以下に図面を参照しながら、本発明の実施の一形態を説明する。図1には、本実施の形態に係る建物の一例とする住宅10の概略構成が示されている。この住宅10には、商用電源などの系統電源12が引き込まれており、住宅10で消費されるエネルギーとしての電力が供給される。
図2に示されるように、住宅10には、分電盤14が設けられている。この分電盤14は、主開閉器(メインブレーカ)及び複数の分岐開閉器(分岐ブレーカ、何れも図示省略)が設けられた一般的構成とされている。系統電源12は、図示しない積算電力計を介して分電盤14に接続されている。これにより、分電盤14に設けられた分岐ブレーカのそれぞれには電気配線(屋内配線)又は屋内配線に接続されたコンセント等を介して、住宅10にエネルギー消費機器として設けられた照明器具、空調装置などの各電気機器へ電力が供給される。
本実施の形態に適用する住宅10は、少なくとも系統電源12などの電力供給基盤を介してエネルギーのひとつとする電力が供給されるものであれば良いが、これに加えて、エネルギー源として各種の電力源を設けることができる。この電力源としては、太陽光、風力などの自然エネルギーを利用して発電する自然エネルギー発電手段、燃料などの非自然エネルギーを利用して発電する非自然エネルギー発電手段、電力を蓄積することで蓄積した電力を放電する蓄電手段などを用いることができる。
図1及び図2に示されるように、住宅10では、自然エネルギー発電手段の一例として、太陽光パネル16(図1参照)で太陽光を受光することで受光量に応じた電力を発生する太陽光発電装置18、風力によって発電機が回転駆動されることで発電する風力発電装置20が設けられている。
また、住宅10には、非自然エネルギー発電手段として燃料電池(SOCF)22が設けられている。なお、非自然エネルギー発電手段としては、これに限らず、燃料を用いる内燃機関などを駆動源とするなどして発電機を回転駆動することで発電する一般的構成の発電装置などを適用することができる。
さらに、蓄電手段としては、蓄電池(バッテリ)がある。また、蓄電手段としては、走行用のエネルギー源として蓄電池を有する電気自動車(EV:Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid electric Vehicle)などを用いることができる。住宅10では、蓄電手段として、蓄電池24、プラグインハイブリッド車(PHV、以下、車両26とする)が利用可能となっている。
図2に示されるように、住宅10には、電力切換装置28が設けられており、系統電源12、太陽光発電装置18、風力発電装置20、燃料電池22、蓄電池24及び車両26が電力切換装置28に接続される。また、電力切換装置28は、分電盤14の一次側(電源側)に接続され、分電盤14には、電力切換装置28を介して電力が供給される。
なお、蓄電池24及び車両26は、専用の充放電装置24A、26Aに接続され、充放電装置24A、26Aを介して電力切換装置28に接続される。この充放電装置24A、26Aは、直流電力を交流電力に変換するインバータ機能及び交流電力を直流電力に変換するコンバータ機能を備え、直流電力を系統電源12の電圧及び位相等に応じた交流電力に変換して電力切換装置28へ出力する。
また、充放電装置24A、26Aは、分電盤14の図示しない分岐ブレーカに接続され、分電盤14から供給される交流電力を、コンバータ機能により直流電力に変換することで蓄電池24及び車両26への充電を行う。なお、充放電装置26Aは、住宅10に隣接して設けられた駐車スペースに車両26が駐車されて接続されることで車両26に対する充放電が可能となる。
このような充放電装置24A、26Aは、蓄電池24及び車両26が最適な動作状態となる充電量の範囲に維持するように充放電を制御する一般的構成が適用される。また、充放電装置24A、26Aは、蓄積されている電力を放電する場合、予め設定された電力量を上限として放電可能な電力量に応じた電力を蓄電池24及び車両26から放電する。
また、太陽光発電装置18、風力発電装置20及び燃料電池22のそれぞれは、発電電力を系統電源12の電圧及び位相に合わせた交流電力に変換して出力する。なお、このようなインバータ機能、コンバータ機能を含む構成は、公知の一般的構成を適用することができる。
電力切換装置28は、例えば、逆流防止機能が設けられ、系統電源12から太陽光発電装置18等など、異なる系統の間で電力が流れるのを防止している。電力切換装置28は、複数の系統(電力源)から電力が入力されていると、何れか少なくとも1系統の電力を選択して分電盤14へ出力する。また、電力切換装置28は、系統電源12以外の系統(電力源)から供給される電力を、分電盤14と別に出力することで、系統電源12等の住宅10の外部へ送電可能となっており、これにより売電が行われる。このような、電力切換装置28は、上記機能を満たすものであれば、任意の構成を適用することができる。
ところで、住宅10には、ホームエネルギー管理システム(Home Energy Management System:HEMS)10Aが設けられている。図2に示されるように、HEMS10Aは、管理制御盤30を備えており、この管理制御盤30により住宅10におけるエネルギーの供給及び消費状態が管理されると共に、居住者がエネルギーの消費及び管理状態の把握が可能となっている。ここから、管理制御盤30は、太陽光発電装置18等の発電手段の発電電力の管理、蓄電池24等に対する充放電の制御などを行う機能を併せ持つ。また、管理制御盤30は、分電盤14へ供給する電力の管理、すなわち、住宅10の各電気機器で消費される電力の管理を行う。なお、以下では、分電盤14と別に管理制御盤30を設けて説明するが、分電盤14と管理制御盤30とが一体とされた構成など、任意の構成を適用することができる。
図3に示されるように、管理制御盤30は、CPU32A、RAM32B、ROM32C、HDD32Dを備え、これらがバス32Eに接続された一般的構成のマイクロコンピュータを含んでいる。ROM32C及び記憶手段として用いられるHDD32Dには、各種のプログラム及びデータが記憶されており、CPU32Aは、ROM32C及びHDD32Dに記憶されているプログラムを実行することで各種の処理を行う。このとき、RAM32Bはワークメモリとして使用される。
この管理制御盤30には、ネットワークインターフェイス(NET I/F)34が設けられ、このネットワークI/F34がインターネットなどの公衆回線網又は専用回線網に接続されることで、管理制御盤30が所定のホストサーバ36に接続される。管理制御盤30は、予め設定されたデータをホストサーバ36へ送信すると共に、ホストサーバ36から各種のデータの取得が可能となり、これによりHEMS10Aが適正に機能する。
また、管理制御盤30には、U/I(ユーザインターフェイス)38が設けられている。U/I38は、表示手段とされるディスプレイ40を備えている。ディスプレイ40は、例えば、LCDを用いたタッチパネル式とされ、これにより各種の情報の表示と共に、表示面に触れる(以下、「操作」とする)ことで、ディスプレイ40に表示しているユーザインターフェイス(UI)に応じた各種の情報の入力操作が可能となっている。このディスプレイ40には、スピーカ(図示省略)が設けられ、表示情報等を音声によって報知可能となっている。
U/I38は、バス32Eに接続され、CPU32Aは、U/I38のディスプレイ40を表示手段として機能させ、各種の情報を表示させる。また、CPU32Aは、予め設定したUIをディスプレイ40に表示し、この表示に応じたタッチ操作によって各種の情報を入力する入力手段として機能させる。
管理制御盤30には、入出力インターフェイス(入出力I/F)42及び通信ユニット44が設けられ、通信ユニット44が入出力I/F42を介してバス32Eに接続されている。管理制御盤30は、通信ユニット44を介して各電気機器と情報の交換が可能となるように接続される。
HEMS10Aにおいては、管理制御盤30と各電気機器との間でデータ及び制御信号などの情報の交換が可能となることで、管理制御盤30により、各電気機器が動作しているか否か、動作している場合の消費電力などの作動状態、メンテナンス状態などを把握でき、かつ必要に応じて各電気機器の作動/停止を制御することができる。
このような通信ユニット44としては、管理制御盤30と各電気機器とを有線接続するものであっても良く、無線通信を行うものであっても良い。また、通信ユニット44としては、電力線を介した通信、住宅10(建物)に設置した通信回線を用いた屋内ネットワークによる通信など、任意の通信方法を適用することができる。
図2に示されるように、分電盤14には、電力センサ(電力計)46が設けられている。電力センサ46は、分電盤14から供給される電力により各電気機器が作動することにより消費されるエネルギーとする電力(消費電力の瞬時値、以下、消費電力とする)を検出し、検出した消費電力に応じた信号を出力する。
図3に示されるように、管理制御盤30には、A/D変換器48が設けられ、電力センサ46がA/D変換器48を介して入出力I/F42に接続されている。また、管理制御盤30の入出力I/F42には、電力切換装置28と共に、太陽光発電装置18、風力発電装置20、燃料電池22、蓄電池24の充放電装置24A、及び車両26の充放電装置26Aが接続されている。
これにより、管理制御盤30は、太陽光発電装置18及び風力発電装置20の作動状態(作動しているか否か及び作動している場合の発電電力等)を取得する。また、管理制御盤30は、燃料電池22の発電制御を行うと共に、充放電装置24A、26Aの作動を制御することで蓄電池24及び車両26の充放電を制御する。
ここで、管理制御盤30では、居住者が予め系統電源12に対する消費電力の上限の目標値(消費上限電力)を設定することで、この消費上限電力を記憶する。なお、消費上限電力は、1時間単位などの予め設定された時間帯毎の値が設定されて記憶される。
管理制御盤30は、系統電源12の電力を分電盤14に供給しているときに電力センサ46によって検出される消費電力が消費上限電力を超えないように管理する。このとき、管理制御盤30は、例えば、予め電気機器ごとに優先順位を設定しておき、消費電力が消費上限電力を超えた場合、消費電力が消費上限電力を超えたことを居住者に報知すると共に、優先順位の低い電気機器の動作を停止させるなどして消費電力を抑制する。
また、管理制御盤30には、電力切換装置28に接続されている電力源の系統ごとに優先順位が設定されている。この優先順位は、系統電源12が最も低く、自然エネルギー発電手段である太陽光発電装置18、風力発電装置20の優先順位が最も高く設定されている。
管理制御盤30は、各系統(各電力源)の供給可能電力と消費電力から、供給可能電力が消費電力を超えるように優先順位の高い電力源から分電盤14へ電力が供給されるように電力切換装置28を作動させる。これにより、住宅10では、太陽光発電装置18及び風力発電装置20の発電電力(供給可能電力)が、消費電力を超えることで、系統電源12からの電力供給が停止され、系統電力12の電力消費、すなわち、系統電源12から供給されるエネルギーの消費が抑えられる。
管理制御盤30は、発電電力に余剰電力が生じていると、蓄電池24、車両26へ充電を行っておき、発電電力より消費電力が大きくなった場合に、蓄電池24、車両26に蓄積した電力を放電、燃料電池22による発電を行う。これにより、自然エネルギーを効率的に使用し発電電力が消費電力よりも少ない場合であっても系統電力12の電力消費の抑制が可能となる。なお、蓄電池24、車両26への充電は、系統電源12の深夜電力を用いて行うものであっても良く、燃料電池22による発電を行ったときに余剰電力が生じた場合に充電を行っても良い。
一方、図1に示されるように、住宅10には、蓄熱装置50が設けられている。蓄熱装置50は、例えば、冷媒を蓄積する蓄熱タンク52、住宅10の屋根に設けられた熱交換部54、及び蓄熱タンク52と熱交換部54との間を接続して冷媒を循環させる冷媒循環手段56を備えている。また、蓄熱装置50は、例えば住宅10の居室の床面に図示しない床面パネルが敷設され、この床面パネルと蓄熱タンク52との間で冷媒が循環される。
蓄熱装置50では、エネルギーとして熱交換部54が太陽光の熱を受けることで冷媒が加熱され、加熱された冷媒を蓄熱タンク52に蓄積する。蓄熱装置50は、この冷媒が床面パネルとの間で循環させることで、床面パネルが敷設されている居室を暖房する。なお、蓄熱装置50は、蓄熱タンク52の冷媒の熱で水道水を加熱して、給湯を行うものであっても良い。また、蓄熱装置50は、夏季の夜間などで熱交換部54の冷媒を外気により冷却することで、この冷媒を床面パネルに循環させて、補助的に居室の冷房を行うものであっても良い。さらに、蓄熱装置50は、系統電力12等から供給される電力で、冷媒の加熱又は冷却を行うこともできる。
図3に示されるように、管理制御盤30には、蓄熱装置50が接続されている。HEMS10Aにおいては、管理制御盤30が、この蓄熱装置50による熱エネルギーの蓄積及び利用を管理する。このとき、管理制御盤30は、住宅10に設けている空調装置(エアコン58)の作動を合わせて蓄熱装置50の作動を制御することで、住宅10内の住環境を最適とするための空調(冷暖房)管理を行う。
一方、住宅10には、住宅10内が居住者にとって最適な居住環境となるように採風や日除け(以下、日遮と表記する)を含む採光を管理する住環境管理システム60が構成されている。図4に示されるように、この住環境管理システム60には、管理制御盤30が用いられている。すなわち、管理制御盤30は、HEMS機能(HEMS10A)に加えて、環境管理機能を有している。
この住環境管理システム60には、携帯端末62が設けられている。この携帯端末62は、図示しないディスプレイを備えると共に、リモートコントロール機能を有している。図3に示されるように、携帯端末62は、無線通信等の通信機能によって管理制御盤30のU/I38に接続している。これにより、居住者は、携帯端末62を携帯して住宅10内を移動できる。
管理制御盤30は、ディスプレイ40に表示する情報を携帯端末62の図示しないディスプレイに表示させる。また、管理制御盤30は、この携帯端末62により各種の情報の入力が可能となっている。なお、本実施の形態では、携帯端末60にディスプレイ40と同等の情報を表示するように説明するが、これに限らず、携帯端末62用に設定された専用の情報を表示するものであっても良い。また、携帯端末62としては、一般的構成の情報処理端末を用いることができる。
住宅10には、気象条件などの屋外環境を検出する屋外環境検出手段、及び住宅10内の屋内環境を検出する屋内環境検出手段が設けられている。図4に示されるように、住環境管理システム60では、屋外環境検出手段として、屋外の温度及び湿度を検出する温湿度センサ64A、屋外の風向を検出する風向センサ64B、屋外の風速を検出する風速センサ64C、日射(日差しの強さ)を検出する日射センサ64Dが設置されている。温湿度センサ64A、風向センサ64D、風速センサ64C及び日射センサ64Dは、管理制御盤30に接続されている。
これにより、管理制御盤30は、住宅10内の屋外環境情報の取得が可能となっている。なお、気象条件検出手段としては、例えば、風速センサ64Cの出力に換えて風速発電装置20の発電電力を用いることができ、日射センサ64Dの出力に換えて太陽光発電装置18の発電電力を用いることができる。以下では、風速センサ64Cとして風力発電装置20を用い、日射センサ64Dとして太陽光発電装置18を用いるものとして説明する。また、気象条件としては、ホストサーバ36を介して取得する気象情報を用いても良い。
また、住環境管理システム60では、屋内環境検出手段として、住宅10内の温度及び湿度を検出する温湿度センサ66が設けられている。管理制御盤30には、この温湿度センサ66が接続されている。これにより、管理制御盤30は、屋内環境情報として住宅10内の温度(屋内温度)及び湿度(屋内湿度)の検出が可能となっている。なお、温湿度センサ66は、住宅10内で、居住者の在室時間(利用時間)の長く、採風及び日遮の管理の対象とする居室のそれぞれに設けられている。
一方、管理制御盤30が接続されているホストサーバ36には、住宅10の間取りを示す間取りデータが予め入力されて記憶されている。ホストサーバ36に記憶される住宅10の間取りデータは、例えば、建築設計図に基づく住宅10の間取り図に対応する間取り図データ、住宅10の外壁面が向く方位を示す方位データ、住宅10において屋外に面する主たる屋外開口部の位置を特定する屋外開口部位置データ、各屋外開口部が向く方位(住宅10の方位)を特定する開口部方位データ、屋内の居室間の屋内開口部の位置を特定する屋内開口部位置データ、屋外開口部及び屋内開口部の開口可能面積を特定する開口部面積データ、屋外開口部及び屋内開口部のそれぞれに開閉手段として設けられた戸及び扉等の特定する開閉手段データなどが含まれている。なお、住宅10の間取りデータは、ホストサーバ36に記憶されているが、予め管理制御盤30がホストサーバ36から取得して記憶しているものとする。
図5には、住宅10の間取りの一例を示している。この間取り図100では、住宅10の1階部分を例示している。住宅10では、南西の角部に居間(リビング)102が設けられ、この居間102の北東側に連続して台所(キッチン)104が設けられている。また、住宅10には、台所104の南東側に和室106が設けられ、和室106の南西側に玄関ホール108が設けられている。
また、住宅10では、居間102の南西側の面に大窓を形成する開口部110、112を有し、この開口部110、112に引き違いのガラス戸114が設けられ、和室106の南東側の面に中窓を形成する開口部116を有し、この開口部116に引き違いのガラス戸118及び障子戸118Aが設けられている。開口部110、112、116のそれぞれは、屋外に向けて開口された屋外開口部であり、ガラス戸114、118、及び障子戸118Aが開かれことで、居間102、和室106等が屋外へ向けて開かれる。
住宅10では、屋内開口部として、台所104と和室106との間の壁に開口部120を有し、この開口部120に引き違いの襖122が設けられている。また、住宅10には、玄関ホール108の南西側に屋外へ向けて開口かされた開口部124を有し、この開口部124に玄関扉126が設けられている。さらに、住宅10には、玄関ホール108と居間102との間に開口部128を有し、玄関ホール108と和室106との間に開口部130を有している。この開口部128、130にはドア132が設けられている。また、住宅10には、台所104の北西側の面に、屋外へ向けて開口された開口部134を有し、この開口部134にドア136が設けられている。
これにより、住宅10では、玄関扉126を開くことで玄関ホール108が屋外ヘ向けて開かれ、ドア136を開くことで台所104が屋外へ向けて開かれる。また、住宅10では、襖122、ドア132を開くことで隣接する空間(部屋)が連通される。間取りデータは、これらの情報を含むデータとなっている。なお、間取りデータは、住宅10に風や光を取り入れる屋外開口部、屋外開口部から取り入れた風の住宅10の内部での通過経路(風の通り道、以下、通風経路とする)を特定しうるものであれば良い。
管理制御盤30は、この間取りデータ、屋外環境情報として検出する風向及び風速から、住宅10内の通風経路及び風速の特定が可能となっている。すなわち、屋外開口部及び屋内開口部としては、開口することにより屋内の通風に効果が得られる比較的開口面積の大きい開口部となっている。
また、図1及び図5に示されるように、住宅10には、居間102が面する開口部110、112に日遮手段としてブラインド138が設置され、和室106に面する開口部116にブラインド140が設置されている。図1に示されるように、ブラインド138、140は、開口部110,112、112の屋外側に設けられたシャッタ式とされており、上方に巻き上げられることにより、開口部110、112、116を解放する。なお、ブラインド138、140の基本的構成は同じであり、図1では、開口部110のブラインド138のみを降ろした状態で図示し、開口部112のブラインド138及び開口部116のブラインド140を収納状態(巻き上げ状態)としている(図示を省略している)。
ブラインド138、140には、多数のルーバ142が設けられており、それぞれのルーバ142が、開口部110、112、116の閉塞位置及び開放位置との間で揺動される。ブラインド138、140では、このときのルーバ142の角度により、開口面積を変更できると共に、開口部110、112、116に入り込む日差しを遮ることができる(日遮又は日除け)。
図2及び図5に示されるように、住宅10には、開閉装置146が設けられている。図2に示されるように、この開閉装置146は、分電盤14に接続され、分電盤14から供給される電力によって作動する。また、図5に示されるように、開閉装置146は、管理制御盤30に接続されており、管理制御盤30により作動が制御される。
開閉装置146には、ブラインド138、140が接続されている。住宅10に設けている、ブライド138、140には、昇降用及びルーバ142の回動用のアクチュエータとしてモータ144A、144Bが設けられている。開閉装置146は、分電盤14から供給される電力でモータ144A作動し、ブラインド138、140の昇降(開口部110、112、116の開閉)を行い、モータ144Bを作動することでルーバ142の回動(ルーバ142の開閉)を行う。管理制御盤30は、ブラインド138、140の開閉操作及びルーバ142の回動操作を制御する。
また、開閉装置146には、ガラス戸114、118、障子戸118A、襖122等が接続されている。各開口部を開閉するガラス戸114、118、障子戸118A、襖122には、モータなどのアクチュエータ144Cが設けられ、開閉装置146から供給される電力により開閉動作を行う。管理制御盤30は、ガラス戸114、118、障子戸118A、襖122の開閉動作を制御する。
すなわち、住宅10では、各開口部の開閉手段が、管理制御盤30に制御されて、いわゆる自動的な開閉操作が可能となっている。なお、住宅10では、玄関扉126、ドア132、136も開閉装置146に接続され、それぞれのアクチュエータの作動が制御されるようになっているが、ここでは図示を省略する。また、自動開閉機構は、公知の一般的構成を用いることができ、ここでは詳細な説明を省略する。
一方、管理制御盤30は、カレンダー機能を備えており、日付及び時刻から住宅10に対する太陽の方角(方位)及び高さ(仰角)を判定する。また、管理制御盤30は、屋外開口部の方位と、太陽の方角及び仰角とから、屋外開口部から差し込む日差し長さを特定する。さらに、管理制御盤30は、日射センサ64D(太陽光発電装置18)によって検出される日射の強さを含む屋外環境情報から、日差しを遮る(日遮)必要がある否かの判定を行う。
ここで、管理制御盤30は、日遮の必要があると判定すると、日遮の必要な屋外開口部を特定し、特定した屋外開口部に日遮手段とするブラインド138、140が設けられていると、日差しを遮るのに必要なルーバ142の角度の特定を行う。
なお、管理制御盤30は、屋外環境及び屋内環境が予め設定された条件を満たすか否かにより、住宅10内の採風及び日遮を行うことが好ましいか否かを判定する。また、管理制御盤30は、採風及び日遮(又は採光、以下、日射を例に説明する)の少なくとも一方が好ましいと判定すると、最適な採風及び日遮を行うための開口状態を特定する。
管理制御盤30は、採風及び日遮の何れかを行うことが好ましいと判定すると、判定結果をディスプレイ40及び携帯端末62(以下、特別に区別が必要でない場合は、携帯端末62等とする)に表示することで居住者に報知する。また、管理制御盤30は、開閉装置146を制御することで、採風及び日遮を行う。
以下に、住環境管理システム60(管理制御盤30)による日遮(採光)、採風を含めた住宅10内の住環境の管理を具体的に説明する。
〔第1の実施の形態〕
住環境管理システム60では、季節に応じて日遮を含む採光、及び採風が行われるようにしている。ここで、季節としては、室内の冷房が要求される夏季(例えば、7月〜9月)、室内の暖房が要求される冬季(例えば、12月〜3月)、及び中間季(例えば、4月〜6月の春季、10月〜11月の秋季)に別けて採風等を含めた空調管理を行う。なお、季節の区分けは、居住地域などによって異なることから、例えば、ホストサーバ36を介して当該地域の年間平均気温の変化を取得し、この平均気温に基づいて冷房使用期間、暖房使用期間及びその間の中間期間などとして区分けしても良い。
ここで、第1の実施の形態では、主に夏季における採風及び日遮を説明する。図6には、夏季など主に屋外温度及び屋内温度の高い期間に適用する採風、日遮制御の概略が示されている。住宅10の居住者は、冷房の行うための室温(屋内温度Tr)の目標温度を設定しており、管理制御盤30は、屋内温度Trを、この目標温度以下とする(以下、目標温度を設定温度THとする)。省資源を考慮した場合、設定温度THは、高いことが好ましい(例えば、26℃)。
図6のフローチャートでは、最初のステップ200で温湿度センサ64Aを用いた外気の温度(屋外温度)Teの検出、温湿度センサ66を用いた屋内温度Trの検出を行い、次のステップ202では、屋外温度Teが屋内温度Tr以下か否かを確認する。ここで、屋外温度Teが屋内温度Tr以下(Te≦Tr)であると、ステップ202で肯定判定してステップ204へ移行する。なお、ここでは、屋外温度Teが屋内温度Tr以下(Te≦Tr)を条件としているが、これに加え、屋外温度Teが快適な温度範囲(又は省エネを考慮した場合に許容しうる温度範囲)として設定された設定温度範囲(例えば、屋外温度Trが設定温度TH以下)を条件として加えても良い。
これに対して、屋外温度Teが屋内温度Trを超えている(Te>Tr)と、ステップ202で否定判定してステップ206へ移行する。このステップ206では、温湿度センサ64Aにより屋外湿度Weを検出すると共に、温湿度センサ66により屋内湿度Wrを検出する。次のステップ208では、屋外湿度Weが屋内湿度Wr以下か否かを確認する。
ここで、屋外湿度Weが屋内湿度Wr以下(We≦Wr)であると、ステップ208で肯定判定してステップ210へ移行する。このステップ210では、屋外温度Teが、所定の温度範囲か否か、すなわち、設定温度TH以下か否かを確認する。このときに、屋外温度Teが設定温度TH以下(Te≦TH)であると、ステップ210で肯定判定してステップ204へ移行する。なお、ここでは、屋外湿度Weが屋内湿度Wrより低く、かつ屋外温度Teが設定温度範囲であるときにステップ204へ移行するようにしたが、屋外湿度Weが屋内湿度Wrより高い場合でもあっても、屋外湿度Weが設定湿度範囲であり、かつ屋外温度Teが設定温度範囲である場合などでも、ステップ204へ移行するなど、通風処理を行うことで、屋内温度Tr及び屋内湿度Wrが最適な温度範囲(設定温度範囲)及び最適な湿度範囲(設定湿度範囲)にしうる条件が揃ったときにステップ204へ移行するようにすれば良い。
このステップ204では、住宅10内に風を通す通風処理を行う。図7には、通風処理の一例を示している。このフローチャートでは、最初のステップ230で天候情報(屋外環境情報)を取得し、ステップ232で通風が可能な天候か否かを確認する。この天候情報は、例えば、ホストサーバ36を介して気象情報等として取得するものであっても良く、また、日中は、太陽光発電装置18の発電電力に基づいて通風可能な天候か否かを判断しても良い。さらに、天候不良の場合、屋外の湿度が高くなることが多く、ここから、温湿度センサ64Aによって検出する屋外湿度が予め設定している閾値を超えているか否かとして判定しても良い。
これにより、通風可能な天候であった場合、ステップ232で肯定判定してステップ234へ移行する。なお、例えば、天候が雨だったり、屋外が高湿度であった場合などは、通風に適さない気象状態であるので、ステップ232で否定判定して、この処理を終了する。
ステップ234では、風向センサ64Bを用いた風向の検出及び風速センサ64Cを用いた風速の検出を行う。なお、住宅10に風力発電装置20が設置されている場合、この風力発電装置20の発電電力から風速を検出するようにしても良い。この場合、風速の増加に応じて発電電力が増加することから、例えば、発電電力に対する風速の変換テーブルを予め取得して管理制御盤30に記憶するようにすれば良い。また、風速及び風向は、例えば、ホストサーバ36を介して住宅10の近傍の気象情報を取得し、この気象情報から判定しても良い。
この後、ステップ236では、風速が所定以上か否かを確認する。これにより、風速が所定以上であると、ステップ236で肯定判定してステップ238へ移行する。なお、無風又は無風に近い場合、風を住宅10内に取り入れることができない可能性があることから、ステップ236で否定判定された場合、通風処理を終了する。この場合、以下で説明する通風処理ではなく、例えば、ガラス戸114、118等を開く窓開けによる部分的な換気を行うのみとしても良い。
このステップ238では、通風経路の特定を行う。この通風経路の特定は、風向センサ64Bにより検出した風の方角、間取りデータに基づいた住宅10の間取り、及び風を引き入れる屋外開口部(入り側の屋外開口部)を特定する。これは、例えば、風上に面した屋外開口部を選択することで得られる。
また、通風経路の特定においては、住宅10に引き入れた風の出口となる屋外開口部(出側の屋外開口部)を特定する。この屋外開口部としては、例えば、風下に面した屋外開口部を選択することができる。入り側の屋外開口部及び出側の屋外開口部を特定すると、住宅10の間取り図に基づき、入り側の屋外開口部から出側の屋外開口部に至る通風経路(風の通り道)を特定する。
例えば、入り側の屋外開口部を有する屋内空間(例えば、居間102)と出側の屋外開口部を有する屋内空間(和室106)との間に、屋内開口部(開口部120)を有する仕切り壁があれば、その屋内開口部を通るように通風経路を特定する。また、入り側の屋外開口部を有する屋内空間と出側の屋外開口部を有する屋内空間との間に、屋内開口部を有する間仕切り壁で仕切られた屋内空間がある場合、それぞれの屋内開口部を通るように通風経路を特定する。
また、通風効率を考慮した場合、通風経路は直線的にあることが好ましいが、各屋内空間の換気、空気の循環を考慮した場合、通風経路は蛇行するように設定することが好ましい。
このような通風経路の特定は、住宅10に対する風向ごとに予め通風経路を設定しておき、風向に基づいて通風経路を選択する方法を適用することができる。なお、通風経路の特定は、これに限らず、任意の方法を適用することができる。
通風経路を特定すると、次のステップ240では、特定した通風経路上の屋外開口部及び屋内開口部(以下、各開口部と表記することもある)の開度を設定する。この各開口部の開度は、例えば、風速、屋外温度と屋内温度の温度差などに基づいて設定する。風速が高い場合、各開口部を大きく開くと屋内を通過する空気量(風速)が増加する。また、屋外温度と屋内温度との温度差が大きいときに各開口部を大きく開くと、屋内温度が急激に変化する。ここから、予め、通風経路ごとに風速及び屋外温度Teと屋内温度Trとの温度差に応じ、各開口部の開度を複数段階(例えば、全開、3/4開、半開(1/2開)、1/4開(四半開)及び全閉の5段階)に設定しておき、風速、屋外温度Teと屋外温度Trの温度差に基づいて選択する。また、特定した屋外開口部にブラインド(ブラインド138、140)がある場合、ブラインド138、140を開くようにし、障子戸118Aなどにより開口部に二重戸が形成されている場合、二重戸を形成している障子戸118Aを含めて開くようにする。
この後、ステップ242では、特定した通風経路で通風を行うことを居住者に促すように報知する。このとき、管理制御盤30は、携帯端末62等に特定した情報を表示することで通風を促す。
図8(A)及び図8(B)には、このときの表示の一例を示している。なお、ここでは、風向が西向き(西風)の場合を例示している。管理制御盤30は、先ず、携帯端末62等に特定した通風経路を示す情報を表示する。図8(A)には、このときの一例とする表示画面70を示している。この表示画面70では、通風を促すメッセージ70Aを表示すると共に、住宅10の間取りの概略を示す間取り図70B、及び風向を示す風向マーク70Cを表示する。また、表示画面70で表示される間取り図70Bでは、通風経路を示す矢印70Dを表示することで、入り側の開口部110、112、出側の開口部116、及び風の通過する開口部120を明示する。このとき、矢印70Dの線種や太さで風速(風量)を明示するようにしても良い。
このような表示画面70が携帯端末62等に表示されることで、居住者は、住宅10に風を入れた場合の風の通り道を的確に把握することができる。
また、管理制御盤30は、表示画面70を所定時間表示した後、又は、居住者が携帯端末62(あるいはディスプレイ40上)で所定のスイッチ操作(例えば表示切替操作)を行うことで、各開口部の開度を示す情報を携帯端末62等に表示する。
図8(B)には、このときの表示の一例を示している。図8(A)に示される表示画面70では、居間102の開口部110、112から入った風が、台所104と和室106の間の開口部120を通過して、和室106の窓(開口部116)から抜けるように表示している。ここから、図8(B)に示される表示画面72では、メッセージ72Aと共に、各開口部に対する開度を示す情報72B(開口部ごとの開口状態のリスト)を表示する。この表示に基づいて、ガラス戸114、118、障子戸118A、度襖122及びブラインド138、140が開けられることで、住宅10内では、屋外環境に応じた快適な通風が得られる。
なお、ここでは、開口部110、112のガラス戸114を半開として、和室106のガラス戸118、障子戸118A、台所104と和室106の間の襖122を全開とすることで入る側の開口部より出側の開口部が狭くなるのを防止している。各開口部の開口面積は、風速が低い場合(風が弱い場合)は全開としても良く、また、風速が高い場合(風が強い場合)は四半開とすれば良い。さらに、風が強すぎて通風することが好ましくない場合は、表示画面70等を表示するのに換えて、窓開けをしないように報知するか、窓を開けないように報知する画像表示を行えば良い。
また、ここでは、表示画面70、72に別けて表示するようにしているが、表示画面70、72の情報を合わせて一つの表示画面で表示するようにしても良く、表示画面70を表示しながら、表示画面72に表示する情報72Bを音声などで報知するようにしても良く、また、表示画面70の間取り図70B上で、開度を図示するようにしても良い。
さらに、管理制御盤30は、通風経路の特定、通風経路上の各開口部の開度の特定を行うと、特定した情報(通風経路及び各開口部の開度)に加え、屋外環境情報及び屋内環境情報に基づき、通風を行った場合の屋内環境の変化を推定し、推定結果を携帯端末62等に表示しても良い。
このときには、例えば、通風を行うことにより変化する屋内温度及び屋内湿度を推定(例えば、屋内温度が何度まで下がるか、屋内湿度が何パーセントまで下がるかなど)し、推定した温度及び湿度を、通風前(現時点)の温度及び湿度と共に表示する。これにより、居住者が通風を行うことの効果を的確に把握することができる。
また、間取り図70Bでは、風の入る屋外開口部から風が出る屋外開口部までを表示するようにしたが、少なくとも住宅10内で風を通す屋内開口部を特定する情報を表示するものであれば良い。これにより、住宅10の屋内空間で、風を通す屋内空間を明確に示すことができる。
なお、図8(A)及び図8(B)では、西風を例に説明したが、例えば、南風の場合、玄関ホール108の玄関扉126、居間102と玄関ホール108との間及び和室106と玄関ホール108との間のドア132、襖122、台所104のドア136を開けるように設定すれば良い。
また、各開口部の開度は、屋外と屋内の温度差を考慮して設定しても良い。例えば、屋外と屋内の温度差が大きいと、風を取り入れることで屋内の温度が急激に変化する。これを防止する場合には、温度差が大きい場合に、各開口部の開度を狭めることで、屋内温度の変化を抑えることができ好ましい。
図7のフローチャートでは、次のステップ244で携帯端末62等への表示にもとづいた通風操作の指示があったか否かを確認する。また、ステップ246では、携帯端末62等に表示画面70、72を表示してから所定時間が経過したかに否かを確認している。
ここで、例えば、居住者が携帯端末62等に表示される表示画面72を確認し、例えば、携帯端末62のスイッチ操作で通風操作を指示すると、ステップ244で肯定判定してステップ248へ移行する。また、通風操作の指示が無い場合でも、所定時間(例えば2分程度)が経過すると、ステップ246で肯定判定してステップ248へ移行する。
このステップ248では、開閉装置146を操作し、通風経路上の各開口部が、特定された開度となるようにする。すなわち、管理制御盤30は、開閉装置146を制御することで、開口部110、112のガラス戸114を半開状態とすると共に、開口部116のガラス戸118、障子戸118A、開口部120の襖122を全開状態とする。また、管理制御盤30は、ブラインド138、140が降りている場合、ルーバ142が略水平状態となるように回動させる。なお、ブラインド138、140が降りていない場合、通風処理においては、ブラインド138、140を降ろす必要は無い(但し、日遮処理では必要となることがある)。
これにより、住宅10では、その時点の風向及び風速に応じた風が効率的に住宅10内を通過する。なお、ここでは、開閉装置146により各開口部の開閉手段が操作されるようにしているが、開閉装置146(開閉機構)が設けられていない場合は、居住者が開閉操作を行うものであっても良い。また、管理制御盤30では、自動的に通風操作を行なわす、通風処理を行うか否かは、居住者の判断に任せるようにしても良く、これにより、例えば、特定された通風経路上の各開口部の何れかについて、居住者が開けたくない開口部があるときに、居住者の意図に反して開けられてしまうのを防止することができる。
一方、開閉操作を行うと、次のステップ250では、エアコン58などの空調装置(冷暖房装置)が動作して、住宅10内の空調が行われているかの情報を取得し、次のステップ252では、住宅10内の空調が行われているか否かを確認する。
ここで、例えば、通風経路となっている居間102に設置しているエアコン58A及び和室106に設置しているエアコン58Bの少なくとも一方による空調運転が行われていると、ステップ252で肯定判定してステップ254へ移行する。このステップ254では、空調装置の運転を停止するように薦める表示を行う。このとき、通風を行うことによる効果として、例えば、屋内温度Trの変化の推定結果を合わせて表示する。
図9(A)には、このときに携帯端末62等の表示の一例を示している。この表示画面74では、外気を住宅10内に取り入れる通風を行っていることを示すメッセージ74Aを表示し、通風を行うことで推定される屋内温度Trを示すメッセージ74Bを表示する。また、通風により屋内温度Trの冷却効果(冷房効果)が得られることから、表示画面74では、エアコン58の停止を薦めるメッセージ74Cを表示する。なお、メッセージ74Bでは、推定した屋内温度Trを「室内温度」と表記している。また、メッセージ74Bとしては、屋内温度Tr(室内温度)のみでなく、屋内湿度Wrが変化すると推定される場合、推定される屋内湿度Wrを表示しても良く、また、通風前の屋内温度Tr、屋内湿度Wrも合わせて表示するようにしても良い。
図7では、次のステップ256で、エアコン58の停止が指示されたか否かを確認する。また、ステップ258では、エアコン58の停止を薦めるメッセージ(表示画面74)を表示してからの経過時間が所定時間に達したか否かを確認する。
ここで、携帯端末62等の表示を見た居住者が、携帯端末62のスイッチ操作などによりエアコン58の停止を指示すると、ステップ256で肯定判定してステップ260へ移行する。また、エアコン58の停止が指示されていない場合、所定時間(数分程度、例えば2分)が経過するとステップ258で肯定判定してステップ260へ移行する。
このステップ260では、エアコン58を停止する。これにより、エアコン58から発せられた冷気(又は暖気)が、通風を行っていることで屋外に排出されてしまうのを防止することができる。
このようにして通風を行うと、次のステップ262では、通風により得られる省エネルギー効果を演算し、演算結果を携帯端末62等に表示する。通風を行うことで、屋内温度Tr又は屋内湿度Wrが変化する。また、エアコン58等を用いることでも、屋内温度Tr及び屋内湿度Wrを変化させることができる。ここから、通風による屋内温度Tr、屋内湿度Wrを、エアコン58の空調運転を行うことで達成した場合のエアコン58の消費電力に換算するように演算しても良い。すなわち、エアコン58を停止することにより得られる省電力効果を携帯端末62等に表示する。
図9(B)には、ステップ260から移行した場合を例に、このときに携帯端末62等への表示の一例とする表示画面76を示している。この表示画面76では、エアコン58を停止したことを報知するメッセージ76Aが表示され、また、通風を行うことによる屋内温度Trの変化(室内温度の変化)を示すメッセージ76Bを表示する。
これと共に、表示画面76では、エアコン58を停止させることにより節約された電力量を示すメッセージ76Cを表示する。なお、この節約された電力量は、エアコン58による空調運転を継続させたときの消費電力量とすれば良い。また、表示画面76では、屋内温度Trの変化量を表示したが、これに限らず、通風前の屋内温度と通風を行った後の屋内温度を表示しても良く、また、屋内湿度Wrが変化する場合、屋内湿度の変化を示す情報を表示するようにしても良い。
このように、居住者が通風を行うことで居間102に新鮮が外気を取り入れることができ、かつ、エアコン58を停止することで、省電力(省エネルギー)効果を得ることができる。
なお、図7においてステップ252からステップ262へ移行した場合には、通風を行うことにより、例えば、屋内温度Tr又は住宅10内の居住者の体感温度を下げることができる。ここから、屋内温度Tr又は体感温度を下げるのに必要なエネルギー量(電力量、例えば、エアコン58を運転した場合の消費電力)を算出し、ステップ262で省エネ効果を表示するときに、このエネルギー量を合わせて表示すれば良い。また、省エネ効果の表示は、エアコン58を停止した場合にのみ行うものであっても良い。
一方、図6のフローチャートでは、通風処理を行うと日遮処理を行う。この日遮処理では、先ず、ステップ212で、日射量(日差しの強さ)の検出を行う。この日射量の検出は、日射センサ64Dとして用いる太陽光発電装置18の発電電力を検出し、ステップ214では、検出した発電電力が予め設定した電力値以上か否かから、日差しが強く、日遮を行うことが好ましいか否かを確認する。ここで、日差しが強く、室内に差し込む日差しを遮る日遮(日除け)を行うことが好ましいと判断される場合、ステップ214で肯定判定してステップ216へ移行する。なお、日差しの強さ(明るさ)に応じて出力を変化させる日射センサ64Dを用いる場合、検出値が所定値以上であるか否かで判断すれば良い。
このステップ216では、好ましい日遮状態(日除け状態)を特定する。日遮状態の特定は、住宅10の間取りデータ、季節(日月)時刻から日遮が必要な方位(太陽の方角)を特定する。また、日遮に必要なブラインド138のルーバ142の角度は、カレンダー機能から得られる月日、時刻、住宅10の位置(地域、緯度、高度)を示す位置データから得られるその時点の太陽の仰角を用いることができる。
なお、日遮が必要な方位(太陽の方角)は南(南東〜南西の範囲)であることから、時刻を用いても良く、また、日遮手段として用いるブラインド138、140の設置位置が定まっていることから、ブラインド138、140による日遮が可能か否かを判定するものであっても良い。
次のステップ218では、判定した日遮状態に基づいた情報を携帯端末62等に表示することで、日遮の提案を行う。
図10(A)には、このときの表示の一例を示している。この表示画面78では、日遮(日除け)を促すメッセージ78Aを表示すると共に、日遮を行うためのブラインド(ここでは、ブラインド138)を特定する情報、及び日遮を行うために必要なルーバ142の角度を特定する情報を含むメッセージ78Bを表示する。
なお、操作対象とするブラインドを特定する場合、例えば、住宅10の間取りを表示し、この間取り上で操作対象とするブラインドを示すようにして良い。図10(B)には、その一例とする表示画面80を示している。この表示画面80では、メッセージ78Aと共に、住宅10の間取りを示す情報(間取り図80A)、及びルーバ142の角度の情報を含むメッセージ80Bを表示する。このとき、間取り図80A上で、対象とするブラインド138を示すマーク80Cを表示することで、対象とするブラインド138を居住者が適切に認識できるようにしている。
図6では、次のステップ220で日遮操作が指示されたか否かを確認する。また、ステップ222では、携帯端末62等に日遮操作の提案を表示してから所定時間(例えば、2分程度)が経過したか否かを確認する。
ここで、例えば、居住者が携帯端末62のスイッチ操作で日遮操作を指示すると、ステップ220で肯定判定してステップ224へ移行する。また、所定時間が経過しても日遮の指示がない場合、ステップ222で肯定判定してステップ224へ移行する。なお、ディスプレイ40上の表示画面78、80に、日遮操作を指示する指示ボタン等を表示し、指示ボタンが操作されることによりステップ220で肯定判定されるものであっても良い。
このステップ224では、提案した日遮状態に基づいてブラインド138のモータ144A及びルーバ142のモータ144Bを動作させる。このとき、既にブラインドが降ろされていれば、ルーバ142の操作のみを行えば良い。これにより、日差しが差し込むことによる居間102の室温などの住宅10内の屋内温度Trの上昇を抑えることができる。また、屋内温度Trを下げる目的も含めて通風処理を行っている場合、より大きな通風効果を得ることができる。
なお、通風による省エネ効果を表示する場合(図7のステップ262)には、日遮による屋内温度Trの上昇抑制を含めても良い。また、ここでは、主に夏季を例に説明したが、冬季の場合にも適応することができる。冬季の場合、屋内温度Tr(室温)の下限の目標温度を設定し、屋外温度が屋内温度より高く、かつ、目標温度より高い場合に窓開けを提案すれば良い。
さらに、冬季の場合には、太陽光の熱を用いることで暖房効果及び省エネ効果が得られるので、日差しが強いと判断されるときに、ブラインド138、140が閉じられていれば、ブラインド138、140を開けるように提案するか、ブラインド138、140のルーバ142を、日遮機能のなくなる角度(例えば、水平方向に対して上方へ向けた角度)となるように提案することが好ましい。
また、冬季の場合、採光を行うことで暖房効果が得られることから、携帯端末62等に省エネルギー効果を表示する場合、採光による暖房効果を含めて省エネルギー量を演算して表示すれば良い。
一方、時間経過によって外気温度Te、屋外湿度Weが変化するなどして、屋内温度Trが目標温度の上限又は下限に達した場合、屋内湿度Wrが目標湿度の上限又は下限に達した場合、通風を停止することが好ましい。
ここから、図11には、通風処理を行った後に実行される通風解除処理の一例を示している。なお、以下では、屋内温度Trに基づいて通風抑制及び通風解除を行うように説明するが、これに限らず、屋内湿度Wrを用いても良く、また、屋内温度Tr及び屋内湿度Wrを用いても良く、さらに、屋内温度Tr、屋内湿度Wr、屋外温度Te及び屋外湿度Weを用いても良い。
このフローチャートは、特定した通風経路及び各開口部の開度に応じて開閉装置146を操作した後に実行され、最初のステップ270では、通風処理の開始時の屋内温度Trを初期値として記憶する(以下、屋内温度Trsとする)。
次のステップ272では、予め設定した時間間隔で屋内温度Tr及び屋内湿度Wrを検出する。この後、ステップ274では、屋内温度Trが、最適な温度範囲として設定されている設定温度範囲内か否かを確認する。
ここで、屋内温度Trが設定温度範囲内(TL≦Tr≦TH、但し、TLは下限温度、THは上限温度))であると、ステップ274で肯定判定してステップ276へ移行する。このステップ276では、通風を行ったことによる屋内温度Trの変化を判定し、ステップ278では、この判定結果から屋内温度Trが設定温度の上限温度又は下限温度に接近したか否かを確認する。
屋内温度Trの温度変化の判定は、例えば、通風を行うことで屋内温度Trが低下する場合、住宅10内を通過する空気量が多いと温度変化が大きくなる。ここから、屋内温度Trが設定温度範囲の下限温度TL又は上限温度THに接近しているか否かを判定する。また、接近している場合、単位時間当たりの温度変化及び温度差を判定する。
これにより、屋内温度Trと設定温度範囲の下限温度TL又は上限温度THとの温度差が所定の温度差(例えば、1°〜2°C)に達すると、ステップ278で肯定判定してステップ280へ移行する。なお、温度差が大きい場合や、温度変化(単位時間当たりの温度変化が少ない場合には、ステップ278で否定判定される。
ステップ280では、住宅10内を通過する風量を抑えるように各開口部の開度を変更する。この開度は、例えば、全開から3/4開へなど1段階狭めるように設定することで、開口部ごとの開度を特定する。また、屋内温度Trの温度変化が大きい場合、全開から半開へなど2段階狭めるようにしても良い。
開度を特定すると、特定した情報を携帯端末62等に表示することで、特定した開度に変更するように開度変更の提案を行う。ステップ282では、提案する各開口部の開度(開度の変更情報)と共に、その時点の屋外環境情報及び屋内環境情報を記憶する。
図12(A)には、このときの表示(開度変更の提案)の一例を示している。この表示画面82では、屋内温度Trが変化していることを示すメッセージ82Aを表示すると共に、開口部ごとに変更する開度の情報(リスト)を示すメッセージ82Bを表示する。なお、ここでは、ブラインド138、140の開度(ルーバ142の角度)の変更を行っていないが、ブラインド138、140が降りている場合、ルーバ142の角度変更を提案しても良い。
図11では、次のステップ284で、携帯端末62のスイッチ操作で開度の変更が指示されたか否かを確認する。また、ステップ286では、携帯端末62等に表示画面82を表示してから予め設定している所定時間が経過したか否かを確認する。
ここで、居住者が、例えば携帯端末62を操作して開度の変更が指示されると、ステップ284で肯定判定してステップ288へ移行する。また、開度の変更が指示されない場合であっても、所定時間が経過してステップ286で肯定判定されることで、ステップ288へ移行する。このステップ288では、開閉装置146を作動することで、ガラス戸114、118、障子戸118A、襖122のそれぞれを設定した開度となるように移動操作する。
これにより、住宅10内を通過する空気の量(風の速度)が抑えられ、屋内温度Trの変化も抑えられる。
この後、ステップ290では、通風を行ったことによる省エネ効果を携帯端末62等に表示する。このときの省エネ効果は、通風を行う前の屋内温度(屋内温度Trsと現時点での屋内温度Trの差から、この差を得るために必要なエアコン58の消費電力等を算出して用いることができる。また、ステップ29では、先のステップ282で記憶した各開口部の開度の提案情報に、当該提案情報に基づいた開度に変更することで得られる屋内環境情報を対応付けて記憶する。
管理制御盤30は、変更前の開度に対応する屋外環境情報及び屋内環境情報と、変更後の開度に応じた屋内環境情報を記憶し、記憶した情報を新たに通風経路及び当該通風経路上の各開口部の開度の設定、開度の変更を行うときに用いる(学習機能)。これにより、管理制御盤30は、通風経路、開度の特定及び開度の変更を的確にかつ迅速に行うことができる。
図12(B)には、省エネ効果の表示の一例を示している。この表示画面84では、電力の節約ができたことを示すメッセージ84Aを表示すると共に、節約された電力量を示すメッセージ84Bを表示する。このような表示を行うことで、居住者の省エネ意識、節電意識を高めることができる。
一方、図11では、屋内温度Trが設定温度範囲を外れる(Tr>TH又はTr<TL)と、ステップ274で否定判定してステップ292へ移行する。このステップ292では、通風の停止(通風の終了)を促す提案を行う。すなわち、ステップ292では、通風を行っていることにより屋内温度Trが快適温度を外れると判定して、通風の停止を提案する。
図12(C)には、このときの表示の一例を示している。この表示画面86では、屋内温度Trが快適な温度範囲を外れる可能性があることを報知するメッセージ86Aを表示すると共に、通風を停止することを提案するメッセージ86Bを表示する。
図11では、次のステップ294で、携帯端末62のスイッチ操作で通風の停止が指示されたか否かを確認する。また、ステップ296では、携帯端末62等に表示画面82を表示してから予め設定している所定時間が経過したか否かを確認する。
ここで、居住者が、例えば携帯端末62を操作し、通風の停止(通風の終了)が指示されたことが検出されるとステップ294で肯定判定してステップ298へ移行する。また、通風の停止が指示されない場合であっても、所定時間が経過してステップ296で肯定判定されることで、ステップ298へ移行する。このステップ298では、開閉装置146を作動することで、ガラス戸114、118、障子戸118A、襖122のそれぞれを閉じるように操作する。
これにより、住宅10内への風の入り込みが停止され、住宅10内に吹き入れられる風により、屋内温度Trが上昇又は下降して、快適な温度範囲を外れてしまうのを防止することができる。なお、ブラインド138、140が降りてルーバ142が開いていても、ガラス戸114、118を閉じることで、ルーバ142を閉じる必要は無いが、ブラインド138、140を開くか否かの指示を要求する表示などを行い、この要求に対する居住者の指示でブラインド138、140を空けるか、ルーバ142を閉じるようにしても良い。
ガラス戸114、118等を閉じると次のステップ300では、通風を行ったことによる省エネ効果を携帯端末62等に表示する。このときの省エネ効果は、通風を行う前の屋内温度(屋内温度Trs)と現時点での屋内温度Trの差から、この差を得るために必要なエアコン58の消費電力等を算出して用いることができる。また、このときの携帯端末62等への表示は、前記した表示画面84(図12(B)参照))を適用することができる。
この後、ステップ302では、通風を停止した後の屋内温度Trを検出し、次のステップ304では、暖房又は冷房などの空調が必要か否かを確認する。すなわち、通風を停止することで屋内温度Trの温度変化を抑えることができるが、それにも関わらず屋内温度Trが暖房又は冷房が必要と判断される温度を外れたか否かを確認する。
ここで、例えば、エアコン58等による暖房(蓄熱装置50を用いた暖房を含む)又はエアコン58による冷房が必要と判定されると、ステップ304で肯定判定してステップ306へ移行する。このステップ308では、屋内の冷房又は暖房を行うように提案する。
この提案は、例えば、屋内温度Trが上昇したために、エアコン58を用いた冷房を行うことを提案するメッセージを表示する。また、屋内温度Trが下がり過ぎた場合には、表示画面88に換えて、暖房を提案する表示を行えば良い。
なお、暖房又は冷房を提案した場合、居住者が必要に応じて暖房又は冷房を行えば良いので、ここでは、表示のみとしているが、居住者からの指示があった場合に、住宅10内(例えば、居間102又は和室106)を設定された温度となるようにエアコン58(居間102のエアコン58A又は和室106のエアコン58B)を作動させるようにしても良い。
このように通風を行うための各開口部の開度を、少なくとも屋内温度Trに基づいて変更することで、通風が起因して屋内温度Trが設定温度範囲を外れてしまうのを防止することができる。なお、各動作における携帯端末62等への表示は、動作に応じた内容を表示するものであれば、任意の文言を適用することができる。
また、ここでは、屋内温度Trに基づいて開度を狭めるようにしているが、風速に応じて開度を変更するものであっても良く、また、より通風効果を高めるために開度を広げる処理を行うものであっても良い。
なお、第1の実施の形態では、住宅10の1階部分を例に説明したが、図5に示されるように、住宅10には、階段148が設けられており、この階段148を設置することによる空間が1階部分と図示しない2階(上階)部分とを連通する。ここから、この階段148を用いて、1階から2階への通風又は2階から1階への通風を考慮して、通風経路を特定するようにしても良い。
一般に1階部分よりも2階部分で受ける風の風速が高い(風が強い)。ここから、例えば、2階の窓から入れた風を、階段148による生じる空間を利用して1階部分に案内することにより、より高い通風効果を得ることができる。
〔第2の実施の形態〕
前記した第1の実施の形態では、住宅10の居間102及び和室106の通風を行うように説明したが、これに限らず、居住者が使用する居室毎に、居住者が在室する時間帯に、当該居室が最適に温調状態となるように通風、日遮、採光及び空調を行うことが好ましい。ここから、第2の実施の形態では、和室106を例に、和室106を主とした通風、採光及び温調を説明する。
図13には、第2の実施の形態に係る住環境管理システム60Aの概略構成が示されている。この住環境管理システム60Aでは、和室106を使用する居住者が、和室106を使用する時間帯を特定したタイムスケジュールを設定する。住環境管理システム60Aに用いられる管理制御盤30Aには、このタイムスケジュールが記憶されている。
また、住環境管理システム60Aでは、管理する和室106内で居住者が在室しているか否かを検知する人検知センサ150が設置されている。この人検知センサ150としては、一般的な人検知に使用される赤外線センサを用いることができ、また、赤外線センサに限らず、和室106に入った人(居住者)を検知しうる任意の検知手段を用いることができ、人検知センサ150としては、和室106に在室している人数を検出可能であることがより好ましい。
和室106には、和室106内の温度及び湿度を検出する温湿度センサ66Aが設けられている。なお、以下では、主に温度を用いて説明するので、温湿度センサ66Aは、温度(和室温度)を検出する温度センサであれば良い。
人検知センサ150及び温湿度センサ66Aは、管理制御盤30Aに接続されている。管理制御盤30Aは、居住者が和室106にいるか否か(在室/不在)の検出、及び和室106の温度Tjの検出が可能となっている。
管理制御盤30Aは、予め設定されたタイムスケジュールに基づいて居住者が在室となる予定時刻に和室106内の温度Tjが予め設定されている温度又は設定温度範囲(居住者が最適として設定している設定温度範囲)となるように通風及び和室106内の空調を制御する。
このとき、管理制御盤30Aでは、屋外温度、屋内温度、風向及び風量等に基づいて住宅10の通風制御及び日遮(採光)制御を行いながら、和室106に対する通風、日遮(採光)、温調制御を行う。また、和室106に居住者がいる場合、携帯端末62が和室106で操作されるものとし、管理制御盤30Aでは、和室106の通風制御を優先する。
図14には、このときの処理の概略が示されている。このフローチャートは予め設定されたタイミングで実行され、最初のステップ310では、人検知センサ150の出力を読み込み、ステップ312では、和室106に人がいるか否か(在室/不在)を判定する。
このとき、和室106に人が検出されない(不在)場合、ステップ312で否定判定されてステップ314へ移行する。このステップ314では、予め記憶されているタイムステップケージュールから居住者が次に在室となる予定時刻を確認し、ステップ316では、現在の時刻が在室予定時刻から予め設定した所定時間前であるか否かを確認する。この時間は、例えば、15分前などの和室106内を所定の温度に空調するのに必要な時間としている。
ステップ316で肯定判定されると、ステップ318へ移行し、和室106の温度Tjを検出し、温度Tjが設定温度範囲内か否かから、和室106の空調が必要か否かを確認する。ここで、温度Tjが、設定温度範囲の上限温度THを超えているか、下限温度TLより下がっており、空調(冷房又は暖房)が必要と判断される温度であると、ステップ320で肯定判定してステップ322へ移行する。
このステップ322では、現在、住宅10内の通風が行われており、この通風経路に和室106が含まれているか否かを確認する。このとき、通風が行われていないか、和室106が通風経路に含まれていなければ、ステップ322で否定判定してステップ324へ移行する。このステップ324では、和室106に設けているエアコン58Aを作動させるなどして、居住者の在室予定時刻に和室106内が設定温度となるように空調する。
なお、このときの設定温度は、居住者が予め設定している温度であれば良い(例えば、冷房が必要な夏季は26°C、暖房が必要な冬季は20°Cなど)。また、空調運転を開始する場合、開閉装置146を作動させて、ガラス戸118、障子戸118A、及び襖122を閉め、空調される和室106内の空気が屋外や他の居室に流れ出るのを防止する。
これに対して、和室106が通風経路に含まれていると、ステップ322で肯定判定してステップ326へ移行する。このステップ326では、和室106の通風を制御することで、和室106の温度Tjを設定温度範囲にできるか否かを確認する。このとき、例えば、ガラス戸118、障子戸118A、襖122の開度を、狭めるか又は閉じることで、あるいはガラス戸118、障子戸118A、襖122の開ける(開度を大きくする)ことで、温度Tjを設定温度範囲にすることができるか否かを確認する。このような確認は、例えば、屋外温度Te、通風を開始してからの温度変化、風速などから判定することができる。また、このときの判定は、図7に示す通風処理を行ったときに、屋外環境情報及び屋内環境情報に対する各開口部の開度と、当該開度により得られる屋内環境情報を用いることができる。
ここで、通風制御により温調が可能であれば、ステップ326で肯定判定してステップ328へ移行する。このステップ328では、前記判定結果に基づいて、開閉装置146を操作することで、ガラス戸118、障子戸118A、襖122により各開口部の開度変更(開閉操作)を行う。
一方、人検知センサ150により和室106内で人が検出された場合、すなわち、居住者の和室106への入室を検出すると、ステップ312で肯定判定してステップ330へ移行する。このステップ330では、温湿度センサ66Aを用いて和室106の温度Tjを検出し、ステップ332で検出した温度Tjが設定温度範囲内か否かを確認する。
ここで、和室106の温度Tjが設定温度範囲を外れていると、ステップ332で肯定判定してステップ334へ移行する。このステップ334では、和室106の空調が必要であることを入室した居住者に報知する。これと共に、ステップ334では、和室106の空調を行うか否かの確認を促す。
このような空調の必要性の報知、空調の要否の確認は、携帯端末62で所定のメッセージを表示して行う。図15(A)には、このときの携帯端末62への表示の一例を示している。この表示画面88では、和室106の温度(室温)Tjが暖房又は冷房を必要とする温度となっていることを示すメッセージ88A(ここでは、一例として冷房)を表示する。また、表示画面88では、例えば、エアコン58Bを用いた空調を行うか否かの確認を促すメッセージ88Bを表示する。
図14では、次のステップ336で空調運転が指示されたか否かを確認する。このとき、居住者が携帯端末62のスイッチ操作を行って空調運転を指示すると、ステップ336で肯定判定してステップ324へ移行することで、和室106の空調を開始する。これにより、入室した居住者の意思で和室106の空調が開始される。
これに対して、和室106の温度Tjが設定温度範囲であると、ステップ332で肯定判定してステップ338へ移行する。また、和室106が空調の必要な温度(環境)であるときに、居住者が空調を指示せずにステップ336で否定判定されると、ステップ338へ移行する。なお、和室106が空調の必要な温度(環境)であるときに居住者が空調を指示しなかった場合に、エアコン58Bによる空調運転を行わないようにしているが、これに限らず、自動的に空調運転を開始するものであっても良い。
ステップ332又はステップ336から移行するステップ338では、住宅10の通風が行われ、この通風経路に和室106が含まれているか否かを確認する(ステップ322参照)。このとき、通風が行われ、通風経路に和室106が含まれていると、ステップ338で肯定判定してステップ340へ移行する。
このステップ340での通風状態を報知する。この通風状態の報知は、例えば、前記した図8(A)に示す表示画面70及び図8(B)に示す表示画面72に対応した表示を行う。図15(B)には、表示画面70に対応する表示の一例を示している。この表示画面90では、通風が行われていることを報知するメッセージ90A、及び通風経路が示された間取り図70Bが表示される。また、図15(C)には、表示画面72に対応する表示の一例を示している。この表示画面92では、各開口部の開口状態を示す情報(リスト)92Bが表示される。
図14では、次のステップ342で、携帯端末62に、和室106に対する通風状態を変更するか否かの確認を促す表示を行う。このときの表示は、ガラス戸118、障子戸118A、襖122、及びブラインド140のそれぞれを閉じるか又は開くかを居住者が確認して、各開口部の開閉状態を個別に設定しうる任意の構成を適用することができる。
次のステップ344では、携帯端末62のスイッチ操作で何れかの開口部の開度の変更などが指示されたか否かを確認する。このときに、何れかの開口部に対して開度の変更などが指示されると、ステップ344で肯定判定してステップ346へ移行する。このステップ346では、居住者の指定に基づいて開閉装置146を操作することで、指定された開口部に対する開度変更を行う。
これにより、ガラス戸118、ブラインド140のルーバ142をそのままにした状態で、襖122及び障子戸118Aの少なくとも一方を閉じたり、開度を狭めたりすることができる。
これに対して、住宅10の通風が行われていないか、和室106が通風経路に含まれていなければ、ステップ338で否定判定して、和室106を中心とした通風制御を行う。この通風制御は、ステップ348で、屋外の環境条件(屋外環境情報)で通風の可否を判定しうる屋外環境情報を検出し、次のステップ350では、和室106への通風が可能か否かを確認する。
このときにステップ348で検出する環境条件(屋外環境情報)には、少なくとも風向及び風速が含まれればよく、屋外温度Teが含まれることがさらに好ましい。ここから、住宅10内で和室106を通過する通風経路を特定し、通風経路が特定されることで、ステップ350で肯定判定してステップ352へ移行し、特定した通風経路で通風が行われるように通風制御を開始する。このとき、居住者に通風を行うか否かの指示を要求し、指示があった場合に通風制御を開始するものであっても良い。また、特定された通風経路上の各開口部の開度が、居住者が例えば携帯端末62のスイッチ操作で個別に設定してもよく、また、管理制御装置30が、屋外温度Te及び屋内温度Trを含めて、最適な通風状態(風量)が得られるように設定しても良い。
このように第2の実施の形態に係る住環境管理システム60Aでは、管理対象とする居室(屋内空間)に居住者が不在の場合、予め設定されたタイムスケジュールに基づき、居住者が在室(入出)したときに、適正な屋内環境となるように通風及び空調制御を行うので、空調を行うためのエネルギー消費を抑えることができる。
また、住環境管理システム60Aでは、管理対象とする居室への居住者の入室を検出すると、当該居室内を適正な空調状態の住環境となるように通風制御及び温調制御を提案する。これにより、居住者は、容易にかつ適正な通風及び空調を行うことができる。
なお、第2の実施の形態では、一人の居住者を対象としているが、在室したときの人数を判定し、判定した人数に応じて通風及び空調状態を制御しても良い。すなわち、複数人が和室106にいる場合、和室106の温度Tjや湿度が上昇しやすくなる。ここから、設定温度範囲を下げるように変更し、和室106の温度上昇を抑えるように通風及び空調制御を行うようにすれば良い。
また、和室106内の人の人数が増えることで、締め切ったときの湿度が高く成り易い。ここから、湿度の上昇を抑えるように通風を行うようにしても良い。これにより、入室している人数が多い場合でも、湿度を抑制するためのエネルギー消費を抑えながら、当該居室(和室106)の快適性が損なわれることがないようにできる。
なお、以上説明した本実施の形態では、居住者に報知する情報をディスプレイ40及び携帯端末62の図示しないディスプレイに表示するように説明したが、これに限らず、音声によって報知するものであっても良く、また、携帯端末62等への表示と音声とにより報知を組み合わせるなど、必要とする情報を居住者に的確に伝達しうるものであれば、任意の構成を適用することができる。
また、本実施の形態では、消費される電力の管理を行うHEMSが設けられた住宅10において、住環境の管理を行う。このときに、風や屋外温度、日射などの自然エネルギーの取得を的確に制御することで、電力消費を抑えながら快適な住環境を提供することができる。
さらに、以上説明した本実施の形態の構成および制御は一例であり、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。