JP2014218612A - コート剤及び複合材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
軟質基材表面に形成されたプライマー層の表面にスルホン酸基を含む親水性塗料を塗布した場合、基材の影響で親水成分が表面に偏析しない場合があり、高度に親水化した表面をもつ軟質の複合基材を安定して製造することが困難であった。
【解決手段】
親水成分と、造膜成分と、溶媒と、揮発性造膜成分を含有しており、親水成分は少なくとも一つのスルホン酸基と、一つのエチレン性不飽和基を有しており、造膜成分は分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有し、溶解性パラメータ(SP値)が22(MPa/cm1/2以下、かつ粘度300 (mPa・s)以上(25℃条件)であり、前記溶媒はSP値が23.5(MPa/cm1/2以上、または相対蒸発速度が1.0 以上を満たす溶媒であることを特徴とする親水性のコート剤。
【選択図】図1

Description

本発明は、コート剤に係わり、特に浴室床などの軟質基材に好適なコート剤及び複合材に関する発明である。
浴室用床材の清掃性および速乾性を高めるためには、その表面を親水化処理する技術が知られている。親水化処理としては、表面に凹凸部を形成する物理的処理や、親水性材料を被覆して親水性表面を形成する化学的処理がある。
物理的処理としては、凹凸部を有する浴室用床材を、湿式ホーニング加工や凹凸を設けた成形型を用いて形成する技術が特許文献1(特開2003−213897号公報)に開示されている。このような場合は、凹凸部への汚れが蓄積してしまうおそれがあった。
化学的処理としては、親水性材料を含む組成物を塗布し、コーティング層を形成する技術が特許文献1,2に開示されている。特許文献1には、親水性基を有するポリマーと溶媒とから構成される親水化剤を浴室用床材に定期的に塗布もしくは吹き付けてメンテナンスする方法が開示されている。ここで親水化剤に含まれるポリマーとしては、シラノールを有するポリシロキサンが記載されている。また、特許文献2(特開2003−74174号公報)には、コロイダルシリカを浴室床面、特に排水溝内に塗ることで、撥水性の素材の表面を親水化させることが記載されている。この場合も、アルカリ浸漬や使用などによる劣化で、シラノール基が水アカと結合し、水アカ清掃面で問題があった。
親水成分としてスルホン酸基を有するコーティング層が表面に形成された水まわり複合材が特許文献3(特開2010−53305号公報)および特許文献4(特開2010−52394号公報)に開示されている。特許文献3、4には、アクリル系または不飽和ポリエステル表面を有する基材に対して、スルホン酸基を有するアクリル系樹脂からなるコーティング層を備えた複合材が記載されている。スルホン酸基を用いた複合材表面では、親水性かつ易清掃性を備えた表面を提供できる。
特開2003−213897号公報 特開2003−74174号公報 特開2010−53305号公報 特開2010−52394号公報
親水性を高めるために、スルホン酸基を有する親水成分を含むコート剤を適用してコーティング層を形成することが好ましい。さらに親水性を高めるためには、コーティング層の表面のスルホン酸基濃度を高めることが有効である。
また、基材として軟質基材を用いた場合、軟質基材の表面にコート剤を塗布しコーティング層を形成する場合には、レベリング性や、密着性が低いため、軟質基材表面にコーティング層を形成するのは難しい。よって、レベリング性や密着性を向上させるために軟質基材上にプライマー層を設けるのが好ましい。
しかしながら、プライマー層の表面にコーティング層を形成する場合、プライマー層のブリードアウトや溶媒の含浸などの影響によって、コーティング層の表面にスルホン酸基が偏析しにくくなる。これにより表面のスルホン酸基濃度が低下することで親水性が低下してしまう課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コート剤に含まれる造膜成分及び、溶媒として特定のものを用いることで、基材として表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合において、親水性を示すことが可能なコート剤を提供することを目的とする。さらに、基材表面にコート剤を用いて形成されるコーティング層において、基材の影響を抑制し、スルホン酸基をコーティング層の表面に偏析させることで、親水性を示すことが可能な複合材を提供できることを目的とする。
本発明において、コート剤は、親水成分と、造膜成分と、溶媒と、揮発性造膜成分を含んでおり、親水成分は少なくとも一つのスルホン酸基と、一つのエチレン性不飽和基を有しており、造膜成分は分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有し、溶解性パラメータ(SP値)が22.0(MPa/cm1/2以下、かつ粘度300 (mPa・s)以上(25℃条件)であり、溶媒は溶解性パラメータ(SP値)が23.5(MPa/cm1/2以上、または相対蒸発速度が1.0 以上であることを特徴とする。
本発明によれば、基材として表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合において、本発明のコート剤を塗布し硬化させることで形成されるコーティング層の表面にスルホン酸基を偏析させることが可能となる。また、この親水成分のスルホン酸基がコーティング層表面に存在することによって親水性を示すコーティング層を形成することが可能となる。この理由としては以下のように考えているが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。コーティング層を形成するためのコート剤を基材表面に塗布し硬化させる工程において、基材として表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合、基材の影響(例えば(1)表面エネルギー、(2)基材への含浸、(3)基材からのブリードアウト、などの複合要因)を受けて、化合物のコーティング層表面への偏析が阻害されると考えた。そこで、造膜成分のSP値を22(MPa/cm1/2以下とし、加熱工程で化合物を効率よく表面に偏析させることが可能となると考えた。さらに造膜成分の粘度を300 (mPa・s)以上(25℃条件)とすることで、親水成分に対して拡散律速で生じる基材からのブリードアウトやコート剤の基材への含浸の影響を抑制することができると考えた。また、溶媒のSP値を23.5(MPa/cm1/2以上とすることでコート剤の加熱工程で親水成分を効率よく表面に偏析させることができる。もしくは、溶媒の相対蒸発速度を1.0 以上とすることで、加熱工程において迅速に溶媒が揮発することが可能となり、基材へのコート剤の含浸や、基材からのブリードアウトといった基材の影響を抑制することが可能となる。
また、本発明では、親水成分、造膜成分が有するエチレン性不飽和基は、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれか1つであることが好ましい。これにより、硬化工程において、短時間に重合硬化させることができる。そのため、加熱工程において溶媒の揮発による親水成分と造膜成分の相分離後に親水成分が表面偏析した不安定(非平衡)な状態を短くすることができる。よって、製造安定性が向上することが可能となる。
また、本発明では、揮発性造膜成分は化学式1、化学式2であることが好ましい。

(式中A’は、水酸基、モルホリノ基、フルフリル基、アミド基のいずれかの親水性基を表す。BはH、CHのいずれかを表す。R’は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素であり、フェニレン基、エステル基、エーテル基のいずれかを含んでいても良い。)
本発明によれば、揮発性造膜成分を上記のようにすることで、親水成分と十分に相溶することができる。よって、コート剤を加熱する際、親水成分はコーティング層の表面に偏析し、コーティング層表面に均一に分散することができる。また、コーティング層中に残存した揮発性造膜成分は、コーティング層を硬化させる際、親水成分及び造膜成分と容易に重合することができるので、コーティング層中に未反応の揮発性造膜成分が残存することはなく、コーティング層から揮発性造膜成分の溶出等による親水性が低下することを防ぐことができる。
本発明において、複合材は、軟質基材の表面にプライマー層が形成された基材を用いることが好ましい、さらに、基材表面にコート剤を塗布し硬化することによりコーティング層が形成されていることが好ましい。軟質基材の表面にプライマー層を設けることで、コーティング層が密着困難な基材に対しても強固に密着したコーティング層を形成することが可能となる。
さらに本発明では、プライマー層は熱硬化性樹脂であることが好ましい。これにより、コーティング層を基材表面に強固に形成することが可能となる。
さらに本発明では、プライマー層は、イソシアネート系化合物又はカルボジイミド系化合物を含んでおり、熱硬化性樹脂は、水酸基、カルボキシル基の少なくともいずれか1種の官能基を有する。これにより、プライマー層を低温条件(例えば、80〜100℃)で硬化できるため、軟質基材が熱により変形することなくプライマー層を形成することが可能となる。
さらに本発明では、熱硬化性樹脂はアクリル系樹脂を主鎖とすることが好ましい。これにより、基材とコーティング層のレベリング性を上げ、より強固な密着を可能となる。
また、本発明の複合材は、水回り物品の表面に好適に使用することができる。ここで、水回り物品とはトイレや浴室、キッチン、洗面化粧台等に使われる部材を指し、例えば浴室壁材、浴室床材、便座、温水洗浄便座が挙げられるが特にこれらに限定されない。
水回り物品は、定期的に水や油汚れ、屎尿に曝露されるが、アニオン性親水基を有した本発明のコート剤を塗布し、コーティング層を形成することで、汚れや水垢の固着を防ぐことができる。
本発明によれば、基材としてプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合でも、基材の影響を抑制し、スルホン酸基をコーティング層の表面に偏析するため、高度に親水性を示すことが可能なコート剤を提供することができる。
本発明の実施例1〜5及び比較例1〜5に用いた造膜成分のSP値と粘度を示した図である。 本発明の実施例1〜5及び比較例1〜5の造膜成分を変化させて、アクリル板上及び基材上に製膜した表面の水接触角を示した図である。
以下に本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(コート剤)
本発明のコート剤は、親水成分、造膜成分、溶媒、揮発性造膜成分を含む。
(親水成分)
本発明の親水成分は、分子内にスルホン酸基と少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有する化合物である。
親水成分としては、化学式3または化学式4で表わされるものが好ましい。式中AはH、CHのいずれかを表す。Rは炭素数2〜20の脂肪酸炭化水素基を表し、なお且つフェニレン基、脂肪族環状基、エーテル基、またはエステル基を含んでいても良い。Mは水素、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンのいずれかを表す。Mは、1価のアルカリ金属が好ましく、ナトリウム、カリウム塩が特に好ましい。
化学式3で表される化合物の例としては、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロパン−1−スルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩などが挙げられる。
化学式4で表される化合物の例としては、メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウムまたはカリウム塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエーテル塩、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸アルケニルエステル塩、グリセロール‐1‐アリル‐3‐アルキルフェニル‐2‐ポリオキシエチレン硫酸塩などが挙げられる。
親水成分として、特に好ましいのは(メタ)アクリロイルオキシ基を有した直鎖アルキルスルホン酸及びその塩である2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、3−((メタ)アクリロイルオキシ)プロパン−1−スルホン酸である。これにより、造膜成分と十分な反応性を有し耐久性の高いコーティング層を形成することができる。
コート剤に含まれる親水成分の量は、コート剤に含まれる造膜成分の量に対して、造膜成分の重量を1としたときに、0.14以上2.2以下含まれることが好ましい。0.14以上とすることで、高度な親水性を有したコーティング層を形成することができる。また、2.2以下とすることで、乾燥工程において、親水成分の凝集を抑制することができ、透明度の高いコーティング層を形成することができ、さらには、アルカリに対して十分な耐久性を有するコーティング層を形成することができる。
(造膜成分)
本発明の造膜成分は、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも二つ以上有する化合物である。
造膜成分のエチレン性不飽和基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基のいずれか一種であることが好ましい。
造膜成分の分子量は、200以上であることが好ましい。また、造膜成分は複数の種類を混合して用いても良い。
造膜成分として好ましい化合物としては、(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)や、そのウレタン変性物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)、エポキシ変性物であるエポキシ(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)が挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和基を二つ以上有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、1−(5−{2−[6−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)ヘキサノイルオキシ]エチル}ペンタ5−ノイルオキシ1−カルバメート)−3−(5−{2−[6−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)ヘキサノイルオキシ]エチル}ペンタン5−ノイルオキシ1−カルバメートメチル)−3,5,5−(トリメチル)シクロヘキサン、1−(5−{2−[6−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)ヘキサノイルオキシ]エチル}ペンタン5−ノイルオキシ1−カルバメート)−3−(5−{6−[2−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)エチル]ヘキサ1,6−ジノイルオキシ}ペンタン 5−ノイルオキシ1−カルバメートメチル)−3,5,5−(トリメチル)シクロヘキサン、1−(5−{6−[2−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)エチル]ヘキサ1,6−ジノイルオキシ}ペンタン5−ノイルオキシ1−カルバメート)−3−(5−{2−[6−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)ヘキサノイルオキシ]エチル}ペンタン5−ノイルオキシ1−カルバメートメチル)−3,5,5−(トリメチル)シクロヘキサン、1−(5−{6−[2−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)エチル]ヘキサ1,6−ジノイルオキシ}ペンタン5−ノイルオキシ1−カルバメート)−3−(5−{6−[2−(6−アクリロイルオキシヘキサノイルオキシ)エチル]ヘキサ1,6−ジノイルオキシ}ペンタン 5−ノイルオキシ1−カルバメートメチル)−3,5,5−(トリメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
造膜成分のSP値は22.0(MPa/cm1/2以下であることが好ましい。また、造膜成分のSP値は19.5(MPa/cm1/2以上であることがさらに好ましい。なお、SP値はFedorの推算式により化学構造から算出し求めることが可能である。Fedorの推算式を下記式に示す。
δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2
ΣEcohは造膜成分の凝集エネルギー、ΣVは造膜成分のモル分子量を示す。
造膜成分のSP値をこのようにすることで、コート剤を基材に塗布した後に生じる基材からのブリードアウトやコート剤の基材への含浸を抑制することが可能となり、かつ溶媒の乾燥過程において親水成分を効率よくコーティング層表面に偏析することができる。
造膜成分は粘度が200 (mPa・s)以上(25℃条件)である化合物であることが好ましい。さらに好ましくは400 (mPa・s)以上である。なお、粘度はB型粘度計によって求めることが可能である。
造膜成分の粘度をこのようにすることで、コート剤を基材に塗布した後に拡散律速によって生じる基材からのブリードアウト物による親水成分のコーティング層表面への偏析阻害を抑制することができる。
造膜成分は、コート剤に15重量%以上、40重量%以下含まれることが好ましい。これにより、造膜成分をコート剤中に均一に溶かし、さらに基材に対して効率よく造膜成分を塗着することができる。
(溶媒)
本発明のコート剤は、基材への濡れ性向上や塗料の粘度を調整するために溶媒を使用することが好ましい。
溶媒は、コーティング層を形成する加熱工程で、親水成分の表面偏析と基材から受ける影響の観点から、SP値が23.5(MPa/cm1/2以上または相対蒸発速度が1.0 以上、好ましくはSP値が23.5(MPa/cm1/2以上または相対蒸発速度が2.0 以上、さらにはSP値が23.5(MPa/cm1/2以上または相対蒸発速度が3.0 以上の範囲を満たしていることが好ましい。これにより、親水成分と造膜成分と揮発性造膜成分との相溶性を向上させることができる。なお、SP値は造膜成分と同様の方法で求めることが可能である。
上記を満たす溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、IPA(イソプロパノール)等のアルコール類、メトキシエタノール等のセロソルブ類、アセトン等のケトン類が挙げられるが、特にこれに限定されない。また、溶媒は必要に応じて複数種類を混合して用いても良い。
溶媒として、最も好ましいのはメタノール、またはメトキシエタノールである。これにより、親水成分、造膜成分、揮発性造膜成分を均一に相溶することが可能であり、さらに基材から受ける影響を抑制して高度に親水化したコーティング層を形成することができる。さらに加熱工程において、効率よく溶媒が揮発することができ、高度に親水成分をコーティング層表面に偏析することを可能とする。
溶媒は、コート剤に50重量%以上、75重量%以下含まれることが好ましい。これにより、親水成分、造膜成分、揮発性造膜成分をコート剤中に均一に相溶することが可能となる。さらに、基材に対してレベリング良くコート剤を塗布することができる。
(揮発性造膜成分)
本発明の揮発性造膜成分は、親水成分よりも分子量が小さく分子内に一つのエチレン性不飽和基と親水性基を有する揮発性の化合物であることが好ましい。ここで、揮発性の化合物とは、沸点が280℃以下、より好ましくは260℃以下の化合物である。
揮発性造膜成分としては、前述の化学式1又は化学式2で表わされる揮発性の化合物であることが好ましい。式中A’は、水酸基、モルホリノ基、フルフリル基、アミド基のいずれかの親水性基を表す。BはH、CH3のいずれかを表す。R’は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素であり、フェニレン基、エルテル基、エーテル基のいずれかを含んでいても良い。
揮発性造膜成分として、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びその構造異性体、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びその構造異性体、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルホルムアミド等が挙げられる。
揮発性造膜成分としては、親水成分との相溶性の観点からヒドロキシメチル(メタ)アクリレートが好ましい。
揮発性造膜成分の分子量は親水成分より小さければ特に限定されないが、500以下が好ましい。また、重合した際の強度を低下させずに揮発性を両立させるためには分子量が100以上200以下の範囲が特に好ましい。
揮発性造膜成分は、コート剤に5重量%以上、20重量%以下含まれることが好ましい。5重量%濃度以上とすることによって、加熱工程において溶媒がすべて揮発後にも、揮発性造膜成分の揮発によって親水成分を表面へ偏析する駆動力を残すことができ、親水成分が凝集することで発生する白化を抑制することができる。20重量%濃度以下とすることによって、硬化工程において、アクリル耐久性をもつた強固なコーティング層を形成することができる。
(反応開始剤)
本発明のコート剤を重合させるために、コート剤に公知のラジカル重合開始剤、硬化触媒、重合促進剤等の反応開始剤が親水性を阻害しない範囲で任意に加えられる。
本発明のコート材を放射線、例えば紫外線により共重合させる場合には公知の光重合開始剤が使用される。
好ましい光重合開始剤としては、例えばBASF社が提供するイルガキュアー651、イルガキュアー184、イルガキュアー500、イルガキュアー2959、イルガキュアー127、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー1300、イルガキュアー819、イルガキュアー1800、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、ダロキュアー1173、ダロキュアーTPO、ダロキュアー4265等が挙げられる。
(任意成分)
その他の任意成分として、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤や塗料の意匠性を制御する染料、顔料、艶消し剤などの各種添加剤を塗料の親水性を阻害しない範囲で添加することができる。
(コーティング層)
本発明のコート剤を基材表面に塗布し硬化することによって得られる塗膜である。
(基材)
本発明の基材は、軟質基材と、その表面にプライマー層が形成されたものである。
(軟質基材)
軟質基材は、ヤング率1000MPa未満を示すものであることが好ましい。さらに好ましくはヤング率250MPa未満を示すものが望ましい。これにより人が不快な硬さを感じないようにすることが可能となる。
軟質基材はポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ゴム系樹脂のいずれかであることが好ましい。これらのうち好ましいのはポリオレフィン系樹脂である。これによって硬化後の樹脂が弾性を有し、軟質な基材を得ることが可能となる。
軟質基材はポリプロピレンであることがさらに好ましい。これによって耐薬品性、耐熱性(150℃)、ヒンジ特性に優れた基材を得ることができる。
(プライマー層)
プライマー層は、比較的低い温度(例えば、150℃以下)で硬化が可能な樹脂を用いることが好ましい。さらに好ましくは120℃以下で硬化が可能な樹脂を用いる。さらに好ましくは90℃以下で硬化が可能な樹脂を用いる。
このように低い温度で硬化可能な樹脂をプライマー層として用いることで、軟質基材の耐熱温度以下でプライマー層を形成することができる。
プライマー層はコーティング層との強固な密着性を得るため、主鎖がアクリル系樹脂やビニルアルコールを含むポリビニル系共重合体を用いることもできる。
このように低温で硬化可能で、かつ主鎖がアクリルである樹脂としては、例えばポリ(メタ)アクリポリオールが挙げられる。ポリ(メタ)アクリルポリオールとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等、(メタ)アクリル酸のジオールエステルを含む(メタ)アクリル系樹脂共重合体や(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル系共重合体が挙げられる。
プライマー層の硬化方法としては、光重合開始剤、熱重合開始剤や硬化剤を用いることができる。光重合開始剤としてはアルキルフェノン系光重合開始剤が挙げられ、UVを照射することで硬化することができる。熱重合開始剤としては、アゾ重合開始剤やぺルオキシド重合開始剤が挙げられ、室温や100℃程度の加熱で硬化することができる。また、硬化剤としてはイソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、アミン系硬化剤、シラノール系硬化剤が挙げられ、室温や100℃程度の加熱で硬化することができる。この中でも生産上の利便性から、常温でも硬化が進行可能なイソシアネート系硬化剤、またはカルボジイミド系硬化剤を利用するのが最も好ましい。
このなかでも、硬化剤を用いることが好ましい。この場合、イソシアネート系硬化剤やカルボジイミド系硬化剤を用いることが好ましい。更に好ましくは、イソシアネート系硬化剤としてはヘキサメチレンジイソシアネート、カルボジイミド系硬化剤としてはポリカルボジイミドが挙げられる。
(複合材)
本発明の複合材は、基材の表面にコーティング層が形成されたものである。
(製造方法)
本発明の複合材の製造方法は、本発明のコート剤を基材の表面に塗布する塗布工程と、溶媒と揮発性造膜成分を揮発させる加熱工程と、活性エネルギー線又は熱を加えることにより、親水成分、造膜成分、残存した揮発性造膜成分を共重合させる硬化工程からなる。コート剤には、重合開始剤を混合させることが好ましく、任意の希釈剤を混合させても良い。ここで各工程間には、基材をベルトコンベアー等で移動させる移動工程や各工程に移るために生じる待機工程があっても良い。
(塗布工程)
本発明の塗布工程において、コート剤を基材に塗布する方法は、例えば、ハケ塗り、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、カーテンコートなど公知のものを用いることができる。コーティング層の厚さは、十分な親水性と耐摩耗を有し、かつクラックを発生させず、基材との良好な密着性を発現させるため、0.1μm〜300μmの範囲、好ましくは1〜100μmの範囲、さらに好ましくは3〜20μmの範囲であることが好ましい。従って、コート剤は前記範囲の膜厚となるように塗布量を調節して塗布される。
(加熱工程)
加熱工程は、赤外線または熱風等により加熱する公知の方法を用いることができる。加熱温度は、通常、室温〜200℃の範囲、好ましくは35℃〜150℃、加熱時間が短すぎると溶媒の揮発が十分でなく親水性が十分に発現しない。また、加熱時間が長すぎると軟質基材が熱可塑性樹脂であるため、基材の変形が発生する。さらに量産性も低下するため好ましい加熱時間としては20分以内、より好ましくは10分以内が良い。
(硬化工程)
基材に塗布されたコート剤を硬化させる手段としては、熱硬化、活性エネルギー線硬化、またはその組み合わせ等エチレン性不飽和基を含んだ親水成分を重合させる公知の方法を使用することができる。熱硬化により重合硬化を行う場合は、重合開始剤が用いられる。加熱は加熱工程と同様に赤外線または熱風等により加熱する公知の方法を用いることができる。なお、熱硬化の場合は、加熱工程と硬化工程とを一つの工程で同時に行うことがきる。
また、活性エネルギー線硬化の場合、放射線としては、400〜800nmの可視光、400nm以下の紫外線及び電子線が挙げられるが、簡便、短時間に重合をおこなうことができる紫外線硬化が好ましい。紫外線により硬化を行う場合は、公知の光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤は、親水性塗料組成物中に含有される重合性化合物の質量の0.01〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲で添加される。紫外線発生源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、紫外線レーザー、太陽光等の紫外線が挙げられる。照射雰囲気は大気中で良いし、窒素、アルゴン等の不活性ガスでもよい。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた親水成分、造膜成分および揮発性造膜成分の各構造を化学式5から化学式15に示す。
3−スルホニルプロピルメタリレートカリウム塩(略称、SPMA−K)
(実施例1〜11、比較例1〜10における親水成分)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(略称、A−DPH)
(実施例1,6〜11、比較例6〜10における造膜成分)
ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリアクリレート(略称、A−PG5009E)
理論平均分子量≒1400(k≒4, m≒2 k及びmは平均値を示す。)
(実施例2における造膜成分)
エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(略称、ABE−300)
(実施例3における造膜成分)
ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート(略称、A−PG5027E)
理論分子量≒2200(k≒5, t≒3 k及びtは平均値を示す)
(実施例4における造膜成分)
ポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート(略称、A−PG5054E)
理論分子量≒3500(k≒5, t≒6 k及びtは平均値を示す)
(実施例5における造膜成分)
ポリエチレングリコール♯400ジメタクレート(略称、9G)
(比較例1における造膜成分)
トリメチロールプロパントリアクリレート(略称、A−TMPT)
(比較例2における造膜成分)
エトキシ化グリセリントリアクリレート(略称、A−GLY−9E)
l+m+n=9
(比較例3における造膜成分)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(略称、A−TMM−3LM−N)
(比較例4における造膜成分)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(略称、HEMA)
(比較例5における造膜成分、及び実施例1〜11、比較例1〜9における揮発性造膜成分)
(実施例1)
化学式1で表わされる親水成分として、3−スルホニルプロピルメタリレートカリウム塩(以後SPMA−Kと略す。)0.32重量部を2.6重量部の水に溶解させた後、造膜成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製NKエステルA−DPH)28重量部と、溶媒としてメトキシエタノール59重量部と、揮発性造膜成分としてヒドロキシメチルメタアクリレート(HEMA)を9.5重量部、反応開始剤としてイルガキュアー500(BASF社製)0.55重量部を加えた溶液をスターラーで60分撹拌することによって実施例1のコ−ト剤を調製した。
コート剤を塗布する基材としては、厚さ約2mmで大きさが10cm×10cmポリプロピレン樹脂からなる軟質基材表面にカルボジイミド系硬化剤を用いて熱硬化したアクリル系樹脂を主鎖とする厚さ約10μmのプライマー層が形成された基材を用いた。
基材の表面にコート剤をエアスプレーで15g/mを塗布した。コート剤を塗布した基材は、恒温恒湿槽(AmeFrec社製NO DOOR α)を用い25℃で相対湿度がRH40%の環境化で2分間静置した後、熱風乾燥炉(YAMATO科学社製DKN402)により温度70℃、乾燥時間10分の条件で溶媒と揮発性造膜成分を揮発させた。
熱風乾燥炉から取り出した後、積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射(パナソニック電工製ANUP4154)して、厚さが約5μmのコーティング層を形成し、複合材を作製した。
(実施例2)
実施例2は、表1に示すように造膜成分としてA−PG5009Eを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例3)
実施例3は、表1に示すように造膜成分としてABE−300を用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例4)
実施例4は、表1に示すように造膜成分としてA−PG5027Eを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例5)
実施例5は、表1に示すように造膜成分としてA−PG5054Eを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例6)
実施例6は、表1に示すように溶媒としてエタノールを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例7)
実施例7は、表1に示すように溶媒としてメタノールを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例8)
実施例8は、表1に示すように溶媒として酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例9)
実施例9は、表1に示すように溶媒としてアセトンを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例10)
実施例10は、表1に示すように溶媒として2−ブタノンを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(実施例11)
実施例11は、表1に示すように溶媒としてテトラヒドロフランを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例1)
比較例1は、表1に示すように造膜成分として9Gを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例2)
比較例2は、表1に示すように造膜成分としてA−TMPTを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例3)
比較例3は、表1に示すように造膜成分としてA−GLY−9Eを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例4)
比較例4は、表1に示すように造膜成分としてA−TMM−3LMNを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例5)
比較例5は、表1に示すように造膜成分としてHEMAを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例6)
比較例6は、表1に示すように溶媒としてシクロヘキサノンを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例7)
比較例7は、表1に示すように溶媒としてプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例8)
比較例8は、表1に示すように溶媒としてn−ブタノールを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例9)
比較例9は、表1に示すように溶媒としてブトキシエタノールを用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(比較例10)
比較例10は、表1に示すように揮発性造膜成分を用いない以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
表1に実施例1〜11、比較例1〜10で用いたコート剤の組成を示す。
(参考例1)
参考例1は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例1と同様に複合材を作製した。
(参考例2)
参考例2は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例2と同様に複合材を作製した。
(参考例3)
参考例3は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例3と同様に複合材を作製した。
(参考例4)
参考例4は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例4と同様に複合材を作製した。
(参考例5)
参考例5は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例5と同様に複合材を作製した。
(参考例6)
参考例6は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例6と同様に複合材を作製した。
(参考例7)
参考例7は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例7と同様に複合材を作製した。
(参考例8)
参考例8は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例8と同様に複合材を作製した。
(参考例9)
参考例9は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例9と同様に複合材を作製した。
(参考例10)
参考例10は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例10と同様に複合材を作製した。
(参考例11)
参考例11は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、実施例11と同様に複合材を作製した。
(参考例12)
参考例12は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例1と同様に複合材を作製した。
(参考例13)
参考例13は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例2と同様に複合材を作製した。
(参考例14)
参考例14は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例3と同様に複合材を作製した。
(参考例15)
参考例15は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例4と同様に複合材を作製した。
(参考例16)
参考例16は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例5と同様に複合材を作製した。
(参考例17)
参考例17は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例6と同様に複合材を作製した。
(参考例18)
参考例18は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例7と同様に複合材を作製した。
(参考例19)
参考例19は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例8と同様に複合材を作製した。
(参考例20)
参考例20は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例9と同様に複合材を作製した。
(参考例21)
参考例21は、基材として、厚さ2mmで大きさが10cm×10cmのアクリル板を用いた以外は、比較例10と同様に複合材を作製した。
以下に、造膜成分、溶媒のパラメータとして用いたSP値、及び粘度、相対蒸発速度についての求め方について説明する。
(SP値)
溶媒のSP値は、文献(塗膜の流動と塗膜形成pp107−pp109,中道敏彦,技報堂出版株式会社)に記載の値(δ[cal/cm3]1/2)を単位換算によって求めた値を記載した。単位換算は下記式を用いた。
1(cal/cm1/2= 2.05(MPa/cm1/2
造膜成分のSP値(δ[MPa/cm]1/2)はFedorの推算式によって求めた値を記載した。Fedorの推算式を下記式に示す。
δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2
ΣEcohは造膜成分の凝集エネルギー、ΣVは造膜成分のモル分子容を示す。Ecoh,Vの値は、文献(SP値基礎・応用と計算方法pp67,山本秀樹,情報機構株式会社)に記載の値(Ecoh[J/mol],V[cm3/mol])を用いた。
(粘度)
造膜成分の粘度は、文献値(カタログ「モノマーとオリゴマー NKエステル&NKオリゴ」,新中村化学工業)を用いた。
(相対蒸発速度)
溶媒の相対蒸発速度は酢酸n−ブチルの蒸発速度を1としたときの各溶媒の相対的な蒸発速度を示しており、文献値(塗膜の流動と塗膜形成pp107−pp109,中道敏彦,技報堂出版株式会社)を用いた。
各評価試験を以下の方法で行った。
(水接触角の測定)
水に対する静的接触角は、FACE接触角計CA−X150(協和界面科学製)を用いて、室温2μLの水滴を滴下後20秒後の静的接触角をθ/2法で測定した。測定は製膜後に蒸留水で水洗いし乾燥させた後に3点測定し平均値を記載した。
(防汚性(セルフクリーニング)試験)
オレイン酸にカーボンブラック(三菱化学社製MA100)を1重量%となるように加えた疎水性の疑似汚物を作成し、この疑似汚物約2mlを複合材の表面に滴下後、水道水で洗い流した後に目視で汚染状態を以下の要領で判定した。
○:試験体表面に汚染物質の付着がほとんどなくなっていた場合
△:僅かに付着して残っていた場合
×:明らかに付着して残っていた場合
表2と図1に実施例1〜5、比較例1〜5の組成で用いた造膜成分のSP値と粘度を示す。
(造膜成分の親水性への影響)
表3に実施例1〜5、比較例1〜5の評価結果を示す。表4に参考例1〜5、12〜16の結果を示す。
表3および4、図1をみると、アクリル板を用いた場合、実施例及び比較例のいずれのコート剤において、親水化し、防汚性試験においても良好な結果を示した。表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合、実施例のコート剤において、水接触角が45°以下となり、防汚性試験においても良好な結果を示した。
表5と図2に実施例1、6〜11、比較例6〜9の組成で用いた溶媒のSP値と蒸発速度を示す。
(溶媒における試験)
表6に実施例1、6〜11、比較例6〜9の評価結果を示す。表7に参考例1、6〜10、17〜20の評価結果を示す。
表6および7、図2をみると、アクリル板を用いた場合、実施例及び比較例のいずれのコート剤において、親水化し、防汚性試験においても良好な結果を示した。表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合、実施例のコート剤において、水接触角が45°以下となり、防汚性試験においても良好な結果を示した。
(揮発性造膜成分の親水性への影響)
表8に実施例1、比較例10の評価結果を示す。表9に参考例1、21の評価結果を示す。
表8および9をみると、アクリル板を用いた場合、コート剤に揮発性造膜成分含まなくとも、親水化し、防汚性試験による良好な結果を示した。しかし、コート剤に揮発性造膜成分を含まない場合、表面にプライマー層が形成された軟質基材を用いた場合は、親水性、防汚性ともに低下する傾向があった。

Claims (9)

  1. 親水成分と、造膜成分と、溶媒と、揮発性造膜成分を含むコート剤において、
    前記親水成分は少なくとも一つのスルホン酸基と、一つのエチレン性不飽和基を有しており、
    前記造膜成分は分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和基を有し、溶解性パラメータ(SP値)が22(MPa/cm1/2以下、かつ粘度300 (mPa・s)以上(25℃条件)であり、
    前記溶媒はSP値が23.5(MPa/cm1/2以上、または相対蒸発速度が1.0 以上であることを特徴とする、コート剤。
  2. 前記エチレン性不飽和基は、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる少なくともいずれか1種であることを特徴とする請求項1に記載のコート剤。
  3. 前記揮発性造膜成分は以下の化学式1または化学式2で表わされることを特徴とする請求項1又は2に記載のコート剤。
    (式中A’は、水酸基、モルホリノ基、フルフリル基、アミド基のいずれかの親水性基を表す。BはH、CHのいずれかを表す。R’は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素であり、フェニレン基、エステル基、エーテル基のいずれかを含んでいても良い。)
  4. 軟質基材の表面にプライマー層が形成された基材において、
    前記基材表面に請求項1〜3のいずれか一項に記載のコート剤を塗布し硬化することによりコーティング層が形成された複合材。
  5. 前記プライマー層は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の複合材。
  6. 前記プライマー層は、イソシアネート系硬化剤又はカルボジイミド系硬化剤を含んでおり、前記熱硬化性樹脂は、水酸基、カルボキシル基の少なくともいずれか1種の官能基を有することを特徴とする請求項5に記載の複合材。
  7. 前記熱硬化性樹脂は、アクリル系樹脂を主鎖とすることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の複合材。
  8. 水回りで用いられることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の複合材。
  9. 浴室用床であることを特徴とする請求項8に記載の複合材。
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