JP2014174471A - 識別媒体、物品の識別方法、及び積層構造体 - Google Patents

識別媒体、物品の識別方法、及び積層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることによって物品が真正なものであるか否かを識別できる識別媒体を提供する。
【解決手段】正反射性を有する面に設けられうる、真正性識別用の識別媒体であって、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、前記光反射層に重なるように設けられ、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が63%以下の低透過性層とを備える、識別媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、真正性識別用の識別媒体、並びに、それを用いた物品の識別方法及び積層構造体に関する。
真正であることが求められる物品の表面に、物品の偽造防止のために、容易に複製できない識別媒体を付することが一般的に行われている。かかる識別媒体は、容易に複製できないこと、真正なものであるか否かが容易に判別できること等の特性が求められる。そのような識別媒体の例として、特定の偏光のみを反射しそれ以外の偏光を透過する偏光層を用いた識別媒体が知られている(特許文献1〜3参照)。
特開2003−207635号公報 特開2003−170649号公報 特開2011−183635号公報
ところが、物品の表面が正反射性を有する場合には、前記の偏光層によっては真正性の識別機能が十分に発揮されないことがありえた。ここで、正反射性とは、右円偏光が反射することにより左円偏光になり、左円偏光が反射することにより右円偏光になる性質をいう。ここで、円偏光の旋光方向は、光の進行方向に向かったときの円偏光の旋光方向をいう。
例えば、物品の正反射性を有する面に、右円偏光のみを反射しそれ以外の円偏光を透過する偏光層からなる識別媒体を設けた場合を想定する。この場合、右円偏光板又は左円偏光板を通して偏光層が設けられた領域を見た場合と、円偏光板を通さないで偏光層が設けられた領域を直接に見た場合とで、観察される像は異なる。そのため、この観察される像の違いにより、真正性の識別を行うことは、一応は可能である。
しかし、右円偏光板を通して偏光層が設けられた領域を見た場合と、左円偏光板を通して偏光層が設けられた領域を見た場合とでは、観察される像は同じになる。このように右円偏光板及び左円偏光板のいずれを通して見た場合でも同じ像が観察される識別媒体は、汎用の技術により容易に製造できる。例えば、物品の正反射性を有する面に、前記の偏光層の代わりに一般的な位相差フィルムを設けることによっても、右円偏光板を介した観察と左円偏光板を介した観察とで同様の像を観察しうる物品を製造できる。したがって、物品の表面が正反射性を有する場合、従来の識別媒体は偽造が容易であり、真正性の識別精度を高めることが困難であった。
本発明は上述した課題に鑑みて創案されたもので、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることによって物品が真正なものであるか否かを識別できる識別媒体、その識別媒体を用いた物品の識別方法、並びに、その識別媒体を備えた積層構造体を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、正反射性を有する面に設けられうる真正性識別用の識別媒体において、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、光反射層に重なるように設けられて光の平均透過率が低い低透過性層とを組み合わせて設けることにより、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕正反射性を有する面に設けられうる、真正性識別用の識別媒体であって、
可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、
前記光反射層に重なるように設けられ、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が63%以下の低透過性層とを備える、識別媒体。
〔2〕 前記光反射層を厚み方向から観察した形状が、識別可能なパターンとなっている、〔1〕の識別媒体。
〔3〕 前記低透過性層を厚み方向から観察した形状が、識別可能なパターンとなっている、〔1〕又は〔2〕記載の識別媒体。
〔4〕 前記光反射層が、コレステリック規則性を有する樹脂層である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔5〕 前記光反射層が、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうるフレークと、バインダーとを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔6〕 前記フレークが、コレステリック規則性を有する樹脂層の破砕物である、〔5〕記載の識別媒体。
〔7〕 前記光反射層が、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔8〕 前記光反射層が、可視光領域の全体において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔9〕 前記低透過性層の、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が0%以上40%以下である、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔10〕 前記低透過性層の、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が0%以上20%以下である、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔11〕 前記光反射層に重なるように設けられ、面内レターデーション又は厚み方向のレターデーションを有する位相差層を備える、〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の識別媒体。
〔12〕 正反射性を有する面を有し、前記面に〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の識別媒体を、前記面、前記低透過性層及び前記光反射層がこの順となるように設けられた物品の識別方法であって、
右円偏光のみを透過させうる第一フィルタを通して前記識別媒体を観察した場合と、左円偏光のみを透過させうる第二フィルタを通して前記識別媒体を観察した場合とでの、観察される像を対比することを含む、識別方法。
〔13〕 正反射性を有する面を有する基材と、
前記面上に設けられ、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、
前記基材と前記光反射層との間に、前記光反射層に重なるように設けられ、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が63%以下の低透過性層とを備える、識別媒体。
〔14〕
正反射性を有する面を有する物品と、前記正反射性を有する面に設けられた〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の識別媒体とを備える、積層構造体。
本発明の識別媒体によれば、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることによって、物品が真正なものであるか否かを識別できる。
本発明の物品の識別方法によれば、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることによって、物品が真正なものであるか否かを識別できる。
本発明の積層構造体によれば、その積層構造体が備える識別媒体を右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されることによって、その積層構造体が備える物品が真正なものであるか否かを識別できる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図2は、図1に示す識別媒体を、図1中の一点鎖線IIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図6は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図7は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図8は、図7に示す識別媒体を、図7中の一点鎖線VIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図10は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図11は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図12は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を設けた物品の表面において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。 図13は、本発明の第三実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図14は、図13に示す識別媒体を、図13中の一点鎖線XIVに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図15は、本発明の第四実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図16は、図15に示す識別媒体を、図15中の一点鎖線XVIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図17は、本発明の第五実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図18は、図17に示す識別媒体を、図17中の一点鎖線XVIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図19は、本発明の第六実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図20は、図19に示す識別媒体を、図19中の一点鎖線XIXに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図21は、本発明の第七実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図22は、図21に示す識別媒体を、図21中の一点鎖線XXIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図23は、本発明の第八実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図24は、図23に示す識別媒体を、図23中の一点鎖線XXIVに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図25は、本発明の第九実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図26は、図25に示す識別媒体を、図25中の一点鎖線XXVIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図27は、本発明の第十実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。 図28は、図27に示す識別媒体を、図27中の一点鎖線XXVIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。 図29は、本発明の実施例及び比較例において、右円偏光板を用いて測定した可視光領域における平均反射率の値と、それに対応する低透過性層の平均透過率の値との関係を示す図である。 図30は、本発明の実施例及び比較例において、左円偏光板を用いて測定した可視光領域における平均反射率の値と、それに対応する低透過性層の平均透過率の値との関係を示す図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の識別媒体の説明においては、別に断らない限り、識別媒体は、その観察される面を上に向けて水平に置いたものとして説明する。従って、観察された際に相対的に観察者に近い側(平面図における手前側、断面図における上側)を単に上側、相対的に観察者から遠い側を単に下側と表現することがある。
また、以下の説明において、「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
また、以下の説明において、ある層と別の層とが「重なる」とは、別に断らない限り、それらの層の厚み方向から見たときに、それらの層が同じ位置にあることを示す。
また、以下の説明において、「パターン」とは、別に断らない限り、空間的なものの形を指す。このパターンには、例えば文字、数字、図形などを含む。
また、以下の説明において、「可視光領域」とは、波長400nm以上800nm以下の波長範囲を示す。
また、以下の説明において、フィルム又は層の面内レターデーションは、(nx−ny)×dで表される値を示す。また、フィルム又は層の厚み方向のレターデーションは、{(nx+ny)/2−nz}×dで表される値を示す。ここで、nxは、そのフィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を示す。また、nyは、そのフィルム又は層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を示す。さらに、nzは、そのフィルム又は層の厚み方向の屈折率を示す。また、dは、そのフィルム又は層の厚みを示す。これらのレターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、フォトニックラティス社製「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。
また、以下の説明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を包含する。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を包含する。また、「(チオ)エポキシ」とは、エポキシ及びチオエポキシの両方を包含する。また、「イソ(チオ)シアネート」とは、イソシアネート及びイソチオシアネートの両方を包含する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1に示す識別媒体を、図1中の一点鎖線IIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図2において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図1及び図2に示すように、真正性識別用の識別媒体100は、低透過性層110、粘着層120及び光反射層130を備える。また、識別媒体100は、正反射性を有する表面11を有する物品10の、表面11に設けられている。さらに、この識別媒体100は、その低透過性層110において物品10の表面11に接触している。したがって、第一実施形態においては、物品10及び識別媒体100を備える積層構造体において、物品10の表面11、低透過性層110、粘着層120及び光反射層130が、この順に設けられている。
低透過性層110は、光反射層130が反射しうる波長領域の光の平均透過率が低い層である。具体的には、光反射層130が反射しうる波長領域において、低透過性層110の光の平均透過率は、通常63%以下、より好ましくは40%以下、特に好ましくは20%以下であり、また、通常0%以上、好ましくは4%以上である。ここで、ある波長における透過率とは、当該波長を有する非偏光の入射光の光束に対する、透過光の光束の割合である。低透過性層110の光の平均透過率を前記のように小さい所定の範囲に収めることにより、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで観察される像の違いを明確に視認できるようになるので、真正性の識別性を向上させることができる。
本実施形態では、可視光線領域の全体において、光を前記範囲内の平均透過率で透過させうる(例えば、平均透過率が0%超63%以下の)低透過性層110を用いた例を示して説明する。
また、低透過性層110は、通常、入射した光を、その偏光状態を変化させずに透過させうる。したがって、右円偏光が低透過性層110に入射すると、その光は右円偏光のままで低透過性層110を透過する。また、左円偏光が低透過性層110に入射すると、その光は左円偏光のままで低透過性層110を透過する。さらに、非偏光が入射すると、その光は非偏光のままで低透過性層110を透過する。
さらに、低透過性層110は、物品10の表面11の矩形の領域に設けられている。そして、粘着層120を介して、光反射層130が低透過性層110上に粘着している。
光反射層130は、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる層である。
本実施形態においては、光反射層130が、可視光領域の全体において右円偏光(右円偏光及び左円偏光の一方に相当。)を反射し、それ以外の円偏光を透過させる例を示して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る光反射層130は、低透過性層110と光反射層130とが、低透過性層110の一部において重なるように設けられている。具体的には、この光反射層130は、低透過性層110上のアルファベット文字「A」、「B」及び「C」からなるパターンP1〜P3に対応する領域内のみ設けられている。すなわち、光反射層130を厚み方向から観察した形状は識別可能なパターンP1〜P3となっており、これらのパターンP1〜P3に対応した領域において低透過性層110の一部と光反射層130の全体とが重なっている。
本実施形態に係る識別媒体100による真正性の識別の作用を、図面を示して説明する。実際の識別媒体においては、下記に説明する以外にも、様々な吸収及び反射が発生しうるが、以下の説明では、作用の説明の便宜上、主な光の経路を概略的に説明する。
図3〜図6は、本発明の第一実施形態に係る識別媒体100を設けた物品10の表面11において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。また、図3〜図6においては粘着層120の図示は省略し、且つ、各層はそれぞれ離して示す。
まず、図3及び図4に示すように、例えば右円偏光を透過させ且つ左円偏光を遮断できる右円偏光板20を用いて、識別媒体100の上面に右円偏光を照射した場合を説明する。
図3に示すように、自然光等の非偏光A1のうちで右円偏光板20を透過した右円偏光A1Rが、光反射層130が設けられた領域に入射すると、その右円偏光A1Rは光反射層130で反射する。反射した右円偏光A2Rは識別媒体100の外部に出射する。この右円偏光A2Rは、右円偏光板20を透過できる。
また、図4に示すように、右円偏光板20を透過した右円偏光A1Rが、光反射層130が設けられていない領域に入射すると、その右円偏光A1Rは低透過性層110を透過して物品10の表面11に入射する。表面11は正反射性を有するので、入射した右円偏光A1Rは、表面11で反射して左円偏光A2Lとなる。この左円偏光A2Lは、低透過性層110を透過して識別媒体100の外部に出射する。しかし、この左円偏光A2Rは右円偏光板20で遮られる。
次に、図5及び図6に示すように、例えば左円偏光を透過させ且つ右円偏光を遮断できる左円偏光板30を用いて、識別媒体100の上面に左円偏光を照射した場合を説明する。
図5に示すように、自然光等の非偏光A1のうちで左円偏光板30を透過した左円偏光A1Lが、光反射層130が設けられた領域に入射すると、その左円偏光A1Lは光反射層130及び低透過性層110を透過して、物品10の表面11に入射する。表面11は正反射性を有するので、入射した左円偏光A1Lは、表面11で反射して右円偏光A2Rとなる。この右円偏光A2Rは、低透過性層110を透過して、光反射層130に入射する。この右円偏光A2Rは光反射層130で反射し、その反射した右円偏光A3Rは低透過性層110を透過して、物品10の表面11に入射する。入射した右円偏光A3Rは、表面11で反射して左円偏光A4Lとなる。この左円偏光A4Lは、低透過性層110及び光反射層130を透過して識別媒体100の外部に出射する。この左円偏光A4Lは、左円偏光板30を透過できる。
また、図6に示すように、左円偏光板30を透過した左円偏光A1Lが、光反射層130が設けられていない領域に入射すると、その左円偏光A1Lは低透過性層110を透過して物品10の表面11に入射する。入射した左円偏光A1Lは、表面11で反射して右円偏光A2Rとなる。この右円偏光A2Rは、低透過性層110を透過して識別媒体100の外部に出射する。しかし、この右円偏光A2Rは左円偏光板30で遮られる。
このような作用を有する識別媒体100の、真正性の識別の操作の例としては、下記(I)及び(II)の操作が挙げられる。
(I)入射光として、右円偏光及び左円偏光の両方を含む光を用い、
(I−R)識別媒体100を、右円偏光のみを透過させうる第一フィルタとしての右円偏光板20を通して観察した場合と、
(I−L)識別媒体100を、左円偏光のみを透過させうる第二フィルタとしての左円偏光板30を通して観察した場合と
での、観察される像を対比する。
(II)(II−R)入射光として右円偏光のみを含む光を用いて識別媒体100を観察した場合と、
(II−L)入射光として左円偏光のみを含む光を用いて識別媒体100を観察した場合と
での、観察される像を対比する。
上記(I)の操作において、入射光としては、自然光等の通常の非偏光を用いうる。
このような入射光に照らされた識別媒体100を、右円偏光板20を通して観察した場合((I−R)の場合)、図3に示すように、光反射層130が設けられた領域では、観察者は光反射層130での反射光である右円偏光A2Rを検知する。
また、図4に示すように、光反射層130が設けられていない領域では、右円偏光板20で遮られるので、光は検知されない。
したがって、右円偏光板20を通して観察される像においては、光反射層130での反射光である右円偏光A2Rが検知できる領域の形状として、パターンP1〜P3が表示される。
他方、入射光に照らされた識別媒体100を、左円偏光板30を通して観察した場合((I−L)の場合)、図5に示すように、光反射層130が設けられた領域では、観察者は物品10の表面11での反射光である左円偏光A4Lを検知する。ところが、この左円偏光A4Lは、低透過性層110を透過することにより減衰しているので、領域の形状を特定できるほど強くは検知できない。
また、図6に示すように、光反射層130が設けられていない領域では、左円偏光板30で遮られるので、光は検知されない。
したがって、左円偏光板30を通して観察される像において、パターンP1〜P3は表示されない。
このように、右円偏光板20を通して観察された像と左円偏光板30を通して観察された像とが異なる場合、その識別媒体100を設けられた物品10は真正なものであると判断できる。また、前記の像が同じである場合、その識別媒体を設けられた物品は真正なものでないと判断できる。
上記(II)の操作において、入射光として右円偏光のみを含む光を用いて識別媒体100を観察した場合((II−R)の場合)、光反射層130が設けられた領域では、観察者は光反射層130での反射光である右円偏光A2Rを検知する。
また、光反射層130が設けられていない領域では、観察者は物品10の表面11での反射光である左円偏光A2Lを検知する。ところが、前記の左円偏光A2Lは、低透過性層110を透過することにより減衰しているので、領域の形状を特定できるほど強くは検知できない。
したがって、右円偏光のみを含む光を用いて観察された像においては、光反射層130での反射光である右円偏光A2Rが検知できる領域の形状として、パターンP1〜P3が表示される。
他方、入射光として左円偏光のみを含む光を用いて識別媒体100を観察した場合((II−L)の場合)、光反射層130が設けられた領域では、観察者は物品10の表面11での反射光である左円偏光A4Lを検知する。
また、光反射層130が設けられていない領域では、観察者は物品10の表面11での反射光である右円偏光A2Rを検知する。ところが、前記の左円偏光A4L及び右円偏光A2Rは、いずれも低透過性層110を透過することにより減衰しているので、領域の形状を特定できるほど強くは検知できない。
したがって、左円偏光のみを含む光を用いて観察された像において、パターンP1〜P3は表示されない。
このように、入射光として右円偏光のみを含む光を用いて観察される像と、入射光として左円偏光のみを含む光を用いて観察される像とが異なる場合、その識別媒体100を設けられた物品10は真正なものであると判断できる。また、前記の像が同じである場合、その識別媒体を設けられた物品は真正なものでないと判断できる。
以上のように、本発明の第一実施形態に係る識別媒体100を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。この際、前述の(I)又は(II)の操作のように、識別媒体100は、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察されるので、真正性の識別精度が高い。また、このような識別媒体100は、単に位相差フィルムを貼り付けるだけでは製造できないため、偽造が困難である。
また、識別媒体100においては、可視光線領域の全体において光を所定の平均透過率で透過させうる低透過性層110を用いている。また、識別媒体100においては、可視光領域の全体において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる光反射層130を用いている。そのため、識別媒体100の低透過性層110が形成された領域において、検知される光の色を黒色以外の無色にすることができる。ここで無色とは、反射スペクトルの全可視光領域に渡って、反射率の差が少ない色であり、白、黒及び灰色を含み、さらには銀色も含まれる。したがって、本発明の第一実施形態に係る識別媒体100では、パターンP1〜P3を黒色以外の色で表示できるので、パターンP1〜P3のデザイン性を高めることが可能である。
[第二実施形態]
前述の第一実施形態に係る識別媒体100では、厚み方向から見て、低透過性層110の一部と光反射層130の全体とが重なる構成を採用した。これに対し、厚み方向から見て、低透過性層の全体と光反射層の一部とが重なる構成を採用してもよく、低透過性層の全体と光反射層の全体とが重なる構成を採用してもよく、低透過性層の一部と光反射層の一部とが重なる構成を採用してもよい。
図7は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図8は、図7に示す識別媒体を、図7中の一点鎖線VIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図8において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図7及び図8に示すように、真正性識別用の識別媒体200は、低透過性層210、粘着層220及び光反射層230を備える。また、識別媒体200は、正反射性を有する面11を有する物品10の、表面11に設けられている。さらに、この識別媒体200は、その低透過性層210において物品10の表面11に接触している。したがって、第二実施形態においては、物品10及び識別媒体200を備える積層構造体において、物品10の表面11、低透過性層210、粘着層220及び光反射層230が、この順に設けられている。
低透過性層210は、物品10の表面11上のアルファベット文字「A」、「B」及び「C」からなるパターンP1〜P3に対応する領域内のみ設けられていること以外は、第一実施形態に係る低透過性層110と同様である。そして、粘着層220を介して、光反射層230が低透過性層210及び物品10の表面11上に粘着している。
光反射層230は、物品10の表面11及び低透過性層210上の矩形の領域に設けられている。すなわち、低透過性層210を厚み方向から観察した形状は識別可能なパターンP1〜P3となっており、これらのパターンP1〜P3に対応した領域において低透過性層210の全体と光反射層230の一部とが重なっている。
本実施形態に係る識別媒体200による真正性の識別の作用を、図面を示して説明する。実際の識別媒体においては、下記に説明する以外にも、様々な吸収及び反射が発生しうるが、以下の説明では、作用の説明の便宜上、主な光の経路を概略的に説明する。
図9〜図12は、本発明の第二実施形態に係る識別媒体200を設けた物品10の表面11において、各層並びにそれらの層において反射する光の経路を模式的に示す分解断面図である。また、図9〜図12においては粘着層220の図示は省略し、且つ、各層はそれぞれ離して示す。
まず、図9及び図10に示すように、例えば右円偏光板20を用いて、識別媒体200の上面に右円偏光を照射した場合を説明する。
図9及び図10に示すように、自然光等の非偏光A1のうちで右円偏光板20を透過した右円偏光A1Rが、光反射層230に入射すると、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、その右円偏光A1Rは光反射層230で反射する。反射した右円偏光A2Rは識別媒体200の外部に出射する。この右円偏光A2Rは、右円偏光板20を透過できる。
次に、図11及び図12に示すように、例えば左円偏光板30を用いて、識別媒体200の上面に左円偏光を照射した場合を説明する。
図11及び図12に示すように、自然光等の非偏光A1のうちで左円偏光板30を透過した左円偏光A1Lは、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、第一実施形態に係る識別媒体100と同様にして、物品10の表面11、光反射層230、及び物品10の表面11の順で反射する。その反射光である左円偏光A4Lは、低透過性層210及び光反射層230を透過して識別媒体200の外部に出射する。出射した左円偏光A4Lは、左円偏光板30を透過できる。
このような作用を有する識別媒体200の、真正性の識別の操作の例としては、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作が挙げられる。
上記(I)の操作において、入射光に照らされた識別媒体200を、右円偏光板20を通して観察した場合((I−R)の場合)、図9及び図10に示すように、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、観察者は光反射層230での反射光である右円偏光A2Rを検知する。この際、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域において、検知される右円偏光A2Rの強度は同様になる。したがって、右円偏光板20を通して観察される像においては、パターンP1〜P3が表示されない。
他方、入射光に照らされた識別媒体200を、左円偏光板30を通して観察した場合((I−L)の場合)、図11及び図12に示すように、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、観察者は物品10の表面11での反射光である左円偏光A4Lを検知する。この際、低透過性層210が設けられた領域では、低透過性層210を透過することにより左円偏光A4Lは減衰している。そのため、低透過性層210が設けられた領域では、左円偏光A4Lは低透過性層210が設けられた領域よりも僅かにしか検知できない。したがって、左円偏光板30を通して観察される像において、左円偏光A4Lを検知できない領域の形状として、パターンP1〜P3が表示される。
このように、右円偏光板20を通して観察された像と左円偏光板30を通して観察された像とが異なる場合、その識別媒体200を設けられた物品10は真正なものであると判断できる。また、前記の像が同じである場合、その識別媒体を設けられた物品は真正なものでないと判断できる。
上記(II)の操作において、入射光として右円偏光のみを含む光を用いて識別媒体200を観察した場合((II−R)の場合)、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、観察者は光反射層230での反射光である右円偏光A2Rを検知する。この際、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域において、検知される右円偏光A2Rの強度は同様になる。したがって、右円偏光のみを含む光を用いて観察された像においては、パターンP1〜P3は表示されない。
他方、入射光として左円偏光のみを含む光を用いて識別媒体200を観察した場合((II−L)の場合)、低透過性層210が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、観察者は物品10の表面11での反射光である左円偏光A4Lを検知する。この際、低透過性層210が設けられた領域では、低透過性層210を透過することにより左円偏光A4Lは減衰している。そのため、低透過性層210が設けられた領域では、左円偏光A4Lは低透過性層210が設けられていない領域よりも僅かにしか検知できない。したがって、左円偏光のみを含む光を用いて観察された像において、左円偏光A4Lを検知できない領域の形状として、パターンP1〜P3が表示される。
このように、入射光として右円偏光のみを含む光を用いて観察される像と、入射光として左円偏光のみを含む光を用いて観察される像とが異なる場合、その識別媒体200を設けられた物品10は真正なものであると判断できる。また、前記の像が同じである場合、その識別媒体を設けられた物品は真正なものでないと判断できる。
以上のように、本発明の第二実施形態に係る識別媒体200を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。また、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第三実施形態]
前述の第一実施形態及び第二実施形態では、可視光領域の全体において右円偏光(右円偏光及び左円偏光の一方に相当。)を反射し、それ以外の円偏光を透過させる光反射層130を用いた例を示した。しかし、光反射層としては、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる層を用いてもよい。
図13は、本発明の第三実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図14は、図13に示す識別媒体を、図13中の一点鎖線XIVに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図14において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図13及び図14に示すように、真正性識別用の識別媒体300は、光反射層130の代わりに光反射層330を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第三実施形態においては、光反射層330として、可視光領域の緑色の波長領域(通常は510nm〜580nmの波長領域。可視光領域の一部の波長領域に相当する。)において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体300に右円偏光を照射すると、光反射層330が設けられた領域において、光反射層330で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層330が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体300で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状として、パターンP1〜P3が表示される。
他方、このような識別媒体300に左円偏光を照射すると、光反射層330が設けられた領域及び設けられていない領域の両方において、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体300で観察される像においては、パターンP1〜P3が表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体300は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第三実施形態に係る識別媒体300を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第三実施形態に係る識別媒体300では、パターンP1〜P3を所望の色の光によって表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第三実施形態に係る識別媒体300によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第四実施形態]
前述の第一実施形態〜第三実施形態では、パターンP1〜P3のいずれにおいても同じ構成の光反射層を用いた。しかし、光反射層としては、パターンP1〜P3のそれぞれで異なる構成を有する光反射層を用いてもよい。
例えば、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の全体において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを、組み合わせて用いてもよい。
図15は、本発明の第四実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図16は、図15に示す識別媒体を、図15中の一点鎖線XVIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図16において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図15及び図16に示すように、真正性識別用の識別媒体400は、光反射層130の代わりに光反射層431及び432を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第四実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層431として、可視光領域の緑色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP2及びP3に対応する光反射層432として、可視光領域の全体において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体400に右円偏光を照射すると、光反射層431が設けられた領域において、光反射層431で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層432が設けられた領域において、光反射層432で反射した黒色以外の無色の光が検知される。さらに、光反射層431及び432が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体400で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、黒色以外の無色の光が検知できる領域の形状としてパターンP2及びP3が表示される。
他方、このような識別媒体400に左円偏光を照射すると、光反射層431が設けられた領域、光反射層432が設けられた領域、並びに光反射層431及び432が設けられていない領域のいずれにおいても、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体400で観察される像においては、パターンP1〜P3が表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体400は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第四実施形態に係る識別媒体400を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第四実施形態に係る識別媒体400では、パターンP1〜P3の一部を無色以外の所望の色で表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第四実施形態に係る識別媒体400によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第五実施形態]
識別媒体においては、例えば、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の別の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを、組み合わせて用いてもよい。
図17は、本発明の第五実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図18は、図17に示す識別媒体を、図17中の一点鎖線XVIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図18において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図17及び図18に示すように、真正性識別用の識別媒体500は、光反射層130の代わりに光反射層531及び532を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第五実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層531として、可視光領域の赤色の波長領域(通常は610nm〜680nmの波長領域)において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP2及びP3に対応する光反射層532として、可視光領域の緑色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体500に右円偏光を照射すると、光反射層531が設けられた領域において、光反射層531で反射した赤色の光が検知される。また、光反射層532が設けられた領域において、光反射層532で反射した緑色の光が検知される。さらに、光反射層531及び532が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体500で観察される像においては、赤色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP2及びP3が表示される。
他方、このような識別媒体500に左円偏光を照射すると、光反射層531が設けられた領域、光反射層532が設けられた領域、並びに光反射層531及び532が設けられていない領域のいずれにおいても、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体500で観察される像においては、パターンP1〜P3が表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体500は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第五実施形態に係る識別媒体500を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第五実施形態に係る識別媒体500では、パターンP1〜P3をそれぞれ所望の色で表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第五実施形態に係る識別媒体500によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第六実施形態]
識別媒体においては、例えば、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の他方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを、組み合わせて用いてもよい。
図19は、本発明の第六実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図20は、図19に示す識別媒体を、図19中の一点鎖線XIXに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図20において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図19及び図20に示すように、真正性識別用の識別媒体600は、光反射層130の代わりに光反射層631及び632を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第六実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層631として、可視光領域の全体において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP2及びP3に対応する光反射層632として、可視光領域の全体において左円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体600に右円偏光を照射すると、光反射層631が設けられた領域において、光反射層631で反射した黒色以外の無色の光が検知される。また、光反射層631が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体600で観察される像においては、黒色以外の無色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、パターンP2及びP3は表示されない。
他方、このような識別媒体600に左円偏光を照射すると、光反射層632が設けられた領域において、光反射層632で反射した黒色以外の無色の光が検知される。また、光反射層632が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体600で観察される像においては、黒色以外の無色の光が検知できる領域の形状としてパターンP2及びP3が表示され、パターンP1は表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体600は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第六実施形態に係る識別媒体600を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第六実施形態に係る識別媒体600では、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる形状のパターンP1〜P3を表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第六実施形態に係る識別媒体600によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第七実施形態]
識別媒体においては、例えば、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の他方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを、組み合わせて用いてもよい。
図21は、本発明の第七実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図22は、図21に示す識別媒体を、図21中の一点鎖線XXIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図22において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図21及び図22に示すように、真正性識別用の識別媒体700は、光反射層130の代わりに光反射層731及び732を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第七実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層731として、可視光領域の緑色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP2及びP3に対応する光反射層732として、可視光領域の緑色の波長領域において左円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体700に右円偏光を照射すると、光反射層731が設けられた領域において、光反射層731で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層731が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体700で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、パターンP2及びP3は表示されない。
他方、このような識別媒体700に左円偏光を照射すると、光反射層732が設けられた領域において、光反射層732で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層732が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体700で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP2及びP3が表示され、パターンP1は表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体700は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第七実施形態に係る識別媒体700を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第七実施形態に係る識別媒体700では、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる形状のパターンP1〜P3を、所望の色で表示できるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第七実施形態に係る識別媒体700によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第八実施形態]
識別媒体においては、例えば、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の全体において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の他方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを組み合わせて用いてもよい。
図23は、本発明の第八実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図24は、図23に示す識別媒体を、図23中の一点鎖線XXIVに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図24において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図23及び図24に示すように、真正性識別用の識別媒体800は、光反射層130の代わりに光反射層831、832及び833を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第八実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層831として、可視光領域の緑色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。また、パターンP2に対応する光反射層832として、可視光領域の全体において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP3に対応する光反射層833として、可視光領域の緑色の波長領域において左円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体800に右円偏光を照射すると、光反射層831が設けられた領域において、光反射層831で反射した緑色の光が検知される。さらに、光反射層832が設けられた領域において、光反射層832で反射した黒色以外の無色の光が検知される。また、光反射層831及び832が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体800で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、黒色以外の無色の光が検知される領域の形状としてパターンP2が表示され、パターンP3は表示されない。
他方、このような識別媒体800に左円偏光を照射すると、光反射層833が設けられた領域において、光反射層833で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層833が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体800で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP3が表示され、パターンP1及びP2は表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体800は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第八実施形態に係る識別媒体800を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第八実施形態に係る識別媒体800では、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる形状のパターンP1〜P3を、所望の色で表示できるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第八実施形態に係る識別媒体800によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第九実施形態]
識別媒体においては、例えば、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の別の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の他方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを組み合わせて用いてもよい。
図25は、本発明の第九実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図26は、図25に示す識別媒体を、図25中の一点鎖線XXVIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図26において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図25及び図26に示すように、真正性識別用の識別媒体900は、光反射層130の代わりに光反射層931、932及び933を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。また、第九実施形態においては、パターンP1に対応する光反射層931として、可視光領域の赤色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。また、パターンP2に対応する光反射層932として、可視光領域の緑色の波長領域において右円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。さらに、パターンP3に対応する光反射層933として、可視光領域の緑色の波長領域において左円偏光を反射し、それ以外の円偏光を透過させる層を用いている。
このような識別媒体900に右円偏光を照射すると、光反射層931が設けられた領域において、光反射層931で反射した赤色の光が検知される。さらに、光反射層932が設けられた領域において、光反射層932で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層931及び932が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、右円偏光で照らされた識別媒体900で観察される像においては、赤色の光が検知できる領域の形状としてパターンP1が表示され、緑色の光が検知される領域の形状としてパターンP2が表示され、パターンP3は表示されない。
他方、このような識別媒体900に左円偏光を照射すると、光反射層933が設けられた領域において、光反射層933で反射した緑色の光が検知される。また、光反射層933が設けられていない領域においては、低透過性層110で減衰した光が検知される。したがって、左円偏光で照らされた識別媒体900で観察される像においては、緑色の光が検知できる領域の形状としてパターンP3が表示され、パターンP1及びP2は表示されない。
そのため、本実施形態に係る識別媒体900は、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
以上のように、本発明の第九実施形態に係る識別媒体900を用いれば、物品10が真正なものであるか否かを識別できる。
さらに、本発明の第九実施形態に係る識別媒体900では、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる形状のパターンP1〜P3を、所望の色で表示できるので、デザインの自由度を高めることができる。
さらに、本発明の第九実施形態に係る識別媒体900によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[第十実施形態]
前述の第一実施形態〜第九実施形態では、識別媒体自体は正反射性を有する面を有していなかった。しかし、識別媒体として、正反射性を有する面を有するものを用いてもよい。
例えば、識別媒体が、正反射性を有する面を有する基材と、この面上に設けられ、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、基材と光反射層との間に光反射層に重なるように設けられた低透過性層とを備えるようにしてもよい。
図27は、本発明の第十実施形態に係る識別媒体を、識別対象となる物品の表面に設けた様子を模式的に示す平面図である。また、図28は、図27に示す識別媒体を、図27中の一点鎖線XXVIIIに沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。図28において、図示の便宜のため、幅方向の寸法に対する厚み方向の寸法の比率を、実際の識別媒体の比率より大きく示している。
図27及び図28に示すように、真正性識別用の識別媒体1000は、正反射性を有する上面1041を有する基材1040を備えること以外は、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の構成を有する。第十実施形態においては、物品10及び識別媒体1000を備える積層構造体において、物品10、基材1040、低透過性層110、粘着層120及び光反射層130がこの順に設けられていて、基材1040の上面1041上に低透過性層110が設けられている。
このような識別媒体1000においても、例えば、第一実施形態に係る識別媒体100による操作(I)及び(II)と同様の操作を行うことにより、真正性の識別を行うことができる。
また、本発明の第十実施形態に係る識別媒体1000では、物品10が正反射性を有する面を有さない場合でも、真正なものであるか否かを適切に識別できる。
さらに、本発明の第十実施形態に係る識別媒体1000によれば、第一実施形態に係る識別媒体100と同様の利点を得ることができる。
[変形例]
本発明の識別媒体は、上述した実施形態に限定されるものではなく、更に変更して実施してもよい。
例えば、前記の実施形態に係る識別媒体は、1つのパターンに対応して光反射層を1層だけ備えるものを用いたが、1つのパターンに対応して2層以上の光反射層を備えるものを用いてもよい。
この場合、例えば、1つのパターンに対応して、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる2層以上の光反射層を、設けてもよい。これにより、光反射層による円偏光の反射の効率を高めて、当該パターンを表示する円偏光の強さを高めることができる。
また、例えば、1つのパターンに対応して、可視光領域の一部において右円偏光を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、可視光領域の別の一部において左円偏光を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層とを組み合わせて、設けてもよい。これにより、当該パターンを、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる色により表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
また、前記の実施形態に係る識別媒体では、各パターンは厚み方向からみて重なっていなかったが、パターンの一部が重なっていてもよい。例えば、可視光領域の一部において右円偏光を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層に対応するパターンと、可視光領域の別の一部において左円偏光を反射しそれ以外の円偏光を透過させうる光反射層に対応するパターンとが、厚み方向からみて一部重なるようにしてもよい。このような場合であっても、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とでそれぞれのパターンを表示することができるので、デザインの自由度を高めることができる。
また、識別媒体は、低透過性層、粘着層、光反射層及び基材以外に任意の層を備えていてもよい。
例えば、厚み方向から見て光反射層に重なるように、面内レターデーション又は厚み方向のレターデーションを有する位相差層を設けてもよい。具体例としては、前記の実施形態において、1/2波長の面内レターデーションを有する位相差層を、光反射層の上面に設けてもよい。ここで、1/2波長の面内レターデーションとは、透過光の波長範囲の中心値の1/2の値から、通常±65nm、好ましくは±30nm、より好ましくは±10nmの範囲である。前記の透過光は通常は可視光であるため、透過光の波長範囲の中心値としては、通常、可視光の波長範囲の中心値である550nmを適用する。このような位相差層を透過すると、円偏光は、その円偏光の旋光方向が逆向きになる。したがって、このような位相差層を備える識別媒体では、右円偏光で照らした場合に観察される像と左円偏光で照らした場合に観察される像とが、上述した実施形態で説明した像とは逆にできる。
また、位相差層を備える識別媒体の別の具体例としては、前記の実施形態において厚み方向のレターデーションを有する位相差層を、光反射層の上面に設けてもよい。この場合、例えば位相差層が面内レターデーションを有していなければ、厚み方向から観測した像は位相差層の厚み方向のレターデーションの影響を受けない。しかし、斜め方向から観測した像は、観察する方向の極角に応じた影響を受ける。例えば、ある極角において1/2波長のレターデーションを有する位相差層を備える識別媒体をその極角で観察した場合には、右円偏光で照らした場合に観察される像と左円偏光で照らした場合に観察される像とが、上述した実施形態で説明した像とは逆になる。この際、通常は、観察される像は観察する方向の方位角には依存しない。他方、この識別媒体を厚み方向から観察した場合は、右円偏光で照らした場合に観察される像と左円偏光で照らした場合に観察される像とが上述した実施形態で説明した像と同じになる。
任意の層の別の例を挙げると、保護層が挙げられる。保護層は、通常、光反射層よりも上側の最外層として設けられる。保護層を設けることにより、識別媒体の傷つき、汚れ、紫外線による劣化等を防ぐことができる。この保護層は、当該保護層を透過する光の偏光状態を変化させないことが好ましい。
さらに、識別媒体には、任意の層として、例えば、易接着層、易滑層、ハードコート層、帯電防止層、耐摩耗性層、反射防止層、色補正層、紫外線吸収層、印刷層、金属層、透明導電層、ガスバリア層、ホログラム層、剥離層、エンボス層などの機能性層を設けてもよい。
また、識別媒体は、前述した光反射層及び低透過性層の組み合わせによる真正性識別手段に加えて、他の真正性識別手段を併せて備えてもよい。例えば、ホログラム、すかし、マイクロ文字、蛍光インキ、磁気インキおよび赤外線反射インキ等の特殊インキによる印刷等の他の真正性識別手段を併せて備えてもよい。
[各構成要素]
次に、本発明の識別媒体における必須及び任意の構成要素の好ましい例をより具体的に説明する。
〔光反射層〕
光反射層としては、例えば、コレステリック規則性を有する樹脂層(以下、適宜「コレステリック樹脂層」ということがある。)を用いうる。コレステリック規則性を有する樹脂層が有するコレステリック規則性とは、一平面上では分子軸が一定の方向に並んでいるが、それに重なる次の平面では分子軸の方向が少し角度をなしてずれ、さらに次の平面ではさらに角度がずれるというように、重なって配列している平面を順次透過して進むに従って当該平面中の分子軸の角度がずれて(ねじれて)いく構造である。このように分子軸の方向がねじれてゆく構造は光学的にカイラルな構造となる。
コレステリック樹脂層は、通常、円偏光分離機能を有する。すなわち、右円偏光及び左円偏光のうちの一方の円偏光を透過させ、他方の円偏光の一部又は全部を反射させる性質を有する。コレステリック樹脂層における反射は、円偏光を、そのキラリティを維持したまま反射する。コレステリック樹脂層は、なるべく高い反射率を有し、その結果、光反射層が反射すべき波長範囲における平均反射率が高いものが、真正性の識別が明確になり、且つ、デザインの自由度が高いため、好ましい。
円偏光分離機能を発揮する波長は、コレステリック樹脂層におけるらせん構造のピッチに依存する。らせん構造のピッチとは、らせん構造において分子軸の方向が平面を進むに従って少しずつ角度がずれていき、そして再びもとの分子軸方向に戻るまでの平面法線方向の距離である。このらせん構造のピッチの大きさを変えることによって、円偏光分離機能を発揮する波長を変えることができる。
コレステリック樹脂層は、例えば、樹脂層形成用の適切な基材上にコレステリック液晶組成物の膜を設け、前記コレステリック液晶組成物の膜を硬化して得ることができる。得られた層は、そのままコレステリック樹脂層として用いることができる。すなわち、コレステリック樹脂層自体を、光反射層として用いうる。
または、得られたコレステリック樹脂層を粉砕してフレーク状の破砕物を得て、この破砕物を透明樹脂等の適切なバインダー中に分散し、この分散物を層状の形状にしたものを、光反射層として用いてもよい。すなわち、前記のコレステリック樹脂層の破砕物は、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうるフレークとして用いることができるので、このフレークと適切なバインダーとを含む層として光反射層を構成してもよい。
この場合、フレーク及びバインダーを含む分散物を層状の形状に形成する方法の例としては、例えば、押出成形法及び溶剤キャスト法等の、分散物をフィルム状に成形する方法が挙げられる。さらに、例えば、前記分散物を、フレーク状の粉砕物を顔料としたインキとして調製し、このインキを文字、模様等のパターンの形状またはべた状の形状に印刷し、当該形状の光反射層を得る方法が挙げられる。フレーク状の粉砕物を用いる場合には、その破砕物の粒径は、装飾性を得る上で1μm以上であることが好ましく、中でも、コレステリック樹脂層の膜厚以上であることがより好ましい(ここで、粒径とは、同面積の円にしたときの直径をいう)。これにより、粉砕物において厚み方向の寸法よりも面内方向の寸法が大きくなるので、各粉砕物を、粉砕物の面内方向と光反射層の面内方向とが平行又は鋭角をなすように配向させやすい。そのため、光反射層に入射する光を粉砕物が効果的に受光できるようになるので、光反射層の円偏光分離機能を高めることができる。また、フィルムの成形性や印刷適性を得る上で500μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
コレステリック樹脂層を形成するためのコレステリック液晶組成物としては、例えば、液晶性化合物を含有し、基材上に膜を形成した際にコレステリック液晶相を呈しうる組成物を用いることができる。ここで液晶性化合物としては、高分子化合物である液晶性化合物、及び重合性液晶性化合物を用いることができる。高い熱安定性を得る上では、重合性液晶性化合物を用いることが好ましい。かかる重合性液晶性化合物を、コレステリック規則性を呈した状態で重合させることにより、コレステリック液晶組成物の膜を硬化させ、コレステリック規則性を呈したまま硬化した非液晶性の樹脂層を得ることができる。ここで便宜上「液晶組成物」と称する材料は、2以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。
コレステリック樹脂層の固有複屈折値Δnは、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.22以上である。このような高いΔn値を有することにより、厚みが薄いコレステリック樹脂層であっても広い波長範囲において円偏光分離機能を発揮できる。このような高いΔn値を有するコレステリック樹脂層は、後述するコレステリック液晶組成物(X)のようなコレステリック液晶組成物を用いることにより形成することができる。Δn値が0.30以上であると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。他方、可視光領域の一部において円偏光分離機能を発揮させる観点では、コレステリック樹脂層の固有複屈折値Δnは任意である。特に、所望の色の光を選択的に反射させうる光反射層において、コレステリック樹脂層の固有複屈折値Δnは小さいことが好ましい場合もありえる。
可視光領域において平均反射率が高い好適なコレステリック樹脂層としては、例えば、(i)らせん構造のピッチの大きさを段階的に変化させたコレステリック樹脂層、(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層、などが挙げられる。
(i)らせん構造のピッチを段階的に変化させたコレステリック樹脂層は、らせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂層を形成することによって得ることができる。具体例を挙げると、このようなコレステリック樹脂層は、予めらせん構造のピッチが異なる複数のコレステリック樹脂層を作製した後に、各層を粘着剤又は接着剤を介して固着することによって製造しうる。又は、あるコレステリック樹脂層を形成した上に、他のコレステリック樹脂層を順次形成していくことによって、製造しうる。
(ii)らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層は、その製法によって特に制限されないが、このようなコレステリック樹脂層の製法の好ましい例としては、コレステリック樹脂層を形成するための重合性液晶性化合物を含有するコレステリック液晶組成物を、好ましくは配向膜等の他の層上に塗布して液晶組成物の層を得、次いで1回以上の、光照射及び/又は加温処理により、らせん構造のピッチを連続的に変化させた状態で当該層を硬化する方法が挙げられる。かかる操作は、コレステリック樹脂層の反射帯域を拡張する操作であるので、広帯域化処理と呼ばれる。広帯域化処理を行うことにより、例えば5μm以下という薄い厚みのコレステリック樹脂層であっても、広い反射帯域を実現できるので、好ましい。
このような広帯域化処理に供するコレステリック液晶組成物の好ましい態様としては、下記に詳述するコレステリック液晶組成物(X)を挙げることが出来る。
らせん構造のピッチの大きさを連続的に変化させたコレステリック樹脂層は、1層のみを単独で用いてもよく、複数層を重ねて用いてもよい。例えば、可視光波長領域のうちの一部の領域において円偏光分離機能を発揮するコレステリック樹脂層と、他の領域において円偏光分離機能を発揮するコレステリック樹脂層とを組み合わせ、可視光波長領域のうちの広い領域において円偏光分離機能を発揮する光反射層としたものを用いてもよい。
このように、コレステリック樹脂層は、1層のみからなる樹脂層でもよく、2層以上の層からなる樹脂層であってもよい。2層以上の層を備える場合、コレステリック樹脂層は、上記(i)のコレステリック樹脂層を2層以上備えていてもよく、上記(ii)のコレステリック樹脂層を2層以上備えていてもよく、これらの両方を組み合わせて2層以上備えていてもよい。コレステリック樹脂層を構成する層の数は、製造のし易さの観点から、1層〜100層であることが好ましく、1層〜20層であることがより好ましい。上に述べた広帯域化処理の結果、1層のみで高い可視光平均反射率を有するコレステリック樹脂層を得た場合、当該層1層のみを用いるだけでも、好ましい態様の識別媒体を得ることができる。
コレステリック液晶組成物(X)は、下記式(1)で表される化合物、及び特定の棒状液晶性化合物を含有する。また、式(1)で表される化合物及び棒状液晶性化合物は、それぞれ、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
以下、これら各成分について順次説明する。
1−A1−B−A2−R2 (1)
式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基からなる群より選択される基である。
前記アルキル基及びアルキレンオキサイド基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよい。さらに、前記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基は、炭素原子数1〜2個のアルキル基、及びアルキレンオキサイド基と結合していてもよい。
1及びR2として好ましい例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、及びシアノ基が挙げられる。
また、R1及びR2の少なくとも一方は、反応性基であることが好ましい。R1及びR2の少なくとも一方として反応性基を有することにより、前記式(1)で表される化合物が硬化時にコレステリック樹脂層中に固定され、より強固な層を形成することができる。ここで反応性基とは、例えば、カルボキシル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、及びアミノ基を挙げることができる。
式(1)において、A1及びA2はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基を表す。前記1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、4,4’−ビフェニレン基、4,4’−ビシクロヘキシレン基、及び2,6−ナフチレン基は、置換されていないか、若しくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1個〜10個のアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基で1つ以上置換されていてもよい。A1及びA2のそれぞれにおいて、2以上の置換基が存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
1及びA2として特に好ましいものとしては、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニレン基、及び2,6−ナフチレン基からなる群より選択される基が挙げられる。これらの芳香環骨格は脂環式骨格と比較して比較的剛直であり、棒状液晶性化合物のメソゲンとの親和性が高く、配向均一能がより高くなる。
式(1)において、Bは、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される。
Bとして特に好ましいものとしては、単結合、−OCO−及び−CH=N−N=CH−が挙げられる。
式(1)の化合物は、少なくとも一種が液晶性を有することが好ましく、また、キラリティを有することが好ましい。また、コレステリック液晶組成物(X)は、式(1)の化合物として、複数の光学異性体の混合物を含有することが好ましい。例えば、複数種類のエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を含有してもよい。式(1)の化合物の少なくとも一種は、その融点が、50℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。
式(1)の化合物が液晶性を有する場合には、Δnが高いことが好ましい。Δnが高い液晶性化合物を式(1)の化合物として用いることによって、コレステリック液晶組成物(X)としてのΔnを向上させることができ、円偏光を反射可能な波長範囲が広いコレステリック樹脂層を作製することができる。式(1)の化合物の少なくとも一種のΔnは、好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上である。
式(1)の化合物として特に好ましい具体例としては、例えば下記の化合物(A1)〜(A9)が挙げられる:
Figure 2014174471
上記化合物(A3)において、「*」はキラル中心を表す。
前記コレステリック液晶組成物(X)は、通常、Δnが0.18以上であって、1分子中に少なくとも2つ以上の反応性基を有する棒状液晶性化合物を含有する。
前記棒状液晶性化合物としては、式(2)で表される化合物を挙げることができる。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 式(2)
式(2)において、R3及びR4は、反応性基であり、それぞれ独立して、(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。これらの反応性基を有することにより、コレステリック液晶組成物を硬化させた際に、実用に耐えうる膜強度を有した硬化物を得ることができる。ここで、実用に耐えうる膜強度とは、鉛筆硬度(JIS K5400)で、通常HB以上、好ましくはH以上である。膜強度をこのように高くすることにより、傷をつきにくくできるので、ハンドリング性を高めることができる。
式(2)において、D3及びD4は、単結合、炭素原子数1個〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
式(2)において、C3〜C6は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。
式(2)において、Mは、メソゲン基を表す。具体的には、Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合された基を表す。
前記メソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5、−O−C(=O)−R5、−C(=O)−O−R5、−O−C(=O)−O−R5、−NR5−C(=O)−R5、−C(=O)−NR5、または−O−C(=O)−NR5が挙げられる。ここで、R5及びRは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R及びRがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6−C(=O)−、−C(=O)−NR6−、−NR6−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
また、棒状液晶性化合物は、非対称構造であることが好ましい。ここで非対称構造とは、式(2)において、メソゲン基Mを中心として、R3−C3−D3−C5−と−C6−D4−C4−R4が異なる構造のことをいう。棒状液晶性化合物として非対称構造のものを用いることにより、配向均一性をより高めることができる。
棒状液晶性化合物のΔnは、好ましくは0.18以上、より好ましくは0.22以上である。Δn値が0.30以上の棒状液晶性化合物を用いると、紫外線吸収スペクトルの長波長側の吸収端が可視域に及ぶ場合があるが、該スペクトルの吸収端が可視域に及んでも所望する光学的性能に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。このような高いΔnを有する棒状液晶性化合物を用いることにより、高い光学的性能(例えば、円偏光の選択反射性能)を有するコレステリック樹脂層を得ることができる。
棒状液晶性化合物の好ましい具体例としては、以下の化合物(B1)〜(B9)が挙げられる。ただし、棒状液晶性化合物は、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 2014174471
コレステリック液晶組成物(X)において、(式(1)の化合物の合計重量)/(棒状液晶性化合物の合計重量)の重量比は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上であり、好ましくは1以下、より好ましくは0.65以下、特に好ましくは0.45以下である。前記の重量比を前記範囲の下限値以上にすることにより、配向均一性を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、配向均一性を高くでき、液晶相の安定性を高くでき、さらには液晶組成物としてのΔnを高くして所望の光学的性能(例えば、円偏光を選択的に反射させる特性)を安定して得ることができる。ここで、合計重量とは、1種類を用いた場合にはその重量を示し、2種類以上を用いた場合には合計の重量を示す。
コレステリック液晶組成物(X)においては、式(1)の化合物の分子量が600未満であることが好ましく、棒状液晶性化合物の分子量が600以上であることが好ましい。これにより、式(1)の化合物がそれよりも分子量の大きい棒状液晶性化合物の隙間に入り込むことができ、配向均一性を向上させることができる。
コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物は、硬化後の膜強度向上及び耐久性向上のために、任意に架橋剤を含有しうる。架橋剤としては、コレステリック液晶組成物の膜の硬化時に同時に反応したり、硬化後に熱処理を行って反応を促進したり、又は湿気により自然に反応が進行して、コレステリック樹脂層の架橋密度を高めることができ、かつ配向均一性を悪化させないものを適宜選択し用いることができる。そのため、例えば、紫外線、熱、湿気等で硬化する任意の架橋剤を好適に使用できる。架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレート型イソシアネート、ビウレット型イソシアネート、アダクト型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のアルコキシシラン化合物;が挙げられる。また、架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いてもよい。触媒を用いることにより、コレステリック樹脂層の膜強度及び耐久性向上に加えて、生産性を向上させることができる。
架橋剤の量は、コレステリック液晶組成物の膜を硬化して得られる硬化膜中における架橋剤の量が0.1重量%〜15重量%となるようにすることが好ましい。架橋剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、架橋密度を効果的に高めることができる。また、上限値以下にすることにより、コレステリック液晶組成物の膜の安定性を高めることができる。
コレステリック液晶組成物は、任意に光開始剤を含有しうる。光開始剤としては、例えば、紫外線又は可視光線によってラジカル又は酸を発生させる公知の化合物が使用できる。光開始剤の具体例としては、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、ビアセチル、アセトフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンジルイソブチルエーテル、テトラメチルチウラムモノ(ジ)スルフィド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、β−アイオノン、β−ブロモスチレン、ジアゾアミノベンゼン、α−アミルシンナックアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp’−ジクロロベンゾフェノン、pp’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ジフェニルスルフィド、ビス(2,6−メトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、アントラセンベンゾフェノン、α−クロロアントラキノン、ジフェニルジスルフィド、ヘキサクロルブタジエン、ペンタクロルブタジエン、オクタクロロブテン、1−クロルメチルナフタリン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]や1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(o−アセチルオキシム)などのカルバゾールオキシム化合物、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、3−メチル−2−ブチニルテトラメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−(p−フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、必要に応じて公知の光増感剤又は重合促進剤としての三級アミン化合物を用いて、硬化性をコントロールしてもよい。
光開始剤の量は、コレステリック液晶組成物中0.03重量%〜7重量%であることが好ましい。光開始剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合度を高くできるので、コレステリック樹脂層の膜強度を高めることができる。また、上限値以下にすることにより、液晶材料の配向を良好にできるので、コレステリック液晶組成物の液晶相を安定にできる。
コレステリック液晶組成物は、任意に界面活性剤を含有しうる。界面活性剤としては、例えば、配向を阻害しないものを適宜選択して使用しうる。このような界面活性剤としては、例えば、疎水基部分にシロキサン又はフッ化アルキル基を含有するノニオン系界面活性剤が好適に挙げられる。中でも、1分子中に2個以上の疎水基部分を持つオリゴマーが特に好適である。これらの界面活性剤の具体例としては、OMNOVA社のPolyFoxのPF−151N、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520、PF−3320、PF−651、PF−652;ネオス社のフタージェントのFTX−209F、FTX−208G、FTX−204D;セイミケミカル社のサーフロンのKH−40;等を用いることができる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、コレステリック液晶組成物を硬化して得られる硬化膜中の界面活性剤の量が0.05重量%〜3重量%となるようにすることが好ましい。界面活性剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、空気界面における配向規制力を高くできるので、配向欠陥を防止できる。また、上限値以下にすることにより、過剰の界面活性剤が液晶分子間に入り込むことによる配向均一性の低下を防止できる。
コレステリック液晶組成物は、任意にカイラル剤を含有しうる。通常、コレステリック樹脂層のねじれ方向は、使用するカイラル剤の種類及び構造により適宜選択できる。ねじれを右方向とする場合には、右旋性を付与するカイラル剤を用い、ねじれ方向を左方向とする場合には、左旋性を付与するカイラル剤を用いることで、実現できる。カイラル剤の具体例としては、特開2005−289881号公報、特開2004−115414号公報、特開2003−66214号公報、特開2003-313187号公報、特開2003−342219号公報、特開2000−290315号公報、特開平6−072962号公報、米国特許第6468444号公報、国際公開第98/00428号、特開2007−176870号公報、等に掲載されるものを適宜使用することができ、例えばBASF社パリオカラーのLC756として入手できる。また、カイラル剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カイラル剤の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。カイラル剤の具体的な量は、コレステリック液晶組成物中で、通常1重量%〜60重量%である。
コレステリック液晶組成物は、必要に応じてさらに他の任意成分を含有しうる。この任意成分としては、例えば、溶媒、ポットライフ向上のための重合禁止剤、耐久性向上のための酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を挙げることができる。また、これらの任意成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの任意成分の量は、所望する光学的性能を低下させない範囲で任意に設定しうる。
コレステリック液晶組成物の製造方法は、特に限定されず、上記各成分を混合することにより製造することができる。
例えば、透明樹脂等のフィルムからなる基材の表面上に、必要に応じてコロナ放電処理及びラビング処理等の処理を施し、さらに必要に応じて配向膜を設け、さらにこの面上にコレステリック液晶組成物の膜を設け、さらに必要に応じて配向処理及び/又は硬化の処理を行うことにより、コレステリック樹脂層を得ることができる。
コレステリック樹脂層の形成に用いうる基材としては、1mm厚で全光透過率が80%以上のものが好ましい。基材としては、例えば、脂環式オレフィンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、変性アクリルポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などの合成樹脂からなる単層又は積層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、脂環式オレフィンポリマー又は鎖状オレフィンポリマーが好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式オレフィンポリマーが特に好ましい。
配向膜は、例えば、基材表面上に、必要に応じてコロナ放電処理等を施した後、配向膜の材料を溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥させ、その後ラビング処理を施すことにより形成することができる。
配向膜の材料としては、例えば、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどを用いることができる。中でも、変性ポリアミドが特に好ましい。
変性ポリアミドとしては、例えば、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリアミドに変性を加えたものを挙げることができる。中でも、脂肪族ポリアミドに変性を加えたものが好ましい。具体例としては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、3元ないし4元共重合ナイロン、脂肪酸系ポリアミド、又は脂肪酸系ブロック共重合体(例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド)に変性を加えたものを挙げることができる。当該変性としては、例えば、末端アミノ変性、カルボキシル変性、ヒドロキシル変性などの変性、並びにアミド基の一部をアルキルアミノ化又はN−アルコキシアルキル化する変性を挙げることができる。N−アルコキシアルキル化変性ポリアミドとしては、例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、又はナイロン−12等の共重合ナイロンのアミド基の一部をN−メトキシメチル化したものが挙げられる。変性ポリアミドの重量平均分子量は、好ましくは5000〜500000、より好ましくは10000〜200000である。
また、配向膜の厚みは、所望するコレステリック液晶組成物の層の配向均一性が得られる厚みとしうる。具体的には、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、また、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。
基材上又は配向膜上へのコレステリック液晶組成物の塗布は、公知の方法、例えば押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法等により実施することができる。
配向処理は、例えばコレステリック液晶組成物の膜を50℃〜150℃で0.5分間〜10分間加温することにより行うことができる。配向処理を施すことにより、膜中のコレステリック液晶組成物を良好に配向させることができる。
硬化の処理は、1回以上の光照射と加温処理との組み合わせにより行うことができる。
加温条件は、例えば、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは140℃以下の温度において、通常1秒以上、好ましくは5秒以上、また、通常3分以下、好ましくは120秒以下の時間としうる。
また、光照射に用いる光とは、可視光のみならず紫外線及びその他の電磁波をも含む。光照射は、例えば、波長200nm〜500nmの光を0.01秒〜3分照射することにより行うことができる。
ここで、0.01mJ/cm〜50mJ/cm2の微弱な紫外線照射と加温とを複数回交互に繰り返すことにより、らせん構造のピッチの大きさを連続的に大きく変化させた、反射帯域の広い円偏光分離機能を得ることができる。さらに、上記の微弱な紫外線照射等による反射帯域の拡張を行った後に、50mJ/cm〜10,000mJ/cm2といった比較的強い紫外線を照射し、液晶性化合物を完全に重合させることにより、コレステリック樹脂層を得ることができる。上記の反射帯域の拡張及び強い紫外線の照射は、空気下で行ってもよく、又はその工程の一部又は全部を、酸素濃度を制御した雰囲気(例えば、窒素雰囲気下)中で行ってもよい。
配向膜等の他の層上へのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化の工程は、1回に限られず、塗布及び硬化を複数回繰り返して2層以上のコレステリック樹脂層を形成してもよい。ただし、コレステリック液晶組成物(X)等のコレステリック液晶組成物を用いることにより、1回のみのコレステリック液晶組成物の塗布及び硬化によっても、良好に配向したΔnが0.18以上の棒状液晶性化合物を含み、かつ5μm以上といった厚みのコレステリック樹脂層を容易に形成することができる。
得られたコレステリック樹脂層は、基材及び配向膜と共にそのまま光反射層として用いてもよく、必要に応じて基材等を剥離しコレステリック樹脂層のみを転写して光反射層として用いてもよい。
また、前述のように、得られたコレステリック樹脂層を粉砕し、その粉砕物からなるフレークとバインダーとを含む層を光反射層として用いてもよい。このような光反射層は、例えば、フレーク及びバインダーを含む組成物を、押出成形法及び溶剤キャスト法等の成形方法によって層状に成形する方法により製造しうる。
また、光反射層は、例えば、コレステリック樹脂層の粉砕物からなるフレーク、溶媒、及びバインダー、並びに必要に応じて任意の成分を含むインキを基材上に塗布し、乾燥させることにより製造しうる。
溶媒としては、例えば水等の無機溶媒を用いてもよいが、通常は有機溶媒を用いる。有機溶媒の例を挙げると、ケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、およびエーテル類などの有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が好ましい。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の量は、コレステリック樹脂層の粉砕物100重量部に対して、通常40重量部以上、好ましくは60重量部以上、より好ましくは80重量部以上であり、通常1000重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは600重量部以下である。溶媒の量を前記範囲とすることで、インキの塗布性を良好にできる。
バインダーとしては、通常、重合体を用いる。その重合体の例としては、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリビニル系ポリマーなどが挙げられる。バインダーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
バインダーの量は、コレステリック樹脂層の粉砕物100重量部に対して、通常20重量部以上、好ましくは40重量部以上、より好ましくは60重量部以上であり、通常1000重量部以下、好ましくは800重量部以下、より好ましくは600重量部以下である。バインダーの量を前記範囲とすることで、インキの塗布性を良好にできる。また、光反射層にコレステリック樹脂層の粉砕物を安定して固定することができる。
インキが含みうる任意の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブルーイング剤等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記のインキを基材に塗布し、乾燥させることにより、コレステリック樹脂層の粉砕物からなるフレークとバインダーとを含む層として光反射層が得られる。
また、前記のインキは、バインダーとしての重合体の代わりに、又は重合体と組み合わせて、その重合体の単量体を含んでいてもよい。この場合、インキを基材に塗布し、乾燥させた後で単量体を重合させることにより、コレステリック樹脂層の粉砕物からなるフレークとバインダーとを含む光反射層を製造できる。ただし、単量体を含む場合は、インキは、重合開始剤を含むことが好ましい。
光反射層の厚みは、十分な反射率を得る観点から、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。また、光反射層の透明性を得る観点から、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。ここで、光反射層の厚みは、光反射層が2層以上の層である場合は、各層の厚みの合計を指し、光反射層が1層である場合にはその厚みを指す。
〔低透過性層〕
低透過性層は、例えば、光を吸収しうる光吸収剤と、バインダーとを含む層が挙げられる。
光吸収剤としては、顔料を用いることが好ましい。また、顔料と、この顔料の分光透過率曲線を補正しうる染料とを組み合わせて用いることが、より好ましい。
顔料としては、例えば、可視光領域に吸収をもつ顔料であって、可視光領域において均一な吸収をもつ顔料を用いうる。顔料の具体例としては、カーボンブラック;元素周期表の第4周期の3族〜11族に属する金属の酸化物、窒化物、および窒酸化物から選ばれる少なくとも1種以上の無機粒子が好ましい。また、無機粒子としては、粒子径が200nm以下の無機超微粒子であることがより好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
染料としては、可視光領域に吸収をもつ染料を用いうる。中でも、顔料の分光透過率曲線を補正する吸収を持つものが好ましい。このような染料の具体例としては、SDA4137、SDA4428、SDA9800、SDA9811、SDB3535(以上SANDS社製);KAYASORBシリーズ、Kayasetシリーズ(以上日本化薬社製)等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
バインダーとしては、例えば、重合体等が挙げられる。バインダーとして用いうる重合体の具体例を挙げると、エポキシ系重合体、オキセタン系重合体、シリコーン系重合体、メラミン系重合体、(メタ)アクリル系重合体等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
光吸収剤の量は、バインダー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。光吸収剤の量を前記の範囲に収めることにより、低透過性層の光の平均透過率を所望の範囲に収めることができる。
低透過性層は、光吸収剤及びバインダー以外にも、必要に応じて任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
低透過性層は、例えば、前記の光吸収剤及びバインダーを含む材料を層状に成形することにより、製造しうる。この際、成形方法としては、例えば、押出成形法及び溶剤キャスト法等が挙げられる。
また、例えば、前記の光吸収剤を含む硬化性樹脂を用意し、この硬化性樹脂をインキとして印刷し、必要に応じて乾燥及び硬化を行うことにより、低透過性層を製造してもよい。すなわち、例えば光吸収剤と、熱又は放射線により重合又は架橋を生じうる単量体又は重合体と、溶媒とを含む硬化性樹脂を用意する。中でも、放射線により重合又は架橋を生じうる単量体又は重合体、並びに必要に応じて重合開始剤又は架橋剤を含む放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。その後、用意した硬化性樹脂を印刷し、必要に応じて乾燥を行った後で、放射線の照射等の硬化処理によって硬化性樹脂を硬化させて、低透過性層を製造してもよい。
また、例えば、特開2010−156765号公報に記載の方法により、低透過性層を製造してもよい。
低透過性層における光の平均透過率は、例えば、低透過性層に含まれる光吸収剤の量を調整することにより、制御できる。
低透過性層の厚みは、特に制限は無いが、通常は0.1μm〜1000μmである。
〔粘着層〕
粘着層は、例えば、粘着性を発現するポリマー(以下において単に「主ポリマー」という場合がある。)を含む粘着性組成物の層を用いうる。また、前記の粘着性組成物は、必要に応じて硬化させておいてもよい。
主ポリマーとしては、例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン−酢酸ビニル系、エチレン−アクリル酸エステル系、エチレン−塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン−スチレン等の合成ゴム系、エポキシ系、シリコーン系のポリマーを使用することができる。また、主ポリマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、アクリル系、ウレタン系、エチレン−酢酸ビニル系が好ましく用いられる。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリジコール又はポリプロピレングリコールとのモノエステルなどのヒドロキシル基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニル単量体;メタクリロキシプロピルメトキシシランなどのケイ素含有ビニル単量体;(メタ)アクリロイルアジリジンなどのアジリジン基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン、メチルスチレンなどの芳香族基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;エチレングリコールジ(メタ)アクリリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体;その他酢酸ビニル、塩化ビニル、マクロモノマー、ジビニルベンゼンなどの単一重合体ないし複数の単量体の共重合体を挙げることができる。
ウレタン系ポリマーとしては、例えば、一般的なポリオールとイソシアネート化合物との反応物を挙げることができる。
ポリオールとしては、例えば、メチレンオキサイド鎖、エチレオキサイド鎖、エチレンオキサイド鎖、プロピレンオキサイド鎖、ブチレンオキサイド鎖などのアルキレンオキサイド鎖の繰り返し構造を単独で、あるいは2種類以上有するポリエーテルポリオール;テレフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメット酸などの酸化合物とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオールなどのグリコール成分とのエステル化反応により得られるポリエステルポリオール;上記酸化合物とグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールとの反応で得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)、ポリバレロラクトンなどのラクトン類の開環重合で得られるポリエステルポリオールなどを挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカンメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ポリイソシアネート;3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートメチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4’−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。
エチレン−酢酸ビニル系共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−酢酸ビニル−カルボン酸共重合体が挙げられ、好ましくは酢酸ビニルの共重合率が10重量%〜46重量%のものを挙げることができる。
主ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下である。重量平均分子量を前記範囲の下限値以上にすることにより、粘着層の白化を防止できる。また、上限値以下とすることにより、ゲル化を防止でき、また、粘着性組成物の粘度を低くして取り扱い易くできる。
粘着性組成物は、主ポリマーに加えて、アセトフェノン含有化合物をさらに含有してもよい。アセトフェノン含有化合物は、主ポリマー100重量部に対して0.5重量部〜10重量部用いることが好ましい。アセトフェノン含有化合物とは、アセトフェノン及びアセトフェノンの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物である。アセトフェノン含有化合物としては、例えば、アセトフェノンの−CH基が脂環式化合物又はその誘導体で置換された化合物(1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン等)、及びベンゾインエーテル含有化合物(ベンゾインの−OH基の水素原子が他の有機基で置換された構造を有するエーテル、及び当該エーテルの水素原子の1以上が任意の基で置換された化合物)を挙げることができる。
アセトフェノン含有化合物の具体例を挙げると、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(IRG651 チバスペシャリティケミカルズ社製)、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン(DAROCURE1173 チバスペシャリティケミカルズ社製)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(IRG184 チバスペシャリティケミカルズ社製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1−オン(IRG907 チバスペシャリティケミカルズ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRG2959チバスペシャリティケイミカルズ社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(IRG369 チバスペシャリティケミカルズ社製)などを挙げることができる。また、特にベンゾインエーテル含有化合物としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルブチルエーテルなどを挙げることができる。これらアセトフェノン含有化合物を含有することにより、粘着層としての性能をより良好にすることができる。
粘着性組成物には、主ポリマーの種類に応じて、さらに任意の配合剤を配合することができる。任意の配合剤としては、例えば、粘着付与剤、架橋剤又は硬化剤、酸化防止剤、消泡剤、安定剤等が挙げられる。また、配合剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
粘着付与剤は、軟らかくなりかつ固体表面が濡れやすくなった主ポリマーに、粘着力を付与できるものである。このような粘着付与剤としては、例えば、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油樹脂、水素化石油樹脂などが挙げられる。これらの中でも、透明性や主ポリマーとの相溶性に優れる点で、石油樹脂、水素化石油樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。
粘着付与剤の量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは2重量部以上、より好ましくは5重量部以上であり、好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。粘着付与剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、粘着付与剤の効果を安定して発現させることができる。また、上限値以下にすることにより、粘着剤の凝集力の低下を防止できる。
架橋剤又は硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート等の多官能アクリレート化合物;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能イソシアネート架橋剤又は硬化剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、などのエポキシ系架橋剤又は硬化剤;ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン系架橋剤又は硬化剤;メラミン樹脂系架橋剤;金属キレート系架橋剤;アミン系架橋剤が用いられる。
架橋剤又は硬化剤の量は、主ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。架橋剤又は硬化剤の量を前記範囲の下限値以上にすることにより、架橋剤の効果を安定して発現させることができるので、耐候性試験での発泡及び剥離を防止できる。また、上限値以下にすることにより、粘着剤の応力緩和性を高め、識別媒体のソリを防止することができる。
酸化防止剤としては、例えば、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の量は、粘着層の透明性及び粘着力が低下しない範囲で任意に設定しうる。
粘着性組成物の温度23℃におけるせん断貯蔵弾性率は、0.1MPa〜10MPaであることが好ましい。かかる範囲のせん断貯蔵弾性率とすることにより、粘着性組成物が適度な粘着性を有し得る。ただし、これに限らずより高いせん断貯蔵弾性率を有する、いわゆるホットメルト型接着剤も、粘着性組成物として用いうる。
粘着性組成物の調製方法は、均一な混合および分散状態が得られる任意の方法を用いうる。例えば、上記各成分を加熱、攪拌、超音波処理等で混合することにより、粘着性組成物を調製しうる。
粘着層の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。粘着層の厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、高い接着強度が得られる。また、上限値以下にすることにより、透過率等の光学性能を良好にできる。
〔位相差層〕
位相差層としては、例えば、延伸フィルムを用いることができる。延伸フィルムの材料としては、例えば、樹脂を用いうる。この樹脂が含む重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィン重合体等が挙げられる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、位相差層としては、例えば、液晶性化合物を配向させた膜、又は、その膜において液晶性化合物を重合させた膜などを用いてもよい。このような膜は、例えば、重合性基を有する棒状液晶性化合物を含む液晶性組成物をフィルム上に塗布して液晶性組成物の層を得て、その棒状液晶性化合物を重合させることにより、製造しうる。また、この場合、必要に応じて、重合の前に液晶性組成物の層を乾燥させたり、液晶性組成物の層において棒状液晶性化合物を配向させたりしてもよい。
この場合、棒状液晶性化合物としては、ネマチック相又はスメクチック相を発現しうる棒状液晶性化合物が好適に用いられ、より好ましくはネマチック相を発現しうる棒状液晶性化合物が用いられる。その例を挙げると、例えば、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶性化合物を用いることができる。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。さらに、液晶性組成物は、棒状液晶性化合物以外に、例えば溶媒、重合開始剤、界面活性剤、架橋剤等の任意の成分を含んでいてもよい。
〔基材〕
基材としては、例えば、正反射性を有する面を有するフィルムを用いうる。このような基材は、例えば、金属膜を有するフィルムが挙げられる。通常は、この金属膜の表面が、正反射性を有する面となっている。
前記の金属膜を形成する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、亜鉛、鉄、クロム、チタン等が挙げられる。また、金属膜を形成する金属は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、基材は、前記の金属膜に加え、任意の層を備えていてもよい。例えば、基材の機械的強度を向上させる観点から、紙又は樹脂の層を備えていてもよい。
[正反射性を有する面を有する物品]
前記の識別媒体は、正反射性を有する面を有する任意の物品に適用しうる。正反射性を有する面は、可視光領域において右円偏光が反射することにより左円偏光になり、また、左円偏光が反射することにより右円偏光になる面であれば、その形状及び材質は任意である。このような正反射性を有する面は、例えば、金属膜の表面などが挙げられる。
識別媒体を適用しうる物品の具体例としては、医薬品、化粧品、香水およびトナーなどの容器、開封シール、包装物、紙幣、証券、金券、旅券、電子機器、バッグ、衣服、布地、クレジットカード、セキュリティカード、情報を図形化したコード(例えばバーコード等の1次元のコード、並びにQRコード(登録商標)等の2次元のコード)を付した物品、並びに各種証明等に施す偽造防止のための識別標識等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
[平均透過率及び平均反射率の測定方法]
以下の実施例及び比較例において、平均透過率及び平均反射率は、分光光度計(日本分光社製「UV−VIS550)」を用いて測定した。
[実施例1]
(1.1.低透過性層の形成)
基材シートとして、無色透明のシート上に、アルミニウム層(厚み50μm)を形成したシートを用意した。この基材シートのアルミニウム層の表面は、正反射性を有する面となっていた。
また、低透過性層として、ラミネートNDフィルターフィルム(エドモンド社製;可視光線領域における平均透過率20%)を用意した。この低透過性層を、前記の基材シートのアルミニウム層の表面の全体に、粘着剤(巴川社製「TD06A」)で貼り合せて、(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)の層構成を有する複層物を得た。
(1.2.光反射層の形成)
脂環式オレフィンポリマーからなるフィルム(株式会社オプテス製「ゼオノアフィルムZF14−100」)の両面にコロナ放電処理を施した。濃度5%のポリビニルアルコールの水溶液を、当該フィルムの片面に塗布した。得られたポリビニルアルコール水溶液の膜を乾燥して、厚み0.1μmの配向膜を形成した。次いで、この配向膜をラビング処理し、配向膜を有する透明樹脂基材を製造した。
下記式(A)で表される重合性液晶性化合物25.5部、下記式(B)で表される重合性非液晶性化合物11部、カイラル剤(BASF社製「LC756」)2.3部、界面活性剤(セイミケミカル社製「KH−40」)0.04部、開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)1.2部、及びシクロペンタノン60部を混合することにより、コレステリック液晶組成物を調製した。
Figure 2014174471
Figure 2014174471
配向膜を有する透明樹脂基材の配向膜を有する面に、コレステリック液晶組成物を塗布した。得られたコレステリック液晶組成物の膜を100℃で5分間配向処理し、当該膜に対して0.1mJ/cm〜45mJ/cmの微弱な紫外線による照射処理と、それに続く100℃で1分間の加温処理からなるプロセスを2回繰り返した。その後、コレステリック液晶組成物の膜に、窒素雰囲気下で800mJ/cmの紫外線を照射して、厚さ5μmのコレステリック樹脂層を光反射層として形成し、(光反射層)/(配向膜)/(透明樹脂基材)の層構成を有する複層物を得た。
(1.3.粘着層の形成)
粘着剤を、前記工程(1.1)で用意した(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)の層構成を有する複層物の低透過性層上の、厚み方向から見て所定のパターンとなる領域に印刷した。その後、100℃で2分間乾燥し、低透過性層上に粘着層を形成した。これにより、(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)の層構成を有する複層物を得た。
(1.4.光反射層の転写)
前記工程(1.3)で得られた(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)の層構成を有する複層物の、粘着層側の面に、前記工程(1.2)で得られた(光反射層)/(配向膜)/(透明樹脂基材)の層構成を有する複層物を貼り合わせた。この際、粘着層と光反射層とが接するように、貼り合わせを行った。その後、光反射層から配向膜及び透明樹脂基材を剥離することにより、粘着層を形成した領域に光反射層を転写して、(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)/(光反射層)の層構成を有する識別媒体を得た。この識別媒体において光反射層は、粘着層を印刷したパターンに対応する領域にだけ設けられていて、厚み方向から見た形状は前記パターンとなっている。
(1.5.評価)
製造した識別媒体を、光反射層が上向きになるように、水平に置いた。
光反射層上に、右円偏光を透過させ且つ左円偏光を遮断できる右円偏光板を置いた。そして、この右円偏光板に非偏光を照射し、光反射層が形成された領域及び形成されていない領域それぞれの、可視光領域における平均反射率を測定した。
さらに、前記の右円偏光板を、左円偏光を透過させ且つ右円偏光を遮断できる左円偏光板に取り替えた。そして、この左円偏光板に非偏光を照射し、光反射層が形成された領域及び形成されていない領域それぞれの、可視光領域における平均反射率を測定した。また、目視にて、左円偏光板に非偏光を照射したときの像を観察した。
[実施例2〜6及び比較例1,2]
低透過性層として用いたNDフィルターフィルムの種類を変更することにより、低透過性層の可視光領域における平均透過率を下記表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様にして、識別媒体を製造し、評価した。
また、実施例4及び6並びに比較例1では、右円偏光板及び左円偏光板を用いないで、識別媒体に非偏光を照射し、光反射層が形成された領域及び形成されていない領域それぞれの、可視光領域における平均反射率を測定した。
[実施例7]
低透過性層として用いたNDフィルターフィルムの種類を変更することにより、低透過性層の可視光領域における平均透過率が0%になるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、識別媒体を製造し、評価した。左円偏光板を用いて測定した目視評価の結果、蛍光灯直下であっても、光反射層のパターンが視認されず、優れた結果が得られた。
[参考例1]
実施例1と同様の基材シートを用意し、アルミニウム層が上向きになるように、水平に置いた。
基材シートのアルミニウム層側の面に、非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、86.60%であった。
また、アルミニウム層上に、右円偏光を透過させ且つ左円偏光を遮断できる右円偏光板を置いた。そして、この右円偏光板に非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、8.15%であった。
さらに、前記の右円偏光板を、左円偏光を透過させ且つ右円偏光を遮断できる左円偏光板に取り替えた。そして、この左円偏光板に非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、7.90%であった。
[参考例2]
実施例1と同様の基材シートを用意した。このアルミニウム層の表面に、前記工程(1.3)で説明した粘着剤を印刷した。その後、100℃で2分間乾燥し、アルミニウム層上に粘着層を形成した。これにより、(基材シート)/(粘着層)の層構成を有する複層物を得た。
この(基材シート)/(粘着層)の層構成を有する複層物の、粘着層を有する側の面に、前記工程(1.2)で得られた(光反射層)/(配向膜)/(透明樹脂基材)の層構成を有する複層物を貼り合わせた。この際、粘着層と光反射層とが接するように、貼り合わせを行った。その後、光反射層から配向膜及び透明樹脂基材を剥離することにより、光反射層を転写して、(基材シート)/(粘着層)/(光反射層)の層構成を有する参考複層物を得た。
こうして得られた参考複層物を、光反射層が上向きになるように、水平に置いた。そして、その光反射層側の面に、非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、85.13%であった。
また、光反射層上に、右円偏光を透過させ且つ左円偏光を遮断できる右円偏光板を置いた。そして、この右円偏光板に非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、32.20%であった。
さらに、前記の右円偏光板を、左円偏光を透過させ且つ右円偏光を遮断できる左円偏光板に取り替えた。そして、この左円偏光板に非偏光を照射し、可視光領域における平均反射率を測定した。その結果、平均反射率は、23.45%であった。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、表1に示す。また、右円偏光板を用いて測定した可視光領域における平均反射率の値と、それに対応する低透過性層の平均透過率の値との関係を、図29に示す。さらに、左円偏光板を用いて測定した可視光領域における平均反射率の値と、それに対応する低透過性層の平均透過率の値との関係を、図30に示す。
表1、図29及び図30において、R110は、右円偏光板を用いて測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)の層構成を有する領域の結果を示す。
また、表1、図29及び図30において、R130は、右円偏光板を用いて測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)/(光反射層)の層構成を有する領域の結果を示す。
また、表1、図29及び図30において、L110は、左円偏光板を用いて測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)の層構成を有する領域の結果を示す。
また、表1、図29及び図30において、L130は、左円偏光板を用いて測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)/(光反射層)の層構成を有する領域の結果を示す。
また、表1において、N110は、右円偏光板及び左円偏光板を用いないで測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)の層構成を有する領域の結果を示す。
また、表1において、N130は、右円偏光板及び左円偏光板を用いないで測定した結果であって、識別媒体において(基材シート)/(粘着層)/(低透過性層)/(粘着層)/(光反射層)の層構成を有する領域の結果を示す。
さらに、表1において、左円偏光板を用いて測定した目視評価の結果は、以下の指標で示す。
優:蛍光灯直下であっても、光反射層のパターンが視認されない。
良:室内灯下において、光反射層のパターンが視認されない。
可:薄暗い場所において、光反射層のパターンが視認されない。
不良:光反射層のパターンがはっきりと視認される。
Figure 2014174471
[検討]
上述した実施例及び比較例のような構成の識別媒体においては、光反射層が設けられた領域の平均反射率(R130又はL130)と設けられていない領域の平均反射率(R110又はL110)との差が大きい場合に、両者のコントラストが大きくなる。よって、そのような場合に、光反射層のパターンが明瞭に表示され、視認され易い。
また、右円偏光板を用いて観察した場合と左円偏光板を用いて観察した場合とで、光反射層が設けられた領域の平均反射率(R130又はL130)の差が大きい場合に、右円偏光板を用いて観察した場合に観察される像と左円偏光板を用いて観察した場合に観察される像との違いが明確になる。よって、そのような場合に、物品が真正なものであるか否かの識別を容易に行うことができる。
そこで、実施例及び比較例における平均反射率の関係を、以下の表2にまとめた。
Figure 2014174471
表2及び図29から分かるように、右円偏光板を用いて観察した場合には、光反射層が設けられた領域の平均反射率R130と設けられていない領域の平均反射率R110との差が大きい。そのため、右円偏光板を用いて観察した場合、実施例及び比較例のいずれにおいても、光反射層のパターンが明瞭に表示されることが分かる。
また、表2及び図30から分かるように、左円偏光板を用いて観察した場合には、実施例においては光反射層が設けられた領域の平均反射率L130と設けられていない領域の平均反射率L110との差が小さいが、比較例においては光反射層が設けられた領域の平均反射率L130と設けられていない領域の平均反射率L110との差が大きい。そのため、左円偏光板を用いて観察した場合、実施例においては光反射層のパターンの表示が明瞭でなく視認され難いが、比較例においては光反射層のパターンが明瞭に表示されるので視認され易いことが分かる。また、表1に示すように、目視による観察の結果でも、同様のことが確認できる。
そうすると、実施例に係る識別媒体によっては、右円偏光板を用いて観察した場合と左円偏光板を用いて観察した場合とで異なる像が観察されるので、真正性を適切に識別することができる。しかし、比較例に係る識別媒体によっては、右円偏光板を用いて観察した場合と左円偏光板を用いて観察した場合とで同じ像が観察されるので、真正性を適切に識別することが難しい。したがって、本発明により、はじめて、右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで異なる像が観察される識別媒体が実現できることが確認された。
さらに、図30から分かるように、左円偏光板を用いて観察した場合、低透過性層の平均透過率が大きいほど、光反射層が設けられた領域の平均反射率L130は大きい。しかし、低透過性層の平均透過率と光反射層が設けられた領域の平均反射率L130との関係は線形的ではなく、低透過性層の平均透過率63%の点など、いくつかの点を境に、低透過性層の平均透過率の変化量に対する平均反射率L130の変化量の割合(すなわち、グラフの傾き)が異なる。したがって、低透過性層の平均透過率の値を本発明に係る範囲にすることには、識別媒体において右円偏光で照らした場合と左円偏光で照らした場合とで観察される像の違いを明確にする観点で、意義があることが確認された。
10 物品
11 物品の表面
20 右円偏光板
30 左円偏光板
100 識別媒体
110 低透過性層
120 粘着層
130 光反射層
200 識別媒体
210 低透過性層
220 粘着層
230 光反射層
300 識別媒体
330 光反射層
400 識別媒体
431、432 光反射層
500 識別媒体
531、532 光反射層
600 識別媒体
631、632 光反射層
700 識別媒体
731、732 光反射層
800 識別媒体
831、832、833 光反射層
900 識別媒体
931、932、933 光反射層
1000 識別媒体
1040 基材

Claims (14)

  1. 正反射性を有する面に設けられうる、真正性識別用の識別媒体であって、
    可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、
    前記光反射層に重なるように設けられ、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が63%以下の低透過性層とを備える、識別媒体。
  2. 前記光反射層を厚み方向から観察した形状が、識別可能なパターンとなっている、請求項1の識別媒体。
  3. 前記低透過性層を厚み方向から観察した形状が、識別可能なパターンとなっている、請求項1又は2記載の識別媒体。
  4. 前記光反射層が、コレステリック規則性を有する樹脂層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の識別媒体。
  5. 前記光反射層が、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射しそれ以外の円偏光を透過させうるフレークと、バインダーとを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の識別媒体。
  6. 前記フレークが、コレステリック規則性を有する樹脂層の破砕物である、請求項5記載の識別媒体。
  7. 前記光反射層が、可視光領域の一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の識別媒体。
  8. 前記光反射層が、可視光領域の全体において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の識別媒体。
  9. 前記低透過性層の、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が0%以上40%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の識別媒体。
  10. 前記低透過性層の、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が0%以上20%以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の識別媒体。
  11. 前記光反射層に重なるように設けられ、面内レターデーション又は厚み方向のレターデーションを有する位相差層を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の識別媒体。
  12. 正反射性を有する面を有し、前記面に請求項1〜11のいずれか一項に記載の識別媒体を、前記面、前記低透過性層及び前記光反射層がこの順となるように設けられた物品の識別方法であって、
    右円偏光のみを透過させうる第一フィルタを通して前記識別媒体を観察した場合と、左円偏光のみを透過させうる第二フィルタを通して前記識別媒体を観察した場合とでの、観察される像を対比することを含む、識別方法。
  13. 正反射性を有する面を有する基材と、
    前記面上に設けられ、可視光領域の少なくとも一部において右円偏光及び左円偏光の一方を反射し、それ以外の円偏光を透過させうる光反射層と、
    前記基材と前記光反射層との間に、前記光反射層に重なるように設けられ、前記光反射層が反射しうる波長領域の光の平均透過率が63%以下の低透過性層とを備える、識別媒体。
  14. 正反射性を有する面を有する物品と、前記正反射性を有する面に設けられた請求項1〜11のいずれか一項に記載の識別媒体とを備える、積層構造体。
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