(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置である塗布、現像装置1について図1、図2を参照しながら説明する。図1、図2は、夫々当該塗布、現像装置1の平面図、斜視図である。塗布、現像装置1には、露光装置A4が接続されており、塗布、現像装置1及び露光装置A4により、基板であるウエハWの表面におけるレジスト膜の形成、レジスト膜の露光、レジスト膜の現像を順次行い、レジスト膜にレジストパターンを形成するレジストパターン形成システムが構成されている。
塗布、現像装置1は、キャリアセクションA1と、処理セクションA2と、インターフェイスセクションA3とが、この順に水平方向に直線状に配置されて構成されており、インターフェイスセクションA3とは反対側に露光装置A4が接続されている。セクションA1〜A3について、隣り合うように配置されたセクションは、互いに接すると共に互いに区画されている。便宜上、以降の説明では、セクションA1〜A3の配列方向を前後方向とし、キャリアセクションA1側を前方側、インターフェイスセクションA3側を後方側とする。また、特に説明が無い限り、後述の右側、左側とは、前方側から後方側に向かって見たときの右側、左側であるものとする。
図3、図4は、塗布、現像装置1を右側から左側に、左側から右側に夫々向かって見た概略縦断側面図であり、これら図3、図4も参照しながら、各セクションについて説明する。先ず、キャリアセクションA1について説明すると、図中11は、ウエハWを複数枚格納した状態で塗布、現像装置1の外部から搬送されるキャリアである。図中12は、キャリア11の載置台である。図中13はキャリアセクションA1の側壁に設けられる搬送口を開閉する開閉部である。図中14はウエハWの搬送機構であり、載置台12に載置されたキャリア11と、後述の受け渡し部TRS11、TRS12との間でウエハWの受け渡しを行うことができるように、左右方向に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在且つ進退自在なウエハWを保持する保持体を備えている。
上記の受け渡し部TRS11、TRS12は、キャリアセクションA1における後方側の右側上部、左側上部に夫々設けられている。このキャリアセクションA1に設けられる受け渡し部TRS11、TRS12及びインターフェイスセクションA3に設けられる後述の各受け渡し部TRSは、例えば水平な板と、当該板から上方に突出した複数のピンとを備える。各受け渡し部TRSにアクセスするウエハWの搬送機構の昇降動作によって、ピン上へのウエハWの載置及びピンからのウエハWの持ち上げが行われ、ウエハWの搬送機構間でウエハWを受け渡すことができる。
続いて処理セクションA2について、図5の概略縦断正面図も参照して説明する。この処理セクションA2は、処理ブロック(セル)B1〜B8により構成されている。処理ブロックB1、B2、B3、B4が右側に、前方から後方に向かって、この順に一列に設けられており、処理ブロックB5、B6、B7、B8が左側に、前方から後方に向かって、この順に一列に設けられている。また、処理ブロックB1、B5が左右に対向し、処理ブロックB2、B6が左右に対向し、処理ブロックB3、B7が左右に対向し、処理ブロックB4、B8が左右に対向している。処理ブロックB1〜B8は各々筐体31を備えており、各筐体31内は互いに区画されている。
処理ブロックB1〜B8は、ウエハWの温度調整と、温度調整されたウエハWへの処理液の供給と、ウエハWの加熱処理と、を含む連続する一連の処理を各々行うことができるように、温度調整ユニット、液処理ユニット及び加熱ユニットを各々備えている。処理ブロックB1、B2は互いに同じ構成のブロックであり、これら処理ブロックB1、B2では上記の処理液として、反射防止膜の形成用の薬液(塗布液)がウエハWに塗布される。処理ブロックB3、B4は互いに同じ構成のブロックであり、これら処理ブロックB3、B4では上記の処理液として、レジスト膜を形成するための塗布液であるレジストが、ウエハWに塗布される。処理ブロックB5〜B8は互いに同じ構成のブロックであり、これら処理ブロックB5〜B8では上記の処理液として、現像液がウエハWに供給される。なお、そのように反射防止膜形成用の薬液を供給する処理ブロックを「BCT」、レジストを供給する処理ブロックを「COT」、現像液を供給する処理ブロックを「DEV」として夫々表す場合がある。
処理ブロックB1〜B8のうち代表してCOT処理ブロックB3について、図6の斜視図も参照して説明する。COT処理ブロックB3の筐体31の上部右側は、上方に突出した突出部32を形成しており(図2参照)、この突出部32内の前方側には、上下方向に受け渡し部TRS1、TRS2が各々設けられている。この受け渡し部TRS1、TRS2は、後述する主搬送機構D1とユニット間搬送機構4との間でウエハWを受け渡すために当該ウエハWを載置する役割を有しており、受け渡し部TRS1はCOT処理ブロックB3へウエハWを搬入するための搬入用載置部、受け渡し部TRS2はCOT処理ブロックB3からウエハWを搬出するための搬出用載置部である。突出部32の左側の側面には、主搬送機構D1が受け渡し部TRS1、TRS2にアクセスできるように開口部が形成され、このアクセスが行われないときには、シャッタにより当該開口部が閉鎖される。このシャッタ及び開口部の図示は省略している。
受け渡し部TRS1、TRS2は、互いに同様に構成されている。代表して受け渡し部TRS1について図6を参照して説明すると、当該受け渡し部TRS1は、上下方向に互いに間隔をおいて積層された複数の円形の水平なプレート(図6では1枚のみ表示している)により構成されており、各プレートの周縁部には複数の切り欠きが形成されている。複数のプレートの各々にウエハWが載置され、プレートの切り欠きは、当該受け渡し部TRSにウエハWの受け渡しを行う各搬送機構の後述の爪部44Bに対応するように形成されている。
処理ブロックB3内の右後方には、処理ブロックB3内の各ユニット間、及びユニットと受け渡し部TRS1、TRS2との間でウエハWの搬送を行うユニット間搬送機構4が設けられている。このユニット間搬送機構4は起立した縦長のフレーム状の昇降用ガイド41と、当該昇降用ガイド41の長さ方向に沿って垂直に昇降する昇降台42と、昇降台42上にて鉛直軸周りに回転自在な回転台43と、回転台43上を進退自在に設けられるウエハWの保持体44を備えている。上記の昇降用ガイド41は、筐体31内における下端部から突出部32に至る領域(昇降路)を保持体44が昇降できるように形成されている。保持体44は、ウエハWの側周を囲む平面視概ねC字状の保持体本体44Aと、当該保持体本体44Aの下端部から保持体本体44Aの内側へ向けて突出し、ウエハWの裏面周縁部を支持する複数の爪部44Bと、を備えている。
ユニット間搬送機構4と受け渡し部TRS1、TRS2とのウエハWの受け渡しは、当該ユニット間搬送機構4の保持体44が回転台43を前進した状態で、受け渡し部TRS1、TRS2を構成するプレートに対して昇降することで行われる。この受け渡し時においては、保持体本体44Aがプレートの外側を通過すると共に爪部44Bがプレートの切り欠きを通過する。なお、後述の主搬送機構D1と受け渡し部TRS1、TRS2との間でのウエハWの受け渡しも、上記のユニット間搬送機構4と受け渡し部TRS1、TRS2との間におけるウエハWの受け渡しと同様に行われる。
筐体31内における突出部32の下方には、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3が、上下方向に積層されて設けられている。温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3は、各々受け渡し部TRS1と略同様に構成されており、ユニット間搬送機構4との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。受け渡し部TRS1との差異点としては、温度調整ユニットSCPLのプレートには図示しない温度調整機構によって温度調整された液体の流路が設けられており、この液体によって当該プレートの温度が所定の温度に調整されている。ウエハWがこのプレートに載置されることで、当該ウエハWの温度が所定の温度になるように調整される。この温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3は、ウエハWにレジストを供給する前にウエハWの温度を調整することで、当該レジストにより形成されるレジスト膜の膜厚が所望の膜厚になるように、より確実に制御する役割を有する。
筐体31内において、左後方には加熱ユニット33〜36が上下方向に積層されて設けられている。この加熱ユニット33〜36は、レジスト膜に残留する溶媒を揮発させ、当該レジスト膜を乾燥させる役割を有する。当該加熱ユニット33〜36には例えば、上記の温度調整ユニットSCPLのプレートと同様に形成されたウエハWの温度調整用のプレートと、載置されたウエハWを所望の温度に加熱する熱板と、上記のプレートを熱板の外側と熱板の上方との間で水平方向に移動させる移動機構と、が設けられている。熱板には、当該熱板と熱板上に移動したプレートとの間でウエハWを受け渡すために当該熱板上において突没する、ウエハWの裏面を支持する昇降ピンが設けられている。また、この加熱ユニット33〜36のプレートには、そのようにウエハWを受け渡すにあたり、昇降ピンが通過するためのスリットが設けられている。この加熱ユニット33〜36のプレートが熱板の外側に位置するときに、ユニット間搬送機構4の保持体44の昇降動作により、当該プレートに対してウエハWの受け渡しが行われる。上記の熱板は、後述のブロック制御部C3からの制御信号に従って、その温度を変更できるように構成されている。
既述の温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3の下方には、液処理ユニットであるレジスト膜形成ユニット5が設けられている。また、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3の左側には、処理液供給機構6が設けられている。レジスト膜形成ユニット5及び処理液供給機構6の概略構成図である図7を参照しながら説明すると、レジスト膜形成ユニット5は、ウエハWの裏面中央部を吸着保持するスピンチャック51と、ウエハWの中心部にレジストを吐出するノズル52と、ウエハWからの液の飛散を防ぐために当該ウエハWの側周を囲むカップ53と、を備えている。
図中54は回転機構であり、スピンチャック51を回転させ、ウエハWの表面の中心部に吐出されたレジストを遠心力によって周縁部に展伸させることによって塗布し、レジスト膜を形成する。この回転機構54によるウエハWの回転数は、ブロック制御部C3からの制御信号に従って制御される。図中55は、ウエハWの裏面を突き上げる昇降ピンである。なお、図6ではレジスト膜形成ユニット5は筐体31内を左右に跨がるように示しているが、既述のスピンチャック51は温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3の下方側、つまり筐体31内の右側に設けられ、上記の昇降ピン55を介してユニット間搬送機構4とスピンチャック51との間におけるウエハWの受け渡しを行うことができる。
このように配置された各ユニット及び受け渡し部TRS1、TRS2に対してユニット間搬送機構4の保持体44が昇降することでウエハWを搬送することができる。つまり、レジスト膜形成ユニット5、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3、加熱ユニット33〜36及び受け渡し部TRS1、TRS2は、当該保持体44の昇降路に沿って配置されている。
続いて、図7を用いて処理液供給機構6について説明する。処理液供給機構6は、上記のレジスト膜形成ユニット5のノズル52にレジストを供給するための配管61を備えており、配管61には例えば上流側に向かって、バルブV1、ポンプP、フィルタ62、レジストの貯留タンク63がこの順に介設されている。ポンプPは、貯留タンク63に貯留されたレジストを吸引して下流側に圧送する。バルブV1の開閉によって、この圧送されたレジストのノズル52への供給状態と、供給停止状態と、が切り替えられる。つまり、ポンプP及びバルブV1の動作によって、ウエハWへ供給されるレジストの流量及び供給されるタイミングが制御される。なお、貯留タンク63には、当該貯留タンク63の上流側から供給されたレジストを貯留できるようにエアベントが設けられるが、図示は省略している。
ところで、例えば処理セクションA2の外部には処理液供給源65が設けられている。この処理液供給源65には配管64の上流端が接続されている。当該配管64の下流側は分岐し、一方の下流端が処理液供給機構6に含まれるバルブV2を介して上記の貯留タンク63に接続されている。配管64の分岐した他方の下流端については後述する。
上記の処理液供給源65は、処理液としてレジストを貯留するタンクと、当該タンク内を加圧してレジストを配管64の下流側へ圧送する圧送機構とを備えており、バルブV2が開いた状態で、配管61、64を介してレジストをポンプPに供給すると共に貯留タンク63にレジストを貯留させる。貯留タンク63にレジストが貯留された後は、例えばバルブV2が閉鎖され、貯留タンク63に貯留されたレジストが上記のようにノズル52に供給される。処理液供給機構6及びレジスト膜形成ユニット5の各バルブV及びポンプPの動作は、ブロック制御部C3からの制御信号に従って制御される。なお、処理液供給機構6としてはノズル52レジストを供給できればよいので、少なくともポンプPを含んでいればよい。
また、COT処理ブロックB3においては処理液供給機構6の上方から受け渡し部TRS1、TRS2と、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3との間に跨がるように、ブロック制御部C3が設けられている(図6参照)。このブロック制御部C3については後述する。
続いて、COT処理ブロックB3以外の処理ブロックについて、処理ブロックB3との差異点を中心に説明する。COT処理ブロックB4の構成は、上記したようにCOT処理ブロックB3と同じであり、処理ブロックB4に設けられた処理液供給機構6の貯留タンク63には、図6の配管64の他方の下流端が接続されている。このようにCOT処理ブロックB3、B4でレジストの供給源65は共通化されている。そして、COT処理ブロックB3の処理液供給機構6、COT処理ブロックB4の処理液供給機構6は、このレジストの供給源65から供給されるレジストを、互いに独立して処理ブロックB3のレジスト膜形成ユニット5、COT処理ブロックB4のレジスト膜形成ユニット5に供給することができる。つまり、COT処理ブロックB3のレジスト膜形成ユニット5、COT処理ブロックB4のレジスト膜形成ユニット5は、互いに独立してウエハWに同種の処理液を供給して、処理を行うことができる。なお、後述するように塗布、現像装置1において処理ブロックの数は適宜増減することができる。配管64は、下流側の分岐数が、塗布、現像装置1におけるCOT処理ブロックの数に対応したものに交換できるように処理液供給源65及び貯留タンク63に対して着脱自在である。
BCT処理ブロックB1、B2は処理ブロックB3と略同様の構成であり、処理ブロックB3との差異点としては液処理ユニットとして、上記のレジスト膜形成ユニット5の代わりに、ウエハWに反射防止膜形成用の薬液を供給して反射防止膜を形成する反射防止膜形成ユニット5Aが設けられることが挙げられる。従って、BCT処理ブロックB1、B2に設けられる各処理液供給機構6に接続される処理液供給源65には、レジストの代わりに、上記の反射防止膜形成用の薬液が貯留される。BCT処理ブロックB1、B2に設けられる温度調整ユニット及び加熱ユニットは、COT処理ブロックB3、B4の温度調整ユニット及び加熱ユニットと同様の役割を有する。
また、DEV処理ブロックB5〜B8について説明すると、DEV処理ブロックB5〜B8のCOT処理ブロックB3との差異点としては、筐体31の突出部32が左側に形成されていること、ユニット間搬送機構4がブロック内の左後方に設けられること、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3、受け渡し部TRS1、TRS2及び液処理ユニットのスピンチャック51がブロック内の左前方に設けられること、処理液供給機構6がブロック内の右前方に設けられること、及び加熱ユニット33〜36がブロック内の右側後方に設けられること、が挙げられる。そのように各部が配置されることで、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3、受け渡し部TRS1、TRS2、液処理ユニット、ブロック制御部C、処理液供給機構6が、処理セクションA2において左右対称に設けられている。
また、DEV処理ブロックB5〜B8の受け渡し部TRS1、TRS2に対しては、主搬送機構D1の代わりに、後述の主搬送機構D2がウエハWの受け渡しを行う。筐体31の突出部32におけるシャッタにより開閉される開口部(不図示)は、この主搬送機構D2の位置に対応して、右側面に設けられている。
また、DEV処理ブロックB5〜B8においては液処理ユニットとして、上記のレジスト膜形成ユニット5の代わりに、ウエハWに現像液を供給して露光されたレジスト膜を現像する現像ユニット5Bが設けられる。従って、DEV処理ブロックB5〜B8に処理液を供給するための処理液供給源65にはレジストの代わりに、当該現像液が貯留される。この処理液供給源65に接続される配管64の下流端は4つに分岐して、処理ブロックB5〜B8の各処理液供給機構6に接続されており、処理ブロックB5〜B8の各現像ユニット5Bにおいて、互いに独立して現像液の供給を行うことができるように構成される。
処理ブロックB5〜B8に設けられる温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3は、現像液供給前のウエハWの温度を調整してレジスト膜と現像液との反応を制御し、より確実に所望の形状のレジストパターンを形成するために設けられる。また、加熱ユニット33〜38は、現像処理後のウエハWの乾燥と、及び露光後現像処理前のウエハWを加熱するポストエクスポージャベーク(PEB)と、を行うために設けられている。
上記のように構成された処理ブロックB1〜B8は、互いに独立してウエハWを搬送し、上記の温度調整、加熱、液処理を含む連続した一連の処理を行うことができる。なお、図1などにおいて処理ブロックB1、B2、B4〜B8に設けられるブロック制御部を、夫々C1、C2、C4〜C8として示している。
続いて、処理セクションA2に設けられる主搬送機構D1、D2について説明する。主搬送機構D1は、処理ブロックB1〜B4の筐体31上における当該筐体31の突出部32の左側に設けられている。主搬送機構D1は、ユニット間搬送機構4と略同様に構成されており、各図において主搬送機構D1におけるユニット間搬送機構4と同様の構成要素については、当該ユニット間搬送機構4に付した符号と同じ符号を付している。ユニット間搬送機構4との差異点としては、ユニット間搬送機構4の昇降用ガイド41の高さに比べて主搬送機構D1の昇降用ガイド41の高さは小さいこと、主搬送機構D1の昇降用ガイド41は処理ブロックB1上からB4上に亘って形成された移動機構46に接続されていること、及び主搬送機構D1の保持体44は2つ設けられ、互いに独立して回転台43上を進退可能に構成されていること、が挙げられる。
上記の移動機構46によって、昇降用ガイド41は処理ブロックB1上からB4上に亘る領域を前後方向に移動可能である。そして、主搬送機構D1の保持体44は、処理ブロックB1〜B4の受け渡し部TRS1、TRS2、キャリアセクションA1の受け渡し部TRS11、インターフェイスセクションA3に設けられる後述の受け渡し部TRS21との間で、ウエハWを受け渡すことができる。
主搬送機構D2は、主搬送機構D1と同様に構成されており、処理ブロックB5〜B8の筐体31上における突出部32の右側に設けられ、当該主搬送機構D2の移動機構46は、処理ブロックB1上からB4上に亘って形成されている。主搬送機構D2の昇降用ガイド41は、処理ブロックB5上からB8上に亘る領域を前後方向に移動可能であり、主搬送機構D2の保持体44は、処理ブロックB5〜B8の受け渡し部TRS1、TRS2、キャリアセクションA1の受け渡し部TRS12、インターフェイスセクションA3に設けられる後述の受け渡し部TRS22との間で、ウエハWを受け渡すことができる。
続いて、インターフェイスセクションA3について説明する。インターフェイスセクションA3の右側の上方、下方には受け渡し部TRS21、TRS23が夫々積層されて設けられている。インターフェイスセクションA3の左側の上方、下方には受け渡し部TRS21、TRS23が夫々積層されて設けられている。また、インターフェイスセクションA3には、例えばウエハWの搬送機構21〜23が設けられている。搬送機構21は、受け渡し部TRS21、TRS23間でウエハWを受け渡し、搬送機構22は、受け渡し部TRS22、TRS24間でウエハWを受け渡すために、夫々昇降自在且つ進退自在なウエハWの保持体を備えている。搬送機構23は、露光装置A4と受け渡し部TRS23、TRS24間でウエハWを受け渡すために、左右方向に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在且つ進退自在なウエハWの保持体を備えている。なお、インターフェイスセクションA3には、受け渡し部の他にウエハWを洗浄する洗浄ユニットや温度調整ユニットSCPLなどが設けられるが、説明の煩雑化を防ぐために、これらのユニットの説明及び図示は省略する。
続いて、塗布、現像装置1に設けられる上位制御部100と、上記のブロック制御部C1〜C8とについて、図8を参照しながら説明する。上位制御部100及びブロック制御部C1〜C8は、夫々コンピュータである。各ブロック制御部Cは、当該ブロック制御部Cを含む処理ブロックBに設けられる各ユニット、処理液供給機構6、及びユニット間搬送機構4に接続されている。上位制御部100は、キャリアセクションA1の搬送機構14と、インターフェイスセクションA3の搬送機構21〜23と、主搬送機構D1、D2とに接続されている。また、ブロック制御部C1〜C8は、この上位制御部100に接続されている。つまり、処理ブロックB1〜B8に各々対応して設けられるブロック制御部C1〜C8に対して、共通の上位制御部100が設けられている。なお、後述するように塗布、現像装置1においては処理ブロックBの増減を自在に行うことができ、そのために各ブロック制御部Cと上位制御部100との接続、切断については自在に行うことができるように構成されている。
各ブロック制御部Cは上位制御部100に対して、当該ブロック制御部Cを含む処理ブロックBへウエハWを搬送可能である場合に、そのように搬送可能であることを示す情報(以降、搬送可能情報と記載する)と、当該処理ブロックBにおけるウエハWの位置情報と、を送信する。上記の搬送可能情報について補足すると、例えばブロック制御部Cが背景技術の項目で説明したようにメンテナンス中であったり、再起動中であったり、ブロック制御部Cを構成するソフトウエア或いはハードウエアにトラブルが発生していたりすることで、ブロック制御部Cが正常に動作しない場合には、この搬送可能情報が出力されない。また、例えばユニット間搬送機構4あるいはユニットが使用不可であることにより、処理ブロックB内で一連の処理が行えない状態であるときにも、この搬送可能情報が出力されない。上記のウエハWの位置情報についても補足しておくと、例えば、どのウエハWが処理ブロックB内のどのユニットあるいは受け渡し部TRSに位置しているか、という情報である。
上位制御部100は、上記の搬送可能情報が出力された各ブロック制御部Cに対して、当該ブロック制御部Cを含む処理ブロックB内における搬送レシピと、この処理ブロックB内の搬送レシピに従ってウエハWが搬送される液処理ユニット及び加熱ユニットの処理レシピと、を送信する。このように上位制御部100と各ブロック制御部Cとの間では、ウエハWを搬送及び処理するための情報の授受が行われる。
上記の処理ブロックB内の搬送レシピとは、具体的には処理ブロックBにおけるウエハWの搬送経路についてのデータであり、さらに詳しく述べると、1つの処理ブロックB内のユニット群のうち、どのユニットにどのような順番でウエハWを搬送するかを特定したデータである。また、上記の液処理ユニットの処理レシピには、例えばウエハWへの処理液の供給流量、処理液を供給するタイミング、液処理中のウエハWの回転数が含まれる。加熱ユニット33〜36の処理レシピには、例えば熱板の温度が含まれる。
各ブロック制御部Cは、上記の搬送レシピ及び処理レシピで指定される搬送及び処理が行えるように、当該ブロック制御部Cを含む処理ブロックBの各ユニット、処理液供給機構6及びユニット間搬送機構4に制御信号を出力し、これらの動作を制御する。つまり、処理ブロックB1〜B8毎に作成された搬送レシピ及び処理レシピに基づいて、ブロック制御部C1〜C8は個別に制御信号を出力し、それによって処理ブロックB1〜B8における各部の動作が、処理ブロックB間で互いに独立して制御される。
また、上位制御部100は、主搬送機構D1、D2と、キャリアセクションA1の搬送機構14と、インターフェイスセクションA3の搬送機構21〜23と、に制御信号を出力し、これらの搬送機構の動作を制御する。それによって、後述するようにキャリアセクションA1と、各処理ブロックBと、インターフェイスセクションA3との間でウエハWが搬送されて、ウエハWにレジストパターンの形成が行われる。この上位制御部100からの主搬送機構D1、D2への制御信号の出力は、各ブロック制御部Cから送信される位置情報に基づいて行われる。つまり、処理ブロックBの搬出用載置部である受け渡し部TRS2にウエハWが載置されたことを示す位置情報が出力されたら、このウエハWを受け取るように主搬送機構D1、D2に制御信号が出力され、位置情報によってウエハWの搬送先の処理ブロックBの搬入用載置部である受け渡し部TRS1が空いたことが分かると、この受け渡し部TRS1へ当該ウエハWを搬送するように制御信号が出力される。
各ブロック制御部C及び上位制御部100は、不図示のプログラム格納部を各々有している。各プログラム格納部には、上記したように塗布、現像装置1の各部に制御信号を送信して当該各部の動作を制御するように命令(ステップ群)が組まれたプログラムが格納されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態で、上記のプログラム格納部に格納される。
続いて、上記の塗布、現像装置1におけるウエハWの搬送及び処理について説明する。図9には、このウエハWの搬送経路の概略を示している。先ず、既述の搬送可能情報が出力された処理ブロックBに対して、上位制御部100が搬送レシピ及び処理レシピを送信する。そして、キャリアセクションA1の載置台12に載置されるキャリア11内のウエハWが、キャリアセクションA1の搬送機構14によって受け渡し部TRS11に搬送され、主搬送機構D1に受け渡される。そしてウエハWは、当該主搬送機構D1によって、BCT処理ブロックB1またはB2の受け渡し部TRS1に搬送される。そして、当該ウエハWはユニット間搬送機構4によって、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3のうちのいずれかへ搬送されて温度調整された後、反射防止膜形成ユニット5Aへ搬送されて反射防止膜が形成される。然る後、ウエハWは加熱ユニット33〜36のうちのいずれかへ搬送されて加熱された後、受け渡し部TRS2に搬送され、主搬送機構D1により、BCT処理ブロックB1またはB2から搬出される。
然る後、ウエハWは主搬送機構D1によって、COT処理ブロックB3またはB4の受け渡し部TRS1に搬送される。そして、当該ウエハWはユニット間搬送機構4によって、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3のうちのいずれかへ搬送されて温度調整された後、レジスト膜形成ユニット5へ搬送され、反射防止膜上に積層されるようにレジスト膜が形成される。然る後、ウエハWは加熱ユニット33〜36のうちのいずれかへ搬送されて加熱された後、受け渡し部TRS2に搬送され、主搬送機構D1により、COT処理ブロックB3またはB4から搬出される。
続いて、ウエハWは主搬送機構D1によってインターフェイスセクションA3の受け渡し部TRS21に搬送され、搬送機構21→受け渡し部TRS23→搬送機構23の順で搬送された後、露光装置A4に搬送されて、レジスト膜が所定のパターンに沿って露光される。露光後のウエハWは、搬送機構23→受け渡し部TRS24→搬送機構21→受け渡し部TRS22の順で搬送され、主搬送機構D2により、インターフェイスセクションA3から搬出される。
然る後、ウエハWは主搬送機構D2によって、DEV処理ブロックB5〜B8のうちのいずれかの受け渡し部TRS1に搬送される。そして、当該ウエハWはユニット間搬送機構4によって、加熱ユニット33〜36のうちのいずれかへ搬送されてPEBが行われ、その後、温度調整ユニットSCPL1〜SCPL3のうちのいずれかへ搬送されて温度調整された後、現像ユニット5へ搬送される。現像液が供給され、露光されたパターンに沿ってレジスト膜が溶解してレジストパターンが形成される。その後、ウエハWは加熱ユニット33〜36のうちのいずれかへ搬送されて加熱された後、受け渡し部TRS2に搬送され、主搬送機構D2により、DEV処理ブロックB5〜B8のうちの当該ウエハWが搬入された処理ブロックBから搬出される。然る後、ウエハWは主搬送機構D2によって、キャリアセクションA1の受け渡し部TRS12→搬送機構14の順で搬送されて、キャリア11に戻される。
このようにキャリア11からウエハWが搬出されて当該キャリア11に戻されるまでの間、各処理ブロックBのブロック制御部Cは、既述のウエハWの位置情報を上位制御部100に出力し、それに基づいて主搬送機構D1、D2の動作が制御される。また、処理ブロックB内の液処理ユニット及び加熱ユニットにおける処理は、送信された処理レシピに従って行われる。即ち、液処理ユニット及び当該液処理ユニットに接続された処理液供給機構6については、処理レシピで各々指定される処理液の供給流量、処理液を供給するタイミング、ウエハWの回転数となるように、各バルブV及びポンプPの動作が制御されて処理が行われる。加熱ユニット33〜36においては、熱板の温度が処理レシピで特定された温度とされて処理が行われる。
上記の塗布、現像装置1によれば、ウエハWに対して液処理、温度調整処理及び加熱処理を含む一連の処理を各々行う、互いに区画された処理ブロックB1〜B8が設けられている。そして各処理ブロックBには、上位制御部100に各々接続され、当該上位制御部100から送信される搬送レシピ及び処理レシピに基づいて、処理ブロックB内のユニットの動作、処理液供給機構6の動作及びユニット間搬送機構4の動作を制御するために制御信号を出力するブロック制御部Cが設けられている。従って、上記したメンテナンスなどの理由でブロック制御部Cの一つが動作不能になっても、動作不能になったブロック制御部Cを含むブロックと同じ構成のブロックにウエハWを搬送するように、主搬送機構D1、D2を動作させて、ウエハWの処理を行うことができる。従って、一つのブロック制御部Cの動作停止によって、塗布、現像装置1の全体でウエハWの処理が不可になることを防ぐことができる。その結果、塗布、現像装置1の稼働率の低下を抑えることができる。
また、上記の塗布、現像装置1によれば、8つの処理ブロックBにおける全てのユニット及び全てのユニット間搬送機構4を1つのブロック制御部Cによって制御するような構成の装置に比べて、1つのブロック制御部Cのユニット及びユニット間搬送機構4に対するデータの送受信量を抑えることができるので、ブロック制御部Cのデータ処理の負担を抑えることができる。その結果として、各ユニット及びユニット間搬送機構4に対するデータの送受信の遅延を防ぎ、これらユニット及びユニット間搬送機構4の動作の精度や動作の正確さを担保することができる。
さらに、塗布、現像装置1の電源投入時(セットアップ時)において、同じ構成のブロックのうち、ブロック制御部Cにより搬送可能情報が出力された処理ブロックBから先にウエハWを搬送することができる。従って、ウエハWの処理開始までのタイミングが遅くなることを防ぐことができるので、この点からも処理ブロックB毎にブロック制御部Cが設けられた上記の装置構成は有利である。
なお、ユニットごとにブロック制御部Cを設けるとすれば、上記のブロック制御部Cにおけるデータの送受信の負担をより抑えることができるが、装置の製造コストを考えると非現実的であり、複数のユニット及び当該複数のユニット間でウエハWを搬送する搬送機構を一つのブロック制御部Cによって制御することが現実的である。そして、上記の装置1の運用例では、ウエハWにレジスト膜形成処理と現像処理とを行っているが、例えばレジスト膜形成処理、反射防止膜形成処理、現像処理のうちの1つあるいは2つのみを行う運用がなされる場合が有る。レジスト膜形成処理、反射防止膜形成処理、現像処理のうち、行われていない処理に関わるユニットを制御するブロック制御部Cを動作停止させてメンテナンスができるようにすること、及び既述したように一つのブロック制御部Cで複数のユニットを制御する必要が有ることを考えると、既述の各処理ブロックBのように、液処理ユニットと、この液処理に関連して行われる温度調整処理及び加熱処理を行うユニットとを一つのブロック制御部で制御することが有効である。
また、各処理ブロックBにおいては平面で見て、ユニット間搬送機構4の保持体44が昇降する昇降路の周方向に沿って各ユニットが配置されている。このように昇降路に沿ってユニットを配置することで、保持体44の回動及び進退動作によって、ユニット間におけるウエハWの受け渡しを行うことができる。つまり、このユニット間の受け渡しのために、ユニット間搬送機構4の昇降用ガイド41を横方向に移動させる必要が無い。それ故に、各処理ブロックBにおけるフットプリント(占有床面積)を抑えることができる。また、各ユニットはこの昇降路に沿って上下方向(縦方向)に積層されて設けられているので、フットプリントを確実に抑えながらも、処理ブロックB内に設けられるユニットの数を多くすることができる。
上記の例では、一つの処理ブロックBに一つの液処理ユニットを設けているが、液処理ユニットも複数設けてよい。その場合には、例えば加熱ユニットや温度調整ユニットと同様に、複数の液処理ユニットは互いに上下方向に積層されるように設けることができる。また、加熱ユニット33〜36の熱が液処理ユニットに与える影響を確実に抑えるために、上記の各処理ブロックBでは、液処理ユニットと加熱ユニットとが互いに積層されていないが、これら液処理ユニット及び加熱ユニットを互いに積層してもよい。
ところで、上記の塗布、現像装置1において、例えば、ウエハWにレジスト膜の形成のみが行われるように搬送してもよい。その場合、ウエハWをキャリアセクションA1からBCT処理ブロックB1、B2を経由せずに主搬送機構D1によってCOT処理ブロックB3またはB4に搬送し、COT処理ブロックB3またはB4内で既述したように、ウエハWに温度調整、レジスト膜形成、加熱を順次行う。然る後、主搬送機構D1、キャリアセクションA1の受け渡し部TRS11、搬送機構14を順次経由するようにウエハWを搬送してキャリア11に戻す。
また、ウエハWに現像処理のみが行われるように搬送してもよい。その場合は、例えばウエハWをキャリアセクションA1の受け渡し部TRS12、主搬送機構D2、DEV処理ブロックB5〜B8のいずれかの順で搬送し、DEV処理ブロックB内の各ユニットを上記の順番で搬送してウエハWに処理を行う。然る後、主搬送機構D2、受け渡し部TRS12を介してウエハWをキャリアCに戻す。同様に、例えばウエハWを処理ブロックB1〜B8のうちのB1またはB2に搬送して反射防止膜の形成のみを行ってもよいし、処理ブロックB1、B3のみに搬送して反射防止膜の形成及びレジスト膜の形成のみを行ってもよい。使用しない処理ブロックBについては、処理セクションA2から取り外しておくことができるし、初めから設けておかなくてもよい。さらに、処理ブロックB3、B4と同様に構成された処理ブロックを塗布、現像装置1に追加して、計3個の処理ブロックでレジスト膜の形成を行うことも可能であり、その場合、塗布、現像装置1のスループットの増加を図ることができる。そのように処理ブロックBを追加するにあたって、追加したブロックの位置は、主搬送機構D1、D2によってウエハWの受け渡しを行うことができればよく、例えば処理ブロックB1〜B8の前方側または後方側である。このように、要求される処理の種類やスループットに応じて、処理ブロックの数は適宜増減することができる。
ところで、塗布、現像装置1にユニットを増設したり、不要なユニットを取り外すことは、そのように処理ブロックの個数を増減させることで行うことができる。そして、処理ブロック毎にブロック制御部Cが設けられ、増減されたユニットへの制御信号の送信は、当該増減されたユニットを含む処理ブロック中のブロック制御部Cが行うので、この処理ブロックの増減によって、増減された処理ブロック以外の他の処理ブロックに含まれるブロック制御部Cの負荷は変動しない。また、ユニットが増減されても、各ユニットを制御する制御信号はブロック制御部Cから出力され、上位制御部100から当該制御信号を出力する必要が無いことにより、当該上位制御部100の負荷も大きく変動しない。このように他の処理ブロックBのブロック制御部C及び上位制御部100の負荷の変動が抑えられることから、この塗布、現像装置1においては処理ブロックの数を増減させることによるユニットの数の増減を、比較的自由に行うことができ、例えば極めて多数のユニットを設けることが可能である。従って、塗布、現像装置1については、スループットの向上を図ることができると共に、多様な処理の要請に対応することができるという利点を有している。
また、上記の主搬送機構D1、D2は処理ブロックB1〜B8の上方に設けられているので、主搬送機構D1、D2のメンテナンスを行う際に、作業者がクリーンルームの天井側から当該主搬送機構D1、D2にアクセスすることができる。主搬送機構D1、D2上には、塗布、現像装置1の他の構成要素を設ける必要が無い。つまり、主搬送機構D1、D2の上方は開放しておくことができるため、塗布、現像装置1とクリーンルームの天井との間に比較的大きなスペースを設けておくことで、このアクセス及びメンテナンスが容易になるという利点が有る。ただし、主搬送機構D1、D2を処理ブロックB1〜B8の下方に設け、それに対応するように各処理ブロックBの受け渡し部TRS1、TRS2も処理ブロックBの下方側に配置することによって、主搬送機構D1、D2とユニット間搬送機構4との間でウエハWの受け渡しが行えるようにしてもよい。
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態に係る塗布、現像装置7について、概略斜視図、平面図である図10、図11を夫々参照して、塗布、現像装置1との差異点を中心に説明する。この塗布、現像装置7は、左右に互いに離れて設けられた塗布膜形成部7Aと、現像部7Bとを備えている。塗布膜形成部7Aは、キャリアセクションA1と、処理セクションA5と、を備えており、処理セクションA5は、第1の実施形態の処理セクションA2と異なり、処理ブロックBについては処理ブロックB1〜B4のみを備えている。処理セクションA5の処理ブロックB1、B2は、第1の実施形態の処理セクションA2の処理ブロックB5、B6が設けられた位置に設けられており、処理ブロックBの形状と、処理ブロックB内における各ユニット、処理液供給機構6、ブロック制御部C及びユニット間搬送機構4の各配置とは、当該処理ブロックB5、B6と同様とされている。
現像部7Bは、キャリアセクションA1と、処理セクションA6と、インターフェイスセクションA3と、を備えている。処理セクションA6は、処理セクションA2と異なり、処理ブロックB1〜B8のうち処理ブロックB5、B6の2つのみを備えると共に、主搬送機構D1、D2のうちD2のみを備えている。現像部7BのインターフェイスセクションA3は、第1の実施形態と同様に露光装置A4に接続されている。
塗布膜形成部7Aと現像部7Bとの間には、セクション間搬送機構71が設けられている。このセクション間搬送機構71は、ユニット間搬送機構4と略同様に構成されており、図11において、セクション間搬送機構71における主搬送機構D1と同様の構成要素については、ユニット間搬送機構4に付した符号と同じ符号を付している。差異点としては、セクション間搬送機構71は昇降用ガイド41を左右方向に移動させるための左右方向移動機構47を備えていることが挙げられる。さらに、左右方向移動機構47は、前後方向移動機構48に接続されており、前後方向へ移動することができる。
このように構成されたセクション間搬送機構71の保持体44は、塗布膜形成部7Aの処理ブロックB3、B4の受け渡し部TRS1、TRS2と、現像部7Bの処理ブロックB5、B6の受け渡し部TRS1、TRS2と、にアクセスしてウエハWを受け渡すことができる。セクション間搬送機構71の動作は、上位制御部100により制御される。なお、塗布膜形成部7Aの処理ブロックB3、B4、現像部7Bの処理ブロックB5、B6の各筐体31の突出部32の側面には、このようにセクション間搬送機構71が受け渡し部TRSにアクセスするための図示しない開口部が設けられており、例えば当該開口部はシャッタにより開閉される。
以下、塗布、現像装置7におけるウエハWの搬送経路の一例を、図11を参照して説明する。塗布膜形成部7AのキャリアセクションA1に載置されたキャリア11から払い出されたウエハWは、当該キャリアセクションA1の搬送機構14から受け渡し部TRS12及び主搬送機構D2を介してBCT処理ブロックB1またはB2に搬送され、第1の実施形態と同様にBCT処理ブロックB1、B2内のユニット間を搬送されて反射防止膜が形成される。然る後、当該ウエハWは、主搬送機構D2、受け渡し部TRS12、搬送機構14、受け渡し部TRS11、主搬送機構D1を順に介してCOT処理ブロックB3またはB4に搬送され、第1の実施形態と同様にCOT処理ブロックB3、B4内のユニットを搬送されてレジスト膜が形成された後、当該COT処理ブロックB3、B4の受け渡し部TRS2に搬送される。
然る後、当該ウエハWはセクション間搬送機構71により、現像部7Bの処理ブロックB5またはB6の受け渡し部TRS1(TRS2に積層されているため図11では非表示)に搬送され、主搬送機構D2、受け渡し部TRS22、搬送機構22、受け渡し部TRS24(TRS22に積層されているため図11では非表示)、搬送機構23をこの順に経由して、露光装置A4へ搬送される。露光後のウエハWは、第1の実施形態と同様の経路で、処理ブロックB5またはB6内へ搬送されて現像処理を受け、現像部7BのキャリアセクションA1に載置されたキャリア11に搬送される。この現像部7Bに載置されるキャリア11は、塗布膜形成部7AでウエハWを払い出したキャリア11であってもよいし、塗布膜形成部7AでウエハWを払い出したキャリア11とは異なるキャリア11であってもよい。
このような塗布、現像装置7に関しても、塗布、現像装置1と同様の効果を奏する。また、現像処理を行うための処理ブロックB5、B6への搬送は、現像部7Bの主搬送機構D2が行うことで、塗布膜形成部7Aの主搬送機構D1、D2の負荷が低減され、スループットの向上を図ることができる。
図12に示すように、上記の塗布、現像装置7について、キャリア11を仮置きするための棚81と、キャリア11の移載機構82とを設けてもよい。棚81は、塗布膜形成部7A及び現像部7Bの各キャリアセクションA1の載置台12の上方に設けられている。移載機構82は、その先端がキャリア11の上部を保持可能に構成された多関節アーム83を備えており、図中の矢印の先端側、基端側に当該多関節アーム83が伸長した状態、折り畳まれた状態を夫々示している。図中84は、多関節アーム83の基部側に接続され、当該多関節アーム83を水平移動させる水平移動機構であり、昇降機構84に接続されることで昇降自在に構成されている。このような移載機構82によって、各キャリアセクションA1の載置台12と棚81との間で、キャリア11を搬送することができる。
キャリア11の搬送の一例を説明すると、例えば当該キャリア11は、移載機構82とは別体の図示しない移載機構により棚81に搬送されて待機される。然る後、移載機構82によって塗布膜形成部7Aの載置台12に搬送されて、既述のようにキャリア11内に格納されたウエハWが払い出される。その後、キャリア11は移載機構82によって再度棚81に搬送されて待機された後、現像部7Bの載置台12に搬送され、払い出されたウエハWがキャリア11に戻される。移載機構82の動作は、上位制御部100により制御される。
ところで、上記の各実施形態の処理ブロックBで行う処理については、上記の反射防止膜の形成、レジスト膜の形成及び現像処理に限られない。例えば、既述の処理ブロックBにおける液処理ユニットとして、レジスト膜形成ユニット5や反射防止膜形成ユニット5Aの代わりに、レジスト膜を保護するための保護膜を形成するための薬液を塗布するユニットを設けてもよい。この保護膜は、例えば露光装置A4で液浸露光が行われる場合に、当該露光装置A4においてウエハWの表面に供給される水からレジスト膜の表面を保護するために、当該レジスト膜上に形成される。
また、処理ブロックBの液処理ユニットとして、ウエハWに洗浄液を供給して洗浄する洗浄ユニットを設けてもよい。例えば洗浄液としてSPM(硫酸と過酸化水素と水との混合液)を供給する液処理ユニット、SC2(塩酸と過酸化水素と水との混合液)を供給する液処理ユニット、SC1(アンモニアと過酸化水素と水との混合液)を供給する液処理ユニットを1つのブロック内に設け、これらの液処理ユニット間においてウエハWを搬送し、例えばSPM、SC2、SC1の順で、ウエハWに洗浄液の供給が行われるようにしてもよい。また、1つのブロック内に洗浄液としてフッ酸(HF)を供給する液処理ユニット、SC1を供給する液処理ユニットを設け、これらの液処理ユニット間においてウエハWを搬送し、例えばウエハWにHF、SC1の順で洗浄液が供給されるようにしてもよい。
このように一つの処理ブロックBで行われる連続した一連の処理としては、加熱処理や温度調整処理が含まれず、液処理のみが行われるようにしてもよい。さらに塗布膜の形成処理及び現像処理を行わず、上記の洗浄処理のみが行われるように装置を構成してもよい。つまり、本発明の基板処理装置は、塗布、現像装置のみに適用されるものではない。さらに、一つの処理ブロックにおいて行われる液処理は1種であっても複数種であってもよく、従って、例えば反射防止膜形成ユニット5Aとレジスト膜形成ユニット5を一つの処理ブロックBに設けて処理を行ってもよい。
また、既述した各実施形態では塗布、現像装置には同じ構成の処理ブロックBが2つ以上設けられているが、そのように同じ構成の処理ブロックBが複数設けられていなくてもよい。例えば複数の処理ブロックの全てにおいて、互いに異なる処理が行われるように基板処理装置を構成してもよい。そして、この複数の処理ブロックをウエハWが順番に搬送されるようにしてもよいし、複数の処理ブロックのうちの1つのみにウエハWが搬送されると共に各ウエハWは異なる処理ブロックに搬送されることで、ウエハWに異なる処理が行われるようにしてもよい。
ところで、上記の各例ではブロック制御部Cは、筐体31に内包されることで、処理ブロックBに設けられている。言い換えると、処理ブロックBを移動させるとブロック制御部Cも移動するように、処理ブロックBとブロック制御部Cとが一体に構成されている。しかし、ブロック制御部Cは処理ブロックBに設けられていなくてもよい。具体的には、筐体31の外側に、ブロック制御部Cが当該筐体31から分離されて設けられる、即ち、ブロック制御部Cが、処理ブロックBと別体として設けられていてもよい。そのように処理ブロックBとは別体にブロック制御部Cを設ける場合、筐体31内に設置できるユニットの数を増やすことができるという点、及びブロック制御部Cの配置のレイアウトの設定を自由に行えるという点で有利である。
ただし、処理ブロックBにブロック制御部Cが設けられることで、基板処理装置に対して処理ブロックBの増減を行う場合において、処理ブロックBと共にブロック制御部Cを移動させて当該基板処理装置に対して付加あるいは取り外しができるので、これら付加及び取り外しの手間の軽減を図ることができるという点から有利である。なお、処理ブロックBにブロック制御部Cが設けられるとは、上記のように筐体31内にブロック制御部Cを設けることには限られず、例えば筐体31の外部において当該筐体31上または側方に当該筐体31と隣接するようにブロック制御部Cを設け、筐体31とブロック制御部Cとを共に移動させることができる構成も含む。