JP2012111857A - 半導体封止用硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、(A)グリシジルエーテル基および(B)アリルエーテル基を含み、かつ数平均分子量が500〜1200の範囲にあるフェノールノボラック系エポキシ化合物を少なくとも一種含むエポキシ化合物を用いる。
【選択図】なし
Description
[1]エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、前記エポキシ化合物の少なくとも一種が(A)グリシジルエーテル基および(B)アリルエーテル基を含み、かつ数平均分子量が500〜1200の範囲にあるフェノールノボラック系エポキシ化合物であることを特徴とする半導体封止用硬化性組成物。
[2]前記フェノールノボラック系エポキシ化合物の有する(A)グリシジルエーテル基と(B)アリルエーテル基とのモル比率が、(A)/(B)=95/5〜60/40である[1]に記載の半導体封止用硬化性組成物。
[3]前記フェノールノボラック系エポキシ化合物の150℃における溶融粘度が80〜300mPa・sの範囲である[1]または[2]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[4]前記フェノールノボラック系エポキシ化合物のエポキシ当量が160〜290の範囲である[1]〜[3]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[5]前記フェノールノボラック系エポキシ化合物が、対応するフェノールノボラックポリアリルエーテル化合物を、酸化剤と反応させて得られるものである[1]〜[4]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[6]前記フェノールノボラック系エポキシ化合物がオルトクレゾールノボラック系エポキシ化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[7]無機充填材をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物の硬化物で封止された半導体装置。
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、(A)グリシジルエーテル基および(B)アリルエーテル基を含み、かつ数平均分子量が500〜1200の範囲にあるフェノールノボラック系エポキシ化合物を少なくとも一種含む。この化合物の製造方法は特に制限されることはなく、従来公知の方法を利用できる。エピクロルヒドリンを用いて合成されるフェノールノボラック系エポキシ化合物を使用することもできるが、特別な精製操作等を行わない場合、一般的にエピクロルヒドリン由来の塩素が化合物中に残留する。高温・高湿下に半導体装置が置かれる環境においては、封止材に含まれる塩素により、半導体の金属配線、接合部の腐食が促進されるマイグレーションと言われる現象が発生し、長期信頼性に悪影響を与えることが問題とされている。マイグレーションを防ぎ長期信頼性を向上させるためには、フェノールノボラック系エポキシ化合物中の残留塩素は低い方が有利であり、例えば約500ppm以下であり、約100ppm以下であることが好ましく、約10ppm以下であることが特に好ましい。フェノールノボラック系エポキシ化合物が、当該化合物に対応するフェノールノボラックポリアリルエーテル化合物のアリルエーテル基の炭素−炭素二重結合を、過酸化水素等の酸化剤と反応させるエポキシ化によって得られるものであれば、残留塩素を低いレベルにすることができるため、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。そのようなエポキシ化の方法としては、例えば、(1)タングステン酸系化合物を触媒とする方法、(2)ニトリル化合物を併用する方法の2つを挙げることができる。(1)の方法としては、特開昭60−60123号公報、特開2005−169363号公報に記載の方法があげられる。(2)の方法としては、特開昭59−227872号公報、J. Org. Chem. 1961, 26(3), pp.659-663に記載の方法があげられる。本発明においては、前記(1)、(2)のいずれの方法も、ポリアリルエーテル化合物のエポキシ化に好適に用いることができる。
本発明の半導体封止用硬化性組成物は、前記エポキシ化合物のグリシジル基と反応させて硬化物を得るための硬化剤を含む。硬化剤は特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型樹脂、アルキル置換フェノールノボラック型樹脂、BPAノボラック型樹脂、ザイロック型フェノール等のフェノール系硬化剤、ジヒドロキシナフタレン、フェノール−ナフトール共縮ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ジヒドロキシナフタレンノボラック樹脂等のナフトール系硬化剤、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンなどの脂肪族アミン類、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン類、ポリアミド樹脂およびその変性物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤は単独でも2種類以上の併用でもよい。これらのなかでも、特に硬化性に優れる点からフェノール系硬化剤が好ましい。
本発明の半導体封止用硬化性組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤として公知のエポキシ樹脂用硬化促進剤を用いることができ、例えば第三級ホスフィン類、第三級アミン類、イミダゾール類等を用いることができる。具体的には、好ましい第三級ホスフィン類としては、例えばトリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等を挙げることができる。好ましい第三級アミン類としては、例えばジメチルエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン(DBU)などを挙げることができる。好ましいイミダゾール類としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどを挙げることができる。これらの中でも耐熱性、耐水性、電気特性等に優れ、また、半導体封止材料用途において安定性に優れる点から2−メチルイミダゾール、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリフェニルホスフィン、ジメチルベンジルアミンおよびこれらの混合物が好ましい。
本発明の半導体封止用硬化性組成物の調製方法は特に限定されず、従来のトランスファー成形用材料の調製方法を用いることができる。すなわち、エポキシ化合物、硬化剤、必要に応じて硬化促進剤、無機充填材、その他の添加剤をヘンシェルミキサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロールまたはニーダ−等で混練し、タブレット状に成形することが好ましい。このタブレットを用い、トランスファー成形或いは射出成形することなどにより半導体パッケージを成形することができる。
<フェノールノボラック系エポキシ化合物のグリシジルエーテル基/アリルエーテル基のモル比率>
グリシジルエーテル基とアリルエーテル基のモル比率測定は、ブルカーバイオスピン(株)製 400MHz 核磁気共鳴装置AVANCE III 400を使用して、重クロロホルムを測定溶媒として用い、1H-NMRにより測定した。
<溶融粘度>
150℃における溶融粘度をAnton Paar社製Phisica MCR301を使用して、せん断速度100(1/s)、測定時間200(sec)で測定した。
<平均分子量>
エポキシ化合物の平均分子量測定は、日本分光(株)高速液体クロマトグラフLC-2000Plusシリーズを使用した。測定条件は、カラム:KF-802(昭和電工(株)製)、オーブン温度:40℃、溶離液:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/分、検出器:RI2031を用いて、ポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
<エポキシ当量>
エポキシ当量はJIS-K7236に準拠して求めた。試料を0.1〜0.2g秤量し、三角フラスコに入れた後、ジクロロメタン10mLを加えて溶解させる。次に、酢酸20mLを加え、続いて臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液(臭化テトラエチルアンモニウム100gを酢酸400mLに溶解させたもの)10mLを加える。この溶液にクリスタルバイオレット指示薬を1、2滴加え、0.1mol/L過塩素酸酢酸溶液で滴定し、滴定結果に基づいて、下記式に従いエポキシ当量を求めた。
エポキシ当量(g/eq)=(1000×m)/{(V1−V0)×c}
m:試料の重量(g)
V0:空試験における終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
V1:終点までの滴定に消費した過塩素酸酢酸溶液の量(mL)
c:過塩素酸酢酸溶液の濃度(0.1mol/L)
<全塩素量>
全塩素量は、エポキシ化合物を800℃以上の高温で燃焼・分解させ、その分解ガスを超純水等に吸収させ、イオンクロマトグラフィーで定量することにより測定した。イオンクロマトグラフィーは、メトローム社製 861 Advanced Compact IC、Shodex SI-90 4Eカラムから構成され、溶離液を1.7mM NaHCO3/1.8mM Na2CO3水溶液として、1.3mL/minで測定した。
2000mLのナス型フラスコに、オルトクレゾールノボラック樹脂CRG-951(昭和電工(株)製、水酸基当量118)200.0g、50%含水5%-Pd/C-STDタイプ(エヌ・イーケムキャット(株)製)3.61g(0.847mmol)、トリフェニルホスフィン(北興化学(株)製)2.22g(8.47mmol)、炭酸カリウム(旭硝子(株)製)234g(1.69mol)、酢酸アリル(昭和電工(株)製)187g(1.86mol)、およびイソプロパノール200gを入れ、窒素雰囲気中、85℃で8時間反応させた。反応後、一部サンプリングし、酢酸エチルで希釈し、純水で洗浄液が中性になるまで洗浄した後、イソプロパノールおよび酢酸エチルを留去し、JIS-K0070に準拠して水酸基価を測定し、水酸基がほぼ消費されていることを確認した。
予めタングステン酸ナトリウム16.7g(50.8mmol)を、純水20.0gおよび45%過酸化水素水溶液7.68g(100mmol)に溶解したものを調製した。
使用した過酸化水素水溶液の滴下量を95.4g(1.26mol)とした以外は、合成例2と同様にしてエポキシ化合物を212g得た。エポキシ当量は214、数平均分子量はMn=775、(A)グリシジルエーテル基と(B)アリルエーテル基のモル比は、A/B=81:19であった。また、全塩素量の測定結果は2.6ppmであった。
使用したタングステン酸ナトリウムを8.35g(25.4mmol)、リン酸を2.48g(25.4mmol)、過酸化水素水溶液の滴下量を95.4g(1.26mol)とした以外は、合成例2と同様にしてエポキシ化合物を208g得た。エポキシ当量は247、数平均分子量はMn=708、(A)グリシジルエーテル基と(B)アリルエーテル基のモル比は、A/B=73:27であった。また、全塩素量の測定結果は4.2ppmであった。
使用したタングステン酸ナトリウムを8.35g(25.4mmol)、リン酸を2.48g(25.4mmol)、過酸化水素水溶液の滴下量を76.3g(1.01mol)とした以外は、合成例2と同様にしてエポキシ化合物を205g得た。エポキシ当量は279、数平均分子量はMn=695、(A)グリシジルエーテル基と(B)アリルエーテル基のモル比は、A/B=63:37であった。また、全塩素量の測定結果は2.5ppmであった。
表1に示す配合組成にて各成分を混合し、それらを100℃の熱ロールにて溶融混練することによって、実施例1から4および比較例1、2の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を金型にて180℃、1時間、圧力30kg/cm2で加圧成形し、厚さ1.5mmおよび3mmの板状試験用硬化物を作製した。
(エポキシ化合物)
・エポキシ化合物1:合成例2で得られたポリグリシジルエーテル(エポキシ当量195g/eq、数平均分子量:822、溶融粘度(150℃)260mPa・s、全塩素量3.0ppm)
・エポキシ化合物2:合成例3で得られたポリグリシジルエーテル(エポキシ当量214g/eq、数平均分子量:775、溶融粘度(150℃)212mPa・s、全塩素量2.6ppm)
・エポキシ化合物3:合成例4で得られたポリグリシジルエーテル(エポキシ当量247g/eq、数平均分子量:708、溶融粘度(150℃)150mPa・s、全塩素量4.2ppm)
・エポキシ化合物4:合成例5で得られたポリグリシジルエーテル(エポキシ当量279g/eq、数平均分子量:695、溶融粘度(150℃)87mPa・s、全塩素量2.5ppm)
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:EPICLON N-660、エポキシ当量206g/eq、平均分子量:490、溶融粘度(150℃)269mPa・s、全塩素量1580ppm)
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製、商品名:YDCN-704、エポキシ当量200g/eq、平均分子量:1400、溶融粘度(150℃)3560mPa・s、全塩素量780ppm)
(硬化剤)
・フェノールノボラック樹脂(昭和電工株式会社製、商品名:BRG−555、水酸基当量103)
(硬化促進剤)
・トリフェニルホスフィン(北興化学株式会社製、TPP)
(無機充填材)
・溶融シリカ(龍森株式会社製、MSR−2212、D50:20μm、最大粒径:72μm)
実施例1〜4および比較例1、2の各硬化性組成物の溶融粘度およびその硬化物のガラス転移温度(Tg)、線膨張係数の評価は、以下の測定によって行った。
<ガラス転移温度(Tg)>
熱機械測定(TMA)により測定した。セイコー電子工業株式会社製SSC5200H熱分析システムを使用し、温度範囲40〜180℃、昇温速度10℃/min、荷重3gの条件で、4mm×4mm×10mmの板状試験片を用いて測定を行った。
<線膨張係数(CTE)>
Tgと同様に、TMAにより測定した。セイコー電子工業株式会社製SSC5200H熱分析システムを使用し、温度範囲40〜180℃、昇温速度10℃/min、荷重3gの条件で測定を行い、Z軸方向の膨張率より線膨張係数を求めた。
<溶融粘度>
無機充填材を配合した硬化性組成物の150℃における溶融粘度を、Anton Paar社製Phisica MCR301を使用して、せん断速度100(1/s)、測定時間300(sec)で測定した。
<吸水率>
吸水率はJIS-K7209に準拠して求めた。エポキシ化合物を半導体封止用硬化物として硬化し、50mm×50mm×1.5mmの板状試験片とした。この試験片を80℃で24時間乾燥した後、23℃の恒温水中に浸し、そのまま24時間静置した。その後、水中から取り出し、硬化物の重量増加分から吸水率を求めた。
Claims (8)
- エポキシ化合物と硬化剤とを必須成分とする半導体封止用硬化性組成物において、前記エポキシ化合物の少なくとも一種が(A)グリシジルエーテル基および(B)アリルエーテル基を含み、かつ数平均分子量が500〜1200の範囲にあるフェノールノボラック系エポキシ化合物であることを特徴とする半導体封止用硬化性組成物。
- 前記フェノールノボラック系エポキシ化合物の有する(A)グリシジルエーテル基と(B)アリルエーテル基とのモル比率が、(A)/(B)=95/5〜60/40である請求項1に記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 前記フェノールノボラック系エポキシ化合物の150℃における溶融粘度が80〜300mPa・sの範囲である請求項1または2のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 前記フェノールノボラック系エポキシ化合物のエポキシ当量が160〜290の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 前記フェノールノボラック系エポキシ化合物が、対応するフェノールノボラックポリアリルエーテル化合物を、酸化剤と反応させて得られるものである請求項1〜4のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 前記フェノールノボラック系エポキシ化合物がオルトクレゾールノボラック系エポキシ化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 無機充填材をさらに含む請求項1〜6のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の半導体封止用硬化性組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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