JP2013237732A - エネルギー線易剥離型粘着剤組成物及び粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリロニトリルをモノマー成分とする共重合体を含むアクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性化合物と、チオキサントン系重合開始剤と、架橋剤とを含有し、波長330nm以上410nm以下の範囲に吸収ピークを有するエネルギー線易剥離型粘着剤組成物2。
【選択図】図1
Description
本発明に係るエネルギー線易剥離型粘着剤組成物は、エネルギー線を照射することにより容易に剥離することができ、粘着テープ等の粘着剤層形成用に用いられる組成物のことであり、アクリロニトリルをモノマー成分とする共重合体を含むアクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性化合物と、チオキサントン系重合開始剤と、架橋剤とを含有し、波長330nm以上410nm以下の範囲に吸収ピークを有することに特徴がある。
アクリル系ポリマーは、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物の主剤として含まれ、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物の透明性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、塗工適性等を向上させるためのものである。こうしたアクリル系ポリマーは、高い極性を有し、粘着性に優れるアクリロニトリルをモノマー成分とする共重合体を主に含有する。アクリロニトリルをモノマー成分とする共重合体としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルとアクリロニトリルとの共重合体、アクリル酸エステルとアクリロニトリルと他の単量体との共重合体等が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレート、プロピレングリコールアクリレート、及びグリシジルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記したアクリル酸エステルの中でも、特に、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが、透明性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、塗工適性等に優れ、また、低コストである点で好ましい。
エネルギー線重合性化合物は、エネルギー線重合性のオリゴマー及びエネルギー線重合性のモノマーのことであり、エネルギー線の照射によるラジカル重合反応により、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させるとともに、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物の凝集力を高めて被接着面に転着させないようにするためのものである。こうしたエネルギー線重合性化合物は、エネルギー線の照射により重合し得るものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、及び光アニオン重合性等のオリゴマー及びモノマーが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性オリゴマー及び光ラジカル重合性モノマーが、硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、さらに、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に所望のものに制御することができるので、好ましく挙げられる。
重合開始剤は、エネルギー線重合性化合物の感応性を増進させるためのものであり、エネルギー線による重合硬化時間やエネルギー線照射量の低減が可能となる。重合開始剤は、少なくとも1種以上のチオキサントン系重合開始剤を含有する。また、チオキサントン系以外の重合開始剤が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。チオキサントン系の重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2、4−ジエチルチオキサントン及びイソプロプルチオキサントン等が挙げられる。また、チオキサントン系以外の重合開始剤としては、光重合開始剤であるならば特に限定されるものではなく、例えば、アセトフェノン系化合物及びアシルフォスフォンオキサイド系化合物等が挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等を挙げることができ、アシルフォスフォンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。こうした光重合開始剤の市販品として、例えば、BASFジャパン株式会社製のIRGACURE184、IRGACURE754、IRGACURE2959等が好適に挙げられる。
架橋剤は、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物の耐熱性を向上させ、高温にさらされる状況下で使用しても、粘着力が低下せず、固定や保護に必要な粘着力を保持させるためのものである。こうした架橋剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、及びそのウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、及びリジンイソシアネート等が挙げられる。
本発明に係る粘着テープ10は、電子部品の製造工程において、無機ガラス面及びシリコン面のいずれか一方又は両方を有する電子部品を一時的に固定又は保護するために使用され、図1に示すように、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物を含む粘着剤層2と、粘着剤層2が設けられる透明基材1と、を有することに特徴がある。なお、符号3は剥離層を表している。
透明基材1は、エネルギー線の透過を妨げない透明性と、耐熱性を有するものであれば、特に限定されない。耐熱性とは、具体的には、電子部品の製造工程における想定加熱温度(120℃)での使用に耐え得ることをいい、そのため、透明基材1の融点は120℃よりも高く、180℃よりも高いことが好ましい。また、透明基材1は、必要な強度と柔軟性とを有する基材が好ましい。こうした透明基材1の形成材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂を材料とする合成樹脂フィルムが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層2は、上記したエネルギー線易剥離型粘着剤組成物で形成される。なお、エネルギー線易剥離型粘着剤組成物については、上記した「エネルギー線易剥離型粘着剤組成物」欄で説明したので、ここではその説明を省略する。
剥離層3は、必須の構成ではないが、粘着テープ10の接着剤層2の上に設けられていることが好ましい。剥離層3とは、剥離性を有する剥離部材からなり、粘着剤層2の表面を保護する機能を有する剥離シートを意味する。剥離部材は、必要な強度と柔軟性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、一般には、シリコーン離型処理した合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、及びポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。剥離層3の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは25μm以上100μm以下である。
アクリル系粘着剤(アクリル系ポリマーとエネルギー線重合性化合物と重合開始剤との混合物、商品名:E−306、アクリル系ポリマー:n−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとアクリロニトリルとの共重合体,構成モノマーの質量比:(n−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルアクリレートの合計/アクリロニトリル)=(95/5)、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約65万、エネルギー線重合性化合物:ポリウレタンアクリレートオリゴマーとジペンタエリスリトールトリアクリレートとの混合物、重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)100質量部に対して、ウレタンアクリレート(エネルギー線重合性化合物、固形分100%、商品名:UV−7600B、日本合成化学工業株式会社製)60質量部、2、4−ジエチルチオキサントン(チオキサントン系重合開始剤、商品名:KAYACURE DETX−S、固形分:100%、日本化薬株式会社製)0.2質量部、及びイソシアネート系架橋剤(架橋剤、商品名:コロネートL、固形分:75%、日本ポリウレタン工業株式社製)1.6質量部を配合し、実施例1のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物を得た。
チオキサントン系重合開始剤の種類を、2、4−ジエチルチオキサントンからイソプロプルチオキサントン(チオキサントン系重合開始剤、商品名:SpeedcureITX、固形分100%、LAMBSON社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物と、実施例2の粘着テープを得た。
チオキサントン系重合開始剤の含有量を0.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物と、実施例3の粘着テープを得た。
実施例1のウレタンアクリレート(エネルギー線重合性化合物、固形分100%、商品名:UV−7600B、日本合成化学工業株式会社製)を、ウレタンアクリレート(エネルギー線重合性化合物、固形分100%、商品名:U−6HA、新中村化学工業株式会社製)に変更し、チオキサントン系重合開始剤の含有量を0.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のエネルギー線剥離型粘着組成物と、実施例4の粘着テープを得た。
チオキサントン系重合開始剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物と、比較例1の粘着テープを得た。
チオキサントン系重合開始剤の代わりに2−メルカプトチアゾールを配合したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物と、比較例2の粘着テープを得た。
実施例1,2及び比較例1,2で得られたエネルギー線易剥離型粘着剤組成物について、光線透過率の測定を行った。また、実施例1〜4及び比較例1,2で得られた粘着テープについて、(ア)初期の粘着力の測定、(イ)加熱処理後の粘着力の測定、(ウ)加熱処理後に紫外線照射をした後の粘着力の測定、を行った。
2 粘着剤層
3 剥離層
10 粘着テープ
Claims (5)
- アクリロニトリルをモノマー成分とする共重合体を含むアクリル系ポリマーと、エネルギー線重合性化合物と、チオキサントン系重合開始剤と、架橋剤とを含有し、波長330nm以上410nm以下の範囲に吸収ピークを有することを特徴とするエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。
- 前記チオキサントン系重合開始剤の含有量が、前記アクリル系ポリマーと前記エネルギー線重合性化合物との合計100質量部に対して、0.005質量部以上2質量部以下である、請求項1に記載のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。
- 前記チオキサントン系重合開始剤が、2,4−ジエチルチオキサントン又は2−イソプロピルチオキサントンである、請求項1又は2に記載のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエネルギー線易剥離型粘着剤組成物で形成される粘着剤層と、該粘着剤層が設けられる透明基材と、を有することを特徴とする粘着テープ。
- 前記透明基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項4に記載の粘着テープ。
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