<実施形態1>
本発明に係る基板の処理方法は、基板を支持体に仮止めするために、基板、接着層、分離層および支持体がこの順に積層してなる積層体を形成する積層体形成工程と、積層体形成工程の後、基板を支持体から分離する分離工程と、を包含し、積層体形成工程では、接着層によって支持体上における分離層の表面を覆うようになっている。
すなわち、本発明に係る基板の処理方法では、基板、接着層、分離層および支持体がこの順に積層してなる基板の暫定支持用積層体を形成することにより、基板を支持体に仮止めしているが、当該基板の暫定支持用積層体は、接着層によって支持体上における分離層の表面が覆われているものである。
以下、本発明の一実施形態(実施形態1)について図面を参照して説明する。実施形態1では、支持体が光透過性を有しており、分離層が、積層体において支持体を介して照射される光を吸収することによって変質するようになっている場合について説明する。
図1および図2に示すように、実施形態1では、基板の処理方法は、分離層形成工程、分離層周端部除去工程、接着層形成工程、接着層周端部除去工程、積層体形成工程、分離工程および洗浄工程を包含しており、図4に示すように、積層体形成工程において形成される積層体(基板の暫定支持用積層体)1は、基板11、接着層13、分離層14およびサポートプレート(支持体)12がこの順に積層されたものである。
実施形態1では、積層体形成工程によって形成される積層体1において、接着層13によってサポートプレート12上における分離層14の表面、特に、分離層14のサポートプレート12上における外周部が覆われている。そのため、積層体1を用いてサポートプレート12に仮止めされた基板11に対して、所望の処理を行ったときに、分離層14を変質させるような薬品を用いたとしても、分離層14は接着層13によって保護されているため、分離層14が変質してサポートプレート12から剥がれてしまうことを防ぐことができる。
〔分離層形成工程〕
図1の(1)および(2)に示すように、分離層形成工程は、サポートプレート12の片面上に分離層14を形成する工程である。
(サポートプレート)
サポートプレート12は、基板11を支持する支持体である。サポートプレート12は、基板11を暫定的に支持するものであり、基板11の薄化、搬送、実装等のプロセス時に、基板11の破損または変形を防ぐために必要な強度を有していればよい。
なお、実施形態1では、サポートプレート12は、光透過性を有するものを使用する。そのため、積層体1の外からサポートプレート12に向けて光を照射したときに、該光がサポートプレート12を通過して分離層14に到達する。また、サポートプレート12は、必ずしも全ての光を透過させる必要はなく、分離層14に吸収されるべき(所定の波長を有している)光を透過させることができればよい。
以上のような観点から、実施形態1において、サポートプレート12としては、ガラス、アクリル樹脂からなるもの等が挙げられる。
(分離層)
実施形態1において、分離層14は、サポートプレート12を介して照射される光を吸収することによって変質する材料から形成されている層である。本明細書において、分離層14が「変質する」とは、分離層14をわずかな外力を受けて破壊され得る状態、または分離層14と接する層との接着力が低下した状態にさせる現象を意味する。光を吸収することによって生じる分離層14の変質の結果として、分離層14は、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
また、分離層14の変質は、吸収した光のエネルギーによる(発熱性または非発熱性の)分解、架橋、立体配置の変化または官能基の解離(そして、これらにともなう分離層の硬化、脱ガス、収縮または膨張)等であり得る。分離層14の変質は、分離層14を構成する材料による光の吸収の結果として生じる。よって、分離層14の変質の種類は、分離層14を構成する材料の種類に応じて変化し得る。
分離層14は、サポートプレート12における、接着層13を介して基板11が貼り合わされる側の表面に設ける。
分離層14の厚さは、例えば、0.05μm以上、50μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上、1μm以下であることがさらに好ましい。分離層14の厚さが0.05μm以上、50μm以下の範囲内に収まっていれば、短時間の光の照射および低エネルギーの光の照射によって、分離層14に所望の変質を生じさせることができる。また、分離層14の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲内に収まっていることが特に好ましい。
なお、積層体1において、分離層14とサポートプレート12との間に他の層がさらに形成されていてもよい。この場合、他の層は光を透過する材料から構成されていればよい。これによって、分離層14への光の入射を妨げることなく、積層体1に好ましい性質などを付与する層を、適宜追加することができる。分離層14を構成している材料の種類によって、用い得る光の波長が異なる。よって、他の層を構成する材料は、すべての光を透過させる必要はなく、分離層14を構成する材料を変質させ得る波長の光を透過させることができる材料から適宜選択し得る。
また、分離層14は、光を吸収する構造を有する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、光を吸収する構造を有していない材料を添加して、分離層14を形成してもよい。また、分離層14における接着層13に対向する側の面が平坦である(凹凸が形成されていない)ことが好ましく、これにより、分離層14の形成が容易に行なえ、且つ貼り付けにおいても均一に貼り付けることが可能となる。
分離層14は、以下に示すような分離層14を構成する材料を予めフィルム状に形成したものをサポートプレート12に貼り合わせて用いてもよいし、サポートプレート12上に分離層14を構成する材料を塗布してフィルム状に固化したものを用いてもよい。サポートプレート12上に分離層14を構成する材料を塗布する方法は、分離層14を構成する材料の種類に応じて、化学気相成長(CVD)法による堆積等の従来公知の方法から適宜選択することができる。
分離層14は、レーザから照射される光を吸収することによって変質するものであってもよい。すなわち、分離層14を変質させるために分離層14に照射される光は、レーザから照射されたものであってもよい。分離層14に照射する光を発射するレーザの例としては、YAGレーザ、リビーレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、または、非レーザ光等が挙げられる。分離層14に照射する光を発射するレーザは、分離層14を構成している材料に応じて適宜選択することが可能であり、分離層14を構成する材料を変質させ得る波長の光を照射するレーザを選択すればよい。
(フルオロカーボン)
分離層14は、フルオロカーボンからなっていてもよい。分離層14は、フルオロカーボンによって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
また、一つの観点からいえば、分離層14を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD法によって好適に成膜され得る。なお、フルオロカーボンは、CxFy(パーフルオロカーボン)およびCxHyFz(x、yおよびzは整数)を含み、これらに限定されないが、例えば、CHF3、CH2F2、C2H2F2、C4F8、C2F6、C5F8等で有り得る。また、分離層14を構成するために用いるフルオロカーボンに対して、必要に応じて窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、アルカン、アルケンなどの炭化水素、および、酸素、二酸化炭素、水素を添加してもよい。また、これらのガスを複数種混合して用いてもよい(フルオロカーボン、水素、窒素の混合ガス等)。また、分離層14は、単一種のフルオロカーボンから構成されていてもよいし、2種類以上のフルオロカーボンから構成されていてもよい。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層14に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。なお、分離層14における光の吸収率は80%以上であることが好ましい。
分離層14に照射する光としては、フルオロカーボンが吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、リビーレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、または、非レーザ光を適宜用いればよい。フルオロカーボンを変質させ得る波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の範囲のものを用いることができる。
(光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体)
分離層14は、光吸収性を有している構造をその繰り返し単位に含んでいる重合体を含有していてもよい。該重合体は、光の照射を受けて変質する。該重合体の変質は、上記構造が照射された光を吸収することによって生じる。分離層14は、重合体の変質の結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
光吸収性を有している上記構造は、光を吸収して、繰り返し単位として該構造を含んでいる重合体を変質させる化学構造である。該構造は、例えば、置換もしくは非置換のベンゼン環、縮合環または複素環からなる共役π電子系を含んでいる原子団である。より詳細には、該構造は、カルド構造、または上記重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造もしくはジフェニルアミン構造であり得る。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在する場合、該構造は以下の式によって表され得る。
(式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン、水酸基、ケトン基、スルホキシド基、スルホン基またはN(R1)(R2)であり(ここで、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、Zは、存在しないか、またはCO−、−SO2−、−SO−もしくは−NH−であり、nは0または1〜5の整数である。)
また、上記重合体は、例えば、以下の式のうち、(a)〜(d)の何れかによって表される繰り返し単位を含んでいるか、(e)によって表されるか、または(f)の構造をその主鎖に含んでいる。
(式中、lは1以上の整数であり、mは0または1〜2の整数であり、Xは、(a)〜(e)において上記の“化1”に示した式のいずれかであり、(f)において上記の“化1”に示した式のいずれかであるか、または存在せず、Y1およびY2はそれぞれ独立して、−CO−またはSO2−である。lは好ましくは10以下の整数である。)
上記の“化1”に示されるベンゼン環、縮合環および複素環の例としては、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、ナフタレン、置換ナフタレン、アントラセン、置換アントラセン、アントラキノン、置換アントラキノン、アクリジン、置換アクリジン、アゾベンゼン、置換アゾベンゼン、フルオリム、置換フルオリム、フルオリモン、置換フルオリモン、カルバゾール、置換カルバゾール、N−アルキルカルバゾール、ジベンゾフラン、置換ジベンゾフラン、フェナンスレン、置換フェナンスレン、ピレンおよび置換ピレンが挙げられる。例示した置換基が置換を有している場合、その置換基は、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子、アルコキシ、ニトロ、アルデヒド、シアノ、アミド、ジアルキルアミノ、スルホンアミド、イミド、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルアミノおよびアリールアミノから選択される。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO2−である場合の例としては、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,6‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2‐ヒドロキシフェニル)スルホン、およびビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)‐スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシドなどが挙げられる。
上記の“化1”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−C(=O)−である場合の例としては、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,5,6’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐オクトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,6‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4,4’‐ジメトキシベンゾフェノン、4‐アミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジエチルアミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐4’‐メトキシ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2’,4’‐ジヒドロキシベンゾフェノン、および4‐ジメチルアミノ‐3’,4’‐ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在している場合、上記構造を含んでいる繰り返し単位の、上記重合体に占める割合は、分離層14の光の透過率が0.001%以上、10%以下になる範囲にある。該割合がこのような範囲に収まるように重合体が調製されていれば、分離層14が十分に光を吸収して、確実かつ迅速に変質し得る。すなわち、積層体1からのサポートプレート12の除去が容易であり、該除去に必要な光の照射時間を短縮させることができる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記構造が吸収可能な光の波長は、100nm以上、2000nm以下であることがより好ましい。この範囲のうち、上記構造が吸収可能な光の波長は、より短波長側であり、例えば、100nm以上、500nm以下である。例えば、上記構造は、好ましくはおよそ300nm以上、370nm以下の波長を有している紫外光を吸収することによって、該構造を含んでいる重合体を変質させ得る。
上記構造が吸収可能な光は、例えば、高圧水銀ランプ(波長:254nm以上、436nm以下)、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマレーザ(波長:193nm)、F2エキシマレーザ(波長:157nm)、XeClレーザ(波長:308nm)、XeFレーザ(波長:351nm)もしくは固体UVレーザ(波長:355nm)から発せられる光、またはg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)もしくはi線(波長:365nm)などである。
上述した分離層14は、繰り返し単位として上記構造を含んでいる重合体を含有しているが、分離層14はさらに、上記重合体以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、およびサポートプレート12の剥離性を向上し得る成分などが挙げられる。これらの成分は、上記構造による光の吸収、および重合体の変質を妨げないか、または促進する、従来公知の物質または材料から適宜選択される。
(無機物)
分離層14は、無機物からなっていてもよい。分離層14は、無機物によって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
上記無機物は、光を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、金属、金属化合物およびカーボンからなる群より選択される1種類以上の無機物を好適に用いることができる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物を指し、例えば、金属酸化物、金属窒化物であり得る。このような無機物の例示としては、これに限定されるものではないが、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO2、SiN、Si3N4、TiN、およびカーボンからなる群より選ばれる1種類以上の無機物が挙げられる。なお、カーボンとは炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えば、ダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等であり得る。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層14に用いた無機物が吸収する範囲の波長の光を分離層に照射することにより、上記無機物を好適に変質させ得る。
無機物からなる分離層14に照射する光としては、上記無機物が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、リビーレーザ、ガラスレーザ、YVO4レーザ、LDレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、CO2レーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、または、非レーザ光を適宜用いればよい。
無機物からなる分離層14は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、サポートプレート12上に形成され得る。無機物からなる分離層14の厚さは特に限定されず、使用する光を十分に吸収し得る膜厚であればよいが、例えば、0.05μm以上、10μm以下の膜厚とすることがより好ましい。また、分離層14を構成する無機物からなる無機膜(例えば、金属膜)の両面または片面に予め接着剤を塗布し、サポートプレート12および基板11に貼り付けてもよい。
なお、分離層14として金属膜を使用する場合には、分離層14の膜質、レーザ光源の種類、レーザ出力等の条件によっては、レーザの反射や膜への帯電等が起こり得る。そのため、反射防止膜や帯電防止膜を分離層14の上下またはどちらか一方に設けることで、それらの対策を図ることが好ましい。
(赤外線吸収性の構造を有する化合物)
分離層14は、赤外線吸収性の構造を有する化合物によって形成されていてもよい。該化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。分離層14は、化合物の変質の結果として、赤外線の照射を受ける前の強度または接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
赤外線吸収性を有している構造または赤外線吸収性を有している構造を含む化合物としては、例えば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコールおよびフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3−ジケトンのエノール、o−ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β−、γ−、δ−)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタンおよびチオフェノールおよびチオール酸などの硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素−ハロゲン結合、Si−A1結合(A1は、H、C、Oまたはハロゲン)、P−A2結合(A2は、H、CまたはO)、またはTi−O結合であり得る。
上記炭素−ハロゲン結合を含む構造としては、例えば、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2I、−CF2−、−CF3、−CH=CF2、−CF=CF2、フッ化アリール、および塩化アリールなどが挙げられる。
上記Si−A1結合を含む構造としては、SiH、SiH2、SiH3、Si−CH3、Si−CH2−、Si−C6H5、SiO−脂肪族、Si−OCH3、Si−OCH2CH3、Si−OC6H5、Si−O−Si、Si−OH、SiF、SiF2、およびSiF3などが挙げられる。Si−A1結合を含む構造としては、特に、シロキサン骨格およびシルセスキオキサン骨格を形成していることが好ましい。
上記P−A2結合を含む構造としては、PH、PH2、P−CH3、P−CH2−、P−C6H5、A3 3−P−O(A3は脂肪族または芳香族)、(A4O)3−P−O(A4はアルキル)、P−OCH3、P−OCH2CH3、P−OC6H5、P−O−P、P−OH、およびO=P−OHなどが挙げられる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している赤外線を吸収することができる。具体的には、上記構造が吸収可能な赤外線の波長は、例えば1μm以上、20μm以下の範囲内であり、2μm以上、15μm以下の範囲内をより好適に吸収できる。さらに、上記構造がSi−O結合、Si−C結合およびTi−O結合である場合には、9μm以上、11μm以下の範囲内であり得る。なお、各構造が吸収できる赤外線の波長は当業者であれば容易に理解することができる。例えば、各構造における吸収帯として、非特許文献:SILVERSTEIN・BASSLER・MORRILL著「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)−MS、IR、NMR、UVの併用−」(1992年発行)第146頁〜第151頁の記載を参照することができる。
分離層14の形成に用いられる、赤外線吸収性の構造を有する化合物としては、上述のような構造を有している化合物のうち、塗布のために溶媒に溶解でき、固化されて固層を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、分離層14における化合物を効果的に変質させ、サポートプレート12と基板11との分離を容易にするには、分離層14における赤外線の吸収が大きいこと、すなわち、分離層14に赤外線を照射したときの赤外線の透過率が低いことが好ましい。具体的には、分離層14における赤外線の透過率が90%より低いことが好ましく、赤外線の透過率が80%より低いことがより好ましい。
一例を挙げて説明すれば、シロキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂、あるいは下記化学式(1)で表される繰り返し単位およびアクリル系化合物由来の繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
(化学式(2)中、R3は、水素、炭素数10以下のアルキル基、または炭素数10以下のアルコキシ基である。)
中でも、シロキサン骨格を有する化合物としては、上記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(3)で表される繰り返し単位の共重合体であるt−ブチルスチレン(TBST)−ジメチルシロキサン共重合体がより好ましく、上記式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(3)で表される繰り返し単位を1:1で含む、TBST−ジメチルシロキサン共重合体がさらに好ましい。
また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、例えば、下記化学式(4)で表される繰り返し単位および下記化学式(5)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
(化学式(4)中、R4は、水素または炭素数1以上、10以下のアルキル基であり、化学式(5)中、R5は、炭素数1以上、10以下のアルキル基、またはフェニル基である。)
シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、このほかにも、特許文献4:特開2007−258663号公報(2007年10月4日公開)、特許文献5:特開2010−120901号公報(2010年6月3日公開)、特許文献6:特開2009−263316号公報(2009年11月12日公開)および特許文献7:特開2009−263596号公報(2009年11月12日公開)において開示されている各シルセスキオキサン樹脂を好適に利用することができる。
中でも、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、下記化学式(6)で表される繰り返し単位および下記化学式(7)で表される繰り返し単位の共重合体がより好ましく、下記化学式(6)で表される繰り返し単位および下記化学式(7)で表される繰り返し単位を7:3で含む共重合体がさらに好ましい。
シルセスキオキサン骨格を有する重合体としては、ランダム構造、ラダー構造、および籠型構造があり得るが、何れの構造であってもよい。
また、Ti−O結合を含む化合物としては、例えば、(i)テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、およびチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレートなどのアルコキシチタン;(ii)ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、およびプロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)などのキレートチタン;(iii)i−C3H7O−[−Ti(O−i−C3H7)2−O−]n−i−C3H7、およびn−C4H9O−[−Ti(O−n−C4H9)2−O−]n−n−C4H9などのチタンポリマー;(iv)トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、および(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタンなどのアシレートチタン;(v)ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタンなどの水溶性チタン化合物などが挙げられる。
中でも、Ti−O結合を含む化合物としては、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC4H9)2[OC2H4N(C2H4OH)2]2)が好ましい。
上述した分離層14は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有しているが、分離層14はさらに、上記化合物以外の成分を含み得る。該成分としては、フィラー、可塑剤、およびサポートプレート12の剥離性を向上し得る成分などが挙げられる。これらの成分は、上記構造による赤外線の吸収、および化合物の変質を妨げないか、または促進する、従来公知の物質または材料から適宜選択される。
(赤外線吸収物質)
分離層14は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。分離層14は、赤外線吸収物質を含有して構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されて、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
赤外線吸収物質は、赤外線を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、またはアルミニウム粒子を好適に用いることができる。赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。分離層14に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を分離層14に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
〔分離層周端部除去工程〕
図1の(3)に示すように、分離層周端部除去工程は、分離層形成工程においてサポートプレート12の片面上に分離層14を形成した後に、サポートプレート12上における分離層14の周端部を除去する工程である。これにより、分離層14が、サポートプレート12の内周部に積層された状態として、後の積層体形成工程において、サポートプレート12上における分離層14の表面、特に、分離層14のサポートプレート12上における外周部を、接着層13によって好適に覆うことができる。すなわち、積層体形成工程において、基板11とサポートプレート12とを貼り合わせたときに、分離層14が、対向する接着層13よりも内側に入り込むようにすることができる。
特に、積層体1において、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅が、300μm以上、2000μm以下、より好適には300μm以上、500μm以下となるように、分離層14の周端部を予め除去しておくことが望ましい。
分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅が300μm以上であることによって、分離層14を好適に保護することができる。また、当該幅が2000μm以下であることによって、分離工程において除去すべき、サポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の量が少なくなるため、分離工程を迅速に行うことができる。
分離層14のサポートプレート12上における周端部を除去する方法としては、公知の方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、分離層14の周端部に対して剥離液をスプレーしてもよいし、ディスペンスノズルを用いて分離層14の周端部に剥離液を供給してもよい。また、剥離液のスプレー、供給等は、サポートプレート12を回転させながら行ってもよい。
(剥離液)
分離層14に塗布する剥離液としては、分離層14を除去することができる溶液であればよい。
剥離液は、アルカリ性を示す溶液であることがより好ましい。アルカリ性を示す溶液は、アミン系化合物であることがさらに好ましい。アミン系化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、または複素環式アミンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を用いることができる。
第一級脂肪族アミンとしては、例えばモノメタノールアミン、モノエタノールアミン(MEA)、モノイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(DGA)、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノールなどが挙げられる。第二級脂肪族アミンとしては、例えば2−(メチルアミノ)エタノール(MMA)、ジエタノールアミン、イミノビスプロピルアミン、2−エチルアミノエタノールなどが挙げられる。第三級脂肪族アミンとしては、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエチルアミノエタノールなどが挙げられる。
また、脂環式アミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。芳香族アミンとしては、例えばベンジルアミン、ジベンジルアミン、N‐メチルベンジルアミンなどが挙げられる。複素環式アミンとしては、例えばN‐ヒドロキシエチルピペリジン、1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]‐7‐ウンデセンなどが挙げられる。これら有機アミン類の化合物の中では、特にモノエタノールアミン、2‐(2‐アミノエトキシ)エタノールおよび2‐エチルアミノエタノール、2−(メチルアミノ)エタノール(MMA)等のアルカノールアミンが好適である。
さらに、剥離液は他の溶剤と混合して用いてもよい。上述した剥離液に混合してもよい溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの極性溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテートなどのエステル結合を有する化合物の有機溶剤が挙げられ、さらに、前記多価アルコール類若しくは前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルなどのモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどのエーテル結合を有する化合物などの多価アルコール類の誘導体、ジオキサンなどの環式エーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類の有機溶剤が挙げられ、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレンなどの芳香族系有機溶剤が挙げられる。
また、上述した剥離液に混合してもよい溶剤としては、これらの中でも多価アルコール類、エステル結合を有する化合物、または多価アルコール類の誘導体から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)またはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記アルカリ性を示す溶液と前記剥離液に混合してもよい溶剤との混合割合は、重量比で9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましい。
なお、剥離液によって分離層14の周端部を除去した後、水または炭素数1〜6のアルコールによって、サポートプレート12を洗浄してもよい。これにより、サポートプレート12上に残留した剥離液(例えば、アミン類を含むもの)が、基板11を腐食することを防止することができる。
〔接着層形成工程〕
図1の(4)および(5)に示すように、接着層形成工程は、基板11の、積層体1においてサポートプレート12と対向する側の面に接着層13を形成する工程である。なお、接着層形成工程は、分離層形成工程および分離層周端部除去工程よりも前に行ってもよいし、後に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
(基板)
基板11は、サポートプレート12に支持された状態(積層体1が構成された状態)で、薄化、実装等のプロセスに供されるものである。一実施形態において、基板11はウエハであるが、本発明に係る積層体が備える基板は、ウエハに限定されず、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等の任意の基板を採用することができる。また、基板11における接着層13側の面には、電気回路等の電子素子の微細構造が形成されていてもよい。
(接着層)
接着層13は、基板11を、サポートプレート12および分離層14に対して接着固定するものである。また、接着層13は、基板11の表面を覆って保護するものであってもよい。
接着層13の形成方法としては、基板11に接着剤を塗布してもよいし、接着剤が両面に塗布された接着テープを貼り付けてもよい。接着剤の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディッピング法、ローラーブレード法、ドクターブレード法、スプレー法、スリットノズル法による塗布法等が挙げられる。また、接着剤を塗布した後、加熱により乾燥させてもよい。
接着層の厚さは、貼り付けの対象となる基板11およびサポートプレート12の種類、貼り付け後の基板11に施される処理等に応じて適宜設定すればよいが、10〜150μmの範囲内であることが好ましく、15〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
接着剤として、例えばアクリル系、ノボラック系、ナフトキサン系、炭化水素系、ポリイミド系、エラストマー等の、当該分野において公知の種々の接着剤が、本発明に係る接着層13を構成する接着剤として使用可能である。以下では、本実施の形態における接着層13が含有する樹脂の組成について説明する。
接着層13が含有する樹脂としては、接着性を備えたものであればよく、例えば、炭化水素樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂等、またはこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。
(炭化水素樹脂)
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体組成物を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂として、シクロオレフィン系ポリマー(以下、「樹脂(A)」ということがある)、ならびに、テルペン樹脂、ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂(B)」ということがある)等が挙げられるが、これに限定されない。
樹脂(A)としては、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を重合してなる樹脂であってもよい。具体的には、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分の開環(共)重合体、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。
樹脂(A)を構成する単量体成分に含まれる前記シクロオレフィン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも特に、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれるノルボルネン系モノマーが好ましい。
樹脂(A)を構成する単量体成分は、上述したシクロオレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよく、例えば、アルケンモノマーを含有することが好ましい。アルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、α−オレフィンなどが挙げられる。アルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、シクロオレフィンモノマーを含有することが、高耐熱性(低い熱分解、熱重量減少性)の観点から好ましい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、特に限定されないが、溶解性および溶液での経時安定性の観点からは80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有してもよい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するアルケンモノマーの割合は、溶解性および柔軟性の観点からは10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましい。
なお、樹脂(A)は、例えば、シクロオレフィン系モノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制するうえで好ましい。
単量体成分を重合するときの重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従い適宜設定すればよい。
樹脂(A)として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS」、三井化学株式会社製の「APEL」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR」および「ZEONEX」、JSR株式会社製の「ARTON」などが挙げられる。
樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。樹脂(A)のガラス転移点が60℃以上であると、積層体が高温環境に曝されたときに接着層の軟化をさらに抑制することができる。
樹脂(B)は、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。具体的には、テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン等が挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族または芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水添テルペン樹脂、水添石油樹脂がより好ましい。
樹脂(B)の軟化点は特に限定されないが、80〜160℃であることが好ましい。樹脂(B)の軟化点が80℃以上であると、積層体が高温環境に曝されたときに軟化することを抑制することができ、接着不良を生じない。一方、樹脂(B)の軟化点が160℃以下であると、積層体を剥離するときの剥離速度が良好なものとなる。
樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、300〜3000であることが好ましい。樹脂(B)の分子量が300以上であると、耐熱性が充分なものとなり、高温環境下において脱ガス量が少なくなる。一方、樹脂(B)の分子量が3000以下であると、積層体を剥離するときの剥離速度が良好なものとなる。なお、本実施形態における樹脂(B)の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量を意味するものである。
なお、樹脂として、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合したものを用いてもよい。混合することにより、耐熱性および剥離速度が良好なものとなる。例えば、樹脂(A)と樹脂(B)との混合割合としては、(A):(B)=80:20〜55:45(質量比)であることが、剥離速度、高温環境時の熱耐性、および柔軟性に優れるので好ましい。
(アクリル−スチレン系樹脂)
アクリル−スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンまたはスチレンの誘導体と、(メタ)アクリル酸エステル等とを単量体として用いて重合した樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数15〜20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル、炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等であるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐状であってもよい。
炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基等からなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、イソボルニルメタアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、芳香族環としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。また、芳香族環は、炭素数1〜5の鎖状または分岐状のアルキル基を有していてもよい。具体的には、フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
(マレイミド系樹脂)
マレイミド系樹脂としては、例えば、単量体として、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−へプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミドなどのアルキル基を有するマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等の脂肪族炭化水素基を有するマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド等のアリール基を有する芳香族マレイミド等を重合して得られた樹脂が挙げられる。
例えば、下記化学式(8)で表される繰り返し単位および下記化学式(9)で表される繰り返し単位の共重合体であるシクロオレフィンコポリマーを接着成分の樹脂として用いることができる。
(化学式(9)中、nは0または1〜3の整数である。)
このようなシクロオレフィンコポリマーとしては、APL 8008T、APL 8009T、およびAPL 6013T(全て三井化学株式会社製)などを使用することができる。
(エラストマー)
エラストマーは、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでいることが好ましく、当該「スチレン単位」は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。また、当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であることがより好ましい。さらに、エラストマーは、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であることが好ましい。
スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であれば、後述する炭化水素系の溶剤に容易に溶解するので、より容易且つ迅速に接着層を除去することができる。また、スチレン単位の含有量及び重量平均分子量が上記の範囲であることにより、ウエハがレジストリソグラフィー工程に供されるときに曝されるレジスト溶剤(例えばPGMEA、PGME等)、酸(フッ化水素酸等)、アルカリ(TMAH等)に対して優れた耐性を発揮する。
なお、エラストマーには、上述した(メタ)アクリル酸エステルをさらに混合してもよい。
また、スチレン単位の含有量は、より好ましくは17重量%以上であり、また、より好ましくは40重量%以下である。
重量平均分子量のより好ましい範囲は20,000以上であり、また、より好ましい範囲は150,000以下である。
エラストマーとしては、スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であり、エラストマーの重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であれば、種々のエラストマーを用いることができる。例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPT)、及び、これらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SeptonV9461(株式会社クラレ製))、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(反応性のポリスチレン系ハードブロックを有する、SeptonV9827(株式会社クラレ製))等であって、スチレン単位の含有量及び重量平均分子量が上述の範囲であるものを用いることができる。
また、エラストマーの中でも水添物がより好ましい。水添物であれば熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
また、エラストマーの中でも両端がスチレンのブロック重合体であるものがより好ましい。熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示すからである。
より具体的には、エラストマーは、スチレン及び共役ジエンのブロックコポリマーの水添物であることがより好ましい。熱に対する安定性が向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示す。さらに、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーとして用いられ得る市販品としては、例えば、株式会社クラレ製「セプトン(商品名)」、株式会社クラレ製「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製「タフテック(商品名)」、JSR株式会社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーの含有量としては、例えば、接着剤組成物全量を100重量部として、50重量部以上、99重量部以下が好ましく、60重量部以上、99重量部以下がより好ましく、70重量部以上、95重量部以下が最も好ましい。これらの範囲にすることにより、耐熱性を維持しつつ、ウエハと支持体とを好適に貼り合わせることができる。
また、エラストマーは、複数の種類を混合してもよい。つまり、本発明に係る接着剤組成物は複数の種類のエラストマーを含んでもよい。複数の種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでいればよい。また、複数の種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲である、又は、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であれば、本発明の範疇である。また、本発明に係る接着剤組成物において、複数の種類のエラストマーを含む場合、混合した結果、スチレン単位の含有量が上記の範囲となるように調整してもよい。例えば、スチレン単位の含有量が30重量%である株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton4033と、スチレン単位の含有量が13重量%であるセプトン(商品名)のSepton2063とを重量比1対1で混合すると接着剤組成物に含まれるエラストマー全体に対するスチレン含有量は21〜22重量%となり、従って14重量%以上となる。また、例えば、スチレン単位が10重量%のものと60重量%のものとを1対1で混合すると35重量%となり、上記の範囲内となる。本発明はこのような形態でもよい。また、本発明に係る接着剤組成物に含まれる複数の種類のエラストマーは、全て上記の範囲でスチレン単位を含み、且つ、上記の範囲の重量平均分子量であることが最も好ましい。
なお、光硬化性樹脂(例えば、UV硬化性樹脂)以外の樹脂を用いて接着層13を形成することが好ましい。これは、光硬化性樹脂が、接着層13の剥離または除去の後に、基板11の微小な凹凸の周辺に残渣として残ってしまう場合があり得るからである。特に、特定の溶剤に溶解する接着剤が接着層13を構成する材料として好ましい。これは、基板11に物理的な力を加えることなく、接着層13を溶剤に溶解させることによって除去可能なためである。接着層13の除去に際して、強度が低下した基板11からでさえ、基板11を破損させたり、変形させたりせずに、容易に接着層13を除去することができる。
(希釈溶剤)
分離層、接着層を形成するときの希釈溶剤として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数4から15の分岐状の炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等の環状炭化水素、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテン等のテルペン系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
(その他の成分)
接着層を構成する接着剤は、本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、熱重合禁止剤および界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
〔接着層周端部除去工程〕
図1の(6)に示すように、接着層周端部除去工程は、接着層形成工程において基板11の片面上に接着層13を形成した後、接着層13の基板11上における周端部を除去する工程である。これにより、後の積層体形成工程において、基板11とサポートプレート12とを貼り合わせたときに、接着層13が、積層体1からはみ出してしまうことを好適に抑制することができる。
一例において、接着層13の膜厚を例えば50μmとした場合、基板の周端から2mm以下、好ましくは0.5mm以上、0.8mm以下の範囲の幅で、接着層13の基板11上における周端部を除去することが好ましい。これにより、積層体形成工程において、接着層13が、積層体1からはみ出すことを好適に抑制することができる。
基板11上における周端部に形成された接着層13を除去する方法としては、公知の方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、接着層13の周端部に対して溶解液をスプレーしてもよいし、ディスペンスノズルを用いて分離層14の周端部に溶解液を供給してもよい。また、溶解液のスプレー、供給等は、基板11を回転させながら行ってもよい。
なお、接着層13の溶解液は、接着剤の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、上述した希釈溶剤として使用される溶剤を用いることができ、特に、直鎖状の炭化水素、炭素数4から15の分岐状の炭化水素、モノテルペン類、ジテルペン類等の環状の炭化水素(テルペン類)を好適に使用することができる。
〔積層体形成工程〕
図1の(7)に示すように、積層体形成工程は、基板11と、その内周部に分離層14が形成されたサポートプレート12とを、接着層13を介して貼り合わせることにより、基板11、接着層13、分離層14およびサポートプレート12がこの順に積層してなる積層体1を形成する工程である。積層体形成工程では、サポートプレート12上における分離層14の表面、特に、分離層14の、サポートプレート12上における外周部が接着層13によって覆われるように貼り合わせを行う。なお、サポートプレート12上における分離層14の表面とは、分離層14の表面のうち、サポートプレート12に覆われている領域を除いた部分を指す。
基板11とサポートプレート12とを貼り合わせる方法は特に限定されないが、例えば、基板11の接着層13が形成された面と、サポートプレート12の分離層14が形成された面とを互いに押し付けてもよい。一例において、減圧環境下にて、加熱された一対のプレート部材によって、接着層13と分離層14とが向き合うように重ねられた基板11とサポートプレート12とを挟み込んでもよい。
このとき、分離層周端部除去工程において、分離層14が接着層13よりも小さくなるように予め調整しておき、分離層14が接着層13の内周部に対向している状態で、基板11とサポートプレート12とを互いに押し付けることで、容易に、接着層13によってサポートプレート12上における分離層14の表面を覆うことができる。
以上により、積層体形成工程において、図4に示すような、基板11、接着層13、分離層14およびサポートプレート12がこの順に積層してなり、接着層13によってサポートプレート12上における分離層14の表面が覆われている積層体(基板の暫定支持用積層体)1を形成することができる。
そして、積層体1において、サポートプレート12上における分離層14の表面、特に、分離層14の、サポートプレート12上における外周部が接着層13によって覆われていることにより、積層体1を用いてサポートプレート12に仮止めされた基板11に対して、所望の処理を行ったときに、分離層14を変質させるような薬品を用いたとしても、分離層14は接着層13によって保護されているため、分離層14が変質してサポートプレート12から剥がれてしまうことを防ぐことができる。これにより、処理の途中で分離層14が剥がれることに起因するウエハへのクラックや割れ、および凹凸の発生を防止することができる。
なお、上述したように、積層体1において、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅は、300μm以上、2000μm以下、より好適には300μm以上、500μm以下であることが好ましい。分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅が300μm以上であることによって、分離層14を好適に保護することができる。また、当該幅が2000μm以下であることによって、後の分離工程において除去すべき、サポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の量が少なくなるため、後の分離工程を迅速に行うことができる。
〔分離工程〕
積層体1(の基板11)に対して、所望の処理を行った後、分離工程を行う。図2の(1)〜(4)に示すように、分離工程は、基板11を、積層体1(またはサポートプレート12)から、分離する工程である。
実施形態1において、分離工程は、図2の(2)に示す、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の除去と、図2の(3)に示す、サポートプレート12を介した分離層14に対する光の照射と、を行う。
(接着層の除去)
積層体1において、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13は、基板11とサポートプレート12とを直接接着しているため(図4参照)、積層体1をサポートプレート12から分離するためには、図2の(2)に示すように、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13を除去する必要がある。
接着層13の除去の方法は、特に限定されず、例えば、プラズマ処理等のドライ式、またはウェット式の公知の手法を用いればよい。ウェット式の手法としては、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13に対して、上述した接着層13を溶解させる溶解液をスプレーしてもよいし、ディスペンスノズルを用いて溶解液を供給してもよいし、積層体1を溶解液に浸漬してもよい。なお、溶解液のスプレー、供給等は、基板11を回転させながら行ってもよい。
なお、積層体1を溶解液に浸漬する場合、浸漬中に基板11がサポートプレート12から分離されないことが好ましい。そのため、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の除去の後に、サポートプレート12を介した分離層14に対する光の照射を行うことが好ましい。光を照射する前であれば、基板11とサポートプレート12とが分離層14および接着層13を介して接着されているからである。
(光の照射)
積層体1において、基板11とサポートプレート12とが、接着層13および分離層14を介して接着されている部分については、図2の(3)に示すように、サポートプレート12を介して分離層14に光を照射することによって、分離層14を変質させて分離することができる。
すなわち、分離層14は、光の照射によって変質し、わずかな力を加える(例えば、サポートプレート12を持ち上げるなど)ことによって、分離層14が破壊されるようになっている。そのため、上述した接着層の除去および光の照射の両方を行うことによって、サポートプレート12と基板11とを容易に分離することができる。
なお、照射する光の波長は、上述したように、分離層14の種類によって適宜選択すればよい。また、光の照射方法は特に限定されないが、分離層14全体に亘って光を照射することが好ましく、例えば、分離層14全体に亘ってレーザ光を走査してもよい。
〔洗浄工程〕
図2の(5)に示すように、分離工程の後、サポートプレート12から分離された基板11を、洗浄してもよい。例えば、上述した溶解液等を用いて、基板11上に残留した接着層13および分離層14が除去されるように洗浄してもよい。洗浄方法は、特に限定されず、公知の洗浄方法を用いればよい。
<変形例>
なお、分離層形成工程において、分離層を目的の大きさに形成することができれば、分離層周端部除去工程は、省略することができる。同様に、接着層形成工程において、接着層を目的の大きさに形成することができれば、接着層周端部除去工程は、省略することができる。
また、積層体1において、分離層14のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅がわずかである場合には、分離工程における接着剤の除去を省略してもよい。この場合においても、光の照射によって分離層14を変質させた後、わずかな引っ張り力を加えることでサポートプレート12と基板11とを分離することができる。
また、本発明に係る基板の処理方法は、積層体形成工程において、基板、接着層、分離層および支持体がこの順に積層してなる積層体を形成し、該接着層によって該支持体上における該分離層の表面を覆うものであればよく、実施形態1で説明した方法に限定されない。例えば、接着層を、支持体側(分離層14側)に形成した後に、支持体に基板を貼り合わせることによって積層体を形成してもよい。
<実施形態2>
続いて、本発明の他の実施形態(実施形態2)について図面を参照して説明する。実施形態2では、分離層が、接着層に対して離型性を有している場合について説明する。実施形態2に係る基板の処理方法は、実施形態1と同様、分離層形成工程、分離層周端部除去工程、接着層形成工程、接着層周端部除去工程、積層体形成工程、分離工程および洗浄工程を包含している。以下、実施形態1と同様の部材については、同じ部材番号を付し、説明を省略する。また、接着層形成工程、接着層周端部除去工程および洗浄工程については、実施形態1と同様に行えばよい。
〔分離層形成工程〕
実施形態2において、分離層形成工程では、サポートプレート12’上に、接着層13に対する離型性を有する分離層14’を形成する。なお、本明細書において、「分離層14’が、接着層13に対する離型性を有する」とは、接着層13および分離層14’を介して基板11とサポートプレート12’とが積層されたとき、接着層13を除去せずとも、基板11およびサポートプレート12’を損傷することなく、接着層13と分離層14’との間を分離し得ることを意味する。
実施形態2において、サポートプレート12’としては、実施形態1において説明した光透過性を有するサポートプレートを使用できる他、光を透過しないサポートプレートを使用してもよい。すなわち、サポートプレート12’の材料としては、ガラス、アクリル樹脂からなるもの等に加え、例えば、シリコン等の光を透過しない物質を使用することができる。
分離層14’の材料としては、公知の離型剤を用いることができ、例えば、これらに限定されないが、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、アマイドワックス、カルナバワックス、パームワックスのような植物系ワックス、パラフィンワックス、ペトロラクタムのような石油系ワックス、ポリエチレンワックスのような合成ワックス等のワックス系型剤、およびポリビニルアルコール等が例として挙げられる。また、接着層13に対する接着性が低いものであれば、反射防止膜として使用されるフッ素系コーティング等も使用することができる。これらは溶剤中に希釈または分散して使用してもよい。
分離層14’は、例えば、スピンコート法、ディッピング法、ローラーブレード法、ドクターブレード法、スプレー法、スリットノズル法によって、上述した材料をサポートプレート12上に塗布することにより形成することができる。また、フィルム状のポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂によってコーティングされたフィルム等の離型性フィルムを、サポートプレート12に貼付けてもよい。
分離層14’の厚さは、例えば、1μm以上、10μm以下であることがより好ましく、2μm以上、5μm以下であることがさらに好ましい。
また、実施形態1における分離層14と同様、分離層14’は、分離層形成工程において目的の大きさに形成してもよいし、分離層形成工程の後に、分離層周端部除去工程を行って、大きさを調整するようにしてもよい。
〔積層体形成工程〕
積層体形成工程において、基板11と、サポートプレート12との貼り合わせは、実施形態1と同様に行うことができる。これにより、積層体形成工程において、基板11、接着層13、分離層14’およびサポートプレート12’がこの順に積層してなり、接着層13によってサポートプレート12’上における分離層14’の表面が覆われている積層体(基板の暫定支持用積層体)1’を形成することができる。
これにより、分離層14’のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13によって、基板11とサポートプレート12とが接着され、接着層13と分離層14との間は容易に分離し得るようになっている積層体1’を形成することができる。すなわち、積層体1’では、分離層14’のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13を除去するだけで、基板11をサポートプレート12から分離することができる。また、積層体1’では、接着層13は、中央域を欠如させる必要がないため容易に形成することができる。
なお、積層体1’において、分離層14’のサポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の幅は、100μm以上、2000μm以下、より好適には300μm以上、500μm以下であることが好ましい。また、当該幅が500μm以下であることによって、後の分離工程において除去すべき、サポートプレート12上における外周部を覆う接着層13の量が少なくなるため、後の分離工程を迅速に行うことができる。
〔分離工程〕
図3の(1)〜(3)に、実施形態2における分離工程を示す。図3の(1)および(2)に示すように、実施形態2では、分離層14’のサポートプレート12’上における外周部を覆う接着層13を除去する。接着層13を除去する方法は、実施形態1と同様の方法を使用することができる。
そして、分離層14’のサポートプレート12’上における外周部を覆う接着層13を除去すると、分離層14’はそれ自身が接着層13に対する離型性を有しているため、図3の(3)に示すように、基板11とサポートプレート12’とを、外力を加える必要なく分離することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
(プロセス)
流量400sccm、圧力70Pa、高周波電力2,800W及び成膜温度240℃の条件下において、反応ガスとしてC4F8を使用したCVD法により、分離層であるフルオロカーボン膜(厚さ1μm)を支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)上に形成した(分離層形成工程)。
次いで、当該支持体を回転(1500rpm、40秒間)させつつ、EBRノズルによってPGME/MMA=7/3(重量比)からなる剥離液を供給(10cc/min)することによって、支持体上の周縁部の幅0.5〜1mmまでに形成されたフルオロカーボン膜を除去した(分離層周端部除去工程)。その後、スピン乾燥(1500rpm、40秒間)した。
次に、12インチシリコンウエハに接着剤組成物であるTZNR(登録商標)−A3007t(東京応化工業株式会社製)をスピン塗布して、100℃、160℃、200℃で各3分加熱して接着層(膜厚50μm)を形成した(接着層形成工程)。
次いで、当該シリコンウエハを回転させながら、EBRノズルによってTZNR(登録商標)HCシンナー(東京応化工業株式会社製)20cc/minの供給量で供給することによって、シリコンウエハ上のエッジビード(ウエハ周縁部の接着層の盛り上がり部分)を除去した(接着層周端部除去工程)。
次に、真空化220℃、4,000Kgの条件で3分間、上記支持体と上記シリコンウエハとを貼り合せ、積層体を形成した(積層体形成工程)。
上記積層体に、支持体側からレーザ光の波長532nm、レーザ光の直径を180μmとして、レーザパルスにおける被照射領域同士の中心間距離を180μm、走査速度を7200mm/sとして、レーザ光の平均出力3.42W、繰り返し周波数40kHzでレーザ光照射を行った(光の照射)。
(分離評価)
上記接着剤の除去及び光の照射による分離工程後、特に力を加える必要もなく、支持体を積層体から容易に分離することができた。
〔実施例2〕
(プロセス)
流量400sccm、圧力70Pa、高周波電力2,800W及び成膜温度240℃の条件下において、反応ガスとしてC4F8を使用したCVD法により、分離層であるフルオロカーボン膜(厚さ1μm)を支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)上に形成した(分離層形成工程)。
次いで、当該支持体を回転(1500rpm、40秒間)させつつ、EBRノズルによってPGME/MMA=7/3(重量比)からなる剥離液を供給(10cc/min)することによって、支持体上の周縁部の幅0.5〜1mmまでに形成されたフルオロカーボン膜を除去した(分離層周端部除去工程)。その後、スピン乾燥(1500rpm、40秒間)した。
次に、12インチシリコンウエハに接着剤組成物であるTZNR(登録商標)−A3007t(東京応化工業株式会社製)をスピン塗布して、100℃、160℃、200℃で各3分加熱して接着層(膜厚50μm)を形成した(接着層形成工程)。
次いで、当該シリコンウエハを回転させながら、EBRノズルによってTZNR(登録商標)HCシンナー(東京応化工業株式会社製)を20cc/minの供給量で供給することによって、シリコンウエハ上のエッジビード(ウエハ周縁部の接着層の盛り上がり部分)を除去した(接着層周端部除去工程)。
次に、真空化220℃、4,000Kgの条件で3分間、上記支持体と上記シリコンウエハとを貼り合せ、積層体を形成した(積層体形成工程)。
(分離工程)
上記積層体を、1500rpmで回転させつつ、EBRノズルによって、TZNR(登録商標)HCシンナー(東京応化工業株式会社製)を10cc/minの供給量で5〜15分間、供給することによって、積層体の周縁部の幅0.5〜1mmまでに形成された接着層を除去した(接着剤の除去)。
上記積層体に、支持体側からレーザ光の波長532nm、レーザ光の直径を180μmとして、レーザパルスにおける被照射領域同士の中心間距離を180μm、走査速度を7200mm/sとして、レーザ光の平均出力3.42W、繰り返し周波数40kHzでレーザ光照射を行った(光の照射)。
(分離評価)
上記接着剤の除去及び光の照射による分離工程後、特に力を加える必要もなく、支持体を積層体から容易に分離することができた。
〔実施例3〕
(プロセス)
流量400sccm、圧力70Pa、高周波電力2,800W及び成膜温度240℃の条件下において、反応ガスとしてC4F8を使用したCVD法により、分離層であるフルオロカーボン膜(厚さ1μm)を支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)上に形成した(分離層形成工程)。
次いで、当該支持体を回転(1500rpm、40秒間)させつつ、EBRノズルによってPGME/MMA=7/3(重量比)からなる剥離液を供給(10cc/min)することによって、支持体上の周縁部の幅0.5〜1mmまでに形成されたフルオロカーボン膜を除去した(分離層周端部除去工程)。その後、スピン乾燥(1500rpm、40秒間)した。
次に、12インチシリコンウエハに接着剤組成物であるTZNR(登録商標)−A3007t(東京応化工業株式会社製)をスピン塗布して、100℃、160℃、200℃で各3分加熱して接着層(膜厚50μm)を形成した(接着層形成工程)。
次に、真空化220℃、4,000Kgの条件で3分間、上記支持体と上記シリコンウエハとを貼り合せ、積層体を形成した(積層体形成工程)。
次いで、当該積層体を回転させながら、EBRノズルによってTZNR(登録商標)HCシンナー(東京応化工業株式会社製)を20cc/minの供給量で供給することによって、シリコンウエハ上の周縁部の幅0.5mmまでに形成された接着層を除去した(接着剤の除去)。
上記積層体に、支持体側からレーザ光の波長532nm、レーザ光の直径を180μmとして、レーザパルスにおける被照射領域同士の中心間距離を180μm、走査速度を7200mm/sとして、レーザ光の平均出力3.42W、繰り返し周波数40kHzでレーザ光照射を行った(光の照射)。
(分離評価)
上記接着剤の除去及び光の照射による分離工程後、特に力を加える必要もなく、支持体を積層体から容易に分離することができた。