JP2013189555A - 熱硬化性エポキシ系接着剤、実装方法及び実装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を使用する熱硬化性エポキシ系接着剤を用いて非常に薄い半導体チップを実装基板に実装する場合や半導体チップ同士を多段積層する場合等において、予め接着剤フィルムに加工しておかなくても、フィレット高さを半導体チップの厚みよりも低くコントロールできるようにする。
【解決手段】熱硬化性エポキシ系接着剤は、エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する。アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系は、アルミニウムキレート剤とシラノール基供給化合物とを含有する。シラノール基供給化合物は、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを特定量で含有する。
【選択図】なし
【解決手段】熱硬化性エポキシ系接着剤は、エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する。アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系は、アルミニウムキレート剤とシラノール基供給化合物とを含有する。シラノール基供給化合物は、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを特定量で含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を含有する熱硬化性エポキシ系接着剤、それを用いて半導体チップをマザーボード、インターポーザ、あるいは他の半導体チップ等の実装基板に実装する方法、及び得られた実装体に関する。
マザーボード基板、インターポーザ基板等の実装基板に半導体チップをワイヤボンディング法やフリップチップ法等により実装する際に、あるいは非常に薄い(50μm〜100μm程度)半導体チップ同士を多段積層する際に熱硬化性エポキシ系接着剤が広く使用されており、その硬化触媒として、低温速硬化特性に優れたアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を使用することが提案されている(特許文献1)。
ところで、非常に薄い半導体チップ同士を多段積層する際に特許文献1に記載されたようなペースト状の熱硬化性エポキシ系接着剤を用いた場合、熱圧着時の溶融粘度が低すぎると、多段積層時にベース基板と半導体チップとの間や2枚の半導体チップの間からはみ出した部分(以下、フィレットと称することがある)の高さが半導体チップの厚みより高くなる場合があり、複数の半導体チップ同士の積層に困難を来すことがある。
このため、熱硬化性エポキシ系接着剤を、フィレット高さをペースト状の接着剤を使用した場合よりも低くコントロール可能な接着剤フィルムに加工することが考えられる。接着剤フィルムを使用した場合にフィレット高さが比較的低くコントロール可能となるのは、一般的に、接着剤フィルムの圧着温度における溶融粘度が接着剤ペーストよりも相対的に低いからである。
しかし、熱硬化性エポキシ系接着剤を接着剤フィルムに加工するには、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を潜在化したり成膜用樹脂を新たに配合したりするなどして、組成の全面的な見直しが必要となるばかりでなく、フィルム加工装置を新たに導入することが必要となり、また、接着箇所に適した形状、サイズ、厚みにフィルムをカットすることも必要となり、しかもフィルムを使用した接続は高い位置合わせ精度が要求され、また、歩留まりも低下し、結果的に製造コストの増大が避けられないという問題がある。
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を使用する熱硬化性エポキシ系接着剤を用いて非常に薄い半導体チップを実装基板に実装する場合や半導体チップ同士を多段積層する場合等において、予め接着剤フィルムに加工しておかなくても、フィレット高さを半導体チップの厚みよりも低くコントロールできるようにすることを目的とする。
本発明者は、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を使用する熱硬化性エポキシ系接着剤で実装基板に半導体チップを実装する際に、あるいは半導体チップ同士を多段積層する際に、熱圧着に先立って、実装基板や半導体チップに接着剤をペーストとして塗布しその状態で半硬化させて半硬化接着剤層を形成すれば、予め接着剤のフィルムを形成しておかなくても、半硬化接着剤層を接着剤フィルムと同様にフィレット高さを低くコントロールできると予想した。そしてその予想の下、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤を活性化するシラノール基供給化合物に着目し、その種類と使用量とを検討したところ、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを、特定の割合で併用することにより、上述した想定内容を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する熱硬化性エポキシ系接着剤であって、
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系が、アルミニウムキレート剤と、シラノール基供給化合物とを含み、
シラノール基供給化合物が、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを含有し、
エポキシ化合物100質量部に対し、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤の含有量が2.0〜7.0質量部であり、ポリシラン化合物の含有量が2.0〜7.0質量部であり、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の含有量が2.0〜7.0質量部である熱硬化性エポキシ系接着剤を提供する。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系が、アルミニウムキレート剤と、シラノール基供給化合物とを含み、
シラノール基供給化合物が、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを含有し、
エポキシ化合物100質量部に対し、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤の含有量が2.0〜7.0質量部であり、ポリシラン化合物の含有量が2.0〜7.0質量部であり、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の含有量が2.0〜7.0質量部である熱硬化性エポキシ系接着剤を提供する。
また、本発明は、実装基板に半導体チップを実装する方法であって、
実装基板の半導体チップ実装領域に上述の熱硬化性エポキシ系接着剤を塗布することにより接着剤層を形成する工程、
得られた接着剤膜に紫外線を照射することにより、ポリシラン化合物のSi-Si結合を切断してシラノール基を生成せしめ、そのシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を開始させ、それにより接着剤層を半硬化させて半硬化接着剤層とする工程
半硬化接着剤層に半導体チップを載置して熱圧着することにより、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を進行させ、それにより半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とする工程
を有する実装方法を提供する。
実装基板の半導体チップ実装領域に上述の熱硬化性エポキシ系接着剤を塗布することにより接着剤層を形成する工程、
得られた接着剤膜に紫外線を照射することにより、ポリシラン化合物のSi-Si結合を切断してシラノール基を生成せしめ、そのシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を開始させ、それにより接着剤層を半硬化させて半硬化接着剤層とする工程
半硬化接着剤層に半導体チップを載置して熱圧着することにより、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を進行させ、それにより半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とする工程
を有する実装方法を提供する。
更に、本発明は、実装基板に半導体チップが実装された実装体であって、実装基板と半導体チップとが、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤の硬化物を介して実装されている実装体を提供する。
本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤は、エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する。アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系は、アルミニウムキレート剤と、アルミニウムキレート剤を活性化するシラノール基供給化合物とを含有する。
このようなアルミニウムキレート−シラノール硬化触媒系は、一般にエポキシ化合物のカチオン重合開始剤として知られるオニウム塩と比べて低速硬化性であるため、接着剤の硬化反応の途中でその進行を抑制すること(換言すれば、接着剤を半硬化させること)ができる。その進行の抑制を可能とするために、本発明では、シラノール基供給化合物として、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを、特定量で併用する。
このため、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤に含有されているアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系は、アルミニウムキレート剤とポリシラン化合物とから構成される光カチオン重合開始触媒系と、アルミニウムキレート剤とシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とから構成される熱カチオン重合開始触媒系とを包含することになる。
しかも、光カチオン重合開始触媒系は、熱硬化性エポキシ系接着剤が半硬化状態となる程度に熱硬化性エポキシ系接着剤に配合されている。
従って、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤は、紫外線照射により当該接着剤が光カチオン重合により半硬化し、続いて熱圧着の際の加熱により本硬化する。
よって、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤を用いて非常に薄い半導体チップを実装基板に実装する場合や半導体チップ同士を多段積層する場合等において、まず実装基板等に塗布されるので、基板の凹凸に対する埋め込み性が確保され、その後の紫外線照射により半硬化して接着剤フィルムとして取り扱うことができるので、予め接着剤フィルムに加工しておかなくとも、フィレット高さを半導体チップの厚みよりも低くコントロールでき、また、バンプの良好な押し込みも可能とし、導通抵抗値を低くすることを可能とする。
本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤は、エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する。このアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系は、アルミニウムキレート剤と、シラノール基供給化合物とを含むものであり、通常、熱硬化性エポキシ系接着剤を調製する際に、接着剤中にアルミニウムキレート剤とシラノール基供給化合物とが混合されたときに、接着剤中で形成される。
なお、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤は、保管の際に液状である必要は必ずしもないが、実装基板への塗布時に液状であることが必要である。通常、粘度(B型粘度計、25℃、H型ローターNo.1〜5、回転数 5rpm)が1〜100Pa・sであることが好ましい。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤としては、式(A)に表される、3つのβ−ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物が挙げられる。
ここで、R1、R2及びR3は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、フルオロメチル基である。
式(1)で表されるアルミニウムキレート剤の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。市販品としては、例えば川研ファインケミカル(株)が上市している商品名“ALCH−TR”、“アルミキレートD”、“アルミキレートA(W)”で特定されるものを挙げることができる。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤の熱硬化性エポキシ系接着剤中の配合量は、エポキシ化合物100質量部に対し、2.0〜7.0質量部、好ましくは2.5〜6.5質量部である。この範囲を下回ると、紫外線照射時に接着剤を十分に増粘させられず、そのため所期の半硬化状態とすることができず、熱圧着の際にフィレット高さが過度に高くなる傾向があり、また、熱圧着時に半硬化状態の接着剤を所期の本硬化状態とすることができないおそれがある。他方、この範囲を上回ると、逆に紫外線照射時には接着剤の増粘が過度なものとなり、熱圧着時に十分な接着ができないおそれが高まる。なお、“半硬化”、“本硬化”の内容については後述する。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するシラノール基供給化合物は、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを含有する。
本発明で使用するポリシラン化合物は、Si原子同士が結合して主鎖が構成されているポリマーである。主鎖は、直鎖でもよく、環状鎖でもよい。また、側鎖には、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、水酸基、水素原子が結合してもよい。例えば、ポリアリールアルキルシラン、ヘキサアリールジシラン、ヘキサアルキルジシラン、1,1,2,2−テトラアリールジシラン、デカアリールシクロペンタシラン等が挙げられる。中でも、好ましいポリシラン化合物としては、以下式(1)で表される化合物を挙げることができる。
式(1)中、R10はフェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基、特にフェニル基であり、R20はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、特にメチル基であり、nは重合度であり、2以上の数、好ましくは10〜60の数を表す。特に好ましいポリシラン化合物としては、ポリメチルフェニルシランを挙げることができ、具体的には、オグソールSI-10-10(大阪ガスケミカル(株)製)等を挙げることができる。
このようなポリシラン化合物中のSi−Si結合は、UV(紫外線)領域である340nmに吸収極大を持つ。このため、ポリシラン化合物に340nm近傍(例えば、310nm〜370nm)の波長域の紫外線を照射すると、Si−Si結合が切断され、切断されたSi結合には水酸基が結合してシラノール基が形成される。このシラノール基が、アルミニウムキレート剤に反応し、エポキシ化合物のカチオン重合を開始させるカチオン種を発生させる。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するポリシラン化合物の熱硬化性エポキシ系接着剤中の配合量は、エポキシ化合物100質量部に対し、2.0〜7.0質量部、好ましくは2.5〜6.5質量部である。この範囲を下回ると、紫外線照射時に接着剤を十分に増粘させられず、そのため所期の半硬化状態とすることができず、熱圧着の際にフィレット高さが過度に高くなる傾向があり、また、熱圧着時に半硬化状態の接着剤を所期の本硬化状態とすることができないおそれがある。他方、この範囲を上回ると、逆に紫外線照射時には接着剤の増粘が過度なものとなり、熱圧着時に十分な接着ができないおそれが高まる。なお、“半硬化”、“本硬化”の内容については後述する。
また、本発明においては、シラノール基供給化合物として、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物に加えて、熱圧着の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物、又は同じく熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを含有する。
このようなシラノール化合物、アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を使用する理由は、ポリシラン化合物が生成するシラノール基量だけでは、半硬化した熱硬化性エポキシ系接着剤を本硬化させることができず、本硬化を実現するために必要なシラノール基量を確保するためである。
シラノール化合物としては、分子内に1以上の水酸基又はアルコキシ基を有するシラン化合物であり、好ましくは式(2)で表されるものを挙げることができる。
式(2)中、X1〜X4は、それぞれ独立的に水素、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基である。但し、X1〜X4の少なくとも一つは水酸基又はアルコキシル基であり、アリール基の数が2を超えることはない。ここで、X1〜X4の少なくとも一つは水酸基又はアルコキシル基である理由は、そうでなければシラノール基を供給することができないからである。また、アリール基の数が2を超えることはない理由は、アリール基の数が3以上となると、アルミニウムキレート剤を過度に活性化してしまうため、接着剤を半硬化状態で止めることができず、本硬化してしまい、接着力が失われてしまうためである。
式(2)のシラノール化合物のうち、置換基の少なくとも一つが水酸基であるものとしては、ジフェニルジシラノール、ジエチルイソプロピルシラノール、トリエチルシラノールなどが挙げられる。また、アルコキシル基であるものとしては、広義にシランカップリング剤として知られている2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越化学工業(株))、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業(株))、ジメチルジエトキシシラン(KBE22、信越化学工業(株))、フェニルトリメトキシシラン(KBM103、信越化学工業(株))等が挙げられる。特にジフェニルジシラノール、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
また、本発明においては、式(2)のシラノール化合物に代えてアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を使用することができる。アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とは、アルコキシシランを加水分解して生じた水酸基が、分子間で脱水縮合して得られた、水酸基を有するシロキサン化合物である。ここで、部分縮合物の“部分”という意味は、縮合に与らない水酸基が存在することを意味する。
このようなアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の当該アルコキシシラン化合物としては、式(3)で表されるトリアルコキシシラン化合物を好ましく挙げることができる。
式(3)中、Y1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基又は水酸基であり、Y2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基である。
式(3)で示されるトリアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の具体例としては、信越化学工業(株)から入手できる、KR242A、KR271、KR282(重量平均分子量(Mw)=100000〜200000、水酸基を含む(シラノール基含有量:1質量%));KR300、KR311(Mw=6000〜10000、水酸基を含む(シラノール基含有量:4.5質量%))が挙げられる。また、シリコーン中間体として、KC89(メトキシ基、メチル基を含む(メトキシ基含有量:45質量%))、KR500(メトキシ基を含む(メトキシ基含有量:30質量%))、KR212(Mw=2000〜3000、水酸基、メチル基、フェニル基を含む(シラノール基含有量:5質量%))、KR213(メトキシ基、メチル基、フェニル基を含む(メトキシ基含有量:22質量%))等が挙げられる。また、東レ・ダウコーニング(株)から入手できる、3037INTERMEDIATE(Mw=1000、メトキシ基、フェニル基、メチル基を含む(メトキシ基含有量:18質量%))、3074INTERMEDIATE(Mw=1400、メトキシ基、フェニル基、メチル基を含む(メトキシ基含有量:17質量%))、Z−6018(Mw=2000、水酸基、フェニル基、プロピル基を含む(シラノール基含有量:6質量%))、217FLAKE(Mw=2000、水酸基、フェニル基を含む(シラノール基含有量:6質量%))、220FLAKE(Mw=3000、水酸基、フェニル基、メチル基を含む(シラノール基含有量:6質量%))、233FLAKE(Mw=3000、水酸基、フェニル基、メチル基を含む(シラノール基含有量:6質量%))等が挙げられる。
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の熱硬化性エポキシ系接着剤中の配合量は、エポキシ化合物100質量部に対し、2.0〜7.0質量部、好ましくは2.5〜6.5質量部である。この範囲を下回ると、紫外線照射時に接着剤を十分に増粘させられず、そのため所期の半硬化状態とすることができず、熱圧着の際にフィレット高さが過度に高くなる傾向があり、また、熱圧着時に半硬化状態の接着剤を所期の本硬化状態とすることができないおそれがある。他方、この範囲を上回ると、逆に紫外線照射時には接着剤の増粘が過度なものとなり、熱圧着時に十分な接着ができないおそれが高まる。なお、“半硬化”、“本硬化”の内容については後述する。
熱硬化性エポキシ系接着剤を構成するエポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド等の内部エポキシ化合物や内部エポキシ樹脂のみならず、末端にオキシラン環を有する末端エポキシ化合物を使用することができる。
このようなエポキシ化合物としては、液状でも固体状でもよく、エポキシ当量が通常100〜4000程度であって、分子中に2以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、エステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等を好ましく使用することができる。また、これらの化合物にはモノマーやオリゴマーが含まれる。このうち、特にシクロヘキセンオキシド型の脂環式エポキシ化合物が、エポキシ化合物の50〜100質量%で含有されることが好ましい。この場合、ビスフェノールA型エポキシ化合物を併用することが好ましい。
本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、希釈モノマー、溶剤、シリカ、マイカなどの充填剤、球状シリカなどの熱伝導性フィラー、顔料、帯電防止剤などを含有させることができる。また、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤には、数μmオーダーの粒径の導電性粒子、金属粒子、樹脂コア表面を金属メッキ層で被覆したもの、それらの表面を絶縁薄膜で更に被覆したもの等を、全体の1〜10質量%の配合量で配合することができる。これにより、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤を、異方導電性接着ペーストとして使用することが可能となる。
以上説明した本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤は、エポキシ化合物と、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤と、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供給するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを均一に混合することにより製造することができる。
次に、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤を使用した実装基板に半導体チップを実装する方法について説明する。
(工程イ)
まず、実装基板の半導体チップ実装領域に本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤を塗布する。これにより実装基板に接着剤層を形成する。
まず、実装基板の半導体チップ実装領域に本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤を塗布する。これにより実装基板に接着剤層を形成する。
熱硬化性エポキシ系接着剤の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、熱硬化性エポキシ系接着剤をシリンジに充填し、圧縮空気によって圧送しつつパターンを形成するディスペンス方式や、スクリーンメッシュで任意のパターンを形成し、ペーストを印刷するスクリーン印刷法などの方法を挙げることができる。熱硬化性エポキシ系接着剤の流動性の制御の点で、スクリーン印刷法により塗布することが特に好ましい。
接着剤層の厚みとしては、半導体チップより厚いフィレットが形成されないようにするために、接着すべき半導体チップの厚さの5〜80%程度とすることが好ましい。
なお、実装基板としては、半導体装置を製造する際に使用されるようなマザーボードやインターポーザ基板等を挙げることができる。半導体チップを多段積層する場合には、半導体チップそのものも実装基板となる。
(工程ロ)
次に、得られた接着剤層に紫外線を照射する。これにより、ポリシラン化合物のSi-Si結合を切断してシラノール基を生成せしめ、そのシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を開始させ、それにより接着剤層を半硬化させて半硬化接着剤層とする。
次に、得られた接着剤層に紫外線を照射する。これにより、ポリシラン化合物のSi-Si結合を切断してシラノール基を生成せしめ、そのシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を開始させ、それにより接着剤層を半硬化させて半硬化接着剤層とする。
接着剤層に照射する紫外線としては、高圧水銀ランプないしメタルハライドランプから発せられる280〜380nmの波長の紫外線であり、広く使用されている365nm近傍に主波長のあるものが使用できる。この場合の紫外線強度は、365nmの照射強度で通常250〜450mw/cm2、好ましくは300〜400mw/cm2である。照射時間は、通常30〜90秒、好ましくは50〜70秒である。紫外線照射時の温度は、通常室温付近、すなわち15〜30℃である。
半硬化接着剤層の“半硬化”とは、以下の定義である。すなわち、前記B型粘度計での25℃での測定は実際上不可能であり、且つこの状態にある接着剤層をFT−IRにて測定した場合にエポキシ樹脂のエポキシ基の吸収波数である914cm−1のピーク高さより、以下の式(a)で定義される硬化率が10〜50%である状態である。
式(a)中、“A”は、FT−IRにて測定した未反応の接着剤の波数914cm−1におけるピーク強度であり、“B”は半硬化接着剤層のFT−IRでの914cm−1におけるピーク強度である。
(工程ハ)
次に、半硬化接着剤層に半導体チップを載置して熱圧着する。これにより、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を進行させ、それにより半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とする。この結果、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤の硬化物を介して実装基板に半導体チップが実装された実装体が得られる。
次に、半硬化接着剤層に半導体チップを載置して熱圧着する。これにより、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を進行させ、それにより半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とする。この結果、本発明の熱硬化性エポキシ系接着剤の硬化物を介して実装基板に半導体チップが実装された実装体が得られる。
半硬化接着剤層への半導体チップの載置は、公知の載置手法を利用することができる。また、熱圧着も、公知の熱圧着手法を利用することができる。熱圧着条件としては、圧力が、通常0.5〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.8MPaであり、加熱温度が、通常200〜400℃、好ましくは250〜300℃、熱圧着時間が、通常10〜60秒、好ましくは20〜50秒である。
半硬化接着剤層の“本硬化”とは、前述の式(a)で定義される硬化率が50%より大きい状態を意味する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1〜4
(熱硬化性エポキシ系接着剤の調製)
表1に示す配合組成の各成分を、遊星式攪拌機を用いて均一に混練し、ペースト状の熱硬化性エポキシ系接着剤を得た。実施例1〜2並びに比較例1〜2は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と水酸基を有する式(2)のシラノール化合物とを併用した例である。実施例3は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物とアルコキシ基を有する式(2)のシラノール化合物とを併用した例である。実施例4〜5は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と式(3)のトリアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを併用した例である。比較例3は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と、トリフェニルシラノールとを併用した例である。比較例4は、アルミニウムキレート−シラノール硬化触媒系に代えて、スルホニウム塩型光酸発生剤を使用した例である。
(熱硬化性エポキシ系接着剤の調製)
表1に示す配合組成の各成分を、遊星式攪拌機を用いて均一に混練し、ペースト状の熱硬化性エポキシ系接着剤を得た。実施例1〜2並びに比較例1〜2は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と水酸基を有する式(2)のシラノール化合物とを併用した例である。実施例3は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物とアルコキシ基を有する式(2)のシラノール化合物とを併用した例である。実施例4〜5は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と式(3)のトリアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを併用した例である。比較例3は、シラノール基供給化合物として、式(1)のポリシラン化合物と、トリフェニルシラノールとを併用した例である。比較例4は、アルミニウムキレート−シラノール硬化触媒系に代えて、スルホニウム塩型光酸発生剤を使用した例である。
(実装体の作成)
熱硬化性エポキシ系接着剤を、スクリーン印刷法により、塗布厚み40μm、塗布面積が6.5mm×6.5mmとなるように、試験用実装基板(高さ20μmのCuパッド(160ピン)が85μmピッチで中心部に配列され、測定用配線を有する基板)に塗布し、接着剤層を形成した。
熱硬化性エポキシ系接着剤を、スクリーン印刷法により、塗布厚み40μm、塗布面積が6.5mm×6.5mmとなるように、試験用実装基板(高さ20μmのCuパッド(160ピン)が85μmピッチで中心部に配列され、測定用配線を有する基板)に塗布し、接着剤層を形成した。
この接着剤層に対し、UV照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS(株)製、UL−750);照射レンズHLL−SQ5s−120)を用い、主波長365nmの紫外線を、370mW/cm2の紫外線強度で60秒間照射し、接着剤層を半硬化接着剤層とした。この半硬化接着剤層の硬化率は30%であった。
紫外線照射後、5分以内にフリップチップボンダー(FCB3、パナソニックファクトリーソリューションズ(株)製)を用い、6.5mm×6.5mm、厚み100μmの半導体ベアチップ(高さ20μmのCuポスト+高さ15μmのハンダキャップを有し、基盤側と対になるように該ポストが160ピン配列)を、半硬化接着剤層が形成された領域に、80℃、0.24MPa、1秒という条件で仮搭載後、280℃、1.4MPa、40秒で熱圧着して半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とすることにより実装体を得た。得られた実装体に関し、「半導体チップ仮搭載性」、「フィレット高さ」、「熱圧着後のバンプ/パッドの状態」、「導通抵抗値」について、以下に説明するように試験評価した。
<半導体チップ仮搭載性>
実装体を作成するにあたって、紫外線照射により作成された半硬化接着剤層に半導体チップを載置し、80℃、0.24MPa、1秒という条件で仮搭載し、以下の基準で評価した。
実装体を作成するにあたって、紫外線照射により作成された半硬化接着剤層に半導体チップを載置し、80℃、0.24MPa、1秒という条件で仮搭載し、以下の基準で評価した。
ランク 基準
○: 基板を垂直に直立させても半導体チップの落下が生じない場合
×: 基板を垂直に直立させたときに半導体チップの落下が生じる場合
○: 基板を垂直に直立させても半導体チップの落下が生じない場合
×: 基板を垂直に直立させたときに半導体チップの落下が生じる場合
<フィレット高さ>
半硬化接着剤層に半導体チップを載置し仮搭載した後に半硬化接着剤層を本硬化させて得た実装体について、半導体チップに這い上がった接着剤(フィレット)の高さを測定し、以下の基準で評価した。
半硬化接着剤層に半導体チップを載置し仮搭載した後に半硬化接着剤層を本硬化させて得た実装体について、半導体チップに這い上がった接着剤(フィレット)の高さを測定し、以下の基準で評価した。
ランク 基準
○:フィレット高さが半導体チップ厚の半分以下である場合
×:フィレット高さが半導体チップ厚の半分を超える場合
○:フィレット高さが半導体チップ厚の半分以下である場合
×:フィレット高さが半導体チップ厚の半分を超える場合
<熱圧着後のバンプ/パッドの状態>
熱圧着後の実装体を、ミクロトームを用いて切断し、露出した断面を断面研磨機を用いて研磨し、半導体チップのバンプと実装基板のパッドとを光学顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で評価した。
熱圧着後の実装体を、ミクロトームを用いて切断し、露出した断面を断面研磨機を用いて研磨し、半導体チップのバンプと実装基板のパッドとを光学顕微鏡を用いて観察し、以下の基準で評価した。
ランク 基準
○: バンプとパッドとがズレておらず、形状も維持されている場合
×1: 押し込み不足でバンプがパッドに届いていない場合
×2: 押し込み過多でバンプ形状が損なわれている場合
○: バンプとパッドとがズレておらず、形状も維持されている場合
×1: 押し込み不足でバンプがパッドに届いていない場合
×2: 押し込み過多でバンプ形状が損なわれている場合
<導通抵抗値>
4線抵抗方式で導通抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。
4線抵抗方式で導通抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。
ランク 基準
○: 測定不能部がなく、全抵抗値が0.5Ω以下の場合
×1: 全ピン測定不能な場合
×2: 測定不能部があり、測定可能部の抵抗値も0.5Ω超の場合
○: 測定不能部がなく、全抵抗値が0.5Ω以下の場合
×1: 全ピン測定不能な場合
×2: 測定不能部があり、測定可能部の抵抗値も0.5Ω超の場合
表1から、実施例1〜5の熱硬化性エポキシ系接着剤は、「半導体チップ仮搭載性」、「フィレット高さ」、「熱圧着後のバンプ/パッドの状態」、「導通抵抗値」について、いずれも良好な結果を示した。
それに対し、比較例1の熱硬化性エポキシ系接着剤は、紫外線照射で発生するシラノール基が過剰となり、短時間の紫外線照射で接着剤が過度に増粘し、半導体チップを十分に押し込むことができなかった。
また、比較例2の熱硬化性エポキシ系接着剤は、紫外線照射で発生するシラノール基が不足し、接着剤が十分に増粘せず、フィレット高さが半導体チップを超えてしまった。
比較例3の熱硬化性エポキシ系接着剤はトリフェニルシラノールを使用し、また、比較例4の熱硬化性エポキシ系接着剤は従来の一般的な光酸発生剤をカチオン重合触媒として使用したので、紫外線照射で接着剤が本硬化してしまい、実施例と同じ熱圧着条件では半導体チップを搭載できなかった。
本発明のアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を使用する熱硬化性エポキシ系接着剤は、非常に薄い半導体チップを実装基板に実装する場合や半導体チップ同士を多段積層する場合等において、予め接着剤フィルムに加工しておかなくとも、フィレット高さを半導体チップの厚みよりも低くコントロールできるので、それらの実装に有用である。
Claims (11)
- エポキシ化合物とアルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系とを含有する熱硬化性エポキシ系接着剤であって、
アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系が、アルミニウムキレート剤と、シラノール基供給化合物とを含み、
シラノール基供給化合物が、紫外線照射によりアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供するポリシラン化合物と、熱硬化処理の際にアルミニウムキレート剤に作用するシラノール基を供するシラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物とを含有し、
エポキシ化合物100質量部に対し、アルミニウムキレート-シラノール硬化触媒系を構成するアルミニウムキレート剤の含有量が2.0〜7.0質量部であり、ポリシラン化合物の含有量が2.0〜7.0質量部であり、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物の含有量が2.0〜7.0質量部である熱硬化性エポキシ系接着剤。 - ポリシラン化合物が、ポリメチルフェニルシランである請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤。
- シラノール化合物が、ジフェニルジシラノールであり、アルコキシシラン化合物が、フェニルトリメトキシシランである請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤。
- エポキシ化合物が、脂環式エポキシ化合物とビスフェノールA型エポキシ化合物とを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤。
- 更に、熱伝導伝性フィラーとして球状シリカを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤。
- 半導体チップの多段積層に用いられる請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤。
- 実装基板に半導体チップを実装する方法であって、
実装基板の半導体チップ実装領域に請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤を塗布することにより接着剤層を形成する工程、
得られた接着剤層に紫外線を照射することにより、ポリシラン化合物のSi-Si結合を切断してシラノール基を生成せしめ、そのシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を開始させ、それにより接着剤層を半硬化させて半硬化接着剤層とする工程
半硬化接着剤層に半導体チップを載置して熱圧着することにより、シラノール化合物又はアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物のシラノール基をアルミニウムキレート剤に作用させてエポキシ化合物のカチオン重合を進行させ、それにより半硬化接着剤層を本硬化させて本硬化接着剤層とする工程
を有する実装方法。 - 被実装基板に半導体チップが実装された実装体であって、被実装基板と半導体チップとが、請求項1〜9のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ系接着剤の硬化物を介して実装されている実装体。
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-
2012
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