JP2012111898A - 接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着構造物の短時間での移動と、接着構造物の加熱とを可能とする、接着方法を提供すること。
【解決手段】結晶化可能なポリマーを含む主剤及び硬化剤の少なくとも一方に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤及び硬化剤の加温工程と、前記主剤及び前記硬化剤とを混合する混合工程と、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】結晶化可能なポリマーを含む主剤及び硬化剤の少なくとも一方に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤及び硬化剤の加温工程と、前記主剤及び前記硬化剤とを混合する混合工程と、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、接着方法に関する。
従来、車両部品等の部材の接着方法としては、一般に、主剤のみからなる1液型の接着剤、又は主剤と硬化剤とからなる2液型の接着剤を接着対象物に塗布し、接着対象物同士を貼り合わせて接着構造物を形成する方法が用いられている。
例えば、特許文献1には、主剤のみで硬化可能であって硬化剤を添加することにより硬化を促進させる接着剤を用いて接着対象物を接着するにあたり、前記接着対象物に対して主剤のみで接着剤の塗布を開始する第1塗布工程と、第1塗布工程の後に主剤に硬化剤を添加しながら接着剤を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程の後に主剤のみを塗布しながら接着剤の塗布を終了する第3塗布工程とを含む接着方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、接着剤の形成後、接着対象物を用いて接着構造物を形成した場合、接着剤の形成から10分程度の短時間では、接着対象物同士の接着状態が維持できず、接着構造物を移動できない、という問題があった。
また、近年では、接着構造物を短時間で移動可能とすることに加えて、接着剤の形成から数時間経過後に、接着構造物を加熱することがある。このような場合、主剤のみからなる1液型の接着剤を使用した方法によっては、加熱時に接着構造物を構成する接着対象物同士の接着状態が維持できない、という問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、接着対象物を接着して得られる接着構造物を短時間で移動できるとともに、加熱しても接着対象物同士の接着状態の維持を可能とする接着方法を提供することを目的としている。
このような課題を解決するため本発明者は鋭意検討し、以下の発明を完成させた。本発明は以下の(1)〜(4)である。
(1) 主剤及び硬化剤の少なくとも一方に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤及び硬化剤の加温工程と、
前記主剤及び前記硬化剤とを混合する混合工程と、
複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程と
を含むことを特徴とする接着方法。
(2) 前記結晶化剤の融点Mが、50℃以上80℃以下である上記(1)に記載の接着方法。
(3) 前記硬化剤として、ヒドロキシ基、イミノ基、及びアミノ基の少なくとも1種を有する化合物を含有させる上記(1)又は(2)に記載の接着方法。
(4) 前記結晶化剤として、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂を含有させる上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の接着方法。
(1) 主剤及び硬化剤の少なくとも一方に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤及び硬化剤の加温工程と、
前記主剤及び前記硬化剤とを混合する混合工程と、
複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程と
を含むことを特徴とする接着方法。
(2) 前記結晶化剤の融点Mが、50℃以上80℃以下である上記(1)に記載の接着方法。
(3) 前記硬化剤として、ヒドロキシ基、イミノ基、及びアミノ基の少なくとも1種を有する化合物を含有させる上記(1)又は(2)に記載の接着方法。
(4) 前記結晶化剤として、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂を含有させる上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の接着方法。
本発明の接着方法は、接着構造物を短時間で初期の接着強度を発現できるとともに、加熱しても接着対象物同士の接着状態の維持を可能とする、という効果を奏する。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に開示する構成は、適宜組み合わせることができる。
図1は、本実施形態の接着方法の手順を示す図ある。本実施形態の接着方法は、結晶化可能なポリマーを含む主剤に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記結晶化剤を含ませた主剤を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤の加温工程(ステップS1)と、(融点M−10)℃以上の温度に加温された主剤を混合して混合物を得る混合工程(ステップS2)と、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程(ステップS3)と、前記接着構造物を移動する接着構造物移動工程(ステップS4)と、前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程(ステップS5)とを含む。
結晶化剤を含む主剤の加温工程(ステップS1)は、結晶化可能なポリマーを含む主剤に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記結晶化剤を含ませた主剤を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する工程である。
結晶化可能なポリマーとは、後述する混合工程(ステップS2)終了後、10分以下で、最終的な硬さの少なくとも20%程度の硬さに硬化するポリマーを意味する。このポリマーの硬化は、接着剤の冷却により当該ポリマーが結晶化することで達成される。
結晶化剤としては、例えば、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル樹脂は、数平均分子量が1000以上20000以下であって、平均官能価(プレポリマー1分子当りに保有するイソシアネート基の数)が1.6以上3.0以下であるものを使用することができる。イソシアネート基を有するポリエステル樹脂は、ポリエステルポリオールに、イソシアネート基を有する化合物を反応させて得ることができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、ウレタン樹脂等の合成に利用される従来より公知のポリイソシアネートを利用することができる。具体的には、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、オクタデシルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、p−MDI、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらの変性品等が挙げられる。このようなポリイソシアネート化合物は、単独でも2種以上を併用してもよい。
主剤は、結晶化可能なポリマー以外に、カーボンブラック、触媒、可塑剤、炭酸カルシウム、クレー等を含有することができる。カーボンブラックの含有量は、結晶化可能なポリマー100質量部に対して10質量部以上150質量部以下であることが好ましい。触媒としては、3級アミンや有機スズ化合物等の硬化触媒、又はこれらの混合物を用いることができる。
硬化剤としては、例えば、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を有する化合物又はそれらの混合物が挙げられる。イソシアネート基と反応しうる活性水素基としては、例えば、ヒドロキシ基、イミノ基、及びアミノ基が挙げられ、これらの活性水素基を有する化合物としては、ポリオール、アミン化合物、水等が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレンポリオール(PPG)、ポリエチレンポリオール(PEG)等のポリエーテルポリオール等が挙げられる。また、ポリエステルポリオールとしては前記ポリエーテルポリオールで例示したアルコールとアジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等の多塩基性カルボン酸との縮合物;ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコールとの反応生成物等のヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコールとの縮合物;カプロラクトン、バレロラクトン等を適当な重合開始剤で開環重合させたラクトンの重合物等が挙げられる。
ポリマーポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールに、アクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させたものが挙げられる。
これらのポリオールは、単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。ポリオールは、いずれの場合においても、重量平均分子量400以上5000以下、特に、1000以上4000以下のものを使用するとバランスの良い物性が得られるため好ましい。
アミン化合物としては、脂肪族アミン化合物、脂環族アミン化合物が挙げられる。脂肪族アミン化合物は、少なくとも1つのアミノ基又はイミノ基を有する脂肪族アミン化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ポリオキシプロピレンアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、2−ジエチルアミノエチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、2−ブチル−2−エチルペンタン−1,5−ジアミン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、3−アミノ−1−メチルアミノプロパン、3−アミノプロパノール、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン、ジプロピレントリアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘキシルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−メチルアミノプロピルアミン、ネオペンタンジアミン、n−オクチルアミン、トリデシルアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン化合物;キシリレンジアミン等の芳香環含有脂肪族アミン化合物;及びこれらの変性体等が挙げられる。
脂環族アミン化合物は、少なくとも1つのアミノ基又はイミノ基を有する脂環族アミン化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、シクロヘキシルアミン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、シクロヘキシルアミノプロピルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アミノカプロラクタム、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン(NBDA)、イソホロンジアミン(IPDA)等の脂環族アミン化合物;及びこれらの変性体等が挙げられる。
活性水素基を有する化合物の平均官能価(1分子当りに保有する、イソシアネート基と反応し得る活性水素の数)は、1.5以上4.5以下であることが好ましい。平均官能価を上記範囲内とすることで、イソシアネート基と十分に反応することができる。平均官能価が1.5を下回ると、イソシアネート基と十分に反応することができないため、好ましくない。また、平均官能価が4.5を越えると、硬化物の靱性や伸びが低下するため、好ましくない。
硬化剤としては、主剤(イソシアネート基を有するポリエステル樹脂も含む)のイソシアネート基数に対して、活性水素基の数が、70〜100%となるように、混合するのが好ましい。イソシアネート基に対する活性水素基の数を上記範囲内とすることで、接着性に優れ、タックの残らない硬化物とすることができる。
結晶化剤は、融点Mが50℃以上80℃以下の化合物であるのが好ましく、55℃以上70℃以下であるのがより好ましい。融点Mが、50℃以上では、夏場における硬化性が良好となり、80℃以下では、エネルギーコストの点で有利であり、主剤の熱劣化を抑制することができる。
結晶化剤を含む主剤の加温工程(ステップS1)では、以上に示す主剤に結晶化剤を含ませたものを加温する。結晶化剤の主剤への混合方法は特に限定されない。例えば、スタティックミキサーを用いて混合することができる。
結晶化剤を、主剤に混合した後、結晶化剤を含む主剤を加温する。加温条件は、結晶化剤の融点Mよりも10℃低い温度以上とする。これにより、結晶化剤が溶解する。結晶化剤を十分に溶解させることを考慮した場合には、加温条件は、結晶化剤の融点Mよりも5℃低い温度以上とすることが好ましい。また、加温条件の上限値については、理論上制限はないが、作業効率を考慮した場合には、できるだけ低い温度とすることが好ましい。
本実施形態においては、結晶化剤を用いることにより、後述する接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、短時間で、即ち、後述する接着構造物移動工程(ステップS4)の開始前に、移動時に接着構造物の接着形状が維持できる強度にまで接着剤を硬化させることができる。この硬化は、上述のとおり、加温された結晶化剤が含まれる接着剤が冷却されることにより、接着剤中の主剤が結晶化することで達成される。これにより、接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、短時間で、接着構造物を移動することができる。結晶化剤を含む主剤を加温した後、混合工程(ステップS2)に進む。
なお、本実施形態では、結晶化剤を主剤のみに混合して加温した場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、硬化剤に結晶化剤を混合して加温してもよいし、主剤及び硬化剤の両方に各々結晶化剤を混合して、主剤及び硬化剤の両方を加温してもよい。また、結晶化剤を配合していない主剤や、結晶化剤を配合していない硬化剤を加温してもよい。
混合工程(ステップS2)は、加温された主剤を用いて、主剤と硬化剤とを混合して接着剤を形成する工程である。主剤及び硬化剤の混合方法は、特に限定されない。例えば、スタティックミキサーを用いて混合することができる。主剤及び硬化剤を混合したら接着構造物形成工程(ステップS3)に進む。
接着構造物形成工程(ステップS3)は、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する工程である。本実施形態における接着対象物は、主に車両部品であり、例えば、プラスチック部品、FRP(繊維強化樹脂)、金属等が挙げられる。ステップS3は混合工程(ステップS2)の終了後5秒以上30分以下の時間内に開始することができる。接着対象物へ接着剤を塗布して接着対象物を貼り合せる方法は、特に限定されない。例えば、接着対象物に接着剤を、刷毛等によって塗布する方法、又は、ガンによって塗布する方法を適宜選択し、接着対象物を貼り合せることができる。接着対象物を貼り合せて接着構造物を形成したら、接着構造物移動工程(ステップS4)に進む。
接着構造物移動工程(ステップS4)は、前記接着構造物を移動する工程である。ステップS4は混合工程(ステップS2)後2分以上経過後に、上述したように接着剤が最終的な硬さの少なくとも20%の硬さに硬化するため、上記時間経過後に行うことができる。また、接着構造物の移動は、室温雰囲気で行う。接着構造物の移動にあたり、運搬機器によって接着構造物を構成する接着対象物の少なくとも一方を把持し、所定の場所まで移動する。
これにより、短時間に、接着構造物を室温雰囲気で移動しても、接着構造物を構成する接着対象物同士がずれることはなく、接着構造物をその接着時と同様の形状に維持することができる。なお、本実施形態において、接着構造物の移動時には接着剤が最終的な硬さの少なくとも20%の硬さに硬化しているため、接着対象物同士を事前に仮止めして、接着対象物同士の位置ずれを防止する必要はない。接着構造物を移動したら、接着構造物加熱工程(ステップS5)に進む。
接着構造物加熱工程(ステップS5)は、前記接着構造物を加熱する工程である。ステップS5は、混合工程(ステップS2)終了後、1時間以上経過後に上述のように接着剤が主剤と硬化剤との架橋反応によりさらに硬化するため、上記時間経過後に行うことができる。また、接着構造物の加熱は、高温雰囲気で行う。接着構造物の加熱にあたり、接着構造物を加熱炉内に入れる。加熱条件は、5分以上90分以下で、かつ、100℃以上200℃以下とすることができる。
なお、従来は、接着構造物の加熱前に、別の硬化炉内で接着剤を硬化させていたが、本実施形態の接着方法によれば、接着剤を硬化させるためだけに用いる硬化炉を別途用意することなく、作業性を向上させることができる。また、本実施形態において、接着構造物の加熱時には接着剤が硬化しているため、接着対象物同士を事前に仮止めして、接着対象物同士の位置ずれを防止する必要はない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<接着構造物の形成>
100mm×100mm×5mmのプラスチック板を複数枚用意し、接着対象物とした。これらのプラスチック板を2枚ずつ貼り合せるに際し、表1に示す成分を含む主剤及び硬化剤を用意した。
100mm×100mm×5mmのプラスチック板を複数枚用意し、接着対象物とした。これらのプラスチック板を2枚ずつ貼り合せるに際し、表1に示す成分を含む主剤及び硬化剤を用意した。
主剤及び硬化剤の各成分とその配合量とを表1に示す。表1中各成分の配合量は、ウレタンプレポリマーを100質量部とした場合の各配合量である。表1中、主剤の触媒等とは、ジオクチルジラウレート(U-810、日東化成社製)、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(BL19、エアプロダクツ社製)からなるものである。結晶化剤とはセバシン酸と1,6ヘキサンジオールから生成したポリエステルポリオールの末端にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を結合した化合物である。結晶化剤の融点は記号Mで示す。表1の硬化剤の配合量は、ポリプロピレンジオール、ポリプロピレングリコール、炭酸カルシウム、及び触媒の合計配合量である。
下記表1に示される各成分は、以下のとおりである。
・ウレタンポリマー:ポリプロピレングリコールと、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させた、末端にNCO基を有するプレポリマー
・カーボンブラック:商品名「ニテロンN330」、新日化カーボン社製
・主剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・硬化剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・硬化剤に用いた触媒:トリエチレンジアミン商品名:「DABCO」、エアプロダクツ社製
・ウレタンポリマー:ポリプロピレングリコールと、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させた、末端にNCO基を有するプレポリマー
・カーボンブラック:商品名「ニテロンN330」、新日化カーボン社製
・主剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・硬化剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・硬化剤に用いた触媒:トリエチレンジアミン商品名:「DABCO」、エアプロダクツ社製
表1に示す実施例1及び比較例1〜3の主剤および硬化剤を63℃で加温し、それらを混合した。室温下でプラスチック板の一方に対し、各接着剤をプラスチック板の四辺に、幅8mm×高さ12mmの断面三角形状に、塗布した。接着剤の形成後5分以内に両プラスチック板を貼り合せ、接着剤の厚みが5mmとなるまで両プラスチック板を圧締し、各例における接着構造物を作製した。
<評価>
接着剤を用いて2枚のプラスチック板を貼り合わせて接着剤構造物を形成した後、所定時間経過後における接着剤の接着性に関する評価結果を表1に示す。
(評価1:接着剤の形成から10分経過後)
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に形成した接着剤の形成から10分後に、各例の接着構造物に対し、2枚の接着対象物が離れる方向に30g/cmの接着剤の長さ当たりの荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、○、×は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
接着剤を用いて2枚のプラスチック板を貼り合わせて接着剤構造物を形成した後、所定時間経過後における接着剤の接着性に関する評価結果を表1に示す。
(評価1:接着剤の形成から10分経過後)
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に形成した接着剤の形成から10分後に、各例の接着構造物に対し、2枚の接着対象物が離れる方向に30g/cmの接着剤の長さ当たりの荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、○、×は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
(評価2:接着剤の形成から2時間経過後加熱時)
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に形成した接着剤の塗布から2時間後に、各例の接着構造物を加熱炉内に入れ、140℃下に20分間放置した。その際加熱炉内で2枚の接着対象物が離れる方向に30g/cm2の荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、○、×は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に形成した接着剤の塗布から2時間後に、各例の接着構造物を加熱炉内に入れ、140℃下に20分間放置した。その際加熱炉内で2枚の接着対象物が離れる方向に30g/cm2の荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、○、×は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
(評価結果)
表1から明らかなように、主剤に結晶化剤を混合して所定温度に加温し、この加温後の主剤と硬化剤とを混合して形成した接着剤を用いた実施例1の接着方法については、評価1及び評価2のいずれについても、両プラスチック板が離れた距離(変位量)は0.1mm未満であったことが確認された。
表1から明らかなように、主剤に結晶化剤を混合して所定温度に加温し、この加温後の主剤と硬化剤とを混合して形成した接着剤を用いた実施例1の接着方法については、評価1及び評価2のいずれについても、両プラスチック板が離れた距離(変位量)は0.1mm未満であったことが確認された。
これに対し、結晶化可能なポリマー(ウレタンプレポリマー)を含む主剤に結晶化剤を混合しなかった比較例1、2の接着方法、及び硬化剤を用いなかった比較例3の接着方法については、評価1及び評価2の少なくともいずれかについて、両プラスチック板が離れた距離(変位量)は0.1mm以上であったことが確認された。
よって、本発明によれば、接着対象物を接着して得られる接着構造物の短時間での接着状態の維持と、接着構造物の加熱時の接着状態の維持とを両立することができることが判明した。従って、本発明は、車両部品の接着に好適に用いることができる。
以上のように、本発明の接着方法は、接着対象物を接着して得られる接着構造物の短時間での移動を可能とするとともに、接着構造物の加熱を可能とすることに有用である。
Claims (4)
- 主剤及び硬化剤の少なくとも一方に、融点Mの結晶化剤を含ませ、前記主剤及び前記硬化剤の少なくとも一方を、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、結晶化剤を含む主剤及び硬化剤の加温工程と、
前記主剤及び前記硬化剤とを混合する混合工程と、
複数の接着対象物の少なくとも1つに前記接着剤を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程と
を含むことを特徴とする接着方法。 - 前記結晶化剤の融点Mが、50℃以上80℃以下である請求項1に記載の接着方法。
- 前記硬化剤として、ヒドロキシ基、イミノ基、及びアミノ基の少なくとも1種を有する化合物を含有させる請求項1又は2に記載の接着方法。
- 前記結晶化剤として、イソシアネート基を有するポリエステルポリオールの少なくとも1種を含有させる請求項1から3のいずれか1項に記載の接着方法。
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