以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)に、本発明の一実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを部分切欠正面断面図及び部分切欠平面図で示す。
図1(a)及び(b)に示すように、ダイシング−ダイボンディングテープ1は、長尺状の離型層2を有する。離型層2の上面2aに、粘接着剤層3と、基材層4と、ダイシング層5とがこの順に積層されている。従って、基材層4の一方の面4aに、粘接着剤層3が貼り付けられている。基材層4の一方の面4aとは反対側の他方の面4bに、ダイシング層5が貼り付けられている。
粘接着剤層3は、半導体チップのダイボンディングに用いられる層である。粘接着剤層3の離型層2が貼り付けられた面3aは、半導体ウェーハが貼り付けられる面である。
粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5の平面形状は、円形である。基材層4の外周側面は、粘接着剤層3により覆われていない。平面視において、基材層4は、粘接着剤層3よりも大きい。
平面視において、ダイシング層5の大きさは、基材層4の大きさとほぼ等しい。ダイシング層5の大きさは、基材層4の大きさと異なっていてもよい。すなわち、ダイシング層5の大きさは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、基材層4の大きさよりも大きくても小さくてもよい。ダイシング層5の大きさは、基材層4の大きさよりも大きい方が好ましい。
本発明に係るダイシング−ダイボンディングテープでは、ダイシング層5が省略されて、基材層4がダイシング層を兼ねてもよい。
ダイシングの際に、半導体チップの飛び等をより一層効果的に防止できるので、基材層4の粘接着剤層3が貼り付けられた一方の面4aとは反対側の他方の面4bにダイシング層5が貼り付けられていることが好ましい。この場合には、基材層4にエクスパンド性等が大きく要求されないため、基材層4を構成する材料及び組成をより広い範囲から選択できる。
また、ダイシング−ダイボンディングテープ1では、後述のように基材層4にダイシングリングを貼り付けることができるため、ダイシング層5にダイシングリングを貼り付ける必要がない。このため、ダイシング層5を省略できる。また、ダイシング層5にはダイシングリングを貼り付ける必要がないので、ダイシング層5は粘着力を有していなくてもよい。従って、ダイシング層5を構成する材料及び組成をより広い範囲から選択できる。
図1(a),(b)に示すように、長尺状の離型層2の上面2aに、粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5を有する複数の積層体が等間隔に配置されている。また、離型層2の上面2aに保護シート6,7が設けられている。なお、保護シート6,7は設けられていなくてもよい。また、離型層2、粘接着剤層3、基材層4及びダイシング層5の厚み及び形状は特に限定されない。
基材層4は、非粘着性を有する非粘着部4Aを有する。非粘着部4Aは、基材層4の中央の領域に設けられている。非粘着部4Aは、粘接着剤層3の半導体ウェーハが貼り付けられる位置に対応する部分に設けられている。平面視において、非粘着部4Aは粘接着剤層3よりも大きい。従って、非粘着部4Aは、粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出している領域を有する。このため、粘接着剤層3に半導体ウェーハを貼り付ける際に、粘接着剤層3の非粘着部4Aが貼り付けられている部分に、半導体ウェーハを正確に位置合わせすることができる。貼り付けの後には、半導体ウェーハが貼り付けられた粘接着剤層3の片面に非粘着部4Aを確実に配置できる。このため、ダイシングの後に、粘接着剤層3付き半導体チップを、基材層4から容易に剥離できる。このため、生産ロスを低減でき、歩止まりを向上できる。
なお、「非粘着性」とは、表面が粘着性を有しないだけでなく、表面を指で触ったときにくっつかない程度の粘着性を有する場合も含まれることとする。具体的には、「非粘着」とは、基材層4の非粘着性を有する部分をステンレス板に貼り付けて、基材層を300mm/分の剥離速度で剥離したときに、粘着力が0.05N/25mm幅以下であることを意味する。
基材層4は、非粘着部4Aと、該非粘着部4Aの外側部分の領域に粘着部4Bとを有する。基材層4は粘接着剤層3よりも大きいので、基材層4は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域を有する。基材層4の該張り出している領域に、基材層4は、粘着性を有する粘着部4Bを有する。基材層4の粘着部4Bは、離型層2の上面2aに貼り付けられている。
基材層4の粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域の全ての領域に、基材層4は粘着部4Bを有する必要は必ずしもない。ダイシングリングを貼り付けることができるように、基材層4の該張り出している領域の少なくとも一部の領域に、基材層4が粘着部4Bを有していればよい。
このように、基材層4が非粘着部4Aの外側部分の領域に粘着部4Bを有することにより、ダイシングの際に、粘着部4Bに、ダイシングリングを容易に貼り付けることができる。
基材層4の非粘着部4Aと粘着部4Bとは一体的に形成されている。非粘着部4Aと粘着部4Bとは、同じ材料により形成されており、異なる材料により形成されてはいない。
基材層4は、例えば、活性エネルギー線硬化型又は熱硬化型の粘着性を有する組成物を用いて形成できる。活性エネルギー線硬化型の組成物の場合には、組成物に対する活性エネルギー線の照射量を部分的に調整することにより、基材層4の粘着性を部分的に異ならせることができる。基材層4が非粘着性を有するようにするためには、活性エネルギー線の照射量を多くすればよい。基材層4が粘着性を有するようにするためには、活性エネルギー線を照射しなかったり、活性エネルギー線の照射量を少なくすればよい。なお、上記組成物は、後に詳述する。
基材層4は、活性エネルギー線硬化型の粘着性を有する組成物を用いて形成されていることが好ましい。非粘着部4Aへの活性エネルギー線の照射量は、粘着部4Bへの活性エネルギー線の照射量よりも多いほうが好ましい。
また、平面視において、粘接着剤層3は、該粘接着剤層3に貼り付けられる半導体ウェーハよりも大きい。半導体ウェーハと粘接着剤層3と非粘着部4Aとの大きさは、下記式(1)の関係を満たす。
(半導体ウェーハの大きさ)<(粘接着剤層の大きさ)<(非粘着部の大きさ) ・・・式(1)
本実施形態の主な特徴は、非粘着部4Aが粘接着剤層3よりも大きく、非粘着部4Aが、粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出している領域を有し、かつ粘接着剤層3が半導体ウェーハよりも大きく、粘接着剤層3が半導体ウェーハの外周側面よりも外側に張り出している領域を有することにある。これにより、半導体ウェーハを粘接着剤層3上にはみ出すことなく容易に貼り付けることができる。さらに、粘接着剤層3上に半導体ウェーハを貼り付ける際に、下方に基材層4の非粘着部4Aが設けられている粘接着剤層3部分に半導体ウェーハを確実に貼り付けることができる。すなわち、基材層4の非粘着部4Aが粘接着剤層3よりも大きく、基材層4の非粘着部4Aが粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出しているので、貼り付けの後に、半導体ウェーハが貼り付けられた粘接着剤層3部分の片面には基材層4の非粘着部4Aが確実にある。このため、ダイシングの際の切削性及びダイシングの後のピックアップ性を高めることができる。従って、生産ロスを低減でき、歩留まりを向上できる。
これに対して、上記のようなサイズ構成でなく、半導体ウェーハの大きさと粘接着剤層3又は非粘着部4Aの大きさとが同じ場合、半導体ウェーハの貼り付けが困難なことがあったり、下方に基材層4の非粘着部4Aが設けられている粘接着剤層3部分に半導体ウェーハを確実に貼り付けられないことがあったりする。さらに、基材層4の非粘着部4Aが粘接着剤層3よりも小さく、基材層4の非粘着部4Aが粘接着剤層3に覆い隠されている場合には、下方に基材層4の非粘着部4Aが設けられている粘接着剤層3部分に半導体ウェーハを確実に貼り付けられないことがある。このため、ダイシングの際にチップ飛びが生じたり、ダイシングの後のピックアップの際に、チップ割れが生じたりする。さらに、基材層4の非粘着部4Aから、半導体ウェーハを粘接着剤層3ごと剥離することが困難になることがある。
本実施形態では、上記のサイズ構成を備えることにより、上記のような問題点が生じ難く、生産ロスを大きく低減でき、歩留まりをかなり向上させることができる。
平面視において、粘接着剤層3の半導体ウェーハの外側側面よりも外側に張り出している領域の面積Xは、粘接着剤層3の全面積を100%とした場合、0.5%以上であることが好ましい。上記面積Xのより好ましい下限は6%である。上記面積Xの好ましい上限は24%であり、より好ましい上限は20%である。上記好ましい面積Xを満たすと、半導体ウェーハの貼り付けが容易である。
また、平面視において、非粘着部4Aの粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出している領域の面積Yは、非粘着部4Aの全面積を100%とした場合、0.5%以上であることが好ましい。上記面積Yのより好ましい下限は、5%である。上記面積Yの好ましい上限は24%であり、より好ましい上限は20%である。上記好ましい面積Yを満たすと、ダイシングプロセスで粘着部4Bが刃に付着して汚染されることが容易に回避でき、綺麗に切削できる。
ピックアップ性をより高めるためには、非粘着部4Aとダイシング層5との剥離力Bは、粘接着剤層3と非粘着部4Aとの剥離力Aよりも大きいことが好ましい。上記剥離力A,Bの関係が逆の場合、又は上記剥離力A,Bが同じである場合は、ピックアップ時に非粘着部4Aとダイシング層5の界面で剥離が起こり、ピックアップ不良が起こりやすい。
粘接着剤層3と非粘着部4Aとの剥離力Aは、0.025〜0.2N/25mmの範囲内であることが好ましい。上記剥離力Aがこの好ましい範囲内にあると、粘接着剤層3を非粘着部4Aから容易に剥離できる。さらに、半導体ウェーハをダイシングする際、又は半導体チップを取り出す際に、半導体チップが破損し難くなる。上記剥離力Aが低すぎると、ダイシングの際にチップ飛びが起こりやすい。上記剥離力Aが高すぎると、半導体チップが貼り付けられた粘接着剤層3を、非粘着部4Aから剥離することが困難になる。
上記剥離力Aは、以下の方法により求められる。
ダイシング−ダイボンディングテープ1の粘接着剤層3の非粘着部4Aが貼り付けられた面と反対側の面に、ステンレス板を貼り付けて、非粘着部4Aを粘接着剤層3から300mm/分の剥離速度で剥離する。このときの剥離に要した力を島津製作所製AGS−100D等を用いて測定し、得られた値を剥離力Aとする。
非粘着部4Aとダイシング層5との剥離力Bは、0.21〜10N/25mmの範囲内であることが好ましく、0.21〜1N/25mmの範囲内であることがより好ましい。上記剥離力Bがこれらの好ましい範囲内にあると、粘接着剤層3を非粘着部4Aから容易に剥離できる。上記剥離力Bが低すぎると、ピックアップ時に非粘着部4Aとダイシング層5の界面で剥離が生じ、ピックアップ不良が起こりやすい。
上記剥離力Bは、以下のようにして測定できる。
非粘着部4Aをダイシング層5から300mm/分の剥離速度で剥離する。このときの剥離に要した力を島津製作所製AGS−100D等を用いて測定し、得られた値を剥離力Bとする。
非粘着部4Aの粘着力Cは、粘着部4Bの粘着力Dよりも小さい。
基材層4の非粘着部4Aの粘着力Cは、0〜0.05N/25mmの範囲内であることが好ましい。
基材層4の粘着部4Bの粘着力Dは、0.1〜10N/25mmの範囲内であることが好ましい。粘着部4Bの粘着力Dのより好ましい下限は0.25N/25mmであり、さらに好ましい下限は0.5N/25mmであり、より好ましい上限は5N/25mmであり、さらに好ましい上限は2.0N/25mmである。
上記粘着力C,Dは、以下のようにして測定できる。
基材層4の非粘着部4A又は粘着部4Bをステンレス板に貼り付けて、基材層を300mm/分の剥離速度で剥離する。このときの剥離に要した力を島津製作所製AGS−100D等を用いて測定し、得られた値を粘着力C,Dとする。
(基材層4を構成する材料、及び基材層4の詳細)
基材層4は、アクリル系ポリマーを含む組成物により形成されていることが好ましい。組成物は、粘着性を有することが好ましい。組成物は、粘着剤組成物であることが好ましい。組成物としては、熱硬化型又は活性エネルギー線硬化型の組成物が挙げられる。基材層4の粘着力をより一層容易に制御できるので、組成物は、活性エネルギー線硬化型の組成物であることが好ましい。
基材層4は、アクリル系ポリマーを含む組成物を架橋させた架橋体により形成されていることが好ましい。この場合には、ダイシングの際の切削性をより一層高くすることができる。また、基材層4の極性、貯蔵弾性率又は破断伸度を容易に制御及び設計できる。
上記アクリル系ポリマーは特に限定されない。上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーとして、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーが好適に用いられる。炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーの使用により、基材層4の極性を充分に低くすることができ、基材層4の表面エネルギーを低くすることができ、かつ粘接着剤層3の基材層4からの剥離性を高くすることができる。上記アルキル基の炭素数が18を超えると、基材層4の製造が困難になることがある。上記アルキル基の炭素数は、6以上であることが好ましい。この場合には、基材層4の極性をより一層低くすることができる。上記「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
上記アクリル系ポリマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主モノマーとして用いて得られたポリマーであることが好ましい。上記アクリル系ポリマーは、上記主モノマーと、官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させて得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーであることがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルポリマーのアルキル基の炭素数は2以上であることが好ましく、6以上であることが特に好ましい。上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は20万〜200万程度である。
上記他の改質用モノマーは特に限定されない。上記他の改質用モノマーは、カルボキシル基を有するモノマーではないことが好ましい。カルボキシル基を有するモノマーが用いられた場合、基材層4の極性が高くなる。この結果、ピックアップ性が低下することがある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは特に限定されない。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、炭素数1〜18のアルキル基を有する一級又は二級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られた(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル又は(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記官能基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル又は(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーは、反応性二重結合を有する硬化型アクリル系ポリマーであることが好ましい。この場合には、該硬化型アクリル系ポリマーを含む組成物を架橋させた架橋体の架橋密度を高くすることができる。上記硬化型アクリル系ポリマーとして、反応性二重結合を側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有する硬化型アクリル系ポリマー等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマーに反応性二重結合を導入する方法は、特に制限されない。分子設計が容易であるため、上記反応性二重結合は、側鎖に導入されていることが好ましい。例えば、アクリル系ポリマーに官能基含有モノマーが共重合された官能基含有アクリル系ポリマーを用意した後に、この官能基(以下、官能基Aともいう)と反応し得る官能基(以下、官能基Bともいう)、及び反応性二重結合の両方を有する化合物(以下、化合物Cともいう)を、反応性二重結合が残存するように、上記官能基含有アクリル系ポリマーに縮合反応又は付加反応によって導入する方法が挙げられる。
上記官能基Aと官能基Bとの組合せの例としては、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジル基、又は水酸基とイソシアネート基等の組合せが挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも、反応を容易に制御できるため、水酸基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせでは、どの官能基を上記官能基含有アクリル系ポリマーが含有していてもよく、またどの官能基を上記化合物Cが含有していてもよい。水酸基を有する官能基含有アクリル系ポリマーと、イソシアネート基を有する上記化合物の組合せが好ましい。
上記イソシアネート基及び反応性二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、又はm−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、上記水酸基を有する官能基含有アクリル系ポリマーは、アクリル系ポリマーに、上述の水酸基含有モノマー又は水酸基含有エーテル系化合物を共重合させることにより得られたアクリル系ポリマーであることが好ましい。上記水酸基含有エーテル系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル又はジエチレングルコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
上記組成物は、アクリル基と反応可能な二重結合を有し、かつ重量平均分子量が100〜50,000の範囲内にあるオリゴマーをさらに含むことが好ましい。このオリゴマーの常温での柔軟性は高い。このため、半導体チップのピックアップ性を高めることができる。また、基材層4の貯蔵弾性率及び破断伸度を容易に制御できる。上記オリゴマーの重量平均分子量が100未満であると、オリゴマーの配合による効果が充分に得られないことがある。上記オリゴマーの重量平均分子量が50,000を超えると、半導体チップのピックアップ性が低下することがある。
上記オリゴマーは特に限定されない。上記オリゴマーは、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格、ブタジエン骨格、ポリウレタン骨格、シリケート骨格、イソプレン骨格、ポリアルキル骨格、ポリアクリロニトリル骨格、ポリカーボネート骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1種の骨格を有することが好ましい。これらの骨格を有するオリゴマーは柔軟であるため、基材層4の貯蔵弾性率及び破断伸度を制御しやすく、かつピックアップ性を高くすることができる。
上記オリゴマーは、柔軟性を有する骨格を有することが好ましい。柔軟性を有する骨格とは、上記オリゴマーのTgが25℃以下となるような骨格をいう。上記柔軟性を有する骨格は、ポリエーテル骨格又はポリエステル骨格であることが好ましい。
ポリエーテル骨格又はポリエステル骨格を有するアクリルオリゴマーの柔軟性は高い。上記ポリエーテル骨格又はポリエステル骨格を有するアクリルオリゴマーとしては、ポリプロピレンオキシドジアクリレート又はポリエーテル系ウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。これらの市販品としては、M−225(東亜合成社製)及びUN−7600(根上工業社製)等が挙げられる。
アクリル基と反応可能な二重結合は特に限定されない。該二重結合を含む基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基又はアリル基等が挙げられる。中でも、アクリル基が好ましい。この場合、基材層4の貯蔵弾性率と破断伸度とを制御しやすい。
上記アクリル基と反応可能な二重結合は、上記オリゴマー1分子中に2個以上含まれていることが好ましい。
上記アクリル基と反応可能な二重結合を有するオリゴマーは、加熱又は活性エネルギー線の照射により、上述のアクリル系ポリマーと架橋する。この架橋により、架橋体中に上記オリゴマーに由来する骨格が取り込まれる。このため、貯蔵弾性率又は破断伸度を所望の範囲に制御できる。
また、上記アクリル基と反応可能な二重結合は、分子の両末端に2個存在しててもよく、分子鎖中に存在してもよい。分子の両末端に2個のアクリル基が存在するか又は、分子の両末端と、分子鎖中とにアクリル基が存在することが好ましい。
上記ポリエーテル骨格としては、例えば、ポリプロピレンオキシド骨格又はポリエチレンオキシド骨格等が挙げられる。
上記ポリエーテル骨格を有し、かつ分子の両末端のみにアクリル基を有するアクリルオリゴマーとしては、ポリプロピレンオキシドジアクリレート又はポリエステル系ウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。これらの市販品としては、UA340P及びUA4200(以上いずれも新中村化学工業社製)、並びにアロニックスM−1600及びアロニックスM−220(以上いずれも東亜合成社製)等が挙げられる。
上記アクリルオリゴマーとして、3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーが好適に用いられる。3官能未満のウレタンアクリルオリゴマーの場合には、基材層の柔軟性が高くなりすぎて、ダイシングの際に切削屑が生じやすくなる。10官能を超えるウレタンアクリルオリゴマーの場合には、基材層がもろくなり、ダイシングの際に汚染が生じやすい。
ポリエーテル骨格とポリウレタン骨格とを有する3〜10官能のウレタンアクリルオリゴマーとしては、ポリプロピレンオキシド主鎖のウレタンアクリルオリゴマー等が挙げられる。これらの市販品としては、U−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−15HA、UA−32P、U−324A、U−108A、U−200AX、UA−4400、UA−2235PE、UA−160TM及びUA−6100(以上いずれも新中村化学工業社製)、並びにUN−7600、UN−7700、UN−333及びUN−1255(以上いずれも根上工業社製)等が挙げられる。
上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、上記オリゴマーは1重量部以上含まれていることが好ましい。上記オリゴマーの含有量が1重量部未満であると、上記オリゴマーの配合による効果が充分に得られないことがある。上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、上記オリゴマーは100重量部以下含まれていることが好ましい。上記オリゴマーの量が多すぎると、オリゴマーが溶解せず、基材層の製造が困難なことがある。
両末端にアクリル基を有するオリゴマーの場合には、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、オリゴマーは1〜100重量部の範囲内で含まれていることが好ましく、1〜50重量部の範囲内で含まれていることがより好ましい。
また、多官能のウレタンアクリルオリゴマーの場合には、上記(メタ)アクリル酸エステルポリマー100重量部に対して、オリゴマーは1〜50重量部の範囲内で含まれていることが好ましく、1〜30重量部の範囲内で含まれていることがより好ましい。
上記組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。また、組成物は、活性エネルギー線反応開始剤及び熱反応開始剤の内の少なくとも一方を含むことが好ましく、活性エネルギー線反応開始剤を含むことがより好ましい。活性エネルギー線反応開始剤は、光反応開始剤であることが好ましい。
上記活性エネルギー線には、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のなかでも、硬化性に優れ、かつ硬化物が劣化し難いため、紫外線又は電子線が好ましい。
上記光反応開始剤は特に限定されない。上記光反応開始剤として、例えば、光ラジカル発生剤又は光カチオン発生剤等を使用できる。また、上記熱反応開始剤は特に限定されない。上記熱反応開始剤としては、熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
上記光ラジカル発生剤は特に限定されない。上記光ラジカル発生剤の市販品としては、例えば、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア369及びイルガキュア379(以上、いずれもチバ・ジャパン社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、並びにルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。
上記光カチオン発生剤として、オニウム塩類又は有機金属錯体類を使用できる。上記オニウム塩類としては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩又は芳香族スルホニウム塩等が挙げられる。上記有機金属錯体類としては、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体又はアリールシラノール−アルミニウム錯体等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、有機過酸化物又はアゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート又はt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)又はジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記組成物には、粘着力を制御するためにイソシアネート系架橋剤を添加してもよい。イソシアネート系架橋剤は特に限定されない。イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンイソシアネート、イソプロピリデンビスシクロヘキシルジイソシアネート又はトリジンジイソシアネート等のイソシアネートモノマー等が挙げられる。これらイソシアネートモノマーの二量体、三量体及び付加体を用いてもよい。上記付加体の市販品としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030及びミリオネートMR(以上、いずれも日本ポリウレタン工業社製)等が挙げられる。
基材層4の厚みは特に限定されない。基材層4の厚みは、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。基材層4の厚みのより好ましい下限は5μmであり、より好ましい上限は60μmである。基材層4の厚みが小さすぎると、エクスパンド性が不足することがある。基材層4の厚みが100μmを超えると、厚みが不均一になることがある。厚みが不均一であると、ダイシングを適切に行えないことがある。
基材層4は、上記組成物を用いて、例えば以下のようにして得ることができる。
基材層4を形成するための粘着性を有する組成物層を、例えば離型層上に形成する。次に、部分的に、活性エネルギー線の照射及び加熱の内の少なくとも一つの処理を行う。すなわち、基材層4の粘接着剤層3に貼り付けられる領域に対応する部分に、活性エネルギー線を照射又は加熱する。活性エネルギー線硬化もしくは熱硬化により、又は活性エネルギー線硬化及び熱硬化により、組成物層を硬化(架橋)する。
活性エネルギー線の照射又は加熱により、非粘着部4Aと、該非粘着部4Aの外側の領域に粘着部4Bとを有する基材層4を得ることができる。なお、基材層4を得る工程の前又は後に、上記組成物層又は基材層4の一方の面に、粘接着剤層3を積層することにより、ダイシング−ダイボンディングテープを得ることができる。
活性エネルギー線硬化及び熱硬化の中でも、活性エネルギー線硬化を用いることが好ましく、光硬化を用いることが特に好ましい。活性エネルギー線硬化の場合には、非粘着部4Aを所望の範囲により一層容易に形成できる。
上記組成物層の粘着部4Bを形成する部分は、適度な粘着性を有するように、活性エネルギー線が照射又は加熱されていてもよい。
基材層4の非粘着部4Aの架橋密度は、粘着部4Bの架橋密度よりも高いことが好ましい。基材層4の形成の際に、例えば、活性エネルギー線硬化型の組成物に対する活性エネルギー線の照射量を大きくすることにより、架橋密度を高くすることができる。
(粘接着剤層3)
粘接着剤層3は、半導体チップを基板又は他の半導体チップ等に接合するために用いられる。粘接着剤層3は、ダイシングの際に、半導体ウェーハごと切断される。
粘接着剤層3は、例えば適宜の硬化性樹脂などの硬化性化合物を含む硬化性樹脂組成物、又は熱可塑性樹脂等により形成される。硬化前の上記硬化性樹脂組成物は柔らかいので、外力により容易に変形する。粘接着剤層3付き半導体チップを得た後に、得られた粘接着剤層3付き半導体チップを粘接着剤層3側から基板等の被着体に積層する。その後、熱又は光のエネルギーを与えて、粘接着剤層3を硬化させることにより、粘接着剤層3を介して、被着体に半導体チップを強固に接合させることができる。上記硬化性樹脂にかえて、熱可塑性樹脂を用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂は特に限定されない。上記熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂等が挙げられる。上記光硬化性樹脂は特に限定されない。上記光硬化性樹脂としては、例えば感光性オニウム塩等の光カチオン触媒により重合するエポキシ樹脂、又は感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。また、上記硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル酸メチル又はホットメルト型接着樹脂が好適に用いられる。上記ホットメルト型接着樹脂としては、アクリル酸ブチル等を主なモノマー単位とするポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。上記硬化性化合物はエポキシ樹脂であることが好ましい。上記硬化性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ樹脂は特に限定されない。上記エポキシ樹脂は、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂であることが好ましい。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は特に限定されない。上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又は3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。
上記硬化性樹脂とともに、上記エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーを用いてもよい。上記エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーとしては、例えば、エポキシ基含有アクリルゴム、エポキシ基含有ブタジエンゴム、ビスフェノール型高分子量エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ウレタン樹脂又はエポキシ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられる。上記エポキシ基と反応する官能基を有する高分子ポリマーは、1種のみが用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記硬化性樹脂組成物を硬化させるために、硬化剤が用いられる。硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、例えば、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等の加熱硬化型酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤もしくはジシアンジアミド等の潜在性硬化剤、又はカチオン系触媒型硬化剤等が挙げられる。上記硬化性化合物がエポキシ樹脂であり、上記硬化剤がエポキシ樹脂用硬化剤であることが好ましい。この場合には、ダイシングの際の切削性をより一層高めたり、ダイシングの後の粘接着剤層付き半導体チップのピックアップ性をより一層高めたりすることができる。上記硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、硬化速度又は硬化物の物性等を調整するために、上記硬化剤と、硬化促進剤とを併用してもよい。
上記硬化性樹脂組成物は、ポリイミド粒子を含有してもよい。粘接着剤層3は、硬化性化合物、硬化剤及びポリイミド粒子を含有する硬化性樹脂組成物により形成されていることが好ましい。
上記ポリイミド粒子を添加することにより、上記硬化性樹脂組成物に無機充填材等を添加しなくても、得られる粘接着剤層の硬化物の線膨張率を低下させることができる。更に、無機充填材は、線膨張率を低下させると同時に弾性率を上昇させる効果を有するのに対し、上記ポリイミド粒子は、弾性率の上昇を抑制しながら線膨張率を低下させる効果を有する。粘接着剤層の硬化物に接合された半導体チップへの応力の発生は、粘接着剤層の硬化物の線膨張率と弾性率とを低下させることで防止できる。このため、ポリイミド粒子を用いた粘接着剤層の場合には、粘接着剤層の硬化物に接合された半導体チップへの応力の発生を低減することで、半導体チップの剥がれを防止できる。
上記ポリイミド粒子に含有されるポリイミド化合物は特に限定されない。該ポリイミド化合物は、主骨格に芳香環を有するポリイミド化合物であることが好ましい。上記ポリイミド化合物は、主骨格に芳香環を有することで、より一層剛直で揺らぎの少ない分子構造となり、粘接着剤層の硬化物の線膨張率を更に低下させることができる。
上記主骨格に芳香環を有するポリイミド化合物は特に限定されず、例えば、フェニル、ビフェニル又はナフタレン等の芳香環を主骨格に有するポリイミド化合物が挙げられる。上記主骨格に芳香環を有するポリイミド化合物としては、具体的には、例えば、ポリ(N,N’−p−フェニレン−ビフェニルテトラカルボキシルイミド)等が挙げられる。
上記ポリイミド粒子中の上記ポリイミド化合物の含有量の好ましい下限は10重量%である。上記ポリイミド化合物の含有量が10重量%以上であると、上記ポリイミド粒子の添加効果を充分に得ることができ、得られる粘接着剤層の硬化物がより一層低い線膨張率及び弾性率を有するようになる。上記ポリイミド粒子中の上記ポリイミド化合物の含有量のより好ましい下限は20重量%、更に好ましい下限は50重量%である。
上記ポリイミド粒子の平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は30μmである。上記ポリイミド粒子の平均粒子径が0.1μm以上であると、ポリイミド粒子の添加により硬化性樹脂組成物が増粘し難いため、充分な量のポリイミド粒子を添加できる。上記ポリイミド粒子の平均粒子径が30μm以下であると、得られる粘接着剤層の硬化物の線膨張率がより一層低くなる。上記ポリイミド粒子の平均粒子径のより好ましい下限は0.5μm、より好ましい上限は20μmである。
上記ポリイミド粒子は、表面処理されていることが好ましい。表面処理により、硬化性樹脂組成物の増粘を抑え、流動性及び濡れ性を確保しながら上記ポリイミド粒子を多量に添加でき、粘接着剤層の硬化物の線膨張率及び弾性率を低下させる効果をより一層高めることができる。
上記ポリイミド粒子を表面処理する方法は特に限定されず、例えば、シランカップリング剤を用いて表面処理する方法等が挙げられる。
上記シランカップリング剤を用いて表面処理する方法としては特に限定されず、例えば、ポリイミド粒子の表面に存在する官能基とシランカップリング剤とを反応させる方法、並びにポリイミド粒子の表面にコーティング層を形成した後、コーティング層の表面に存在する官能基とシランカップリング剤とを反応させる方法等が挙げられる。
上記コーティング層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコールを物理吸着させる方法等が挙げられる。
上記ポリイミド粒子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、無水テトラカルボン酸含有溶液とジアミン化合物含有溶液とをそれぞれ調製し、これらの溶液を混合して超音波攪拌を行うことにより、混合溶液からポリアミド酸粒子を析出させた後、得られたポリアミド酸粒子をイミド化することによりポリイミド粒子とし、必要に応じて、得られたポリイミド粒子に対して上述のような表面処理を行う方法が挙げられる。この方法によれば、超音波攪拌を行うことにより、微細なポリイミド粒子を得ることができる。
また、上記ポリイミド粒子を製造する方法として、例えば、反応溶媒に対して可溶性のイミド構造を形成するジアミン化合物と、反応溶媒に対して不溶性のイミド構造を形成するジアミン化合物と、アミノ基等の官能基を有するイミド構造を形成するジアミン化合物とを含むジアミン混合物を用い、該ジアミン混合物と無水テトラカルボン酸とを反応溶媒中で反応させることによりポリアミド酸ワニスを調製し、得られたポリアミド酸ワニスを加熱することにより、反応溶媒からポリイミド粒子を析出させた後、必要に応じて、得られたポリイミド粒子に対して上述のような表面処理を行う方法も挙げられる。この方法によれば、ジアミン混合物中のジアミン化合物の配合比の調整により、所望の平均粒子径を有するポリイミド粒子を得ることができる。
上記ポリイミド粒子の製造方法を改良することによっても、上記ポリイミド粒子の表面処理が可能である。例えば、上記無水テトラカルボン酸と上記ジアミン化合物との2種類の原料に、更に、例えば、2,4,6−トリアミノピリジン等の3価のアミンを組み合わせると、表面にアミノ基を有するポリイミド粒子を得ることができる。このアミノ基にグリシジル基又はカルボキシル基等を有する機能性化合物を反応させ、表面を2次修飾することも可能である。
上記ポリイミド粒子の市販品としては、例えば、UIP−S及びUIP−R等(いずれも宇部興産社製)が挙げられる。
上記硬化性樹脂組成物において、上記ポリイミド粒子の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物100重量部に対する上記ポリイミド粒子の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は900重量部である。上記ポリイミド粒子の含有量が5重量部以上であると、上記ポリイミド粒子の添加効果を充分に得ることができ、得られる粘接着剤層の硬化物が充分に低い線膨張率及び弾性率を有するようになる。上記ポリイミド粒子の含有量が900重量部以下であると、得られる硬化性樹脂組成物の流動性が適度になり、濡れ性を充分に確保できる。
上記硬化性化合物100重量部に対する上記ポリイミド粒子の含有量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は700重量部、更に好ましい下限は100重量部、更に好ましい上限は500重量部である。
粘接着剤層3の厚みは特に限定されない。粘接着剤層3の厚みは、1〜100μmの範囲内にあることが好ましい。粘接着剤層3の厚みのより好ましい下限は3μmであり、より好ましい上限は60μmである。粘接着剤層3の厚みが上記範囲内にあると、粘接着剤層3を介して半導体チップを基板等の上により一層容易に貼り付けることができ、又は半導体装置の薄型化に対応できる。
(ダイシング層5)
ダイシング層5は、例えば、ダイシングフィルムである。ダイシング層5は特に限定されない。ダイシング層5を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。なかでも、エクスパンド性に優れており、環境負荷が小さいため、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
ダイシング層5の厚みは特に限定されない。ダイシング層5の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましい。ダイシング層5の厚みのより好ましい下限は60μmであり、より好ましい上限は150μmである。ダイシング層5の厚みが上記範囲内にあると、離型層2の剥離性及びダイシング層5のエクスパンド性をより一層高くすることができる。
(離型層2)
離型層2は、例えば、離型フィルムである。離型層2は、粘接着剤層3の半導体ウェーハが貼り付けられる表面3aを保護するために用いられる。なお、離型層2は、必ずしも用いられていなくてもよい。
離型層2を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック樹脂等が挙げられる。
離型層2の表面は、シリコーン離型剤、又は長鎖アルキル基等を有する離型剤等を用いて離型処理されていてもよい。離型層2を構成する材料は、ポリエチレンレフタレート樹脂等の合成樹脂であることが好ましい。合成樹脂樹脂を用いて形成された離型層2は、平滑性及び厚み精度等に優れている。
上記離型層は、単層であってもよく、複数層であってもよい。複数層の場合には、各層は異なる樹脂により形成されていてもよい。
離型層2の取扱い性又は剥離性をより一層高めるために、離型層2の厚みは、10〜100μmの範囲内にあることが好ましい。
図2に、本発明の別の実施形態に係るダイシング−ダイボンディングテープを部分切欠正面断面図で示す。
図2に示すダイシング−ダイボンディングテープ11は、基材層が異なること以外は、ダイシング−ダイボンディングテープ1と同様に構成されている。ダイシング−ダイボンディングテープ1と同様に構成されているところは同一の符号を付してその説明を省略する。
ダイシング−ダイボンディングテープ11は、基材層12を備える。粘接着剤層3に貼り付けられている基材層12の中央の領域に、基材層12は、非粘着性を有する第1の非粘着部12Aを有する。基材層12は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域を有する。粘接着剤層3の外周側面3bよりも側方に張り出している領域であって、かつ非粘着部12の外側部分の領域に、基材層12は、粘着性を有する粘着部12Bを有する。さらに、粘着部12Bの外側の領域に、基材層12は、第2の非粘着部12Cを有する。平面視において、基材層12は、中心部から端部にかけて、第1の非粘着部12Aと、粘着部12Bと、第2の非粘着部12Cとを有する。
ダイシングの際には、粘着部12Bに、ダイシングリングが貼り付けられる。
次に、図3〜図8を用いて、上述したダイシング−ダイボンディングテープ1を用いた場合の半導体チップの製造方法の一例を、以下説明する。
先ず、上述したダイシング−ダイボンディングテープ1と、半導体ウェーハ21とを用意する。
図3に示すように、半導体ウェーハ21の平面形状は円形である。半導体ウェーハ21の表面21aには、ストリートによってマトリックス状に区画された各領域に、個々の半導体チップを構成するための回路が形成されている。
図4に示すように、半導体ウェーハ21を裏返して、裏返された半導体ウェーハ21をステージ22上に載せる。すなわち、半導体ウェーハ21を表面21a側からステージ22上に載せる。ステージ22上には、半導体ウェーハ21の外周側面21cから一定間隔を隔てられた位置に、円環状のダイシングリング23が設けられている。
次に、ダイシング−ダイボンディングテープ1の粘接着剤層3の表面3aに半導体ウェーハ21を貼り付ける。図5に、粘接着剤層3に半導体ウェーハ21を貼り付けるときの状態を正面断面図で示す。
基材層4は、粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出している外側部分の領域に、粘着部4Bを有する。図5に示すように、ダイシング−ダイボンディングテープ1の離型層2を剥離し、粘接着剤層3の表面3aと、基材層4の粘着部4Bとを露出させる。
離型層2を剥離した後、又は離型層2を剥離しながら、露出された粘着部4Bを、ダイシングリング23上に貼り付ける。さらに、露出した粘接着剤層3を、半導体ウェーハ21の裏面21bに貼り付ける。
上記のようにして、ダイシング−ダイボンディングテープ1と半導体ウェーハ21とを備える積層体が得られる。
図6に、粘接着剤層3に半導体ウェーハ21が貼り付けられた状態を正面断面図で示す。
半導体ウェーハ21の裏面21b全体に、粘接着剤層3が貼り付けられている。半導体ウェーハ21に余計な力が加わらないように、基材層4の粘接着剤層3の外周側面3bよりも外側に張り出している外側部分の領域は、ダイシングリング23に支持されている。
次に、粘接着剤層3が貼り付けられた半導体ウェーハ21をステージ22から取り出して、裏返す。このとき、ダイシングリング23が基材層4に貼り付けられた状態で取り出される。
図7に示すように、取り出された半導体ウェーハ21を表面21aが上方になるように裏返して、別のステージ24上に載せる。次に、図7に矢印Xを付して示すように、半導体ウェーハ21を粘接着剤層3ごとダイシングし、個々の半導体チップに分割する。
図8に示すように、ダイシングの後に、半導体ウェーハ21及び粘接着剤層3はそれぞれ、両面を貫通するように切断されている。粘接着剤層3及び基材層4に切断面31が形成されている。ダイシングは、半導体ウェーハ21及び粘接着剤層3を貫通するように行われれば特に限定されない。例えば、粘接着剤層3と基材層4との界面よりも深い位置に至るようにダイシングブレードが挿入され、基材層4に切り込みが形成されてもよい。粘接着剤層3と基材層4との界面よりも深い位置に至るようにダイシングブレードを挿入する場合には、ピックアップ性を高めるために、基材層4を分断しないことが好ましい。
半導体ウェーハ21をダイシングする方法としては、ダイシングブレードを用いる方法、又はレーザーダイシングする方法等が挙げられる。
本実施形態では、基材層4の非粘着性を有する中央の領域4Aが、硬化されているため、レーザー光の照射により反応し難い。このため、基材層4が粘接着剤層3に融着し難い。従って、レーザー光を用いたダイシングを行った場合でも、半導体チップのピックアップを無理なく行うことができる。
半導体ウェーハをダイシングし、個々の半導体チップに分割した後、ダイシング層を引き延ばして、分割された個々の半導体チップ間の間隔を拡張する。その後、半導体チップが貼り付けられた粘接着剤層3を基材層4の非粘着部4Aから剥離して、取り出す。このようにして、粘接着剤層3付き半導体チップを得ることができる。
ダイシングの後に、粘接着剤層3と非粘着部4Aとの間の剥離力を変化させることなく、半導体チップを取り出すことが好ましい。基材層4の粘接着剤層3に貼り付けられている非粘着部4Aは非粘着性を有する。従って、ダイシングの後に、上記剥離力を変化させなくても、粘接着剤層3付き半導体チップを無理なく取り出すことができる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(アクリル系ポリマー1)
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、光ラジカル発生剤としてのイルガキュア651(チバガイギ社製、50%酢酸エチル溶液)0.2重量部、及びラウリルメルカプタン0.01重量部を酢酸エチルに溶解させ、溶液を得た。この溶液に紫外線を照射して重合を行い、ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。さらに、この溶液の固形分100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を3.5重量部反応させて、アクリル共重合体(アクリル系ポリマー1)を得た。得られたアクリル系ポリマー1の重量平均分子量は70万であり、酸価は0.86(mgKOH/g)であった。
また、基材層を形成するための組成物を構成する材料として、以下の化合物を用意した。
(光重合開始剤)
イルガキュア651(チバ・ジャパン社製)
(オリゴマー)
U324A:新中村化学工業社製、ウレタンアクリルオリゴマー(10官能のウレタンアクリルオリゴマー)、重量平均分子量:1,300
(架橋剤)
コロネートL−45:日本ポリウレタン工業社製、イソシアネート系架橋剤
(ダイシング層)
ポリエチレン(プライムポリマー社製、M12)を原料として用いて、Tダイ法により、厚み100μmのダイシング層としてのポリエチレンフィルムを製造した。
(実施例1)
上記アクリル系ポリマー1を100重量部と、イルガキュア651を1重量部と、ウレタンアクリルオリゴマーとしてのU324Aを15重量部と、コロネートL−45とを1重量部配合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を離型PETフィルム上に塗工し、110℃で5分間乾燥し、溶媒を除去し、組成物層を形成した。
ダイシング層としてのポリエチレンフィルムの基材層が積層される面を、鏡面加工及びコロナ処理した。組成物層の離型PETフィルムが貼り付けられた面とは反対側の面に、ポリエチレンフィルムを貼り付けた。その後、40℃で24時間保管した。
次に、得られた組成物層の中央の領域に直径306.8mmの円形になるように水銀灯を用いて、2000mJ/cm2のエネルギーとなるように光を照射し、組成物層を硬化させた。このようにして、中央の領域に非粘着部を有し、該非粘着部の外側部分の領域に粘着部を有する基材層(厚み0.02mm)を得た。
このようにして、離型PETフィルム、基材層及びダイシング層がこの順で積層された積層体を得た。
得られた積層体を用いて、以下のようにしてダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
G−2050M(日油社製、エポキシ含有アクリルポリマー、重量平均分子量Mw20万)15重量部と、EXA−7200HH(DIC社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ)70重量部と、HP−4032D(DIC社製、ナフタレン型エポキシ)15重量部と、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物系硬化剤)38重量部と、2MAOK−PW(四国化成社製、イミダゾール)8重量部と、S320(チッソ社製、アミノシラン)2重量部と、MT−10(トクヤマ社製、表面疎水化ヒュームドシリカ)4重量部とを配合し、配合物Aを得た。得られた配合物Aを溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK)に固形分60重量%となるように添加し、攪拌し、塗液を得た。得られた塗液を離型PETフィルム上に厚み40μmになるように塗工し、110℃のオーブン内で3分間加熱乾燥した。その後、粘接着剤層が直径305.8mmの円形になるように加工し、離型PETフィルム上に粘接着剤層を形成した。
上記積層体の離型PETフィルムを剥がし、粘接着剤層の離型PETフィルムが積層されている面とは反対側の面に、上記積層体の非粘着部を60℃でラミネートし、ラミネート体を得た。その後、上記粘接着剤層の径よりも大きな径を有するように、かつダイシングリングを貼り付けることができる大きさに、基材層及びダイシング層を円形に切り抜いた。このようにして、離型フィルム/粘接着剤層/基材層/ダイシング層がこの順で積層された4層の積層構造を有するダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
得られたダイシング−ダイボンディングテープでは、非粘着部が粘接着剤層よりも大きく、非粘着部が、粘接着剤層の外周側面よりも外側に張り出している領域を有していた。
(実施例2〜7及び比較例1〜3)
粘接着剤層及び非粘着部の大きさを下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、ダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(実施例8)
上記配合物Aを、G−2050M(日油社製、エポキシ含有アクリルポリマー、重量平均分子量Mw20万)25重量部と、EXA−7200HH(DIC社製、ジシクロペンタジエン型エポキシ)75重量部と、EPR−4023(ADEKA社製、CTBN変性エポキシ)15重量部と、YH−309(ジャパンエポキシレジン社製、酸無水物系硬化剤)30重量部と、2MAOK−PW(四国化成社製、イミダゾール)5重量部と、KBM−573(信越化学社製、アミノシランカップリング剤)1重量部と、MT−10(トクヤマ社製、表面疎水化ヒュームドシリカ)4重量部と、UIP−S(宇部興産社製、ポリイミド粒子)150重量部とを配合した配合物Bに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、離型フィルム/粘接着剤層/基材層/ダイシング層がこの順で積層された4層の積層構造を有するダイシング−ダイボンディングテープを作製した。
(評価)
(1)剥離力及び粘着力
粘接着剤層と非粘着部との剥離力A、非粘着部とダイシング層との剥離力B、非粘着部の粘着力C、並びに粘着部の粘着力Dを上述の方法により測定した。測定装置としては、島津製作所製AGS−100Dを用いた。
(2)ウェーハ貼り合せ性
ダイシング−ダイボンディングテープの離型フィルムを粘接着剤層から剥離して、粘接着剤層を露出した。露出された粘接着剤層を直径304.8mm(12inch)のシリコンウェーハ(厚み80μm)の一方の面に60℃の温度でラミネートした。また、基材層の粘着部にダイシングリングを貼り付けて、評価サンプルを得た。
キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX100Sにて、半導体ウェーハを貼り付けた上記評価サンプル(積層体)の端部を観察し、ウェーハ貼り合せ性を下記の評価基準で評価した。
〔ウェーハ貼り合せ性の評価基準〕
◎:ウェーハを貼り合せた部分に粘接着剤層及び非粘着層が明らかにある
○:ウェーハを貼り合せた部分に粘接着剤層及び非粘着層がある
×:ウェーハを貼り合せた部分に粘接着剤層及び非粘着層がない
(3)切削性
ダイシング装置DFD651(ディスコ社製)を用いて、送り速度50mm/秒で、上記(2)ウェーハ貼り合わせ性の評価で得られた評価サンプルを10mm×10mmのチップサイズにダイシングした。ダイシングの際の切削性を下記の評価基準で評価した。
〔切削性の評価基準〕
○:チップ飛び及びクラックの内のいずれもなし
×:チップ飛び及びクラックの内のいずれかあり
(4)ピックアップ性
ダイシングの後に、ダイボンダーbestem D−02(キャノンマシーナリー社製)を用いて、コレットサイズ8mm角、突き上げ速度5mm/秒、ピックアップ温度23℃の条件で、分割された半導体チップの連続ピックアップを行った。ピックアップの際のピックアップ性を下記の評価基準で評価した。
〔ピックアップ性の評価基準〕
○:ピックアップできなかった半導体チップの個数の割合が1%以下
△:ピックアップできなかった半導体チップの個数の割合が1%を超え、2%未満
×:ピックアップできなかった半導体チップの個数の割合が2%以上
結果を下記の表1に示す。