JP2013247872A - オリーブゼリー食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゼリー状液およびオリーブ果実を容器詰めしたゼリー食品であって、ゼリー状液がD−プシコースおよびD−アロースを含む液糖、オリーブ果汁、酸味料、およびオリーブ茶を含むオリーブゼリー食品。
【選択図】なし
Description
これまで、ゼリー食品の材料の一つとして、緑茶、紅茶などの茶類が利用されてきた。例えば、果汁、乳製品、コーヒー、紅茶、ココアからなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を含む飲食品原料液を用いるゼリー含有飲食品(特許文献1)や、緑茶の抽出液に、カゼインおよびβ−サイクロデキストリンを添加混合して得られる緑茶抽出組成物を用いたゼリー類などの飲食品(特許文献2)を挙げることができる。
希少糖としては、ノンカロリーながら甘味が砂糖の7割程度である「D-プシコース」「D-アロース」などの成分を含む15%程度含有する異性化糖が希少糖含有シロップ(液糖)として製造できるようになった。そのシロップのカロリーは従来の異性化糖に比べて2割程度低く、甘味は白砂糖の9割程度であり従来の異性化糖と同様に、飲料や菓子類、めんつゆなどの調味料や総菜など、幅広く利用することができる。
こうした抗酸化性などの機能性を有する食品材料は日常の生活する中で摂取することができる形態での供給が望まれている。
本発明の特徴は、オリーブ植物を原料として、オリーブをどのように用いれば、オリーブの風味を損じることなく、かつオリーブ特有の風味、食感をも持つ、あるいはオリーブ葉に特有の苦渋味を生かしたオリーブ加工料理を提供することができるかについて鋭意研究を積み重ねることにより、本発明者は、この問題はD−プシコースおよびD−アロースを含む液糖を併用するゼリー食品により解決するものであることを見出した点にある。
本発明は、オリーブ茶に特有の苦渋味をゼリー食品に生かすとともに、オリーブ茶に固有の風味、おいしさ、健康食品としての効能を維持しているという特徴を持つオリーブ茶含有ゼリー食品を提供することを目的とする。また、本発明は、オリーブ果実や果汁によりオリーブの風味や食感をもつオリーブゼリー食品を提供することを目的とする。
本発明は以下の(1)〜(8)をその技術的要素とするものである。
(1)ゼリー状液およびオリーブ果実を容器詰めしたゼリー食品であって、ゼリー状液がD−プシコースおよびD−アロースを含む液糖、オリーブ果汁、酸味料、およびオリーブ茶を含むことを特徴とするオリーブゼリー食品。
(2)ゼリー状液が、増粘多糖類を含有する(1)のオリーブゼリー食品
(3)増粘多糖類が、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、カラヤガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、マクロホモプシスガム、コーンスターチ、タピオカ澱粉などの澱粉、およびデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種である(2)に記載のオリーブゼリー食品。
(4)増粘多糖類が、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムの組み合わせからなり、増粘多糖類を0.2〜2重量%含有する(3)に記載のオリーブゼリー食品。
(5)液糖がブドウ糖を原料とする異性化糖から製造された糖であって、D−プシコース、D−アロース、ブドウ糖および果糖を含有する(1)から(4)に記載のオリーブゼリー食品。
(6)オリーブ茶が、オリーブ葉の水抽出物である(1)ないし(5)のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
(7)オリーブ果実が、渋抜き処理及び種抜きを行い貯蔵した種抜きオリーブを塩抜きしたものである(1)から(6)のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
(8)酸味料が、クエン酸、乳酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種である(1)から(7)のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
本発明のオリーブゼリー食品は、生理活性を有するD-アロースおよびD-プシコースをさらに含むことにより健康上の増進効果を示す。これらの希少糖はオリーブ茶の苦味、渋みを抑えることができるためだれにでも、簡便にオリーブ茶の有効成分を摂取することを可能とする。さらに、オリーブ茶の風味を失うことなくゼリー食品に加工することができる。
以下に、本発明のオリーブゼリー食品について詳細に説明する。
オリーブ葉に含まれるポリフェノールの1種のオレウロペインという物質は、オリーブに特に豊富に含まれている物質であって、抗酸化活性(老化を防ぐ)のほか、抗菌活性(病原菌のアミノ酸合成を妨げて増殖を防ぐ)、チロシナーゼ阻害活性(美白効果)などにも関係の深い物質である。さらに、アピゲニン、ルテオニン、ケルセチンなどのフラボノイドが含まれ、いずれも、抗酸化活性を有することが知られている。その他、カルシウム、鉄分、トコフェロール(ビタミンE)を含有し、その効果としては、老化予防、生活習慣病の予防などが期待されている。
本発明で使用されるオリーブ茶の製造法としては、例えば、生葉を摘採、蒸し、冷却、葉打ち、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の日本茶の茶葉の加工工程と同じ工程で行っているもの、あるいは、製品の苦味や渋みを抑えるために工夫をした製造方法が知られているが、本発明において使用されるオリーブ茶はいずれの製造方法によるものでも良い。本発明によりオリーブ茶の苦味や渋みは適度に抑えられる。オリーブ茶は、オリーブ茶葉を湯あるいは水で抽出したものであり、オリーブ茶と湯との比率は抽出液の苦味や抽出成分の含有量に応じて適宜選定することができる。ゼリー状液における抽出した液状オリーブ茶の割合は、10〜150重量%程度である。下限値よりも低いとオリーブ茶を含有したゼリーとしての特徴がなくなり、上限値よりも多くなるとオリーブ茶の味覚が顕著になり食べにくい食品となる。
オリーブ茶と同時にオリーブ茶葉の粉砕物あるいは切断片をゼリー液に添加しても良い。こうしたオリーブ茶葉の混入は、ゼリーを一層オリーブ茶としての独特の味覚を与えることとなる。茶葉の添加量は、1〜0.1重量%が好ましい。
本発明で使用する増粘多糖類は特に限定されないが、例えば、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、カラヤガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、マクロホモプシスガム、コーンスターチ、タピオカ澱などの澱粉、およびデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。特に、カラギナン、ローカストビーンガム、脱アシル型ジェランガム、寒天及びゼラチンから選ばれる1種以上を主成分として用いることが好ましく、例えば、脱アシル型ジェランガムとカラギナンの組み合わせ、あるいは、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムの組み合わせが挙げられる。これら増粘ゲル化剤の添加量は、ゼリー液に対して、0.2〜2重量%程度を例示することができるが、製品の性状にあわせて調整される。
本発明で使用される液糖には、ブドウ糖、果糖、D−プシコース、D−アロースを含むものである。その製造については、例えば、D-グルコースとD-フラクトースの「ぶどう糖果糖液糖」を、グルコースイソメラーゼを用いてD-グルコースの約半分をD-フラクトースに変換し、砂糖の甘味度に近づいた代替糖として工業的に生産されており、コーヒーや紅茶のガムシロップとして商品化されている異性化糖を原料とすることができる。異性化糖という呼称は普通、D-グルコースとD-フラクトースの混合糖液のことを指す。これは、現在D-グルコースを原料としたグルコースイソメラーゼによる異性化反応でしか工業的に実用化されていないためである。
原料糖としてのD-グルコースとD-フラクトースを主組成とする液糖である異性化糖、もしくはD-グルコースおよび/またはD-フラクトースからなる混合原料糖液を、塩基性イオン交換樹脂、アルカリ、およびカルシウム塩からなる群から選ばれる一種以上が存在する系で処理することにより、異性化糖の一部をD-プシコースとD-アロースに変換する平衡反応である異性化反応を生じさせて製造することができる。生成した糖は、糖質含量に対して0.5〜17.0%のD-プシコースおよび0.2〜10.0%のD-アロースを含む糖組成物である。液糖は、オリーブゼリーに5〜20重量%の範囲で使用されるが、他の甘味料を併用しても良い。
D−プシコースおよびD−アロースを含む液糖は、オリーブ茶の苦味を緩和するばかりか、同時に糖自体が薬効を示す。さらに、酸味料との組み合わせにより、爽やかでキレのある甘味を呈するものとなる。
異性化糖の強塩基性イオン交換樹脂による液糖の製造の一例を示す。
異性化糖(D-グルコース55%、D-フラクトース45%;w/w)の10%(w/v)溶液500mlを、温度60℃、送液速度1.6ml/minで充填後の強塩基性イオン交換樹脂38.5mlに送液した(樹脂:アンバーライトIRA900J[Cl]、カラム内径1.5cm)。この時にカラムから溶出してくる経時的な反応液をサンプリング後、HPLC(検出器;RI、カラム;三菱化成
MCI GELCK 08EC)にて分析した。通液後(500ml)の溶液の糖組成は、D-グルコース45.9%、D-マンノース+D-アルトロース4.9%、D-フラクトース37.7%、D-アロース1.5%、D-プシコース3.7%であり、3.7%のD-プシコース溶液が得られた。
樹脂を用いない液糖の製造の一例を示す。
異性化糖(D-グルコース55%、D-フラクトース45%;w/w)を0.07mol/l Ca(OH)2溶液で、10%(w/v)になるように調整し、60℃で1時間反応した。反応後の糖液を脱塩し、糖組成をHPLC(検出器;RI、カラム;三菱化成 MCI GEL CK 08EC)にて分析した。反応液の糖組成は、糖質含量に対して、D-グルコース39.8%、D-マンノース+D-ソルボース+D-アルトロース10.8%、D-フラクトース27.8%、D-アロース2.8%、D-プシコース5.2%であった。
酸味料は食品に酸味の付与または酸味の調整や味の調和のために使用するが、酸味を加えるだけでなく保存、酸化防止、ph調整剤としての役割をも有しするものであり、主にクエン酸、乳酸、リンゴ酸などが用いられる。本発明では、酸味料はD-プシコースおよびD-アロースを含む液糖との組み合わせによりキレが良く爽やかな甘味をオリーブゼリーに付与することができる。酸味料であるクエン酸、乳酸などは0.1〜1重量%存在することにより液糖による甘味を改善することができる。
[オリーブ果実」
本発明では、オリーブ果実はゼリーと共にビン詰にする際に、本製品がオリーブ加工品であることを示す明かしとして、また、外観上の良さを示すものとして通常貯蔵用に加工したオリーブ果実を添加する。オリーブ果実は、渋抜き処理及び種抜きを行い貯蔵した種抜きオリーブを塩抜きしてから用いられる。完熟前のグリーン色の段階で収穫したオリーブ果実を用いる。完熟前のグリーン色の段階で収穫したオリーブ果実は、オリーブ独特の風味が残った状態で苦味抜き(または渋味抜き)をする必要がある。苦味の主成分であるオリーブポリフェノールは、アルカリ条件下で不安定になり、溶出しやすくなることを利用して苦味抜きを行う。渋抜き(苦味抜き)は、収穫したオリーブ果実をポリタンクに入れ、濃度を調整したアルカリ溶液を添加し、そのまま10〜15時間漬け込んで行う。渋抜きした果実から残留したアルカリを除去するため、水洗をていねいに行い、さらに、水に一昼夜漬け込む。ついで少しずつ塩分を高くした塩水に漬け込む。砂糖を加え、よく混ぜ、低温で3〜5ヶ月保存して乳酸発酵させる。乳酸発酵させた果実の種を抜いて貯蔵する。本発明は、渋抜き処理及び種抜きを行い貯蔵した原料オリーブを、塩抜きしてから用いる。
オリーブ果汁はオリーブからオリーブオイルを抽出する際に遠心分離によって分離された果汁であり、メラニン色素の生成を阻止するヒドロキシチロソールというポリフェノールが含まれており、美白効果があると言われている。オリーブ果汁は0.3〜2重量%をゼリー液に添加することができ、ゼリー液にオリーブの風味を増強させるためにも用いられる。
液糖単独では甘味が不足する場合や砂糖に近い甘味を出したい時には砂糖などの甘味料を添加しても良い。添加量は目的とする甘味に応じた値とすればよい。
希少糖である「D−プシコース」、さらに「D−アロース」などの希少糖を約15パーセント程度含むシロップ(液糖)(株式会社レアスイート販売) 15kg、
砂糖(ビート上白 HO:日本甜菜糖株式会社) 8kg、
オリーブ果汁(丸仲食品有限会社) 1kg、
増粘多糖類
(ゲルアップWM−100:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社) 1.05kg、
酸味料(クエン酸(結晶)16M:昭和化工株式会社) 280g、
オリーブ茶
(オリーブ茶葉(株式会社ヤマヒサ)を100倍の水で沸騰後、5分間煮出)40L、
オリーブ茶葉 400g、
水 約35kg、
上記の配合物100kgを加熱して増粘多糖類を水に溶解した後、常温以下に冷却してゼリー状とした。
上記により製造したオリーブゼリーを試食パネラー10名により評価した。評価項目(甘味、甘味のキレ、さっぱり感、オリーブの渋み苦味)につい、非常に良い、良い、普通、少し悪い、悪い、の五段階とした。試験の結果は、各項目で、ほとんどが非常によい、あるいは良いとの評価が得られた。
ガラス製のビンに実施例3のオリーブゼリーを詰め、さらにオリーブ果実を添加した後、120℃、30分加熱殺菌した。瓶内のゼリーは73.7gあり、オリーブ果実一粒(やく1.3g)との合計で75gであった。その後、出来た製品を包装して出荷した。製品は6ヶ月以上変質がないことが認められた。
Claims (8)
- ゼリー状液およびオリーブ果実を容器詰めしたゼリー食品であって、ゼリー状液がD−プシコースおよびD−アロースを含む液糖、オリーブ果汁、酸味料、およびオリーブ茶を含むことを特徴とするオリーブゼリー食品。
- ゼリー状液が、増粘多糖類を含有する請求項1のオリーブゼリー食品
- 増粘多糖類が、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、カラヤガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、マクロホモプシスガム、コーンスターチ、タピオカ澱粉などの澱粉、およびデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載のオリーブゼリー食品。
- 増粘多糖類が、脱アシル型ジェランガム、カラギナン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムの組み合わせからなり、増粘多糖類を0.2〜2重量%含有する請求項3に記載のオリーブゼリー食品。
- 液糖がブドウ糖を原料とする異性化糖から製造された糖であって、D−プシコース、D−アロース、ブドウ糖および果糖を含有する請求項1から4に記載のオリーブゼリー食品。
- オリーブ茶が、オリーブ葉の水抽出物である請求項1ないし5のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
- オリーブ果実が、渋抜き処理及び種抜きを行い貯蔵した種抜きオリーブを塩抜きしたものである請求項1から6のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
- 酸味料が、クエン酸、乳酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種である請求項1から7のいずれかに記載のオリーブゼリー食品。
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