JP2015055217A - アイドリングストップ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マニュアル車のアイドリングストップ時におけるエンジン回転降下期間中に、回転予測値の精度が落ちることに起因してピニオンの噛み合いに不都合が生じることを抑制する。
【解決手段】エンジン10と、変速機13と、クラッチ装置12と、スタータ装置40と、を備える車両に適用される。ECU30は、ニュートラル状態にあり、クラッチ装置12の遮断状態から伝達状態への移行が生じたことを条件にエンジン10の自動停止を行う。また、エンジン10の回転検出値を算出し、回転降下期間において、複数の回転検出値に基づいて回転予測値を算出する。また、回転降下期間において自動再始動を行う際に、回転予測値と、所定の噛み合わせ回転速度とに基づいて、ピニオン41の噛み合わせを実施する。更に、所定のクラッチ操作が生じたと判定された場合に、自動再始動の実施を制限する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンのアイドリングストップ制御装置に関するものである。
従来から、アイドル運転時に所定の停止条件が成立するとエンジンを自動停止させるとともに、その後、所定の再始動条件が成立するとエンジンを再始動させる、いわゆるアイドリングストップ制御を実施する技術が知られている。このアイドリングストップ制御によれば、エンジンの燃費低減等の効果が得られるものとなっている。
また従来、エンジンを自動停止させる際のエンジン回転速度の降下期間中に再始動要求が発生した場合に、エンジン出力軸の回転が完全に停止するのを待たずに、再始動要求の発生後できるだけ速やかにエンジン再始動を行うことが提案されている。また、エンジンの回転停止前のエンジン再始動に際し、エンジン回転降下期間中のエンジン回転降下軌道を予測し、その予測データに基づいてエンジン始動装置(スタータ)のピニオンを駆動することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、エンジン回転降下期間中に再始動要求が発生した場合に、その再始動要求が発生したエンジン回転速度に応じて、エンジン回転降下軌道の予測データに基づくスタータの駆動モードを選択することが開示されている。エンジンの回転が未だ行われている状態でピニオンとリングギアとの噛み合いを実施すると、ピニオンとリングギアとの相対回転速度の大きさによっては噛み合い音が大きくなったりギアの磨耗が促進させたりすることが懸念される。これを考慮し、上記特許文献1では、エンジン回転降下軌道の予測データに基づいてピニオンの駆動タイミングを制御することにより、上記の不都合を抑制しつつ、かつ再始動要求の発生後できるだけ速やかにエンジン再始動が行われるようにしている。
特開2011−140938号公報
手動変速機(マニュアルトランスミッション)を備える自動車(マニュアル車)のアイドリングストップ制御技術として、エンジン停止中にクラッチペダルを踏込み操作することで再始動条件が成立し、その条件成立に伴いエンジンを再始動させる技術がある。
エンジン回転降下中において、クラッチペダルが踏み込まれエンジンの出力軸と変速機の入力ギアとが切り離されると、エンジンの出力軸の回転状態が変化してエンジン回転降下軌道の予測がずれることが懸念される。このため、マニュアル車のアイドリングストップ制御技術に対して、エンジン回転降下軌道の予測データに基づいてピニオンの駆動タイミングを制御する技術を適用すると、回転速度の予測精度が低下する。かかる場合、ピニオンとリングギアとの噛み合い音又はギアの磨耗の点で不都合が生じることが懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、マニュアル車のアイドリングストップ時におけるエンジン回転降下期間中に、回転予測値の精度が落ちることに起因してピニオンの噛み合いに不都合が生じることを抑制可能なエンジンのアイドリングストップ制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、エンジン(10)と、変速機(13)と、ドライバによる操作に応じて前記エンジンの出力軸(11)及び前記変速機の入力ギア(131〜135)の間の動力の伝達及び遮断を行うクラッチ手段(12)と、前記エンジンの始動時に前記出力軸に初期回転を付与する始動装置(40)とを備え、前記始動装置は、前記出力軸に設けられたリングギア(18)に近づく側に移動することで当該リングギアに噛み合うピニオン(41)と、そのピニオンを回転させるモータ(42)とを備え、前記クラッチ手段が伝達状態の場合、前記変速機の前記入力ギアが前記出力軸と一体的に回転し、前記クラッチ手段が遮断状態の場合、前記入力ギアが前記出力軸から切り離されて回転し、前記変速機においてニュートラル状態では前記入力ギアと前記変速機の出力部(23)との動力の伝達が解除されるようになっている車両に適用されるアイドリングストップ制御装置である。
更に、前記変速機がニュートラル状態にあり、かつ前記クラッチ手段の遮断状態から伝達状態への移行が生じたことを条件に前記エンジンでの燃焼を停止させて当該エンジンの自動停止を行う自動停止手段と、前記出力軸の回転を検出する回転センサ(53)の検出信号に基づいて、エンジン回転速度としての回転検出値を算出する回転速度算出手段と、前記自動停止に伴いエンジン回転速度が降下する回転降下期間において、時系列で前後する複数の前記回転検出値に基づいてエンジン回転速度の予測値である回転予測値を算出する回転予測手段と、前記エンジンの自動停止中において前記クラッチ手段の伝達状態から遮断状態への移行が生じたことを条件に前記エンジンの自動再始動を行うものであり、前記回転降下期間において前記自動再始動を行う際に、前記回転予測手段により算出した回転予測値と、前記ピニオンを回転させた状態で当該ピニオンを前記リングギアに噛み合わせる所定の噛み合わせ回転速度とに基づいて、前記ピニオンの噛み合わせを実施する再始動手段と、前記回転降下期間において前記クラッチ手段が遮断状態に移行しその後伝達状態に戻されるクラッチ操作が生じたことを判定する判定手段と、前記判定手段により前記クラッチ操作が生じたと判定された場合に、そのクラッチ操作後において前記自動再始動の実施を制限する再始動制限手段と、を備えることを特徴とする。
エンジンの自動停止に伴いエンジン回転速度が降下する期間ではエンジン出力軸が惰性で回転するが、クラッチ手段の遮断操作が行われる際にはエンジン出力軸と一体的に回転する回転要素が変わる。具体的には、クラッチ伝達状態ではエンジン出力軸と変速機の入力ギアとが一体的に回転しているのに対し、クラッチ遮断状態ではエンジン出力軸が変速機の入力ギアから切り離された状態で回転している。所定のクラッチ操作(伝達→遮断→伝達の操作)が行われると、切り離し状態で回転していたエンジン出力軸と入力ギアとが一体的に回転することとなる。エンジン出力軸と入力ギアとは互いに切り離されて回転していた結果、それぞれの回転速度が異なる値となっている。このため、クラッチ操作の前後においてエンジン出力軸の回転速度であるエンジン回転速度が非連続的に変化することになる。
この点、本発明では、回転降下期間において所定のクラッチ操作が生じた場合にそのクラッチ操作後における自動再始動の実施を制限する構成としたため、回転予測値の精度が落ちることに起因してピニオンの噛み合いに不都合が生じることを抑制できる。その結果、エンジンの適正なる自動再始動を実現できる。
手動式変速機を備える車両の制御システムの概略図。 手動式変速機の概略図。 アイドリングストップ制御に係る車両制御システムの概略図。 エンジン回転速度の予測値の算出方法を示す図。 エンジン回転速度及びギア回転速度のタイミングチャート。 スタータ駆動制御を示すフローチャート。 スタータ駆動制御の変形例を示すフローチャート。 スタータ駆動制御の変形例を示すフローチャート。 スタータ駆動制御の変形例を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、例えばエンジンと手動式変速機(マニュアルトランスミッション)とを搭載した車両に具体化している。また、本実施形態は、4サイクル4気筒エンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものとしている。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御、アイドリングストップ制御等を実施する。
図1に手動式変速機を中心とした車両制御システムの概略図を示す。エンジン10の出力軸(クランク軸11)にはクラッチ装置12を介して変速機13が接続されている。エンジン10は、火花点火式のガソリンエンジンであって、気筒ごとに燃料噴射手段としてのインジェクタ14と点火手段としての点火装置15(イグナイタ等)とを備えている。また、エンジン10には、エンジン始動時において当該エンジン10に初期回転(クランキング回転)を付与する始動装置としてのスタータ装置40が設けられている。なお、エンジン10はガソリンエンジンに限定されず、ディーゼルエンジンであってもよい。
クラッチ装置12は、クランク軸11に接続されたエンジン10側の円板12a(フライホイール等)と、トランスミッション入力シャフト21に接続された変速機13側の円板12b(クラッチディスク等)とを備えており、ドライバによるクラッチペダル17の踏込み操作又は踏込みの解除操作により、両円板12a,12b同士が接触及び離間のいずれかの状態に切り替えられるようになっている。すなわち、クラッチペダル17の踏込み操作に応じてクラッチ装置12の断続が行われる。詳しくは、ドライバによりクラッチペダル17が踏み込まれると、両円板12a,12bが相互に離れてエンジン10から変速機13への動力が遮断され、その踏込み操作が解除されると、両円板12a,12bが相互に接触してエンジン10から変速機13に動力が伝達されるようになっている。なお、クラッチ装置12により、ドライバによる操作に応じて動力の遮断及び伝達を行うクラッチ手段が構成されている。
変速機13は、ドライバによるシフト装置22の手動操作により変速比が切り替えられるマニュアルトランスミッションであり、トランスミッション入力シャフト21の回転をトランスミッション出力軸23(出力部)の回転に変換するものである。
図2に変速機13の概略図を示す。変速機13は、トランスミッション入力シャフト21を中心軸として回転するメインドライブギア131と、そのメインドライブギア131と噛み合わされ、カウンターシャフト132を中心軸として中心するメインドリブンギア133を備える。また、変速機13は、カウンターシャフト132を中心軸として回転する複数のドライブギア134を備え、そのドライブギア134と噛み合わされ、トランスミッション出力軸23を中心軸として回転する複数のドリブンギア135を備える。ドリブンギア135はトランスミッション出力軸23上で空転するようになっている。
ドリブンギア135の側方に設けられたスリーブ136が複数のドリブンギア135のいずれか一つとトランスミッション出力軸23とを固定することで、トランスミッション入力シャフト21の回転がトランスミッション出力軸23の回転に変換される。シフト位置がニュートラルの状態においては、メインドライブギア131、カウンターシャフト132,メインドリブンギア133及びドライブギア134が空転することになる。ここで、メインドライブギア131、カウンターシャフト132、メインドリブンギア133、ドライブギア134、ドリブンギア135は、入力シャフト21が回転する場合にそれに追従して各々回転する部材であり、これらを纏めて「入力ギア」と言う。
図1の説明に戻り、トランスミッション出力軸23には、ディファレンシャルギア25やドライブシャフト26等を介して車輪(駆動輪)27が接続されている。また、車輪27には、図示しない油圧回路等により駆動され、各車輪27に対して制動力を付与するブレーキアクチュエータ28が設けられている。
ECU30は、周知のマイクロコンピュータ等を備えてなる電子制御装置(制御手段)であり、本システムに設けられている各種センサの検出結果等に基づいて、インジェクタ14による燃料噴射量制御、点火装置15による点火制御など各種エンジン制御や、スタータ装置40の駆動制御、ブレーキアクチュエータ28による制動制御を実施する。センサ類について詳しくは、ECU30には、アクセル操作部材としてのアクセルペダル(図示略)の踏込み操作量を検出するアクセルセンサ31、クラッチペダル17の踏込み操作を検出するクラッチセンサ32、ブレーキペダル(図示しない)の踏込み操作量を検出するブレーキセンサ33、シフト装置22のシフト位置を検出するシフト位置センサ34、車速を検出する車速センサ35等が接続されており、これら各センサの検出信号がECU30に逐次入力されるようになっている。その他、本システムには回転速度センサや負荷センサ(エアフロメータ、吸気圧センサ)等も設けられているが、図示は省略している。
図3にアイドリングストップ制御に係る車両制御システムの概略図を示す。スタータ装置40は、ピニオン押出し式のエンジン始動装置であり、ピニオン41を回転駆動するモータ42と、ピニオン41をその軸線方向に押出し可能な電気駆動式のアクチュエータとしての電磁アクチュエータ43と、を備えている。モータ42は、モータ通電用リレー45を介してバッテリ46に接続されており、モータ通電用リレー45のスイッチ部が閉状態となることにより、バッテリ46からモータ42への給電が可能になっている。また、モータ通電用リレー45のコイルには、電気信号により開閉可能なモータ駆動リレー44が接続されている。このモータ駆動リレー44への閉信号によりモータ通電用リレー45のスイッチ部が閉状態となると、バッテリ46からモータ42への給電が行われ、モータ42が回転駆動する。
電磁アクチュエータ43は、ピニオン41にレバー等を介して駆動力を伝達するプランジャ47と、通電に伴いプランジャ47を軸線方向に移動させるコイル48と、を備えており、ピニオン駆動リレー49を介してバッテリ46に接続されている。ピニオン駆動リレー49は、モータ駆動リレー44に対する電気信号とは別個の電気信号により開閉可能となっている。これにより、モータ42によるピニオン41の回転駆動と、電磁アクチュエータ43によるピニオン41の押出しとを独立して制御可能になっている。
ピニオン41は、エンジン10の出力軸(クランク軸11)に連結されたリングギア18に対して、ピニオン41の押出しに伴い互いの歯部が噛み合い可能な位置に配置されている。詳しくは、電磁アクチュエータ43の非通電時では、ピニオン41はリングギア18に対して非接触の状態になっている。この非接触の状態においてピニオン駆動リレー49がオンされる(閉状態にされる)と、バッテリ46から電磁アクチュエータ43への給電によりプランジャ47が軸線方向に吸引されるとともに、ピニオン41がリングギア18に向かって押し出される。このとき、リングギア18の外周縁に設けられた歯部と歯部との間に、ピニオン41の外周縁に設けられた歯部が嵌り込むことにより、ピニオン41の歯部とリングギア18の歯部との噛み合いが生じる。また、この噛み合いが生じている状態でモータ42へ通電されることにより、ピニオン41によってリングギア18が回転され、エンジン10に初期回転が付与される。
本システムには、エンジン10の出力軸の回転に伴い所定クランク角毎に矩形状の信号を出力する回転センサとしてのクランク角センサ53が設けられている。クランク角センサ53は、クランク軸11と一体に回転するパルサ(回転円板)54と、パルサ54の外周部近傍に設けられた電磁ピックアップ部55と、を備えている。パルサ54の外周部には、所定の回転角度間隔(本実施形態では30°CA間隔)で突起56が設けられているとともに、その外周部の一部において複数の突起(例えば2歯分の突起)を欠落させた欠歯部57が設けられている。クランク軸11の回転に伴いパルサ54が回転すると、パルサ54の突起56が電磁ピックアップ部55に近付く毎に(本実施形態では基本的には30°CA毎に)電磁ピックアップ部55から検出信号(クランクパルス信号)が出力される。このクランクパルス信号のパルス幅に基づきエンジン回転速度や角速度が算出されるとともに、クランクパルス信号をカウントして回転角度位置(クランク角位置)が算出される。なお、クランク角センサ53の検出信号に基づいて算出したエンジン回転速度が回転検出値に相当する。
ECU30は、クランク角センサ53等の各種センサの検出結果等を入力し、それらに基づいてアイドリングストップ制御及びスタータ装置40の駆動制御を実施する。
次に、上記のシステム構成において実施されるアイドリングストップ制御について詳述する。アイドリングストップ制御は、概略として、エンジン10のアイドル運転時に所定の停止条件が成立すると当該エンジン10を自動停止させるとともに、その後、所定の再始動条件が成立するとエンジン10を再始動させるものである。エンジン停止条件としては、例えば、変速機13のシフトポジションがニュートラルに操作されたこと、及び、そのニュートラル操作の後にクラッチペダル17の踏込み操作が解除されたことが少なくとも含まれる。自動停止手段としてのECU30は、クラッチセンサ32及びシフト位置センサ34から入力される検出信号に基づいてエンジン停止条件が成立したか否かを判定する。なお、エンジン停止条件としては、車速が所定値以下まで低下したこと等を含んでいてもよい。
また、エンジン再始動条件としては、クラッチペダル17の踏込み解除操作の開始が含まれ、エンジン停止状態において、ドライバがクラッチペダル17を完全に踏み込んだ状態からその踏込みを解除し始めると、エンジン再始動条件が成立する。再始動手段としてのECU30は、クラッチセンサ32から入力される検出信号に基づいてエンジン停止条件が成立したか否かを判定する。
本システムでは、エンジン自動停止に伴いエンジン10の回転降下が生じる所定期間(回転降下期間)内に再始動条件が成立した場合、エンジン10の回転が完全に停止するのを待たずに、エンジン10を再始動することを可能にしている。エンジン回転速度が高い回転領域でピニオン41の噛み合わせを行うと、噛み合い音が大きくなったりギアの磨耗が促進させたりすることが懸念される。このとき、再始動要求の発生後においてできるだけ早い再始動を行うべく、回転予測手段としてのECU30は、エンジン回転速度の予測を行いその予測値が所定値となるタイミングでエンジン10を再始動する構成としている。
具体的には、自動停止条件の成立に伴いエンジン10の燃焼を停止し、その燃焼停止に伴う回転降下期間中に再始動条件が成立した場合、まず、エンジン回転速度に基づき決定されるタイミング(例えば、100rpm以下の低回転領域内)でピニオン駆動リレー49にオン信号を出力する。これにより、コイル48に通電され、ピニオン41がリングギア18に向かって押し出される。また、ピニオン41の押出しタイミングから所定の移動所要時間Tpが経過した後、モータ駆動リレー44にオン信号を出力する。ここで、移動所要時間Tpは、ピニオン41の押出し開始から、ピニオン41がリングギア18との接触位置まで移動してリングギア18に噛み合わされるのに要する時間に設定されている。これにより、エンジン10の回転が完全に停止するのを待たずに、ピニオン41がリングギア18に噛み合わされた状態で回転され、エンジン10のクランキングが実施される。
ここで、ピニオン41とリングギア18との噛み合いは、両者の噛み合い音やギアの摩耗を最小限に抑えるべく、ピニオン41に対するリングギア18の相対回転速度が所定の許容範囲(例えば0±100rpm)となるタイミングで実施することが好ましい。ところが、ピニオン41とリングギア18とは非接触の状態で配置されており、ピニオン41を押し出してリングギア18に噛み合わさせるには所定時間がかかる。そのため、再始動要求のタイミングでピニオン41の押出しを実施した場合、再始動要求のタイミングでは、ピニオン41とリングギア18との噛み合いを許容する許容範囲内にエンジン回転速度があっても、実際の噛み合い時には許容範囲外となることがある。
そこで、ECU30は、エンジン回転降下期間において、現時点よりも後のエンジン回転速度を予測しており、その予測データを用いることにより、ピニオン41の押出しタイミング及びモータ42の駆動タイミングを決定している。
本実施形態における回転予測方法について、図4を用いて以下説明する。本実施形態では、燃焼室の容積(シリンダ容積)の増減変化に伴うエンジン回転速度の増減1周期分を回転変動期間とし、前の回転変動期間のエンジントルク(ロスエネルギ)に基づいてその後の回転変動期間のエンジン回転速度を予測することによりエンジン回転速度を予測する。
より詳細には、回転予測手段が、回転降下期間においてエンジントルクは、ピストン位置で決まる回転角度位置では一定であると仮定する。そして、シリンダ容積の増減変化に伴う瞬時回転速度の増減1周期分(本実施形態では180°CA)を回転変動期間として、現時点よりも前の回転変動期間のエンジン回転速度に基づいて、その後の回転変動期間のエンジン回転速度(瞬時回転速度)を予測するものである。なお、瞬時回転速度は、クランク軸11の所定回転角度の回転に要した時間から算出されるエンジン回転速度であり、クランクパルス信号の出力毎に回転速度算出手段としてのECU30によって算出されるエンジン回転速度である。この予測方法では、次のクランクパルス信号が出力される回転角度位置、すなわち次の演算タイミングの瞬時回転速度の予測値を算出するとともに、その回転予測値に基づいて、更にその次の演算タイミングの瞬時回転速度の予測値を算出するといった処理を複数回繰り返す。これにより、エンジン回転降下期間内でのエンジン回転軌道の予測が可能となる。
図4は、エンジン回転速度の予測値の算出方法を説明するための図である。なお、図4では、各気筒の上死点(TDC)から次のTDCまでの180°CA区間(回転変動期間)のうち、今回の回転変動期間をS[j]、前回の回転変動期間をS[j-1]、次回の回転変動期間をS[j+1]と示している。
ECU30は、エンジン自動停止要求後の回転降下期間において、クランク角センサ53からクランクパルス信号が入力される毎に(本実施形態では30°CA毎に)、前回のパルスの立ち上がりタイミングから今回のパルスの立ち上がりタイミングまでの時間である時間幅Δt[sec]に基づいて瞬時回転速度Ne(i)を算出し、これを都度記憶する。また、TDCから所定回転角度θ(クランク分解能)ごとの瞬時回転速度Ne(θ,i-1)の変化に基づいて、回転変動期間における回転角度位置間のエンジントルクTe(θn-θn+1)を算出する。例えば前回の回転変動期間(前回の180°CA区間)S[j-1]における回転角度位置間のエンジントルクTe(j-1)(θn-θn+1)は、下記式(1)により表される。
Te(j-1)(θn-θn+1)=−J・((ω(j-1)(θn+1))2 −(ω(j-1)(θn))2)/2 …(1)
ω(θn)[rad/sec]=Ne(θn)×360/60
なお、式(1)中、Jはエンジン10のイナーシャ(慣性モーメント)である。
図4において、現在のクランク角度位置がTDC後30°CAであり、それ以降のエンジン回転速度を予測する場合、まず、クランクパルス信号に基づいて、現時点の瞬時回転速度Ne(30,i)を算出する。また、その算出した瞬時回転速度Ne(30,i)と、直前のクランク角度位置の瞬時回転速度Ne(0,i)とを用いて、上記式(1)によりエンジントルクTe(0-30,i)を算出し、これを記憶する。
次いで、前回の180°CA区間S[j-1]において、TDCを基準とする回転角度が予測点と同じになるクランク角度位置と、その前回のクランク角度位置との間のエンジントルクの履歴値、ここではエンジントルクTe(j-1)(30-60)と、現在の瞬時回転速度Ne(30,i)とを用いて、次のパルスの立ち上がりタイミングのエンジン回転速度の予測値として、クランク角度位置60°CAの予測値Ne(60,i)を演算する。併せて、クランク角度位置30°CAから60°CAに到達するまでの予測到達時間t(j)(30-60)を演算する。さらに、前回の180°CA区間S[j-1]のクランク角度位置60°CAから90°CAまでのエンジントルクTe(j-1)(60-90)と、エンジン回転速度の予測値Ne(60,i)とを用いて、今回の180°CA区間S[j]においてTDC後の回転角度90°CAのクランク角度位置の予測値Ne(90,i)を演算するとともに、クランク角度位置60°CAから90°CAに到達するまでの予測到達時間t(j)(60-90)を演算する。この処理を何回も繰り返すことで、エンジン10の回転降下期間におけるエンジン回転速度(瞬時回転速度)を予測するとともに、その予測データを例えば線形補間することにより、回転降下期間におけるエンジン回転速度の軌道を予測する。なお、この予測方法に基づき算出した瞬時回転速度の予測値が図4中の黒丸で示すものであり、エンジン10の予測回転軌道が図中の破線で示すものである。
この予測演算は、クランクパルス信号の入力毎(30°CA毎)に、次のクランクパルス信号が入力されるまでの時間を利用して実行され、その都度、回転軌道の予測データが更新される。このとき、次のクランクパルス信号入力までの期間では、エンジン10の回転が停止するまでのエンジン回転降下軌道を予測してもよいし、あるいは、エンジン回転が停止する前の途中の時点で予測演算を打ち切ってもよい。なお、エンジン回転速度(瞬時回転速度)を角速度に換算して予測演算を行うようにしてもよい。
ここで、従来技術では、式(1)で用いるクランク軸11に作用するイナーシャJを、回転降下期間内において変化しない値として取り扱っている。しかしながら、手動変速機を備える車両では、クラッチペダル17が踏み込まれると、エンジン10から変速機13への動力が遮断され、その踏込み操作が解除されると、エンジン10から変速機13に動力が伝達されるようになっている。この踏込み操作によって、クランク軸11と一体として回転する部材が変化することで、クランク軸11に作用するイナーシャが変化する。
具体的には、エンジン10から変速機13への動力が遮断されていると、エンジン10のイナーシャJは、エンジン内部のピストン(図示略)、ピストンとクランク軸11とを連結するコンロッド(図示略)、クランク軸11及びフライホイール12aの各イナーシャの合計値、つまりエンジン10単体のイナーシャJeとなる。一方、変速機13のシフトポジションがニュートラルの状態でエンジン10から変速機13への動力が伝達されていると、図1及び図2に示すようにエンジン10とともに、クラッチホイール12b、トランスミッション入力シャフト21及び変速機13の入力ギアが回転する。このとき、エンジン10のイナーシャJは、入力ギアのイナーシャJgとエンジン10単体のイナーシャJeとを合算した値となる。
つまり、エンジン10と変速機13とを接続するクラッチ装置12が伝達状態から遮断状態へと変化すると、エンジン10のイナーシャJは入力ギアのイナーシャJg分減少する。また、クラッチ装置12が遮断状態から伝達状態へと変化するとエンジン10のイナーシャJは入力ギアのイナーシャJg分増加する。これら、エンジン10単体のイナーシャJe及び入力ギアのイナーシャJgは、予め実験により測定され、ECU30に記憶されている。
エンジン回転速度及びトランスミッション入力ギアの回転速度(ギア回転速度)の時間変化を図5にタイミングチャートとして示す。なお、図5におけるタイミングチャートにおいては、シリンダ容積の増減変化に伴うエンジン回転速度の増減を省略している。
時刻T1において、自動停止条件が成立し、エンジン10を停止させる処理が実行される。具体的には、点火装置15による燃料噴射および点火プラグによる点火が停止され、フリクションロス及びポンピングロスなどのエネルギロスに伴ってエンジン10の回転速度が降下していく。
時刻T2において、クラッチペダル17が踏み込まれて、クラッチ装置12が伝達状態から遮断状態へと変化する。この場合、クランク軸11に作用するフリクションロス及びポンピングロスなどのエネルギロスがほぼ一定のままで、クラッチ装置12が伝達状態から遮断状態へと変化しクランク軸11に作用するイナーシャJが入力ギアのイナーシャJg分だけ減少することとなる。このため、クラッチ装置12が遮断状態とされている間、エンジン回転速度は急峻に減少していく。
また、クラッチ装置12が伝達状態の場合、トランスミッション入力シャフト21(入力ギア)はクランク軸11と一体的に回転しているためギア回転速度とエンジン回転速度と等しい値となる。時刻T2において、クラッチ装置12が伝達状態から遮断状態へと変化すると、入力ギアはクランク軸11と切り離された状態で回転するようになり、ギア回転速度とエンジン回転速度とは異なる値となる。入力ギアに作用するエネルギロスは主としてギアの回転に伴うフリクションロスであり、このエネルギロスはエンジン10のエネルギロスに比べて極めて小さな値である。このため、ギア回転速度は、遮断状態へと変化する直前の回転速度(時刻T2における回転速度)から、エンジン回転速度の減少に比べて緩やかに減少していく。ここで、クラッチ遮断中におけるギア回転速度の減少量は、遮断状態の継続時間に応じたものとなる。
時刻T3において、クラッチペダル17の踏込みが解除されて、クラッチ装置12が遮断状態から伝達状態へと変化する。このとき、クラッチ装置12が伝達状態とされる直前において、エンジン10におけるロスエネルギに相当する分エンジン回転速度よりギア回転速度Ngが速いため、クラッチ装置12が伝達状態とされる前後においてエンジン回転速度が非連続的に上昇する。
時刻T3以降において、クラッチ装置12が伝達状態とされるため、イナーシャJが増加することでエンジン回転速度の減少速度が遅くなり期間T1〜T2における減少速度と略等しくなる。
上述したように、クラッチ操作に伴いエンジン回転速度の減少速度が変化し、時刻T2〜T3の期間では他の期間に比べて回転速度低下の傾向が異なるものとなる。このため、エンジントルクTeの履歴値を用いたエンジン回転速度の予測が困難になることが懸念される。特に、時刻T3においては、エンジン回転速度の降下期間中にエンジン回転速度が非連続的に上昇するため、エンジン回転速度の予測値が実際値と大きくずれると考えられる。
本実施形態では、再始動条件が成立し、エンジン回転速度の予測値が移動許可速度以下であると判定された場合にエンジン10の再始動を実施する。この移動許可速度は、ピニオン41とリングギア18との噛み合わせを許容するエンジン回転速度の上限値であり、例えば100rpmに設定されている。ここで、クラッチ装置12の状態変化に伴って生じるエンジン回転速度の予測値と実際値とのずれによって、適切にエンジン再始動が実施できないことが懸念される。
そこで、判定手段としてのECU30は、エンジン回転速度の降下期間中において、クラッチペダル17が踏み込まれてクラッチ装置12が遮断状態に移行しその後伝達状態に戻されるクラッチ操作が生じたか否かを判定する。そして、クラッチ操作が生じたと判定された場合に、再始動制限手段としてのECU30は、エンジン回転中のスタータ装置40による再始動を制限する。再始動の制限とは、具体的には、再始動条件が成立し、かつ、エンジン回転速度の予測値が移動許可速度以下である場合であっても、ピニオン41の押し出し及びモータ42の駆動を禁止することを言う。
図6に、本実施形態におけるスタータ駆動制御のフローチャートを示す。当該スタータ駆動制御は、自動停止中においてECU30により所定周期ごとに実施される。
ステップS11では、再始動条件が成立しているか否かを判定する。再始動条件が成立していると判定されると、ステップS12へ進み、ピニオン41の押し出しの実施前か実施後かを判定する。ピニオン41の押し出し前であると判定された場合(S12:YES)、エンジン回転速度Neの検出値を取得し、その検出値が0rpmより大きいか否かを判定する。エンジン回転速度Neの検出値が0rpmより大きく、エンジン回転速度の降下期間中であると判定された場合(S13:YES)、ステップS14へ進み、クラッチペダル17の踏込み解除操作が行われたか否かを判定する。
クラッチペダル17の踏込み解除操作が行われていないと判定された場合(S14:NO)、ステップS15へ進みエンジン回転速度Neの予測値を取得する。次に、ステップS16において、そのエンジン回転速度Neの予測値が移動許可速度以下であるか否かを判定する。この移動許可速度は、ピニオン41とリングギア18との噛み合わせを許容するエンジン回転速度の上限値であり、例えば100rpmに設定されている。エンジン回転速度Neの予測値が移動許可速度より大きいと判定された場合(S16:NO)、処理を終了する。エンジン回転速度Neの予測値が移動許可速度以下であると判定された場合(S16:YES)、ステップS17へ進み、ピニオン41の押し出し制御を実施する。また、ステップS13において、エンジン回転速度Neの検出値が0rpmであり、エンジン10の回転が停止していると判定された場合(S13:NO)、ステップS17へ進み、ピニオン41の押し出し制御を実施する。
ステップS12において、ピニオン41の押し出しの実施後であると判定された場合(S12:NO)、モータ42の駆動の実施前か実施後かを判定する。モータ駆動前であると判定された場合(S18:YES)、ステップS19において、モータ駆動タイミングが経過しているか否かを判定する。ここでモータ駆動タイミングとは、ピニオン41の押し出し開始から移動所要時間Tpが経過した時点を言う。モータ駆動タイミングが経過していないと判定された場合(S19:NO)、処理を終了する。モータ駆動タイミングが経過していると判定された場合(S19:YES)、モータ通電用リレー45のスイッチ部を閉状態として、バッテリ46からモータ42への給電が行い、モータの駆動を実施する。
ステップS18において、モータ駆動後であると判定された場合(S18:NO)、ステップS21において、エンジン回転速度Neの検出値が始動回転速度NeF(例えば400〜500rpm)以上になったか否かを判定する。エンジン回転速度Neの検出値が始動回転速度NeFに達していないと判定された場合、ステップS20に進み、モータ駆動を継続する。エンジン回転速度Neの検出値が始動回転速度NeF以上になっていると判定された場合、ステップS22において、ピニオン駆動リレー49及びモータ駆動リレー44にそれぞれオフ信号を出力する。これにより、ピニオン41とリングギア18との噛み合いが解除されるとともに、モータ42の駆動が停止され、エンジン10のクランキングが終了される。
ステップS14において、クラッチペダル17の踏込み解除操作が行われた、即ち、クラッチ装置12が伝達状態から遮断状態へと移行したと判定された場合(S14:YES)、そのまま処理を終了する。つまり、エンジン回転速度Neの予測値が移動許可速度以下の場合であっても、ピニオン41の押し出し制御が制限されることとなり、エンジン10の再始動が制限されることとなる。また、この場合、エンジン回転速度Neの検出値が0rpmになったと判定された場合に、ピニオン41の押し出し制御が実施されることとなる。
以下、本実施形態の奏する効果について説明する。
エンジン10の自動停止に伴いエンジン回転速度が降下する期間ではクランク軸11は慣性によって回転するが、クラッチ装置12の遮断操作が行われる際にはクランク軸11と一体的に回転する回転要素が変わるため、それに伴いクランク軸11の回転速度の時間変化量が変動する。このため、クラッチ操作の前後においてクランク軸11の回転速度であるエンジン回転速度が非連続的に変化することになる。この点、本実施形態では、回転降下期間において所定のクラッチ操作が生じた場合にそのクラッチ操作後における自動再始動の実施を制限する構成としたため、回転予測値の精度が落ちることに起因してピニオン41の噛み合いに不都合が生じることを抑制できる。その結果、エンジン10の適正なる自動再始動を実現できる。
本実施形態では、エンジン回転速度の検出値が0rpmになったことを検出した後に、自動再始動の実施制限を解除する構成としている。これにより、ピニオン41とリングギア18とで摩耗が生じることを抑制することが可能になる。
(他の実施形態)
・上記図6に示したスタータ駆動制御を変更してもよい。具体的には、図7にフローチャートとして示すスタータ駆動制御を実施してもよい。なお、図7に示すフローチャートにおいて、図6の処理と同一の処理については同じ符号を付しており、説明を省略する。
図7に示すスタータ駆動制御では、ステップS14において、クラッチ踏込み操作が生じていると判定された場合(S14:NO)、ステップS31へ進み、クラッチペダル17の踏込みが解除されてから、即ち、クラッチ装置12が遮断状態から伝達状態へと戻ってから回転変動の1周期分に相当する所定時間が経過しているか否かを判定する。なお、クラッチ操作有りの履歴は一時的に保持されている(少なくともステップS31がYESになるまで)。そして、クラッチペダル17の踏込みが解除されてから所定時間が経過していると判定されると(S31:YES)、ステップS15へ進み、エンジン回転速度が移動許可速度以下であるか否かを判定する。また、クラッチペダル17の踏込みが解除されてから所定時間が経過していないと判定されると(S31:NO)、処理を終了する。つまり、ステップS31の処理により、クラッチペダル17の踏込み操作が生じてから所定時間が経過した時点で自動再始動の実施制限を解除する。
本変形例の回転予測は、回転降下期間においてピストン位置で決まる回転角度位置が同一であれば、クランク軸11に作用するエンジントルクが一定であるとする仮定の下に、前回の回転変動期間における瞬時回転速度の検出値に基づいて、次の回転変動期間におけるエンジン回転速度を予測するものである。このため、エンジン自動停止後の回転降下期間中に所定のクラッチ操作が行われると回転予測値の精度が落ちる。その後、回転変動の1周期分(回転変動期間)が経過すると、回転予測値の精度低下が解消される。つまり、クラッチ伝達状態に戻った後に、回転予測値を適正に算出するのに要するエンジントルクの履歴値が揃うと、再び適正に回転予測値を算出できる。したがって、自動再始動の制限を解除するとよい。なお、自動再始動の制限を解除する所定時間は、回転変動期間より長くてもよい。
・自動再始動の実施条件の成立後において自動再始動の実施が制限される場合に、その条件成立の情報を記憶し、自動再始動の実施制限が解除された後に、記憶した条件成立の情報に基づいて自動再始動を実施するようにしてもよい。この場合、上記図6に示したスタータ駆動制御に代えて、図8にフローチャートとして示すスタータ駆動制御を実施するとよい。なお、図8に示すフローチャートにおいて、図6の処理と同一の処理については同じ符号を付しており、説明を省略する。
エンジン10の自動停止によりエンジン回転速度が降下する場合に、そのエンジン回転速度が略0rpmまで低下すると、気筒のピストンが上死点を乗り越えられず、クランク軸11の回転方向が正回転から逆回転に切り替わる。逆回転になった後では、正回転と逆回転とを繰り返す揺動回転状態となり、やがて回転速度ゼロ(0rpm)に収束する。
図8に示すスタータ駆動制御では、揺動回転中に再始動条件が成立した場合に、その再始動条件の成立情報を記憶し、揺動回転終了後(すなわち自動再始動の実施制限の解除後)、速やかに自動でエンジン10を再始動するものである。ステップS12において、ピニオン押出前であると判定された場合(S12:YES)、ステップS41へ進み、エンジン10が揺動回転中であるか否かを判定する。揺動回転中であるか否かの判定は、エンジン回転速度Neの検出値又は予測値に基づいてエンジン10の逆回転が生じているか否かの判定により行う。揺動回転中でないと判定された場合(S41:NO)、ステップS13に進み、図6と同様の処理を行う。揺動回転中であると判定された場合、ステップS42に進み、再始動条件の成立情報を記憶し、処理を終了する。ステップS42で再始動条件の成立情報が記憶された後、ステップS11では、再始動条件が成立していると判定される。
ステップS41の処理により、揺動回転中においては、エンジンの自動再始動が制限される。これにより、エンジン回転速度が確実に0rpmとなった状態でピニオン41をリングギア18に噛み合わせることが可能となり、ピニオン41及びリングギア18の摩耗が生じるなどの不都合が生じることを抑制できる。
特に、本変形例では、ステップS42の処理により、エンジン回転降下期間中に自動再始動の実施条件が成立する場合に、その条件成立の情報を記憶する構成としている。このため、クランク軸11の揺動回転が生じている期間内で自動再始動の実施条件が成立した場合においても、その条件成立の情報が記憶され、揺動回転が止まった後に、記憶した条件成立の情報に基づいて自動再始動が実施される。このため、揺動回転中に再始動条件が成立した場合に、再度再始動条件が成立するのを待つことなく再始動を実施することができる。
なお、自動再始動の実施制限の解除は、揺動回転の終了に伴い行われるものだけでなく、例えばエンジン回転速度がゼロまで低下した時に自動再始動の実施制限の解除が行われるものであってもよい。そしてその際に、上記のとおり、既に記憶されている条件成立の情報に基づいて自動再始動を実施するようにしてもよい。
・上記実施形態に加えて、ECU30が、クラッチペダル17が踏み込まれることでクラッチ装置12が遮断状態に操作されているクラッチ操作時間を算出し、そのクラッチ操作時間が所定時間よりも長い場合に自動再始動の実施制限を行わない構成としてもよい。
・クラッチ操作が生じたと判定された場合において、そのクラッチ操作が所定のエンジン回転域で生じたのであれば、そのクラッチ操作後における自動再始動の制限を実施しないようにしてもよい。具体的には図9で示すように、エンジン回転速度の検出値Neが所定値(例えば、150rpm)未満の領域においてクラッチ操作が生じた場合に、再始動の実施制限を行わない構成とする。図9では、図6におけるステップS14の処理に代えて、ステップS51の処理を実施する。ステップS51において、踏込み解除操作が生じ、かつ、その踏込み解除操作が生じたときのエンジン回転速度の検出値Neが所定値以上であるか否かを判定する。踏込み解除操作が生じ、かつ、その踏込み解除操作が生じたときのエンジン回転速度Neが所定値以上の場合(S51:YES)、再始動の実施制限を実施する。ここで、踏込み解除操作が生じていないか、又は、踏込み解除操作が生じたときのエンジン回転速度Neが所定値未満の場合(S51:NO)、ステップS15以降の処理が実施される。
つまり、回転降下期間において踏込み解除操作が生じても、そのクラッチ操作が生じた時のエンジン回転速度が所定値未満であれば、自動再始動を禁止(制限)しないようにした。この場合、エンジン回転速度が比較的低い領域(0〜150rpm)では、仮に回転速度の予測精度が低下したとしても、ピニオン41の噛み合い音は発生しないか、発生したとしてもその音は極小さいものとなる。また一方で、自動再始動を禁止しない場合を設けることで、ドライバからの再始動要求が受け付けられない事態を少なくすることができる。したがって、ドライバの意に沿った自動再始動を実現できる。
・上記実施形態は、ピニオン41の移動後にモータ42を回転させるモータ後駆動制御行うアイドリングストップ制御装置であるが、これに加えて、モータ42の回転後にピニオン41の移動を行うモータ先駆動制御を行うアイドリングストップ制御装置に対して、本発明の自動再始動の制限を適用してもよい。
・上記実施形態では、コイル48の通電/非通電を制御するピニオン駆動リレー49と、モータ42の通電/非通電を制御するモータ駆動リレー44とを有するスタータ装置40を本発明に適用する場合について説明したが、ピニオン41の移動と、モータ42の回転とを独立して制御可能なスタータ装置40の構成は上記に限定しない。例えば、従来のスタータ装置において、モータ通電制御用のリレーを設けたものを本発明に適用してもよい。具体的には、図3のスタータ装置40において、モータ駆動リレー44の代わりに、プランジャにおけるレバーとは反対側の端部にモータ通電用の接点が設けられているとともに、モータ42とバッテリ46との間に、ECU30からの制御信号に基づいてオン/オフの切り替え可能なモータ通電制御用のリレーが設けられている構成に適用する。この構成においても、ピニオン駆動リレー49とモータ通電制御用のリレーとを個別に制御することにより、ピニオン41とリングギア18との噛み合わせ動作と、モータ42の回転動作とを独立して制御可能である。
・上記実施形態では、ピニオン41の移動とモータ42の駆動とを独立して制御可能なスタータ装置40に本発明を適用する場合について説明したが、従来のスタータ装置のように、ピニオン41の移動開始に伴い、所定の遅延時間が経過した後にモータ42の駆動が開始される構成のスタータ装置に本発明を適用してもよい。
・本実施形態のエンジン制御システムは、4気筒エンジンを対象に適用されるものであるが、気筒数は限定されず、例えば、6気筒エンジンに適用されるものであってもよい。
10…エンジン、11…クランク軸(出力軸)、12…クラッチ装置(クラッチ手段)、13…変速機、131〜135…入力ギア、18…リングギア、出力部…23、30…ECU(自動停止手段、回転速度算出手段、回転予測手段、再始動手段、判定手段、再始動制限手段)、40…スタータ装置(始動装置)、41…ピニオン、42…モータ、53…クランク角センサ。

Claims (6)

  1. エンジン(10)と、変速機(13)と、ドライバによる操作に応じて前記エンジンの出力軸(11)及び前記変速機の入力ギア(131〜135)の間の動力の伝達及び遮断を行うクラッチ手段(12)と、前記エンジンの始動時に前記出力軸に初期回転を付与する始動装置(40)とを備え、前記始動装置は、前記出力軸に設けられたリングギア(18)に近づく側に移動することで当該リングギアに噛み合うピニオン(41)と、そのピニオンを回転させるモータ(42)とを備え、
    前記クラッチ手段が伝達状態の場合、前記変速機の前記入力ギアが前記出力軸と一体的に回転し、前記クラッチ手段が遮断状態の場合、前記入力ギアが前記出力軸から切り離されて回転し、
    前記変速機においてニュートラル状態では前記入力ギアと前記変速機の出力部(23)との動力の伝達が解除されるようになっている車両に適用され、
    前記変速機がニュートラル状態にあり、かつ前記クラッチ手段の遮断状態から伝達状態への移行が生じたことを条件に前記エンジンでの燃焼を停止させて当該エンジンの自動停止を行う自動停止手段と、
    前記出力軸の回転を検出する回転センサ(53)の検出信号に基づいて、エンジン回転速度としての回転検出値を算出する回転速度算出手段と、
    前記自動停止に伴いエンジン回転速度が降下する回転降下期間において、時系列で前後する複数の前記回転検出値に基づいてエンジン回転速度の予測値である回転予測値を算出する回転予測手段と、
    前記エンジンの自動停止中において前記クラッチ手段の伝達状態から遮断状態への移行が生じたことを条件に前記エンジンの自動再始動を行うものであり、前記回転降下期間において前記自動再始動を行う際に、前記回転予測手段により算出した回転予測値と、前記ピニオンを回転させた状態で当該ピニオンを前記リングギアに噛み合わせる所定の噛み合わせ回転速度とに基づいて、前記ピニオンの噛み合わせを実施する再始動手段と、
    前記回転降下期間において前記クラッチ手段が遮断状態に移行しその後伝達状態に戻されるクラッチ操作が生じたことを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記クラッチ操作が生じたと判定された場合に、そのクラッチ操作後において前記自動再始動の実施を制限する再始動制限手段と、
    を備えることを特徴とするアイドリングストップ制御装置。
  2. 前記再始動制限手段は、前記判定手段により前記クラッチ操作が生じたと判定された場合において、そのクラッチ操作が所定の回転速度以下で生じたのであれば、そのクラッチ操作後における前記自動再始動の制限を実施しない請求項1に記載のアイドリングストップ制御装置。
  3. 前記再始動制限手段は、前記自動停止によりエンジン回転速度がゼロまで低下した後に、前記自動再始動の実施制限を解除する請求項1又は2に記載のアイドリングストップ制御装置。
  4. 前記回転速度算出手段は、前記エンジンの燃焼室の容積変化に基づく回転変動の1周期分となる回転変動期間において所定間隔で前記回転検出値として瞬時回転速度を算出し、
    前記回転予測手段は、前の前記回転変動期間から次の前記回転変動期間に移行する際に、前記前の回転変動期間における前記所定間隔ごとの前記回転検出値に基づいて、前記次の回転変動期間における前記回転予測値を前記所定間隔ごとに算出するものであって、
    前記再始動制限手段は、前記クラッチ操作が生じてから前記回転変動期間に相当する期間が経過した時点で、前記自動再始動の実施制限を解除する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアイドリングストップ制御装置。
  5. 前記エンジンの自動停止によりエンジン回転速度が降下する場合に、そのエンジン回転速度がゼロまで低下した後に前記出力軸が正逆両方向に回転する揺動回転が生じるものであり、
    前記再始動制限手段は、前記出力軸の揺動回転が止まった後に、前記自動再始動の実施制限を解除するものである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアイドリングストップ制御装置。
  6. 前記自動再始動の実施条件が成立した場合に、その条件成立の情報を記憶する手段と、
    前記自動再始動の実施条件の成立後において前記再始動制限手段により前記自動再始動の実施が制限される場合に、その条件成立の情報を記憶し、前記自動再始動の実施制限が解除された後に、前記記憶した条件成立の情報に基づいて前記自動再始動を実施する請求項3乃至5のいずれか1項に記載のアイドリングストップ制御装置。
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