JP2014144506A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】切刃およびすくい面のそれぞれに最適な切削性能を発揮できる切削工具を提供する。
【解決手段】 基体2の表面に、Nb1−a(C1−x)(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種、0.01≦a≦0.4、0≦x≦1)からなる被覆層6を被覆してなるとともに、すくい面3と逃げ面4との交差稜線に切刃5を有しており、切刃5よりもすくい面3のほうが被覆層6中のNb含有比率が高い切削工具1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は基体の表面に被覆層が成膜されている切削工具に関する。
現在、切削工具や耐摩部材、摺動部材といった耐摩耗性や摺動性、耐欠損性を必要とする部材では、超硬合金やサーメット等の焼結合金、ダイヤモンドやcBN(立方晶窒化硼素)の高硬度焼結体、アルミナや窒化珪素等のセラミックスからなる基体の表面に被覆層を成膜して、耐摩耗性、摺動性または耐欠損性を向上させる手法が使われている。
また、イオンプレーティング法やスパッタリング法を用いて成膜されるTiやAlを主成分とする窒化物からなる被覆層が盛んに研究されており、工具寿命を延命させるための改良が続けられている。これら表面被覆工具は、切削速度の高速化を初めとする切削環境の変化、被削材の多様化に対応するため、被覆材料元素以外にも様々な工夫が施されてきている。
例えば、特許文献1や特許文献2では、イオンプレーティング法にて基体の表面にTiAlN等を被覆した表面被覆工具において、成膜中に印加する負のバイアスの絶対値を成膜初期よりも成膜後期で高めることによって、Tiの比率を平坦部よりも切刃で多くした被覆膜(被覆層)が開示されている。
特開平01−190383号公報 特開平08−267306号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された切刃におけるTiの比率を高くしたTiAlN膜の構成でも、切刃におけるチッピングを十分に抑制することができず、チッピングから急激に摩耗が進行し、すくい面においては硬度が低下してクレータ摩耗が進行する結果、工具寿命が延びない場合があった。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、切刃およびすくい面のそれぞれに最適な切削性能を発揮できる被覆層を備えた切削工具を提供することにある。
本発明の切削工具は、基体の表面に、Nb1−a(C1−x)(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種、0.01≦a≦0.4、0≦x≦1)からなる被覆層を被覆してなるとともに、すくい面と逃げ面との交差稜線に切刃を有しており、前記切刃よりも前記すくい面のほうが前記被覆層中のNb含有比率が高いものである。
本発明の切削工具によれば、切刃よりもすくい面のほうが被覆層中のNb含有比率が高い構成となっており、これによって、切屑の接触によって高温となるすくい面における被覆層の耐酸化性を高めることができる。そのため、すくい面のクレータ摩耗の進行を抑制できる。また、切刃においては、Nb含有比率がすくい面に比べて低いので、被覆層の靭
性が向上する。そのため、切刃における耐チッピング性が向上する。その結果、工具寿命を延びる。
本発明の切削工具の一例を示し、(a)概略斜視図、(b)(a)のX−X断面図である。 図1の切削工具の被覆層の一例についての要部拡大図である。
本発明の切削工具についての好適な実施態様である図1((a)概略斜視図、(b)(a)のX−X断面図)を用いて説明する。
図1によれば、切削工具1は、基体2の表面に被覆層6を具備している。また、切削工具1は、主面にすくい面3を、側面に逃げ面4を、すくい面3と逃げ面4との交差稜線に切刃5を有している。
被覆層6は、Nb1−a(C1−x)(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種、0.01≦a≦0.4、0≦x≦1)からなる。
本実施態様によれば、切刃5よりもすくい面3のほうが被覆層6中のNb含有比率が高く、特に、切刃5からすくい面3に向かって被覆層6中のNb含有比率が高くなっている。これによって、切屑の接触によって高温となるすくい面3における被覆層6の耐酸化性を高めることができる。そのため、すくい面3のクレータ摩耗の進行を抑制できる。また、切刃5においては、Nb含有比率がすくい面3に比べて低いので、被覆層6の靭性が向上する。そのため、切刃5における耐チッピング性が向上する。その結果、工具寿命が延びる。
また、すくい面3よりも逃げ面4のほうが被覆層6中のNb含有比率が高い。これによって、逃げ面4に発生しやすい境界摩耗の進行を抑制することができる。
ここで、被覆層6の具体的な組成は、Nb1−a(C1−x)(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種、0.01≦a≦0.4、0≦x≦1)からなる被覆層6において、a(Nb含有比率)が0.01よりも小さいと被覆層6の耐酸化性および潤滑性が低下する。a(Nb含
有比率)が0.4よりも大きいと被覆層6の耐摩耗性が低下する。a(Nb含有比率)の
特に望ましい範囲は0.01≦a≦0.15である。なお、本実施態様におけるaの特に望ましい範囲は、すくい面3の被覆層6中で0.012〜0.15、切刃5の被覆層6中で0.01〜0.10、逃げ面4の被覆層6中で0.015〜0.2である。
なお、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、Zr、Yから選ばれる1種以上であるが、中でもTi、Al、Cr、Si、MoおよびWの1種以上を含有すると硬度に優れて、耐摩耗性に優れる。中でも、MがTi、Al、SiまたはMoを含有すると高温での耐酸化性に優れるために、例えば、高速切削におけるクレータ摩耗の進行を抑制できる。
また、本実施態様における被覆層6のより具体的な組成を例示すると、NbTiAlSi(C1−x)(0.01≦a≦0.4、0.1≦b≦0.8、0≦c≦0.65、0≦d≦0.4、0≦e≦0.25、a+b+c+d+e=1、0≦x≦1)である。被覆層6がこの組成範囲になることによって、被覆層6は酸化開始温度が高く
なって耐酸化性が高くかつ内在する内部応力を低減することができて耐欠損性が高い。しかも、被覆層6は硬度および基体2との密着性も高いものである。そのため、被覆層6は難削材の加工や乾式切削、高速切削等のきつい切削条件における耐摩耗性および耐欠損性に優れたものとなる。なお、上記組成において、被覆層6中の含有比率が1原子%未満でCr、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。
すなわち、b(Ti含有比率)が0.1以上であると、被覆層6の結晶構造が立方晶から六方晶へ変化して硬度が低下することなく、耐摩耗性が高い。b(Ti含有比率)が0.8以下であると、被覆層6の耐酸化性および耐熱性が高い。bの特に望ましい範囲は0.13≦b≦0.5である。また、c(Al組成比)が0.65以下であると被覆層6の結晶構造が立方晶から六方晶に変化せず硬度が低下することがない。cの特に望ましい範囲は0.45≦c≦0.55である。さらに、d(Si含有比率)が0.4以下であると
被覆層6の耐酸化性および硬度が低下することなく耐摩耗性が高い。dの特に望ましい範囲は0.02≦d≦0.3である。e(W含有比率)が0.25以下であると被覆層6の
耐酸化性および硬度が低下することなく耐摩耗性が高い。eの特に望ましい範囲は0.01≦e≦0.22である。
また、被覆層6の非金属成分であるC、Nは切削工具に必要な硬度および靭性に影響を及ぼすものであり、本実施態様では、x(N含有比率)は0≦x≦1、特に、0.8≦x≦1である。ここで、本発明によれば、上記被覆層6の組成は、エネルギー分散型X線分光分析法(EDX)またはX線光電子分光分析法(XPS)にて測定できる。
ここで、本実施態様においては、切削工具1は、逃げ面4のほうが切刃5よりも被覆層6中のNb含有比率が高く、本実施態様では、切刃5から逃げ面4に向かって被覆層6中のNb含有比率が高くなっている。これによって、切刃5における耐欠損性を向上できるとともに、逃げ面4における耐摩耗性が高くなる。
また、本実施態様においては、図2の被覆層6の一例についての要部拡大図に示すように、被覆層6が異なる組成の2層が交互に積層された多層積層体の構成となっている。そして、本実施態様においては、Nbを含む第1被覆層6aとNbを含まない第2被覆層6bとが交互に積層されている。これによって、被覆層6内にクラックが進展することを抑制することができ、かつ被覆層6全体が高硬度化して、耐摩耗性が向上する。なお、本発明においては、このように組成の異なる2種類以上の多層構成からなる被覆層6の組成は、被覆層6の全体組成で表わし、電子線マイクロアナライザー(EPMA)等によって分析可能である。また、上記多層構成の被覆層6を形成するには、例えば、成膜装置のチャンバの内壁側面に、組成の異なるターゲットを一定の間隔をあけて配置した状態で、成膜する試料を回転させながら成膜することによって作製することができる。
また、本発明において、下記被覆層の組成や厚みを特定する際の切刃5の範囲は、すくい面3と逃げ面4との交差稜線から500μm幅の領域と定義する。したがって、すくい面3の範囲は、切削工具1の主面等のすくい面3の中央から切刃5の終端である交差稜線から500μmの位置までに亘る領域、逃げ面4の範囲は、切削工具1の側面等の逃げ面4の中央から切刃5の終端である交差稜線から500μmの位置までに亘る領域である。
なお、本実施態様において、切刃5における被覆層6の組成は、上記組成式NbTiAlSi(C1−x)において、0.01≦a≦0.3、0.15≦b≦0.8、0≦c≦0.63、0≦d≦0.35、0≦e≦0.25、a+b+c+d+e=1、0≦x≦1)である。逃げ面4における被覆層6の組成は、上記組成式NbTiAlSi(C1−x)において、0.015≦a≦0.4、0.13≦b
≦0.78、0≦c≦0.65、0≦d≦0.3、0≦e≦0.25、a+b+c+d+e=1、0≦x≦1)である。すくい面5における被覆層6の組成は、上記組成式NbTiAlSi(C1−x)において、0.012≦a≦0.35、0.14≦b≦0.79、0≦c≦0.62、0≦d≦0.40、0≦e≦0.25、a+b+c+d+e=1、0≦x≦1)である。
さらに、本実施態様では、すくい面3における被覆層6の厚みtrと切刃5における被覆層6の厚みtcとの比(tc/tr)が1.1〜3である。これによって、切刃5における耐チッピング性と逃げ面4における耐摩耗性とのバランスを保って、工具寿命を長くすることができる。
なお、本実施態様では、被覆層6の逃げ面4における厚みtfが、すくい面3における厚みtrよりも厚い。これによって、逃げ面4の耐摩耗性が向上し、工具寿命を延ばすことができる。本実施態様では、逃げ面4における被覆層6の厚みtfとすくい面3における被覆層6の厚みtrとの比(tf/tr)が1.1〜3である。
また、本実施態様では、被覆層6の表面および内部には、図1(b)に示すように、ドロップレット7と呼ばれる粒状物質が存在する。そして、本実施態様では、逃げ面4の表面に存在するドロプレット7の平均組成はすくい面3の表面に存在するドロップレット7の平均組成に比べてNbの含有比率が高い構成となっている。
この構成によれば、切削時にすくい面3上を切屑が通過してもドロップレット7の存在によって切屑がすくい面にベタ当たりすることなく、被覆層6の表面がさほど高温になることがない。しかも、逃げ面4のほうがすくい面3に比べてドロップレット7中のNbの含有比率が高いので、ミリング切削において、すくい面3のドロプレット7の耐衝撃性が高く、切削工具1の耐欠損性がより向上する。
なお、本実施態様では、被覆層6のすくい面3の表面に形成されるドロップレット7のNb含有比率NbDRは逃げ面4の表面に形成されるドロップレット7のNb含有比率NbDFに対して0.7≦NbDR/NbDF<1.00である。これによって、すくい面
3および逃げ面4における耐摩耗性をともに最適化できる。
また、存在するドロップレット7の数は、すくい面3における10μm×10μm四方で直径が0.2μm以上のドロップレット7が15〜50個、望ましくは18〜30個であることが切屑の通過による発熱の緩和の点で望ましい。また、すくい面3におけるドロップレット7の数が逃げ面4に存在するドロップレット7の数よりも多いことが、すくい面3が切屑の通過によって高温になることを緩和するとともに、逃げ面4の表面を滑らかにして仕上げ面品位を向上する点で望ましい。
また、被覆層6のすくい面3の表面に形成されるドロップレット7のAl含有比率AlDRは逃げ面4の表面に形成されるドロップレット7のAl含有比率AlDFに対して1
.00≦AlDR/AlDF≦1.10であることが、すくい面3および逃げ面4における耐摩耗性を最適化できる点で望ましい。比率AlDR/AlDFの特に望ましい範囲は1.00≦AlDR/AlDF≦1.02である。さらに、被覆層6のすくい面3の表面に形成されるドロップレット7のTi含有比率TiDRは逃げ面4の表面に形成されるドロップレット7のTi含有比率TiDFに対して0.91≦TiDR/TiDF≦1.0
5であることが、すくい面3および逃げ面4における耐チッピング性をともに最適化できる点で望ましい。比率TiDR/TiDFの特に望ましい範囲は0.94≦TiDR/TiDF≦0.97である。
なお、基体2としては、炭化タングステンや炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの硬質合金、窒化ケイ素や酸化アルミニウムを主成分とするセラミックス、多結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相とセラミックスや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
(製造方法)
次に、本発明の切削工具の製造方法について説明する。
まず、工具形状の基体を従来公知の方法を用いて作製する。次に、基体の表面に、被覆層を成膜する。被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。成膜方法の一例についての詳細について説明すると、被覆層をアークイオンプレーティング法で作製する場合には、金属ニオブ(Nb)、および所定の金属M(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲット、複合化した合金ターゲットまたは焼結体ターゲットをチャンバの側壁面位置にセットする。
このとき、ターゲットの周囲には、ターゲットの裏面の中央側に位置するようにセンター磁石が設置されている。本発明によれば、この磁石の磁力の強さを制御することによって、上記実施態様の切削工具を作製することができる。すなわち、Nbを含有するターゲットに併設されるセンター磁石の磁力を強くし、Nbを含有しないターゲットのセンター磁石の磁力を弱くする。これによって、各ターゲットから発生する金属イオンの拡散状態を変えて、チャンバ内に存在する金属イオンの分布状態を変化させる。その結果、基体の表面に成膜される被覆層中の各金属の比率、およびドロップレットの存在状態を変化させることができる。
成膜条件としては、これらのターゲットを用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させるイオンプレーティング法またはスパッタリング法によって被覆層を成膜する。このとき、基体のセット位置は逃げ面がチャンバの側面とほぼ平行に、かつすくい面がチャンバの上面とほぼ平行な向きにセットする。この時、センター磁石には2〜8Tの磁力を印加して成膜するが、Nbを含有するターゲットに併設されるセンター磁石に印加する磁力を、Nbを含有しないターゲットに併設されるセンター磁石に印加する磁力よりも高くして成膜する。
なお、上記被覆層を成膜する際には、被覆層の結晶構造を考慮して高硬度な被覆層を作製できるとともに基体との密着性を高めるために、本実施態様では、35〜200Vのバイアス電圧を印加する。
平均粒径0.8μmの炭化タングステン(WC)粉末を主成分として、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を10質量%、平均粒径1.0μmの炭化バナジウム(VC)粉末を0.1質量%、平均粒径1.0μmの炭化クロム(Cr)粉末を0.3質量%の割合で添加し混合して、プレス成形により京セラ製切削工具BDMT11T308TR−JT形状のスローアウェイチップ形状に成形した後、脱バインダ処理を施し、0.01Paの真空中、1450℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。また、各試料のすくい面表面をブラスト加工、ブラシ加工等によって研磨加工した。さらに、作製した超硬合金にブラシ加工にて刃先処理(ホーニング)を施した。
このようにして作製した基体に対して、主ターゲットである第1ターゲット、Nbを含有する第2ターゲットに対して表1に示す磁力のセンター磁石をセットして、表1に示すバイアス電圧を印加し、アーク電流150Aをそれぞれ流し、成膜温度540℃として表2〜3に示す組成の被覆層を成膜した。なお、被覆層の組成は下記方法にて全体組成を測定した。
得られた試料に対して、被覆層の表面から、切刃、すくい面及び逃げ面の被覆層の各位置の任意3箇所およびすくい面および逃げ面表面上に形成されたドロップレットを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、各位置での組成を分析した。3か所の平均組成を被覆層の組成として表記した。また、1視野における10μm×10μmの任意領域における直径0.2μm以上のドロップレットの個数を測定し、測定箇所10箇所における平均個数を算出した。さらに、ドロップレット各10個の組成をエネルギー分散分光分析(EDS)(アメテック社製EDAX)によって測定し、これらの平均値を被覆層のすくい面、逃げ面および各表面上のドロップレットの組成として算出した。表中、すくい面に形成されたドロップレットについてNb,Al,Tiの平均含有量(原子%)をそれぞれNbDR、AlDR、TiDR、逃げ面に形成されたドロップレットについてNb,Al,Tiの平均含有量(原子%)をそれぞれNbDF、AlDF、TiDFと表記した。さらに、各試料の被覆層を含む断面についてSEM観察を行い、切刃、すくい面および逃げ面の各位置における被覆層の厚みを測定した。結果は表2〜3に示した。
次に、得られたスローアウェイチップを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表4に示した。
切削方法:ミリング加工
被削材 :金型鋼(SKD11)
切削速度:150m/分
送り :0.12mm/rev
切り込み:2.0mm
切削状態:乾式
評価方法:200個加工後の切削工具を観察して切刃状態を確認した。また、工具寿命まで加工できた加工数を確認し、そのときの摩耗形態を確認した。
表1〜4に示す結果より、切刃とすくい面との被覆層のNb含有比率が同じ試料No.9、および、切刃よりもすくい面において被覆層のNb含有比率が低い試料No.8では、切刃においてチッピングが発生しやすく、かつ、すくい面におけるクレータ摩耗が進行して早期に寿命となった。
これに対して、本発明の範囲内である試料No.1〜7では、いずれも切刃におけるチ
ッピングの発生が少なく、かつすくい面におけるクレータ摩耗の進行が遅くて耐摩耗性に優れる良好な切削性能を発揮した。
1 切削工具
2 基体
3 すくい面
4 逃げ面
5 切刃
6 被覆層
7 ドロップレット

Claims (6)

  1. 基体の表面に、Nb1−a(C1−x)(ただし、MはTi、Al、Cr、W、Mo、Ta、Hf、Si、ZrおよびYから選ばれる少なくとも1種、0.01≦a≦0.4、0≦x≦1)からなる被覆層を被覆してなるとともに、すくい面と逃げ面との交差稜線に切刃を有しており、前記切刃よりも前記すくい面のほうが前記被覆層中のNb含有比率が高い切削工具。
  2. 前記すくい面よりも前記逃げ面のほうが前記被覆層中のNb含有比率が高い請求項1記載の切削工具。
  3. 前記被覆層が、Nbを含む第1被覆層とNbを含まない第2被覆層との2層以上の多層積層体からなる請求項1または2記載の切削工具。
  4. 前記すくい面における前記被覆層の厚みtrと前記切刃における前記被覆層の厚みtcとの比(tc/tr)が1.1〜3である請求項1乃至3のいずれか記載の切削工具。
  5. 前記逃げ面における前記被覆層の厚みtfと前記すくい面における前記被覆層の厚みtrとの比(tf/tr)が1.1〜3である請求項1乃至4のいずれか記載の切削工具。
  6. 前記逃げ面の表面に形成されるドロップレットのNbの含有比率が前記すくい面の表面に形成されるドロップレットのNbの含有比率よりも高い請求項1乃至5のいずれか記載の切削工具。
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