JP5826715B2 - 気体圧縮機 - Google Patents

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Description

この発明は、効率を向上し得るようにした気体圧縮機に関するものである。
自動車などの車両には、車室内の温度調整を行うための空調装置(空気調和装置)が備えられている。
この空調装置は、冷媒(冷却媒体)を循環させるようにしたループ状の冷媒サイクルを備えており、この冷媒サイクルには、蒸発器、気体圧縮機、凝縮器、膨張弁、が順に設けられている。
そして、上記した気体圧縮機は、蒸発器で蒸発されたガス状の冷媒(冷媒ガス)を圧縮して高温高圧の冷媒ガスとし、凝縮器へ送出するものである。
このような気体圧縮機には、ベーンロータリー型のコンプレッサ(ベーンロータリーコンプレッサ)がある(例えば、特許文献1参照)。
このベーンロータリー型のコンプレッサは、中空のシリンダ部材と、このシリンダ部材の内部に回転自在に配設されたロータと、このロータに突出収納自在に取付けられて先端がシリンダ部材の内周面に摺接することによりシリンダ部材の内部に複数の圧縮室を形成可能な複数枚のベーンとを備えている。
そして、上記したシリンダ部材とロータとの間に、上記圧縮室の容積を変化させることにより冷媒ガスの圧縮サイクルを行わせるシリンダ室が形成され、このシリンダ室の上流側に冷媒ガスを吸入可能な吸入部を設けると共に、下流側に冷媒ガスを吐出可能な吐出部を設けるようにしている。
特開昭54−28008号公報
しかしながら、上記圧縮機には、以下のような問題があった。
即ち、ベーンロータリー型のコンプレッサは、他の方式の圧縮機と比べて効率(成績係数またはCOP(Coefficient Of Performance:冷房能力/動力))が低くなる傾向にあった。
これは、以下のような原因によるものと考えられる。
即ち、ベーンロータリー型のコンプレッサは、
1.冷媒ガスを急激に圧縮するため、過圧縮が生じ易く、その分、動力の損失が大きくなる、
2.冷媒ガスを急激に圧縮するため、隣接する圧縮室間の圧力差が大きくなり、圧力差によってベーンから冷媒ガスが漏れ易くなる、
というものである。
このことは、特に、高負荷運転の時などに問題となっている。なお、この問題は、上記コンプレッサにより圧縮される対象が冷媒ガスの場合にのみ起こることではなく、気体一般についても同様である。
上記課題を解決するために、本発明に係る気体圧縮機は、中空のシリンダ部材と、該シリンダ部材の内部に回転自在に配設されたロータと、該ロータに突出収納自在に取付けられて先端がシリンダ部材の内周面に摺接することにより前記シリンダ部材の内部に複数の圧縮室を形成可能な複数枚のベーンとを備え、前記シリンダ部材とロータとの間に、前記圧縮室の容積を変化させることにより冷媒ガスなどの気体の圧縮サイクルを行わせるシリンダ室を形成し、該シリンダ室の上流側に気体を吸入可能な吸入部を設けると共に、下流側に気体を吐出可能な吐出部を設けた気体圧縮機において、前記シリンダ部材とロータとの間に、両者が近接する近接部を1箇所のみ設けることによって、気体の圧縮サイクルを各圧縮室につき1周に1回のみ行う単一のシリンダ室を形成し、前記シリンダ室は、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面とが最も遠い最大間隔部が、前記近接部の前記ロータの回転中心を挟んで対向する位置よりも前記回転方向の上流側に偏った非対称であり、前記吐出部の上流側に、圧縮室内の気体の圧力が吐出圧に達した時に、当該圧縮室の圧力を抜くことにより、前記吐出圧に保持させる副吐出部を少なくとも1個以上設け、前記副吐出部が、隣接する吐出部に対して、隣接するベーンの先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔を有して、かつ前記圧縮室を形成する回転方向の下流側のベーンが前記吐出部に臨んだ状態で前記下流側のベーンよりも回転方向の上流側のベーンに近い位置に形成されていることを特徴としている。
または、本発明に係る気体圧縮機において、前記ベーンの回転方向に沿って相前後する前記吐出部と前記副吐出部との間の互いに最も近接した縁部間の、前記シリンダの内周面に沿った長さ、または前記ベーンの回転方向に沿って相前後する2つの前記副吐出部の間の互いに最も近接した縁部間の、前記シリンダの内周面に沿った長さが、前記回転方向に沿って相前後する2つのベーンの先端がそれぞれ前記シリンダの内周面に接触した接触点間の、前記シリンダの内周面に沿った長さよりも短くなるように、前記副吐出部が設置されていることが好ましい。
上述した本発明に係る気体圧縮機において、前記副吐出部と、隣接する吐出部または副吐出部とが、圧縮室内からの気体の吐出が途切れない間隔に配置されていることが好ましい。
さらにまた本発明に係る気体圧縮機において、前記シリンダ室におけるシリンダ部材とロータとの半径方向の間隔が最大となる前記最大間隔部を、前記近接部から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定していることが好ましい。
本発明に係る気体圧縮機によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、シリンダ室を単一化して気体の圧縮サイクルを各圧縮室につき1周に1回のみ行うようにすることにより、気体を緩やかに圧縮することが可能となる。これにより、必要な動力を削減すると共に、隣接する圧縮室の間の差圧を少なくしてベーンから気体が漏れて体積効率が低下するのを防止することができる。
また、吐出部の上流側に少なくとも1個以上の副吐出部を設けることにより、圧縮室内の気体の圧力が吐出圧に達した時に、副吐出部から当該圧縮室の圧力を抜いて吐出圧に保たせることができるようになるので、圧縮室内が過圧縮となるのを確実に防止することが可能となる。これにより、過圧縮による無駄な動力消費を抑えて効率アップを図ることができる。
本発明において、副吐出部が、隣接する吐出部または副吐出部に対して、隣接するベーンの先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔を有して設置されている好ましい構成によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、副吐出部と、隣接する吐出部または副吐出部とを、隣接するベーンの先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔に配置することにより、副吐出部を、過圧縮の防止に必要な位置に効率的に配置することが可能となる。
本発明において、ベーンの回転方向に沿って相前後する吐出部と副吐出部との間の互いに最も近接した縁部間の、シリンダの内周面に沿った間隔、またはベーンの回転方向に沿って相前後する2つの副吐出部の間の互いに最も近接した縁部間の、シリンダの内周面に沿った間隔が、回転方向に沿って相前後する2つのベーンの先端がそれぞれシリンダの内周面に接触した接触点間の、シリンダの内周面に沿った間隔よりも短くなるように、副吐出部が設置されている好ましい構成によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、回転方向に沿って相前後する2つのベーンによって区画された圧縮室は、吐出部に臨む以前の段階では副吐出部に臨み、その圧縮室の回転方向上流側(後ろ側)のベーンが副吐出部を通り過ぎる前の段階で、その圧縮室の回転方向下流側(前側)のベーンが吐出部に臨む状態となるため、副吐出部を、過圧縮の防止に必要な位置に効率的に配置することが可能となる。
本発明において、副吐出部と、隣接する吐出部または副吐出部とが、圧縮室内からの気体の吐出が途切れない間隔に配置されている好ましい構成によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、副吐出部と、隣接する吐出部または副吐出部とを、圧縮室内からの気体の吐出が途切れない間隔に配置することにより、圧縮室内からの気体の吐出が途切れることによってその間に新たに過圧縮が生じるのを防止することができる。
本発明において、シリンダ室におけるシリンダ部材とロータとの半径方向の間隔が最大となる前記最大間隔部を、前記近接部から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定している好ましい構成によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、シリンダ室におけるシリンダ部材とロータとの半径方向の間隔が最大となる最大間隔部を、近接部から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定したことにより、吸入行程をより早いタイミングで終了することができるようになり、これによって、圧縮行程や吐出行程を有利に行わせて、効率の向上を図ることが可能になる。
本発明の実施例にかかる気体圧縮機を側方から見た断面図である。 図1のコンプレッサ部のA−A線に沿った断面図である。 この実施例の効果を説明するための圧力と回転角度との関係を示すグラフである。 (a)は、吐出部の上流側に設置されている副吐出部の縁部と吐出部の縁部との間の長さとベーン間の長さとの大小関係を示す模式図であり、(b)は吐出部の上流側に2つ以上の副吐出部が設けられている場合の、相前後する2つの副吐出部の縁部間の長さとベーン間の長さとの大小関係を示す模式図である。 他の実施形態を示す図4相当の図であり、(a)は、吐出部の上流側に設置されている副吐出部の縁部と吐出部の縁部との間の長さとベーン間の長さとの大小関係を示す模式図であり、(b)は吐出部の上流側に2つ以上の副吐出部が設けられている場合の、相前後する2つの副吐出部の縁部間の長さとベーン間の長さとの大小関係を示す模式図である。
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図5は、この実施例およびその変形例を示すものである。
<構成>以下、構成について説明する。
自動車などの車両には、車室内の温度を調節するための空調装置(空気調和装置)が備えられている。
この空調装置は、冷却媒体(以下、冷媒という。)を循環させるようにしたループ状の冷媒サイクルを備えており、この冷媒サイクルには、蒸発器、気体圧縮機、凝縮器、膨張弁、が順に設けられている。
そして、上記した気体圧縮機は、蒸発器で蒸発された気体の一例としてのガス状の冷媒(以下、冷媒ガスという。)を圧縮して高温高圧の冷媒ガスとし、凝縮器へ送出するものである。
このような気体圧縮機には、各種のものが存在しており、そのうち、ベーンロータリー型のコンプレッサ(ベーンロータリーコンプレッサ)は、以下のような構造を備えている。なお、以下は、電動式のベーンロータリーコンプレッサの例である。但し、電動式に限るものではない。
図1に示すように、このコンプレッサ1の本体は、フロントカバー2と、本体ケース4とで主に構成されている。「フロントカバー2」は、蓋状のものとされ、「本体ケース4」は、一端が開口された容器状のものとされて、フロントカバー2によって本体ケース4の開口部が閉止されるようになっている。
このコンプレッサ1の内部には、軸心位置に、回転軸6が配設されている。この回転軸6は、コンプレッサ1の本体の内部に設けられた軸受部7〜9によって回転自在に支承されている。そして、回転軸6の一端側を軸支する軸受部7は、フロントカバー2に設けられている。また、回転軸6の他端側を軸支する軸受部8,9については後述する。
このコンプレッサ1の内部には、モータ部11と、コンプレッサ部12とが備えられている。上記した回転軸6は、モータ部11と、コンプレッサ部12とで共用されている。
上記した「モータ部11」は、回転軸6の一端側外周に取付けられたロータ11aと、このロータ11aを包囲するようにフロントカバー2の一端側の内部に取付けられたステータ11bとを備えている。例えば、ロータ11aは永久磁石とされ、ステータ11bは電磁石などとされて、多相ブラシレス直流モータなどを構成している。但し、ロータ11aとステータ11bとの構成は、これに限るものではない。そして、モータ部11は、フロントカバー2に取付けられた電源コネクタ11cから供給される電力によってステータ11bの電磁石を励磁し、ロータ11aとステータ11bとの間に回転磁界を発生させることにより、回転軸6を回転駆動させ得るものとされている。電源コネクタ11cとステータ11bとの間には、必要に応じてインバータ回路11dなどが設けられる。
なお、機械式のコンプレッサ1の場合には、上記したモータ部11を設ける代りに、回転軸6をフロントカバー2から外部へ突出させて、突出された回転軸6の先端部に、車両のエンジンからの動力をベルトなどの駆動力伝達手段を介して回転軸6に伝達するための駆動用ベルトプーリが取付けられる。
一方、上記した「コンプレッサ部12」は、主に、圧縮部15と、油分離部16とを備えている。
このうち、上記した「圧縮部15」は、図2に示すように、中空のシリンダ部材21(シリンダブロック)と、このシリンダ部材21の内部に回転自在に配設されたロータ22と、ロータ22に突出収納自在に取付けられて先端がシリンダ部材21の内周面21aに摺接することにより、シリンダ部材21の内部に複数の圧縮室24を形成可能な複数枚のベーン25とを備えている。
そして、上記したシリンダ部材21とロータ22との間の空間に、上記圧縮室24の容積を変化させることにより冷媒ガス26の圧縮サイクルを行わせるシリンダ室27が形成される。このシリンダ室27の(ロータ22の回転方向の)上流側に冷媒ガス26を吸入可能な吸入部28を設けると共に、シリンダ室27の下流側に冷媒ガス26を吐出可能な吐出部29(主吐出部)を設けるようにしている。
一方、上記した「油分離部16」は、特に詳細には説明しないが、遠心力を利用して圧縮部15で圧縮された冷媒ガス26中に含まれる冷凍機油を分離させるようにしたもの(遠心分離器)である。この油分離部16は、図1に示すように、後述するリヤサイドブロック32の他端側に取付けられると共に、本体ケース4の内部に収容されている。油分離部16で分離された重い冷凍機油は、本体ケース4内の底部に溜められ、また、冷凍機油が分離された軽い冷媒ガス26は、本体ケース4内の上部空間を通って外部へ吐出される。
次に、上記した圧縮部15の詳細について説明する。
上記した「シリンダ部材21」は、図1に示すように、本体ケース4の他端側の内部に取付けられている。シリンダ部材21は、本体ケース4の内径とほぼ等しい外径を有する所要厚さの円板状部材とされる。このシリンダ部材21の中央部には、ロータ22を収容するための中空部が軸線方向に同一形状となるように形成されている。このシリンダ部材21の一端側および他端側は、フロントサイドブロック31およびリヤサイドブロック32によって挟着された状態で閉止されている。
「フロントサイドブロック31」および「リヤサイドブロック32」は、本体ケース4の内径とほぼ等しい外径を有する所要厚さの円板状部材とされる。フロントサイドブロック31およびリヤサイドブロック32は、シール部材を介して本体ケース4の内周面21aに気密状態で嵌合されており、上記したフロントサイドブロック31は、本体ケース4にボルトなどの締結具33を用いて締結固定されている。なお、本体ケース4の内部には、フロントサイドブロック31を、回転軸6の軸線方向へ位置決めおよび係止可能な係止壁部4aが設けられている。
そして、フロントサイドブロック31およびリヤサイドブロック32には、回転軸6の一端側を軸支するための上記軸受部8,9となる軸孔がそれぞれ形成されている。
また、上記した吸入部28は、フロントサイドブロック31に設けられ、吐出部29はリヤサイドブロック32に設けられる。図2に示すように、「吸入部28」は、圧縮室24へ冷媒ガス26を吸入させる窓状の吸入口28aと、吸入口28aへ冷媒ガス26を導く吸入路28bとを有している。一方、「吐出部29」は、圧縮室24から冷媒ガス26を吐出させる吐出穴29aと、吐出穴29aから吐出された冷媒ガス26を収容可能な吐出室29bと、吐出室29bの冷媒ガス26を外部(油分離部16)へ導く吐出路29cとを有している。吐出穴29aと吐出室29bとの間には、吐出弁29d(逆止弁)が備えられている。
また、上記した「ロータ22」は、上記回転軸6の他端側外周に取付けられている。この場合には、ロータ22は、シリンダ部材21と同一肉厚を有する真円形の円板状のものとされると共に、その中心に回転軸6が取付けられて、回転軸6と同心状に回転し得るものとされている。このロータ22の両端面は、上記したフロントサイドブロック31およびリヤサイドブロック32の内側面に対して摺接される。
そして、上記した「ベーン25」は、ロータ22に対して、周方向に等しい間隔で設けられた複数のベーン溝35のそれぞれに対して突出収納自在に収容配置されている。この場合、ベーン25は、5枚とされ、ベーン溝35は5個とされている。但し、ベーン25の枚数やベーン溝35の設置個数は、これに限るものではない。ベーン25の先端は、シリンダ部材21の内周面21aに倣うことができるように曲面状をしている。ベーン25およびベーン溝35は、ロータ22の半径方向へ延びるものとしても良いし、ロータ22の半径方向に対して所要角度の傾斜を有するものとしても良い。ベーン溝35の奥部にはベーン25を突出させるための背圧を付与可能な背圧室36が形成されている。そして、背圧によって突出したベーン25の先端がシリンダ部材21の内周面21aに押付けられることにより、ロータ22とシリンダ部材21との間の空間(シリンダ室27)に、隣接する一対のベーン25で囲まれた上記圧縮室24が形成されるようにしている。
次に、圧縮部15を除いた冷媒ガス26の経路について説明する。
図1に示すように、コンプレッサ1には、冷媒ガス26の吸入ポート41と、吐出ポート42とが設けられる(正確には図示せず)。このうち、吸入ポート41はフロントカバー2に設けられ、吐出ポート42は本体ケース4の他端側に設けられる。吸入ポート41には、蒸発器からの冷媒ガス26が供給され、吐出ポート42からは凝縮器へ向けて高温高圧の冷媒ガス26が送出される。そして、モータ部11が設けられた本体ケース4の一端側の内部には、吸入ポート41と連通する低圧室43(または吸入室)が形成され、油分離部16が設けられた本体ケース4の他端側の内部には、吐出ポート42と連通する高圧室44が形成される。
更に、低圧室43と、上記したコンプレッサ部12における圧縮部15の吸入部28とが接続または連通される。一方、高圧室44内部の油分離部16と、上記した圧縮部15の吐出部29とが、直接または間接的に接続または連通される。
そして、圧縮部15における冷凍機油の経路について説明する。
リヤサイドブロック32には、高圧室44の底部に溜まった高圧の冷凍機油を、軸受部9(軸孔)へ送るための導油路32aが、ほぼ上下方向へ向けて設けられている。また、リヤサイドブロック32のロータ22側の面には、軸受部9と回転軸6との間の狭い隙間を通った冷凍機油を背圧室36へ送ることにより、各ベーン25に背圧を供給可能なサライ溝32b(背圧供給用周溝部)が形成されている。
一方、シリンダ部材21の下部には、リヤサイドブロック32の導油路32aから分岐された冷凍機油を、フロントサイドブロック31へ送るための図示しない導油路が、横方向へ向けて設けられている。そして、フロントサイドブロック31には、導油路からの冷凍機油を、軸受部8(軸孔)へ送るための図示しない導油路が、ほぼ斜め上方へ向けて設けられている。また、フロントサイドブロック31のロータ22側の面には、軸受部8と回転軸6との間の狭い隙間を通った冷凍機油を背圧室36へ送ることにより、各ベーン25に背圧を供給可能なサライ溝31b(背圧供給用周溝部)が形成されている。
なお、上記した各サライ溝32bおよびサライ溝31bは、図2に示すように、ベーン25を突出させるべき角度範囲に亘って、背圧室36に連通するよう周方向に適宜延設形成される。
そして、以上のような基本的な構造に対し、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
(構成1)
図2に示すように、シリンダ部材21とロータ22との間に、両者が近接する近接部51を1箇所のみ設けることによって、冷媒ガス26の圧縮サイクルを、各圧縮室24につき1周に1回のみ行う単一のシリンダ室27を形成する。
そして、吐出部29の上流側(回転方向の手前側)に、圧縮室24内の冷媒ガス26の圧力が吐出圧P(図3参照)に達した時に、当該圧縮室24の圧力を抜くことにより、吐出圧Pに保持させる副吐出部54を少なくとも1個以上設けるようにする。
ここで、上記した近接部51は、シリンダ部材21とロータ22とが僅少なクリアランスを有して、ほぼ当接に近い状態で近接するものとされる。
上記した副吐出部54は、1つまたは複数設けることができる。なお、副吐出部54は、単に設けたというだけでは有効に機能せず、有効に機能させるためには、圧縮室24内の冷媒ガス26の圧力が吐出圧Pに達する位置55に設ける必要がある。
副吐出部54は、(主)吐出部29と同様に、吐出圧Pに達した圧縮室24から冷媒ガス26を吐出させる吐出穴54aと、吐出穴54aから吐出された冷媒ガス26を収容可能な吐出室54bと、吐出室54bの冷媒ガス26を外部(油分離部16)へ導く吐出路54cとを有している。吐出穴54aと吐出室54bとの間には、吐出弁または圧抜弁54d(逆止弁)が備えられている。
以下、シリンダ室27について説明する。
まず、シリンダ室27は、シリンダ部材21の内周面21aの形状が、近接部51または吸入部28からほぼ最大間隔部52へ向かって概ね容積が増加し(容積増加部)、また、ほぼ最大間隔部52から吐出部29または近接部51へ向かって概ね容積が減少する(容積減少部)ように設定される。なお、圧縮室24の容積が最大となるのは、圧縮室24の両側のベーン25が最大間隔部52を挟んだある一点となるが、この位置はシリンダ室27の形状によって異なる。
そして、冷媒ガス26の圧縮サイクルでは、冷媒ガス26の吸入を行う吸入行程と、冷媒ガス26の圧縮を行う圧縮行程と、冷媒ガス26の吐出を行う吐出行程とが、順に行われる(各圧縮室24ごとに1周につき1回繰り返される。例えば、圧縮室24が5つ有る場合には、1周につき合計5回繰り返される)ようになっているが、概略すると、上記した容積増加部にて吸入行程が行われ、上記した容積減少部にて圧縮行程と吐出行程とが行われることになる。
より詳細には、シリンダ室27の回転方向の前側のベーン25が吸入口28aの上流側の位置を通過してから後側のベーン25が吸入口28aの下流側の位置を通過するまでの区間が吸入行程となる。また、圧縮室24内の冷媒ガス26の圧力が吐出圧に達して吐出弁29dまたは圧抜弁54dが開いてから後側のベーン25が吐出穴29aを通過するまでの区間が吐出行程となる。そして、吸入行程と吐出行程との間の区間が圧縮行程となる。なお、吸入口28aおよび吐出穴29aは、上記した近接部51から下流側および上流側へ若干ズレた位置に設けられており、吐出行程と吸入行程との間は、吐出中の高圧の冷媒ガス26と、吸入中の低圧の冷媒ガス26とをシールするものとされている。そのために、上記した近接部51は、上記した高圧の冷媒ガス26と低圧の冷媒ガス26との間をシールし得るものとされる。そして、上記により、単一のシリンダ室27における圧縮サイクルは、360[度]よりも若干小さい角度範囲の間で行われることになる。
また、上記した圧縮行程の後半部分における、圧縮室24内の冷媒ガス26の圧力が吐出圧Pに達する位置55の周辺に、副吐出部54を設定する。そして、吐出圧Pに達した時に、圧縮室24の回転方向の前側のベーン25が、副吐出部54または吐出部29を通過することにより、圧縮室24が副吐出部54または吐出部29と連通されるようにする。この場合、上記吐出圧Pに達する位置55は、圧縮室24の回転方向の前側のベーン25が、近接部51から角度270[度]の位置またはそれよりももっと下流側となる位置に設定されている。なお、この位置は運転条件によって変化されるものである。但し、上記吐出圧Pに達する位置55は、これに限るものではなく、シリンダ室27の形状によって異なる。そして、上記吐出圧Pに達する位置55までの間に、圧縮室24内の冷媒ガス26が少ない動力で緩やかに吐出圧Pまで圧縮されるように、シリンダ部材21の内周面21aの形状を設定する。これにより、シリンダ部材21の内周面21aは、図示のような非対称形状となる。但し、この圧縮は無駄に緩やかにし過ぎる必要はない。
(構成2)
上記において、副吐出部54が、隣接する吐出部29または副吐出部54に対して、隣接するベーン25の先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔56を有して設置されるようにする。
この場合には、ベーン25を5枚有しているので、副吐出部54と、隣接する吐出部29または副吐出部54との間隔(この場合には角度間隔としているが、距離であっても良い)は、1周の角度360[度]を5で割ったほぼ72[度]かそれ以下に設定する。或いは、ベーン25を4枚有する場合には、上記間隔56は、1周の角度360[度]を4で割ったほぼ90[度]かそれ以下に設定する。ベーン25の枚数が上記以外の場合には、上記間隔56は、上記と同様にして設定する。
そして、上記に伴い、副吐出部54の位置および上記した吐出圧Pに達する位置55が、吐出部29から上記間隔56の整数倍の位置かそれよりも僅かに狭くなる位置となるように設定する。なお、上記した「整数倍」には、有意な誤差が含まれることは勿論である。
なお、構成2における吐出部29と副吐出部54との間隔とは、吐出部29の吐出穴29aの中心の位置と副吐出部54の吐出穴54aの中心の位置との間の、回転軸6回りの角度またはシリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)であり、一方、隣接するベーン25,25の先端間の間隔とは、1つの圧縮室24を仕切っている2つのベーン25,25の中心間の、回転軸6回りの角度またはシリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)である。
同様に、構成2における副吐出部54とこれとは別の副吐出部54との間隔とは、副吐出部54の吐出穴54aの中心の位置と副吐出部54の吐出穴54aの中心の位置との間の、回転軸6回りの角度またはシリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)である。
(構成3)
上記において副吐出部54は、図4(a)に示すように、ベーン25の回転方向に沿って相前後する吐出部29の吐出穴29aと副吐出部54の吐出穴54aとの間の互いに最も近接した各縁部29e,54e間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L2が、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25の先端がそれぞれシリンダ部材21の内周面21aに接触した接触点25a,25a間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L1よりも短くなる(L2<L1)ように、設置されている。
なお、図4(a)は、シリンダ部材21の内周面21aを平面状に記載し、また、ベーン25,25が内周面21aに対して、ともに直交し、互いに平行となる姿勢、位置関係に記載しているが、これは、構成3を模式的に説明する便宜によるものであり、正確には、図2に示したように、シリンダ部材21の内周面21aは、ロータ22の回転に伴って圧縮室24の容積を徐々に小さくするような輪郭形状に形成されており、ベーン25,25も互いに角度72[度]の傾斜角の姿勢、位置関係となっている。
また、副吐出部54が2以上設置されているものにあってはさらに、図4(b)に示すように、ベーン25の回転方向に沿って相前後する2つの副吐出部54,54の吐出穴54a,54aの最も近接した各縁部54e,54e間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L4が、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25の先端がそれぞれシリンダ部材21の内周面21aに接触した接触点25b,25b間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L3よりも短くなる(L4<L3)ように、設置されている。
(構成4)
上記構成1〜3において、特に、副吐出部54と、隣接する吐出部29または副吐出部54とが、圧縮室24内からの冷媒ガス26の吐出が途切れない間隔56に設定されるようにする。特に、構成2で「僅かに狭く」としているのは、圧縮室24内からの冷媒ガス26の吐出が途切れないようにするための調整代を考慮したものである。
この場合には、ベーン25の厚みが原因で吐出が途切れるのを防止するために、上記間隔56(角度間隔など)が、隣接するベーン25の先端間の間隔よりも、ベーン25の厚みのほぼ半分から1枚程度分だけ狭くなるように設定している。なお、上記間隔56は、ただ単純に狭くしたというだけでは意味がなく、機能を有効に発揮し得ないのは勿論である。
(構成5)
上記において、シリンダ室27におけるシリンダ部材21とロータ22との半径方向の間隔が最大となる最大間隔部52を、上記した近接部51から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定する。
好ましくは、上記した最大間隔部52を、吸入行程において上流側のベーン25が通過する区間内における、必要な冷媒ガス26の吸入量を確保できる範囲内で、可能な限り近接部51に近い位置に設定する。
<作用>
以下、この実施例の作用について説明する。
先ず、冷媒ガス26の圧縮について説明する。
蒸発器から供給されて吸入ポート41からコンプレッサ1の内部へ取入れられた冷媒ガス26は、低圧室43を介して、フロントサイドブロック31に設けられた吸入部28から、圧縮部15のロータ22とシリンダ部材21との間の空間(シリンダ室27)へ送られ、この空間の内部で隣接するベーン25によって囲まれた各圧縮室24へ順に供給される。各圧縮室24に供給された冷媒ガス26は、ロータ22の回転によって圧縮されつつリヤサイドブロック32に設けられた吐出部29へと送られ、吐出部29から吐出されると共に、油分離部16を介して高圧室44へ送られ、高圧室44から吐出ポート42を経て外部へ取出され、下流側の凝縮器へと送出される。
この際、圧縮部15では、ロータ22とシリンダ部材21との間の空間には、吸入部28から吐出部29までの間の部分に、各圧縮室24につき1周で1回分の圧縮サイクルを行わせるシリンダ室27が形成されており、この圧縮サイクルによって、圧縮室24ごとに吸入行程、圧縮行程、吐出行程がそれぞれ順に行われ、高温高圧の冷媒ガス26とされる。
次に、コンプレッサ部12における冷凍機油の流れについて説明する。
油分離部16で冷媒ガス26から分離されて高圧室44の底部に溜まった高圧の冷凍機油は、リヤサイドブロック32にほぼ上下方向へ向けて設けられた導油路32aを介して軸受部9(軸孔)へ送られ、軸受部9と回転軸6との間の狭い隙間を通して、リヤサイドブロック32のロータ22側の面に設けられたサライ溝32b(背圧供給用周溝部)へ送られ、サライ溝32bから背圧室36へ供給されて、各ベーン25に背圧を供給する。
同様に、リヤサイドブロック32の導油路32aの冷凍機油は、シリンダ部材21に横方向へ向けて設けられた導油路およびフロントサイドブロック31に斜め上方へ向けて設けられた導油路を介して軸受部8(軸孔)へ送られ、軸受部8と回転軸6との間の狭い隙間を通して、フロントサイドブロック31のロータ22側の面に設けられたサライ溝31b(背圧供給用周溝部)へ送られ、サライ溝31bから背圧室36へ供給されて、各ベーン25に背圧を供給する。
ベーン25は、背圧室36に供給された高圧の冷凍機油と、遠心力とにより付勢されて突出される。
そして、背圧室36へ供給された冷凍機油は、ベーン25とベーン溝35との間の狭い隙間を通って、各圧縮室24へ入り、圧縮室24で冷媒ガス26に同伴されて油分離部16へ送られ、油分離部16で冷媒ガス26から分離され、以下、上記を繰り返す。
次に、この実施例の特徴部分の作用について説明する。
比較例1として、例えば、通常のベーンロータリー型のコンプレッサの場合、シリンダ部材21とロータ22との近接部51を直径方向の2箇所の位置に設定して、近接部51と近接部51との間に2つのシリンダ室27を形成し、更に、シリンダ部材21の内周面21aを、近接部51の位置を短径とし近接部51から回転方向に角度90[度]進んだ位置を長径とする長円形や楕円形などの対称形状として、圧縮サイクルを各圧縮室24につき1周に2回行う(例えば、圧縮室24が5つ有る場合には、1周につき合計10回繰り返される)ようにしている。
このようにすると、例えば、一番目のシリンダ室27の圧縮サイクルでは、図3に線A1で示すように、冷媒ガス26が半周の間に急激に圧縮されることになるので、大きな動力が必要になる。また、冷媒ガス26の吐出が始まるまでの間に過圧縮A2が発生するのを避けることができない。
また、比較例2として、仮に、上記ベーンロータリー型のコンプレッサを、単にシリンダ室27を一つにして圧縮サイクルを各圧縮室24につき1周に1回行うようにしただけだと、例えば、図3に線B1で示すように、冷媒ガス26の圧縮のタイミングが線A1と比べて半周分遅くなるだけで、冷媒ガス26が急激に圧縮されることには変わりないので、上記と同様、大きな動力が必要になる。また、冷媒ガス26の吐出が始まるまでの間に過圧縮B2が発生するのを避けることができない。
これに対して、この実施例にかかるベーンロータリー型のコンプレッサでは、上記したように、近接部51を周方向に1箇所にしてシリンダ室27を単一化すると共に、シリンダ部材21の内周面21aを、1周かけて冷媒ガス26を緩やかに圧縮することが可能な形状(非対称形状)にしている。
しかも、最大間隔部52の位置を上記近接部51から回転方向に角度90[度]よりも手前側に設定することにより、冷媒ガス26をより早く吸入して、より長く緩やかに圧縮できるようにしている(図3の線C1参照)。これにより、圧縮に必要な動力を低減することができる。
そして、周知のように、気体の圧力と体積とは反比例の関係にあるため、圧縮行程の全域に亘って圧力が比例的に増加して行くように圧縮することは、極めて困難である。
そのため、図3に線C1で示す圧縮行程の前半は、体積を大きく減少させても圧力の変化が小さくなるため、線A1や線B1よりも早いタイミングで圧縮を開始すると共に、線A1や線B1よりは緩やかであるが、過剰に緩やかになり過ぎない程度に大きく冷媒ガス26を圧縮させて、動力の削減と効率的な圧縮とを両立し得るようにする。また、図3に線C2で示す圧縮行程の後半は、体積がほんの僅かに減少しただけでも圧力が大きく変化するため、シリンダ室27の形状を調整して、線A1や線B1よりも緩やかで、しかも、極力傾きが一定となるように冷媒ガス26を圧縮し、体積が少しずつ減少されるようにする。この際、線C1と線C2との繋ぎ目がなだらかに変化されるようにする。このように、線C2の傾きを緩やかにすることにより、過圧縮C3を小さくすることができる。
また、図3に線C4で示す吐出行程は、圧縮室24内が吐出圧Pに達した時に、副吐出部54から吐出することにより、圧縮室24内が一定の吐出圧Pに保持されることになる。これにより、吐出行程を早く始めると共に長くして、過圧縮(図3の線C3参照)の発生が防止できるようにする。そして、副吐出部54からの吐出に引き続いて、吐出部29からの吐出が行われることになる。
なお、図3は、圧縮室24の圧力と回転角度との関係を示すグラフであり、回転角度は、圧縮室24の前側のベーン25の角度を基準としている。
<効果>
この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(効果1)
シリンダ室27を単一化して冷媒ガス26の圧縮サイクルを各圧縮室24につき1周に1回のみ行うようにすることにより、冷媒ガス26を緩やかに圧縮することが可能となる。これにより、必要な動力を削減すると共に、隣接する圧縮室24の間の差圧を少なくして、ベーン25から冷媒ガス26が漏れて体積効率が低下するのを防止することができる。
また、吐出部29の上流側(の最適位置)に少なくとも1個以上の副吐出部54を設けることにより、圧縮室24内の冷媒ガス26の圧力が吐出圧Pに達した時に、副吐出部54から当該圧縮室24の圧力を抜いて吐出圧Pに保たせることができるようになるので、圧縮室24内が過圧縮となるのを確実に防止することが可能となる。これにより、過圧縮による無駄な動力消費を抑えて効率アップを図ることができる。また、冷媒ガス26の排出タイミングも早まるので、その分、排出効率の向上も図ることができる。
以上により、ベーンロータリー型のコンプレッサ全体としての効率(成績係数またはCOP(Coefficient Of Performance:冷房能力/動力))を向上することが可能となる。
(効果2)
副吐出部54と、隣接する吐出部29または副吐出部54とを、隣接するベーン25の先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔56に配置することにより、副吐出部54を、過圧縮の防止に必要な位置に効率的に配置することが可能となる。
(効果3)
本実施形態において、副吐出部54が、吐出部29の吐出穴29aと副吐出部54の吐出穴54aとの間の各縁部29e,54e間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L2が、2つのベーン25,25の、シリンダ部材21の内周面21aとの接触点25a,25a間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L1よりも短くなる(L2<L1)ように、設置されている構成3によると、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25によって区画された圧縮室24は、吐出部29の吐出穴29aに臨む以前の段階では副吐出部54の吐出穴54aに臨み、その圧縮室24の回転方向上流側(後ろ側)のベーン25が副吐出部54の吐出穴54aを通り過ぎる前の段階で、その圧縮室24の回転方向下流側(前側)のベーン25が吐出部29の吐出穴29aに臨む状態となるため、副吐出部54を、過圧縮の防止に必要な位置に効率的に配置することが可能となる。
また、本実施形態において、副吐出部54が2以上設置されているものにあって、2つの副吐出部54,54の吐出穴54a,54aの各縁部54e,54e間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L4が、2つのベーン25,25の、シリンダ部材21の内周面21aに接触した接触点25b,25b間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L3よりも短くなる(L4<L3)ように、副吐出部54,54が設置されている構成3によると、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25によって区画された圧縮室24は、回転方向の下流側(前側)の副吐出部54の吐出穴54aに臨む以前の段階では回転方向の上流側(後ろ側)の副吐出部54の吐出穴54aに臨み、その圧縮室24の回転方向上流側のベーン25が上流側の副吐出部54の吐出穴54aを通り過ぎる前の段階で、その圧縮室24の回転方向下流側のベーン25が下流側の副吐出部54の吐出穴54aに臨む状態となるため、両副吐出部54,54を、過圧縮の防止に必要な位置に効率的に配置することが可能となる。
図4は、2つの吐出部の吐出孔の最も近接した各縁部間の間隔(長さ)L2が、2つのベーンの先端がそれぞれシリンダ部材の内周面に接触した接触点間の間隔(長さ)L1よりも短くなる(L2<L1)ように、2つの吐出部が設定されているものであるが、本発明に係る気体圧縮機の実施形態としては、図5(a)に示すように、副吐出部54が、ベーン25の回転方向に沿って相前後する吐出部29の吐出穴29aと副吐出部54の吐出穴54aとの間の互いに最も離れた各縁部29f,54f間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L2′(>L2)も、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25の先端がそれぞれシリンダ部材21の内周面21aに接触した接触点25a,25a間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L1よりも短くなる(L2′<L1)ように設置されているものであってもよい。
このように構成されたものは、圧縮室24に臨む吐出孔が切り替わる際、すなわちベーン25の先端が吐出孔を通過する際に、ベーン25の先端に図示のような傾斜が形成されていても、吐出通路となる部分の断面積が絞られることがないため、吐出動作をより円滑に継続することができる。
また、副吐出部54が2以上設置されているものにあっても同様に、図5(b)に示すように、ベーン25の回転方向に沿って相前後する2つの副吐出部54,54の吐出穴54a,54aの最も近接した各縁部54f,54f間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L4′(>L4)が、回転方向に沿って相前後する2つのベーン25,25の先端がそれぞれシリンダ部材21の内周面21aに接触した接触点25b,25b間の、シリンダ部材21の内周面21aに沿った間隔(長さ)L3よりも短くなる(L4′<L3)ように設置されているものであってもよい。
(効果4)
副吐出部54と、隣接する吐出部29または副吐出部54とを、圧縮室24内からの冷媒ガス26の吐出が途切れない間隔56に配置することにより、圧縮室24内からの冷媒ガス26の吐出が途切れることによってその間に新たに過圧縮が生じるのを防止することができる。
(効果5)
シリンダ室27におけるシリンダ部材21とロータ22との半径方向の間隔が最大となる最大間隔部52を、上記した近接部51から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定することにより、吸入行程をより早いタイミングで開始することができるようになり、これによって、圧縮行程や吐出行程を有利に行わせて、効率の向上を図ることが可能になる。例えば、圧縮行程を長くしたり、緩やかにしたり、吐出行程を早く始めたり、長くしたりすることなどができるようになる。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
1 コンプレッサ(気体圧縮機)
21 シリンダ部材
22 ロータ
24 圧縮室
25 ベーン
26 冷媒ガス(気体)
27 シリンダ室
28 吸入部
29 吐出部
51 近接部
52 最大間隔部
56 間隔
54 副吐出部
P 吐出圧

Claims (5)

  1. 中空のシリンダ部材と、前記シリンダ部材の内部に回転自在に配設されたロータと、前記ロータに突出収納自在に取付けられて先端が前記シリンダ部材の内周面に摺接することにより前記シリンダ部材の内部に複数の圧縮室を形成可能な複数枚のベーンとを備え、前記シリンダ部材と前記ロータとの間に、前記圧縮室の容積を変化させることにより気体の圧縮サイクルを行わせるシリンダ室を形成し、前記シリンダ室の上流側に前記気体を吸入可能な吸入部を設けると共に、下流側に前記気体を吐出可能な吐出部を設けた気体圧縮機において、
    前記シリンダ部材と前記ロータとの間に、両者が近接する近接部を1箇所のみ設けることによって、前記気体の前記圧縮サイクルを各圧縮室につき1周に1回のみ行う単一のシリンダ室を形成し
    前記シリンダ室は、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面とが最も遠い最大間隔部が、前記近接部の前記ロータの回転中心を挟んで対向する位置よりも前記回転方向の上流側に偏った非対称であり、
    記吐出部の上流側に、前記圧縮室内の前記気体の圧力が吐出圧に達した時に、前記圧縮室の圧力を抜くことにより、前記吐出圧に保持させる副吐出部を少なくとも1個以上設け、
    前記副吐出部が隣接する前記吐出部に対して、隣接する2つのベーンの先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔を有して、かつ前記圧縮室を形成する回転方向の下流側のベーンが前記吐出部に臨んだ状態で前記下流側のベーンよりも回転方向の上流側のベーンに近い位置に形成されていることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 前記ベーンの回転方向に沿って相前後する前記吐出部と前記副吐出部との間の互いに最も近接した縁部間の、前記シリンダの内周面に沿った間隔が、前記回転方向に沿って相前後する2つのベーンの先端がそれぞれ前記シリンダの内周面に接触した接触点間の、前記シリンダの内周面に沿った間隔よりも短くなるように、前記副吐出部が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
  3. 前記副吐出部に隣接する他の副吐出部が、前記副吐出部に対して、隣接する2つのベーンの先端間と同じかそれよりも僅かに狭い間隔を有して、かつ前記圧縮室を形成する回転方向の下流側のベーンが前記副吐出部に臨んだ状態で前記下流側のベーンよりも回転方向の上流側のベーンに近い位置に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の気体圧縮機。
  4. 前記ベーンの回転方向に沿って相前後する2つの前記副吐出部の間の互いに最も近接した縁部間の、前記シリンダの内周面に沿った間隔が、前記回転方向に沿って相前後する2つのベーンの先端がそれぞれ前記シリンダの内周面に接触した接触点間の、前記シリンダの内周面に沿った間隔よりも短くなるように、前記2つの副吐出部が設置されていることを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。
  5. 前記シリンダ室における前記シリンダ部材と前記ロータとの半径方向の間隔が最大となる最大間隔部を、前記近接部から回転方向に角度90[度]よりも手前側の位置に設定したことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の気体圧縮機。
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