以下、本発明の実施の形態を示して、本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであって、該ワックス成分が少なくともエステルワックスを含み、該ワックスの加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分におけるヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分について、該ワックス質量を基準としたヘキサデカン換算の濃度が1500ppm以下であることを特徴とする。さらに、該トナーの25℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位値ζ(25)が−150.0mV以上−30.0mV以下であり、該トナーの25℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位分布の標準偏差が1.0mV以上10.0mV以下であり、
該トナーの40℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位値ζ(40)とする時、
10.0mV≦|ζ(25)−ζ(40)|≦30.0mV
であることを特徴とする。
上記エステルワックスは、結着樹脂に相溶しやすく、トナー画像の加熱定着時にスチレンアクリル共重合体の如きトナーの結着樹脂の可塑剤として作用することから、定着性を高めることができる点で好ましいワックスである。
その一方で、エステルワックスを使用した場合、先述のように、結着樹脂とワックスとが一部相溶するため、トナー表層にもワックスが一部存在してしまい、摩擦帯電量低下の原因となる場合があった。また、高温環境下や、連続プリントにおける機内昇温時において、ワックスが染み出しやすく、帯電量の変動が大きくなるという問題があった。
本発明者らは、該エステルワックスの加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分におけるヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分について、該ワックス質量を基準としたヘキサデカン換算の濃度が1500ppm以下とすることにより、高速プリント機において定着ローラーにより加熱及び加圧を加えられても、ワックス成分の揮発量を減少させることができ、プリンター機内の定着部材汚染が抑制できることを見出した。
該ワックスの、200℃、10分加熱の加熱脱着/GC/MS分析の揮発性分濃度を制御することで定着部材汚染量を抑制できるメカニズムについては明確ではないが、本発明者らは以下のように考えている。つまり、これまでのGC/MS分析に比べ、より高温でワックスを加熱させることができるので、プリンター機内の定着温度により近い状態でのワックスの揮発量を再現できるものと考えている。
加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分におけるヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分について、該ワックス質量を基準としたヘキサデカン換算の濃度が1500ppmより大きい場合には、高速プリント時における定着ローラー加熱時に、トナー中からワックス成分が一部揮発してしまい、定着ローラー汚染や、センサ汚染等の原因となる場合がある。
該ワックスの加熱脱着/GC/MS分析において、加熱温度200℃加熱時間10分におけるヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分について、該ワックス質量を基準としたヘキサデカン換算の濃度が1500ppm以下にするためには、下記に示すようなエステルワックスを精製して使用する方法が用いられる。
エステルワックスとしては、炭素数15個乃至45個の長鎖アルキルアルコールと炭素数15乃至45個の長鎖アルキルカルボン酸とのエステル化合物を主成分とするワックス、カルナバワックスを精製したワックス、キャンデリラワックスを精製したワックスが挙げられる。
特に好ましく用いられるエステルワックスは、高級アルコール成分と同じく、高級カルボン酸成分から合成されるのが一般的である。これら高級アルコールや高級カルボン酸成分は、通常天然物から得られることが多く、一般的には、偶数の炭素数を有する混合物から構成されている。これら混合物をそのままエステル化した場合は、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物が副生するため、トナーの各特性に悪影響を及ぼし易い。また、本発明で規定する、加熱脱着/GC/MS分析におけるワックス揮発成分濃度を達成できない場合が多い。このため、本発明においては、原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することによって得られるエステルワックスを使用することが好ましい。
さらに、上記エステルワックスと組み合わせて好ましく用いられる結晶性樹脂として、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックスが挙げられる。本発明においては、これらのワックスについても、原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することが特に好ましい。
これらのワックスの中では、示査走査熱量測定装置により測定されるDSC曲線の最大級熱ピークが40℃乃至110℃の範囲にあるものが好ましく、更には45℃乃至90℃の範囲にあるものがより好ましい。また、最大吸熱ピークの半値幅は、2乃至15℃であることが好ましく、2乃至10℃であることがより好ましい。最大吸熱ピークの半値幅とは、吸熱ピークにおけるベースラインからピーク高さの2分の1の値を示す部分の、吸熱チャートの温度幅のことである。半値幅が上記の範囲内である場合、ワックスの結晶性が適度であり、適度な硬度を有するため、感光体や帯電部材への汚染の発生を抑制することができる。また、本発明のトナーは、示差走査熱量測定装置により測定されるDSC曲線の70乃至120℃の範囲に上記ワックスの融点に起因する最大吸熱ピークを持つことが好ましい。
上記ワックスの溶剤抽出条件や減圧蒸留時間を制御することにより、加熱温度200℃加熱時間10分におけるヘキサデカンのピーク検出時間以降に検出される揮発成分量を、上述の範囲とすることができる。
また、本発明に用いられるトナーは、25℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位値ζ(25)が−150.0mV以上−30.0mV以下である。
ゼータ電位とは、溶液中の微小粒子の周囲に形成されるイオン固定層とイオン拡散層とよばれる電気二重層中の、液体流動が起こり始める「滑り面」の電位として定義される。
微小粒子の表面特性により、このゼータ電位の絶対値は正(ポジ性)や負(ネガ性)の値を示すが、この絶対値が大きいほど該溶液中における微小粒子表面の電荷が大きいことを示す。
この表面電荷の値は、粒子表面の極性の大きさと相関のあることが知られている。トナーの摩擦帯電量は、トナー表層の極性により決定することから、ゼータ電位値を規定することにより、トナーの摩擦帯電量の値を好適に制御することができる。
本発明では、トナーに上記ゼータ電位値範囲のネガ性を付与することにより、スチレンアクリルの如き結着樹脂と相溶し易いエステルワックスを使用した場合でも、ワックスの染み出しを抑制でき、トナーの摩擦帯電量を適度な値に制御することができる。
該トナーのζ(25)が−150.0mVより小さい場合には、該トナーの負帯電性が大きくなりすぎてしまい、低湿環境下においてトナーの摩擦帯電量がチャージアップし易くなる場合がある。その結果、現像スジやフィルミングといった画像弊害が発生してしまう。また、ζ(25)が−30mVよりも大きい場合には、該トナーの摩擦帯電量が低下しやすくなり、高温環境下においてカブリや濃度低下などの画像弊害が発生し易くなる。
トナーのゼータ電位に関する上記条件を達成するためには、トナー中に含まれる帯電制御剤の種類や量、及び外添剤種やその量を調整することにより可能である。
また、本発明では、該トナーの25℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位分布の標準偏差が1.0mV以上10.0mV以下であることを特徴とする。
ゼータ電位分布の標準偏差を上述の範囲とすることにより、トナーの帯電能を適正化することが可能となり、現像スリーブ及び潜像担持体上にトナー層を均一に形成できる。その結果、トナーの帯電分布をよりシャープにすることができ、それにより十分な画像の均一性が得られ、各環境においても初期から十分な画像濃度が得られる。また、エステルワックスの定着性向上効果と相乗効果を発揮して、従来に比べ、定着ムラのより少ないトナーを提供することができる。
標準偏差が10.0mVより大きい場合は、摩擦帯電量分布がブロード化し、画像濃度が低下したり、定着ムラが発生したりする場合がある。
トナーのゼータ電位の標準偏差に関する上記条件を達成するためには、帯電制御剤の種類や量、また外添剤の種類や量を調整することにより可能である。
上記帯電制御剤としては、例えば、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体が挙げられる。
上記スルホン酸基含有重合体は、一般的に塩基性を有することの多い着色剤との組み合わせにおいて、上記スルホン酸基含有重合体の酸と着色剤の塩基が結合するように分布するため、顔料の電荷リークサイトを、上記スルホン酸基含有重合体で覆うこととなり、トナーが優れた帯電性を有することとなる。
上記スルホン酸基含有重合体を製造するために用いられる硫黄原子を含有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、又は下記構造を有するマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタクリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。好ましくは、スルホン酸基を含有する(メタ)アクリルアミドである。
上記スルホン酸基含有重合体は、結着樹脂100質量部当り0.01乃至15質量部含有されていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部が良い。
また、帯電分布をより均一とするために、上記スルホン酸基含有重合体を精製して使用するとさらに好ましい。精製の方法としては、常法である蒸留を用いて取り除くことができる。また、シリカゲルまたはアルミナを用いたカラムクロマトグラフィーで生成物を除去した上で、生成物が難溶である溶媒中にての再結晶や再沈殿、分液による抽出操作等にて精製することが出来る。
また、上記外添剤種としては、例えば、疎水化処理された酸化チタン微粉体を使用する方法が挙げられる。酸化チタン微粉体は、帯電の立ち上がりがシリカ外添剤に対して速く、かつ酸化チタンが持つ低抵抗のため、帯電分布がシャープになるという特徴を有している。
本発明では、トナー粒子に少なくともシリカ微粉体及び酸化チタン微粉体が外添されており、該酸化チタン微粉体の1次粒径が35乃至500nmで、且つ疎水化処理されていることが好ましい。シリカ微粉体をトナー粒子に外添させることにより、トナーの帯電性能、流動性を向上させることができ、更にシリカ微粉体に比べ静電的な凝集を起こしにくい酸化チタン微粉体をトナー粒子に外添させることにより、安定した流動性を得ることができる。それによりトナーを均一に帯電させ、画像形成において均一なトナー層を形成させることが可能となる。そのため、カブリ、濃度、画像ムラ、クリーニング性、定着性に関して十分に優れた画質を有する画像を得ることができる。
また、本発明では、該トナーの40℃、pH7.0の水系媒体中におけるゼータ電位値ζ(40)とする時、
10.0mV≦|ζ(25)−ζ(40)|≦30.0mV
であることを特徴とする。
従来、結着樹脂との相溶性が高いエステルワックスを使用した場合には、高温環境下や、プリンター機内昇温時に、ワックスの染み出しが促進され、摩擦帯電量の変動が大きくなる場合があった。
本発明では、25℃と40℃におけるゼータ電位値の変動を上記範囲内とすることにより、環境の変動におけるトリボの変化量が小さいトナーを提供することができ、特に高温環境下におけるトリボダウンを抑制することが可能となる。
上記|ζ(25)−ζ(40)|が10.0mV未満の場合には、加熱時のワックスの染み出し性が低すぎるために、低温定着性や離型性に劣ってしまう。また、|ζ(25)−ζ(40)|が30.0mVより大きい場合は、高温環境下におけるワックスの染み出し量が多すぎるため、摩擦帯電量が低下してしまう。また、耐ホットオフセット性も悪化する場合がある。
トナーの25℃と40℃におけるゼータ電位差に関する上記条件を達成するためには、トナーのガラス転移温度(Tg)や結着樹脂の分子量、ワックス量を調整することにより可能である。
本発明のトナーは、良好な定着画像を得るために、結着樹脂100質量部に対して1.0乃至15.0質量部、より好ましくは、3.0乃至15.0質量部のワックス成分を含有することが好ましい。更に好ましくは5乃至15質量部である。ワックス成分の含有量が上記の範囲内であれば、長期間の保存性を維持しつつ、低温オフセットを良好に抑制することができる。また、他のトナー材料の分散を妨げることがなく、良好な流動性や画像特性を維持できる。
本発明のトナー粒子は、重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、該水系媒体中で該重合性単量体組成物を造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成し、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合して得られることが望ましい。上記製造を用いた場合、トナーの円形度がさらに上昇し、現像性や転写性がより向上する。
本発明のトナーは、更に極性樹脂を含有し、示差走査熱量計により測定した該極性樹脂のガラス転移温度Tg(℃)が、70℃以上120℃以下であることが好ましく、85℃以上110℃以下に存在することが更に好ましい。
極性樹脂を含有することにより、コア/シェル構造が形成され、外層によってトナー内層成分を保護することが可能となる。それにより、高温環境下におけるワックスの染み出しをさらに抑制可能となる。その結果、部材汚染が更に抑制可能となるばかりでなく、低温定着性と高耐久性の両立も可能となる。更には、極性樹脂を含有することにより、帯電性もより安定させることができ、トナーの現像性や転写性のレベルアップがなされる。
本発明のトナーに含有される極性樹脂の、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上120℃以下に存在する場合、低温定着性を維持し、写真や印刷の画質に近づけるために必要な適切な光沢度及び画像濃度が得られる。
さらに、トナーに適度な強靭性が得られ、現像時の耐ストレス性が向上する。その結果、長期画出しにおいて、帯電量が低下し、かぶりやトナー飛散を引き起こしてしまうことを防止できる。また、トナー粒子に好ましく外添されるシリカ、チタン等に代表される無機微粒子の埋め込みによる転写効率の低下を抑制できる。加えて、トナー製造時において、トナー粒子間における極性樹脂と着色剤の均一な組成分布が得やすくなり、粒度均一性が向上する。その理由は定かではないが、極性樹脂の適度な分子運動により、着色剤との相互作用を引き起こしやすくしているものと予想している。
上記ガラス転移温度(Tg)は、トナー原材料として用いられる極性樹脂の影響を受けるため、極性樹脂製造時のモノマー組成比等で調整することが可能である。
本発明のトナーは、重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を水系媒体に加え、前記水系媒体中で前記重合性単量体組成物を造粒して前記重合性単量体組成物の粒子を形成する工程と、前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合してトナー粒子を得る工程とを少なくとも経て製造されることが好ましい。さらに、前記重合性単量体組成物を前記水系媒体に加える前に、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された回転子と同様の形状の固定子が一定間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置された撹拌装置を用いて、前記重合性単量体組成物を処理する工程を有することが好ましい。
上記工程を有する場合、ワックスを、トナー粒子中により完全に近い形で内包化させることが可能となり、トナー表面へのエステルワックスの析出を更に抑制することが可能となる。その結果、帯電性をより安定化させることが可能となる。また、着色剤の分散性がより均一となることにより、画像濃度が更に向上する。
以下に、本発明に好ましく用いられる回転子及び固定子を具備する混合装置を図面にて説明する。
図3(a)は、本発明に用いる回転子及び固定子を具備する混合装置を組み込んだシステムを示し、図3(b)は、本発明に用いる混合装置の本体側面図を示す。図3(c)、(d)は、混合装置の本体断面図であり、それぞれ、図3(a)中のA−A’断面図、図3(b)中のB−B’断面図である。
以下、混合装置について具体的に説明する。
図3(a)、(c)において、ホールディングタンク8に、分散工程より重合性単量体に少なくとも着色剤が分散している着色剤含有単量体と溶解工程より重合性単量体に少なくとも樹脂が溶解している樹脂含有単量対を投入し調製液とする。投入された該調製液は、循環ポンプ10を介して、混合装置入口より供給され、混合装置においては、ケーシング2の内部に具備された、回転子25と固定子21のスリットを通過し、遠心方向に排出される。混合装置内を調製液が通過する際、回転子、固定子のスリットのずれにより生じる遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃により調製液は混合される。本発明で用いられる回転子と固定子の形状は、複数のスリットを具備するリング状の突起が同心円上に多段に形成された形状であり、一定の間隔を保ち、相互に噛み合うように同軸上に設置されていることが好ましい。
回転子及び固定子が相互に噛み合うように設置された形状であることにより、ショートパスが軽減され、調製液の分散が十分に行える。また、回転子と固定子が同心円方向に交互に多段に存在することにより、調製液が遠心方向に進行する際に、多くのせん断・衝撃を受ける為、一層、分散レベルを高めることができる。ホールディングタンク8は、ジャケット構造であるため、処理物の冷却・加熱が可能である。
本発明における回転子及び固定子の周速とは、回転子及び固定子の最大径の周速である。本発明においては、回転子25の周速をG(m/s)とすると、20≦G≦60で回転させ調製液を混合することが好ましい。より好ましくは、回転子の周速Gが30≦G≦40である。回転子の周速Gが20≦G≦60であれば、回転子及び固定子のスリットのずれにより生じる調製液の遠心方向への圧縮、吐出による衝撃と回転子、固定子間のせん断による衝撃が増し、高度な分散が達成される。これにより、従来以上に、調製液の分散ムラが非常に少なく、均一な分散状態に達することができる。
上述の混合装置としては、例えば、キャビトロン(ユーロテック社製)を好適に用いることができるが、この限りではない。
また本発明では、前記重合性単量体組成物の粒子を形成する工程と、前記重合性単量体組成物の前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合してトナー粒子を得る工程とを少なくとも経て製造され、前記重合性単量体組成物を前記水系媒体に加える前に、高速回転する撹拌羽根と前記撹拌羽根の周囲に前記撹拌羽根と逆方向に高速回転するスクリーンとを具備した撹拌装置を用いて、前記重合性単量体組成物を処理する工程を有することが好ましい。
上記工程を有する場合、ワックスを、トナー粒子中により完全に近い形で内包化させることが可能となり、トナー表面へのエステルワックスの析出を更に抑制することが可能となる。その結果、帯電性をより安定化させることが可能となる。また、着色剤の分散性がより均一となることにより、画像濃度が更に向上する。
本発明に好ましく用いられる撹拌装置を循環経路の中に組み込んだシステム、及び撹拌装置の拡大図を図4(a)、撹拌室の断面図を図4(b)として説明する。但し、本発明に用いられる撹拌装置としては、これに限定されるものではない。
図4(a)、(b)において、1は高速回転する撹拌羽根、2は撹拌羽根1の周囲に該撹拌羽根1と逆方向に高速回転するスクリーン、3は撹拌羽根1とスクリーン2によって形成される撹拌室3、4は分散容器、5はスクリーン2に設けられた吐出口、7はホールディングタンク、8は撹拌翼、9は循環ポンプ、11は吸入口、12は排出口、13は熱交換器、14は流量計、15は圧力調整弁、16は下部モーター、17は上部モーター、18は蓋体、19は支持筒、20は上部回転軸、21はメカニカルシール、23は仕切板、24は下部回転軸、25は圧力計、26は温度計である。
(図4(a)、(b)の撹拌装置について)
分散容器4内に投入された重合性単量体組成物は、撹拌羽根1が撹拌室3の内部にて高速回転することにより、スクリーン2の内壁と羽根先との間の微小な間隙においてせん断力を受け、重合性単量体組成物中のピグメントショックにより再凝集した顔料が再分散される。
そして、撹拌室3が撹拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、両者の相対的な回転数を上げることができ、再凝集した顔料へかかるせん断力を高めることができる。これにより、従来の撹拌装置よりも、再凝集した顔料を高度に分散することが可能である。
更に、撹拌室3における吐出口5が、撹拌羽根1の回転方向と逆方向に回転するものである為、その回転に伴い流体の吐出位置が変化し、分散容器4内で重合性単量体組成物が、良好に循環する。
また、この流れが、吐出口5と微小隙間を置いて回転する撹拌羽根1の回転による吐出流に加わる為、更に早い吐出流が得られるものであり、より一層、全体の循環が促進される。
更に、撹拌室3内部の撹拌羽根1上部に導入口を設けることにより、重合性単量体組成物が、導入口より分散容器4内に排出された直後、互いに高速で逆方向に回転する撹拌羽根1とスクリーン2により高速せん断を受け、撹拌室3の内側から吐出口5を通過することが可能となる。すなわち、重合性単量体組成物が、高速せん断処理を受けずに吐出口5を通過することなく、調整タンクに戻ること(ショートパス)を抑制することができ、分散時間の短縮が可能となる。また、ショートパスを抑制できない場合、処理時間が増加してしまうため、顔料の過分散や過粉砕が生じ、結果として、顔料の表面積の増加により、重合性単量体組成物の粘度が、上昇してしまう。重合性単量体組成物の粘度上昇は、次工程である造粒工程での造粒性を悪化させ、粒度分布がブロードになる。よって、撹拌室内部の導入口を最適に設計することにより、ショートパスを防止し、造粒性の低下も抑制することができる。
また、分散容器4は、ジャケット構造になっており、ジャケット内に冷却媒体を流すことにより、分散容器内部のせん断により上昇した重合性単量体組成物の温度を低下させることが可能となる。
(図4(a)の分散システムについて)
調整タンク7に着色剤含有単量体と樹脂を投入後、調整タンク7に敷設された撹拌翼8により混合された重合性単量体組成物は、循環ポンプ9を介して、導入口より供給され、吸入口11へと導入される。次いで、吸入口11より導入された重合性単量体組成物は、前述の微小間隙を通過し、吐出口5より吐出される。吐出された重合性単量体組成物は、分散容器4内を循環した後に、排出口12より排出され、熱交換器13を経由してホールディングタンク7へ戻る。ホールディングタンク7へ戻った重合性単量体組成物を再度、導入口へ供給するという循環が繰り返される。分散機と調整タンク7との間の循環を繰り返すことで、均一且つ効率よく重合性単量体組成物中のピグメントショックにより再凝集した顔料の再分散が行われる。高速せん断処理された重合成単量体組成物が、再び調整タンク内部へ排出される部分は、調整タンク内の重合成単量体組成物に位置することが好ましい。調整タンク内の重合成単量体組成物中に高速せん断処理された重合成単量体組成物を戻すため、気体の巻込みを防止することができる。重合成単量体組成物への気体の巻込みは、撹拌室3における高速せん断処理時にキャビテーションの発生を促進し、分散効率が低下するため好ましくない。
熱交換器13は、循環ライン上に必ずしも設ける必要はなく、分散容器4内にコイル式の熱交換ラインを設置しても良い。
また、処理流量は、循環経路中に設置された流量計14にて測定される。更に、圧力調整弁15により、背圧をかけることが可能である。背圧をかけることで、撹拌羽根1及びスクリーン2の回転によるキャビテーションの発生を抑制することが可能となり、一層、処理液に対してせん断力を付与することができる。これにより重合性単量体組成物中の顔料の再分散が効率良くできる為、本発明においては、好適に背圧をかけることもできる。特に好ましい背圧は、50kPa以上150kPa以下の範囲である。
本発明のトナーは、先述のようなコアシェル構造を形成する目的で、シェルを形成する極性樹脂(シェルバインダー樹脂)として、コアを形成する結着樹脂(コアバインダー樹脂)と同組成のものを含んでいる極性樹脂を用い、懸濁重合法によりトナーを製造することが好ましい。このような設計とすることで、コアバインダー樹脂中にシェルバインダー樹脂が相溶しつつ、相分離が起こるため、内層と外層との界面において、それぞれの成分が相溶した密着性の高いコアシェル構造を有するトナー粒子を得ることができる。
コアバインダー樹脂として、ポリスチレン、スチレン置換体の単重合体、スチレン系共重合体のようなビニル系重合体が用いられている場合、シェルバインダー樹脂としても、ビニル系重合体を用いることが好ましい。
本発明に用いられる極性樹脂としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体の重合体もしくは含窒素単量体とスチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;アクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如き含ハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸;不飽和二塩基酸;不飽和二塩基酸無水物;ニトロ系単量体の重合体もしくはそれとスチレン系単量体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体といったスチレン系共重合体との共重合体;ポリエステル;エポキシ樹脂;が挙げられる。
本発明の極性樹脂(シェルバインダー)は結着樹脂(コアバインダー)との密着性の観点から、結着樹脂と同組成のものを含むことが好ましい。結着樹脂として、ポリスチレン、スチレン置換体の単重合体、スチレン系共重合体のようなビニル系重合体が用いられている場合には、極性樹脂としてビニル系共重合体が好ましく用いられる。
また、スチレン系の共重合体を用いる場合には、残留スチレンが0乃至300ppmの範囲であることが、極性樹脂と結着樹脂との馴染みを良好にするために好ましい。
また、コアバインダー樹脂として、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂が用いられている場合には、シェルバインダー樹脂としては、ビニル系重合体と上記それぞれの樹脂との変性樹脂が挙げられる。
極性樹脂(シェルバインダー樹脂)としては、GPCでのピーク分子量Mpが7,000乃至250,000、重量平均分子量Mwが7,000乃至260,000、数平均分子量と重量平均分子量との比(Mw/Mn)が1.05乃至5.00であるものが好ましい。より好ましくは、ピーク分子量Mpが10,000乃至250,000、重量平均分子量Mwが10,000乃至260,000である。また、酸価は5乃至40mgKOH/gであるものが好ましく、より好ましくは10乃至30mgKOH/gである。
本発明に用いる極性樹脂の含有量は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して10質量部以上40質量部であることが好ましい。より好ましくは15質量部以上30質量部である。
懸濁重合法にてトナー粒子を製造する際には、添加する極性樹脂(シェルバインダー樹脂)がコアバインダー樹脂と相溶することによりトナーのTgが上昇する。そのため、コアバインダー樹脂を生成するためのモノマーの理論Tgを低く設定し、製造されるトナーのTgが所定の範囲内となるようにすることが好ましい。低い理論Tgで設計した場合には耐熱性(耐ブロッキング性)が低下してしまいやすいが、トナーをこのようなコアシェル構造に設計することで、耐熱性の低下を抑制できる。そして、現像性、転写性及び定着性の向上を達成でき、従来のトナーよりも良好な特性を得ることが可能となる。
本発明においては、コアバインダー樹脂のガラス転移温度は、10乃至70℃であることが好ましく、より好ましくは15乃至65℃である。コアバインダー樹脂のガラス転移温度については、コアバインダー樹脂のみをトナー粒子から単離することが困難であるため、その処方から計算される理論Tgをコアバインダー樹脂のTgとみなしてもよい。
本発明のトナーは、100℃におけるトナーの粘度が1.00×104乃至3.50×104Pa・sであることが好ましい。100℃におけるトナーの粘度が上記範囲内である場合、先述の200℃、10分加熱の加熱脱着/GC/MS分析の上記エステルワックスの揮発性分濃度が1500ppm以下であることと相乗効果を発揮して、ワックスの染み出しが適度に抑制できるばかりでなく、定着時には瞬時にトナー表面に析出し、より適度な離型性を発現できるようになる。その結果、更に転写紙との付着力が適度となるため、低温定着性や巻きつき性に関してもより良好な効果が得られる。また、高い光沢度を有する定着画像がより得やすくなる。また、より良好な耐高温オフセット性が得られる。また、適度な強靭性が維持されるため、現像性や転写性がより良好となる。100℃におけるトナーの粘度は、1.00×104乃至2.50×104Pa・sであることがより好ましい。
なお、上記粘度は、結着樹脂の分子量やガラス転移温度を調整したり、ワックス成分の種類および含有量を調整したりすることで条件を満たすことができる。また、本発明の好ましい形態である重合トナーの場合には、重合条件(温度、開始剤種、開始剤量)で調節することが可能である。
本発明におけるトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定されたトナーの平均円形度が、0.960〜0.995であることが好ましい。平均円形度が上記範囲内である場合には、良好な転写性を得ることができる。また流動性向上剤(外添剤)をトナー粒子表面により均一に近い状態で付着させることができ、平滑性の低い転写材においても良好な転写が可能となる。トナーの平均円形度は、0.970乃至0.995であることがより好ましい。なお、トナーの平均円形度は、トナーの製造時に温度を調整することでその条件を満たすことが出来る。また、本発明の好ましい形態である、重合トナーの場合には、分散安定剤の仕込み量を調整することで条件を満たすことができる。
本発明におけるトナーの重量平均粒径(D4)は、高精細、高画質の画像を得るという観点から4.0乃至9.0μmであることが好ましい。重量平均粒径が上記の範囲内である場合には、部材に対する汚染をより良好に抑制でき、また、良好なドット再現性を得ることができる。トナーの重量平均粒径は、4.5乃至8.5μmであることがより好ましい。
なお、上記トナーの重量平均粒径(D4)に関する上記の条件は、トナー製造時に風力分級、篩い分けといった粒度調整工程において粒度調整することで満たすことが可能である。また、本発明の好ましい形態である、懸濁重合法トナーの場合には、分散安定剤の仕込み量で調整することが可能である。
本発明におけるトナーの示差走査熱量測定装置により測定されるガラス転移温度(Tg)は、30乃至58℃であることが低温定着性と現像性の両立の観点から好ましい。より好ましくは、40乃至55℃である。
本発明におけるトナーは、先述のように、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基の重合体を含有することが好ましい。このような重合体を含有させることによって、トナー担持体の長手方向のトナーコート量が均一となり、感光体上への現像をより忠実に行うことができるようになる。また、高いページ内均一性を得ることができる。この他に平滑性の低い転写材であっても平滑性の高い転写材同様の転写均一性を得ることができる。また、懸濁重合法によってトナー粒子を製造する場合には、水系媒体中の造粒安定性を高めることができる。上記スルホン酸基を有する単量体として、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。そして、これらの単量体が有するスルホン酸基を塩にしたもの、メチル基やエチル基によってエステル化した化合物も用いることができる。
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン。
多官能性重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル。
上記スルホン酸基等を含有する重合体は、結着樹脂100質量部に対し0.01乃至5.0質量部含有されることが好ましい。より好ましくは、0.1乃至3.0質量部である。該スルホン酸基等を含有する重合体の含有量が上記範囲内であれば、トナーに良好な摩擦帯電性を付与することができる。また、懸濁重合時の造粒安定性を良好に高めることができ、得られる粒子の粒度分布がシャープになる。
本発明において、トナー粒子は、水系媒体中で製造された粒子であることが好ましい。
水系媒体中でトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法が挙げられる。トナー粒子の必須成分から構成される乳化液を水系媒体中で凝集させる乳化凝集法;有機溶媒中にトナー必須成分を溶解させた後、水系媒体中で造粒後有機溶媒を揮発させる懸濁造粒法;トナー必須成分を溶解させた重合性単量体を直接水系媒体中で造粒後重合する懸濁重合法や乳化重合法;さらにその後シード重合を利用しトナーに外層を設ける方法;界面重縮合や液中乾燥に代表されるマイクロカプセル法。
これらの中で、本発明の作用効果を発揮しやすいものとして、特に懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤及びワックス成分(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中にこの単量体組成物を適当な撹拌器を用いて分散させ、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得るものである。
該トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を外添により混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。
懸濁重合法でトナー粒子を製造する場合には、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、摩擦帯電量の分布も比較的均一となり、良好な現像特性を有するトナーが得られやすい。また外添剤への依存度が少ない高い転写性を維持するトナーが得られやすい。
懸濁重合法によりトナー粒子を製造する際の重合性単量体としては、上記した単官能性重合性単量体、多官能性重合性単量体が挙げられる。
多官能性重合性単量体は、架橋剤として作用し、単官能性重合性単量体100質量部に対して0.001乃至15質量部の割合で用いることができる。多官能性重合性単量体としては、上記したものに加えて、ジビニルアニリン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物や3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。
重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。好ましくは、重合反応時の反応温度における半減期が0.5乃至30時間のものである。また重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、通常、分子量1万乃至4万の間に極大を有する重合体が得られ、適当な強度と溶融特性を有するトナーを得ることができる。
重合開始剤の例としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドの如き過酸化物系重合開始剤。特に好ましくは、重合反応中の分解時にエーテル化合物を生成するような重合開始剤である。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤を使用しても良い。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために上記スルホン酸基等を側鎖に持つ高分子の他に、更に他の帯電制御剤を配合しても良い。帯電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる帯電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法にて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない帯電制御剤が特に好ましい。
具体的な化合物としては、負帯電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
正帯電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
これらの帯電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂又は重合性単量体100質量部に対して0.1乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー粒子100質量部に対し、好ましくは0.005乃至1.0質量部、より好ましくは0.01乃至0.3質量部である。
懸濁重合する際に用いられる水系媒体には、有機又は無機の分散安定剤を添加することが好ましい。例えば、無機分散安定剤としては、以下のものが挙げられる。リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウム。有機分散安定剤として、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン。分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部使用することが好ましい。
また、これら分散安定剤の微細な分散のために、0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進するためのものであり、その具体例としては、以下のものが挙げられる。ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。無機分散安定剤を用いる場合には、市販のものをそのまま用いても良いが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて該無機化合物を生成させても良い。例えばリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有するトナー粒子に加え、無機微粉体を含有してもよく、無機微粉体は外添されていることが好ましい。
無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対し0.01乃至5.0質量部であることが好ましく、0.1乃至4.0質量部であることがより好ましい。添加量が上記の範囲内であれば、定着性の低下を抑制しつつ、十分な流動性の向上効果が得られる。該無機微粉体は、個数平均一次粒径が4乃至80nmであることが好ましく、4乃至60nmであることがより好ましい。
無機微粉体としては、酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末の如き金属酸化物;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粉末が挙げられる。本発明では、先述のように、その中でも特に、酸化チタン微粉末を含有していることが好ましい。また、上記金属酸化物やシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理しても良い。更には、アルミドープシリカ、チタン酸ストロンチウム、ハイドロタルサイトが挙げられる。その他にも、外添剤として、フッ化ビニリデン微粉未、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛等の如き脂肪酸金属塩を添加することもできる。
以下に本発明の物性値の測定方法について説明する。
<加熱脱着装置を用いたワックスの揮発成分濃度の測定>
ワックスの加熱脱着/GC/MS分析における、揮発成分濃度の測定は、パーキンエルマー社製TurboMatrixATD(加熱脱着装置)、およびサーモフィッシャーサイエンティフィック社製TRACE DSQ(GC/MS)を用いて以下の通りに測定する。
(内部標準入りガラスチューブの作製)
あらかじめ10mgのTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、300℃−3hコンディショニングを行ったものを用意する。その後、重水素化ヘキサデカン(ヘキサデカンD34)100ppmのメタノール溶液5μLをTenaxTAに吸着させ、内部標準入りガラスチューブとする。
(ワックス試料の測定)
ワックス約1mgをあらかじめ300℃で焼き出ししたアルミホイルに包み、上記内部標準入りガラスチューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のフッ素樹脂製キャップでフタをし、装置へセットする。
このサンプルを下記条件で測定し、内部標準ピークおよび、重水素化ヘキサデカン以降のピークの全ピーク面積を算出する。
〔加熱脱着装置条件〕
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min
出口スプリット:10ml/min
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10min
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
〔GC/MS条件〕
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5 (内径0.25mm、液相0.25μm、長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(3min)、350℃(20.0℃/min)、350℃(10min)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない。
(解析方法)
上記操作で得られたピークのうち、内部標準である重水素化ヘキサデカンのリテンションタイム以降のピークをすべて積分し、下式に従い全ピークの合計値を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピーク等を積分値に加えないよう注意する。
ワックスの揮発性分濃度(mg/kg)=(A1/B1×0.0005*1×0.77*2)/C1×1000000
*1・・・スタンダード溶液5μL中の重水素化ヘキサデカンの体積(μL)
*2・・・ヘキサデカンの密度(mg/μL)
A1・・・重水素化ヘキサデカン以降の全ピーク面積
B1・・・重水素化ヘキサデカン(内部標準)のピーク面積
C1・・・秤量したワックスの質量(mg)
<トナーのゼータ電位の測定>
トナーのゼータ電位の測定は、日本ルフト社製DT−1200を用いて以下の通りに測定する。
トナー粒子3gをサンプル瓶に入れる。これに150gのイオン交換水を加えて、更に界面活性剤(TRITON X−100、SIGMA−ALDRICH社製)を0.1g加える。
その後、氷浴にて冷却しながら、超音波ホモジナイザー(MODEL;VCX750(本体)、MODEL;CV33(ホーン)SONICS&MATERIALS社製、発振条件;発振周波数20kHz、電気的出力750W)にて超音波を照射してトナー粒子をイオン交換水中に分散させた分散液を作製する。
この分散液を用いて、pH=7.0におけるゼータ電位を測定する。
測定はpHの校正、水の減衰率測定、ゼータ電位計の校正を順次行った後に行った。pH調整は1Nの塩酸水溶液及び1NのKOH水溶液にて行い、各々の操作及び測定操作は装置のマニュアルに則って行った。なお、測定を行う際にはトナーが沈降しないように撹拌子を回転させながら行った。
<トナーの重量平均粒径の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
<1>Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
<2>ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
<3>発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
<4>前記<2>のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
<5>前記<4>のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
<6>サンプルスタンド内に設置した前記<1>の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記<5>の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
<7>測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<100℃におけるトナーの粘度の測定方法>
トナーの100℃における粘度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。尚、本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際の温度とピストンの降下量との関係を計測する。
本発明においては、50℃から200℃までの測定を行い、100℃において算出された見かけの粘度を、トナーの100℃における粘度(Pa・s)とする。
100℃における見かけの粘度η(Pa・s)は次のようにして算出する。まず、下式(1)よりフローレートQ(cm3/s)を計算する。式中、ピストンの断面積をA(cm2)、100℃時点におけるピストンの位置に対して上下0.10mm(間隔としては0.20mm)の間をピストンが降下するのに要した時間をΔt(秒)とする。
Q=(0.20×A)/(10×Δt) ・・・ (1)
そして、得られたフローレートQを用いて、下式(2)より100℃における見かけの粘度ηを算出する。式中、ピストン荷重をP(Pa)、ダイの穴の直径をB(mm)、ダイの長さをL(mm)とする。
η=(π×B4×P)/(128000×L×Q) ・・・ (2)
測定試料は、約1.0gのトナーを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<DSC曲線の最大級熱ピーク>
DSC曲線は、示差走査熱量測定装置(DSC測定装置)DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。具体的には、以下のようにして測定を行う。
測定試料は5乃至20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下において測定を行う。この昇温過程で、上記ワックスの吸熱ピーク及び上記トナーの最大吸熱ピークが得られる。
次に本発明のトナーを用いた画像形成方法の例について図1、図2を用いて説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<プロセスカートリッジ>
図1は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置に好適に用いることのできる、プロセスカートリッジ7(以下、「カートリッジ」ともいう。)の断面模式図である。
カートリッジ7は、感光体ドラム1と、帯電手段2及びクリーニング手段6を備えたクリーナーユニット50と、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像手段4を有する現像ユニット4Aとを有する。クリーナーユニット50を構成するクリーニング枠体31には、感光体ドラム1が軸受部材(不図示)を介して回転自在に取り付けられている。
感光体ドラム1には、感光体ドラム1の外周面に設けられた感光層を一様に帯電させるための帯電ローラー2、転写後に感光体ドラム1上に残った現像剤(残留トナー)を除去するためのクリーニングブレード60が接触している。クリーニングブレード60によって感光体ドラム1表面から除去されたトナー(除去トナー)は、クリーニング枠体31に設けられた除去トナー収納室35に納められる。
現像ユニット4Aは、トナーを収容する現像枠体45(45a、45b、45e)を有しており、現像ローラー40(矢印Y方向に回転)が軸受部材を介して回転自在に現像枠体45に支持されている。また、現像ローラー40と接触してトナー供給ローラー43(矢印Z方向に回転)とトナー規制部材44がそれぞれ設けられている。さらに現像枠体45には収容されたトナーを撹拌するとともにトナー供給ローラー43に搬送するためのトナー搬送機構42が設けられている。
そして、現像ユニット4Aがクリーナーユニット50に対して揺動自在に支持されている。すなわち、現像枠体45の両端に設けた結合穴47、48とクリーナーユニット50のクリーニング枠体31両端に設けた支持穴(不図示)を合わせ、クリーナーユニット50両端からピン(不図示)を差し込んでいる。
また、支持穴を回転軸中心として現像ローラー40が感光体ドラム1に接触するように加圧バネ(不図示)によって現像ユニット4Aが常に付勢されている。
現像時には、トナー容器41内に収納されたトナーがトナー撹拌機構42によってトナー供給ローラー43へ搬送される。トナー供給ローラー43が、現像ローラー40との摺擦によって現像ローラー40にトナーを供給し、現像ローラー40上にトナーを付着させる。現像ローラー40上に付着されたトナーは、現像ローラー40の回転にともなってトナー規制部材44のところに至る。そして、トナー規制部材44がトナーを規制して所定のトナー薄層を形成し、所望の帯電電荷量を付与する。現像ローラー40上で薄層化されたトナーは、現像ローラー40の回転につれて、感光体ドラム1と現像ローラー40とが接近した現像部に搬送される。そして、現像部において、電源(不図示)から現像ローラー40に印加した現像バイアスにより、感光体ドラム1の表面に形成されている静電潜像に付着して、潜像を現像化する。静電潜像の現像化に寄与せずに現像ローラー40の表面に残留したトナーは、現像ローラー40の回転にともなって現像枠体45内に戻される。そして、トナー供給ローラー43との摺擦部で現像ローラー40から剥離、回収される。回収されたトナーは、トナー撹拌機構42により残りのトナーと撹拌混合される。
ここで現像ローラー40には弾性ローラーを用い、これを感光体ドラム1表面と接触させる方法を用いることができる。一般にトナー担持体と感光体が接触する現像方式においては、トナーの破損、変形が生じやすくなるが、本発明記載のトナーを用いた場合にはこうした変化を効果的に抑制することが出来るため、好ましい。
<画像形成装置>
図2は、本発明の画像形成方法を適用した画像形成装置の一例を示す断面模式図である。画像形成装置100は4個の画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを縦方向に並設している。そして、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdには、各々、装着手段(不図示)によってプロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が着脱可能に装着される。なお、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各カートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構成である。
本模式図では、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、縦方向に僅かに傾斜して並設されているが、傾斜することなく縦方向に整列して設けてもよい。また、プロセスカートリッジ7は、図1に例示したものと同じであっても良いし、異なっていても良い。
各カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備えている。感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に以下の手段が設けられている。(A)感光体ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)。(B)画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)。(C)静電潜像に現像剤(以下、「トナー」という。)を付着させてトナー像として現像する現像手段4(4a、4b、4c、4d)。(D)感光体ドラム1上のトナー像を記録媒体Sに転写させる転写装置5。(E)転写後の感光体ドラム1表面に残ったトナーを除去するクリーニング手段6(6a、6b、6c、6d)。
ここで、感光体ドラム1と、プロセス手段である、帯電手段2、現像手段4、クリーニング手段6は、カートリッジ枠体により一体的に構成してカートリッジ化されカートリッジ7を構成している。
感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は、シリンダの外周面に感光層を設けて構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されている。そして、一方の端部に駆動モーター(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
上記感光体としては、a−Se、CdS、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光体ドラムが好適に使用される。また、上記OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
帯電手段2(2a、2b、2c、2d)としては、接触帯電方式のものを使用している。帯電手段2は、ローラー状に形成された導電性ローラーである。このローラーを感光体ドラム1表面に当接させるとともに、このローラーに帯電バイアス電圧を印加する。これにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させる。
スキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)は、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、高速回転されるポリゴンミラー(不図示)及び結像レンズ(不図示)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を画像情報に応じ露光する。これによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する。
現像手段4(4a、4b、4c、4d)は、マゼンタ色、シアン色、イエロー色、ブラック色の各色のトナーを夫々収納したトナー容器41から構成され、トナー容器41内のトナーを送り機構42によってトナー供給ローラー43へ送り込む。
前記トナー供給ローラー43は、図示時計方向に回転し、トナー担持体としての現像ローラー40へのトナーの供給、及び、静電潜像の現像化に寄与せず現像ローラー40上に残留したトナーのはぎとりを行う。
現像ローラー40へ供給されたトナーは、現像ローラー40外周に圧接されたトナー規制部材44によって現像ローラー40(時計回り方向に回転)の外周に塗布され、且つ電荷を付与される。そして、潜像が形成された感光体ドラム1と対向した現像ローラー40に現像バイアスを印加する。そして、潜像に応じて感光体ドラム1上にトナー現像を行う。
転写装置5には、すべての感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向し、接するように循環移動する静電転写ベルト11が設けられている。この転写ベルト11は、駆動ローラー13、従動ローラー14a、14b、テンションローラー15に張架されていて、図中左側の外周面に記録媒体Sを静電吸着する。そして、転写ベルト11は、感光体ドラム1に記録媒体Sを接触させるべく循環移動する。これにより、記録媒体Sは転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
この転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に対向した位置に転写ローラー12(12a、12b、12c、12d)が並設される。これら転写ローラー12には、転写時にバイアスが印加されて、電荷が静電転写ベルト11を介して記録媒体Sに印加される。このとき生じた電界により、感光体ドラム1に接触中の記録媒体Sに、感光体ドラム1上のトナー像が転写される。
給送部16は、画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdに記録媒体Sを給送搬送するものである。給送部16には、複数枚の記録媒体Sがカセット17に収納されている。画像形成時には給送ローラー18(半月ローラー)、レジストローラー19が画像形成動作に応じて駆動回転する。給送ローラー18は、カセット17内の記録媒体Sを1枚毎に分離給送した後、レジストローラー19に記録媒体S先端を突き当てて一旦停止させる。その後レジストローラー19は、転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、記録媒体Sを静電転写ベルト11へと給送する。
定着部20は、記録媒体Sに転写された複数色のトナー画像を定着させるものである。そして、定着部20は、加熱ローラー21aと、これに圧接して記録媒体Sに熱及び圧力を与える加圧ローラー21bとを有する。即ち、感光体ドラム1に形成されたトナー像を転写された記録媒体Sは定着部20を通過する際に、加圧ローラー21bで搬送されるとともに、加熱ローラー21aによって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が記録媒体S表面に定着される。
画像形成の動作としては、カートリッジ7(7a、7b、7c、7d)が、画像形成タイミングに合わせて順次駆動される。そして、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラー2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。そして、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面に静電潜像を形成する。現像手段4内の現像ローラー40は、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
最上流の感光体ドラム1の周面上に形成されたトナー像の先端が、転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に記録媒体Sの印字開始位置が一致するようにレジストローラー19が回転し記録媒体Sを転写ベルト11へ給送する。
記録媒体Sは吸着ローラー22と転写ベルト11とによって挟み込むようにして転写ベルト11の外周に圧接される。そして、転写ベルト11と吸着ローラー22との間に電圧を印加する。そして、誘電体である記録媒体Sと転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起して、記録媒体Sを転写ベルト11の外周に静電吸着させている。これにより、記録媒体Sは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
このように搬送されながら記録媒体Sは、各感光体ドラム1と転写ローラー12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
4色のトナー像を転写された記録媒体Sは、ベルト駆動ローラー13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。記録媒体Sは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラー23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
図2においては、定着部20に加熱ローラーを用いる方法を例示したが、本発明の画像形成方法には他の定着方法も好適に用いることができる。その一例としては、発熱体を用いて耐熱性高分子フィルムを加熱し、トナー像の定着を行う装置が挙げられる。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。以下にトナー粒子の製造方法について記載する。実施例中及び比較例中の部および%は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(スルホン酸基含有重合体1の製造)
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管の付いた2Lフラスコにトルエン100部、メタノール300部、スチレン470部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸40部、アクリル酸−2−エチルヘキシル70部、メタクリル酸ベンジル20部、ラウリルパーオキサイド10部を仕込み、撹拌、窒素導入下65℃で10時間溶液重合し、内容物をフラスコから取り出した。その後、得られた生成物をクロロホルム5mlに溶かしシリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーにて精製を行った。回収した生成物を減圧乾燥することで硫黄原子含有樹脂1を得た。得られたスルホン酸基含有重合体の物性は、Mw=25000、Mw/Mn=2.0であった。
(ワックス1の製造)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、ベヘン酸(C22H44O2)1400部、ベヘニルアルコール(C22H46O)1300部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下10時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、ベヘン酸ベヘニルを主体とするワックス得た。その後、減圧蒸留操作により6時間精製して、ワックス1(融点71℃)を得た。ワックス1の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.0℃であった。
(ワックス2の製造)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、セバシン酸(C10H18O4)1400部、ベヘニルアルコール(C22H46O)、2600部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下10時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、セバシン酸ジベヘニルを主体とするワックス得た。その後、減圧蒸留操作により3時間精製して、ワックス2(融点73℃)を得た。ワックス2の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.0℃であった。
(ワックス3の製造)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、アラキドン酸(C20H32O2)1400部、ステアリルアルコール(C18H38O)2600部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下8時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、エイコサン酸ジステアリルを主体とするワックス得た。その後、減圧蒸留操作により2時間精製して、ワックス3(融点77℃)を得た。ワックス3の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.5℃であった。
(ワックス4の製造)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコにベンゼン1900部、ベヘン酸(C22H44O2)1260部、モンタン酸(C26H52O2)140部、ベヘニルアルコール(C22H46O)1300部、p−トルエンスルホン酸130部を加え、撹拌下6時間還流した後、水分離器より共沸留去を行った。炭酸水素ナトリウムで十分に洗浄した後、乾燥してベンゼンを留去した。生成物をベンゼンで再結晶、洗浄し、エイコサン酸ジステアリルを主体とするワックス4(融点74℃)得た。ワックス4の、DSC曲線における、最大級熱ピークの半値幅は6.5℃であった。
〔トナー製造例1〕
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム2.3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
また、下記の材料をプロペラ式撹拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20部
飽和ポリエステル樹脂1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=90℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)
また、下記処方をアトライターで分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30部
・C.I.ピグメントブルー15:3・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.4部
・スルホン酸基含有重合体1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0部
次に、該微粒状着色剤含有単量体と該樹脂含有単量体を混合して調整液を得た後、該調整液を60℃に加温し、そこにワックス1を10部添加した。次いで、キャビトロン(ユーロテック社製)を導入し、調製液を混合した。なお、回転子の周速G(m/s)は40、混合時間は30分間とした。
その後、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで30分間撹拌し、造粒した。
その後、プロペラ式撹拌装置に移して100r/minで撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
次に、上記粒子を温度40℃にて12時間乾燥して着色粒子を得、該着色粒子を風力分級することにより粒度を調整しトナー粒子1を得た。
(疎水性酸化チタン微粉体1の製造)
酸化チタン微粉体(KR−310、チタン工業製)を水系中でシリコーンオイルエマルジョン4部で処理した後、濾過、乾燥して疎水性酸化チタン微粉体1を得た。1次粒径は300nm、疎水化度=40%、体積抵抗値1.5×1010Ω・cm、ルチル型であった。
得られたトナー粒子100部に、外添剤として平均一次粒径が40nmのシリカ微粒子1.4部と、疎水性酸化チタン微粉体1を0.2部とを添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用いて混合してトナー1を得た。
トナーの物性を表1に示す。
〔トナー製造例2〕
トナー製造例1において、ワックス1をワックス2に変更した以外は同様の方法によりトナー2を得た。トナーの物性を表1に示す。
〔トナー製造例3〕
トナー製造例1において、スルホン酸基含有重合体1の添加量を1.5部に変更した以外は同様の方法によりトナー3を得た。トナーの物性を表1に示す。
〔トナー製造例4〕
トナー製造例1において、スルホン酸基含有重合体1の添加量を0.1部に変更した以外は同様の方法によりトナー4を得た。トナーの物性を表1に示す。
〔トナー製造例5〕
トナー製造例1において、重合性単量体の混合比率を下記のように変更した以外は同様の方法で比較トナー5を得た。トナー物性を表1に示す。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17部
〔トナー製造例6〕
トナー製造例1において、重合性単量体の混合比率を下記のように変更した以外は同様の方法でトナー6を得た。トナー物性を表1に示す。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25部
〔トナー製造例7〕
トナー製造例1において、スルホン酸基含有重合体1の添加量を1.5部に変更し、疎水性酸化チタン微粉体1を0.5部添加した以外は同様の方法でトナー7を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例8〕
トナー製造例1において、疎水性酸化チタン微粉体1を添加しなかった以外は同様の方法でトナー8を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例9〕
トナー製造例1において、ワックス1の添加部数を3.0部とした以外は同様の方法でトナー9を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例10〕
トナー製造例1において、ワックス1の添加部数を14.0部とした以外は同様の方法でトナー10を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例11〕
トナー製造例1において、飽和ポリエステル樹脂1を飽和ポリエステル樹脂2(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=67℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)に変更した以外は同様の方法でトナー11を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例12〕
トナー製造例1において、飽和ポリエステル樹脂1を飽和ポリエステル樹脂3(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=125℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)に変更した以外は同様の方法でトナー12を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例13〕
トナー製造例1において、飽和ポリエステル樹脂1を添加しなかった以外は同様の方法でトナー13を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例27〕
60℃に加温したイオン交換水900部にリン酸三カルシウム2.3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
また、下記の材料をプロペラ式撹拌装置にて100r/minで均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20部
飽和ポリエステル樹脂1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮合物、Tg=90℃、Mn=5000、Mw/Mn=2.4)
また、下記処方をアトライターで分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30部
・C.I.ピグメントブルー15:3・・・・・・・・・・・・・・・・・・7.4部
・スルホン酸基含有重合体1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0部
次に、該微粒状着色剤含有単量体と該樹脂含有単量体を混合して調整液を得た後、該調整液を60℃に加温し、そこにワックス1を10部添加した。
その後、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて10,000r/minで 30分間撹拌し、造粒した。
その後、プロペラ式撹拌装置に移して100r/minで撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを室温(25℃)まで冷却し、該懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
次に、上記粒子を温度40℃にて12時間乾燥して着色粒子を得、該着色粒子を風力分級することにより粒度を調整しトナー粒子27を得た。
得られたトナー粒子100部に、外添剤として平均一次粒径が40nmのシリカ微粒子1.6部と、疎水性酸化チタン微粉体1を0.2部とを添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用いて混合してトナー27を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナー製造例28〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物704部、イソフタル酸296部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃、8時間反応させた後、10乃至15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、30部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。さらに、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(2)を得た。次にこのプレポリマー(2)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量66000のウレア変性ポリエステル(2)を得た。TgBは66℃であった。
得られたウレア変性ポリエステル(2)100部を酢酸エチル/エチルメチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤200部に溶解、混合した。
この溶解液に、ワックス1を10部、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を7部、飽和ポリエステル樹脂1を20部入れてトナー材料液を得、該材料液の液温を60℃に加温した。
一方、ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。ついで73℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料液を投入し10分間撹拌して混合液を得た。ついで該混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、重量平均粒径が6.5μmのトナー粒子28を得た。
得られたトナー粒子100部に、外添剤として平均一次粒径が40nmのシリカ微粒子1.6部と、疎水性酸化チタン微粉体1を0.2部とを添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))を用いて混合してトナー28を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナーの比較製造例1〕
トナー製造例1において、ワックス1をワックス3に変更した以外は同様の方法で比較トナー1を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナーの比較製造例2〕
トナー製造例1において、ワックス1をワックス4に変更した以外は同様の方法で比較トナー2を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナーの比較製造例3〕
トナー製造例1において、スルホン酸基含有重合体1の添加量を2.5部に変更した以外は同様の方法で比較トナー3を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナーの比較製造例4〕
トナー製造例1において、飽和ポリエステル樹脂1を添加せず、さらにスルホン酸基含有重合体1を添加しなかった以外は同様の方法で比較トナー4を得た。トナー物性を表1に示す。
〔トナーの比較製造例5〕
トナー製造例1において、重合性単量体の混合比率を下記のように変更した以外は同様の方法で比較トナー5を得た。トナー物性を表1に示す。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13部
〔トナーの比較製造例6〕
トナー製造例1において、重合性単量体の混合比率を下記のように変更した以外は同様の方法で比較トナー6を得た。トナー物性を表1に示す。
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40部
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30部
〔トナーの比較製造例7〕
トナー製造例1において、ワックス1の含有量を14.0部に変更し、さらに疎水性酸化チタン微粉体1を添加しなかった以外は同様の方法で比較トナー7を得た。トナー物性を表1に示す。
〔実施例1〕
トナー1を非磁性一成分系現像剤とし、画像形成装置としては市販のレーザプリンタであるLBP−5400(キヤノン製)の改造機を用い、温度23℃、相対湿度50%環境下でA4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いて画像評価を行った。評価機の改造点は以下のとおりである。
評価機本体のギアおよびソフトウエアを変更することにより、プロセススピードが190mm/secとなるようにした。
評価に用いるカートリッジはシアンカートリッジを用いた。すなわち、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを150g充填して評価を行った。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
以上の条件で、常温常湿(25℃,60%RH)と高温高湿(30℃,80%RH)環境下において、0.5%の印字比率の画像を10000枚まで間歇モード(すなわち、1枚プリントアウトする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の現像装置の予備動作でトナーの劣化を促進させるモード)でプリントアウトした。その際、初期と10000枚耐久後に後述の項目について画像評価を行った。
(1)低温定着性
トナーの載り量を0.60mg/cm2としたベタ画像を作像し、120℃から5℃おきに定着温度を変調して定着を行い、得られた定着画像をシンボル紙で、5往復、約100g荷重で察し、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で相加平均して10%以下となった温度を定着開始温度とした。
A:140℃未満(良好)
B:140℃以上145℃未満(実用上問題なし)
C:145℃以上150℃未満(実用限度)
D:150℃以上(実用上問題あり)
(2)耐高温オフセット性
記録材先端中央部にトナーを載り量0.60mg/cm2で、5cm×5cm面積のベタ画像を作像し、定着器通過時の記録材の通紙方向後端部に、ホットオフセット現象(定着画像の一部が定着器の部材表面に付着し、更に、次周回で記録材上に定着する現象)が生じた時点の定着加熱部表面の温度を測定し、ホットオフセット現象発生温度とし、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:190℃以上(良好)
B:185℃以上190℃未満(実用上問題なし)
C:180℃以上185℃未満(実用限度)
D:180℃未満(実用上問題あり)
(3)帯電均一性
帯電均一性は以下の示す評価を行った。
即ち、初期と10000枚後のCRG内トナーの粒度分布測定を前述の重量平均粒径(D4)の測定方法に則って行い、得られた各々の重量平均粒径(D4)から下記式を基にその粒度変化率を算出して下記基準に基づいて評価を行った。各トナーの帯電分布が均一であるほど、耐久により各粒径のトナーが一様に消費されていくため、重量平均粒径(D4)の変化率は小さくなる。
初期の重量平均粒径(D4)/10000枚後の重量平均粒径(D4)×100=粒度変化率(%)
{評価基準}
A:95≦粒度変化率(%)≦100
B:85≦粒度変化率(%)<95
C:75≦粒度変化率(%)<85
D:粒度変化率(%)<75
Aが最もよく、Dが最も悪い。
(4)耐部材汚染性
10000枚印字後の定着ローラーの汚染を以下のように目視で評価した。
A:定着ローラー表面にまったく汚染見られず
B:軽微な汚染有るが、実用的には許容できる
C:目視で容易に判別できる汚染見られる
D:顕著な汚染見られる
(5)定着ムラ
用紙としては、複写機用再生紙(68g/m2、キヤノン製)を用いて、紙上のトナー載り量を0.4mg/cm2になるよう現像コントラストを調整し、先端余白5mm、幅100mm、長さ280mmのべたの未定着画像を作成する。高温オフセットが発生する10℃低い温度で未定着画像を定着させた画像のグロスをハンディ光沢度計グロスメーターPG−3D(東京電色工業社製)を用いて光の入射角75°の条件で、定着画像上での最大グロス(Gmax)と定着画像上での最小グロス(Gmin)を測定した。Gmax及びGminから下記式で表されるようにグロス差を求め、下記のようにして評価した。
ΔG=Gmax−Gmin
A:ΔGが2未満で良好
B:ΔGが5未満で良好
C:ΔGが7未満で実用上問題なし
D:ΔGが7以上で実用上問題あり
(6)トナー劣化
トナー劣化の評価は初期と10000枚後のベタ画像濃度の変化率を算出することで行った。即ち、得られた各々の濃度から下記式を基にその濃度変化率を算出して下記基準に基づいて評価を行った。
10000枚後のベタ画像濃度/初期のベタ画像濃度×100=濃度変化率(%)
{評価基準}
A:95≦濃度変化率(%)≦100
B:85≦濃度変化率(%)<95
C:75≦濃度変化率(%)<85
D:濃度変化率(%)<75
Aが最もよく、Dが最も悪い。
(7)カブリ
カブリの測定については、東京電色社製の反射濃度計、REFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して、標準紙及びプリントアウト画像の非画像部の反射率を測定した。測定で用いられるフィルターには、グリーンフィルターを用いた。測定結果から下記の式よりカブリを算出し、以下の基準で評価した。
カブリ(反射率:%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
A:カブリ(反射率)が0.5%未満
B:カブリ(反射率)が0.5%以上1.0%未満
C:カブリ(反射率)が1.0%以上2.0%未満
D:カブリ(反射率)が2.0以上
評価上、Aが最もよく、Dが最も悪い。
上記条件でトナー1を評価したところ、トナー1は、低温定着性や耐高温オフセット性が良好であった。また常温常湿と高温高湿のいずれの環境下においても帯電均一性が良好であり、また、部材汚染レベルや、定着ムラ、カブリレベルも良好であった。詳細な結果を表2に示す。
〔実施例2乃至13、参考例27、28〕
実施例1と同条件で、トナー2乃至13、27、28を評価した。詳細の結果を表2に示す。
〔比較例1乃至7〕
実施例1と同条件で、比較トナー1乃至7を評価した。詳細の結果を表2に示す。