JP2015110533A - 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】調達の容易な原料を使用し、熱分解を伴う1回の反応で、工業的に有用なHFO−1234yfおよびVdFを製造する経済的に有利な方法を提供する。【解決手段】オクタフルオロシクロブタンとメタンを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法に係り、特に、オクタフルオロシクロブタンとメタンを含む原料組成物から、1回の反応で2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法に関する。
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)は、温室効果ガスである1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わる新しい冷媒として、近年大きな期待が寄せられている。なお、本明細書において、ハロゲン化炭化水素については化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。
HFO−1234yfの製造方法としては、例えば、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)を相間移動触媒の存在下にアルカリ水溶液で脱フッ化水素させて得られる1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)を合成原料とし、水素により還元して製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような方法では、多段階の反応を経るため設備コストが高くなる、中間生成物や最終生成物における蒸留・精製が難しい、などの問題があった。
また、1,1−ジフルオロエチレン(VdF)は、例えば、水処理フィルターとして広く利用されているポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂の原料として工業的に有用なフッ素化合物である。このVdFについても、上記HFO−1234yfと同様に多段階の反応による製造方法が採られており、設備コストが高くなる、中間生成物や最終生成物における蒸留・精製が難しい、などの問題があった。
特許第3778298号公報
本発明は、上記観点からなされたものであり、調達の容易な原料を使用し、熱分解を伴う1回の反応で、工業的に有用なHFO−1234yfおよびVdFを製造する経済的に有利な方法を提供することを目的とする。
本発明は、オクタフルオロシクロブタン(RC318)とメタンを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、調達が容易なRC318とメタンを原料として、工業的に有用なHFO−1234yfおよびVdFを製造できる。
本発明の製造方法に使用する反応装置の一例を示す図である。 本発明の製造方法に使用する反応装置の他の例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、原料として、オクタフルオロシクロブタン(RC318)とメタンを含む組成物を用い、熱分解を伴う合成反応により、HFO−1234yfおよびVdFを製造する方法を提供する。
RC318とメタンを含む組成物の熱分解を伴う合成反応における主な反応を下記式(1)に示す。
Figure 2015110533
RC318およびメタンを含む原料組成物は、熱分解反応によりジフルオロカルベン(FC:)とメタンとを含む反応混合物を生成し、これらの反応混合物は、直接付加反応して、あるいは1種または2種以上の中間体を経て、テトラフルオロプロペン、特にHFO−1234yfやVdFへと転化されると考えられる。
上記熱分解を伴う合成反応は、通常、RC318とメタンを予め混合して、または別々に反応器に供給し、該反応器内に所定の温度で所定の時間滞留させることで行われる。
本発明の製造方法は、連続式の製造方法であっても、バッチ式の製造方法であってもよい。本発明の製造方法は、製造効率の点で連続式の方法であるのが好ましい。
<原料組成物>
本発明のHFO−1234yfおよびVdFの製造方法に用いられる原料組成物は、RC318とメタンを含む。原料組成物におけるメタンとRC318の割合は、メタンの1モルに対してRC318が0.001〜10モルの割合であることが好ましい。原料組成物におけるメタンに対するRC318のモル比(以下、「RC318/メタン」で示す)を上記範囲とすることで、原料成分の転化率、特にメタンの転化率を高くすることができる。また、得られる反応生成物における、HFO−1234yfおよびVdF以外の成分、すなわち副生物の割合を抑制することができる。なお、RC318/メタンは、0.001〜 5の範囲がより好ましく、0.01〜2の範囲が特に好ましい。
原料組成物は、これら2成分以外に、熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物、例えば、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)を含有することができる。
熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物とメタンを含む組成物は、上に説明した通り熱分解を伴う合成反応(以下、「熱分解/合成反応」ともいう。)によりHFO−1234yfおよびVdFを生成すると考えられる。ここで、本発明の製造方法において原料成分として用いるRC318は、それ自体が熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物であると同時に、上記熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物とメタンとの熱分解/合成反応によりHFO−1234yfおよびVdFを製造する際に副生する成分でもある。
したがって、本発明においては、原料成分のRC318として新たに用意したRC318を用いてもよく、熱分解してFC:を発生しうる含フッ素化合物、例えば、R22、TFE、HFP、RC318、CTFE、トリフルオロエチレン、HFPOから選ばれる1種以上とメタンを含む組成物の熱分解/合成反応によりHFO−1234yfおよびVdFを製造する際に副生されるRC318を用いてもよい。
反応器でこれら原料各成分を熱分解/合成反応させる際には、原料各成分の反応器への供給は別々に行ってもよく、予め混合して行ってもよい。反応器への原料各成分の供給は、RC318/メタンで示されるモル比が上記範囲となるように調整されて行われることが好ましい。原料各成分を反応器内に連続的に流通させて熱分解/合成反応を行わせる実施形態においては、原料各成分の供給量は、単位時間当たりの供給量で示すものとする。
<熱分解/合成反応>
RC318およびメタンを含む原料組成物を熱分解/合成反応させる際の温度、すなわち反応温度は、400〜1200℃とすることが好ましい。反応温度は、600〜900℃の範囲がさらに好ましく、700〜900℃の範囲が特に好ましい。反応温度を400〜1200℃の範囲とすることで、上記熱分解/合成反応の反応率を高め、HFO−1234yfおよびVdFを効率よく得ることができる。
反応温度の調整は、原料組成物を反応器内で加温することで行われる。加温の方法としては、電気ヒータ等の加熱手段で反応器を加熱する、熱媒体を用いて原料組成物を加熱する等の方法が挙げられる。反応制御が容易となる観点から熱媒体を用いて原料組成物を加熱する方法が好ましい。その場合、補助的に電気ヒータ等の加熱手段を用いてもよい。なお、熱媒体を用いた反応温度の制御方法については後述の通りである。
反応器に供給するRC318の温度、または反応器に供給するRC318を含むFC:を発生しうる含フッ素化合物の温度は、反応性がある程度高いが、カーボン化はしにくい温度とするという観点から0〜600℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、RC318、またはRC318を含むFC:を発生しうる含フッ素化合物を、反応器に導入する前に常温(25℃)以上600℃以下に加熱することが好ましく、100〜500℃に加熱することがより好ましい。
また、反応器に供給するメタンの温度は、反応性の観点から0〜1200℃とするのが好ましい。より反応性を高めるという観点からは、メタンを反応器に導入する前に常温以上1200℃以下に加熱することが好ましく、100〜800℃に加熱することがより好ましい。
RC318およびメタン、さらに必要に応じて用いられるFC:を発生しうる含フッ素化合物、の各原料成分の反応器への供給は、別々であってもよいし、各成分を混合してから供給してもよい。各成分を混合してから供給する場合には、原料組成物をグループに分けて、例えば、FC:を発生しうる含フッ素化合物とそれ以外に分けて、各グループでそれぞれ各成分を混合し反応器に別々に供給してもよいし、全成分を混合してから供給してもよい。上記温度条件の違いを考慮すれば、RC318を含むFC:を発生しうる含フッ素化合物を混合し上記好ましい温度条件に調整して反応器に供給し、これとは別にメタンを上記好ましい温度条件に調整して反応器に供給することが好ましい。
RC318およびメタンを含む原料組成物を熱分解/合成反応させる際の圧力、すなわち反応圧力は、ゲージ圧で0〜2.0MPaとすることが好ましく、0〜0.5MPaの範囲がさらに好ましい。なお、反応圧力は、通常、熱分解/合成反応が行われる反応器内の圧力(ゲージ圧)に相当する。
RC318およびメタンを含む原料組成物を熱分解/合成反応させる際の時間、すなわち反応時間は、0.01〜10秒間とすることが好ましく、0.02〜3.0秒間とするのがより好ましい。反応時間を0.01〜10秒間とすることで、HFO−1234yfおよびVdFの生成反応を十分に進行させ、かつ副生物の生成を抑えることができる。なお、反応時間は、原料組成物の反応器内での滞留時間に相当し、原料組成物の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
RC318およびメタンを含む原料組成物を熱分解/合成反応させる反応器としては、上記の反応器内温度および圧力に耐えるものであれば、特に形状は限定されず、例えば円筒状の縦型反応器が挙げられる。反応器の材質としては、ガラス、鉄、ニッケル、または鉄、ニッケルを主成分とする合金等が挙げられる。
<熱媒体を用いた製造方法>
本発明の、RC318とメタンを含む原料組成物を用いて熱分解を伴う合成反応によりHFO−1234yfおよびVdFを製造する方法は、上記の通り熱分解/合成反応を熱媒体の存在下で行うことが好ましい。
熱媒体の存在下で上記熱分解/合成反応を行う方法として、具体的には、下記工程を有する方法が挙げられる。
(a)RC318とメタンを予め混合して、または別々に反応器に供給する工程、
(b)熱媒体を前記反応器内に供給する工程、
(c)前記反応器内で前記RC318と前記メタンに前記熱媒体を接触させてHFO−1234yfおよびVdFを生成する工程。
熱媒体の存在下で行う本発明のHFO−1234yfおよびVdFの製造方法についても、上記同様、連続式の製造方法であっても、バッチ式の製造方法であってもよい。
なお、(a)工程において、原料としてRC318とメタン以外に上記原料組成物で説明したRC318とメタン以外の成分を反応器に供給してもよい。RC318とメタン以外の原料成分は、RC318および/またはメタンと予め混合して、あるいはRC318および/またはメタンとは別に反応器に供給される。このように原料成分の反応器への供給の仕方は多様であるが、以下の説明においては、これらを包括して反応器に「原料組成物を供給する」という表現を用いる。また、(c)工程において、「RC318とメタンに前記熱媒体を接触させる」は、「原料組成物に前記熱媒体を接触させる」に包含される。
連続式の製造方法において、RC318およびメタンを含有する原料組成物の反応器への供給と熱媒体の反応器への供給、反応器内での原料組成物と熱媒体の接触および、HFO−1123およびVdFの前記反応器からの取り出しは、いずれも連続的に行われる。
バッチ式の製造では、(a)工程における原料組成物の供給と(b)工程における熱媒体の供給とは、どちらが先であっても、あるいは同時であってもよい。すなわち、原料組成物と熱媒体のいずれか一方の供給の際に、反応器内に他方が供給されていない場合でも、先に供給された原料組成物または熱媒体の滞留中に、後から供給される成分が供給され、原料組成物と熱媒体とが反応器内で所定の時間接触すればよい。
本発明の製造方法を、熱媒体の存在下で行う場合においても、上記同様に、製造効率の点で連続式の方法であるのが好ましい。以下、熱媒体の存在下で行う本発明の方法を連続式の製造に適用する実施形態について説明する。なお、前記反応器から前記HFO−1123およびVdFを取り出す工程を、以下、工程(d)という。したがって、上記連続的な製造方法においては、上記工程(a)、工程(b)、工程(c)および工程(d)は連続的に行われる。
熱媒体は、上記原料組成物と反応器内で一定の時間接触するように、反応器に供給される。熱媒体は、反応器内の温度で熱分解が生じない媒体であり、具体的には100〜1200℃の温度で熱分解しない媒体であるのが好ましい。熱媒体としては、水蒸気、窒素、二酸化炭素から選ばれる1種が挙げられるが、水蒸気を50体積%以上含み、残部が窒素および/または二酸化炭素である気体の使用が好ましい。熱分解反応で生成する酸分を除く観点からは、熱媒体における水蒸気の含有割合は50体積%以上が好ましく、実質的に水蒸気のみ(100体積%)からなる気体の使用が特に好ましい。
熱媒体の供給割合は、熱媒体および原料組成物の供給量の合計100体積%において20〜98体積%となる割合が好ましく、50〜95体積%がより好ましい。熱媒体および原料組成物の供給量の合計における熱媒体の供給量の割合を20体積%以上とすることで、高沸物の生成や原料のカーボン化を抑制しながら熱分解/合成反応を進行させて、HFO−1234yfおよびVdFを効率よく製造できるようになる。また、上記割合が98体積%を超えると、生産性が低下する。
本発明の製造方法を、熱媒体を用いて行う場合における好ましい反応温度、反応圧力、反応時間は、前述した内容と同じである。なお、熱媒体を用いる場合、(c)工程において反応器内で原料組成物と熱媒体とを接触させる操作が熱分解/合成反応させる操作に相当する。したがって、反応温度は、原料組成物の熱媒体との接触時の温度であり、反応時間は原料組成物の熱媒体との接触時間に相当する。また、熱媒体と原料組成物との接触時間は、原料組成物の反応器内での滞留時間に相当し、原料組成物の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。
さらに、反応器への原料組成物の供給方法、および温度条件等についても上記と同様にできる。
<反応装置>
本発明の製造方法において、熱媒体の存在下でRC318とメタンを含む原料組成物を用いてHFO−1234yfおよびVdFを製造するのに使用される反応装置の一例を、図1および図2に示す。
この反応装置20は、電気ヒータ等の加熱手段を備えた反応器1を有する。反応器1には、第1の原料成分であるメタンの供給ライン2、第2の原料成分であるRC318の供給ライン3、および熱媒体としての水蒸気の供給ライン4が、以下に示すように接続されている。なお、反応器1における加熱手段の設置は必須ではない。
メタンの供給ライン2およびRC318の供給ライン3には、それぞれ電気ヒータ等を備えた予熱器(プレヒータ)2a、3aが設置されており、供給される各原料成分が所定の温度に予熱されてから反応器1に供給される。また、水蒸気の供給ライン4には、過熱水蒸気発生器4aが設置されており、過熱水蒸気と混合されることで、供給される水蒸気の温度および圧力が調整される。
反応装置20において、これらの供給ライン2、3、4はそれぞれ別々に反応器1に接続されていてもよいが、一部または全部の供給ラインは反応器1の手前で連結されて反応器1に接続されていてもよい。例えば、図1に示す反応装置20のように、それぞれの予熱器2a、3aを経た後の供給ライン2、3を連結することで、全ての原料成分が混合されたものが、原料混合供給ライン5から反応器1に供給されるように構成してもよい。なお、図1に示す反応装置20において、水蒸気は、原料混合供給ライン5とは別に、水蒸気の供給ライン4から反応器1に供給されるように構成されている。
また、図2に示す反応装置20のように、メタンの供給ライン2、RC318の供給ライン3、および水蒸気の供給ライン4がそれぞれ別々に反応器1に接続され、メタンおよびと、RC318と、水蒸気とが別個に反応器1に供給されて反応器1の入り口付近でこれらが一体に混合されるように構成することもできる。
反応器1の出口には、水冷器のような冷却手段6が設置された出口ライン7が接続されている。出口ライン7には、さらに、蒸気および酸性液回収槽8、アルカリ洗浄装置9および脱水塔10が順に設置されている。そして、脱水塔10により脱水された後、出口ガスの各成分がガスクロマトグラフィ(GC)のような分析装置により分析・定量されるようになっている。
<出口ガス成分>
本発明の製造方法においては、HFO−1234yfおよびVdFを上記出口ガスの成分として得ることができる。出口ガスが含有する原料(RC318とメタン)ならびにHFO−1234yfおよびVdF以外の化合物としては、エチレン、TFE、HFP、トリフルオロエチレン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、1,2−ジフルオロエチレン等が挙げられる。
これらの成分のうちで、メチレン基(=CH)またはメチル基(−CH)を有する化合物、例えば、エチレンは、原料成分のメタンに由来する化合物であり、フルオロ基(−F)を有する化合物、例えば、TFE、HFP、トリフルオロエチレン、HFO−1234ze、1,2−ジフルオロエチレンは、いずれも原料成分のRC318に由来する化合物である。なお、HFO−1234yfおよびVdF、さらに、トリフルオロエチレン、HFO−1234ze、1,2−ジフルオロエチレンは、RC318に由来する化合物であるとともに、メタンに由来する化合物である。出口ガスは、通常これらの他に未反応原料成分であるRC318およびメタンを含有する。
出口ガスに含まれるHFO−1234yfとVdF以外の上記成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。そして、分離されたTFE、HFPおよびトリフルオロエチレン、さらに未反応原料成分としてのRC318は、FC:を発生し得る化合物であり、原料組成物の一部としてリサイクルが可能である。同様に出口ガスに含まれる未反応原料成分としてのメタンは、必要に応じて単離され、あるいはFC:を発生し得る化合物とともに分離され、リサイクルが可能である。
本発明の製造方法によれば、RC318とメタンを原料として、1回の反応で、地球温暖化係数(GWP)が4と小さい、新冷媒として有用なHFO−1234yfを効率よく製造することができる。例えば、本発明の製造方法は、HCFC−225caを原料としてCFO−1214yaを経由してHFO−1234yfを製造する多段階反応が必要な方法に比べて、原料および製造設備に要するコストを低減することができるばかりでなく、製造に必要なエネルギーを圧倒的に低減することができる。
本発明の製造方法によれば、また、HFO−1234yfとともに、ポリフッ化ビニリデン(例えば、水処理フィルターとして工業的に利用されている)の原料であるVdFを製造することができ、地球環境を維持する上で重要な物質を低エネルギーで、安価に、同時に、製造することができる。
さらに、本発明の製造方法によって副生されるトリフルオロエチレンについては、HFO−1234yfと同様に、地球温暖化係数(GWP)が小さいため、冷媒として使用することができる。したがって、トリフルオロエチレンについては、上記のように原料組成物の一部としてリサイクルしてもよく、必要に応じて単離して冷媒として使用してもよい。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す反応装置を用い、RC318とメタンとからなる原料組成物(以下、原料ガスともいう。)から、以下に示すようにして粗HFO−1234yfと粗VdFを得た。
炉内温度250℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、メタンを連続的に導入し、メタンを250℃に加熱した。また、炉内温度250℃に設定した電気炉内のステンレス製チューブに、RC318を連続的に導入し、RC318を250℃に加熱した。
予め加熱されて上記温度に調整されたこれらの原料ガス成分(メタンおよびRC318)と、炉内温度800℃に設定した電気炉によって加熱されたスチーム(水蒸気)とを、原料成分の供給量のモル比が、RC318/メタン=1.0となり、かつガス供給量全体に対する水蒸気の供給割合が、体積%で、水蒸気/(メタン+RC318+水蒸気)×100=90%となるようにして、内圧(ゲージ圧)0.02MPaで内温800℃に管理された反応器に供給した。以下、圧力はいずれもゲージ圧とする。
こうして、反応器内の原料ガスの滞留時間が0.63秒間となるように、原料ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を制御し、ガスを反応器の出口より取り出した。反応器内温度の実測値は800℃であり、反応器内圧力の実測値は0.02MPaであった。なお、反応器の出口より取り出された出口ガスには、反応により生成または副生したガスの他に、未反応の原料ガスも含まれるが、以下の記載では出口ガスを生成ガスということもある。
次いで、反応器の出口より取り出したガスを、100℃以下に冷却し、蒸気および酸性液の回収とアルカリ洗浄を順に行ってから脱水処理した後、ガスクロマトグラフィで分析して、出口ガスに含まれるガス成分のモル組成を計算した。これらの結果を、反応の条件とともに表1に示す。
なお、メタンおよびRC318の加熱(プレヒート)温度は、プレヒート用の各電気炉における設定温度であり、水蒸気温度は、水蒸気加熱用の電気炉における設定温度である。また、水蒸気圧力は設定圧力である。
また、ガスクロマトグラフィでの分析で得られた出口ガスのモル組成を基にして、RC318の収率と転化率(反応率)、RC318由来の各成分の収率と選択率をそれぞれ求めた。これらの結果を表1の下欄に示す。
なお、上記値は、それぞれ以下のことを意味するものである。
(RC318収率)
出口ガス中のRC318由来成分(フルオロ基を持つ成分)のうちで、RC318の占める割合(モル%)をいう。
(RC318転化率(反応率))
出口ガス中のRC318由来成分のうちで、RC318の占める割合(RC318収率)がX%であるとき、(100−X)%をRC318の転化率(反応率)という。反応したRC318の割合(モル%)を意味する。
(RC318由来の各成分の収率)
出口ガス中のRC318由来成分のうちのRC318以外の各化合物の占める割合(モル%)。
(RC318由来の各成分の選択率)
反応したRC318のうちで、RC318以外の各成分に転化したのは各々何%かをいう。各成分の選択率は、「RC318由来の各成分の収率」/「RC318の転化率(反応率)」で求められる。
[実施例2]
反応器内の原料ガスの滞留時間が0.31秒間となるように、原料ガスの流量(単位時間当たりの供給量)を制御した以外は実施例1と同様な条件で反応を行なわせた。次いで、反応器の出口より取り出したガスを、実施例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
[実施例3]
スチームを加熱する電気炉の設定温度を850℃とした以外は実施例2と同様な条件で反応を行なわせた。すなわち、反応器内の内温を850℃に管理した以外は実施例2と同様な条件で反応を行なわせた。次いで、反応器の出口より取り出したガスを、実施例1と同様に処理した後、同様に分析を行った。結果を反応の条件とともに表1に示す。
Figure 2015110533
表1から分かるように、RC318とメタンを原料として用いて、そのまま熱分解/合成反応させることで、HFO−1234yfおよびVdFが製造できた。
本発明の製造方法によれば、調達が容易なRC318とメタンを原料として、工業的に有用なHFO−1234yfおよびVdFを製造できる。
1…反応器、2…メタンの供給ライン、3…RC318の供給ライン、4…水蒸気の供給ライン、2a,3a…予熱器(プレヒータ)、4a…過熱水蒸気発生器、6…冷却手段、7…出口ライン、8…蒸気および酸性液回収槽、9…アルカリ洗浄装置、10…脱水塔、20…反応装置。

Claims (11)

  1. オクタフルオロシクロブタンとメタンを含む原料組成物から、熱分解を伴う合成反応により2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを製造する方法。
  2. 前記原料組成物は、前記メタンの1モルに対して前記オクタフルオロシクロブタンを0.001〜10モル含有する、請求項1に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  3. 前記合成反応を400〜1200℃の温度で行う、請求項1または2に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  4. 前記合成反応をゲージ圧で0〜2.0MPaの圧力下で行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  5. 前記合成反応の時間は0.01〜10秒間である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  6. 前記合成反応に供する前記メタンの温度が0〜1200℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  7. 前記合成反応に供する前記オクタフルオロシクロブタンの温度が0〜600℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  8. 前記合成反応を熱媒体の存在下で行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  9. 前記熱媒体は、100〜1200℃で熱分解しない媒体である、請求項8項に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンのおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
  10. 下記工程を有する請求項8または9に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
    (a)オクタフルオロシクロブタンとメタンを予め混合して、または別々に反応器に供給する工程、
    (b)熱媒体を前記反応器内に供給する工程、
    (c)前記反応器内で前記オクタフルオロシクロブタンと前記メタンに前記熱媒体を接触させて2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンを生成する工程。
  11. 前記熱媒体の供給量は、前記反応器に供給する全気体中の20〜98体積%である、請求項10に記載の2,3,3,3−テトラフルオロプロペンおよび1,1−ジフルオロエチレンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105111040A (zh) * 2015-08-18 2015-12-02 巨化集团技术中心 一种偏氟乙烯为原料合成四氟丙烯HFO1234yf的方法

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