JP2012032564A - 画像形成方法 - Google Patents

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敬介 阿部
Kazuhisa Kenmochi
和久 剱持
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尊広 細川
Tsutomu Miki
勉 三木
Hikari Osada
光 長田
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Abstract

【課題】トナーの記録紙に対する隠蔽率を向上させることで、低温定着性と同時に、銀塩写真や印刷レベルの画質として十分な濃度、光沢度、色再現性を実現する。
【解決手段】溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類のトナーを用いて形成されたトナー像を記録紙上に形成し、該トナー像を担持する記録紙を定着ニップ部に通過させてトナー像を定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該定着ニップ部には、0.05MPa以上の圧力が印加される有効圧力領域があり、
前記溶融粘度の温度依存性が異なるトナーのうち、少なくとも1種類は前記有効圧力領域における最低到達粘度が1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満であり、
前記有効圧力領域において、低粘度トナーの溶融粘度GLと該低粘度トナーと併用される高粘度トナーの溶融粘度GHとが
0.5≦logGH−logGL≦2.5
を満たす定着ニップ領域があることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、潜像担持体上の静電潜像を現像するためのトナーおよび、このトナーを用いて現像した画像を記録紙に転写し、その後定着して印字画像を得る画像形成装置の技術分野に属する。特に定着後の印字画像の濃度、光沢度、色再現性を向上させるためのトナーおよび、画像形成方法に関するものである。
電子写真方式のプリンタや複写機による印字画像の画質には使用用途によって様々な要求がある。中でもポスターや広告物、美術作品の表現などに使用するためには、銀塩写真や印刷レベルの画質が必要であり、十分な濃度や光沢感、フルカラーによる精彩な色再現性などが求められる。
電子写真方式のプリンタや複写機などの定着プロセスにおいては、記録紙上に転写されたトナーを加熱、加圧することによって記録紙に定着させるようになっている。このときトナーが記録紙を十分に隠蔽し、平滑なトナー画像面を形成することで、画像の濃度や光沢度、色再現性が向上することが知られており、定着プロセスにおけるトナー溶融は印字画像の画質を左右する要因となっている。
この現象に大きな影響を与えるパラメータとして、定着装置によってトナーに与えられる熱や圧力とその印加時間、およびトナーの溶融粘度などが挙げられ、これらを調整することで印字画像の画質に求められる要求に対応したプリンタや複写機が開発されている。
溶融粘度の低いトナーは、低温定着性に優れており、定着プロセスによって記録紙上で溶け広がって記録紙を隠蔽し、加圧によって押しつぶされて平滑なトナー画像面を形成することで、濃度や光沢度、色再現性などが向上するのに効果を発揮する。しかし同時に、トナーが記録紙に過度に浸透して、表面を隠蔽できなくなり、逆に画質の低下を引き起こすようにも作用する。また、ホットオフセットが発生しやすくなり、保存性(耐ブロッキング性)を低下させるようにも作用する。
逆に溶融粘度の高いトナーは、低温定着性には不利であり、記録紙の隠蔽、平滑トナー面の形成が困難であるが、記録紙への過度の浸透や、ホットオフセットの発生、保存性には有利に働く。このような粘度の違いに起因するトナーの溶融特性を利用した提案がなされている。
例えば、特許文献1は、従来は1つの機種では決められた光沢度しか得られないという課題に対して、トナーの軟化点が異なる2種類以上のトナーを混合して用いることで、同じ機種においても温度調節により印字画像の光沢度を調節することができるとしている。
また、特許文献2は、潜像担持体に現像したトナーを記録紙に転写した後、潜像担持体に残留したトナーをリサイクルトナーとして回収し再利用する画像形成装置に関する提案である。この中で、リサイクルトナーと混合して使用する補充トナーの結着樹脂のガラス転移点およびトナー溶融粘度が、初期トナーのそれと異なることを特徴としている。リサイクルトナーは初期トナーよりも定着性に劣るため、補充トナーはガラス転移点およびトナー溶融粘度を定着性が向上する方向にシフトしたものを使用することで、良好な画質を維持するというものである。
しかしながら、特許文献1のような光沢度の選択機能や、特許文献2のような定着性の維持機能だけでは、銀塩写真や印刷レベルとして十分な画質を得ることは出来ない。求められる画質としては、光沢度や定着性の他、十分な濃度と色再現性も同時に確保する必要があり、そのためには低粘度トナーの低温定着性を維持しつつ、過度の溶融による画質低下、特にトナーの記録紙への浸透による隠蔽率の低下を防止する必要がある。
特開2001−235892号公報 特開平11−95553号公報
本発明の目的は、トナーの記録紙に対する隠蔽率を向上させることで、低温定着性と同時に、銀塩写真や印刷レベルの画質として十分な濃度、光沢度、色再現性を実現することにある。
この課題を解決することが本発明の目的である。
そして、本発明の画像形成方法は、同じ色相を有し、溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類のトナーを用いて形成されたトナー像を記録紙上に形成し、該トナー像を担持する記録紙を、加熱体を有する定着部材と該定着部材に圧接した加圧部材とにより形成される定着ニップ部に通過させて、トナー像を記録紙に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該定着ニップ部には、0.05MPa以上の圧力が印加される有効圧力領域があり、
前記溶融粘度の温度依存性が異なるトナーのうち、少なくとも1種類は前記有効圧力領域における最低到達粘度(GL-min)が1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満であり、
前記有効圧力領域において、低粘度トナーの溶融粘度GLと該低粘度トナーと併用される高粘度トナーの溶融粘度GHとが下記式
0.5≦logGH−logGL≦2.5
を満たす領域があることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法は、溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類の樹脂粒子を用いて形成された樹脂粒子画像を記録紙上に形成し、該樹脂粒子画像を担持する記録紙を、加熱体を有する定着部材と該定着部材に圧接した加圧部材とにより形成される定着ニップ部に通過させて、樹脂粒子画像を記録紙に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該定着ニップ部には、0.05MPa以上の圧力が印加される有効圧力領域があり、
前記溶融粘度の温度依存性が異なる樹脂粒子のうち、少なくとも1種類は前記有効圧力領域における最低到達粘度(Gmin)が1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満であり、
前記有効圧力領域において、低粘度樹脂粒子の溶融粘度GLと該低粘度樹脂粒子と併用される高粘度樹脂粒子の溶融粘度GHとが下記式
0.5≦logGH−logGL≦2.5
を満たす定着ニップ領域があることを特徴とする。
本発明によれば、記録紙上のトナーを適正に溶融させて記録紙を隠蔽し、平滑なトナー画像面を形成することで、濃度、光沢度、色再現性を向上させることができる。
定着ニップ内における温度と圧力のプロファイルを示す図。 2種類のトナーの定着ニップ内における溶融粘度変化の一例を示す図。 記録紙上のトナーの溶融過程を説明する上面図。 記録紙上のトナーの溶融過程を説明する断面図。 定着装置の一例の断面図。 画像形成装置の一例の構成模型図。 画像形成装置の一例の構成模型図。 画像形成装置の一例の構成模型図。 画像評価に用いた4種のトナーの溶融粘度を示す図。 表1の画像評価結果をグラフ化した図。 混合トナーの溶融粘度の一例を示す図。 表2の画像評価結果をグラフ化した図。
以下、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置
図6は本発明に係る画像形成装置の一例の概略断面図である。本実施例に示す画像形成装置は、転写方式、電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
図6において、101は回転自在に支持されている潜像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム101は駆動手段(不図示)によって矢印方向へ所定のプロセススピードで回転駆動される。
感光ドラム101の周囲には、その回転方向に沿って、帯電ローラ(帯電手段)102、レーザ露光装置(露光手段)103、現像装置(現像手段)104、転写ローラ(転写手段)106、クリーニング装置(クリーニング手段)105がその順に配設してある。
感光ドラム101の外周面(表面)は、帯電ローラ102により、所定の極性および電位に一様に帯電される。その後、感光ドラム101の表面に対しレーザ露光装置103から目的の画像情報に基づいたレーザ光Lが照射され、露光部分の電荷が除去されて該感光ドラム上に静電潜像が形成される。
感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置104の有する現像剤(トナー)よって現像される。現像装置104は、トナーを含有するトナー容器(不図示)と現像ローラを有している。この現像ローラに現像バイアスを印加し、感光ドラム101上の静電潜像に、現像ローラに担持されたトナーを付着させることで、静電潜像がトナー画像として可視化(顕像化)される。そのトナー画像は、1次転写ローラ106に一次転写バイアスを印加することにより中間転写ベルト108に一次転写される。この工程を画像形成部Py以降、Pm、Pc、Pkにおいても繰り返し、中間転写ベルト108上に4色のトナー画像を重ね合わせて形成する。
一方、所定のタイミングで給送カセット(不図示)から記録紙Pが給送され、搬送ローラ111等により、中間転写ベルト108と二次転写ローラ110とによって形成される転写ニップ部Tnへと搬送される。二次転写ローラ110には、転写バイアスが印加され、これにより中間転写ベルト108上の4色のトナー画像が記録紙Pに一括して2次転写される。
未定着トナー画像を担持した記録紙Pは転写ニップ部Tnを出た後、加熱定着装置(以下、定着装置と略記する)112へ送り込まれる。定着装置112では、定着ニップ部で記録紙を挟持搬送しながら、未定着トナー画像を加熱・加圧して記録紙上に定着させる。定着装置112の構成については(3)項で詳しく説明する。
トナー画像が定着された記録紙Pは、装置本体上の排出トレイ(不図示)に搬送・排出される。
一方、トナー画像転写後の感光ドラム101上、中間転写ベルト108上に転写されずに残存するトナーは、クリーニング装置105、109によって除去される。これにより感光ドラム101、中間転写ベルト108はクリーニングされ、次の画像形成に備える。
本発明で用いる溶融粘度の異なる少なくとも2種類のトナーは、現像装置104が有するトナー容器内で混合されていてもよい。あるいは、未混合のトナー毎に現像装置を設けて、それぞれ別途現像してもよい(実施例4に記載)。
(2)トナー
本発明で用いるトナーは従来公知の製造法により製造することができ、少なくともバインダー樹脂、着色剤を含有する静電荷像現像用トナーである。または、バインダー樹脂からなり、着色剤を含有しない静電荷現像用樹脂粒子でもよい。
本発明で用いるトナーまたは樹脂粒子のバインダー樹脂には特に制限は無く、天然または合成高分子物質からなる熱可塑性樹脂を用いることができる。スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を用いて合成されるスチレンアクリル樹脂の他、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂などを単独または混合して用いても良い。中でも、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
異なる溶融粘度のトナーまたは樹脂粒子を得る方法の一つとしては、バインダー樹脂の組成や配合比、重合方法、重合条件などを変更することが挙げられる。
低粘度トナーまたは低粘度樹脂粒子として用いられるバインダー樹脂の一例としては、単量体組成物としてスチレンモノマー95部、ブチルアクリレート5部の混合物を用い、溶媒としてトルエンを用い、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて、溶液重合させて得られる比較的に低分子量の重合体が挙げられる。
高粘度トナーまたは高粘度樹脂粒子として用いられるバインダー樹脂の一例としては、単量体組成物としてスチレンモノマー80部、ブチルアクリレート20部の混合物を用い、重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)シクロヘキサンを用いて、懸濁重合させて得られる比較的に高分子量の重合体が挙げられる。
そして、例えば、上記のバインダー樹脂と、着色剤、および必要に応じて架橋剤や帯電制御剤、離型剤の如き添加剤をボールミルその他の混練機により十分混合した後、加熱ロールなどの熱混練機を用いて溶融混練した後で冷却し、気流式粉砕機で粉砕、風力分級機で分級して粒度分布を調整し、トナーを得ることができる。
なお、溶融粘度を変更する手段はバインダー樹脂の変更に限らず、添加剤の種類や量を変えるなどしてもよい。
なお、本実施例においては、溶融粘度の温度依存性が異なる2種類のトナーを併用(混合)して用いる場合について述べる。これらのトナーは、同じ色相を有するものであるが、完全に同じ色相である場合に限られるものではなく、例えば、シアントナーであれば、シアントナーとして用いることができる程度に色相が揃っていれば良い。
色相はフルカラー画像を形成するためのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに準ずるものであればよく、また、混合することによってその色相が得られるように、混合前の各トナーの着色剤を変更し、色相を調整してもよい。また、本発明の効果が得られる範囲内で混合比を変更することで色相を調整してもよい。
(3)定着装置
図5は定着装置112の一例の概略断面図である。
熱源(加熱体)を有し回転可能な加熱ローラ10と、加熱ローラ10に圧接して定着ニップを形成する回転可能な加圧ローラ20からなり、定着ニップ部NでトナーTを担持した記録紙Pを挟持搬送しながら、未定着トナー画像を加熱・加圧して記録紙P上に定着させる。
加熱ローラ10は、熱伝導性の良い金属(アルミニウムや鉄など)の中空芯金11と、この外側にシリコンゴムなどの弾性層12と、この弾性層12の表面を被覆するPFAなどの離型層13を設けている。中空芯金11の内側には熱源としてハロゲンヒータ14が配置されている。ハロゲンヒータ14の動作は温度制御装置15で制御される。温度制御装置15はサーミスタ16で検知された加熱ローラ10の表面温度に基づき、ハロゲンヒータ14の動作に対するオンオフ制御を行う。
加圧ローラ20は、金属(アルミあるいは鉄など)の芯金21と、この芯金21の外側にシリコンゴムなどの弾性層22と、この弾性層22の表面を被覆するPFAなどの離型性層23からなる。
なお、上記の内容は本発明の定着装置の構成を限定するものではない。定着装置の加熱方式としては上記の熱ローラ方式の他に、フィルム(ベルト)加熱方式、誘導加熱方式や、これらの組み合わせ、及び複数の加熱源を用いるなどしても良い。フィルム加熱方式の場合には、フィルム状部材を介して、定着部材に対する加圧部材による加圧がなされ、加熱部材とフィルム状部材とで定着ニップ部が形成される。
(4)混合トナーによる画像評価
以下に、定着ニップ中で溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類のトナーを混合して用いて、記録紙上に形成されたトナー像を定着して得られる画像の評価結果について説明する。
まず溶融粘度の温度依存性が異なる4種類のトナーA,B,C,Dを単体で用いて、記録紙上にトナー像を形成し、各種定着条件にて定着し、画像評価を行った。各トナーの重量平均粒径は6.0μm、比重は1.1g/cm3でほぼ同等である。記録紙は坪量80g/m2の普通紙を用い、記録紙上のトナー像は載り量0.3mg/cm2のシアン色のベタ画像である。
図9はトナーA,B,C,Dの溶融粘度の温度依存性を示したグラフである。
なお、溶融粘度は以下の方法により求めたものである。
装置としては、例えばフローテスターCFT−500D(株式会社島津製作所製)を用い、下記の条件で測定を行う。
・サンプル:約1.5gのトナーを秤量し、これを加圧成型器で300kg/cm2の加重で1分間成型してサンプルとする。
・ダイ穴径:1.0mm、0.5mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:4.903×105(Pa)乃至3.972×107(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/min
・測定温度範囲:50℃乃至150℃
図1はトナー像を担持した記録紙を定着部材と加圧部材とで形成される定着ニップ部に通紙している最中の記録紙表面の温度変化、及び圧力変化の一例を示したグラフである。記録紙表面の温度は定着ニップ部上流から下流に向かう間に昇温しつづける。圧力は定着ニップ部の中央でピークを持ち、0.05MPa以上の圧力が印加される領域(以後、有効圧力領域と表記)を有する。ここでは、定着ニップ中央で圧力がピークとなる構成としたが、必ずしも中央でピークとなる必要はなく、例えば、定着ニップ部の後半においてピークとなる構成でもよい。
なお、定着ニップ部における記録紙表面の温度測定は、次のようにして行った。温度検知部の熱容量が小さい熱電対(例えば、安立計器(株)製K型熱電対線 径50μm)を記録紙上に貼り付け、その記録紙を温度制御した定着装置の定着ニップ部に挟持搬送させた。そしてそのときの熱電対から電位差信号を日置電機(株)製メモリハイコーダー(型番8842)で測定した。
また、定着ニップ部の圧力測定はニッタ(株)製の圧力分布測定システムPINCHを用いた。
上記の方法で、それぞれの定着条件における定着ニップ中の記録紙表面温度を測定し、例えば図1に示すような定着ニップ中の記録紙表面の温度プロファイルを得た。この温度プロファイルと、図9に示すトナー溶融粘度の温度依存性から、例えば図2に示すような定着ニップ中でのトナー溶融粘度の変化に換算した(図2ではトナーBおよびトナーDの溶融粘度の変化を示している)。さらに、有効圧力領域における最低到達粘度Gminを抽出した。尚、最低到達粘度Gminとは、定着ニップ中に達する粘度の最低値のことを意味する。例えば図2では有効圧力領域のニップ下流側端部における溶融粘度がこれに該当し、トナーBの最低到達粘度は点GB-min、トナーDの最低到達粘度は点GD-minの事である。
表1は画像評価結果をまとめたものである。
Figure 2012032564
定着条件として、温度、プロセススピード、圧力を変えて、画像評価を行った。ここでは一例として、定着部材表面温度を変えた(1)140℃、(2)160℃、(3)200℃、(4)240℃の4水準のデータを抽出して説明する。定着時間は約40msecである。なお、プロセススピードと圧力に関しては、本発明の効果がより好ましく得られる範囲について後述する。
「評価1」欄の○は定着可、△は繊維の透け発生、×は定着不可、*はホットオフセット発生を示す。
○定着可、×定着不可の判定方法は以下の通りである。定着後の画像を1kgの荷重をかけながら十字に折り曲げ、さらに200gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前に対する摺擦後のトナー剥がれ率(面積比)が20%未満を○定着可、20%以上を×定着不可とした。
また、*ホットオフセット発生の判定方法は以下の通りである。記録紙先端に数階調のハーフトーン横帯画像を形成して定着を行い、定着部材にオフセットしたトナーが周回して記録紙に再定着される領域の反射率を測定し、白地部との反射率の差を求める。この値が最も大きくなる階調ハーフトーンを採用して、差が0.5以上の場合を*ホットオフセット発生とした。
また、△繊維の透け発生については、その現象と判定方法を以下に述べる。
トナーは記録紙上に定着されて記録紙を隠蔽することで十分な画像濃度や色味が得られる。低粘度特性のトナーを用いる、あるいは高温・長時間で定着を行うことで、よりトナー溶融を進行させ、トナーの記録紙に対する隠蔽率を向上させることができる。しかし、過度にトナー溶融を進行させると、記録紙上を隠蔽していたトナーが記録紙の繊維の間に染み込んでしまい、記録紙の繊維が透けて見えてしまう(繊維の透け)。これにより、濃度が低下し、本来トナーが持っている着色力を十分に発揮できなくなる。
判定方法としては、10℃刻みに温度を上げて定着を行い、高温になるほど上昇する各サンプルの透過濃度を測定する。その中で、透過濃度が上昇しなくなった温度、あるいは透過濃度が低下した温度を、繊維の透けが発生した温度と判定する。なお、このとき画像の顕微鏡観察を行い、繊維の透けにより白地部が増加していること、およびホットオフセットが発生していないことを同時に確認して総合的に判断する。
図10は表1の結果を棒グラフで示したものである。最低到達粘度Gminが1.0×102Pa・s未満では評価は*であり、ホットオフセットが発生した。最低到達粘度Gminが1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満では評価は△であり、繊維の透けが発生した。最低到達粘度Gminが5.0×103Pa・s以上1.0×106Pa・s未満では評価は○であり、特に問題なく定着できた。最低到達粘度Gminが1.0×106Pa・s以上では評価は×であり、定着出来なかった。
次に、上記の4種類のトナーのうち、任意の2種類を選んで1:1の比(体積比)で混合して記録紙上にトナー像を形成し、各種定着条件にて定着した画像の評価を行った。このとき、画像観察の容易さの観点から、混合するトナーはシアン色とマゼンタ色の組み合わせにした。なお、混合トナーの効果を評価するために、混合トナーの溶融粘度と同程度の溶融粘度をもつ単一トナーを基準トナーとし、同様の画像形成を行った。
図11に混合トナーの溶融粘度の一例として、トナーBとトナーDを体積比1:1で混合したトナーB+Dの溶融粘度を示す。混合トナーの溶融粘度は高低粘度トナーの中間の粘度を持つ単一トナーのように測定される。これは測定サンプルとしてマクロな量を用いるフローテスターによる結果である。後述する画像観察の結果からは混合された高低粘度トナーの溶融の仕方に差が生じており、それが本発明の効果を生んでいる。
また、Refトナーは混合トナーB+Dとほぼ同等の溶融粘度の単一基準トナーである。画像評価はRefトナーと混合トナーを用いた場合の画像隠蔽率を算出し、混合トナーによる隠蔽率上昇分を見積もる手法を取った。Refトナーを用いた画像隠蔽率は定着条件によって変化するが、本評価にて用いた定着条件においては、おおよそ80乃至90%程度の値であった。以下に画像の隠蔽率の算出方法を説明する。
(隠蔽率の算出方法)
画像を光学顕微鏡(キーエンス(株)製;デジタルマイクロスコープVHX−500)で画像観察を行うと、トナーによって記録紙が隠蔽され着色されて見える顕微鏡画像を得ることが出来る。このときの顕微鏡画像取得条件は、以下のとおりである。
レンズ倍率:450倍
実視野領域:520μm×700μm
観察光:白色透過光
出力光量:MAX
しぼり:適宜調整
ホワイトバランス調整:記録紙白地部にて実行
上記条件で取得した画像をTiff形式で保存し、画像処理ソフト(PhotoshopCS)を用いて着色された領域と背景色(記録紙)領域で2値化処理を行う。ここでは閾値を設けて着色領域を抽出し、この部分を黒色として変換し、その他の背景色領域を白色として変換する。この2値化された画像に対して、黒色領域の面積率を算出し、これを隠蔽率とした。
表2に混合トナーと定着条件の組み合わせの中から代表的なものを示す。「評価1組み合わせ」欄には、表1に示した単体トナーでの定着画像評価結果の組み合わせを示している。「評価2」欄の○はRefトナーに比べて、隠蔽率が5%以上上昇したことを示す。△は隠蔽率の上昇が5%未満、×は隠蔽率の上昇が見られない状態、□は隠蔽率の上昇が見られるが、混合トナーの成分である高低粘度トナーの溶融の差が大きく、溶融が不均一で画像の平滑性が悪化している状態を示す。
Figure 2012032564
この結果をみると、「評価1組み合わせ」において、×(定着不可)もしくは*(ホットオフセット発生)が含まれる場合は、「評価2」は×であることが分かる。つまり、混合トナーの成分のうち、単体トナーで定着出来ない、もしくは単体トナーでホットオフセットが発生してしまうものが含まれると、混合トナーの効果が得られない。
「評価1組み合わせ」が、△(繊維の透け発生)同士の場合は「評価2」は△である。単体トナーで繊維の透けが発生するもの同士では、高粘度トナーの混合によって多少繊維の透けの程度を押さえられるものの、効果は軽微である。
「評価1組み合わせ」が○(定着可)同士の場合、粘度差のあるトナーを混合することで、隙間が低減して隠蔽率が向上するが、「評価2」は△であり、効果は軽微である。
「評価1組み合わせ」において、○(定着可)と△(繊維の透け発生)の組み合わせ時に「評価2」が○となる場合があった。このとき、定着ニップ部の有効圧力領域において高粘度を示すトナーの溶融粘度GHと、低粘度を示すトナーの溶融粘度GLの差分に着目し、代表値として最低到達粘度の差分:logGH-min−logGL-minの値を表2の「最低到達粘度差」欄に示した。この値が0.5未満では十分な粘度差が得られず、混合トナーによる隠蔽率向上効果が軽微になった。また、この値が2.5より大きくなると、トナー溶融が不均一になり、平滑性が悪化した画像になった。なお、ここでは粘度差について最低到達粘度の差分を代表値として示したが、定着ニップ部の有効圧力範囲内において上記の適正な粘度差がある場合には効果が得られた。すなわち、混合トナーによる隠蔽率向上効果を得るには、定着ニップ部の有効圧力範囲内において、
0.5≦logGH−logGL≦2.5
を満たす定着ニップ領域があれば良い。
図12は以上の結果をグラフ化したものである。縦軸は混合トナーを形成する高低粘度トナーそれぞれの最低到達粘度Gmin、横軸は高低粘度トナーそれぞれの最低到達粘度差logGH-min−logGL-minである。プロット記号は表1に示した「評価1」の記号と同様であり、トナーを単体で用いた画像評価の結果を示している(○は定着可、△は繊維の透け発生、×は定着不可、*はホットオフセット発生)。線で結ばれたプロットは混合トナーを表しており、例えば、「○−△」プロットは単体トナーの評価1としてはそれぞれ「○:定着可」と「△:繊維の透け発生」の2種類を混合していることを示す。図12において、本発明の効果である隠蔽率の向上が見られる条件(「評価2」における○及び△)は、混合するトナーのいずれもが網点領域にある混合トナーである。その中でも「○−△」影付きプロット、すなわち、「評価1」において「○:定着可」と「△:繊維の透け発生」のトナーを混合した場合に効果が大きく、「評価2」が「○:隠蔽率上昇(5%以上)」となっている。また、同様の組み合わせ「○−△」で比べた場合、最低到達粘度差が0.5≦logGH-min−logGL-min≦2.5の範囲で十分な効果が見られるという実験結果を得た。
次に、上記の混合トナーによる定着画像の詳細観察を行った結果をもとに、異なる溶融粘度を持つ2種類のトナーが記録紙上で溶融する様子について説明する。2種類のトナーは、上記の画像評価に用いたトナーの中から代表して、トナーBとトナーDとする。
図2は、図1に示した定着ニップ部における記録紙表面の温度変化に基づき、定着ニップの各部位における各トナーの溶融粘度を求め、トナー溶融粘度と定着ニップ部の圧力とを重ねて示したものである。記録紙上の混合トナーは定着ニップ通過中に昇温しつづけ、混合トナーの成分である高低粘度トナーはそれぞれの流出開始温度を超えると、溶融粘度が低下しはじめ、定着ニップ中の有効圧力領域において異なる溶融粘度をとりながら推移し、加圧されて定着される。
このように、定着ニップ中の有効圧力領域で溶融粘度が異なる2種類のトナーが記録紙上で同時に溶融していくときの様子を示した模式図を図3、図4に示す。
まず図3を用いて混合トナーの記録紙面内方向での溶融の特徴について説明する。図3は記録紙の上面から見た模式図であり、上段は混合トナーB+D、中段はトナーB(高粘度)のみ、下段はトナーD(低粘度)のみの溶融状態の推移を示している。TfB、TfDはそれぞれトナーB、トナーDが溶け始める温度の指標となる流出開始温度である。図3(a)は温度がTfD未満(常温)の状態、図3(b)は温度がTfD以上TfB未満の状態、図3(c)はTfB以上の状態を示している。
混合トナーB+Dの場合、定着工程が始まり、トナーDの流出開始温度TfD以上になると、トナーDが溶融し始める。トナーDはトナーBの隙間を埋めるように記録紙上を隠蔽し、同時にトナー同士、およびトナーと紙を接着して定着性を向上させる。また、加圧によって平滑に変形し、光沢面を形成するように働く。続いてトナーBの流出開始温度TfB以上になると、トナーBが溶融し始める。トナーBはトナーDやトナーB同士および記録紙と結合して定着性をより向上させ、更に記録紙を隠蔽するので高い画像濃度が得られる。また、このときトナーBはトナーDが記録紙へ過度に浸透するのを防ぐ働きもする。これについては後に図4を用いて説明する。
一方、トナーBのみの場合、記録紙上に転写されたトナーBは流出開始温度TfB以上に昇温するまで溶融は始まらない。その結果、トナー混合物B+Dに比べて記録紙を隠蔽しきれず、隙間が残ってしまう。
また、トナーDのみの場合、記録紙上に転写されたトナーDは流出開始温度TfD以上に昇温すると溶融が始まり、記録紙上を隠蔽していく。しかし低粘度であるために、溶け広がって十分な隠蔽率を得る前に、記録紙上を隠蔽していたトナーが記録紙の繊維の間に染み込んでしまい、記録紙の繊維が透けて見えてしまう(繊維の透け)。これにより、濃度が低下し、本来トナーが持っている着色力を十分に発揮できない。
即ち、近い溶融粘度を有する1種類のトナーを用いた場合には、繊維の透けをなくすことと記録紙を隙間無く隠蔽することとの両立は極めて困難であるが、本発明の如く、溶融粘度の異なるトナーを混合して用いることによって、その両立が可能となる。
次に図4を用いて記録紙の厚み方向に関するトナーの溶融状態について説明する。図4は記録紙の断面からみた模式図であり、上段は混合トナーB+D、下段は比較のために混合トナーB+Dとほぼ同じ溶融粘度の温度依存性を持つ基準トナーとなるRefトナーの溶融の推移を示している。図中のTfRefはRefトナーの流出開始温度で、TfB+Dと同等の温度である。図4(a)は温度がTfD未満(常温)の状態、図4(b)は温度がTfD以上、TfB未満の状態、図4(b’)は温度がTfRef以上の状態、図4(c)は温度がTfB以上の状態を示している。
濃度、光沢度および色再現性を向上させるには、トナーで記録紙を隠蔽し、且つ平滑なトナー画像面を形成する必要がある。しかし記録紙は凹凸を持っている為、その両立が難しい。加熱および加圧が不足すれば、トナーは十分に溶け広がらずに隙間が残るために隠蔽率が不足し、押しつぶしが足りないために平滑なトナー画像面が形成できない。これを解決するために加熱および加圧を強めると、トナーは溶け広がって隙間は埋まるが、過度に粘度を低下させ、さらに加圧されて押し込まれることよって、トナーは過度に記録紙の繊維間に浸透してしまう。その結果、記録紙の主に凸部を形成する繊維が透けて見えてしまうこと(繊維の透け)で隠蔽率が低下し、また、記録紙の凹凸形状が露わになることでトナー画像面の平滑性が低下する。
混合トナーB+Dの場合、その成分である低粘度トナーDは十分に溶け広がって記録紙を隠蔽する。また、加圧によって平滑に変形し、光沢面の形成に寄与する。トナーDよりも高粘度のトナーBは強い加熱および加圧がなされても記録紙繊維上に留まるため、繊維の透けが発生しにくい。このような特性をもつトナーBがトナーDと結合することで、トナーDが繊維間へ染み込み、繊維の透けが起こるのを防ぐ働きをする。言い換えるとトナーBがトナーDの土台のような役割を果たし、記録紙への過度の浸透を防ぎつつ、加圧力を受け止めて、平滑なトナー画像面を形成させる効果(土台効果)がある。
一方、Refトナーの場合、マクロなトナー量では、混合トナーB+Dと同じ溶融粘度の温度依存性を有している。しかし、混合トナーB+Dと違って、ある温度下における粒子1つ1つの溶融粘度はすべて同じである。その値は混合トナーB+D中のトナーDよりも高く、トナーBよりも低い。したがってトナーDよりも溶け広がらないので隙間が埋められず、トナーBに比べて記録紙繊維上から押し退けられやすく、まわりのトナーの土台となることもない。よって、混合トナーB+Dに比べてトナー間に隙間が残り、繊維の透けが起き、繊維凹凸の露出によって平滑性が低下する。その結果、混合トナーに比べて濃度や光沢度および色再現性が低下する。
溶融のし易さと繊維の透けを防止する手段としては、低分子量成分と高分子量成分を混合して単一のトナー樹脂設計することも考えられるが、本発明は異なる粒子としてトナーを混合するところに特徴をもっている。隙間を埋め、平滑性を確保する低粘度トナーと、土台効果によって繊維の透けを防止する高粘度トナーに機能を明確に分離することで、本発明で規定する溶融粘度の範囲で効果が得られる。
本発明の効果は定着ニップ中で0.05MPa以上の圧力が印加される領域で得られる。溶融状態にあるトナーは加圧されることで、押し広げられ、形状が大きく変化する。このときの溶融粘度によって変形の仕方に大きな差が生まれる。したがって、異なる溶融粘度のトナーを混合し、変形の仕方の差を利用する本発明の効果を得るには、ある程度以上の圧力が必要であり、その値は0.05MPa以上である。
また、圧力が高くなるにつれて、記録紙上のトナーをより強く押すことになるので、その結果、前述の繊維の透け、紙繊維凹凸の露出等の画像不良が起きやすくなる。この場合、定着ニップ中のトナー溶融粘度を高い(硬い)状態にする、すなわち温度を下げるか、あるいは定着時間を短くすることで、上記の画像不良を回避できる。溶融粘度(温度)や時間の調整をした上で、本発明の効果を良好に得られる圧力としては1.0MPa以下であることが好ましい。
本発明の効果を得るためには、定着ニップ中において、上記の圧力下においてトナー溶融粘度差を設け、その状態を有効な時間だけ作用させる必要がある。定着装置のニップ幅や定着動作速度を変更することで、定着時間を本発明で用いる圧力、溶融粘度に適した長さに設定することができる。本発明においては、定着時間は10乃至1000msecの範囲内であることが好ましく、この範囲であれば良好に本発明の効果が得られる。
定着時の圧力が同じならば、定着時のトナーの溶融挙動は、定着ニップ中の溶融粘度によって異なる。混合していない単体トナーの場合は、前述の画像評価結果に基づいて、以下の4つの溶融状態に分けられる。
(I)定着ニップ部の有効圧力領域における最低到達粘度Gminが1×106Pa・s以上ならば、記録紙に対するトナーの定着強度が低下し、定着不良が発生しやすくなる。
(II)定着ニップ部の有効圧力領域における最低到達粘度Gminが5×103Pa・s以上1×106Pa・s未満ならば、良好な定着が可能である。
(III)定着ニップ部の有効圧力領域における最低到達粘度Gminが1×102以上5×103Pa・s未満ならば、繊維の透け、繊維凹凸の露出が起きやすく、記録紙の十分な隠蔽とトナー画像面の平滑化が困難になる。
(IV)さらに定着ニップ部の有効圧力領域における最低到達粘度Gminが1×102Pa・s未満にまで低下すると、トナーが定着部材に付着するホットオフセットが発生しやすくなる。
本発明で混合するトナーのうち、少なくとも1種類のトナーは、(III)の状態で用いる。単体ではホットオフセットが発生しない範囲内で、溶け広がり易く、隙間を埋めて平滑に変形するトナーである。この低粘度トナーと、より溶融粘度が高い(硬い)トナーと混合することで、繊維の透け、繊維凹凸の露出を防ぐことができる。
本発明においては、有効圧力領域において、高粘度を示すトナーの溶融粘度GHが、低粘度を示すトナーの溶融粘度GLに対して、常用対数で0.5以上2.5以下の粘度差となるニップ部の部位があれば効果が得られる。即ち、0.5≦logGH−logGL≦2.5を満たせばよい。
なお、粘度差logGH−logGLの上下限については、粘度差logGH−logGLが0.5未満では粘度差が小さすぎるため、トナー単体で定着した画像と大差が無くなってしまう。また、粘度差logGH−logGLが2.5を超えると、粘度差が大きすぎるため、混合トナーの溶融が不均一になり、画像の平滑性が低下する。また、定着不可能なほどの高い溶融粘度のトナーを混合すると、定着強度は低下してしまう。従って、溶融粘度の高いトナーは、少なくとも単体で定着可能であることが好ましい。高粘度トナーの溶融粘度GHが、低粘度トナーの溶融粘度GLに対して、常用対数で2.5高い程度であれば、定着温度、圧力、時間を調整した上で、定着が可能となる。以上のことを鑑みて、粘度差logGH−logGLの上限は2.5が妥当と考えられる。
本発明は、トナー画像を形成するトナー量が少ないときに、より効果的に作用する。記録紙上に形成されたトナー像はトナー粒子間に隙間を持って配列されている。トナー量が少なくなるほどトナー間に生じる隙間は増大し、記録紙のトナーによる隠蔽が困難になる。特にトナー量がその粒径と(μm)と比重(g/m3)から決まる最密充填量(mg/cm2)を下回ると、隙間の増加は顕著になる。たとえば本発明の検証に用いたトナー(粒径6.0μm、比重1.1g/m3)ではM/S≒0.4mg/cm2以下がその条件である。
トナー量が少ないときに記録紙をトナーで隠蔽し、平滑なトナー画像面を形成するためには、トナー量が多いときよりも更にトナーを溶かし広げる必要がある。そのための手段としてはトナーの低粘度化、定着時間の増加、定着圧力の増加等が考えられる。しかし、それによって繊維の透けや繊維凹凸の露出が発生しやすくなり、逆に隠蔽率やトナー画像面の平滑性を低下させてしまう。
本発明によれば少ないトナー量でも繊維の透けや繊維凹凸の露出を低減しつつ、隠蔽率とトナー画像面の平滑性を向上させることができる。その結果、画像の濃度、光沢度、色再現性を向上させることができる。
[実施例2]
画像形成方法の他の例を説明する。実施例1において説明したものと、同一の部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。実施例3、4についても同様とする。
実施例1ではトナーB、トナーDの使用比は1:1で説明したが、この比率を変えても良い。
表3は混合トナーB+D中のトナーBの混合割合を5%から80%まで変えて、定着条件(2)で定着し、画像評価を行った結果である。画像評価は2種類行った。表3の「評価3」欄は、それぞれの混合割合で作成した混合トナーと同程度の溶融粘度を示す単体トナー(Refトナー)に対して、混合トナーB+Dによる画像の隠蔽率の向上効果を評価した結果である。○はRefトナーに比べて、隠蔽率が5%以上上昇したことを示す。△は隠蔽率の上昇が5%未満だったことを示す。表3の「評価4」欄は、画像の平滑性をみるためにRefトナーに対して混合トナーB+Dによる画像の光沢度の向上効果を評価した結果である。○は光沢度が5以上上昇したことを示す。△は光沢度の上昇が5未満だったことを示す。×は光沢度が同等か低下したことを示す。
なお、光沢度は日本電色(株)製GlossMeter;VG2000で測定した60°グロスの値である。
Figure 2012032564
この結果から混合トナーB+DのトナーBの混合割合は10体積%から70体積%の範囲で隠蔽率を向上させる十分な効果が得られることが分かった。また、トナーBの混合割合が50体積%を超えると画像のグロスを向上させる効果が低減することが分かった。
未定着状態のトナーは載り量や並べ方によって30体積%以上の隙間ができる。本発明では高粘度トナーがつくる隙間を、低粘度トナーが埋めることで、記録紙の隠蔽率を向上させる。そのためには、高粘度トナーの隙間の割合と同等かそれ以上の割合で低粘度トナーを混合することが望ましい。すると低粘度トナーは30体積%以上が適当であり、逆に高粘度トナーは70体積%以下が適当である。また、高粘度トナーは10体積%以上混合されていれば、トナー層全体で均一に土台効果が得られる。したがって、高粘度トナーの混合割合を10体積%乃至70体積%とすることが好ましい。
また、平滑なトナー画像面を形成するためには、溶け広がり易い低粘度トナーの量が多いほうが好ましく、そのために高粘度トナーに比べて低粘度トナーの混合割合を同等か大きくすることが有効である。したがって、高粘度トナーの混合割合は10体積%乃至50体積%にすることがより好ましい。この範囲内であれば定着強度もより高められる。
[実施例3]
画像形成方法の他の例を説明する。
混合するトナー間で粒径の差をつけ、低粘度トナーの粒径を高粘度トナーの粒径よりも大きくしても良い。
粒径の大きな低粘度トナーは加圧によって潰れる量が多く、それによって平滑なトナー画像面をより広く作ることができる。高粘度トナーは小径であっても繊維上に残り易い特性を持ち、低粘度トナーを支える土台効果も得られる。また、高粘度トナーと低粘度トナーのそれぞれの潰れる量の違いを考慮して、トナーが潰れた後の高さを均一にすることができる。
表4−1はトナーBとトナーDを分級して粒度分布を調整し、重量平均粒径の比を変えた混合トナーB+Dを作製し、トナー像を形成して定着条件(2)で定着し、画像評価を行った結果である。
画像評価は表3の説明と同様、隠蔽率と光沢度について行った。表中の記号の意味も同様である。
この結果から、混合トナーB+Dの粒径比RD/RBは1乃至2の範囲で隠蔽率を向上させる十分な効果が得られることが分かった。また、粒径比RD/RBが0.75以下では画像のグロスを向上させる効果が低減することが分かった。
表4−2は表3で示した混合割合(体積)と粒径比RD/RBの対応を示した表である。「換算RD/RB」の値は、混合割合の値を体積の3乗根をとって長さへ換算して求めた値である。「実験RD/RB」は表4(a)で示した粒径比RD/RBの値である。両者の数値と画像評価結果を比べると、粒径比の有効範囲はほぼ混合割合の有効範囲と対応が取れていることが分かる。
具体的には、低粘度トナーの重量平均粒径(D4)を、最も溶融粘度の高いトナーの重量平均粒径(D4)の1.0倍から2.0倍とすることが好ましい。
Figure 2012032564
Figure 2012032564
尚、本発明においては、トナーの重量平均粒径は以下のようにして測定する。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
[実施例4]
画像形成方法の他の例を説明する。
溶融粘度の異なる少なくとも2種類のトナーは、最終的に記録紙上で混合された状態にあれば本発明の効果が得られる。トナーを混合する場所はトナー容器内に限らず、感光ドラム上や中間転写ベルト上であっても良く、高粘度トナーと低粘度トナーとを別々に現像しても良い。
図7は本発明に係る画像形成装置の一例の概略断面図である。本実施例では各色毎に高粘度トナーが入ったトナー容器(不図示)を有する現像装置104aと、低粘度トナーが入ったトナー容器(不図示)を有する現像装置104bとを設けている。感光ドラム101上の静電潜像は、現像装置104a、104bにより現像され、高低粘度のトナーは感光ドラム101上で混合される。このとき高粘度トナーおよび低粘度トナーの現像順を入れ替えても良い。
また、図8のように感光ドラム101と、その上で静電潜像を現像するために構成された一組の装置(A)と同様のもう一組(B)を各色毎に設け、それぞれを高粘度トナー用現像ユニット、低粘度トナー用現像ユニットとして画像形成を行っても良い。この場合、高低粘度トナーは中間転写ベルト108上に一次転写される時に混合される。
なお、図7、図8ともに混合するトナーは2種類として表現しているが、更に多種類のトナーを混合しても良い。また、特定の色(例えばブラックなど)のみトナー混合物を用いても良い。
本発明は、溶融粘度の異なる少なくとも2種類のトナーが、最終的に記録紙上で混合された状態にあり、その後定着装置において既述した条件にて定着されれば、その効果が得られる。
112:定着装置、N:ニップ部、P:記録紙、A,B,C,D:トナー

Claims (2)

  1. 同じ色相を有し、溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類のトナーを用いて形成されたトナー像を記録紙上に形成し、該トナー像を担持する記録紙を、加熱体を有する定着部材と該定着部材に圧接した加圧部材とにより形成される定着ニップ部に通過させて、トナー像を記録紙に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
    該定着ニップ部には、0.05MPa以上の圧力が印加される有効圧力領域があり、
    前記溶融粘度の温度依存性が異なるトナーのうち、少なくとも1種類は前記有効圧力領域における最低到達粘度(Gmin)が1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満であり、
    前記有効圧力領域において、低粘度トナーの溶融粘度GLと該低粘度トナーと併用される高粘度トナーの溶融粘度GHとが下記式
    0.5≦logGH−logGL≦2.5
    を満たす定着ニップ領域があることを特徴とする画像形成方法。
  2. 溶融粘度の温度依存性が異なる少なくとも2種類の樹脂粒子を用いて形成された樹脂粒子画像を記録紙上に形成し、該樹脂粒子画像を担持する記録紙を、加熱体を有する定着部材と該定着部材に圧接した加圧部材とにより形成される定着ニップ部に通過させて、樹脂粒子画像を記録紙に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
    該定着ニップ部には、0.05MPa以上の圧力が印加される有効圧力領域があり、
    前記溶融粘度の温度依存性が異なる樹脂粒子のうち、少なくとも1種類は前記有効圧力領域における最低到達粘度(Gmin)が1.0×102Pa・s以上5.0×103Pa・s未満であり、
    前記有効圧力領域において、低粘度樹脂粒子の溶融粘度GLと該低粘度樹脂粒子と併用される高粘度樹脂粒子の溶融粘度GHとが下記式
    0.5≦logGH−logGL≦2.5
    を満たす定着ニップ領域があることを特徴とする画像形成方法。
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