JP2012201739A - ポリアクリロニトリル系重合体粒子及びその製造方法 - Google Patents

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直樹 青山
Yusuke Niimen
祐介 新免
Norifumi Hirota
憲史 廣田
Shusuke Takeuchi
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Abstract

【課題】溶剤に対する分散性と溶解性に優れ、紡糸工程の安定性を向上できるアクリロニトリル系重合体粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル100質量部とヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレート1質量部以上5質量部以下を含む単量体、亜硫酸水素アンモニウムと過硫酸アンモニウムをモル比0.5以上3.8以下となる割合で含む開始剤及び水を水/単量体の質量比1.5以上2.6以下となるよう連続的に反応器内に供給し、反応器内の攪拌動力を2.4kW/m3以上5.3kW/m3以下の範囲内とするレドックス水系析出重合によるポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法;並びにこの方法によって得られる重合体粒子嵩比重が0.33g/cm3以上0.50g/cm3以下、体積平均粒径が15μm以上30μm以下のポリアクリロニトリル系重合体粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアクリロニトリル系繊維、特に炭素繊維の前駆体繊維(プレカーサ)の製造に適したポリアクリロニトリル系重合体粒子及びその製造方法に関する。
ポリアクリロニトリル系繊維は、炭素繊維のプレカーサとして広く利用されている。このポリアクリロニトリル系繊維は、例えば、ポリアクリロニトリル系重合体粒子を溶剤に溶解して紡糸原液を調製し、この原液を紡糸することによって得られる。
ポリアクリロニトリル系繊維の製造工程の安定性や繊維の品質は、ポリアクリロニトリル系重合体粒子の溶剤への溶解性に影響される。例えば、紡糸原液中に未溶解の重合体粒子が存在すると、それが核となってゲルが発生するので、原液の安定性が損なわれたり、糸切れや毛羽の原因となるのである。ポリアクリロニトリル系重合体粒子のアクリロニトリル単量体単位が95質量%未満であれば、溶剤への溶解性は概ね良好である。一方、アクリロニトリル単量体単位が95質量%以上であると、重合体粒子の形状が溶解性に大きな影響を与える。
また、重合体粒子の溶解性は、個々の粒子の溶解性だけでなく、重合体粒子の分散性にも影響される。例えば、重合体粒子の分散性が低いと、重合体粒子同士が融着した継粉が発生してしまうからである。この分散性を良好にするには、重合体粒子の分散系の粘度を低くする必要がある。
この様な問題に対して、例えば特許文献1では、重合体粒子の粒子径を大きくして、粒子の表面積を小さくし、重合体への溶剤の浸透速度を遅くすることで分散性を改善している。
一方、個々の粒子の溶解性を考慮すると、重合体粒子の表面積が大きい方がその溶解性は良好となる。この点に鑑みて、例えば特許文献2は、重合体粒子の表面の細孔径が小さく、疎な構造の重合体粒子を開示している。
また、特許文献3は、アクリル酸、メタクリル酸等の含水素基エステルとアクリロニトリルを共重合せしめた重合体よりなる繊維から得られる炭素繊維の製造方法を開示している。
特開2009−185273号公報 特開平11−140131号公報 特公昭47−22658号公報
特許文献1記載の発明では、継粉の生成は抑制できるが、重合体粒子の平均粒径が大きいので、個々の重合体粒子の溶解に時間がかかる。また、特許文献2記載の発明では、重合体粒子の表面の細孔径が小さく、粒子の表面積が大きいので、個々の重合体粒子の溶解性は高いが、継粉が生成し易く、未溶解物が残る可能性がある。また、特許文献3記載の発明では、その重合体の溶解性については検討されてない。
本発明の目的は、溶剤中の分散性に優れ、個々の粒子の溶剤に対する溶解性にも優れ、紡糸工程の安定性を向上できるアクリロニトリル系重合体粒子及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、反応器内に、単量体、開始剤及び水を連続的に供給し、該反応器内で該単量体を重合させながら、該反応器内から反応液を連続的に取り出す工程を有するレドックス水系析出重合によるポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法であって、前記単量体は、アクリロニトリル100質量部と、ヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレート1質量部以上5質量部以下を含み、前記開始剤は、亜硫酸水素アンモニウムと過硫酸アンモニウムを、そのモル比(亜硫酸水素アンモニウム/過硫酸アンモニウム)が0.5以上3.8以下となる割合で含み、前記単量体、前記開始剤及び前記水を、水/単量体の質量比が1.5以上2.6以下となるように連続的に前記反応器内に供給し、前記単量体の重合に際して前記反応器内を攪拌する攪拌動力を、2.4kW/m3以上5.3kW/m3以下の範囲内とすることを特徴とするポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法である。
さらに本発明は、上記の方法によって得られる、重合体粒子嵩比重が0.33g/cm3以上0.50g/cm3以下、体積平均粒径が15μm以上30μm以下のポリアクリロニトリル系重合体粒子である。
本発明により得られるポリアクリロニトリル系重合体粒子は、溶剤中の分散性に優れ、溶剤に分散する際の継粉の生成を抑制できる。また、溶剤が内部まで容易に浸透し、個々の粒子の溶剤に対する溶解性にも優れている。したがって、この重合体粒子を使用すれば紡糸原液の未溶解物が減少し、紡糸工程の安定性を向上できる。
本発明においては、反応器内に、アクリロニトリルを主成分とする単量体、開始剤及び水を連続的に供給して単量体を重合させる。本発明では、この単量体の重合を、レドックス開始剤を用いたレドックス水系析出重合により行うので、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の他の重合法と比較して生産性に優れ、かつ残留モノマー等の不要成分の量を減少できる。
開始剤は、重合体の末端基として、水相に析出した重合体粒子の分散安定性及び凝集性に影響し、重合体粒子の形状にも大きく影響する。本発明においては、レドックス水系析出重合を実施する為に、酸化剤及び還元剤からなるレドックス開始剤を用いる。また、その酸化剤として少なくとも過硫酸アンモニウムを使用し、還元剤として少なくとも亜硫酸水素アンモニウムを使用する。そのモル比(亜硫酸水素アンモニウム/過硫酸アンモニウム)は0.5以上(好ましくは1.0以上)、3.8以下(好ましくは3.7以下)とする。これら各モル比の下限値は、重合を円滑に進行させる点で意義が有る。また上限値は、嵩比重の高い重合体粒子を得る点で意義が有る。
また、過硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムと共に、他の酸化剤や還元剤を併用することも可能である。他の酸化剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムが挙げられる。他の還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、亜二チオン酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト、L−アルコルビン酸、デキストロ−ズが挙げられる。
また、レドックス開始剤と共に、酸化還元系の助剤を用いることが好ましい。その助剤としては、例えば、硫酸第一鉄、硫酸銅が挙げられる。特に、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム−硫酸第一鉄を組合せて用いることが好ましい。助剤の濃度は特に規定されないが、重合をより効率よく進める点から0.01ppm以上が好ましく、重合体粒子中への過剰な残存を防ぐ点から1000ppm以下が好ましい。
本発明に用いる単量体は、アクリロニトリルを主成分として含み、さらにヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレートも含む。このヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレートを含むことによって、例えば、ポリアクリロニトリル系重合体粒子を湿式又は乾湿式紡糸する工程で、親水性基であるヒドロキシアルキル基が凝固時の繊維内部への水の拡散速度を緩やかにし、緻密な又は均質な前駆体繊維束が得られるという効果を奏する。
ヒドロキシアルキルメタクリレート及びヒドロキシアルキルアクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセリンモノアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。中でも、アクリロニトリルに対する共重合性や工業的な入手のし易さの点から、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
ヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレートの配合量は、アクリルニトリル100質量部に対して、1質量部以上(好ましくは2重量部以上)、5質量部以下である。これら各範囲の下限値は、凝固時の繊維内部への水の拡散速度を緩やかにする点で意義が有る。また、上限値は、耐炎化工程でのヒドロキシアルキル基の脱離に伴う炭素化収率の低下を抑制する点で意義が有る。
水は重合媒体として用いられるものであり、特に、脱イオン交換水を使用することが好ましい。
本発明においては、以上説明した単量体、開始剤及び水を、水/単量体の質量比が1.5以上(好ましくは1.8以上)、2.6以下(好ましくは2.5以下)となるように連続的に反応器内に供給する。これら各範囲の下限値は、重合熱の除熱を容易にして重合反応を制御する点で意義が有る。また上限値は、得られる重合体粒子の嵩比重を高くする点で意義が有る。ここで、反応器内の水相に析出した重合体粒子は互いに衝突しながら凝集するので、重合体粒子間の距離が近ければ凝集し易くなる。したがって、水/単量体比は重合体粒子の形状に大きく影響する。
反応器内の反応液の温度は、単量体が重合可能な温度であれば特に限定されない。ただし、アクリロニトリルが蒸発して反応系外へ離散することを防ぐ点から、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。また、重合を安定して進行させる点から、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。また、重合体の分子量の安定化の点から、反応液の温度は一定に保つことが好ましい。
本発明は、レドックス水系析出重合法により単量体を連続重合する方法なので、例えばあらかじめ反応器内に水(重合媒体)を仕込んでおき、そこへ開始剤溶液、酸化還元系助剤、水、単量体を連続的に供給し、攪拌しながら重合反応を進行させることが好ましい。
本発明に用いる反応器は、例えば、重合反応釜、反応器内の反応液を循環させる装置、各成分を供給する供給口、重合熱除去装置及び溢流口を有する装置である。循環装置としては、溶液中の各成分をすみやかに拡散させる点から、攪拌機が好適に用いられる。
本発明においては、単量体の重合に際して反応器内を攪拌する攪拌動力を、2.4kW/m3以上5.3kW/m3以下の範囲内とする。この攪拌動力を2.4kW/m3以上とすることにより、反応器の攪拌槽内の内容物を十分均一に攪拌することが可能となる。また、5.3kW/m3以下とすることにより、飛び散った反応液によるカレット生成を抑制できる。攪拌動力とは、攪拌槽内の内容物が攪拌により受けた正味の単位体積当たりのエネルギーである。具体的には、攪拌槽が空の状態で攪拌翼を回転させた場合の電力値と、槽内に水を満たした状態で攪拌翼を回転させた場合の電力値の差を求め、反応器内容量で割った数値を攪拌動力とする。
反応器内の単量体の平均滞在時間(具体的には重合反応釜内での平均滞在時間)は特に制限されず、従来よりポリアクリロニトリル系重合体を水系析出重合により製造する際に採用される時間でよい。この平均滞在時間は、生産性の点から200分以下が好ましく、重合を十分に完結させる点から20分以上が好ましい。反応器内(具体的には重合反応釜内)での水素イオン濃度は、開始剤がすみやかに酸化・還元反応を起こすような濃度であればよく、pH2.0〜3.5の酸性領域が好ましい。
本発明においては、以上のようにして単量体を反応器内で重合させながら、その重合体粒子を含む反応液を例えば反応器の溢流口から連続的に取り出す。そしてこの反応液に、例えば、水に溶解させた重合停止剤を添加することにより重合を停止する。重合停止剤としては、従来よりポリアクリロニトリル系重合体を水系析出重合で製造する際使用される重合停止剤を制限無く使用できる。
次に、重合を停止した反応液から未反応単量体の回収を行う。その回収方法としては、例えば、その反応液を直接蒸留する方法や、一旦脱水して未反応単量体を重合体と分離した後に蒸留する方法がある。後者の方法に使用する脱水洗浄機としては、例えば、濾過脱水機である回転式真空濾過器、遠心脱水機が挙げられる。
ポリアクリロニトリル系重合体粒子は、例えば、70℃程度の水で洗浄し、脱水し、熱風循環型の乾燥機等で乾燥し、その後ハンマーミル等で粉砕することにより得られる。重合を停止した反応液から重合体を分離するにあたり、より効率よく分離を行う目的で硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム等の凝集剤を添加したり、重合体の凝集を促進する目的で反応液を昇温する等の操作を行うこともできる。残った水分は通常の乾燥によって取り除けばよい。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体粒子は、以上説明した方法によって得られる、特定の重合体粒子嵩比重と特定の体積平均粒径を有する重合体粒子である。また代表的には、レドックス水系析出重合において水相に析出した平均粒径0.1μm以上10μm以下の粒子同士が凝集して出来た重合体粒子(一次粒子の凝集体)である。
ポリアクリロニトリル系重合体粒子の重合体粒子嵩比重は、0.33g/cm3以上(好ましくは0.35g/cm3以上)、0.50g/cm3以下である。これら各範囲の下限値は、継粉の生成を抑制する点で意義が有る。また上限値は、個々の重合体粒子の溶け残りを抑制する点で意義が有る。この重合体粒子嵩比重は、重合体粒子の質量を、重合体粒子が占有する体積で割ることにより得られる。
この重合体粒子嵩比重が小さければ、その重合体粒子は疎な構造であり、重合体粒子嵩比重が大きければその重合体粒子は密な構造である。一般に、重合体粒子嵩比重の値が小さいと、すなわち重合体粒子が疎であると、重合体粒子を溶剤に分散させたときに、溶剤が重合体粒子の内部に浸透し易いので、一粒の重合体粒子は溶解し易い。しかしながら、重合体粒子が溶剤に分散するや否や、すぐに溶剤に溶解し始める。このため分散液の粘度が上昇し、分散性が悪化し、分散性が不均一となる傾向にある。一方、重合体粒子嵩比重の値が大きいと、すなわち重合体粒子が密であると、溶剤が重合体粒子の内部に浸透し難いので、一粒の重合体粒子は溶解し難い。しかしながら分散液の粘度の上昇は抑制されるので、分散性は良好となり、重合体粒子が均一に分散する。
ポリアクリロニトリル系重合体粒子の体積平均粒径は、15μm以上(好ましくは17μm以上)、30μm以下である。これら各範囲の下限値は、分散性の点で意義が有る。また上限値は、未溶解物の発生を抑制する点で意義が有る。
先に述べた重合体粒子嵩比重は、重合体粒子の分散性に対し影響を及ぼすが、体積平均粒径もまた非常に重要である。体積平均粒径が大き過ぎれば、重合体粒子の内部まで溶剤が浸透し難く、未溶解物を発生する。逆に体積平均粒径が小さ過ぎれば、重合体粒子の内部まで溶剤が浸透し易くなる利点がある反面、溶剤に接触する表面積が大きくなるので分散時に溶解し易く、分散液の粘度が上昇して分散性が悪化し、分散液が不均一となる。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体粒子は、ポリアクリロニトリル系繊維を製造する為の紡糸原料として非常に有用である。紡糸原液を調製する方法としては、例えば、重合体粒子を溶剤に分散して加熱し、溶解する方法がある。重合体粒子を溶剤に分散する方法としては、例えば、撹拌装置を備えたタンク又は槽に規定量を計量した溶剤を入れ、そこに規定量を計量した重合体粒子を投入して分散液を調製する方法がある。また例えば、連続的に流下する溶剤に規定量の重合体を投入して分散液を調製する方法もある。均一な分散液とするには、撹拌装置等の設備や温度等の条件に注意を要する。
分散液を加熱し、溶解する方法としては、均一に加熱できる方法であればよく、特に制限はない。例えば、熱交換器や熱媒を循環するジャケット構造を有した二軸押出機に分散液を通過させる方法がある。
以上のようにして得た紡糸原液を用いて、ポリアクリロニトリル系繊維を製造する為の公知の方法を実施すればよい。紡糸原液中の重合体濃度は、紡糸の際に緻密な凝固糸を得る点から、17質量%以上が好ましく、19質量%以上が好ましい。また、その重合体濃度は、通常25質量%以下である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。物性の測定や評価は、以下の方法に従い実施した。
<重合体粒子嵩比重>
1)嵩比重測定用容器の容積(A)と質量(B)を測定する。
2)嵩比重測定用容器に重合体粒子をあふれるまで入れ、嵩比重測定用容器と同じ形状の底に穴の開いた蓋をかぶせる。
3)蓋の穴を指で押さえ嵩比重測定用容器を蓋と一緒に上下にゆっくり5回振る。
4)蓋を取り、容器に山盛りの重合体粒子が容器すりきり一杯になるように棒ですばやく除去する。
5)重合体粒子の入った嵩比重測定用容器の質量(C)を測定する。
上記操作を5回実施する。
6)重合体粒子嵩比重(ρ)=(C−B)/A の式により、重合体粒子の嵩比重を求め、5回の測定値の平均値をその重合体粒子の嵩比重とする。
<重合体粒子の体積平均粒径>
レーザー回折散乱法を原理としたセイシン企業製SKレーザーマイクロンサイザーLMS−350の装置を用いて、重合体粒子の粒度分布を屈折率1.330−0.01i、形状係数1.000にて測定し、体積平均から算出された50%正規分布の値を体積平均粒径とする。
<攪拌動力>
反応器を空にしておいた状態と、反応器内に水を満たした状態の電力値の差を求め、反応器容量で割った数値を攪拌動力とした。電力値の測定には共立電気計器株式会社製のデジタルパワーメーター(MODEL6300)を使用した。
<ゲル化日数>
30℃で保持した紡糸原液にステンレス製の球(UNI AISHIN製 直径1/4”)が10cm落球する秒数が200秒を超えた時点をゲル化日数とした。
<実施例1>
容量80リットルのタービン撹拌翼付きアルミ製反応器に、脱イオン交換水を満水になるまで仕込み、釜内部温度を57℃まで昇温し、表1に示す単量体、レドックス重合開始剤、脱イオン交換水を流体として連続的に供給した。この供給流体としては、過硫酸アンモニウム2.75質量%、亜硫酸水素アンモニウム5質量%、硫酸第一鉄(Fe2SO4・7H2O)2ppm、硫酸0.5質量%をそれぞれ脱イオン交換水に溶解したものを用いた。
反応容器の重合釜内の反応液は、pHが3.0になるように硫酸供給量で調節し、重合反応液温度を50℃に保ち、十分な撹拌を行いながら連続的に重合反応を行い、単量体の平均滞在時間が70分になるように重合釜溢流口より連続的に反応液を取り出した。
取り出した反応液に、シュウ酸ナトリウム0.5質量%、重炭酸ナトリウム1.5質量%を脱イオン交換水に溶解した重合停止剤水溶液を、反応液のpHが5.5〜6.0になるように加えた。次いで、この反応液をオリバー型連続フィルターによって脱水処理し、さらに重合体に対して10倍量の70℃の脱イオン交換水を加えて再び分散させた。再分散後の反応液を再度オリバー型連続フィルターによって脱水処理し、ペレット成形した。
このペレットを、80℃にて8時間熱風循環型の乾燥機で乾燥し、ハンマーミルで粉砕することによって、表3に示す様に重合体粒子嵩比重が0.39g/cm3、体積平均粒径が23μmのポリアクリロニトリル系重合体粒子を得た。
次に、この重合体粒子を−15℃に冷却したジメチルアセドアミドに重合体濃度が21質量%になるように分散させて分散液を得た。この分散液を、熱媒を循環可能なジャケット付きの内径12mmの配管に通過させ、滞在時間9分で110℃まで加熱し溶解して紡糸原液を得た。この紡糸原液を、水循環式の恒温槽中に30℃で保持してゲル化日数の測定を行った。表3に示す様にゲル化日数は40日であった。
<実施例2〜5>
重合条件を表1記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体粒子を製造し、溶解性評価を行った。表3に示す様に、何れもゲル化日数が40日であった。
<比較例1〜8>
重合条件を表2記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体粒子を製造し、溶解性評価を行った。表4に示す様に、比較例4では反応器中の反応液が粘稠で流動性が悪化し、重合反応が暴走し、重合体粒子が得られなかった。それ以外の比較例では、何れもゲル化日数が30日以下であった。
<参考例>
特開11−140131号公報の比較例1では、重合体粒子嵩比重が0.50g/cm3の重合体粒子が得られている。しかし、開始剤には亜硫酸水素ナトリウムを使用しているので、炭素繊維の強度低下を招くナトリウムが含まれる。したがって、炭素繊維前躯体用重合体としては望ましくない。また、亜硫酸水素アンモニウムを使用した場合、反応液の流動性を保つため5.3kW/m3より大きい攪拌動力が必要であり、カレットの生成が懸念される。
Figure 2012201739
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Figure 2012201739
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表中の略号は、以下の化合物を示す。
・「AN」:アクリロニトリル
・「MAA」:メタクリル酸
・「HEMA」2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・「AAm」アクリルアミド

Claims (2)

  1. 反応器内に、単量体、開始剤及び水を連続的に供給し、該反応器内で該単量体を重合させながら、該反応器内から反応液を連続的に取り出す工程を有するレドックス水系析出重合によるポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法であって、
    前記単量体は、アクリロニトリル100質量部と、ヒドロキシアルキルメタクリレート及び/又はヒドロキシアルキルアクリレート1質量部以上5質量部以下を含み、
    前記開始剤は、亜硫酸水素アンモニウムと過硫酸アンモニウムを、そのモル比(亜硫酸水素アンモニウム/過硫酸アンモニウム)が0.5以上3.8以下となる割合で含み、
    前記単量体、前記開始剤及び前記水を、水/単量体の質量比が1.5以上2.6以下となるように連続的に前記反応器内に供給し、
    前記単量体の重合に際して前記反応器内を攪拌する攪拌動力を、2.4kW/m3以上5.3kW/m3以下の範囲内とすることを特徴とするポリアクリロニトリル系重合体粒子の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法によって得られる、重合体粒子嵩比重が0.33g/cm3以上0.50g/cm3以下、体積平均粒径が15μm以上30μm以下のポリアクリロニトリル系重合体粒子。
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