JP2014189884A - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のニッケル粉末の諸特性を維持しながら、簡易に乾燥処理後のニッケル粉末の酸素品位の上昇を抑制する方法を提供する。
【解決手段】 湿式還元法にて生成した例えば平均粒径が0.05〜0.3μmのニッケル粒子を含むスラリーに対して、非酸化性雰囲気下で固液分離処理及び乾燥処理を行う工程と、これにより得たニッケル粉末を大気より低い例えば6〜12容量%の酸素濃度を有する徐酸化ガスにさらしてニッケル粉末の粒子表面部を徐酸化させる工程とからなる。乾燥処理は不活性ガス雰囲気下もしくは真空雰囲気下で行ってもよいし、固液分離処理を不活性ガス雰囲気下で行った後、乾燥処理を真空雰囲気下で行ってもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ニッケル粉末の製造方法に関し、特に、積層セラミックコンデンサ(multilayer ceramic capacitors;MLCC)の内部電極として好適に使用されるニッケル粉末の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極、基板の電気回路等には厚膜導電体が用いられている。この厚膜導電体の形成では、一般に金属粉末を含んだ導電ペーストが材料として用いられており、これをスクリーン印刷法などを用いて層状に成膜した後、所定の温度で焼成することにより所定の厚み及び形状を有する厚膜導電体を形成することができる。
例えば積層セラミックコンデンサの製造工程では、金属粉末と、エチルセルロース等の樹脂と、ターピネオール等の有機溶剤等とを混練して導電ペーストとし、これを誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷して内部電極になる層を成膜する。次に、この成膜された層の上に誘電体グリーンシートを重ねる。これらを複数回繰り返して誘電体グリーンシートと内部電極になる層とを交互に積層した後、圧着して積層体を形成する。得られた積層体を所定の大きさにカットし、これを脱バインダ処理することによって、有機バインダとして使用したエチルセルロース等の樹脂を燃焼除去する。そして、1300℃で高温焼成してセラミック体とした後、外部電極を取り付けて積層セラミックコンデンサが完成する。
近年、電子部品では小型化・高容量化がより一層求められており、これを受けて積層セラミックコンデンサでは高積層化が進んでいる。その結果、導電ペーストの使用量が大幅に増加しており、導電ペーストの金属粉末には高価な貴金属を避けて安価なニッケルなどの卑金属を使用することが主流になっている。そのため、ニッケル粉末が酸化されないように、上記積層体の脱バインダ処理は酸素が極めて微量しか含まれていない雰囲気下で行われる。
また、積層セラミックコンデンサでは、高積層化に加えてそれを構成する内部電極及び誘電体の薄層化も進んでおり、例えば内部電極の厚さを1μm以下とするものもある。そのため、導電ペーストに使用するニッケル粉末には粒径0.5μm以下の微粉末の使用が主流になりつつある。導電ペーストに使用するニッケル粉末には更に不純物である酸素品位を低く抑えることも求められている。これは、ニッケル粉末の酸素品位が高いと還元雰囲気下の1300℃で高温焼成する際に還元反応が生じ、これによりニッケル粒子の体積が収縮して歪が大きくなり、その結果クラックが発生してしまうからである。
しかし、プラズマ法やCVD法などの乾式還元法あるいは湿式還元法で作製されたニッケル粉末は、その粒子表面に酸化膜による被覆層がほとんど存在していない。そのため、空気中の酸素に接触すると急激な酸化が起こり、表面部の酸素含有量が多くなることがあった。これを抑えるため、特許文献1では、徐酸化によりニッケル粉末の粒子表面に安定な酸化被膜を形成する技術が示されている。特に、プラズマ粉では酸素を1〜5容量%含んだガスで徐酸化することがよいと記載されている。また、特許文献2には湿式還元法で得られたニッケル粉末を、不活性ガス雰囲気あるいは真空乾燥機で乾燥した後、還元雰囲気下で熱処理することで粒子表面に安定した酸化被膜層を形成する技術が開示されている。
特開2011−195888号公報 特開2011−149080号公報
しかしながら、湿式還元法で得たニッケル粉末に対して特許文献1と同様の方法を適用して徐酸化したところ、ニッケル粉末の粒子表面に被覆層を形成することができなかった。これは、湿式還元法でも乾式還元法と同程度の平均粒径を有するニッケル粉末が得られるが、湿式還元法で生成したニッケル粉末の方が一般的に粒子表面の凹凸がより大きくなることによるものと発明者は推察している。
また、特許文献2の方法は還元雰囲気下で熱処理することが前提であるため、乾燥処理後の徐酸化については考慮されていない可能性が高い。これは、明細書に徐酸化について何ら言及がないことからもうかがえる。しかも、熱処理したニッケル粉末には連結あるいは凝集した粒子が存在するため、特許文献2の方法では分級工程や分散工程が必要になる。更に、ニッケル粉末は平均粒径が細かくなるほど熱処理による粒子の連結あるいは凝集が顕著になるため、熱処理後の分級工程や分散工程の負荷が高くなるという問題もかかえている。
本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、積層セラミックコンデンサに用いられる内部電極用のニッケル粉末を湿式還元法にて製造する方法において、従来のニッケル粉末の諸特性を維持しながら、簡易に乾燥処理後のニッケル粉末の酸素品位の上昇を抑制する方法を提供することを目的とする。
発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、湿式還元法で得られたニッケル粉末に対して非酸化性雰囲気下で固液分離処理及び乾燥処理を行った後、酸素濃度(酸素分圧)を制御したガスでニッケル粉末の粒子表面部を徐酸化することにより、粒子表面部の酸素品位が抑えられたニッケル粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のニッケル粉末の製造方法は、湿式還元法にて生成したニッケル粒子を含むスラリーに対して、非酸化性雰囲気下で固液分離処理及び乾燥処理を行う工程と、これにより得たニッケル粉末を大気より低い酸素濃度を有する徐酸化ガスにさらしてニッケル粉末の粒子表面部を徐酸化させる工程とからなることを特徴としている。
上記本発明のニッケル粉末の製造方法では、上記徐酸化ガスが酸化性ガスと不活性ガスとを混合したものであり、その酸素濃度が6〜12容量%であるのが好ましい。上記乾燥処理は、不活性ガス雰囲気下もしくは真空雰囲気下で行ってもよい。あるいは、上記固液分離処理を不活性ガス雰囲気下で行った後、上記乾燥処理を真空雰囲気下で行ってもよい。
また、上記湿式還元法は、パラジウムと銀とからなる複合コロイド粒子が分散されたコロイド溶液と、還元剤と、アルカリ性物質とを混合したアルカリ性コロイド溶液に、ニッケル塩水溶液を添加するものであるのが好ましい。更に、上記湿式還元法にて生成したニッケル粉末の平均粒径は0.05〜0.3μmであるのが好ましい。
本発明によれば、一般的なニッケル粉末の諸特性を維持しながら、簡易な方法でニッケル粉末中の不純物である酸素品位の上昇を抑制することができる。
実施例の試料1のニッケル粉末の断面を透過電子顕微鏡を用いて撮影した写真である。
本発明は、湿式還元法にて生成されたニッケル粒子を含むスラリーに対して簡易な工程で処理を施して酸素品位を抑えたニッケル粉末を得ることを可能にするニッケル粉末の製造方法である。以下、かかる本発明のニッケル粉末の製造方法を、一具体例を挙げて説明する。なお、以下に説明する湿式還元法では、ニッケル粒子を還元析出させる前に、パラジウムと銀との複合コロイド粒子を形成するが、もちろん本発明のニッケル粉末の製造方法は、このような複合コロイド粒子を用いる湿式還元法に限定されるものではなく、ニッケル以外の元素による複合コロイド粒子の形成を経ずにニッケル粒子を形成する湿式還元法にも適用できることは言うまでもない。
先ず、第1工程として、アルカリ性のコロイド溶液を作製する。この工程は、アルカリ性の還元溶液中にパラジウムと銀との複合コロイド粒子を分散させる工程であり、特に限定するものではないが、例えば、(1)上記複合コロイド溶液と還元剤とアルカリ性物質とを混合したり、(2)上記複合コロイド溶液に、還元剤とアルカリ性物質とを添加したり、(3)上記複合コロイド溶液に、還元剤を含有するアルカリ性溶液を混合したりする工程を挙げることができる。
上記パラジウムと銀の複合コロイド溶液は、例えば保護コロイド剤を含んだ水溶液に還元剤を添加し、更にパラジウム塩水溶液および銀塩水溶液を混合することにより作製することができ、これにより複合コロイド粒子が分散した状態にある水溶液を得ることができる。
上記保護コロイド剤は、コロイド粒子の凝集を抑制するために添加するものであり、パラジウムと銀とからなる複合コロイド粒子を取り囲んで保護コロイドの形成に寄与するものであれば各種の保護コロイド剤を使用することができる。中でもゼラチンが特に好ましいが、その他、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールを用いることもできる。
上記パラジウム塩水溶液に使用するパラジウム塩は、特に限定されるものではないが、例えば、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等から選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。これらの中では、液調整が容易な塩化パラジウムが最も好ましい。
上記銀塩水溶液としては、例えば硝酸銀水溶液を用いることができる。このようにパラジウムのみならず銀を添加する理由は、銀の添加によりパラジウムの凝集が抑制されるため、ニッケル粒子の粗大化や連結粒子の形成が抑制されるためである。特に、パラジウムと銀との質量比を適切な範囲内に制御することによって、粒径がより均一で、単分散状態のパラジウムと銀との複合コロイド粒子が生成され、ニッケル粒子の粗大化や連結粒子の形成を良好に抑制することができる。
上記還元剤は特に限定されるものではないが、例えば、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、水素化ホウ素ナトリウム等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶性化合物を用いることが好ましい。これらの水溶性化合物の中では、特に不純物が少ない点で、ヒドラジン(N)が最も好ましい。
上記アルカリ性物質は、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の水溶性のアルカリ性物質を用いることができる。これらの水溶性のアルカリ性物質を用いることにより、例えばヒドラジン、ヒドラジン水和物等の水溶性ヒドラジン化合物と共に純水中で混合してアルカリ性のヒドラジン水溶液を作製することができる。この場合は、アルカリ性のヒドラジン水溶液のpHが10以上となるように例えば水酸化ナトリウムとヒドラジン水和物との混合水溶液を調製することが好ましい。これは、pHが10未満では反応速度が遅くなるため、ニッケルの還元析出が起こりにくくなるからである。
上記方法で作製した還元剤を含むアルカリ性コロイド溶液にニッケル塩水溶液を添加することにより、ニッケル粒子を含むスラリーを生成することができる。使用するニッケル塩水溶液は、特に限定するものではないが、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケルおよび硫酸ニッケル等から選ばれる少なくとも1種類を含む水溶液を用いることができる。これらの水溶液の中では、特に廃液処理が簡易な塩化ニッケル水溶液が好ましい。
次に、第2工程として、上記第1工程で得られたニッケル粒子を含むスラリー溶液を、酸化性ガスに触れないように留意しながらろ過機能を兼ね備えた密閉式乾燥機内に導入し、非酸化性雰囲気下にて固液分離処理を行う。上記スラリー溶液の密閉式乾燥機内への導入時や固液分離の処理時は、該乾燥機の缶体内部を非酸化性雰囲気にする。これは、例えば窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込むことで可能となる。
密閉されている乾燥機内にニッケル粒子を含むスラリー溶液を導入する際は、乾燥機内を減圧してニッケル粉末スラリー溶液の移送を促進することも可能である。この場合の減圧方法については特に限定がなく、一般的な真空ポンプを稼動させて缶体内部をバキューム状態にすれば良い。固液分離を行う際は、缶体内部に不活性ガスを吹き込み、ろ過フィルターの一次側を加圧してもよい。これにより効率よく固液分離を行うことができる。加圧時の圧力はスラリー中のニッケル粉末の濃度、ニッケル粉末の平均粒径、分離に用いるフィルターの目開きなどを考慮して適宜設定すればよい。
この固液分離処理は、上記の密閉式乾燥機によるものに限定されるものではない。しかし、次の乾燥工程において短時間で効率よく乾燥できるので密閉式乾燥機を用いるのが好ましい。特に、乾燥機の缶体内部に撹拌機やディスク等が設置されていれば、被乾燥物を流動しながら乾燥できるのでより好ましい。このようなタイプの装置として、例えばろ過乾燥機(タナベウィルテック株式会社製)等を挙げることができる。
次に、第3工程として、上記第2工程の固液分離処理により得られた湿潤状態のニッケル粉末を、真空下又は非酸化性ガス雰囲気下にて乾燥する。乾燥は加熱状態で行うのが好ましく、その際、加熱媒体を用いて間接的に加熱するのがより好ましい。使用する加熱媒体については特に限定はないが、扱いやすさ、乾燥時の温度設定の容易さ、高い安全性、循環による加熱媒体の再利用が可能なこと等の理由により、温水が好ましい。温水の温度については、極力早く乾燥させることと安全性とを考慮すると75〜90℃が好適である。この工程の非酸化性ガス雰囲気についても、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いればよい。
次に、第4工程として、上記第3工程の乾燥処理を終えたニッケル粉末に対して徐酸化を行う。この徐酸化工程は、酸化性ガスと不活性ガスとの混合により酸素濃度が制御された徐酸化ガスを用いてニッケル粉末の各粒子表面部を徐々に酸化させるものであり、ニッケル粉末がさらされる徐酸化ガスの酸素濃度は6〜12容量%が望ましい。このように大気よりも酸素濃度の低い雰囲気下でニッケル粒子の表面部を徐々に酸化させることで、大気に触れた時の急激な酸化を防止することができ、積層セラミックコンデンサの内部電極として好適なニッケル粉末を得ることができる。
上記徐酸化ガスの酸素濃度が6容量%よりも低いと、ニッケル粒子の表面部の徐酸化が良好に進行しにくくなり、その結果、安定した酸化被膜が形成されにくくなって、ニッケル粒子が大気に触れた時に酸化が部分的に進行して酸化被膜の厚さが不均一となるおそれがある。一方、上記徐酸化ガスの酸素濃度が12容量%よりも多いと、ニッケル粒子の表面部の酸化が進行しやすくなり、酸素品位が著しく上昇するおそれがある。なお、積層セラミックコンデンサの内部電極に適したニッケル粉末の酸素品位は、表面の酸化被膜がほぼ均一であれば3質量%以下であり、特に厚さが1μm以下の薄膜化された積層セラミックコンデンサの内部電極用には、酸素品位は2質量%以下が適している。酸化性ガスとの混合に使用する不活性ガスの種類は特に限定がなく、例えば窒素ガス、アルゴンガスなどが使用できる。
徐酸化の際の徐酸化ガスの温度は、酸化反応を徐々に進行させる点からあまり高温でないのが好ましく、具体的には50〜120℃程度が好ましい。徐酸化の時間は、上記徐酸化ガスの温度、乾燥機の缶体内部の容積、徐酸化させるニッケル粉末の重量、ニッケル粉末の所望の酸素品位に応じて適宜調整すればよい。また、徐酸化反応をニッケル粉末を構成する全ての粒子に対してほぼ均一に行うため、ニッケル粉末を撹拌しながら徐酸化するのが好ましい。
最後に、第5工程として、第4工程の徐酸化が終了したニッケル粉末を冷却する。これは、例えば第3工程において加熱媒体を循環させた乾燥機の流路等に冷却水を通水することで可能になる。冷却水の温度は、効率よく冷却するために30℃以下が好適である。これにより、各粒子の表面部に均一な酸化被膜が形成されたニッケル粉末を得ることができる。
上記した本発明の一具体例のニッケル粉末の製造方法は、ニッケル粉末の平均粒径によらず、湿式還元法にて生成した様々なニッケル粉末に適用可能であるが、平均粒径が0.05〜1.0μmのものに対して適している。特に、湿式還元法にて生成した平均粒径が0.05〜0.3μmのニッケル粉末では、従来の不活性ガス雰囲気あるいは真空乾燥機で乾燥した後に還元雰囲気下で熱処理する方法の場合とは異なり、熱処理後の分級や分散工程を行う必要がないため、本発明の徐酸化を適用することにより顕著な効果が得られる。なお、上記したニッケル粉末の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてニッケル粉末を撮影し、写真中で粒子形状の全様が見える粒子の面積を測定し、面積から各粒子の直径を求め、その平均値から求めたものである。
以下、本発明の実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。先ず、第1工程として、純水6Lをビーカーに量り取り、撹拌しながら恒温槽にて75℃まで昇温させた。75℃に昇温した純水にゼラチンを添加して溶解させた後、更に60%水加ヒドラジンを0.1g混合した。次に、塩化パラジウムと微量の硝酸銀との混合用液を作製し、これを上記したゼラチンとヒドラジンとが含まれる水溶液に滴下して複合コロイド溶液とした。
この複合コロイド溶液に水酸化ナトリウム溶液135mlを添加した後、60%水加ヒドラジンを185ml加え、ニッケルを還元するためのアルカリ性コロイド溶液とした。なお、このアルカリ性コロイド溶液に含まれるパラジウム、銀、ゼラチンの量は、ニッケル塩水溶液中のニッケルの質量に対して、パラジウム:100質量ppm、銀:1.0質量ppm、ゼラチン:1,000質量ppmとなるように調製した。得られたアルカリ性コロイド溶液に、塩化ニッケル水溶液500mlを滴下して、ニッケルの還元を行い、還元終了後、平均粒径が0.18μmのニッケル粉末を含むスラリー溶液を得た。
次に、第2工程として、密閉式乾燥機の缶体内が0.01MPaになるように真空ポンプを稼動させ、第1工程で得られたニッケル粒子を含むスラリーを酸化性ガスに触れないように留意しながら密閉式乾燥機内へ吸引させた後、窒素ガスを用いて缶内を0.15MPaまで加圧状態にして装置廃液ラインより水分を排出し固液分離を行った。次に、第3工程として缶内を真空ポンプにて真空状態にした後、80℃の温水にて缶体を加熱し、缶内でニッケル粉末を静置した状態で24hr乾燥させた。
次に、第4工程として、第3工程で乾燥した後のニッケル粉末を撹拌しながら、酸素濃度を10容量%に調整した酸素−窒素混合ガスに30分間さらして、ニッケル粉末の徐酸化を行った。次に、第5工程として、缶体の温水を抜き、代わりに25℃冷却水を通水させた。このようにして、試料1のニッケル粉末を作製した。この試料1の酸化被膜の状況を撮影した写真を図1に示す。更に、第4工程の酸素分圧を10容量%に代えてそれぞれ6容量%、14容量%及び5容量%としたこと以外は上記試料1と同様にして試料2、3及び4のニッケル粉末を作製した。
比較のため、第1工程までは上記試料1の場合と同様にして作製したスラリー溶液を大気下で固液分離した後、静置式真空乾燥機を用いて80℃で24hr乾燥させた。その後、酸素分圧を7容量%に調整した酸素−窒素混合ガスを用いて、撹拌しながら30分間ニッケル粉末の徐酸化を行った。次に静置式真空乾燥機に25℃冷却水を通水させた。このようにして、試料5のニッケル粉末を作製した。
このようにして作製した試料1〜5のニッケル粉末の各々に対して、酸素、窒素同時分析装置(LECO社製、型番TC−336)を用いて酸素品位を測定した。更に試料1〜5のニッケル粉末の酸化被膜厚みについて評価すべく、各々のニッケル粉末を公知の方法により透過電子顕微鏡観察用に調製した後、電界放出型透過電子顕微鏡(日立製 HF−2200)にて観察した。そして、酸化被膜厚みが比較的均一なものを「○」、一部に部分的に厚い酸化被膜があるものを「△」、不均一で多数の厚い酸化被膜があるものを「×」とした。その評価結果を下記表1に示す。
上記表1から分かるように、固液分離処理及び乾燥処理を非酸化雰囲気下で行い、徐酸化時の酸素濃度を6〜12容量%の範囲内とした試料1及び2のニッケル粉末では、ニッケル粉末の酸素含有量は低く、積層セラミックコンデンサの内部電極用、特に厚さが1μm以下の薄膜化された積層セラミックコンデンサの内部電極用として適していることが分かった。一方、試料5は大気下で固液分離処理を行ったため、固液分離の際ニッケル粉末が大気に触れることで酸化が進行し、非酸化性雰囲気下で乾燥及び徐酸化を行ったにもかかわらず酸素含有量が高かった。
なお、試料3及び4のニッケル粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極用として使用することは可能であるが、徐酸化時の酸素濃度を6〜12容量%の範囲より高い14容量%とした試料3では酸素含有量がやや高く、酸素濃度を6〜12容量%の範囲より低い5容量%とした試料4では表面酸化被膜に部分的に厚い酸化被膜がするニッケル粒子が存在していた。

Claims (6)

  1. 湿式還元法にて生成したニッケル粒子を含むスラリーに対して、非酸化性雰囲気下で固液分離処理及び乾燥処理を行う工程と、これにより得たニッケル粉末を大気より低い酸素濃度を有する徐酸化ガスにさらしてニッケル粉末の粒子表面部を徐酸化させる工程とからなることを特徴とするニッケル粉末の製造方法。
  2. 前記徐酸化ガスは酸化性ガスと不活性ガスとを混合したものであり、その酸素濃度が6〜12容量%であることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル粉末の製造方法。
  3. 前記乾燥処理を不活性ガス雰囲気下もしくは真空雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
  4. 前記固液分離処理を不活性ガス雰囲気下で行った後、前記乾燥処理を真空雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載のニッケル粉末の製造方法。
  5. 前記湿式還元法は、パラジウムと銀とからなる複合コロイド粒子が分散されたコロイド溶液と、還元剤と、アルカリ性物質とを混合したアルカリ性コロイド溶液に、ニッケル塩水溶液を添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
  6. 前記湿式還元法にて生成したニッケル粉末の平均粒径が0.05〜0.3μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
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