室に作動流体が十分に満されているとは限らない。しかし、相対回転位相がロック位相に固定されれば、進・遅角室への作動流体の充填程度に拘らず安定した暖気運転が可能となる。ただし、暖気運転終了後あるいは暖気運転が終了する前に内燃機関を高負荷運転する場合もあるため、そのような運転に備えて位相制御が確実に行える準備を整えておく必要がある。
そこで、本構成の如く、相対回転位相がロック位相に固定された場合には、前記制御部が一旦キャンセルしていた順次供給を復活させることとしている。これにより、運転始動後の様々な運転要求に迅速に対応可能な内燃機関を提供することができる。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置は、前記遅角制御あるいは前記進角制御により前記相対回転位相がロック位相に固定されないとき、前記制御部が前記内燃機関の温度に応じて前記相対回転位相が所定位相に保持されるように前記給排機構を制御する構成とすることができる。
上記進・遅角制御を開始したにも拘らずロック位相に設定できないときは、ロック位相を超えて最進角位相あるいは最遅角位相に向けて位相が持続される。これら制御は進角側あるいは遅角側の何れか始動し易い側に位相変換するものであるから、そのまま位相が進んでも特段深刻な状態にはならない。しかし、クランキング後に作動流体の圧力が幾分でも高まり、相対回転位相を所定の位置で保持出来得る状態になっているのであれば、相対回転位相はロック位相近傍で維持する方が始動後の安定運転を実現できることとなって好ましい。よって、本構成の如く、相対回転位相をロック位相に固定できない場合には、前記制御部が給排機構を制御して、内燃機関のその時の温度に応じた好ましい相対回転位相に保持することとし、内燃機関の始動性をより高めることとしている。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置は、前記クランクシャフトを駆動するモータを備え、前記制御部が、前記相対回転位相が前記ロック位相にあるか否かの判定を、前記クランクシャフトのクランキング時に行うよう構成することができる。
相対回転位相がロック位相にあるか否かは、例えば、カムシャフトやクランクシャフトに設けた角度センサを用いる。仮に、内燃機関の運転停止時に位相を判定するものであれば、その後、次回の始動時まで位相状態を記憶しておく必要等が生じ、装置構成が煩雑なものとなる。その点、本構成であれば、前記制御部による制御が、始動時の通電開始後の制御となるので特段の記憶装置を備える必要が無く、装置構成を簡略化することができる。
本発明に係る吸気弁用の弁開閉時期制御装置は、前記制御部が、前記相対回転位相が前記ロック位相にあるか否かの判定を、前記内燃機関が停止されるときに行うよう構成することもできる。
本構成の場合、例えば、内燃機関を停止している期間中に相対回転位相を記憶しておく機能が必要になる。しかし、相対回転位相が既に判明していることで、次の始動時において制御部は直ちに順次供給の実行或いは中止に移行することができる。つまり、内燃機関の始動までの時間を結果的に短縮することができ、内燃機関を早期にかつ安定的に始動させることができる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず本実施形態に係る装置構成を図1に示す。
次に、吸気側VVT−1の詳細につき、図2乃至図5を用いて説明する。
図2は、吸気側VVT−1におけるエンジンE始動時の制御フローチャートである。
このフローチャートに基づき、まず図3、即ち、エンジンE始動時のVVT制御のうち、エンジンEの温度が低い場合であって、ロック機構Lが健全に機能する場合の制御タイムチャートに基づいて説明する。
図3には、上から順に、エンジン回転数、VVT位相(相対回転位相)、進角油圧、OCV12の作動状態、OSV13の作動状態を示してある。このうちエンジン回転数に着目すると、A点でイグニッションスイッチ16がオンされ、B点からC点までがクランキング状態である。C点で着火し、D点でやや回転数がオーバーシュートしたのち、E点でアイドル回転に安定した例が示されている。
これにより、エンジンEの始動に続く各種運転要求に対してVVT位相を迅速に変更できるよう進・遅角室6,7に作動流体が充填される。
尚、この充填制御における進・遅角室6,7への作動流体の供給態様は適宜設定可能である。つまり、ロック位相に固定された状態で作動流体が供給されるため、VVT位相は変化しない。よって進・遅角室6,7に作動流体を最も早く充填できるよう適宜OCV12を作動させるとよい。
エンジン温度は、例えば冷却液の通路に設けた温度センサ24によって温度を検出する。この温度を閾値として、それ以上であるか、それよりも低いかを判断する。閾値の値は、例えば60℃に設定する。
尚、この閾値は、そのエンジンEのシリンダ25の圧縮率や燃料の種類などによって変動させるとよい。つまり、圧縮率などが変われば圧縮時の自己着火率等も変化するからであり、個々のエンジンEに応じて適切な始動性が得られるように閾値は適宜設定するとよい。
VVT位相が始動時にロック位相にない場合、通常は最遅角側に位置していることが多い。これは、イグニッションスイッチ16の切り操作と同時にカムシャフト20は吸気弁10のスプリングによって遅角側への反トルクを受けるため、停止時にロック位相に固定する機構のないものでは、VVT位相は遅角側に移動していることが多いからである。
尚、図3では作動流体の圧力について進角油圧のみを示している。場合によっては、エンジン始動時にVVT位相がロック位相よりも進角側にあることもあり得る。しかし、その場合には、敢えて作動流体によって遅角制御するまでもなく、カムシャフト20からの反トルクによって従動側回転体5を遅角側に容易に移動させることができるため、冷間時であって遅角制御する態様は特に記載していない。
この段階で、VVT位相がロック位相にあるか否かを改めて確認し、ロック位相に固定されていれば、改めて進・遅角室6,7に作動流体を供給する充填制御(♯09)を復活させる。
一方、VVT位相がロック位相にない場合には、OCV12を用いてVVT位相をその時の温度に応じた所定の回転位相の近くに保持するように制御する(♯10)。
この場合の制御態様を図4に示した。
即ち、図4において図3と異なる点は、VVT位相、進角油圧、OCV12の動作態様である。つまり、VVT位相がロック位相を行き過ぎてしまい(A点)、OCV12が遅角側に切り替わる(B点)。これにより、進角側への油圧が下がり始める(C〜D点)。このあと、OCV12はオン・オフを繰り返し(E点以降)、その結果、VVT位相が例えばロック位相よりもやや進角側で保持される(F点以降)。
ここでは、図2における(#04)の判断でエンジン温度が高い場合の制御態様を示す。
この場合の制御態様は図5のようになる。図5と図3との差異は、図5がVVT位相を最遅角位相に保持する点である。
(排気側VVTの制御例)
以下には、排気側VVT−2の制御態様につき、図6乃至図8に基づいて説明する。
基本的な機械構成は吸気側VVT−1と同じである。基本的に異なるのは、排気側VVT−2では、エンジン始動時のVVT位相は全て最進角側に設定することである。
図7は、ロック機構Lが健全に機能する場合の制御態様を示す図であり、図8は、ロック機構Lが上手く機能しない場合の制御態様を示す図である。何れの図も、当初は進角状態にあったVVT位相が遅角状態に切り替わる点で共通している。
尚、上記のごとくロック機構Lが健全に作用しない場合には、図8に示した制御態様が実施される。つまり、図6の工程#16乃至#18に対応して、図8では、エンジン着火を判定した後OCV12が遅角制御を開始する(A点以降)。これに伴って、進角油圧が低下し(B〜C点)、VVT位相も遅角側に変化する(D〜E点)。ただし、この途中でロック位相を超えて遅角側に移行した結果(E点)、図6におけるロック位相の判定がNOとなる(#18)。よって位相制御は#20の位相固定を実施すべく、図8においてOCV12を再び進角側に制御し(F点以降)、進角油圧の低下が止められると共に(C点)、VVT位相が例えば中間ロック位相よりも僅かに遅角側に偏位した位置で保持される(G点以降)。
4 駆動側回転体
5 従動側回転体
6 進角室
7 遅角室
E エンジン
L ロック機構
S 給排機構
Claims (7)
- 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に対して相対回転可能に同軸上に配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトに対して一体回転する従動側回転体と、
前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相を検出する位相検出機構と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に形成され、容積拡大により前記相対回転位相を遅角方向に移動させる遅角室、及び、容積拡大により前記相対回転位相を進角方向に移動させる進角室と、
前記相対回転位相を最進角位相と最遅角位相との間のロック位相に拘束可能なロック機構と、
前記進角室・前記遅角室・前記ロック機構に対して作動流体の供給・排出を行う給排機構と、
前記給排機構の作動を制御する制御部とを備え、
前記内燃機関の始動時において、前記位相検出機構により検出された前記相対回転位相が前記ロック位相にないとき、前記制御部は、前記遅角室および前記進角室に対して前記作動流体の順次供給を中止するように前記給排機構を制御する吸気弁用の弁開閉時期制御装置。 - 前記遅角室および前記進角室への作動流体の順次供給が中止された場合に、前記内燃機関に設けた温度センサにより検出された前記内燃機関の温度が予め設定された温度以上のとき、前記制御部は前記遅角室に前記作動流体が供給されるように前記給排機構の遅角制御を行う請求項1に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
- 前記遅角室および前記進角室への作動流体の順次供給が中止された場合に、前記内燃機関に設けた温度センサにより検出された前記内燃機関の温度が予め設定された温度よりも低いとき、前記制御部は前記進角室に前記作動流体が供給されるように前記給排機構の前記進角制御を行う請求項1に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
- 前記遅角制御あるいは前記進角制御により前記相対回転位相がロック位相に固定されたとき、前記制御部は前記遅角室および前記進角室に作動流体が供給されるように前記給排機構を制御する請求項2または3に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
- 前記遅角制御あるいは前記進角制御により前記相対回転位相がロック位相に固定されないとき、前記制御部は前記内燃機関の温度に応じて前記相対回転位相が所定位相に保持されるように前記給排機構を制御する請求項2または3に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
- 前記クランクシャフトを駆動するモータを備え、前記制御部は、前記相対回転位相が前記ロック位相にあるか否かの判定を、前記クランクシャフトのクランキング時に行う請求項1から5の何れか一項に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
- 前記制御部は、前記相対回転位相が前記ロック位相にあるか否かの判定を、前記内燃機関が停止されるときに行う請求項1から5の何れか一項に記載の吸気弁用の弁開閉時期制御装置。
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