JP2013245216A - 拭取り用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロース系繊維を含むシート状の繊維集合基材に対して、抗菌剤を含有する薬液を含浸させてなる拭取り用シートにおいて、薬液は、水を95.00〜99.00重量%、抗菌剤を1.00〜5.00重量%の割合で含有し、抗菌剤は、塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウム、ポリオール、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、及び塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを少なくとも含有し、且つ、パラベン類、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノールを含有しない。
【選択図】なし
Description
拭取り用シートにおいては、保管・使用中における防腐や拭取り対象の除菌等、種々の目的で薬液中に抗菌剤を含有させることが提案されている。
セルロース系繊維を含むシート状の繊維集合基材に対して、抗菌剤を含有する薬液を含浸させてなる拭取り用シートにおいて、
前記薬液は、水を95.00〜99.00重量%、前記抗菌剤を1.00〜5.00重量%の割合で含有し、
前記抗菌剤は、塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウム、ポリオール、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、及び塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを少なくとも含有し、且つ、パラベン類、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノールを含有しないことを特徴とする。
前記抗菌剤は、0.01〜1.00重量%の塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウム、0.10〜2.00重量%のポリオール、0.02〜0.50重量%の安息香酸ナトリウム、0.01〜1.00重量%の塩化セチルピリジニウム、及び0.01〜0.50重量%の塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを少なくとも含有することを特徴とする。
前記薬液の含有量が、前記繊維集合基材の乾燥重量の140〜200重量%であることを特徴とする。
本発明に係る拭取り用シートは、セルロース系繊維を含むシート状の繊維集合基材、例えば不織布等に対して、精製水に各種成分を添加した薬液を含浸させることにより製造されるものである。
拭取り用シートは、製品形態では、開閉蓋により密閉可能とされたシート取出口を有する密閉容器(例えば、特開2008−105746号公報、特開2007−176546号公報、特開2007−176545号公報、特開2007−176544号公報、特開2006−341905号公報)や袋(例えば特開2005−088970号公報)等の包装手段内に収容することができる。
使用に際しては、拭取り用シートを容器又は袋内に直に入れたもの、或いは拭取り用シートを直に入れた袋を容器内に入れたものから、使用者が取出口を開けて内部のシートを引き出して使用する。
拭取り用シートの表面にこのような凹凸部を形成すると、繊維集合基材中のセルロース系繊維の配合が多い場合(例えば、繊維集合基材中にセルロース系繊維が50〜60重量%の割合で配合されている場合)、吸水後に嵩が減っても接触面積が増えないため、使用に際して拭取り対象物に貼りつきにくく、また、薬液で溶かした汚れを凹部に取り込むことができることとなる。
一般に、拭取り用シートにおける薬液の含有量は、繊維集合基材の乾燥重量の230重量%程度であるが、本発明の拭取り用シートは、薬液の含有量を200重量%以下としても防腐効果を得られるため、低コスト化を実現することができる。
なお、薬液含有量が140重量%より少ないと液分が十分に浸透せずに含浸ムラができ、溶液内の成分が偏在するという問題がある。
本発明のシート状の繊維集合基材としては、セルロース系繊維を含むものであれば特に限定されず、紙、不織布の他、織布等を用いることができ、また、水解性を有していないものの他、水解性を有しているものも用いることができる。
セルロース系繊維は、基材中に20〜75重量%の割合で配合するのが望ましく、50〜60重量%の割合で配合するのがより望ましい。
セルロース系繊維の含有量が20重量%より少ないと、十分な保水性及び柔軟性を与えることが出来ず、75重量%より多いと湿潤時強度が低すぎて破れなどが生じ易く嵩が保てなくなるとともに、容器からポップアップ式で取り出す際に伸びが生じ過ぎるようになる。
例えば、疎水性繊維として熱融着性繊維を配合し、繊維相互を融着結合することができる。熱融着性繊維としては、加熱によって溶融し相互に接着性を発現する任意の繊維を用いることができる。この熱融着性繊維は、単一繊維からなる物でもよいし、2種以上の合成樹脂を組み合わせた複合繊維等であってもよい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系単一繊維や、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート−エチレン・プロピレン共重合体、低融点ポリエステル−ポリエステルなどからなる鞘部分が相対的に低融点とされる芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、またはポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、ポロプロピレン/ポリエチレンからなる各成分の一部が表面に露出している分割型複合繊維、あるいはポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体からなる一方の成分の熱収縮により分割する熱分割型複合繊維などを用いることができる。この場合、生産性および寸法安定性を重視する場合は芯鞘型複合繊維が望ましく、ボリューム感を重視するならば偏心型複合繊維が望ましい。また、柔軟性を重視するならば、分割型複合繊維や熱分割型複合繊維を用いると、高圧水流処理によって各成分が容易に分割して極細繊維化されるようになる。
また、本発明の繊維集合基材においては、上記熱融着性繊維の他、熱可塑性合成繊維を混合することができる。熱可塑性繊維としては、種々の合成繊維が存在するが、中でもポリエステル繊維が好適である。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維は、高圧水流処理した際の交絡性が悪いとともに、毛羽立ちや湿潤強度に劣るようになる。
熱融着性繊維が10重量%より少ないと湿潤時強度が確保し得ないとともに、容器からポップアップ式で取り出す際に伸びが大きくなり過ぎるようになる。一方、熱融着性繊維が30重量%より多いと風合いが硬くなり、手触り感がざらついた感触となる。
また、熱可塑性繊維の含有量が40重量%より多いと、保水性が損なわれ、ウェット性能が著しく低下するようになる。なお、熱可塑性繊維を混入することにより、湿潤時のコシが向上し、嵩のある不織布を得ることができる。また、一部が不織布表面に露出することで、疎水性により湿潤時においてもべた付き感を緩和し、さらりとした感触が付与される。
薬液は、薬液全体を100.00重量%としたときに、95.00〜99.00重量%以上の水と、1.00〜5.00重量%の抗菌剤とを含有している。
特に、皮膚への刺激をより少なくするという観点から、薬液全体を100.00重量%としたときに、99.00重量%以上の水と、1.00重量%の抗菌剤とを含有している薬液とすることが望ましい。
本発明の薬液は、これら複数の抗菌剤により抗菌スペクトルを補填し合い、十分な抗菌効果が発揮されるものである。
また、この薬液には、パラベン類、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、及びブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル等は含有されていない。
このため、本発明の拭取り用シートは、皮膚への刺激が無く、且つ特異臭の無いものとなっている。
塩化ベンゼトニウムの薬液中の含有量は、0.01〜1.00重量%である。
塩化ベンゼトニウムの含有量が0.01重量%より少ないと抗菌効果が不足したり、セルロースのOH基とイオン結合して効力が低下し液層での抗菌効果が保たれないという問題点があり、1.00重量%より多いと温度が下がった時に溶解しきれずに析出したり、他の成分と塩を作って白濁したり、界面活性による発泡やぬめりが出るという問題点がある。
また、塩化ベンゼトニウムの代わりとして塩化ベンザルコニウムを用いることも可能である。しかしながら、塩化ベンゼトニウムは、常温において粉末状であって水に溶け易いため、扱いやすく、塩化ベンザルコニウムと比較してより好適に使用することができる。
また、これら塩化ベンゼトニウム及び塩化ベンザルコニウムは、いずれも特異臭を有さず、薬液中に含有されて拭取り用シートに適用された場合、拭取り用シートが薬液成分特有の臭いを有することが無い。
また、1,3−ブタンジオールは、低揮発性を有し、このため薬液中の水分が蒸発して容器等の内部に結露したとしても、その結露中に1,3−ブタンジオールが含有されることとなるため、結露における抗菌効果が得られることとなる。
1,3−ブタンジオールの薬液中の含有量は、0.10〜2.00重量%である。
1,3−ブタンジオールの含有量が0.10重量%より少ないと抗菌効果が不足し、5.00重量%より多いとぬめり・べたつきなどが出て使用感を損なうという問題点がある。
また、1,3−ブタンジオールの代わりとして、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル1−フェニル1,3−プロパンジオール、1,2−オクタンジオール、カプリリルグリコール、エチレンヘキシルグリセリン、εポリリジン、ジプロピレングリコール等を用いることも可能である。
安息香酸ナトリウムの薬液中の含有量は、0.02〜0.50重量%である。
安息香酸ナトリウムの含有量が0.02重量%より少ないと抗菌効果が不足するという問題点があり、0.50重量%より多いと肌に刺激があるという問題点がある。
塩化セチルピリジニウムの薬液中の含有量は、0.01〜1.00重量%である。塩化セチルピリジニウムの含有量がこの範囲であると、より顕著な抗菌効果を得ることができる。なお、塩化セチルピリジニウムは、含有量が多すぎると発泡やぬめりが出るという問題点がある。
塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドの薬液中の含有量は、0.01〜0.50重量%である。塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドの含有量がこの範囲であると、より顕著な抗菌効果を得ることができる。なお、塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドは、含有量が少なすぎると抗菌効果が不足するという問題点がある。
薬液中の水分含有量は、95.00〜99.00重量%である。これにより、皮膚への刺激を少なくすることができるので、本発明の拭取り用シートは、肌の敏感な人や乳幼児などであっても利用することができるものとなっている。
また、本発明の効果を損ねない範囲で、上記以外の成分を添加することができる。
実施例1、2及び比較例1、2として、表1に示す成分の配合された薬液を調製し、各薬液について、以下の基準により評価した。その結果は、表1に示す通りである。
○:特異臭及び肌刺激無し
×:特異臭及び/又は肌刺激が有る
セルロース系繊維としてレーヨン繊維(50重量%)、疎水性繊維としてPET繊維(30重量%)とPE/PP繊維(20重量%)からなる繊維集合基材に、実施例1、2の薬液を含浸させた拭取り用シートを作製した。
菌液としては、細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、カンジダ)、酵母、カビ(クロカビ、クロカワカビ)をそれぞれ含んだ3種類の菌液を用い、それぞれ、菌数が106〜107個/mlになるように生理食塩水に浮遊させた液を用いた。
Claims (3)
- セルロース系繊維を含むシート状の繊維集合基材に対して、抗菌剤を含有する薬液を含浸させてなる拭取り用シートにおいて、
前記薬液は、水を95.00〜99.00重量%、前記抗菌剤を1.00〜5.00重量%の割合で含有し、
前記抗菌剤は、塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウム、ポリオール、安息香酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、及び塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを少なくとも含有し、且つ、パラベン類、エタノール、イソプロパノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノールを含有しないことを特徴とする拭取り用シート。 - 前記抗菌剤は、0.01〜1.00重量%の塩化ベンゼトニウム又は塩化ベンザルコニウム、0.10〜2.00重量%のポリオール、0.02〜0.50重量%の安息香酸ナトリウム、0.01〜1.00重量%の塩化セチルピリジニウム、及び0.01〜0.50重量%の塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを少なくとも含有することを特徴とする請求項1に記載の拭取り用シート。
- 前記薬液の含有量が、前記繊維集合基材の乾燥重量の140〜200重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の拭取り用シート。
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