以下、本発明に係る塗布、現像装置の第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の塗布、現像装置をレジストパターン形成装置に適用した場合の一実施の形態の平面図を示し、図2は同概略斜視図、図3は同概略側面図である。この装置は、基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリア20を搬入出するためのキャリアブロックS1と、複数個例えば5個の単位ブロックB1〜B5を縦に配列して構成された処理ブロックS2と、インターフェイスブロックS3と、露光装置S4と、を備えている。
前記キャリアブロックS1には、前記キャリア20を複数個載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。このトランスファーアームCは、後述する単位ブロックB2の受け渡しステージTRS1,2,3との間でウエハWの受け渡しを行うように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、キャリア20の配列方向に移動自在に構成されている。
キャリアブロックS1の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では、下方側から、下段側の2段が現像処理を行うための第1及び第2の単位ブロック(DEV層)B1,B2、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜(以下「第2の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第3の単位ブロック(TCT層)B3、レジスト液の塗布処理を行うための第4の単位ブロック(COT層)B4、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜(以下「第1の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第5の単位ブロック(BCT層)B5として割り当てられている。ここで前記DEV層B1,B2が現像処理用の単位ブロック、TCT層B3、COT層B4、BCT層B5が塗布膜形成用の単位ブロックに相当する。
続いて第1〜第5の単位ブロックB(B1〜B5)の構成について説明する。これら各単位ブロックB1〜B5は、ウエハWに対して薬液を塗布するための液処理ユニットと、前記液処理ユニットにて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種の加熱・冷却系の処理ユニットと、前記液処理ユニットと加熱・冷却系の処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うための専用の搬送手段AであるメインアームA1〜A5と、を備えている。
これら単位ブロックB1〜B5は、この例では、各単位ブロックB1〜B5の間で、前記液処理ユニットと、加熱・冷却系の処理ユニットと、搬送手段Aとの配置レイアウトが同じに形成されている。ここで配置レイアウトが同じであるとは、各処理ユニットにおけるウエハWを載置する中心つまり液処理ユニットにおける後述するスピンチャックの中心や、加熱ユニットや冷却ユニットにおける加熱プレートや冷却プレートの中心が同じという意味である。
先ず図1に示すCOT層B4を例にして以下に説明する。このCOT層B4のほぼ中央には、COT層B4の長さ方向(図中Y軸方向)に、キャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3とを接続するための、ウエハWの搬送領域R1が形成されている。
この搬送領域R1のキャリアブロックS1側から見た両側には、手前側(キャリアブロックS1側)から奥側に向かって右側に、前記液処理ユニットとして、レジストの塗布処理を行うための複数個の塗布部を備えた塗布ユニット31が設けられている。またCOT層B4の手前側から奥側に向かって左側には、順に加熱・冷却系のユニットを多段化した4個の棚ユニットU1,U2,U3,U4が設けられており、塗布ユニット31にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種ユニットを複数段、例えば2段に積層した構成とされている。こうして前記搬送領域R1は区画されており、例えばこの区画された搬送領域R1に清浄エアを噴出させて排気することにより、当該領域内のパーティクルの浮遊を抑制するようになっている。
上述の前処理及び後処理を行うための各種ユニットの中には、例えば図4及び図5に示すように、レジスト液の塗布前にウエハWを所定の温度に調整するための冷却ユニット(COL4)、レジスト液の塗布後にウエハWの加熱処理を行うための例えばプリベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(CHP4)、レジスト液とウエハWとの密着性を向上させるための疎水化処理ユニット(ADH)、ウエハWのエッジ部のみを選択的に露光するための周縁露光装置(WEE)等が含まれている。また冷却ユニット(COL4)や加熱ユニット(CHP4)等の各処理ユニットは、夫々処理容器51内に収納されており、棚ユニットU1〜U4は、前記処理容器51が2段に積層されて構成され、各処理容器51の搬送領域R1に臨む面にはウエハ搬出入口52が形成されている。なお前記疎水化処理ユニットは、HMDS雰囲気中でガス処理を行なうものであるが、塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5のいずれかに設けられればよい。
前記搬送領域R1には前記メインアームA4が設けられている。このメインアームA4は、当該COT層B4内の全てのモジュール(ウエハWが置かれる場所)、例えば棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、塗布ユニット31、後述する棚ユニットU5と棚ユニットU6の各部との間でウエハの受け渡しを行うように構成されており、このために進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在、Y軸方向に移動自在に構成されている。
また搬送領域R1のキャリアブロックS1と隣接する領域は、第1のウエハ受け渡し領域R2となっていて、この領域R2には、図1及び図3に示すように、トランスファーアームCとメインアームA4とがアクセスできる位置に棚ユニットU5が設けられると共に、この棚ユニットU5に対してウエハWの受け渡しを行うための第1の基板受け渡し手段をなす第1の受け渡しアームD1を備えている。
前記棚ユニットU5は、図3に示すように、各単位ブロックB1〜B5のメインアームA1〜A5との間でウエハWの受け渡しを行うように、この例では各単位ブロックB1〜B5は、1個以上例えば2個の第1の受け渡しステージTRS1〜TRS5を備えており、これにより第1の受け渡しステージが多段に積層された第1の受け渡しステージ群を構成している。また第1の受け渡しアームD1は各第1の受け渡しステージTRS1〜TRS5に対してウエハWの受け渡しを行うことができるように、進退自在及び昇降自在に構成されている。また前記第1及び第2の単位ブロックB1,B2の第1の受け渡しステージTRS1、TRS2は、この例ではトランスファーアームCとの間でウエハWの受け渡しが行なわれるように構成され、キャリアブロック用受け渡しステージに相当する。さらにこの例では、第2の単位ブロックB2は第1の受け渡しステージとして例えば2個のTRS−Fを備えており、この受け渡しステージTRSーFはトランスファーアームCによりウエハWを処理ブロックS2に搬入するための専用の受け渡しステージとして用いられる。この受け渡しステージTRSーFもキャリアブロック用受け渡しステージに相当し、第1の単位ブロックB1に設けるようにしてもよいし、この受け渡しステージTRSーFを別個に設けずに、トランスファーアームCからウエハWを処理ブロックS2に搬入する際に、受け渡しステージTRS1,2を用いて行なうようにしてもよい。
さらに搬送領域R1のインターフェイスブロックS3と隣接する領域は、第2のウエハ受け渡し領域R3となっていて、この領域R3には、図3に示すように、メインアームA4がアクセスできる位置に棚ユニットU6が設けられると共に、この棚ユニットU6に対してウエハWの受け渡しを行うための第2の基板受け渡し手段をなす第2の受け渡しアームD2を備えている。
前記棚ユニットU6は、図3及び図6に示すように、各単位ブロックB1〜B5のメインアームA1〜A5との間でウエハWの受け渡しを行うように、この例では各単位ブロックB1〜B5は、1個以上例えば2個の第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10を備えており、これにより第2の受け渡しステージが多段に積層された第2の受け渡しステージ群が構成されている。第2の受け渡しアームD2は各第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10に対してウエハWの受け渡しを行うことができるように、進退自在及び昇降自在に構成されている。このように本実施の形態では、5段に積層された各単位ブロックB1〜B5の間で、上述の第1の受け渡しアームD1と第2の受け渡しアームD2とにより、夫々第1の受け渡しステージTRS1〜TRS5とTRS−F、第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10を介して、自由にウエハWの受け渡しを行なうことができるように構成されている。
続いて他の単位ブロックBについて図5及び図7を用いて簡単に説明する。ここで図5は棚ユニットU1〜U4を搬送領域R1側から見た図である。DEV層B1,B2は同様に構成され、液処理ユニットとしてウエハWに対して現像処理を行うための現像ユニット32が設けられ、棚ユニットU1〜U4には、露光後のウエハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(PEB1,PEB2)や、この加熱ユニット(PEB1,PEB2)における処理の後にウエハWを所定温度に調整するための冷却ユニット(COL1,COL2)、現像処理後のウエハWを水分を飛ばすために加熱処理するポストベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(POST1,POST2)を備えている以外はCOT層B4と同様に構成されている。
そしてこれらDEV層B1,B2では、夫々メインアームA1,A2により、夫々第1の受け渡しステージTRS1,TRS2,TRS−F、第2の受け渡しステージTRS6,TRS7と、現像ユニット32と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットとに対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
またTCT層B3は、液処理ユニットとして、ウエハWに対して第2の反射防止膜の形成処理を行うための第2の反射防止膜形成ユニット33が設けられ、棚ユニットU1〜U4には、反射防止膜形成処理前にウエハWを所定温度に調整するための冷却ユニット(COL3)や、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニット(CHP3)を備えている以外はCOT層B4と同様に構成されている。そしてこのTCT層B3では、メインアームA3により、第1の受け渡しステージTRS3,第2の受け渡しステージTRS8と、第2の反射防止膜形成ユニット33と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットとに対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
そしてBCT層B5は、液処理ユニット31として、ウエハWに対して第1の反射防止膜の形成処理を行うための第1の反射防止膜形成ユニット34が設けられ、棚ユニットU1〜U4には、反射防止膜形成処理前にウエハWを所定温度に調整するための冷却ユニット(COL5)や、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニット(CHP5)を備え、周縁露光装置(WEE)を備えていない以外はCOT層B4と同様に構成されている。そしてこの第5の単位ブロックB5では、メインアームA5により、第1の受け渡しステージTRS5,第2の受け渡しステージTRS10と、第1の反射防止膜形成ユニット34と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
ここで前記加熱ユニット(CHP3〜5、POST1,2、PEB1,2)としては、図1に示すように、加熱プレート53と、搬送アームを兼用する冷却プレート54とを備え、メインアームAと加熱プレート53との間のウエハWの受け渡しを冷却プレート54により行なう、加熱冷却を1つのユニットにて行うことができる構成の装置が用いられ、冷却ユニット(COL1〜5)としては、例えば水冷方式の冷却プレートを備えた構成の装置が用いられる。また前記加熱ユニット(CHP3〜5、POST1,2、PEB1,2)の冷却プレート54も、本発明の冷却ユニットに相当する。
なお図5はこれら処理ユニットのレイアウトの一例を示すものであって、このレイアウトは便宜上のものであり、処理ユニットは加熱ユニット(CHP、PEB、POST)、冷却ユニット(COL)、疎水化処理ユニット(ADH)、周縁露光装置(WEE)に限らず、他の処理ユニットを設けるようにしてもよいし、実際の装置では各処理ユニットの処理時間などを考慮してユニットの設置数が決められる。
一方、処理ブロックS2における棚ユニットU6の奥側には、インターフェイスブロックS3を介して露光装置S4が接続されている。インターフェイスブロックS3には、処理ブロックS2の棚ユニットU6と露光装置S4とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアームBを備えている。このインターフェイスアームBは、処理ブロックS2と露光装置S4との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この例では、第1〜第4の単位ブロックB1〜B4の第2の受け渡しステージTRS6〜TRS9に対してウエハWの受け渡しを行うように、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成され、この例では第2の受け渡しステージTRS6〜TRS9がインターフェイスブロック用受け渡しステージに相当する。
また前記インターフェイスアームBは、全ての単位ブロックB1〜B5の第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10に対してウエハWの受け渡しを行うように構成してもよく、この場合には第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10がインターフェイスブロック用受け渡しステージに相当する。
続いてメインアームA(A1〜A5)、第1及び第2の受け渡しアームD1,D2、インターフェイスアームB、液処理ユニットの構成について簡単に説明する。先ずメインアームAは、例えば図4に示すように、ウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本のアーム101,102を備えており、これらアーム101,102は基台103に沿って互いに独立して進退自在に構成されている。またこの基台103は回転機構104により鉛直軸回りに回転自在に構成される共に、移動機構105により、棚ユニットU1〜U4を支持する台部106の搬送領域R1に臨む面に取り付けられたY軸レール107に沿ってY軸方向に移動自在、かつ昇降レール108に沿って昇降自在に構成されている。こうしてアーム101,102は、進退自在、Y軸方向に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成され、棚ユニットU1〜U6の各ユニットや第1及び第2の受け渡しステージTRS1〜TRS10、液処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。このようなメインアームAは、後述する制御部6からの指令に基づいて図示しないコントローラにより駆動が制御される。またアームの加熱ユニットでの蓄熱を防止するために、ウエハWの受け取り順番をプログラムで任意に制御できるようになっている。
また前記インターフェイスアームBは、例えば図8に示すように、ウエハWの裏面側中央領域を支持するための1本のアーム201が基台202に沿って進退自在に設けられている。前記基台202は、昇降台203に回転機構204により鉛直軸回りに回転自在に取り付けられ、昇降レール205に沿って昇降自在に設けられている。こうしてアーム201は、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成され、棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS6〜TRS9との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。
前記第1及び第2の受け渡しアームD1,D2も、鉛直軸回りに回転しない他は、インターフェイスアームBと同様に構成されている。このような第1及び第2の受け渡しアームD1,D2、インターフェイスアームBは、後述する制御部6からの指令に基づいて図示しないコントローラにより駆動が制御される。
続いて塗布ユニット31について、図9を用いて簡単に説明する。この例では3個の塗布部301,302,303が共通の処理容器300の内部に収納され、夫々が搬送領域R1に臨むように横方向(Y軸方向)に配列した状態で共通のベース304に設けられている。
これら塗布部301,302,303は同様に構成されているので、塗布部301を例にして説明すると、図中305は基板保持部をなすスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック305は駆動部306により鉛直軸回りに回転でき、かつ昇降できるようになっている。またスピンチャック305の周囲にはウエハWからスピンチャック305に跨る側方部分を囲うカップ307が設けられ、当該カップ307の底面には排気管やドレイン管などを含む排液部308が設けられている。図中309は、スピンチャック302に保持されたウエハWの周縁部にリンス液を供給するためのサイドリンス機構であり、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
また図中310は、3個の塗布部301,302,303に対して塗布液を供給するための共通の供給ノズル(薬液ノズル)であり、この供給ノズル310は移動機構312により、処理容器300の長さ方向(Y方向)に沿って設けられたガイドレール311に沿って、一端側の塗布部301のカップ307の外方側から他端側の塗布部303のカップ307の外方側まで移動自在、かつ昇降自在に構成されている。これによりこの例では供給ノズル310により、各塗布部301〜303のスピンチャック305に保持されたウエハWのほぼ中央領域にレジスト液を供給するようになっている。図中313は、一端側の塗布部301の外側に設けられた供給ノズル310の待機領域である。
図中314は処理容器300の天井部に取り付けられたフィルタユニット、315は処理容器300の底面に設けられた排気部であり、排気部から所定の排気量で排気すると共に、フィルタユニット314から所定流量の、温度と湿度とが調整された清浄気体を供給することにより、処理容器300内に清浄気体のダウンフローが形成され、メインアームA4の搬送領域R1よりも陽圧になるように設定されている。図中316は、処理容器300の搬送領域R1に臨む面に形成されたウエハWの搬入出口であり、開閉シャッタが設けられている。
この塗布ユニット31では、ウエハWはメインアームA4により搬入出口316を介して処理容器300内に搬入され、予め決定された塗布部301,302,303のいずれかのスピンチャック305に受け渡される。そして供給ノズル310から当該ウエハWの中央部にレジスト液を供給すると共に、スピンチャック305を回転させ、レジスト液を遠心力によりウエハWの径方向に広げ、ウエハW表面にレジストの液膜を形成させる。こうしてレジストの液膜が形成されたウエハWは搬入出口316を介してメインアームAにより塗布ユニット31の外部に搬出される。
このような塗布ユニット31では、3個の塗布部301〜303が共通の処理容器300の内部に設けられているので処理雰囲気が同じである。このため供給ノズル310を共用化でき、1本の供給ノズル310により3個の塗布部301〜303に対してレジスト液を供給することができるようになっているので、各塗布部301〜303毎に処理容器300と供給ノズル310とを設ける場合に比べて、トータルの部材点数や占有面積を削減できる。
さらに処理雰囲気が同じであることから、ダウンフローを形成するエアの供給や、このエアの排気を行う手段についても共用化できるので、この点からも部材点数や占有面積を削減できて有効である。また塗布部301〜303が共通の雰囲気内に配置されているので、各塗布部301〜303にて常に同じ雰囲気内でレジスト液の塗布処理を行うことができて、雰囲気に影響されるレジスト液の塗布処理をより均一に行うことができる。
また3個の塗布部301〜303が共通のベース304に設けられているので、スピンチャック305とメインアームA4のアーム101、102との高さ調整を行う際、1つの塗布部301〜303について行えばよい。また共通の供給アーム310により、各塗布部301〜303に対してレジスト液が供給されるように構成されているので、各スピンチャック305と供給ノズル310の高さの調整についても、1つの塗布部301〜303について行えばよい。このためこれらの高さ調整に要する手間が軽減し、また調整時間が短縮される。
現像ユニット32は、供給ノズル310の長さ方向に亘って現像液の供給領域が形成されていて、ウエハWの直径方向に現像液を供給するように構成され、洗浄液ノズルを備える点以外は、塗布ユニット31とほぼ同様に構成され、塗布部をなす複数個の現像処理部が共通の処理容器300内に収納されている。洗浄液ノズルは、供給ノズル310と同様に構成され、移動機構により前記ガイドレール311に沿って移動自在、かつ昇降自在に構成されて、各塗布部301〜303のスピンチャック305に保持されたウエハWに対して洗浄液を供給するようになっている。
このような現像ユニット32では、メインアームAにより搬入出口316を介して処理容器300内にウエハWが搬入され、予め決定された塗布部(現像処理部)301,302,303のいずれかのスピンチャック305にウエハWが受け渡される。そして供給ノズル310から当該ウエハWの中央部に現像液を供給すると共に、スピンチャック305により例えばウエハWを半回転させ、これにより現像液をウエハWの全面に供給する。そして所定時間経過後、洗浄液ノズルからウエハWに洗浄液を供給し、ウエハW表面の現像液を洗い流し、その後ウエハWを回転させて乾燥させることにより現像処理を終了する。
またこの現像ユニット32では、洗浄液ノズルを別個に設ける代わりに、塗布ユニット31のサイドリンス機構309と同様の構成の、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成された洗浄機構を設け、これにより、スピンチャック302に保持されたウエハWの中央部に洗浄液を供給するようにしてもよい。
前記第1の反射防止膜形成ユニット33は、レジスト液を塗布する前にウエハWに反射防止膜用の薬液を塗布するためのもの、第2の反射防止膜形成ユニット34は、レジスト液を塗布する後にウエハWに反射防止膜用の薬液を塗布するためのものであり、これらのユニット33,34は、供給ノズル310から反射防止膜用の薬液を供給する以外は、夫々塗布ユニット31と同様に構成される。
ここでこのレジストパターン形成装置におけるウエハWの流れについて、レジスト膜の上下に夫々反射防止膜を形成する場合を例にして説明する。先ず外部からキャリア20がキャリアブロック21に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内からウエハWが取り出される。ウエハWは、トランスファーアームCから、先ず第2の単位ブロックB2の棚ユニットU5の第1の受け渡しステージTRSーFに受け渡され、次いでウエハWはBCT層B5にウエハWを受け渡すために、第1の受け渡しアームD1により第1の受け渡し部TRS5を介してBCT層B5のメインアームA5に受け渡される。そしてBCT層B5では、メインアームA3により、冷却ユニット(COL5)→第1の反射防止膜形成ユニット34→加熱ユニット(CHP5)→棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS10の順序で搬送されて、第1の反射防止膜が形成される。
続いて第2の受け渡しステージTRS10のウエハWは第2の受け渡しアームD2により、COT層B4にウエハWを受け渡すために第2の受け渡しステージTRS9に搬送され、次いで当該COT層B4のメインアームA4に受け渡される。そしてCOT層B4では、メインアームA4により、疎水化処理ユニット(ADH)→冷却ユニットCOL4→塗布ユニット31→加熱ユニットCHP4→第1の受け渡しステージTRS4の順序で搬送されて、第1の反射防止膜の上にレジスト膜が形成される。
次いで受け渡しステージTRS4のウエハWは第1の受け渡しアームD1によ
り、TCT層B3にウエハWを受け渡すために第1の受け渡しステージTRS3に搬送され、当該TCT層B3のメインアームA3に受け渡される。そしてTCT層B3では、メインアームA3により、冷却ユニット(COL3)→第2の反射防止膜形成ユニット33→加熱ユニット(CHP3)→周縁露光装置(WEE)→棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS8の順序で搬送されて、レジスト膜の上に第2の反射防止膜が形成される。
続いて第2の受け渡しステージTRS8のウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。露光処理後のウエハWは、インターフェイスアームBにより、DEV層B1(DEV層B2)にウエハWを受け渡すために、棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS6(TRS7)に搬送され、このステージTRS6(TRS7)上のウエハWは、DEV層B1(DEV層B2)メインアームA1(メインアームA2)に受け取られ、当該DEV層B1(B2)にて、先ず加熱ユニット(PEB1(PEB2))→冷却ユニット(COL1(COL2))→現像ユニット32→加熱ユニット(POST1(POST2))の順序で搬送され、所定の現像処理が行われる。こうして現像処理が行われたウエハWは、トランスファーアームCにウエハWを受け渡すために、第1の受け渡しステージTRS1(TRS2)に搬送され、トランスファーアームCにより、キャリアブロックS1に載置されている元のキャリア20に戻される。
以上において、上述のレジストパターン形成装置は、各処理ユニットのレシピの管理や、ウエハWの搬送フロー(搬送経路)のレシピの管理や、各処理ユニットにおける処理や、メインアームA1〜A5、トランスファーアームC、第1及び第2の受け渡しアームD1,D2、インターフェイスアームBの駆動制御を行うコンピュータからなる制御部6を備えている。この制御部6にて、単位ブロックB1〜B5を使用して基板を搬送させ、処理を行なう。
前記搬送フローのレシピは単位ブロック内のウエハWの搬送経路(搬送の順番)を指定したものであり、単位ブロックB1〜B5毎に、形成する塗布膜の種類に応じて作成され、これにより単位ブロックB1〜B5毎に複数個の搬送フローレシピが制御部6に格納されている。
また形成する塗布膜によって、全ての単位ブロックB1〜B5にウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)とレジスト液の塗布を行なう単位ブロック(COT層B4)と第2の反射防止膜を形成するための単位ブロック(BCT層B5)とにウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)とレジスト液の塗布を行なう単位ブロック(COT層B4)と第1の反射防止膜を形成するための単位ブロック(TCT層B3)とにウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)のみにウエハWを搬送するモードとがあり、制御部6のモード選択手段により、形成しようとする塗布膜の種類に応じてウエハWを搬送する単位ブロックを選択すると共に、かつ選択された単位ブロック毎に用意された複数の搬送フローレシピから最適なレシピを選択することにより、形成する塗布膜に応じて使用する単位ブロックが選択されて、当該単位ブロックでは、各処理ユニットやアームの駆動が制御され、一連の処理が行われるようになっている。
このようなレジストパターン形成装置では、各塗布膜形成用の単位ブロックと、現像処理用の単位ブロックとを異なるエリアに設け、夫々に専用のメインアームAを設けたので、メインアームAの負荷が軽減する。このためメインアームAの搬送効率が向上するので、結果としてスループットを高めることができる。
また塗布膜形成用の単位ブロックとして、レジスト膜を形成するための専用の単位ブロック(COT層B4)、第1の反射防止膜を形成するための専用の単位ブロック(BCT層B5)、第2の反射防止膜を形成するための専用の単位ブロック(TCT層B3)を互いに積層して設けているので、レジスト膜の上下に反射防止膜を形成する場合であっても、処理ブロックS2の占有面積をレジスト膜のみを形成する場合と同じにすることができ、省スペース化を図ることができる。
さらに塗布膜形成用の単位ブロックとして、既述のようにCOT層B4、BCT層B5、TCT層B3を別個の単位ブロックとして構成しているので、DEV層B1,B2(またはDEV層B1,B2のいずれか一つ)、BCT層B5、COTB4、TCT層B3のうちの使用する単位ブロックを選択することにより、反射防止膜を形成する場合、しない場合のいずれにも対応することができる。またこの際、使用する単位ブロックのウエハWの搬送経路は同じであるので、1台の塗布、現像装置にてロット毎に異なる塗布膜を形成する場合においても、搬送プログラムの煩雑化を抑えて、簡易な搬送プログラムとし、ソフトウェアの簡易化を図ることができる。
この際、どの単位ブロックB1〜B5を使用して処理を行なうかは、既述のように、目的の塗布膜に応じて制御部6に格納されたウエハWの搬送先の単位ブロックと、単位ブロック毎のウエハWの搬送フローレシピとから、ウエハが搬送される単位ブロックと搬送フローレシピを選択することにより決定される。
つまり例えば反射防止膜を形成しない処理では、DEV層B1,B2とCOT層B4とのみを選択し、この場合には、例えばキャリア20→トランスファーアームC→棚ユニットU5の第1の受け渡しステージTRSーF→第1の受け渡しアームD1→第1の受け渡しステージTRS4→COT層B4のメインアームA4→疎水化処理ユニット(ADH)→冷却ユニット(COL4)→塗布ユニット31→加熱ユニット(CHP4)→棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS9→インターフェイスアームB→露光装置S4→インターフェイスアームB→第2の受け渡しステージTRS6(TRS7)→DEV層B1(B2)の経路で搬送される。
またレジスト膜の下部のみに反射防止膜を形成する場合には、DEV層B1(B2)とBCT層B5とCOT層B4のみを選択し、この場合には例えばキャリア20→トランスファーアームC→棚ユニットU5の第1の受け渡しステージTRSーF→第1の受け渡しアームD1→第1の受け渡しステージTRS5→BCT層B5のメインアームA5→冷却ユニット(COL5)→第1の反射防止膜形成ユニット34→加熱ユニット(CHP5)→第2の受け渡しステージTRS10→第2の受け渡しアームD2→第2の受け渡しステージTRS9→COT層B4のメインアームA4→疎水化処理ユニット(ADH)→冷却ユニット(COL4)→塗布ユニット31→加熱ユニット(CHP4)→棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS9→インターフェイスアームB→露光装置S4→インターフェイスアームB→第2の受け渡しステージTRS6(TRS7)→DEV層B1(B2)の経路で搬送される。
さらにレジスト膜の上部のみに反射防止膜を形成する場合には、DEV層B1(B2)とCOT層B4とTCT層B3のみを選択し、このときには、例えばキャリア20→トランスファーアームC→棚ユニットU5の第1の受け渡しステージTRSーF→第1の受け渡しアームD1→第1の受け渡しステージTRS4→COT層B4のメインアームA4の順序で搬送する。COT層B4内のウエハWの搬送経路及びCOT層B4以降のウエハWの搬送経路は上述の例と同様である。
このように選択された各塗布膜形成用の単位ブロック(COT層B4、BCT層B5、TCT層B3)内でのウエハWの搬送経路は同じであるので、異なる塗布膜を形成する場合であっても、使用する単位ブロックを選択し、当該単位ブロックにウエハWを搬送するだけでよく、搬送プログラムが簡単である。
さらにまた上述の実施の形態では、5層の単位ブロックB1〜B5に対してウエハWの受け渡しを行うための受け渡しアームと受け渡しステージとを、処理ブロックS2のキャリアブロックS1に隣接する領域と、インターフェイスブロックS3に隣接する領域の両方に設けているので、各塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5で処理されたウエハWを第1及び第2の受け渡しアームD1,D2のどちらのアームを用いて次層に受け渡してもよく、ウエハWの搬送経路の自由度が大きい。
つまり上述のレジスト膜の上下に反射防止膜を形成する場合で言えば、BCT層B5にて反射防止膜を形成した後、棚ユニットU5の第1の受け渡しステージTRS5を介して第1の受け渡しアームD1によりCOT層B4にウエハWを受け渡すようにしてもよいし、棚ユニットU6の第1の受け渡しステージTRS10を介して第2の受け渡しアームD2によりCOT層B4にウエハWを受け渡すようにしてもよい。
また搬送経路の自由度が高いことから、各単位ブロックB1〜B5のメインアームA1〜A5や第1及び第2の受け渡しアームD1,D2の搬送プログラムの作成が容易になる。さらにこのように各塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5で処理されたウエハWを第1及び第2の受け渡しアームD1,D2のどちらのアームを用いて次層に受け渡してもよいことから、1本の受け渡しアームD1,D2の負荷が分担され、さらにスループットの向上を図ることができる。
さらにまた各単位ブロック間の間でウエハWの受け渡しを行なうための第1及び第2の受け渡しステージTRS1〜TRS10と、この受け渡しステージにアクセスするための専用の受け渡しアームD1,D2とを設けているので、各単位ブロック間のウエハWの搬送系の構成がシンプルなものとなり、この点からも搬送プログラムの簡易化を図ることができる。
ここで前記塗布膜形成用の単位ブロックは、互いに液処理ユニットの薬液の種類が異なるだけであるので、塗布液等の薬液の配管や、排液路や排気路等の配管を近くにまとめることができ、また電気系統のケーブル等も近くにまとめることができて、前記配管やケーブル等の引き回しが単純化し、組み立て作業が容易となる。このため製造に要する時間の短縮を図ると共に、製造スループットが高まるので製造コストを低減することができる。
またこれらBCT層B5、COT層B4、TCT層B3を、既述のように同じ単位ブロックにより構成し、つまり液処理ユニット、加熱ユニット、冷却ユニット、メインアームの配置レイアウトを単位ブロック同士の間で同じになるように構成し、液処理ユニットの薬液の種類のみを変えるようにすれば、同じ単位ブロックを製造すればよいので、構成が異なる単位ブロックを製造する場合に比べて製造作業が容易となり、製造ミスが少なくなる。このため製造スループットが高まり、製造コストを低減することができる。また共通の部材を用いることができるので、この点からも製造コストの低減に貢献することができる。さらに前記BCT層B5、COT層B4、TCT層B3を同じ単位ブロックにより構成すれば、既述のように製造ミスが少なくなるため、精度が高くなり、調整が容易となる。このため、調整に要する時間が短縮されるという利点もある。
さらにまた塗布膜形成用の単位ブロックのいずれかに異常が発生して使用できなくなった場合にも、この単位ブロックを用いずに残りの2つの塗布膜形成用の単位ブロックを使用して塗布膜の形成を行うこともできる。
続いて本発明の第2の実施の形態について図10に基づいて説明する。この例は、露光装置S4として、ウエハWの表面に液層を形成して液浸露光を行なう装置を用いると共に、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に補助ブロックS5を設け、かつ塗布膜形成用の単位ブロックとして、例えばCOT層B4の上層側や、TCT層B3の上層側に、第2の反射防止膜の上に撥水性の保護膜を形成するためのユニットを有する単位ブロック(図示せず)をさらに積層して設ける例である。前記撥水性の保護膜を形成するためのユニットとは、液浸露光対応時に求められる液処理ユニットである、液浸露光される際の液体がレジストに含浸されるのを防ぐための保護膜を塗布する撥水性保護膜塗布ユニットであり、またこの単位ブロックには露光後の保護膜の除去や露光前後にウエハWに付着したパーティクルや、露光に支障をきたす成分を除去洗浄するための洗浄ユニットが設けられても良い。
前記補助ブロックS5には、例えば塗布膜形成後露光処理前に行う検査や、露光処理後現像処理前の検査を行うための検査ユニット71や、液浸露光後の例えば洗浄処理を行なうための洗浄ユニット72と、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しを行なうための受け渡しステージTRSを多段に設けた棚ユニットU7と、処理ブロックS2の棚ユニットU6の例えば受け渡しステージTRS6〜TRS8と、検査ユニット71と、洗浄ユニット72と、棚ユニットU7の各部に対してウエハWの受け渡しを行うための第3の受け渡しアームEと、を備えている。これら検査ユニット71や洗浄ユニット72は多段に構成されてもよいし、受け渡しアームEの両側に、洗浄ユニット72又は検査ユニット71のみを設けるようにしてもよく、配置は自在である。
前記第3の受け渡しアームEは、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成され、前記塗布膜形成後露光処理前に行う検査としては、塗布膜の膜厚の検査や異物検査等があり、露光処理後現像処理前に行う検査としては、露光重ね合わせ検査等がある。またこれらに限らず、基板上のアライメントマークを検出するユニットや、レーザー処理により膜を一部除去するユニットを設けるようにしてもよい。
そして前記補助ブロックに設けられるユニットとしては、ウエハ表面の状態を検査するための、例えばウエハWに形成された塗布膜の膜厚を検査するための膜厚検査ユニット、レジスト液の塗布ムラを検出するための塗布ムラ検出装置、露光前及び/又は露光後の基板を洗浄するための洗浄ユニット、露光装置にて生じるパターンの位置ずれを検出するためのデフォーカス検査装置、現像処理の不良を検出するための現像不良検出装置、ウエハWに付着したパーティクル数を検出するためのパーティクル数検出装置、レジスト塗布後のウエハW表面にレジスト液中の気泡や異物によって発生するコメットを検出するためのコメット検出装置、ウエハW表面から飛び出したレジスト液の溶剤がウエハWに再付着するスプラッシュバックを検出するスプラッシュバック検出装置、ウエハW表面の同一場所に同一の形状で現れる共通欠陥を検出する共通欠陥検出装置、現像処理後のウエハWに残存するレジスト残渣を検出するためのスカム検出装置、レジスト塗布処理及び/又は現像処理がされていない不具合を検出するためのNO RESIST,NO DEVELOP検査装置(不具合検出装置)、ウエハW上に形成されたレジスト膜の線幅を測定するための線幅測定装置、露光装置にて露光されたウエハWとフォトマスクとの重ね合わせ精度を規格値と比較して検査するための重ね合わせ検査装置の少なくとも一つが設けられる。
前記デフォーカス検査は予め登録された正しいパターンとの比較によって露光装置における焦点ぼけを検出するものであり、線幅測定装置とは、例えば予め登録された正しいパターンとの比較によって露光装置における露光量や露光時間が適正がどうかを検出するものであり、重ね合わせ検査装置とは、例えば下層のパターンと比較できるようにされた特定の部位のパターンを、予め登録された正しいパターンと比較することによって露光装置における露光位置の位置ずれを検出するものである。
このような構成では、ウエハWに対して露光後に洗浄処理を行なう場合には、例えば上述の第1の実施の形態と同様に、ウエハWは、キャリアブロックS1→BCT層B5→COT層B4→TCT層B3→撥水性の保護膜を形成するための単位ブロックの順序で搬送され、次いで棚ユニットU6の第2の受け渡しステージ→第2の受け渡しアームD2→例えば第2の受け渡しステージTRS8→補助ブロックS5の第3の受け渡しアームE→棚ユニットU7の受け渡しステージ→インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→露光装置S4の経路で搬送され、露光後のウエハWは、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→補助ブロックS5の棚ユニットU7の受け渡しステージ→第3の受け渡しアームE→洗浄ユニット72→第3の受け渡しアームE→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS6(TRS7)→メインアームA1,A2→DEV層B1(B2)の経路で搬送される。
また各種の検査を行なう場合には、一定枚数おきに抜き出されたウエハWに対して所定の検査が行なわれる。例えば塗布膜形成後の検査の場合には、露光装置S4に搬送される前に補助ブロックS5にて検査が行なわれ、露光後の検査の場合には露光装置S4から補助ブロックS5に戻ってきたウエハWに対して検査が行なわれ、現像処理後の検査の場合には処理ブロックS2にて現像処理を行なった後、再び補助ブロックS5にウエハWを搬送して検査が行なわれる。
ここで前記第2の反射防止膜の上に形成される撥水性の保護膜を形成するのは、当該保護膜により液浸露光時の液体を弾き、前記液体をウエハWの表面に残り難くするためであり、例えばウエハWの表面及び周縁部裏面側に形成される。また液浸露光後の洗浄処理は、前記保護膜がウエハWから剥がれてパーティクルの発生原因となることを抑えるために、この保護膜を除去するために行われるものであり、例えばウエハWの表面及び裏面側周縁部に前記保護膜を除去するための薬液を供給して前記保護膜を除去し、次いで前記薬液を洗浄するための洗浄液を供給することにより行なわれる。
この実施の形態では、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に、検査ユニットや洗浄ユニットを備えた補助ブロックS5を設けたので、例えば前記塗布膜形成後露光処理前に検査や洗浄を行なう場合、及び/又は露光処理後現像処理前に検査や洗浄を行なう場合に、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間のウエハWの通り道にて、前記検査や洗浄を行うことができる。このためウエハWの搬送経路の複雑化を抑えながら、塗布膜形成後や露光処理後の適切なタイミングや検査や洗浄を行なうことができ、このような検査や洗浄を行なう場合であっても、搬送プログラムの複雑化を抑えることができる。
この実施の形態においても、反射防止膜を形成しない場合には、レジスト膜の上に前記保護膜を形成するようにしてもよいし、洗浄処理は、露光処理の前後のいずれか、又は露光処理の前後両方にて行うようにしてもよい。また保護膜を有しない場合には、前記洗浄ユニット72は、単にウエハWの汚れを除去するために使用される。
以上において本発明では、現像処理用の単位ブロックB1,B2のみにウエハWを搬送して処理を行うようにしてもよい。また現像処理用の単位ブロックを1層としてもよいし、上述の実施の形態のように塗布膜形成用の単位ブロックを、下方側から上方側に向かって順番にTCT層、COT層、BCT層となるように配列すると、露光処理前の最後の塗布処理を行なうTCT層やCOT層と、露光処理後の処理を行なおうDEV層とが近いので、インターフェイスアームBのアクセス領域が狭められるという利点があるが、塗布膜形成用の単位ブロックを、下方側から上方側に向かって順番にBCT層、COT層、TCT層となるように配列するようにしてもよい。
さらにまた本発明では、トランスファーアームCにてアクセスできる棚ユニットU5の受け渡しステージは、DEV層B1,DEV層B2に限られず、トランスファーアームCと積層された単位ブロックの1つ以上の単位ブロックとの間でウエハWの受け渡しが行われるものであればよい。さらにまた棚ユニットU6についてもインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しを行うための専用の第2の受け渡しステージTRSを設け、この第2の受け渡しステージTRSと第2の受け渡しアームD2とを介して各単位ブロックB1〜B5とインターフェイスブロックS2との間でウエハWの受け渡しを行なうようにしてもよい。さらにDEV層B1,B2内のモジュールについては共通のメインアームAを用いてウエハWの搬送を行うようにしてもよい。
また各単位ブロックに設けられる棚ユニットU5、U6の受け渡しステージTRSは1個以上であればよく、冷却機能を備えたものであってもよい。さらにキャリアブロックS1とインターフェイスブロックS3との間でウエハWの受け渡しを行なう単位ブロックには、トランスファーアームCとインターフェイスアームBとの間、又は棚ユニットU5と棚ユニットU6との間で、ウエハWの搬送を行なうためのメインアームAとは別個の、専用の搬送手段を設けるようにしてもよい。さらにまた棚ユニットU5,U6には、受け渡しステージ以外のモジュール例えば冷却ユニットなどを設けるようにしてもよいし、処理ブロックS2に積層される単位ブロックB1〜B5の処理ユニットとして、目的に応じた検査ユニットを設けるようにしてもよい。例えばCOT層B4及びTCT層B3に設けられた周縁露光装置(WEE)の代わりに、膜厚測定器を設けるようにしてもよいし、DEV層B1,B2にパターン重ね合わせ検査や現像処理後の現像欠陥検査ユニットを設けるようにしてもよい。また単位ブロックに検査ユニットを設けるようにしてもよく、この場合メインアームAの搬送路の両側に検査ユニットを設けるようにしてもよいし、検査ユニット専用の単位ブロックを設けるようにしてもよい。
さらにDEV層B1,B2内のモジュールについてはメインアームAだけで共用してウエハWの搬送を行うようにしてもよい。また本発明は半導体ウエハのみならず液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板を処理する塗布、現像装置にも適用できる。
また本発明のレジストパターン形成装置は、以下のように構成してもよい。この実施の形態について図11〜図16を用いて説明すると、この例は、補助ブロックS5内に、液浸露光される際の液体がレジストに含浸されるのを防ぐための保護膜を塗布する撥水性保護膜塗布ユニット(ITC)(以下「保護膜塗布ユニット(ITC)」という)と、この撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」という)とを設けると共に、インターフェイスブロックS3に液浸露光の前後にウエハWを洗浄するための洗浄ユニット(RD)を設けるものである。
ここで液浸露光について簡単に説明すると、この液浸露光とは、基板の表面に光を透過させる液層を形成した状態で露光することにより、露光の解像度を上げることを目的とするものであって、例えば光を純水の中を透過させ、水中では光の波長が短くなることから193nmのArFの波長が水中では実質134nmになる、という特徴を利用して露光を行うものである。
ところで液浸露光では、レジストの表面に液層を形成するため、レジストが液相側に溶出してその溶出成分がウエハW上に残ってしまったり、露光処理終了後に、ウエハWの表面に形成された液層をウエハWから排出する際に、ウエハ表面に液滴例えば微小な水滴が残留するおそれがある。このようにレジストの溶出分や液滴がウエハWに残存すると、前記溶出分がウエハWに付着し、欠陥原因となるパーティクルの発生要因となったり、露光処理後の加熱処理時に溶出分から発生するパーティクルが固着や溶着を起こしてしまい、パターンの線幅に影響を及ぼしたり、液滴の存在で露光処理後の加熱処理時に温度差が発生し、熱処理の面内均一性が悪化したり、液滴が空気と反応してウエハW表面のウォーターマークの発生原因となるという問題がある。
このため液浸露光処理では、ウエハWにレジスト液を塗布した後液浸露光を行なう前に、レジストの溶出を抑えると共に、液浸露光時の液体をウエハW表面に残りにくくするために、撥水性の保護膜をウエハW表面に塗布しており、この処理が保護膜塗布ユニット(ITC)にて行なわれる。またこの保護膜が塗布された状態で現像処理を行うと現像液によりレジストが溶解できなくなるため、現像処理の前にこの保護膜を除去する必要があり、この処理が保護膜除去ユニット(ITR)にて行なわれる。さらにより確実にウエハWに付着したレジスト液の溶出成分や、液浸露光時の液体である水滴を除去するために、液浸露光処理を行なった後にウエハWの表面を洗浄しており、この洗浄が洗浄ユニット(RD)にて行なわれる。
続いてこの実施の形態のレイアウトについて具体的に説明すると、キャリアブロックS1及び処理ブロックS2については、単位ブロックS1〜S5の積層順序が異なる以外には、既述の図1に示すレジストパターン形成装置とほぼ同様に構成されている。
ここで前記図1に示すレジストパターン形成装置と異なる点について説明すると、処理ブロックS2は、図12に示すように、下方側から順に2個のDEV層B1,B2と、BCT層B5と、COT層B4と、TCT層B3とが、この順序で積層されていること、キャリアブロックS1からのウエハWが、BCT層B5の受け渡しステージTRS5を介して直接BCT層B5に受け渡されること、処理ブロックS3からのウエハWが、COT層B4の受け渡しステージTRS9又はBCT層B5の受け渡しステージTRS10を介して補助ブロックS5に受け渡されることである。なお図12では、図示の便宜上棚ユニットU5,U6には、各単位ブロックB1〜B5毎に夫々1個の第1の受け渡しステージTRS1〜TRS5、第2の受け渡しステージTRS6〜TRS10のみを描いている。
そしてこの処理ブロックS2に隣接して設けられる補助ブロックS5では、中央に第4の受け渡しアームFが設けられ、この受け渡しアームFの周り、例えばキャリアブロックS1から見て奥側と右側と左側には、夫々棚ユニットU7,U8,U9が設けられている。前記棚ユニットU7には、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームBとの間でウエハWの受け渡しを行なうための受け渡しステージTRS11,TRS12が多段に積層され、棚ユニットU8には、例えば保護膜塗布ユニット(ITC)と、保護膜除去ユニット(ITR)とが多段に積層され、棚ユニットU9には、既述の検査ユニット71や、既述の冷却ユニット(COL)、加熱ユニット(CHP)等の加熱・冷却系のユニット等が多段に積層して設けられている。
ここで棚ユニットU7〜U9に設けられた各部の位置関係について図12、図13を用いて説明する。例えばこの例では、棚ユニットU8では、2個の保護膜除去ユニット(ITR)の上に2個の保護膜塗布ユニット(ITC)401が積層されるように多段に積層され、下方側の2個の保護膜除去ユニット(ITR)402は、処理ブロックS2の2つのDEV層B1,B2に対応する位置に設けられ、上方側の2個の保護膜塗布ユニット(ITC)は、処理ブロックS2のBCT層B5とCOT層B4とに対応する位置に設けられている。
また棚ユニットU7の受け渡しステージTRS11,TRS12は、例えば一方の受け渡しステージTRS12が保護膜塗布ユニット401のいずれか、他方の受け渡しステージTRS11が保護膜除去ユニット402のいずれかに対応するように、この例では、棚ユニットU8の中段の保護膜塗布ユニット401と保護膜除去ユニット402に対応する位置に設けられており、一方側例えば受け渡しステージTRS12が補助ブロックS5からインターフェイスブロックS3へウエハWを受け渡す際に用いられ、他方側例えば受け渡しステージTRS11がインターフェイスブロックS3から補助ブロックS5へウエハWを受け渡す際に用いられるようになっている。
そして前記第4の受け渡しアームFは、例えば図13に示すように、上下に2段に設けられており、上方側の受け渡しアームF1は、処理ブロックS2のBCT層B5とCOT層B4との間でウエハWの受け渡しを行なうと共に、当該補助ブロックS5の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS9,TRS10と、棚ユニットU8の保護膜塗布ユニット(ITC)と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
また下方側の受け渡しアームF2は、処理ブロックS2のDEV層B1,B2との間でウエハWの受け渡しを行なうと共に、当該補助ブロックS5の棚ユニットU7〜U9の各部に対してウエハWの受け渡しを行なうように構成され、例えば処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS6,TRS7と、棚ユニットU8の保護膜除去ユニット(ITR)と、棚ユニットU7の受け渡しステージTRS11と、棚ユニットU9の対応する各部に対してウエハWの受け渡しを行うように構成されている。
この受け渡しアームF1,F2は、例えばメインアームA1〜A5と同様に構成され、棚ユニットU9を支持する図示しない台部のアームF1,F2の搬送領域に臨む面に取り付けられたY軸レール107に沿って、例えば図中Y方向に移動自在、進退自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。またインターフェイスブロックS3においては、インターフェイスアームBがアクセスできる位置に、液浸露光後にウエハWを洗浄するための、例えば2個の洗浄ユニット(RD)403が積層されて設けられている。
さらにキャリアブロックS1のトランスファーアームCの搬送領域の上方側にはフィルタユニット(FFU)404が設けられ、このフィルタユニット404から所定流量の、温度と湿度とが調整された清浄気体を供給することにより、前記搬送領域内に清浄気体のダウンフローが形成されるように構成されている。さらにインターフェイスブロックS3の上方側には、ULPAフィルタ405が設けられており、このULPAフィルタ405によりゴミ、塵埃などが除去された清浄空気が、インターフェイスブロックS3内に供給されるようになっている。なお既述の実施の形態においても、キャリアブロックS1、インターフェイスブロックS3に夫々フィルタユニット404やULPAフィルタ405を設けるようにしてもよい。
続いて前記保護膜塗布ユニット401、保護膜除去ユニット402、洗浄ユニット403の構造について簡単に説明するが、これらはほぼ同じ構造であるので、先ず図14を用いて保護膜除去ユニット402を例にして説明する。図中410は基板保持部をなすスピンチャックであり、真空吸着によりウエハWを水平に保持するように構成されている。このスピンチャック410は駆動部411により鉛直軸回りに回転でき、かつ昇降できるようになっている。またスピンチャック410の周囲にはウエハWからスピンチャック410に跨る側方部分を囲うカップ412が設けられ、当該カップ412の底面には排気管413やドレイン管414などを含む排液部が設けられている。
また図中420は、ウエハWのほぼ回転中心に、保護膜を剥離するための剥離液を供給するための薬液ノズルであり、この薬液ノズル420は、移動機構421により、処理容器430の長さ方向(Y方向)に沿って設けられたガイドレール422に沿って、カップ412の一端側の外方側に設けられた待機領域423と、ウエハWのほぼ回転中心に薬液を供給する位置との間で移動自在、かつ昇降自在に構成されている。
さらに図中424は、ウエハWのほぼ回転中心に洗浄液を供給するための洗浄ノズルであり、この洗浄ノズル424は、移動機構425により、前記ガイドレール422に沿って、カップ412の他端側の外方側に設けられた待機領域426と、ウエハWのほぼ回転中心に洗浄液を供給する位置との間で移動自在、かつ昇降自在に構成されている。さらに431は処理容器430の受け渡しアームF2の搬送領域に臨む面に形成されたウエハWの搬入出口であり、開閉シャッタ432が設けられている。
そしてこの保護膜除去ユニット402では、ウエハWは受け渡しアームF2により、搬入出口431を介して処理容器430内に搬入され、スピンチャック410に受け渡される。そして薬液ノズル420から当該ウエハWのほぼ回転中心に保護膜除去用の剥離液を供給すると共に、スピンチャック410を回転させ、前記剥離液を遠心力によりウエハWの径方向に広げ、こうして前記剥離液をウエハW表面に形成された保護膜の上全体に供給し、これにより保護膜をウエハW表面から剥離させる。
この後、薬液ノズル420を待機領域423に移動させる一方、洗浄ノズル424をウエハWのほぼ回転中心に洗浄液を供給する位置に移動させて、ウエハWのほぼ回転中心に洗浄液を供給すると共に、スピンチャック410を回転させる。こうして前記洗浄液を遠心力によりウエハWの径方向に広げ、これによりウエハW表面から剥離された保護膜を洗浄液により洗い流して除去する。続いてウエハWを高速で回転させ、ウエハW表面の洗浄液を乾燥させた後、ウエハWを搬入出口431を介して第4の受け渡しアームF2により保護膜除去ユニット402の外部に搬出させるようになっている。
また保護膜塗布ユニット401においては、薬液ノズル420からウエハW表面に保護膜形成用の薬液を供給すると共に、洗浄ノズル424が設けられていない点を除いて保護膜除去ユニット402と同様に構成される。そして薬液ノズル420から当該ウエハWのほぼ回転中心に保護膜形成用の薬液を供給すると共に、スピンチャック410を回転させ、前記薬液を遠心力によりウエハWの径方向に広げ、ウエハW表面に薬液の液膜を形成して保護膜を形成するようになっている。
続いて洗浄ユニット403について説明すると、この洗浄ユニット403は、洗浄ノズル424からウエハW表面に洗浄液例えば純水を供給すると共に、薬液ノズル420が設けられていない点を除いて保護膜除去ユニット402と同様に構成される。また前記洗浄ノズル424は、ガイドレール422に沿って移動したときに、ウエハWのほぼ回転中心を通る直線L上に、当該洗浄ノズル424から洗浄液が供給されるように構成されている。
この洗浄ユニット403では、図15(a)に示すように、スピンチャック410を回転させた状態で、先ず洗浄ノズル424から当該ウエハWのほぼ回転中心に洗浄液を供給し、次いで図15(b)に示すように当該洗浄ノズル424をウエハWの外縁に向けて徐々に移動させながら、ウエハWの前記直線L上に洗浄液を供給する。
このようにすると、洗浄液は遠心力によりウエハWの径方向に広がっていくが、ウエハWのほぼ回転中心Oに洗浄液を供給したときには、図16(a)に示すように前記回転中心Oを中心とする同心円状に広がっていく。また洗浄ノズル424からの洗浄液の供給ポイントPをウエハWの外縁に向けて移動させると、ウエハWは回転していることから、この供給ポイントPを結ぶ円(図16(b)に点線で示す円)上に洗浄液が供給されることになり、洗浄液はこの供給ポイントPを結ぶ円の外側に拡散していく。こうしてウエハWの中心Oから外縁に向けて前記ウエハWの前記直線L上に洗浄液を供給していくことにより、洗浄液により濡れる領域が、ウエハWの中心Oから外側に徐々にシフトしていき、結果としてウエハW表面全体が洗浄される。
この際、洗浄液により濡れる領域が、ウエハWの中心Oから外側に徐々にシフトしていくので、ウエハWの中心から外側へ向けて順に洗浄されることになる。また洗浄液を遠心力により広げているため、洗浄液の供給ポイントPの内側には洗浄液は広がっていかないので、ウエハWは中心から順次乾燥していき、この領域の液滴の残存が抑えられる。これによりウエハWに付着したレジスト液の溶出成分や、液浸露光時の液体を確実に除去することができるので、レジストの溶出分の付着が原因となるパーティクルの発生や、パターンの線幅への悪影響が抑えられ、ウエハWに残存する液滴が原因となる熱処理の面内均一性の悪化や、ウォーターマークの発生が防止できる。
このような構成のレジストパターン形成装置において、液浸露光処理を行い、次いで当該露光処理後に洗浄処理を行なう場合には、例えば上述の第1の実施の形態と同様に、ウエハWは、キャリアブロックS1→BCT層B5→COT層B4→TCT層B3の順序で搬送され、次いで棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS8→第2の受け渡しアームD2→第2の受け渡しステージTRS9(又は受け渡しステージTRS10)→補助ブロックS5の第4の受け渡しアームF1→棚ユニットU8の保護膜塗布ユニット401→棚ユニットU7の受け渡しステージTRS12→インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→露光装置S4の経路で搬送され、露光後のウエハWは、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→洗浄ユニット403→インターフェイスアームB→補助ブロックS5の棚ユニットU7の受け渡しステージTRS11→第4の受け渡しアームF2→棚ユニットU8の保護膜除去ユニット402→第4の受け渡しアームF2→処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS6(又は受け渡しステージTRS7)→メインアームA1,A2→DEV層B1(B2)の経路で搬送される。
この実施の形態では、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間に設けられた補助ブロックS5に、液浸露光を行なう場合に必要なユニットである保護膜塗布ユニット401や保護膜除去ユニット402を設けたので、この補助ブロックS5を組み込むことにより、処理ブロックS2のレイアウトを変更することなく、液浸露光を行なう場合と液浸露光を行わない場合とに対応することができる。この際液浸露光を行なわない場合には、補助ブロックS5内を素通りするようにウエハWを搬送すればよい。
またここに、前記塗布膜形成後露光処理前の処理を行なう保護膜塗布ユニット401や、露光処理後現像処理前の処理を行なう保護膜除去ユニット402を設けると、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間のウエハWの通り道にて、前記処理を行うことができる。なおここでいう塗布膜とは、レジスト膜や反射防止膜である。このためウエハWの搬送経路の複雑化を抑えながら、塗布膜形成後や露光処理後の適切なタイミングで処理を行なうことができ、このような処理を行なう場合であっても、搬送プログラムの複雑化を抑えることができる。
さらにインターフェイスブロックS3に洗浄ユニット403を設けることにより、インターフェイスブロックS3の空いているスペースを洗浄ユニット403の設置スペースとして有効利用できる。このため洗浄ユニット403を設けたとしても、処理ブロックS2やインターフェイスブロックS3に設けられた棚ユニットに洗浄ユニット403を組み込む必要がなく、これらの棚ユニットに設けられるユニットの種類や数、レイアウトを変更しなくて済み、また他の設置スペースを別個に設けなくても良いので、装置の大型化を抑えることができる。
さらにインターフェイスブロックS3に洗浄ユニット403を設けることにより、液浸露光装置S4から洗浄ユニット403までのウエハWの搬送距離が短く、液浸露光後直ちに洗浄できるので、仮にウエハWにレジストの溶出分や液滴が付着していたとしても、より確実に洗浄することができる。つまり液浸露光後にレジストの溶出分や液滴が付着した状態で長い距離を搬送すると、ウエハWが空気と接触する時間が長くなり、前記溶出分や液滴と空気とが反応してウォーターマーク等の容易に洗浄できない状態に変化するおそれがあるが、この例のように液浸露光装置S4の近くに洗浄ユニット403が設けられていると、前記溶出分や液滴が空気接触により変化するおそれが少なく、洗浄液による洗浄で容易に前記溶出分等をウエハW表面から除去することができる。
なおこの実施の形態においても、反射防止膜を形成しない場合には、レジスト膜の上に前記保護膜を形成するようにしてもよいし、洗浄処理は、露光処理の前後のいずれか、又は露光処理の前後両方にて行うようにしてもよい。また保護膜を有しない場合には、前記洗浄ユニット403を、単にウエハWの汚れを除去するために使用してもよいし、この洗浄ユニット403は補助ブロックS5内に組み込むようにしてもよい。
さらに本発明では、例えば図17〜図19に示すように、図1に示すレジストパターン形成装置のように補助ブロックS5を設けない構成において、単位ブロックの一つとして保護膜塗布用の単位ブロック(ITC層)B6を設け、DEV層B1,B2に保護膜除去ユニット402を設けるようにしてもよい。この例は、レジストの上層側に反射防止膜を形成せずに、保護膜を形成する場合に対応するレイアウトであり、処理ブロックS2は、図18に示すように、下方側から順に2個のDEV層B1,B2と、BCT層B5と、COT層B4と、ITC層B6とがこの順序で積層されており、前記ITC層B6は、液処理ユニットとして前記保護膜塗布ユニット401が設けられる以外は、TCT層B3と同様に構成される。
また、DEV層B1,B2では、液処理ユニットとして図17に示すように、例えば2個の現像ユニットと、1個の保護膜除去ユニット402とが設けられており、インターフェイスブロックS3に洗浄ユニット403が設けられている。そしてキャリアブロックS1からのウエハWは、BCT層B5の受け渡しステージTRS5を介して直接BCT層B5に受け渡され、処理ブロックS3からのウエハWは、例えばBCT層B5の受け渡しステージTRS10を介してインターフェイスブロックS3に受け渡されるようになっている。また2つのDEV層B1,B2では、共通のメインアームA2により各部にウエハWを搬送するように構成され、第1及び第2の受け渡しステージTRS2,TRS7、棚ユニットU1,U2,U3は、DEV層B2のみに設けられるように構成されている。なお図17では、図示の便宜上棚ユニットU5,U6には、DEV層B2、BCT層B5、COT層B4、ITC層B6に、夫々1個の第1の受け渡しステージTRS2,TRS5,TRS4,TRS13、第2の受け渡しステージTRS7,TRS10,TRS9,TRS14のみを描いている。
またキャリアブロックS1のトランスファーアームCの搬送領域の上方側には既述のフィルタユニット(FFU)404が設けられ、インターフェイスブロックS3の上方側には、ULPAフィルタ405が設けられる点は、上述の図11に示す装置と同様である。
このような構成のレジストパターン形成装置において、液浸露光処理を行い、次いで当該露光処理後に洗浄処理を行なう場合には、例えば上述の第1の実施の形態と同様に、ウエハWは、キャリアブロックS1→BCT層B5→COT層B4→ITC層B6の順序で搬送され、次いで棚ユニットU6の第2の受け渡しステージTRS14→第2の受け渡しアームD2→第2の受け渡しステージTRS10→インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→露光装置S4の経路で搬送され、露光後のウエハWは、インターフェイスブロックS3のインターフェイスアームB→洗浄ユニット403→インターフェイスアームB→処理ブロックS2の棚ユニットU6の受け渡しステージTRS7→メインアームA2→DEV層B1(B2)の保護膜除去ユニット402→メインアームA2→DEV層B1(B2)の経路で搬送される。
この実施の形態においても、処理ブロックS2に保護膜を塗布するための単位ブロック(ITC層)B6を積層すると共に、インターフェイスブロックS3に露光処理後の洗浄ユニット403を設け、DEV層B1,B2に保護膜除去ユニット402を設けているので、処理ブロックS2と露光装置S4との間のウエハWの通り道にて、液浸露光前の保護膜の形成、露光処理後の洗浄処理、当該洗浄処理後現像処理前の保護膜の除去処理をウエハWの搬送経路を逆行することなく行うことができる。このためウエハWの搬送経路の複雑化を抑えながら、塗布膜形成後や露光処理後の適切なタイミングで所定の処理を行なうことができ、このような処理を行なう場合であっても、搬送プログラムの複雑化を抑えることができる。さらにインターフェイスブロックS3に洗浄ユニット403を設けることにより、インターフェイスブロックS3の空いているスペースを有効利用でき、液浸露光装置S4から洗浄ユニット403までのウエハWの搬送距離が短いという効果も得られる。
なおこの実施の形態においては、レジスト膜の上に反射防止膜を形成し、さらにその上に保護膜を形成するようにしてもよく、この場合には例えば処理ブロックS2の下方側から2個のDEV層B1,B2、BCT層B5、COT層B4、TCT層B3、ITC層B6の順序で積層するように構成される。
さらに本発明では、前記棚ユニットU5に設けられる第1の受け渡しステージと、棚ユニットU6に設けられる第2の受け渡しステージの少なくとも一つをウエハWの温度調整するための温調ユニット(CPL)を兼用する構成としてもよい。この温調ユニット(CPL)500は、塗布膜が形成される前のウエハWを載置して、当該ウエハWに対して塗布膜形成用の薬液を塗布する処理を行うときの温度に調整するものであり、例えば図20に示すように、加熱ユニットにて加熱されたウエハWを載置して第1の温度に粗調整する第1の温調プレート510と、ウエハWを塗布膜形成用の薬液を塗布する処理を行うときの温度にさらに精密に温度調整する第2の温調プレート520とを備えており、これらは共通の処理容器501内に互いに積層して設けられている。ここで前記塗布膜形成用の薬液を塗布する処理としては、ウエハWに対してレジスト液の塗布処理を行う処理、ウエハWに反射防止膜を形成するときの処理、ウエハWに対して液浸露光の際の撥水性保護膜を形成するときの処理などが挙げられる。
この例では、処理容器501の内部において、上方側に第1の温調プレート510、その下方側に第2の温調プレート520が設けられている。処理容器501内には、当該容器501内を上下方向に区画するためのベースプレート502が設けられており、このベースプレート502は、処理容器501の底壁503から垂直に伸びる第1の支持部504にて支持されている。このベースプレート502の上には、銅又はアルミニウム等の熱伝熱率の良好な部材より構成された、例えば円柱状の載置部511により、裏面側の中心部が支持される状態で第1の温調プレート510が設けられている。
この例では、第1の温調プレート510は、例えばアルミニウムにより構成されており、例えば15mm程度の厚さを持った略円形板状に形成され、ウエハWと略同じ大きさの直径を有している。またその表面には、ウエハWを温調プレート510から0.1mm〜0.3mm程度浮上させた状態で支持するための突起512が設けられている。またこの温調プレート510の周縁部の例えば4ヵ所には、図21に示すように、当該温調プレート510の中心部に向けて切り欠き部513が形成されている。
さらに温調プレート510には、第1のヒートパイプ514が設けられており、このヒートパイプ514は、例えば温調プレート510の裏面側に形成された図示しない溝部に埋め込まれるようにして設けられ、このヒートパイプ514の一部は載置部511に接続されている。ここでヒートパイプ514は、例えば温調プレート510の裏面側全体に張り巡らされるように設けられている。
またベースプレート502には、載置部511の下面と接触するように第2のヒートパイプ515が埋設されており、この第2のヒートパイプ515はベースプレート502に沿ってベースプレート502の一端側に向って伸張するように埋め込まれ、他端側はベースプレート502から伸び出して上方側に屈曲し、この他端側の一部は例えば銅やアルミニウムにより構成された伝熱部材516の表面に接続されている。
ここでヒートパイプ514,515について説明すると、このヒートパイプは、蒸発、凝縮による潜熱の吸収、放出を利用した熱輸送を行う伝熱素子であり、例えばアルミニウムやステンレス、銅等からなる金属製の管体の内壁に多孔質体を貼設して構成されている。前記多孔質体は後述する毛細管現象を得るためのものであって、例えば金属細線を編んで作られた、金網や金属フェルト等よりなる。この管体は両端が塞がれており、内部が排気されて例えば真空状態に設定され、この中には、例えばナトリウムやナフタレンなどよりなる揮発性の液体(作動流体)が少量封入されている。
このようなヒートパイプでは、一端側(蒸発部)が加熱されると作動流体が蒸発し(蒸発潜熱による熱の吸収)、蒸気流となって僅かな圧力差で管体の内部を他端側の凝縮部(低温部)へ高速移動し、ここで前記蒸気流は管体の壁面に接触し冷却されて凝縮する。この際、凝縮熱により熱を放出するので、凝縮部に熱が輸送される。そして凝縮液は多孔質体を通って毛細管現象により、蒸発部へ還流され、再び蒸発→移動→凝縮のサイクルを繰り返して、熱が連続的に輸送されるようになっているため、他端側を冷却するとヒートパイプの表面全体が均一に冷却されるようになっている。なおここでいうヒートパイプとは、必ずしも一般概念でいうパイプに限らず、幅広の空洞部を備えた扁平プレート内にて作動液を封入したものであってもよい。
また前記第2の温調プレート520は、例えばアルミニウムにより構成されており、例えば4mm程度の厚さを持った略円形板状に形成され、ウエハWよりも大きい直径を有している。また内部に、例えば所定の温度に調整された温調液を流すための温調液流路521を備えている。この第2の温調プレート520は、裏面側の周縁領域近傍を処理容器501の底壁503から、第1の支持部504の内側において垂直に伸びる第2の支持部505により支持されており、その表面には、ウエハWを温調プレート520から0.1mm〜0.3mm程度浮上させた状態で支持するための突起522が設けられている。
また前記温調プレート520には、外部の搬送機構との間でウエハWの受け渡しを行うための、冷却プレート520の表面からその先端部が突没自在に設けられた支持ピン506が設けられ、前記第1の支持部505の内部には、前記支持ピン506の昇降機構507が設けられている。
図中530は温度調整された温調液を循環される温調液循環路であり、例えばアルミニウム等の熱伝導性の良好な部材により形成された通流パイプより、処理容器501を上下方向に貫通するように設けられている。またこの温調液循環路530は、前記伝熱部材515の略中心を貫通するように設けられ、さらに温調液循環路530には、第2の温調プレート520の温調液流路521に、前記温調液を供給するための温調液供給路531と、第2の温調プレート520の温調液流路521から温調液を排出するための温調液排出路532とが接続されている。図中534は、処理容器501の外部に設けられた温調液の温調機構である。
こうして温調液循環路530に所定の温度例えば23℃に調整された温調液を循環させると、第1のヒートパイプ514は、載置部511、第2のヒートパイプ515、伝熱部材516を介して温調液循環路530の外面に熱的に接触しているので、温調液循環路530の外面の熱が伝熱部材516→第2のヒートパイプ515→載置部511→第1のヒートパイプ514の経路で伝熱され、こうして第1のヒートパイプ514は温調液循環路530の外面の温度に温度調整される。これにより第1の温調プレート510の表面は23℃にほぼ精密に温度調整される。また温調液は第2の温調プレート520の温調液流路に循環供給されるので、これにより第2の温調プレート520の表面温度は、常に23℃の温度に正確に温度調整される。
続いて第1の温調プレート510、第2の温調プレート520にウエハWを受け渡すウエハWの搬送機構530について説明すると、この搬送機構530としては、棚ユニットU5に温調ユニット500が設けられている場合には、例えばキャリアブロックS1に設けられたトランスファーアームCや、処理ブロックS2に設けられた第1の受け渡しアームD1、各単位ブロックに設けられたメインアームAが用いられ、棚ユニットU6に温調ユニット500が設けられている場合には、処理ブロックS2に設けられた第2の受け渡しアームD2、各単位ブロックのメインアームAや、インターフェイスブロックS3に設けられたインターフェイスアームB、補助ブロックS5に設けられた第3又は第4の受け渡しアームE,F1,F2が用いられる。
そしてこの搬送機構530は、図21に示すような水平な馬蹄形状の搬送アーム531を有しており、この搬送アーム531の内周の大きさは、第1の温調プレート510の直径よりも若干大きく形成されており、この内周における下部には、内方へ向かう4つの突片533が設けられ、図に示すように、これらの突片533上にウエハWが保持されるようになっている。
搬送アーム531は例えば図示しない駆動機構により搬送基体532を介して昇降自在、かつ進退自在に構成され、第1の温調プレート510にウエハWを受け渡す際には、ウエハWを保持した搬送アーム531が、処理容器501の搬送口(図示せず)を介して処理容器501内に進入する。ここで温調プレート510の外周の切り欠き部513は、夫々搬送アーム531の突片533と対応する位置に設けられていることから、搬送アーム531が温調プレート510に対し上方側から覆い被さるように下降することで、搬送アーム531が温調プレート510の下方側に通過し、搬送アーム531上のウエハWが温調プレート510に受け渡される。ウエハWを受け渡した搬送アーム531は、前方の切り欠き部534が載置部511の外側を通り抜けるように手前側に後退して処理容器501内から退去するようになっている。このため載置部511の直径は前記搬送アーム531に形成された切り欠き部534よりも小さく設定される。
また第2の温調プレート520との間では、第2の温調プレート520の上方側に支持ピン506を突出させ、搬送アーム531が支持ピン506に対し上方側から覆い被さるように下降することで、搬送アーム531上のウエハWが支持ピン506上に受け渡される。ウエハWを受け渡した搬送アーム531は、前方の切り欠き部534が支持ピン506の外側を通り抜けるように手前側に後退して処理容器501内から退去し、次いで支持ピン506が下降することにより、支持ピン506から第2の温調プレート520に対してウエハWが受け渡されるようになっている。このため前記搬送アーム531に形成された切り欠き部534が支持ピン506外側を通過できるように、支持ピン506の位置が設定される。
このような温調ユニット500は、上述のいずれのレジストパターン形成装置に対しても組み込むことができるが、ここでは例えば図17〜図19に示す装置に組み込む場合を例にして説明する。この例では例えば図22に示すように、温調ユニット(CPL)は、棚ユニットU5のBCT層B5、COT層B4、ITC層B6に、温調ユニットCPL5、CPL4、CPL6が夫々設けられ、棚ユニットU6のBCT層B5、COT層B4、ITC層B6に、温調ユニットCPL7、CPL8、CPL9が夫々設けられ、棚ユニットU6のDEV層B2には、2個の温調ユニットCPL1、CPL2が設けられており、一方の温調ユニットCPL2は、処理ブロックS2からインターフェイスブロックS3へウエハWを受け渡す際に用いられ、他方の温調ユニットCPL1は、インターフェイスブロックS3から処理ブロックS2へウエハWを受け渡す際に用いられるようになっている。
なお図22では、図示の便宜上、受け渡しステージTRSはDEV層B2の棚ユニットU5にしか描いていないが、実際には、各単位ブロックの棚ユニットU5,U6に温調ユニットと共に設けるようにしてもよいし、受け渡しステージTRSのみを設けた単位ブロックを備えるように構成してもよい。また棚ユニットUに設ける温調ユニットや受け渡しステージの数は適宜選択される。
そしてこのような装置におけるウエハWの流れについて説明すると、キャリアブロックS1のウエハWは、トランスファーアームCによりBCT層B5の温調ユニット(CPL5)を介してBCT層B5に受け渡され、この温調ユニット(CPL5)の第2の温調プレート520の上に所定時間載置されることにより、ウエハWは(23+0.2)℃に温度調整される。そしてメインアームA5により→第1の反射防止膜形成ユニット34→加熱ユニット(CHP5)→棚ユニットU6の温調ユニット(CPL7)の第1の温調プレート510の順序で搬送される。ここで加熱ユニット(CHP5)では、ウエハWは既述のように加熱プレート53にて加熱された後、冷却プレート54により50℃程度に粗熱取りされるので、ウエハWを温調ユニット(CPL7)の第1の温調プレート510の上に12秒程度載置することにより、ウエハWは50℃から(23+1)℃まで粗冷却される。
続いて温調ユニット(CPL7)のウエハWは第2の受け渡しアームD2により、COT層B4に受け渡すために温調ユニット(CPL8)の第2の温調プレート520に搬送され、この温調プレート520の上に例えば12秒間載置されることにより、ウエハWは(23+1)℃から(23+0.2)℃に冷却される。そしてメインアームA4により疎水化処理ユニット(ADH)→冷却ユニット(COL4)→塗布ユニット31→加熱ユニット(CHP4)→棚ユニットU5の温調ユニット(CPL4)の第1の温調プレート510の順序で搬送され、加熱ユニット(CHP4)の冷却プレート54にて約50℃に粗熱取りされたウエハWは、この第1の温調プレート510の上に12秒程度載置されることにより、ウエハWは(23+1)℃まで粗冷却される。
次いで温調ユニット(CPL4)のウエハWは第1の受け渡しアームD1によ
り、ITC層B6に受け渡すために温調ユニット(CPL6)の第2の温調プレート520に搬送され、この温調プレート520の上に例えば12秒間載置されることにより、ウエハWは(23+1)℃から(23+0.2)℃に冷却される。そしてメインアームA6により保護膜塗布ユニット401→加熱ユニット(CHP6)→棚ユニットU6の温調ユニット(CPL9)の第1の温調プレート510の順序で搬送され、加熱ユニット(CHP6)の冷却プレート54にて約50℃に粗熱取りされたウエハWは、この温調ユニット(CPL9)の第1の温調プレート510の上に12秒程度載置されることにより、(23+1)℃まで冷却される。
続いて温調ユニット(CPL9)のウエハWは第2の受け渡しアームD2により温調ユニット(CPL7)又は温調ユニット(CPL2)の第2の温調プレート520に搬送され、この温調プレート520の上に例えば12秒間載置されることにより、ウエハWは(23+1)℃から(23+0.2)℃に冷却される。次いでこの温調ユニット(CPL7)又は温調ユニット(CPL2)ウエハWはインターフェイスアームBにより取り出されて露光装置S4に搬送され、ここで所定の液浸露光処理が行なわれる。露光処理後のウエハWは、インターフェイスアームB→洗浄処理ユニット403→インターフェイスアームB→温調ユニット(CPL1)の第2の温調プレート520で搬送され、ここで(23+0.2)℃まで冷却される。
この後DEV層B1(DEV層B2)では、メインアームA2により、保護膜除去ユニット403→加熱ユニット(PEB1(PEB2))→冷却ユニット(COL1(COL2))→現像ユニット32→加熱ユニット(POST1(POST2))の順序で搬送され、所定の現像処理が行われる。こうして現像処理が行われたウエハWは、第1の受け渡しステージTRS2を介して、トランスファーアームCにより、キャリアブロックS1に載置されている元のキャリア20に戻される。
このように棚ユニットU5、棚ユニットU6に受け渡しステージを兼用する温調ユニット500を設けると、各単位ブロック間、又はキャリアブロックS1と処理ブロックS2との間や、処理ブロックS2とインターフェイスブロックS3との間、又は処理ブロックS2と補助ブロックS5との間のウエハWの受け渡しの待機の時間で、ウエハWの温度調整を行なうことができるので、トータルの処理時間を短くすることができ、スループットの向上を図ることができる。
この際、各塗布膜形成用の単位ブロックB4,B5,B6の間にウエハWの搬送を行なう際には、先ず1つの塗布膜を形成した単位ブロックの温調ユニット500の第1の温調プレート510にウエハWを受け渡して、ウエハW温度を(23+1)℃に粗調整してから、次の塗布膜を形成するための単位ブロックの温調ユニット500の第2の温調プレート520にウエハWを搬送して、ここでウエハW温度を(23+0.2)℃に精密に調整しているので、温度調整(冷却)を段階的に行うことができ、トータルの調整時間(冷却時間)を短縮することができる。
また上述の温調ユニット500は、ウエハWを(23+1)℃に調整する第1の温調プレート510についてはヒートパイプ514、515を用いて温調プレート510の温度調整を行い、ウエハWを(23+0.2)℃に調整する第2の温調プレート520については、温調液を循環供給して温調プレート520の温度調整を行なっている。このため第1の温調プレート510の温度調整時に、温調液循環路に対する温調液の出入りがないので、温調液循環路の温調液の流量圧損を発生させずに当該温調プレート510の温度調整を行なうことでき、これにより第2の温調プレート520では、当該プレート520内を循環供給される温調液の流量が変化することがないので、精度よく当該プレート520の温度調整を行なうことができる。
また前記温調ユニット500の第1の温調プレート510、第2の温調プレート520は、上述の図1の例に示す冷却ユニット(COL)の冷却プレートと同じ役割を果たすので、各単位ブロックでは冷却ユニットを設けずに、この冷却ユニットの代わりに温調ユニット500の第1の温調プレート510または第2の温調プレート520にてウエハWを冷却するようにしてもよい。
このように各単位ブロックに設ける冷却ユニットの数を減らしたり、または冷却ユニットを設けなくすることにより、単位ブロックでは、今まで冷却ユニットが設けられていたスペースに他のユニットを組み込むことができる。ここでスループットを向上させるためには、各単位ブロックに加熱ユニット(CHP)を4列設ける必要があるが、このような要請に対応することができるので、トータルのスループットをさらに向上させることができる。
さらにこの温調ユニット500では、第1の温調プレート510を2枚以上に積層して設けるようにしてもよい。ここで第1の温調プレート510では、外部の搬送機構530が当該温調プレート510の上方側から下方側に通り抜けてウエハWを温調プレート510に受け渡すように構成されているので、支持ピンを昇降させてウエハWの受け渡しを行なう場合に比べて昇降機構が不要であるため、温調プレート510が設けられる領域の上下方向の大きさを小さくすることができ、上下方向のスペースがそれ程大きくなくても容易に積層構造に対応することができる。
一方第2の温調プレート520については、支持ピン506を昇降させてウエハWの受け渡しを行なっていることから、温調プレート520をウエハWよりも大きく形成することができ、ウエハWの周縁領域においても十分に温度調整を行なうことができる。これにより当該温調プレート520の温度が精度よく温度調整されていることと合わせて、ウエハW温度の面内均一性を高めることができるので、後の塗布膜を形成する工程において、面内均一性の高い塗布膜を形成することができる。
なお第1の温調プレート510については、ウエハWとほぼ同じ大きさであるが、ここに加熱処理後に50℃に温度調整されたウエハWを12秒間載置することによって、ウエハW温度を面内において、(23+1)℃に十分に温度調整できることは確認されている。
以上において本発明では、液浸露光を行なう際に用いられる保護膜塗布ユニット401は、補助ブロックS5や専用の単位ブロック(ITC)B6に設ける以外に、他の塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5のいずれかに組み込むようにしてもよい。また液浸露光を行なう際に用いられる保護膜除去ユニット402についても、補助ブロックS5やDEV層B1,B2に設ける以外に、他の塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5のいずれかに組み込むようにしてもよい。さらに液浸露光を行なう際に用いられる洗浄ユニット403については、インターフェイスブロックS3や補助ブロックS5に設ける以外に、処理ブロックS2を構成する単位ブロックB1〜B6のいずれかに組み込むようにしてもよい。