JP2012136106A - タイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンピュータを用いたタイヤの解析において、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度を向上すること。
【解決手段】解析対象のタイヤに節点を設定し複数の要素に分割したタイヤモデルと前記タイヤが接触する路面の路面モデルとを含む応答解析モデルを作成するモデル作成ステップと、タイヤモデルと路面モデルとが接触した際に、路面モデルから前記タイヤモデルに作用する作用力を算出する作用力算出ステップと、タイヤモデルと路面モデルとが接触する接地面内の少なくとも作用力が存在する接地端の節点は拘束し、当該接地端の節点に作用する作用力を接地領域外で拘束されていない節点に加算する作用力調整ステップと、作用力調整ステップで調整した調整結果を用いて、前記タイヤモデルの動的応答を解析する解析ステップと、を含むことで上記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンピュータを用いてタイヤを解析する技術に関する。
コンピュータを用いた解析によってタイヤの様々な性能、又はこれに関する物理量を有限要素法等の数値解析により予測することは、性能向上や開発の効率化に有用である。このうち、路面の凹凸やタイヤのトレッドパターン等により、タイヤと路面との間で発生する入力が原因となるタイヤの動的応答のシミュレーションは、過渡的応答及び振動・騒音性能にとって重要である。例えば、特許文献1には、路面やトレッドパターンを詳細にモデル化し、非平坦路上で直接転動計算をする方法が記載されている。また、特許文献2には、路面の凸部を単一の突起の集合体としてモデル化し、当該単一突起を乗り越したときの振動を求め、路面モデルの突起の集合体の各突起を乗り越えるときの振動を合成し、全体の振動を算出する方法が記載されている。また、特許文献3には、路面上の凸部を複数の突起の集合体として細分化する工程と、凸部がタイヤを乗り越える場合にタイヤが突起から受ける作用を算出する工程と、算出した作用を突起毎に加算して、タイヤが凸部から受ける作用を算出する工程とを有するタイヤ作用力の解析方法が記載されている。また、算出した作用力を用いて、タイヤ振動、タイヤ騒音を解析する方法も記載されている。
特開平11−201874号公報 特開2000−241308号公報 特開2010−230641号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、精度を確保するために規模の大きなモデルで計算負荷の大きい走行解析を実行しなければならないことや、異なる速度での応答を計算するには再度走行解析が必要であること等から、計算時間が増加するという問題がある。
また、特許文献2及び特許文献3に記載されているように、路面形状を細分化し複数の突起の集合体として別々に計算する方法では、計算負荷を低減することができるが、計算精度の向上に限界がある。面形状を細分化し複数の突起の集合体として別々に計算する方法でも、計算モデルの要素をより細分化することで、計算精度を向上させることができるが、要素を細分化するとその要素数の増加に応じて計算量も増加する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンピュータを用いたタイヤのシミュレーションにおいて、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度を向上させることを目的とする。
上述した課題を解決するための手段は、タイヤのシミュレーション方法であって、コンピュータが、解析対象のタイヤに節点を設定し複数の要素に分割したタイヤモデルと前記タイヤが接触する路面の路面モデルとを含む応答解析モデルを作成するモデル作成ステップと、前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触した際に、前記路面モデルから前記タイヤモデルに作用する作用力を算出する作用力算出ステップと、前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触する接地面内の少なくとも作用力が存在する接地端の節点は拘束し、当該接地端の節点に作用する作用力を接地領域外で拘束されていない節点に加算する作用力調整ステップと、前記コンピュータが、前記作用力調整ステップで調整した調整結果を用いて、前記タイヤモデルの動的応答を解析する解析ステップと、を含むことを特徴とする。
ここで、前記接地領域外で拘束されていない節点は、前記接地端の節点よりもタイヤ周方向外側で作用力が既に存在する節点であることが好ましい。
また、前記接地領域外で拘束されていない節点は、前記接地端の接点に隣接する節点であることが好ましい。
また、前記作用力調整ステップは、前記接地端に作用する作用力に係数を乗じた作用力を、前記接地領域外で拘束されていない節点に加算することが好ましい。
また、前記係数は、0.3以上0.9以下の定数であることが好ましい。
上述した課題を解決するための手段は、タイヤのシミュレーション方法であって、コンピュータが、解析対象のタイヤに節点を設定し複数の要素に分割したタイヤモデルと前記タイヤが接触する路面の路面モデルとを含む応答解析モデルを作成するモデル作成ステップと、前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触した際に、前記路面モデルから前記タイヤモデルに作用する作用力を算出する作用力算出ステップと、前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触する接地面内の少なくとも一部の節点を拘束し、かつ、作用力の存在する接地端の節点は拘束しない作用力調整ステップと、前記コンピュータが、前記作用力調整ステップで調整した調整結果を用いて、前記タイヤモデルの動的応答を解析する解析ステップと、を含むことを特徴とする。
また、前記解析工程は、前記動的応答として、前記路面からタイヤに作用する作用力により発生するタイヤの振動または発生する騒音を解析することが好ましい。
本発明は、コンピュータを用いたタイヤのシミュレーションにおいて、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度を向上することができる。
図1は、タイヤの子午断面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行する解析装置を示す説明図である。 図3は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、応答解析モデルの一例を示す正面図である。 図5は、タイヤ・ホイール組立体モデルの一例を示す部分断面図である。 図6は、作用力の調整方法の一例を示す説明図である。 図7は、作用力の調整方法の他の例を示す説明図である。 図8は、作用力の調整方法の他の例を示す説明図である。 図9は、応答解析モデルの一例を示す斜視図である。 図10は、応答解析モデルの路面モデルの一例を示す斜視図である。 図11は、路面モデルとタイヤモデルとの関係を模式的に示す説明図である。 図12は、比較例のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。 図13は、本実施例のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。 図14は、タイヤの表面の位置と振動との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下の実施形態に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、タイヤの子午断面図である。タイヤ1は、回転軸(Y軸)を中心として回転する環状構造体であり、回転軸の周りに、周方向に向かって同様の形状の子午断面が展開される。図1に示すように、タイヤ1の子午断面には、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4、ビードコア5が現れている。タイヤ1は、母材であるゴムを、補強材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4等の、金属繊維や有機繊維等のコード材料で構成される補強コードの層をコード層という。
カーカス2は、タイヤ1に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッド6とカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。
ベルト3の踏面G側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。キャップトレッド6の踏面G側には、溝7が形成される。これによって、雨天走行時の排水性を向上させる。また、タイヤ1の側部はサイドウォール8と呼ばれており、ビードコア5とキャップトレッド6との間を接続する。また、キャップトレッド6とサイドウォール8との間はショルダー部Shである。次に、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行する装置について説明する。
図2は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行する解析装置を示す説明図である。本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法は、図2に示す解析装置50によって実現できる。解析装置50はコンピュータであり、図2に示すように、処理部52と記憶部54とで構成される。また、この解析装置50には、入出力装置51が電気的に接続されている。入出力装置51は、入力手段53を有している。この入力手段53は、タイヤを構成するゴムの物性値や補強コードの物性値、あるいは接地解析、転動解析、振動解析、騒音解析等に用いる境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。
入力手段53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、タイヤの解析(接地解析や転動解析、あるいは振動解析等)や本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を含むコンピュータプログラムが格納されている。記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、接地解析や転動解析、あるいは本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
処理部52は、モデル作成部52aと、作用力算出部52bと、作用力調整部52cと、解析部52dと、を含む。モデル作成部52aは、タイヤ・ホイール組立体モデルと、路面モデルとを含み、解析に供する応答解析モデルを作成し記憶部54に保存する。ここで、タイヤ・ホイール組立体モデルは、解析対象のタイヤ・ホイール組立体を、複数の節点を有する複数の要素に分割して作成する。ここで、タイヤ・ホイール組立体モデルは、タイヤにホイールを装着させたものであり、タイヤモデルとホイールモデルとを嵌合させて作成する。なお、タイヤ・ホイール組立体モデルは、タイヤモデルとホイールモデルのリム面とで囲まれる内部の領域、つまり、タイヤをインフレートした際に空気が充填される領域も複数の節点を有する複数の要素に分割してモデル化してもよい。
作用力算出部52bは、モデル作成部52aで作成した応答解析モデルを用い、タイヤ・ホイール組立体モデルのタイヤモデルと路面モデルとの接触状態を算出し、路面モデルからタイヤモデルに作用する作用力を算出する。なお、作用力算出部52bは、タイヤモデルの節点毎に作用力を算出する。作用力算出部52bは、算出した作用力を記憶部54に保存する。なお、作用力算出部52bは、応力解析モデルが動的に変化した複数の状態、例えば時系列で変化する各時間に対応したモデルのそれぞれでタイヤモデルに作用する作用力を算出する。つまり、作用力算出部52bは、解析対象のタイヤの解析モデルや前記応答解析モデル等を用いて、応答解析モデル接地領域に作用する力(作用力)の履歴を求め、記憶部54の所定領域に格納する。
作用力調整部52cは、作用力算出部52bで算出した作用力を調整する。具体的には、タイヤモデルの節点のうち、路面モデルに接触している接触領域の端部の節点の作用力を調整する。調整方法については、後述する。
解析部52dは、モデル作成部52aが作成した応答解析モデルと、作用力調整部52cで調整したタイヤ・ホイール組立体モデルに作用する作用力と、を記憶部54から読み出し、所定の条件の下で解析を実行する。解析部52dは、作用力を用いた種々の動的応答の解析を実行することができる。解析部52dは、例えばタイヤ・ホイール組立体モデルの振動解析や、走行時に発生する騒音解析を実行する。
解析部52dは、振動解析にあたって、設定された強制変位の入力とタイヤモデルの各接点に入力される作用力を記憶部54から読み出して、前記タイヤの路面との接地領域に相当する前記応答解析モデルの領域(応答解析モデル接地領域)へ与える。より具体的には、解析部52dは、前記応答解析モデル接地領域に存在する複数の節点に、対応する変位の履歴を強制変位として入力し、変位の履歴に対応する作用力の履歴を入力する。そして、解析部52dは、前記応答解析モデルに対して振動解析を実行することにより、前記応答解析モデルの動的応答を求める。その後、解析部52dは、得られた応答解析モデルの動的応答を記憶部54の所定領域に保存する。なお、前記作用力の入力は、例えば、前記作用力の履歴自体であってもよいし、前記作用力の履歴を周波数に変換した値であってもよい。また、前記強制変位の入力は、例えば、前記変位の履歴自体であってもよいし、前記変位の履歴を周波数に変換した値であってもよい。
処理部52は、例えば、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。解析時においては、モデル作成部52aが作成した解析モデルや入力データ等に基づいて、処理部52が前記プログラムを処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、記憶部54へ演算途中の数値を適宜格納し、また記憶部54へ格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
表示手段55は、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。次に、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を説明する。なお、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法は、上述した解析装置50により実現できる。
図3は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。図4は、応答解析モデルの一例を示す正面図である。図5は、タイヤ・ホイール組立体モデルの一例を示す部分断面図である。なお、本実施形態は、動的応答の解析うち、タイヤの振動解析を実行する場合として説明する。本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行するにあたり、ステップS101において、図2に示す解析装置50のモデル作成部52aは、解析対象であるタイヤのモデル(解析モデル)を作成する(モデル作成ステップ)。解析モデルは、有限要素法(Finite Element Method:FEM)や有限差分法(Finite Differences Method:FDM)等の数値解析手法を用いてコンピュータが振動解析や接地解析を実行するために用いるモデルであって、コンピュータで解析可能である。解析モデルは、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。ステップS101で作成される解析モデルは、図4及び図5に示す応答解析モデル10である。応答解析モデル10は、後述するステップS104において振動解析されて動的応答等が求められる。本実施形態では、応答解析モデル10の解析に有限要素法を使用するので、応答解析モデル10は、有限要素法に基づいて作成される。応答解析モデル10は、タイヤ・ホイール組立体モデル12と、タイヤ・ホイール組立体モデル12が接地される路面モデル14と、を含む。タイヤ・ホイール組立体モデル12は、タイヤモデル16と、ホイールモデル18と、タイヤモデル16とホイールモデル18とで囲まれた空間モデル20と、を含む。
本実施形態に係る解析に適用できる解析手法は有限要素法に限られず、有限差分法や境界要素法(Boundary Element Method:BEM)等の解析手法も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適である。
モデル作成部52aは、例えば、解析対象のタイヤのCAD(Computer Aided Design)用のデータからタイヤモデル16を作成する。有限要素法に基づいて応答解析モデル10が作成される場合、モデル作成部52aは、前記CAD用データによって特定されるタイヤを、複数かつ有限個の要素に分割して、図4及び図5に示すようなタイヤモデル16を作成する。また、モデル作成部52aは、同様にして、解析対象のホイールのデータからホイールモデル18を作成する。さらに、モデル作成部52aは、作成したタイヤモデル16とホイールモデル18との接触計算を行い、ホイールモデル18にタイヤモデル16をはめ込んだときのタイヤモデル16の変形を算出することで、タイヤモデル16をホイールモデル18にはめ込む。モデル作成部52aは、タイヤモデル16とホイールモデル18との間の空間を、複数かつ有限個の要素に分割し空間モデル20を作成する。また、モデル作成部52aは、タイヤが接触する路面のデータから路面モデル14を作成する。本実施形態の路面モデル14には、少なくとも一部に凸形状が設けられている。本実施形態では、応答解析モデル10は、それぞれ図4及び図5に示すような3次元形状の解析モデルとなる。
応答解析モデル10が有する要素は、例えば、3次元の解析モデルでは四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等、コンピュータで取り扱い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元の解析モデルでは3次元座標や円筒座標を用いて逐一特定される。応答解析モデル10が作成されたら、処理部52は、ステップS102の処理を実行する。
ステップS102において、図2に示す解析装置50の作用力算出部52bは、作用力を算出する。具体的には、作用力算出部52bは、図4及び図5に示す応答解析モデル10の路面モデル14からタイヤモデル16(またはタイヤ・ホイール組立体モデル12)に作用する力(作用力)の履歴を算出する。すなわち、作用力算出部52bは、タイヤモデル16が路面モデル14に接触している応答解析モデル10を用いて、路面モデル14からタイヤモデル16に作用する力の履歴を設定し、記憶部54の所定領域に格納する。
ここで、図6は、作用力の調整方法の一例を示す説明図である。なお、図6は、タイヤモデル16と路面モデル14との接地領域の端部の周辺を拡大して示す説明図である。図6に示すように、応答解析モデル10の路面モデル14とタイヤモデル16とは、接地境界によって接地領域と非接地領域とに区画される。図6に示す応答解析モデル10のタイヤモデル16は、複数の節点30a、30b、30c、30d、30e、30fを有し、列状に配置されている。複数の節点のうち、節点30a、30b、30c、30dは、接地境界の内側にあり、複数の節点30e、30fは、接地境界の外側にある。したがって、節点30dは、接地境界に最も近い、接地境界と隣接している接地端節点となる。なお、図6では、タイヤモデル16の接地端領域近傍の節点のみを示しているが、タイヤモデル16は、上述したように全領域に離散化した節点を有する。図6に示す領域に作用力算出部52bは、ステップS102で、タイヤモデル16が有するそれぞれの節点30a、30b、30c、30d、30e、30fに対して、作用力の履歴を算出する。なお、図6では、節点30cに作用する力である作用力Fと、節点30dに作用する力である作用力Fと、節点30eに作用する力である作用力Fと、節点30fに作用する力である作用力Fが算出される。なお、本実施形態において、接地領域にある複数の節点30a、30b、30c、30dは、動的応答(振動解析)の場合に路面モデル14に拘束される。
次に、作用力の履歴について説明する。一般に、タイヤが路面上を転動する場合、タイヤが有するトレッドパターンや路面の凹凸(突起を含む)に起因した力、あるいは操舵等の車両に起因した力が、タイヤの接地領域を含む領域に作用する。解析装置50が、応答解析モデル10を用いてタイヤが路面上で転動した場合における動的応答を求める場合、タイヤと路面との接触でタイヤの接地領域を含む領域に作用する力を何らかの形でタイヤモデル16(タイヤ・ホイール組立体モデル12)に与える必要がある。このため、ステップS102においては、路面モデル14からタイヤモデル16に作用する力(作用力)の履歴が設定される。
作用力算出部52bは、タイヤモデル16の各節点に作用する作用力を種々の方法で算出することができる。作用力算出部52bは、例えば特開2010−230641号公報に記載されているように、路面モデル14の凹凸形状とタイヤモデル16との重なり領域の面積を算出し、その面積の重なり量に基づいて作用力を算出するようにしてもよい。具体的には、作用力算出部52bは、路面モデル14の凸部を複数の突起に分割し、タイヤモデル16の節点と節点との間の領域と、路面モデル14の突起と、が重なる面積とに基づいて、作用力を算出する。なお、解析装置50は、予め計算や実験に基づいて算出したタイヤモデル16の領域と路面モデル14の突起とが重なる面積と作用力との関係を記憶部54に記憶させておくことで、重なり面積に基づいて作用力を算出することができる。その後、算出した作用力を、タイヤモデル16と当該突起との重なり位置の情報に基づいて、その重なり位置に隣接する2つの節点に割り当てる。また、作用力算出部52bは、路面モデル14に凸部がない領域の節点の作用する力(作用力)も算出する。なお、路面モデル14に凸部がない領域の節点の作用力としては、タイヤモデル16と路面とが接触することで生じる作用力や、タイヤモデル16が変形することで生じる作用力がある。なお、作用力算出部52bは、タイヤモデル16のすべての節点に対する作用力を算出するようにしてもよいが、路面モデル14との接触領域を含む一定範囲の節点の作用力を算出してもよい。このように、作用力を算出する節点を一定の領域とすることで計算量を低減することができる。作用力算出部52bで作用力を算出したら、処理部52は、ステップS103の処理を実行する。
ステップS103において、図2に示す解析装置50の作用力調整部52cは、作用力を調整する。具体的には、作用力調整部52cは、作用力算出部52bで算出した各節点の作用力を、動的応答の算出精度をより向上できる状態に調整する。具体的には、作用力調整部52cは、図6中上側に示す作用力F、F、F、Fのうち、接地端節点である節点30dの作用力Fを作用力F´とし図6中下側に示すように非接触領域の節点30eの作用力に加算する。つまり、節点30dに作用力F+作用力F´と加えられている状態とする。作用力調整部52cは、同様の処理を実行してステップS102で算出した作用力の履歴に含まれる接地端節点の作用力を隣接する非接触領域の節点、より具体的には、接地端節点に隣接しており、かつ非接触領域にある節点に加算する。例えば、作用力の履歴を時系列で算出する場合、各時刻における接地端節点の作用力を隣接する非接触領域の節点に加算する。作用力調整部52cで作用力を調整したら、処理部52は、ステップS104の処理を実行する。
ステップS104において、図2に示す解析装置50の解析部52dは、動的応答を求める。つまり、ステップS103で調整した作用力の履歴及びその他各種条件に基づいて、応答解析モデル10の動的応答の解析(本実施形態では振動解析)を実行する。なお、解析部52dで実行する解析としては、路面モデル14からタイヤモデル16の各節点に作用する作用力を用いて解析を実行する各種解析を用いることができる。また、動的応答の解析には、時刻暦で計算する過渡応答解析や周波数軸での周波数応答解析などがある。解析装置50は、動的応答の解析を実行したら、解析結果を表示手段55に表示させる。
以上のように、解析装置50は、作用力調整部52cで作用力を調整することで、より高い精度で動的応答の解析を実行することができる。具体的には、図6中上側に示すように算出した作用力F、F、F、Fのうち、接地領域にある作用力F、Fは、節点30c、30dが拘束される。このため、図6中上側に示すように算出した作用力F、F、F、Fをそのまま各節点に作用した状態で動的応答を実行すると、動的応答の解析の際には作用力F、Fが無効となり動的応答の解析に反映されない。これに対して、本実施形態の解析装置50は、図6中下側に示すように、作用力調整部52cで接地端節点の作用力F2を接地端接点に隣接する節点30dに加える。このため、本実施形態の解析装置は、節点30dに作用力F´+作用力Fが作用した状態で振動解析を実行することができ、接地端節点に加えられる作用力を加味して動的応答の解析を行うことができる。また、接地端節点に加えられる作用力を加味して動的応答の解析を行うことができるため、解析対象の応答解析モデル10のタイヤモデル16の各要素を細かくしなくても接地端近傍の作用力を用いて解析できる。つまり、タイヤモデル16の各要素を細かくすることで、接地端近傍の作用力を高い精度で算出することができるが、本実施形態のシミュレーション方法を用いることで、タイヤモデル16の各要素が一定程度大きい場合でも、タイヤモデル16の各要素を細かくして算出した場合と同等の解析結果を得ることができる。これにより、計算量を低減させつつ、解析精度を向上させることができる。
また、接地端節点の作用力を他の節点に加算することで、接地端節点の拘束状態を維持したまま、接地端節点の作用力を解析対象の力とすることができる。これにより、タイヤの接地拘束状態による動的応答の特性(振動伝達特性)を変化させず(つまり、境界条件の変更による接地端近傍の動的応答の特性の変化を生じさせず)に、接地端節点の作用力を解析対象の力とすることができ、解析の精度を高くすることができる。
なお、接地端接点の作用力を加算する加算先の節点は、接地領域外で拘束されていない節点であればよいが、接地領域の周囲の節点とすることが好ましく、周方向において接地中心から±30°範囲内(−30°以上30°以下)にある節点とすることが好ましい。このように、加算先の節点を接地領域の周囲の節点とすることで、より高い精度で動的応答を解析することができる。例えば、接地端節点と加算先の節点との位置関係が上記関係を満たすことで、接地端節点と加算先の節点との角度差が大きくなり、半径方向の入力が周方向の入力として作用してしまうことを抑制することができ、精度を向上させることができる。
また、接地端接点の作用力を加算する加算先の節点は、接地端節点よりもタイヤ周方向外側で作用力が既に存在する節点とすることが好ましい。加算先の節点をタイヤ周方向外側とすることで、タイヤ周方向において加算される入力がタイヤに作用する方向が同じにすることができる。つまり、接地領域の中心に対する向きが同じとすることができ、タイヤ中心に対する作用力の向きを同じとすることができる。また、加算先の節点を既に作用力が存在する節点とすることで、路面の突起とタイヤが干渉する範囲内からのみ入力を与えることができるため、精度を向上させるとともに実際の現象により即した解析を実行することができる。
加算先の節点は、本実施形態のように、接地端節点に隣接し、接地端節点よりもタイヤ周方向の外側で、非接地領域にある(接地中心から離れる方向にある)節点とすることがより好ましい。加算先の節点を、上記条件を満足する節点とすることで、振動伝達特性(動的応答特性)の類似性の点で、上記効果をより好適に得ることができ、精度をより高くすることができる。なお、加算先の節点は、幅方向の位置が接地端節点と同一位置の節点とすることが好ましい。加算先の節点と接地端節点との幅方向の位置を同一位置とすることで、左右方向(前後軸回り)の加振成分(動的応答の特性)を同等にすることができる。なお、上記効果をより効果的に得ることができるため、加算先の節点と接地端節点との幅方向の位置を同一位置とすることが好ましいが、幅方向の位置が最も近い節点としても同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、接地端節点の作用力をそのまま加算先の節点に加算したが、接地端節点の作用力に係数Hを乗じた値を作用力として加算先の節点に加算することが好ましい。つまり、作用力Fに係数HをかけたF×Hを加算先の節点に加算することが好ましい。
以下、図7を用いて説明する。ここで、図7は、作用力の調整方法の他の例を示す説明図である。図7に示す応答解析モデル10の路面モデル14とタイヤモデル16とは、図6に示す応答解析モデル10と基本的に同様の構成である。図7に示す応答解析モデル10のタイヤモデル16は、複数の節点30a、30b、30c、30d、30e、30fを有し、列状に配置されている。複数の節点のうち、節点30a、30b、30c、30dは、接地境界の内側にあり、複数の節点30e、30fは、接地境界の外側にある。
また、図7に示す例では、節点30cに作用する力が作用力Faと算出され、節点30dに作用する力が作用力Fbと算出され、節点30eに作用する力が作用力Fcと算出され、節点30fに作用する力が作用力Fdと算出される。
この状態で作用力調整部52cは、図7中上側に示す作用力Fa、Fb、Fc、Fdのうち、接地端節点である節点30dの作用力Fbに係数Hを掛けた値を作用力Fb´(Fb´=Fb×H)とし図7中下側に示すように非接触領域の節点30eの作用力に加算する。つまり、節点30dに作用力Fc+作用力Fb´と加えられている状態とする。
このように、接地端節点の作用力に係数Hをかけて、加算先の節点に加算することで、位置や条件に応じて変化する動的応答の特性(振動伝達特性のレベルの違い)を加味した作用力を加算することができる。これにより、動的応答の解析の精度を向上させることができる。なお、係数Hとしては、種々の値を用いることができ、周波数の関数や、複素数を用いることもできる。なお、係数Hは、1未満の値を設定することが好ましい。動的応答の特性のレベル(伝達特性のレベル)は、接地端に近いほど小さくなるため、係数Hを1未満にすることで、係数Hを動的応答の特性のレベルの変化に則した値とすることができる。
また、係数Hは、定数とすることが好ましく、定数の値は0.3以上0.9以下とすることがより好ましい。振動、騒音等の動的応答の特性は、伝達特性に相似性があるため、係数Hとしても高い精度で解析を行うことができる。また、係数Hを定数とすることで、解析時の計算量を低減することができる。また、定数の値は0.3以上0.9以下とすることで、接地端節点の作用力の成分を動的応答の解析時に適切に加味することができる。
(変形例)
ここで、上記実施形態では、接地端端部の作用力を他の節点に加算したがこれに限定されない。解析装置50は、作用力調整部50cで接地端節点を拘束しない状態としてもよい。このように接地端端部を拘束しない状態とすることでも接地端節点の作用力を加味して動的応答の解析を行うことができる。
以下、図8を用いて説明する。ここで、図8は、作用力の調整方法の他の例を示す説明図である。図8に示す応答解析モデル10の路面モデル14とタイヤモデル16とは、図6に示す応答解析モデル10と基本的に同様の構成である。図8に示す応答解析モデル10のタイヤモデル16は、複数の節点30a、30b、30c、30d、30e、30fを有し、列状に配置されている。複数の節点のうち、節点30a、30b、30c、30dは、接地境界の内側にあり、複数の節点30e、30fは、接地境界の外側にある。
また、図8に示す例では、節点30cに作用する力が作用力Fと算出され、節点30dに作用する力が作用力Fと算出され、節点30eに作用する力が作用力Fと算出され、節点30fに作用する力が作用力Fと算出される。
この状態で作用力調整部52cは、図8中下側に示すように接地端節点である節点30dを拘束しない状態とする。つまり、路面モデル14と接触している節点30dの拘束状態を解除する。このように、接点30dを拘束しない状態とすることで、作用力Fは、動的応答の解析時に有効となる。なお、この場合も接地端節点以外の接地領域の節点は、動的応答の解析時に拘束状態とする。
解析装置50は、接地端節点の拘束を解除することでも、接地端節点の作用力を解析対象とすることができる。このように、接地端節点の作用力を解析対象として、動的応答の解析を行うことで、解析をより高い精度で実行することができる。また、上述したように、タイヤモデルの要素数を少なくしても高い精度で解析が実行できるため、計算負荷を低減しつつ、解析精度を向上させることができる。
ここで、上記実施形態では、計算の負荷を低減できるため、いずれも接地領域の節点(図8に示す例では接地端節点は除く)を全て拘束した状態としたがこれに限定されない。接地領域の節点は、節点がまったく拘束されていない場合は、境界条件の違いにより振動特性が変化してしまい解析精度が低下してしまうが、接地領域内の少なくとも一部の節点を拘束しておけばよい。この場合、拘束しない接地領域内の節点には作用力を与えない等により作用力を無効化してもよい。なお、接地端以外の接地領域内の節点に作用する作用力は、タイヤのエンベロープ特性(突起を包み込む特性)によって、全体の作用力(すなわち動的応答の解析)に与える影響が少ない。そのため、接地領域内の節点の拘束や、作用力を与えない等によって作用力を無効化しても、高い精度で解析を実行することができる。
また、解析部52dによる動的応答の解析は、時間軸で実施してもよいが、それをフーリエ変換して周波数軸で実施してもよい。また、動的応答の解析は、線形摂動解析で実施することが好ましい。このように線形摂動解析で実行することで、非線形計算に比べて計算効率を向上させることができる。
なお、本実施形態の解析装置及びシミュレーション方法は、作用力の分布をより正確に考慮することができるため、ロードノイズの解析のように路面の小さな凸凹を乗り越えたときのタイヤの動的応答解析においてより効果的に精度を改善できる。特に、周波数応答解析を実施した場合の150Hz以上の周波数帯域においてより顕著な改善効果を得ることができる。
また、応答解析モデル10には、本実施形態のように、ホイールおよび内部の空気もモデル化したタイヤ・ホイール組立体モデルを用いることが好ましい。改善効果が大きい150Hz以上の周波数領域では、ホイール振動特性および空洞共鳴の影響があるため、タイヤ・ホイール組立体モデルを用いることで、解析の精度をより向上させることができる。なお、上記効果を得ることが出来るため、応答解析モデル10には、タイヤ・ホイール組立体モデルを用いることが好ましいが、応答解析モデルを路面モデルとタイヤモデルのみで構成してもよい。タイヤモデルのみを用いて路面モデルとの動的応答解析を行う場合も上記実施形態のように接地端節点の作用力を加味して解析を実行することで、上記効果を得ることができる。
また、動的応答の解析には、遠心力やコリオリ力など転動の効果を考慮することが好ましい。これにより、解析精度をより向上させることができる。
また、タイヤモデルの周方向における分割(要素への分割)は、接地端近傍(接地端近傍の非接地領域も含む)は、その外周の非接地領域よりも細かくすることが好ましい。また、タイヤモデルの接地端近傍は、各要素の周方向の角度が3°以下となる大きさで分割することが好ましい。このように、各要素の周方向の角度を3°以下で分割することで、解析精度を向上することができる。また、タイヤモデルの接地端近傍は、要素の周方向の角度を0.5°以上で分割することが好ましい。このように、各要素の周方向の角度を0.5°以上で分割することで、計算負荷を小さくすることができる。つまり、モデルを構成する要素が細かくなりすぎ、モデルの規模(要素数)が大きくなり計算効率が悪化することを抑制できる。
(評価例)
ここで、図9から図11は、本実施例に用いた応答解析モデルである。図9は、応答解析モデルの一例を示す斜視図であり、図10は、応答解析モデルの路面モデルの一例を示す斜視図であり、図11は、路面モデルとタイヤモデルとの関係を模式的に示す説明図である。本実施形態では、図9から図11に示す応答解析モデル10を用いて本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行した。ここで、タイヤ・ホイール組立体モデル12としては、サイズが175/70R14のタイヤに14×5 1/2のスチールホイールを組み込み、空気圧210kPa、荷重3.9kNを付与したタイヤ・ホイール組立体をモデル化したものを用いた。なお、タイヤ・ホイール組立体モデルの各要素は、図4及び図5に示すように分割した。次に、路面モデル14には、走行実験に合わせドラム型のモデルを用いた。
上記応答解析モデル10を用い、タイヤ・ホイール組立体モデル12が時速40km/hで路面モデル14を走行した際に、タイヤ・ホイール組立体モデル12が路面60に設けられた半径5mmの半球状の凸部62を乗り越した時の上下軸力の周波数スペクトルを解析した。なお、路面モデル14からタイヤ・ホイール組立体モデル12に作用する作用力は、特開2010−230641号公報に示す算出方法で算出した。また、本実施例では、係数Hを0.7とした。また、比較のために、接地端節点の作用力を他の節点に加えない以外は、同様の方法で算出した上下軸力の周波数スペクトルの算出も行った。さらに、同様の条件で走行実験を行い、上下軸力の周波数スペクトルの計測も行った。
図12及び図13に算出結果を示す。ここで、図12は、比較例のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。図13は、本実施例のシミュレーション結果の一例を示すグラフである。なお、図12と図13はともに、横軸を周波数[Hz]とし、縦軸を上下軸力[dB]とした。本評価例では、上下軸力は、1Nを0dBとする。図12には、比較例の算出結果(図12中モデル)と、実験の計測結果を示し、図13には、本実施例の算出結果(図13中モデル)と、実験の計測結果を示す。図12及び図13に示すように、比較例よりも本実施例の方が実験結果に近い結果を得ることができた。特に周波数150Hz以上の周波数大域で実験結果により近い算出結果(シミュレーション結果)を得ることができた。以上より、本実施形態の解析装置50及びシミュレーション方法を用いることでより高い精度で動的応答の解析を実行できることがわかる。
次に、タイヤの周方向で加振位置を変えてホイール中心までの振動伝達特性の計測を行った。なお、本計測では、タイヤ軸を可動とし、トレッドの各位置をインパルスハンマにより打撃して加振力を検出し、その時のホイール中心(タイヤ軸)の振動(加速度)を検出することによって振動伝達特性を計測した。具体的には、タイヤの接地領域の中心を0°とし、周方向の角度が24°、27°、30°の位置でトレッドを上下方向に加振して入力とし、ホイール中心の上下方向加速度を応答とした伝達特性(イナータンス)を計測し比較した。計測結果を図14に示す。ここで、横軸は周波数[Hz]、縦軸は0dBを1(m/s)/Nとしたイナータンス[dB]である。図14に示すように、周方向の角度が24°、27°、30°の伝達特性は、それぞれレベルは異なる(矢印102に示すように接地端に近いほどレベルが低くなる)が、波形は相似形状となる。以上より少なくとも周方向の角度が24°、27°、30°の位置、つまりタイヤの接地端の近傍では、周方向の位置によって、伝達特性の特性は相似となる。したがって、係数Hを定数としても解析を高い精度で実行することができる。
以上のように、本発明に係るタイヤのシミュレーション方法及びタイヤの解析用コンピュータプログラム、並びに解析装置は、コンピュータを用いたタイヤの解析に有用であり、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度を向上することに適している。
1 タイヤ
10 応答解析モデル
12 タイヤ・ホイール組立体モデル
14 路面モデル
16 タイヤモデル
18 ホイールモデル
20 空間モデル
30a、30b、30c、30b、30e、30f 節点
50 解析装置
51 入出力装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 作用力算出部
52c 作用力調整部
52d 解析部
54 記憶部
60 路面
62 凸部
102 矢印

Claims (7)

  1. コンピュータが、解析対象のタイヤに節点を設定し複数の要素に分割したタイヤモデルと前記タイヤが接触する路面の路面モデルとを含む応答解析モデルを作成するモデル作成ステップと、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触した際に、前記路面モデルから前記タイヤモデルに作用する作用力を算出する作用力算出ステップと、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触する接地面内の少なくとも作用力が存在する接地端の節点は拘束し、当該接地端の節点に作用する作用力を接地領域外で拘束されていない節点に加算する作用力調整ステップと、
    前記コンピュータが、前記作用力調整ステップで調整した調整結果を用いて、前記タイヤモデルの動的応答を解析する解析ステップと、
    を含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。
  2. 前記接地領域外で拘束されていない節点は、前記接地端の節点よりもタイヤ周方向外側で作用力が既に存在する節点であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  3. 前記接地領域外で拘束されていない節点は、前記接地端の接点に隣接する節点であることを特徴とする請求項2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  4. 前記作用力調整ステップは、前記接地端に作用する作用力に係数を乗じた作用力を、前記接地領域外で拘束されていない節点に加算することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  5. 前記係数は、0.3以上0.9以下の定数であることを特徴とする請求項4に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  6. コンピュータが、解析対象のタイヤに節点を設定し複数の要素に分割したタイヤモデルと前記タイヤが接触する路面の路面モデルとを含む応答解析モデルを作成するモデル作成ステップと、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触した際に、前記路面モデルから前記タイヤモデルに作用する作用力を算出する作用力算出ステップと、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルと前記路面モデルとが接触する接地面内の少なくとも一部の節点を拘束し、かつ、作用力の存在する接地端の節点は拘束しない作用力調整ステップと、
    前記コンピュータが、前記作用力調整ステップで調整した調整結果を用いて、前記タイヤモデルの動的応答を解析する解析ステップと、
    を含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。
  7. 前記解析工程は、前記動的応答として、前記路面からタイヤに作用する作用力により発生するタイヤの振動または発生する騒音を解析することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
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