JP2012171674A - 納豆製造用容器、及びこれを用いた納豆の製造方法 - Google Patents

納豆製造用容器、及びこれを用いた納豆の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】盛込み、発酵及び加熱工程の各工程に好適な気密性及び通気性のバランスに優れた納豆製造用容器、及びこれを用いた保存性に優れた納豆の製造方法を提供すること。
【解決手段】納豆を収納するための凹部が形成された容器本体12と、上記容器本体12の凹部を覆うように形成されておりかつ空気孔を有していない蓋体13と、上記容器本体12の上面に形成された矩形枠状のフランジ15と上記蓋体とを接着するためのシール部16を備えており、上記蓋体13の内部には上記容器本体12に嵌合させるための凸部14が形成され、上記シール部16を上記蓋体13と上記容器本体12の気密性及び通気性のバランスを保持するように調整していることを特徴とする納豆製造用容器。
【選択図】図1

Description

本発明は、納豆製造用容器に関し、さらに詳しくは、気密性及び通気性のバランスに優れ、発酵工程後の加熱保持に好適な納豆製造用容器、及びこれを用いた保存性に優れた納豆の製造方法に関する。
一般に納豆は、洗浄、浸漬、蒸煮、納豆菌散布、容器盛込み、発酵、保存、包装の各工程を経て製品として出荷される。まず、洗浄工程においては、原料となる大豆は、洗浄機によって汚れや異物が取り除かれ、水槽に投入され、大豆表面に付着している汚れが取り除かれる。次の浸漬工程においては、洗浄後の大豆は、水に漬けられることによって、大豆組織が軟化される。蒸煮工程においては、上記浸漬された大豆は、高圧釜によって蒸気で蒸される。納豆菌散布工程においては、蒸し上がった大豆に、約80〜90℃の状態で、納豆菌が散布される。その後、容器盛り込み、発酵工程においては、上記納豆菌が散布された煮豆は、納豆容器に盛り込まれ、発酵室で所定の温度、湿度の環境下で発酵する。発酵は、納豆製品の温度を下げることにより発酵停止する。その後、保存工程において、発酵後の納豆は、冷蔵庫等で5℃以下にて冷却保存される。
上記発酵工程後の納豆は、アンモニア臭の発生や納豆表面への白い析出物(チロシン)の発生、糸引きの低下、苦味の発生、乾燥等の経時的な品質劣化を生じる。このため、経時的な品質劣化を抑制するために、低温保存、低温流通を行うことにより、発酵後の二次発酵を抑制して、経時的な品質劣化をある程度防止している。
しかしながら、発酵工程後の納豆を低温保存、低温流通しても、納豆の品質を維持し、納豆本来の美味しさを維持できる期間は、わずか一週間程度であるという問題があった。また、納豆の製造は、上記各工程を経て、受注から出荷まで、2〜3日を要する。納豆製造の受注時には、出荷時の需要を予測して見積もり量の納豆の製造を開始するものの、実際の需要が少ない場合があり、せっかく製造した納豆を廃棄せざるを得ないという不都合があった。
そこで、発酵後の熟成、包装、出荷、保管などの工程で納豆の乾燥を防ぐことによって、納豆の摂食性を向上させた納豆包装体が提案されている(特許文献1参照)。上記納豆包装体は、トレイ又はカップで有孔被膜を用いることなく納豆を製造することができるものであり、この納豆包装体の蓋体のフランジ部との接触部を除く中央部に納豆包装体の側壁との間に所定の隙間を有している構造を備えているものである。また、充填した煮豆の発酵を順調に行わせ、煮豆の塊の周囲の乾燥を防ぐと共に、空気焼けによる赤味を帯びることを防止した納豆容器が提案されている(特許文献2参照)。上記納豆容器本体は、容器本体と蓋体とが密着するように構成されており、納豆容器に煮豆を充填する工程において、煮豆を充填した後に蓋体を閉めると、蓋体は容器本体と密着してその摩擦抵抗により蓋体が半開きになることを防止できるものとなっている。さらに、発酵工程終了後の納豆容器をフィルム包装又はシュリンク包装をする納豆の製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開2002−249188号公報 登録実用新案公報第3122569号公報 特開2001−218566号公報
しかしながら、特許文献1に開示された納豆包装体は、納豆製造工程において、蒸し煮大豆を充填し発酵させる際に、納豆包装体内に発酵に必要な酸素を供給することができ、有孔被膜を用いることなく大豆の乾燥を防止することができるものであるが、納豆の本来の品質を十分に、しかも長期間維持することができるものとなっていない。また、特許文献2に開示された納豆容器は、納豆の品質が劣化することを防止することができるものであるが、煮豆の塊の周囲の乾燥と空気焼けにより赤味を帯びることを防止することができるものに過ぎないものであり、納豆の品質を長期間維持できるものではない。さらに、特許文献3に開示された納豆の製造方法は、発酵工程終了後の容器本体をフィルム包装、又はシュリンク包装をするため、その手間を要し、製造工程が複雑になるという問題点があった。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、盛込み、発酵及び加熱工程の各工程に好適な気密性及び通気性のバランスに優れた納豆製造用容器、及びこの容器を用いた保存性及び味に優れた納豆の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、発酵工程後の納豆容器本体内の湿度を一定に保持し、容器内への結露を極力少なくするために気密性及び通気性のバランスに優れた納豆製造用容器を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は具体的に以下のものを提供する。
(1) 納豆を収納するための凹部が形成された容器本体と、
上記容器本体の凹部を覆うように形成されておりかつ空気孔を有していない蓋体と、
上記容器本体の上面に形成された矩形枠状のフランジと上記蓋体とを接着するためのシール部を備えており、
上記蓋体の内部には上記容器本体に嵌合させるための凸部が形成され、
上記シール部を上記蓋体と上記容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持するように調整していることを特徴とする納豆製造用容器。
(2) 上記シール部を上記蓋体の各辺に少なくとも1つ以上設けていることを特徴とする(1)記載の納豆製造用容器。
(3) 上記シール部を上記蓋体の各辺の中央に設けていることを特徴とする(1)又は(2)記載の納豆製造用容器。
(4) 発酵工程終了後の納豆を冷却する工程と、
上記冷却する工程を経た納豆が充填された納豆製造用容器を納豆の発酵温度以上の温度で、多段階の温度により加熱保持する工程と、
上記加熱保持する工程を経た納豆製造用容器を冷却する工程を備えたことを特徴とする納豆の製造方法。
(5) 上記納豆製造用容器が、(1)〜(3)いずれかに記載の納豆製造用容器であることを特徴とする(4)記載の納豆の製造方法。
(6) 上記加熱保持する工程は、納豆の発酵温度以上の温度Tにて15分間、その後、上記温度Tよりも5〜15℃低い温度Tにて75分間加熱保持することを特徴とする(4)又は(5)記載の納豆の製造方法。
(7) 上記加熱保持する工程を経た納豆製造用容器を冷却する工程を経た後、さらに当該納豆製造用容器をピロー包装し、冷却保管する工程を備えたことを特徴とする(4)〜(6)記載いずれかに記載の納豆の製造方法。
(8) (4)〜(7)いずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする保存性及び味に優れた納豆。
(9) 納豆製造用容器の気密性及び通気性のバランスを該納豆製造用容器の構造を改変して調節することにより、該納豆製造用容器に収納されている納豆の保存性及び味を調整する方法。
本発明の納豆製造用容器及び納豆の製造方法によれば、納豆製造用容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持するよって、納豆本来の良好な風味を有し、アンモニア臭の発生、納豆表面の白い析出物(チロシン)の発生、糸引きの低下及び苦味が少ない長期間の保存性に優れた納豆を提供することができる。
納豆製造用容器の一実施形態を模式的に示す概略図である。 シール部を増加させた納豆製造用容器の蓋体の上面図である。 シール部を増加させていない納豆製造用容器の蓋体の上面図である。 加熱保持工程後のシール部を増加させた納豆製造用容器本体と蓋体との状態を表す写真である。 加熱保持工程後のシール部を増加させていない納豆製造用容器本体と蓋体との状態を表す写真である。 実施例1における三方向シール部を施した納豆製造用容器を使用した場合の経過時間と納豆製造容器内の温度の状態を示した図である。 実施例2におけるピロー包装をして納豆の保存試験を行ったサンプルの熱処理時の経過時間と納豆製造容器内の温度の状態を示した図である。
[納豆製造用容器]
以下、本発明の納豆製造用容器10の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の納豆製造用容器10の一実施形態を具体的に示す概略図である。納豆製造用容器10は、容器内部に納豆を収容するための収容凹部11が形成された容器本体12と、この容器本体12の開口部を覆う蓋体13から構成されている。上記納豆を収容するための収容凹部11は、その断面形状が凹形状である。上記蓋体13の内部面には、容器本体12に蓋体13に嵌合させるための凸部14が形成されている。また、上記蓋体13は、空気孔を有していない蓋体である。ここで、容器本体12及び蓋体13は、ポリスチレンあるいはポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂により一体的に成形されていてもよい。また容器本体と蓋体を別の材料とすることもできる。たとえば、容器本体を発泡合成樹脂とし、蓋体をビニールのフィルムとすることもできる。
図2は、本発明の納豆製造用容器10の蓋体13の上面図である。図2からも明らかなように本発明の納豆製造用容器10は、上記記容器本体12の上面に形成された矩形枠状のフランジ15と、上記蓋体13を接着するためのシール部16が複数個設けられていることを特徴とするものである。図2の納豆製造用容器10においては、上記蓋体13を接着するためのシール部16を蓋体の各辺の中央にあわせて三箇所(16a、16b、16c)設けている。これらのシール部を設けることによって、納豆製造工程の発酵熟成時おいては、納豆の発酵を可能とし、さらに、加熱保持する工程において、納豆が収容されている容器本体内の納豆の乾燥を防止することができるものである。そして、納豆の乾燥を防止することにより、納豆本来の糸引きを維持することができ、苦味やチロシンの発生を抑制することができるものである。すなわち、本発明の納豆製造用容器は、シール部の個数を増加させることによって、蓋体と容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持するように調整しているものである。
図3は、市販されている通常の納豆製造用容器20(図示せず)の蓋体21の上面図である。図3に示したように、通常、納豆製造用容器には、容器本体22(図示せず)のフランジ23と蓋体21を接着するためのシール部24が上記蓋体21を接着する蓋体の二箇所(24a、24b)に設けられている。そして、納豆容器の蓋体上面は、空気孔(25)を複数個有している。このように、本発明の納豆製造用容器は通常の納豆製造用容器に比較して、蓋体に空気孔を有しているものではなく、容器本体のフランジと蓋体を接着するシール部を増加させているので、気密性及び通気性のバランスに優れるとともに、後述する加熱保持する工程後においても容器本体のフランジと蓋体との間に大きな隙間を生じることがない。
本発明の納豆製造用容器に設けられるシール部の個数は、容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持することができるものであれば、特に制限されるものではない。また、納豆製造用容器本体を構成する材料、蓋体を構成する材料の熱に対する安定性によっても上記シール部の個数は異なる。すなわち、本発明の納豆製造用容器においては、納豆の熟成時と加熱保持時において、容器本体のフランジと蓋体との間に気密性及び通気性のバランスを保持することができる適度な隙間を形成し、容器本体内の湿度を保持し、納豆の乾燥を防止することができる点が最も重要なポイントとなっている。また、上記シール部の箇所については、容器本体のフランジと蓋体との間に気密性及び通気性のバランスを保持することができる適度な隙間を形成することができるものであれば特に制限されるものではないが、例えば上記のように容器本体の各辺の中央に設けることができる。さらに、シール部の種類についても上記と同様な観点から種々のシールを採用することができる。また、各シール部は、等間隔に設けることが好ましい。上記シール部を等間隔に設けることより、納豆製造用容器に適度な隙間を設定することができ、これにより納豆製造用容器の温度、湿度等の容器系内の環境を均一に保持することができるため好ましい。
シール部の形成方法は、容器本体のフランジと蓋体との間に気密性及び通気性のバランスを保持することができる方法であれば、特に制限されるものではないが、容器本体のフランジと蓋体を接着するための接着部分に超音波処理を施してシール部を形成する他、合成樹脂の加熱による接着や所定の接着剤をシール部に塗布して接着することにより、シール部を形成することができる。
[納豆の製造方法]
次に、本発明の納豆の製造方法について説明する。本発明の納豆の製造方法は、発酵工程終了後の納豆を冷却する工程と、上記冷却する工程を経た納豆が充填された納豆製造用容器を納豆の発酵温度以上の温度で、多段階の温度により加熱保持する工程と、上記加熱保持する工程を経た納豆製造用容器を冷却する工程と、を備えたことを特徴とする。以下、各工程について説明する。
(発酵工程)
本発明の納豆の製造方法において、発酵工程とは、通常の納豆の発酵工程を意味するものである。すなわち、上記発酵工程は、納豆の原料となる大豆を蒸煮した後、得られた蒸煮大豆に納豆菌を接種し、これを納豆製造用容器に充填し、その後、35〜45℃程度の温度で10〜20時間程度保持することにより終了する。
上記発酵工程において使用できる納豆としては、通常の納豆、黒豆、引き割り納等の他に、これらの納豆にからし、わさび、しょうゆ、味噌、塩、かつお節エキス、ゆずエキス、七味、大根おろし、カレー粉等の調味料を予め添加した納豆であってもよい。なお、これらの調味料は、液状であっても粉末状であっても半流動状であってもよい。上記調味料が液体の場合には、調味料が添加された後の納豆の糸引きが少なくなり、製造時の充填時の納豆の取り扱いが行いやすく、食する場合にも適度な糸引きとなって好ましい。調味料が固体である場合には、いわゆる水っぽさの少ない納豆製品とすることができるため好ましい。
さらに、上記調味料に加えて、消費者の好みに応じたバリエーションの納豆製品とするため、ねぎ、にら、たまねぎ、しょうが、かつお節削り、胡麻等の具材、キムチ、チーズバター等の発酵食品等を具材として添加することもできる。
(発酵工程終了後の冷却工程)
次に、本発明の納豆の製造方法においては、上記発酵工程終了後の納豆を冷却する工程
を備える。納豆の発酵停止及び熟成のための冷却以外に、本発明においては、発酵工程終了後の納豆を冷却し、そのまま数日間保存することにより、納豆の苦味を抑え、保存性を向上させるものである。上記工程において、まず約40℃の発酵温度から室温まで徐々に温度を下げて行き、最終的に冷却温度にて冷却を行う。最終的に納豆を冷却する温度としては3〜5℃が好ましい。上記温度範囲に設定することにより、納豆の旨みの付与及び保存性が向上するため好ましい。また、上記工程における冷却時間は、納豆の苦味を抑えることができる時間であれば、特に制限されるものではないが、製造工程上の観点から5℃以下で5〜15日間であることが好ましい。
(納豆製造用容器を加熱保持する工程)
次に、本発明の納豆の製造方法においては、納豆が充填された納豆製造用容器を納豆の発酵温度以上の温度で、多段階の温度により加熱保持する工程を有する。
ここで、発酵工程終了後の冷却工程を経た納豆が充填された納豆製造用容器としては、シール部を増加させておらず、蓋体に空気孔を有している、通常の納豆製造用容器を使用しても良い。但し、上記納豆製造容器を使用した場合には、後述するように熱処理後に適当な冷蔵保存期間を設け、その後ピロー包装等の包装処理を行うことが必要となる。また、本発明の納豆の製造方法においては、上記説明した本発明の納豆製造用容器を使用することもできる。すなわち、本発明の納豆製造用容器を使用した場合には、上記発酵工程終了後の納豆が充填された納豆製造用容器を加熱保持する工程において、納豆製造用容器の気密性及び通気性のバランスを保持することができる。つまり、納豆製造用容器本体内の湿度を保持し、納豆の乾燥を防止することを可能にして、納豆の糸引き、苦味等の品質を保持することができるからである。納豆の原料となる大豆が発酵するためには、発酵に必要な環境が必要となるが、納豆製造用容器本体が、完全に密封されている状態では、発酵に伴う十分な空気が不足するため納豆の十分な発酵が進行することができない。そこで、本発明の納豆の製造方法においては、納豆製造用容器に適度な隙間を形成することにより、気密性及び通気性のバランスを保持しつつ納豆の発酵を進行させるものである。
上記加熱保持する工程では、納豆の乾燥を抑制する必要があるため、納豆製造用容器本体を密封することが好ましい。このため、本発明の納豆の製造方法においては、加熱保持する工程における納豆製造用容器本体の内部の温度、湿度、圧力等の諸条件を保持するために、空気孔を有していない蓋体を採用し、シール部を増加させた納豆製造用容器を使用する。本発明においては、空気孔を有していない蓋体を採用し、シール部を増加させることによって、従来の納豆製造用容器よりも納豆製造用容器本体内の乾燥を抑制して、納豆の品質低下を防止する。
本発明の納豆の製造方法においては、発酵工程終了後の冷却工程を経た納豆が充填された納豆製造用容器を納豆の発酵温度以上の温度で、多段階の温度により加熱保持する工程を有する。上記加熱保持する工程における加熱温度は、発酵温度以上の温度であり、通常50〜100℃、好ましくは60〜80℃で行うことが好ましい。加熱保持する温度が、上記温度範囲であることにより、納豆本来の糸引きを維持することができ、苦味やチロシンの発生を抑制することができ、納豆の保存性が向上し、納豆の味を維持することができるため好ましい。
加熱保持する工程は、大気中で行うことが好ましい。加熱保持する工程を大気中で行う場合は、その相対湿度を80〜100%の範囲で行うことが好ましい。納豆の加熱が上記範囲の相対湿度下で行われることによって、納豆表面が乾燥することなく、納豆の保存性が向上するため好ましい。なお、納豆製造容器の雰囲気には、蒸気加熱装置等より蒸気が送り込まれ、加熱装置内の熱容量が大きくなり、急激な温度上昇が可能となり、かつ納豆製造容器本体の乾燥を防止することができる。
加熱保持する工程における加熱時間は、納豆の必要な保存性が向上するため必要な時間であれば、特に制限されるものではない。上記で説明した加熱保持温度、相対湿度、容器本体の内部に納豆を収容するための収容凹部の容積、圧力等の諸条件により適宜設定することができる。通常は、15〜150分程度行うことが好ましい。なお、加熱保持は、上記加熱温度、相対湿度、圧力等の諸条件を満たすように維持することができるようにすればよい。例えば、加熱保持用収納庫を準備し、この収納庫内に所定の温度、湿度、圧力を有する空気を送入することにより、上記収納庫内に加熱保持する工程の条件を設定することができる。また、容器内への結露が最小限となるように加熱保持工程後の水分を蒸発させるために温度、湿度を調整した空気を送り込むこともできる。
上記加熱保持する工程は、多段階で行う。加熱保持する工程を多段階で行うことにより、各加熱保持する工程おいて、短時間に加熱を行うと酵素の影響で納豆に苦味が増加することを防止できるからである。例えば、加熱保持する工程を二段階とし、その加熱温度と加熱時間を設定する。そして、上記温度等の諸条件を満たす水蒸気を恒温恒湿槽内に送入し、一段階加熱保持を温度Tにて15分間行い、その後、二段階加熱保持を温度Tよりも5〜15℃低い温度Tにて75分間とすることができる。また、納豆の種類、納豆製造用容器本体等の諸条件により、加熱保持を三段階、四段階等、適宜多段階に設定することができ、上記加熱保持温度T、T等を各段階の温度を50〜100℃の範囲で適宜設定することができる。
加熱保持する工程においては、納豆製造用容器に充填されている納豆に蒸気の混入をできる限り少なくするように行うことが必要である。納豆に水滴が混入した場合、納豆が水っぽくなり、納豆本来の糸引きが悪くなるため、好ましくないからである。上記加熱保持する条件は、いわゆる高温多湿の条件であるため、本発明の納豆製造用容器や通常の納豆製造用容器を使用した場合には、これらの容器の隙間から入った水蒸気が急冷されることにより、結露となり、納豆製造用容器内に水分が存在してしまうことになるからである。
(加熱保持する工程後の納豆製造用容器の冷却工程)
そこで、本発明の納豆の製造方法においては、上記加熱保持する工程後において、さらに冷却後、数日間保存する冷却保管する工程を設ける。冷却温度は、室温の範囲内でもあるので、室温の空気等をファン等により送入することにより、設定することができる。冷却工程に使用することできる気体としては、納豆製造用容器内に充填されている納豆の品質を変化させるものでなければ、特に制限されるものではないが、空気、水蒸気、窒素等を例示することができる。なお、上記加熱保持工程において、容器内の納豆の乾燥が進んだ場合には、水蒸気を使用することが好ましい。
上記発酵工程終了後の納豆が充填された納豆製造用容器を加熱保持する工程を行い、冷却保管工程を経た後の納豆は、保存温度まで冷却され、製品として出荷される。本発明の納豆の製造方法により製造された納豆は、3〜5℃の冷蔵保存されることが望ましいが、これらの温度よりも高い10〜20℃程度の室温にて数日間以上保存できるものと考えられる。そして、本発明の納豆の製造方法により製造された納豆は、10℃において40日を超える期間の保存が可能であり、納豆本来の糸引きを維持し、苦味やチロシンの発生が抑制されたものである。
(ピロー包装後の冷却保管)
さらに、本発明の納豆の製造方法においては、蓋体に空気孔がない蓋体とシール部を増加させた納豆製造容器や蓋体に空気孔を有し、シール部を増加させていない納豆製造用容器を使用することができる。すなわち、納豆製造用容器として、本発明の納豆製造用容器を使用した場合であっても、シール部を増加させていない市販の納豆製造用容器を使用した場合であっても、加熱保持工程後の冷却工程後において、当該納豆製造容器をピロー包装することにより、冷却工程後の納豆製造用容器内の気密性及び通気性のバランスを保持することができるからである。つまり、本発明の納豆の製造方法においては、納豆製造用容器として、上記で説明したシール部を増加させた納豆製造用容器納豆製造用容器(三方向シール容器)であっても、シール部が通常の個数を有する市販の納豆製造用容器であっても、ピロー包装を施すことにより、納豆製造用容器本体の内部の温度、湿度、圧力等の諸条件を保持し、納豆製造用容器内の気密性と通気性のバランスを保持することができる。
なお、ピロー包装とは、巻かれたフィルムを引き出し、フォーマーで筒状の形とし、フィルムの引き出し方向と平行な両端を熱シール(横シール)し、次いで引き出し方向に垂直に熱シール(縦シール)する包装をいい、熱シールは、ベルトコンベアー装置等により連続的に包装することにより行うことができる。ピロー包装の包装材としては、表層と裏面層からなるフィルムであり、裏面層は熱により接着する樹脂をラミネートしたものを使用することができる。
[納豆の保存性及び味を調整する方法]
本発明の納豆の保存性及び味を調整する方法は、納豆製造用容器に充填されている納豆製造用容器の気密性及び通気性のバランスを該納豆製造用容器の構造を改変して調節することにより行うものである。納豆製造用容器の構造の改変とは、上記で説明したように納豆製造用容器本体の上面に形成された矩形枠状のフランジと上記蓋体とを接着するためのシール部の改変をいう。シール部の改変は、特に制限されるものではないが、蓋体に設けているシール部の数、シール部の箇所、シール部の種類等を挙げることができる。シール部の改変は、必要とされる納豆に品質及び品質保持期間により適宜採択することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<納豆の発酵>
原料となる納豆用小粒大豆を常温の水に約10〜20時間浸漬させた後、得られた浸漬大豆を温度128℃、圧力1.8kg/cmで40分間蒸煮した。次に得られた蒸煮大豆に市販の納豆菌液(宮城野納豆菌、宮城野納豆製造所製)を上記煮豆1.0グラムあたり、1〜2×10個となるように納豆菌原液を適当に希釈し植菌した。その後、40℃にて約20時間発酵させた。その後、発酵後の納豆を冷蔵庫(約4℃)にて一日保管して、発酵工程終了後、冷却した納豆を得た。
<納豆製造用容器への納豆の充填>
本発明の納豆の製造方法に使用する容器本体と蓋体からなる納豆製造用容器を作製した。なお、この納豆製造用容器は、蓋体上面に空気孔を有していない。上記納豆製造用容器と、発酵工程終了後、冷却した納豆との質量の合計が、40〜50グラムとなるように納豆製造用容器本体に盛り込みを行った。その後、蓋体と納豆製造用容器本体を熱シールし、コンテナーに入れて発酵工程に送る。なお、実際の工程においては、盛り込み機には、納豆容器本体に煮豆を入れ、皮膜と呼ばれるフィルムをかけて熱シールし、重量と金属探知機を経て規格内の納豆製品のみをコンテナーに入れ、発酵工程に送る。発酵終了後、納豆製造用容器本体を蓋体で覆い、シール部を形成した。フランジと蓋体を接着するシール部として、さらに、納豆容器本体の各辺に一箇所のシール部を設け、三方向にシール部を増加させた納豆製造用容器(以下、「三方向シール容器」ということがある。)を作製した。なお、上記シール部の形成は、簡易超音波溶着器(本田電子株式会社製、電気溶接機、商品名「超音波ウェルダー」)により、蓋体と納豆製造用容器本体のフランジを溶着することにより行った。
<実施例1>
上記発酵工程終了後、冷却した納豆を充填した納豆製造用容器にシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を所定の加熱保持条件にて熱処理を行った。熱処理は、低温蒸気加熱装置(株式会社トム社製)を使用して行った。加熱保持は、二段階とし、まず、85℃にて、15分間加熱を行い、その後、70℃にて75分間の熱処理を行った。図4に本実施例で使用したシール部を増加させた納豆製造用容器本体と蓋体との状態を表す写真を示した。また、図6に加熱時間と納豆製造用容器本体の内部温度の関係を示した。なお、納豆製造用容器本体の温度は、納豆製造用容器内にセンサー(サーモクロンSLタイプ「DS1922L」)を入れることにより測定した。
図4によれば、実施例1で使用したシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)は、加熱処理した後であっても、蓋体と容器本体に適度な隙間を形成することができていることが分かる。すなわち、シール部を増加させることにより納豆製造容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持できることが明らかとなった。
(納豆の品質の評価)
その後、加熱処理後の納豆を5℃以下にて保存し、その後10℃にて所定の日数を経過した後の納豆の品質(苦味、糸引き、チロシン発生)を評価した。なお、納豆の苦味、糸引きについての評価は、以下のように行った。さらに、これらの評価をまとめて納豆としての保存性の評価を総合評価とした。評価結果を下記表1に示す。評価方法及び評価基準は以下の通りである。
所定の日数経過後の納豆を納豆製造用容器から抽出して、10人のモニターが食することにより、評価の平均をとり、以下の評価基準により評価した。
(苦味評価) ○・・・問題なし
△・・・やや苦味がある
□・・・かなり苦味がある
×・・・非常に苦い
(糸引き評価)○・・・問題なし
△・・・やや弱い
□・・・かなり弱い
×・・・パラパラしている
(チロシン発生)・・・納豆表面に白い粒状物が発生した場合
(総合評価) ○・・・問題なし
△・・・限界内であるが少し劣化
□・・・限界内であるがかなり劣化
×・・・賞味限界以下
(納豆の硬さの評価)
また、加熱処理後の納豆の硬さについて、加熱処理後の納豆を抽出して、破断強度を測定することによって評価を行った。破断強度の測定は、所定日数経過後の納豆を20粒抽出して測定サンプルとし、それぞれ20粒の測定結果からt分布による95%信頼区間を算出し、破断強度の最大値、最小値及び平均値とした。なお、破断強度の測定は、納豆試験法に従い、測定装置として、破断測定装置(サン科学社製品、製品名「RHOEO TEX TYPE SD−700」)を使用した。評価結果を下記表3に示す。
<比較例1>
上記発酵工程終了後、冷却した納豆を充填する納豆製造用容器として、シール部を増加させていない納豆製造用容器(通常シール容器)を使用した以外は、実施例1と同様にして納豆を製造した。図5に比較例1で使用したシール部を増加させていない納豆製造用容器本体と蓋体との状態を表す写真を示した。また、得られた納豆について、その品質の評価、硬さの評価(破断強度)、納豆製造工程における重量変化について評価した。以下、表2に納豆の品質評価結果、表3に硬さの評価について示した。
図5によれば、比較例1で使用したシール部を増加させていない納豆製造用容器は、加熱後において、蓋体と容器本体に大きな隙間が形成されてしまうことが分かる。すなわちシール部を増加させていないため、納豆製造容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持することができないものとなっていることが判明した。
表1によれば、実施例1のシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用して製造された納豆は、盛り込み日より39日経過した後であっても、苦味の発生がなく、チロシンの発生も全くないものであることが理解される。糸引きについては、盛り込み日から11日目から「△(やや弱い)」ものとなっているが、11日目以降においても、糸引きは、低下することなく、その水準を維持することができるものとなっている。
以上、表1において評価した、納豆の苦味、糸引き、チロシンの発生のすべてを勘案した総合評価においても盛り込み日から1〜10日目においては、「○(納豆製品として問題ない)」となっており、盛り込み日から11日目以降においては、「△(限界内であるが少し劣化)」となり、11日目以降、39日を経過しても、納豆製品としての品質を維持できることが分かった。すなわち、納豆製造用容器として、容器本体と蓋体をシールする部分を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、納豆製品の品質を一ヶ月以上の長期間維持することができることが分かる。
一方、表2に記載された比較例1の納豆製造用容器(通常シール容器)を使用して製造された納豆は、苦味の発生はないものの、盛り込み日より32日を経過すると、チロシンの発生が認められ、納豆製品としての品質を維持することができないものであることが分かる。糸引きについては、盛り込み日から11日目から「△(やや弱い)」ものとなり、その後24日を経過後「□(かなり弱い)」ものとなり、31日経過後以降では「×(パラパラしている)」となった。以上、表2において評価した、納豆の苦味、糸引き、チロシンの発生のすべてを勘案した総合評価においても、盛り込み日から11日目以降においては、「△(限界内であるが少し劣化)」となり、24日目以降においては、「□(限界内であるがかなり劣化)」、31日目以降においては、「×(賞味限界以下)」となり、納豆製品としての品質を維持できないものであることが判明した。すなわち、上記実施例1で製造された納豆は、盛り込み日より39日経過後においても納豆の品質を維持することができるものであるのに対して、比較例1で製造された納豆は、盛り込み日からわずか22日程度で納豆の品質を維持することができないものとなった。この結果は、納豆製造用容器として、シール部を増加させた納豆容器(三方向シール容器)を使用して納豆を製造することにより、保存温度10℃においても、納豆の品質を維持することができる期間を約2週間(14日)以上の長期間にわたって延ばすことができることを示すものである。
さらに、表3によれば、実施例1で製造された納豆の硬さ(破断強度)は、盛り込み日から5日から32日において、ほぼ一定(平均値81.8〜94.7)であるのに対して、比較例1で製造された納豆の硬さ(破断強度)は、経時的に低下し、盛り込み日から5日経過後の値が95.1(平均値)であったものが30日経過後の値が68.0(平均値)となっており、納豆の硬さの変化が大きいものとなっている。この結果は、実施例1で使用した納豆製造用容器(三方向シール容器)は、水分の乾燥を抑制することができ、納豆の硬さ(破断強度)を一定の値とすることができることを示すものである。一方、比較例1で使用した納豆製造容器(通常シール容器)は、水分の乾燥を抑制することができないため、納豆製造用容器内の乾燥が進行し、納豆の硬さ(破断強度)の低下が発生しているものと考えられる。
<実施例2、3>
上記加熱保持する工程終了後、冷却した納豆製造用容器をピロー包装した以外は、実施例1と同様にして、納豆を製造した。なお、実施例2においては、シール部を増加させていない納豆製造用容器を使用し、加熱処理後に冷却した当該納豆容器をピロー包装した。実施例3においては、実施例1で使用したシール部を増加させた納豆製造用容器(以下「三方向シール容器」ともいう。)を使用し、加熱処理後に冷却した当該納豆容器をピロー包装した。
図7に加熱時間と納豆製造用容器本体の内部温度の関係を示した。また、表4(実施例2)、表5(実施例3)に納豆の品質の評価結果、表6(実施例2、3)に破断強度の測定をそれぞれ示す。
表4によれば、実施例2で製造された納豆は、盛り込み日から52日を経過した後であっても、糸引きの評価は、「○(問題なし)」であり、チロシンの発生もないものとなっている。苦味については、盛り込み日数から38日経過後までは、「○(問題なし)」となっており、苦味が発生していないことが分かる。以上、表4に示した苦味、糸引き、チロシンの発生のすべてを勘案した総合評価においては、盛り込み日から38〜40日経過するまで納豆製品としての品質を維持することができることが判明した。すなわち、納豆製造用容器として、市販されている納豆製造用容器を使用した場合であっても、加熱処理、冷却後、納豆製造用容器を簡易なピロー包装することにより、長期間において納豆の製品としての品質を維持することができることが明らかとなった。
表5によれば、実施例3で製造された納豆は、盛り込み日から52日を経過した後であっても、糸引きについては「○(問題なし)」となっており、十分な糸引きを有している。また、チロシンの発生については、盛り込み日から52日経過した後であっても全く発生が認められず良好な結果を示している。苦味については、盛り込み日から41日を経過した後であっても、「○(問題なし)」となっており、43日経過後においても「△(やや苦味がある。)」の品質を維持している。すなわち、実施例3で製造された納豆は、シール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用し、さらに当該容器を加熱処理、冷却した後に簡易なピロー包装を施すことにより、52日以上の長期間にわたって納豆製品としての品質を維持することができるものとなっている。
表6によれば、実施例2で製造された納豆の破断強度は、盛り込み日から10日から44日において、ほぼ一定(平均値66.4〜78.2)をとっており、実施例3で製造された納豆の上記破断強度もほぼ一定(平均値65.3〜74.7)となっている。これらの結果は、冷却後の納豆製造用容器をピロー包装、又はシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、気密性及び通気性のバランスを保持することができ、納豆の硬さ(破断強度)を一定の値とすることができることを示すものである。
<参考例1>
上記発酵工程終了後、冷却した納豆を充填する納豆製造用容器を発酵工程終了後、熱処理をしないでピロー包装した以外は、実施例1と同様にして、納豆を製造した。また、表7に納豆の品質の評価結果、表8に破断強度の測定をそれぞれ示す。
表7によれば、上記発酵工程終了後、冷却した納豆を充填する納豆製造用容器を発酵工程終了後、熱処理をすることなく納豆を製造した場合であっても、発酵工程後、簡易なピロー包装をすることにより、盛り込み日数から18日経過した後でも納豆の苦味及び糸引きに優れた品質の維持をすることができることが判明した。通常の納豆製品の賞味期間が約10日程度であることからすると、熱処理をした実施例1で使用した納豆製造用容器を使用した場合であっても、簡易なピロー包装をすることにより納豆製品としての品質を維持することができる期間を約2倍近く延ばすことができることが理解される。また、表8によれば、納豆の硬さ(破断強度)も盛り込み日から14日経過後までは、良好な数値を示しており、納豆製品としての品質を維持していることが分かる。
<実施例4、比較例2、3>
納豆製造用容器の差異による、納豆製造の各工程における重量変化を測定した。納豆製造用容器としては、実施例1で使用したシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器、実施例4)、蓋体に空気孔が開いており、かつ蓋体と容器本体のシール部を増加させていない納豆製造用容器(通常シール容器、比較例2)、実施例1で使用した納豆製造用容器と同様な容器であるがシール部を増加させていない納豆製造用容器(通常シール容器、比較例3)を使用し、実施例1と同様にして本発明の納豆製造方法により納豆を製造した。上記実施例4、比較例2、3において、盛り込み後の納豆製造容器全体の重量、発酵工程終了後の納豆の重量及び加熱保持終了後の重量を測定した。結果を表9に示す。なお、実施例4及び比較例2においては、95個の納豆製造サンプルの重量平均値を測定データとし、比較例3においては195個の納豆製造サンプルの重量平均値を測定データとした。
表9によれば、実施例4、比較例2、3の盛り込み時の総重量は、ほぼ同一であるが、熱処理後の重量変化は、実施例4(三方向シール容器)は、0.16グラム、比較例2、比較例3でそれぞれ0.20、0.25グラムとなっている。このことから、シール部を増加させた納豆製造容器(三方向シール容器)を使用することにより、当該容器の気密性及び通気性のバランスを保持することができ、納豆の乾燥を防止できることが理解される。
<実施例5、比較例4>
上記発酵工程終了後、冷却した納豆を充填した納豆製造用容器にシール部を増加させた納豆製造用容器(実施例5)とシール部を増加させていない納豆製造用容器(比較例4)をそれぞれ使用して実施例1と同様にして納豆を製造した。実施例及び比較例における盛り込みから所定日数経過後の納豆の品質について評価した結果をそれぞれ表10及び表11に示す。
また、実施例5及び比較例4で製造した納豆について、納豆の盛り込み日と盛り込み日から32日経過後の納豆製造容器全体の重量を測定した。測定結果を表12に示す。なお、納豆製造容器全体の重量の測定は、実施例及び比較例について製造した納豆から任意に10サンプルを抽出し、これらの各サンプルについて測定を行い、さらに10サンプルの平均値を算出した。結果を表13に示す。さらに、上記実施例及び比較例で製造された納豆について、盛り込み日からの各日数経過後の破断強度を測定した。測定結果を表14に示す。
表10によれば、実施例5で製造された納豆は、盛り込み日から45日を経過した後であっても、糸引きについては「○(問題なし)」となっており十分な糸引きを有している。また、同じくチロシンの発生については、盛り込み日から45日経過した後であっても全く発生が認められず良好な結果を示している。苦味については、盛り込み日から45日を経過した後であっても、「○(問題なし)」となっており、納豆の品質を維持している。すなわち、実施例5で製造された納豆は、シール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、45日以上の長期間にわたって納豆製品としての品質を維持することができるものとなっている。
これに対して、表11によれば、盛り込み日より46日経過した後であっても「苦味」について「○(問題なし)」となっているものであるが、糸引きについては盛り込み日から36日を経過した後にあっては「○(問題なし)」から、「△(やや弱い)」となり、その後「△(やや弱い)」を維持しているものとなっている。納豆製品としての品質の総合的評価は36日を経過した後に「△(限界内であるが少し劣化)」となり、やや納豆製品としての品質に劣るものとなった。実施例5及び比較例4の結果より、納豆製造用容器として、シール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、納豆製品の保全性及び味を維持することができることが判明した。
表12によれば、実施例5の重量変化の平均が3.0であるの対し、比較例4の重量変化は4.5となっている。すなわち、納豆製造用容器として、実施例1で使用したシール部を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、納豆製造用容器の気密性と通気性のバランスを図ることができ、重量変化を少なくすることができることが分かる。
また、表13によれば、実施例5で製造された納豆の破断強度は、盛り込み日から3日から44日において、ほぼ一定(平均値64.2〜90.0)をなっており、また比較例4で製造された納豆の破断強度は、(平均値70.3〜80.2)となっている。両者ともほぼ一定の破断強度を有している。
以上、実施例及び比較例によれば、発酵工程終了後、冷却した納豆を充填する納豆製造用容器として、シール部の個数を増加させた納豆製造用容器(三方向シール容器)を使用することにより、容器内の気密性と通気性のバランスを維持することができ、納豆の品質(苦味、糸引き、チロシンの発生等)保持期間(賞味期限)を延ばすことができることが分かる。また、冷却した納豆を充填する納豆製造用容器として、シール部の個数を増加させていない通常の納豆容器用容器を使用した場合であっても、加熱熱処理、冷却後の納豆製造用容器をピロー包装することにより、上記同様に納豆の品質(苦味、糸引き、チロシンの発生)保持期間(賞味期限)を延ばすことができる。これらの結果は、本発明の納豆の製造方法により製造された納豆製品が、簡易な技術を施すことにより、最大で約50日程度の賞味期限を有していることを示すものである。従来の納豆の製造方法により製造された納豆製品の品質保持期間(賞味期限)が、わずか1週間程度であることからすると、本発明の製造方法は、納豆製品の品質を維持できる期間を2〜7倍程度向上させることができるものであり、その技術的意義は大きい。
すなわち、本発明の納豆の製造方法によれば、納豆製造の受注時と出荷時の需要量が流通過程の諸条件により整合しなくなった場合でも、一定の品質を維持した納豆を常時提供することができる。
納豆製造容器 10
収容部凹部 11
容器本体 12
蓋体 13
凸部 14
フランジ 15
シール部 16
蓋体 21
容器本体 22
フランジ 23
シール部 24
空気孔 25

Claims (9)

  1. 納豆を収納するための凹部が形成された容器本体と、
    前記容器本体の凹部を覆うように形成されておりかつ空気孔を有していない蓋体と、
    前記容器本体の上面に形成された矩形枠状のフランジと上記蓋体とを接着するためのシール部を備えており、前記蓋体の内部には上記容器本体に嵌合させるための凸部が形成され、
    前記シール部を上記蓋体と上記容器本体の気密性及び通気性のバランスを保持するように調整していることを特徴とする納豆製造用容器。
  2. 前記シール部を前記蓋体の各辺に少なくとも1つ以上設けていることを特徴とする請求項1記載の納豆製造用容器。
  3. 前記シール部を前記蓋体の各辺の中央に設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の納豆製造用容器。
  4. 発酵工程終了後の納豆を冷却する工程と、
    前記冷却する工程を経た納豆が充填された納豆製造用容器を納豆の発酵温度以上の温度で、多段階の温度により加熱保持する工程と、
    前記加熱保持する工程を経た納豆製造用容器を冷却する工程を備えたことを特徴とする納豆の製造方法。
  5. 前記納豆製造用容器が、請求項1ないし3いずれ1項に記載の納豆製造用容器であることを特徴とする請求項4記載の納豆の製造方法。
  6. 前記加熱保持する工程は、納豆の発酵温度以上の温度Tにて15分間、その後、前記温度Tよりも5〜15℃低い温度Tにて75分間加熱保持することを特徴とする請求項4又は5記載の納豆の製造方法。
  7. 前記加熱保持する工程を経た納豆製造用容器を冷却する工程を経た後、さらに当該納豆製造用容器をピロー包装し、冷却保管する工程を備えたことを特徴とする請求項4ないし6記載いずれか1項に記載の納豆の製造方法。
  8. 請求項4ないし7いずれか1項に記載の製造方法により得られることを特徴とする保存性及び味に優れた納豆。
  9. 納豆製造用容器の気密性及び通気性のバランスを該納豆製造用容器の構造を改変して調節することにより、該納豆製造用容器に収納されている納豆の保存性及び味を調整する方法。
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