JP2014533577A - 小型使い捨てプルオンおむつ - Google Patents

Abstract

最適化された腰部周囲長及び脚部開口部長を有する小型使い捨てプルオンおむつ。小型使い捨てプルオンおむつは、適用の容易さ並びに腰部及び脚部のフィットにおいてより優れた性能を有する。

Description

本開示は、着用者の脚部を脚部開口部に挿入して、おむつを下部胴体周囲の位置にスライドさせることによって着用可能な使い捨てプルオンおむつに関する。詳しくは、本開示は、小型使い捨てプルオン型おむつに関する。

使い捨てプルオンおむつは周知されており、また成功裏に商品化されている。例えば、ＰＣＴ公報第ＷＯ ２００６／０１７７１８号には、腰部開口部と２つの脚部開口部とを有する使い捨てプルオンおむつが説明されている。使い捨てプルオンおむつは吸収性本体と環状弾性ベルトとを含む。吸収性本体は液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、それらの間に配置された吸収性コアと、を含む。環状弾性ベルトはベルト基材層と、ベルト基材層に接合されたベルト弾性材料と、を含む。吸収性本体の２つの長手方向末端部の前後は、環状弾性ベルトに接合される。

テープ型おむつ及びプルオン型おむつは、使い捨ておむつの２つの主要な型である。プルオンおむつは、幼児に応用する上での利便性のために、近年需要が増加している。テープ型おむつを幼児に装着させる時は、快適なフィットを達成するために、介護者は幼児の身体に対してのおむつの位置決めと、ランディングゾーンに対するテーピングおむつの耳部に適用される伸長レベルとに周到な注意を払う必要がある。それに対し、プルオンおむつは予め画定された腰部開口部と脚部開口部とを有するため、介護者が幼児の脚部を脚部開口部に挿入して、おむつを腰部まで引き上げるだけで、おむつを幼児の身体に装着させることができる。これまでプルオンおむつは主に大型及び中型のおむつにおいて成功を収めてきた。しかしながら、小型のプルオンおむつには改善すべき領域が多く存在する。

ＰＣＴ公報第ＷＯ ２００６／０１７７１８号

小型のおむつは体重が８ｋｇ未満の幼児への使用が意図されている。この身体サイズの幼児は典型的には１０ヶ月未満であり、彼らは１日に平均して１３〜１８時間睡眠する。彼らの場合、睡眠中におむつを交換されることが多い。したがって、幼児の睡眠が妨げられることのないように、小型のおむつを幼児に容易に適用できることが望ましい。更に、小体形の幼児は典型的に、中体形及び大体形の幼児よりも大腿部の周径が大きいが、腰部はより小さい。加えて、小体形の幼児の脚部は真直な状態ではなく湾曲した状態であることが多く、おむつを湾曲した脚部に通すためにより広い腰部開口部が必要となる。したがって、中型及び大型のプルオンおむつを小型へとコンパクト化するだけでは、望ましい腰部及び脚部のフィット、並びに望ましい適用の容易さをもたらすことはできない。

また、現在商品化されている小型プルオンおむつは、十分な伸縮性を持たず、容易に適用できないことが分かっている。そのいくつかは脚部において良好にフィットしないということも分かっている。このため、容易に適用でき、着用者の腰部及び脚部により良好にフィットし得る小型使い捨てプルオンおむつの必要性は依然として存在する。

本開示は、最適化された寸法を有する小型使い捨てプルオンおむつを提供することにより、上記の必要性に対処する。特に、本開示の小型使い捨てプルオンおむつにおいては、吸収性本体及び環状弾性ベルトが開示される。

吸収性本体は液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、それらの間に配置された吸収性コアと、を含む。吸収性本体は、長手方向に伸びる左右側縁部と、横方向に伸びる前後端縁部と、長手方向に対向する前後側腰部パネルと、腰部パネルの間の股部パネルと、を有する。少なくとも１つの脚部弾性材料が、前記側縁部の各々に近接して配置され、前記側縁部に沿って一般に長手方向に伸びる。

環状弾性ベルトは、側部シームにおいて互いに接合された前ベルト部分及び後ベルト部分を含む。前後各ベルト部分は、横方向に伸びる近位縁部と遠位縁部とを有する。環状弾性ベルトの遠位縁部は腰部開口部を画定する。近位縁部は遠位縁部よりも吸収性本体の股部パネルの近くに位置する。環状ベルトの前後各ベルト部分は、中央パネルと、中央パネルに隣接する左右の側部パネルと、を有する。環状弾性ベルトは、ベルト基材層、並びにそれぞれ横方向に伸びてベルト基材層に接合される複数の腰部弾性ストランド及び複数の側部パネル弾性ストランドを含む。腰部弾性ストランドは前ベルト部分及び後ベルト部分の遠位縁部に近接して配置され、側部パネル弾性ストランドは少なくとも左右側部パネル内に配置される。環状弾性ベルトは伸長状態の腰部周囲長と自由状態の腰部周囲長とを有する。

環状ベルトの前ベルト部分の中央パネルは吸収性本体の前側腰部パネルに接合され、環状ベルトの後ベルト部分の中央パネルは吸収性本体の後側腰部パネルに接合され、前ベルト部分及び後ベルト部分の左右各側部パネルの近位縁部と吸収性本体の股部パネルの左右側縁部とは２つの脚部開口部を画定し、各脚部開口部は脚部開口部長を有する。

伸長状態の腰部周囲長は約６２０ｍｍ〜７００ｍｍ、好ましくは約６４０ｍｍ〜６８０ｍｍであり、伸長状態の腰部周囲長と自由状態の腰部周囲長との比率は約２．５〜約２．８である。脚部開口部長は約２５０ｍｍ〜約３００ｍｍ、好ましくは約２６５ｍｍ〜２８５ｍｍである。好ましい実施形態では、おむつの脚部開口部長は、脚部開口部長の約５０％〜７５％、好ましくは約６８％〜約７２％の脚部弾性部長を含む。

本開示の発明者は、上記の最適化された寸法を有する本開示の小型使い捨てプルオンおむつが、驚くべきことに適用の容易さとより優れた腰部及び脚部のフィットとの両方の利益をもたらすことを発見した。

本明細書は、本開示を形成すると思われる主題を特定して指摘し明確に請求する請求項にて結論とするが、本発明は、添付図と関連づけて行う次の説明によってよりよく理解されると考えられ、添付図中では同様の表記は実質的に同一の要素を示すために使用する。
使用中構造の、本開示の使い捨てプルオンおむつの好ましい実施形態の斜視図。 広げた自由状態にあって、前ベルト部分と後ベルト部分とが分離しておむつの内表面が示されたプルオンおむつの好ましい実施形態の平面図。 図２の線ＩＩＩ−ＩＩＩにおける断面図。 図２の線ＩＶ−ＩＶにおける断面図。 広げた自由状態にあっておむつの外表面が示された本発明のおむつの好ましい実施形態の概略平面図。 自由状態にある、使い捨てプルオンおむつの概略正面図。 伸長状態にある、使い捨てプルオンおむつの概略正面図。 影付きで表示されたおむつの脚部開口部の１つを示す概略右側面図。 図１に示されたプルオンおむつの形成プロセス示す概略図。

本開示で用いられる用語「プルオンおむつ」とは、形状の画定した腰部開口部と２つの脚部開口部とを有し、脚部開口部に着用者の脚部を挿入して物品を着用者の腰上まで引き上げることによって着用者の身体に着用できるおむつを意味する。「Ｓサイズ」おむつとしても知られる用語「小型おむつ」とは、体重が８ｋｇ未満の幼児向けのおむつを意味する。「Ｍサイズ」おむつとしても知られる「中型おむつ」とは、体重が約７ｋｇ〜約１０ｋｇの幼児向けのおむつを意味する。「Ｌサイズ」おむつとしても知られる「大型おむつ」とは、体重が約９ｋｇ〜約１４ｋｇの幼児向けのおむつを意味する。

本開示の小型使い捨てプルオンおむつ２０の好ましい実施形態を図１に示す。図１は、使用中構造の本開示のプルオンおむつ２０の斜視図である。図２は、広げた自由状態にあって、前ベルト部分と後ベルト部分とが分離しておむつの内表面が示された図１のプルオンおむつの平面図である。プルオンおむつ２０は、外表面２２と外表面２２に対向する内表面２４とを有する。プルオンおむつ２０は、長手方向中心線Ｌ１と横方向中心線Ｔ１とを有する。おむつ２０は、着用者の股部領域を被覆する吸収性本体３８（以下、単に「本体」という場合もある）と、環状弾性ベルト４０（以下、単に「弾性ベルト」という場合もある）と、を含む。

吸収性本体
吸収性本体３８は使用中に身体滲出物を吸収・収容する。図１及び２の実施形態では、本体３８は一般に、長手方向中心線Ｌ２と、横方向中心線Ｔ２と、長手方向に伸びる左右側縁部４８（以下、「長手方向側縁部」又は「側縁部」という場合もある）と、横方向に伸びる前後端縁部５０（以下、「横方向端縁部」又は「端縁部」という場合もある）と、を有する矩形形状を有する。本体３８は前腰部パネル５２と、後腰部パネル５４と、前腰部パネル５２と後腰部パネル５４との間の股部パネル５６と、を有する。本開示で使用する場合、「前」とはおむつが着用された時に着用者が面する方向を意味し、「後」とはおむつが着用された時の着用者の背部の方向を意味する。本体は、股部パネル５６が内側に湾曲する側縁部を備えた砂時計型などの、矩形以外の形状を有することもできる。

図３を参照すると、本体３８は液体透過性トップシート５８と、液体不透過性バックシート６０と、それらの間に配置されている吸収性コア６２と、を含む。少なくとも１つの脚部弾性材料１１８が各長手方向側縁部４８に近接して配置され、一般に長手方向側縁部に沿って伸びる。本体３８に、長手方向側縁部４８に沿って配置されるバリアレッグカフ６４を追加的に備えてもよい。バリアレッグカフ６４は、本体内における液体及びその他の身体滲出物の閉じ込めを改善させる。バリアレッグカフを製造するための材料及びバリアレッグカフの構造は、例えばＰＣＴ公報第ＷＯ ２００６／０１７７１８号に記載される通り、当該技術分野において周知されている。

液体透過性トップシート５８は、好ましくは吸収性コア６２の身体に面する表面に隣接して配置され、当技術分野において既知のいずれかの取付け手段によって、吸収性コア６２の身体に面する表面及び／又はバックシート６０に取り付けられてもよい。液体不透過性バックシート６０は概して、吸収性コア６２の衣類面表面に隣接して配置されているおむつ２０の部分であり、吸収性コア６２内に吸収・収容された滲出物が、おむつ２０に接触し得る物品を汚すのを防ぐ。吸収性コアはトップシート５８とバックシート６０との間に配置され、身体滲出物を吸収・保持する。トップシート５８、バックシート６０、及び吸収性コアは、任意の既知の材料から製造されてよい。好適なトップシート材料には、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔プラスチックフィルム、又は天然繊維（例えば、木材繊維若しくは綿繊維）、合成繊維（例えば、ポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維）、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせによる織布ウェブ又は不織布ウェブが挙げられ得る。適切なバックシート材としては、蒸気をおむつから逃がすが、滲出物がバックシートを通過することは防ぐ通気性材料が挙られる。好適な吸収性コア材料には、捲縮セルロース塊、コフォームを包むメルトブローンポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、ティッシュラップ及びティッシュ積層体を含むティッシュ、吸収性発泡体、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又は任意の他の既知の吸収性材料、若しくは材料の組み合わせが挙げられ得る。

外側カバー層４２はおむつ２０の外表面２２上に配置することができ、少なくとも吸収性本体３８の股部パネル５６を被覆する。外側カバー層４２は、本体３８の前後腰部パネル５２、５４まで伸びて被覆してもよい。外側カバー層４２は、本体３８の液体不透過性バックシート６０に直接接合され、本体３８の液体不透過性バックシート６０を被覆する。再度図２を参照すると、前後ベルト部分８４、８６の中央パネル８０（後述）は、外側カバー層４２を介して本体３８の前後腰部パネル５２、５４に接合される。そのため外側カバー層４２は、前後ベルト部分８４、８６と、本体３８の液体不透過性バックシート６０との間に挟まれる。外側カバー層４２は任意の既知の材料を含んでよく、また上記の前後ベルト部分８４、８６に用いられる材料を含んでよい。好ましくは、外側カバー層４２は合成繊維からなる不織布ウェブの単層を含む。より好ましくは、外側カバー層４２は疎水性かつ非伸縮性の不織布材の単層を含む。

トップシート、吸収性コア、バックシート、及び外側カバーは横方向及び／又は長手方向に同一の広がりを持つことができる。しかしながら、好ましい実施形態では、吸収性コアはトップシート及びバックシートの横方向幅よりも狭い横方向幅を有し、トップシートはバックシートの横方向幅よりも狭い横方向幅を有する。図２及び３の実施形態では、外側カバー層４２は、トップシート５８及び吸収性コア６２よりも大きな横方向幅を有する液体不透過性バックシート６０と同一の広がりを持つ。トップシート、バックシート、吸収性コア、及び外側カバーが異なる横方向幅又は長手方向長さを有する場合、吸収性本体の長手方向側縁部４８及び横方向端縁部５０とは、横方向及び／又は長手方向に最も大きく伸びる部材の縁部を指す。

少なくとも１つの脚部弾性材料１１８が、側縁部４８に近接して配置され、吸収性本体３８の側縁部に沿って一般に長手方向に伸びる。脚部弾性材料は、伸長状態でバックシートに取り付けられた弾性ストランド又はリボンの形態であってよい。本発明で使用する場合、用語「ストランド」及び「リボン」とは、長細い構造の材料を意味し、これら２つの用語は同じ意味で用いられ得る。図３の実施形態では、脚部弾性材料１１８は外側カバー層４２とバックシート６０との間に配置される。脚部弾性材料１１８は少なくとも吸収性本体３８の股部パネル５６内に配置されてもよく、又は長手方向側縁部４８の全部に沿って配置されてもよい。

環状弾性ベルト
図１及び２を参照すると、環状弾性ベルト４０は前ベルト部分８４と後ベルト部分８６と、を含む（以下、「前後ベルト部分８４、８６」という場合もある）。前ベルト部分８４と後ベルト部分８６との各々は、中央パネル８０Ｆ、８０Ｂと、中央パネル８０Ｆ、８０Ｂと切れ目なく連続し、中央パネル８０Ｆ、８０Ｂから横方向外向きに位置する側部パネル８２Ｆ、８２Ｂと、を有する。本明細書で必要な場合は、前部材及び後部材はそれぞれ接頭辞「Ｆ」及び「Ｂ」を有する参照番号によって示される場合がある。したがって、例えば「中央パネル８０Ｆ、８０Ｂ」は、「前中央パネル８０Ｆ」及び「後中央パネル８０Ｂ」を示す。「中央パネル８０」も同様に、「前中央パネル８０Ｆ」及び「後中央パネル８０Ｂ」を意味してもよい。前後ベルト部分８４、８６の各々は、横方向に伸びる遠位縁部８８Ｆ、８８Ｂ、横方向に伸びる近位縁部９０Ｆ、９０Ｂ、及び長手方向に伸びる左右側縁部８９Ｆ、８９Ｂをそれぞれ有する。本明細書で使用する時、用語「近位」とは、本体の股部パネルに比較的より近い位置を指す。したがって、近位縁部９０Ｆ、９０Ｂは、本体３８の股部パネル５６に対して、遠位縁部８８Ｆ、８８Ｂより近くに位置される。中央パネルの一部又は全部が、本体３８の前後腰部パネル５２、５４とそれぞれ重なり合ってもよい。しかしながら、中央パネル８０Ｆ、８０Ｂは、本体３８の股部パネル５６内には伸びず、股部パネル５６内には配置されない。図２の実施形態では、中央パネル８０Ｆ、８０Ｂは、吸収性本体の前後腰部パネル５２、５４とそれぞれ部分的に重なり合って接合されている。前後ベルト部分８４、８６は、側部シーム３２によって側縁部８９Ｆ、８９Ｂにおいて、又はそれらと隣接して接合されて、環状弾性ベルトを形成する。遠位縁部８８Ｆ及び８８Ｂは腰部開口部３６の形状を画定する。側部パネル８２Ｆ、８２Ｂの近位縁部９０Ｆ、９０Ｂは、吸収性本体３８の股部パネル５６の長手方向側縁部と合わせて、２つの脚部開口部３４の形状を画定する。

環状弾性ベルト４０は、ベルト基材層９２（図４及び図７に示す）と、複数の腰部弾性ストランド９８及び複数の側部パネル弾性ストランド１００（以下、総じて「ベルト弾性ストランド９６」という場合もある）と、を含む。環状弾性ベルトは、ベルト弾性ストランド９６が２つの層９２と９４との間に挟まれるように内部層９４を更に含むことが好ましい。前後ベルト部分８４、８６は同じ材料を含んでもよく、及び／又は同じ構造を有してもよい。あるいは、前後ベルト部分８４、８６は異なる材料を含んでもよく、及び／又は異なる構造を有してもよい。図２の実施形態では、前後ベルト部分８４、８６は一般に同じ層構造を有する。ベルト基材層９２及び内部層９４は、プラスチックフィルム、孔あきプラスチックフィルム、天然材料（例えば、木材繊維若しくは木綿繊維）、合成繊維（例えば、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル、ポリエチレン、若しくはポリプロピレンの繊維）、若しくは天然繊維及び／若しくは合成繊維の組み合わせの織布ウェブ若しくは不織布ウェブ、又はコーティングされた織布ウェブ若しくは不織布ウェブなど、広範囲にわたる材料から製造することができる。好ましくは、ベルト基材層９２及び内部層９４は、合成繊維の不織布ウェブを含む。より好ましくは、ベルト基材層９２及び内部層９４は、疎水性で非伸縮性の不織布材を含む。

複数の腰部弾性ストランド９８は、遠位縁部８８に近接してベルト基材層９２に接合され、側部パネル弾性ストランド１００は少なくとも左右側部パネル８２の両方においてベルト基材層に接合される。腰部弾性ストランド９８及び側部パネル弾性ストランド１００は、横方向に伸びる１つ以上の弾性ストランドを含む。複数の腰部弾性ストランド９８及び複数の側部パネル弾性ストランド１００は、おむつ２０が使用される時に前後ベルト部分８４、８６が弾性をもたらすように、伸長状態で接着剤によってベルト基材層９２に取り付けられるか、又はベルト基材層９２と内部層９４との間に挟入される。

図２の実施形態では、腰部弾性ストランド９８及び側部パネル弾性ストランド１００は一定の間隔で長手方向に配置される。あるいは、腰部弾性ストランド９８及び側部パネル弾性ストランド１００は異なる間隔で長手方向に配置されてもよい。長手方向の間隔が異なることで、着用者の解剖学的形状に対する改善されたフィットをもたらすことができる。例えば、腰部弾性ストランドは側部パネル弾性ストランドの長手方向の間隔よりも小さな間隔で配置してもよい腰部弾性ストランド９８は、ベルト基材層の左長手方向側縁部から右長手方向側縁部へと連続的に通ることができ、また前後ベルト部分８４、８６が一体に接合された時に弾性リングを形成することができる。本体３８の前後腰部パネル５２、５４と重なり合う、前後ベルト部分８４、８６の中央パネル８０の部分には弾性は付与されなくてよい。これは中央パネルに弾性材料を提供しないこと、又は中央パネル内に存在する全ての弾性材料を不活性化させることにより実現することができる。しかしながら、必要であれば弾性材料を中央パネル８０内に提供してもよい。

図５に示すように、前側部パネル８２Ｆは前ベルト部分８４の前側縁部８９Ｆによって画定される長手方向長さＬＦを有し、後側部パネル８２Ｂは後ベルト部分８６の後側縁部８９Ｂによって画定される長手方向長さＬＢを有する。好ましい実施形態では、前ベルト部分８４及び後ベルト部分８６は、後ベルト部分８６の後側部パネル８２Ｂの長手方向長さＬＢが、前ベルト部分８４の前側部パネル８２Ｆの長手方向長さＬＦより大きくなるように形成してもよい。前後ベルト部分８４、８６は、切断線に沿ってベルト層ウェブを切断することによって形成される。形成プロセスについては本明細書の以下で詳述する。おむつを組み立てて腰部開口部３６及び脚部開口部３４を形成する時、前遠位縁部８８Ｆが後遠位縁部８８Ｂと整列するように、おむつ２０を横方向中心線Ｔ１に沿って折り畳む。前側縁部８９Ｆもまた、後側縁部８９Ｂの一部分と整列する。前ベルト部分８４、８６は、側部シーム３２によって前後側縁部８９Ｆ、８９Ｂにおいて、又はそれらと隣接して接合される。しかしながら、前後近位縁部９０Ｆ、９０Ｂは互いに整列しない。後近位縁部９０Ｂは、後側部パネル８２Ｂの近位部９３Ｂが前近位縁部９０Ｆを超えて本体３８の股部パネル５６に向かって伸びるように、前近位縁部９０Ｆよりも長手方向のトラバース（travers）中心線Ｔ１の近くに配置される。近位部９３Ｂの側縁部は、いずれの場所にも接合されず、取り付けられない。後側縁部８９Ｂの長手方向長さＬＢと前側縁部８９Ｆの長手方向長さＬＦとの比率は、おむつが平坦に敷かれた構成において、好ましくは約１．１〜約２．０、より好ましくは約１．２〜約１．５の間である。これらの寸法特性を有するおむつは、着用者が脚部開口部内へ脚を挿入するのを妨げることなく、効果的な臀部カバーを提供する。

小型使い捨てプルオンおむつの寸法
本開示の小型使い捨てプルオンおむつは最適化された寸法を有し、望ましい適用の容易さと、腰部及び脚部のフィット特性と、を提供する。

図６（ａ）は、自由状態にある本開示の小型使い捨てプルオンおむつの概略正面図である。図６（ｂ）は、伸長状態にある本開示の小型使い捨てプルオンおむつの概略正面図である。図６（ｃ）は、脚部開口部の１つが影付きで示された、自由状態にある小型使い捨てプルオンおむつの概略右側面図である。本開示で使用する時、「自由状態」とは、おむつ内の弾性材料が未使用条件下で収縮可能であり、かつおむつにいかなる延伸力も加えられていない状態を意味する。本開示で使用する時、「伸長状態」とは、おむつの環状弾性ベルトが、弾性ストランドが取り除かれたベルト基材層の寸法と実質的に等しいその最大寸法まで伸長された状態を意味する。

図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すように、おむつは２Ｔｆの自由状態の腰部周囲長、及び２Ｔｘの伸長状態の腰部周囲長を有する。Ｔｆは、ベルト基材層９２の遠位縁部８８から、左右側部シーム３２の内縁部の間の、第１腰部弾性ストランド９８ａの寸法を示す。図１に示すように、側部シームは若干の幅を有してよい。自由状態の腰部周囲長及び伸長状態の腰部周囲長を得る目的のため、側部シームの幅を除くおむつ内側の着用者に面する側を測定する。Ｔｆは、可撓性テープのメジャーリボンを第１腰部弾性ストランド９８ａに沿って、約１０ｍｍ毎にテープのメジャーリボンが弾性ストランドをなぞるように慎重に当てて、続いて長さをｍｍ単位で読むことによって測定する。Ｔｘは、環状弾性ベルトをその最大長さまで伸長した場合のＴｆを測定する時と同じ状態の長さである。Ｔｘは、腰部弾性ストランド９８と側部パネル弾性ストランド１００とを弾性ベルトから取り除いた時のベルト基材層９２の長さと実質的に等しい。Ｔｘは、コールドスプレーを用いて、弾性ストランドをベルト基材層に接合させている接着剤の非活性化を促進することなどによりおむつを解体することによって測定が可能である。複数の弾性ストランド９６を除去して、基材層９２を平らに広げた後で、メタルスケールを用いて長さＴｘをｍｍ単位で測定する。

図６（ｃ）に示す通り、Ｓｆは前側部パネルの弾性部長さを示す。特にＳｆは、自由状態にある前側部パネル８２Ｆの近位縁部９０Ｆからの、右側部シーム３２の内縁部と、側部パネル弾性ストランド１００ｆと側縁部４８からの第１脚部弾性ストランド材料１１８ｅとの交差点との間の第１側部パネル弾性ストランド１００ｆの長さである。Ｓｂは後側部パネルの弾性部長さを示す。特にＳｂは、自由状態にある後側部パネル８２Ｂの近位縁部９０Ｂからの、右側部シーム３２の内縁部と、側部パネル弾性ストランド１００ｂと側部エッジ４８からの第１脚部弾性ストランド材料１１８ｅとの交差点との間の第１側部パネル弾性ストランド１００ｂの長さである。Ｌｅは脚部弾性部長を示す。特にＬｅは、１１８ｅと前側部パネル８２Ｆの前近位縁部９０Ｆとの交差点と、１１８ｅと後側部パネル８２Ｂの前近位縁部９０Ｂとの交差点との間の、側縁部４８に最も近い脚部弾性ストランド１１８ｅの自由状態長さである。ＬｅはＴｆの測定に関して上述した方法と同じ方法を用いて測定することができる。Ｌａは、前ベルト部分ＬＦと後ベルト部分ＬＢとの長手方向長さにおける差異を示す。脚部開口部長は以下の式で算定し得る。

前ベルト部分と後ベルト部分との長手方向長さが等しい場合、Ｌａは０となり、脚部開口部長の計算は次のように簡略化され得る。
脚部開口部長＝Ｌｅ＋Ｓｆ＋Ｓｂ

本開示の小型使い捨てプルオンおむつは、約６２０ｍｍ〜約７００ｍｍ、好ましくは６４０ｍｍ〜約６８０ｍｍの伸長状態の腰部周囲長を有し、伸長状態の腰部周囲長と自由状態の腰部周囲長との比率は約２．５〜約２．８、好ましくは約２．６〜約２．７である。それに加え、本開示の小型使い捨てプルオンおむつは、約２５０ｍｍ〜約３００ｍｍ、好ましくは２６５ｍｍ〜約２８５ｍｍの脚部開口部長を有する。本発明者は、上記寸法を有する小型プルオンおむつが、望ましい適用の容易さ、並びに腰部及び脚部のフィットを提供することを発見した。理論に束縛されるものではないが、本開示で画定された伸長状態の腰部周囲長の寸法、及び伸長状態の腰部周囲長と自由状態の腰部周囲長との比率は、介護人がおむつを幼児の脚部に容易に通すのに十分に広い伸長状態腰部開口部を提供する一方で、おむつの自由状態腰部開口部が大きくなりすぎて、使用中にたるみを生じさせることがない。同様に、本開示で画定される脚部開口部長の寸法は、着用者に望ましい脚部のフィットを提供する。脚部開口部長が本開示の範囲から外れると、漏れ及びしわ（gather mark）の発生率が増加する。

好ましい実施形態では、脚部弾性部長Ｌｅが脚部開口部長の約５０％〜約７５％、好ましくは約６８％〜約７２％を示す。脚部開口部長における脚部弾性部長Ｌｅの好ましい割合によって漏れ発生率が低減することが発見された。

図７はおむつ２０の形成プロセスを説明する概略図である。前後ベルト部分８４、８６は、ベルト層ウェブを切断線３１０に沿って切断することによって形成される。図７のプロセス３００は、本体形成セクション３０２と、ベルト形成セクション３０４と、組立セクション３０８との３セクションを主に含む。図７は概略図であるため、ベルト伸縮性材料及び脚部伸縮性材料などの、おむつの様々な部品が省略されていることに留意されたい。

本体形成セクション３０２は、トップシート５８、バックシート６０、吸収性コア６２、及びバリアレッグカフ６４などの、本体３８を形成する構成要素を接合させる。吸収性コア６２はトップシート５８と吸収性コア６２との間に挟まれる。外側カバー層４２（図７には示さず）は、バックシート６０（図７には示さず）に接合され、また脚部伸縮性材料１１８（図７には示さず）は、バックシート６０と外側カバー層４２との間に挟まれる。これらの構成要素は、接着又は熱ボンドなどの任意の既知の手段によって互いに接合されて中間組立体３１２を形成する。続いて中間組立体３１２を個々の中間組立体３１２に切断する。個々の中間組立体３１２は９０度回転されて、組立セクション３０８に送られる。

ベルト形成セクション３０４はベルト基材層ウェブ９２と内部層ウェブ９４とを接合して、連続ベルト層ウェブ９１を形成する。連続ベルト層ウェブ９１は近位縁部９０Ｆ、９０Ｂに対応する一直線の切断線３１０に沿って切断されて、連続前ベルトウェブ８４及び連続後ベルトウェブ８６を形成する。切断線３１０は、連続前ベルトウェブ８４の長さＬＣＦと連続後ベルトウェブ８６の長さＬＣＢとを横方向において差別化するために、連続ベルト層ウェブ９１の長手方向中心線Ｌ３から一方に偏らせてよい。横方向とは、縦方向と直角に交差する方向を意味する。縦方向とは、長手方向中心線Ｌ３と平行する、製造プロセスにおいて構成材料が搬送される方向を意味する。また、ベルト弾性材料９６（図７には示さず）も、内部層ウェブ９４とベルト基材層ウェブ９２との間に取り付けられる。続いて連続前ベルトウェブ８４と連続後ベルトウェブ８６とを、切断線３１０に沿って互いから分離する。

組立セクション３０８は、個々の中間組立体３１２と連続前ベルトウェブ８４とを組み合わせ、個々の中間組立体３１２と連続後ベルトウェブ８６とを組み合わせる。個々の中間組立体３１２は、個々の中間組立体３１２の各々の間で側部パネルとなる連続前後ベルトウェブ８４、８６上に所定の間隔で配置される。前後ベルトウェブ８４、８６の端部フラップ１１２は、遠位縁部８８に沿って内側へ折り畳まれて、本体３８、外側カバー層４２（図７に示さず）、及び前後ベルトウェブ８４、８６を備えた連続おむつ組立体３１４を形成する。こうして形成された連続おむつ組立体３１４は、個々のおむつ２０に切断される。個々のおむつ２０は、前側縁部８９Ｆの長手方向長さＬＦより大きい、後側縁部８９Ｂの長手方向長さＬＢを有する。次に個々のおむつ２０は股部領域を横方向中心線Ｔ１に沿って折り畳まれ、前後ベルト８４、８６を側縁部８９Ｆ、８９Ｂに隣接する側部シーム３２において接合されて、腰部開口部及び脚部開口部を形成する。本開示の小型おむつを製造する別の方法は、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれるＰＣＴ公報第ＷＯ ２００６／０１７７１８号に記載される方法などの、当該技術分野において周知の方法で形成することができる。

本開示の小型使い捨てプルオンおむつを上記の方法に従い作製し、これを実施例と呼ぶ。以下に示す、本開示の小型使い捨てプルオンおむつと寸法以外が類似した構造を有する小型使い捨てプルオンおむつを、比較実施例１及び２と呼ぶ。実施例並びに比較実施例１及び２のおむつの寸法を以下の表１に示す。

上記の実施例１並びに比較実施例１及び比較実施例２のおむつの、適用の容易さ並びに腰部及び脚部のフィットに関する性能を、以下の通り評価する。

適用の容易さ
６人の官能試験員に、試験おむつを順番に標準的な小型の乳児型マネキンに適用させる。各官能試験員に各おむつサンプルを順番に乳児型マネキンに適用し、続いて各試験サンプルの適用の容易さの性能を、非常に悪いから非常に良いまでの５段階で格付けさせる。ここでは５が非常に良い、４が良い、３が普通、２が悪い、１が非常に悪いを示す。マネキンは、湾曲した姿勢の脚部を備えた標準的なＳサイズの全身マネキン（full mannequin）である。マネキンの腰部外周及び大腿部外周はそれぞれ４０７ｍｍ及び２３５ｍｍである。試験結果を以下の表２に示す。

^＊ ９０％の信頼水準で、統計的に比較実施例１及び２を有意に上回る。

全体的なフィット評価
体重が４〜８ｋｇの乳児を有する官能試験員に、各試験製品を順に５日間使用させる。官能試験員に、毎回おむつを交換する時に観察される漏れ、しわ、及びたるみの発生率を記録させる。発生率を次の表３にまとめた。

^＊ ９０％の信頼水準で、統計的に比較実施例１を有意に上回る。

本開示の実施例のおむつは、適用の容易さにおいて有意により優れた性能を有する。適用が容易なおむつは漏れ及びたるみがより多く発生することが直感的に予期され得るが、実施例のおむつは、驚くべきことに、有意により優れた尿漏れ防止及びたるみ防止、並びにより低いしわの発生率をもたらす。本開示で画定された寸法が、こうした適用の容易さ、漏れ防止、しわ・たるみ防止の改善という予想外の利益を同時にもたらすものと考えられる。

本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「４０ミリメートル」として開示される寸法は、「約４０ミリメートル」を意味するものである。

相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。

本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

Claims (8)

1. 吸収性本体及び環状弾性ベルトを備えた小型使い捨てプルオンおむつであって、
   前記吸収性本体は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、それらの間に配置された吸収性コアと、を含み、当該吸収性本体は、長手方向に伸びる左右側縁部と、横方向に伸びる前後端縁部と、長手方向に対向する前後腰部パネルと、前記腰部パネルの間の股部パネルと、前記側縁部の各々に近接して配置されて、前記側縁部に沿って概ね長手方向に伸びる少なくとも１つの脚部弾性材料と、を有し、
   前記環状弾性ベルトが側部シームにおいて互いに接合された前ベルト部分及び後ベルト部分を含み、前記前ベルト部分及び後ベルト部分の各々は、横方向に伸びる近位縁部及び遠位縁部を有し、前記環状弾性ベルトの前記遠位縁部は腰部開口部を画定し、前記近位縁部は前記遠位縁部よりも前記吸収性本体の前記股部パネルの近くに位置し、前記前ベルト部分及び後ベルト部分の各々は、中央パネルと、前記中央パネルに隣接する左右側部パネルと、を有し、前記環状弾性ベルトは、ベルト基材層と、各々が横方向に伸びて前記ベルト基材層に取り付けられる複数の腰部弾性ストランド及び複数の側部パネル弾性ストランドと、を含み、前記腰部弾性ストランドは、前記遠位縁部に近接して配置され、前記側部パネル弾性ストランドは、少なくとも前記左右側部パネル内に配置され、前記環状弾性ベルトは、伸長状態の腰部周囲長と自由状態の腰部周囲長とを有し、
   前記前ベルト部分の前記中央パネルは、前記吸収性本体の前記前腰部パネルに接合され、前記後ベルト部分の前記中央パネルは、前記吸収性本体の前記後腰部パネルに接合され、前記前ベルト部分及び前記後ベルト部分の各左右側部パネルの前記近位縁部は、前記吸収性本体の前記股部パネルの前記左右側縁部と合わせて２つの脚部開口部を画定し、前記脚部開口部の各々は、次の式により算定可能な脚部開口部長を有し、
   

   

   式中、Ｌｅは脚部弾性部長を示し、Ｓｆは前側部パネル弾性部長さを示し、Ｓｂは後側部パネル弾性部長さを示し、Ｌａは前記前ベルト部分と前記後ベルト部分との長手方向長さにおける差を示し、
   前記伸長状態の腰部周囲長は、約６２０ｍｍ〜７００ｍｍであり、前記自由状態の腰部周囲長に対する前記伸長状態の腰部周囲長の比率が、約２．５〜約２．８であり、前記脚部開口部長が、約２５０ｍｍ〜約３００ｍｍである、おむつ。
2. 前記脚部弾性部長は、前記脚部開口部長の約５０％〜７５％である、請求項１に記載のおむつ。
3. 前記伸長状態の腰部周囲長は、約６４０ｍｍ〜約６８０ｍｍであり、前記脚部開口部長は約２７０ｍｍ〜約２８０ｍｍである、請求項１に記載のおむつ。
4. 前記後ベルト部分の前記側部パネルの長手方向長さは、前記前ベルト部分の各側部パネルの長手方向長さより大きい、請求項１に記載のおむつ。
5. 前記前ベルト部分の前記側部パネルの長手方向長さに対する前記後ベルト部分の前記側部パネルの各々の長手方向長さの比率が、約１．１〜約２．０である、請求項４に記載のおむつ。
6. 前記環状弾性ベルトの前記近位縁部と前記遠位縁部とは、実質的に平行である、請求項１に記載のおむつ。
7. 前記複数の側部パネル弾性ストランドは、前記前後ベルト部分の前記左右側部パネルにのみ配置されている、請求項１に記載のおむつ。
8. 前記腰部弾性ストランド及び前記側部パネル弾性ストランドは、長手方向に異なる間隔で配置されている、請求項１に記載のおむつ。

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