JP2011154936A - 電池用セパレータおよびリチウム二次電池 - Google Patents

電池用セパレータおよびリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い安全性を有する電池を構成可能であり、生産性および機械的強度に優れた電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池とを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を主体とし、突刺強度が大きくとも3Nである微多孔膜からなる多孔質層(I)の少なくとも片面に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を有することを特徴とする電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、安価であるとともに、高強度であり、安全性の高い電池を構成可能な電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池に関するものである。
現行のリチウム二次電池では、正極と負極との間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の微多孔膜が使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
こうしたセパレータには、例えば、多孔化と強度向上のために湿式で二軸延伸したフィルムが用いられることが多い。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを前記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっている。そのため、シャットダウン前に熱暴走領域に達してセパレータの熱収縮が起こり、それにより正極と負極とが短絡する虞がある。
一方で、乾式一軸延伸法により製造されるセパレータも知られている。このようなセパレータは耐熱収縮性が比較的良好であり、また、製造工程が簡易なことから安価であるという特徴を有している。しかしながら、乾式法では、延伸を強く行うとセパレータの孔径が大きくなりすぎるため、延伸倍率を落として開孔する手法が採られていることから、湿式法で製造されるセパレータに比べて、突刺強度などの機械的強度が小さくなる。
セパレータの機械的強度を高める手法としては、例えば、特許文献1に、共役ジエン系ポリマーとポリオレフィンとを含む混合物でセパレータを形成する方法が提案されている。
また、セパレータの耐熱収縮性の向上を図り、これを用いたリチウム二次電池などの電気化学素子の信頼性や安全性を高め得るものとして、例えば、特許文献2に、シャットダウン機能を確保するための樹脂を主体として含む第1セパレータ層と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む第2セパレータ層とを有する多孔質のセパレータが提案されている。
特開2004−352834号公報 国際公開第2007/66768号
前記の通り、乾式一軸延伸法により製造されたセパレータは安価であることから、これを用いたリチウム二次電池では、製造コストを低減して生産性を高めることが可能となる。
しかし、乾式一軸延伸法により製造されたセパレータのように突刺強度などが小さいセパレータは、衝突、落下、振動などによってリチウム二次電池に衝撃力が加わった際に裂けやすく、これにより正極と負極との短絡が生じてしまう虞がある。また、リチウム二次電池の有する非水電解液の浸透性やリチウムイオンの受け入れ性改善のために、表面の粗い電極が使用されることもあるが、その場合、突刺強度の小さなセパレータを用いると、電池の充放電サイクル信頼性(その指標である検査工程での生産性を含む)が低下する虞もある。
このようなことから、乾式一軸延伸法により製造されたセパレータをリチウム二次電池に適用する場合には、突刺強度などの機械的強度を高める必要がある。例えば、乾式一軸延伸法により製造されるセパレータにおいて、特許文献1に記載の技術を転用してセパレータの突刺強度などの機械的強度を高めることも考え得るが、この場合、セパレータの製造工程が非常に複雑になり、前記のセパレータを使用することによる電池の生産性向上効果が損なわれてしまう。
また、乾式一軸延伸法により製造されたセパレータは、延伸力を弱めて製造されていることから、湿式二軸延伸法により製造されたセパレータよりも結晶化度が増大しておらず、応力が緩和されて歪みが少ないため、耐熱収縮性が比較的良好であるものの、シャットダウン開始温度と、電池の熱暴走温度との間に大きな差がないため、電池の安全性確保のためのマージンが十分とは言い難いといった問題もある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い安全性を有する電池を構成可能であり、生産性および機械的強度に優れた電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池とを提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の電池用セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とし、突刺強度が大きくとも3Nである微多孔膜からなる多孔質層(I)の少なくとも片面に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を有することを特徴とするものである。
また、本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するものであって、前記セパレータが、本発明の電池用セパレータであることを特徴とするものである。
なお、本明細書でいう「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
また、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(I)における「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、多孔質層(I)内の全成分の固形分比率で、熱可塑性樹脂が50体積%以上であることを意味している。更に、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(II)における「耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む」とは、層内の固形分比率で、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーが50体積%以上であることを意味している。
本発明によれば、生産性および機械的強度が高い電池用セパレータを提供できる。また、本発明の電池用セパレータは、安全性の高い電池を構成できる。すなわち、本発明の電池用セパレータを用いた本発明のリチウム二次電池は、生産性が良好で、高い安全性を有するものである。
実施例におけるNi片押し付け強度の測定方法を説明するための図面である。 本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図2に示すリチウム二次電池の斜視図である。
本発明の電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という)は、熱可塑性樹脂を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質の多孔質層(II)とを有するものである。
セパレータに係る多孔質層(I)は、正極および負極の短絡を防止するセパレータ本来の機能と、後述する多孔質層(II)の支持体としての機能を有している。また、後述するように、多孔質層(I)によって、シャットダウン機能[例えば80℃以上(より好ましくは100℃以上)150℃以下で、セパレータの空孔が閉塞する性質]を確保することもできる。すなわち、本発明のセパレータを使用したリチウム二次電池(本発明のリチウム二次電池)の温度が多孔質層(I)の主体となる成分である熱可塑性樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、突刺強度が大きくても3Nである。このような突刺強度の小さな微多孔膜としては、例えば、延伸開孔法により多孔化された微多孔膜が挙げられる。延伸開孔法とは、ラメラ(層状)構造を有するポリマー結晶を溶融し、ダイスから押し出してシート化して、結晶化のための熱処理を施した後、一軸延伸により結晶界面を剥離してラメラ開孔させる手法である。すなわち、この延伸開孔法による微多孔膜製造は、溶剤を使用しない乾式一軸延伸法により行われるため、湿式二軸延伸を用いる相分離法のような溶剤除去工程がないことから、製造工程を簡略化でき、微多孔膜の製造コストを低減できる。
しかしながら、前記の延伸開孔法、すなわち、乾式一軸延伸法により製造される微多孔膜は、各種特性の異方性が高い、強度が小さい、機械方向(微多孔膜の製造方向)に裂けやすいなどの問題も抱えている。
本発明のセパレータに係る多孔質層(II)は、このような微多孔膜で構成される多孔質層(I)の機械的強度を補う機能を備えたものである。多孔質層(II)は、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含んでおり、機械的強度が大きいことから、これを設けたセパレータとすることで、前記のような多孔質層(I)の機械的強度を補って、セパレータ全体の機械的強度を高めることができる。
また、多孔質層(II)は、電池の内部温度が上昇した際にも、正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能も備えており、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、喩え多孔質層(I)が収縮しても、収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止できる。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜の突刺強度は、以下の方法により求める。直径2インチの穴があいた板上に微多孔膜を、しわやたわみのないように固定し、先端の直径が1.0mmの半円球状の金属ピンを、120mm/minの速度で測定試料に降下させて、微多孔膜に穴があく時の力を5回測定する。そして、前記5回の測定値のうち最大値と最小値とを除く3回の測定について平均値を求め、これを微多孔膜の突刺強度とする。
多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、熱可塑性樹脂を主体としており、電気絶縁性を有し、電気化学的に安定で、更に後に詳述する電池の有する非水電解液に安定で、前記の突刺強度を有しているものであれば、特に制限はない。このような微多孔膜の主体となる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル;などが挙げられる。
微多孔膜は、前記例示の熱可塑性樹脂により構成された単層構造のものでもよく、また、多層構造であってもよい。多層構造の微多孔膜としては、例えば、PE層とPP層とを有する2層構造の微多孔膜;PE層/PP層/PE層が順次積層されて構成された微多孔膜や、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された微多孔膜などの3層構造の微多孔膜;などが挙げられる。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、セパレータのシャットダウン機能をより良好に確保する観点からは、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、80℃以上150℃(更に好ましくは100℃以上)の熱可塑性樹脂を含有していることが好ましく、より具体的には、PEを含有していることが望ましい。
また、PPはPEよりも耐酸化性が高いため、セパレータの耐酸化性を高める観点からは、多孔質層(I)を構成する微多孔膜の表面に、PPが存在していることが好ましい。表面にPPが存在している微多孔膜としては、PP層のみで構成される微多孔膜や、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された3層構造の微多孔膜(PE層の両面にPP層を有する3層構造の微多孔膜)が挙げられる。
よって、セパレータの耐酸化性を高めつつ、セパレータのシャットダウン機能をより良好に確保できることから、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された3層構造の微多孔膜であることが特に好ましい。なお、前記3層構造の微多孔膜の場合、PP層の厚みは2〜8μmであることが好ましく、PE層の厚みは2〜10μmであることが好ましい。
リチウム二次電池において汎用されている巻回電極体では、帯状の正極と帯状の負極とを帯状のセパレータを介して積層した積層体とし、渦巻状に巻回して巻回電極体を形成するが、通常、セパレータは正極および負極よりも長いものを使用するため、巻回電極体の内側では、セパレータが正極および負極とは直接対向しない状態で存在している。ところが、表面にPPが存在しているセパレータは、例えば表面にPEが存在しているセパレータよりも、表面が滑り難いという特徴を有しているため、巻回電極体の巻回の際に、セパレータと電極との摩擦が大きくなり、特に巻回電極体の製造速度を高めた場合に、セパレータだけを斜めに巻回してしまい、セパレータで良好にセパレーションできずに正極と負極とが直接接してしまう蛇行エラーや、巻回芯と巻回電極体の内側で正負極と直接対向しない状態で存在しているセパレータとの間の摩擦が大きくなって、巻回芯を巻回電極体から抜き取る際に、巻回電極体の内周側の部分が巻回芯に追随してしまい、巻回電極体がタケノコ状になってしまうエラーなどが発生しやすい。このようなことから、表面にPPが存在しているセパレータを使用して巻回電極体を製造する場合、例えば、表面がPEのセパレータを使用した巻回電極体の場合に比べて、製造速度を高め難く、電池の生産性が低くなるという問題がある。
しかし、本発明のセパレータでは、無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を有しているため、滑り性の低いPPが表面に存在する多孔質層(I)を有していても、セパレータ表面の滑り性を高めることができることから、前記のような巻回電極体形成時のトラブルの発生を抑制することができ、巻回電極体の製造速度を大きくし得る。よって、電池の生産性を高めることが可能となる。
なお、PEのように融点が80℃以上150℃以下の熱可塑性樹脂と、PPなどのように、融点が150℃を超える熱可塑性樹脂とを併用して多孔質層(I)を構成する場合、例えば、PEと、PPなどのPEよりも高融点の樹脂とを混合して構成された微多孔膜を多孔質層(I)としたり、PE層と、PP層などのPEよりも高融点の樹脂で構成された層とを積層して構成された多層構造の微多孔膜を多孔質層(I)としたりする場合には、多孔質層(I)を構成する熱可塑性樹脂中、融点が80℃以上150℃以下の樹脂(例えばPE)が、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
また、多孔質層(I)には、セパレータにシャットダウン機能を付与する作用を損なわない範囲で、その強度などを向上するためにフィラーなどを含有させることもできる。多孔質層(I)に使用可能なフィラーとしては、例えば、後述する多孔質層(II)に使用可能なフィラー(耐熱温度が150℃以上の無機フィラー)と同じものが挙げられる。
フィラーの粒径は、平均粒子径で、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。なお、本明細書でいう平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、フィラーを溶解しない媒体に、これらフィラーを分散させて測定したD50%(体積基準の積算分率50%における粒子直径)である[後述する多孔質層(II)に係るフィラーについても同じである。]。
多孔質層(I)における熱可塑性樹脂の含有量は、例えばシャットダウンの効果をより得やすくするために、下記のようであることが好ましい。多孔質層(I)の全構成成分中において主体となる熱可塑性樹脂の体積は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましく、100体積%であってもよい。更に、後記の方法により求められる多孔質層(II)の空孔率が20〜60%であり、かつ多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂の体積が、多孔質層(II)の空孔体積の50%以上であることが好ましい。
セパレータに係る多孔質層(II)に含まれる無機フィラーは、耐熱温度が150℃以上であれば、その形状や素材については特に制限はないが、多孔質層(II)の機械的強度をより高め得る点で、板状の無機フィラーであることが好ましい。
なお、板状の無機フィラーの形態としては、アスペクト比(板状フィラー中の最大長さと板状フィラーの厚みとの比)が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であって、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。ここでいう板状の無機フィラーにおけるアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求められる値である。
前記無機フィラーに板状のものを使用する場合、板状の無機フィラーのみを用いてもよく、板状の無機フィラーと、その他の形状(球状や楕円体状など)の無機フィラーとを併用してもよい。板状の無機フィラーと、その他の形状の無機フィラーとを併用する場合、板状の無機フィラーの使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、多孔質層(II)が含有する無機フィラーの全量中、板状の無機フィラーが、80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。
多孔質層(II)に含まれる無機フィラーは、耐酸化性が高いなどの点で、アルミナ、シリカ、ベーマイトなどが好ましい。無機フィラーは、例えば前記例示のものを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーの平均粒子径D50%は、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、また、15μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、50体積%以上であり、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましい。多孔質層(II)中の無機フィラーを前記のように高含有量とすることで、セパレータ全体の機械的強度をより良好に高めることができ、また、リチウム二次電池が高温となった際の正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができる。
また、多孔質層(II)には、耐熱温度が150℃以上の無機フィラー同士を結着したり、必要に応じて多孔質層(I)と多孔質層(II)とを結着したりするために有機バインダを含有させることが好ましく、このような観点から、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上の無機フィラー量の好適上限値は、例えば、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99.5体積%である。なお、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの量を70体積%未満とすると、例えば、多孔質層(II)中の有機バインダ量を多くする必要が生じるが、その場合には多孔質層(II)の空孔が有機バインダによって埋められやすく、セパレータとしての機能が低下する虞があり、また、開孔剤などを用いて多孔質化した場合には、無機フィラー同士の間隔が大きくなりすぎて、熱収縮を抑制する効果が低下する虞がある。
多孔質層(II)には、セパレータの形状安定性の確保や、多孔質層(II)と多孔質層(I)との一体化などのために、有機バインダを含有させることが好ましい。有機バインダとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「BM−400B(SBR)」などがある。
なお、前記の有機バインダを多孔質層(II)に使用する場合には、後述する多孔質層(II)形成用の組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
本発明のセパレータにおいては、多孔質層(II)の厚み[セパレータが多孔質層(II)を複数有する場合は、その総厚み]は、多孔質層(II)による前記の各作用をより有効に発揮させる観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることが好ましい。ただし、多孔質層(II)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることから、多孔質層(II)の厚みは、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
また、多孔質層(I)の厚み[セパレータが多孔質層(I)を複数有する場合は、その総厚み。以下同じ。]は、多孔質層(I)の使用による前記作用(特にシャットダウン作用)をより有効に発揮させる観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。ただし、多孔質層(I)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることに加えて、多孔質層(I)が熱収縮しようとする力が大きくなり、例えば、セパレータ全体の熱収縮を抑える作用が小さくなる虞がある。そのため、多孔質層(I)の厚みは、25μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、14μm以下であることが更に好ましい。
セパレータ全体の空孔率としては、電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σa/ρ)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記(1)式において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記(1)式において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
本発明のセパレータは、例えば、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーなどを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)を、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜の表面に塗布し、所定の温度に乾燥して多孔質層(II)を形成することにより製造することができる。
多孔質層(II)形成用組成物は、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの他、必要に応じて有機バインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)に分散させたものである。なお、有機バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(II)形成用組成物に用いられる溶媒は、無機フィラーなどを均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類など、一般的な有機溶媒が好適に用いられる。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、耐熱温度が150℃以上の無機フィラー、および有機バインダなどを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
また、多孔質層(II)形成用組成物をフィルムや金属箔などの基板上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、必要に応じて前記基板から剥離して多孔質層(II)となる多孔質膜を形成し、この多孔質膜と、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜とを貼り合わせて一体化することでセパレータを製造することもできる。この場合、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜と多孔質層(II)となる多孔質膜とを一体化させるには、例えば、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを重ね合わせ、ロールプレスなどにより両者を貼り合わせる方法などが採用できる。
なお、本発明のセパレータにおいて、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、それぞれ1層ずつである必要はなく、複数の層がセパレータ中にあってもよい。例えば、多孔質層(II)の両面に多孔質層(I)を配置した構成としたり、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を配置した構成としてもよい。ただし、層数を増やすことで、セパレータの厚みを増やして電池の内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、セパレータ中の多孔質層(I)と多孔質層(II)との合計層数は5層以下であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、前記本発明のセパレータを備えていればよく、その他の構成および構造については、従来から知られているリチウム二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
リチウム二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
リチウム二次電池は、温度が上昇した際に電池内部のガスを外部に排出する機構を有していることが好ましい。かかる機構としては、従来公知の機構を用いることができる。すなわち、スチール缶やアルミニウム缶などの金属缶を外装缶とする電池では、一定の圧力で亀裂が生じる金属製の開裂ベント、一定の圧力で破れる樹脂製のベント、一定の圧力で蓋の開くゴム製のベントなどを用いることができるが、なかでも金属製の開裂ベントを用いるのが好ましい。
一方、ソフトパッケージ電池では、封止部分が樹脂の熱融着により封止されているため、そもそも温度と内圧が上昇した場合に、こうした高温、高圧に耐えられる構造とすることが難しく、特別な機構を設けなくても温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることが可能である。すなわち、ソフトパッケージ電池においては、外装体の封止部(熱融着部)が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する。また、ソフトパッケージ電池の場合、封止部分の幅を特定の場所だけ狭くするなどの方法によっても、温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることができる(すなわち、前記特定の場所が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する)。
リチウム二次電池の負極には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極、すなわち、Li(リチウム)イオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたものや、前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独で用いたり、前記合金やリチウム金属の層を集電体に形成したものなどの負極剤層を有するものが用いられる。
なお、リチウム二次電池の低温(例えば0℃以下)での充電特性を高める観点からは、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値(I1360/I1580)が0.1以上0.5以下であり、002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛を使用することが好ましい。特に前記黒鉛を負極活物質全量中に30質量%以上の割合で使用することで、リチウム二次電池の低温での特性改善効果が良好に確保できる(前記黒鉛のみを負極活物質として使用してもよい)。
前記R値は、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザー[例えば、Ramanaor社製「T−5400」(レーザーパワー:1mW)]を用いて得られるラマンスペクトルにより求めることができる。
R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛としては、例えば、表面が低結晶性の炭素材で被覆された黒鉛が挙げられる。そのような黒鉛は、d002が0.338nm以下である天然黒鉛または人造黒鉛を球状に賦形した黒鉛を母材とし、その表面を有機化合物で被覆し、800〜1500℃で焼成した後、解砕し、篩を通して整粒することによって得ることができる。なお、前記母材を被覆する有機化合物としては、芳香族炭化水素;芳香族炭化水素を加熱加圧下で重縮合して得られるタールまたはピッチ類;芳香族炭化水素の混合物を主成分とするタール、ピッチまたはアスファルト類;などが挙げられる。前記母材を前記有機化合物で被覆するには、前記有機化合物に前記母材を含浸・混捏する方法が採用できる。また、プロパンやアセチレンなどの炭化水素ガスを熱分解により炭素化し、これをd002が0.338nm以下の黒鉛の表面に堆積させる気相法によっても、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を作製することができる。
R値およびd002が前記の値を満足する前記黒鉛は、セパレータに係る前記無機フィラーと同じ方法で測定される平均粒子径D50%が、10μm以上であることが好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。更に、前記黒鉛の比表面積は、1.0m/g以上であることが好ましく、また、5.0m/g以下であることが好ましい。
前記のような表面が低結晶性の炭素材で被覆された黒鉛は、表面が粗面であるため、これを用いて形成した負極合剤層では、表面の算術平均粗さ(Ra)が、例えば、0.7〜1.2μmと粗くなる。このような負極を用いて巻回電極体を形成すると、セパレータの強度によってはセパレータが圧縮され、短絡に至らないまでも正負極間距離が小さくなって、例えば電池の充放電を繰り返したときに容量低下を生じて信頼性が損なわれる場合もある。
しかし、本発明のリチウム二次電池で使用する本発明のセパレータでは、多孔質層(II)によって全体の強度が高められているため、前記のような表面の粗い負極を使用して巻回電極体としても、正負極間距離が小さくなることを抑えることができる。よって、本発明のリチウム二次電池では、充放電サイクル時の容量低下を抑えて信頼性を高めつつ、低温での充電特性を向上させることができる。
なお、本明細書でいう負極の負極合剤層表面の算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定の算術平均粗さであり、具体的には、共焦点レーザー顕微鏡(レーザテック株式会社製「リアルタイム走査型レーザ顕微鏡 1LM−21D」)を用い、1mm×1mmの視野を512×512ピクセルで測定し、各点の平均線からの絶対値を算術平均することにより求めた数値である。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部は、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
正極としては、従来から知られているリチウム二次電池に用いられている正極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど。なお、元素MはLi以外の他の金属元素で10原子%まで置換されていてもよい。)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることが可能である。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などのほか、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。特に、Niを40%以上含む活物質の場合には、電池が高容量となるので好ましく、また、O(酸素原子)はフッ素、イオウ原子で1原子%まで置換されていてもよい。
導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料が用いられ、バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などフッ素樹脂が用いられ、これらの材料と活物質とが混合された正極合剤により正極合剤層が、例えば集電体の片面または両面に形成される。
また、正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部も負極のリード部と同様に、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
電極は、前記の正極と前記の負極とを、本発明のセパレータを介して積層した積層電極体や、更にこれを巻回した巻回電極体の形態で用いることができる。なお、セパレータに係る多孔質層(I)を構成する微多孔膜にPPが表面に存在するものを使用して巻回電極体を形成する際には、巻回電極体の内側となる部分において、巻回時に巻回芯と接する側の面が多孔質層(II)となるように前記セパレータを配置することが好ましい。
また、電極体の形成時には、多孔質層(I)が負極に面するようにセパレータを配置することが好ましい。詳細な理由は不明であるが、多孔質層(I)が少なくとも負極に面するようにセパレータを配置した場合には、正極に面するように配置した場合よりも、シャットダウンを生じた場合に、多孔質層(I)から溶融した樹脂のうち、電極合剤層(正極合剤層または負極合剤層)に吸収される割合が少なくなり、溶融した樹脂がセパレータの空孔を閉塞するのに、より有効に利用されるため、シャットダウンによる効果がより良好となる。
また、例えばリチウム二次電池が、温度上昇により電池の内圧が上昇した際に、電池内部のガスを外部に排出して電池の内圧を下げる機構を有する場合には、この機構が作動した際に、内部の非水電解液が揮発して、電極が直接空気に曝される状態となる虞がある。電池が充電状態にある場合に、前記のような状態となり、負極と空気(酸素や水分)が接触すると、負極に吸蔵されたLiイオンや負極表面に析出したリチウムと空気とが反応して発熱し、時には発火することもある。また、この発熱により電池の温度が上昇して正極活物質の熱暴走反応を引き起こし、その結果、電池が発火に至ることもある。
しかしながら、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)が負極に面するように構成した電池の場合には、高温時には多孔質層(I)の主体である熱可塑性樹脂が溶融して負極表面を覆うことから、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構の作動に伴う負極と空気との反応を抑制することができる。そのため、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構が作動することによる発熱の虞をなくし、電池をより安全に保つことができる。
また、リチウム二次電池では、過充電時の安全性や高温下での安定した貯蔵特性(主に外装体の膨れ防止)を確保するために、各種添加剤(例えば、シクロヘキシルベンゼン、ビニレンカーボネートなど)を非水電解液に添加することがある。本来、これらの添加剤は、高電圧や高温など異常な環境下に曝されたときに効果を奏し得るものであるが、通常の使用環境下においても、前記添加剤が重合するなどの副反応が生じる場合もある。特に高電圧下に曝される機会の多い正極側において、前記の副反応が生じる場合が多く、例えば、シクロヘキシルベンゼンが正極側で重合すると、セパレータの目詰まりが生じて、電池のインピーダンスが上昇するなどの問題が発生する虞がある。特に、セパレータの孔径が小さい場合には、こうした目詰まりによる悪影響を受けやすい。
セパレータに係る多孔質層(I)を構成する微多孔膜が、延伸開孔法で多孔化したもの(すなわち、乾式一軸延伸法で製造されたもの)である場合、微多孔膜の孔径制御が困難であり、特に大きな孔径とすることには限界がある。よって、多孔質層(I)が正極側となるようにセパレータを配置して電池を構成すると、非水電解液が前記添加剤を含有している場合に、前記の副反応によるセパレータの空孔の目詰まりの問題が顕著に現れる。そこで、本発明のリチウム二次電池では、特に前記のような添加剤を含有する非水電解液を使用する場合には、比較的ポーラスな多孔質層(II)が正極側となるようにセパレータを配置することがより好ましく、これにより、前記の目詰まりを抑制することができる。
更に、多孔質層(II)は無機フィラーを主体として含んでいるため、耐酸化性が多孔質層(I)よりも優れていることから、多孔質層(II)を正極側に向けることによって、正極によるセパレータの酸化をより良好に抑制することが可能となり、高温時の保存特性や充放電サイクル特性に更に優れた電池とすることができる。このようなことから、本発明の電池では、非水電解液が前記添加剤を含有していない場合でも、多孔質層(II)を正極側に向ける構成とすることがより好ましい。
よって、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)や、多孔質層(II)を複数有するセパレータの場合、負極側が多孔質層(I)となり、かつ正極側が多孔質層(II)となるようにセパレータを構成することがより好ましい。
本発明の電池に係る非水電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、従来から知られているリチウム二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
平均粒子径D50%が1μmのベーマイト5kgに、イオン交換水5kgと、分散剤(水系ポリカルボン酸アンモニウム塩、固形分濃度40質量%)0.5kgとを加え、内容積20L、転回数40回/分のボールミルで10時間解砕処理をして分散液を調製した。処理後の分散液を120℃で真空乾燥し、SEM観察をしたところ、ベーマイトの形状はほぼ板状であった。
前記分散液500gに、増粘剤としてキサンタンガムを0.5g、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)を17g加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して均一なスラリー[多孔質層(II)形成用スラリー、固形分比率50質量%]を調製した。
多孔質層(I)を構成するための微多孔膜として、PE層の両面にPP層を有する3層構造の微多孔膜(厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.08mm、突刺し強度2.3N、PE層の厚み6μm、PP層の厚み5μm)を用意した。この微多孔膜は、乾式一軸延伸法で製造されたものである。この微多孔膜の片面にコロナ放電処理(放電量40W・min/m)を施し、この処理面に前記の多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して、厚みが4.3μmの多孔質層(II)を形成してセパレータを得た。
得られたセパレータにおける多孔質層(II)における単位面積あたりの質量は6.0g/mで、多孔質層(II)における無機フィラー(ベーマイト)の体積含有率は86体積%であり、多孔質層(II)の空孔率は55%であった。
実施例2
ベーマイトに代えて平均粒子径D50%が1μmのシリカを用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質層(II)形成用スラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。なお、前記多孔質層(II)形成用スラリーの調製途中で得られたシリカの分散液について、実施例1と同様にしてシリカの形状をSEMで確認したところ、ほぼ板状であった。
また、得られたセパレータは、多孔質層(II)の厚みが4.2μmで、多孔質層(II)における単位面積あたりの質量は4.8g/mであり、多孔質層(II)における無機フィラー(シリカ)の体積含有率は85体積%で、多孔質層(II)の空孔率は55%であった。
実施例3
ベーマイトに代えて平均粒子径D50%が1.5μmのアルミナを用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質層(II)形成用スラリーを調製した。なお、前記多孔質層(II)形成用スラリーの調製途中で得られたアルミナの分散液について、実施例1と同様にしてアルミナの形状をSEMで確認したところ、ほぼ板状であった。
多孔質層(I)を構成するための微多孔膜として、PP製微多孔膜(PPのみの1層構造、厚み12μm、空孔率45%、平均孔径0.03mm、突刺し強度2.1N)を用意した。この微多孔膜は、乾式一軸延伸法で製造されたものである。この微多孔膜の片面にコロナ放電処理(放電量40W・min/m)を施し、この処理面に前記の多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して、厚みが4.4μmの多孔質層(II)を形成してセパレータを得た。
得られたセパレータにおける多孔質層(II)における単位面積あたりの質量は8.9g/mで、多孔質層(II)における無機フィラー(アルミナ)の体積含有率は87体積%であり、多孔質層(II)の空孔率は45%であった。
実施例4
平均粒子径D50%が1μmのベーマイトに代えて平均粒子径D50%が0.6μmのベーマイトを用いた以外は、実施例1と同様にして多孔質層(II)形成用スラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。なお、前記多孔質層(II)形成用スラリーの調製途中で得られたベーマイトの分散液について、実施例1と同様にしてベーマイトの形状をSEMで確認したところ、ほぼ粒状であった。
また、得られたセパレータは、多孔質層(II)の厚みが4.3μmで、多孔質層(II)における単位面積あたりの質量は6.4g/mであり、多孔質層(II)における無機フィラー(ベーマイト)の体積含有率は86体積%で、多孔質層(II)の空孔率は49%であった。
実施例1〜4のセパレータについて、以下の方法によってNi(ニッケル)片押し付け強度を測定した。図1に示すように、L字状のNi片100(JIS C 8714に規定のものであり、図中、a=0.1mm、b=0.2mm、c=d=1mmで、L字部分の内角が90°)を銅箔200(厚み50μm)上に置き、その上にセパレータを重ねた。そして、プッシュプルゲージ(株式会社イマダ社製「高性能型デジタルフォースゲージ ZP−1000N」)の先端に10×10×50mmのSUS製の角棒を取り付け、セパレータの上から角棒を0.1mm/秒の速度で押し付け、角棒と銅箔が導通したときの圧力を求め、これをNi片押し付け強度とした。
なお、実施例1のセパレータに係る多孔質層(I)に使用した3層構造の微多孔膜を比較例1のセパレータ、および実施例3のセパレータに係る多孔質層(I)に使用したPP製微多孔膜を比較例2のセパレータとして、実施例1〜4のセパレータと同様にしてNi片押し付け強度を測定した。
前記のNi片押し付け強度測定結果を表1に示す。
Figure 2011154936
表1から明らかなように、乾式一軸延伸法で製造された比較例1、2のセパレータは、突刺強度が3N以下と小さいことに起因して、Ni片押し付け強度が小さいが、このような突刺強度の小さなセパレータ(微多孔膜)の表面に多孔質層(II)を形成した実施例1〜4のセパレータは、Ni片押し付け強度が大きく、機械的強度が高められている。
実施例5
<負極の作製>
平均粒子径D50%が18μm、d002が0.338nmで、R値が0.18であり、BET法による比表面積が3.2m/gである黒鉛と、平均粒子径D50%が16μm、d002が0.336nmで、R値が0.05の黒鉛とを、50:50の質量比で混合した混合物:98質量部、粘度が1500〜5000mPa・sの範囲に調整された1質量%の濃度のCMC水溶液:1.0質量部、およびSBR:1.0質量部を、比伝導度が2.0×10Ω/cm以上のイオン交換水を溶剤として混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
前記の負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して負極を作製した。更にこの負極の銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
なお、共焦点レーザー顕微鏡を用いて測定した前記負極の負極合剤層表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.75μmであった。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:70質量部およびLiNi0.8Co0.2:15質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、並びにバインダであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、正極を作製した。更にこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<巻回電極体の作製>
前記の正極と前記の負極と実施例1のセパレータとを、セパレータの多孔質層(I)が負極側に向き、かつ巻回に使用する巻回芯と接する部分が多孔質層(II)となるように重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体を作製した。そして、巻回電極体作製時における蛇行エラーや巻回芯の抜けエラーが生じたものを不良とし、巻回電極体100個中における不良の発生個数を調べた。
また、前記のように作製した巻回電極体(作製時に不良でなかったもの)を押し潰して扁平状とし、厚み6mm、高さ50mm、幅34mmのアルミニウム合金製外装缶に入れ、耐電圧実験を実施した。
耐電圧実験は、短絡をしていなくても電極間の距離が小さくなり、極端な場合、充放電サイクルに伴って、容量低下しやすくなる充放電サイクル信頼性を、どの程度確保できるか知るための試験手段である。一定の耐電圧に対して、絶縁破壊が起こらなければ電極間距離が基準以上に保たれていることを意味する。具体的には、アルミニウム合金製外装缶に入れた巻回電極体100個に対して500V(AC60Hz)の電圧を印加し、7mA以上の電流が流れたものを不良とし、その発生個数を調べた。
<電池の組み立て>
前記の巻回電極体を挿入したアルミニウム合金製外装缶(耐電圧実験で不良と判断されたものは除く)に非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1:2に混合した溶媒にLiPFを濃度1.2mol/lで溶解させ、更にシクロヘキシルベンゼンを4質量%添加したもの)を注入した後に封止を行って、図2に示す構造で、図3に示す外観のリチウム二次電池を作製した。なお、この電池は、缶の上部に内圧が上昇した場合に圧力を下げるための開裂ベントを備えている。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、図2の(a)は平面図、(b)はその部分断面図であって、図2(b)に示すように、正極1と負極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角筒形の外装缶4に電解液と共に収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示していない。また、セパレータの各層も区別して示していない。
外装缶6はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図2の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図2および図3の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶5と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は前記図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図2においても、電極群の内周側の部分は断面にしていない。
実施例6〜8および比較例3、4
使用するセパレータを表2に示すものに変更した以外は、実施例5と同様にして巻回電極体を作製し、巻回電極体作製時における不良の発生個数調査および耐電圧実験を行った。そして、耐電圧実験で不良と判断されなかった巻回電極体(それを挿入したアルミニウム合金製外装缶)を用いた以外は、実施例5と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例5〜8および比較例3、4のリチウム二次電池について、下記の加熱試験および落下試験を行った。これらの結果を表2に併記する。
<加熱試験>
実施例5〜8および比較例3、4のリチウム二次電池について、1.0Cの電流値で電池電圧が4.25Vになるまで定電流充電を行い、次いで、4.25Vの定電圧充電を行う定電流−定電圧充電を行った。充電終了までの総充電時間は2.5時間とした。前記条件で充電した各電池を恒温槽に入れ、30℃から150℃まで毎分5℃の割合で昇温し、その後引き続き150℃で3時間放置し、電池の表面温度を測定した。表2では、前記の電池表面温度が160℃以上にまで上昇したものを「×」とし、このような温度上昇が認められなかったものを「○」としている。
<落下試験>
実施例5〜8および比較例3、4の電池は、角形電池、すなわち、外装缶と蓋体とで構成される外装体が6面体である。落下試験では、下に向ける電池の面を順次変更しつつ2.0mの高さから電池を落下させる操作を行い、電池の全ての外面(6面)についての落下操作を1サイクルとして、これらを繰り返し実施した。そして、下記基準に従って、落下に対する電池の信頼性を評価した。
◎ : 落下試験を16サイクル繰り返しても電池電圧の低下が認められない。
○ : 落下試験10〜15サイクルの間に電池電圧の低下が認められる。
× : 落下試験9サイクル以下で電池電圧の低下が認められる。
また、表2には、巻回電極体作製時の不良発生個数および耐電圧試験時の不良発生個数も併記するが、表2では、以下の評価基準に従ってこれらの結果を示す。
<巻回電極体作製時の不良発生個数評価基準>
○ : 巻回電極体100個中の不良発生個数が5個以下。
× : 巻回電極体100個中の不良発生個数が6個以上。
<耐電圧試験時の不良発生個数評価基準>
○ : 巻回電極体100個の全てで不良が認められない。
× : 巻回電極体100個中の不良発生個数が1個以上。
Figure 2011154936
表2から明らかなように、突刺強度の小さな微多孔膜を多孔質層(I)とし、その表面に耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを含む多孔質層(II)を形成して構成したセパレータを有する実施例5〜8のリチウム二次電池は、多孔質層(I)に使用した微多孔膜のみをセパレータに用いた比較例3、4の電池に比べて、巻回電極体の耐電圧試験における不良発生、加熱試験における温度上昇および落下試験による電圧低下が抑えられており、生産性、安全性および信頼性に優れている。
また、実施例5〜8の電池では、セパレータに係る多孔質層(I)に、表面にPPが存在する微多孔膜を使用しているが、巻回電極体の製造時における不良発生が抑えられている。
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を主体とし、突刺強度が大きくとも3Nである微多孔膜からなる多孔質層(I)の少なくとも片面に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を有することを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、乾式一軸延伸法により得られたものである請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、その表面にポリプロピレンが存在するものである請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、ポリエチレン層の両面にポリプロピレン層を有する3層構造である請求項3に記載の電池用セパレータ。
  5. 多孔質層(II)に含まれる無機フィラーの少なくとも一部が板状粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  6. 多孔質層(II)に含まれる無機フィラーは、アルミナ、シリカおよびベーマイトよりなる群から選択される少なくとも1種の粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  7. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するリチウム二次電池であって、
    前記セパレータが、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパレータであることを特徴とするリチウム二次電池。
  8. 正極と負極とをセパレータを介して積層した積層体を渦巻状に巻回した巻回電極体を有している請求項7に記載のリチウム二次電池。
  9. 負極は、集電体の片面または両面に、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5で、002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛を負極活物質として少なくとも含む負極合剤層を有しており、
    前記負極合剤層表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.7〜1.2μmである請求項7または8に記載のリチウム二次電池。
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