JP6003570B2 - 透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ - Google Patents
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Description
しかしながら、透明性及び粘着力が適切であっても、粘着テープを剥離したときに、粘着剤が被着体に残る、いわゆる「糊残り」が生じることがある。糊残りは、粘着テープを恒久的に貼り付けておく用途では問題視されないが、前記した電子部品用途など、粘着テープを一時的に貼り付けおく仮接着用途では、問題となる。
(1)アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオールと、架橋剤と、重合開始剤とを含み、
前記ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である、
透明粘着剤組成物。
(2)基材と、前記基材上に形成された粘着層とを有し、
前記粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオールと、架橋剤と、重合開始剤とを含み、前記ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である透明粘着剤組成物で形成されている、
透明粘着テープ。
本発明による透明粘着剤組成物は、アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオール(以下、「ロジン含有ポリオール」とも呼ぶことにする。)と、架橋剤と、重合開始剤とを含み、前記ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である、透明粘着剤組成物である。
透明粘着剤組成物を、このような構成とすることによって、粘着力を増強し適正化するための粘着付与剤としてロジン含有ポリオールを含有させても、その相溶性不足によって白濁することなく透明性を維持し、透明性及び粘着力を確保しつつ、糊残りを改善することが可能となる。
アクリル系ポリマーは、透明粘着剤組成物のベースポリマーを構成する成分である。一般に、粘着剤組成物用のベースポリマーとしては、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、シリコーン系など各種ポリマーが公知であるが、これらのなかでもアクリル系のポリマーは、透明性、耐熱性、コスト、粘着力制御の容易さ等の点で、優れている。よって、本発明では、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを採用している。
本発明においては、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
アクリル系ポリマーは、カルボキシル基を有さないことが好ましい。耐熱性や、活性エネルギー線照射後における剥離性が低下することがあるからである。アクリル系ポリマーにカルボキシル基を有さないようにするには、アクリル系ポリマーの繰り返し単位を生成するモノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを用いないようにする。カルボキシル基含有モノマーは、例えば、前記したモノマーのうち、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などである。
アクリル系ポリマーは、ヒドロキシル基を有することが好ましい。ヒドロキシル基は粘着性と耐熱性を両立させることができるからである。アクリル系ポリマーにヒドロキシル基を有するようにするには、アクリル系ポリマーの繰り返し単位を生成するモノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを用いるようにする。ヒドロキシル基含有モノマーは、例えば、前記したモノマーのうち、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートモノマーとしてのヒドロキシル基含有アクリル酸エステルである。
なお、本発明において、「耐熱性」とは、120℃で15minの熱履歴が加わった後でも、剥離時に糊残りが生じないことを意味する。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、用途及び要求性能に応じて設定されるが、通常、好ましくは15万〜150万であり、より好ましくは40万〜120万である。重量平均分子量が前記範囲から外れると、粘着力低下、凝集力低下、糊残りなどが生じることがある。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
活性エネルギー線重合性オリゴマーとしては、活性エネルギー線の照射により重合可能なオリゴマーであれば特に制限はなく、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性などのオリゴマーを用いることができる。例えば、ラジカル重合性オリゴマーを例に挙げれば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの活性エネルギー線重合性オリゴマーは、単独使用又は2種以上を併用することができる。これらのなかでもポリウレタン(メタ)アクリレートが、相溶性、粘着力等の点で好ましい。
ロジン骨格を有するポリオールは、1分子中にロジン由来のロジン骨格を有するとともに、ヒドロキシル基を2以上有する化合物である。既に述べたように、本発明では、このロジン骨格を有するポリオールを「ロジン含有ポリオール」とも呼ぶ。
ロジン含有ポリオールは、本発明の透明粘着剤組成物においては、添加されることで粘着力を高め粘着力を適正化する、いわゆる粘着付与剤としての機能を発揮し得る化合物である。
ロジン含有ポリオールは、酸価が2以下であることが好ましい。酸価が前記範囲を超えると、相溶性が低下して白濁し、透明性を確保できなくなることがあるからである。酸価の下限は、0(ゼロ)であることが好ましい。酸価は、JIS K 5601−2−1に準拠して測定することができる。酸価の単位は、[mgKOH/g]である。
前記アクリル系ポリマーとして、その分子中にヒドロキシル基を有することが耐熱性の点で好ましいことは既に述べたが、前記アクリル系ポリマーとしてヒドロキシル基を有するポリマーを用いたときに、ロジン含有ポリオールの相溶性変化への酸価の影響が大きくなる。ロジン含有ポリオールの酸価が大きいことは、ロジン含有ポリオールがその分子中にカルボキシル基を有することであるが、前記アクリル系ポリマーもその分子中にカルボキシル基を有するのであれば、ロジン含有ポリオールの酸価は高い方が、ロジン含有ポリオールのアクリル系ポリマーに対する相溶性がよくなることが期待される。しかし、アクリル系ポリマーがカルボキシル基を有することは前記したように好ましいことではない。むしろ、アクリル系ポリマーはヒドロキシル基を有することが好ましい。そこで、とりわけヒドロキシル基を有するアクリル系ポリマーに対して、安定的に相溶性の問題を生じずに、粘着力や糊残りを適切化するには、ロジン含有ポリオールとして、酸価が2以下のものが好ましい。
ロジン含有ポリオールとアクリル系ポリマーとの相溶性が悪いと、ロジン含有ポリオールが添加された粘着剤組成物は白濁し、透明性を維持できない。
架橋剤としては、透明粘着剤組成物で形成される粘着層中に、架橋構造を生成可能な化合物であれば特に制限はない。例えば、アクリル系ポリマーが有する官能基と反応し、アクリル系ポリマーを架橋し得る化合物が挙げられる。アクリル系ポリマーが有する官能基と反応し、アクリル系ポリマーを架橋し得る化合物は、とりわけ、架橋によって凝集力を高め、糊残りを改善する効果が得られる点で好ましい。
架橋剤は、アクリル系ポリマーが有する官能基がヒドロキシル基であるときは、このヒドロキシル基と反応して架橋構造を生成し得る架橋剤として、イソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤によって、粘着層の凝集力を高め、糊残りを改善することができるからである。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。架橋剤は、単独使用又は2種以上を併用することができる。
重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものを用いることができる。例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類などである。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、γ線などが挙げられ、なかでも、照射装置のコストなどの点で紫外線が代表的である。
透明粘着剤組成物は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、モノマー、溶剤の他、シランカップリング剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を含むことができる。以下、モノマーについてさらに説明する。
モノマーは、活性エネルギー線によって重合可能な重合性化合物である。
透明粘着剤組成物は、活性エネルギー線重合性化合物として前述した活性エネルギー線重合性オリゴマー以外に、活性エネルギー線の照射により重合し得るモノマーを含有することができる。例えば、ラジカル重合性モノマー、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマーである。具体例をラジカル重合性モノマーで示せば、一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。多官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、これらのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等が好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレート系モノマーによって、活性エネルギー線の照射によって粘着力を低下させるとともに、凝集力を高めて、糊残りの発生を抑制することができる。
本発明において、透明粘着剤組成物における透明性とは、透明粘着剤組成物で厚み10μmの粘着層を形成したときに、この粘着層が、可視光域380〜780nmにおいて、JIS K 7136に準拠して測定したヘーズの値が20%以下であり、且つ、そのときの平行透過率(平行光線透過率とも言い、平行透過率=全光線透過率−拡散透過率である)が、50%以上であることとする。なお、ヘーズは、(拡散透過率/全光線透過率)×100〔%〕である。ヘーズが前記値以下で平行透過率が前記値以上であれば、粘着層を通して粘着層の向こう側の物体を容易に透視することができるからである。平行透過率はヘーズが小さく透明でも着色している場合は小さくなる。また、ヘーズが小さくても、平行透過率も小さくては、拡散光成分の割合が多いために透明性を充分に得られないことがあるからである。
ヘーズは、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。ヘーズが小さいほど、粘着層を通して粘着層の向こう側の被着体の視認性がよくなるからである。
平行透過率は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平行透過率が大きいほど、粘着層を通して粘着層の向こう側の被着体の視認性がよくなるからである。
上記した透明粘着剤組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、上記アクリル系ポリマーと、上記活性エネルギー線重合性オリゴマーと、上記ロジン骨格を有するポリオールと、上記架橋剤と、上記重合開始剤と、さらに必要に応じて、上記各種添加剤とを、有機溶剤に溶解又は分散させることにより製造することができる。有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、これら2種以上の混合溶剤等を用いることができる。
本発明による透明粘着テープは、基材と、この基材上に上述透明粘着剤組成物によって形成された粘着層とを少なくとも含む。
すなわち、本発明による透明粘着テープは、基材と、基材上に形成された粘着層とを有し、粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオールと、架橋剤と、重合開始剤とを含み、ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である透明粘着剤組成物で形成されている。さらに言えば、この粘着層は、前記架橋剤による架橋構造を有し、未反応の前記活性エネルギー線重合性オリゴマー及び未反応の前記重合開始剤を含み、活性エネルギー線の照射により粘着力が低下する、透明粘着テープである。
基材1としては、可視光線に対して透明性を有し、且つ粘着層を硬化させる為の活性エネルギー線に対しても透明性を有し、用途に応じた機械的強度及び柔軟性を有するものであれば、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
例えば、活性エネルギー線としての紫外線に対する透明性及び可視光線に対する透明性を有する基材1としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂などの樹脂から形成された基材を用いることができる。これらの樹脂は、1種又は2種以上を用いることができる。基材1は、単層又は2層以上の複層で用いることができる。
基材1は、フィルムあるいはシートの形態で用いられる。一般に「フィルム」は「シート」に比べて薄いものを含む用語であるが、本発明においては、「フィルム」と「シート」とは、その呼称上の相違によって区別しない。
基材1が有する活性エネルギー線に対する「透明性」とは、活性エネルギー線重合性化合物の活性エネルギー線による重合を進めるに支障のない程度以上に活性エネルギー線を透過し得ることを意味し、例えば、活性エネルギー線重合性化合物の活性エネルギー線による重合に寄与し得る有効波長域において線量の好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上を透過することを意味する。
粘着層2は、上述した透明粘着剤組成物によって形成された透明な粘着性を示す層である。この粘着層2は、活性エネルギー線が照射されることによって、粘着力が低下し、容易に剥離できるようになっている。
粘着層2の厚みは、用途に応じたものとすればよく、特に制限はないが、通常、1〜40μm、好ましくは3〜30μmである。前記厚みが前記範囲未満であると、粘着力が充分に発揮されないことがあり、前記厚みが前記範囲を超えると、活性エネルギー線照射時に、粘着層2の内部まで活性エネルギー線が充分に侵入できず硬化不十分となり粘着力が充分に低下しないことがあるからである。
粘着層2が示す粘着力は、被着体に貼り付け直後の初期粘着力が、好ましくは3.0N/25mm以上、より好ましくは4.0N/25mm以上である。初期粘着力が前記値未満であると、被着体を透明粘着テープ10に確実に固定できないことがあるからである。
活性エネルギー線照射後の粘着力(以下、「照射後粘着力」とも言う)は、好ましくは0.5N/25mm以下、より好ましくは0.2N/25mm以下である。照射後粘着力が前記値を越えると、透明粘着テープ10を被着体から剥離するときに、容易に剥がせないことがあったり、糊残りが生じたりすることがあるからである。
上記初期粘着力及び照射後粘着力は、ともに、JIS Z0237に準拠して、被着体に対する剥離速度300mm/minでの180°引き剥がし時の粘着力である。
セパレータ3は、粘着層2の表面を一時的に保護する必要があるときに設けられる。セパレータ3としては、特に制限はなく公知のものを用いることができる。例えば、セパレータ3としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などの樹脂のフィルムを用いることができる。
セパレータ3の厚みは、特に制限されないが、通常、25〜100μmである。
透明粘着テープ10が示す透明性とは、本発明において、セパレータ3も有する場合は、セパレータ3を除外した構成で捉えた透明粘着テープ10について、可視光域380〜780nmにおいて、JIS K 7136に準拠して測定したヘーズの値が20%以下であり、且つ、そのときの平行透過率(平行光線透過率とも言い、平行透過率=全光線透過率−拡散透過率である)が、50%以上であることとする。なお、ヘーズは、(拡散透過率/全光線透過率)×100〔%〕である。ヘーズが前記値以下で平行透過率が前記値以上であれば、粘着層2を通して粘着層2の向こう側の物体を容易に透視することができるからである。平行透過率はヘーズが小さく透明でも着色している場合は小さくなる。また、ヘーズが小さくても、平行透過率も小さくては、拡散光成分の割合が多いために透明性を充分に得られないことがあるからである。
ヘーズは、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。ヘーズが小さいほど、粘着層2を通して粘着層2の向こう側の被着体の視認性がよくなるからである。
平行透過率は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平行透過率が大きいほど、粘着層2を通して粘着層2の向こう側の被着体の視認性がよくなるからである。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、γ線などが挙げられ、なかでも、照射装置のコストなどの点で紫外線が代表的である。
活性エネルギー線として紫外線を採用する場合には、例えば、150〜450nm波長域の活性エネルギー線を発する高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、積算光量が50mJ/cm2以上、好ましくは100mJ/cm2以上になるように照射すればよい。
本発明による透明粘着テープ10を製造する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、基材1とする樹脂フィルムの片面に、透明粘着剤組成物を塗工し、加熱乾燥して架橋剤で架橋構造を生成して粘着層2を形成する。この際、粘着層2の表面にセパレータ3を設ける場合には、さらに粘着層2の面に、セパレータ3とする樹脂フィルムをラミネートすることで、透明粘着テープ10を製造することができる。
或いは、セパレータ3とする樹脂フィルムに先に粘着層2を塗工形成した後、この粘着層2の面に、基材1をラミネートすることでも、透明粘着テープ10を製造することができる。
粘着層2を塗工形成する際の塗工方法は、公知の方法を適宜採用すればよく、例えば、
ロールコート、リバースコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、グラビアコート等を利用することができる。
本発明による透明粘着剤組成物及び透明粘着テープの用途は、その透明性及び活性エネルギー線照射後の剥離時の糊残りが改善された特性を活かせる用途であれば特に制限はない。例えば、ダイシングテープ、バックグラインドテープ等の電子部品の製造工程で使用される工程用粘着テープ、或いは、プリント配線基板の製造工程において部品を、一時的に固定する仮固定テープ又は一時的に保護する保護テープなどとして好適に用いられ得る。
実施例及び比較例の粘着テープについて、次の(1)相溶性と透明性、(2)粘着力(初期及び紫外線照射後)、及び(3)糊残りの評価を行った。
粘着付与剤に相溶性がないと白濁するため、相溶性は白濁の有無を目視により判断した。白濁が認められないものは透明性が確保され相溶性は有りと判断し、白濁が認められるものは透明性が低下し相溶性は無しと判断した。
粘着力は、JIS Z0237に準拠して、被着体に対する剥離速度300mm/minでの180°引き剥がし時の粘着力を、貼り付け初期の初期粘着力と、紫外線照射後の粘着力(表1中、UV後)とについて、評価した。被着体には、ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)200H、東レ・デュポン株式会社製)を用いた。
初期粘着力は、セパレータを剥がして、被着体にラミネートしてから、室温(23℃)にて30min経過後に測定した。
紫外線照射後の粘着力は、被着体にラミネートしてから30min後に、オーブン中で120℃15min加熱し、その後、室温(23℃)にて30min放置して冷却後、基材1側から、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製Hバルブを用いて、紫外線を積算光量170mJ/cm2照射した後の粘着力を評価した。
上記120℃15minの加熱条件は、電子部品の製造プロセスに透明粘着テープ10を適用したときに、その粘着層2が受ける熱履歴を想定したものである。
紫外線照射後の粘着力の測定時に、被着体に粘着層2が残留するものは糊残り有り、残留しないものは糊残り無し、と評価した。糊残りは目視にて判断した。
図1に示す構成の透明粘着テープ10を次のようにして作製した。
アクリル系ポリマーを含む粘着主剤(株式会社イーテック製、E−306;以下を含む。n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びアクリロニトリルの共重合体で、ヒドロキシル基を有するがカルボキシル基は有さない重量平均分子量Mwが約65万のアクリル系ポリマー80質量%、活性エネルギー線重合性オリゴマー(6官能ウレタンアクリレートオリゴマー)15質量%、その他のモノマー(ジペンタエリスリトールトリアクリレート)2.5質量%、重合開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン3質量%)50質量部(固形分換算)に対して、
活性エネルギー線重合性オリゴマーとしてウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、NKオリゴU−10HA、分子量1200、10官能)45質量部、
ロジン含有ポリオールとしてロジン含有ジオール(荒川化学工業株式会社製、パインクリスタル(登録商標)D−6011、酸価0.2)5質量部、
架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業株式社製、コロネート(登録商標)L、固形分:75%)5質量部(固形分換算)、
及び溶剤(トルエンとメチルエチルケトンとの質量比1:1の混合溶剤)適量、
を混合して、透明粘着剤組成物を調整した。
基材1として、無色透明で厚さ100μmの高透明・易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャイン(登録商標)A4100、東洋紡株式会社製)を用意した。この基材1の一方の面上に、上記組成の透明粘着剤組成物を塗布し、110℃で1min乾燥して厚み10μmの粘着層2を形成した。さらに粘着層2の面に、セパレータ3として、表面をシリコーンで離型処理した厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三井化学東セロ株式会社製、SP−PET−01−BU)をラミネートし、40℃で3日間加熱養生して、架橋剤によるアクリル系ポリマーを含む架橋構造を生成して、目的とする透明粘着テープ10を作製した。
実施例1において、ロジン含有ポリオールを変えて、ロジン含有ジオール(荒川化学工業株式会社製、パインクリスタル(登録商標)KE−615−3、酸価1.5)を用いた他は、実施例1と同様にして、透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ10を作製した。
実施例1において、ロジン含有ポリオールに代えて、ロジン系粘着付与剤であるが、酸価が規定値(酸価2)を超える、超淡色ロジンエステル(荒川化学工業株式会社製、パインクリスタル(登録商標)PE−590、酸価8.6)を用いた他は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物及び粘着テープを作製した。
実施例1において、ロジン含有ポリオールの代わりに、酸価は規定値以下であるが、石油系粘着付与剤(三井石油化学株式会社製、FTR−6100、スチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合体、酸価0.1以下)を用いた他は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物及び粘着テープを作製した。
実施例1において、ロジン含有ポリオールを配合しなかった他は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物及び粘着テープを作製した。
以上の結果、酸価2以下のロジン含有ポリオールを用いた実施例1及び実施例2は、酸価2以下のロジン含有ポリオールを用いていない比較例1〜比較例3に比べて、透明性及び粘着力を確保しつつ、糊残りを改善できることが確認された。
実施例1において、活性エネルギー線重合性オリゴマーのU−10HAを代えて、ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、NKオリゴU−10PA、分子量1270、10官能)を用いた他は、実施例1と同様にして、透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ10を作製した。
実施例2において、活性エネルギー線重合性オリゴマーのU−10HAを代えて、ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、NKオリゴU−10PA、分子量1270、10官能)を用いた他は、実施例1と同様にして、透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ10を作製した。
比較例1において、活性エネルギー線重合性オリゴマーのU−10HAを代えて、ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、NKオリゴU−10PA、分子量1270、10官能)を用いた他は、比較例1と同様にして、粘着剤組成物及び粘着テープを作製した。
実施例1において、活性エネルギー線重合性オリゴマーのU−10HAを代えて、ウレタンアクリレートオリゴマー(紫光(登録商標)UV7600MI85、日本合成化学工業株式会社製、分子量1400、6官能)を用い、その含有量(固形分換算)を30質量部とした他は、実施例1と同様にして、透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ10を作製した。
実施例5において、ロジン含有ポリオールとして用いたロジン含有ジオール(荒川化学工業株式会社製、パインクリスタル(登録商標)D−6011、酸価0.2)の含有量を2倍の10質量部とした他は、実施例5と同様にして、透明粘着剤組成物及び透明粘着テープ10を作製した。
2 粘着層
3 セパレータ
10 透明粘着テープ
Claims (2)
- アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオールと、架橋剤と、重合開始剤とを含み、
前記ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である、
透明粘着剤組成物。 - 基材と、前記基材上に形成された粘着層とを有し、
前記粘着層が、アクリル系ポリマーと、活性エネルギー線重合性オリゴマーと、ロジン骨格を有するポリオールと、架橋剤と、重合開始剤とを含み、前記ロジン骨格を有するポリオールの酸価が2以下である透明粘着剤組成物で形成されている、
透明粘着テープ。
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