JP2013179067A - 二次電池および二次電池用セパレータ - Google Patents

二次電池および二次電池用セパレータ Download PDF

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健介 山本
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Abstract

【課題】高い安全性を確保しつつ、良好な電池性能を有する二次電池を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備える。セパレータの表面の少なくとも一部に潤滑剤が設けられており、負極は、活物質として、硅素の単体、合金および化合物、ならびにスズの単体、合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極および負極と、それらの間に設けられたセパレータとの積層構造を有する巻回体を備えた二次電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ),携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。これらの電子機器のポータブル電源として用いられている電池、特に二次電池はキーデバイスとして、エネルギー密度の向上を図る研究開発が活発に進められている。中でも、非水電解質二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるので、その改良に関する検討が各方面で行われている。
リチウムイオン二次電池では、正極と負極とを隔てるセパレータとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどからなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜が用いられている。セパレータは両極の接触による電流の短絡を防止する一方、電解質を保持することでリチウムイオンを通過させ、両極間での電池反応を可能としている。
これまでに、セパレータを構成する多孔質膜の表面を、電解質の溶媒と高い親和性を有する高分子化合物からなるコーティング膜で覆うことにより、セパレータにおける電解質の保持性能を改善する試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
一方、リチウムイオン二次電池に使用される負極活物質としては、比較的高容量を示し良好なサイクル特性を有する難黒鉛化性炭素あるいは黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。
しかしながら、このような炭素材料を用いた場合には、負極放電電位が対リチウム(Li)で0.8V〜1.0Vであるので、電池エネルギー密度の点では大きな向上が見込めない。さらには、充放電曲線形状にヒステリシスが大きく、各充放電サイクルでのエネルギー効率が低いという欠点もある。
そこで、最近では、炭素材料を上回る高容量の負極活物質として、ある種の金属がリチウムと電気化学的に合金化し、これが可逆的に生成・分解することを応用した合金材料が開発され、これに関する研究も進められている。さらには、サイクル特性を改善する手法として、スズやケイ素(Si)を合金化してこれらの膨張を抑制することが検討されている。例えば、鉄などの遷移金属とスズとを合金化することが提案されている(特許文献2〜4,非特許文献1〜3参照)。このほかにも、Mg2Siなども提案されている(非特許文献4参照)。
特開平8−96788号公報 特開2004−22306号公報 特開2004−63400号公報 特開2005−78999号公報
「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p405 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p414 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p423 「ジャーナル オブ ザ エレクトロケミカル ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)」、1999年、第146号、p4401
しかしながら、これらの手法を用いた場合であっても、充放電時における負極の膨張および収縮を十分に抑制することが難しい。このため、電池の高容量化を目的として所定の大きさの電池缶により多くの集電体および活物質層を充填しようとすると、集電体やセパレータの損傷を招くおそれが生じ、結果として合金材料を採用した高容量負極の特長を十分に活かしきれていないのが実状である。
具体的には、上記のような合金材料からなる高容量負極を用いて巻回体を構成すると、充放電に伴う負極の膨張により負極とセパレータとの界面において巻回方向の大きな摩擦が生じ、セパレータや負極集電体が局所的に過度な応力を受けることで亀裂や破断などの損傷を受けるおそれがある。そのような損傷は、巻回体内部での短絡や、電池のサイクル特性の劣化の原因となり得るものである。
なお、最近では、接着性が高く化学的安定性に優れるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いて特許文献1のようなコーティング膜を形成し、正極および負極とセパレータとの相対位置を高精度に保持する検討も行われているが、コーティング膜として用いられるPVdFのような高分子化合物は、一般的に粘着性の高いものが多い。したがって、そのような高分子化合物からなるコーティング膜を設けることは、セパレータと負極との摩擦を増大させる原因となる可能性が高い。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、巻回体内部における充放電時の摩擦を緩和し、高い信頼性を確保しつつ良好な電池性能を有する二次電池を提供することにある。
本発明の二次電池は、正極と、負極と、これら正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備える。セパレータの表面の少なくとも一部に潤滑剤が設けられており、負極は、活物質として、硅素の単体、合金および化合物、ならびにスズの単体、合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。
本発明の二次電池では、セパレータが、その表面の少なくとも一部に潤滑剤を有するようにしたので、充放電の際に負極が膨張した場合であっても、セパレータと、正極および負極との間に生じる摩擦力が低減され、正極、負極およびセパレータが受ける応力が緩和される。
本発明の二次電池によれば、セパレータの表面の少なくとも一部に潤滑剤を設けるようにしたので、充放電の際に正極、負極およびセパレータが受ける応力を緩和することができる。その結果、合金材料からなる高容量負極を用いて高容量化を図りつつ、巻回体内部での短絡やサイクル特性の劣化などを回避することができ、電池特性の向上と共に高い信頼性の確保が可能となる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図1に示した巻回電極体のII−II線に沿った構成を表す断面図である。 図2に示した正極21の展開図である。 図2に示した負極22の展開図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図において各構成要素は本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは異なっている。
図1および図2は、本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。図1に示された断面と図2に示された断面とは、互いに直交する位置関係にある。すなわち、図2は、図1に示したII−II線に沿った矢視方向における断面図である。この二次電池は、いわゆる角型といわれるものであり、ほぼ中空直方体形状をなす外装缶11の内部に、偏平形状の巻回体20を収容したものである。
外装缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、負極端子としての機能も有している。この外装缶11は、一端部が閉鎖され他端部が開放されており、開放端部に絶縁板12および電池蓋13が取り付けられることにより外装缶11の内部が密閉されている。絶縁板12は、ポリプロピレンなどにより構成され、巻回体20の上に巻回周面に対して垂直に配置されている。電池蓋13は、例えば、外装缶11と同様の材料により構成され、外装缶11と共に負極端子としての機能も有している。電池蓋13の外側には、正極端子となる端子板14が配置されている。また、電池蓋13の中央付近には貫通孔が設けられ、この貫通孔に、端子板14に電気的に接続された正極ピン15が挿入されている。端子板14と電池蓋13との間は絶縁ケース16により電気的に絶縁され、正極ピン15と電池蓋13との間はガスケット17により電気的に絶縁されている。絶縁ケース16は、例えばポリブチレンテレフタレートにより構成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋13の周縁付近には開裂弁18および電解液注入孔19が設けられている。開裂弁18は、電池蓋13と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に開裂して内圧の上昇を抑えるようになっている。電解液注入孔19は、例えばステンレス鋼球よりなる封止部材19Aにより塞がれている。
巻回体20は、正極21と負極22とが、表面に高分子化合物層26が設けられたセパレータ23を間にして積層されて渦巻き状に巻回されたものであり、外装缶11の形状に合わせて偏平な形状に成形されている。巻回体20の最外周にはセパレータ23が位置しており、そのすぐ内側には正極21が位置している。図2では、正極21および負極22の積層構造を簡略化して示している。また、巻回体20の巻回数は、図1および図2に示したものに限定されず、任意に設定可能である。巻回体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード24が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード25が接続されている。正極リード24は正極ピン15の下端に溶接されることにより端子板14と電気的に接続されており、負極リード25は外装缶11に溶接され電気的に接続されている。
図3は図1に示した正極21の巻回前の断面構成を表すものである。この正極21は、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを設けたものである。詳細には、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが存在する正極被覆領域21Cと、正極被覆領域21Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、正極集電体21Aの両面とも正極活物質層21Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域21DS,21DEとを有している。正極リード24は、巻回中心側の正極露出領域21DSに接合されている。
正極集電体21Aは、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料としては、例えば、硫化チタン(TiS2 ),硫化モリブデン(MoS2 ),セレン化ニオブ(NbSe2 )あるいは酸化バナジウム(V2 5 )などのリチウムを含有しない金属硫化物,金属セレン化物あるいは金属酸化物など、またはリチウムを含有するリチウム含有化合物が挙げられる。
リチウム含有化合物の中には、高電圧および高エネルギー密度を得ることができるものが存在する。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられ、特にコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種を含むものは、より高い電圧を得ることができるので好ましい。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、ニッケルを含む複合酸化物が好ましい。高い容量を得ることができると共に、優れたサイクル特性も得ることができるからである。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-v Mnv PO4 (v<1))が挙げられる。
図4は、負極22の構成を表したものである。この負極22は、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを設けたものである。詳細には、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが存在する負極被覆領域22Cと、負極被覆領域22Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、負極集電体22Aの両面とも負極活物質層22Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域22DS,22DEとを有している。負極リード25は、巻回外周側の負極露出領域22DEに接合されている。
負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。この負極集電体22Aの厚みは、例えば5μm〜50μmである。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じて導電材および結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。負極活物質としては、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料が挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素あるいは半金属元素としては、例えばリチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg),ホウ素(B),アルミニウム(Al),ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素,ゲルマニウム(Ge),スズ,鉛(Pb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。
中でも、この負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。具体的には、例えば、ケイ素の単体,合金,あるいは化合物、またはスズの単体,合金,あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素,ニッケル,銅,鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン(Ti),ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ,ニッケル,銅,鉄,コバルト,マンガン,亜鉛,インジウム,銀,チタン,ゲルマニウム,ビスマス,アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
中でも、この負極材料としては、スズと、コバルトと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
このCoSnC含有材料は、必要に応じて、以下に列挙する他の構成元素のいずれか1種または2種以上をさらに含んでいてもよい。ここでいう他の構成元素とは、例えば、ケイ素,鉄,ニッケル,クロム,インジウム,ニオブ(Nb),ゲルマニウム,チタン,モリブデン(Mo),アルミニウム(Al),リン(P),ガリウム(Ga)およびビスマスである。これらを含むことで容量またはサイクル特性をさらに向上させることができるからである。
なお、このCoSnC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このCoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
負極活物質としては、さらに、天然黒鉛,人造黒鉛,難黒鉛化炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料を用いてもよい。炭素材料を用いれば優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。また、負極活物質としては、リチウム金属も挙げられる。負極活物質はこれらの1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、負極活物質は、例えばレーザ式粒度分布測定における平均粒子径が10μm以下の粒子からなるものである。その平均粒子径は、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
セパレータ23は、基材26と、その表面に設けられた高分子化合物層27とを有するものである。基材26は、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。具体的には、基材26は、ポリエチレンからなる単層構造であってもよいし、あるいはポリプロピレンからなる一対の層の間にポリエチレンからなる層を挿入した3層構造であってもよい。
基材26は、高分子化合物層27を介して正極21および負極22と接している。なお、図1および図2では、基材26の一方の面のみに高分子化合物層27を設けるようにした場合を表しているが、基材26の両面に高分子化合物層27を設けるようにすることが望ましい。
高分子化合物層27は、溶媒に電解質塩が溶解された電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含むものである。ここで、高分子化合物が電解液を「保持する」とは、電解液に高分子化合物が膨潤した状態のほか、電解液と高分子化合物とが相互作用することなく混在した状態をも含む概念である。すなわち、高分子化合物層27は、電解液に高分子化合物が膨潤したいわゆるゲル状の電解質であってもよいし、剛直な高分子化合物の空隙に電解液が相互作用を生ずることなく存在した状態の電解質であってもよい。なお、電解液は、正極21、負極22または基材26に含浸されていてもよい。
電解液に含まれる溶媒としては、各種の高誘電率溶媒および低粘度溶媒を用いることができる。例えば高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートのほか、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、およびトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートが好適に用いられる。高誘電率溶媒としては、上記のような環状カーボネートの代わりに、またはこれと併用して、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトンもしくはε−カプロラクトンなどのラクトン、N−メチルピロリドンなどのラクタム、N−メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物なども使用可能である。一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートのほか、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびメチルプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルおよびN,N−ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、ならびに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよび1,3−ジオキソランなどのエーテルを用いることができる。
なお、溶媒としては、上述の高誘電率溶媒および低粘度溶媒のうちの1種を単独で、またが2種以上を任意に混合して用いることができるが、20〜50質量%の環状カーボネートと50〜80質量%の低粘度溶媒とを含むものが好ましく、特に低粘度溶媒として、沸点が130℃以下の鎖状カーボネートを含むものが好ましい。このような溶媒を用いることにより、少量の電解液で、高分子化合物を良好に膨潤させることができ、電池の膨れ抑制や漏れ防止と高いイオン伝導性との両立を図ることができる。ここで、電解液を占める低粘度溶媒の含有率が高すぎると誘電率の低下を招くこととなり、低粘度溶媒の含有率が低すぎると粘度の低下を招くこととなり、いずれの場合においても十分なイオン伝導度が得られず、良好な電池特性が得られなくなるおそれがある。
電解質塩としては、溶媒に溶解してイオンを生ずるものであればいずれを用いてもよく、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えばリチウム塩であれば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4 )等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3 SO2
2 )、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(C2 5 SO2 2 )、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩などが使用可能である。なかでも、六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムは、酸化安定性の点から好ましい。
なお、このような電解質塩の濃度は、溶媒1dm3 に対して0.1mol以上3.0mol以下であることが好ましく、特に、溶媒1dm3 に対して0.5mol以上2.0mol以下であることが好ましい。このような範囲においてより高いイオン伝導性を得ることができるからである。
高分子化合物層27を構成する高分子化合物としては、電解液を保持してイオン伝導性を発揮するものであることが求められるが、具体的には、アクリロニトリルの共重合体が50%以上(特に80%以上)であるアクリロニトリル系重合体、芳香族ポリアミド、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリレートもしくはメタクリレートの単独重合体または共重合体よりなるアクリル系重合体、アクリルアミド系重合体、フッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマー、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類を挙げることができる。特にアクリロニトリルの共重合量が50%以上の重合体は、その側鎖にCN基を有しているため誘電率が高く、イオン伝導性の高いゲル状の電解質を形成可能である。これら重合体に対する電解液の担持性向上や電解質のイオン伝導性を向上させるため、アクリルニトリルとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のビニルカルボン酸、アクリルアミド、メタクリルスルホン酸、ヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、各種(メタ)アクリレートなどを好ましくは50%以下、特に好ましくは20%以下の割合で共重合したものも用いることができる。これらの高分子化合物は200℃以上の融点を有しており、耐熱性に優れている。なお、芳香族ポリアミドは高耐熱性ポリマーであることから、さらなる高耐熱性が要求される場合には好適である。
高分子化合物層27を構成する高分子化合物としては、上記のほか、ブタジエンなどを共重合させた架橋構造を有する重合体も挙げられる。さらに、構成成分としてフッ化ビニリデンを含む重合体、すなわち単独重合体、共重合体および多元共重合体についても高分子化合物として使用可能である。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、およびポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF−HEP−CTFE)を挙げることができる。特に、酸化還元安定性の点からは、ポリフッ化ビニリデンあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物が望ましい。高分子化合物層27には、さらに、安全性向上を目的として酸化アルミニウム(Al2 3),酸化チタン(TiO2),酸化ジルコニウム(ZrO2 ),酸化コバルト(CoO)あるいは酸化硅素(SiO2 )などの絶縁性粒子を含有させるようにしてもよい。
高分子化合物層27は、さらに、電解液および高分子化合物と共に潤滑剤を含んでいる。潤滑剤は、例えば、高級脂肪酸塩、滑石(タルク)、窒化ホウ素(BN)、または二硫化モリブデン(MoS2 )などの無機固体微粒子からなり、電解液と同様に高分子化合物によって保持されている。ここで用いられる高級脂肪酸塩としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸バリウム、またはラウリン酸亜鉛などが挙げられる。なお、タルクは、水酸化マグネシウムと珪酸塩とによって構成される鉱物であり、化学式がMg3 Si4 10 (OH)2
で表されるものである。高分子化合物層27は、高分子化合物と潤滑剤とを合わせた全体の単位面積あたりの重量が0.07mg/cm2 から1.2mg/cm2 の範囲となるように基材26に設けられているとよい。高い初回充放電効率と共に良好なサイクル特性を確保しやすくなるからである。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
次いで、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aにドクタブレードあるいはバーコーターなどを用いて均一に塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機により圧縮成型して負極合剤層22Bを形成し、負極22を作製する。ロールプレス機は加熱して用いてもよい。また、目的の物性値になるまで複数回圧縮成型してもよい。さらに、ロールプレス機以外のプレス機を用いてもよい。
続いて、正極集電体21Aに正極リード24を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード25を溶接などにより取り付ける。その一方で、基材26の片面または両面に高分子化合物層27を塗布することでセパレータ23を形成する。具体的には、まず、ポリフッ化ビニリデンやカルボキシメチルセルロースなどの高分子化合物をN−メチル−2−ピロリドンや水などの溶剤に溶解させると共に潤滑剤を添加することで高分子溶液を作製し、その高分子溶液を、基材26の片面または両面にスピンコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティングあるいはディッピングなどの手法を用いて塗布する。次いで、塗布した高分子溶液を乾燥させて溶剤を除去することで、基材26に高分子化合物層27が設けられたセパレータ23を得る。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を間にして積層し、図3および図4に示した巻回方向Rに複数回巻回したのち成形することで、偏平な形状を有する巻回体20を作製する。
次に、上記のように作製した巻回体20を外装缶11の内部に収容する。この際、巻回体20の最外周面となるセパレータ23(基材26)には高分子化合物層27を設けないようにすれば、巻回体20をスムーズに外装缶11の中へ挿入することができ、基材26や、その内側に位置する正極21の端部を損傷させる可能性が極めて低い。こののち、巻回体20の上に絶縁板12を配置し、負極リード25を外装缶11に溶接すると共に、正極リード24を正極ピン15の下端に溶接して、外装缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接により固定する。最後に、電解液を電解液注入孔19から外装缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させ、電解液注入孔19を封止部材19Aで塞ぐ。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
このように、本実施の形態では、セパレータ23の基材26と、負極22との間に潤滑剤を含有する高分子化合物層27を設けるようにしたので、充放電の際に負極22が膨張した場合であっても、セパレータ23と、正極21および負極22との間に生じる摩擦力が低減され、正極21、負極22および基材26が受ける応力が緩和される。その結果、合金材料からなる負極22を採用することで高容量化を図りつつ、巻回体20の内部での短絡やサイクル特性の劣化などを回避することができ、電池特性の向上と共に高い信頼性の確保が可能となる。
潤滑剤は、その含有量が多いほど負極の膨張に伴う電池内部の応力を緩和しやすくなるが、多すぎるとセパレータ23の導電性を低下させ、電池容量の低下や負荷特性の劣化を招くおそれが生じる。したがって、潤滑剤の含有量は、高分子化合物層27を構成する高分子化合物に対して重量比で0.25倍以上9倍以下であることが望ましい。また、潤滑剤は、高分子化合物層27に均一に含まれていることが望ましいが、不均一であっても離散的に分布していればよい。但し、セパレータ23の表面の静摩擦係数が0.30以下となる程度に潤滑剤が存在していることが望ましい。そのような静摩擦係数を確保することで、負極の膨張に伴う電池内部の応力をより緩和することができるからである。
また、本実施の形態では、負極活物質の平均粒子径を10μm以下としたので、電池の製造工程での基材26の損傷を回避することができる。そのうえ、高分子化合物層27に含まれる潤滑剤の分布の偏りを低減し、より均質に分散させることができ、少量の潤滑剤であっても効率的に電池内部の応力を緩和することができる。
さらに、セパレータ23の基材26が、高分子化合物層27を介して正極21および負極22と密接していることにより、電池反応に実質的に関与しない余剰の電解液を低減することができ、電解液が正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bの周囲に効率よく供給される。したがって、本実施の形態では、電解液の総量を低減しつつ、優れたサイクル特性を確保できるうえ、耐漏液性の向上を図ることもできる。
本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1)
上記実施の形態で説明した二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1(モル比)の割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。続いて、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード24を取り付けた。
また、負極活物質としてCoSnC含有材料を作製した。まず、原料としてコバルト粉末とスズ粉末と炭素粉末とを用意し、コバルト粉末とスズ粉末とを合金化してコバルト・スズ合金粉末を作製したのち、この合金粉末に炭素粉末を加えて乾式混合した。続いて、この混合物を、遊星ボールミルを用いてメカノケミカル反応を利用することで合成し、CoSnC含有材料を得た。
得られたCoSnC含有材料について組成の分析を行ったところ、コバルトの含有量は29.3質量%、スズの含有量は49.9質量%、炭素の含有量は19.8質量%であった。なお、炭素の含有量は、炭素・硫黄分析装置により測定し、コバルトおよびスズの含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析により測定した。また、得られたCoSnC含有材料についてX線回折を行ったところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。更に、このCoSnC含有材料についてXPSを行ったところ、CoSnC含有材料中におけるC1sのピークは284.5eVよりも低い領域に得られた。すなわち、CoSnC含有材料中の炭素が他の元素と結合していることが確認された。
次いで、このCoSnC含有材料60質量部と、導電剤および負極活物質である人造黒鉛28質量部およびカーボンブラック2質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して厚み9μmの負極活物質層22Bを形成した。そののち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード25を取り付けた。
続いて、20μm厚の微孔性ポリエチレンフィルム(東燃化学製)よりなる基材26を用意し、ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させると共に潤滑剤としてのタルクを添加することで得た高分子溶液を基材26の片面にローラーコーティングによって塗布したのち、純水によって洗浄し乾燥させることで、基材26に高分子化合物層27が形成されたセパレータ23を得た。ここでは、乾燥後における高分子化合物層27(高分子化合物および潤滑剤)のみの単位面積あたりの重量が0.5mg/cm2 となるように、基材26に高分子化合物層27を設けるようにした。この点(すなわち、乾燥後における高分子化合物層27の単位面積あたりの重量)については、以下で述べる実施例1−3,1−5,1−7,1−9および比較例1−1,1−3についても同様である。また、ポリフッ化ビニリデンとタルクとの混合比は、重量比で1:2とした。さらに、正極21と,セパレータ23と、負極22と、セパレータ23とを順に積層して積層体を形成したのち、この積層体を渦巻状に複数回巻回することで巻回体20を作製した。積層体を形成する際は、高分子化合物層27が形成された面を負極22と対向するようにした。得られた巻回体20については、偏平な形状に成形した。
次に、偏平形状に成型された巻回体20を外装缶11の内部に収容したのち、巻回体20の上に絶縁板12を配置し、負極リード25を外装缶11に溶接すると共に、正極リード24を正極ピン15の下端に溶接して、外装缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接により固定した。そののち、電解液注入孔19から外装缶11の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン30体積%と炭酸ジエチル70体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の濃度で溶解させたものを用いた。最後に、電解液注入孔19を封止部材19Aで塞ぐことにより、角型の二次電池を得た。
(実施例1−2)
セパレータ23の基材26として3層構造のものを用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。具体的には、微孔性ポリエチレンフィルムの両面に微孔性ポリプロピレンフィルムを貼り合わせてなる3層構造(全体の厚みが20μm)の基材26を用意し、実施例1−1と同様の手法により、基材26の片面に高分子化合物層27が形成されたセパレータ23を得た。なお、本実施例においても、乾燥後における高分子化合物層27(高分子化合物および潤滑剤)のみの単位面積あたりの重量が0.5mg/cm2 となるように、3層構造の基材26に高分子化合物層27を設けるようにした。この点(すなわち、乾燥後における高分子化合物層27の単位面積あたりの重量)については、以下で述べる実施例1−4,1−6,1−8,1−10および比較例1−2,1−4についても同様である。
(実施例1−3)
潤滑剤として窒化硼素(BN)を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例1−4)
潤滑剤として窒化硼素(BN)を用いたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。
(実施例1−5)
潤滑剤として二硫化モリブデン(MoS2 )を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例1−6)
潤滑剤として二硫化モリブデン(MoS2 )を用いたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。
(実施例1−7)
潤滑剤として二硫化モリブデン(MoS2 )および酸化ジルコニウム(ZrO2 )を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。ここで、二硫化モリブデン(MoS2 )と酸化ジルコニウム(ZrO2 )との混合比は、重量比で1:1とした。
(実施例1−8)
潤滑剤として二硫化モリブデン(MoS2 )および酸化ジルコニウム(ZrO2 )を用いたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。ここで、二硫化モリブデン(MoS2 )と酸化ジルコニウム(ZrO2 )との混合比は、重量比で1:1とした。
(実施例1−9)
潤滑剤としてステアリン酸ナトリウムを用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。
(実施例1−10)
潤滑剤としてステアリン酸ナトリウムを用いたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−1,1−2として、高分子化合物層27に潤滑剤を添加しなかったことを除き、他は実施例1−1または実施例1−2とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。さらに、比較例1−3,1−4として、潤滑剤として酸化ジルコニウム(ZrO2 )を用いたことを除き、他は実施例1−1または実施例1−2とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。
このようにして得られた実施例1−1〜1−10および比較例1−1〜1−4の二次電池をそれぞれ50個作製し、25℃の環境下において以下の要領で充放電を行った。まず充電については、電池電圧が4.2Vとなるまで500mAの定電流で定電流充電を行い、引き続き4.2Vの定電圧で、電流値が50mAとなるまで定電圧充電を行った。次に放電については、電池電圧が2.5Vとなるまで500mAの定電流で定電流放電を行った。この充電と放電との組み合わせを1サイクルとし、30サイクルまで充放電を行い、放電容量維持率(サイクル特性)として、2サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率、すなわち(30サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100(%)を算出した。また、初回充放電効率として、1サイクル目の充電容量に対する1サイクル目の放電容量の比率、すなわち(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
さらに、実施例1−1〜1−10および比較例1−1〜1−4とそれぞれ同条件で作製した二次電池を、上記条件で5サイクルまで充放電を行ったのち解体してセパレータ23を取り出した。取り出したセパレータ23を、ジメチルカーボネートによって十分に洗浄して乾燥したのち、その静摩擦係数を測定した。具体的には、傾斜駆動板式静摩擦係数測定器(熊谷理機工業株式会社製)を用い、傾斜板速度を8mm/sec.として測定した。得られた結果を、表1に、初回充放電効率および放電容量維持率の結果と併せて示す。
Figure 2013179067
表1に示したように、本実施例では、所定の潤滑剤を高分子化合物層に添加するようにしたので、全ての比較例よりも静摩擦係数を低減することができた。その結果、比較例1〜4と同程度の初回充放電効率を維持しつつ、比較例1〜4よりも放電容量維持率(サイクル特性)を向上させることができた。これは、繰り返し行った充放電に伴う膨張による負極と正極およびセパレータとの間の摩擦力が低減され、正極集電体、セパレータおよび負極集電体の損傷や、負極活物質の剥離や脱落を抑制することができた結果によるものと考えられる。
また、上記条件で30サイクルまで充放電を行った各実施例および比較例の電池を解体し、各々の正極、負極およびセパレータを観察したところ、各実施例に比べ、各比較例では正極集電体(アルミニウム箔)およびセパレータの基材に多くの皺が見られ、特に正極集電体については亀裂が多数観察された。これに対し、各実施例では、正極、負極およびセパレータの損傷がほとんど観察されなかった。
(実施例2−1〜2−7)
次に、高分子化合物層27を構成する高分子化合物(樹脂)として、ポリフッ化ビニリデンの代わりに表2(後出)に示した各種材料を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。具体的には、実施例2−1ではポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用い、実施例2−2ではポリイミド(PI)を用い、実施例2−3ではポリアミド(PA)を用い、実施例2−4ではポリアミドイミド(PAI)を用い、実施例2−5ではポリエーテルサルフォン(PES)を用い、実施例2−6ではポリアラミド(PAR)を用い、実施例2−7ではカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた。
(実施例2−8〜2−14)
さらに、高分子化合物層27に添加する潤滑剤としてタルクの代わりに窒化硼素(BN)を用いたことを除き、他は実施例2−1〜2−7とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。
(実施例2−15〜2−21)
さらに、高分子化合物層27に添加する潤滑剤としてタルクの代わりに二硫化モリブデン(MoS2 )を用いたことを除き、他は実施例2−1〜2−7とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例2−1〜2−21の各二次電池についても、実施例1−1〜1−10と同様にして初回充放電効率および放電容量維持率を算出した。得られた結果を実施例1−1,1−3,1−5の結果と併せて表2に示す。
Figure 2013179067
表2に示したように、実施例2−1〜2−7では、高分子化合物層27を構成する高分子化合物としてどの樹脂を用いた場合であっても、ポリフッ化ビニリデンと同程度の初回充放電効率および放電容量維持率(サイクル特性)が得られた。潤滑剤として窒化硼素を用いた実施例2−8〜2−14、および二硫化モリブデンを用いた実施例2−15〜2−21についても同様の結果が得られた。
(実施例3−1〜3−7)
次に、高分子化合物層27におけるポリフッ化ビニリデンと二硫化モリブデン(MoS2 )との混合比を変更したことを除き、他は実施例1−5と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例3−1〜3−7の各二次電池についても、実施例1−1〜1−10と同様にして初回充放電効率および放電容量維持率を算出した。さらに、実施例3−1,3−3,3−4,3−7および比較例1−1については、負荷特性(負荷時の放電容量維持率)についても以下のようにして25℃の環境下において調査した。まず充電については、電池電圧が4.2Vとなるまで500mAの定電流で定電流充電を行い、引き続き4.2Vの定電圧で、電流値が50mAとなるまで定電圧充電を行った。次に放電については、電池電圧が2.5Vとなるまで1500mAの定電流で定電流放電を行った。このときの放電容量を電流値1500mAでの放電容量とした。一方、実施例3−1〜3−7と各々同条件で作製した別のサンプルについて、上記と同条件で充電を行ったのち、電池電圧が2.5Vとなるまで500mAの定電流で定電流放電を行い、そのときの放電容量を電流値500mAでの放電容量とした。ここで、負荷特性(負荷時の放電容量維持率)として、電流値500mAでの放電容量に対する電流値1500mAでの放電容量の比率、すなわち(1500mAでの放電容量/500mAでの放電容量)×100(%)を算出した。得られた結果を実施例1−5の結果と併せて表3に示す。なお、表3では、サイクル特性(2サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率)を項目名「サイクル」の欄に記載し、負荷特性を項目名「負荷」の欄に記載した。また、乾燥後における高分子化合物層27(高分子化合物および潤滑剤)のみの単位面積あたりの重量を「全体」の「面積密度」の欄に記載し、高分子化合物のみの単位面積あたりの重量を「樹脂(PVdF)」の「面積密度」の欄に記載し、潤滑剤のみの単位面積あたりの重量を「潤滑剤(MoS2 )」の「面積密度」の欄に記載した。
Figure 2013179067
表3に示したように、実施例3−1〜3−7では、潤滑剤を添加しなかった比較例1−1よりも、初回充放電効率およびサイクル特性の双方において高い数値を示した。特に、潤滑剤の含有率が20重量%以上90重量%以下において、より高い数値を示した。サイクル特性については、潤滑剤の含有率が80重量%(実施例3−5)に達するまでは上昇し、それを超えるとやや低下する(実施例3−6,3−7)傾向が見られた。実施例3−7では、高分子化合物(PVdF)の含有率が小さく、潤滑剤を十分に保持することが困難となり、潤滑剤を添加した効果が十分に現れなかったものと考えられる。また、負荷特性については、実施例3−1,3−3,3−4,3−7のいずれにおいても、比較例1−1よりもやや低下した。これは、潤滑剤の添加により、インピーダンスが上昇してしまった影響と考えられる。したがって、負荷特性を重視する場合には、潤滑剤の添加量は可能な限り少量であることが望ましい。
(実施例4−1〜4−5)
次に、高分子化合物層27の全体の単位面積あたりの重量を変更したことを除き、他は実施例3−4と同様にして二次電池を作製した。
(実施例4−6)
さらに、潤滑剤の単位面積あたりの重量を維持しつつ高分子化合物層27の全体の単位面積あたりの重量を0.4mg/cm2 に変更すると共に、ポリフッ化ビニリデンと二硫化モリブデン(MoS2 )との混合比を8:92としたことを除き、他は実施例3−4と同様にして二次電池を作製した。
比較例4−1〜4−5として、高分子化合物層27に潤滑剤を添加しなかったことを除き、他は実施例4−1〜4−5とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例4−1〜4−6および比較例4−1〜4−5の各二次電池についても、実施例1−1〜1−10と同様にして初回充放電効率および放電容量維持率を算出した。さらに、実施例4−2,4−4および比較例4−2,4−4については、負荷特性についても実施例3−1などと同様にして調査した。得られた結果を実施例3−4および比較例1−1の結果と併せて表4に示す。なお、表4では、サイクル特性(2サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率)を項目名「サイクル」の欄に記載し、負荷特性を項目名「負荷」の欄に記載した。
Figure 2013179067
表4に示した実施例3−4,4−1〜4−5と比較例1−1,4−1〜4−5との比較により、高分子化合物層27の全体の単位面積あたりの重量が0.07mg/cm2 から1.2mg/cm2 の範囲では、同じ単位面積あたりの重量であればセパレータに潤滑剤を設ける(実施例3−4,4−1〜4−5)ことで潤滑剤を設けない場合と同等以上の初回充放電効率を確保しつつ、潤滑剤を設けない場合よりも良好なサイクル特性を確保できることがわかった。また、負荷特性については、実施例4−2,4−4は、比較例4−2,4−4とそれぞれほぼ同等であった。
(実施例5−1)
負極活物質としてCoSnCの代わりにスズ(Sn)を用いたことを除き、他は実施例1−5と同様にして二次電池を作製した。ここでは、真空蒸着法により、表面が粗化された厚み15μmの銅箔にスズを気相成長させ、真空中において12時間に亘って200℃で焼成することで厚み4μmの負極活物質層22Bを形成した。
(実施例5−2)
負極活物質としてCoSnCの代わりに硅素(Si)を用いたことを除き、他は実施例1−5と同様にして二次電池を作製した。ここでは、平均粒子径が2μmの硅素粉末80質量部とポリフッ化ビニリデン20質量部とを混合して負極合剤を調整したのち、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型した。さらに、真空中において12時間に亘って300℃で焼成することで厚み5μmの負極活物質層22Bを形成した。
(実施例5−3)
負極活物質としてCoSnCの代わりに硅素銅チタン合金(SiCuTi)を用いたことを除き、他は実施例1−5と同様にして二次電池を作製した。ここでは、まず、原料として硅素粉末と銅粉末とチタン粉末とを原子数比で80:10:10の割合で乾式混合したのち、遊星ボールミルを用いてメカノケミカル反応を利用することで合成し、SiCuTi含有材料を得た。得られたSiCuTi含有材料について組成の分析を行ったところ、硅素の含有率は66.7質量%、銅の含有率は18.4質量%、チタンの含有率は14.9質量%であった。
次いで、このSiCuTi含有材料80質量部とポリフッ化ビニリデン20質量部とを混合して負極合剤を調整したのち、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、厚み15μmの銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型した。さらに、真空中において12時間に亘って300℃で焼成することで厚み9μmの負極活物質層22Bを形成した。
(実施例5−4)
負極活物質としてCoSnCの代わりに硅素を用いたことを除き、他は実施例1−5と同様にして二次電池を作製した。ここでは、真空蒸着法により、表面が粗化された厚み15μmの銅箔にスズを気相成長させ、真空中において12時間に亘って200℃で焼成することで厚み5μmの負極活物質層22Bを形成した。
比較例5−1〜5−4として、高分子化合物層27に潤滑剤を添加しなかったことを除き、他は実施例5−1〜5−4と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例5−1〜5−4および比較例5−1〜5−4の各二次電池についても、実施例1−1〜1−10と同様にして初回充放電効率および放電容量維持率(サイクル特性)を算出した。得られた結果を実施例1−5の結果と併せて表5に示す。
Figure 2013179067
表5に示したように、実施例5−1〜5−4では、潤滑剤を添加しなかった比較例5−1〜5−4と比較して、ほぼ同等の初回充放電効率を維持しつつサイクル特性において高い数値を示した。すなわち、負極活物質として、CoSnCに限らず、スズ単体や硅素単体、または硅素合金を用いた場合にも、潤滑剤を添加する効果が確認された。
このように、本実施例によれば、セパレータ23の基材26と、負極22との間に潤滑剤を含有する高分子化合物層27を設けるようにしたので、充放電の際に負極22が膨張した場合であっても、セパレータ23と、正極21および負極22との間に生じる摩擦力が低減され(セパレータ23の表面の静摩擦係数が0.30以下となり)、正極21、負極22およびセパレータ23が受ける応力が緩和される結果、合金材料からなる負極22を採用した場合であっても巻回体20の内部での短絡やサイクル特性の劣化などを回避することができ、電池特性の向上と共に高い信頼性が確保できることが確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば上記実施の形態および実施例では、巻回構造を有する角型の二次電池について説明したが、本発明は、巻回構造をなす巻回体と共に外装缶を有する二次電池(例えば円筒型)であれば適用可能である。
また、上記実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウムあるいはカリウムなどの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。その際、負極活物質としては、例えば上記実施の形態と同様のものなどを用いることができる。
11…外装缶、12…絶縁板、13…電池蓋、14…端子板、15…正極ピン、16…絶縁ケース、17…ガスケット、18…開裂弁、19…電解液注入孔、19A…封止部材、20…巻回体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…セパレータ、24…正極リード、25…負極リード、26…基材、27…高分子化合物層。
本発明は、正極および負極と、それらの間に設けられたセパレータとの積層構造を有する巻回体を備えた二次電池、ならびにそれに用いられる二次電池用セパレータに関する。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、巻回体内部における充放電時の摩擦を緩和し、高い信頼性を確保しつつ良好な電池性能を有する二次電池、ならびにそれに用いられる二次電池用セパレータを提供することにある。
本発明の二次電池は、正極と、負極と、これら正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備える。セパレータの表面の少なくとも一部に潤滑剤が設けられており、負極は、活物質として、硅素の単体、合金および化合物、ならびにスズの単体、合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。
本発明の二次電池用セパレータは、正極および負極と共に二次電池用の巻回積層構造に含まれるものであって、正極と負極との間に位置し、自らの表面の少なくとも一部に潤滑剤が設けられているものである。

Claims (8)

  1. 正極と、負極と、前記正極および負極の間に位置するセパレータとの積層構造を含む巻回体を備え、
    前記セパレータの表面の少なくとも一部に潤滑剤が設けられており、
    前記負極は、活物質として、硅素(Si)の単体、合金および化合物、ならびにスズ(Sn)の単体、合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる
    二次電池。
  2. 前記潤滑剤は、高級脂肪酸塩、滑石(タルク)、窒化ホウ素(BN)、および二硫化モリブデン(MoS2 )のうちの少なくとも1種を含むものである
    請求項1記載の二次電池。
  3. 前記セパレータは、多孔質の基材と、その基材の表面に設けられたゲル状または液状の高分子化合物を含んでなる高分子化合物層とを有し、
    前記潤滑剤は、前記高分子化合物に保持されている
    請求項1記載の二次電池。
  4. 前記高分子化合物および潤滑剤の単位面積あたりの重量が合計で0.07mg/cm2
    以上1.2mg/cm2 以下である
    請求項3記載の二次電池。
  5. 前記基材は、ポリエチレンからなる単層構造、またはポリプロピレンからなる一対の層の間にポリエチレンからなる層を挿入した3層構造を有する
    請求項3記載の二次電池。
  6. 前記高分子化合物は、200℃以上の融点を有するものである
    請求項3記載の二次電池。
  7. 前記高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアラミド、またはカルボキシメチルセルロースである
    請求項3記載の二次電池。
  8. 前記潤滑剤の含有量は、前記高分子化合物に対して重量比で0.25倍以上9倍以下である
    請求項3記載の二次電池。
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