JP2014058295A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキジャダーやシミーの抑制を図って安全で快適な操舵性能が得られると共に、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上でき、車速を段階的に区切ることでソフトの演算負荷を軽減できる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】操舵トルク及び車速に基づいてモータ電流指令値を演算し、モータ電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置において、電流指令値、操舵トルク、モータ角速度及びモータ角加速度に基づいてSATを推定するSAT推定部と、SAT推定部で推定されたSAT推定値1をフィルタリングするBPF部と、BPF部からのSAT推定値2を車速感応でゲイン倍する車速感応型ゲイン部とを具備し、車速感応型ゲイン部からのSAT推定値3で電流指令値を補正する。
【選択図】図9

Description

本発明は、車両の操舵系にモータによるアシスト力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特にブレーキジャダーやシミーを考慮し、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上できる電動パワーステアリング装置に関する。
車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置(EPS)は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)100には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット100は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の操舵補助指令値の演算を行い、操舵補助指令値に補償等を施した電流制御値Eによってモータ20に供給する電流を制御する。なお、車速VelはCAN(Controller Area Network)等から受信することも可能である。
このような電動パワーステアリング装置において、従来は例えば特開平8−290778号公報(特許文献1)に示すように、コントロールユニット100内のロバスト安定化補償部により、システムの安定性と路面情報及び外乱情報の感度特性が同時に設計されるようになっている。
しかしながら、かかる従来の制御装置では、ステアリング中立点付近の操舵時の反力が小さいため、摩擦の影響により、路面情報をドライバに正確に伝えることが困難である。また、従来の電動パワーステアリング装置では、操舵角と操舵力との間のヒステリシス特性を、油圧式パワーステアリング並みの特性にすることが困難である。
このような問題を解決する装置として、特開2002−369565号公報(特許文献2)に開示されているものがある。
特許文献2に開示されている装置の概略を、図1に対応させた図2に示して説明する。ステアリング装置の補助操舵力を発生するモータ20はモータ駆動部21によって駆動され、モータ駆動部21は二点鎖線で示すコントロールユニット100で制御され、コントロールユニット100にはトルクセンサからの操舵トルクTh及び車速検出系からの車速Velが入力される。モータ20では、モータ端子間電圧Vm及びモータ電流値iが計測されて出力される。
コントロールユニット100は操舵トルクThを用いて制御を行う破線で示すトルク系制御部110と、モータ20の駆動に関連した制御を行う一点鎖線で示すモータ系制御部120とで構成されている。トルク系制御部110はアシスト量演算部111、微分制御部112、ヨーレート収れん性制御部113、ロバスト安定化補償部114及びセルフアライニングトルク(SAT)推定フィードバック部115によって構成され、加算部116A及び116B、減算部116Cを具備している。また、モータ系制御部120は補償部121、外乱推定部122、モータ角速度演算部123、モータ角加速度演算部124及びモータ特性補償部125で構成され、加算部126A及び126Bを具備している。
操舵トルクThはアシスト量演算部111、微分制御部112、ヨーレート収れん性制御部113及びSAT推定フィードバック部115に入力され、いずれも車速Velをパラメータ入力としている。アシスト量演算部111は操舵トルクThに基づいてアシストトルク量を演算し、ヨーレート収れん性制御部113は操舵トルクTh及びモータ角速度ωを入力とし、車両のヨーの収れん性を改善するために、ハンドルが振れ回る動作に対してブレーキをかけるようになっている。また、微分制御部112はステアリングの中立点付近の制御の応答性を高め、滑らかでスムーズな操舵を実現するようになっており、SAT推定フィードバック部115は操舵トルクThと、アシスト量演算部111の出力に微分制御部112の出力を加算部116Aで加算した信号と、モータ角速度演算部123で演算されたモ−タ角速度ωと、モータ角加速度演算部124からのモータ角加速度αとを入力してSATを推定し、推定したSATをフィードバックフィルタを用いて信号処理し、ハンドルに適切な路面情報を反力として与えるようになっている。
また、アシスト量演算部111の出力に微分制御部112の出力を加算部116Aで加算した信号に、ヨーレート収れん性制御部113の出力を加算部116B7で加算した信号をアシスト量AQとしてロバスト安定化補償部114に入力している。ロバスト安定化補償部114は例えば特開平8−290778号公報に示されている補償部であり、検出トルクに含まれる慣性要素とばね要素で成る共振系の共振周波数におけるピーク値を除去し、制御系の応答性と安定性を阻害する共振周波数の位相のズレを補償するものである。ロバスト安定化補償部114の出力からSAT推定フィードバック部115の出力を減算部116Cで減算(補正)することで、路面情報を反力としてハンドルに伝えることができるアシスト量Iaが得られる。
更に、モータ角速度演算部123はモータ端子間電圧Vm及びモータ電流値iに基づいてモータ角速度ωを演算するものであり、モータ角速度ωはモータ角加速度演算部124、ヨーレート収れん性制御部113及びSAT推定フィードバック部115に入力される。モータ角加速度演算部124では、入力されたモータ角速度ωに基づいてモータ角加速度αを演算し、演算したモータ角加速度αはモータ特性補償部125に入力される。モータ特性補償部125の出力Icに、ロバスト安定化補償部114の出力からSAT推定フィードバック部115の出力を減算したアシスト量Iaが加算部126Aで加算され、その加算信号が電流指令値Irとして微分補償部等で成る補償部121に入力される。補償部121で補償された電流指令値Iraに外乱推定部122の出力を加算部126Bで加算した信号がモータ駆動部21及び外乱推定部122に入力される。外乱推定部122は特開平8−310417号公報で示されるような装置であり、モータ出力の制御目標である補償部121で補償された電流指令値Iraに外乱推定部122の出力を加算した信号と、モータ電流値iとに基づいて、制御系の出力基準における希望するモータ制御特性を維持することができ、制御系の安定性を失うことがないようにしている。
ここで、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図3に示して説明する。ドライバがハンドル1を操舵することによって操舵トルクThが発生し、その操舵トルクThに従ってモータ20がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪が転舵され、反力としてSATが発生する。また、その際、モータ20の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってハンドル操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、sign()を符号関数として、下記数1のような運動方程式が得られる。
(数1)
J・α+Fr・sign(ω)+SAT = Tm + Th

ここで、上記数1を初期値ゼロとしてラプラス変換し、SATについて解くと下記数2が得られる。
(数2)
SAT(s) = Tm(s)+Th(s)−J・α(s)−Fr・sign(ω(s))

上記数2から分るように、モータ20の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、モータ角加速度α、操舵補助力Tm及び操舵トルクThよりSATを推定することができる。かかる理由より、SAT推定フィードバック部115には操舵トルクTh、モータ角速度ω、モータ角加速度α、アシスト量演算部111の出力がそれぞれ入力されている。
また、SAT推定フィードバック部115で推定したSAT推定値*SATをそのままフィードバックした場合、ステアリングが重くなり過ぎるため、操舵感覚を向上することはできない。そのため図4に示すように、車速感応ゲインと周波数特性を有するフィードバックフィルタ115Aを用いてSAT推定値*SATを信号処理し、操舵感覚を向上するのに必要十分な情報のみをフィードバックしている。ここで用いるフィードバックフィルタ115Aは静特性ゲインとして、推定したSATの大きさを必要十分な値に減少させるゲインを持つQフィルタ(位相遅れ)115Bと、図5に示すような車速Velに感応したゲイン部115Cを持ち、据え切りや低速走行といった路面情報の重要性が比較的低い場合には、フィードバックする路面情報を小さくしている。
上述の特許文献2に記載の装置では、抑制したい外乱が存在する周波数帯域と、伝えたい外乱が存在する周波数帯域とを両立するようにSAT推定のフィードバックを構成しているが、抑制したい外乱を積極的に打ち消すという機能はない。
一方、車両では、通常制動時及び定常走行時に、乗員に不快感を与えるブレーキジャダーとシミーが発生する。ブレーキジャダーは車両の制動時に発生するフロア・ペダル振動のことで、ステアリング回転方向に振動を伴う場合もある。ブレーキディスクのDTV(Disk Thickness Variation)により発生する制動トルク変動が起振源で、車輪の回転の1次成分及び高次成分を有する。これがサスペンションの前後の共振などで増幅され、車体やステアリングシステムを伝達して、フロア・ペダル振動やステアリング振動となる。また、シミーは車両走行時にステアリング回転方向に発生する振動のことであり、タイヤ、ホイールなどの回転部分のアンバランスやノンユニフォミティが起振源となり、サスペンション共振で増幅され、ステアリングシステムを介してステアリング回転方向の振動となる。
このようなブレーキジャダーやシミーについて、特許文献2の装置では何ら考慮しておらず、また、特開2002−145075(特許文献3)や特開2002−161969(特許文献4)ではブレーキジャダーやシミーの振動を減衰させる装置を開示しているが、いずれも機械的な対応であり、コストアップになると共に、車速感応といったきめ細かな抑制ができないという問題がある。
更に、ステアリング系の慣性や摩擦が大きい場合はブレーキジャダーによる振動はハンドルまで伝わらないが、良好な操舵フィーリングや車両安定性のためには、ステアリング系の慣性や摩擦は極力小さいことが望ましい。
かかる要請と上記問題を解決した電動パワーステアリング装置が、特開2006−199219号公報(特許文献5)に提案されている。即ち、モータ角速度、モータ角加速度、操舵補助力及び操舵トルクを入力してSATの推定若しくはセンサによる測定を行うSAT推定部を設け、SAT推定部で求められたSAT推定値を、ハイパスフィルタを含む伝達関数部及びゲイン部を通して操舵補助指令値(電流指令値)に加算すると共に、ハイパスフィルタ及びゲイン部の特性が車速に感応して変化するようになっている。
図6はその構成を図2に対応させて示しており、SAT推定部118からのSAT推定値*SATを、フィードバック部119を経て減算部116Cに入力している。そして、フィードバック部119は図7に示すように、SAT推定値*SATを入力して高周波成分を出力する車速感応型のHPF(ハイパスフィルタ)119Aと、ゲインKを乗算する車速感応型のゲイン部119Bとで構成されている。高速時はハイパスフィルタ119Aのカットオフ周波数を高くすると共に、ゲインKも大きくし、低速時はハイパスフィルタ119Aのカットオフ周波数を低くすると共に、ゲインKも小さくする。
特開平8−290778号公報 特開2002−369565号公報 特開2002−145075号公報 特開2002−161969号公報 特開2006−199219号公報
特許文献2に開示されている装置では、外乱をフィードバックしたときに発散しないようにQフィルタ(位相遅れ)を介挿し、路面からの不快な振動をモータが増幅しないようになっているが、これは不快な振動(ブレーキジャダーやシミー)を打ち消すことにはならない。また、特許文献5に記載の電動パワーステアリング装置によれば、SAT推定値にハイパスフィルタを介挿し、外部から入力されるラック反力を推定(SAT推定値)し、ドライバに伝えたくない反力を打ち消すようにモータを制御し、ブレーキジャダーやシミーの抑制を図るようにしている。SAT推定値を外乱として積極的に打ち消しているため、操舵フィーリングが向上する。しかしながら、特許文献5の装置では、HPFを単一で使用しているため、車速感応型であっても広範囲(車速、周波数)での制御ができず、ソフト演算に大きな負荷がかかってしまう問題がある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、走行状態と振動の発生は、車速に対して必ずしもシビアではなく、様々な振動原因に対し、車速幅を限定的に捕らえることができる。従って、本発明の目的は、車速を段階的に区切ることでソフトの演算負荷を軽減し、チューニングし易くし、ブレーキジャダーやシミーの抑制を図って安全で快適な操舵性能が得られると共に、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上することができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、操舵トルク及び車速に基づいてモータ電流指令値を演算し、前記モータ電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記電流指令値、前記操舵トルク、前記モータのモータ角速度及びモータ角加速度に基づいてSATを推定するSAT推定部と、前記SAT推定部で推定されたSAT推定値1を車速に応じてフィルタリングするBPF部と、前記BPF部からのSAT推定値2を車速感応でゲイン倍する車速感応型ゲイン部とを具備し、前記車速感応型ゲイン部からのSAT推定値3で前記電流指令値を補正することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記BPF部が、複数のBPFと、車速を検知する車速検知部と、前記車速に基づいて前記複数のBPFを切替える切替部とで構成されていることにより、或いは前記複数のBPFの切替にヒステリシスを与えるヒステリシス設定部が前記切替部に接続されていることにより、或いは前記車速感応型ゲイン部のゲインが、所定車速1までは0であり、前記所定車速1以上で所定車速2(>所定車速1)よりも小さい範囲で次第に1.0まで増加する特性であり、前記所定車速2以上で1.0の一定値となっていることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、複数のBPFを車速によって切替えるようにしているので、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上させることができると共に、必要な周波数帯域以外のゲインを下げることができ、操舵フィーリングへの影響を抑えることができる。特に一般速度域0〜100Km/h、高速速度域100〜130Km/h、最高速度域130Km/h以上の各水準の速度域に合わせて、BPFを切替えるようにしているので、ブレーキジャダー、中速シミー、高速シミー、高速走行振動を、ターゲットを絞って効果的に制振することができる。これらの振動周波数と車体の造りの違いによる共振周波数のずれがあった場合にも補償効果が高い。また、複数のBPFの切替にヒステリシス特性を設けているので、フィルタの切替時においてもチャタリングを生じることもなく、安定した動作を実現できる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 路面から操舵系までの間に発生するトルクの様子を示す模式図である。 SATフィードバック部の構成例を示すブロック図である。 車速感応ゲイン部の特性例を示す図である。 従来の制御系の構成例を示すブロック図である。 SAT推定部及びフィードバック部の構成例を示すブロック図である。 本発明の原理を説明するための特性図である。 本発明のフィルタリング原理を説明するための特性図である。 本発明のフィルタリング原理を説明するための特性図である。 本発明の構成例を示すブロック図である。 本発明に係るフィードバック部の構成例を示すブロック図である。 本発明に係るBPF部の構成例を示すブロック図である。 本発明に係る車速感応ゲイン部の特性例を示す特性図である。 本発明の動作例を示すフローチャートである。 本発明の効果を従来例と比較して示す特性図である。
操舵系へ作用するブレーキジャダー、シミーの周波数は、例えば図8に示すようにタイヤの回転速度(車速)に応じて変化するため、車速から共振周波数を決定することができる。一方では、ドライバが不快を感じる振動は、周波数のみならず、振幅の影響が大きい。振幅は、車体の構成部品との共振による増幅作用があり、必ずしも不快な振動は、車速との比例関係にはない。これらの車両特性から、一般的に中速シミーは80Km/h前後、高速シミーは100〜130Km/h前後で発生することが知られている。従って、振動の発生域を区切って、車速に応じて複数のフィルタ特性を切替えて使用することで、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上することができ、それに伴ってソフト演算負荷を軽減することができる。
そのため、本発明では複数のBPF(バンドパスフィルタ)を用意しておき、車速に応じて、制振効果の大きいBPFの特性を切替えてフィルタリングのフィルタをシフトさせることで、できるだけ広い周波数帯域で制振効果を向上することができるようにしている。例えば図9は周波数帯域の異なる3つのBPF#1〜BPFG#3を例に挙げており、BPF#1〜BPFG#3の1つを車速の区間毎に切替えて使用する。更に、本発明では、車速がフィルタ切替車速近傍のときのチャタリングを防止するため、図10に示すように車速の加速時と減速時とで、BPFの切替にヒステリシス特性HY1及びHY2を設けている。
本発明によれば、複数のBPFを車速によって切替えて使用するようにしているので、ドライバへ伝えたくない不快な振動の制振効果を、より広い周波数帯域で向上させることができる。また、フィルタの切替にヒステリシス特性を設けているので、切替時にチャタリングを生じることもない。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図11は本発明の構成例を図6に対応させて示しており、車速感応型のフィードバック部200をSAT推定値118と減算部116Cとの間に設けている。フィードバック部200の構成は図12に示すように、車速Velに応じて使用するBPFの周波数帯域を切替えるBPF部210と、車速Velに感応してゲインGを変える車速感応型ゲイン部220とで構成されている。即ち、SAT推定部118で推定されたSAT値*SATはBPF部210に入力され、車速Velに応じた周波数成分だけが抽出され、フィルタリングされたSAT値SATfが車速感応型ゲイン部220で車速Velに応じてゲインG倍され、得られたSAT値SATcが減算部116Cに補正入力される。
BPF部210の構成は図13に示すように、SAT推定値*SATを入力し、周波数帯域が図9に示すようにそれぞれ異なるBPF(#1)211〜BPF(#3)213と、車速Velを検知する車速検知部214と、車速検知部214で検知された車速Vdに対応して使用するBPF211〜213を切替えるスイッチ信号SWを出力する切替部215と、切替のヒステリシス幅HSを設定するヒステリシス設定部216と、BPF211〜213の出力*SAT1〜*SAT3を入力してSAT推定値SATfを出力するOR部217とで構成されている。切替部215は、車速Vdに従ってBPF211〜213の1つを使用するようにスイッチ信号SWで切替え、切替えられたいずれか1つのBPFでフィルタリングするようになっている。切替部215にはヒステリシス設定部216からヒステリシスHYが設定されて入力されており、加速時と減速時とで、切替える車速がヒステリシスHYで相違するようになっている。ヒステリシスHYは、図10に示すようにBPF211とBPF212との間(ヒステリシスHY1)、BPF212とBPF213との間(ヒステリシスHY2)で相違するようにしても良い。
OR部217から出力されるSAT推定値SATfは車速感応型ゲイン部220に入力されるが、その車速対ゲインG特性は図14に示すように、所定速度1(本例では50Km/h)まではゲインG=0であり、所定速度1を超え所定速度2(本例では70Km/h)まではゲインG=1.0まで線形に増加し、所定速度2を超える範囲においてはゲインG=1.0で一定となっている。
なお、図14の例では、ゲインGは所定速度1〜2の範囲で線形に増加しているが、非線形の増加特性であっても良い。
このような構成において、本発明の動作例を図15のフローチャートを参照して説明する。フィードバック部200以外の動作は前述の通りであり、ここではフィードバック部200及びSAT推定部118の動作を説明する。
SAT推定部118は操舵トルクTh、モータトルクTmに対応する電流指令値(アシスト量)、モータ角速度ω、モータ角加速度αを入力し(ステップS200)、前述の手法でSATを推定する(ステップS201)。推定されたSAT推定値*SATはBPF部210内のBPF211〜213へ入力される。
他方、車速検知部214は車速Velを入力し(ステップS202)、検知した車速Vdを切替部215に入力する。切替部215にはヒステリシス設定部216よりヒステリシスが設定されており(ステップS203)、切替部215は検知した車速Vdに従ってBPF211〜213を切替え(ステップS204)、切替えられたBPFを用いてSAT推定値*SATをフィリタリングする(ステップS205)。フィルタリングされたSAT推定値(*SAT1〜*SATのいずれか1つ)はOR部217に入力され(ステップS206)、OR部217を経てSAT推定値SATfとして出力される(ステップS207)。
SAT推定値SATfは車速感応型ゲイン部220に入力される。車速感応型ゲイン部220は、車速Vd(若しくはVel)に従って図14に示す特性のゲインGを設定し(ステップS210)、入力されたSAT推定値SATfをゲインG倍し(ステップS211)、ゲイン補正されたSAT推定値SATcを出力する(ステップS212)。
図16は、加速時のステアリングの周方向の振動の制振効果を従来例(破線)と比較して示しており、振動を制振する周波数帯を広げることが可能となり、本発明による制振効果が向上していることが分かる。
なお、上述の実施形態では3個のBPFを用いて切替えるようになっているが、BPFの数は2以上であれば任意である。特に100Km/h以下を2つに区切ってもよい。また、上述では所定車速区間毎にBPFを切替える構成としているが、予め車速(周波数)からフィルタ定数を算出するための数式を用意しておき、連続的にフィルタを切替えるようにしても良い。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト)
10 トルクセンサ
12 車速センサ
13 バッテリ
20 モータ
21 モータ駆動部
100 コントロールユニット(ECU)
111 アシスト量演算部
112 微分制御部
113 ヨーレート収れん性制御部
114 ロバスト安定化補償部
115 SAT推定フィードバック部
118 SAT推定部
119 フィードバック部
200 フィードバック部
210 BPF部
211〜213 BPF
214 車速検知部
215 切換部
216 ヒステリシス設定部
217 OR部
220 車速感応型ゲイン部

Claims (4)

  1. 操舵トルク及び車速に基づいてモータ電流指令値を演算し、前記モータ電流指令値に基づいてモータを駆動して操舵系をアシスト制御する電動パワーステアリング装置において、
    前記電流指令値、前記操舵トルク、前記モータのモータ角速度及びモータ角加速度に基づいてSATを推定するSAT推定部と、前記SAT推定部で推定されたSAT推定値1を車速に応じてフィルタリングするBPF部と、前記BPF部からのSAT推定値2を車速感応でゲイン倍する車速感応型ゲイン部とを具備し、
    前記車速感応型ゲイン部からのSAT推定値3で前記電流指令値を補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記BPF部が、複数のBPFと、車速を検知する車速検知部と、前記車速に基づいて前記複数のBPFを切替える切替部とで構成されている請求項1に記載の電動パワーテアリング装置。
  3. 前記複数のBPFの切替にヒステリシスを与えるヒステリシス設定部が前記切替部に接続されている請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記車速感応型ゲイン部のゲインが、所定車速1までは0であり、前記所定車速1以上で所定車速2(>所定車速1)よりも小さい範囲で次第に1.0まで増加する特性であり、前記所定車速2以上で1.0の一定値となっている請求項1乃至3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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