JP2011202169A - フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための触媒法、およびそれによって製造される官能性高分子系 - Google Patents

フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための触媒法、およびそれによって製造される官能性高分子系 Download PDF

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Abstract

【課題】原子移動ラジカル重合法を簡略化し、製造される物質の製造コストを低減するに必要な改良方法及び改良された官能性物質を提供する。
【解決手段】ラジカル移動可能な原子または基を、開始剤または不活性ポリマーおよび生長しつつある活性ポリマー鎖末端へ、移動させることで、レドックス反応に関与する遷移金属コンプレックスにより仲介される、フリーラジカル(共)重合可能なモノマーの制御重合方法を、改良した。この方法を用いて、新規ポリマー材料を製造し、かつ原子移動結合反応を含めて機能性ポリマーの新規製造方法の範囲を拡大した。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
発明の背景
マクロ官能性を示すポリマーを開発するかまたは特異な化学的反応性を有する新しい官能性ポリマーを開発する高分子化学における継続的な努力が存在している。これらの開発は、ポリマーを加工し、続いての物質形成反応、例えば、共重合、鎖延長および架橋反応;および、分散された固体を含め、基質との相互作用における構築ブロックまたはそのための構成成分としてポリマーを使用する物質エンジニアに利用可能なコントロールレベルを拡張するであろう。商業的に有用であるために、これらの反応は、容易に利用可能な低コストモノマーから出発し、例えば、反応射出成形、配合または合金化;および、その他のプロセスによって、別個の操作の間または製造の間に反応性である物質を生成させて、調節可能で、かつ、制御可能な望ましい特性を有する被覆、繊維、フィルム、複合構造体または大きな物品を形成する。この努力において克服する必要のある著しい経済的なハードルは、制御された重合の利点を提供することであり、利用可能な商業的なプロセス設備において、ミクロ−およびマクロ−官能性の両方を示すこのような使用可能な低コストモノマーから物質を製造する過程でより大きな制御を生じさせることである。これらの長期に及ぶ課題は、これより早い出願において本発明者のある者によって開示された、ラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合における継続的な進歩に対し、背景またはドライビングフォースを提供してきたし、原子移動ラジカル重合(ATRP)として公知の方法を拡張、簡略化およびより確固とするための刺激を提供する。
古典的なATRP反応の最も進化した形は、米国特許出願セリアルNo.09/018,554に記載されており、この特許の全内容は、ここで、参考とすることによって本明細書に組込む。広範な範囲のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを制御された重合のための触媒法の多くのパラメータにわたって実施する方法は、Krzysztof Matyjaszewskiおよびその他によって編集または共同編集された刊行物に記載されている。例えば、Wang, J. S. and Matyjaszewsk, K., J. Am. Chem. Soc. vol. 117, p.5614(1995);Wang, J. S. and Matyjaszewsk, K. Macromolecules, vol. 28, p.7901(1995);K. Matyjaszewki et al., Science, vol.272, p.866(1996);K. Matyjaszewki et al.,“Zerovalent Metals in Controlled/“living”Radical Polymerization,” Macromolecules, vol.30, pp.7348−7350(1997);J. Xia and K. Matyjaszewki, “Controlled/“Living” Radical Polymerization,Homogeneous Reverse Atom Transfer Radical Polymerization Using AIBN as the Initiator,” Macromolecules vol.30, pp.7692−7696(1977);米国特許Nos.5,807,937および5,789,487を参照し、これらの各々の内容は、ここで、参考とすることによって本明細書に組込む。パラメータ間の微妙な相互作用がさらに説明されており、これら刊行物に開示された教示の方法は、官能性およびトポロジーにわたってコントロールを示す多くの固有に備わった有用な新規物質の製造;および、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーについてのこの確固として制御された重合法を通して達成可能な部位特異的な官能性およびトポロジー的なコントロールの適用によって生ずるさらなる物質形成反応のための新規遠隔官能性の(tele−functional)構築ブッロクの製造を可能とする。
フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの重合にわたってコントロールを達成するために使用されるシステムまたはプロセスは、4つの構成成分:(i)開始剤分子または重合発生剤分子;および、(iii)付加されるかまたは会合した対イオンを有する(ii)遷移金属化合物;ならびに、(iv)リガンドと錯化した遷移金属化合物錯体の使用を含むとして、これより早い出願に記載されている。開始剤分子または重合発生剤分子は、遷移金属化合物と可逆的なレドックス反応に関与することのできる1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を含むいずれの分子であってもよい。遷移金属化合物は、付加されるかまたは会合した対イオンを含む。全ての反応性酸化状態が反応媒体にある程度溶解性となるように、遷移金属は、リガンドと錯化される。系の構成成分は、添加されるモノマーを(共)重合するように選択される。米国特許No.5,763,548を参照し、この特許の全体の内容は、ここで、参考とすることによって本明細書に組込む。
“逆(reverse)”ATRPとして公知の実施態様において、上記した開始剤分子は、フリーラジカルと遷移金属化合物のレドックス共役体との反応によりin−situで形成することができる。ラジカル的に移動可能な原子または基の選択、遷移金属上に最初に存在する対イオンおよび所望による溶剤の選択のような重合系の他の構成要素がそのプロセスに影響を及ぼすことができる。また、系の構成要素の機能は、1つの分子に合せられうることである。米国特許No.5,807,937は、機能の組合せを含有する1つの分子の例として、対イオンおよびリガンドが1つの分子に存在する錯体を提供している。失活剤;“繰り返し形成されるラジカル(persistent radical)”;または、ATRPについての遷移金属レドックス共役体の役割も、また、米国特許No.5,807,937に記載されている。
プロセスのあらゆる態様にわたってコントロールのためのの条件を概念的に考えることができるように、個々に、プロセスの前提要件を考えると有益なことがなお多い。例えば、部位特異的な官能性を生成するポリマーに導入することを望む場合、所望される官能基を含有する開始剤または発生剤分子を添加することができるか、または、所望される基が遷移金属錯体と相互作用しうる場合には、マスクされた官能基を導入することができるか、あるいは、重合が完了した後生成物に所望される官能性を導入するために、活性成長ポリマー鎖末端に存在するであろうラジカル的に移動可能な原子または基を利用することができる。
以下の記載に限定するものではないが、ATRPの背後にある理論は、重合が、開始剤分子の残りから、または、重合プロセスに間には、休止状態のポリマー末端から、錯化された遷移金属触媒との可逆的なレドックス反応による、活性成長ポリマー鎖末端と遷移金属錯体との間のいずれの強力な炭素−遷移結合(C−Mt)形成を生ずることなく、ラジカル的に移動可能な原子または基の開裂(好ましくは、本質的にホモリチックな開裂)によって本質的に進行することである。この理論のうちには、より低い活性酸化状態にあるかまたはその活性剤状態にある遷移金属錯体が、可逆的なレッドクス反応において、開始分子または成長ポリマー鎖末端からラジカル的に移動可能な原子または基をホモリチックに除去することにより開始剤または休止状態のポリマー鎖末端を活性化するにつれ、他の化学、本質的には、フリーラジカルに基づく化学を実施可能とする活性種が形成される。これは、可逆反応である。より高い酸化状態、レドックス共役状態または失活剤状態にある遷移金属錯体が、ラジカル的に移動可能な原子または基を活性開始剤分子または生長鎖末端に移動させ、それによって、より低い酸化状態の遷移金属錯体を再形成する。フリーラジカルに基づく化学が生ずる時、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む新たな分子もまた形成される。以前の刊行物においては、触媒的に活性な遷移金属化合物は、in−situで形成されるかまたは予め形成された錯体として添加することができ、ある範囲の対イオンを含有すると記載されている。対イオンは、開始剤上に存在するラジカル的に移動可能な原子または基、例えば、塩素または臭素のようなハライドと同様であってもよく、または、異なるラジカル的に移動可能な原子または基であってもよい。後者の対イオンの例は、開始剤が最初に臭素を含有する時、遷移金属化合物上のクロライド対イオンである。このような組合わせは、重合の十分な開始、続いて、重合の制御された速度を可能とし、さらに、(コ)モノマーの第1の組から(コ)モノマーの第2の組へのある種の交錯(crossover)反応において有用であることが示されており、ブロックコポリマーの十分な形成を可能とする。
現在では、多種多様なビニルモノマーがこのATRP技術によって制御されてかまたは“活発(living)”に(共)重合することができ、立証された遷移金属、例えば、種々のリガンドと結合した銅、鉄、ニッケル、ルテニウムおよびロジウムの数が増大しつつある。ATRPに使用される各遷移金属については、多くのリガンドが使用可能であるが、これにもかかわらず、より安価で、かつ、レドックス電位の改良された触媒的に活性な錯体を形成することのできるより良好なリガンドがなお所望されている。また、公知の化学製造法によってリサイクルまたは再使用しやすい触媒錯体を同定することが継続して望まれている。
発明の簡単な概要
原子移動ラジカル重合法を簡略化し、それを商業的実施においてより適合させ、その方法によって製造される物質の製造のための全体としてのコストを低減するのに必要とされる幾つかの改良を開示および考察する。また、改良された本方法は、多数の有用な用途のための改良された官能性物質を提供する。
本発明は、制御された重合法であって、概して、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させ;(コ)ポリマーを形成する;各工程を含む方法を含む。フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーは、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒を最初に含む系の存在で重合させられる。触媒は、最も好ましくは、1つの実施態様において、対イオン、好ましくは、錯体対イオン、例えば、オニウム基体の対イオン;または、ハライドもしくは金属基体の対イオンを含む遷移金属塩を含む。フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーは、好ましくは、アクリレート、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドから選択される。
本発明は、また、原子または基の制御された重合法であって、重合系の存在で、1種以上のラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法も提供する。その系は、1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、固体支持体に結合された1つ以上の対イオンを含む遷移金属化合物を最初に含有する。結合された金属錯体は、錯体対イオンにイオン結合で配位した遷移金属化合物;または、遷移金属に対して、N−、O−、P−またはS−含有リガンドで相互作用し、σ結合で配位するか、または、π結合で配位することのできる炭素含有リガンドと相互作用する遷移金属化合物を含むことができる。遷移金属化合物は、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物と可逆的なレドックスサイクルに関与する。遷移金属化合物は、イオン結合、物理的吸着、化学的吸着、ファンデルワールス力、配位結合または共有結合を介して、固体支持体の表面に、物理的、物理化学的または化学的に結合されたものである。
本発明の1つの実施態様において、遷移金属化合物は、固体支持体に結合された1種以上の対イオンを含み、1種以上のさらなる対イオンが、錯体対イオンであり、結合された遷移金属化合物が、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の可逆的なサイクルに関与する。
本発明のもう1つの実施態様において、制御された重合法は、開始剤と遷移金属化合物とを最初に含む系の存在で、1種以上のラジカル的に重合可能なモノマーを重合させる工程を含む。遷移金属化合物は、固体支持体に結合された1種以上の対イオン;遷移金属にσ−結合で配位したリガンド;遷移金属化合物のレドックス共役体を含む。遷移金属およびレドックス共役体の少なくとも1つは、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なレドックスサイクルに関与する。この実施態様において、リガンドは、遷移金属にπ−結合で配位するC原子を含有することができる。遷移金属のレドックス共役体は、重合プロセスで少なくとも一部溶解性であってもよい。固体支持体は、イオン交換樹脂であってもよい。本方法は、バッチ式反応器で実施することもでき、連続流系で実施することもできる。開始剤は、より高い酸化状態の遷移金属化合物からラジカル的に重合可能な原子を形成されるフリーラジカルに移動させることによって形成することができる。
これとは別の実施態様において、本発明は、官能性をオリゴマーまたはポリマーに付加させるために原子移動ラジカル付加するための方法を提供する。この方法は、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1のオリゴマーまたはポリマーと第1の所望される官能基を有する第2の化合物と反応させる工程を含み、第2の化合物が、第2の化合物と可逆的なサイクルに関与する触媒を最初に含む系の存在で、ラジカル的に移動可能な原子または基の除去後、第1のオリゴマーまたはポリマーと反応させる方法である。触媒は、好ましくは、遷移金属錯体であり、さらに、リガンドを含んでもよく、さらに好ましくは、遷移金属塩を含んでもよい。第2の化合物は、好ましくは、フリーラジカル的に(共)重合可能ではない不飽和分子であり、ポリマーの成長を停止する。不飽和分子は、第1の官能基を含み、α,α−二置換されたオレフィンまたはアリルの少なくとも1つであってもよい。この方法は、第2の官能基を含む分子を付加する工程を含み、第1の官能基と反応する分子がポリマーに組込まれる。第3の官能基を含む第3の化合物を添加してもよく、第3の化合物は、ポリマー上に組込まれた第1の官能基と反応する。
本発明は、また、遷移金属塩の存在で、第1のフリーラジカル開始剤を分解させることにより、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する第2の開始剤を生成させる工程を含む制御された重合法のさらなる実施態様を含むこともできる。この実施態様においては、遷移金属塩は、錯体対イオン;および、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む必要がある。遷移金属塩は、ラジカル的に移動可能な原子または基を第1の開始剤の分解生成物に移動させて、第2の開始剤を形成する。フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーは、第2の開始剤と;第2の開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒とを最初に含む系の存在で重合させられる。好ましくは、1つの末端に第1の開始剤の部分残基を有するポリマーが形成されるのがよい。さらなる工程は、ポリマーを単離する工程を含んでもよい。最初に存在する遷移金属塩は、好ましくは、より高い酸化状態にあり、金属ゼロ状態の遷移金属は、平均酸化状態が当モルの開始剤と反応するのに必要とされるそれよりも低くなるように添加される。本方法は、バルク系、適当な溶剤を含む系;懸濁液中;乳濁液中;バッチ、半バッチまたは連続プロセス中の固体支持体上の1つで実施される。
本発明の重合法は、遷移金属化合物の存在で過酸化物を破壊することによりラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を製造する工程を含み、より低い酸化状態の遷移金属化合物は、ラジカル的に移動可能な原子または基を含み、遷移金属化合物は、ラジカル的に移動可能な原子または基を過酸化物の残基へと移動させて、開始剤または発生剤を形成する。本方法は、さらに、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物と開始剤とで可逆的なサイクルに関与する触媒と開始剤とを最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む。
本発明の制御された重合法は、ラジカル的に移動可能なハライドを有する開始剤;遷移金属化合物;および、好ましくは、第1級または第2級直鎖アミンの少なくとも1つである窒素含有リガンドを含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミドを重合させる工程を含んでもよい。リガンドは、さらに、中性錯体を形成するために極性溶剤によって錯化されていてもよい。
本発明は、さらに、重合反応から遷移金属触媒錯体を分離するための方法を含む。除去プロセスは、反応媒体をイオン交換媒体に接触させる工程を含み、ポリマー;所望により、モノマー;および、触媒錯体を含む反応媒体は、好ましくは、1つ以上の酸化状態の遷移金属:リガンド;および、1種以上の対イオンによって構成される。触媒錯体は、所望により、遷移金属および錯体対イオンを含む錯体塩である。イオン交換媒体は、好ましくは、酸性対イオン;さらに好ましくは、H+およびNa+の少なくとも1つから選択されるカチオンを有する。触媒錯体は、交換樹脂上の共有対イオンを介してイオン交換樹脂に結合される。反応媒体は、さらに、溶剤、好ましくは、媒体から触媒錯体を除去する速度を高める極性を有する溶剤を含んでもよく、さらに好ましくは、実質的に全ての触媒錯体が反応媒体から除去される。反応媒体は、イオン交換樹脂床の上を通らせる。触媒錯体上のリガンドは、好ましくは、イオン交換樹脂により溶液から遷移金属錯体を十分に除去することが可能なように選択され、本方法は、さらに、イオン交換樹脂を反応媒体から分離する工程を含む。
本方法は、また、ラジカル的に移動可能な原子または基を対イオンとして含む酸または塩の1つを含有する再生媒体に、イオン交換媒体に結合された遷移金属錯体を暴露し;再生媒体をイオン交換樹脂から分離することによって触媒錯体を再生するさらなる工程を含む。再生媒体は、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを含有してもよい。溶液中の遷移金属錯体とイオン交換樹脂に結合された遷移金属錯体との間の平衡は、最も好ましくは、再生媒体の極性、イオン交換樹脂のイオン特性、再生媒体のpH、イオン交換樹脂の架橋の度合いまたはイオン交換樹脂の膨潤性、イオン交換樹脂の膨潤性透過性、支持された対イオンの酸強度およびイオン交換樹脂のグロスサイズの1つ以上を調整することによって制御される。
本発明は、また、1つ以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有するオリゴ/ポリマー物質の触媒による原子移動官能化のための方法も含む。本方法のこの実施態様は、ラジカル的に移動可能な原子または基を有するポリマーを用意し;ラジカル的に移動可能な原子または基とレドックス反応を受けることの可能な遷移金属錯体の存在で、α,α−二置換されたオレフィン基を含有する化合物をそのポリマーに付加させる;各工程を含み、ラジカル的に移動可能な原子または基の部位にα,α−二置換されたオレフィン基を含有する化合物の付加;および、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む脱離反応を生じて、反応性の不飽和基を形成する。高分子物質は、所望により、オリゴマーである。好ましいフォーマットにおいて、α,α−二置換されたオレフィン上の1つの置換基は、メチル基であり、形成される二重結合は、主として、exo−二重結合である。反応性exo−二重結合を有するマクロモノマーを製造することができる。脱離反応は、好ましくは、塩基性有機分子、直鎖およびヘテロ環式N−含有化合物、イオン交換樹脂または無機酸受容体からなる群より選択される酸受容体の添加によって高められる。
本発明のもう1つの実施態様においては、ポリマーの触媒的な原子移動カップリングのための方法が提供される。カップリング方法は、第1のラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1のポリマーを用意し;第1のラジカル的に移動可能な原子または基とレドックス反応を受けることの可能な遷移金属錯体の存在で、1つ以上のα,α−二置換されたオレフィン基を含有するカップリング化合物を第1のポリマーに添加して、第1のフリーラジカル的に移動可能な原子または基を有する部位にα,α−二置換されたオレフィン基を含有するカップリング化合物の付加;および、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む脱離反応を生じさせて、反応性の二重結合を形成させ;遷移金属錯体の存在で、第2のラジカル的に移動可能な原子または基を有する第2のポリマーを反応性二重結合に付加させる;各工程を含む。第1のポリマーと第2のポリマーとの合計対カップリング化合物のモル比は、所望により、制御することができ、第1のポリマーと第2のポリマーとの残基を含有する直鎖、スター(星型)、グラフトおよび鎖延長された物質の少なくとも1つの配置を有する第3のポリマーを形成する。カップリング化合物は、α,α−二置換されたオレフィン基を含有してもよく、第1のポリマーおよび第2のポリマーは、1つのラジカル的に移動可能な原子または基を有してもよい。その場合の第1のポリマーと第2のポリマーとの合計モル数対カップリング化合物のモル数とのモル比は、本質的に、1:0.5である。カップリング化合物は、2つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有してもよく、第1のポリマーと第2のポリマーとは、各々、一つのラジカル的に移動可能な原子または基を有し、第3のポリマーは、フューアーム(fur arm)を有するスターポリマー(星型ポリマー)であるか、または、第1のポリマーと第2のポリマーとは、2つのラジカル的に移動可能な原子または基を有してもよく、鎖内においてα,α−二置換されたオレフィン基で延長された鎖またはカップリングされたポリマーの1つを生ずる。カップリング化合物は、3つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有するコンパクトな分子であってもよく、モル比が制御されて、6つ以下のアームを有するスターコポリマーを形成する。
本発明は、また、マクロモノマーとして使用するのに適したexo−二重結合を有するα−置換されたオレフィンを含み、α−置換基は、ポリマーの他の末端に公知の基を有する250より大きい分子量を有するフリーラジカル的に(共)重合されたオリゴ/ポリマーである。あるいは、本発明は、各置換基が250より大きい分子量を有するフリーラジカル的に(共)重合されたオリゴ/ポリマーであるα、β−二置換されたオレフィンを含む。
本発明は、カップリング化合物が置換基としてα,α−二置換されたオレフィン基を有する骨格ポリマーを含む時に、グラフトコポリマーを提供することができ、グラフトが、グラフトコポリマー鎖内で骨格ポリマーに結合されたグラフトポリマーを形成する。骨格ポリマーは、好ましくは、付加重合プロセスまたは縮重合プロセスによって製造される。骨格ポリマーは、好ましくは、ポリオレフィンであり、最も好ましくは、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンまたはポリイソプレンおよびそれらのコポリマーの1つである。
本発明は、さらに、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーから誘導される末端exo−オレフィン二重結合を含有する官能基;フリーラジカル重合法によって形成される物質の立体化学およびタクチシィティ;および、1.5未満の対称単一ピーク分子量分布;を含むマクロモノマーを含む。マクロモノマーは、好ましくは、官能性90mol%より大を有する。
本発明は、また、制御された懸濁または乳化重合法であって、懸濁媒体;界面活性剤;ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;ピコリルアミンであってもよく、かつ、開始剤およびラジカル的に重合可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なレドックスサイクルに関与する遷移金属錯体を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含み、触媒遷移金属のレドックス共役体が懸濁媒体に添加される方法に拡張させることもできる。遷移金属錯体の疎水性および親水性は、結合されるリガンドの選択によって制御することができる。重合は、標準的なラジカル開始剤の分解によって開始される。
乳化制御された重合法が、本発明によって提供される。この方法は、フリーラジカル開始剤を含み、重合が、フリーラジカル開始剤の分解によって開始され;より高い酸化状態の遷移金属化合物が、ラジカル的に移動可能な原子または基を含み、ラジカル的に移動可能な原子が、フリーラジカル開始剤の残基に移動して第2の開始剤;および、フリーラジカル的に移動可能な原子または基を有する第3の開始剤を形成する。この方法は、さらに、第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを添加し、遷移金属錯体;遷移金属;遷移金属レドックス共役体;第2のラジカル的に移動可能な原子または基;および、対イオンの少なくとも1つを添加する各工程を含む。
本発明によって提供される制御されたラジカル重合法は、固体表面に結合された開始剤を使用することを含み、さらに、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーおよび失活剤;遷移金属錯体のレドックス共役体または安定なフリーラジカルを使用することを含んでもよい。開始剤は、好ましくは、固体表面に結合される。プロセス触媒は、遷移金属塩を含んでもよく、系は、さらに、繰り返し形成されるフリーラジカル;遷移金属触媒のレドックス共役体;安定なフリーラジカルまたはもう1つの失活剤の少なくとも1つを含んでもよい。プロセスで繰り返し形成されるフリーラジカルは、好ましくは、制御された重合系およびモノマーの1%より大である。繰り返し形成されるフリーラジカルは、さらに好ましくは、制御された重合系およびモノマーの3%より大である。
本発明は、制御された重合法が、ポリマーを形成する結合された多面体オリゴマーシルセスキオキサン基を有する不飽和モノマーを使用することを含むもう1つの実施態様を提供する。不飽和モノマーは、好ましくは、ビニル芳香族または(メタ)アクリレートである。形成されるポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマーまたはスターブロックポリマーである。
本発明は、さらに、第1の末端および第2の末端を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成されるポリマー;前記第1の末端に結合された第1の官能基;前記第2の末端に結合された第2の官能基を含み、第1および第2の基上のその他の置換基の選択が、前記第1の官能基とは異なる反応性を有する前記第2の官能基を与えるホモ−テレキレート(telechelic)なコポリマーを提供する。
本発明は、さらに、遠隔官能性のマルチ−アームスターコポリマーを製造するための制御された重合法を提供する。この方法は、フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成される遠隔官能性のマルチ−アームを有するスター開始剤;1つのラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1の開始剤;および、ジビニル化合物;を含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む。第1の開始剤は、さらに、第2の官能基を含んでもよい。
本発明は、また、ビニルアセテートモノマーから合成されるブロック;および、好ましくは、官能性末端基を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーのブロック;を含むブロックコポリマーを提供する。ブロックコポリマーを製造するための方法は、遷移金属により触媒される第1の反応機構によって第1のモノマーブロックを重合させ;遷移金属により触媒される第2の反応機構によって第2のモノマーブロックを重合させる工程を含み、第1の反応機構が第2の反応機構とは異なる。ブロックコポリマーを製造する方法は、好ましくは、さらに、ビニルアセテートモノマーから合成されるAブロック;および、官能性末端基を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーのブロックを生じさせる各工程を含む。官能性末端基は、異なる基へと転化させることができる。
ABAブロックコポリマーを形成することもできる。それは、ビニルアセテートから合成される2つのAブロック;および、官能性末端基を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成される1つのBブロックによって構成される。ABAブロックコポリマーを製造する方法は、ビニルアセテートモノマーから合成される2つのAブロック;および、官能性末端基を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成される1つのBブロックを有するABAブロックコポリマーを用意し;官能性末端基を異なる基へと転化する;各工程を含む。
遷移金属が、最初の対イオンとして非ラジカル的に移動可能な原子または基を含有することができること;および、重合が開始剤上に最初に存在する原子または基の移動を通してのみ進行することを理解することが、本発明の改良の1つの基礎である。遷移金属錯体における対イオンの選択を含むATRP法における2つの重要な改良を以下説明する。
図1は、DOWEX MSC−1イオン交換樹脂を使用するCuBr/PMDETAの除去に及ぼす溶剤効果を示すグラフである。 図2は、DOWEX MSC−1イオン交換樹脂を使用する50%メチルアクリレート/50%クロロベンゼン溶液中のCuBr/PMDETAの除去に及ぼす温度効果を示すグラフである。 図3は、DOWEX MSC−1イオン交換樹脂を使用するCuBr2/PMDETAの除去に及ぼす溶剤効果を示すグラフである。 図4は、種々のタイプのイオン交換樹脂を使用するCuBr/PMDETAの除去を示すガラフである。 図5は、DOWEX MSC−1イオン交換樹脂を使用するCuBr錯体の除去に及ぼすリガンド効果を示すグラフである。 図6は、α−メチルスチレンを介してのカップリングを示す反応概略図である。 図7は、カップリングによる4つのアームを有するスターの製造を示す反応概略図である。 図8は、官能性シリカ粒子に対するストーバー法の反応概略図である。 図9は、界面活性剤補助粒子合成の反応概略図である。 図10は、実施例1のスチレンの塊重合についての速度論的プロットを示すグラフである。 図11は、実施例1のスチレンの塊重合のためのモノマー転化率に及ぼす分子量および多分散性の依存性を示すグラフである。 図12は、実施例2のMMA(50%o−キシレンv/v)の溶液重合についての速度論的プロットを示すグラフである。 図13は、実施例2のMMAの溶液重合についてのモノマー転化率に及ぼす分子量および多分散性の依存性を示すグラフである。 図14は、実施例3のメチルアクリレートの塊重合についての速度論的なプロットを示すグラフである。 図15は、実施例3のメチルアクリレートの塊重合についてのモノマー転化率に及ぼす分子量および多分散性の依存性を示すグラフである。 図16は、MMAの“逆”ATRPに対する転化率および対数転化率の時間依存性を示すグラフである。 図17は、MMAの“逆”ATRPにおけるモノマー転化率に及ぼすMnおよびMw/Mnの依存性を示すグラフである。 図18は、種々の比のMnCl2/TBACに対するMn対転化率を示すグラフである。
発明の詳細な説明
鉄基体の系を最初に考察することによって、有用性を説明するが、これは、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを制御した重合のための触媒として遷移金属塩の使用の応用性を何ら限定するものではない。現在までに、鉄基体のATRP触媒に使用されるリガンドは、好ましくは、ホスフィン類(例えば、トリブチルホスフィンおよびトリフェニルホスフィン)、脂肪族アミン類(例えば、トリブチルアミンおよびトリオクチルアミン)、置換されたビピリジン類(例えば、4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン,dNbpy);テトラデントシッフ塩基または一酸化炭素およびシクロペンタジエニルの類から選択されている。前述のリガンドを有する鉄錯体は、好ましくは、四面体(例えば、トリフェニルホスフィンおよびトリブチルアミン)または平方平面(テトラデントシッフ塩基)配置を示す。Matyjaszewski,K;Wei, M.;Xia, J.;McDermott, N. E., Macromolecules, vol.30, p.8161(1997);Moineau, G.;Dubois, P.;Jerome, R.;Schninger, T.;Teyssie, P., Macromolecules, vol.31, p.545(1998);Wolfe, P. S.;Nguyen, S. T. Am. Chem. Soc., Polym. Prep., vol.39(2), p.552(1998);Kamigaito, M.;Sawamoto, M., Am. Chem. Soc. Polym. Prep., vol.40(2), p.325(1999);Kotani, Y.;Kamigaito, M.;Sawamoto,M, Am. Chem. Soc. Polym. Prep., vol.40(2), p.468(1999)参照。
鉄基体触媒の構造の理解に基づき、本方法に適した触媒の構造および/または組成は、現在、さらに開発されつつある。本発明は、4つ未満の添加される構成成分を有する遷移金属錯体および遷移金属媒介の制御された重合の新規な類を提供する。塩のアニオンが遷移金属と相互作用して新たな遷移金属化合物を形成する塩の存在に遷移金属がある時、触媒を形成することができる。以下の記載によって限定するものではないが、1つの例は、FeCl2を、ハライドアニオン類を含む塩と;または、嵩高い有機対イオン、例えば、テトラブチルアンモニウムクロライドと混合し;FeCl3 -NBu4 +を形成することによって形成される触媒である。さらに、FeCl3およびNEt4Clから形成される錯体FeCl3 -NEt4 +は、逆ATRPに使用することができる。ATRPは、また、アニオン交換樹脂上に支持された鉄触媒を使用して実施することができる。
新規の拡張された範囲の遷移金属錯体である種のモノマーを制御しつつ重合するのに特に適したこの実施態様において、遷移金属上の最初の対イオンおよびリガンドの両方の機能は、溶解性の帯電した対イオンを含有する遷移金属塩の使用によって取って代わられる。本発明は、また、“逆(reverse)”ATRP反応にも拡張することができる。この新規類の触媒の有用性は、スチレン、アクリレートおよびメタアクリレートを重合するための触媒として鉄基体の塩との反応を実施するための条件を記載することによって例示される。1つの類の遷移金属塩または1つの機構に限定するのではなく、塩のアニオン性構成成分が遷移金属と接触して、負に帯電した遷移金属と正に帯電した塩フラグメントとを形成するように、塩が遷移金属と相互作用すると考えられる。塩がハライドアニオンである時、ハライドアニオンは、単離される塩の中に対イオンとして明らかに存在するが、“古典的な”ATRP触媒においてリガンドの役割を満たすハライドアニオンに溶液中で“二官能性”分子として作用することができる。このような種は、現在、ATRPのための活性触媒であることが立証されている。
錯体有機対イオン、例えば、トリブチルアンモニウムまたはトリアルキルホスホニウムアニオンの使用は、アクリレートの制御された(共)重合に拡張される遷移金属触媒としての鉄の使用を可能とする。本発明は、ほんの3つの同定可能な添加された構成成分、(i)1つ以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤または添加されるかまたはin−situで生成されるポリマー鎖発生剤;(ii)遷移金属;および、(iii)添加されたフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを共重合することの可能な塩を含む会合した対イオンのみで制御された重合法を達成する。
鉄の四面体錯体は、ATRPのための触媒として使用することができる。リガンドとしてハライドアニオンを有するこのような鉄錯体は、多年にわたって公知である。(Gill, N. S.,J. Chem. Soc., 3512(1961);Clausen, C. A.;Good, M. L., Inorg. Chem., vol.9, 220(1970);Sproul, G. D.;Stucky, G. D., Inorg. Chem. vol.11, 1647(1972);Dunbar, K. R.;Quillevere, A., Angew. Chem. Int. Ed., Engl. vol.32, 293(1993)参照。)これらは、負に帯電し、通常、嵩高い有機またはアーセニック(arsenic)基体のオニウム対イオンを伴う。文献に記載されたこのような錯体は、以下に示すが、大部分の場合、それらは、溶液中でのオニウムハライドと鉄ハライドとの直接反応によって形成される。これらの錯体は、研究されており、本発明者らは、嵩高い有機対イオンを有するハライドアニオン(例えば、テトラブチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラアルキルアーソニウム等)がATRP触媒として特に好ましいことを見出した。無機対イオン、例えば、K、Na、Mg等もまた使用することができる。
Figure 2011202169
スキーム1:ATRPのための活性な鉄錯体
錯体1および3(スキーム1)は、クロライドとブロマイドとの両方について単離されているが、他方、錯体2は、X=Clについてのみ公知である。塩素基体の錯体とは違って、4つより多い臭素原子を含む単核鉄(III)は、恐らくは、それらのより低い安定性により単離されていないことは、また、記載する価値がある。錯体1は、以下に記載する直接的なATRPプロセスに関する活性種の可能性が高い。錯体2は、2より低いオニウム塩/FeBr2比で存在するかもしれない。開始剤または高分子“休止状態の”種からハロゲン原子を引き抜くことにより、〔FeBr42-錯体は、〔FeBr52-種へと転化される。〔FeBr52-は単離されていないが、それは、溶液中に存在しうる。〔FeBr52-錯体アニオンの形成は、“逆”ATRP実験によって支持され、このことは、実施例4a−4cで考察するが、その第1の工程を概略的にスキーム2に示す。
Figure 2011202169
スキーム2:遷移金属塩との“逆”ATRP
遷移金属塩との“逆”ATRPにおいて、種々の錯体は、異なる塩/FeBr3比について得られる可変多分散性によって示されるように、対イオン/FeBr3比に依存して影響を受けるかもしれない。2より大きい塩/鉄比について得られるより低い多分散性は、〔FeBr52-錯体の影響を示唆し、このことは、そのより低い安定性により臭素原子のより容易な除去を可能とし、したがって、より迅速な失活をもたらす。この場合に、生ずる〔FeBr42-錯体は、活性化工程について役割を果たすことができる。
重合において触媒として使用する時の遷移金属塩錯体のイオン性は、最終反応物を単に水で洗浄することによって触媒を容易に除去することを可能とする。この処置は、直接的なATRPを介してのスチレン重合に場合について試験し、“逆”アプローチによってメチルメタクリレート(MMA)重合でも試験した。
上記考察において、ハライドアニオンは、臭素原子として表すが、その他のハライドおよび混合ハライドも使用することができる。種々のハライド対イオンが最初に遷移金属およびオニウム塩上に存在することができ、混合ハライド錯体を形成する。また、他の出願で教示したように、混合ハライド系は、遷移金属上の最初のハライド原子および開始剤分子を適当に選択することにより、開始速度および生長反応速度をコントロールするために使用することができる。
後で詳述する例は、カチオンに会合するリガンドとしてハライドアニオンを有するイオン性錯体が、さて、直接的および“逆”ATRPの両方によりスチレンおよび(メタ)アクリレートの重合をコントロールするために使用することができることを示す。直接的なアプローチにおいて、クロライド、ブロマイドまたはヨーダイドオニウム塩と錯化した臭化鉄(II)が、予め決められた分子量および低い多分散性を有するポリマーの製造を可能とした。しかし、スチレンおよびアクリレート重合は、最初は、遅く、他方、MMAについては、重合は、極めて迅速である。
“逆”ATRP法は、MMAに適用して成功を納めた。分子量は、転化につれて増大し、それらは、開始モノマー/AIBN比に基づき計算される値に近づいた。メチルアクリレートは、最初の直接的なアプローチの場合におけると同様な遅い重合速度を示したが、他方、スチレンについては、重合プロセスについての機構が変化し、カチオン性プロセスの発生が制御されない分子量および高い多分散性をもたらした。オニウム塩/FeBr3の比に依存して、種々の鉄錯体が重合に関係するようである。
重合の間により低い反応性を有する若干のポリ鉄錯体の形成は、より遅い反応速度について説明することができる。この前提が真である場合、それらは、錯形成剤の添加によって破壊することができる。スチレン系についての重合速度は、Bu3Pの添加によって増大した。
上記開示した遷移金属錯体塩は、また、先の出願において考察した触媒系よりも開始剤および(コ)モノマー上の官能基に対して高い耐性を有することを示している。これら遷移金属錯体塩触媒系は、遊離のカルボン酸基を含有する開始剤から重合を開始させることができ、さらに、“遊離の”カルボン酸を含有する物質を制御された重合プロセスに組込むことができる。これは、アクリレート基体の被覆物質および接着剤についての多くの用途がフィルム形成ポリマーと有機または無機基質との相互作用を調節するための官能基として“遊離の”カルボン酸を有するモノマーを利用するので、ATRP能の有意な拡張である。
ATRPに使用される遷移金属塩は、好ましくは、鉄基体の塩である。銅、ニッケル、マンガンおよびクロムを含め、その他の金属をスクリーニングして、やはり、重合を開始するために活性であることを見出した。しかし、これらは、失活工程にわたってコントロールが効かないようであり、広い分子量分布を有するポリマーをもたらした。
プロセスコントロールの対イオン選択に関するもう1つの実施態様において、遷移金属は、固体支持体に近く接続されるかまたは結合されて保持される。本明細書で“結合された”という意味は、イオン結合、物理的吸着、化学的吸着、ファンデルワールス力、配位結合または共有結合を介して、固体支持体の表面に、物理的、物理化学的または化学的に結合され、本質的に、重合相から分離させて保持されていることを意味する。1つの具体的な実施態様において、触媒は、支持体に直接結合された対イオンとの相互作用を介して固体支持体に結合される。この実施態様は、触媒を含まない生成物の製造を大いに簡略化する本質的に遷移金属を含まない環境で重合を実施可能とする。好ましくは、遷移金属それ自体は、固体支持体または固体イオン交換樹脂上に直接支持され;さらに好ましくは、遷移金属触媒は、固体イオン交換樹脂に直接支持され;最も好ましくは、遷移金属触媒および対イオンは、固体イオン交換樹脂上に支持される。なおさらに好ましい実施態様においては、遷移金属は、固体イオン交換樹脂上に支持された1つ以上の共有対イオンを介して固体イオン交換樹脂に緊密に会合される。この実施態様において、固体イオン交換樹脂は、遷移金属化合物に対する対イオンの1つとして機能すると考えられる。
遷移金属、遷移金属触媒または対イオンの濃度は、本発明に従う重合においてそれが活性である限り、特に制限はない。
触媒または支持された触媒の比は、本発明に従う重合においてそれが活性である限り、特に制限はない。これは、重合媒体中で触媒が活性であるものの、他方、支持体固体と相互作用することを必要とするかもしれない。活性および相互作用は、全てのプロセスパラメータを考慮することによって均衡とされる。
イオン交換樹脂は、当業者公知のいずれの樹脂または固体支持体であってもよく、有機固体(有機樹脂、官能化された有機樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびフェノール系樹脂を含め);無機固体;官能化された無機固体;合成および天然ゼオライト;シリケート;粘土;エアロゲル;キセロゲル;アルミノシリケート;ミクロ−、メソ−およびマクロ多孔性の物質;金属酸化物;炭質;キーゼルグーア;アルミナ;軽石;活性炭およびシリカカーバイドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。イオン交換樹脂または支持体は、ビーズ、粒子、発泡体、膜、紙または繊維の形であってもよい。好ましくは、イオン交換樹脂は、有機樹脂、官能化された有機樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびフェノール系樹脂のいずれであってもよい。同様に、イオン交換樹脂および固体支持体の負荷、使用および再生の方法は、特に制限がない。種々の適したイオン交換樹脂および固体触媒支持体ならびに負荷および使用ならびに再生法法が、例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology 4thed., (1993)、および、第5巻の321−460頁および第14巻の737−783頁に記載されており、その全体の内容は、ここで参考とすることによって本明細書に組込む。
溶液中のレドックス共役体の濃度は、本発明に従う重合においてそれが活性である限り、特に制限がない。バッチ重合系において、レドックス共役体は、重合プロセスの開始時に存在することが好ましい。
本方法は、ATRPおよび“逆”ATRPの両方によって製造しうる十分に拡張された範囲のラジカル的に(共)重合可能なモノマーに適用可能である。
本発明は、触媒錯体とイオン交換樹脂またはもう1つの固体支持体に結合された対イオンとの相互作用を介して固定化または(先に定義したように)結合された時に、触媒を固定床または流動床反応器内で使用可能とする。
米国特許No.5,807,937には、アルミナ、シリカおよび/または粘土を含め、吸収固体に触媒を暴露することによって重合された系から触媒を除去することが記載されている。ATRPプロセスの特異的な構成成分の各々にわたってのさらなるコントロールの有意な役割は、米国特許出願セリアルNo.09/018,554に説明されている。これまで、触媒を溶液中に保持したままでの触媒またはポリマーの選択的な沈殿を介しての触媒除去の改良は、触媒上に存在するリガンドの役割を考えることによって記載されていた。プロセスの個々の構成成分にわたってのさらなるコントロール、例えば、溶剤とのリガンドの相互作用は、さらに、米国特許出願セリアルNo.09/018,554に特記されているが、やはり、遷移金属錯体が系から除去される効率に影響を及ぼす。(コ)モノマーの個々の選択について重合のための最良の条件を決定するその他のプロセスパラメータの重要性は、本出願によって提供される。プロセスパラメータも、また、触媒支持体、触媒除去、リサイクルまたは再使用を最適化するために貴重である。完全な触媒錯体を吸収、吸着するかまたは完全な触媒錯体と相互作用することが立証されている物質の範囲は、現在では、イオン交換樹脂を含むまでに拡張されており、触媒を除去する速度は、溶剤の極性、温度、イオン交換樹脂のタイプ、金属錯体のイオン性およびサイズに依存して決定される。本明細書で考察するように、これら変数に注目することにより、支持体に(先に定義したように)結合されるかまたは支持体と相互作用する触媒を使用し、制御された重合を実施することが可能である。プロセスパラメータに関する同様の考察は、重合系から遷移金属錯体およびそのレドックス共役体を比較的迅速に除去するために使用することができる。イオン交換樹脂の場合、これは、遷移金属錯体上に最初に存在する対イオンの1つをイオン交換樹脂で置換することによって生ずると考えられる。これは、また、結合されるか結びつけられた対イオンによって第1の対イオンを置換し、続いて、“未結合または遊離の”対イオン置換でさらに処理することによりイオン交換樹脂から遷移金属錯体を放出することによる触媒リサイクルの適当な方法を与える。
酸性の対イオンを有するイオン交換媒体に暴露することによる活性なATRP触媒の除去は、活性剤および失活剤のレドックス共役体の酸化状態を考えて種々のリガンドの役割を調べることによって研究され、活性な錯体として溶液から遷移金属錯体を除去するためのイオン交換樹脂能について研究された。例えば、2座、3座または4座窒素基体のリガンドにより錯化された銅(II)および/または銅(I)ハライドの除去は、溶液を酸性イオン交換樹脂と接触させることによって立証された。銅の除去効率は、系の脱色速度の測定に従うか、および/または、対イオンの系への放出に従った。
Figure 2011202169
〔bpyは、ここで、2,2−ビピリジンを意味するために使用し;
PMDETAは、ここで、N,N,N’,N’’,N’’’−ペンタメチルジエチレン−トリアミンを意味するために使用し;
Me6TRENは、ここで、トリス[(ジメチルアミノ)エチル]アミンを意味するために使用する。〕
スキーム3:支持された対イオンとの対イオン交換
さらに、Cu(II)錯体については、放出されるBr-の量は、使用されるリガンドに依存する。事実、溶液中の遷移金属触媒(銅)間に生ずる平衡および固体支持媒体と強力に相互作用する位置は、遷移金属錯体のサイズ以外に、媒体の極性、交換錯体のイオン性、溶液のpH、イオン交換媒体中に存在する架橋の度合いまたは交換媒体の膨潤性/透過性;支持される対イオンの酸強度およびイオン交換樹脂のグロスサイズに依存することが示された。これらの変数に注意することは、対イオンとしてのイオン交換樹脂とのATRP反応を実施するためおよびイオン交換系によりリサイクルのために触媒を首尾よく除去するための両方について最適な結果を得るために重要である。
3より低いpH値では、リガンドのプロトン化が遷移金属錯体の分解を生じさせる工程を発生する。
適したイオン交換樹脂としては、スルホニルアニオン性対イオンを含有する最も商業的に利用可能なカチオン***換樹脂が挙げられる。
交換は、H+カチオンでは迅速である。
交換は、大過剰のカチオン部位が利用可能な時には、溶剤に強く依存しない。
速度は、合計遷移金属対利用可能な部位のより低い相対比では、溶剤の極性とともに増大した。
図1〜図5は、本明細書の実験部分で詳細に考察するが、考えられる溶剤の極性、温度、遷移金属の酸化状態、種々のイオン交換樹脂および種々のリガンドでの触媒の除去速度を示す。
実験部分で詳細に示す実験は、酸性基を有するイオン交換樹脂を使用するATRP反応から、Cu(I)およびCu(II)錯体を例とする、遷移金属錯体の除去のための効率的な方法を示す。これら樹脂は、懸濁液および乳濁液系以外に、塊重合、有機および無機溶液から触媒を除去するために使用することができる。
樹脂は、ポリマーラテックスを凝集させることなく、ATRP2相水性重合(water−borne polymerizations)から触媒を除去した。触媒錯体の除去速度は、溶剤極性、温度、使用されるイオン交換樹脂のタイプおよび銅錯体のイオン特性ならびにサイズに依存することが見出された。樹脂上の大過剰のH+部位を使用する限られた場合においては、遷移金属錯体の両方のレドックス共役体の状態は、比較的迅速に反応混合物から除去することができる。
触媒は、強力な酸対イオン、例えば、ハロゲン化水素を含有する酸溶液で樹脂を洗浄することにより樹脂から放出させることができる。
プロセスエンジニアにとって利用可能なこれらの手段により、触媒、特にここではイオン交換樹脂が相互作用する米国特許5,807,937に考察されている固体の使用を介して、重合を行い、かつ、除去、リサイクルおよび再使用しやすい触媒パッケージを設計することが可能であろう。
触媒リサイクルのためのもう1つのアプローチは、沈殿重合であろう。重合は、溶剤中で行われ、溶剤は、重合温度でポリマーを溶解させるが、ポリマーは、室温(またはそれより下)で沈殿する。ポリマーは、濾過により回収され、その中に溶解された触媒を含む濾液はリサイクルされる。
MMAのATRPのためには、メタノールおよび絶対エタノールを溶剤として使用したが、予想される通り、反応混合物は、90℃で均質であるが、溶液を攪拌せずに室温まで冷却後、ポリマーは、塊として沈殿し、このことは、ポリマーを純粋な物質として回収することを困難とするが、大量の触媒が溶液中に残ったままであった。また、エタノールは、ポリマーをある程度膨潤させた。多分散性は、所望されるよりも大きく、重合の間のコントロールの絶対的なレベルについては、若干の疑問を示す。より極性の低い溶剤、すなわち、エタノールは、より低い多分散性を生じた。
非極性な溶剤、ヘプタンも、また、調べたが、この場合にも、ポリマーが塊としての重合の間に非攪拌重合物から沈殿するものの、分子量分布は、ある程度のコントロールを示す1.21であった。
米国特許出願セリアルNo.09/018,554に開示されている先の研究は、1つ以上のラジカル的に移動可能な原子または基を含有する高分子物質についてのさらなる化学を実施することによるポリマーに官能性を組込む概念を記載し、かつ、立証している。原子移動プロセスの2つの拡張が特に導入されている。拡張は、便宜上、活性原子移動重合反応の末端に適用するか、または、ラジカル的に移動可能な原子または基を含有するいずれかの物質に適用することができる。ATRPプロセスを介して生成する全ての物質が、このような基を含有するが、それにもかかわらず、官能基をもう1つの官能基に変換する工程が採用されていた。米国特許出願セリアルNo.09/018,554に導入され、かつ、記載されている1つの概念は、所望により、一部ゼロ酸化状態にある化学量論量の遷移金属化合物との反応を介してラジカル的に移動可能な原子または基を含有するポリマーをカップリングすることであった。もう1つは、ポリマーの末端にもう1つの官能基を導入するために、触媒的な原子移動重合プロセスの終了時に、触媒的な原子移動ラジカル付加反応を利用することであった。
第1のポリマーカップリングプロセスを実施すると、各ポリマー末端に存在する同一の官能基を有するホモテレキレート(homo−telechelic)な物質を生ずるが、他方、第2の末端官能基付加プロセスは、ホモ−、“ホモ”−またはヘテロ−テレキレートな物質を生成することができた。“ホモ”テレキレートという用語は、同一の官能基が異なる置換基を含有する原子に結合することができ、したがって、各ポリマー鎖端が続く縮合または架橋反応において異なる速度で反応することのできる分子を記載するために本出願で使用する。このような挙動は、例えば、1組の刺激下での部分的な反応が接触接着のための粘着な生成物を生じ、第2の刺激下での十分な反応が構造的な接着剤結合を生ずる接着剤用途において望ましいであろう。もう1つの例は、配合操作における分子量の制御された増大であり、これにより、粘度の増大、したがって、混合度の増大が予測可能となろう。
本発明は、これら方法におけるさらなる改良の例を提供し、かつ、それを定義する。本改良の有用性は、続く物質形成反応のための新規構築ブロックを製造する例である。ポリマーカップリングおよび末端官能基付加の両方に含まれる化学のより多くの理解および組み合わせに基づき、新たな触媒原子移動カップリング法を記載する。
本発明の1つの態様は、非重合可能なモノマー、例えば、α,α−二置換されたオレフィンのATRP反応の後期工程における付加;および、このモノマーのポリマー鎖への付加後に生じうる化学の理解の仕方および拡張が新規な触媒的なカップリング法をもたらしうることを記載する。この特異な改良は、原子移動ラジカル付加反応を介して官能性を導入する教示の拡張と見なすことができ、ラジカル的に移動可能な原子または基として臭素を利用する制御された重合法の終了時にα−メチルスチレンを付加させた後に生じうる化学の考察を例とすることができる。しかし、種々の適当にイソプロピル置換されたベンゼン分子を使用するこの新規な触媒的原子移動カップリング法個々の工程の背後にある理論について以下の具体的な記載は、その化学を純粋に例示するが、α,α−二置換されたオレフィンの構造についての;または、このようなカップリングされた高分子物質から得ることの可能なトポロジーまたは組成の変化についてのいずれかの制限を置くことを意味するものではない。
本発明者らは、テレキレートなポリマーについて究極的に存在する官能性;および、1つのラジカル的に移動可能な原子または基を含有する開始剤によって開始される活性なATRPプロセスにα,α−二置換されたオレフィンを添加することによって形成される物質のトポロジーが、以下の因子:(i)反応に添加されるラジカル的に移動可能な原子またはα,α−二置換されたオレフィンと官能性末端ポリマーの活性な生長鎖上に存在する基とのモル比;(ii)ラジカル的に移動可能な原子または基を有する1つ以上の鎖端が存在するか;および、(iii)α,α−二置換されたオレフィンを含有する分子が1つ以上のα,α−二置換されたオレフィンを含むかに依存することを決定した。
図6は、α,α−二置換されたオレフィンの添加後、各活性な官能性のラジカル的に移動可能な原子または基で生ずる化学を概略的に示す。α,α−二置換されたオレフィンは、α−メチルスチレン単位によって表される。
図6において、臭素末端ポリマーで始まり、カップリング法の第1の工程は、遷移金属錯体媒介レドックス原子移動付加反応として示される。この付加反応において、1つのα−メチルスチレン単位が、ポリマー鎖の末端に組込まれる。新しいα−メチルスチリルラジカル末端基は、α−メチルスチレンモノマーのオリゴマーまたはポリマーラジカル鎖末端に付加することにより形成される。α−メチルスチリルラジカル末端基が、“逆”レドックス反応において遷移金属錯体から戻る最初に移動したラジカル的に移動可能な原子または基を受取る時、α−メチル−、α−フェニルおよびα−ブロモ基を含有する新しいポリマー末端基が形成される。α−置換基、α−ブロモ基およびβ−水素を含有するこのタイプの末端基は、臭化水素を失って、速度論的に有利な新しい官能性exo−オレフィン性結合を優先的に形成する。ハロゲン化水素がメタアクリレート末端基から “失われる”時、同様な速度論的に有利なexo−オレフィン性結合が形成される。公開公報WO99/54365が熱力学的に有利な未反応のendo−二重結合がこのような反応において形成されることを示していることに注意。しかし、我々は、1モル過剰のα−メチルスチレンをプロセスに添加した場合、カップリングプロセスの第1の工程が、例えば、例として、原子移動付加反応を生じ、その物質は、単離され、反応性exo−オレフィン性結合を介して(共)重合することにより、グラフトコポリマーを製造するのに適したマクロモノマーと考えることのできる官能性のヘテロ−テレキレートポリマーを与えることを見出した。
しかし、α−メチルスチレンの化学量論量以下を反応に添加する場合、この新たに形成され、速度論的に有利な末端不飽和ポリマーは、さらに、末端のラジカル的に移動可能な原子または基をやはり含有する第2のポリマー上のレドックス活性な遷移金属化合物の作用にin−situで暴露され、第2のフリーラジカル的に活性な鎖末端の形成は、反応性不飽和exo−結合を有する第1の形成されたポリマーの付加を生ずることができ、この第1の形成されたポリマーは、第2の活性鎖末端に付加し;触媒的な原子移動鎖カップリング反応を生ずるか;または、原子移動結合反応(ATLR)を生じ;ポリマー鎖内にα−ブロモ−フェニル基を有する新たなホモ−テレキレートなポリマーを形成する。このカップリングされたポリマーが第2の臭化水素を失う場合、それは、ポリマー鎖内にendo−オレフィン性結合を有するハロゲンを含まないホモ−テレキレートなポリマーを形成する。このようなendo−オレフィン性結合を有するポリマーは、ATRP反応におけるマクロモノマーとしてより不活性であり、このような物質は、反応条件下で安定であり、生成物をゲル化させることなく、容易に単離される。
制御された触媒的なラジカル移動付加反応およびハロゲン化水素脱離反応のこの特異的な例としての一連の結果は、α,β−二置換されたスチレンを形成する触媒的なカップリング反応であり、各置換基は、第1の形成されたポリマーである。
このATLR法は、単官能性ハロ−テレキレートなポリマーをα−メチルスチレンとともに考えることにより記載および例として挙げられるが、それは、ラジカル的に移動可能な原子または基を有するいずれのオリゴ/ポリマー;および、ATRA反応およびハロゲン化水素の喪失後に反応性のexo−オレフィン性結合を形成するであろういずれかの結合分子に適用することができる。
上記の例において、第1の形成されたポリマーが2つのラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を使用して設計されている場合、触媒的なカップリング反応は、ポリマーの各末端で生じ、反応は、触媒的な原子移動鎖延長反応であろう。
図7において、この反応の可能性および新規なポリマーの製造へのその適用性が、カップリング剤としてのジ−イソプロペニルベンゼンの例によって示されている。適当なモル比において、一連の原子移動付加反応および脱ハロゲン化水素を生ずるジ−イソプロペニルベンゼンの使用は、制御された分子量、組成および官能性を有するアームを有し、残留二置換されたベンゼン心を有する4つのアームを有するスターポリマーの生成で終了することができる。
トリイソプロペニルベンゼンの使用は、適当な条件下で、ハロゲンを含まない官能性末端基を有する6つのアームを有するスターポリマーを生ずるであろう。
この反応の能力を新規物質を製造するのにさらに定義すると、例えば、触媒的なカップリング反応についての結合分子として鎖に沿ってα−メチルスチリルまたはイソプロペニルベンゼン置換基を有する(コ)ポリマーを使用する場合、ポリマー骨格上の1つの特異な部位から生ずる2つの同様のグラフト(コ)ポリマーの可能性を有するグラフトコポリマーを生成するであろう。これは、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーによって構成されるグラフトを有するコポリマーに対し、新しいタイプのグラフトコポリマーであろう。新しいグラフトコポリマーは、他のポリマー鎖の末端で骨格ポリマーにグラフトされているというよりもむしろ両方のポリマー鎖内でポリマーが相互にグラフトされているものである。事実、グラフティング部位が、本質的に、グラフトされた鎖の中点に位置するので、これら“内部でグラフトされた”コポリマーにおいてさらなる対称の度合いが存在するであろう。“内部でグラフトされた”2つのコポリマー鎖は、物質、特に、弾性物質内での嵩高い特性の発現において違いを生じ、種々の界面特性および拡散特性において違いを生ずる。界面特性および拡散特性における違いは、現在の商業的なグラフトコポリマーに対する場合のように、特に、1つのポリマー末端でグラフティングが生ずるグラフトコポリマーと比較する時、嵩高いグラフトコポリマーに対し、構成成分のようなまたは高分子界面活性剤のようなグラフトコポリマーを含有する複合体およびブレンドまたは合金における特性発現に対し、表面特性の改質または界面特性のコントロールに対し生ずる。“内部でグラフトする”のに特に適した2つのポリマー鎖としては、種々の容易に調節可能な組成、異なるフィリシティまたは異なるマクロ官能性およびグラフトポリマー鎖上の公知の官能基を有するポリマー鎖が挙げられる。
鎖に沿ってイソプロペニルベンゼン置換基を有する(コ)ポリマーは、骨格上に存在するベンゼン置換基を有するエチレン、プロピレンおよびイソブチレンのコポリマーが、現在、商業的に入手可能であるので、エキゾチックな出発物質を考える必要がない。エチレン、プロピレンまたはイソブチレンの(置換された)スチレンとの共重合を介して導入されるこれら単位は、イソプロペニル置換基に対する前駆体で容易に製造することができ、市場における最も大きい体積付加のポリマーから新しい“内部でグラフトされた”コポリマーを潜在的に生ずる。事実、モノマー単位中にスチレン残基を含有するいずれのコポリマーも、この純粋に例として開示したカップリング法によりグラフトするのに、または、そのカップリング法を介してグラフトするのに適した骨格ポリマーに転化することができ、両ポリマー鎖の“内部でグラフトされた”ポリマーを生じ、このような骨格ポリマーは、制御された重合法により製造することができ、全てのポリマーセグメントが制御されたプロセスを利用して組立てられた物質を生成する。
事実、上記した系は、ポリマー鎖に結合された適当なα,α−二置換されたオレフィン官能基を含有するいずれのポリマーでも利用することができる。このようなα,α−二置換されたオレフィンとしては、アリルエーテル誘導することのできるイソプロペニル(メタ)アクリレート、ビニルエーテルまたはイソプロペニルエーテルが挙げられるであろう。この後者の場合、ATRP法によって他のフリーラジカル的に共重合可能なモノマーを有するビニルアリルエーテルを共重合させ、アリル置換基をイソプロペニル置換基へと異性化し、この物質をATRP法によって製造される第2のポリマーに対する結合分子として使用し、グラフトコポリマーの各セグメントが十分に制御されたラジカル重合法により製造された内部でグラフトされたポリマーを生じさせる。コポリマーセグメントに対するコモノマーは、いずれのフリーラジカル的に共重合可能なモノマーからも選択することができるので、単純逐次法におけるグラフトコポリマーのブロック間で達成することの可能な特性の差異については、ほとんど制限がない。
生長ポリマー鎖、あるいは、ラジカル的に移動可能な原子または基に対し0.5モル当量の濃度でカップリング剤としてジ−イソプロペニルベンゼンを使用する場合、形成される第1のカップリングされたポリマーは、第1のカップリングされたポリマー鎖内部に残留利用可能なα,α−二置換された不飽和を有する統計学的な混合物を保持するカップリングされた生成物の統計学的な混合物であろう。さらに、種々の(コ)モノマーから形成される第2の(コ)ポリマーをカップリングするためのこのポリマーの使用は、4つのアームを有するスターポリマーの統計学的な混合物を生ずるであろう。
しかし、さらなるコントロールが所望される場合、幾分異なる反応性を有する2つの異なるα,α−二置換されたオレフィンを含む分子を使用することができ、より反応性のα,α−二置換されたオレフィンが第1のコポリマーと反応し、カップリングされるポリマー内部に第2のα,α−二置換されたオレフィンを有するカップリングされたコポリマーを形成する。第2の(コ)ポリマーをカップリングするためのこの第1のカップリングされた(コ)ポリマーの使用は、1つの(コ)ポリマー組成を有する2つのア−ムおよびもう1つの(コ)ポリマー組成を有する2つのアームを生ずるであろうし、本質的に、2つのポリマーは、各(コ)ポリマー鎖の中央で相互にグラフトされるであろう。また、各アームが、所望により、各ポリマー鎖の末端に官能性を有する、広範な範囲のラジカル的に(共)重合可能なモノマーから制御された重合により製造されるこのような新規4つのアームを有するスター物質は、界面活性剤、接着剤、合金にしブレンドする界面活性剤、分散剤、パーソナルケア製品および複合マトリックス成分に、ポリマー特性として、溶解度、フィリシティ、Tgのような新たな1組の特性をもたらすであろうし、その他の特性は、ブレンド、合金または複合物質の製造における続く使用または反応のために特にあつらえられる。
このようなヘテロ−アームスター(コ)ポリマーから有用な特性を得るために、2つの異なるコポリマーを製造する必要はない。開始剤の1つの濃度を有する1つ以上のラジカル的に(共)重合可能なモノマーの重合を開始し、第1の(共)重合が完了する前に開始剤の第2のアリコートを添加する時、2つの分子量分布を有する物質が得られる。事実、共重合を実施し、(コ)モノマーが種々の反応性比を有する場合、コポリマーは、バッチプロセスの種々の時間に開始され、コポリマー鎖に沿って種々の組成または勾配を有するであろう。組成変化のためのもう1つのルートは、重合の開始後の幾つかの時間または開始剤の第2の添加の時点で第2のモノマーを添加することができ、in−situでブロック/勾配コポリマーを形成する。α,α−二置換されたオレフィン単位の0.5より低いモルの使用によるカップリングは、種々の分子量/組成を有するアームの統計学的な混合物を含むマルチアームを有するスターを形成し、スターポリマーは、最初に存在する組成および分子量を有する統計学的な混合物であり、ヘテロアームを有する(コ)ポリマーが1つのカップリング工程で形成される。
同様のトポロジーを有する物質は、スチレンおよびブタジエンの活発なアニオン重合によって形成され、ここで、触媒の第2の添加は、第1の添加されたスチレンモノマーの転化が完了する前に行われ、種々の分子量を有するポリスチレンセグメントを有するブロックコポリマーを形成する。このような物質は、BASFによって供給される時、登録商標Styroflex樹脂として商業的に公知である。(Macromol. Sym., vol.132, pp.231−43(1998);および、Phillips Petroleum Companyに対して発行された米国特許No.5,910,546を参照。)しかし、アニオン性機構によって重合させることのできるモノマーの選択が限られているのとは対照的に、本出願に記載するATRPプロセスでは、アームの組成および直鎖トポロジーは、広範な範囲のラジカル的に(共)重合可能なモノマーから選択することができ、生成する物質は、今日までに公知の商業的に入手可能な有用な純粋なスチレンまたはスチレン/ブタジエンコポリマーよりもはるかに広範な範囲の特性を発現することができる。
系の構成成分の“決して完全ではない”かまたは統計学的なカップリングで多くの有用な物質を製造することができるので、分散された粒子または表面と反応性ポリマー鎖末端との間のカップリングにより望ましい製品もまた得られるであろう。粒子または物質の表面が、さらにラジカル的に移動可能な原子または基を含む結合された官能基を有する場合には、上記したカップリング反応を実施して、粒子または表面にグラフトされたポリマーを形成することができる。このような反応は、粒子または物質の表面を改質し、より強力な界面特性を有するさらに容易に分散可能な粒子または物質のブレンドを生成するであろう。
exo−二重結合は、それ自体反応性の基であり、この官能基上で利用するかまたは重合および共重合を含め、さらなる反応または相互作用のためにこの基を別個の活性な官能性に変換するためには、多くの公知の化学が利用可能である。適当に置換されたα−置換−α−ヒドロキシメチルオレフィンと原子移動付加反応を実施し、脱ハロゲン化水素が発生した後にアルデヒド/エノールを生成させることにより、官能性のさらなる度合いが第1の頭部基に導入されるであろう。このようなオレフィンの例としては、α−ヒドロキシメチルスチレン、1−ヒドロキシ−α−エチルスチレンまたはエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートが挙げられる。
十分に制御されたカップリング反応を説明する上記例において、スチレン上のα−メチル置換基を使用し、その化学を例として示した。その他の置換基もまた等しく十分に働き、より迅速な反応が所望される場合には、なお良好にさえ働くであろう。
例えば、1,1−ジフェニルエチレンまたは1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼンにおいて示されるような芳香族置換基の使用も、また、“活発な”ラジカルカップリングのために適しているようである。両分子とも活発なアニオン性および“活発な”カチオン性カップリングのための適したカップリング剤として立証されている。しかし、これらの特異な薬剤の場合に、適当なα,α−ジ−アリール置換されたオレフィンの付加の第1に形成されるポリマー生成物は、endo−二重結合を有する分子である。すなわち、1,1−ジフェニルエチレンは、本質的に、末端endo−二重結合を有するポリマーを形成するポリマー鎖をキャップする。これは、まさしく、WO99/54365に記載された化学である。しかし、1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼンは、2つの異なる鎖を逐次キャップすることにより2つの鎖をカップリングするように作用する。上記したこのような逐次原子移動キャップ反応により2つのポリマー鎖を結合するように作用するであろう1つのさらに利用可能な分子は、2,2−ビス〔4−(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロパンである。
上記例において、1つのベンゼン単位が、オレフィン上の1つの置換基としてかまたは多官能性分子の結合基のための基礎として使用されていたが、他の置換基および他の結合基も使用することができる。
この考察全体にわたって、ポリマー鎖末端の官能基を有するポリマーの製造に焦点を置いた。しかし、若干の適用、例えば、粘度指数調節剤、官能基を有しないスターコポリマーが有用性を見出され、事実、好ましいであろう。
非重合可能な(コ)モノマー、例えば、アリルアルコールまたは1,2−エポキシ−5−ヘキサンと、所望により、開始剤鎖末端上に存在するヒドロキシを有する活性なポリマー鎖末端との完全な反応は、概して、モノマーの重合よりもより遅い反応である。本発明者らは、例えば、(i)過剰のアリルアルコール;(ii)より多い触媒の添加;および、(iii)系中に存在するレドックス共役体の濃度の減少のような反応速度を増大するための先の出願で立証した幾つかの手段を使用することが便利であることを見出した。これらの作用は、ATRPプロセスの各成分間の平衡動力学を考察することにより生ずる。これら工程に従うことにより、高レベルの官能性をポリマーに導入することができ、このことは、後に記載する実験部分を参照することとする。
このタイプの反応で形成される“ホモ”テレキレートな物質は、イソシアネート硬化剤との反応を介して接着剤およびシーラントの形成に非常に有用でありうる。ポリマーの各末端上のヒドロキシ間の反応性の違いにより、各ポリマー末端の硬化速度および一部硬化された物質および完全に硬化された物質の生ずる特性をコントロール可能とする。
真にホモ−テレキレートなポリマーは、また、ATRPプロセス、続く、第2の置換基としての所望される官能性を含有する非−重合可能なモノマーとの反応のこの組合せの使用によって製造することもできる。2以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を使用する。二官能性開始剤は、直鎖ホモ−テレキレートなポリマーをもたらし、他方、より多数の移動可能な原子または基を有する開始剤の使用は、テレキレートなスター(コ)ポリマーをもたらす。非限定的な例において、メチルアクリレートの重合および続くヒドロキシ含有非−重合可能なモノマーの付加のためのジメチル−2,6−ジブロモヘプタジオネw−トのような開始剤の使用は、真にホモテレキレートなα,ω−ジヒドロキシ−ポリ(メチルアクリレート)をもたらす。上記のように、本プロセスにおける他の構成成分は、反応速度に影響を及ぼすが、適当な条件下で、例えば、ポリウレタンへの転化のような続く物質形成反応に適したジヒドロキシポリマーが生成する。
これらの教示で利用可能な3つの一般的な技術をさてテレキレートなポリマーの合成に適用することができ、原子移動ラジカル重合によるポリジオール製造を例として考察すると、それらは、以下、スキーム4で示される。第1の方法(A)は、メチルアクリレート(MA)の重合が二官能性開始剤(Br−I−Br)、例えば、ジメチル2,6−ジブロモヘプタジオネートによって開始されるワンポット技術を含む。過剰のアリルアルコールを高い転化率で重合混合物に添加した。アリルアルコールは、生長ポリマー鎖に付加することができる。しかし、形成されるラジカルは、生長することができない。代わりに、それは、臭化第2銅により本質的に不可逆的な反応を受け、臭素末端ポリマーを生成する。アリルアルコールの添加の前後に、ポリマーを分析した。
Figure 2011202169
スキーム4:テレキレートなジオールの形成
官能化の度合いを決定した。示された例において、アリルアルコールの添加後3時間で、官能化の度合いは、f=1.9であった。
使用した第2の技術は、スキーム4のルートBに示した通り、メチルアクリレートのヒドロキシル官能化された開始剤、すなわち、エチレングリコールモノ(2−ブロモイソブチレート)による開始を含んでいた。高い転化率で、アリルアルコール、銅(0)、臭化第1銅およびPMDETAを付加した。アリルアルコールの添加前およびアリルアルコールの添加後3時間に重合の度合いを計算した。アリルアルコール添加直前の重合の度合いは、ヒドロキシル当たり1鎖に相当し、f=1.0であった。これは、ヒドロキシル−官能化された開始剤がCuBrと反応する時に1つの鎖開始事象が生ずるので予想され、ヒドロキシル−官能化されたラジカルおよび臭化第2銅を生成する。アリルアルコールの添加後3時間で、官能化の度合いは、f=1.8であった。
スキーム4においてルートCとして示された第3の技術は、カップリング剤によるα−ヒドロキシ−ω−ブロモ−ポリ(メチルアクリレート)のカップリングを含む。このポリマーは、メチルアクリレートをエチレングロコールモノ(2−ブロモイソブチレート)で開始することによって製造した。重合は、80%転化率で終了させ、ポリマーをヘキサンにおける沈殿によって単離した。カップリング反応は、丸底フラスコ中ポリマーおよび臭化第1銅を測定することによって実施した。フラスコは、シールし、窒素でパージした。PMDETA、カップリング剤およびベンゼンを加え、反応混合物を60℃に置いた。カップリング剤がα−メチルスチレンであり、鎖対α−メチルスチレンの比が2である場合、分子量は、1330g/molから2960g/molまで増大し、分子量分布は、1.10から1.32まで増大した。1H−NMRにより測定した官能化の度合いは、f=1.8であった。
カップリングによって形成されるポリマーの官能性は、直鎖α−ω−ジヒドロキシ−ポリマーとメチレンジイソシアネート〔MDI〕との反応によるポリウレタンの形成によって立証された。
カップリング剤としてm−ジイソプロピルベンゼンを使用し、鎖対m−ジイソプロピルベンゼンの比が4である時、分子量は、1060から3860まで増大し、分子量分布は、1.10から1.69まで増大した。官能化の度合いは、f=2.8であった。この結果は、カップリングをm−ジイソプロピルベンゼンで実施する場合、スターが形成されることを示す。鎖対m−ジイソプロピルベンゼンの1:1比を使用した場合、分析は、m−ジイソプロピルベンゼンの付加に続き、HBrが脱離したことを明らかに示した。これは、ポリ(メチルアクリレート)のm−ジイソプロピルベンゼンへの付加に続き、臭化第2銅との反応により脱離が生じ、HBrおよび末端オレフィン(1)が生ずる図7に示した示唆される機構を導く。新たに形成されたオレフィンは、ポリ(メチルアクリレート)に付加することができ、(2)を生成し、ついで、これは、臭化第2銅と反応し、HBrを脱離して、カップリングした生成物(3)を生成する。カップリング剤の第2の二重結合で同様な付加を生じ、最終生成物は、4つまでのアームを有するスターである。
スキーム4の例B)において、第1にラジカル的に移動可能な原子または基と第2の異なる官能基とを含有する2官能性開始剤分子の使用を記載するが、この時、ヘテロ−テレキレートなポリマーが最初に形成される。開始剤分子上の第2の官能基がヒドロキシ基である時、開始(コ)ポリマー生成物は、1つの鎖末端にヒドロキシ基を、他の鎖末端にラジカル的に移動可能な原子または基を含有する。スキーム4の上記C)に記載した原子移動触媒的カップリングプロセスは、すなわち、α−メチルスチレンによって例とされる分子の0.5モル当量を添加する時、ホモテレキレートなα−ω−ジヒドロキシ−ポリマーをもたらすか、または、原子移動重合工程の所望される工程でジ−イソプロペニルベンゼンによって例として示される分子の0.25モル当量の添加後にテトラ−ω−ヒドロキシスターポリマーをもたらすことができる。
上記考察において、第1のヘテロ−テレキレートなポリマー;α−ブロモ−ω−ヒドキシポリ(メチルアクリレート)をこの原子移動カップリング反応のための例としてのモデルポリマーとして使用した。このモデルポリマーは、開始剤としてエチレングリコールモノ(2−ブロモイソブチレート)を、遷移金属触媒として臭化第1銅/N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を使用して、メチルアクリレートの重合によって製造した。α−ブロモ−ω−ヒドキシポリ(メチルアクリレート)の1モル当たり0.5モルのα−メチルスチレン0.5モルの使用は、本質的に、数平均分子量(Mn)を倍にした。カップリング反応において0.25モルのジ−イソプロピルベンゼンを使用する時、ポリマーのMnは、臭素除去後、4倍になり、4つの末端ヒドロキシを有し、4つのアームを有するスターポリマーの形成を示した。
endo−またはexo−二重結合のいずれかを形成するための脱ハロゲン化水素反応は、塩基を高めるかまたは酸受容体の添加によって助けられることができる。直鎖およびヘテロ環式N−含有化合物を含む塩基性有機分子のような化合物、イオン交換樹脂および/または無機酸受容体を含むいずれの酸受容体も使用することができる。この新規なカップリング反応がこれら反応の適用によりトポロジーおよび官能性にわたって高いコントロールを与える方法を立証するために上記与えた特定の例としての例においては、また、脱ハロゲン化水素反応がトリエチルアミンまたは2,6−ジ(t−ブチル)−ピリジンのような有機塩基を含め、塩基の添加によって補助することができる。
α−置換されたスチレンの結合分子としての使用に対し、カップリング反応の適用を制限するつもりはないが、ラジカル的に移動可能な原子または基を含有するいずれのヘテロ−テレキレートな分子もこの触媒的な原子移動カップリング反応を介して変換させることができ、生ずる物質の官能性の全体としてのレベルは、一−、二−または三−置換されたイソプロペニル基を含有するコンパクトな分子の選択的な使用により制御して、直鎖4つのアームを有するかまたは6つのアームを有するポリマーを形成することができることは明瞭である。二−または三−置換されたイソプロペニルベンゼンを使用し、反応をより高速で実施するが、不飽和イソプロペニルベンゼン対ラジカル的に移動可能な原子または基のモル比がなお1対1未満である時、2と4との間または2と6との間の官能性の制御されたレベルを達成することができる。2より大きい官能性の制御されたレベルを有する官能性直鎖ポリマーへのもう1つのルートは、一−、二−または三−置換されたイソプロペニルベンゼンの混合物を使用することである。2より大の官能性レベルを有する物質は、これらポリマーについて生ずる適用が高分子縮合反応においてこれら物質の使用である時に所望される選択であり、十分に架橋された系を形成する。架橋密度のレベルは、系の構成成分中に第1に存在する官能性の度合いによって制御される。
過剰のα,α−置換されたオレフィンを添加する時に形成される中間体生成物、exo−オレフィン性末端ポリマーは、それら自体多官能性物質であると考える必要がある。上記考察したα−メチルスチレンは、α−置換されたオレフィンの1つの例である。
多数のポリマー鎖相互作用を有する非直鎖熱可塑性ポリマーが所望される場合には、コポリマー中の置換基としてのイソプロペニルベンゼンの使用をグラフトコポリマーがポリマー鎖内でグラフトされるグラフトコポリマーを形成するために拡張して使用することができる。便利な構築ブロックは、(コ)ポリマー中の置換基としてのm−ジ−イソプロペニルベンゼンとのコポリマーである。これは、m−ジ−イソプロペニル基を最初に含有する各単位から生ずる4つのアームを有するグラフトコポリマーをもたらす。
開始剤分子上に存在する第2の官能基がヒドロキシである開始剤を使用した直鎖ポリマーを製造するための上記例は、末端ヒドロキシ官能性を有するポリマーを生成した。しかし、第2の官能基が多数の官能基から選択することができ、適当な開始剤を選択することによってATRP重合に導入されることは文献から公知である。エポキシ、カルボキシ、アミン、シリル、パーフルオロ−アルキルおよびシアノを含め、あらゆる通常の小さな有機官能基が、現在では、適当な(マスクされた)官能性開始剤を使用して、この触媒的なカップリング法によりホモ−テレキレートなポリマーに導入することができる。しかし、他の出願に記載されているように、開始剤は、ラジカル的に移動可能な原子または基を含有するいずれの分子であってもよく、例えば、低分子量の無機物質および有機/無機またはハイブリッドポリマーが挙げられる。したがって、この触媒的なカップリング法の適用は、テレキレートな対称ハイブリッドポリマー、ブロックコポリマーおよび官能性ハイブリッドスターコポリマーをもたらしうる。
上記したようにある範囲の有用な十分に定義されたスターポリマーを製造するためのジ−イソプロペニルベンゼンの使用は、米国特許出願セリアルNo.09/018,554で先に記載した“アーム第1”法により“スターポリマー”を製造するための(コ)モノマーとしてのジビニルベンゼンの使用よりもさらに制御された方法である。しかし、ATRP法のための官能性開始剤の使用、続く、ジビニルベンゼンまたはラジカル的に(共)重合可能なジオレフィン性分子の反応物への添加は、上記した十分に制御された方法よりもより多数のアームを有する末端官能性スターポリマーをもたらすことができる。外側層の鎖末端上に種々の官能基、例えば、ヒドロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、アルキル、パーフルオロアルキル、シリル、シロキサン、ホスファゼンおよびハロゲンを有する末端官能性ポリマーは、関係因子、例えば、対イオンの選択、所望による溶剤、レドックス共役体の適当な濃度を検討することによって首尾よく製造することができ、金属ゼロを適当に添加した場合、リガンドを添加することも必要とされる場合、添加されるジオレフィン性分子対ω−官能性直鎖生長ポリマーの構造およびモル比は、最初に、ラジカル的に移動可能な原子または基で終了した。
ジビニルベンゼンは、(コ)モノマーとしてスチレンを含有する“アーム第1”スターポリマーを製造するのに特に適していることが示されている。他の商業的に入手可能なジオレフィン性カップリング剤の有用性は、また、アクリレートおよびメタアクリレート含有コポリマーについても立証されている。1,4−ブタンジオールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートは、置換されたアクリレートおよびメタクリレート(コ)モノマーでスターポリマーを形成するために使用されていた。モデルとしてのこれらジオレフィン性カップリング剤の説明のうちには、いずれかのジ官能性フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーもこのタイプの遠隔官能性のマルチアームを有するスター(コ)ポリマーの心に対する活性な(コ)モノマーとして選択することができることは明瞭である。
種々のカップリング剤がモノビニルモデルモノマーによって示されるのと同様に反応性において違いを示す。テレキレートなt−ブチルアクリレートオリゴ/ポリマーとエチレングリコールジメタクリレートとのカップリングに基づきカップリング反応を評価するための1組の反応条件下で反応混合物の完全なゲル化を生ずるものの、1,4−ブタンジオールジアクリレートとジビニルベンゼンの使用はゲル化をもたらさなかった。1,4−ブタンジオールジアクリレートの使用は、極めて迅速には、粘ちょうな流体の形成をもたらした。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースは、1,4−ブタンジオールジアクリレートのカップリングした心ポリマーが有意なスター−スターカップリングを受け、分子量分布の広い高分子量ポリマーを与える。対照的に、ジビニルベンゼンは、狭い分子量分布を有する1つの心カップリングしたスターポリマーの形成をもたらす。これらジビニルベンゼンスターポリマーを反応条件に継続して暴露すると、心−心カップリングよりもむしろより粘着性のカップリングした1心ポリマーをもたらす。先のように、交換ハロゲンの選択、適当なレベルのレドックス共役体失活剤の添加、カップリング剤対テレキレートなオリゴ/ポリマーの比および溶剤の任意の使用を含む幾つかの因子が反応に関係する。
上記考察したカップリング化学をスキーム5に概略的に示す。
Figure 2011202169
スキーム5:アーム第1スターカップリングおよびスター−スターカップリング
ジビニル化合物のR結合基の構造は、第1のポリマーの溶解度パラメータおよび/またはスター(コ)ポリマーの所望される構造を反映するように選択することができる。また、選択したジビニル化合物と心の生成物の適用に対する特性をさらに特にあつらえられたものであろうとするモノマーとを(共)重合することにより心の構造をさらに改良することが可能である。
上記したトポロジー的なコントロールにより製造される物質の特性は、また、テレキレートな官能性アームを先の製造のための官能性開始剤に使用することにより高めることができる。限定するつもりはないが、ラジカル的に移動可能な原子または基とポリマー発生基上の置換基としてヒドロキシ基とを有する開始剤の使用を再度例として考察すると、各アームの末端にヒドロキシ官能性を有するマルチアーム心ポリマーを形成することが可能であろう。本質的に有用なバルク特性を有する以外に、これら遠隔官能性のマルチアーム(コ)ポリマーは、それらが分散を容易にするための低い粘度と他の物質との反応性に対しまたはブレンドおよび合金における表面に対し高い官能性を有するので、物質改質剤としての使用を見出すことができる。1つの例として、これらは、繊維、フィルムの表面特性または分散された固相含有ブレンドの界面特性を複合体の製造の間の界面特性改質において改質するであろう。
限定するつもりはないがもう1つの特異な例は、直鎖アームと官能性シリコーン含有基を有する開始剤との(共)重合の開始であろう。生ずる多官能性マルチアームを有するスター(コ)ポリマーは、各アクセス可能なポリマー末端に官能性無機基を有するハイブリッド(コ)ポリマーであろう。このタイプのハイブリッド物質の有用性の1つの例は、物質分散剤として作用することであろうし、高性能磁気記録媒体ポリエステルフィルムの表面特性を改質することであろうし、もう1つは、多官能性がマトリックスおよび分散剤/強化剤の両方の海面特性を特にあつらえるのに有用性を見出すであろう。
特にあつらえられたテレケリシティ以外に、開示する制御された重合法の使用は、ポリマー鎖に沿って特性を改質する能力と合さり、多官能性勾配またはブロックスターコポリマーは、特にあつらえられたバルク特性、例えば、圧縮性を有することができ、いずれのマトリックスにおいても十分な分散を可能とし、したがって、複合体物質の圧縮特性および引っ張り特性の両方の改質を可能とするでろう。
我々は、ATRPにおける活性なポリマー鎖の十分に制御された触媒的なカップリングについて立証したが、単官能性カップリング基から多基へと移る時、ポリマートポロジーにおける有意な変化が存在する。カップリングまたは心形成反応について1つの二置換されたビニル化合物を使用するこの“低く制御された”系においては、マトリックス材料としての多官能性化合物に移る時に、やはり、トポロジー変化が存在する。このような多官能性反応体の使用は、スターというよりもむしろ十分に定義された官能性網状構造体に似た生成物を生成する。この技術の使用は、弾性応答および物質のヒステレシスが低いTgセグメントの分子量および心または結合分子の分岐密度を考えることによって同調させることのできる弾性網状構造体の形成を可能とするであろう。
ミクトアームスター〔Miktoarm star(μ−スター)〕ポリマーは、“アーム第1”アプローチを介してのスターポリマー第1の形成、続く、架橋されたマクロ開始剤心からの生長ポリマーの形成によって製造することができる。これは、心形成カップリング反応に対する第1のマクロ開始剤として予め形成されたポリ(tBA)を第1に使用することにより制御されたラジカル的に(共)重合可能なモノマーについて立証された。スターポリ(tBA)心マクロ開始剤が生成し、続いて、n−BAが添加され、重合が継続される時に、μ−スターが形成された。tBAの加水分解は、異なるフィリシティのアームを有する(μ−スター)を生成した。
一体となったATRP/ATRA法においては、第1のアルキルハライド末端基は、遷移金属触媒によって活性化され、ラジカルを発生し、これは、ついで、これらの条件下でホモ重合することができない官能性アルケンと反応または付加する。このアプローチの例として、ATRPによって生成されるスターおよび高分岐されたポリマーは、ポリマーのアームまたは分岐の活性化された末端部位上に反応性部分を組込むことにより官能化される。さらに、先に記載したように、官能性開始剤の使用は、鎖末端のアルキルハライド基に沿って開始剤部位に官能性を有するポリマーの合成を可能とする。官能性の多数のアームを有するスターの合成は、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーのATRPを使用する2つのスキームによって達成することができ、1つの鎖末端にアルキルハライド基を有するポリマーを生成する。ラジカル的に移動可能な原子または基と第2の官能基とを有するポリマーでは、スターは、重合プロセスの最後にジビニルベンゼン(DVB)の存在によって形成される。他のアプローチは、多数のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を使用し、重合工程の最後に第2の官能性を有する分子との原子移動ラジカル付加反応を実施することである。
スキーム6および7は、ATRAおよびATRP反応による官能性スターポリマーおよび高分岐したポリマーの合成を示す。
Figure 2011202169
スキーム6:ATRAによるスターおよび高分岐ポリマーの官能化
Figure 2011202169
スキーム7:ATRPからの官能性スター
心が本質的にラジカル的に移動可能な原子を含まないアーム第1アプローチにより官能性スターコポリマーを形成したい場合、触媒的な原子移動カップリング反応について上記したように、ビニル置換基よりもむしろイソプロペニル置換基とのカップリング反応が実施されるであろう。
米国特許No.5,807,937において導入されたATRPプロセス全体にわたってコントロールするための1つの具体的な手段は、重合の速度および形成されるポリマーの分子量分布をコントロールするための遷移金属錯体のレドックス共役体の使用であった。さて、この概念は、特に、乳濁液系において、遷移金属レドックス共役体単独の添加を組込むために拡張することができ、すなわち、さらなる錯化リガンドなくして、活性2相重合媒体中での遷移金属錯体の使用に伴う種々の平衡をさらに改良することができる。これは、銅基体乳化ATRPの水相に臭化第2銅を添加することによって立証された。水相における臭化第2銅の存在は、リガンド錯化された臭化第2銅レドックス共役体の有機相から水相への移動を防止、有意に減少または十分に減少させ、したがって、重合全体にわたってコントロールを保持する。レドックス共役体の重要な役割は、重合の制御性を決定することにおいて示され、遷移金属錯体が種々のリガンドにおける置換の影響を注意深く考察し続けることにより系内で分配される方法を考察することによってさらに詳述する。
フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための条件は、また、小さな分子のコサーファクタント(cosurfactant)を使用するミニ乳化液に対しても開発されている(米国特許出願セリアルNo.09/126,768)。油溶性標準フリーラジカル開始剤は、例えば、AIBNによって例とされ、このような系に現在利用することができる。乳化系におけるさらなる進歩は、“標準的な”ATRPプロセスによって水溶性モノマーの重合を可能とする。本明細書で使用する“フリーラジカル開始剤”および“標準的なフリーラジカル開始剤”は、ラジカルを発生させ、ラジカル重合を開始するための便宜的な非制御フリーラジカル重合において使用される開始剤を称する。例としては、アゾ化合物、例えば、AIBN;過酸化物、例えば、ビベンゾイルパーオキサイド;および、その他の商業的に入手可能な開始剤、例えば、V−50が挙げられる。イオン交換樹脂に暴露することによる触媒の除去は、乳化系において特に適している。触媒活性の改良におけるリガンドの役割の理解の進歩によって生ずるコントロールレベルの増大は、また、アクリレートの重合速度がリガンド、例えば、置換されたピコリルアミン、例えば、N,N−ビス−(2−ピリジルメチル)オクチルアミン(BPMODA)の使用によって増大する乳化系に対しても立証されている。
米国特許出願セリアルNo.09/126,768は、制御されたATRPの2相水性系への拡張を開示し、適当な触媒系を見出すことへの新しいチャレンジを考察している。重合の制御された/“活発な”特性を達成し、安定な分散された系を維持するためには、考慮すべき多くの刊行物が存在した。リガンドについては、少なくとも2つの特別の要件が考慮されるべきで、リガンドは、潜在的なリガンドとして水で完了させるために金属に対する十分な結合親和性を有する必要があり;それは、また、ATRPについての本質的な平衡が達成されるように、十分に活性な金属錯体、すなわち、Cu(I)およびCu(II)の両方を重合が生ずる有機相に溶解させる必要がある。塊または溶液ATRPで働く全てのリガンドが水性系で継続して首尾よく成功するものではない。適当なリガンドを見出すために、幾つかの潜在的な候補を調べた。この調査は、Cu(II)種の溶解度が大きいほど重要であり、アルキル置換基の長さの増大を介してビピリジンリガンドの溶解度を増大させることによりより大きなコントロールが達成されることを示した。
結果は、ブチルメタクリレートとリガンドとしての種々の置換されたビピリジン誘導体との重合について表13に示す。リガンドは、スキーム8に示す。
Figure 2011202169
スキーム8:ビピリジン基体のリガンド
4,4’,4’’−トリス(5−ノニル)−2,2’:6’,2’’−テトラピリジン(tNtpy)は、以下に示すように、置換されたターピリジンであるが、その使用は、また、BMAの制御された重合をもたらす。
Figure 2011202169
未置換ビピリジンにおける体験と同様に、脂肪族アミン、以下に示すPMDETAおよびMe6TRENの使用は、Cu(II)錯体の水への高い溶解性により、水性系でBMAの重合に制御された特性を与えることに失敗した。
Figure 2011202169
脂肪族および芳香族アミン、ピコリルアミン、N,N−ビス(2−ピリジルメチル)オクチルアミン(BPMOA)およびBPMODAの2つのハイブリッドも、また、ATRP水性系に対するリガンドとして試験した。
Figure 2011202169
再度、決して結論の有用性を限定する必要はないが、純粋に例示するモノマーとしてブチルメタアクリレートを使用しても、最初に両リガンドを使用する重合は、十分には制御されなかった。これらリガンドは、塊重合および溶液重合において非常によく働くので、乳化重合系におけるこの結果は、多相系における遷移金属系の最適でない分配に帰することができる。“失敗”のこうした解釈で、反応条件を調整すると、BMAの重合のコントロールが非常に改良され、とりわけ、BPMODAの場合に改良されることが期待される。
事実、2つのリガンドをブチルアクリレートに適用した時、ブチルメタクリレートにおけるよりもブチルアクリレートにおけるCu(II)錯体のより大きな分配定数により、コントロールが改良された。BPMOAは、ブチルアクリレートの塊重合において優れているが、水性系における1.5よりも高い多分散性を有するポリマーの形成を生じた。これは、有機相における失活剤の溶解度が乏しいことを示す。長い疎水性の鎖を有するので、BPMODAは、Cu(II)種の有機溶解度を非常に高める。したがって、リガンドとしてBPMODAを使用するブチルアクリレートの重合は、モノマー転化率に伴う分子量の線形的な増大および重合全体を通しての多分散性1.3未満によって証拠づけられるように十分に制御された。これは、触媒錯体のフィリシティが所定の系から達成可能なコントロールのレベルを決定するのに重要性を有し、触媒錯体の分配係数が、使用されるリガンドのタイプを考察する以外に、リガンド上の置換基を考察することによって調整されうることを示すであろう。
限定するつもりはないが、調査した幾つかのリガンドのうち、長いアルキル置換基(dNbpy、dAbpyおよびdHDbpy)およびBPMODAを有するビピリジン誘導体は、ATRP水性系に対する良好なリガンドである。有機相と水相との間の対応するCu(II)錯体の分配は、原子移動平衡定数の値と同様に、重合結果を制御するのに重要な役割を演ずる。
乳化ATRPを説明する米国特許セリアルNo.09/126,768においては、反応性基質の使用が考察された。また、界面活性剤としての使用マクロモノマーおよびコモノマーは、高分子乳濁液について新たな組成を導いた。界面活性剤の領域において、分子の相対的な親水性を考察する必要がある。ブチルメタクリレートの重合において、親水性の界面活性剤の使用は、重合の進行につれて、ポリマー凝集をもたらす。安定な乳濁液をもたらす界面活性剤では、低い界面活性剤濃度で安定な系を生成させることが可能であり、使用される界面活性剤のレベルは、重合速度または生成するポリマーの分子量に悪影響を及ぼさない。これは、比例関係を期待することができたので、予想だにしえない結果である。効果は、界面活性剤の量が金属錯体の異なる酸化状態の分配に影響をおよぼすと仮定する場合に説明することができる。より高レベルの界面活性剤がより多くの銅(II)錯体を有機相にもたらし、重合速度を低下させ、したがって、粒子サイズを減少させるかまたは粒子数を増大させる効果を相殺する。これは、適当な重合速度で所望される粒子サイズを生成するように、界面活性剤を選択することができることを示す。
粒子サイズは、また、系に添加されるCu(II)の濃度によっても影響を受ける。逆ATRP乳化系において、添加される標準的なフリーラジカル開始剤の効率は、AIBNに対してほんの30%であるが、この効率は、より極性の開始剤分子の選択により改良することができる。慣用的なATRP開始剤RXが系に添加される場合にも、開始の見かけの効率は、75%に増大する。これは、“逆”ATRPが活性な触媒錯体を形成した後に、重合の開始に関与する標準的なATRP開始剤の結果である。
Figure 2011202169
上記した制御された重合に適したリガンドにおける選択のこの増大レベルにより、さて、プロセスのさらなる態様を考えることが可能となる。触媒のリサイクル性に対する所望は、リガンド上の置換基が1つ以上のプロセスパラメータ、例えば、触媒の沈殿を可逆的に変化させることによって反応媒体から触媒錯体を単離することが可能なように選択されるかまたは設計されうることの理解をもたらす。このような適したパラメータの1つは、ポリエチレン置換されたリガンドに対するW. J. Brittian et. al., Polymer Preprints, vol.40(2), p.380(1999)によって教示されているように温度でありうる。しかし、反応温度またはより低い温度で沈殿を生ずるように、さらにエネルギー有効的なプロセスがリガンドまたは触媒錯体の化学的な修飾を取り巻くように開発されうる。このような機構の1つの具体的な例は、pH変化または添加された固体または塩とのさらなる錯化に応答するリガンドまたは触媒錯体を含むことができ、ポリマー溶液から容易に取り除かれる固体の形成を生ずる。もう1つのアプローチは、リガンドで共晶することのできる物質の添加であろうし、Brittianによる上記した例においては、リガンド上のポリエチレン置換基は、温度が変化するにつれて溶液から沈殿するのに十分に高い分子量を有するものの、やはり、溶液中での置換基の嵩高さにより重合の動力学を妨げるために十分に高い分子量を有する。このリガンドを使用して製造されるポリマーは、通常のATRP触媒系で製造される物質よりもより高い分子量、より低い転化率およびより広いMWDを有した。より低い分子量のポリアルカン置換基を有するリガンド、例えば、BPMODAは、ATRPに対して予想されるコントロールを生ずることが示されており、このポリアルカン基は、非結合添加物質と共晶または相互作用して、反応媒体からの分離を可能とする。このような系は、系からの分離が容易に調整可能なプロセスパラメータに依存しうるので、触媒錯体のリサイクルまたは再使用に適している。モノマーが添加され、触媒が利用可能とされ、重合が生じ、1つのプロセスパラメータの調整により、触媒が分離され、濾過され、第1のパラメータを変化させて触媒を活性な状態に戻すことを可能とすることにより、次のバッチのために利用可能とされる。
重合プロセスとしてATRPを使用するブロックおよびグラフトコポリマーを製造するためのマクロ開始剤の使用は、マクロモノマーの(共)重合におけるマクロ開始剤の使用に沿って先に説明した。マクロモノマーの(共)重合における適当なマクロ開始剤の使用は、重合系の早期適合とマクロモノマーのコポリマーへのより有効な取込みとをもたらす。この概念は、他の制御された重合系および非制御された(慣用的な)重合系においても十分に働くであろう。事実、非制御された重合において、マクロ開始剤の使用は、マクロモノマーを瞬時により高い分子量のコポリマーに組込むことを可能とし、界面活性剤として作用し、重合系を1つの相に保つことを可能とするのにさらに重要である。
塊重合または溶液ATRPにおけるブロックコポリマーの合成は、必要とされるモノマーの逐次添加または種々のマクロ開始剤の単離のいずれかによりさらに段階的に実施することができる。モノマーの逐次添加は、消費時間がはるかに少なく、実際的で最も容易な方法であり、プロセスコストを潜在的により低くする。このようなアプローチは、1つのモノマーからもう1つのモノマーへとスイッチする時に、あらゆる制御された重合系における交差生長でアシストすることができ、1つのブロックの末端におけるテーパー構造は、次のブロックのための開始を改良する。しかし、これは、ブロックコポリマーの多分散性、均質性、官能性または界面特性を妥協させることを含む。合成的なチャレンジによりアクリレートおよびメタクリレートを含有するブロックコポリマーを合成した。何故ならば、それらは、他の重合機構を介して得ることが困難であるからである。さらに、ATRPを使用してさえ、ポリマー鎖末端の官能性を十分に確保する必要があり、第2(または第3)のブロック(すなわち、迅速な交差−生長)の比較的迅速な開始を有することが必要である。MMAを開始するPBAの場合、PBA上に末端基を確保することが必要であり、Brであり、CuClは、触媒として使用され、交差生長開始は、遅かった。逐次添加実験のうちで、これは、PBAが臭素含有開始剤で開始され、CuBrを触媒として使用する必要があった。第2のモノマー(この場合、MMA)の添加の際に、CuClも、また、ハライド交換を促進するために反応物に導入する必要があり、かくして、MMAの単独生長と比較して交差生長の速度が増大する。
2つの異なる実験、1つは、PBA−b−PMMAで表されるジブロックコポリマーの合成、他方は、トリ−ブロックコポリマーPMMA−b−PBA−b−PMMAの合成から分子量分布を調べることは有益である。各場合において、PBAが第1に生長し(それぞれ、単官能性および二官能性を有する)、ついで、それに溶解したCuCl/HMTETAを含むMMAをPBAに添加した。分子量は増大し、“死んだ”マクロ開始剤に対応するであろう末端ポリマーの徴候は存在しない。数平均分子量、多分散性およびモノマー転化率は、実施例部分で示す。各場合に、BAの転化率第1およびMMAの転化率がほぼ90%であり、多分散性は、低い(〜1.20−1.25)ままであった。これらの実験は、数種の因子、例えば、交差−生長速度が存在する時でさえ、ATRPが、マクロ開始剤を単離する必要なくして、ブロックコポリマーの合成に適用することができることを示し、首尾よいブロック共重合を達成する。
これら実験は、ATRPがブロックコポリマー、特に、フリーラジカル的な共重合可能なモノマーでブロックコポリマーを生成することのできるブロックコポリマーを合成するための変化に富む方法であることを立証する。これは、水性重合内部で、および、塊重合における逐次モノマー添加を介しての両方に適用される。
上記例は、第1の(コ)モノマーがポリマーに添加される前に、第2の(コ)モノマーが重合に添加される時、中間体マクロ開始剤を単離および精製することなく新しいブロックコポリマーを製造するため極めて経済的な方法を示す。“活発な”フリーラジカル重合系においては、3つの異なるタイプの勾配コポリマーをこのような連続ブロック共重合における第2の(共)重合ブロックに形成することができる。第1のブロックの(コ)モノマーを優先的に(共)重合第2ブロックに組込む時、“純粋な”第2のブロックが形成される前に第1の(コ)モノマーの全てが消費されると、界面テーパーブロックを形成することができる。相分離を受けるポリマーについては、これは、より広く改良可能な界面境界を有するポリマーを生ずるであろう。このテーパー状のブロックの長さおよび組成は、第2の(コ)モノマーの添加前の第1の(コ)モノマーに対するパーセント転化率に依存する。弾性材料においては、これは、バルクポリマー、変化する引張り収率強さ、最終の引っ張り強さ、%伸びおよびヒステレシスの特性を有意に改質するであろう。
しかし、第1の(コ)モノマーがさらに遅く第2のブロックに組込まれる場合、第2のブロックは、第1および第2のモノマーの統計学的なコポリマーまたはランダムなコポリマーであってもよい。
第3の場合において、第1の(コ)モノマーがポリマーに容易に組込まれない場合、第2のモノマーの重合が高い転化率にされる場合にのみ、”逆”勾配コポリマーが形成されるであろう。
かくして、AブロックおよびBブロックにおけるモノマーの反応性に依存するこのような連続ブロック(共)重合において異なるタイプのABブロックを製造することが可能である。上記反論における第3の非限定的な考察において、親水性モノマーまたはマスクされた親水性モノマー、例えば、t−ブチルアクリレートを有するA−ブロックを考えると、第1のモノマーを低レベルで組込むのみのさらに疎水性のモノマー、例えば、メチルメタクリレートと共重合させる。第2のモノマーを添加する場合、溶液中に第1のモノマー20%が存在するものの、共重合は、高い全体の転化率で実施され、生長ポリマー尾部のより高い濃度の親水性モノマーを含む短い(コ)ポリマーブロックを有する勾配コポリマーが形成される。これは、同調可能なミセル特性を有する界面活性剤分子をもたらすであろう。
本出願で先に記載したように、乳化系においては、重合相における錯化レドックス共役体の濃度をコントロールするために、非錯化レドックス共役体遷移金属塩を水相に添加すると有益であることが多い。より高いレベルのレドックス共役体が第2のブロックよりも第1のブロックの製造に必要とされ、第2のブロックの製造により長い反応時間を望まないブロックコポリマーにおいては、反応物中の触媒の各酸化状態の濃度をコントロールするために、種々の方法が利用可能である。さらなる低い酸化状態の遷移金属触媒を第2のモノマーとともに添加するか、または、金属ゼロを添加することにより、レドックス共役体の濃度を低下させることができるか、あるいは、乳化系において銅基体の触媒に対して、Cu(I)/リガンドを有機相に、Cu(II)を水相に添加することを組合せてもよい。
“逆”乳化ATRPにおいて、CuBr2/2dNbpy対標準的なフリーラジカル開始剤の初期比は、多大の効果を有する。より少ない量の触媒を使用する時、重合は、はるかに速い。これは、CuBr2/2dNbpyが原子移動反応においてラジカル失活剤として作用し、発生したフリーラジカルとの反応によって、全てのCuBr2がCuBrへと還元される場合に、速度が増大する。他方、重合の分子量コントロールまたはさらに正確には開始効率は、失活剤の量によってほとんど影響を受けなかった。CuBr2/2dNbpy対標準的なフリーラジカル開始剤の種々の比でのモル物質進化の比較は、また、開始剤効率または触媒の量とは多少とも独立であることが示されるか、または、水に溶解させたCuBr2が水相での不可逆的な終了のための主要な原因ではないことを示し、むしろ、第1に形成されたフリーラジカル間での終了が低い開始効率について主として原因となる。さらなるCuBr2/2dNbpyでは、得られるポリマーの多分散性が幾分小さくなる。これは、失活剤の有機相への高い分配により、かくして、さらに有効な失活を生ずる。
乳濁液においては、粒子サイズは、触媒の量に対して極めて鋭敏である。これは、恐らく、水相の種々のイオン強度によって生ずる。水相中に溶解させたCuBr2が多くなるほど、イオン性強度の増大が粒子を安定化させる界面活性剤の能力を弱くする。これは、触媒の量に伴う粒子サイズの変化が低レベルの界面活性剤でさらに顕著である理由を説明する。
標的生成物が安定な小粒子サイズを有するラテックスである場合に、逆ATRPは、乳化重合における好ましいアプローチである。このような系においては、モノマー転化率とともに分子量の線形的な増大が存在する。これは、鎖の数が一定であること、換言すれば、鎖移動反応が無視できることを示す。生成物は、低い多分散性(1.2−1.5)を示し、ほとんど全ての鎖が同時に同一速度で生長を開始することを意味する。いずれの特性も重合が制御されていると見なしうることを示す。しかし、比較的低い開始効率(25−45%、対均質な系について80%)が存在する。これは、標準的なフリーラジカル1分子が2つのラジカルを発生すると仮定して、理論的な分子量値に基づき計算される。この低い効率に対する主要な理由は、水相における不可逆的なラジカル停止に帰せられ、これは、2つのラジカル間の反応またはラジカルと水に溶解させたCuBr2との間の反応を含んでもよい。最終のラテックスは、通常、安定であり、数日から1年以上経っても沈降を生じない。最終粒子サイズは、200nmの範囲で再現可能である。全ての実験において、測定される粒子の径が20%−40%転化率まで漸次減少し、ついで、40%転化率後一定に保たれる。
開始効率を改良し、逆ATRPの遷移金属錯体の両レドックス共役状態のレベルをコントロールするためには、慣用的なATRP開始剤(RX)が“逆”ATRP乳化系に添加され、標準的なフリーラジカル開始剤/CuBr2系以外に、V−50(商業的に利用可能なフリーラジカル開始剤)をラジカル源として添加した。このような条件下、最終的に進んだATRP開始剤は、形成されるフリーラジカルとCuBr2との反応後、V−50から形成される開始剤分子とともにRXの混合物となるであろう。RXが優位である場合には、水相におけるV−50によって生ずるラジカルの停止効果は無視することができる。重合に使用される触媒の濃度は、また、添加した標準的なフリーラジカル開始剤の量から分離することもできよう。このアプローチの利点は、最終粒子サイズが直接ATRPから得られるそれよりもはるかに小さいかもしれないことである。適当な条件下、全体の開始効率は、純粋な逆ATRPについての0.2−0.3から、Aldrichよりのエチル2−ブロモイソブチレート(EBiB)の存在で〜0.6に改良された。また、触媒錯体のレベルおよび種々のレドックス共役状態の濃度は、添加された標準的なフリーラジカル開始剤の量から独立に制御することができる。
本出願で提供した例のなかで、大部分の実験は、小さなスケールで実施した。しかし、より大きなスケールの“逆”ATRP乳化重合を機械的攪拌(〜400rpm)付きの250ml反応器で実施する時、その結果は、小さなスケールでの実験と同一であった。実験条件は同一であり、実験的な誤差の範囲内で、実験は、同様の速度論、分子量の進化および粒子サイズを有し、さらなるスケールアップは、制御され、かつ、予測可能である必要があることを示す。
より高い酸化状態の遷移金属錯体の存在でのATRPにおける慣用的なラジカル開始剤の使用は、先の出願に開示されており、“逆”または“別の”ATRPと称される。このような“逆”ATRP反応に使用することのできる“標準的なフリーラジカル開始剤”の範囲は、さて、過酸化物を包含するまでに拡張することができる。この拡張は、示した開始剤過酸化ベンゾイル(BPO)として使用する均質な“逆”銅−媒介ATRPの結果によって、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と比較して立証される。
さて、均質な“逆”ATRPは、首尾よく実施され、ジアゾ化合物または過酸化物のいずれかの分解によっても開始される。AIBN開始重合については、CuBrの添加は、ほとんど効果がなく、他方、“逆”ATRPは、開始/生長ラジカルを捕捉し、CuBrおよびRBr種を形成することのできるCuBr2の存在で効率的に生ずる。対照的に、CuBr2は、生ずるCu(I)からBPOへの速い電子移動およびベンゾエートアニオンの銅に対する配位により、BPOによって開始される“逆”ATRPの不十分な構成成分である。しかし、BPOによって開始される重合は、十分な量のCuBrの存在で制御することができる。BPOの誘発分解後、生長ラジカルは、Cu(II)種によって失活され、臭素末端オリゴマーおよびCu(I)種を生成する。Cu(O2CPh)およびCuBrの両方とも首尾よくATRPを触媒することができる。
帯電したリガンド−金属錯体1および2は、スチレン、MAおよびMMAの逆ATRPにおいてそれらのCu(II)錯体として合成および試験した。帯電した配位部位の影響は、2つの効果で見る必要がある:
1. Cu(II)種の安定化、および、したがって、ATRPに対する高度に活性な触媒の形成。
2. 銅とリガンドの帯電した配位側のイオン性により、さらに安定な錯体が生ずるはずである。
Figure 2011202169
帯電したリガンドを有するCu−錯体
触媒として錯体1を使用し種々の重合反応を試験したが、塊重合においては、リガンドとしての非帯電ポリアミンと比較した時、より高い高分子量の生成物をもたらす。しかし、触媒もまた低い活性を示した。
3本の足を有する帯電されたリガンド、錯体2を使用する動機は2つあった。第1に、Me6TRENは、同様の構造を有し、ATRPに対する高度に活性な錯体を形成するので、その関連Cu−錯体の同一のジオメトリーを有する帯電したリガンドも、また、高い活性を示すはずであることが決定された。第2の態様として、錯体2の活性をMe6TREN−CuBrと比較することにより、帯電された配位部位の影響を評価したかった。錯体2は、スチレンおよびMMAの重合において良好な活性を示したが、MAをさらに遅く重合させた。
本出願の先に、グラフト(コ)ポリマーがグラフトされた(コ)ポリマー鎖内で骨格(コ)ポリマーに結合された新たなグラフトコポリマーの製造を記載した。以前の出願は、主要なモノマーと公知(低いことが多い)濃度の直接ATRPを開始することのできる第2の官能基を含有するもう1つのモノマー、または、マスクされたATRP開始剤を含む第2の官能基を含有するモノマーを含むコポリマーと共重合させるか、あるいは、予め形成された骨格上を官能化させて開始部位を形成することを含め、制御された重合法の利用を介して正常なトポロジーグラフトコポリマーを製造するための幾つかの他のアプローチを開示しており、これらは、全て、骨格からの側基グラフト(コ)ポリマーを生長させるための官能性マクロ開始剤として使用することができる。後者の方法は、(コ)ポリマーを官能化させるが、ポリ(ビニルクロライド)およびポリ(ジメチルシロキサン)マクロ開始剤からビニルモノマーの制御された重合について確認されている。クロロスルホン化されたポリエチレンからのフラフト共重合は、また、先の出願で開示されている。本出願は、その改良;および、商業的に入手可能なポリ(エチレン−co−グリシジルメタクリレート)コポリマーからの続く重合を記載する。エポキシド基のクロロ酢酸による開環を説明する例は、ビニルモノマーを例として、スチレン、ベンジルアクリレートおよびメチルメタクリレートとの続くグラフト(共)重合とともに示されている。ベンジルアクリレートグラフトコポリマーのベンジル基の加水分解も、また、教示されており、これは、ポリエチレン骨格を有するアンフィフィリックな(amphiphillic)グラフトコポリマーの合成をもたらす。
有機ポリマー支持リガンドの使用は、先の出願において開示されている。ここで開示する具体的な改良は、遷移金属錯体を形成するリガンドとして架橋ポリスチレン上に固定された直鎖テトラミンの使用に基き、十分に制御された系の達成におけるレドックス共役体の重要性を認識する重要な出願である。支持体の高分子性に基づき、系は、支持体と生長鎖との間に高い適合性を示すはずである。表面上に高負荷(1.5mmol/g)のリガンドを有する支持体を形成した。種々のモノマーによる幾つかの重合を実施し、その結果を実施例部分で報告する。ポリマー支持トリス(2−アミノエチル)アミン(s−TREN)が、メチルアクリレート(MA)重合に対して最良の結果を示した。スチレン(St)およびメチルメタクリレート(MMA)の場合、多分散性が高く、重合は、メチルアクリレートと比較してよりより遅かった。
反応全体にわたってより良好なコントロールを達成するために、N,N−ビス(2−ピリジルメチル)−2−ヒドロキシエチルアミン(HO−BPMEA)を商業的に入手可能なベンジルクロライド官能基含有Merrifield樹脂上に固定化するが、これはペプチド合成および小さな有機分子の組合せ合成のために広く使用されている。HO−BPMEAがMAの最もよく制御された溶液重合の1つを提供するので、研究のために、メチルアクリレート(MA)を選択した。第1の実験において、SECにより双峰の分子量分布を観測した。双峰の分子量分布についての理由は、即明瞭ではないが、開始生長ラジカルが失活剤に容易にアクセスすることができず、かくして、未コントロールなまま継続して重合し、正常なフリーラジカル停止反応が生ずると想像される。これは、高分子量ピークで見られるポリマーを生ずる。停止反応により十分な量の失活剤の発生の後、十分に制御されたATRP重合が進行し、低分子量ピークに見られる物質を形成する。
重合プロセスの開始から瞬時にATRPプロセスのコントロールを達成するためには、失活プロセスを高めることが好ましい。失活剤CuBr2は,活性剤Cu(I)Brとともに反応の開始時に添加され、したがって、両方の銅の種は、相互に近接させて固体−支持体リガンドにより錯化させる必要がある。銅種の合計量が同一に保たれる一連の例においては、レドックス共役体の種々の比の効果を測定した。Cu(II)Br2対Cu(I)Brの3つの異なる比の使用による結果が報告されている。開始触媒錯体中のCu(II)Br2のより高いパーセンテージでは、分子量は、低い多分散性で期待される値により近かった(表26のエントリー2−5を参照)。これらの観測は、Cu(II)Br2のより高い利用可能な濃度が失活の速度の増大をもたらすことを示唆し、かくして、コントロールを改良する。
攪拌反応容器において、粒子担持固定化触媒の易動度および反応混合物におけるポリマーコイルの拡散の両方ともがATRP重合プロセスにおけるコントロールのレベルに影響を及ぼす。触媒が嵩高い支持体に緊密に結合されている場合、これは、生長鎖端の触媒部位への拡散を阻害する。均質なATRPにおいて、ATRP内での活性化の速度定数は、典型的には、kact〜100Lmol-1-1の範囲内であり、失活剤のそれは、kdeact〜107Lmol-1-1である。活性および休止状態の鎖末端の表面上に固定化された活性剤および失活剤への拡散は、マイクロ秒またはミリ秒の範囲内であってもよい。したがって、活性化の全体としての速度は、有意には影響を受けないはずである(kI>>kact)。しかし、リガンド支持した触媒錯体では、失活の全体としての速度は、均質な触媒よるよりも有意に遅く、拡散は、速度を決定することとなろう(k2<<kdeact)。これは、遅い失活によるコントロールに乏しく、均質な条件下よりもより高い濃度の失活剤を必要とする。これは、見かけ上大過剰の失活剤、ATRPにおけるレドックス共役体、または、他の制御されたラジカル重合法における“繰り返し形成されるラジカル”が、不均質な系でコントロールを達成するために必要とされる理由;および、また、均質な系と比較した時、Cu(II)の大過剰にもかかわらず、重合が生ずる理由を説明することができる。失活速度は、重合開始時の失活剤の添加によって高められる。失活剤の初期濃度を増大させると、生長ラジカルがそれと反応するであろう可能性が高まり、休止状態の種に変換される。また、粒子の数の増大は、混合物の触媒部位の数を増大させ、重合における失活のさらに高い可能性を生じた。
“失活剤”または“繰り返し形成されるフリーラジカル”の重要な役割を理解することは、大部分の制御されたラジカル重合系で操作可能であり、狭い分子量分布をもたらすか、または、さらに正確には、重合開始の第1の瞬間系に課せられるコントロールにより、所望される場合には、特にあつらえられたより広い分子量分布、より高い官能性をもたらすであろう。
触媒錯体の構成成分の理解または役割におけるこのような継続した増大、特に、ATRPにおけるレドックス共役体の役割または“繰り返し形成されるラジカル”は、他の制御されたラジカル重合では、制御されたラジカル重合のために使用することのできる開始剤の範囲についてさらなる進歩を可能とした。最も可能性のある有用な用途は、制御された重合の直接開始のための改質された表面の使用である。Ejaz. M.;Yamamoto, S.;Ohno K.; Tsuji, Y.;Fukuda, T., Macromolecules, vol.31, p.5934(1988);Husseman, M.;Malmstrom, E. E.;McNamara, M;Mate, M;Mecerreyes, D.;Benoit, D. G.;Hedrick, J. L.;Mansky, P.;Huang. E.;Russell, T. P.;Hawker, C. J.Macromolecules, vol.32,p1424(1999)に記載された従来技術法とは異なり、従来法が100%つながったポリマーを製造するのに対し、我々は、いずれの犠牲となる開始剤の使用もなく、すなわち、いずれのつながらないポリマーを生成することなく、この仕事を達成することのできる表面から制御された重合のための条件を開発および定義した。このようにして、重合プロセスで生成する全ての(コ)ポリマーは“制御され”所望される部位で表面に結合され、ブラシ、カーペットパイル、各公知の活性化された開始剤部位からの活性な鎖の生長をもたらす。各ポリマー鎖は、活性なままで、ブロックコポリマーおよび官能鎖末端物質、この場合、官能基表面または特にあつらえられた表面で形成するラジカル的に活性なモノマーを、(共)重合し続けることができる。
このような系についての実際的な有益性または経済的な動機は、ATRPの考察によって例としてが、”繰り返し形成されるラジカル”効果を介するかまたは関連させて操作する全ての制御された重合系に適用可能であることを先に示したように、モノマー;および、所望による溶剤中の遷移金属錯体の溶液は、新たな物質を媒体に逐次浸漬することにより結合されるかまたはつなぎの開始剤で表面から重合のための連続プロセス全体にわたって何回も使用することができる。結合されるポリマーの分子量は、溶液への浸漬時間に依存する。また、ブロックコポリマーは、第1の重合浴から第2のブロック共重合に最も適した遷移金属錯体とモノマーとを含有する第2の溶液へ表面を移動させることによって製造される。ポリマーが“休止状態の”鎖末端に活性な開始基を保持するので、中間プロセス工程は、逐次重合の間に実施することができる。1つの例は、マスクを形成し、導電性マスクされた物質上に新たな開始剤を析出させ、本来のポリマーおよび新たな開始剤部位の両方から重合を可能とし、均一な絶縁層を生成させる。このプロセスは、工程を繰り返すことによって容易に再現される。生成する廃棄ポリマーは存在せず、モノマー/触媒溶液は、モノマーを添加することによって連続的に使用することができる。
この進歩は、また、制御された重合反応の基本的な動力学を考え、適用することによって達成される。表面からの制御された生長について、1つの要件は、“繰り返し形成されるラジカル”または失活剤が液相に存在することである。むしろ、表面につながれた開始剤から重合させる以外に、接触溶液中での通常の重合を実施することによって失活剤の必要とされる濃度が増強され、ATRP中に過剰の遷移金属錯体のレドックス共役体を添加するか、熱的に不安定なフリーラジカル媒介重合において過剰の安定なフリーラジカルを添加することができ、つなぎ合わされた開始剤からの重合の開始の第1の瞬間から重合を制御する。
表面からスチレンおよびアクリレートを重合させるためのATRPの拡張は、表面と結合された2−ブロモイソブチリル基の使用を介して達成され、開始剤としての官能性のシリコンウエハは、表面結合したポリマーブラシの合成を可能とする。このアプローチから、スチレンおよびメチルアクリレートのホモポリマーが、スチレンおよびアクリレートからのブロックコポリマーと同様に表面から生長した。シリコンウエハ上の2−ブロモイソブチリル官能性トリクロロシランのセルフアセンブリにより、ATRP開始基の1つの相が析出した。ついで、Cuu(I)Br/4,4’−ジ−n−ノニル−2,2’−ピリジン(dNbpy)の均質な触媒系およびCu(II)Br2/dNbpy失活剤(Cu(I)Brに対して3−5mol%)の存在で重合を行った。重合の開始時にCu(II)Br2を添加すると、停止反応が抑制され、アルキルハライド末端基の高い保持を可能とする。かくして、反応開始時での失活剤または“繰り返し形成されるフリーラジカル”の添加が、驚くべきことに、回避され、表面からの制御された重合について他の研究者によって先に報告されているような遊離のつなぎ合わせのない開始剤を加える必要性を有意に改良する。
シリコンウエハの表面からのポリマー鎖の生長は、付随する接触溶液中での重合を伴うことなく、フィルム厚さのエリプソメータ測定により確認された。かくして、スチレンおよびメチルアクリレートのホモ重合において、時間に伴うフィルム厚さの線形的な増大が観測され、ウエハからの首尾よいATRPを示す。シリコン基板上のポリマーの極めて低い負荷により、表面グラフトされたポリマーの直接分析を実施することはできなかった。しかし、表面結合されたポリマーからの鎖延長反応は、ATRP活性なアルキルハライド末端基の存在を変えながら行った。このアプローチから、スチレンと種々のアクリレートモノマーとから表面をつなぎ合わされたブロックコポリマーが合成され、Cu(II)による失活が生じたことを示す。この方法は、また、種々の組成のアクリレートモノマーを重合させることにより表面特性の同調を可能とする。特に、疎水性および親水性表面は、ウエハ結合したp(Sy)に3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアクリレートまたはt−ブチルアクリレートを、それぞれ、鎖延長することによって製造された。親水性のウエハは、つなぎ合さったp(Sty−b−tBA)の酸性加水分解によって得られ、両性(amphiphillic)ブロックコポリマーを生成した。
開始および失活の速度論を理解することは、また、低い分子量のポリマーの製造、特に、界面活性剤または反応体として使用するのに適した低分子量のブロックコポリマーの製造において重要であり、分子量コントロールおよび高い官能性がA(コ)モノマーからB(コ)モノマーへの有効な交錯に対しておよび適用に対して必要であり、開始前に正確なレベルの失活剤の存在が必要である。これには、界面活性剤用途に対するハーマフロフィリックな(hermaphrophylic)オリゴマーブロックコポリマーの製造が例として挙げられる。MWn1050を示すポリスチレンブロックを有するポリスチレン/t−ブチルアクリレートブロックコポリマーの製造において、5%のCuBr2を添加すると有益であるばかりでなく、また、失活剤の溶解度を確保するであろうレベルのアセトンのような極性溶剤も有益である。このような条件下では、最初のポリスチレンブロックは、狭いMW分布で形成され、第2のモノマーを添加した時、より高い分子量に明らかに移動した。
ATRPを介して達成可能な官能性コントロールの重要性は、さらに、末端基の逐次改良によるモノマーの本質的に異なるタイプからブロックコポリマーを製造する能力を介して立証され、さらなる鎖延長のための適当な末端基でマクロ開始剤を適切に製造する。新しいタイプの有機/無機ポリマーハイブリッドの十分に定義された有機ポリマー−ポリホスファゼンブロックコポリマーに対する2つのアプローチが実行可能である。米国特許出願セリアルNo.09/018,554に最初に記載された1つの方法は、ATRP重合のためのホリホスファジンマクロ開始剤の製造である。本明細書に開示するもう1つのアプローチは、ATRPにより有機マクロ開始剤を製造し、ラジカル的に移動可能な原子をホスホルイミンの重合のための開始剤部位へと転化することである。これは、末端第1基をアジドに転化し、ついで、遠隔(tele)アジドポリマーと2,2,2−トリス(トリフルオロエチル)ホスファイトとを反応させて、官能性末端基を新しい開始剤分子、ホスホラニミン末端基を有するマクロ開始剤へと転化することによって達成される。このようなマクロ開始剤は、モノマー、例えば、P−トリス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−N−トリメチルシリルホスホランイミンの重合を開始させることにより、ブロックコポリマーの製造のために使用することができる。
有機/無機ハイブリッド物質の製造のために、莫大な数の方法が報告されている。慣用的なアプローチとしては、無機相で共有結合または相互浸透した高分子成分によるセラミック材料を合成するためのゾル−ゲル化学の使用が挙げられる。あるいは、無機/有機金属モノマーおよびポリマー系は、それらの有機等価体と組合せて、無機ブロックまたは側基を有するハイブリッドポリマーを製造することができる。無機(マクロ)開始剤またはモノマー、原子移動ラジカル重合(ATRP)の利用は、ハイブリッド物質の製造のために万能法であることが立証されている。ATRPは、アクリレート、メタクリレートおよびスチレンを例とする範囲から多様な十分に定義された(コ)ポリマーを合成するのに使用して成功している。ATRPのラジカル性により、広範な範囲のモノマーおよびポリマーを使用することができるが、ただし、触媒の両活性種による相互作用は回避される。ATRPに対する無機(マクロ)開始剤は、活性化されたアルキルハライド基(例えば、α−ハロエステル、ベンジルハライド)の標的無機ポリマーまたは基質への組込みを必要とするのみである。
このアプローチを介して、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)およびシリコンウエハは、開始剤群で官能化され、ハイブリッド物質を製造するためのATRPのためのマクロ開始剤として使用されている。同様に、無機モノマーは、有機(マクロ)開始剤からATRPにより(共)重合されている。特に、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)モノマーは、ハイブリッドポリマーの合成のために使用されている。
PDMSおよびポリ(スチレン、アクリレートおよびメタクリレート)のブロックおよびグラフトコポリマーの合成は、先に概説したように、ATRPを使用し、ビニルモノマーのATRPにおけるマクロ開始剤としてアルキルハライド官能性のPDMSの使用を介して実施された。PDMSへのATRP開始基の組込みは、シラン末端のPDMSの4−ビニルベンジルクロライドまたは3−ブテニル−2−ブロモイソブチレートとのヒドロシリル化を介して達成された。以前は、アクリレートおよびメタクリレートのATRPを開始するベンジルクロライド基の効率が限られていることにより、p(−DMS−b−Sty)ジ−、トリブロックおよびp(DMS−g−Sty)グラフトコポリマーのみしか製造することができなかった。さて、PDMSは、2−ブロモイソブチリル基で官能化するのに成功し、PDMSとポリ(アクリレート)またはポリ(メタクリレート)とのABブロックコポリマーの合成が可能となった。さらに、p(Sty−b−DMS−b−nBA)およびp(Sty−b−DMS−b−MMA)トリブロックコポリマーの合成も、また、実施した。スチレン、ヘキサメチルシクロトリシロキサンおよび(メタ)アクリレートモノマーのトリブロックコポリマーへの合成ルートが、スチレンの活発なアニオン性重合を出発とする交差機構ブロック共重合を介して達成され、ポリスチレン鎖(Mn4,600;Mw/Mn=1.09)を生成し、これは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)の開環重合を開始するために使用した。p(Sty−b−DMS)ブロックコポリマーのリチウムシラノエート鎖末端クロロジメチルシランによる続くクエンチは、シラン終了鎖端(Mn=7,760:Mw/Mn=1.15)を生成した。ATRPについてのマクロ開始剤は、ついで、シラン−官能性p(Sty−b−DMS)コポリマーの3−ブテニル2−ブロモイソブチレートによるヒドロシリル化によって製造した。n−ブチルアクリレート(nBA)またはメチルメタクリレート(MMA)のいずれかを有するp(Sty−b−DMS)マクロ開始剤でのATRPは、ABCトリブロックコポリマーの合成を可能とした。これらトリブロックコポリマーの合成は、SEC分析によって確認された。SECクロマトグラムは、ブロック共重合の各工程における十分に定義されたポリマーの合成が、p(Sty)からp(Sty−b−DMS)へとアニオン的に進み、続いて、ATRPを使用し、n−ブチルアクリレート(Mn=10,200;Mw/Mn=1.18)またはメチルメタクリレート(Mn=10,100;Mw/Mn=1.21)を付加させた。
上記および先の出願で開示した有機/無機ハイブリッドの合成に対する1つのアプローチは、十分に定義された無機および有機構成成分の物質への組込みであった。以前には、ベンジル−クロライド官能化された環式シロキサンと多面体オリゴマーシルセスキノキサン(POSS)を含む無機開始剤をスチレンのATRPに適用していた。この研究を、さて、単官能性メタクリロイル/スチリルPOSSモノマーの使用を含むように拡張した(スキーム10)。
Figure 2011202169
スキーム10:ATRPに対するPOSSモノマー
嵩高いPOSS部分を有するメタアクリロイルおよびスチリル基によって構成されるポリシロキサンモノマーをATRP系に適用した。文献記載の以前の研究は、Sty−POSSおよびMMA−POSSの慣用的なラジカル重合を報告している。POSS立方体のポリマー鎖への導入は、鎖易動度、熱挙動およびハイブリッド物質の全体としての機械的強さに影響を及ぼすことが立証された。しかし、POSS−基体の(コ)ポリマーの合成は、制御されたラジカル法を使用しては報告されていない。制御されたラジカル重合法を使用して製造されるPOSS−ポリマーは、重合を再開始することのできる末端基官能性を有するという利点を与える。これは、軟質の中央セグメントと周辺のPOSSとを有するPOSSのブロックコポリマー、例えば、熱可塑性エラストマーの合成を可能とする。さらに、制御されたラジカル重合を介してさらに複雑なトポロジーを達成することができ、スターポリマーおよびスターブロックコポリマーの合成を可能とする。かくして、POSS−基体のモノマーのATRPへの適用は、十分に定義された無機および有機ポリマーセグメントの両方を有する広い範囲のハイブリッド物質を生成させることができる。
POSSポリマーは、物質により高い熱安定性と機械的な強さとを付与することが立証されたハイブリッドの新しい類を示す。構造的には、POSSは、立方体シロキサンオクタマーであり、外径1.5nmを有する。POSS基は、単官能性のPOSSモノマーの重合により、ポリマー鎖に組込むことができ、若干重合可能な基を有する。それは、POSSポリマーにそれらの普通ではない構造および特性を与えるこれら嵩高い無機側基を包含する。POSSポリマーおよび物質は、種々の方法から製造されており、POSSモノマーのATRPへの適用は、ポリマー分子量、トポロジーおよび組成のより大きなコントロールを可能とする。ATRPを使用することにより、十分に定義されたホモ−、ブロックおよびランダムコポリマーを合成することができる。メタクリロイル−官能性POSSモノマー(MA−POSS)のホモポリマーは、トルエン中溶液ATRPにより合成される。ランダムコポリマーも、また、スチリル−官能性POSS(Sty−POSS)またはMA−POSSと慣用的なビニルモノマー(例えば、スチレン性、(メタ)アクリル性)との共重合によって製造することができる。さらに、ポリ(アクリレート)マクロ開始剤に使用により、ABおよびABAブロックコポリマーの両方ともが製造され、マクロ開始剤からの軟質中央セグメントと鎖延長反応によって得られる硬質POSSセグメントとを有する。特に、p(MA−POSS)−b−p(nBA)−b−p(MA−POSS)トリブロックコポリマーの合成を実施した。SECから測定されるように、p(nBA)マクロ開始剤からのMA−POSSの有効な延長が観測された。
上記考察し後で報告するたこれら実験は、ATRPを使用するPOSSからのハイブリッド物質の製造が実施されたことを立証する。制御されたラジカル重合からの十分に定義されたホモポリマー、ランダムおよびブロックコポリマーの合成は、官能性無機基を含有する制御されたハイブリッド(コ)ポリマーの製造を生ずる。POSS−StyまたはPOSS−MMAモノマーのいずれかを組込むPOSS−PMMAホモポリマーおよびコポリマーの合成は、ATRPを使用して、立証するのに成功した。ATRPによって製造したPOSS−基体ポリマーのタイプをスキーム11に示す。
Figure 2011202169
スキーム11:ATRPにより製造されるPOSS−ポリマー
ハイブリッド有機/無機シリケートナノ粒子の合成は、開始剤−官能化された粒子からビニルモノマーの重合を経てここに立証される。第1のアプローチは、開始剤としてのベンジルクロライド官能性シリケート粒子の使用であった(T. E. Patten, Polymer Preprints, vol.40(2), p.354)。ベンジルクロライド開始剤粒子からのスチレンのATRPのための条件を最適化することの困難性は、恐らくは、ベンジルクロライド基からの有効ではない開始に遭遇することであった。この困難性を克服するために、2−ブロモイソブチリル官能基を有するナノ粒子の合成を実行した。
改良ストーバー(Stober)法(Phillipse et. al., Journal of Colloid and Interface Science, vol.128,p.121(1989))および界面活性剤テンプレートアプローチ(Schmidt et. al., Adv. Mater. vol.9 p.995(1997)を使用して2−ブロモイソブチル官能性シリケート粒子の合成を試みた。ストーバー法を使用し、メタクリレートおよび2−ブロモイソブチリル表面を有するシリカ粒子を製造した。
界面活性剤テンプレートアプローチも、また、官能性粒子の合成において実施した。界面活性剤系を使用し、表面改質開始剤基としてトリメチルシリルメタクリレートおよび2−ブロモイソブチリルを有する溶解性のシリケート粒子の合成のための条件を確定した。粒子の元素分析は、臭素が首尾よく粒子に組込まれたことを示した。改良ストーバー法による官能性シリカ粒子についての処理法は報告されている(Philipes et. al., Journal of Colloid and Interfacial Science, vol.128,p.121(1989))に報告されている。この方法において、単分散粒子は、加水分解;および、テトラオルトシリケート(TEOS)と官能性トリアルコキシシラン粒子共縮合された表面シラノール基との縮合により製造される。ATRPについての開始剤として適当な粒子の製造のために、官能性トリアルコッキシシランは、ラジカル的に移動可能な原子、第1の場合には、3−(メタクリルオキシ)プロピル−トリメトキシシラン(MPS)を含有する官能基を有する。官能性粒子の製造のためのもう1つのアプローチにおいて、表面処理剤として3−(メタクリオキシ)プロピル−トリメトキシシランを使用し、このアプローチを繰り返した。これはまた、3−(2−ブロモイソブチリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(BIB−TMS)に拡張した。ストーバー法を使用する合成反応についての一般的なスキームを図8に示す。
単分散溶解性官能基粒子の合成は、また、界面活性剤の存在でも実施できた。このような系においては、界面活性剤は、ミセルを形成し、これがナノサイズテンプレートおよび粒子製造のための反応器として役割を果たす。この時、界面活性剤は、粒子の表面を安定化させ、粒子の他のシランとの連続した縮合反応を可能とする。このように、種々の官能性を粒子の表面に導入することができる。この系の鍵となる特性は、溶解性の粒子がモノアルコキシシランとジシラザンとを有する表面シラノール基の失活によって製造されうることである。モノクロロシランは、また、表面シラノール基を失活させ、官能性を粒子に導入するために使用することができる。このアプローチからの粒子の合成に対する概説的な合成スキームを図9に示す。
このアプローチを使用して、種々の方法から官能性粒子を製造した。全ての場合において、メチルトリメトキシシランを心形成構成成分として使用する必要があるが、官能性トリアルコキシシランをメチルトリメトキシシランと共縮合させ、続いて、表面失活させて、官能性粒子を製造した。さらに、メチルトリメトキシシランのみを含む粒子を製造し、続いて、官能性モノ−アルコキシ/クロロシランおよびジシラザンで表面失活させた。ATRP開始剤として適した溶解性の球形粒子を形成した。
メタクリロイル官能性粒子の合成は、50重量%のシラン混合物で3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPS)とメチルメトキシシランとを共縮合させ、続いて、メトキシトリメチルシランおよびヘキサメチルジシラザンで表面失活させることによって実施した。
官能性単壁カーボンナノチューブ、すなわち、細長いフラーレン(fullerenes)は、また、同様なハイブリッド物質、この場合、硬質のロッドカーボン基体の強化されたナノコンポジットの製造のための有望な物質である。現在、複合体物質用の強化繊維としてのカーボンナノチューブの開発に伴い2つの技術的な問題が存在する。第1は、ナノチューブが凝集しやすく、束を形成しやすいが、他方、理想的には、繊維がポリマーマトリックス内に分散される必要がある。第2の問題は、2つが相互に滑りぬけるのとは反対に、いずれの機械的な負荷もポリマーから繊維に移動させるように、ナノチューブをポリマーマトリックスに十分によく結合させることである。つまり、カーボンナノチューブは、凝集されたナノチューブの不溶性懸濁液である。しかし、チューブの末端をカルボン酸末端基で官能化し、続いて、長鎖アルキル鎖アルコールでエステル化することによりナノチューブは有機媒体に分散させることができる(J. Chen. et. al.;Science, vol.282, p.5(1998))。しかし、このような物質は、マトリックスとの相互作用/接着を示さない。
単分散シリカ粒子について上記開示したのと同様の方法を使用することによって、カルボン酸基で官能化されたチューブを公知の制御された重合法によってビニルモノマーの重合を開始するのに適した基に転化することができる。ATRPの開始については、それらは、まさしく、アルキルハライドであってもよく、これらは、各チューブ末端に大部分の高分子基の形成を生じ;さらに、ポリマーセグメントは、制御された(予め定義された)分子量および低い分子量分布を有するであろう。(コ)ポリマーは、マトリックス材料に溶解させ、良好な接着を生ずるように選択することができるか、または、事実、所望されるマトリックス材料であり、真のナノコンポシットである。このように十分に定義されたポリマーセグメントは、また、各鎖末端に出発官能基を含有し、これらは、有機化学技術を使用してさらに修飾することができ、他の官能基、すなわち、アミン、カルボン酸、アルコール、アリル、ホスホニウム、チオール、アジド等を生成する。
ハイブリッド物質の製造の説明において、1種のモノマーの重合を記載したが、さらに複雑な構造体も同様に形成することができる。例えば、ポリマー組成を調整し、(種々の形態を誘発するために)ブロックコポリマーか、または、勾配/統計学的コポリマー(同時に重合された2種以上のモノマーの混合物)を製造することができる。このような物質は、ナノフェース分離および生ずるラージスケールオーダーにわたるコントロールに基き、新しい形態学、したがって、ユニークな物理的および構造的特性を示すことが期待されるであろう。
強化された物質は、強化剤、有機/無機複合体またはナノチューブが分子スケールで物質を強化するであろう点でユニークであろう。このような長所は、押出しまたは射出成形により本質的に均質な熱可塑性複合体寺領の容易な加工を可能とするか、または、末端基官能性が反応射出成形タイプの加工で架橋反応において使用され、ナノ熱硬化性複合体を形成する。複合体のこれらタイプの両方とも、高強度繊維、フィルムおよび部品の開発に有用であろう。
種々のモノマーが本発明者らおよびその他の教示の方法を介して十分に制御されつつ重合させるのに成功したが、ビニルアセテートの“活発な”/制御されたラジカル重合は、未だ、成功していない。ビニルアセテートの制御の重要性は、その工業的な重要性のみならず、ビニルアセテートがラジカル機構を経ただけでははるかに重合しにくいという事実により生ずる。
さて、我々は、ビニルアセテートを制御された重合に組込むための確固たる方法が開発されたことを報告することができる。
ビニルアセテートの重合は、Fe(OAc)2/PMDETA(PMDETA=N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン)錯体の存在で開始剤としてCCl4を使用して実施した。モノマーの初期濃度対開始剤の比を変えることにより、予想されるようにして、広い範囲の分子量を有するポリビニルアセテートを合成した。典型的なATRP触媒系を使用して、生ずるポリビニルアセテートをブロックコポリマーの合成のための有効なマクロ開始剤として使用した。
しかし、さらに詳細な速度論的研究により、第1工程の重合が原子移動ラジカル重合挙動に従わず、開始剤および連鎖移動試薬として作用するCCl4による改良レドックス開始ラジカルテロ重合であった。ブロック共重合のためのマクロ開始剤としてのこのポリマーの使用は、頭部−CH(OAc)基よりもむしろ尾部−トリクロロメチル末端基によって生ずるラジカル的に移動可能な原子での鎖延長によった。したがって、これは、ビニルアセテートの新たな鉄媒介レドックステロ重合と、ATRPの延長というよりもむしろビニルアセテートに対する1つの触媒を使用するラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合との新しい組合せであった。2つの制御された重合法のこの逐次組合せによって製造される物質は、新規かつ有用である。
レドックス開始ラジカルテロ重合を研究した。典型的には、CCl4またはRCCl3がテロゲンとして使用され、遷移金属の塩、例えば、鉄または銅の塩が触媒として使用される。結果は、Fe(OAc)2/PMDETA錯体の存在での開始剤としてCCl4を含むVOAcの重合がレドックス開始ラジカルテロ重合であることを示唆した(スキーム12)。
スキーム12:CCl4/Fe(OAc)2/PMDETAを用いたVOAcのテロ重合
Figure 2011202169
かくして、Fe(OAc)2/PMDETAによるCCl4からのハロゲンの引き抜きによって、テロ重合は開始された。しかし、遷移金属塩(例えば、CuCl2,FeCl3)に対する連鎖移動定数がテロゲン/開始剤に対するそれよりもはるかに大きい典型的なATRPとは異なり、CCl4/Fe(OAc)2/PMDETA系における大半の連鎖移動路は開始剤に対する移動のようであった。換言すれば、CCl4は、開始剤および主要な移動試薬の両方として作用した。INFER(スキーム12,工程1および4)。ビニルアセテートの重合におけるCCl4に対する連鎖移動定数は、反応条件下、約1であり、消費されたモノマー対CCl4の比は、重合全体を通してほぼ一定のままであった。その結果、かなり一定な分子量を有するポリマーが得られた。
また、トリクロロメチル末端ポリビニルアセテートと関連させてATRPを使用する同様なブロックコポリマーの製造は、以前に報告されていた。その製造法においては、AIBNによって開始されるビニルアセテートの重合における移動剤としてCHCl3を使用して、マクロ開始剤が合成されていた。CHCl3についての移動係数が非常に低く(Ctr=0.01)、良好な官能性を有し、また、AIBN開始剤に由来する末端基で汚染されることなく、高い収率でポリマーを製造することは、さらに困難で、分子量コントロールが難しい。対照的に、CCl4のポリビニルアセテートマクロ開始剤の製造のための移動剤および開始剤としての新たな用途は、末端基のより良好なコントロールを生じ、Ctr=1により近い移動係数は、少量の移動剤の存在においてさえ、より低い多分散性および予測可能な分子量を生ずる。
同様の触媒系は、2つの異なる重合機構を介してさえともにブロック共重合工程に使用することができ、プロセスの操作を簡略化し、これら有用な物質の製造コストを低減させる。
要するに、Fe(OAc)2/PMDETAの存在で開始剤としてCCl4を使用するビニルアセテートの重合は、反応したモノマー対導入された開始剤の比によって予め決められた重合度を有するポリマーを生ずる。ポリビニルアセテートにおける高レベルの官能性は、続くATRPによるブロックコポリマー形成に使用して成功を納めた。
この系は、また、十分に制御された条件下で重合することの困難な他のモノマー、例えば、ビニリデンフルオライドにも応用可能なはずであり、これにより、PVDF/ATRP(コ)ポリマーブロックコポリマーをもたらすはずである。
ビニルアセテートミッドブロックを有するABAブロックコポリマーを製造したい場合、二官能性のINIFER、例えば、α、ω−ジクロロブロモ−アルカンを使用することができる。
合成工程のこの順序は、逆にすることもでき、その場合、ATRPにより十分に定義されたマクロ開始剤が合成され、ついで、レドックスタイプの重合による第2のブロックの重合のために使用される。この組合せは、両方法の利点を利用することができ;すなわち、広範な範囲の(共)重合可能なモノマーおよび十分に制御された方法を利用することができる。ビニルアセテートを含有するブロックコポリマーを製造するためのこのアプローチは、ビニルアセテートのレドックス開始におけるマクロ開始剤としてブロモ−末端ポリ(n−ブチルアクリレート)を使用することによって立証される。ATRP生成マクロ開始剤は、50体積%のエタノール中、CuBr/1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(Me4−Cyclam)の存在で、ビニルアセテートの重合を開始した。
CuBr/Me4−Cyclamとメチル2−ブロモプロピオネートとを使用するn−ブチルアクリレートの重合は、制御された重合に対し比較的乏しい開始系であることが測定された。恐らく、金属錯体が開始剤からハロゲン原子を引き抜くことができ、ラジカルを形成するが、失活速度(生長ラジカルによる金属からのハロゲンの引き抜き)が、他の触媒系よりもはるかに遅い。遅い失活は、コントロールが乏しく、レドックス−タイプの開始に似ている。観測に基き、この触媒は、ブロモ−末端ポリ(n−ブチルアクリレート)鎖を活性化させて、ビニルアセテートの重合を開始するマクロ開始剤を形成することが予想された。
このリガンド/触媒系は、また、(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドを制御された重合系に組込むことを首尾よく可能とし、ブロックコポリマーの製造のためのマクロ開始剤として作用することのできる官能性末端を有するホモポリマーの製造を可能とした。これら(メタ)アクリルアミドモノマーは、各活性サイクルで有意な分子量を形成するための遅い失活系を必要とした。ブロックコポリマーの製造のための最適なアプローチは、フリーラジカル的に(共)重合可能な原子移動重合による非−アクリルアミドブロックの製造であり、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドの第2の原子移動開始重合のためのこのマクロ開始剤のビニルアセテートへの同様の使用であり、同CuBr/1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(Me4−Cyclam)触媒錯体を使用するレドックス共役体の存在による加減である。
このようにして、(メタ)アクリレート−b−(メタ)アクリルアミドブロックコポリマーを製造した。
CuBrに関して20mol%のCu(II)Br2の存在で、メチル2−ブロモプロピオネートおよびCuBr/PMDETAを使用して、ポリ(n−ブチルアクリレート)マクロ開始剤を製造した。開始剤と触媒/触媒レドックス共役体のこの組合せは、ESI−MS分析により測定して末端臭素基を有する十分に定義されたポリブチルアクリレートを与えた。メチルアクリレートによる鎖延長実験は、末端基官能性の高い度合いを支持した。これら2つの結果は、ポリブチルアクリレート中にブロモ−末端基が存在することを示す。室温で50体積%のエタノール中CuBrに関して20mol%のCu(II)Br2の存在で、CuBr/Me4−Cyclamを使用し、ポリブチルアクリレートマクロ開始剤をビニルアセテートと共重合させた。
Cu(II)Br2の転化なしでの重合は、より高い分子量ショルダーを有する生成物を生成した。添加されたCu(II)Br2は、生長pVAc鎖を失活させることができ、かくして、カップリングにより移動または停止を防止する。しかし、失活の速度は、生長速度よりもなおはるかに遅く、比較的多分散性を有するポリマーをもたらした。1H−NMRスペクトルは、生成物がポリ(ビニルアセテート)単位を含有することを示した。
ATRPにより重合されるモノマーの範囲を拡大する努力が継続中であり、(メタ)アクリルアミドがより早く重合されるものの、その重合は、十分に制御されなかった。(メタ)アクリルアミドポリマーは、生物適合性、非毒性、水溶性の物質であり、医学、食品工業および農業において用途が見出されている。アニオン性重合およびその他の制御されたラジカルプロセスにおける努力を含め、これらモノマーについての制御された重合法を開発することが試みられている。一連の実験は、実験部分に報告し、これらは、(メタ)アクリルアミドの重合に使用されるリガンドが純粋であり、モノマーのポリマーへの最終転化率が系に加える触媒の量の依存することを立証している。これら結果は、記載した触媒系では、限られた転化率が第1に触媒対開始剤の比に依存することを示す。これは、触媒を失活させるポリマーによるリガンドの置換に仮に帰せられる。
我々は、(メタ)アクリルアミドの制御されたラジカル重合が、リガンドとしてMe6TRENを有する遷移金属錯体の使用によって実施することができることを決定した。この系では、1.1より低いPDIを達成させることが可能であるが、所定の触媒レベルについては、達成される転化率に制限が存在する。しかし、80%より高い転化率を達成することができる。所定の系で達成可能な転化率のレベルは、使用される溶剤に鋭敏であり、より極性の溶剤では、制限転化率が減少する。分子量は、転化率とともに線形的に増大し、マクロ開始剤からブロックコポリマーが製造される。
実験の部
本発明を全般的に記載したが、特定の具体例を参照するといっそうの理解が得られる。具体例は説明のために本明細書に示したものであり、別途明記しない限り限定ではない。
材料
スチレン、メタクリル酸メチル(MMA)およびアクリル酸メチル(MA)は、CaH2から真空蒸留して−15℃に保存された。オニウム塩類(すべてAldrichから)は、90℃で少なくとも8時間乾燥され、デシケーター内で無水CaCl2上に保存された。臭化鉄(II)および臭化鉄(III)(Aldrichから)は、入手したままで使用された。1−フェニルエチルブロミド(PEBr)、2−ブロモプロピオン酸メチル(MBP)および2−ブロモイソ酪酸エチル(EBiB)(Aldrichから)は、入手したままで使用された。AIBNは50℃のメタノールから再結晶され、冷凍庫に保存された。溶媒はすべてそれ以上精製せずに使用された。多くの場合、モノマーおよび溶媒には重合直前に少なくとも15分間、アルゴンを吹き込んだ。
重合
一点実験. ガラス試験管に固体化合物(FeBr2/オニウム塩、またはFeBr3/オニウム塩/AIBN)を装入し、ゴム膜で蓋をし、酸素を除去するために真空とアルゴンの間を3回循環させた。次いで予め脱泡したすべての液体成分(モノマー、溶媒、GC標準品、開始剤)をシリンジで添加した。試験管をアルゴン下でシールし、サーモスタットを目的温度に設定した油浴に入れた。一定時間後、試験管を冷却し、開放し、内容物をTHFまたはトルエンに溶解した。
反応速度実験. SchlenkフラスコにFeBr2およびオニウム塩類を装入した。フラスコをゴム膜でシールし、真空とアルゴンの間を3回循環させた。脱ガスしたシリンジに脱泡した液体成分(開始剤以外のもの)を添加し、触媒コンプレックスが形成されるまで混合物を室温で撹拌した。MAの場合、開始剤を添加し、反応混合物を速やかに試験管に移し、直ちにシールして油浴に入れた。スチレンおよびMMAの場合、フラスコを油浴に入れ、そして開始剤を添加した。一定時間後、試験管を油浴から取り出し、前記に従って処理し、または脱ガスしたシリンジで反応混合物から試料を採取してTHFまたはトルエンに溶解した。”逆”ATRPの場合、AIBNをFeBr3およびオニウム塩と一緒にSchlenkフラスコに装入した。
測定
モノマー転化率は、THF(スチレン、MMA)またはトルエン(MA)溶液中でクロロベンゼンまたはo−キシレンを内標準として用いるGCにより測定された。島津CR501 Chromatapacを含むJ&W Scientific DB−WAXカラムを備えた島津GC−14ガスクロマトグラフを用いた。分子量および多分散度(Mw/Mn)は、THF中のGPCにより、Waters 717 Plusオートサンプラー、PSSガード、105Å、1000Åおよび100Åのカラム、ならびにWaters 410示差屈折計を用いて測定された。
以下の表中の用語は下記のものを表す:
salt:塩類;
conv.(conversion):転化率;
solvent:溶媒;
ligand:リガンド;
initiator(system):開始剤(系);
initiating system:開始剤系;
bulk:塊状重合;
monomer:モノマー;
catalyst:触媒;
content:含量;
time:時間;
hr(h):時;
min:分;
Exp:実験番号;
experiment#:実験番号;
reaction time:反応時間;
temp(T):温度;
stylene:スチレン;
sample:試料;
terminal halogen:末端ハロゲン;
target:目標;
toluene:トルエン
catalytic system:触媒系。
実施例1:スチレン
本発明に従い、種々のモル比のFeBr2/オニウム塩(表I)を用いて重合を行い、塩の増加に伴って反応が遅くなり速度が低下することが示された。すべての場合、分子量は理論値と良く一致し、多分散度は1.2未満であった。モル比0.5の塩/FeBr2の場合、カチオン重合が起きたと思われ、いっそう低い分子量および二モード分子量分布になった。臭化テトラブチルアンモニウム(TBABr)および臭化テトラブチルホスホニウム(TBPBr)を塩類として用いた。両方の場合とも、FeBr2/塩の最適モル比は1〜1.5であった。反応混合物は室温および110℃で不均質であった。
Figure 2011202169
実験条件:塊状重合;スチレン:1−フェニルエチルブロミド:Br:FeBr2=192:1:1;110℃;7時間
FeBr2/TBABr=1/1.5の比率で実施した反応速度実験は非直線的一次反応速度プロットを示したが、Mnの理論値と実験値が良く一致し、多分散度は1.1〜1.2以内であった(図10および11)。
実施例1A):触媒系FeBr 2 /TBABr/Bu 3 Pによるスチレン重合
前記に詳述したように重合中の反応性がより低いある種のポリ鉄コンプレックスの形成は、反応速度が低いことの説明となりうる。そのようなコンプレックスがBu3P添加により分解して重合が促進されるかどうかを判定するために、以下の実験を行った(表IA)。
Figure 2011202169
実験条件:塊状重合;目標Mn=20K;110℃;20時間;PEBr/FeBr2/TBAB=1/1/1.5
この結果は、Bu3P添加により反応速度が実際に増大したことを示す。この確認された増大は、重合反応を促進することが知られているFeBr2とBu3Pのコンプレックスが形成されたことによると思われる。
実施例2:金属メタクリレート
本発明に従い、キシレン中、種々のモル比のTBPBr/FeBr2で80℃において重合を行い、最適比率は約0.5〜1であることが示された。これらの条件下で実施した反応速度実験の結果を図12および13に示す。反応は速やかであったが(5時間後に80%の転化率)、一次反応速度プロットは直線的でなかった。これはおそらく停止反応反応があることを示すと思われる。分子量は転化率に伴って直線的に増大したが、それらは理論値より高かった。多分散度は反応初期に低下して最小値1.34に達し、60%転化後、再び増大した。
実施例3:金属アクリレート
本発明に従って一点重合を実施し、塩素、臭素またはヨウ素アニオンを含むFeBr2コンプレックスがアクリル酸メチルATRPにおいて活性であることが示された(表II)。分子量実験値は理論値と良く一致し、多分散度は低く、制御プロセスであることを示した。多分散度指数は、コンプレックス形成ハライドイオンの性質に応じてCl->Br->I-の順に変化した。さらに、多分散度はテトラブチルホスホニウム塩の方が対応するテトラブチルアンモニウム塩より低かった。これは前者の方が溶解性が良いためであろう。同様な結果がアクリル酸ブチルの場合にも得られた。
Figure 2011202169
実験条件:塊状重合;MA:MBP:FeBr2=232.5:1:1;90℃
FeBr2/TBPBr=1/1.5の比率で実施した反応速度実験は、アクリル酸メチルの反応がきわめて遅く、一次反応速度プロットは直線的でないことを示した(図14)。分子量は理論値ときわめて良く一致し、多分散度は転化率に伴って1.15にまで低下した(図15)。
実施例1〜3で得た結果は、鉄仲介ATRPにおいてハライドアニオンをコンプレックス形成リガンドとして使用できることを示す。塩素、臭素またはヨウ素アニオンとコンプレックス形成した臭化鉄(II)はスチレンおよび(メタ)アクリレートのいずれも制御された様式で重合して、予め定めた分子量および低い多分散度を達成することができる。しかし一次反応速度プロットは直線的でなく、これはおそらく、停止反応反応があること、または触媒構造が修飾されてより活性の低いコンプレックスになったことを示すのであろう。またスチレンおよびアクリレートの場合は重合が遅く、これに対しMMAについては重合がかなり速やかであった。
実施例4:遷移金属塩による”逆”ATRP
”逆”ATRP反応における遷移金属使用の一般性を証明するために、鉄(III)塩および3種類のモノマーを用いて反応を行い、反応の性質を例示した。
4a)メタクリル酸メチル
最初に用いた反応条件および得られた結果を表IIIに示す。
Figure 2011202169
実験条件:MMA/o−ジクロロベンゼン=1/1 v/v;目標Mn=30K;FeBr3/AIBN=4/1;温度=85℃;反応時間=2時間;TBPB=テトラブチルホスホニウムブロミド;Mn.th=[MMA]0/2[AIBN]0×MWMMA×転化率
得られたMWは理論値よりはるかに高かった(約2倍)。これはAIBNの分解が不完全であったことによる可能性がある。85℃でAIBNの半減期は約55分である。また反応混合物の粘度増大がケージ効果を高め、このため一次ラジカルの収率が低下する。FeBr3/TBPBの比率によれば、FeBr4 -はFeBr5 2-より弱い失活剤であると思われる(実施例14−2−3と14−4−5の対比)。
AIBNをより速やかに分解し、かつケージ効果を低下させるために、温度を100℃に高めた(AIBNの半減期は約10分)。希釈度も高めた。結果を表IVに示す。
Figure 2011202169
実験条件:MMA/o−キシレン=1/2 v/v;目標Mn=30K;FeBr3/AIBN=4/1;温度=100℃;反応時間=2.17時間;TBPB=テトラブチルホスホニウムブロミド
この場合、Mn実験値と理論値がはるかに良く一致した。この場合も、塩/FeBr3比が2より高い場合に最低の多分散度が得られた。
実験FM15−4で採用した条件を用いて反応速度実験を行った。結果を図16および17に示す。
”逆”ATRPにより得たpMMAのGPCトレースは、一次反応速度プロットにおいて屈曲を示す。これは重合中に停止反応が起きたことを示す(図7)。これらの停止反応のため、GPCトレースにテイリングがみられ、MWは理論値より約10〜15%高い。低い転化率では多分散度は約1.3であり、次いで約1.45にまで増大する(図8)。
4b)アクリル酸メチル
アクリル酸メチルの”逆”ATRPの結果を表Vに示す。
Figure 2011202169
実験条件:塊状重合;目標Mn=20K;FeBr3/AIBN=4/1;温度=100℃;反応時間=22時間
遷移金属塩による直接ATRPの場合のように、重合は遅く、同様な反応時間後に同様な転化率が得られる。さらに、MMAの重合について測定したように、2より大きいFeBr3/TBPB比について最低の多分散度が得られる。
4c)スチレン
反応条件および結果を表VIに示す。
Figure 2011202169
実験条件:塊状重合;目標Mn=20K;FeBr3/AIBN=4/1;温度=110℃;反応時間=15時間;TBAB=テトラブチルアンモニウムブロミド
この結果は、FeBr3の存在のため、無制御なカチオン重合が起きたことを示す。予め形成したコンプレックスにモノマーを添加することにより、この実験をやり直すべきである。
実施例5:2−ブロモ−イソ酪酸により開始したFeBr 2 /オニウム塩によるMMA重合
下記の条件下で1試験管実験を行った:MMA/o−キシレン=1/1 v/v;目標Mn=40K;2−Br−イソ酪酸/FeBr2/TBPB=0.75/1/1;温度=80℃;反応時間=2.25時間。結果は下記のとおりであった:転化率=42%;Mn.th=16800;Mn.SEC=25550;Mw/Mn=1.29。これらのデータに基づいて計算した開始剤効率は66%である。これらの結果を、同様な条件下で実施し、2−ブロモ酪酸エチルにより開始したMMA重合について前記で得た結果と比較すると、重合は遊離カルボン酸系開始剤によってさほど影響されないと結論できる。
実施例6:MMAとメタクリル酸の共重合
MMAとメタクリル酸(5モル%)の共重合実験を試みた。反応をo−ジクロロベンゼン(MMAに対し1/1 v/v)中、目標Mn=30K、80℃で窒素下に21.5時間実施した。開始剤系はEBiB:FeBr2:TBPB=1:1:1であった。触媒を室温でDCB+MMA中において調製し、次いで脱泡メタクリル酸を添加し、最後にEBiBを添加した。転化率測定のため、種々の時間間隔で反応混合物から試料を取り出した。THFおよびDMF両方のラインで最終分子量および多分散度を測定した。試料を常法により処理した(アルミナカラムに通した)。結果を表VIIに示す。
Figure 2011202169
*THFライン、PMMA標準品;**DMFライン、PMMA標準品
THFラインから得た結果は、そのピークがポリマーのピークと重なる不純物の存在により影響を受けている。
実施例7:対イオン支持された触媒および触媒再循環のための対イオン交換
以下の実施例は共有対イオンの使用により触媒を支持する本発明をより良く理解するために示すものであり、限定のためのものではない。DOWEX(商標)ナトリウム交換樹脂に支持された遷移金属触媒をアクリル酸メチルの重合に使用する例を示す。大部分の市販カチオン交換樹脂は、スルホン化架橋ポリスチレンジビニルベンゼンビーズからなる。カチオンは一般にH+、Na+またはこれら2種類の混合物であり、アニオン対イオンはスルホニル基である。ATRP活性銅コンプレックスとNa+の交換はH+との交換よりはるかに遅い。これはおそらくカチオンサイズの違いによるものであろう。イオン交換樹脂上のNa+部位をHNO3またはHClなどの強い鉱酸で処理することにより、H+部位に変換できる。Cu(I)およびCu(II)ATRP活性コンプレックスの効果的な分離は、大過剰のイオン交換樹脂、すなわち過剰の到達可能なH+部位を用いて達成できる。その場合、前記平衡は溶液から銅コンプレックスが完全に除かれるのに好都合な右へ移行する。ATRPに用いるCu(I)およびCu(II)コンプレックスが有色であるため、溶液中のそれらの濃度を監視するためにUV−Vis分光測定を用いた。
材料
CuBr(99.999%,Aldrich)、CuBr2(99.999%)および2,2’−ビピリジン(99+%,Aldrich)を窒素雰囲気下でグローブボックス内に保存した。DOWEX MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂(20〜50メッシュ、Aldrich)を脱イオンH2O、アセトンで洗浄し、48時間真空乾燥した。N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(99%,Aldrich)、トリス−(2−ジメチルアミノエチル)アミン(周知の文献方法で合成)および全溶媒を、使用前に蒸留および脱酸素した。
UV−VIS測定
UV/VIS/NIR分光計Lambda 900(Perkin Elmer)により、石英UVセル、またはSchlenkフラスコに接続した石英セルを用いて、分光測定を行った。試料をすべて酸素の不存在下で反応混合物から取り出し、ただしメタノール希釈およびUV−VIS分析の前2時間、空気に暴露した。反応溶媒0.5mLとメタノール4.5mLを混合することにより、ブランク溶液を調製した。
乾燥H+形DOWEX MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂の装填容量
一般的な実験で、5.0gのDOWEX(商標)MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂を500mLの1.6M HNO3で処理することによりH+形に変換した。次いで樹脂を中性になるまで蒸留水で洗浄し、吸引濾過し、空気中で乾燥させた。次いで樹脂を24時間真空乾燥して残留H2Oを除去した。乾燥樹脂(0.7274g)を200mLの三角フラスコ中へ秤量し、5%NaCl溶液中の0.1M NaOH 100mLと共に24時間放置した。次いでこの溶液20.0mLを0.1M H2SO4で逆滴定した。NaOH溶液の中和に6.2mLの酸が必要であった。次いで溶液中のNaOHの元の量と最終量に基づいて、乾燥H+形樹脂の装填容量を計算し、5.2×10-3mol Na+/g(乾燥H+形樹脂)となった。
粗製形DOWEX MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂の装填容量
上記と同様な方法を用い、ただしDOWEX(商標)MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂をNaOHとの反応前に過剰のHNO3で処理しなかった。装填容量は5.0×10-3mol Na+/g(粗製形樹脂)と計算された。
触媒分離の反応速度試験
一般的な実験で、0.0347g(2.420×10-4mol)のCuBrおよび0.05052mL(2.420×10-4mol)のN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンをSchlenkフラスコに入れ、20.0mLの溶媒(アクリル酸メチル、クロロベンゼン、エタノール、アセトンまたは種々の比率のアクリル酸メチルとクロロベンゼン、およびアクリル酸メチルとアセトン)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌してコンプレックスを十分に形成させた。次いでこれを(カニューレで)0.815gのDOWEX(商標)MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂に移した。種々の時間間隔で混合物から試料(0.5mL)を取り出し、UV/VIS分析前に空気に暴露し、5.0mLのメタノールで希釈した。Beer−Lambertプロットに基づいて、メタノール中における酸化形CuBr/[N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン]濃度を計算した(λmax=652nm,ε=143.22Lmol-1cm-1,R2=0.9998)。他のCu(I)およびCu(II)コンプレックスについても同様な実験方法を用いた。対応するBeer−Lambertプロットに基づいて濃度を計算した。
CuBr/PMDETAの溶液をDOWEX(商標)MSC−1イオン交換樹脂と接触させると、徐々に退色して酸性になる。この所見は下記のカチオン交換平衡と一致する:
Figure 2011202169
平衡位置は、溶媒の極性、交換コンプレックスのイオン性、溶液のpH、架橋度、酸性度、およびイオン交換樹脂のサイズに依存する。これらの要因はイオン交換樹脂の分離容量をCu(I)コンプレックスの方へ最大化するのを考慮する際に、きわめて重要である。特に溶液のpHはきわめて重要な役割をもつ。低いpHではPMDETAのプロトン化が起き、このため銅(I)コンプレックスが分解するであろう。また他方では、カチオンサイズの違いのため、CuBr/PMDETAとNa+の交換はH+との交換よりはるかに遅い。DOWEX MSC−1イオン交換樹脂上のNa+部位(式3)をHNO3またはHClなどの強い鉱酸で処理することにより、H+部位に変換できる。これは樹脂の最大装填容量を測定する際の一般的方法である。しかしこれらの問題はCuBr/PMDETAの濃度と比較して大過剰のイオン交換樹脂を用いることにより避けることができる。その場合、前記平衡は溶液からCuBr/PMDETAが完全に除かれるのに好都合な右へ移行する。
図1は、溶液がDOWEX MSC−1マクロ多孔質イオン交換樹脂を用いたCuBr/PMDETAの分離に及ぼす影響を示す。この図より、溶媒はアクリル酸メチル、アクリル酸メチル/クロロベンゼン混合物、またはエタノールからのCu(I)分離速度にほとんど影響を及ぼさないことが明らかである。事実、20.0mLの1.2×10-2mol・L-1 CuBr/PMDETA(2.420×10-4mol)および0.815gの樹脂を用いると、溶液から95%以上のコンプレックスを分離するのに約60分間かかった。溶媒の役割が分離速度に関係ないことは、溶液中のCuBr/PMDETAの量に対し過剰の樹脂上H+部位が用いられ(4.075×10-3mol,17当量)、これにより平衡(式1)が右へ移行したという事実にある。CuBr/PMDETAに対しH+の量が5当量より少なくなると、CuBr/PMDETAの分離速度は溶媒依存性になり、溶媒の極性が高まるのに伴って増大した。
図2には、温度が50%アクリル酸メチル/50%クロロベンゼン溶液からのCuBr/PMDETA分離に及ぼす影響を示す。分離速度は温度に伴って増大する。50℃を超える温度では、溶液から95%以上のCuBr/PMDETAを分離するのに約20分間かかった。同様な結果がアクリル酸メチルとアセトンまたはTHFの混合物を用いて得られた。
図3は、溶液がDOWEX MSC−1イオン交換樹脂を用いたCuBr2/PMDETAの分離に及ぼす影響を示す。Cu(II)コンプレックスの溶解度が限定されるため、CuBr/PMDETAと比較してはるかに低い濃度で試験を行った。分離速度は溶媒の極性に依存し、一般に溶媒の極性が高まるのに伴って増大した。PMDETAとCu(I)およびCu(II)のコンプレックスを同じ実験条件下で比較すると(図1と3)、分離速度が類似することが分かる。
種々のタイプのイオン交換樹脂を用いて、CuBr/PMDETAの分離に及ぼす影響を図4に示す。マクロ多孔質樹脂を用いた場合が交換は最も速やかであり、ポリスチレンの架橋度およびビーズサイズにも依存した。同じビーズサイズについては、CuBr/PMDETAまたはCuBr2/PMDETAの分離速度は架橋度が増すのに伴って低下した。これはおそらく、銅塩がビーズ内部のスルホン化部位へ到達できる樹脂ポリマー網目構造の膨潤効果によるものであろう。
アセトン/アクリル酸メチル混合物からの触媒分離速度は、触媒のコンプレックス形成に用いるリガンドに依存することが認められた(図5)。分離はCuBr/PMDETAが最も速く、CuBr/2bpyが最も遅いことが認められた。これらのコンプレックスのイオン性および溶液中でのそれらの構造は正確には分かっていないので、イオン交換樹脂上のH+部位と交換する際にそれらが異なる挙動を示す理由について決定的な結論を引き出すことはできない。Cu(II)コンプレックスについても、溶液中へ放出されるBr-の量が用いるリガンドに依存することを見出した。この効果は、Cu(II)中心の全電荷(用いるリガンドによって+1または+2となりうる)の差によるものと思われる。
これらの実験は、酸性基をもつイオン交換樹脂を用いるATRPにおいてCu(I)およびCu(II)コンプレックスを分離するのに効果的な方法を証明する。バルク(モノマーおよび溶媒)、重合および有機溶液から銅触媒を分離するためにこれらの樹脂が有用であることも分かった。これらの樹脂は、ATRP水性(water−borne)重合からポリマーラテックスの凝集なしに触媒を分離するのにも用いられた。銅コンプレックスの分離速度は溶媒の極性、温度、用いるイオン交換樹脂のタイプ、ならびに銅コンプレックスのイオン性およびサイズに依存することが見出された。大過剰の樹脂上H+部位を用いる限り、Cu(I)およびCu(II)コンプレックスを反応混合物から比較的速やかに分離することができる。イオン交換樹脂の使用により銅コンプレックスを再循環しうることも明らかである。
実施例8
DOWEX(商標)ナトリウム交換樹脂にCu(I)を装填し、Me6TRENとコンプレックス形成させた。アクリル酸メチルおよびMBP開始剤を添加し、フラスコを60℃の油浴に入れた。この実験には下記の条件を用いた:MA:MBP:樹脂上Cu(I)=500:1:10。この反応はきわめて速やかであり、溶液は5分間以内の撹拌で粘稠になった。生成物をTHFに溶解し、樹脂から分離した。GPCトレースは、Mn=38100g/mol、Mw=43770g/mol、PDI=1.15(理論値、転化率99%について43030g/mol)のポリマーの存在を示した。
実施例9
実施例8からの樹脂を再び同じ反応に、ただし室温で用いた。今回は溶液は3時間後にきわめて粘稠になった(撹拌が停止)。このポリマーは予想どおり低い分子量ピークをもっていたが、高い分子量ピークももっていた。これが撹拌しにい原因であった。反応が速やかでなければ反応を塊状で行うことはできないと考えられる。ラジカル鎖がCu(II)に到達してBrを抜き出すのが困難なためそれらが結合するので、より高い転化率では(50%から出発した場合ですら)鎖の結合が起きる可能性があるからである(本明細書の他の箇所で述べるように、この現象は支持体上のCu(II)濃度を高めることにより対処できる)。
実施例10
実施例9からの樹脂をこの場合も再使用した。条件は下記のとおりであった:MA:MBP:樹脂上Cu(I)=1000:1:10。目的は、反応速度を低下させるためにより多量のモノマーを用い、反応を調べるのを可能にすることであった。これはより長い時間がかかるからである。この場合も、60℃で50分間の撹拌後、混合物はきわめて粘稠になった。得られたポリマーは予想どおり低い分子量ピーク(20,000g/mol)をもっていたが、高い分子量ピーク(900,000)ももっていた。これは、触媒系のCu(I)/Cu(II)平衡を形成する前に低い転化率で若干のレドックス開始重合が起きたことを示す。
実施例11
ベンゼンを溶媒として用い、この場合も同じ樹脂/触媒を用いて反応を行った。反応体の比率はMA:MBP:樹脂上Cu(I):ベンゼン=1000:1:10:3000であり、反応を60℃で実施した。反応速度を調べるために、反応速度をGCで追跡した。その結果は、それが転化率に伴って分子量が直線的に増大する”リビング”系であることを示す。
実施例8〜11の結果は、市販のイオン交換樹脂に支持された遷移金属が反復実験で同じ活性を示し、それらを繰り返して使用できることを示す。これは、ATRP重合用遷移金属触媒を”共有”対イオン(一方は支持体に直接結合)により固体支持体に支持できること、および触媒をバッチまたは連続重合系で使用できることを示す。
実施例8〜11では、Cu(CH3CN)4PF6が樹脂上のCu+源であった。支持させたCu(I)をのちにMe6TRENとコンプレックス形成させる。
実施例12.支持された遷移金属塩仲介によるATRP
以下の実験は、アニオン交換樹脂に支持されたFeBr3を用いてATRP反応を行う可能性を調べるためのものであった。これらの最初の実施例に続いて、支持された触媒をMMAの”逆”ATRPに用いる。
遷移金属塩の支持に2種類のイオン交換樹脂を用いた:
−DOWEX 1×8−400クロリド−これは200〜400メッシュのビーズサイズをもつゲルであり、イオン交換アニオンとしてクロリドをもつ;
−DOWEX MSA−1−これは20〜50メッシュのビーズサイズをもつマクロ多孔質タイプの樹脂である。市販製品は同様にイオン交換アニオンとしてクロリドをもつ;
1実験はクロリド形樹脂を用いて行われた。第2実験については、樹脂をカラムに装填し、NaBr水溶液をカラムに通し、脱イオン水およびメタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させることにより、ブロミド形に変換した。
一般にこれらの樹脂については装填容量は5×10-4meq/gであると推定された。これは、標準的使用下でのこのタイプの樹脂について文献に記載された装填容量より約3倍低い(アニオン交換)。装填方法は下記のとおりであった:1gの乾燥樹脂、0.15g(5×10-4mol)のFeBr3および10mlのo−ジクロロベンゼンをSchlenkフラスコに装入した。混合物を窒素下に室温でさらに20時間以上撹拌した。次いで樹脂を吸引濾過により回収し、100%エタノールで洗浄し、真空乾燥した。クロリド形樹脂を用いる場合、最終生成物の色は黄色であった。ブロミド形樹脂の場合、色は栗色であった。色の変化に基づいて、必ずしも添加したすべてのFeBr3が樹脂に吸収されなかったとしても、樹脂表面にFeX4 -コンプレックスアニオンが形成されると結論できる。視覚観察に基づけば、予想どおりマクロ多孔質樹脂の場合はより多量のコンプレックスが形成された。
文献データは、FeCl4 -アニオンは黄色、FeBr4 -は褐色である。ビーズの色が黄色であるのは、FeX4 -においてClとBrがきわめて速やかに交換されることを示す。
MMAの”逆”ATRPにおける支持された触媒の活性を証明するために、2つの実験を行った。
実施例12a(FM18R)
下記の条件を用いた:温度100℃;MMA/ジクロロベンゼン=1/2;目標Mn=30K。目標Mnは、下記の関係式を用いて計算された:
n=[MMA]0/2[AIBN]0×MWMMA×C%
反応に用いたすべてのFeBr3が支持されたと仮定して、FeBr3/AIBN 6/1を目標とした。実際に用いた量は下記のとおりであった:MMA=1.5ml;DCB=3ml;FeBr3=41mg;AIBN−4mg;マクロ多孔質樹脂−ブロミド形=0.4g。
冷却器および撹拌バーを備えたSchlenkフラスコに、AIBNおよび樹脂を装入した。3回の真空−窒素サイクル後、脱泡したMMAおよびDCBを脱ガスしたシリンジにより添加し、反応フラスコを100℃に維持した油浴に入れ、DCBを内標準として用いてGCにより転化率を調べた。樹脂ビーズのサイズのため、ビーズは反応混合物に均一には分散しなかった。反応混合物の粘度が増大した後、いっそう混合しにくくなった。最終的に液相は無色になった。結果を表VIIIに示す。
Figure 2011202169
実施例12b(FM19R)
実施例FM18Rと同じ条件を用い、ただし0.87gのゲルタイプ樹脂(クロリド)を使用した。反応の開始時にビーズを均一に分散させたが、反応混合物の粘度が増大した後は混合しにくくなった。結果を表IXに示す。
Figure 2011202169
これら両方の初期実験において、結果は重合が行き詰まったように見える。失活−活性化のサイクルがなく、レドックスコンジュゲートの濃度を高めるためには支持されたコンプレックスを修飾しなければならないと思われる。
実施例13.沈殿重合
これらの実験の背後にある概念は、支持された触媒およびフッ素化溶媒のほか、ATRP触媒を再循環するための他の方法は、重合温度ではポリマーを溶解するが室温(またはそれ以下)では沈殿させる溶媒を使用するというものであった。ポリマーを濾過により回収し、溶存触媒を含有する濾液を再循環させる。
13a)溶媒としてのアルコール類
メタノールおよび無水エタノールをMMAのATRPのための溶媒として下記の条件下で用いた:目標Mn=30K;90℃;MMA/アルコール=1/2 v/v;EBiB/CuCl/dNbpy=1/1/2;7.16時間。結果を表Xに示す。
Figure 2011202169
予想どおり、反応混合物は90℃では均質であったが、撹拌せずに急冷した系では溶液が室温に冷却するまでにポリマーが塊として沈殿し、このため回収困難となった。さらに、メタノールはポリマーをある程度膨潤させた。より極性の低い溶媒であるエタノールを用いると、より低い多分散度が得られた。撹拌溶液では冷却中に粉末が沈殿した。
13b)溶媒としてのヘプタン
下記の条件を用いた:目標Mn=60K;90℃;MMA/ヘプタン=1/2;EBiB/CuCl/dNbpy=1/1/2;7.16時間。重合中にポリマーが沈殿した。転化率=14〜16%;Mn=11400;Mw/Mn=1.21。
実施例14.結合反応
開始剤としてのエチレングリコールモノ(2−ブロモイソ酪酸)および遷移金属触媒としての臭化銅(I)/N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を用いるアクリル酸メチルの重合により、モデルポリマーを製造した。原子伝達結合反応の成功が表XIから分かる。実験75NB1においてα−ブロモ−ω−ヒドロキシ−ポリ(アクリル酸メチル)1モル当たりα−メチルスチレン0.5モルの使用により、数平均分子量(Mn)が本質的に2倍になることが示される。この結合反応について提示された機序を図6に示す。
実験77NB1において0.25モルのジ−イソプロペニルベンゼンを結合反応に用いた場合、臭素除去後のMnは4倍になり、4つの末端ヒドロキシ基をもつ四枝星形(star)ポリマーの形成が示された。
Figure 2011202169
前記各例は本発明を説明するために示したにすぎず、限定のためのものではない。一連の制御されたラジカル付加、デヒドロハロゲン化、およびデヒドロハロゲン化により形成された不飽和へのラジカル付加を行うことができる適宜置換されたオレフィンはいずれも、以下の実施例に用いるのに適する。
経路Cとして式6に示した第3法は、結合剤(式6のCA)によるα−ヒドロキシ−ω−ブロモ−ポリ(アクリル酸メチル)の結合を伴う。このポリマーは、アクリル酸メチルをエチレングリコールモノ(2−ブロモイソ酪酸)で開始することにより製造された。転化率80%で重合を停止し、粗製反応混合物を、固定相としてアルミナを用いるカラムクロマトグラフィー処理し、ヘキサン中での沈殿によりポリマーを単離した。下記により重合反応を行った:ポリマーおよび臭化銅(I)を丸底フラスコ内へ秤量し、フラスコをシールし、窒素でパージした。PMDETA、結合剤およびベンゼンを添加し、反応混合物を60℃下に置いた。結合剤がα−メチルスチレンであり、α−メチルスチレンに対する鎖の比率(R)が2である場合、分子量は1330g/molから2960g/molに増大し、分子量分布は1.10から1.32に増大した。1H NMRにより測定した官能化度はf=1.8であった。
m−ジイソプロペニルベンゼンを結合剤として用い、m−ジイソプロペニルベンゼンに対する鎖の比率(R)が4である場合、分子量は1060から3860に増大し、分子量分布は1.10から1.69に増大した。1H NMRにより測定した官能化度はf=2.8であった。この結果は、m−ジイソプロペニルベンゼンにより結合を行った場合、星形が形成されることを示す。この機序を試験的に調べるために、MALDI−TOF−MSを用いた。
鎖とm−ジイソプロペニルベンゼンの比率1:1を用いる場合、m−ジイソプロペニルベンゼンの付加に続いてHBrの脱離が起きることがMALDI−TOF−MSによって明らかに示された。これにより図7に示した機序が示唆された。この場合、m−ジイソプロペニルベンゼンへのポリ(アクリル酸メチル)の付加に続いて臭化銅(II)との反応、次いで脱離が起き、HBrおよび末端オレフィン(1)が得られる。新たに形成されたこのオレフィンはポリ(アクリル酸メチル)に付加することができ、(2)が得られる。次いでこれが臭化銅(II)と反応し、HBrが脱離して、結合生成物(3)が得られる。結合剤の第2の二重結合において同様な付加が起き、最終生成物は最高4つの枝をもつ星形である。
実施例15.官能性末端基の取込み
ヒドロキシ含有開始剤エチレングリコールモノ(2−ブロモイソブチラート)を用い、臭化銅(I)/PMDETA触媒系によりアクリル酸メチルを重合させた。その際、p−ジメトキシベンゼンが溶媒として存在した。モノマー転化率80%に達した後、アリルアルコールを種々の濃度の銅(0)およびさらに可溶化性リガンドと共にポリマーに添加した。表XIに挙げた実験の詳細は、適切な条件下では本質的に”ホモ”−テレキレート(telechelic)α−ω−ジヒドロキシ−ポリマーが3時間以内に形成したことを示す。
Figure 2011202169
実施例16.酢酸ビニルの取込み
Aldrichからの酢酸ビニルをCaH2上で蒸留し、アルゴン雰囲気下で−15℃に保存した。Fe(OAc)2(97%)をStrem Chemicalsから購入し、さらに精製せずに用いた。CCl4およびN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)はAldrichから、酢酸エチル(EtOAc)(溶媒)はFisherからのものであった。それらをすべて入手したまま用いた。
重合および特性解明
乾燥丸底フラスコにFe(OAc)2を装入した。フラスコをゴム膜でシールし、酸素を除去するために真空とアルゴンの間を3回循環させた。脱泡したモノマー、溶媒およびアミンリガンドを脱ガスシリンジで添加した。フラスコを、サーモスタットにより目的温度に保持した油浴に浸漬した。次いで開始剤を添加し、時間計測を開始した。一定の時間間隔でフラスコから脱ガスシリンジにより試料を取り出し、THFに添加した。ガスクロマトグラフィー(GC)により、残留モノマー濃度からモノマー転化率を判定した。THFを溶離剤として用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、分子量および分子量分布を測定した。SECカラムの検量のためにポリスチレン標準品を用いた。
制御重合を示す一点実験
標準ATRP条件下で、開始剤として2−ブロモプロピオン酸メチル、および触媒として2,2’−ビピリジン(bpy)またはN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)とコンプレックス形成したCuBrを用い、50〜110℃の温度で一連の重合を実施したが、ポリ(酢酸ビニル)(pVOAc)の形成はみられなかった。他の一般的ATRP開始剤または交換ハロゲンとしての塩素を用いても同様な結果が得られた。VOAcのATRPに際して遭遇した難点は主に、下記により定められる平衡定数(Keq)が低いことによると思われる:
Figure 2011202169
他の要因には、可能性のある副反応、たとえば主鎖末端の分解が含まれる。
興味深いことに、触媒としてPMDETAによりコンプレックス形成したFe(OAc)2を用い、開始剤としてCCl4を用いた場合、ポリマーが得られた。代表的なサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを調べると、CCl4の使用量の減少に伴って高い分子量の方へ次第に移行することが示された。さらに、分子量の実験値(Mn.SEC)と理論値(Mn.SEC)の間にほぼ直線的な関係が得られた。CCl4から定量的に開始すると仮定して、理論値は開始剤に対する消費モノマーの比率に基づいて計算された。さらに、CCl4/Fe(OAc)2/PMDETA開始剤系により製造したポリ酢酸ビニル(Mn=3600およびMn/Mw=1.81)を、一般的なATRP触媒系を用いるn−アクリル酸ブチル(nBA)とスチレン(Sty)のブロックコポリマー(Mn=24300およびMn/Mw=1.42)の合成のための効率的なマクロ開始剤として使用した。明らかにブロックコポリマーのシグナルはより高い分子量の方へ移行し、多分散度は低下した。したがって、これら初期の試験的一点実験から、CCl4/Fe(OAc)2/PMDETA開始剤系によるVOAcの重合は制御されたと思われる。
トランスファードミネーテッド重合(transfer dominated polymerization)
重合をより良く調べるために、さらに詳細な反応速度試験を実施した。CCl4により開始し、Fe(OAc)2/PMDETAコンプレックスにより促進したVOAc重合の半対数プロットを調べると、重合が約60%モノマー転化率に達するまで生長反応種の濃度がほぼ一定であり、次いで重合速度が急激に低下することが分かった。転化率に対する分子量のプロットは、高分子量のポリマーが重合の初期段階で形成されること、および分子量実験値は反応全体を通して比較的一定であることを示した。さらに、転化率に関係なく比較的高い多分散度のポリマー(Mn/Mw約1.8〜2.0)が得られた。
ハロゲン化アルキルおよび遷移金属コンプレックスの構造の影響
種々の開始剤についても試験し、結果を表XIIIに示す。開始剤としてCCl4を用いると、形成されたpVOAcは理論値(Mn.SEC=6300)に近い分子量実験値(Mn.SEC=7800)をもっていた。理論値は、連鎖移動反応なしにCCl4から定量的に開始すると仮定して、開始剤に対する消費モノマーの比率に基づいて計算された。2,2−ジクロロ酢酸メチル(エントリー(entry)2)またはブロモホルム(エントリー5)を開始剤として用いても、同様な結果が得られた。しかし他の開始剤は高すぎる分子量のpVOAcを生成するか、またはオリゴマーを形成した。
実施例17.酢酸ビニルのテロメリゼーション
ATRP活性である末端官能基を含むポリ酢酸ビニルの製造のために企画した実験の結果を表XIVにまとめる。
Figure 2011202169
a 条件:50℃;[VOAc]0=10.8M(バルク);[VOAc]0/[開始剤]0=117;[開始剤]0/[Fe(OAc)20/[PMDETA]0=1/1/1
bn.Cal=([M]0/[In]0)×(MW)0×転化率,ここで[M]0および[In]0はモノマーおよび開始剤の初期濃度を表し、(MW)0はモノマーの分子量である。
実施例18.リガンドの開発
材料
開始剤(Aldrich)を入手したままで用いた。ジエチレントリアミン(Aldrich)および1−(2−アミノエチル)ピペラジン(Aldrich)を入手したままで用いた。
重合
撹拌バーを備えた10mLの丸底フラスコに固体を添加した。フラスコを排気し、窒素を充填した。液体を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルで脱泡し、次いでシリンジで反応フラスコに添加した。反応混合物を重合温度に加熱し、次いで開始剤をシリンジで添加した。
特性解明
島津GC−17Aを用い、内標準に対して転化率を測定した。Waters 717 Plusオートサンプラー、PSS SDV 105、103および102Åのカラム、ならびにWaters 410 RI検出器を備えたGPCを用い、ポリスチレンおよびポリ[メタクリル酸メチル]標準品に対して分子量を測定した。
実施例18a)Cu(I)/PMDETAによるt−BAの重合
2−ブロモプロピオン酸メチル(MBrP)により開始したCu(I)/PMDETAによるMAの重合は良好に制御されることが、先の出願で示された。しかし同じ反応条件下で(t−BA)の重合は良好に制御されない。表XVに、CuBr/PMDETA触媒系および開始剤としてのMBrPを用いた(t−BA)のATRPの結果を示す。
まず65℃において塊状で実施した反応は速やかで、数分以内に高い転化率に達した(エントリー1)。温度を低下させ、重合度を高めることにより反応は制御されたが、最終多分散度はなおかなり高く(Mw/Mn=1.33)、反応速度はきわめて遅かった(エントリー2)。CuBr2の添加により多分散度は改善されたが、これにより速度もさらに低下した。p−ジメトキシベンゼンを溶媒として用いて反応は良好に制御されたが、触媒が十分に溶解せず、多分散度はなお1.2より高かった(エントリー3)。より極性の高い溶媒、たとえばアセトンまたはDMFは、最初は均質な触媒系を与えた。これらの反応の速度が遅く、最終多分散度が低いことは、これらの極性溶媒が溶液中の失活剤の濃度を改善することを示唆する。これがこの場合、制御された重合を達成するのに必要な要素である。
Figure 2011202169
a [tBA]:[MBrP]:[CuBr]:[PMDETA]比=25:1:0.25:0.25
b [tBA]:[MBrP]:[CuBr]:[PMDETA]比=50:1:0.5:0.5
c [tBA]:[MBrP]:[CuBr]:[PMDETA]:[CuBr2]比=50:1:0.5:0.525:0.025
実施例18b)Cu/DETAによるMAの重合
Cu(I)、Cu(II)、DETA、および開始剤を用いるMAの塊状重合(エントリー1/表XIII)は、分子量制御を示さなかった。先の結果に基づいて、極性溶媒の添加はMA中の触媒の溶解度を高め、重合制御を改善することが確信された。種々の溶媒および異なる希釈度を用いて数例の反応を実施した。これらの実験の結果を表XVに示す。この表に示すように、反応は用いる溶媒の量にきわめて敏感であり、低濃度(5〜10%)の極性溶媒が最良の反応制御を与えると思われる。PMDETAによるt−BAの場合と同様に、極性溶媒の添加により溶液中の失活剤濃度が高まり、より制御された重合が得られると思われる。
Figure 2011202169
a [MA]:[MBrP]:[CuBr]:[CuBr2]:[DETA]比=230:1:0.5:0.5:1
b [MA]:[MBrP]:[CuBr]:[CuBr2]:[DETA]比=230:1:1:0.1:1.1
上記にエントリー4と表示した反応の速度および分子量プロットは、直線的一次反応速度を示し、推定値との良好な分子量一致を示した。
実施例18c)Cu/AEPによるn−BAおよびMMAの重合
Cu(I)Br、AEPおよび開始剤によるn−BAおよびMMAの塊状重合についての初期実験は、無制御な分子量、幅広い分子量分布、および非直線的一次反応速度を示した。これらのモノマーの塊状重合は、モノマー中でのCu/AEP触媒の溶解度が限られるため、不均質反応混合物中で行われた。適切なリガンドの調製のための要件の理解が正しければ、溶媒を添加すると、PMDETAおよびDETAがより有効になったと同様に、このリガンドが有用になるであろう。種々の溶媒および種々の量の溶媒を用いて数例の実験を行った。これらの実験の結果を表XVIに示す。これらの反応も極性溶媒(この場合、DMFまたはアセトン)が重合の制御レベルを高めうることを示す。これらの反応は溶媒の添加量に対してきわめて敏感であり、最適量の溶媒を用いなければその反応は溶媒を添加しない反応にみられるのと同様な結果を示した。
Figure 2011202169
a [n−BA]:[MBrP]:[CuBr]:[AEP]比=78:1:1:1
b [MMA]:[EBriB]:[CuBr]:[AEP]比=100:1:1:1 50%ジフェニルエーテル中
n−BAおよびMMAの2種類の重合の反応速度および分子量のプロットは、分子量測定値とDP=[M]0/[I]0から推定した分子量との良好な一致、および低い多分散度を示す。
懸濁媒質にレドックス結合体を添加すると、二相制御重合の制御レベルが改善される。
制御”/リビング”ラジカル重合法、たとえば原子移動ラジカル重合(ATRP)の出現は、ブロックコポリマーの製造しやすさを改善し、かつブロックコポリマーに取込ませることができるモノマーの範囲を拡大した。さらに、それは他の機序が水に対して敏感すぎて生存できない場合に水性系でブロックコポリマーを合成する可能性を開いた。
実施例19.リガンドとして置換ビピリジン類を用いる乳化重合
二相系での触媒の溶解度を調整するために、同様な条件下で、種々の置換基をもつリガンドを用いて一連の実験を行った。これらの実験の結果を次表XVIIにまとめる。
Figure 2011202169
a BMA/水=1.5ml/10ml,界面活性剤Brij98,水に対し2%,[EBiB]0:[CuBr]0:[リガンド]0=1:1:2
b 8%のCuBr2(Cu全量に対し)を添加
c dAbpy:dNbpyと(1)の比率1/1混合物
d 11%のCuBr2(Cu全量に対し)を添加
dHDbpyとコンプレックス形成した触媒は、この系に良好に溶解する。同じ条件下でリガンドとしてdNbpyまたはdAbpyを用いて得た結果と比較して、直接ATRPおよび逆ATRPともに、重合は遅い。BMAの直接ATRPについては、開始効率および多分散度はリガンドとしてdHDbpyを用いた場合の方がわずかに良好である。これは、有機相に、より多量のCu(II)があることを示す。BAの逆ATRPおよび重合については、dHDbpyとdAbpyの間で分子量制御の差は明らかでない。重合速度と分子量制御の両方の観点からみて、dNbpyはdHDbpyより良好であると思われる。
実施例20.ターピリジンリガンドによる乳化重合
4,4’,4”−トリス(5−ノニル)−2,2’:6’,2”−ターピリジン(tNtpy)を用いると、置換ターピリジンもBMAを制御重合した。開始剤としてのEBiBを70℃で用いると、モノマー転化率は1.7時間後に84%に達した。得られたポリマーはMn=37,200、Mw/Mn=1.38をもっていた。この速い重合速度、および褐色から青色への急速な乳化混合物の色の変化は、比較的低い温度で同様に良好な制御重合を達成しうることを示唆する。
実施例21.リガンドとして脂肪族アミンを用いる乳化重合
開始剤として脂肪族アミンを用いたアクリル酸ブチルの乳化重合例を表XVIIIに示す。
Figure 2011202169
a BMA/水=1.5ml/10ml,界面活性剤Brij98,水に対し5%,[EBiB]0:[CuBr]0:[リガンド]0=1:1:1
b Brij98,水に対し3%
実施例22.逆ATRP重合におけるATRP開始剤の使用
表XIXは、普通の前進ATRP重合の開始剤を”逆”ATRP乳化重合においてモノマーに添加した実験の結果を示す。この乳化重合の全体的制御は改善された。
Figure 2011202169
* メタノール中での沈殿により測定
適切な条件下で、開始効率は純粋な逆ATRPの0.2〜0.3からEBiBの存在下での約0.6に改善された。この乳濁液について測定した粒度は”逆”ATRP重合のものと類似していた。
実施例23.ブロックコポリマー
ここには2つの異なる方法のATRPによるブロックコポリマーの合成に合わせた条件を報告する。第1に水性ブロックコポリマーを合成し、第2にアクリレート−メタクリレートジ−およびトリ−ブロックコポリマーをワンポット法で製造した。
一般的な方法および装置
モノマー(スチレン(STY)、アクリル酸n−ブチル(BA)、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸n−ブチル(BMA))をアルミナカラムに通し、真空蒸留し、次いでN2下で−4℃に保存した。使用直前にそれらをN2で少なくとも30分間パージした。CuBrを精製し、先の報告に従ってリガンド(dAbpy、BPMODA)を合成した。リガンドであるヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)をAldrichから購入し、入手したままで用いた。2−ブロモプロピオン酸メチル(MeBrP)、2−ブロモイソ酪酸エチル(Et−2BriB)およびヘキサデカン(HEX)をAldrichから購入し、入手したままで用いた。島津GC14または17Aを用い、内標準に対してモノマー転化率を測定した。Waters 515ポンプ、Waters 717 Plusオートインジェクター、PSS 105、103、102Åのカラム、およびWaters 410 RIからなるGPC系で分子量を測定し、ポリスチレンまたはポリ(メタクリル酸メチル)標準品により検量した。Bruker AM 300MHz分光計によりCDCl3中で1H NMRスペクトルを求めた。
実施例23a)水性ブロックコポリマー:予備合成マクロ開始剤
ポリ(アクリル酸n−ブチル)(PBA)マクロ開始剤を、60℃、2時間のBA、CuBr、MeBrPおよびPMDETA(モル比100/1/0.2/0.2)のATRPにより合成した。THFに溶解した後、触媒をアルミナによる濾過により分離し、過剰のモノマーを蒸発により分離した。数平均分子量(Mn)は9600、多分散度(Mw/Mn)は1.2であった。0.5〜1.0gのPBAを必要量の界面活性剤(Brij98またはTween20)の半分と共に丸底フラスコに移し、約半量の適切なモノマーに溶解した(N2で少なくとも30分間パージ)。CuBr、リガンド(dApyまたはBPMODA)および界面活性剤をSchlenkフラスコに添加し、3回の真空/N2サイクルで脱泡した。次いで他の半量のモノマーをN2下でSchlenkフラスコに添加し、触媒/界面活性剤を溶解した。次いで水(脱イオン、N2で少なくとも30分間パージ)をPBA溶液と触媒溶液の両方に均一に添加し、それぞれを約30〜60分間激しく撹拌した。次いでPBA溶液をカニューレでSchlenkフラスコに入れた。定期的に試料をN2洗浄ステンレス鋼シリンジで取り出した。Schlenk(または丸底フラスコ)をゴム膜でシールすると、反応終了時までにそれにモノマーが浸透することが認められた。したがってここに報告したすべての反応を全ガラス反応器内で実施した。
Brij98界面活性剤によるスチレンのPBA開始水性ATRPの分子量分布の展開を調べると、約1500に界面活性剤からのピークを示し、マクロ開始剤ピークは小さな高分子量ピークを示す。この後者のピークは、反応器開始時に、良好な制御を確保するのに十分なCuII失活剤が蓄積する前に起きる少量の重合による可能性が最も高い。重合期間中、分子量が増大し、分子量分布は狭いままである。しかし重合混合物はメニスカスにスチレン相を含み、これは反応中に徐々に消失した。ただし得られた”乳濁液”の安定性も良好であった。
実施例23b)アクリレート/メタクリレートブロックコポリマー:モノマーの逐次添加
磁気撹拌バーを備え、3回の真空/N2サイクルで脱ガスしたSchlenkフラスコ中へCuBrを秤量した。n−BA(9mL,N2で30分間パージ)およびPMDETAを添加し、溶液を油浴に入れ、撹拌して触媒を溶解した。これらの溶液は淡緑色であり、肉眼では均質であった。開始剤(MeBrPまたは2,6−ジブロモヘプタンジカルボン酸(DMDBHD))を1mLのモノマーに添加し、次いでこれを撹拌し、カニューレでモノマー/触媒溶液に装入した。目的時間後、第2のMMA/CuCl/HMTETA溶液を調製した。これも均質であり、カニューレでSchlenkフラスコに入れた。溶液は急速に粘度低下したが、この第2モノマー添加後、30分以内にさらに粘稠になった。2回目の重合の後、THFをフラスコに装入してポリマーを溶解した。試料から触媒をアルミナによる濾過により分離し、メタノール/水混合物中へ沈殿させた。
2つの異なる実験、すなわち一方はPBA−b−PMMAの二ブロックコポリマー、他方はPMMA−b−PBA−b−PMMAの三ブロックコポリマーの合成から分子量分布を調べるのは有益である。それぞれの場合、まずPBAを生長させ(それぞれ一官能性および二官能性開始剤)、次いでCuCl/HMTETAを溶解したMMAをPBAに添加した。分子量が増大し、”死んだ”マクロ開始剤に相当する停止ポリマーの徴候はない。数平均分子量、多分散度およびモノマー転化率を表XXに示す。それぞれの場合、BAの転化率、次いでMMAの転化率が約90%に達し、多分散度は低いままであった(約1.20〜1.25)。これらの実験は、ブロックコポリマーの合成にATRPを適用でき、交差生長速度など、ブロック共重合の成功に影響を与える可能性のある幾つかの要因がある場合ですら、マクロ開始剤単離の必要がないことを示す。
Figure 2011202169
これらの実験は、ATRPがブロックコポリマーを合成するための多能な方法であり、特にフリーラジカル共重合可能なモノマーを含むブロックコポリマーを製造しうることを証明する。これは、水性重合、および塊状重合の通し逐次モノマー添加の両方について言える。
実施例24.リガンドとしてピコリルアミン類を用いる乳化重合
ピコリルアミン類をリガンドとして用いてアクリル酸ブチルを標準条件下で重合した。結果を表XXIにまとめる。
Figure 2011202169
a BMA/水=1.5ml/10ml,界面活性剤Brij98,水に対し2%,[EBiB]0:[CuBr]0:[リガンド]0=1:1:1
実施例25.リガンドとしてピコリルアミン類を用いる乳化重合における、より活性の低いモノマーの使用
より活性の低いモノマーであるアクリル酸ブチルの重合について、2種類のリガンドを調べた。平衡定数が小さいため制御は改善された。結果を表XXIIにまとめる。
Figure 2011202169
a 別途明記しない限り、BA/水=1.5ml/10ml,界面活性剤Brij98,水に対し2%,[EBiB]0:[CuBr]0:[リガンド]0=1:1:1。塊状重合:[EBiB]0:[CuBr]0:[リガンド]0=1:1:1
おそらくCu(II)コンプレックスの分配定数も役割をもつと思われる。BPMOAはアクリル酸ブチルの塊状重合では優れている(エントリー1)が、水性系では1.5より高い多分散度をもつポリマーが生成した。これは、有機相中の失活剤の溶解度が低いことを示す。BPMODAはより長い疎水鎖をもつので、Cu(II)種の溶解度を大幅に高める。その結果、リガンドとしてBPMODAを用いたアクリル酸ブチルの重合は、モノマー転化率に伴って分子量が直線的に増大すること、および重合全体を通して多分散度が1.3未満であることにより証明されるように、良好に制御された。
実施例26.ピリジン−イミンリガンドによりコンプレックス形成したCu(I)が触媒するスチレン、MAおよびMMAのATRP
ピリジン−イミンリガンドをスチレンおよびアクリル酸メチルのATRPに拡張した結果を下記の表XXIIIに報告し、メタクリル酸メチルの重合についての結果と比較する。
Figure 2011202169
a 塊状重合;[スチレン]0/[リガンド]0=96;[PEBr]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/2
b 塊状重合;[MA]0/[EBP]0=232;[EBP]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/2
c アニソール中50容量%;[MMA]0/[EBiB]0=200;[EBiB]0/[CuCl]0/[リガンド]0=1/1/2
d アニソール中50容量%;[MMA]0/[EBiB]0=200;[EBiB]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/2
実施例27.三座ピリジン−イミンベースのリガンドを用いる重合
ピリジン−イミン部分を含む2種類の三座リガンド、N−(2−ピリジルメチル)メタンイミン(PMPMI)およびN−(2−N−(ジメチル)エチル)−(2−ピリジル)メタンイミン(DMEPMI)を、二座リガンド第一級アミンと2−ピリジンカルボキシアルデヒドを用いる縮合反応により合成した。銅(I)と三座窒素リガンドのコンプレックスは一般に、大部分の銅(I)と二座窒素リガンドのコンプレックスにみられる四面体コンホメーションと異なるコンホメーション(たとえば四角ピラミッド状)を示す。その結果、最大重合速度を達成するためにリガンド対金属比1で十分である。表XXIVにこれら2種類の三座リガンドを用いたATRPの結果を示す。PMPMIをリガンドとして用いると、スチレンおよびMAの両方について良好に制御された重合が得られた;しかしMMAについては高い多分散度がみられた。DMEPMIをリガンドとして用いると、この場合もスチレンについては良好に制御された重合が得られ、MAについては多分散度がわずかに増大し、MMAについては多分散度が低下した。
Figure 2011202169
a 塊状重合;[スチレン]0/[PEBr]0=96;[PEBr]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/1
b 塊状重合;[MA]0/[EBP]0=232;[EBP]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/1
c アニソール中50容量%;[MMA]0/[EBiB]0=200;[EBiB]0/[CuCl]0/[リガンド]0=1/1/1
PMPMIをリガンドとして用いたスチレンおよびMAの重合の反応速度プロットを描き、両モノマーについて時間に対するln([M]0/[M]t)の直線プロットがみられた。これは、生長ラジカルの濃度が一定であることを示す。分子量は転化率に伴って直線的増大を示し、分子量測定値はMAの計算値に近似していた。生成ポリマーの多分散度は重合期間中きわめて低く維持された(Mw/Mn約1.1〜1.2)。これは、活性部位と不活性種の交換が速やかであることを示す。
実施例28.支持されたリガンドを用いる制御重合
”標準”ATRP重合条件を用いて最初の一連の実験を行った。リガンドとしてのポリマー支持s−TERNについての結果を表XIXに報告する。
Figure 2011202169
a [M]0/[I]0/[CuBr]0/[L]0=[モノマー]0/[2−ブロモプロピオン酸メチル]0/[CuBr]0/[s−TREN]0
b 50容量%アニソール溶液
c [M]0/[I]0/[CuBr]0/[L]0=[MMA]0/[2−ブロモプロピオニトリル]0/[CuBr]0/[s−TREN]0
実施例28a)特製のポリマー支持されたリガンド
N,N−ビス(2−ピリジルメチル)−2−ヒドロキシエチルアミン(HO−BPMEA)を、ベンジルクロリド官能基を含む市販のMerrifield樹脂に固定化した。この樹脂はペプチド合成および小有機分子のコンビナトリアル合成に広く用いられている。HO−BPMEAは最も良く制御されたアクリル酸メチル(MA)溶液重合をもたらしたひとつなので、MAを試験に用いた。最初の実験では二モード分子量分布がSECによりみられた。二モード分子量分布の理由は直ちには分からないが、初期の生長ラジカルが失活剤に容易に近づくことができず、したがって無制御に重合して普通のフリーラジカル停止反応が起きると思われる(高分子量ピーク)。停止反応によって十分な量の失活剤が生成した後、次いで十分に制御された重合が進行する(低分子量ピーク)。
実施例28b)レドックス結合体の添加
種々の量のCuBr2を重合に添加し、結果を表XXVIに示す。
Figure 2011202169
a 反応物を加熱前に22℃で3時間撹拌した
b 反応物を加熱前に22℃で40分間撹拌した
c [M]0/[I]0/[CuBr]0/[CuBr20/[L]0=[モノマー]0/[2−ブロモプロピオネート]0/[CuBr]0/[CuBr20/[s−BPMEA]0
d 二モード分布
e 50容量%アニソール溶液
f [M]0/[I]0/[CuBr]0/[CuBr20/[L]0=[モノマー]0/[2−ブロモプロピオニトリル]0/[CuBr]0/[CuBr20/[s−BPMEA]0
以下の実施例は本発明を説明するために示すものであり、限定のためのものではない。
実施例29.ポリ(アクリル酸メチル)(pMA)星形の合成および1,2−エポキシ−5−ヘキセンによる官能化
各枝の末端にエポキシ基をもつ星形ポリマーの合成を、三官能性開始剤からのMAのATRP、次いでこのポリマーの官能性アルケンへのATRAにより行った。ATRPで製造したポリ(アクリル酸メチル)星形の溶液をATRA反応に使用する前にアルミナに通すことにより、このポリマーを精製した。Cu(I)Br/PMDETA触媒、および開始剤としての1,1,1−トリス(2−ブロモイソブチリルオキシ)フェニルエタンを用いて、pMA星形の合成を行った。アルキルハライド鎖末端官能基の保持を確実にするために、70%モノマー転化率で重合を停止した。SECにより、線状PS標準品(Mn=7,390;Mw/Mn=1.08)を用いて星形ポリマーの分子質量を測定した。Cu(I)Br/dTbpy触媒を用いて、ATRA反応によるpMA星形の官能化を行った。官能化反応を1H NMR分析により監視した。その際、末端基メチンプロトン(m,1H,δ=4.2ppm)の消失およびグリシジルプロトン(s,3H,δ=2.9,2.7,2.5)の形成は、エポキシ官能化星形ポリマーが効率的に形成したことを示唆する。
実施例30.超分枝ポリマーの合成および官能化
Cu(I)Br/dTbpy触媒を用いてアクリル酸2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)エチル(BPEA)のATRPにより超分枝ポリマーを製造した。SECおよび1H NMR分析の両方により、このポリマーは分枝度が高く、高度のアルキルハライド官能基をもつと推定された。次いでポリマーをTHFに溶解したのちアルミナで濾過することにより、ポリマーから残留触媒を分離した。次いで、さらにCu(I)Br/dTbpyを触媒として用い、精製pBPEAによる1,2−エポキシ−5−ヘキセンのATRAを行った。この反応から、ポリマー末端にエポキシ基をもつ超分枝pBPEAが得られた。ATRA官能化反応を1H NMR分析により監視した。その際、グリシジルプロトン共鳴(s,3H,δ=2.9,2.7,2.5)の形成と共に、臭素に隣接するメチルプロトン(d,3H,δ=1.8ppm)の消失がみられた。1H NMR分析により、アルキルハライド末端基からエポキシ基への高い転化率(p≧0.90)がみられた。δ=1.4〜2.2にみられた他の共鳴は、ポリマーへのラジカル付加後に形成されたアルケンからの脂肪族プロトンに帰属された。
”アームファースト(arm first)”法は、リビング鎖末端をもつマクロ開始剤に続いて多官能性リンカーまたはジビニル試薬を用いてミクロゲルを形成するものである。この方法でポリ(アクリル酸t−ブチル)(PtBA)星形ポリマーを製造した。まず開始剤としての2−ブロモプロピオン酸メチルおよび触媒としてのCuBr/PMDETAを用い、25%アセトン中、60℃で、確実なPtBAを製造した。単離PtBA(Mn=6,900;Mw/Mn=1.18)とジビニル試薬、たとえばジビニルベンゼン(DVB)をATRPにより反応させて、多枝星形を形成した。この方法を、各枝の末端に官能基をもつ官能性星形ポリマーの製造にまで拡張した。ラジカル法で得られた官能基の許容度が広いので、多様な官能性開始剤をATRPに使用できる。たとえば2−ブロモプロピオン酸1,2−エポキシプロピルを開始剤として用いて、エポキシα末端官能基をもつPtBAを合成した。SECによりマクロ開始剤の分子質量を測定した(Mn=5,600;Mw/Mn=1.30)。1H NMRにより、各枝末端の末端基からの共鳴について側鎖の共鳴を統合することによっても分子質量を測定した。1H NMRにより監視した分子量(Mn=6,300)は、SECにより測定した数値と一致した。これは、この重合中に官能基が保持されたことを示唆する。DVBによるエポキシ官能化PtBAマクロ開始剤のATRPにより、各枝末端にエポキシ基をもつ官能性星形ポリマーが得られた。これらの反応について、ATRPによる星形合成の効率は開始剤からの官能基の存在により影響されなかった。
実施例31.官能性ポリ(アクリル酸t−ブチル)星形ポリマーの形成
アクリル酸t−ブチル(tBA)を5%NaOH溶液で洗浄して酸を除去し、次いで水相が中性になるまでH2Oで洗浄した。この溶液をCaCl2で乾燥させ、濾過し、次いで減圧下で蒸留した。モノマーを使用前は−20℃でアルゴン下に保存した。CuBrをUSP5,763,548に記載の公表された方法で精製した。他の試薬はすべて市販品であり、さらに精製せずにそのまま用いられた。
実施例31a)tBAのATRPの反応速度試験
乾燥丸底フラスコに、CuBr(19.6mg,0.137mmol)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)(28.5μL,0.137mmol)、tBA(2ml,13.7mmol)、アニソール(0.5mL)、および磁気撹拌バーを装入した。フラスコをゴム膜でシールし、3回の凍結−ポンプ−融解サイクルで脱泡した。次いでサーモスタットを60℃に設定した油浴にフラスコを浸漬し、2−ブロモプロピオン酸メチル(MBP)(30.4mL,0.272mmol)を徐々に添加した。一定の時間間隔で、ステンレス鋼針付きシリンジでアリコートの反応溶液を取り出し、THFに溶解し、転化率(GC)および分子量(SEC)を測定した。
tBAマクロ開始剤の合成
25容量%p−ジメトキシベンゼン(DMB)溶液中、60℃で、前記方法によりPtBAマクロ開始剤を製造した。重合後、反応混合物をアセトンに溶解し、アルミナカラムに通した後、50容量%メタノール/H2O中で沈殿させて銅コンプレックスを分離した。試料をエチルエーテルに溶解し、次いで回転蒸発器により濃縮し、次いで室温で2日間真空乾燥した。
実施例31b)マクロ開始剤を用いる星形ポリマーの合成
一般的実験で、ガラス試験管にCuBr(4.2mg,29.3μmol)、PMDETA(6.1μL,29.2μmol)、PtBAマクロ開始剤(0.2g,29.0μmol)、DVB(62.0μL,0.435mmol)、アニソール(0.5mL)、および磁気撹拌バーを装入した。ガラス試験管を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルで脱泡し、真空下でシールした。サーモスタットを110℃に設定した油浴にガラス試験管を浸漬した。5時間後、ガラス試験管を取り出して破壊した。試料をTHFに溶解し、転化率(GC)および分子量(SEC)を測定した。
特性解明
J&W Scientific DB−WAXカラム、およびヘリウムをキャリヤーガスとする炎イオン化検出器を備えた島津GC−14ガスクロマトグラフにより、残留モノマー濃度からモノマー転化率を判定した。分子量および分子量分布は、Waters 410示差屈折計と接続したPSS SDVカラム(105、103および102)により、THFを溶離剤として用いて測定された。データの分析にはPSS GPC科学ソフトウェア バージョン4.02を用いた。1H NMRはBruker WP300計測器により、CDCl3を溶離剤として用いて実施された。
tBAのATRP
先の出願に開示された方法に従って、触媒としてN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)によりコンプレックス形成したCuBr、開始剤として2−ブロモプロピオン酸メチル(MBP)を用いて、tBAを重合した。一般的な反応条件下で、時間に対するモノマー転化率の直線的半対数プロットがみられた。これは、生長しつつある鎖の数が一定であることを示す。PtBAの分子量(Mn)は転化率に伴って直線的に増大し、開始剤分子それぞれが1つのポリマー鎖を生成したと仮定して、推定値と良く一致した。得られたポリマーのSECトレースは、モノマー転化率に伴って低下する狭い一モード分子量分布(Mw/Mn)を示した。これらの所見は、この重合が制御プロセスであることを示唆する。こうして製造されたマクロ開始剤として単離したPtBAのBr ω−官能性を、新たなtBAモノマーバッチを用いる連鎖延長反応、またはブロックコポリマーを形成するためのスチレン(St)への交差生長反応により評価した。PtBAマクロ開始剤、新たなtBAバッチへの連鎖延長後の生成PtBA−b−PtBAポリマー、およびPtBA−b−PStブロックコポリマーのSECトレースを重ねて調べると、SECトレースが明らかに高い分子量の方へ移行したのが示された。これは、大部分のPtBAマクロ開始剤鎖末端が反応性Br官能基をもつことを示す。
結合試薬の影響
3種類の市販ジビニル系結合試薬、ジビニルベンゼン(DVB)、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール(BDDA)、およびジメタクリル酸エチレングリコール(EGDMA)とPtBAマクロ開始剤(Mn.SEC=6900;Mw/Mn=1.18)を、触媒としてのCuBr/PMDETAにより、アニソール中、110℃で反応させた。DVB、BDDAおよびEGDMAを結合試薬として選んだのは、それらの構造がATRPに用いる3種類の一般的モノマー、スチレン、アクリレートおよびメタクリレートに類似するためである。反応条件下でEGDMAは1.5時間以内に反応混合物を完全にゲル化させ、一方BDDAおよびDVBは20時間後に有意のゲル化を生じなかった。BDDAを結合剤として用いた場合、反応媒質は急速に粘稠になったが、流体のままであった。SECトレースは、BDDAが有意の星形−星形結合を生じ、高い分子量および幅広い分子量分布をもつ星形ポリマーを生成することを示した。これに対しDVBは狭い分子量分布をもつ星形ポリマーを形成した。SEC分析ソフトウェアを用いて推定したように、20時間後に約5%の高次星形ポリマーが形成された。これらの結果は、類似の条件下でのPSt星形ポリマー形成についての先の試験と一致した。
DVB対マクロ開始剤比
種々の比率のDVB対PtBAマクロ開始剤により、DVBを結合試薬として用いる星形PtBA形成をより詳細に調べた。星形ポリマーの分子量は、DVB対PtBA比が増大するのに伴って増大した。DVB/PtBA比15が最適であり、分子量分布が有意に広がることなく高収率(すなわちマクロ開始剤の転化率が高い)の星形ポリマーが得られることが見出された。星形ポリマーの収率は、星形ポリマーとマクロ開始剤のSECピーク積分の比率から、SEC分析ソフトウェアにより得られる関数を用いて推定された。DVB対PtBA比が低いほど、低収率で星形ポリマーが得られた。たとえばDVB対PtBA比が5または10では、それぞれ収率82%および86%となった。より高いDVB/PtBA比20では、収率が有意に改善されることなく、有意に幅広い分子量分布になった。
RI検出器を用いたポリスチレン検量SECから、星形ポリマーの分子量を推定した。これらは見掛けの分子量である。PtBA星形ポリマーの流体力学的体積は線状ポリスチレンのものとは異なるからである。三回検出SECにより測定した絶対分子量は、RI検出SECとは有意に異なっていた。たとえばDVB対PtBA比15で製造したPtBA星形ポリマーについて一回検出SECにより測定すると、Mn=53600およびMw/Mn=1.71が得られた。
CuBr2および交換ハロゲンの影響
星形ポリマー形成の収率をさらに向上させるために、重合に関係する他の要因を調節した。過剰のCu(II)失活剤の存在下ではラジカル結合反応がさらに抑制されるであろうと期待して、CuBr2を追加した(全Cuの20%)。しかし、得られたポリマーのSEC分析は、収率が向上しないことを示した。触媒としてのCDCl/PMDETAの使用を試験した。CDCl/リガンドの存在下でBr末端基をもつマクロ開始剤を用いたハライド交換反応により、ブロックコポリマー形成中の第2モノマーの生長反応と比較してマクロ開始剤開始が向上したと、先に報告されている。これは、短いDVBブロックを形成する交差生長反応に有利であり、他のポリマー鎖のDVBブロックにポリマーラジカル末端が付加する(交差結合してミクロゲル星形コアを形成する)のには不利であろう。C−Br結合が交差生長反応中に破壊され、交差結合反応中には主にC−Cl結合が開裂するからである。事実、CuBrの代わりにCuClを用いると、類似の分子量および分子量分布をもつPtBA星形ポリマーが得られた。この星形形成の収率は、CuBrの場合の90%と比較してさらに95%に向上した。
反応時間の影響
DVB/PtBA/CuCl/PMDETA比=15/1/1/1を用いて、星形形成の反応速度を調べた。DVBの転化率をGCにより測定した。5時間の反応時間が星形形成に最適と思われた。これより長い反応時間では星形−星形結合が生じた。これは7.5時間および20時間についてはSECトレースに高分子量肩が存在することから明らかであった。時間に対するDVB転化率の直線的半対数プロットは、反応時間5時間まではDVBについて一次反応速度を示し、次いで転化率は水平になった。これはSECデータと一致した。これは以下のことを示唆する。反応の最初の5時間は反応溶液中に立体的に接近可能な活性マクロ開始剤鎖末端および立体的に到達できる星形コアがあり、これが溶液中のDVB分子に、および他のポリマー鎖のDVBブロック上にある懸垂ビニル基に、付加し続けた。5時間後、交差結合していないマクロ開始剤鎖がほぼ枯渇し、星形コアが立体的に満たされた状態になった。その結果、DVBの消費および星形コアへのポリマーラジカルの付加の速度が次第に低下した。星形形成プロセスを1H NMRによっても追跡した。メトキシプロトン(Ha)および最後のtBA単位上のBr基に隣接するプロトン(Hb)を明瞭に見ることができた。星形形成中、Hbからの信号は反応時間に伴って減少し、最終的には消失した。これは、すべてのマクロ開始剤鎖が延長してDVBとのブロックコポリマーを形成したことを示す。DVB単位上の懸垂ビニルプロトン(Hc)およびフェニルプロトン(Hd)は最初は強度増大を示したが、反応時間に伴って低下し、DVB転化率から推定したものより有意に低い強度となった。これらの結果は、可動性PtBA枝およびDVBミクロゲルコアをもつ星形形ポリマーの形成と一致した。最初に形成された星形コアはルーズであり、ある程度の分子内運動性をもっていた。架橋反応の進行に伴って星形コアは硬化した。分子内運動性の喪失により、最終的にミクロゲルコアの1H NMR信号が幅広くなりすぎて検出できなくなった。
溶媒の影響
溶媒が星形形成プロセスに与える影響を調べるために、種々の溶媒中で反応を実施した。同じ反応時間(5時間)では、ベンゼン中で形成された星形ポリマーは極性溶媒中で実施した場合より有意に高い分子量および幅広い分子量分布を示した。この結果は、他の系と比較して相対的に高いDVB転化率、およびある不溶性ポリマー(ゲル)の形成により示される高い架橋度によって、さらに支持される。これらの所見は、ベンゼン中におけるCu(II)コンプレックスの溶解度が比較的低いことに起因する。低濃度のCu(II)コンプレックスは、より高濃度のラジカルおよびより高度のラジカル決定反応を生じた。極性溶媒、たとえば1,2−ジクロロベンゼンおよび酢酸エチルは、アニソールの場合と類似の分子量分布およびDVB転化率で星形ポリマーを形成した。溶媒としての2−ブトンは、わずかに低い分子量およびDVB転化率で星形ポリマーを形成した。これは、おそらくこの溶媒中でのCu(II)コンプレックスの溶解度が良好であること、および/またはポリスチレン単位の溶解度が比較的低いことによると思われる。
実施例31c)末端官能性PtBA星形
ATRPプロセスは種々の官能基を許容するので、種々の官能性開始剤をマクロ開始剤合成中に直接用いた。たとえば2−ブロモプロピオン酸1,2−エポキシプロピルを用いて、エポキシα−官能性末端および臭素ω−官能性末端をもつPtBAマクロ開始剤を製造した。単離したマクロ開始剤は、SECによればMn.SEC=5,600およびMw/Mn=1.22をもつ。あるいは、1H NMRを用い、側鎖上のプロトンの積分をα−またはω−官能基に隣接するものと比較することにより、分子量を測定した。NMRにより得た分子量(Mn.NMR=6,300)がSECによるものと一致したことは、PtBAマクロ開始剤の官能性が両ポリマー鎖末端において高いことを示唆する。この官能性マクロ開始剤をDVBと反応させると、エポキシ末端官能基をもつ官能性星形ポリマーが得られた。エポキシ官能性マクロ開始剤を用いた星形ポリマーの収率は、非官能性PtBAの場合と類似していた。これは、ATRP条件下での星形形成が官能基の存在により影響されなかったことを示唆する。エポキシ官能性星形ポリマーの1H NMRスペクトルは、エポキシ基の存在、および最後のtBA単位上のBr基に隣接するプロトン(Hf)からの信号の消失を示した。この場合も、DVBミクロゲルコアおよび懸垂ビニル結合からの信号は、前記に述べたようにDVB転化率から推定した値より低い強度をもっていた。これらのデータは、提唱した星形形成機序と一致した。同様に外層にヒドロキシ、アミノ、シアノおよび臭素末端官能基をもつ末端官能性星形が良好な収率で製造された。官能基の転化率はすべて1H NMRにより確認された。
この実施例におけるこれらの実験は、テレキレートPtBAをマクロ末端官能基供給材料として用いることにより官能性星形コポリマーを形成する方法を例示する。PtBA星形ポリマーは、銅仲介ATRPにより”アームファースト”法で製造できた。用いた種々のジビニル系結合試薬のうち、DVBが最も高い収率および最も狭い分子量分布でPtBA星形ポリマーを製造した。交換ハロゲンの選択、Cu(II)失活剤種の添加、マクロマーに対するDVBの比率、および星形形成時間を含めて、星形形成に関係する幾つかの要因に対処した。α−官能基をPtBAマクロ開始剤に直接導入することにより、末端官能性星形を合成できた。ヒドロキシ、エポキシ、アミノ、シアノおよび臭素基など、種々の末端官能基をもつ星形ポリマーを製造した。前記の例はホモポリマー枝について述べたが、結合反応の前にまずブロック、ランダムまたはグラディエントコポリマーを製造することにより、”星形”の特性をさらに変更または制御することができる。
実施例32.ポリ(アクリル酸メチル)三枝星形および超分枝ポリマーの合成、ならびに1,2−エポキシ−5−ヘキセンへのラジカル付加
ポリ(アクリル酸メチル)星形ポリマーおよび超分枝ポリ(アクリル酸2,2−(ブロモプロピオニルオキシ)エチル)(pBPEA,Mn=2950,Mw/Mn=4.8,PS標準品に対し)を、先の文献の報告に従って合成した。
実施例32a)1,2−エポキシ−5−ヘキセンへのラジカル付加
4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジル(dTbpy)、星形または超分枝ポリマーおよびCuBrの脱泡混合物に、脱泡1,2−エポキシ−5−ヘキセンを添加した。反応物を70℃で撹拌した。ポリマーをn−ヘキサン(10倍過剰)中への沈殿により回収した。
実施例33.ポリ(アクリル酸t−ブチル)星形
ポリ(アクリル酸t−ブチル)(PtBA)マクロ開始剤を前記方法で製造した。PtBA星形を製造するために、乾燥ガラス試験管に、CuBr、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、PtBAマクロ開始剤、ジビニルベンゼン(DVB)、アニソール、および磁気撹拌バーを装入した。ガラス試験管を3回の凍結−ポンプ−融解サイクルで脱泡し、真空下でシールした。サーモスタットを110℃に設定した油浴にガラス試験管を浸漬した。一定時間後、ガラス試験管を取り出して破壊した。試料をTHFに溶解し、転化率(GC)および分子量(SEC)を測定した。
実施例34.官能性DIOLS
材料
アクリル酸メチルを水素化カルシウム上で減圧下に蒸留した。中間留分を採集し、窒素下で−18℃に保存した。窒素はDRIERITE(登録商標)に通すことにより乾燥された。臭化銅(I)を酢酸中で5日間撹拌し、1mmHg、100℃で3日間乾燥させることにより精製した。N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を78℃、2mmHgでの分留により精製した。他のすべての試薬は入手したままで用いられた。
測定
GCおよびGPC測定を文献法に従って実施した。ポリマー組成を1H NMRにより、Tecmagデータ取得ソフトウェアによって操作される300MHz Bruker分光計を用いて測定した。MALDI−TOF MSスペクトル(線形モードで)を、337nmのN2レーザーを備えたPerSeptive BiosystemsのVoyager Elite計測器により得た。Na+ドープしたTHF中0.1Mジトラノール(dithranol)をマトリックス溶液として用いた。エレクトロスプレーイオン化(ESI)MSを、八極子およびイオントラップ質量分析計を備えたFinnegan LCQにより行った。ポリマー溶液(Na+ドープしたメタノール中10-4M)を3μl/分で注入した。
重合
適切な量のp−ジメトキシベンゼンおよび臭化銅(I)をSchlenkフラスコに入れ、ゴム膜でシールし、窒素で15分間パージした。窒素で15分間パージしたアクリル酸メチル約5mLを反応フラスコにシリンジで添加した。反応フラスコに3回の凍結/ポンプ/融解サイクルを施した。開始剤を添加した。反応混合物を60℃に加熱した。試料をシリンジで採集した。I:CuBr:PMDETA比は、開始剤(I)が2,6−ジブロモヘプタジカルボン酸ジメチルである場合は20:1:1、開始剤がエチレングリコールモノ(2−ブロモイソブチラート)である場合は10:1:1であった。
官能化
アクリル酸メチルの重合によりポリ(アクリル酸メチル)−ジオールをその場で製造した。転化率約80%の時点で、鎖末端に対し15当量のアリルアルコール、銅(0)、臭化銅(I)およびPMDETAを添加し、I:CuBr:PMDETA比を1:1:3.8:1にした。反応物を撹拌した。ESI−MSおよび1H NMR分析用に試料を取り出した。
ポリ(アクリル酸メチル)の結合反応
ポリ(アクリル酸メチル)および臭化銅(I)を丸底フラスコに添加した。フラスコをシールし、窒素で15分間パージした。ベンゼン、PMDETA、および結合剤、たとえばm−ジイソプロペニルベンゼンまたはα−メチルスチレンを添加した。結合剤に対する鎖の比率を2から4まで変化させた。鎖:PMDETA:CuBr比は1:1:1であった。
実施例35.過酸化物を含有させる”逆”ATRP開始剤延長
より高い酸化状態の遷移金属のコンプレックスの存在下でATRPに通常のラジカル開始剤を用いることについて報告し、これを”逆”または”別法”ATRPと呼ぶ。このような”逆”ATRP反応に使用できる”標準フリーラジカル開始剤”の範囲を今回拡大して、過酸化物を含めることができる。この拡大は、開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を用いる均質”逆”銅仲介ATRPの結果により証明される。これを提示し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いた場合と比較する。
表XXVIは、4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン(dNbpy)とコンプレックス形成したCuBr2またはCuBrの存在下でAIBNおよびBPOにより開始したスチレン塊状重合の結果を比較する。先の研究で、AIBN開始系にCuBrを添加しても反応速度、分子量(Mn)または分子量分布(Mw/Mn)にほとんど影響のないことが示された。しかしCuBr2/2dNbpyの存在下でのAIBNは”逆”ATRPに成功した。これに対し同様な条件下でBPOをCuBr2/2dNbpyと組み合わせて用いた場合、無制御な遅い重合が得られた。意外にもBPO開始系の重合制御はCuBr/2dNbpyの存在下で得られた。生長しつつあるラジカルをアニオンが可逆的に失活させることができない塩類の存在下で反応を実施すると、BPO単独の場合と同様に無制御な重合が得られた。
Figure 2011202169
a 条件:開始剤(In)=AIBN;[スチレン]0=8.6M;[スチレン]0/[AIBN]0=96
b [スチレン]0/[AIBN]0=160
c [スチレン]0/[BPO]0=96
d [スチレン]0/[BPO]0=160
AIBNとBPOの開始プロセスの相異については先に考察されており、これらの考察はAIBN/CuBr2およびBPO/CuBr開始剤系を用いたスチレン重合の反応速度試験の結果に基づいていた。両方の場合それぞれ、開始剤の分解によってより多量のラジカルが生成した結果、重合速度はAIBNまたはBPO濃度の増大に伴って増大したことを示す。分子量値は転化率に伴って直線的に増大した。AIBNについては、見掛けの開始剤効率(見掛けの開始剤効率=Mn.Cal/Mn.SEC)は[AIBN]0/[CuBr2/2dNbpy]0比の増大に伴ってわずかに低下した。これは、おそらく重合の始めにCuBr2による失活が不十分なことにより起きた停止反応のため生長鎖の数が減少したことによると思われる。BPOについては、鎖の数はすべての場合[BPO]0に基づいて見掛けの開始剤効率50%にほぼ相当した。これは、必ずしもすべての臭素がCuBrからポリマー頭部基に移動したわけでないことを意味し、活性化剤としてCuBrとCu(O2CPh)の両方の存在を示す可能性がある。低い開始剤効率は、一部はベンゾイルオキシラジカルの芳香族置換副反応のためかもしれない。
そこで、ジアゾ化合物または過酸化物の分解により、均質”逆”ATRPを有効に実施または開始することができる。AIBN開始重合についてはCuBrはほとんど影響をもたず、一方CuBr2の存在下ではこれが開始/生長ラジカルを捕そくしてCuBrおよびPBr種を形成でき、”逆”ATRPが効率的に起きる。これに対しCuBr2は、BPOにより開始される”逆”ATRPでは無効成分である。これは、生成するCu(I)からBPOへの速やかな電子伝達、および銅へのベンゾエートアニオンの配位のためである。しかしBPOにより開始される重合は、十分な量のCuBrの存在下では制御できる。BPOの分解が誘発された後、生長ラジカルがCu(II)種により失活して、臭素末端付きオリゴマーおよびCu(I)種が生成する。次いでCu(O2CPh)およびCuBrの両方がATRPを触媒することができる。
実施例36.荷電リガンド
荷電リガンド(1)を触媒として用いた種々の重合反応、およびそれらの条件を表XXVIIに挙げる。
Figure 2011202169
実施例36a) 三極子荷電リガンド−Cu(II)−コンプレックス2を用いる逆ATRP
Figure 2011202169
三極荷電リガンドをもつコンプレックス2(X=Br,Cl)
重合反応に際し、最初の緑色の不溶性コンプレックス2は溶解して、スチレンについては黄色、MMAおよびMAについては淡緑色に変化する。コンプレックス2はスチレンおよびMMAの重合には良好な活性を示したが、MAの重合は遅かった(表XXVIII)。アニソール中での重合反応は、110℃で初めて達成された。
Figure 2011202169
アニソール中における110℃でのMMAの重合は52%という限られた転化率を示し、得られたポリマーは計算値Mn.theoより2倍高い分子量Mnをもっていたので、この重合のためのより良い条件を作り出すのが目標であった。それらの条件についての種々の試みを表XXIXに挙げる。
Figure 2011202169
1)2当量のCu(0)を添加;2)限られた転化率;3)誘導期間120分
前記に挙げた他の溶媒の使用は重合挙動に著しい影響をもち、あるものは90℃での重合を可能にする。
実施例37.ポリエチレングラフトコポリマー
本出願の最初に、グラフト(コ)ポリマーがグラフトしたポリマー鎖内の主鎖(コ)ポリマーに結合した新規なグラフトコポリマーを開示した;普通のグラフトコポリマーの場合についてポリ(エチレン−co−メタクリル酸グリシジル)の修飾または後続重合によりある進歩が得られたことを、ここに記載する。クロロ酢酸によるエポキシド基の開環、ならびに後続のスチレンおよびアクリル酸ベンジルとの重合を記載する。後者のコポリマー中のベンジル基が加水分解されて両親媒性グラフトコポリマーが合成されることについての詳細も教示する。
材料
8%(重量)GMA単位、クロロ酢酸およびクロロベンゼンを含有するポリ(エチレン−co−メタクリル酸グリシジル)(P(E−co−GMA))を、Aldrichから入手したままで用いた。スチレンおよびアクリル酸ベンジル(Aldrichから)を、使用前にそれぞれ水素化カルシウムおよび塩化カルシウムから蒸留した。塩化銅(CuCl)を氷酢酸で洗浄し、無水エタノールで洗浄し、真空乾燥した。4,4’−ジ−ノニル−2,2’−ビピリジン(dNdpy)を先に報告された方法で合成した。
測定
テフロン(R)上にキャスティングしたポリマーフィルムのFTIRスペクトルを、ATI Mattson InfinityシリーズFTIRにより記録した。広い内径のキャピラリーカラム(DB−Wax,J&W Sci.)を備えた島津GC−14Aクロマトグラフにより、モノマー転化率を測定した。精製した試料の組成を、可変温度キャピラリー付き300MHz General Electric GN300分光計で、Tecmagデータ取得ソフトウェアを用いる1H NMRにより測定した。THF中でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、4つのPSSカラム(100Å、1000Å、105Å、およびガード)を備えたWaters 510液体クロマトグラフポンプをWaters 410示差屈折計と接続して用いて測定された。分子量分析をPSSソフトウェアにより計算した;検量は低い多分散度のポリスチレン標準品に基づいた。示差走査熱量測定(DSC)データをRheometrics DSC Plusから得た。元素分析をMidwest Microlabsにより測定した。
実施例37a)マクロ開始剤の合成
P(E−co−GMA)(5.0g,3.8mmol GMA)、クロロ酢酸(0.30g,3.2mmol)およびキシレン100mlをアルゴン下で115℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解するまで撹拌した。エタノール0.72ml中の水酸化テトラブチルアンモニウム(0.28mmol)を添加し、反応物を115℃で43時間撹拌した。熱溶液を過剰のメタノール中へ沈殿させ、濾過により採集した。生成物を熱キシレンからメタノール中へ再沈殿させた。白色粉末を単離し、真空乾燥した。元素分析は51%のGMA基が官能化されたことを示した。
実施例37b)グラフト重合
スチレンのATRPのために、0.2g(7.4×10-2mmolのCl)のマクロ開始剤、7.3mg(0.74mmol)のCuClおよび60mg(0.15mmol)のdNbpyを3つのガラスアンプルに入れ、3回の真空/アルゴンサイクルで脱泡した。各試験管にスチレン中5%クロロベンゼン1.0ml(8.7mmolのスチレン)を添加した。試験管を真空下でシールし、130℃の油浴に入れた。試験管を定期的に取り出した。GCによる転化率測定のために反応混合物をベンゼンと共にバイアルに入れた。各試験管からの生成物を熱トルエン溶液からメタノール中への2回の沈殿により精製した。白色粉末を室温で真空乾燥させた。
反応速度測定試料の取り出しを容易にするために、アクリル酸ベンジルのATRPを乾燥箱内で実施した。0.5g(20mmolのCl)のマクロ開始剤、2.0g(12mmol)のアクリル酸ベンジルおよび2.5gのトルエンを50mlの丸底フラスコに入れ、最終的に分散した混合物が形成されるまで90℃で撹拌した。次いで10mg(0.10mmol)のCuCl、82mg(0.20mmol)のdNbpy、1.2g(7.4mmol)のアクリル酸ベンジルおよび0.7gのトルエンの溶液を反応器に添加した。この栗色液体を90℃で1分間撹拌してすべてのマクロ開始剤を確実に溶解させ、この時点で最初の反応速度試料を取り出した。後続試料を定期的に反応から取り出した。熱トルエン溶液からメタノール中への沈殿により、生成物を各試料から単離した。白色粉末を室温で真空乾燥した。
実施例37c)ポリスチレングラフトの開裂
0.1gのポリ(エチレン−g−スチレン)を50mlの丸底フラスコに、10mlのTHFおよび0.45mlのメタノール中1M水酸化テトラブチルアンモニウム溶液と共に入れた。この溶液を16時間還流撹拌した。室温に冷却した時点でポリエチレンが溶液から沈殿した。液相を分離し、塩酸で中和し、ポリスチレンの分子量測定のためにSECクロマトグラフに注入した。この方法で官能化メタクリル酸グリシジルのエステル基およびアセテート部分を開裂させることができた。ポリスチレン鎖の分子量は重合中にモノマー転化率に伴って増大し、多分散度は低く、Mw/Mn<1.4であった。これらの反応は、クロロ酢酸ビニルからのスチレンのホモ重合が制御下に高い開始効率で行われた類似の系と一致した。SECクロマトグラムを調べることにより、ポリスチレンの生長が制御下に進行したことが明瞭に確認された;全ピークが反応度の増大に伴って高い分子量の方へ移行した。
実施例37d)アクリル酸ベンジルのATRP
ATRPには一般に乾燥箱の使用は不必要であるが、試料の取り出しをより容易にするために、この場合は使用した。ポリスチレンは反応温度の低下に伴って沈殿するので、多くの一般的ATRPの場合のように針で取り出すことができなかった。したがって酸素の混入がないように乾燥箱の中で反応器の蓋を取り、広い内径のシリンジまたはガラスピペットで試料を取り出した。
アクリル酸ベンジル中50%トルエン中、90℃で、クロロアセテート基に対し0.5当量のCuCl(dNbpy)2を用いて反応を行った。クロロアセテートに対するモノマーの比率は100であった。反応の進行に伴って、キシレン中でのポリマーの膨潤性は増大した。これは、そのホモポリマーがその溶媒に可溶性であるセグメントが取り込まれたことを示す。精製した物質のフィルムのFTIR分光法は、1736cm-1に強いカルボニル伸縮を示した。これは、コポリマー中にアクリレートが存在することを示す。スチレンについて上記に述べた方法によるグラフト鎖開裂の試みは、競合するベンジルエステル基加水分解のため果たせなかった。
ここでは市販のポリ(エチレン−co−メタクリル酸グリシジル)をクロロ酢酸との反応により修飾してATRPマクロ開始剤にすることについて詳述した。スチレンおよびアクリル酸ベンジルの制御重合のために、ペンダント官能化ポリオレフィンを用いた。両方の場合とも、コポリマーへのビニルモノマーの取込みは反応度の増大に伴って増大した。
実施例37e)ATRPによりメタクリル酸メチルグラフトしたポリエチレン;ブロモイソブチリル基をもつマクロ開始剤の製造
メタクリレートをポリエチレンにグラフトさせることができるように、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)で触媒するポリ(エチレン−co−メタクリル酸グリシジル)コポリマーとブロモイソ酪酸(BIBA)の反応により、ブロモイソブチリル基をもつマクロ開始剤を製造した。上記コポリマー(10g,7.75×10-3molのGMA)、BIBA(2.6g,15.5×10-3mol)および150mlのo−キシレンを、窒素下で115℃に加熱した。ポリマーが溶解した後、0.8mlのメタノール中1M TBAH(7.75×10-4mol)を添加し、反応混合物を115℃で38時間撹拌した。最終的な黄色混合物をポリマー回収のために大過剰のメタノールに注入した。熱トルエン溶液からメタノール中へさらに2回の沈殿により、マクロ開始剤を精製した。最終生成物を真空乾燥させた。元素分析は下記の組成を示した:C=79.92%;H=13.13%;Br=3.90%;O=3.15%。
P(E−g−MMA)コポリマーの合成および特性解明
前記により製造したマクロ開始剤をMMA重合の開始に用いた。キシレン溶液中、MMA/キシレン=1/2、90℃で、試験管内で窒素下に重合を行った。Br/CuCl/dNbpy=1/1/2。目標Mn.grafts=20K。キシレン/MMA中の触媒溶液をSchlenkフラスコ内で窒素下に調製し、次いで窒素下にマクロ開始剤を入れた試験管にアルゴン処理シリンジにより移した。試験管をシールし、90℃の油浴に入れた。一定の時間間隔で油浴から試験管を取り出し、冷却し、THFを分散剤として用いて内容物を20mlのバイアルに移した。THFに溶解するためにすべての試料を加熱し、次いで放冷した(分離が起きた)。すべての試料が熱THFに溶解した。次いでキシレンを内標準として用いてGCにより転化率を測定した。転化率は時間と共に増大し、制御重合であることを示した。
精製した重合生成物の1H NMRスペクトルはポリMMA(δ=3.4ppm −OC 3 ;2.1ppm −C 2 −C(CH3)−;1.3ppm −CH2−C(C 3 )−)およびポリエチレン(δ=1.4ppm)の両方のセグメントについてピークを示した。これはグラフトコポリマーが形成されたことを証明する。
転化率の増大に伴って、グラフトコポリマー中のMMAの量も増加した(表XXX)。P(E−g−MMA)のMMA含量を、1H NMRによりδ=3.4ppmの三重線の面積とδ=1.2〜1.5ppmのピークの面積を用いて測定し、かつモノマー転化率からも計算した。2組のコポリマー組成はきわめて良く一致した。
Figure 2011202169
a [MMA]0=3.12M;[2−ブロモイソブチラート]0=[CuCl]0=[dNbpy]0/2=15.6mM;溶媒o−キシレン,90℃
b 1H NMRにより測定
c MMA転化率から計算
P(E−g−MMA)試料のDSC分析は、ポリMMAグラフトのガラス転移温度(約125℃)の存在を示した。これは相分離を示唆する。MMA含量67重量%の試料では、ポリMMAのガラス転移温度がより明らかであった。
実施例38.MMA−POSSのATRP
磁気撹拌バーを入れたガラス試験管に、MMA−POSS(200mg,0.194mmol)、開始剤(モノマーに対し10モル%)、Cu(I)Cl(0.0097mmol)、PMDETA(2.0μL,0.0097mmol)および脱泡1,2−ジクロロベンゼン(モノマーに対し50重量%)を添加した。試験管を液体窒素下で3回の凍結、ポンプ、融解サイクルにより排気し、真空下でシールした。次いで試験管を70℃の油浴に42時間入れた。メタノール(10倍過剰)中への沈殿によりポリマーを回収した。SEC分析(トルエン中、線状PSに対し)により、低い多分散度の低分子質量ポリマーの合成が確認された(Mn=9,590,Mw/Mn=1.14)。Mn.SECは理論推定値(Mn.theoretical=14,790)より著しく低かった。これはp(MA−POSS)と線状PS標準品との流体力学的体積差によるものと思われる。
実施例39.ポリ(MMA−POSS)ブロックコポリマーの合成
磁気撹拌バーを入れたガラスバイアルに、MMA−POSS(200mg,0.194mmol)、開始剤(モノマーに対し10モル%)、Cu(I)Cl(0.0097mmol)を添加した。バイアルにゴム膜を取り付け、排気/アルゴン充填した(3回)。脱泡トルエン(モノマーおよびマクロ開始剤に対し50重量%)をシリンジで添加した。最後にPMDETA(2.0μL,0.0097mmol)をシリンジで添加した。次いで反応フラスコを60℃の油浴に24時間入れた。メタノール(10倍過剰)中への沈殿によりポリマーを回収した。
実施例40.Sty−POSSのATRP
MMA−POSSのATRPと同様な方法を用いた。ただしSty−POSS(503mg,0.5mmol)、フェニルエチルブロミド(7.0μL,0.05mmol)、Cu(I)Br(3.6mg,0.025mmol)、PMDETA(5.3μL,0.0025mmol)、スチレン(471mg,4.5mmol)およびベンゼン(981mg,12.5mmol)を80℃で用いた。
追加実験で、臭素末端付き二官能性p(n−BA)マクロ開始剤(Mn.Sty=2300,Mw/Mn=1.3)を用いてSty−POSSをホモ重合させた。この系にはCu(I)Br/PMDETA触媒をトルエン溶液(モノマー/マクロ開始剤に対し50重量%)中、下記の条件下で用いた:
[M]:[I]:[Cu(I)Cl]:[PMDETA]=0.39M:0.019M:0.011M:0.011M、110℃。
実施例41.POSS材料のホモポリマー、ジブロックおよびランダムコポリマーの合成
開始剤として2−ブロモイソ酪酸エチルを用いてp(MMA−POSS)ホモポリマーの合成を行った。低DPnを目標とし、1H NMRにより測定してp=0.50のモノマー転化率を得た。MMA−POSSの重合に単官能性ポリ(アクリル酸n−ブチル)マクロ開始剤(Mn=2200,Mw/Mn=1.3)を利用することにより、ABジブロックコポリマーを合成した。SEC分析により、このマクロ開始剤から効果的な連鎖延長がみられた。さらに、各モノマーの供給比9:1で、同様にスチレンとSty−POSSのランダムコポリマーが製造された。1H NMRにより測定して、種々のモノマー転化率で生長ポリマーへのSty−POSSの取込みは一定であることが認められた。POSS−モノマー(Mn>1000)は室温で固体であるので、すべての重合を溶媒としての1,2−ジクロロベンゼンまたはトルエン中で実施した。前記ポリマーのSECクロマトグラムを表XXXIに示す。
Figure 2011202169
* THF中、線状PMMAに対して測定した見掛け分子質量
ζ THF中、線状Pstyに対して測定した見掛け分子質量
実施例42.MMA−POSSからの星形ブロックおよびトリブロックコポリマーの合成
先に述べたように、POSSベースポリマーの硬質セグメントと低いTgをもつ他のポリマーの軟質セグメントを含むブロックコポリマーの合成は、熱可塑性エラストマー製造のためのきわめて興味深い分野である。したがって、末端に硬質p−(MMA−POSS)セグメントをもつ星形ブロックおよびABAトリブロックコポリマーを製造した。星形ブロックコポリマーの合成は、三枝ポリ(アクリル酸メチル)マクロ開始剤(Mn=7,900,Mw/Mn=1.10)をMMA−POSSのATRPに利用することにより行われた。ブロックコポリマー合成に際し、連鎖延長反応についてDPn=20をも目標とした。SECクロマトグラム(THF中でのSEC、線状PMMAに対して)は、p−(MMA−POSS)を含む明瞭なブロックコポリマーが製造されたことを示した。
さらに、二官能性p(BA)マクロ開始剤(Mn=11,000,Mw/Mn=1.16)をMMA−POSSのATRPに使用することにより、ABAトリブロックを製造した。p(BA)マクロ開始剤からのMMA−POSSの連鎖延長反応については、DPn=20を目標とした。SECクロマトグラム(THF中でのSEC、線状pMMAに対して)により、マクロ開始剤からのMMA−POSSのATRPに際し、分子質量の増大がみられた。ブロックコポリマーの1H NMR分析から、p−(MMA−POSS)の取込みが証明された。
ABAトリブロックおよび星形ブロックコポリマーの合成のためにMMA−POSSを重合させる際、1H NMRスペクトルにみられるビニルプロトン(δ=5.6、6.1ppm)の消費によりモノマー転化率を測定した。沈殿しなかった反応混合物の分析により、ビニル結合が消費されて高い転化率(p>0.95)になることが明らかになった。POSS立方体に伴うシクロペンチルプロトンの共鳴がδ=0.6、1.0、1.6および1.8ppmにみられ、p(MA)およびp(BA)マクロ開始剤のポリマー主鎖からの共鳴と重なった。pMA−b−p(MMA−POSS)星形ブロックコポリマーについてはメトキシプロトンがδ=3.8にみられ、一方p(MMA−POSS)−b−pBA−b−p(MMA−POSS)トリブロックコポリマーについてはメチレンプロトンがδ=4.1ppmにみられた。さらに、p(MMA−POSS)成分のメチレンプロトンからδ=3.9に共鳴がみられた。これは、ポリアクリレートマクロ開始剤からの連鎖延長が成功したことを示す。
p(MA−POSS)−γ−p(MMA)硬質セグメントを含むトリブロックコポリマーの合成も行った。この物質は、POSSの全使用量を削減しながら、POSS成分の取込みによって向上した物理的トルエン特性をもつという潜在的利点を備えている。これは、現在POSSモノマーの価格が高いため、実用的に大きな関心がもたれる動向である。
実験法はp(MA−POSS)−b−p(BA)−b−p(MA−POSS)の合成に用いたものと同じであり、二官能性pBAマクロ開始剤(Mn=13,750,Mw/Mn=1.18)を50重量%トルエン溶液中で用いた。1:1モル供給比のMA−POSS対MMAを用いて、pBAマクロ開始剤の周囲に硬質セグメントを製造した。NMR分析により、MMAおよびMA−POSSの両方がマクロ開始剤に取込まれたことが明らかになったが、共鳴の重なりのためモノマー転化率の測定は困難であった。GPCは少量の未反応MA−POSSの存在を示したが、ブロックコポリマーのMnは24,050に増大した。
実施例43.制御ATRPに適した官能性をもつ粒子
Stober法で官能性粒子を合成する一般法は下記のとおりであった:
TEOS(8mL,35mmol)を無水エタノール(120mL)および適切な濃度の水酸化アンモニウム(水溶液)(7.4mL)の撹拌溶液に添加し、7時間撹拌して白色の混濁した懸濁液を得た。被覆粒子を調製するために、官能性トリアルコキシシラン(1mL)を、TEOSから調製したアルコゾル35mLアリコートにシリンジで添加し、粒子表面に30分間吸着させた。次いで懸濁液を徐々に濃縮して(2時間かけて10mLを留去)、シリカ粒子への官能性シランの縮合反応を促進した。既に5〜10mLの体積に濃縮した被覆粒子アルコゾルから溶媒をストリッピングし、ヘプタン(10倍過剰)中へ沈殿させ、次いで2時間遠心分離することにより、粒子を単離した。得られた生成物は最初は白色ゲルであり、これが乾燥後に白色固体となった(収率10%)。次いで、粒子をトルエン(5mL)に懸濁し、ヘキサメチルジシラザン(1.0mL,4.7mmol)で処理して残留シラノール基を末端キャッピングした。しかしこの処理では粒子の溶解度は改善されなかった。よって、粒子を固体状態で単離した後、非極性溶媒(THF、トルエン)および極性溶媒(メタノール、エタノール)に溶解できなかった。
前記に考察したように、Stober法で製造したコロイドシリカの粒度は、種々の濃度の水酸化アンモニウムを用いることにより制御された。表XXXIIに、実施した実験、水酸化アンモニウム濃度、および得られた生成粒度を挙げる。
Figure 2011202169
コロイドシリカMPSの被覆には成功したが、ヘプタン中への沈殿により回収した後の被覆粒子の溶解度が限られることにより明らかなように、粒子の単離には問題があった。Stober法で製造したメタクリレート粒子は、水酸化アンモニウムの存在下ですら、被覆処理の後、混濁した懸濁液を生じた。したがって、2Nおよび5N濃度の水酸化アンモニウムを用いることにより、コロイドシリカの粒度を変更させた。両方の場合とも、被覆コロイド分散液に対し大過剰のトルエンを添加しても沈殿は生じなかった。これは、これらの粒子が有機溶媒に再分散する可能性があることを示す。TEM測定により、被覆シリカ粒子の粒度は水酸化アンモニウム濃度によって著しい影響を受けることが確認された。TEMマイクログラフから、個別のナノスケール球体の存在が明らかになった。これから、大規模な粒子凝集は起きなかったことが明らかである。さらに、JP−6−54からの粒子の29Si CP−MAS NMRは、粒子表面処理の成功を示す−90〜−110ppmの”Q”共鳴のほか、−40〜−60ppm領域にケイ素−炭素結合に関する”T”共鳴の存在を明瞭に示した。
ブロモイソブチラート官能性粒子の合成はStober法を用いても達成されたが、最初は不安定な分散液および凝集粒子を生じた。ブロモイソブチラート官能性粒子の製造のために、3−(2−ブロモイソブチリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(BIB−TMS)をシリカコロイド分散液に添加した。しかしBIB−TMSを分散液に添加すると、白色沈殿の形成によって明らかなように、直ちにシリカコロイドの凝集がみられた。この不安定化は、おそらくBIB−TMSモノマーの疎水性によるものであろう。沈殿は生じたが、粒子の特性解明を行った。粒子のTEMは、同様に直径約6〜10nmの個別の粒子の存在を示した。さらに粒子の29Si CP−MAS NMRにより、同様にシリカコロイドがBIB−TMSで被覆されたことを確認した。しかしメタクリレート粒子の場合と同様に、粒子の溶解度が限られることは、ある程度の小規模な凝集が起きて有機溶媒(THF、トルエン、エタノール、メタノール)中への粒子の完全溶解を疎外することを強く示唆する。
この方法での粒子合成のための一般法を下記に示す:メチルトリメトキシシラン(2.56mL,18.3mmol)を、6mM NaOH(12.5mL)および塩化ベンゼトニウム(トリアルコキシシランに対し6〜30重量%)の溶液に45分間かけて徐々に添加し、次いで5時間撹拌した。次いでメトキシトリメチルシラン(0.8mL,5.8mmol)を添加し、反応を一夜進行させた。次いで反応物をメタノール中へ沈殿させ、固体を遠心分離により回収した。次いで白色固体をトルエン(5mL)およびヘキサメチルジシラザン(0.8mL,1.5mmol)に再懸濁し、一夜反応させた。メタノール中への沈殿および濾過により粒子を回収した。
6重量%および12.2重量%の塩化ベンゼトニウム(界面活性剤)を用いて、まずトリメチルシリル官能性粒子の合成を行った。前記条件を用いた場合、6重量%塩化ベンゼトニウム系から製造した粒子は有機溶媒に不溶性であることが認められ、TEMマイクログラフに有意量の凝集を示した。この系では大規模な凝集がTEMによりみられたが、球状粒子(6〜10nm)もなお存在することに注目すべきである。この結果は、粒子形成を安定化するには追加の界面活性剤が必要であることを示唆する。界面活性剤の重量%を倍増することにより(12.2重量%)、THFおよびトルエンに完全に溶解する粒子が得られた。粒子溶液を0.2ミクロンPTFEフィルターを通すこともできた。これらの粒子のTEMは実施しなかったが、6重量%実験で得たマイクログラフにみられる球体形成および粒子の溶解度特性は、合成に成功したことを示唆する。TEM特性解明は未完である。TGA分析は、800℃以上で80重量%を超える物質がなお存在し、シリケート網目構造の存在を示す。
実施例44.アクリルアミドのATRP
一連の実験から、アクリルアミドの重合に用いるリガンドは純粋でなければならないこと、および最終転化率は系に添加するCuClの量に依存することが分かった。
実施例44a)種々の量のCuClを用いるDMAA重合
目標Mnは10Kであった。試験管内において、撹拌せずに室温で窒素下に実験を行った。結果を表XXXIIIに示す。
Figure 2011202169
実施例44b)Me 6 TrenによるDMAA重合−CuClの逐次添加
過剰のCuClを用いるとより高い収率を達成できるかどうかを調べるために、最初に装入するMe6Trenの量を一定に維持した状態で、遷移金属化合物を逐次添加した。各CuCl部分は、最初に装入するMe6Trenの量と等しかった。結果を表XXXIVに示す。
Figure 2011202169
反応を室温でSchlenkフラスコ内において窒素下に撹拌しながら実施した。
これらの結果は、限界転化率は触媒と開始剤の比率によることを示す。
実施例45.アクリルアミド重合
DMAAの重合については、溶媒の極性が限界転化率に影響を与える。極性の高い溶媒ほど限界転化率を低下させる(表XXXV)。
Figure 2011202169
実験条件:DMAA/溶媒=1/3;目標Mn=10K;MCP/CuCl/Me6Tren=1/1/1;室温
ジクロロベンゼンおよびDMF中では沈殿はみられなかったが、トルエンおよび酢酸エチルを溶媒として用いた場合は沈殿が生じた。
Cu0の添加により限界転化率は増大したが、その増大は小さかった(表XXXVI)。最終反応混合物は緑色であり、沈殿はなかった(未反応Cu0のみ)。
Figure 2011202169
実験条件:DMAA/トルエン=1/3;目標Mn=10K;MCP/CuCl/Me6Tren=1/1/1;Cu0=粉末、樹枝状、3ミクロン;99.7%
実施例45a)過剰の遷移金属化合物の添加
CuClを過剰に添加することにより、限界転化率は最初は増大し(MCP/CuCl=1/2)、次いで低下する(表XXXVII)。大過剰すぎるCuClは実際上、反応を停止させる。
Figure 2011202169
目標Mn=10K;DMAA/トルエン=1/3;室温
実施例45b)遷移金属化合物の断続的添加
CuClの逐次添加により転化率および分子量が増大し、限界転化率段階で活性末端基が存在することを示した。
Figure 2011202169
目標Mn=10K;DMAA/トルエン=1/3;室温
実施例45c)試薬/反応体の断続的添加
限界転化率段階に達するのに十分な時間間隔後、モノマーに溶解した新たな分の触媒(CuCl/Me6TREN)を添加すると、分子量が増大した(表XXXIX)。6.45時間後、反応混合物中に沈殿が生じ、これはモノマーに溶解した第2回分の触媒を添加すると溶解した。
Figure 2011202169
第1回:目標Mn=10K;DMAA/トルエン=1/3;室温;第2および3回分の触媒は第1回のモノマー体積の1/3に溶解させた。
実施例45d)レドックス結合体の添加
反応混合物に添加するCuCl2の量をごく最初から増加させると、重合速度が大幅に低下した(表XL)。試料はすべて重合開始時は均質であった。沈殿が生じる時間間隔は、CuCl2の添加量に依存するように思われた。CuCl2の量が多いほど、時間間隔は短い。
Figure 2011202169
実験条件:DMAA/トルエン=1/3;目標Mn=10K;MCP/CuCl/Me6Tren=1/1/1;室温
実施例45e)開始剤の添加
限界転化率段階で新たな分の開始剤を添加すると、ポリマーの製造ができなかった(表XLI)。したがって限界転化率段階では活性触媒が存在しない。
Figure 2011202169
実験条件(初期):DMAA/トルエン=1/3 v/v;目標Mn=10K;MCP/CuCl/Me6Tren=1/1/1;室温
実施例45f)末端基の分析
NMR試験管中で、重水素化トルエンを溶媒として用い、種々の条件下で実施した重合は、重合中に活性連鎖末端基が部分的に失われることを示した。しかしこの結果は、転化率と末端基官能性の低下との間に直接相関はないことを示すと思われる。これは、末端基喪失を生じる副反応があることを示す可能性がある(表XLII〜XLIV)。ポリマーピークが2.09ppmでトルエンピークと重なったため、転化率はすべてやや過剰推定された。
Figure 2011202169
5.5時間後、試料は緑色であり、沈殿を含有していた。最終ポリマーはMn=1330およびMw/Mn=1.12をもっていた
Figure 2011202169
5時間後、試料は緑色であり、少量の沈殿を含有していた。最終ポリマーはMn=1500およびMw/Mn=1.14をもっていた。
Figure 2011202169
末端基を見るためには通常は500回の走査が必要であるので、限界転化率段階に達した後、1回目のNMR測定を実施した(以前より大きな分子量)。所見:DMAA99−1実験:23時間後に沈殿なし;DMAA99−2:1.5時間後に沈殿が生じた;C 3 Oプロトンの信号がポリマーの信号と重なったので、DMAA99−1,2−末端官能基を測定できなかった。
実施例46.アクリルアミドのブロックコポリマー
ブロックコポリマーを製造するために、塩素末端基をもつポリ(アクリル酸メチル)(Mn=3600,D=1.23(PSt標準品,THFライン);Mn=4100,D=1.15(PMMA標準品,THFライン);Mn=6500,D=1.15(PMMA標準品,DMFライン))を用いてDMAA重合を開始した。DMAAブロックの目標Mnは10Kであり、反応を室温で実施し、トルエンが溶媒であった。比率Cu/CuCl/Me6Trenは1/1/1であった。結果を表XLVに示す。GPCのDMF系が8週間以上故障しているので、すべてのMnおよび多分散度があるわけではない。
Figure 2011202169
操作方法はわずかに異なっていた:
MA−DMAA1:polyMAおよびCuClをSchlenkフラスコに装入し、真空と窒素の間で3回循環させた。次いで脱泡DMAA、脱泡クロロベンゼンおよび脱泡Me6Trenを添加した。
MA−DMAA2:CuClをSchlenkフラスコに装入し、真空と窒素の間で3回循環させた。別個にpolyMAを他のフラスコに装入し、真空と窒素の間で3回循環させた。次いで脱泡トルエンを添加し、この溶液をCuClの入ったフラスコに移した。次いでDMAA、Me6Trenおよびクロロベンゼンを添加した。
MA−DMAA3:トルエン、polyMA、DMAAおよびCBをフラスコに装入し、polyMAが溶解した後、溶液に窒素を30分間吹き込んだ。次いでこの溶液を、窒素下にCuClを入れた他のフラスコに移した。次いで脱泡Me6Trenを添加した。
MA−DMAA1実験のGPCトレースは良好な分子量移行を示し、これは開始が起きたことを表す。
実施例46a)種々のリガンドの試験
Me6Trenの代わりにTPMA(ピリジン基をもつ三極リガンド)を用いることにより、転化率ははるかに低くなった(表XLVI)。22時間後、反応混合物の色は両方とも、Cu(II)に特徴的な緑色であった。したがって触媒の失活が起きた。
Figure 2011202169
目標Mn=10K;DMAA/トルエン=1/3 v/v;時間=22.1時間;室温
実施例47.触媒の溶解度/反応性を制御するためのアミンリガンドにおける置換
アミンリガンド上の種々の極性置換基の効果を調べるために製造した新たなリガンドの利用を評価するために、スチレン、MAおよびMMAのATRPを実施した。結果を次表に示す。比較のために、構造的に類似するリガンドを用いて得た結果も示す。予め実施した一点試験の結果は、置換線状トリアミンがMMAについてのみ制御重合を行ったことを示す。スチレンまたはMAについては、Mn実験値は計算値に近似していたが、Mw/Mnはかなり高かった。両方の置換リガンドとも、類似の結果を与えた。おそらく触媒中心の周囲の不都合な立体障害が重合の制御に影響を及ぼしていると思われる。ミカエル付加により製造したリガンドAが反応条件下で可溶性の銅触媒を生成しなかったことは、注目される。これに対し単純なアルキル置換リガンドBは均質触媒になった。
Figure 2011202169
Figure 2011202169
a 塊状重合;[スチレン]0/[PEBr]0=96;[PEBr]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/1
b 塊状重合;[MA]0/[EBP]0=232;[EBP]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/1
c アニソール中50容量%;[MMA]0/[EBIB]0=200;[EBIB]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/1/1
d アニソール中50容量%;[MMA]0/[BPN]0=200;[BPN]0/[CuBr]0/[リガンド]0=1/0.5/0.5
実施例48.表面からの重合
材料
トリクロロシランをGelestから入手した。10−ウンデカン−1−オールおよび2−ブロモイソブチリルブロミドをAldrichから入手した。スチレンを水素化カルシウムから蒸留した。アクリル酸メチルを5%水酸化ナトリウム溶液で3回、水で1回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させた後、塩化カルシウムから2回蒸留することにより、このモノマーを純粋な形で得た。アクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(フルオロアクリレート)を90℃および4mmHgで蒸留した。これらのモノマーすべてを、蒸留直後に乾燥箱フリーザー内に保存した。アクリル酸t−ブチルもアクリル酸メチルと同じ方法で精製したが、塩化カルシウムから1回だけ蒸留した。このモノマーを乾燥箱外のフリーザーに保存した。Karstedt触媒をLewisらの方法で合成した。臭化銅(I)(CuBr)を氷酢酸中で一夜撹拌し、濾過し、無水エタノールでアルゴンブランケット下に洗浄した。この化合物を60℃で一夜、真空乾燥した。PMDETAを水素化カルシウムから蒸留し、室温で乾燥箱内に保存した。0.25g(1.1mmol)のCuBr2および0.92g(2.2mmol)のdnNbpyを、THFとアセトニトリルの1:1混合物中、室温で、均質な緑色溶液が生成するまで撹拌することにより、コンプレックス臭化銅(II)ビス(4,4’−ジ−n−ノニル−2,2’−ビピリジン)を製造した。溶媒をトラップ−トラップ蒸留により除去し、緑色固体を室温で一夜、真空乾燥した(1mmHg)。0.52g(2.4mmol)のCuBr2および0.41g(2.4mmol)のPMDETAを、メタノール中、室温で、均質な緑色溶液が生成するまで撹拌することにより、コンプレックス臭化銅(II)−N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンを製造した。溶媒をトラップ−トラップ蒸留により除去し、緑色固体を室温で一夜、真空乾燥した(1mmHg)。その後、両化合物を乾燥箱内に保存した。クロロホルムを水素化カルシウムから蒸留し、乾燥箱内に保存した。接触角測定用の”3回蒸留”級の水をBarnstead Nanopure II洗浄系により得た。
測定
入射角70°の633nm He/Neレーザーにより作動するGaertner L116B型楕円偏光測定器で、フィルム厚を測定した。種々の層について下記の屈折率を用いた:天然ケイ素については3.865、酸化ケイ素については1.465、ポリ(アクリル酸)については1.527、ポリ(アクリル酸t−ブチル)については1.466(ポリ(アクリル酸t−ブチル)からの数値)、ポリ(フルオロアクリレート)については1.339、ポリ(アクリル酸メチル)については1.5672、ポリスチレンについては1.59。各ウェーファー上3点、各点につき10回の測定により、測定値を求めた。X線光電子分光法(XPS)により10〜9mmHgでVG−Scientific Mg−KR X線源(hi)12535.6eV)を用いて、表面組成を測定した。放出電子エネルギーをFissions Clam II半球状分析器によりパスエネルギー50eVで測定した。シリコン支持体上で生長させたポリマーフィルムのIRスペクトルを、特注反射光学システムに接続したMattson RSI FT−IR分光計により外反射モードで測定した。法平面に対し80°の入射角のP−偏光を用いた。試料と清浄なシリコン標準品の両方からの4cm-1スペクトル分解能の各スペクトルにつき、合計1024回の走査を行った。水平および傾斜プラットフォーム法の両方による接触角測定値を、日立ビデオコピープロセッサーP71U型に接続したパナソニックGR−KR222ビデオカメラにより得た。各ウェーファー上3つの異なる点からの角度を10回測定し、統計処理した。易溶性ポリマーの分子量をTHF中で、Waters 410示差を屈折計と連結した4つのPolymer Standard Service(PSS)カラム(100Å、1000Å、線状およびガード)を備えたWaters 510液体クロマトグラフポンプを用いて測定した。分子量をPSSソフソウェアにより計算した;検量は低多分散度ポリスチレン標準品に基づいた。注入前に、THFまたはクロロホルムに溶解した試料を2cmのアルミナカラム、次いで0.2μmシリンジフィルターに通した。空気/湿度のない環境が必要な場合、Vacuum Atmospheres HE−33乾燥箱を用いた。酸素および水の濃度は、窒素雰囲気中で1ppm未満であった。
実施例48a)開始剤合成および単層セルフアセンブリー;2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸10−ウンデカン−1−イル
4.257g(25mmol)のω−ウンデシレニルアルコールの、乾燥テトラヒドロフラン25mL中における溶液に、2.1mLのピリジン(26.5mmol)を添加し、次いで3.10mLの2−ブロモイソブチリルブロミド(25mmol)を5分間かけて滴加した。混合物を室温で一夜撹拌し、次いでヘキサン(50mL)と共に蒸留し、2N HClおよび水(2回)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液から溶媒を減圧下で除去し、無色の油性残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 25/1 v/v)により精製して、7.34g(92%)のエステルを無色の油として得た。
(11−(2−ブロモ−2−メチル)プロピオニルオキシ)ウンデシルトリクロロシラン
乾燥フラスコに1.35g(4.23mmol)の2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸10−ウンデカン−1−イルおよび4.2mLのトリクロロシラン(42.6mmol)を添加し、次いでKarstedt触媒(4μL,100ppm Pt当量)を添加した。混合物を室温で撹拌し、その間、反応をGCにより監視した。反応は通常は5時間以内に完了した。溶液を速やかにシリカゲルプラグで濾過して触媒を分離した。過剰の試薬を減圧下で除去した。残留物は>95%の純度であることがGCにより認められ、これをそのまま使用した。この化合物をさらに真空蒸留により精製することもできる。使用しない場合、化合物を5℃の乾燥箱内に保存した。
シリコン(100)ウェーファー(1cmに切断、2片)をトルエン浴中、超音波で5分間洗浄した。次いでウェーファーをHPLC用のトルエン、アセトンおよび無水エタノールですすぎ、窒素流中で乾燥させた。次いで試料をUV/オゾンチャンバー内で15分間酸化した;SiO2層の厚さは楕円偏光測定法で測定して16.1Åであった。ウェーファーを乾燥箱に移し、トルエン10mL中におけるトリクロロシラン5μLの溶液(ウェーファー上4mM)に入れた。試料をこの溶液中に撹拌せずに18時間放置した。ウェーファーを溶液から取り出し、トルエン中、超音波で1分間洗浄し、再びトルエン、アセトンおよび無水エタノールですすぎ、窒素流中で再び乾燥させた。ウェーファーを反応に使用しない場合、室温で乾燥箱内に保存した。
実施例48b)表面からの重合
一般的な反応媒質から試料を時間の関数として取り出す場合の重合については、乾燥箱内のサーモスタット付き油浴中においてねじ込み蓋付きガラスびん中で実験を行った。目的は、反応物を酸素に長時間暴露せずに個々のウェーファーを容易に取り出せることであった。代表例は下記のものである:4.5g(43mmol)のスチレンおよび36mg(3.4×10-2mmol)のCuBr2(dnNbpy)2を反応器に入れ、均質な紫色溶液が生成するまで撹拌した。次いで99mg(0.69mmol)のCuBr、560mg(1.4mmol)のdnNbpyおよび2.7g(26mmol)のスチレンを添加し、均質な栗色溶液が生成するまで撹拌した。次いでウェーファーを反応器に入れ、蓋をした装置を100℃の油浴中に保持した。ウェーファーを定期的に反応器から取り出し、クロロホルムですすいだ。反応終了時に、溶液中に偶然形成された吸着ポリマーを、トルエン中24〜48時間のソックスレー抽出によりウェーファーから分離した。ウェーファーを抽出器から取り出した後、アルゴンまたは窒素流中で乾燥させ、空気下に室温で保存した。溶液中で生長した鎖の対応分子量を調べる実験のために上記の操作を繰り返した。ただし、すべての試薬が消費されて均質になった後、11μL(7.3×−10-2mmol)の2−ブロモイソ酪酸をウェーファーの不存在下で添加した。溶液試薬をウェーファーの取り出しに対応する時点で取り出す方式で反応を実施した。次いでTHFに溶解したポリマー試料の分子量を測定した。1つのウェーファーのみから重合を行う場合は、異なる方法を採用した。10mLの丸底フラスコに3.0mg(1.3×10-2mmol)のCuBr2、49mg(0.34mmol)のCuBrおよび290mg(0.71mmol)のdnNbpyを入れた。これらの固体を室温で真空下に20分間脱ガスし、窒素を充填した。これに、20分間の窒素吹込みにより脱酸素したアクリル酸t−ブチル4.4g(34mmol)を添加し、混合物を60℃の油浴中で窒素下に30分間撹拌して、均質な栗色溶液の生成を促進した。この操作中に、予め形成したポリスチレン層を備えたシリコンウェーファーを25mLの側枝付き三角フラスコに入れ、ゴム膜で蓋をし、真空ゴム管でSchlenkフラスコラインに接続した。フラスコを15分間排気し、窒素を充填した。次いでこのモノマー/触媒溶液をカニューレで三角フラスコに移し、反応器を90℃の油浴に入れ、窒素下で撹拌した。4.5時間後、ウェーファーをフラスコから取り出し、クロロホルムですすいだ。次いでウェーファーをトルエンで20時間ソックスレー抽出し、窒素流下で乾燥させた。
制御ラジカル重合に利用した”持続ラジカル効果”は、生長中の鎖を可逆的に失活させるのに十分な濃度の失活剤が存在することを示唆する。一般的なATRP法では、数%の鎖が停止反応して、自然に失活作用性Cu(II)種を形成する。EPRにより検出されるように、Cu(II)濃度は10-3mol/Lの範囲にあり、十分に制御されたプロセスにはそのような濃度が必要である。ち密なポリマーフィルムを表面から生長させる従来の制御ラジカル重合では、溶液中に”犠牲”開始剤が存在した。”自由”(束縛されていない)鎖は溶液中に末端をもち、これにより十分な量の失活剤を形成した。重合制御のためには犠牲開始剤の存在が必要であると報告された。本発明者らの実験では、犠牲開始剤を用いず、反応開始時に十分な量の失活剤を添加した。さもなければ制御がみられず、そのプロセスはレドックス開始による一般的なラジカル系に似たものとなるであろう。一般的なセルフアセンブリー条件下での開始剤濃度は、アルキルハライドフラグメントの停止反応によってすら、制御良好なATRPにみられる必要な濃度より10000倍低い濃度CuBr2が供給される程度である。これは、反応開始前に持続ラジカルを添加することにより解決された。
同じ2−ブロモイソブチラート修飾したシリコンウェーファーからのアクリル酸メチルの塊状ATRPを実施した。遷移金属コンプレックス中のリガンドはPMDETAであった。1モル%のCuBrおよび0.03%のCuBr2(いずれもモノマーに対し)を用いた;この場合もEPR測定により失活剤濃度を測定した。モノマー中、70℃で30分間撹拌した後ですら、CuBr2(PMDETA)コンプレックスは完全には溶解しなかった。しかし経時的なフィルム厚の直線的増大は、ブラッシ(brush)鎖の生長を制御するのに十分な失活剤が溶液中にあることを示した。
実施例48c)ブロックコポリマー
ATRPにより製造したポリマーの機能を証明する他の方法は、それを同じモノマーまたは他のモノマーのATRPのためのマクロ開始剤として使用することである。臭素濃度の測定に際してXPSは決定的なものではなかったので、ポリスチレン層よりなる表面からのアクリル酸メチルの連鎖延長反応を実施した。バルクモノマーに溶解した1モル%のCuBr(dnNbpy)2および0.03モル%のCuBr2(dnNbpy)2を用いて、厚さ10nmのマクロ開始剤層から重合を開始した。表面結合した開始剤からの重合と同様に、層厚増大と反応時間の間に直線関係が成立することが示された。第2ブロックを添加した際の厚さの増大は、一部の鎖がATRPに関与できる末端臭素基を含んでいたことを示す。レドックス開始重合により製造したポリスチレン修飾表面と同様に、厚さ100nmを超える最終試料は青色の外観をもっていた。
他の例で、開始剤でプライミングした2つのシリコンウェーファーから厚さ26nmのポリスチレン層を生長させた。次いでこれらの支持体のうち一方を、1%のCuBr(dnNbpy)2および0.03%のCuBr2(dnNbpy)2を用いて90℃でアクリル酸t−ブチルにより連鎖延長した。4.5時間の反応時間後、フィルム厚が37nmに増大したことが楕円偏光測定器で測定された。
実施例48d)表面特性の調節
イオン法やメタセシス法のような他の方法に優るラジカル重合法の利点は、多様なモノマーがこの方法に適合することである。したがって、モノマーの選択により表面の物理的特性を調節できる。そのような特性のひとつは疎水性である。同様に修飾したシリコンウェーファーからのATRPにより製造した一連のポリマーの水接触角を測定した。厚さ10nmのポリスチレン層は90°の接触角を示した。その表面をさらに12nmのポリ(アクリル酸t−ブチル)で連鎖延長すると、その表面はわずかに親水性が低下した(86°)。次いで、ウェーファー上で10%HCl水溶液を一夜還流することによりこのポリアクリレートを加水分解して、ポリ(アクリル酸)にした。楕円偏光測定器は厚さが16nmに低下したことを示した。これは、嵩高いt−ブチル基が除去された際に鎖が弛緩したためである可能性が最も高い。水接触角が86°から18°に著しく低下したことにより、酸の存在が確認された。
最後に別個の実験で、ポリ(フルオロアクリレート)からなるきわめて疎水性の表面を構築した。119°という大きな接触角は、高いフッ素含量をもつ表面に一般的である。以上の例はすべて、ATRP法が表面から多様なモノマーを重合するのに適し、束縛されたポリマーの末端の持続活性によりさらに制御重合が進行することを証明する。この末端官能性は、末端基を意図的に他の基に変換するまで持続する。
実施例49.NiおよびMnおよびオニウム塩によるMMA重合
a)ニッケル
NiBr2およびテトラブチルホスホニウムブロミド(TBPB)を用い、80℃でキシレン溶液(MMA/キシレン=1/1 v/v)、目標Mn=30Kで、MMA重合を実施した。結果を表XLVIIIに示す。
Figure 2011202169
実験条件:EBIB/NiBr2=1/1;時間=2.5時間
試料は室温および80℃の両方で不均質であった。試料2〜6では、80℃で15分後に青色の沈殿が生じた。
b)マンガン
ニッケルと同様な条件を用いた。結果を表XLIXに示す。
Figure 2011202169
Figure 2011202169
実験条件:EBIB/MnX2=1/1;TBAC=塩化テトラブチルアンモニウム;TBAB=臭化テトラブチルアンモニウム
系MnCl2/TBACについてMnを転化率に対しプロットすることにより、転化率に伴って分子量が増大するのが認められた(図18)。
c)クロム
金属としてCrCl2をMMA重合に際して塩化テトラブチルアンモニウムと組み合わせて用いる実験を行った。結果を表Lに示す。
Figure 2011202169
実験条件:80℃;MMA/o−キシレン=1/1 v/v;目標Mn=30K;EBIB/CrCl2=1/1

Claims (285)

  1. 制御された重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤:および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒を;
    最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させ;
    (コ)ポリマーを形成する;
    各工程を含む方法。
  2. 開始剤が、第2の官能基を含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 第2の官能基が、極性置換基を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 極性置換基が、カルボン酸基である、請求項3に記載の方法。
  5. フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーが、アクリレート、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  6. さらに、より高い酸化状態にあり、その遷移金属塩がラジカル的に移動可能な対イオンを含む遷移金属塩の存在で、第1の標準的なフリーラジカル開始剤をラジカルに分解することによって、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を生成させる工程を含み、
    前記遷移金属塩が、ラジカル的に移動可能な対イオンを第1の開始剤のラジカルに移動させて、開始剤とより低い酸化状態の遷移金属塩とを形成する、請求項1に記載の方法。
  7. 触媒が、より低い酸化状態の遷移金属塩である、請求項6に記載の方法。
  8. 遷移金属が、錯体対イオンを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 錯体対イオンが、オニウム基体の対イオンである、請求項8に記載の方法。
  10. 触媒が、遷移金属塩を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 遷移金属塩が、鉄、銅、ニッケル、マンガンおよびクロムからなる群の少なくとも1つを基体とする、請求項10に記載の方法。
  12. 対イオンが、有機または無機の対イオンである、請求項10に記載の方法。
  13. 遷移金属塩が、錯体対イオンを含む、請求項10に記載の方法。
  14. 触媒が、溶剤で洗浄することによって、(コ)ポリマーから容易に除かれる、請求項10に記載の方法。
  15. 溶剤が、極性溶剤である、請求項14に記載の方法。
  16. 極性溶剤が、水である、請求項15に記載の方法。
  17. 錯体対イオンがオニウム基体の対イオンである、請求項13に記載の方法。
  18. オニウム基体の対イオンが、N、PまたはAsからなる群より選択される少なくとも1つの原子を含む帯電種である、請求項17に記載の方法。
  19. 対イオンが、脂肪族アミン、ホスフィンおよびアルセンからなる群より選択される物質を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 対イオンが、テトラ−アルキルアルキルアンモニウム、テトラ−アルキルホスホニウムおよびテトラ−アルキルアルセオニウム対イオンからなる群より選択される物質を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 遷移金属塩が、金属基体の対イオンを含む、請求項13に記載の方法。
  22. 遷移金属塩が、ハライド対イオンを含む、請求項13に記載の方法。
  23. 遷移金属塩が、対イオンと四面体および平方平面配置のうちの1つに配列されている、請求項13に記載の方法。
  24. 遷移金属対対イオンのモル比が、1より大である、請求項13に記載の方法。
  25. 遷移金属が鉄である、請求項24に記載の方法。
  26. さらに、中性リガンドを添加して、反応速度を増大させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
  27. 制御された重合法であって、
    遷移金属塩が、錯体対イオン;および、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を含む遷移金属塩の存在で、第1の標準的なフリーラジカル開始剤を分解させ、その遷移金属塩が、前記ラジカル的に移動可能な原子または基を第1の開始剤の分解生成物に移動させて第2の開始剤を形成させることにより、ラジカル的に移動可能な原子および基を有する第2の開始剤を生成させ;
    第2の開始剤;および、
    前記第2の開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる;
    各工程を含む方法。
  28. 触媒が、遷移金属塩である、請求項27に記載の方法。
  29. 最初に存在する遷移金属塩が、平均の酸化状態が当モル比の開始剤と反応するのに必要なそれよりも低くなるように、より高い酸化状態の遷移金属と金属ゼロ状態の遷移金属とを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 遷移金属が、鉄である、請求項28に記載の方法。
  31. 一端に第1の開始剤の一部残基を有するポリマーが形成される、請求項27に記載の方法。
  32. さらに、ポリマーを単離する工程を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 本方法が、バルク系;適当な溶剤を含む系;懸濁液中;乳濁液中;または、バッチ、半−バッチもしくは連続式プロセスの固体支持体上のうちの1つで実施される、請求項27に記載の方法。
  34. 錯体対イオンが、帯電したリガンドを含む、請求項27に記載の方法。
  35. 制御された重合法であって、
    遷移金属錯体が、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む遷移金属塩の存在で、過酸化物を破壊させ、その遷移金属錯体が、前記ラジカル的に移動可能な原子または基を過酸化物の残基へと移動させて開始剤または発生剤を形成させることにより、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を生成させ;
    開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物と可逆的なサイクルに関与する触媒;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる;
    各工程を含む方法。
  36. 遷移金属錯体が、遷移金属塩を含む、請求項35に記載の方法。
  37. 遷移金属が、銅である、請求項35に記載の方法。
  38. 遷移金属錯体が、より低い酸化状態の金属を含む、請求項35に記載の方法。
  39. 一端に過酸化物の一部残基を有するポリマーが形成される、請求項35に記載の方法。
  40. さらに、ポリマーを単離する工程を含む、請求項39に記載の方法。
  41. ラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための方法であって、
    フリーラジカル的に移動可能な原子および基とカルボン酸基とを有する開始剤;および、
    前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物とレドックス反応を受けてラジカル的に重合可能な(コ)モノマーの開始剤への付加を可能とすることのできる遷移金属錯体;
    を含む系の存在で、1種以上のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  42. さらに、末端カルボン酸基と(コ)ポリマーを形成し;
    その(コ)ポリマーを単離する工程を含む、請求項41に記載の方法。
  43. 遊離のカルボン酸基を含有するラジカル的に(共)重合可能なモノマーの制御された重合のための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を含有する開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物とレドックス反応を受けてラジカル的に重合可能な(コ)モノマーの付加を可能とすることのできる遷移金属錯体;
    の存在で、第1のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーと遊離のカルボン酸基を有する第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーとを重合させる工程を含む方法。
  44. さらに、ポリマー鎖内にカルボン酸基を含む(コ)ポリマーを形成させ;
    (コ)ポリマーを単離する;
    各工程を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 原子または基移動重合の制御された重合法であって、
    1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;
    遷移金属に対して、σ結合で配位することのできるN−、O−、P−またはS−含有リガンド、または、π結合で配位することのできる炭素含有リガンドと相互作用する固体支持体に結合された1種以上の対イオンを含む遷移金属化合物;
    を最初に含有する系の存在で、1種以上のラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含み、
    前記遷移金属化合物が、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物と可逆的なレドックスサイクルに関与する方法。
  46. さらに、遷移金属化合物がラジカル的に移動可能な原子または基を含むより高い酸化状態の遷移金属化合物の存在で、第1の標準的なフリーラジカル開始剤をラジカルに分解させることによってラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤を生成させる工程を含み、
    その遷移金属化合物が、前記ラジカル的に移動可能な原子または基を第1の開始剤のラジカルへと移動させて、開始剤とより低い酸化状態の前記遷移金属塩とを形成する、請求項45に記載の方法。
  47. 遷移金属化合物が、イオン結合、物理的吸着、化学的吸着、ファンデルワールス力、配位結合または共有結合を介して、固体支持体の表面に、物理的、物理化学的または化学的に結合されている、請求項45に記載の方法。
  48. 原子または基移動重合の制御された重合法であって、
    1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、
    固体支持体に結合された1種以上の対イオンを含む遷移金属塩;
    を最初に含有する系の存在で、1種以上のラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含み、
    前記遷移金属触媒が、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物と可逆的なレドックスサイクルに関与する方法。
  49. 遷移金属塩が、錯体対イオンを含む、請求項48に記載の方法。
  50. 原子または基移動重合の制御された重合法であって、
    1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;
    固体支持体に結合された1種以上の対イオンと、
    遷移金属にσ結合で配位されたリガンドとを含む遷移金属塩;および、
    遷移金属化合物のレドックス共役体を最初に含む系の存在で、1種以上のラジカル的に重合可能なモノマーを重合させる工程を含み、
    遷移金属および遷移金属塩のレドックス共役体の少なくとも1つが、前記開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つとの可逆的なレドックスサイクルに関与する方法。
  51. 遷移金属のレドックス共役体が、重合プロセスで少なくとも一部溶解性である、請求項50に記載の方法。
  52. 固体支持体が、イオン交換樹脂である、請求項50に記載の方法。
  53. 本方法が、バッチ式反応器で実施される、請求項50に記載の方法。
  54. 本方法が、連続流系で実施される、請求項50に記載の方法。
  55. さらに、より高い酸化状態の遷移金属塩から形成されるフリーラジカルへとラジカル的に移動可能な原子または基を移動させることによって開始剤を形成する工程を含む、請求項50に記載の方法。
  56. 重合反応物から遷移金属触媒錯体を除去するための方法であって、
    反応媒体をイオン交換媒体と接触させる工程を含み、前記反応媒体が、
    ポリマー;および、
    触媒錯体;
    を含む方法。
  57. 反応媒体が、さらに、溶剤を含む、請求項56に記載の方法。
  58. 溶剤が、媒体から触媒錯体を除去する速度を高める極性を有する、請求項57に記載の方法。
  59. イオン交換樹脂が、架橋密度とビーズ寸法とを含み、架橋密度およびビーズ寸法の少なくとも1つが、触媒錯体の除去を高めるように選択される、請求項56に記載の方法。
  60. 触媒錯体が、溶液、乳濁液またはミニ乳濁液の少なくとも1つを含む反応媒体中に存在する、請求項56に記載の方法。
  61. 乳濁液またはミニ乳濁液が、無機液体の懸濁媒体を含む、請求項60に記載の方法。
  62. 乳濁液またはミニ乳濁液が、水の懸濁媒体を含む、請求項60に記載の方法。
  63. 触媒錯体が、
    1つ以上の酸化状態の遷移金属;
    リガンド;および、
    対イオン;
    を含む、請求項56に記載の方法。
  64. 触媒錯体が、イオン交換媒体上Rの共有対イオンを介してイオン交換媒体に結合されている、請求項63に記載の方法。
  65. 反応媒体が、イオン交換媒体床上に通される、請求項63に記載の方法。
  66. 触媒錯体上のリガンドが、イオン交換媒体によって、溶液から遷移金属錯体を十分に除去可能とするように選択される、請求項63に記載の方法。
  67. 反応媒体の温度が、反応媒体から遷移金属を除去する速度を調節するように制御される、請求項63に記載の方法。
  68. 遷移金属が、銅かまたは鉄のうちのいずれか1つである、請求項63に記載の方法。
  69. さらに、反応媒体からイオン交換媒体を分離する工程を含む、請求項63に記載の方法。
  70. さらに、触媒錯体を再生する工程を含む、請求項69に記載の方法。
  71. 触媒錯体を再生する工程が、
    対イオンとしてラジカル的に移動可能な原子または基を含む酸または塩の1つを含有する再生媒体にイオン交換媒体に結合された遷移金属錯体を暴露し;
    再生媒体をイオン交換樹脂から分離する;
    各工程を含む、請求項70に記載の方法。
  72. 再生媒体が、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを含有する、請求項71に記載の方法。
  73. 溶液中の遷移金属錯体とイオン交換樹脂に結合された遷移金属錯体との間の平衡が、再生媒体の温度、再生媒体の極性、イオン交換樹脂のイオン特性、再生媒体のpH、イオン交換樹脂の架橋の度合いまたはイオン交換樹脂の膨潤性、イオン交換樹脂の膨潤性透過性、支持された対イオンの酸強度およびイオン交換樹脂のグロスサイズの1つ以上を調整することによって制御される、請求項71に記載の方法。
  74. 触媒錯体が、錯体塩を含む、請求項56に記載の方法。
  75. 触媒錯体が、
    遷移金属;および、
    錯体対イオン;
    を含む、請求項56に記載の方法。
  76. イオン交換媒体が、イオン交換樹脂である、請求項75に記載の方法。
  77. イオン交換媒体が、酸性の対イオンを有する、請求項56に記載の方法。
  78. イオン交換媒体が、H+またはNa+の少なくとも1つのうちから選択されるカチオンを含む、請求項56に記載の方法。
  79. 触媒錯体が、イオン交換媒体上の共有対イオンを介してイオン交換媒体に結合されている、請求項56に記載の方法。
  80. 触媒錯体の実質的に全てが、反応媒体から除去される、請求項56に記載の方法。
  81. 制御された重合法であって、
    ラジカル的に移動可能なハライドを有する開始剤;
    遷移金属化合物;および、
    窒素含有リガンド;
    を含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  82. フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーが、(メタ)アクリルアミドである、請求項81に記載の方法。
  83. リガンドが、第1級または第2級の直鎖アミンのうちの少なくとも1つである、請求項81に記載の方法。
  84. リガンドが、中性錯体を生成させるために極性溶剤によってさらに錯化されている、請求項83に記載の方法。
  85. リガンドが、帯電された種である、請求項81に記載の方法。
  86. オリゴマーまたはポリマーに官能性を付加するために原子移動ラジカル付加するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を除去した後、第1のオリゴマーまたはポリマーと可逆的なサイクルに関与する触媒を最初に含む系の存在で、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1のオリゴマーまたはポリマーを、第1の所望される官能基を有し、第1のオリゴマーまたはポリマーと反応性の第2の化合物と反応させる工程を含む方法。
  87. 触媒が、遷移金属塩を含む、請求項86に記載の方法。
  88. 触媒が、遷移金属を含み、さらに、遷移金属をその金属ゼロ状態で添加する工程を含む、請求項86に記載の方法。
  89. 第2の化合物が、フリーラジカル的に重合可能なモノマーではない、請求項86に記載の方法。
  90. 第2の化合物が、α,α−二置換されたオレフィン基を含む、請求項89に記載の方法。
  91. 触媒が、遷移金属錯体である、請求項86に記載の方法。
  92. 遷移金属錯体が遷移金属とリガンドとを含み;さらに、さらなる遷移金属、および、所望により、さらなるリガンドを添加する工程を含む、請求項91に記載の方法。
  93. さらに、系中で重合可能でない第2のオリゴマーまたはポリマーを形成する工程を含む、請求項86に記載の方法。
  94. さらに、第2のオリゴマーまたはポリマーを第2のオリゴマーまたはポリマーと反応性の第2の化合物と反応させる工程を含み、第2の化合物が第2の所望される官能基を有する、請求項93に記載の方法。
  95. 第2の化合物がさらに第4の所望される官能基を含み、その官能基が、それによって、各反応鎖末端でポリマーに組込まれ、第3の化合物が、構造:
    CH2=CR1−(CH2)n−X
    〔式中、R1は、H、CH3またはアリールから選択される1つであり;
    nは、整数であり;
    Xは、官能基である。〕
    を有する、請求項94に記載の方法。
  96. 第1のオリゴマーまたはポリマーが、複数のラジカル的に移動可能な原子または基を有する、請求項86に記載の方法。
  97. 第2のポリマーが、ホモテレキレート−ポリマーまたはヘテロテレキレートポリマーのうちの1つである、請求項93に記載の方法。
  98. 第2の所望される官能基が、さらなる反応条件に賦されて、第2の官能基を第3の官能基へと変換する、請求項97に記載の方法。
  99. 前記さらなる反応が二重結合を形成する、請求項98に記載の方法。
  100. 前記さらなる反応が、脱ハロゲン化水素反応を含む、請求項99に記載の方法。
  101. 反応が、酸受容体の存在によって補助される、請求項100に記載の方法。
  102. 第2の化合物が、フリーラジカル的に(共)重合可能ではない不飽和分子であり、ポリマー末端基である、請求項86に記載の方法。
  103. 不飽和分子が、第2の官能基を含む、請求項102に記載の方法。
  104. さらに、第3の官能基を含む第3の化合物を添加する工程を含み、第3の化合物がポリマーに組込まれた第1の官能基と反応する、請求項103に記載の方法。
  105. 不飽和分子が、α,α−二置換されたオレフィンまたはアリルの少なくとも1つである、請求項102に記載の方法。
  106. 第2の所望される官能基が、アリル、エポキシ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、カルボキシ、マスクされたカルボキシ、アルキル、パーハロアルキル、シリル、ケイ素含有部分またはリン含有部分のうちの1つを含む、請求項94に記載の方法。
  107. 1種以上のラジカル的に移動可能な原子または基を有するオリゴ/ポリマー物質を触媒原子移動官能化するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有するポリマーを用意し;
    ラジカル的に移動可能な原子または基とレドックス反応を受けることのできる遷移金属錯体の存在で、α,α−二置換されたオレフィン基を含有する化合物をポリマーに添加し、ラジカル的に移動可能な原子または基の部位にα,α−二置換されたオレフィン基を含有する化合物の付加;および、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む脱離反応を生じさせて、反応性の不飽和基を形成する;
    各工程を含む方法。
  108. α,α−二置換されたオレフィン基の置換基が個々に選択される、請求項107に記載の方法。
  109. さらに、反応性のexo−二重結合を有する官能性ポリマーを形成する工程を含み、置換基の1つがメチル基である、請求項108に記載の方法。
  110. さらに、endo−二重結合を有する官能性ポリマーを形成する工程を含む、請求項109に記載の方法。
  111. カップリング化合物が、α−アリールスチレンを含む、請求項110に記載の方法。
  112. α−アリールスチレンが、ジフェニルエチレン、1,3−ビス(1−フェニルエテニル)ベンゼンまたは2,2−ビス〔4−(1−フェニルエテニル)フェニル〕プロパンから選択される、請求項111に記載の方法。
  113. 高分子物質がオリゴマーである、請求項107に記載の方法。
  114. α,α−二置換されたオレフィン基上の1つの置換基がメチル基であり、形成される二重結合が主としてexo−二重結合である、請求項107に記載の方法。
  115. 反応性exo−二重結合を有するマクロモノマーが生成する、請求項114に記載の方法。
  116. 脱離反応が、酸受容体の添加によって高められる、請求項107に記載の方法。
  117. 酸受容体が、塩基性の有機分子、直鎖およびヘテロ環式N−含有化合物、イオン交換樹脂または無機酸受容体からなる群より選択される、請求項116に記載の方法。
  118. ポリマーの触媒的な原子移動カップリングのための方法であって、
    第1のラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1のポリマーを用意し;
    第1のラジカル的に移動可能な原子または基とレドックス反応を受けることの可能な遷移金属錯体の存在で、1種以上のα,α−二置換されたオレフィン基を含有するカップリング化合物を第1のポリマーに添加し;
    第1のラジカル的に移動可能な原子または基を有する部位で、α,α−二置換されたオレフィン基を含有するカップリング化合物の付加;および、ラジカル的に移動可能な原子または基を含む脱離反応を生じさせて、反応性の二重結合を形成させ;
    遷移金属錯体の存在で、第2のラジカル的に移動可能な原子または基を有する第2のポリマーを反応性二重結合に付加させる;
    各工程を含む方法。
  119. 第1のポリマーおよび第2のポリマーが、実質的に同一である、請求項118に記載の方法。
  120. さらに、endo−結合を有する官能性ポリマーを形成させる工程を含み、カップリング化合物がα−アルキルスチレンを含む、請求項119に記載の方法。
  121. カップリング化合物がα−メチルスチレンを含む、請求項120に記載の方法。
  122. さらに、エノール/ケトンを含む官能性ポリマーを形成させる工程を含み、α−置換基がヒドロキシル基を含む、請求項107に記載の方法。
  123. カップリング化合物が、イソプロペニル基を含む第2のポリマーである、請求項118に記載の方法。
  124. α,α−二置換されたオレフィン基が、第2のポリマーの官能性側基である、請求項123に記載の方法。
  125. グラフトコポリマーが、グラフトコポリマー鎖内の第2のコポリマーにグラフトされた第1のコポリマーを含む、請求項123に記載の方法。
  126. 第1のポリマーが、(コ)ポリマーの混合物である、請求項118に記載の方法。
  127. 第2のポリマーが、第1のポリマーと同一の組成および分子量を有する、請求項118に記載の方法。
  128. 第1のポリマーと第2のポリマーとの合計モル数対カップリング化合物のモル数のモル比が制御されて、第1のポリマーと第2のポリマーとの残基を含有する直鎖、スター、グラフトおよび鎖延長物質の少なくとも1つの配置を有する第3のポリマーを形成する、請求項118に記載の方法。
  129. 第1のポリマーが2つの移動可能な原子または基を含み、カップリング化合物が第1のポリマーの多数の単位を含有する網状構造コポリマーの形成を可能とする2つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有する、請求項128に記載の方法。
  130. カップリング化合物が1つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有し、第1のポリマーと第2のポリマーが1つのラジカル的に移動可能な原子または基を有し、第1のポリマーと第2のポリマーとの合計モル数対カップリング化合物のモル数のモル比が、本質的に、1:0.5である、請求項128に記載の方法。
  131. カップリング化合物が2つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有し、第1のポリマーと第2のポリマーが、各々、1つのラジカル的に移動可能な原子または基を有し、第1のポリマーと第2のポリマーとの合計モル数対カップリング化合物のモル数のモル比が、本質的に、1:0.25である、請求項128に記載の方法。
  132. 第1のポリマーと第2のポリマーが分子量および組成の少なくとも1つで異なり、スターコポリマーが形成される、請求項131に記載の方法。
  133. ヘテロ−アームスターコポリマーが形成される、請求項132に記載の方法。
  134. 2つのα,α−二置換されたオレフィン基が反応性特性で異なる、請求項131に記載の方法。
  135. カップリング化合物がコンパクトな分子であり、かつ、3つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有し、モル比が制御されて、6つ以下のアームを有するスターコポリマーを形成する、請求項128に記載の方法。
  136. カップリング化合物が異なる反応性を有する2つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有し、第1のポリマーと第2のポリマーが、各々、2つのラジカル的に移動可能な原子または基を有し、延長された鎖または鎖内にα,α−二置換されたオレフィン基を含むカップリングされたポリマーを生ずる、請求項118に記載の方法。
  137. カップリング化合物が3つのα,α−二置換されたオレフィン基を含有し、第1のポリマーと第2のポリマーとの合計モル数対カップリング化合物のモル数のモル比が制御されて、6つ以下のアーム(枝)を有するスターポリマーを形成する、請求項126に記載の方法。
  138. モル比が1:0.167である、請求項128に記載の方法。
  139. カップリング化合物が第3のポリマーを含む、請求項118に記載の方法。
  140. フリーラジカル的に重合可能なモノマーのセグメントを含み、2つ以上のアームが他のアームとは異なる組成を有するスターコポリマー。
  141. 第1のポリマーと第2のポリマーとが異なる、請求項128に記載の方法によって製造されるスターコポリマー。
  142. 第1のポリマーが、分子量または組成の少なくとも1つで第2のポリマーと異なる、請求項141に記載のスターコポリマー。
  143. 組込まれたカップリング化合物と請求項118に記載の方法によって製造されるグラフトされたポリマーとを含む骨格ポリマーを有するグラフトコポリマー。
  144. 骨格ポリマーが、付加重合法または縮重合法によって製造される、請求項143に記載のグラフトコポリマー。
  145. 骨格ポリマーが、ポリオレフィンである、請求項143に記載のグラフトコポリマー。
  146. 骨格ポリマーが、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンまたはポリイソプレンのうちの少なくとも1つのブロックを含む、請求項143に記載のグラフトコポリマー。
  147. マクロモノマーとして使用するのに適したexo−二重結合を含み、α−置換基が、ポリマーの他の末端に公知の基を有し、250より大きい分子量を有するフリーラジカル的に(共)重合されたオリゴ/ポリマーであるα−置換されたオレフィン。
  148. 2つの置換基を含み、各置換基が250より大きい分子量を有するフリーラジカル的に(共)重合されたオリゴ/ポリマーであるα,β−二置換されたオレフィン。
  149. フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーから誘導される末端exo−二重結合を含有する官能基;
    フリーラジカル重合法によって形成される物質の立体化学およびタクチシィティ;および、
    1.5未満の対称単一ピーク分子量分布;
    を含むマクロモノマー。
  150. 官能性が90mol%より大きい、請求項149に記載のマクロモノマー。
  151. 制御された重合法であって、
    心形成化合物を活性原子移動ラジカル重合プロセスに添加し;
    マルチ−アームスターコポリマーを形成させる;
    各工程を含み、
    ポリマーが心形成化合物と反応してスター化合物を形成する方法。
  152. さらに、複数の開始剤を添加する工程を含み、各開始剤が、
    ラジカル的に移動可能な原子または基;および、
    所望により、官能基;
    を含む、請求項151に記載の方法。
  153. 心形成化合物が、ジビニル化合物である、請求項152に記載の方法。
  154. マルチ−アームスターポリマーが、1つの十分に定義された心を含む、請求項153に記載の方法。
  155. マルチ−アームスターポリマーが、心化合物カップリングのための心化合物を有する心を含む、請求項153に記載の方法。
  156. マルチ−アームスターポリマーがカップリングされた心化合物の網状構造を含む、請求項153に記載の方法。
  157. 生成するマルチ−アームスターポリマーが、ゲルまたは架橋された系のうちの1つである、請求項153に記載の方法。
  158. ジビニル化合物が、ジビニルアリール化合物、ジ−アクリレートまたはジ−メタクリレートのうちの1つである、請求項153に記載の方法。
  159. 心単位カップリングのための心単位を含む心;
    心単位の少なくとも1つに結合されたラジカル的に重合可能なモノマーから合成された複数のアーム;および、
    各ポリマー鎖の末端上の公知レベルの官能基;
    を含む遠隔官能性のマルチ−アームスターコポリマー。
  160. 少なくとも2つの心単位;
    心単位およびもう1つのアーム形成マトリックスの少なくとも1つに結合されたラジカル的に重合可能なモノマーから合成される複数のアーム;および、
    マトリックス内の公知レベルの官能基;
    を含む架橋されるかまたはゲル様の遠隔官能性のマルチ−アームスターコポリマー。
  161. 第1のポリマー当たりのラジカル的に移動可能な原子または基の平均数が1より大であり;
    心化合物がジビニル化合物である、請求項141に記載の方法によって製造される遠隔官能性の網状構造コポリマー。
  162. コポリマーのアームが、種々の特性を示す異なるコポリマーによって構成されている遠隔官能性のマルチ−アームスターコポリマー。
  163. 予め決められた分子量範囲を有するポリビニルアセテートを製造するための重合またはテロ重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有し、開始剤内で連鎖移動剤としても作用することのできる開始剤;および、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤の少なくとも1つの原子または基とレドックス反応に関与し、
    遷移金属;
    遷移金属に配位して一部溶解性の遷移金属錯体を形成するリガンド;
    を含む系の存在で、ビニルアセテートモノマーを重合させる工程を含む方法。
  164. さらに、1つのポリマー末端に、ラジカル的に移動可能な原子を有するポリビニルアセテートを形成し;
    所望により、ポリビニルアセテートを単離する;
    各工程を含む、請求項163に記載の方法。
  165. 系での開始剤の連鎖移動速度定数が約1であり、重合全体を通して実質的に一定のままである、請求項163に記載の方法。
  166. 開始剤が、カーボンテトラハライドまたはアルキルトリハライドのうちの少なくとも1つである、請求項163に記載の方法。
  167. ハライドが、臭化物または塩化物である、請求項166に記載の方法。
  168. 遷移金属が、鉄である、請求項163に記載の方法。
  169. リガンドが、直鎖アミンである、請求項168に記載の方法。
  170. リガンドが、テトラミンである、請求項169に記載の方法。
  171. 遷移金属錯体が、さらに、ラジカル的に移動可能な原子または基ではない対イオンを含む、請求項163に記載の方法。
  172. 対イオンが、アセテートである、請求項171に記載の方法。
  173. さらに、重合されるビニルアセテートの量に基づき、予め決められた量の開始剤を添加することによって重合を制御し;
    予め決められた平均分子量を有するポリビニルアセテートを形成する;
    各工程を含む、請求項163に記載の方法。
  174. 重合がテロ重合であり、さらに、
    ポリビニルアセテートテロマーを形成する工程;
    を含む、請求項163に記載の方法。
  175. さらに、テロ重合されるビニルアセテートの量に基づき予め決められた量の開始剤を添加することによってテロ重合を制御し、ここで、前記開始剤がカーボンテトラハライドまたは少なくとも1つのアルキルトリハライドを有する分子上のアルキルトリハライド基のうちの1つであり;
    予め決められた平均分子量でポリビニルアセテートテロマーを形成する;
    各工程を含む、請求項174に記載の方法。
  176. ポリビニルアセテートが、ラジカル的に移動可能な末端原子または基を有する、請求項175に記載の方法。
  177. ポリビニルアセテートテロマーの分子量が1,000,000未満である、請求項174に記載の方法。
  178. ポリビニルアセテートテロマーの分子量が1,000と100,000との間である、請求項174に記載の方法。
  179. さらに、ビニルアセテートテロマーをアルコキシアミンマクロ開始剤へと転化する工程を含む、請求項175に記載の方法。
  180. ビニルアセテートブロックコポリマーを製造するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有するポリビニルアセテート基体のマクロ開始剤;および、
    前記マクロ開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  181. さらに、第2のラジカル的に移動可能な原子または基を有し、連鎖移動剤としても作用することの可能な第2の開始剤;および、
    第2の開始剤とのレドックスサイクルおよびポリビニルアセテートマクロ開始剤またはラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物との可逆的なサイクルに関与し、
    遷移金属;
    遷移金属と配位したリガンドとを含んで遷移金属錯体を形成する一部溶解性の遷移金属触媒;
    を含む第2の系の存在で、ビニルアセテートモノマーを重合させることを含むポリビニルアセテート基体のマクロ開始剤を最初に生成させる工程を含む、請求項180に記載の方法。
  182. 第2の開始剤がアルキルハライド基を含み、ポリビニルアセテート基体のマクロ開始剤が、ラジカル的に移動可能な原子または基を有する2つのテレキレートな基を含有する、請求項181に記載の方法。
  183. アルキルトリハライドがアルキルジクロロブロモ基であり、テレキレートな基が末端ブロモ基を有する、請求項182に記載の方法。
  184. ポリビニルアセテート基体のマクロ開始剤を製造する工程が、さらに、ポリビニルアセテート基体のマクロ開始剤を単離する工程を含む、請求項181に記載の方法。
  185. 触媒が、遷移金属錯体である、請求項181に記載の方法。
  186. ブロックコポリマーを製造するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有し、連鎖移動剤としても作用することのできる開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体;
    を含む第1の系の存在で、第1のラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させることを含むラジカル的に(共)重合可能なポリマーを製造する工程;
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有し、開始剤としても作用するラジカル的に(共)重合可能なポリマー;および、
    第2の系で少なくとも一部溶解性であり、前記ラジカル的に(共)重合可能なポリマーおよびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体;
    を最初に含む第2の系の存在で、第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを添加および重合させ;
    所望により、ブロックコポリマーを単離する;
    各工程を含む方法。
  187. 第2の系が、さらに、第1のラジカル的に共重合可能なモノマーを含む、請求項186に記載の方法。
  188. ビニルアセテートモノマーから合成される第1のブロック;および、
    第1のブロックに結合されたフリーラジカル的に共重合可能なモノマーの第2のブロック;
    を含むブロックコポリマー。
  189. ブロックコポリマーを製造するための方法であって、
    遷移金属によって触媒される第1の反応機構により第1の(コ)ポリマーブロックを重合させ;
    遷移金属によって触媒される第2の反応機構により第2の(コ)ポリマーブロックを重合させる;
    各工程を含み、
    第1の反応機構が第2の反応機構と異なる方法。
  190. ビニルアセテートモノマーから合成される第1のブロック;および、
    フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成され、所望により、官能性末端基を有する第2のブロック;
    を含むブロックコポリマー。
  191. ブロックコポリマーを製造する方法であって、
    ビニルアセテートモノマーから合成される第1のブロック;および、
    官能性末端基を有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーを有する第2のブロック;
    を含むブロックコポリマーを用意し;
    官能性末端基を異なる基へと変換させる;
    各工程を含む方法。
  192. 官能性末端基を有するABAブロックコポリマーであって、
    ビニルアセテートモノマーから合成される2つのAブロック;および、
    フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成されるBブロック;
    を含むコポリマー。
  193. ABAブロックコポリマーを製造する方法であって、
    ビニルアセテートモノマーから合成される2つのAブロック;および、
    フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成されるBブロック;
    を含む官能性基を有するABAブロックコポリマーを用意し;
    官能性末端基を異なる基へと変換する;
    各工程を含む方法。
  194. ビニルアセテートモノマーから合成されるAブロック;および、
    フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成されるbブロック;
    を含むABスターコポリマー。
  195. ビニルアセテートモノマーから合成される第1のブロック;および、
    (メタ)アクリレートモノマーから合成される第2のブロック;
    を含むブロックコポリマー。
  196. (メタ)アクリルアミドモノマーでホモポリマーおよびブロックポリマーを製造するための重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、
    マクロ開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なレドックスサイクルに関与し、各可逆的なレドックスサイクルの間に数個のモノマー単位の付加を可能とする遷移金属錯体;
    を最初に含む系の存在で、(メタ)アクリルアミドモノマーを共重合させ;
    ポリマーを形成する;
    各工程を含む方法。
  197. 開始剤が、マクロ開始剤である、請求項196に記載の方法。
  198. 請求項196に記載の重合法により製造される(メタ)アクリレート−ブロック−(メタ)アクリルアミドコポリマー。
  199. 制御された懸濁または乳化重合法であって、
    懸濁媒体;
    界面活性剤;
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なレドックスサイクルに関与する遷移金属錯体;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含み、
    触媒遷移金属のレドックス共役体が懸濁媒体に添加される方法。
  200. 遷移金属錯体の疎水性および親水性が、リガンドまたはリガンド上の置換基のうちの1つを選択することによって制御される、請求項199に記載の方法。
  201. さらに、第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを添加し;
    所望により、遷移金属錯体;遷移金属化合物;遷移金属レドックス共役体;第2のフリーラジカル的に移動可能な原子または基とリガンドとを含む対イオンの少なくとも1つを添加する;
    工程を含む方法。
  202. 遷移金属錯体が、ピコリルアミンを含む、請求項199に記載の方法。
  203. 重合が、標準的なラジカル開始剤の分解によって開始される、請求項199に記載の方法。
  204. 乳化制御されたラジカル重合法であって、
    懸濁媒体を用意し;
    標準的なフリーラジカル開始剤を添加し、ラジカル的に(共)重合可能なモノマーの存在で、標準的なフリーラジカル開始剤を分解させることによって重合を開始させ;
    ラジカル的に移動可能な原子または基を含むより高い酸化状態の遷移金属化合物を添加し、ラジカル的に移動可能な基を標準的なフリーラジカル開始剤の残基に移動させて第2の開始剤を形成させ;
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する第3の開始剤を添加する;
    各工程を含む方法。
  205. さらに、懸濁媒体中で乳濁液を形成させる工程を含み、
    乳濁液の粒子寸法が標準的なフリーラジカル開始剤の分解によって制御され、重合プロセスが第2および第3の開始剤によって制御される、請求項204に記載の方法。
  206. 制御されたラジカル重合法であって、
    複数のフリーラジカル的に重合可能なモノマー;および、
    制御されたラジカル重合で繰り返し形成されるフリーラジカル;
    を含む溶液に、固体表面に結合された開始剤を接触させる工程を含む方法。
  207. さらに、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマー;および、
    繰り返し形成されるフリーラジカルまたは失活剤;
    を含む、請求項206に記載の方法。
  208. さらに、繰り返し形成されるフリーラジカルまたは失活剤として遷移金属化合物を含む、請求項207に記載の方法。
  209. 繰り返し形成されるフリーラジカルが溶液の1%より大である、請求項207に記載の方法。
  210. 繰り返し形成されるフリーラジカルが溶液の3%より大である、請求項207に記載の方法。
  211. 繰り返し形成されるフリーラジカルが系およびモノマーの1%より大である、請求項207に記載の方法。
  212. 繰り返し形成されるフリーラジカルが系およびモノマーの3%より大である、請求項207に記載の方法。
  213. 繰り返し形成されるフリーラジカルが遷移金属触媒のレドックス共役体である、請求項207に記載の方法。
  214. 繰り返し形成されるフリーラジカルが安定なフリーラジカルである、請求項207に記載の方法。
  215. 固体表面が無機物表面または無機粒子上の1つである、請求項207に記載の方法。
  216. 開始剤が、非芳香族基を介して固体表面に結合された官能基を含む、請求項207に記載の方法。
  217. 制御された重合法であって、
    予め決められた溶剤濃度を含み、その溶剤濃度が繰り返し形成されるフリーラジカルまたは失活剤の濃度を制御するように予め決められる方法。
  218. 制御された重合法であって、
    結合された多面体オリゴマーシルセスキオキサン基を有する不飽和モノマーを含む方法。
  219. 不飽和モノマーがビニル芳香族である、請求項218に記載の方法。
  220. 不飽和モノマーが(メタ)アクリレートである、請求項218に記載の方法。
  221. さらに、ポリマーを形成する工程を含む、請求項218に記載の方法。
  222. ポリマーが、ホモポリマー、コポリマー、ブロックコポリマーまたはスターブロックポリマーである、請求項221に記載の方法。
  223. 均質な逆原子移動重合法であって、
    第1の標準的なラジカル開始剤であり、この第1の標準的なラジカル開始剤が分解される開始剤;
    より低い状態にあり、ラジカル的に移動可能な原子または基を有し、このラジカル的に移動可能な原子または基が第2の開始剤を形成する第1の標準的なラジカル開始剤の残基へと移動する遷移金属錯体であり、この遷移金属錯体が第2の開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物との可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させ;
    ポリマーを形成する;
    各工程を含む方法。
  224. 心化合物;
    官能性末端と結合された末端とを有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成され、その結合された末端が心化合物に結合された複数のポリマーアーム;および、
    ポリマーアームの官能性末端に結合された官能基;
    を含む多官能性スター(コ)ポリマー。
  225. ポリマーアームが制御された分子量を有し、スター(コ)ポリマーの外側の層上に存在する官能基が原子移動付加反応によって付加される、請求項224に記載の多官能性スター(コ)ポリマー。
  226. フリーラジカル的に共重合可能なモノマーが、(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸を含む、請求項224に記載の方法。
  227. 官能基が、ヒドロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、ハライドから選択され、官能基が、ポリマーアームの官能性末端上に存在する、多官能性スター(コ)ポリマー。
  228. ブロックコポリマーを製造するための制御された重合法であって、
    複数の第1のモノマーをポリマー鎖中に重合させ;
    第2のモノマーを前記ポリマー鎖中に重合させる;
    各工程を含み、
    若干の第1のモノマーが重合されないまま、第2のモノマーが重合される方法。
  229. 第1および第2のモノマーがフリーラジカル的に重合可能なモノマーであり、第1および第2のモノマーを重合させる工程が繰り返し形成されるフリーラジカル;失活剤;または、触媒のレドックス共役体を含む、請求項228に記載の方法。
  230. 系が、さらに、溶剤を含む、請求項229に記載の方法。
  231. 第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを添加し重合させる工程が、第1のモノマーの75%が重合した後に実施される、請求項228に記載の方法。
  232. 請求項231に記載の方法によって製造されるブロックコポリマー。
  233. 第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを添加し重合させる工程が、第1のモノマーの50%が重合した後に実施される、請求項228に記載の方法。
  234. 請求項233に記載の方法によって製造されるブロックコポリマー。
  235. 第1のモノマーから合成される第1のブロック;
    第2のモノマーから合成される第2のブロック;および、
    第1および第2のモノマーから合成される第3のブロック;
    を含むブロックコポリマー。
  236. 第3のブロックが、第1のモノマーの第1のブロックから第2のブロックまでの濃度勾配を含む、請求項235に記載のブロックコポリマー。
  237. 第3のブロックが、第1のモノマーの第2のブロックから第1のブロックまでの濃度勾配を含む、請求項236に記載のブロックコポリマー。
  238. ハイブリッドブロックコポリマーを製造するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する有機基体のマクロ開始剤;および、
    前記マクロ開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能な無機モノマーを重合させる工程を含む方法。
  239. さらに、末端基を修飾することによって、有機ポリマーをマクロ開始剤へと転化する工程を含む、請求項238に記載の方法。
  240. 末端基を修飾する工程が、第1の末端基を第2の末端基ヘと転化する工程を含む、請求項239に記載の方法。
  241. マクロ開始剤が、ホスホルアミンである、請求項238に記載の方法。
  242. グラフトポリマーを製造するための方法であって、
    マクロモノマーと相溶性のマクロ開始剤の存在で、マクロモノマーを(共)重合させる工程を含む方法。
  243. (共)重合させる工程が、ラジカル重合プロセスを含み、マクロモノマーが、末端オレフィン結合を有する、請求項242に記載の方法。
  244. マクロモノマーが、末端α,α−二置換されたオレフィン基を含む、請求項243に記載の方法。
  245. マクロモノマーが、末端α−メチルスチリルまたはイソプロピルベンジル基を含む、請求項243に記載の方法。
  246. さらに、マクロ開始剤との可逆的なサイクルに関与する触媒を含み、マクロ開始剤がラジカル的に移動可能な原子または基を有するマクロ開始剤である、請求項242に記載の方法。
  247. 制御された重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属触媒を含む遷移金属錯体であり、遷移金属錯体触媒が遷移金属に配位したリガンドを含み、そのリガンドが支持体に結合されている遷移金属錯体;
    を最初に含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させ;
    (コ)ポリマーを形成する;
    各工程を含む方法。
  248. さらに、遷移金属のレドックス共役体を反応系に添加する工程を含む、請求項247に記載の方法。
  249. 遷移金属のレドックス共役体が、重合の開始前に、反応系に添加される、請求項248に記載の方法。
  250. 遷移金属が、より高い酸化状態とより低い酸化状態との両方にある、請求項247に記載の方法。
  251. 遷移金属のレドックス共役状態が、合計遷移金属の5重量%存在する、請求項250に記載の方法。
  252. リガンドが、直鎖アミンを含む、請求項247に記載の方法。
  253. 直鎖アミンが、直鎖テトラミンである、請求項252に記載の方法。
  254. 支持体が、高分子支持体である、請求項247に記載の方法。
  255. フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーから合成される少なくとも2つのブロックを含み、1つ以上のブロックが第2のモノマーを含む他のブロックにそのモノマーのコポリマーを含むブロックコポリマー。
  256. 第1のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーおよび第2のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーの少なくとも1つによって合成される少なくとも2つのモノマーブロックを含み、少なくとも1つのブロックがテーパー状のコポリマーを含むブロックコポリマー。
  257. 第1のフリーラジカル的に重合可能なモノマーから合成される第1のブロック;および、
    第2のモノマーおよび第1のモノマーから合成される第2のブロックを含み;
    第2のブロック中の第1のモノマーの濃度がポリマー鎖に沿う第1のブロックからの距離よりもより大きく増大するABブロックコポリマー。
  258. 第1のモノマーおよび第2の(コ)モノマーがフィリシティで異なる、請求項257に記載のブロックポリマー。
  259. 制御された重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体;および、
    溶剤;
    を最初に含む系の存在中、重合温度で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させ;
    ポリマー〔そのポリマーは重合温度で溶剤に溶解性である。〕を形成させ;
    温度、極性または系の圧力の少なくとも1つをポリマーが溶剤に溶解性でない沈殿温度に変える;
    各工程を含む方法。
  260. 遷移金属錯体が、重合温度および沈殿温度で溶剤に溶解性である、請求項259に記載の方法。
  261. さらに、系からポリマーを分離する工程を含む、請求項260に記載の方法。
  262. ポリマーを分離する工程が、系からポリマーを濾過する工程を含む、請求項261に記載の方法。
  263. 溶剤が、極性溶剤である、請求項259に記載の方法。
  264. 溶剤が、非極性溶剤である、請求項259に記載の方法。
  265. 遷移金属錯体が、リガンドを含む、請求項259に記載の方法。
  266. 制御された重合法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子または基を有する開始剤;および
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する触媒;
    を最初に含む系の存在で、第1のフリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーおよびラジカル的に共重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  267. 第2のフリーラジカル的に共重合可能なモノマーが第2の官能基を含む、請求項266に記載の方法。
  268. 第2の官能基が、極性置換基を含む、請求項267に記載の方法。
  269. 極性置換基が、カルボン酸基である、請求項268に記載の方法。
  270. 第1の末端と第2の末端とを有するフリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成されるポリマー;
    前記第1の末端に結合された第1の官能基;
    前記第2の末端基に結合された第2の官能基;
    を含み、前記第2の官能基が前記第1の官能基とは異なる反応性を有するホモ−テレキレートなコポリマー。
  271. 遠隔官能性のマルチ−アームスターコポリマーを製造するための制御された重合法であって、
    フリーラジカル的に共重合可能なモノマーから合成される遠隔官能性のマルチ−アームを有するスター開始剤、1つのラジカル的に移動可能な原子または基を有する第1の開始剤およびジビニル化合物;
    を含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  272. 第1の開始剤が、さらに、第2の官能基を含む、請求項271に記載の方法。
  273. 制御された重合法であって、
    リガンドを含む遷移金属触媒を含む系の存在で、フリーラジカル的に(共)重合可能なモノマーを重合させる工程を含む方法。
  274. リガンドおよび置換基が、触媒の親水性および疎水性を制御するように選択される、請求項273に記載の方法。
  275. リガンドおよび置換基が、重合を制御するために、触媒のレドックス共役体の十分な濃度を系に分配するように選択される、請求項273に記載の方法。
  276. リガンドの構造が、重合系における触媒錯体のレドックス電位を制御するように選択される、請求項273に記載の方法。
  277. ポリオレフィン骨格ポリマー;および、
    骨格ポリマー上にグラフトされたポリ(メタ)アクリレート;
    を含むグラフトコポリマー。
  278. ポリ(メタ)アクリレートが、(メタ)アクリル酸単位を含む、請求項277に記載のグラフトコポリマー。
  279. 制御された重合法であって、
    開始剤を含む系の存在中にフリーラジカル的に重合可能なモノマーを含み、
    その開始剤が、非芳香族性結合基を介して粒子表面に結合されたラジカル的に移動可能な原子または基を含む方法。
  280. 複合構造体を製造するための方法であって、
    シリカ粒子;および、
    ラジカル的に移動可能な原子を含有する官能基;
    を含む官能性シリカ粒子開始剤と;
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体を含む触媒と;
    を含む開始系の存在で、1種以上のフリーラジカル的に重合可能な(コ)モノマーを重合させる工程を含む方法。
  281. シリカ粒子が、単分散粒子である、請求項280に記載の方法。
  282. 複合構造体を製造するための方法であって、
    ラジカル的に移動可能な原子を含む官能基を含む官能化されたナノチューブ開始剤;および、
    前記開始剤およびラジカル的に移動可能な原子または基を有する化合物の少なくとも1つと可逆的なサイクルに関与する遷移金属錯体を含む触媒;
    を含む開始系の存在で、1種以上のフリーラジカル的に重合可能な(コ)モノマーを重合させる工程を含む方法。
  283. フリーラジカル的に重合可能なモノマーから合成されたマトリックスを含む自己強化されたナノ複合体。
  284. 重合系から触媒を除去するための方法であって、
    触媒;および、
    ポリマー;
    を含む重合系に化合物を添加し、
    その化合物が、触媒との相互作用によってポリマー系から触媒の沈殿を生じさせ;
    反応系を濾過して触媒を除去する;
    各工程を含む方法。
  285. 重合系から触媒を除去するための方法であって、
    触媒;および、
    ポリマー;
    を含む重合系の少なくとも1つのパラメータを変える工程;
    〔ここで、そのパラメータは、重合系から触媒の沈殿を生ずる系の極性、温度および圧力からなる群より選択される。〕;および、
    反応系を濾過して触媒を除去する工程;
    の各工程を含む方法。
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