JP2014128901A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大局的な正反射色付きが低減するように、クリアインクの吐出データを決定する画像処理を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る画像処理装置は、各有色色材の各走査の吐出データから、注目領域における有色色材の記録媒体上の色材分布を表す色材分布データを作成する作成手段と、前記有色色材の色材分布データから無色色材の吐出データを決定する決定手段とを有し、前記決定手段は、前記無色色材の吐出データの候補を複数取得し、前記複数の候補各々について前記有色色材の色材分布データとの組み合わせによって生じる画質情報に基づき前記注目領域における無色色材の吐出データを決定する。
【選択図】 図4
【解決手段】 本発明に係る画像処理装置は、各有色色材の各走査の吐出データから、注目領域における有色色材の記録媒体上の色材分布を表す色材分布データを作成する作成手段と、前記有色色材の色材分布データから無色色材の吐出データを決定する決定手段とを有し、前記決定手段は、前記無色色材の吐出データの候補を複数取得し、前記複数の候補各々について前記有色色材の色材分布データとの組み合わせによって生じる画質情報に基づき前記注目領域における無色色材の吐出データを決定する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、有色色材と無色色材とに関わる画像処理に関する。
印刷物の正反射光が色付く原因の一つとしてブロンズ現象(以下、単にブロンズとも呼ぶ)が知られている。ブロンズは、界面における反射に波長依存性があるために生じる現象である。インクによって固有の色になることが知られており、特にシアンインクで顕著である。例えば、シアンインクによって形成された画像領域において正反射光がマゼンタ色に色付くのはブロンズが原因である。
特許文献1では、記録媒体で画像が形成される際に、ブロンズを表す刺激値がより小さい記録剤が刺激値の大きい記録剤の上に重なるように色材の重ね順を決定することでブロンズの発生を抑制する。
しかしながら、特許文献1の方法では、ブロンズを表す刺激値が大きい色材が、ブロンズを表す刺激値が小さい色材より多く使われる画像領域において、色材を全体に重ねることが出来ないので、効果が低減してしまう。特に、彩度が高い画像領域では、単一の記録剤が多く使われるので、より効果が低減してしまう。
そこで、上掛けされる記録剤として、色材の入っていないインクであるクリアインクを用いる方法が考えられる。クリアインクはブロンズを表す刺激値が非常に小さい。加えて、透明なクリアインクは発色に影響を与えないので、どんな画像領域でも用いることが出来る。故に、より効果的に正反射光の色付きを低減することが期待される。尚、上掛けするとは、記録媒体上での記録順が、最後になるよう印字することを意味する。
ところが、実際にこの方法を試してみると、クリアインク層の上層と下層で反射する光の光路差によって薄膜干渉が起きるため、クリアインクの打ち込み量に応じて正反射光の色付きは変化してしまうことがわかった。図1に、シアンインクべた地の上にクリアインクの打ち込み量を変えて上掛けしたときの正反射光の色付きを、a*b*平面上にプロットする。グラフ上の数字はクリアインクの打ち込み量である。シアンべた地の正反射光の色付きはマゼンタの色相にあり、クリアインクの量が増えるにつれ、色付きが時計回りに回転する様子が確認できる。このようにクリアインクをカラーインクの上に上掛けしても正反射光の色付きは必ずしも低減せず、クリア量に応じて変化することが確認できる。すなわち、正反射光が色付く原因はブロンズだけでなく、薄膜干渉がある。
また、色付きの変化は下地となるカラーインクの種類によっても異なることが実験的にわかった。例えば、シアンインクべた地の上にクリアインクを所定の量上掛けした際に生じる色づきと、マゼンタインクべた地の上にクリアインクを同量上掛けした際に生じる色付きは異なる。このことはクリアインクを上掛けしたことでは、カラーインクとクリアインク界面における反射の色付き、すなわち、ブロンズは完全には低減しないこと意味する。すなわち、単純にクリアインクを上掛けしただけではうまく正反射光を抑制できない。
そこで、本発明者は画素毎に異なる色付きを発生させることで観測する色付きを低減させる方法を見出した。例えば、所定の画素にクリアインクを所定の量を上掛けした際に発生する色づきが緑だったとする。そして、別の所定の画素にクリアインクを別の所定の量を上掛けした際に発生する色づきが赤だったとする。緑と赤は補色の関係であるので、局所的にはそれぞれ色付いていたとしても、大局的に観測される色付きは無彩色となる。逆に言えば、色付きが相殺するように画素毎に上掛けするクリアインク量を決定することが出来れば、正反射色付きを効果的に低減することが可能である。
上掛けするクリアインク量の決定は、予めクリアインクを上掛けした際の色付きを測定しておき、そのデータに基づきクリアインクの吐出データを決定することにより、可能となる。
そこで、本発明では、大局的な正反射色付きが低減するように、クリアインクの吐出データを決定する画像処理を提供することを目的とする。
ここで、正反射光の色付きを大局的と局所的で表現したのは、正反射光の色付きが観測のスケールによるからである。人間が近くできる解像度より細かい色付きの変化は、平均化されたものとして感知される。大局的な正反射光の色付きとは、人が正反射光の色付きを解像できる範囲以上で平均化された色付きである。また、局所的な正反射光の色付きとは、人が正反射光の色付きを解像できない範囲である数10μmオーダーサイズで平均化された色付きである。
本発明に係る画像処理装置は、各有色色材の各走査の吐出データから、注目領域における有色色材の記録媒体上の色材分布を表す色材分布データを作成する作成手段と、前記有色色材の色材分布データから無色色材の吐出データを決定する決定手段とを有し、前記決定手段は、前記無色色材の吐出データの候補を複数取得し、前記複数の候補各々について前記有色色材の色材分布データとの組み合わせによって生じる画質情報に基づき前記注目領域における無色色材の吐出データを決定する。
本発明によれば、大局的な正反射光の色付きを低減させることが可能となる。
[実施例1]
実施例1の画像形成装置は無色色材であるクリアインクを搭載し、クリアインクが色材に対して上掛けとなる画像を形成するが、最終的にクリアを上掛けできればどの手段を用いてもよい。
実施例1の画像形成装置は無色色材であるクリアインクを搭載し、クリアインクが色材に対して上掛けとなる画像を形成するが、最終的にクリアを上掛けできればどの手段を用いてもよい。
まず、クリアインクによって局所的な範囲の正反射光色付きを制御する原理について説明する。図2の(a)は、クリアインクを使わずに、有色色材であるカラーインクのみで画像を形成した場合における、紙面上に堆積した色材分布Sを模式的に表した図である。色材の体積しうる位置を左からX1、X2、X3、X4とすると、例えばX1には、記録媒体の上に、シアン、イエローの順で色材が堆積している。色材の存在によって、正反射光色付きが発生する。X1で発生する正反射光色付きをA1、X2ではA2、X3ではA3、X4ではA4とする。色材分布Sで発生する平均的な正反射光色付きAは、A1〜A4を平均した色である。
図2の(b)のC1〜C16は、上掛けするクリアインクの状態(吐出データ)を模式的に示している。X1〜X4の各位置に着弾するか否かの16種類の状態が存在する。さらに、S―1、S―2、・・・S―16は、色材分布Sの上にC1〜C16のクリアインクを上掛けすることによって形成された色材分布を模式的に示している。
クリアインクが存在すると、カラーインクの光学的な性質とクリアインクにおける薄膜干渉の影響により、各位置における正反射光の色付きが変化する。X1にクリアインクが存在した場合に発生した正反射光の色付きをB1、X2はB2、X3はB3、X4はB4とする。その結果、S−1〜S−16の平均的な正反射光色付きは異なる。例えば、S−16の色材分布が発生する平均的な正反射光色付きA−16は、B1、B2、B3、B4の平均値となる。測定によって事前にS−1〜S−16の平均的な正反射光色付きA−1〜A−16を取得しておけば、C1〜C16を選択することで、正反射色付きをA−1〜A−16のいずれかに制御することが出来る。
次に、大局的な正反射光色付きが低減するように、局所的なクリアインクの吐出データを決定する方法の原理について説明する。本実施例の方法は、ハーフトーンで用いられる誤差拡散を応用しており、通常の誤差拡散は、画素値を誤差とする処理を行うのに対し、本実施例では、正反射光色付きを誤差として処理を行う。説明の簡単のために縦の画素数が1である1次元画像を用いて説明するが、通常の画像である2次元画像についても原理は同じである。
図3の(a)は、クリアインクを使わずにカラーインクのみで画像を形成した場合における、紙面上に堆積した色材を模式的に表した図である。図3の(b)はクリアインクを上掛けした様子を模式的に表した図である。色材分布の4エリア毎に異なる正反射光の色付きが発生している。501は4エリア毎に異なる正反射光色付き、502と504はエリア毎の色材、503は記録媒体である。
まず、一番左4エリアからクリアインクの吐出データを決定する。一番左の4エリアのクリアインクの吐出データは、その画素における色付きが低減するように、事前に取得しておいた色付き結果に基づき、吐出データを決定する。ここで色付きは完全になくならないとすると、無彩色と一番左の4エリアで発生する色付きには差分が生じる。そして、この差分を誤差拡散法における誤差として隣の4エリアに渡す。例えば、一番左の画素で発生する色付きが緑だったとすると、緑色と相殺する色である赤色を誤差として隣の4エリアに渡す。
次に隣の4エリアは、誤差として渡された色付きに近づくようにクリアインクの吐出データが決定される。具体的には、その画素における色付きが赤に近づくように、事前に取得しておいた色付き結果に基づき、クリアインクの吐出データを決定する。また、色付きは完全になくならないとすると、無彩色と左から2番目の4エリアで発生する色付きには差分が生じる。この差分を誤差として隣の4エリアに渡す。この処理を順次行っていくことにより、大局的な正反射光色付きが低減されるように全エリアのクリアインクの吐出データが決定される。
次に、実施例1の処理部の説明を行う。図4は、実施例1にかかるプリントシステムの構成を示すブロック図である。なお、本実施例においては、カラーインクは複数の走査で画像を形成し、クリアインクは1回の走査で画像を形成する。
(プリントシステム概要)
本実施例の記録装置は、色材として顔料を含む、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本色インク4種と、クリアインクによって印刷を行うものであり、その為にこれら5種のインクを吐出する記録ヘッドが用いられる。図4に示すように、本実施例のプリントシステムは、このインクを用いる記録装置としてのプリンタとホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)を有して構成されるものである。
本実施例の記録装置は、色材として顔料を含む、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本色インク4種と、クリアインクによって印刷を行うものであり、その為にこれら5種のインクを吐出する記録ヘッドが用いられる。図4に示すように、本実施例のプリントシステムは、このインクを用いる記録装置としてのプリンタとホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)を有して構成されるものである。
ホスト装置のオペレーティングシステムで動作するプログラムとして、アプリケーションやプリンタドライバがある。アプリケーション601はプリンタで印刷する画像データを作成する処理を実行する。この画像データもしくはその編集等がなされる前のデータは、種々の媒体を介してPCに取り込むことができる。本実施形態のPCは、まずデジタルカメラで撮像した例えばJPEG形式の画像データをCFカードによって取り込むことができる。また、スキャナで読み取った例えばTIFF形式の画像データやCD−ROMに格納されている画像データをも取り込むことができる。さらには、インターネットを介してウエブ上のデータを取り込むことができる。これらの取り込まれたデータは、PCのモニタに表示されてアプリケーション601を介した編集、加工等がなされ、例えばsRGB規格の画像データR、G、Bが作成される。そして、印刷の指示に応じてこの画像データがプリンタドライバに渡される。
本実施例のプリンタドライバはその処理として、カラーマッチング部602、色分解部603、γ補正部604、ハーフトーニング部605、および印刷データ作成部606を有している。カラーマッチング部602は色域(Gamut)のマッピングを行う。本実施例のカラーマッチング部602は、3次元LUTを用い、補間演算を併用して8ビットの画像データR、G、Bをプリンタの色域内のデータR、G、Bに変換するデータ変換を行う。色分解部603は、上記色域のマッピングがなされたデータR、G、Bに基づき、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせに対応した色分解データC、M、Y、Kを求める処理を行う。本実施例では、この処理はカラーマッチング部602におけるカラーマッチング処理と同様、3次元LUTに補間演算を併用して行う。出力は各色8ビットで、C、M、Y、Kの色材量に対応した値に使用される。
γ補正部604は、色分解部603によって求められた色分解データの各色のデータごとにその階調値変換を行う。具体的には、本システムで用いるプリンタの各色インクの階調特性に応じた1次元LUTを用いることにより、上記色分解データがプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。ハーフトーニング部605は、8ビットの色分解データC、M、Y、K、Clそれぞれについて4ビットのデータに変換する量子化処理を行う。本実施例では、誤差拡散法を用いて8ビットデータを4ビットデータに変換し出力する。
この4ビットのデータは、記録装置におけるカラードット配置パターン化処理の配置パターンを示すインデックスとなるデータである。最後に、印刷データ作成部606によって、上記4ビットのインデックスデータを内容とする印刷イメージデータに印刷制御情報を加えた印刷データを作成する。
なお、上述したアプリケーションおよびプリンタドライバの処理は、それらのプログラムに従ってCPUにより行われる。その際、プログラムはROMもしくはハードディスクから読み出されて用いられ、また、その処理実行に際してRAMがワークエリアとして用いられる。
記録装置は、データ処理に関してカラードット配置パターン化部607、カラーマスクデータ変換部608、カラーインク色材分布作成部609、クリア吐出データ作成部610を有している。
カラードット配置パターン化部607は、実際の印刷画像に対応する画素ごとに、印刷イメージデータである4ビットのインデックスデータ(階調値情報)に対応したドット配置パターンに従ってドット配置を行う。このように、4ビットデータで表現される各画素に対し、その画素の階調値に対応したドット配置パターンを割当てることで、画素内の複数のエリア各々にドットのオン・オフが定義され、そして1画素内の各エリアに「1」または「0」の吐出データが配置される。このようにして得られる1ビットの吐出データは、カラーマスクデータ変換部608によって、マスク処理がなされる。すなわち、記録ヘッドによる所定幅の走査領域の記録を複数回の走査で完成するための各走査の吐出データを生成する。それから、カラーインク色材分布作成部609は、クリアインクの吐出データ作成処理に必要となるカラーインクの色材分布を作成する。クリア吐出データ作成部610は光沢テーブル613を参照し、カラーインクの色材分布からクリアインクの吐出データを作成する。
走査ごとの吐出データC、M、Y、K、Clは、適切なタイミングでヘッド駆動回路611に送られ、これにより、記録へッド612が駆動されて吐出データに従ってそれぞれのインクが吐出される。この際、クリアインクは紙面上で最上層にくるように吐出される。なお、記録装置における上述のカラードット配置パターン化処理、マスクデータ変換処理およびクリア吐出データ作成処理は、それらに専用のハードウエア回路を用い記録装置の制御部を構成するCPUの制御の下に実行される。なお、これらの処理がプログラムに従ってCPUにより行われてもよく、また、上記処理がPCにおける例えばプリンタドライバによって実行されるものでもよい。
また、本明細書では、記録材であるインクについてCyan、Magenta、Yellow、Black、Clearなど英語表記またはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、クリアなど片仮名表記で表すものとする。そして、色もしくはそのデータ、また色相をC、M、Y、K、Clなど英大文字の1字もしくはそれと英小文字1字との組み合わせで表すものとする。すなわち、Cはシアン色またはそのデータないし色相を、Mはマゼンタ色またはそのデータないし色相を、Yはイエロー色またはそのデータないし色相を、Kはブラック色またはそのデータないし色相を表す。同様に、Clは透明またはそのデータないし色相をそれぞれ表すものとする。また、正反射光の色付きを、単に色付きと表したり、色と表したりする。
さらに、本明細書において「画素」とは、階調表現できる最少単位のことであり、複数ビットの多値データの画像処理(上記カラーマッチング、色分解、γ補正、ハーフトーニング等の処理)の対象となる最少単位である。なお、後述のようにハーフトーニング処理では、1つの画素は2×4のマスで構成されるパターンに対応し、この1画素内の各マスはエリアと定義する。この「エリア」はドットのオン・オフが定義される最少単位である。これに関連して、上記カラーマッチング、色分解、γ補正にいう「画像データ」は処理対象である画素の集合を表しており、各画素が本実施例では8ビットの階調値を内容とするデータである。ハーフトーニングにいう「画素データ」は処理対象である画素データそのものを表しており、本実施例のハーフトーニングでは、上記の8ビットの階調値を内容とする画素データが4ビットの階調値を内容とする画素データ(インデックスデータ)に変換される。
尚、上記ハーフトーン処理および印刷データの生成における説明においては、記録装置本体ではなくホスト装置にインストールされたプリンタドライバによって処理されることを前提に説明してきたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。ハーフトーン処理自体が記録装置内部で処理される構成であってもよい。
続いて本実施例に係る各処理についてより詳しく説明する。
(カラーインク色材分布作成処理)
カラーインクの色材分布作成処理について詳細を説明する。カラーインクの色材分布作成処理では、各カラーインクの各走査の吐出データから、所定領域毎のカラーインクの色材分布を算出する。
カラーインクの色材分布作成処理について詳細を説明する。カラーインクの色材分布作成処理では、各カラーインクの各走査の吐出データから、所定領域毎のカラーインクの色材分布を算出する。
まず、画像領域の左上端の所定領域(以下、注目領域)を選択することで開始され、続いて、右方向に1所定領域ずつ注目領域を切り替えながら処理を進めていく。最上端列の右側まで処理が終了すると、次に1段下の左端領域に注目領域を移す。このような順番で、処理操作を進めて行き、最終領域となる右下端の所定領域まで処理が到達すると、本画像の処理操作は完了する。
本実施例にはおいては、所定領域の大きさは、2エリア×2エリアであるとする。また、カラーインクはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4種類であるとし、各カラーインクの走査数は4であるとする。さらに、本実施例に用いるヘッドは、記録媒体上の同一箇所に着弾する色順が、往路走査の場合は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順となるヘッドを用いる。例えば、各色のノズル列が、走査方向に対して、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順となるヘッドである。このヘッドを用いれば、復路走査の時は、往路走査の反対の順、すなわち、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの順で着弾する。それから、各カラーインクのノズルには256個の吐出口があるとする。
図5は、カラーインク色材分布作成処理を説明するためのフローチャートである。処理が開始されると、処理を行う所定領域の左上のエリアの位置が設定される(ステップ701)。主走査方向の位置をX、副走査方向の位置をYとすると、例えば、最初の処理位置は、(X、Y)=(0、0)となる。
次に、処理位置における各色の各走査の吐出データを取得する(ステップ702)。処理位置における4色×4パスの合計16個の吐出データが取得される。
それから、ヘッド走査順を算出する(ステップ703)。ここで走査順を算出するのは、処理位置によって、ヘッドの走査順が異なり、インク着弾順が異なるからである。走査順には、往路走査→復路走査→往路走査→復路走査の場合(以下、走査順Aと呼ぶ)と、復路走査→往路走査→復路走査→往路走査(以下、走査順Bと呼ぶ)の2種類がある。本実施例では、ノズル数が256個で、4パス印字であるので、Nを整数とすると、ステップ701で設定したYの値に応じて、走査順Aか走査順Bが決定される。すなわち、
128×N≦Y<128×N+64・・・走査順A
128×N+64≦Y<128×N・・・走査順B
となる。なお、走査順がAかBのどちらか一方に固定の場合は、ステップ703は省略してもよい。
128×N≦Y<128×N+64・・・走査順A
128×N+64≦Y<128×N・・・走査順B
となる。なお、走査順がAかBのどちらか一方に固定の場合は、ステップ703は省略してもよい。
次に、カラーインクのみの色材分布を差出する(ステップ704)。ステップ703で走査順Aと算出された場合、以下の順でステップ702で取得した吐出データを重ねる。すなわち、シアン1パス目→マゼンタ1パス目→イエロー1パス目→ブラック1パス目→ブラック2パス目→イエロー2パス目→マゼンタ2パス目→シアン2パス目→シアン3パス目→マゼンタ3パス目→イエロー3パス目→ブラック3パス目→ブラック4パス目→イエロー4パス目→マゼンタ4パス目→シアン4パス目の順である。ステップ703で走査順Bと算出された場合、以下の順でステップ702で取得した吐出データを重ねる。すなわち、ブラック1パス目→イエロー1パス目→マゼンタ1パス目→シアン1パス目→シアン2パス目→マゼンタ2パス目→イエロー2パス目→ブラック2パス目→ブラック3パス目→イエロー3パス目→マゼンタ3パス目→シアン3パス目→シアン4パス目→マゼンタ4パス目→イエロー4パス目→ブラック4パス目の順である。
それから、色材分布データを出力する(ステップ705)。例えば、左上のエリアにシアン→マゼンタの順で色材が堆積して、右上のエリアにブラック→シアンが堆積して、左下のエリアにシアンが堆積して、左下のエリアにブラックが堆積したとする。この堆積に対応する色材分布データに対し、色材分布を識別するインデックスとして、1という数字を割当て、1という数字を出力する。割当て方は特に限定されない。本実施例においては、色材分布データは16bitのファイルで保持される。
ステップ706では、ステップ701〜ステップ705が画像の全画素に対して施された否かを判定する。全所定領域において処理が行われたと判断された場合、本実施例のカラーインク色材分布処理は完了する。
(クリア吐出データ作成処理)
クリア吐出データ作成処理について詳細を説明する。クリア吐出データ作成処理では、所定領域毎のカラーインク色材分布から、クリアインクの吐出データを作成する。クリアインクの吐出データは、カラーインクの吐出データと同様に、エリア毎にドットのオンとオフが定義された1ビットのデータである。
クリア吐出データ作成処理について詳細を説明する。クリア吐出データ作成処理では、所定領域毎のカラーインク色材分布から、クリアインクの吐出データを作成する。クリアインクの吐出データは、カラーインクの吐出データと同様に、エリア毎にドットのオンとオフが定義された1ビットのデータである。
本実施例では、光沢テーブルを参照してクリア吐出データ作成処理を行う。ここで、光沢テーブルとはクリアインクの吐出データと正反射光の色付きの対応関係を示したテーブルである。光沢テーブルは事前に取得しておく必要がある。まず、この光沢テーブルについて説明した後、具体的な処理方法について説明する。
光沢テーブルには、所定領域のカラーインクの色材分布に対して、所定領域の複数のクリアインクの吐出データを組み合わせたパッチ画像の光沢色付きの測定値を、画質情報として、CIE−L*a*b*表色系におけるa*b*値として取得できるよう、格納されている。本実施例においては、所定量の大きさは2エリア×2エリアとする。各エリアに対してクリアインクの吐出はオンとオフのいずれかの状態がとれるので、2×2×2×2=16種類の吐出データがある。各吐出データを識別するためにインデックスを設定する。例えば、左上がオフ、右上がオフ、左下がオフ、右下がオフの吐出データに対しては、0という数字を割当てる。割当てる数字は特に限定されない。
図6に光沢テーブルの具体的なデータ内容を示す。ここで、1列目はカラーインクの色材分布データ、2列目はクリアインクの吐出データ、3列目、4列目は、正反射光の色付きをL*a*b*表色系で表現したときのa*とb*の値である。
図7は光沢テーブルの作成方法のフロー図である。まず、カラーインクの色材分布を設定する(ステップ901)。次にクリアインクの吐出データを設定する(ステップ902)。次にカラーインク量とクリアインク量の総量が所定の上限値を超えているかどうかの判断をする(ステップ903)。上限値が設定されているのは、記録媒体に印字できるインクの量には、記録媒体の色材受容層が保持できる水分量に限界があるためである。もし、判定の結果、総量が超えているようであれば、次のカラーインクの色材分布を設定する(ステップ901)。超えていないようであえば、サンプルを作成し(ステップ904)、正反射光の色付きを測定する(ステップ905)。そして、クリアインクの吐出データを変えて同様の処理を繰り返して行う(ステップ906)。全クリアインクの吐出データで処理を行ったら、次のカラーインクの色材分布データを設定し、同様の処理を行う(ステップ907)。測定すべき全カラーインクの色材分布に対応するデータが得られたら終了となる。
クリア吐出データ作成処理の具体的な処理手順について説明する。図8は、本実施例に適用可能なクリア吐出データ作成処理の構成を説明する為のブロック図である。図8において、1001は入力色材分布データの入力端子、1002は光沢テーブル、1003はターゲットデータの入力端子、1004はその領域で表現できる正反射光の色付きの候補を算出する候補色算出部である。また、1005は累計誤差を格納する累計誤差メモリ、1007はその領域で表現する色付きとその為に必要なクリアの吐出データを特定する比較部、1008は誤差を拡散する誤差拡散部、および1009は一連の処理後に形成された吐出データの出力端子である。
クリア吐出データ作成処理の入力端子1001には、後述する画像走査部が、画像から選択された領域の色材分布データが順番に入力され、出力端子1009より1領域分ずつ出力していく構成となっている。画像走査部は、複数の領域が配列して構成されている色材分布データから、処理を行うべき領域を1領域ずつ選択し、入力端子1001に入力する。
処理は、まず、画像領域の左上端の領域を選択する(以下、注目領域とも言う)とすることで開始され、続いて、右方向に1領域ずつ注目領域を切り替えながら処理を進めていく。最上端列の右端まで処理が終了すると、次に1段下の領域列の左端領域に注目領域を移す。このような順番で、処理を進めて行き、最終領域となる右下端の領域まで処理が到達すると、画像全体への処理は完了する。
図9は、図8のクリア吐出データ作成部610が行う処理を説明するためのフローチャートである。
処理が開始されると、上記画像走査部により、処理すべき色材分布データが入力される(ステップ1101)。
次に、候補色算出部1004において、入力された色材分布データに対し、16つの異なる正反射光の色付きの候補色を、光沢テーブルを参照し、四面体補間を行うことによって、a*b*値で算出する(ステップ1102)。
それから、ターゲットデータの入力端子1003からターゲットデータが入力される(ステップ1103)。本実施例では、大局的な正反射光を低減させるために、このターゲットデータ値は画素に依らずa*=0,b*=0と設定しておく。
次に、ターゲットデータ値に対し、累計誤差メモリ1005に格納された、領域位置に対応する累計誤差値が加算される(ステップ1104)。
累計誤差メモリ1005には、1つの記憶領域S0とw個の記憶領域S(x)(x=1〜Wの整数)がある。ここで、xは処理対象となっている色材分布データの横方向の画素位置を表している。また、それぞれの領域には、注目領域に適用される、注目領域の周辺領域に対応する誤差が格納されている。なお、累計誤差の値は、後述する方法によって得られるものであるが、処理開始当初は全ての領域において、初期値a*=0,b*=0にて初期化されているものとする。
続いて、比較部807において、16つの候補色のa*b*値と、累計誤差加算後のターゲットデータとの色差を計算する。ここで16つの候補色のa*b*値を
とし、計誤差加算後のターゲットデータを
とすれば、色差は次式で計算される。
とすれば、色差は次式で計算される。
式1より、色差が最も小さくなるような候補色を特定し、特定した候補色に対応する。クリアインクの吐出データを出力端子1009に出力し、その条件における色差を誤差拡散部に出力する(ステップ1105)。
更に、誤差拡散部1008において、注目している領域の横方向位置に応じて、以下のような誤差の拡散処理を行う(ステップ1106)。すなわち、記録領域S0およびS(x)に格納すべき誤差を、以下の処理に従って算出し、累計誤差メモリに格納する。
S(x+1)←S(x+1)+S×7/16 (x<W)
S(x―1)←S(x―1)+S×3/16 (x>1)
S(x)←S0+S×5/16 (1<x<W)
S(x)←S0+S×8/16 (x=1)
S(x)←S0+S×13/16 (x=W)
S0←S×1/16 (x<W)
S0←0 (x=W)(式2)
以上で、1領域分の誤差拡散処理が完了する。
S(x―1)←S(x―1)+S×3/16 (x>1)
S(x)←S0+S×5/16 (1<x<W)
S(x)←S0+S×8/16 (x=1)
S(x)←S0+S×13/16 (x=W)
S0←S×1/16 (x<W)
S0←0 (x=W)(式2)
以上で、1領域分の誤差拡散処理が完了する。
ステップ1107では、ステップ1101〜1106が画像の全領域に対して施されたか否かを判定する。全領域に対して処理が行われたと判断された場合、本実施形態のクリア吐出データ作成処理は完了する。
なお、本実施例では、大局的な正反射光の色付きが低減するよう、ターゲットデータ値a*=0,b*=0としたが、他の色に色付かせることも可能である。その場合は、アプリケーション601で、色付きを指定できるようにし、選択された色に応じて、ターゲットデータ値を設定しておけばよい。また、画素毎に異なる色に色付かせることも可能である。その場合も、アプリケーション601で画素毎の色付きを指定できるようにし、ターゲットデータ値を画素毎に設定しておけばよい。
また、本発明は、上述した実施例の機能(例えば、上記のフローチャートにより示される工程)を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても実現できる。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することにより、上述した実施例の機能を実現する。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータを連動させて実行させるようにしてもよい。
以上、本実施例によれば、画像の大局的な正反射光の低減するよう画素毎の上掛けするクリアインクの吐出データが決定される。上述したように、クリアインク上掛けをせずに発生していた正反射光の色付きの原因にはブロンズと薄膜干渉があるが、どちらの原因によって生じた正反射光の色付きでも本実施例により低減させることが可能である。
Claims (8)
- 各有色色材の各走査の吐出データから、注目領域における有色色材の記録媒体上の色材分布を表す色材分布データを作成する作成手段と、
前記有色色材の色材分布データから無色色材の吐出データを決定する決定手段とを有し、
前記決定手段は、前記無色色材の吐出データの候補を複数取得し、前記複数の候補各々について前記有色色材の色材分布データとの組み合わせによって生じる画質情報に基づき前記注目領域における無色色材の吐出データを決定することを特徴とする画像処理装置。 - 前記決定手段は、前記画質情報に加え、前記注目領域の周辺領域における画質情報に基づき、前記注目領域における無色色材の吐出データを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記決定された無色色材の吐出データに基づき無色色材を記録媒体上に記録する記録手段をさらに有し、
前記記録手段は、前記有色色材の記録の後に前記無色色材を記録することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記画質情報は、前記有色色材の色材分布データごとに前記無色色材の吐出データを異ならせた場合の組み合わせに対応する画質情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記画質情報は、前記色材分布データと前記無色色材の吐出データとを用いて生成されるパッチ画像を測定して得られる測定値であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記無色色材は、クリアインクであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
- コンピュータを、請求項1乃至6の何れか1項に記載された画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
- 各有色色材の各走査の吐出データから、注目領域における有色色材の記録媒体上の色材分布を表す色材分布データを作成する作成工程と、
前記有色色材の色材分布データから無色色材の吐出データを決定する決定工程とを有し、
前記決定工程は、前記無色色材の吐出データの候補を複数取得し、前記複数の候補各々について前記有色色材の色材分布データとの組み合わせによって生じる画質情報に基づき前記注目領域における無色色材の吐出データを決定することを特徴とする画像処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2012287240A JP2014128901A (ja) | 2012-12-28 | 2012-12-28 | 画像処理装置および画像処理方法 |
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JP2016144004A (ja) * | 2015-01-30 | 2016-08-08 | キヤノン株式会社 | 画像処理装置およびその方法 |
JP2018001686A (ja) * | 2016-07-07 | 2018-01-11 | 株式会社ミマキエンジニアリング | 立体物製造方法および立体物製造装置 |
-
2012
- 2012-12-28 JP JP2012287240A patent/JP2014128901A/ja active Pending
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