JP4924484B2 - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高性能かつ高品位な炭素繊維を得るための炭素繊維前駆体繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる高性能化と低コスト化両立の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと記述することがある。)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。炭素繊維は、脆性材料であり、わずかな表面欠陥、内在欠陥により強度低下を引き起こすため、欠陥の生成に関しては、繊細な注意が払われてきた。原料中の粉塵などの異物を取り除くことは当然のことながら、紡糸溶液が一部滞留、熱劣化することでできたゲルを口金から吐出前に取り除くことを強度低下だけでなく、口金からの吐出時、製糸・焼成工程での糸切れを低減するためにも行われてきた。例えば、5μm以下の開孔径を持つフィルターを用いて濾過する方法(特許文献1参照。)や濾過精度が5μm以下の金属焼結フィルターを用いて濾過する方法(特許文献2参照。)、開孔径を段階的に小さくして多段濾過する方法(特許文献3参照。)が提案されている。
また、製糸速度を高めて時間当たりの生産量を増やし、低コスト化しようとしたときに、糸切れなく凝固浴出の駆動ローラーで引き取りができる限界引取速度を示す可紡性が製糸速度の限界を決めるものであり、製糸速度を高めやすい乾湿式紡糸では曳糸長が可紡性にとって重要になるが、特許文献4の図1に示すように、曳糸長は高々100mm程度であり、特に高速で糸を曳いた場合には、曳糸長は激減するものであった。かかる曳糸長は、当業者の一般的なレベルであり、重合体溶液として製糸速度を高める性質は満足できるものではなかった。
本発明者らは、炭素繊維の生産コストを低減するため、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いることで、紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる技術を提案した(特願2007−269822号参照)。かかる技術を用い、炭素繊維としたときにより高強度であり、毛羽立ちをより少ないようにするためには、紡糸溶液を口金から吐出する前に紡糸溶液から異物を濾過することが必要であるが、従来技術に従い、単に小さな開孔径を持つフィルター濾材で濾過すると、濾過圧力が高まり異物が除去できないことや、逆にフィルター内で異物を発生させ口金で詰まりやそれに起因した吐出むらを発生させること、高分子量の重合体が優先的に除去され濾過前と性質が異なること、フィルター濾材が閉塞されて全く紡糸溶液が吐出できないことといった様々な課題が新たに生じた。
特開昭58―220821号公報 特開昭59―88924号公報 特開2004−27396号公報 特開平11−152619号公報(図1)
本発明は、前記した従来技術が有する問題を解決すること、すなわち、分子量の大きなPAN系重合体を用いたとしても、濾過圧力が高まることを抑制し、フィルター内で異物の発生が少なく、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いたとしても、濾過前と濾過後で分子量分布が大きく変化しない濾過技術を開発し、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いても安定して炭素繊維前駆体繊維を製造できる方法を提案することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、次の構成を有するものである。すなわち、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、紡糸に先立ち、紡糸溶液をフィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度Sを1〜150L/m/時間としてフィルターで濾過する炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
本発明によれば、分子量の大きい重合体成分を含む紡糸溶液を用いても、かかる重合体を効率よく通過させて、その溶液中に含まれる異物を除去できるので、フィルター濾材を閉塞させることが少なく前駆体繊維を製造することができる。また、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いたとしても、濾過後の紡糸溶液におけるPAN系重合体は、重合後と分子量分布に変化が少ないため、生産性を損なうことなく毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。
また、内在する異物の少ない炭素繊維前駆体繊維を用いることで焼成工程でも糸切れが少なく、毛羽が少なく高強度な炭素繊維を安定して製造することができる。
本発明では、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるPAN系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を用いて紡糸する。かかるPAN系重合体は分子量の大きな重合体成分を含んでいるので、本発明の効果が顕著に現れる。
まず、本発明で好適に用いることができるPAN系重合体について説明する。本発明では、、重量平均分子量Mwが10万〜100万、好ましくは20万〜65万、より好ましくは30〜50万であるPAN系重合体が好適に用いられる。また、かかるPAN系重合体は、Z平均分子量MzとMwとの比で示される多分散度Mz/Mwは2.5〜10、好ましくは2.5〜6、より好ましくは3〜6であるのが良い。
本発明において、各種平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCと略記する)法で測定され、ポリスチレン換算値として得られるものである。なお、多分散度Mz/Mwは、次の意味を有する。すなわち、数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。これに対して、Mwは、高分子量物の寄与を敏感に受け、Mzは、高分子量物の寄与をさらに敏感に受ける。そのため、分子量分布であるMw/Mnや多分散度であるMz/Mwを用いることにより分子量分布の広がりを評価することができる。Mw/Mnが1であるとき単分散であり、大きくなるにつれて分子量分布が低分子量側を中心にブロードになることを示すのに対して、Mz/Mwは大きくなるにつれて、分子量分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。
上記のように、Mw/MnとMz/Mwの示すところが異なるため、Mw/Mnが大きくても、Mz/Mwが2.5以上になるということでは必ずしもない。
上記のようなPAN系重合体を用いることにより、生産性の向上と安定化の両立を図りつつ、毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができるメカニズムは、必ずしも明確になった訳ではないが、次のように考えられる。口金孔直後でPAN系重合体が伸長変形する際に、超高分子量物と高分子量物が絡み合い、超高分子量物を中心に絡み合い間の分子鎖が緊張することで伸長粘度の急激な増大、すなわち、歪み硬化がおこる。PAN系重合体溶液の細化に伴い細化部分の伸長粘度が高くなり、流動安定化するため紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができ、ひいては製糸速度を高めることができる。上記のようなPAN系重合体を溶媒に溶解させた溶液を用いることにより、20000mm/分もの高速で糸を曳いても糸が切れることはなく、曳糸長としては測定ができないほどとすることができる。
Mz/Mwが大きいほど好ましく、Mz/Mwが2.5未満では、歪み硬化が弱くPAN系重合体の吐出安定性向上が不足する。また、Mwが10万未満では、前駆体繊維の強度が不足し、Mwが100万より大きいと吐出が困難となる。
また、Mw/Mnは、小さいほど炭素繊維の構造欠陥となりやすい低分子成分の含有量が少ないため、小さいほど好ましく、Mz/MwよりもMw/Mnが小さいことが好ましい。すなわち、高分子量側にも、低分子量側にもブロードであっても、吐出安定性低下は少ないが、低分子量側はなるべくシャープであることが好ましく、Mz/MwがMw/Mnに対して、1.5倍以上であることが好ましく、更には1.8倍以上であることがより好ましい。本発明者らの検討によると、通常、アクリロニトリル(以下、ANと略記する)の重合でよく行われている、水系懸濁、溶液法などのラジカル重合においては、分子量分布として低分子量側に裾を引いているため、Mw/MnがMz/Mwよりも大きくなる。そのため、重合開始剤の種類と割合や逐次添加など、特殊な条件で重合を行うか、一般的なラジカル重合を用いる場合、2種以上のPAN系重合体を混合する方法があり、重合体を混合する方法が簡便である。混合する種類は、少ないほど簡便であり、吐出安定性の観点からも2種で十分なことが多い。
混合する重合体のMwは、Mwの大きいPAN系重合体をA成分とし、Mwの小さいPAN系重合体をB成分とすると、A成分のMwは好ましくは100万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMwは5万〜90万であることが好ましい。A成分とB成分のMwの差が大きいほど、混合された重合体のMz/Mwが大きくなる傾向があるため好ましい態様であるが、A成分のMwが1500万より大きいときはA成分の生産性は低下する場合があり、B成分のMwが15万未満のときは前駆体繊維の強度が不足する場合があり、Mz/Mwは10以下とすることが現実的である。
具体的には、A成分とB成分の重量平均分子量の比は、4〜45であることが好ましく、20〜45であることがより好ましい。
また、A成分とB成分の重量比は、0.003〜0.3であることが好ましく、0.005〜0.2であることがより好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。A成分とB成分の重量比が0.003未満では、歪み硬化が不足することがあり、また0.3より大きいときは重合体溶液の吐出粘度が上がりすぎて吐出困難となることがある。
A成分とB成分の重合体を混合する場合、両重合体を混合してから溶媒で希釈する方法、重合体それぞれを溶媒に希釈したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分を溶媒に希釈した後にB成分を混合溶解する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。混合には、混合槽で攪拌する方法やギヤポンプなどで定量してスタティックミキサーで混合する方法、二軸押出機を用いる方法などが好ましく採用できる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特に、炭素繊維前駆体製造用とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要であり、わずかであっても未溶解物が存在していた場合には異物として認識され、フィルター濾材に濾過されるか、濾過させないほど小さいときには炭素繊維内部にボイドを形成することがある。
具体的には、A成分の溶媒に対する重合体濃度、すなわちA成分と溶媒のみからなる溶液を仮想したときの、その溶液中におけるA成分の重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する。上記のA成分の重合体濃度は、より好ましくは0.3〜3重量%であり、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。上記のA成分の重合体濃度は、より具体的には、重合体の集合状態として、重合体がわずかに重なり合った準希薄溶液とすることが好ましく、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する際に、混合状態が均一となりやすいため、孤立鎖の状態となる希薄溶液とすることが更に好ましい態様である。希薄溶液となる濃度は、重合体の分子量と溶媒に対する重合体の溶解性によって決まる分子内排除体積によって決まるとみられるため、一概には決められないが、本発明においては概ね前記範囲にすることにより凝集してフィルター濾材内に堆積することが少ない。上記の重合体濃度が5重量%を超える場合は、A成分の未溶解物が存在することがあり、0.1重量%未満の場合は、分子量にもよるが希薄溶液となっているため効果が飽和していることが多い。
上記のように、A成分の溶媒に対する重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、それにB成分を混合溶解する方法でもかまわないが、工程省略の観点から高分子量物を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法を採用する方が好ましい。
A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%になるようにする方法としては、希釈による方法でも重合による方法でも構わない。希釈する場合は、均一に希釈できるまで撹拌することが重要であり、希釈温度としては50〜120℃が好ましく、希釈時間は希釈温度や希釈前濃度によって異なるため、適宜設定すればよい。希釈温度が50℃未満の場合は、希釈に時間がかかることがあり、120℃を超える場合は、A成分が変質する恐れがある。また、重合体の重なり合いを希釈する工程を減らし、均一に混合する観点から、前記のA成分の製造から前記のB成分の混合開始、あるいは、B成分を構成する単量体の重合開始までの間、A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%の範囲に制御することが好ましい。具体的には、A成分を溶液重合により製造する際に、重合体濃度が5重量%以下で重合を停止させ、それにB成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合しその単量体を重合する方法である。通常、溶媒に対する仕込み単量体の割合が少ないと、溶液重合により高分子量物を製造ことは困難なことが多いため仕込み単量体の割合を多くするが、上記のA成分の重合体濃度が5重量%以下の段階では、重合率が低く、未反応単量体が多く残存していることになる。未反応単量体を揮発除去してから、B成分を混合してもかまわないが、工程省略の観点からその未反応単量体を用いてB成分を溶液重合することが好ましい。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
ANと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
A成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMwを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系重合体の組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど耐炎化工程で共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。
ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
B成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。これらの重合に用いる原料は、全て濾過精度1μm以下のフィルター濾材を通した後に用いることが好ましい。
前記したPAN系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPAN系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸溶液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたPAN系重合体を分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となる。
紡糸溶液における重合体濃度は、5〜30重量%の範囲であることが好ましく、14〜25重量%であることがより好ましく、18〜23重量%であることが最も好ましい。重合体濃度が5重量%未満では溶媒使用量が多くなり経済的でなく、凝固浴内での凝固速度を低下させ内部にボイドが生じて緻密な構造が得られないことがある。一方、重合体濃度が30重量%を超えると粘度が上昇し、紡糸が困難となる傾向を示す。紡糸溶液の重合体濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。
本発明において重合体濃度とは、PAN系重合体の溶液中に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体の溶液を計量した後、PAN系重合体を溶解せずかつPAN系重合体溶液に用いる溶媒と相溶性のあるものに、計量したPAN系重合体溶液を脱溶媒させた後、PAN系重合体を計量する。重合体濃度は、脱溶媒後のPAN系重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系重合体の溶液の重量で割ることにより算出する。
また、45℃の温度における紡糸溶液の粘度は、15〜200Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜150Pa・sの範囲であることがより好ましく、30〜100Pa・sの範囲であることが最も好ましい。溶液粘度が15Pa・s未満では、紡糸糸条の賦形性が低下するため、口金から出た糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液粘度は200Pa・sを超えるとゲル化し易くなり、フィルター濾材が閉塞しやすくなる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、重合開始剤や連鎖移動剤の量などにより制御することができる。
45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、B型粘度計により測定することができる。具体的には、ビーカーに入れたPAN系重合体溶液を、45℃の温度に温度調節された温水浴に浸して調温した後、B型粘度計として、例えば、(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、PAN系重合体溶液の粘度が0〜100Pa・sの範囲はローター回転数6r.p.m.で測定し、またそのPAN系重合体溶液の粘度が100〜1000Pa・sの範囲はローター回転数0.6r.p.m.で測定する。
本発明では、上記したような紡糸溶液を紡糸するに先立ち、フィルター濾材に通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去する。本発明におけるフィルター装置とは、紡糸溶液中に存在する異物を濾過して除去する設備を意味し、濾過処理を施す紡糸溶液をフィルター濾材に導くための流入路と、紡糸溶液を濾過するためのフィルター濾材と、濾過された紡糸溶液をフィルター外に導くための流出路と、これらを収納するための容器とより構成される。ここで、フィルター濾材とは、フィルター装置内に収納される紡糸溶液の濾過手段である。
本発明で用い得るフィルター装置を図1〜3を用いて説明すると次のとおりである。ただし、図1〜3は例示であり、本発明はこれらの図およびこれらの図を用いる説明によって制限されるものではない。
図1はフィルター装置の断面図であり、濾過容器1に作られた空間内に、フィルター濾材2と、フィルター濾材の変形を抑制し液体透過性を有する支持体3が固定されている。紡糸溶液は紡糸溶液流入路4を経て、フィルター濾材2で濾過され、紡糸溶液流出路5を経てフィルター装置外に出る。この基本構成以外にも、例えば、図2に示すように、フィルター濾材2が外周に沿って多孔板等からなる支持体3に支持され、紡糸溶液流出路への開口6を有するリーフディスク型フィルター7を、図3に示すように、濾過容器1に作られた空間内に、紡糸溶液流出路を兼ねる芯体8とフィルター押さえ9の間に複数枚積み重ね、固定してあるフィルター装置も好ましい様態である。すなわち、芯体8は側面に開口10を有しており、紡糸溶液は、紡糸溶液流入路4を経て、それぞれのリーフディスク型フィルター7におけるフィルター濾材2で濾過され、支持体3、リーフディスクの内径側にある紡糸溶液流出路への開口6、芯体の開口10、芯体8を順に経て、流出されることで濾過される。なお、リーフディスク型フィルターの外径は距離Dで表され、リーフディスク型フィルターの内径は距離dで表される。リーフディスク型フィルターにおいて、ドーナッツ状の内周部分は支持体がむき出しになっているか、開口を有する板で覆われており、ドーナッツ状の上下面から流入した紡糸溶液が内周部分から排出されるようになっている。
本発明で使用されるフィルター濾材2は、紡糸溶液中に存在する異物を除去するための直接的役割を担う部分であり、定められた開孔径を狭いばらつきで保有することが求められ、加えて、被処理物質に対する化学的安定性と耐熱性とある程度の耐圧性とが要求される。このようなフィルター濾材としては、金属の細線を織って作製した金網や、金属の短繊維を湿式や乾式で抄紙した後焼結して組織を固定した焼結金属繊維組織よりなるフィルター濾材などが好ましく使用される。また、フィルター濾材の材質は、紡糸溶液に不活性であり、かつ溶媒への溶出成分がなければ特に限定されるものではないが、一般には金属、特にステンレススチールが用いられ、例えばSUS304、SUS316等が好ましく使用される。
炭素繊維前駆体繊維用に用いられるPAN系重合体は、わずかな異物も工程異常や強度低下を招くが、異物の数としては少ないため、従来用いられてきたPAN系重合体を含む紡糸溶液では、濾過面積当たりの紡糸溶液通過速度としては大きなものであった。しかしながら、本発明で好適に用いられるPAN系重合体溶液で同様の濾過操作をした場合、フィルター圧力損失が急激に上昇し、閉塞したため、フィルター濾材内を調べたところ、フィルター濾材深層部に異物ではなく分子量の高い成分が選択的に濾過・閉塞していることが分かり、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度Sを1〜150L/m/時間、好ましくは1〜40L/m/時間、より好ましくは1〜20L/m/時間として濾過することが必要である。かかる速度が1L/m/時間未満である場合は、濾過面積が大きくなりすぎて口金の多錘化が困難となり、150L/m/時間を超える場合には、紡糸溶液に分子量の高い成分が含まれていた場合、それが濾過されてしまう。濾過速度を低くすることにより、分子量の高い成分が濾過されないことの理由は定かではないが、次のように考えている。すなわち、剪断速度が上がると通常、見掛け粘度が低下するが、分子量の高い成分を含む凝集単位は粘度が低下しにくく、言い換えると、かかる単位の移動が遅く、剪断速度を上げるほど分子量分布に依存した濾過速度差が発生し、分子量の高い成分が堆積していくものと考えている。
また、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度Sは、濾過精度とも関係が深いことが多い。本発明におけるフィルター濾材の濾過精度とは、フィルター濾材を通過する間に95%を捕集することができる球粒子の粒子径(直径)で定義する。そのため、フィルター濾過精度とその開孔径とは関係があり、開孔径を狭くすることで濾過精度を高めることが一般的である。開孔径が狭いと紡糸溶液通過時の剪断速度が高まり、分子量の高い成分が濾過されやすいため、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの紡糸溶液濾過速度S(L/m/時間)と濾過精度F(μm)が次式の関係を満たすことが好ましい。
1×F≦S≦15×F
すなわち、濾過精度が高いフィルター濾材を用いる場合は、濾過速度を落として剪断速度を低下させることが好ましい。かかる関係式より濾過速度が遅いときには、濾過面積が大きくなりすぎて過剰仕様となることが多く、かかる関係式より濾過速度が速い場合には、分子量の高い成分が濾過されてしまうことが多い。
本発明においては、フィルター濾材の濾過精度は1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。かかる濾過精度が大きくなりすぎると、得られる紡糸溶液中の異物が増大し好ましくないため、小さいほど好ましいが、1μmもあれば十分である。
本発明においては、フィルター濾材の内有効容積V(L)と重合体溶液濾過流量W(L/分)の比で示されるフィルター濾材内滞留時間V/Wの値を0.01〜10分にすることも分子量の高い成分を濾過させないために好ましい。ここでフィルター濾材の内有効容積Vはフィルター濾材の空間容積を表す。かかる容積は、フィルター濾過面積とフィルター濾材の厚みから計算される。フィルター濾材は層構造になっていることがあるが、フィルター濾材の開孔径の最も狭い部分の厚みを指す。かかる厚みは、フィルター濾材の断面を切り出し、顕微鏡等で観察することにより特定することができる。重合体溶液濾過流量Wは1分間にフィルター濾材を通過する紡糸溶液の体積流量を表し、濾材内滞留時間V/Wはフィルター濾材を通過する紡糸溶液の平均滞留時間を表す。分子量分布が高分子量側に広い場合は、フィルター濾材中の深層で分子量の高い成分が濾過されていることが多く、フィルター濾材の厚みは薄いことが好ましい。そのため、V/Wが10分を超えると分子量の高い成分が濾過されないことが多く、逆に、V/Wが0.01分未満であると濾過の操作圧が上昇し好ましくない。V/Wのより好ましい範囲は、0.01〜3分であり、更に好ましい範囲は、0.01〜0.1分である。フィルター濾材の厚みとしては、20〜500μmが好ましく、30〜100μmがより好ましい。フィルター濾材の厚みを小さくする観点からは、金属繊維を織ったフィルター濾材も好ましいものである。
濾過面積を拡げつつ、フィルター装置を最小化するために、フラット型円筒フィルター、プリーツ型円筒フィルター、チューブ型フィルター、ディスク型フィルターあるいは、リーフディスク型フィルターが好ましく採用できるが、複数枚積み重ねることにより大きな濾過面積を与えることができるリーフディスク型フィルターがより好ましく使用される。しかしながら、リーフディスク型フィルターは濾過面積を多く採れるという利点がある反面、濾過面積を増すほど偏流が生じやすいと言う欠点を有している。そのため、外径が7.5〜39cmであり、内径と外径の比が1/7〜1/3、好ましくは1/5〜1/3であるリーフディスク型フィルターを複数枚積み重ねてなるフィルター装置を用いるのが良い。内径と外径の比が1/7よりも小さくなると一つのリーフディスク型フィルター内の濾過性に内周と外周とで偏りが顕著となり最外周や最内周ではゲルが生成しやすくなるし、内径と外径の比が1/3より大きくなると濾過面積を稼げないことが多い。上記のような偏流によるゲル発生の現象はリーフディスク型フィルターの内周よりも外周で生じやすい。このため、本発明においては上記した内径と外径の比を保った状態で、さらに使用するリーフディスク型フィルターの外径を39cm以下、さらに好ましくは31cm以下にすることで一層大きな偏流防止効果が得られる。一方、濾過面積の観点ではリーフディスク型フィルター外径を大きくする方が有利となる。この観点からは使用するリーフディスク型フィルターの外径は7.5cm以上であることが好ましく、15cm以上であることがさらに好ましい。リーフディスク型フィルターの内径は上記した内径と外径の比を満足させるものであればいかなるサイズを使用しても構わないが、過度に小さい内径は大きな流動抵抗を生じる。このため、内径としては2.5〜8cmが好ましく使用される。
本発明において濾過操作は重合体溶液温度が高いほど粘度が低下し、剪断応力が低下するため、高い温度で行うことが好ましく、140℃を超えない温度で行うことが好ましく、120℃を超えない温度で行うことがさらに好ましい。140℃を超える場合には、分子量が低下することがあり、温度を低下させた場合には、濾過における圧力損失が大きくなることがあるため、20℃以上であることが好ましい。
本発明では、上記したような濾過精度の高い(開孔径の小さい)フィルター濾材とそれによる濾過方法が重要であるが、その濾過以前にプレフィルターを併用することもできる。大きな凝集体やゲルを含んだ重合体溶液となる場合があり、その際は、濾過精度を低めたフィルター濾材を段階的に濾過させることも好ましい範囲である。また、凝集体を減少させることで一般的に知られているサンドあるいは、タフミックフィルターを用いることも有効となることがあり、適宜使用することができる。
本発明では、上述のようにして濾過した紡糸溶液を、乾式、湿式、または乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維を製造する。なかでも特に、乾湿式紡糸法は、前記した特定の分子量分布を有するPAN系重合体の特性を発揮させるため、好ましく用いられる。
紡糸に用いる口金孔径は、0.05mm〜0.3mmであることが好ましく、0.1〜0.15mmであることがより好ましい。口金孔径が0.05mmより小さい場合、紡糸溶液に剪断応力がかかり、口金を閉塞させることがある。一方、口金孔径が0.3mmを超えると1.5dtex以下の単繊維繊度の繊維を得ることが困難となることがある。
本発明において、凝固浴には、PAN系重合体溶液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつPAN系重合体溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましく、具体的には、水を使用することが好ましい。凝固浴としての条件は、凝固糸における単繊維の断面ができるだけ真円に近くなるように制御することが好ましく、溶媒の濃度は、臨界浴濃度といわれる濃度以下であることが好ましい。溶媒の濃度が高いとその後の溶媒洗浄工程が長くなり、生産性が低下する。例えば、溶媒にジメチルスルホキシドを用いた場合は、ジメチルスルホキシド水溶液の濃度を5〜55重量%とするのが好ましく、5〜30重量%とすることがより好ましい。凝固浴の温度は、繊維側面ができるだけ平滑となるように制御することが好ましく、具体的には、−10〜30℃とすることが好ましく、−5〜5℃とすることがより好ましい。
紡糸溶液を凝固浴中に導入して凝固させ糸条を形成して凝固糸とした後、駆動源を持ったローラーで引き取るが、その凝固糸の引き取り速度は、50〜500m/分であることが、前記した特定の分子量分布を有するPAN系重合体の特性を発揮させる観点から好ましい。その引き取り速度が50m/分未満では生産性が落ち、また引き取り速度が500m/分を超えると凝固浴の液面揺れが顕著になり、得られる繊度にムラが生じる傾向がある。
引き取られた凝固糸は、その後、通常、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。凝固後の糸条は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。そのときの延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、1〜3倍であることがより好ましい。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された繊維糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥工程としては、例えば、乾燥温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒から200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。生産性の向上や結晶配向度の向上として、乾燥工程後に加熱熱媒中で延伸することが好ましい。加熱熱媒としては、例えば、加圧水蒸気あるいは過熱水蒸気が操業安定性やコストの面で好適に用いられ、延伸倍率は通常1.5〜10倍である。
このようにして得られた炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、0.01〜1.5dtexであることが好ましく、0.05〜1.0dtexであることがより好ましく、0.1〜0.8dtexであることがさらに好ましい。単繊維繊度が小さすぎると、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および炭素繊維の焼成工程のプロセス安定性が低下することがある。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。
得られる炭素繊維前駆体繊維は、通常、連続繊維(フィラメント)の形状である。また、その1糸条(マルチフィラメント)当たりのフィラメント数は、好ましくは1,000〜3,000,000本であり、より好ましくは12,000〜3,000,000本であり、さらに好ましくは24,000〜2,500,000本であり、最も好ましくは24,000〜2,000,000本である。得られる炭素繊維前駆体繊維は、延伸性が高いことから、単繊維繊度を従来よりも小さくすることができる一方、1糸条あたりのフィラメント数は、生産性の向上の目的からは多い方が好ましいが、あまりに多すぎると、束内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。
上記のようにして得られた炭素繊維前駆体繊維は、常法に従って炭素繊維となすことができる。すなわち、上記のようにして得られた炭素繊維用前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理するのである。特に、炭素繊維の引張弾性率を高める観点から炭化処理における張力を、前駆体の単位繊度(dtex)当り5.9〜13.0mNとすることが好ましいが、その際に、本発明では高品位な炭素繊維前駆体繊維が得られているため、焼成工程において毛羽巻付きなどの問題を起こしにくい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた測定方法を次に説明する。
<各種分子量:Mz、Mw、Mn>
測定しようとする重合体が濃度0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量分布曲線を求め、Mz、MwおよびMnを算出する。測定は3回行い、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いる。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
本実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC2010を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)+東ソー(株)製TSK−guard Column αを、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.45μm−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000および1300000、1810000、4240000のものを、それぞれ用いた。
<紡糸溶液中の異物数>
フィルター濾材を通過した紡糸溶液1kgを、その溶液に含まれる溶媒と同じ溶媒を6kgと30℃で1時間混合した。ガラス繊維で抄紙された1μmの粒子保持能のフィルターGF/B(ワットマン社製)を用いて得られた希釈溶液を吸引濾過した。さらに同じ溶媒を3kg濾過し、ガラス繊維フィルター上に残った重合体溶液を除去し、さらにアセトンを100g濾過した。ガラス繊維フィルターを40℃で2時間乾燥させ、波長354nmの光を当てながら、肉眼で輝点を数えた。
<炭素繊維前駆体繊維の品位等級の基準>
検査項目は、6000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で走行させながら毛玉・毛羽の個数を数え、三段階評価した。評価基準は、次のとおりである。
・等級1:繊維300m中、1個以内
・等級2:繊維300m中、2〜15個
・等級3:繊維300m中、16個以上。
<炭素繊維の品位等級の基準>
検査項目は、焼成後、表面処理・サイジング処理前に24000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で走行させながら、毛玉・毛羽の個数を数え、三段階評価した。評価基準は、次のとおりである。
・等級1:繊維30m中、1個以内
・等級2:繊維30m中、2〜15個
・等級3:繊維30m中、16個以上。
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下、AIBNと略記)0.01重量部、およびジメチルスルホキシド200重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、撹拌しながら下記の重合条件Aの熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
重合条件A
(1)30℃から61℃へ昇温(昇温速度120℃/時間)
(2)61℃の温度で180分間保持
得られた一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ580万、340万および140万であった。
得られた一次溶液の重合体濃度は、1.5重量%であった。ここでは、得られたPAN系重合体の一次溶液中に残存する未反応ANを重合させるために、その一次溶液中に、ジメチルスルホキシド170重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤として、AIBN0.4重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、撹拌しながら下記の重合条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体の二次溶液を得た。
重合条件B
(2)61℃の温度で4時間保持
(3)61℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られた二次溶液を用いて、それに含まれるPAN系重合体の各種分子量を測定した。次いで、得られた二次溶液を用いて重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことによりイタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。
得られた紡糸溶液を図1に示すフィルター装置に流入させ、濾過を行った。使用したフィルター濾材は、濾過精度Fが10μm、フィルター濾材厚みが0.4mmの金属焼結フィルターであり、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度を120L/m/時間、フィルター濾材内滞留時間(V/W)が0.2分、濾過温度80℃の濾過条件で濾過した。濾過された紡糸溶液を用いて、それに含まれるPAN系重合体の各種分子量を測定した。
濾過された紡糸溶液を、40℃の温度で、孔数1,500、口金孔径0.15mmの紡糸口金から一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸し凝固糸とした。このときの吐出線速度は2m/分となるように口金への送液量を調整し、凝固糸の巻取り速度を変更することで糸切れの発生する限界紡糸ドラフト率の測定を行った。また、紡糸ドラフト率4の条件で凝固糸を得、水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、165℃の温度に加熱したローラーを用いて30秒間乾燥を行い、5倍の水蒸気延伸倍率条件で加圧水蒸気延伸を行い、単繊維繊度0.8dtexの炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維の品位は優れており、製糸工程通過性も安定していた。得られた炭素繊維前駆体繊維をフィラメント数が12000本になるよう合糸し、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で延伸しながらで90分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.2で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.97に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維束を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は5.0GPaであり、弾性率は325GPaであった。
[実施例2]
フィルター濾材を、濾過精度Fが3μm、フィルター濾材厚みが0.4mmの金属焼結フィルターに変更し、濾過条件を、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度が16L/m/時間、フィルター濾材内滞留時間(V/W)が1.9分であるように変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例3]
フィルター濾材を、濾過精度Fが1μmのものに変更した他は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例4]
濾過条件において、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度を13L/m/時間に変更した他は、実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例5]
濾過条件において、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度を1.6L/m/時間に変更した他は、実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例6]
フィルター濾材を、濾過精度Fが6μm、フィルター濾材厚みが0.04mmの金属繊維綾畳織焼結フィルターに変更し、濾過条件を、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度が13L/m/時間、フィルター濾材内滞留時間(V/W)が0.19分であるように変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[実施例7]
フィルター装置を、実施例2と同様のフィルター濾材を用いた内径3.8cm、外径15cmのリーフディスク型フィルターを9枚積み重ねてなる、図2および3に示すものに変更した他は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
[比較例1]
濾過条件において、フィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度を360L/m/時間、フィルター濾材内滞留時間(V/W)を0.06分に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。濾過量が100L/mを超えたときに急激な濾過圧力上昇があり、フィルター濾材が閉塞したため、紡糸ができなかった。
[比較例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、撹拌しながら実施例1における重合条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。PAN系重合体溶液を用いて、それに含まれるPAN系重合体の各種分子量を測定した。次いで、得られたPAN系重合体溶液を用いて重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことによりイタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。紡糸溶液を、上記のようにして得た紡糸溶液に変更した他は、比較例1と同様にして炭素繊維束を得た。濾過に際して、濾過量が10000L/mを超えても濾過圧力上昇は見られなかった。
[実施例8]
紡糸溶液を、比較例2で得た紡糸溶液に変更した他は、実施例7と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・焼成工程ともに毛羽がわずかに発生した。
[実施例9]
重合における重合条件Aを下記の重合条件Cに変更した他は、実施例6と同様にして炭素繊維束を得た。濾過圧力の上昇や濾過後の分子量分布の変化はなく、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。なお、一次溶液から実施例1と同様の手順で得た乾燥重合体は、Mz、MwおよびMnが、それぞれ580万、340万および140万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、0.7重量%であった。
重合条件C
(1)30℃から61℃へ昇温(昇温速度120℃/時間)
(2)61℃の温度で100分間保持
[実施例10]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が100ppmになるまで窒素置換した後、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002重量部を投入し、撹拌しながら下記の重合条件Dの熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体の一次溶液を得た。
重合条件D
・ 65℃の温度で2時間保持
・ 65℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)
得られた一次溶液を水に注いで重合体を沈殿させ、それを80℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥重合体を得た。得られた乾燥重合体のMz、MwおよびMnは、それぞれ680万、500万および330万であり、一次溶液の溶媒に対する重合体濃度は、2.1重量%であった。
次に、その一次溶液中に、ジメチルスルホキシド240重量部、ラジカル開始剤としてAIBN 0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の重合条件Eの熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体の二次溶液を得た。
重合条件E
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
二次溶液を、以上のように得た二次溶液に変更した他は、実施例6と同様にして炭素繊維束を得た。濾過圧力の上昇や濾過後の分子量分布の変化はなく、製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維束の品位は良好であった。
上記した実施例および比較例におけるフィルター濾過条件、濾過前後のPAN系重合体の各種分子量、製糸での限界ドラフト倍率、および、得られた炭素繊維束の引張強度などの結果を、まとめて表1に示す。
Figure 0004924484
本発明では、高速紡糸を行うことの可能なPAN系重合体を、問題を起こすことなく濾過して用いることにより、生産性を損なうことなく高品位な前駆体繊維を製造することができ、その得られた前駆体繊維を用いることにより、焼成工程でも安定して高品位、かつ、高強度な炭素繊維の製造することができ有用である。
図1は、本発明で用い得るフィルター装置を示す概略断面図である。 図2は、本発明で用い得るリーフディスク型フィルターを示す概略断面図である。 図3は、リーフディスク型フィルターを用いたフィルター装置を示す概略断面図である。
符号の説明
D:リーフディスク型フィルターの外径
d:リーフディスク型フィルターの内径
1:濾過容器
2:フィルター濾材
3:支持体
4:紡糸溶液流入路
5:紡糸溶液流出路
6:流出路への開口
7:リーフディスク型フィルター
8:芯体
9:フィルター押さえ
10:芯体の開口

Claims (5)

  1. Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比であるMz/Mwが1.5以上であるポリアクリロニトリル系重合体が溶媒に溶解されてなる紡糸溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、紡糸に先立ち、紡糸溶液をフィルター濾材の濾過単位面積(m)当たりの濾過速度Sを1〜150L/m/時間としてフィルター装置で濾過する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  2. 前記フィルター濾材は、濾過精度Fが1〜10μmであり、S(L/m/時間)とF(μm)が次式を満たす、請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
    1×F≦S≦15×F
  3. 濾過に際し、フィルター濾材の内有効容積V(L)と重合体溶液濾過流量W(L/分)の比で示されるフィルター濾材内滞留時間V/Wを0.01〜10とする、請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  4. フィルター装置は、外径が7.5〜39cmであり、内径と外径の比が1/7〜1/3であるリーフディスク型フィルターを複数枚積み重ねてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. 前記ポリアクリロニトリル系重合体は、Mwが10万〜100万であり、Mz/Mwが2.5〜10である、請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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