JP2011158403A - 時計用カバーガラス、時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法 - Google Patents

時計用カバーガラス、時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水滴による曇りを防止できる優れた防曇性を有し、さらにその防曇性が長期間にわたって持続する時計用カバーガラス、これを備えた時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法を提供する。
【解決手段】内面に防曇剤が塗布されている時計用カバーガラスであって、該カバーガラス本体は、その体表面部における少なくとも一部が金属−酸素(M−O)結合を有する化学構造を備えており、前記体表面部の少なくとも一部には、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層が形成され、前記有機層の表面に前記防曇剤が塗布されているとともに、前記防曇剤がアニオン界面活性剤を含むことを特徴とする時計用カバーガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、時計用カバーガラス、時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法に関する。
物品の表面に細かい水滴が付着すると、光の散乱により曇りが発生する。時計においては、その本体への水分の浸入を構造的に防いでいるが、万一、本体中に水分が浸入した場合、その水分がカバーガラスに凝縮して曇りが発生する可能性がある。例えば、ダイバーウォッチ等においては、潜水中に、時刻の読み取りができないという危険は避けなければならず、高い防曇性が望まれる。そこで、時計に防曇性を付与する方法として、水分を吸着しやすい親水性樹脂を含む被膜をカバーガラス表面に形成し、防曇性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1,2)。
特公昭60−002261号公報 特公平01−037340号公報
しかしながら、カバーガラス表面への親水性樹脂等の塗布については、表面における親水性樹脂等の保持力が不十分であり、防曇性の持続性に課題がある。また、高い防曇性を確保するためには、当該被膜を厚く形成する必要があるが、膜の厚さによっては反射特性が変化し、時刻の読み取りに支障が出るという問題がある。
そこで、本発明の目的は、水滴による曇りを防止できる優れた防曇性を有し、さらにその防曇性が長期間にわたって持続する時計用カバーガラス、これを備えた時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法を提供することにある。
本発明の時計用カバーガラスは、内面に防曇剤が塗布されている時計用カバーガラスであって、該カバーガラス本体は、その体表面部における少なくとも一部が金属−酸素(M−O)結合を有する化学構造を備えており、前記体表面部の少なくとも一部には、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層が形成され、前記有機層の表面に前記防曇剤が塗布されているとともに、前記防曇剤がアニオン界面活性剤を含むことを特徴とする。
ここで、時計用カバーガラス(以下、単にカバーガラスともいう)としては、サファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
この構成の発明によれば、優れた防曇性を発現するだけでなく、時計用カバーガラスの体表面部の少なくとも一部が金属−酸素(M−O)結合を有する化学構造を備え、オルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層が形成されるので、前述のガラスであっても塗布された防曇剤が容易に脱落することなく、長期間にわたって防曇性が持続する。
本発明では、前記金属−酸素(M−O)結合がSi−O結合であることが好ましい。
この構成の発明によれば、オルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層とガラスとの結合がより強固になり、防曇剤がより強く保持される。従って、防曇性を長期間に渡って保持できる。
本発明では、前記防曇剤は、アニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤以外の界面活性剤をともに含んでなることが好ましい。
防曇性カバーガラスが高湿環境下で繰り返し使用されるとカバーガラス表面に水膜ができ、その水膜が乾燥する過程で乾燥の速い部位から乾燥の遅い部位へ界面活性剤成分が移動し、成分濃度の高い部位と低い部位が不均一となる現象が生じる。この現象が起きると、成分濃度の低い部位で防曇性とその持続性が低下することがわかっている。
この構成の発明によれば、アニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤以外の活性剤とを混合して使用することで、高湿環境下で繰り返し使用した際に生じる、表面に塗布された防曇剤の移動を抑制し、防曇性の低下が抑えられる。
さらに、本発明では、前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤が、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン界面活性剤をアニオン界面活性剤と混合して使用することで、極性を有するアニオン界面活性剤自体の凝集を抑え、界面活性剤成分の移動が抑制できる。
本発明では、前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤が、両性界面活性剤であることがさらに好ましい。
この構成の発明によれば、両性界面活性剤をアニオン界面活性剤と混合して使用することで、界面活性剤成分の移動をより効果的に抑制できる。さらに、両性界面活性剤はその分子中にカチオンのサイトとアニオンのサイトの両方を有し、この内カチオンのサイトが表面に吸着しやすいため界面活性剤の保持性が高まることで防曇性の持続性が向上する。
また、本発明では、該カバーガラス本体の少なくとも内側には、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなる無機反射防止層が形成され、前記無機反射防止層の最表面層が前記Si−O結合を有する化学構造を備えており、前記無機反射防止層の表面に前記有機層が形成されていることが好ましい。
この構成の発明によれば、無機反射防止層を利用して防曇層を形成すればよいから、Si−O結合を有する層を別途形成する必要がなく、また、余分な層を形成することにより、反射率が変化してしまうこともない。
さらに、本発明では、前記無機反射防止層と前記有機層とが化学的に結合していることが好ましい。
この構成の発明によれば、防曇剤が容易に脱落することなく保持されるので、防曇性がより長期間にわたって持続する。
また、本発明では、前記防曇剤に含まれる前記アニオン界面活性剤が、スルホン酸、スルホン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩から選ばれる一種以上の親水性官能基を含むことが好ましい。
この構成の発明によれば、アニオン界面活性剤が硫黄原子を含む官能基、すなわちスルホン酸、スルホン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩を親水性官能基として含有した場合、最表面に存在する硫黄原子を含む官能基との親和性が高いために、防曇性の持続性がより高まる。
さらに、塗布する際に使用される防曇剤は、水溶液であって、含有される界面活性剤の総量が、0.2質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。
この構成の発明によれば、防曇剤水溶液中に含有する界面活性剤成分の総量を0.2重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上15重量%以下の範囲に設定することで、その効果をより高めることができる。
また、前記硫黄原子を含む有機層が、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、単体および2量体以上の縮合物からなることが好ましい。
この構成の発明によれば、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、単体および2量体以上の縮合物により有機層を形成することで、基材表面に高密度で強固な結合を形成し、有機層自体の耐久性を高めることにより、優れた防曇性を長期間にわたって持続することができる。
本発明では、前記時計用カバーガラスを備えた時計を提供する。
本発明の時計用カバーガラスの防曇処理方法は、内面に防曇剤を塗布する時計用カバーガラスの防曇処理方法であって、該カバーガラス本体は、その体表面部における少なくとも一部が金属-酸素(M−O)結合を有する化学構造を備えており、前記体表面部の少なくとも一部に、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層を形成し、前記有機層の表面にアニオン界面活性剤を含む前記防曇剤を塗布することを特徴とする。
このような本発明によれば、水滴による曇りを防止できる優れた防曇性を有し、さらにその防曇性が長期間にわたって持続する防曇性の時計用カバーガラス、これを備えた時計、および時計用カバーガラスの防曇処理方法が提供できる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本実施形態の時計用カバーガラスは、その内側の体表面部に反射防止層を備え、その上に有機層が形成され、さらに有機層の表面に防曇剤が塗布されている。
(基材の材質)
本発明の時計用カバーガラス基材の材質としては、サファイアガラス、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。中でも硬度や透明性の観点から特にサファイアガラスが好ましい。
(反射防止層の構成と形成工程)
反射防止層は、時計用カバーガラス本体の内側の体表面上に形成され、窒化ケイ素(SiN)により形成される高屈折率層と低屈折率層は酸化ケイ素(SiO)により形成される低屈折率層とを交互に積層して得られる無機反射防止層であり、最外層はSiOにより形成されている。
高屈折率層の屈折率は、1.94以上2.02以下であり、好ましくは1.98以上2.01以下である。また、低屈折率層の屈折率は、1.465以上1.480以下である。
また、層数に制限はないが、一般的には4層から5層程度である。反射防止効果を高める観点からは積層数が多い方が好ましいが、あまり層数が多くなると、透光性や生産性の観点より問題が生ずる恐れがあるので、好ましくは9層までの範囲である。
前述の反射防止層の形成には、スパッタリング法が好適に用いられる。スパッタリング法としては無機薄膜形成の際に用いられる通常の方法が適用できる。尚、スパッタリングターゲットとして、シリコンターゲットを用いれば、雰囲気ガスおよび電圧等を変更するだけで、窒化ケイ素からなる高屈折率層と酸化ケイ素からなる低屈折率層をともに形成でき簡便である。
(有機層の構成と形成工程)
本発明の最表面に硫黄原子を含む有機層は、例えば以下に示すディップコート法により形成することができるが、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコーター法、スリットコーター法、印刷法等も用いることができる。
有機層を形成するディップコート法の処理液としては、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物を含有し、該オルガノシランまたは/およびその加水分解物は、単体だけでなく2量体以上の縮合物を含有することが好ましい。2量体以上の縮合物は層内の親水性基の密度を向上させ、単体で存在するオルガノシランまたは/およびその加水分解物は基材と層の固定化に加え、2量体以上の縮合物間、2量体以上の縮合物と単体分子間、および単体分子間で反応して隙間を埋める糊の役割を担う。これにより基材表面との高い密着性を発現し、また層の強度を向上する作用がある。さらに、糊として働く単体にも親水性基を含有し、有機層表面の親水性基密度を低下させることなく、優れた防曇性とその上に塗布する防曇剤の十分な保持性が得られる。
非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物中のスルホン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基等の官能基は、極めて高い親水性を示すスルホン酸基に変換することで、さらに良好な防曇性を付与することができる。スルホン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基の酸化は、オルガノシランまたは/およびその加水分解物を縮合する前でも、縮合した後でもかまわないが、一般的な酸化反応(過マンガン酸ナトリウム、重クロム酸カリウム、過酸化水素、オゾン含有ガス等による酸化)により行われる。
非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物と時計用カバーガラス表面との反応率をより高めて防曇性をさらに向上するため、処理液を塗布する前に、プラズマ処理、アルカリ処理、ラビング処理等の前処理を施しても良い。
非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランの例として、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルジメチルメトキシシラン、2−(2−クロロエチルチオエチル)トリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチル−3−(3−フェノキシプロピルチオプロピル)シラン、3−(2−アセトキシエチルチオプロピル)ジメトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−トリメトキリシリルプロパンスルホン酸イソプロピルエステル、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルスルホン酸等が挙げられる。
続いて、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の2量体以上の縮合物を生成し、単体と2量体以上の縮合物の混合物とする工程について述べる。
非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物のカップリング部位は、親水性有機溶剤中で低温ではゆっくりと、高温になるほど速く加水分解および縮合が進み、0℃未満では縮合が遅く、70℃を越える温度では縮合が非常に速く進む。よって、オルガノシランまたは/およびその加水分解物を親水性有機溶剤に希釈した後、0℃以上70℃以下で0.1時間から200時間保持することが好ましい。さらに、縮合度の制御をより安定的に行うためには、0℃以上40℃以下で2時間から200時間保持することが好ましい。また、必要に応じて、酸触媒、アルカリ触媒、アミン系触媒、金属化合物触媒から選ばれる一種以上の触媒を用いても良い。
具体的には、酸触媒は、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、クエン酸、炭酸等が、アルカリ触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニウム化合物等が挙げられる。アミン系触媒は、エチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、グアニジン等のアミン、グリシン等のアミノ酸、2−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。金属化合物触媒は、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート等の金属アセチルアセトネート、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸スズ等の有機酸金属塩、SnC14、TiC14、ZnC12等のルイス酸、過塩素酸マグネシウム等が挙げられる。触媒の量は、それぞれの触媒によって効果が異なるため一概には言えないが、得られる有機層の防曇性を阻害しない範囲で用いるのが好ましく、処理液中の固形分に対して75%以下で使用することが好ましい。
処理液に用いられる溶剤としては、水または親水性有機溶剤が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。親水性有機溶剤は、一種のみでも2種以上の混合溶媒でも良い。また、処理液には、有機層の均一性、外観向上
を目的として、界面活性剤を添加しても良い。
本実施形態では、SiO層上への有機層の形成工程において、前述の処理液を塗布乾燥後、例えば、熱風で加熱するなど、熱を加えることにより、反射防止層の最外層であるSiO層と有機層の化学的な結合を行わせることができる。
(防曇剤の成分と塗布工程)
本発明の防曇性時計用カバーガラスは、例えば上述の方法により有機層を形成し、その上にアニオン界面活性剤を含有する、またはアニオン界面活性剤および前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有する防曇剤を塗布することを特徴とする。その塗布方法としては、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法等が挙げられるが、簡易的な方法としては、基材表面に防曇剤を付着させた後に布や紙等を用いて拭き上げるか、防曇剤を含浸させた布や紙等を用いて塗布することで、優れた防曇性が得られる。
防曇剤の成分として用いられる界面活性剤は、有機層中に存在する硫黄原子を含む官能
基との相互作用からアニオン性のものが好ましく、さらに好ましくはそのアニオン性基が
スルホン酸、スルホン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩から選ばれる一種以上の親水
性官能基を含むことが好ましい。また、界面活性剤は一種または二種類以上を混合して使
用しても良い。
具体的なアニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)エーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフエニルエーテルジスルホン酸ナトリム等のアルキルジフエニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩、特殊反応型アニオン界面活性剤、特殊カルボン酸型界面活性剤、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
防曇剤には、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤としてノニオン界面活性剤をアニオン界面活性剤と混合して使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
さらに、防曇剤には、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤として両性界面活性剤をアニオン界面活性剤と混合して使用することができる。具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルアミドベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン型両性界面活性剤、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、レシチン等が挙げられる。
これらの防曇剤は、水溶液であって、含有される界面活性剤の総量が、0.2質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。
防曇剤水溶液中に含有する界面活性剤成分の総量を0.2重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上15重量%以下の範囲に設定することで、その効果をより高めることができる。界面活性剤成分の総量が0.2重量%未満である場合、防曇剤としての効果が不十分であり、高湿環境下で繰り返し使用した場合、防曇性が低下する恐れがある。反対に界面活性剤成分の総量が30重量%を越える場合、基材上への塗布量が多くなり過ぎることで、白濁が発生するなど外観上好ましくなく、さらには、反射防止層の反射防止性能を損なう恐れがあるため好ましくない。
またさらに、防曇剤の含有成分として、界面活性剤成分の他に、塗布性の向上や菌の増殖を防ぐことを目的として添加剤を加えても良い。添加剤としては、一般的に使用される防腐剤、増粘剤等が挙げられるが、特にエタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることが好ましい。
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、時計用カバーガラスの内側の体表面部に反射防止層を備え、反射防止層の最表面をSiOで形成し、その上に有機層を形成し、さらに有機層の表面に防曇剤を塗布したので、有機層を介して、反射防止層上に防曇剤がしっかりと保持され、脱落することがない。従って、長期間に渡って、高い防曇性を発揮することができる。また、耐傷性、耐摩擦性も高い。
本発明は、以上述べた実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で種々の改良および変形を行うことが可能である。
前記実施形態では、時計用カバーガラスの体表面部に反射防止層を形成したが、反射防止層は必須ではなく、ガラス基材に直接防曇剤を塗布するものであってもよい。
また、反射防止層としてではなく、単にSiOの層をガラスの体表面部に形成してもよい。その場合、例えば、酸化ケイ素(SiO)を真空槽内で蒸発させてガラス表面に付着させる真空蒸着法などの乾式法により、SiO層をカバーガラス本体の体表面に形成する。または、シランカップリング剤により、表面処理を行ってもよい。
また、本実施形態では、時計用カバーガラスの内面に防曇層を形成したが、防曇層は外面にも形成できる。本発明の防曇層は耐傷性も高いので、外面に形成した場合であっても、長期間に渡ってその性能が保持される。
以下に示す本発明の実施例、比較例は例示的なものであり、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を最大限に実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
尚、時計用カバーガラスの基材としては、一般的なサファイアガラスを用いた。
<実施例1>
(基材の前処理)
φ30mm×t1.2mmのサファイアガラスを120℃の熱濃硫酸に10分間浸漬した後、純水でよく洗浄し、120℃に設定されたオーブンで、大気中30分間乾燥した。次に、このサファイアガラスをスパッタ装置内部に載置した後、120℃に加熱しながら装置内部を10−6Torrの圧力とした。続いて、装置内にArガスを導入し、0.8mTorrで逆スパッタしてサファイアガラス表面をクリーニングした。
(反射防止層形成工程)
シリコンをターゲットとし、以下の条件でリアクティブスパッタリングを行い、高屈折率層と低屈折率層からなる反射防止層(4層)を、サファイアガラス製基材の表面に形成した。
高屈折率層:窒化ケイ素(SiN
ガス:10.0sccm(1.69×10−2Pa m/s)
Arガス:10.0sccm(1.69×10−2Pa m/s)
スパッタリングパワー:2.0kW
低屈折率層:酸化ケイ素(SiO
ガス:10.0sccm(1.69×10−2Pa m/s)
Arガス:10.0sccm(1.69×10−2Pa m/s)
スパッタリングパワー:1.5kW
反射防止層の具体的構成は、以下の通りである。
SiO(88nm)/SiNx(91nm)/SiO(12nm)/SiNx(27nm)//基材
尚、各層の厚みは、あらかじめ求めた成膜レートと成膜時間から計算している。
(処理液の作製)
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン溶液(3.9gをアセトン60mlに溶解)を0.4mol/l過酸化マンガン水溶液200ml中に氷冷しながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で2時間攪拌することで未反応の過マンガン酸を二酸化マンガンにした。この反応液から二酸化マンガンを濾別し、わずかに黄みがかった濾液を得た。この濾液をFT−NMRにて分析したところ、チオール基が酸化、メトキシ基が加水分解され、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウムが合成されていることがわかった。また、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液の固形分濃度を測定したところ、3wt%であった。
得られたトリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製アンバーライトIR−120Na)100ml中を通薬速度SV4にて通過させた。トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液のpHが10.5であったのに対し、イオン交換した溶液はpHが1.3であり、スルホン酸カリウムがスルホン酸にイオン交換され、トリストリシロキシプロパンスルホン酸溶液となっていることが確認された。トリシロキシプロパンスルホン酸溶液の固形分濃度を測定したところ、1.5wt%であった。
このトリシロキシプロパンスルホン酸溶液をエタノールにて固形分濃度が0.15wt%となるよう希釈し、150gの希釈液を得た。この希釈液を0℃で72時間保管した後、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールOTP−100)を処理液総量に対して100ppm加え、処理液を作製した。
この処理液の一部を純水で20倍に希釈し、LC/MSで分析したところ、2量体以上の縮合物の存在が確認され、その比率は全固形分量中の10wt%であることを確認した。
(時計用カバーガラス表面への有機層の形成)
反射防止層(最外層がSiO2層)の層を有する時計用カバーガラスをプラズマ洗浄し、処理液をロールコーターで塗工した。プラズマ洗浄の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:15secとした。
処理液を塗布した時計用カバーガラスを熱風循環式恒温槽内で、60℃で4時間保持し、基材との反応を完結させ、有機層形成ガラス基材を得た。
(防曇剤の調製)
アニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSBL−4N)5gを水95gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
前記有機層形成ガラス基材に、防曇剤を1滴(約0.02g)滴下し、ティッシュペーパーで塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<実施例2>
(防曇剤の調製)
アニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSBL−4N)8g、ノニオン界面活性剤:モノラウリン酸ポリエチレングリコール(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールMYL−10)2g、エタノール5gを水85gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
実施例1と同様の方法にて作製した有機層形成ガラス基材に、上記にて調製した防曇剤を1滴(約0.02g)滴下し、ティッシュペーパーで塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<実施例3>
(防曇剤の調製)
アニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSBL−4N)8g、両性界面活性剤:2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールAM−101)2g、エタノール20gを水70gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
上記にて調製した防曇剤をテッィシュペーパーに2滴(約0.04g)滴下して含浸させ、実施例1と同様の方法にて作製した有機層形成ガラス基材に、防曇剤を浸み込ませたティッシュペーパーを用いて塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<実施例4>
(防曇剤の調製)
アニオン界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSLS)1g、ノニオン界面活性剤:モノラウリン酸ポリエチレングリコール(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールMYL−10)1g、メタノール40gを水58gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
実施例1と同様の方法にて作製した有機層形成ガラス基材表面に、上記にて調製した防曇剤をディップコーティング法により塗布した。ディップコーティングの条件としては、浸漬時間10秒、引き上げ速度10mm/分とした。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<実施例5>
(処理液の作製)
3−トリメトキリシリルプロパンスルホン酸イソプロピルエステル2.9gを氷酢酸60mlに溶解し、ここに30%過酸化水素水35gを、液温を25から30℃に保った状態で1時間かけて滴下し、滴下終了後25℃で一昼夜攪拌した。この液をFT−NMRにて分析したところ、スルホン酸エステル基が酸化、メトキシ基が加水分解され、トリシロキシプロパンスルホン酸が合成されていることがわかった。また、トリシロキシプロパンスルホン酸溶液の固形分濃度を測定したところ、4wt%であった。
このトリシロキシプロパンスルホン酸溶液をエタノールにて0.2wt%に希釈し、150gとした。ここにN−アミノエチルエタノールアミン0.1gを混合し、30℃で2時間攪拌した。ここにラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSLS)を処理液総量に対し、50ppm加え、処理液を作製した。
この処理液の一部を純水で20倍に希釈し、LC/MSで分析したところ、2量体以上の縮合物の存在が確認され、その比率は全固形分量中の40wt%であることを確認した。
(有機層形成ガラス基材への有機層の形成)
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分間浸漬し、純水で十分に洗浄した前記有機層形成ガラス基材を、処理液に1分間浸漬した後、等速引き上げ装置で10cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液を塗布した有機層形成ガラス基材を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、有機層形成ガラス基材を得た。
(防曇剤の調製)
アニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールSBL−4N)5gを水95gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
得られた有機層形成ガラス基材表面に、上記にて調製した防曇剤をディップコーティング法により塗布した。ディップコーティングの条件としては、浸漬時間10秒、引き上げ速度10mm/分とした。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<比較例1>
(反射防止層付きカバーガラスへの防曇剤の塗布)
反射防止層(最外層がSiO2層)の層を有する時計用カバーガラスに、実施例1で調製した防曇剤を1滴(約0.02g)滴下し、ティッシュペーパーで塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたカバーガラスの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。
<比較例2>
(防曇剤の調製)
ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレンモノステアレート(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールMYS−40)5gを水95gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
実施例1で作製した有機層形成ガラス基材に、上記防曇剤を1滴(約0.02g)滴下し、ティッシュペーパーで塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
<比較例3>
(防曇剤の調製)
カチオン界面活性剤:塩化セチルトリメチルアンモニウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールCA−2350)5gを水95gに溶解し、防曇剤とした。
(有機層形成ガラス基材への防曇剤の塗布)
実施例1で作製した有機層形成ガラス基材に、上記防曇剤を1滴(約0.02g)滴下し、ティッシュペーパーで塗り広げると同時に余分に付着した成分を拭き取った。こうして得られたガラス基材の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
実施例および比較例で得られた防曇性時計用カバーガラスは、以下に示す評価方法で評価した。その結果を表1に示す。
<評価の方法>
初期防曇性:
20℃に保管したサンプルを、温度40℃、相対湿度90%に保った環境中に移し、表面の曇り発生を目視観察した。目視による曇り性を、以下の4段階に分けて評価した。
◎・・・曇らない
○・・・少し曇るが実用上問題なし
△・・・2分後に曇りが消える(実用上問題あり)
×・・・2分たっても曇りが消えない
防曇持続性:
20℃に保管したサンプルを、温度40℃、相対湿度90%に保った環境中に3分間保持した後、温度20℃、相対湿度35%に保った環境中に移して表面に付着した水分を乾燥させ、この一連の操作を1サイクルとして複数回繰り返し実施した。その時の防曇性を以下の4段階に分けて評価した。
◎・・・6サイクル後でも曇らない
○・・・3から5サイクル目で曇りが発生するが実用上問題なし
△・・・2サイクル目で曇りが発生する
×・・・1サイクル目で曇りが発生する
防曇耐久性:
カバーガラス表面を布(木綿)で200gの荷重をかけ5,000回摩擦した後、純水洗浄および乾燥を行った。このサンプルを20℃に保管した後、温度40℃、相対湿度90%に保った環境中に移し、表面の曇り発生を目視観察した。目視による曇り性を、以下の4段階に分けて評価した。
◎・・・曇らない
○・・・少し曇るが実用上問題なし
△・・・2分後に曇りが消える(実用上問題あり)
×・・・2分たっても曇りが消えない
総合評価:
初期防曇性、防曇持続性、防曇耐久性の評価より、総合的な防曇性を以下の3段階に分けて評価した。
○・・・実用上問題なし
△・・・防曇効果はあるが実用上問題あり
×・・・実用上不適
Figure 2011158403
表1の結果より、最表面に硫黄原子を含む有機層を形成してなる基材に、アニオン界面活性剤を含有する、またはアニオン界面活性剤および前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有する防曇剤を塗布することにより得られた防曇性カバーガラス(実施例1から5)は、初期防曇性、防曇持続性および防曇耐久性全てにおいて実用上十分な性能が得られた。しかしながら、最表面に硫黄原子を含む有機層を形成していない防曇性カバーガラス(比較例1)、また、防曇剤としてアニオン界面活性剤を含有しない防曇性カバーガラス(比較例2から3)は、特に防曇持続性が実用上問題となるレベルであった。

Claims (12)

  1. 内面に防曇剤が塗布されている時計用カバーガラスであって、
    該カバーガラス本体は、その体表面部における少なくとも一部が金属−酸素(M−O)結合を有する化学構造を備えており、
    前記体表面部の少なくとも一部には、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層が形成され、
    前記有機層の表面に前記防曇剤が塗布されているとともに、
    前記防曇剤がアニオン界面活性剤を含む
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  2. 請求項1に記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記金属−酸素(M−O)結合は、Si−O結合である
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  3. 請求項1または2に記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記防曇剤は、アニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤以外の界面活性剤をともに含んでなる
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  4. 請求項3に記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤が、ノニオン界面活性剤である
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  5. 請求項3に記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記アニオン界面活性剤以外の界面活性剤が、両性界面活性剤である
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれかに記載の時計用カバーガラスにおいて、
    該カバーガラス本体の少なくとも内側には、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなる無機反射防止層が形成され、
    前記無機反射防止層の最表面層が前記Si−O結合を有する化学構造を備えており、
    前記無機反射防止層の表面に前記有機層が形成されている
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  7. 請求項6に記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記無機反射防止層と前記有機層とが化学的に結合している
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記防曇剤に含まれる前記アニオン界面活性剤が、スルホン酸、スルホン酸塩、硫酸エステル、硫酸エステル塩から選ばれる一種以上の親水性官能基を含む
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載の時計用カバーガラスにおいて、
    塗布する際に使用される防曇剤は、水溶液であって、含有される界面活性剤の総量が、0.2質量%以上、30質量%以下である
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかに記載の時計用カバーガラスにおいて、
    前記硫黄原子を含む有機層が、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、単体および2量体以上の縮合物からなる
    ことを特徴とする時計用カバーガラス。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれかに記載の時計用カバーガラスを備える
    ことを特徴とする時計。
  12. 内面に防曇剤を塗布する時計用カバーガラスの防曇処理方法であって、
    該カバーガラス本体は、その体表面部における少なくとも一部が金属−酸素(M−O)結合を有する化学構造を備えており、
    前記体表面部の少なくとも一部に、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄原子を含むオルガノシランまたは/およびその加水分解物の、2量体以上の縮合物を含む有機層を形成し、
    前記有機層の表面にアニオン界面活性剤を含む前記防曇剤を塗布する
    ことを特徴とする時計用カバーガラスの防曇処理方法。
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