JP2015021453A - 気体圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮室内での過圧縮の発生を防止することができる気体圧縮機を提供する。
【解決手段】シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとが回転軸11の軸周りの1周の範囲で最近接する領域(近接部20)に対して、シリンダ内周面のロータ回転方向上流側近傍に吐出孔25を有し、この吐出孔25に対してロータ回転方向上流側に、ロータ外周面との間の隙間を急激に狭めるようにして圧縮室23aの容積減少率を急激に高めるための段差領域Aが形成されており、ロータ回転方向に沿って相前後する前側と後側の2つのベーン15b,15cのうちの後側のベーン15bが段差領域Aに当接した際に、圧縮室23aの容積減少率が急激に高められて、該圧縮室23a内の冷却媒体が所定の吐出圧力に達するタイミングで、前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかるように、吐出孔25の位置が設定されている。
【選択図】図2
【解決手段】シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとが回転軸11の軸周りの1周の範囲で最近接する領域(近接部20)に対して、シリンダ内周面のロータ回転方向上流側近傍に吐出孔25を有し、この吐出孔25に対してロータ回転方向上流側に、ロータ外周面との間の隙間を急激に狭めるようにして圧縮室23aの容積減少率を急激に高めるための段差領域Aが形成されており、ロータ回転方向に沿って相前後する前側と後側の2つのベーン15b,15cのうちの後側のベーン15bが段差領域Aに当接した際に、圧縮室23aの容積減少率が急激に高められて、該圧縮室23a内の冷却媒体が所定の吐出圧力に達するタイミングで、前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかるように、吐出孔25の位置が設定されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、気体圧縮機に関し、詳細にはベーンロータリー型の気体圧縮機の改良に関する。
例えば、自動車などの車両には、車室内の温度調整を行うための空調装置が設けられている。このような空調装置は、冷媒(冷却媒体)を循環させるようにしたループ状の冷媒サイクルを有しており、この冷媒サイクルは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁が順に設けられている。
前記空調装置の圧縮機は、蒸発器で蒸発されたガス状の冷媒(冷媒ガス)を圧縮して高圧の冷媒ガスとし、凝縮器へ送出するものである。
このような圧縮機として、従来より、略楕円状の内周面を有するシリンダ内に、先端部がシリンダの内周面に摺接し、突出収納自在に設けた複数枚のベーンを有するロータが回転自在に軸支されたベーンロータリー型の圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このベーンロータリー型の圧縮機は、ロータの回転にともない回転するベーンのシリンダ内周面との摺接によって容積が変化する圧縮室を有し、この圧縮室の容積の増大にともない吸入口を介して冷媒ガスを吸入し、圧縮室の容積の減少にともない吸入した冷媒ガスを圧縮して、高圧の冷媒ガスを吐出口を通して吐出室に吐出する。そして、吐出室から高圧の冷媒ガスを凝縮器側へ送出する。
なお、前記ベーンは、ロータの内側から表面に露出するスリット状のベーン溝に摺動自在に配置されている。そして、このベーンは、ベーン背圧空間等を通してベーン溝内の底部に供給される油による背圧(ベーン背圧)、及び回転するロータの遠心力によって先端側がロータ表面から突出し、ベーンの先端部がシリンダ内周面に当接した状態を維持する。
ところで、ベーンロータリー形式の圧縮機は、冷媒ガスを急激に圧縮するために圧縮室内で過圧縮が生じやすく、その分、動力の損失が大きくなったり、隣接する圧縮室間の圧力差が大きくなって、回転方向下流側の圧縮室から回転方向上流側の圧縮室へ圧縮された冷媒ガスが漏れやくなるなどの原因により、他の形式の気体圧縮機(例えばロータリーピストン型の圧縮機など)よりも効率(成績係数又はCOP(Coefficient of Performance:冷房能力/動力))が低くなる傾向にあった。
そこで、本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、圧縮室内での過圧縮の発生を防止することができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、前記ロータを該ロータの外周面の外方から取り囲む輪郭形状の内周面を有するシリンダと、前記ロータに形成したベーン溝に摺動可能に挿入され、前記ベーン溝に供給された冷凍機油による背圧を受けて前記シリンダの内周面に向けて突出可能に設けられた複数枚の板状のベーンと、前記ロータおよび前記シリンダの両端をそれぞれ塞ぐ2つのサイドブロックとを備え、前記ベーンは、ベーン先端が前記シリンダの内周面に当接して前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることにより複数の圧縮室を形成するものであり、これら形成された各圧縮室が前記ロータの1回転の期間に、媒体の吸入、圧縮及び吐出を1サイクルのみ行うように、前記シリンダの内周面の輪郭形状が設定された気体圧縮機であって、前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面とが前記回転軸の軸周りの1周の範囲で最近接する領域に対して、前記シリンダの内周面の前記ロータの回転方向上流側近傍に、前記圧縮室で圧縮された媒体を外部に吐出するための吐出孔を有し、前記シリンダの内周面の前記吐出孔に対して前記ロータの回転方向上流側に、前記ロータの外周面との間の隙間を急激に狭めるようにして前記圧縮室の容積減少率を急激に高めるための段差領域が形成されており、前記ロータの回転方向に沿って相前後する前側と後側の2つのベーンのうちの後側のベーンが前記段差領域に当接した際に、この2つのベーンで仕切られた圧縮室で容積減少率が急激に高められて、該圧縮室内の媒体が所定の吐出圧力に達するタイミングで、前記前側のベーンが前記吐出孔にさしかかるように、前記吐出孔の位置が設定されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、前記後側のベーンが前記段差領域を通過後は前記圧縮室の容積減少率が低減されることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、前記吐出孔には、冷媒ガスの圧縮室側への逆流を防止するための吐出弁を設けていないことを特徴としている。
本発明に係る気体圧縮機によれば、ロータ回転方向に沿って前側のベーンが吐出孔にさしかかって圧縮室と吐出孔が連通したときに、圧縮室内の所定の吐出圧力に達している媒体を吐出孔からタイミング良く吐出させることができるので、圧縮室内の媒体の圧力が所定の吐出圧力を超えて過圧縮となることを防止することができる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る気体圧縮機としてのベーンロータリー型の気体圧縮機(以下、「コンプレッサ」という)を示す縦断面図、図2は、図1におけるA−A線に沿った横断面を示す図である。なお、本実施形態のコンプレッサは、電動モータを内蔵している電動コンプレッサである。
(コンプレッサ1の全体構成、動作)
図示のコンプレッサ1は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、「空調システム」という)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する)とともに冷却媒体の循環経路上に設けられている。なお、このような空調システムとしては、例えば、車両(自動車など)の車室内の温度調整を行うための空調装置が挙げられる。
図示のコンプレッサ1は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、「空調システム」という)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する)とともに冷却媒体の循環経路上に設けられている。なお、このような空調システムとしては、例えば、車両(自動車など)の車室内の温度調整を行うための空調装置が挙げられる。
コンプレッサ1は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は圧縮された冷媒ガスを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。そして、高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
コンプレッサ1は、図1に示すように、電動モータ2と圧縮機構部3を内部に収納したハウジング4に、モータ制御部としてのインバータ部5を収納したインバータケース6が複数のボルト(不図示)によって接合されて一体化されている。ハウジング4とインバータケース6との間は仕切り部7によって仕切られており、インバータケース6内にハウジング4内に吸入(供給)される冷媒ガスが漏れないようにしている。圧縮機構部3は、ハウジング4内に複数のボルト8によって固定されている。
ハウジング4内の電動モータ2側の吸入室9には、空調システムの蒸発器(不図示)から低圧の冷媒ガスを該吸入室9に導入する吸入ポート(不図示)が形成されている。一方、ハウジング4内の圧縮機構部3側の吐出室10には、後述する圧縮機構部3で得られた高圧の冷媒ガスを空調システムの凝縮器(不図示)に吐出する吐出ポート(不図示)が形成されている。
電動モータ2は、圧縮機構部3を駆動する駆動源であり、電動モータ2の回転軸(シャフト)11が、圧縮機構部3のロータ12の中心貫通孔に嵌合されている。電動モータ2は、例えば周知の3相同期モータであり、インバータ部5によって回転数制御される。回転軸11は、軸受に回転可能に支持されている。
インバータ部5は、外部のバッテリから供給される直流電力を三相交流電力に変換して電動モータ2に供給するととともに、電動モータ2の回転数を空調システム(不図示)の運転状況に応じて制御する。インバータ部5と電動モータ2は、気密端子13を介して電気的に接続されている。
圧縮機構部3は、電動モータ2の前記回転軸11と、該回転軸11と一体的に回転する略円柱状のロータ12と、このロータ12をその外周面12aの外方から取り囲む輪郭形状の内周面14aを有するシリンダ14と、ロータ12の外周面12aからシリンダ14の内周面14aに向けて突出自在に設けられた3枚の板状のベーン15a,15b,15c(図2参照)と、ロータ12及びシリンダ14の両端を塞ぐ2つのサイドブロック(フロントサイドブロック16、リヤサイドブロック17)とを備えている。
フロントサイドブロック16とリヤサイドブロック17の外周面には、それぞれOリング等のシール部材が外周面の全周にわたって設置されており、フロントサイドブロック16側のハウジング4内に形成された吸入室9と、リヤサイドブロック17側のハウジング4内に形成された吐出室10との間を気密性よく仕切っている。リヤサイドブロック17の外面には、油分離部18が吐出室10内に位置するようにして取付けられている。
図2に示すように、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aと両サイドブロック16,17(図1参照)との間には、単一のシリンダ室19が形成されている。なお、図1では、シリンダ室19に突出しているベーンは省略している。
具体的には、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとが、回転軸11の軸回りの1周(角度360度)の範囲で1箇所(図2の近接部20)だけ略接(最近接)するように、シリンダ14の内周面14aの輪郭形状が設定されていて、これにより、シリンダ室19は単一の略三日月形状の空間を形成している。本発明の特徴であるシリンダ14の内周面14aの輪郭形状の詳細については後述する。
なお、シリンダ14の内周面14aの輪郭形状のうち、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとが最も近接した領域である近接部20は、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとが最も離れた領域である遠隔部21から、本実施形態ではロータ12の回転方向W(図2において時計回り方向)に沿って下流側に角度270度程度離れた位置に設定されている。
ベーン15a,15b,15cは、ロータ12に形成されたベーン溝21に摺動自在に嵌め込まれていて、ベーン溝22に供給される冷凍機油による背圧により、ロータ12の外周面12aから外方に突出する。また、ベーン15a,15b,15cは、単一のシリンダ室19を複数の圧縮室23に区画するものであり、ロータ12の回転方向Wに沿って相前後する2つのベーン(例えば、ベーン15a,15b)によって1つの圧縮室23が形成される。なお、各ベーン15a,15b,15cは、回転軸11回りに角度120度の等角度間隔で設置されている。
シリンダ室19の近接部20に対してロータ12の回転方向下流側の部分には、フロントサイドブロック16に形成された、吸入室9に通じる吸入孔24が臨んでいる。
一方、シリンダ室19の近接部20に対してロータ12の回転方向上流側付近の、シリンダ14の内周面14aには吐出孔25が形成されている。
吐出孔25は、シリンダ14の外周面側にハウジング4の内周面との間に形成された空間としての吐出チャンバ26に連通している。また、リヤサイドブロック17には、吐出チャンバ26とリヤサイドブロック17の外面(吐出室10に向いた面)に取付けられた油分離部18との間を連通している吐出路27が形成されている。
シリンダ室19の近接部20に対してロータ12の回転方向下流側では、ロータ12の回転方向Wへの回転に伴って圧縮室23の容積が拡大していき、吸入孔23を通じて圧縮室22内に低圧の冷媒ガスG1が吸入される行程(吸入行程)となる。
次いで、シリンダ室19の遠隔部21に対してロータ12の回転方向下流側に向かって、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとの間隔が徐々に小さくなるように、シリンダ14の内周面14aの輪郭形状が設定されていて、その範囲ではロータ12の回転に伴って圧縮室23の容積が減少していき、圧縮室23内の冷媒ガスが圧縮される行程(圧縮行程)となる。
そして、上記の圧縮行程の後期側で、ロータ12の回転にともなってシリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとの間隔が後述するように急激に小さくなることで冷媒ガスの圧縮がさらに進み、冷媒ガスの圧力が吐出圧力に達すると、高圧の冷媒ガスG2は吐出孔25に吐出される行程(吐出行程)となる。
このように、このコンプレッサ1(圧縮機構部3)では、ロータ12の1回転の間に、冷媒ガスの吸入行程、圧縮行程、吐出行程を1サイクル行って、吸入室9から吸入された低圧の冷媒ガスを高圧にして、吐出孔25から吐出させることができる。
油分離部18は、冷媒ガスと混ざった冷凍機油(ロータ12に形成されたベーン溝221からシリンダ室19(圧縮室23)に漏れたベーン背圧用の油)を冷媒ガスから分離するものであり、吐出孔25に吐出されて、吐出チャンバ26、吐出路27を通って導入された高圧の冷媒ガスを、螺旋状に旋回させることで冷凍機油を遠心分離するように構成されている。
そして、油分離部18内で冷媒ガスから分離された冷凍機油R(図1参照)は吐出室10の底部に溜まり、冷凍機油Rが分離された後の高圧の冷媒ガスは、吐出室10の吐出ポート(不図示)を通って凝縮器(不図示)に吐出される。
吐出室10の底部に溜められた冷凍機油は、吐出室10の高圧雰囲気により、リヤサイドブロック17に形成された油路17a及び背圧供給用の凹部であるサライ溝28,29を通じて、並びにリヤサイドブロック17に形成された油路17a,17b、シリンダ14に形成された油路30、フロントサイドブロック16に形成された油路31及びフロントサイドブロック16に形成された背圧供給用の凹部であるサライ溝32,33を通じて、それぞれロータ12のベーン溝22に供給され、ベーン15a,15b,15cを外方に突出させる背圧となる。
(シリンダ14の内周面14aの輪郭形状の詳細)
図2に示したように、シリンダ室19の遠隔部21に対してロータ12の回転方向下流側に向かって、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとの間隔が徐々に小さくなるように、シリンダ14の内周面14aの輪郭形状が設定されているが、途中でシリンダ14の内周面14aの周方向(ロータ12の回転方向)に沿って斜面状の段差領域Aが形成されている。この段差領域Aを設けることで、ロータ12の外周面12aとの間の隙間が急激に狭まり、ベーン15bとベーン15cで仕切られた圧縮室23aの容積減少率を急激に高めることができる。
図2に示したように、シリンダ室19の遠隔部21に対してロータ12の回転方向下流側に向かって、シリンダ14の内周面14aとロータ12の外周面12aとの間隔が徐々に小さくなるように、シリンダ14の内周面14aの輪郭形状が設定されているが、途中でシリンダ14の内周面14aの周方向(ロータ12の回転方向)に沿って斜面状の段差領域Aが形成されている。この段差領域Aを設けることで、ロータ12の外周面12aとの間の隙間が急激に狭まり、ベーン15bとベーン15cで仕切られた圧縮室23aの容積減少率を急激に高めることができる。
この段差領域Aは、ロータ12の外周面12a側に急激に近接するような傾斜面形状に形成されている。
図3は、ロータ12(回転軸11)を中心として、シリンダ14の内周面14aの半径方向距離(半径)のロータ12の回転方向に沿った変化を示している。なお、図3の縦軸は、シリンダ内周面の半径方向距離であり、半径方向距離が大きくなるとロータ12の外周面12aから離れていき(両者の隙間が広くなる)、半径方向距離が小さくなるとロータ12の外周面12aに近づいている(両者の隙間が狭くなる)。
また、図3の横軸は、シリンダ14の内周面14aの全周(360度)であり、ロータ12の回転角度(0〜360度)に対応し、ロータ12の回転方向(図2では右回転方向)に沿って0度の位置を近接部20付近(図2参照)として、ロータ12を1回転(360度)させたときの回転角度である。
図3において、回転角度90度付近の位置が遠隔部21(図2参照)であり、シリンダ14の内周面14aの半径方向距離が最も大きい。また、回転角度220度〜245度付近の位置が前記段差領域A(図2、図3参照)であり、半径方向距離が急激に小さくなっている。
図4(a)は、シリンダ14の内周面14aのロータ12の回転方向Wに沿った段差領域Aと吐出孔25の位置と、相前後する2つのベーン(図4(a)では、ベーン15b,15c)との位置関係を平面状にして示した模式図である。なお、図4(a)において、シリンダ14の内周面14aを平坦状としているが、実際には段差領域Aでは急激にロータ12の外周面側に傾斜している。
図4(a)に示すように、ロータ12の回転方向Wに沿って前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかるときに、ロータ12の回転方向Wに沿って後側のベーン15bが段差領域Aに位置しており、本実施形態では、このときの相前後する2つのベーン15b,15cによって仕切られた圧縮室23aの容積が急激に減少して、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が所定の吐出圧力に直ちに(急激に)達するように設定されている。
即ち、図4(a)に示したように、ロータ12の回転にともない後側のベーン15bが段差領域Aに当接することによって圧縮室23aの容積減少率が急激に高められ、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が直ちに所定の吐出圧力に達する。なお、後側のベーン15bが段差領域Aを通過すると、圧縮室23aの容積減少率が減少し、かつ前側のベーン15cが吐出孔25を通過して冷媒ガスが吐出されるので、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が所定の吐出圧力を超える過圧縮状態になることはない。
そして、図4(b)に示すように、ロータ12の回転(回転方向W)にともなって前側のベーン15cが吐出孔25に達して通過することで、圧縮室23a内の所定の吐出圧力に達している冷媒ガスG2が吐出孔25から吐出される。
なお、図2では、前側のベーン15cが吐出孔25のロータ回転方向上流側に位置して、後側のベーン15bが段差領域Aのロータ回転方向上流側に位置しており、このときの相前後する2つのベーン15b,15cによって仕切られた圧縮室23aでは冷媒ガスの圧力が所定の吐出圧力にまだ達していない。よって、図2では、ロータ12が更に回転して、前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかって、圧縮室23aと吐出孔25とが連通するときに、後側のベーン15bが段差領域Aに位置することで、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が直ちに(急激に)所定の吐出圧力に達する。
なお、本実施形態では、図2において、吸入孔24を通して圧縮室23内に吸入される冷媒ガスの吸入圧力に対して、圧縮比が4〜6となるような吐出圧力となったタイミングで、上記したように前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかるように、吐出孔25の位置を設定し、かつ後側のベーン15bが段差領域Aに位置するように、段差領域Aの位置を設定している。
このように、ロータ12の回転にともない後側のベーン15bが段差領域Aに当接することによって圧縮室23aの容積減少率が急激に高められることで、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が直ちに所定の吐出圧力に達し、冷媒ガスが所定の吐出圧力に達するこのタイミングに応じて、前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかって連通するように、吐出孔25の位置を設定している。
よって、ロータ12の回転にともなって前側のベーン15cが吐出孔25にさしかかって連通したときに、圧縮室23a内の所定の吐出圧力に達した冷媒ガスを吐出孔25からタイミング良く吐出させることができるので、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が所定の吐出圧力を超えて過圧縮となることはない。これにより、コンプレッサ1の運転時での動力の損失を抑えることができる。
ところで、前記コンプレッサ1を含む空調システム(空調装置)の運転状況によっては、図4(a)において、この圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力(所定の吐出圧力よりも少し低い圧力)よりも吐出室10側(吐出孔25の外側)の冷媒ガスの圧力の方が相対的に高くなっていることがある。この場合には、前側のベーン15cが吐出孔25の内周面にかかって圧縮室23aと吐出孔25が連通した直後に、吐出室10(吐出孔25の外側)から冷媒ガスの一部が吐出孔25を通して圧縮室23a側に逆流することがある。
しかしながら、本実施形態のコンプレッサ1は、図2、図4(a),(b)に示したように、ロータ12の回転にともない後側のベーン15bが段差領域Aに当接することによって圧縮室23aの容積減少率が急激に高められて、圧縮室23aの冷媒ガスの圧力が直ちに所定の吐出圧力に達し、吐出室10側(吐出孔25の外側)の冷媒ガスの圧力よりも高くなる。
このため、仮に前側のベーン15cが吐出孔25の内周面にかかって圧縮室23aと吐出孔25が連通した直後に、吐出室10(吐出孔25の外側)から冷媒ガスの一部が吐出孔25を通して圧縮室23a側に逆流しても、直ぐにこの逆流が阻止されて、圧縮室23aから吐出孔25を通して外側(吐出室10側)に所定の吐出圧力に達した冷媒ガスが吐出される。
このように、コンプレッサ1を含む空調システム(空調装置)の運転状況によって、仮に前側のベーン15cが吐出孔25の内周面にかかって圧縮室23aと吐出孔25が連通した直後に、吐出室10(吐出孔25の外側)から冷媒ガスの一部が吐出孔25を通して圧縮室23a側に逆流しても直ぐにこの逆流を阻止できるので、冷媒ガスの逆流量は少なく、動力損失等の問題とはならない程度である。
よって、図2に示すように、吐出孔25には、冷媒ガスの圧縮室23a側への逆流を防止するための吐出弁を設ける必要なく、この吐出弁の開閉にともなう打音(騒音)が発生することもない。
また、コンプレッサ1を含む空調システム(空調装置)の運転状況によって、圧縮室23aから吐出孔25を通して外側(吐出室10側)に吐出される冷媒ガスの吐出圧力が変化(変動)する場合がある。このような場合でも、図4(a),(b)に示したように、ロータ12の回転(回転方向W)にともなって前側のベーン15cが吐出孔25に達して、圧縮室23aと吐出孔25とが連通するタイミングで後側のベーン15bが段差領域Aに位置することで、圧縮室23a内の冷媒ガスの圧力が、変化した吐出圧力に直ちに達して、吐出孔25から吐出させることができる。
よって、コンプレッサ1を含む空調システム(空調装置)の運転状況によって、圧縮室23aから吐出孔25を通して外側(吐出室10側)に吐出される冷媒ガスの吐出圧力が変化(変動)した場合でも、冷媒ガスの過圧縮や逆流が発生することを防止することができる。
なお、前記実施形態では、3枚のベーンを備えた構成であったが、これに限らず、例えば5枚のベーンが等角度間隔で配置されたコンプレッサ(ベーンロータリー型の気体圧縮機)においても、同様に本発明を適用することができる。
1 コンプレッサ(気体圧縮機)
2 電動モータ
3 圧縮機構部
4 ハウジング
5 インバータ部
12 ロータ
14 シリンダ
15a,15b,15c ベーン
18 油分離部
19 シリンダ室
23、23a 圧縮室
25 吐出孔
A 段差領域
2 電動モータ
3 圧縮機構部
4 ハウジング
5 インバータ部
12 ロータ
14 シリンダ
15a,15b,15c ベーン
18 油分離部
19 シリンダ室
23、23a 圧縮室
25 吐出孔
A 段差領域
Claims (3)
- 回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、
前記ロータを該ロータの外周面の外方から取り囲む輪郭形状の内周面を有するシリンダと、
前記ロータに形成したベーン溝に摺動可能に挿入され、前記ベーン溝に供給された冷凍機油による背圧を受けて前記シリンダの内周面に向けて突出可能に設けられた複数枚の板状のベーンと、
前記ロータおよび前記シリンダの両端をそれぞれ塞ぐ2つのサイドブロックとを備え、
前記ベーンは、ベーン先端が前記シリンダの内周面に当接して前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成された空間を仕切ることにより複数の圧縮室を形成するものであり、これら形成された各圧縮室が前記ロータの1回転の期間に、媒体の吸入、圧縮及び吐出を1サイクルのみ行うように、前記シリンダの内周面の輪郭形状が設定された気体圧縮機であって、
前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面とが前記回転軸の軸周りの1周の範囲で最近接する領域に対して、前記シリンダの内周面の前記ロータの回転方向上流側近傍に、前記圧縮室で圧縮された媒体を外部に吐出するための吐出孔を有し、
前記シリンダの内周面の前記吐出孔に対して前記ロータの回転方向上流側に、前記ロータの外周面との間の隙間を急激に狭めるようにして前記圧縮室の容積減少率を急激に高めるための段差領域が形成されており、
前記ロータの回転方向に沿って相前後する前側と後側の2つのベーンのうちの後側のベーンが前記段差領域に当接した際に、この2つのベーンで仕切られた圧縮室で容積減少率が急激に高められて、該圧縮室内の媒体が所定の吐出圧力に達するタイミングで、前記前側のベーンが前記吐出孔にさしかかるように、前記吐出孔の位置が設定されていることを特徴とする気体圧縮機。 - 前記後側のベーンが前記段差領域を通過後は、前記圧縮室の容積減少率が低減されることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
- 前記吐出孔には、冷媒ガスの圧縮室側への逆流を防止するための吐出弁を設けていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体圧縮機。
Priority Applications (1)
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JP2013151542A JP2015021453A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 気体圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013151542A JP2015021453A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 気体圧縮機 |
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JP2015021453A true JP2015021453A (ja) | 2015-02-02 |
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ID=52486115
Family Applications (1)
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JP2013151542A Pending JP2015021453A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 気体圧縮機 |
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2013
- 2013-07-22 JP JP2013151542A patent/JP2015021453A/ja active Pending
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