JP2009272153A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高容量で、異常過熱した際の安全性と、短絡に対する信頼性とが良好なリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 正極、負極およびセパレータを有するリチウム二次電池であって、前記セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有しており、前記負極は、SiとOを構成元素に含む化合物(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)と、導電性材料とを含有する負極合剤層を有していることを特徴とするリチウム二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高容量で、高温環境下においても安全なリチウム二次電池に関するものである。
リチウム二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウム二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
現行のリチウム二次電池では、正極と負極の間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の微多孔膜が使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
ところで、こうしたセパレータとしては、例えば、多孔化と強度向上のために一軸延伸あるいは二軸延伸したフィルムが用いられている。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを前記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっているため、電池の安全性確保のためのマージンが十分とは言い難い。
また、前記延伸によってフィルムにはひずみが生じており、これが高温に曝されると、残留応力によって収縮が起こるという問題がある。収縮温度は、融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリオレフィン系の微多孔膜セパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達すると、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
このようなセパレータの熱収縮による短絡を防止し、電池の信頼性を高める技術として、例えば、シャットダウン機能を確保するための樹脂を主体として含む第1セパレータ層と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む第2セパレータ層とを有する多孔質のセパレータにより電気化学素子を構成することが提案されている(特許文献1)。
特許文献1の技術によれば、異常過熱した際にも熱暴走が生じ難いリチウム二次電池などの電気化学素子を提供することができる。
ところで、リチウム二次電池の負極材料(負極活物質)には、Li(リチウム)やLi合金の他、Liイオンを挿入および脱離可能な、天然または人造の黒鉛系炭素材料などが適用されているが、最近では、小型化および多機能化した携帯機器用のリチウム二次電池について更なる高容量化が望まれており、これを受けて、低結晶性炭素、Si(シリコン)、Sn(錫)などのように、より多くのLiを収容可能な材料が負極材料(以下、「高容量負極材料」ともいう)として注目を集めている。
こうしたリチウム二次電池用の高容量負極材料の一つとして、Siの超微粒子がSiO中に分散した構造を持つSiOが注目されている(例えば、特許文献2〜4)。この材料を負極活物質として用いると、Liと反応するSiが超微粒子であるために充放電がスムーズに行われる一方で、前記構造を有するSiO粒子自体は表面積が小さいため、負極合剤層を形成するための塗料とした際の塗料性や負極合剤層の集電体に対する接着性も良好である。
国際公開第2007/066768号公報 特開2004−47404号公報 特開2005−259697号公報 特開2007−242590号公報
ところが、このような高容量負極材料を使用したリチウム二次電池では、高エネルギー密度化されることになり、信頼性や安全性の確保が従来のリチウム二次電池に比べて困難になる可能性がある。また、前記の高容量負極材料は、充放電による膨張・収縮が大きいため、これを使用したリチウム二次電池では、充電時における高容量負極材料の膨張によって負極と正極との短絡を生じやすい。このようなことから、前記の高容量負極材料を使用した高容量のリチウム二次電池において、その信頼性や安全性を更に高め得る技術開発の要請もある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、異常過熱した際の安全性と、短絡に対する信頼性とが良好なリチウム二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウム二次電池は、正極、負極およびセパレータを有するリチウム二次電池であって、前記セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有しており、前記負極は、SiとOを構成元素に含む化合物(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、当該化合物を「SiO」と略記する場合がある。)と、導電性材料とを含有する負極合剤層を有していることを特徴とするものである。
なお、後記の多孔質基体を除き、本明細書でいう「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
また、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(I)における「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、多孔質層(I)内の固形分比率で、熱可塑性樹脂[以下、樹脂(A)と略記する]が50体積%以上であることを意味している。更に、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(II)における「耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む」とは、層内の固形分比率(ただし、後記の多孔質基体を有する場合においては、多孔質基体を除いた固形分比率)で、耐熱温度が150℃以上のフィラーが50体積%以上であることを意味している。
本発明によれば、高容量で、異常過熱した際の安全性と、短絡に対する信頼性とが良好なリチウム二次電池を提供することができる。
本発明のリチウム二次電池は、SiとOを構成元素に含む化合物(SiO)と導電性材料とを少なくとも含有する負極と、熱可塑性樹脂である樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質の多孔質層(II)とを有するセパレータとを備えている。
本発明のリチウム二次電池に用いられるセパレータに係る多孔質層(I)は、シャットダウン機能を確保するためのものである。リチウム二次電池の温度が樹脂(A)の融点以上に達したときには、樹脂(A)が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
また、本発明のリチウム二次電池に用いられるセパレータに係る多孔質層(II)は、セパレータ本来の機能、主に正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、耐熱温度が150℃以上のフィラーによって、その機能を確保している。すなわち、多孔質層(II)により、電池が通常使用される温度域では、セパレータを介して正極と負極とを押し付けて電極体を構成する場合などにおいて、正極活物質がセパレータを突き抜けて負極と接触することによる短絡の発生を防止することができる。また、電池が高温となった場合には、多孔質層(II)によってセパレータの熱収縮を抑えて、その形状を維持できるため、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することもできる。
すなわち、本発明のリチウム二次電池では、SiOを負極活物質として使用することで、その容量を高め、高エネルギー密度の電池としているが、これに伴って生じる虞のある信頼性や安全性の低下を、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを有する前記のセパレータを使用することで抑制し、その信頼性、安全性を高めている。また、前記の通り、SiOは充放電による膨張・収縮が大きいため、充電時のSiOの膨張によって負極が膨張して、正極と接することによる短絡が生じやすいが、本発明に係るセパレータは、多孔質層(II)によって、高温域のみならず電池が通常使用される温度域においても、その形状安定性が高いため、前記の短絡も防止することができる。
多孔質層(I)における樹脂(A)としては、電気絶縁性を有しており、電池の有する非水電解液に対して安定であり、更に、電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定な材料が好ましい。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、共重合ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレンなど)、ポリオレフィンワックスなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;石油ワックス;カルナバワックス;などが挙げられる。前記共重合ポリオレフィンとしては、エチレン−ビニルモノマー共重合体、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−メチルアクリレート共重合体やエチレン−エチルアクリレート共重合体などの、エチレン−アクリル酸共重合体;エチレン−プロピレン共重合体;などが例示できる。前記共重合ポリオレフィンにおけるエチレン由来の構造単位は、85モル%以上であることが望ましい。また、ポリシクロオレフィンなどを用いることもできる。樹脂(A)には、前記例示の樹脂を1種単独で用いてもよく、2種以上を用いても構わない。また、樹脂(A)は、必要に応じて、樹脂に添加される公知の各種添加剤(例えば、酸化防止剤など)を含有していても構わない。
なお、本発明のセパレータは、80℃以上140℃以下(より好ましくは100℃以上)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。そのため、樹脂(A)としては、前記例示の各樹脂の中でも、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、80℃以上140℃(更に好ましくは100℃以上)の熱可塑性樹脂がより好ましい。
樹脂(A)の形状については特に制限はなく、例えば、微粒子状の他、例えば、後記の多孔質基体を構成する繊維状物を芯材として、その表面に付着させたり、その表面を被覆させたりして、多孔質層(I)に含有させてもよい。また、後記の多孔質層(II)における「耐熱温度が150℃以上のフィラー」などをコアとし、樹脂(A)または樹脂(B)をシェルとするコアシェル構造の形態で、多孔質層(I)に含有させてもよい。更に、樹脂(A)を主体とする微多孔膜(多孔質膜)を、多孔質層(I)としてもよい。
樹脂(A)を主体とする微多孔膜によって多孔質層(I)を構成する場合、前記微多孔膜としては、PEを主成分とする単層の微多孔膜であるか、PEとPPとを2〜5層積層した積層微多孔膜などであることが好ましい。
前記の微多孔膜としては、例えば、従来公知のリチウム二次電池などで使用されている前記例示の熱可塑性樹脂で構成された微多孔膜、すなわち、溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより作製されたイオン透過性の微多孔膜を用いることができる。
また、樹脂(A)を前記の微多孔膜以外の形態で使用して多孔質層(I)を構成する場合、樹脂(A)としては、前記例示の材料の中でも、PE、ポリオレフィンワックス、またはエチレン由来の構造単位が85モル%以上のEVAがより好ましい。
なお、PEのように融点が80℃以上140℃以下の熱可塑性樹脂と、PPなどのように、融点が140℃を超える熱可塑性樹脂とを併用して多孔質層(I)を構成する場合、例えば、PEと、PPなどのPEよりも高融点の樹脂とを混合して構成された微多孔膜を多孔質層(I)としたり、PE微粒子とPP微粒子とを含む多孔質層(I)としたり、PE層と、PP層などのPEよりも高融点の樹脂で構成された層とを積層して構成された積層微多孔膜を多孔質層(I)としたりする場合には、多孔質層(I)を構成する樹脂(A)中、融点が80℃以上140℃以下の樹脂(例えばPE)が、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
樹脂(A)が微粒子状の場合には、その粒径が多孔質層(I)の厚みより小さければよいが、多孔質層(I)の厚みの1/100〜1/3の平均粒径を有することが好ましい。具体的には、樹脂(A)の平均粒径が0.1〜20μmであることが好ましい。樹脂(A)の粒径が小さすぎる場合は、粒子同士の隙間が小さくなり、イオンの伝導パスが長くなって電池特性が低下することがある。また、粒径が大きすぎると、多孔質層(I)の厚みが大きくなり、電池のエネルギー密度の低下を招くために好ましくない。なお、本明細書でいう微粒子[樹脂(A)、後記のフィラー、後記の板状粒子、後記の二次粒子構造の微粒子]の平均粒径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、樹脂(A)や樹脂(B)の場合には、これらの樹脂を膨潤させない媒体(例えば水)に、後記のフィラーや板状粒子、二次粒子構造の微粒子の場合には、これらを溶解しない媒体に、これら微粒子を分散させて測定した数平均粒子径として規定することができる。
また、多孔質層(I)には、セパレータにシャットダウン機能を付与する作用を損なわない範囲で、その強度などを向上するためにフィラーなどを含有させることもできる。多孔質層(I)に使用可能なフィラーとしては、後述する多孔質層(II)に使用可能なフィラー(耐熱温度が150℃以上のフィラー)と同じものが挙げられる。
フィラーの粒径は、平均粒径で、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。
セパレータにおける樹脂(A)の含有量は、シャットダウンの効果をより得やすくするために、例えば、下記のようであることが好ましい。セパレータの全構成成分中における樹脂(A)の体積は、10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましい。また、樹脂(A)の体積が、多孔質層(I)の全構成成分中(後記の多孔質基体を用いる場合には、該多孔質基体を除く全構成成分中)、50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、80体積%以上であることがより好ましい。更に、後記の方法により求められる多孔質層(II)の空孔率が20〜60%であり、且つ樹脂(A)の体積が、多孔質層(II)の空孔体積の50%以上であることが好ましい。
一方、セパレータの高温時における形状安定性確保の点から、セパレータの全構成成分中における樹脂(A)の体積は、80体積%以下であることが好ましく、40体積%以下であることがより好ましい。
多孔質層(II)に係るフィラーは、耐熱温度が150℃以上で、電池の有する非水電解液に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、有機粒子でも無機粒子でもよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましく、安定性などの点から無機微粒子がより好ましく用いられる。
無機粒子の構成材料の具体例としては、例えば、酸化鉄、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、TiO、BaTiO、ZrOなどの無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;モンモリロナイトなどの粘土;などが挙げられる。ここで、前記無機酸化物は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などであってもよい。また、金属、SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。無機粒子としては、多孔質層(II)が正極に面するように電池を構成した場合に、その高温での貯蔵性や充放電サイクル特性を高め得る(詳しくは後述する)ことから、前記の無機酸化物の粒子(微粒子)が好ましく、中でも、アルミナ、シリカおよびベーマイトが特に好ましく用いられる。
また、有機粒子(有機粉末)としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子粒子や、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性高分子粒子などが例示できる。また、これらの有機粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
多孔質層(II)に係る前記フィラーの平均粒径は、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは15μm以下、より好ましくは5μm以下である。
多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラーの量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中[ただし、後記の多孔質基体を使用する場合には、多孔質基体を除く構成成分の全体積中。多孔質層(II)の各構成成分の含有量について、以下同じ。]、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましい。多孔質層(II)中のフィラーを前記のように高含有量とすることで、電池が高温となった際の正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができ、また、特に多孔質層(I)と多孔質層(II)とを一体化した構成のセパレータの場合には、セパレータ全体の熱収縮を良好に抑制することができる。
また、多孔質層(II)には、耐熱温度が150℃以上のフィラー同士を結着したり、必要に応じて多孔質層(I)と多孔質層(II)とを結着したりするために有機バインダを含有させることが好ましく、このような観点から、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラー量の好適上限値は、例えば、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99体積%である。なお、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラーの量を70体積%未満とすると、例えば、多孔質層(II)中の有機バインダ量を多くする必要が生じるが、その場合には多孔質層(II)の空孔が有機バインダによって埋められやすく、セパレータとしての機能が低下する虞があり、また、開孔剤などを用いて多孔質化した場合には、前記フィラー同士の間隔が大きくなりすぎて、熱収縮を抑制する効果が低下する虞がある。
本発明のセパレータでは、多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方に、板状粒子を含有させることが好ましい。なお、多孔質層(II)が板状粒子を含有する場合には、板状粒子が、耐熱温度が150℃以上のフィラーを兼ねることができる。
多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方が板状粒子を含有することで、セパレータにおける正極負極間の経路、すなわち所謂曲路率が大きくなる。そのため、多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方が板状粒子を含有するセパレータを用いて構成した電池では、デンドライトが生成した場合でも、該デンドライトが負極から正極に到達し難くなり、デンドライトショートに対する信頼性をより高めることができる。また、多孔質層(II)に板状粒子を含有させた場合には、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを一体化したセパレータであっても、板状粒子の同士の衝突によって多孔質層(I)が収縮する力をより良好に抑制することができる。
板状粒子としては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子エスアイテック社製「サンラブリー(商品名)」(SiO)、石原産業社製「NST−B1(商品名)」の粉砕品(TiO)、堺化学工業社製の板状硫酸バリウム「Hシリーズ(商品名)」、「HLシリーズ(商品名)」、林化成社製「ミクロンホワイト(商品名)」(タルク)、林化成社製「ベンゲル(商品名)」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM(商品名)」や「BMT(商品名)」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B(商品名)」[アルミナ(Al)]、キンセイマテック社製「セラフ(商品名)」(アルミナ)、斐川鉱業社製「斐川マイカ Z−20(商品名)」(セリサイト)などが入手可能である。この他、SiO、Al、ZrO、CeOについては、特開2003−206475号公報に開示の方法により作製することができる。
板状粒子の形態としては、アスペクト比(板状粒子中の最大長さと板状粒子の厚みとの比)が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であって、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。板状粒子におけるアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求めることができる。
板状粒子の平均粒径としては、板状粒子を含有する多孔質層(I)または多孔質層(II)の厚みより小さければよく、一方、板状粒子を含有する多孔質層(I)または多孔質層(II)の厚みの1/100以上とするのが好ましい。より具体的には、前述の測定法で測定される数平均粒子径で、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは15μm以下、より好ましくは5μm以下である。
多孔質層(I)または多孔質層(II)中での板状粒子の存在形態は、平板面がセパレータの面に対して略平行であることが好ましく、より具体的には、セパレータの表面近傍における板状粒子について、その平板面とセパレータ面との平均角度が30°以下であることが好ましい[最も好ましくは、当該平均角度が0°、すなわち、セパレータの表面近傍における板状の平板面が、セパレータの面に対して平行である]。ここでいう「表面近傍」とは、セパレータの表面から全体厚みに対しておよそ10%の範囲を指す。板状粒子の存在形態が前記のような状態となるように板状粒子の配向性を高めることで、板状粒子による前記作用をより強く発揮させることが可能となる。
また、多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方が、一次粒子が凝集した二次粒子構造の微粒子を含有していることも好ましい。多孔質層(I)または多孔質層(II)が前記二次粒子構造の微粒子を含有することで、前述した板状粒子を用いた場合と同様の効果を得ることができる。前記二次粒子構造の微粒子の例としては、大明化学社製「ベーマイト C06(商品名)」、「ベーマイト C20(商品名)」(ベーマイト)、米庄石灰工業社製「ED−1(商品名)」(CaCO)、J.M.Huber社製「Zeolex 94HP(商品名)」(クレイ)などが挙げられる。
前記二次粒子構造の微粒子の平均粒径は、前述の方法により測定される数平均粒子径で、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは15μm以下、より好ましくは5μm以下である。
多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方に、板状粒子または前記二次粒子構造の微粒子を含有させることによる効果をより有効に発揮させるためには、板状粒子または前記二次粒子構造の微粒子の含有量は、セパレータの全構成成分の全体積中(ただし、後記の多孔質基体を用いる場合には、多孔質基体を除いた全構成成分の全体積中)、25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
なお、板状粒子や前記二次粒子構造の微粒子は、多孔質層(II)に含有させることがより好ましく、多孔質層(II)において、耐熱温度が150℃以上のフィラーを板状粒子または前記二次粒子構造の微粒子とすることが更に好ましい。
本発明のセパレータに係る多孔質層(I)および多孔質層(II)には、セパレータの形状安定性の確保などのために有機バインダを含有させることが好ましく、一方のみでもよいが、それぞれの層に含有させることが好ましい[ただし、多孔質層(I)が樹脂(A)を主体とする微多孔膜により構成されている場合には、多孔質層(I)には有機バインダを含有させなくてもよい。]。有機バインダとしては、EVA(酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「EM−400B(SBR)」などがある。
なお、前記の有機バインダを多孔質層(I)や多孔質層(II)に使用する場合には、後述するこれらの多孔質層を形成するための組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
また、セパレータの形状安定性や柔軟性を確保するために、繊維状物などを前記フィラーや樹脂(A)と混在させてもよい。繊維状物としては、耐熱温度が150℃以上であって、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に下記に詳述する非水電解液や、セパレータ製造の際に使用する溶媒に安定であれば、特に材質に制限はない。なお、本明細書でいう「繊維状物」とは、アスペクト比[長尺方向の長さ/長尺方向に直交する方向の幅(直径)]が4以上のものを意味しており、アスペクト比は10以上であることが好ましい。
繊維状物の具体的な構成材料としては、例えば、セルロースおよびその変成体[CMC、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)など]、ポリオレフィン[PP、プロピレンの共重合体など]、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など]、ポリアクリロニトリル(PAN)、アラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの樹脂;ガラス、アルミナ、ジルコニア、シリカなどの無機酸化物;などを挙げることができ、これらの構成材料を2種以上併用して繊維状物を構成してもよい。また、繊維状物は、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、樹脂である場合には酸化防止剤など)を含有していても構わない。
また、本発明の電池に用いるセパレータは、セパレータ全体を独立膜として用いる場合や、多孔質層(I)(微多孔膜以外)および多孔質層(II)を独立膜として用いる場合において、その取り扱い性を高めるなどために多孔質基体を用いることができる。多孔質基体は、前記の繊維状物が織布、不織布(紙を含む)などのシート状物を形成してなる耐熱温度が150℃以上のものであり、市販の不織布などを基体として用いることができる。この態様のセパレータでは、多孔質基体の空隙内に前記フィラーや樹脂(A)の微粒子を含有させることが好ましいが、多孔質基体と前記フィラーや樹脂(A)の微粒子を結着させるために、前記の有機バインダを用いることもできる。
なお、多孔質基体の「耐熱性」は、軟化などによる実質的な寸法変化が生じないことを意味し、対象物の長さの変化、すなわち、多孔質基体においては、室温での長さに対する収縮の割合(収縮率)が5%以下を維持することのできる上限温度(耐熱温度)が、セパレータのシャットダウン温度よりも十分に高いか否かで耐熱性を評価する。シャットダウン後のリチウム二次電池の安全性を高めるために、多孔質基体は、シャットダウン温度よりも20℃以上高い耐熱温度を有することが望ましく、より具体的には、多孔質基体の耐熱温度は、150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。
多孔質基体は、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)に用いることもできるし、フィラーを主体として含む多孔質層(II)に用いることもできる。また、多孔質層(I)と多孔質層(II)の両者に多孔質基体を用いることもできる。その場合、多孔質層(I)と多孔質層(II)とが、1つの多孔質基体を共有して一体化していてもよく、多孔質層(I)、多孔質層(II)ごとに別の多孔質基体を有していてもよい。
なお、多孔質基体を用いてセパレータを構成する場合には、樹脂(A)(微粒子状の場合)および前記フィラー、更には好ましく使用される板状粒子、前記二次粒子構造の微粒子などの全部または一部が、多孔質基体の空隙内に存在する形態とすることが好ましい。このような形態とすることで、樹脂(A)、前記フィラー、板状粒子および前記二次粒子構造の微粒子などの作用をより有効に発揮させることができる。
繊維状物(多孔質基体を構成する繊維状物、その他の繊維状物を含む)の直径は、多孔質層(I)または多孔質層(II)の厚み以下であればよいが、例えば、0.01〜5μmであることが好ましい。繊維状物の径が大きすぎると、繊維状物同士の絡み合いが不足するため、例えばシート状物を形成して多孔質基体を構成する場合に、その強度が小さくなって取り扱いが困難となることがある。また、繊維状物の径が小さすぎると、セパレータの空孔が小さくなりすぎてイオン透過性が低下する傾向にあり、リチウム二次電池の負荷特性を低下させてしまうことがある。
本発明のセパレータにおける繊維状物の含有量は、全構成成分中、例えば、10体積%以上、より好ましくは20体積%以上であって、90体積%以下、より好ましくは80体積%以下であることが望ましい。セパレータ中での繊維状物の存在状態は、例えば、長軸(長尺方向の軸)の、セパレータ面に対する角度が平均で30°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい
また、繊維状物を多孔質基体として用いる場合には、多孔質基体の占める割合が、セパレータの全構成成分中、10体積%以上90体積%以下となるように、他の成分の含有量を調整するのが望ましい。
本発明のリチウム二次電池におけるセパレータの厚みは、正極と負極とをより確実に隔離する観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。他方、セパレータの厚みが大きすぎると、リチウム二次電池のエネルギー密度が低下してしまうことがあるため、その厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
また、セパレータを構成する多孔質層(I)の厚みをA(μm)、多孔質層(II)の厚みをB(μm)としたとき、AとBとの比率A/Bは、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、また、1/8以上であることが好ましく、1/5以上であることがより好ましい。本発明のリチウム二次電池に係るセパレータでは、多孔質層(I)の厚み比率を大きくし多孔質層(II)を薄くしても、良好なシャットダウン機能を確保しつつ、セパレータの熱収縮による短絡の発生を高度に抑制することができる。なお、セパレータにおいて、多孔質層(I)が複数存在する場合には、厚みAはその総厚みであり、多孔質層(II)が複数存在する場合には、厚みBはその総厚みである。
なお、具体的な値で表現すると、多孔質層(I)の厚み[セパレータが多孔質層(I)を複数有する場合には、その総厚み]は、5μm以上であることが好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。そして、多孔質層(II)の厚み[セパレータが多孔質層(II)を複数有する場合には、その総厚み]は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることが更に好ましく、また、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがより好ましい。多孔質層(I)が薄すぎると、シャットダウン機能が弱くなる虞があり、厚すぎると、後述する負極材料の使用による電池のエネルギー密度の向上効果が小さくなる虞があることに加えて、熱収縮しようとする力が大きくなり、例えば、多孔質層(I)と多孔質層(II)が一体化した構成では、セパレータ全体の熱収縮を抑える作用が小さくなる虞がある。また、多孔質層(II)が薄すぎると、セパレータの熱収縮に起因する短絡の発生を抑制する効果が小さくなる虞があり、厚すぎると、セパレータ全体の厚みの増大を引き起こしてしまう。
また、セパレータの空孔率としては、非水電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σa/ρ)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記(10)式において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記(1)式において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
また、本発明のリチウム二次電池に係るセパレータは、JIS P 8117に準拠した方法で測定され、0.879g/mmの圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜300secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。さらに、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する場合がある。前記の構成を採用することにより、前記の透気度や突き刺し強度を有するセパレータとすることができる。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。また、多孔質層(I)の平均孔径は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、多孔質層(II)の平均孔径は、0.05〜1μmであることが好ましい。セパレータ、多孔質層(I)、多孔質層(II)の平均孔径は、水銀ポロシメーターによる細孔分布測定から求めることができる。
前記の構成を有するセパレータを有する本発明のリチウム二次電池のシャットダウン特性は、例えば、電池の内部抵抗の温度変化により求めることができる。具体的には、リチウム二次電池を恒温槽中に設置し、温度を室温から毎分1℃の割合で上昇させ、リチウム二次電池の内部抵抗が上昇する温度を求めることで測定することが可能である。この場合、150℃におけるリチウム二次電池の内部抵抗は、室温の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましく、前記構成のセパレータを使用することで、このような特性を確保することができる。
また、本発明のリチウム二次電池に用いるセパレータは、150℃での熱収縮率を5%以下とすることが好ましい。このような特性のセパレータであれば、リチウム二次電池内部が150℃程度になっても、セパレータの収縮が殆ど生じないため、正負極の接触による短絡をより確実に防止することができ、高温でのリチウム二次電池の安全性をより高めることができる。前記の構成を採用することで、前記のような熱収縮率を有するセパレータとすることができる。
ここでいう熱収縮率は、多孔質層(I)と多孔質層(II)が一体化している場合は、その一体化したセパレータ全体の収縮率を指し、多孔質層(I)と多孔質層(II)が独立している場合には、それぞれの収縮率の小さい方の値を指す。また、後述するように、多孔質層(I)および/または多孔質層(II)は、電極と一体化する構成とすることもできるが、その場合は、電極と一体化した状態で測定した熱収縮率を指す。
なお、前記の「150℃の熱収縮率」とは、セパレータまたは多孔質層(I)および多孔質層(II)(電極と一体化した場合には電極と一体化した状態で)を恒温槽に入れ、温度を150℃まで上昇させて3時間放置した後に取り出して、恒温槽に入れる前のセパレータまたは多孔質層(I)および多孔質層(II)の寸法と比較することで求められる寸法の減少割合を百分率で表したものである。
本発明のセパレータの製造方法としては、例えば、下記の(a)〜(f)の方法を採用できる。製造方法(a)は、多孔質基体に、樹脂(A)を含有する多孔質層(I)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)、または前記フィラーを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)を塗布した後、所定の温度で乾燥し、その後他方の組成物を塗布してから所定の温度で乾燥する製造方法である。この場合の多孔質基体としては、具体的には、前記例示の各材料を構成成分に含む繊維状物の少なくとも1種で構成される織布や、これら繊維状物同士が絡み合った構造を有する不織布などの多孔質シートなどが挙げられる。より具体的には、紙、PP不織布、ポリエステル不織布(PET不織布、PEN不織布、PBT不織布など)、PAN不織布などの不織布が例示できる。
多孔質層(I)形成用組成物は、樹脂(A)(例えば微粒子状のもの)の他、必要に応じて、フィラー(板状粒子や前記二次粒子構造の微粒子とすることもできる)、有機バインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む、以下同じ)に分散させたものである。なお、有機バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(I)形成用組成物に用いられる溶媒は、樹脂(A)、フィラーなどを均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類など、一般に有機溶媒が好適に用いられる。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、前記フィラー(板状粒子や前記二次粒子構造の微粒子とすることもできる)の他、必要に応じて樹脂(A)(例えば微粒子状のもの)、有機バインダなどを含有し、これらを溶媒に分散させたものである。溶媒には、多孔質層(I)形成用組成物用のものとして例示した各種溶媒と同じものを用いることができ、また、適宜界面張力を制御する成分として多孔質層(I)形成用組成物に関して例示した前記の各種成分を加えてもよい。
多孔質層(I)形成用組成物および多孔質層(II)形成用組成物は、樹脂(A)、前記フィラーおよび有機バインダを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
前記多孔質基体の空孔の開口径が比較的大きい場合、例えば、5μm以上の場合には、これが電池の短絡の要因となりやすい。よって、この場合には、樹脂(A)や前記フィラー、更には板状粒子や前記二次粒子構造の微粒子などの全部または一部が、多孔質基体の空隙内に存在する構造とすることが好ましい。多孔質基体の空隙内に樹脂(A)やフィラー、板状粒子、前記二次粒子構造の微粒子などを存在させるには、例えば、これらを含有する多孔質層形成用組成物を多孔質基体に塗布した後に一定のギャップを通し、余分の組成物を除去した後、乾燥するなどの工程を用いればよい。
なお、セパレータに含有させる板状粒子の配向性を高めてその機能をより有効に作用させるためには、板状粒子を含有する多孔質層形成用組成物を多孔質基体に塗布し含浸させた後、前記組成物にシェアや磁場をかけるといった方法を用いればよい。例えば、前記のように、板状粒子を含有する多孔質層形成用組成物を多孔質基体に塗布した後、一定のギャップを通すことで、前記組成物にシェアをかけることができる。
また、樹脂(A)やフィラー、更には板状粒子や前記二次粒子構造の微粒子など、それぞれの構成物の持つ作用をより有効に発揮させるために、前記構成物を偏在させて、セパレータの膜面と平行または略平行に、前記構成物が層状に集まった形態としてもよい。このような形態とするには、例えば、ダイコーターやリバースロールコーターのヘッドやロールを2つ用いて、多孔質基体の裏表両方向から別々の組成物、例えば、多孔質層(I)形成用組成物と多孔質層(II)形成用組成物を別々に塗布し、乾燥する方法が採用できる。
セパレータの製造方法(b)は、多孔質基体に多孔質層(I)形成用組成物または多孔質層(II)形成用組成物を塗布し、塗布した組成物が乾燥する前に他方の組成物を塗布し、乾燥させる方法である。
セパレータの製造方法(c)は、多孔質層(I)形成用組成物を多孔質基体に塗布し、乾燥して、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)を形成し、別の多孔質基体に多孔質層(II)形成用組成物を塗布し、乾燥して、フィラーを主体として含む多孔質層(II)を形成し、これら2つの多孔質層を重ね合わせて1つのセパレータとする方法である。この場合、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは一体化されていてもよいし、それぞれ独立した構成であって、電池の組み立てにより、電池内で重ね合わされた状態で一体のセパレータとして機能するものであってもよい。
セパレータの製造方法(d)は、多孔質層(I)形成用組成物および多孔質層(II)形成用組成物に、更に必要に応じて繊維状物を含有させ、これをフィルムや金属箔などの基板上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、該基板から剥離する方法である。(d)の方法でも、(c)の方法と同様に、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)とフィラーを主体として含む多孔質層(II)とは、それぞれ独立した構成としてもよいし、一体化された構成としてもよい。多孔質層(I)と多孔質層(II)とが一体化された構成とする場合は、(a)の方法と同様に一方の多孔質層を形成し乾燥した後に他方の多孔質層を形成してもよいし、一方の多孔質層形成用組成物を塗布し、乾燥する前に他方の多孔質層形成用組成物を塗布してもよいし、両者の多孔質層形成用組成物を同時に塗布する所謂同時重層塗布方式を用いてもよい。
また、(d)の方法によって、電池を構成する正極および負極の少なくとも一方の電極の表面に、多孔質層(I)または多孔質層(II)を形成して、セパレータと電極を一体化した構造としてもよい。この場合、両方の多孔質層を正極および負極の少なくとも一方の電極に形成することもできるし、多孔質層(I)を正極または負極の一方に形成し、多孔質層(II)を他方の電極に形成することも可能である。
なお、製造方法(a)〜(d)のいずれかの製法によりセパレータを製造する場合、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを一体化するには、前記のように、一方の多孔質層形成用組成物の塗膜、または該塗膜を乾燥して形成された多孔質層の表面に、他方の多孔質層形成用組成物を塗布し乾燥などする方法の他にも、それぞれ独立に形成した多孔質層(I)と多孔質層(II)とを重ね合わせ、ロールプレスなどにより両者を貼り合わせる方法も採用できる。
また、製造方法(a)〜(d)のいずれかの製法によりセパレータを製造する場合、セパレータに係る多孔質層(I)または多孔質層(II)と電極(正極または負極)とを一体化するには、前記のように、電極の表面に多孔質層形成用組成物を塗布し乾燥して電極表面に直接多孔質層(I)または多孔質層(II)を形成する方法の他にも、独立に形成した多孔質膜(I)もしくは多孔質膜(II)、または多孔質層(I)と多孔質層(II)とを有するセパレータと、電極とを重ね合わせ、ロールプレスなどにより両者を貼り合わせる方法も採用できる。
セパレータの製造方法(e)は、製造方法(a)の箇所で説明したものと同様の多孔質基体に、多孔質層(II)形成用組成物を塗布した後、所定の温度で乾燥して多孔質層(II)を形成し、これを、前記の方法で作製された多孔質層(I)を構成するための微多孔膜と重ね合わせて、1つのセパレータとする方法である。この場合も、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは一体化されていてもよいし、それぞれ独立した膜であって、リチウム二次電池の組み立てにより、電池内で重ね合わされた状態で一体のセパレータとして機能するものであってもよい。
また、この場合にも、多孔質層(II)においては、例えば、前記と同様の手法によって、前記フィラーなどの微粒子が、多孔質基体の全部または一部が、多孔質基体の空隙内に存在する構造とすることが好ましい。
多孔質層(I)と多孔質層(II)を一体化するには、例えば、前記の場合と同様に、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを重ね合わせ、ロールプレスなどにより両者を貼り合わせる方法などが採用できる。
セパレータの製造方法(f)は、多孔質層(II)形成用組成物に、更に必要に応じて繊維状物を含有させ、これをフィルムや金属箔などの基板上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、該基板から剥離して多孔質層(II)となる多孔質膜を形成し、この多孔質膜と、多孔質層(I)を構成する微多孔膜と重ね合わせて、1つのセパレータとする方法である。
製造方法(f)でも、製造方法(e)と同様に、樹脂(A)を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、フィラーを主体として含む多孔質層(II)とは、それぞれ独立した構成としてもよいし、一体化した構成としてもよい。多孔質層(I)と多孔質層(II)を一体化するには、個別に形成した多孔質層(II)と多孔質層(I)とをロールプレスなどにより貼り合わせる方法の他、前記の基板を使用する代わりに、多孔質層(I)の表面に多孔質層(II)形成用組成物を塗布し、乾燥して、多孔質層(I)の表面に直接多孔質層(II)を形成する方法を採用することもできる。
(e)、(f)いずれの製造方法を採用する場合においても、多孔質層(I)を正極および負極の少なくとも一方の電極と一体化してもよい。
なお、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、それぞれ1層ずつである必要はなく、複数の層がセパレータ中にあってもよい。例えば、多孔質層(II)の両面に多孔質層(I)を配置した構成としたり、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を配置した構成としてもよい。ただし、層数を増やすことで、セパレータの厚みを増やして電池の内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、セパレータ中の多孔質層(I)と多孔質層(II)との合計層数は5層以下であることが好ましい。
また、前記の通り、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、一体化して独立膜としてセパレータを構成する以外に、それぞれ独立した構成要素とし、リチウム二次電池が組み立てられた段階で、リチウム二次電池内で重ね合わされた状態となり、正極と負極の間に介在するセパレータとして機能するようにすることもできる。更に、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは接している必要はなく、それらの間に別の層、例えば、多孔質基体を構成する繊維状物の層などが介在していてもよい。
本発明のリチウム二次電池に係る負極には、負極材料であるSiOと、導電性材料とを少なくとも含有する負極合剤層を有する負極を用いる。
負極材料に使用するSi(シリコン)とO(酸素)を構成元素に含む化合物(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)は、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。
すなわち、前記の化合物には、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の化合物の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の化合物の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
前記化合物SiOは、炭素材料などの導電性材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が導電性材料(炭素材料など)で被覆されていることが望ましい。前記の通り、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを導電性材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
SiOと導電性材料との複合体としては、前記のように、SiOの表面を導電性材料(好ましくは炭素材料)で被覆したものの他、SiOと導電性材料(好ましくは炭素材料)との造粒体などが挙げられる。
また、前記の、SiOの表面を導電性材料(好ましくは炭素材料)で被覆した複合体を、更に導電性材料(炭素材料など)と複合化して用いることで、負極において更に良好な導電ネットワークの形成が可能となるため、より高容量で、電池特性(例えば、充放電サイクル特性)に優れたリチウム二次電池の実現が可能となる。導電性材料で被覆されたSiOと導電性材料との複合体としては、例えば、導電性材料で被覆されたSiOと導電性材料との混合物を更に造粒した造粒体などが挙げられる。
また、表面が導電性材料で被覆されたSiOとしては、SiOとそれよりも比抵抗値が小さい導電性材料との複合体(例えば造粒体)、好ましくはSiOと炭素材料との複合体の表面が、更に炭素材料で被覆されてなるものも、好ましく用いることができる。前記造粒体内部でSiOと導電性材料が分散した状態であると、より良好な導電ネットワークを形成できるため、これを負極材料として含有する負極を有するリチウム二次電池において、重負荷放電特性などの電池特性を更に向上させることができる。
SiOとの複合体の形成に用い得る前記導電性材料としては、例えば、黒鉛、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
前記導電性材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、繊維状またはコイル状の金属、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料や、繊維状またコイル状の金属は、導電ネットワークを形成し易く、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素および難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、さらに、電池の充放電によりSiO粒子が膨張収縮しても、その粒子との接触を保持し易い性質を有している点において好ましい。
前記例示の導電性材料の中でも、SiOとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOの膨張収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiO粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
なお、繊維状の炭素材料や繊維状の金属は、例えば、気相法にてSiO粒子の表面に形成することもできる。
SiOの比抵抗値が、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、前記例示の導電性材料の比抵抗値は、通常、10−5〜10kΩcmである。
また、本発明に係る前記負極材料は、粒子表面の炭素材料被覆層を覆う材料層(難黒鉛化炭素を含む材料層)を更に有していてもよい。
本発明に係る前記負極材料が、SiOと導電性材料との複合体の場合、SiOと導電性材料との比率は、導電性材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、導電性材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、前記負極材料において、SiOと複合化する導電性材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiO量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、導電性材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
本発明に係る前記負極材料は、例えば下記の方法によって得ることができる。
まず、SiOを複合化する場合の作製方法について説明する。SiOが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む複合粒子を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。前記の方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、同様の複合粒子を作製することができる。
なお、SiOと、SiOよりも比抵抗値の小さい導電性材料との造粒体を作製する場合には、SiOが分散媒に分散した分散液中に前記導電性材料を添加し、この分散液を用いて、SiOを複合化する場合と同様の手法によって複合粒子(造粒体)とすればよい。また、前記と同様の機械的な方法による造粒方法によっても、SiOと導電性材料との造粒体を作製することができる。
次に、SiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)の表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiO粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスが複合粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
炭素材料で被覆されたSiOの製造において、気相成長(CVD)法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱い易いトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
また、気相成長(CVD)法にてSiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)の表面を炭素材料で覆った後に、石油系ピッチ、石炭系のピッチ、熱硬化製樹脂、およびナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を、炭素材料を含む被覆層に付着させた後、前記有機化合物が付着した粒子を焼成してもよい。
具体的には、炭素材料で被覆されたSiO粒子(SiO複合粒子、またはSiOと導電性材料との造粒体)と、前記有機化合物とが分散媒に分散した分散液を用意し、この分散液を噴霧し乾燥して、有機化合物によって被覆された粒子を形成し、その有機化合物によって被覆された粒子を焼成する。
前記ピッチとしては等方性ピッチを、熱硬化製樹脂としてはフェノール樹脂、フラン樹脂、フルフラール樹脂などを用いることができる。ナフタレンスルホン酸塩とアルデヒド類との縮合物としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を用いることができる。
炭素材料で被覆されたSiO粒子と前記有機化合物を分散させるための分散媒としては、例えば、水、アルコール類(エタノールなど)を用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。焼成温度は、通常、600〜1200℃が適当であるが、中でも700℃以上が好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い良質な炭素材料を含む被覆層を形成できるからである。ただし、処理温度はSiOの融点以下であることを要する。
本発明に係る負極は、前記の負極材料(SiOまたはSiOと導電性材料との複合体)と、バインダ(結着剤)などとを含む混合物(負極合剤)に,適当な溶媒(分散媒)を加えて十分に混練して得たペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を、集電体に塗布し、乾燥などにより溶媒(分散媒)を除去して、所定の厚みおよび密度を有する負極合剤層を形成することによって得ることができる。なお、本発明に係る負極は、前記の製法により得られたものに限られず、他の製法で製造したものであってもよい。
負極合剤層に使用するバインダとしては、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリアミドのうちの少なくとも1種が好ましい。これらのバインダは、負極合剤層中の負極材料同士や、負極材料(SiO粒子またはSiOと導電性材料との複合体)と、SiOと導電性材料との複合体とは別に負極合剤層に導電助剤として単独で含有される導電性材料とを結着する力が強いため、電池の充放電の繰り返しによってSiOの膨張収縮が生じても、これらの接触を維持して、負極合剤層内の導電ネットワークを良好に保持することができる。
ポリイミドとしては、公知の各種ポリイミドが挙げられ、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミドの何れも使用することができる。また、熱硬化性ポリイミドの場合には、縮合型のポリイミド、付加型のポリイミドの何れであってもよい。より具体的には、例えば、東レ社製「セミコファイン(商品名)」、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製「PIXシリーズ(商品名)」、日立化成社製「HCIシリーズ(商品名)」、宇部興産社製「U−ワニス(商品名)」などの市販品を使用することができる。なお、電子の移動性が良好であるなどの理由から、分子鎖中に芳香環を有するもの、すなわち芳香族ポリイミドがより好ましい。ポリイミドは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアミドイミドとしては、公知の各種ポリアミドイミドが挙げられる。より具体的には、例えば、日立化成社製「HPCシリーズ(商品名)」、東洋紡績社製「バイロマックス(商品名)」などの市販品を使用することができる。なお、ポリアミドイミドにおいても、ポリイミドと同じ理由から、分子鎖中に芳香環を有するもの、すなわち芳香族ポリアミドイミドがより好ましい。ポリアミドイミドは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン66、ナイロン6、芳香族ポリアミド(ナイロンMXD6など)などの各種ポリアミドが使用できる。なお、ポリアミドにおいても、ポリイミドなどと同じ理由から、分子鎖中に芳香環を有するもの、すなわち芳香族ポリアミドがより好ましい。ポリアミドは、1種のみを使用してもよく、2種以上のポリアミドを併用してもよい。
また、前記以外にも、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂やそれらの変成体;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどのゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などをバインダとしてもよい。
前記の各種バインダは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記負極合剤には、さらに導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されない。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀など)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などの材料を、1種または2種以上用いることができる。
負極に係る負極合剤層においては、電池の容量を高める観点から、前記負極材料(SiOまたはSiOと導電性材料との複合体)の含有量が、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極合剤層中における前記負極材料の量が多すぎると、例えばバインダの量が少なくなって、バインダによる作用(例えば、SiOの体積変化による負極内の導電ネットワークの破壊を抑制する作用)が小さくなる虞があることから、前記負極材料の含有量は、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましい。
また、負極合剤層中におけるバインダの含有量は、バインダの使用による作用をより有効に発揮させる観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、負極合剤層中におけるバインダの量が多すぎると、例えば前記負極材料の量が少なくなって、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、バインダの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
なお、負極合剤層のバインダとして、ポリイミド、ポリアミドイミドまたはポリアミドと、これら以外のバインダを併用する場合には、負極合剤層中のポリイミド、ポリアミドイミドまたはポリアミドの含有量を、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上としつつ、前記の好適なバインダ量を満足するように調整することが望ましい。負極合剤層中におけるポリイミド、ポリアミドイミドまたはポリアミドの量を前記のようにすることで、これらの使用による作用をより有効に発揮させることができるようになる。
更に、負極合剤層においては、電池をより高容量化する観点から、導電性材料(SiOとの複合体に含まれている導電性材料、および必要に応じてSiOとの複合体としてではなく、単独で使用される導電性材料)の合計量が、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。また、負極合剤層において導電ネットワークを良好に形成する観点からは、負極合剤層中における導電性材料の合計量が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
負極合剤層の厚みは、例えば、10〜100μmであることが好ましい。
また、本発明のリチウム二次電池に係る負極には、負極合剤層表面に、Liと反応しない絶縁性の材料を含有する多孔質層(以下、「コート層」という場合がある)を有するものを使用することもできる。図1に、コート層を有する負極の一例の断面模式図を示している。負極1は、SiOを含む負極材料を含有する負極合剤層3表面に、負極1の強度を向上させるためのコート層2を積層した形で構成されている。なお、4は集電体である。
前記のように負極合剤層表面にコート層を有する負極を使用し、更に、負極合剤層のバインダとしてポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリアミドのうちの少なくとも1種を使用した場合には、充放電時におけるSiOの体積変化に伴う負極の湾曲や、負極を含む電極体(負極、正極およびセパレータにより構成される巻回構造の電極体や積層構造の電極体など)の厚み方向の膨れを抑制できる。そのため、負極の湾曲や負極を含む電極体の膨れに起因する電池膨れの発生を防止することができる。
負極に係るコート層は、Liと反応しない絶縁性の材料を含有し、非水電解液が通過可能な程度の細孔を備えた層(多孔質層)である。
コート層を構成するためのLiと反応しない絶縁性の材料としては、各種の無機微粒子や有機微粒子が挙げられる。無機微粒子としては、金属元素または非金属元素のカルコゲナイト(酸化物、硫化物など)、窒化物、炭化物、ケイ化物などが好ましい。
前記の金属元素または非金属元素のカルコゲナイトとしては、酸化物が好ましく、還元され難い酸化物がより好ましい。このような酸化物としては、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、ZnO、B、Al、AlOOHに代表されるベーマイト、Ga、In、SiO、As、Sbなどが挙げられる。これらの中でも、ZnO、Al、AlOOHに代表されるベーマイト、Ga、SiO、ZrOが特に好ましい。また、これらの酸化物は、単独のものであっても、複合酸化物であっても構わない。
前記の金属元素または非金属元素の窒化物としては、窒化アルミニウム(AlN)やBNが、金属元素または非金属元素の炭化物やケイ化物としては、SiCが挙げられ、これらは絶縁性が高く且つ化学的に安定である点で好ましい。
コート層を構成するためのLiと反応しない絶縁性の材料のうち、有機微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂の微粒子や、ラテックスの架橋体など、例えば、300℃以下の温度で流動するなどして膜状となったり、分解したりしないものが好ましい。
Liと反応しない絶縁性の材料の粒径は、例えば、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
コート層には電子伝導性の材料を含んでもよい。電子伝導性の材料はコート層の必須成分ではないが、後述するように、負極に係るSiOに予めLiを導入する場合には、電子伝導性の材料をコート層に含有させる。
コート層に使用可能な電子伝導性の材料としては、例えば、炭素粒子、炭素繊維などの炭素材料;金属粒子、金属繊維などの金属材料;金属酸化物;などが挙げられる。これらの中でも、Liとの反応性が低い炭素粒子や金属粒子が好ましい。
炭素材料としては、例えば、電池を構成する電極において、導電助剤として用いられている公知の炭素材料を用いることができる。具体的には、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなど)、黒鉛(燐片状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛や人造黒鉛)などの炭素粒子や、炭素繊維が挙げられる。
前記の炭素材料の中でも、カーボンブラックと黒鉛を併用することが、後記のバインダとの分散性の観点から特に好ましい。また、カーボンブラックとしては、ケッチェンブラックやアセチレンブラックが特に好ましい。
炭素粒子の粒径は、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
コート層を構成する電子伝導性の材料のうち、金属粒子や金属繊維としては、Liとの反応性が低く合金を形成し難い金属元素で構成されているものが好ましい。金属粒子や金属繊維を構成する具体的な金属元素としては、例えば、Ti、Fe、Ni、Cu、Mo、Ta、Wなどが挙げられる。
金属粒子の場合には、その形状に特に制限はなく、塊状、針状、柱状、板状など、いずれの形状であってもよい。また、金属粒子や金属繊維は、その表面があまり酸化されていないものが好ましく、過度に酸化されているものについては、予め還元雰囲気中で熱処理するなどした後に、コート層形成に供することが望ましい。
金属粒子の粒径としては、例えば、好ましくは0.02μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。
Liと反応しない絶縁性の材料としては、酸化アルミニウム(Al、AlOOHに代表されるベーマイト)が特に好ましい。
なお、コート層を形成するにあたっては、前記のLiと反応しない絶縁性の材料を結着する目的で、バインダを用いることが好ましい。バインダとしては、例えば、負極合剤層用のバインダとして例示した各種材料を用いることができる。なお、コート層のバインダと負極合剤層のバインダとを同じ種類のものにすると(例えば、コート層のバインダ、負極合剤層のバインダのいずれにも、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリアミドのうちの少なくとも1種を使用すると)、負極合剤層とコート層との接着性が向上することから好ましい。
コート層の形成にバインダを用いる場合、コート層中のバインダの含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上であって、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
また、コート層に電子伝導性の材料を含有させる場合には、Liと反応しない絶縁性の材料と、電子伝導性を有する材料との合計を100質量%としたとき、電子伝導性を有する材料の比率は、例えば、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは5質量%以上であって、96質量%以下、より好ましくは95質量%であり、言い換えれば、Liと反応しない絶縁性の材料の比率は、例えば、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上であって、97.5質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
コート層の厚みは、例えば、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。コート層がこのような厚みであれば、負極合剤層の膨張や湾曲をより効率的に抑制でき、電池の高容量化と電池特性の向上をより良好に達成することができる。すなわち、コート層の厚みが、例えば、負極合剤層の表面粗さに対して薄くなりすぎると、ピンホールなしに負極合剤層の全面を覆うことが困難となり、コート層を形成することによる効果が小さくなる虞があり、一方、コート層が厚すぎると、電池の容量低下に繋がるので、できる限り薄く形成することが好ましい。
なお、コート層を設けることで、負極と非水電解液との親和性が向上するため、非水電解液の電池への導入が容易となる効果もある。
コート層は、例えば、前記のLiと反応しない絶縁性の材料や、必要に応じて使用される電子伝導性を有する材料およびバインダなどを含む混合物に、適当な溶媒(分散媒)を加えて十分に混練して得たペースト状やスラリー状の組成物(塗料)を、負極合剤層表面に塗布し、乾燥などにより溶媒(分散媒)を除去して、所定の厚みで形成することができる。なお、コート層は、前記以外の方法で形成しても構わない。例えば、負極合剤層形成用の組成物を集電体表面に塗布した後、この塗膜が完全に乾燥する前に、コート層形成用の組成物を塗布し、乾燥して、負極合剤層とコート層を同時に形成してもよい。更に、前記のような負極合剤層形成用の組成物と、コート層形成用の組成物を、順次塗布する逐次方式の他、負極合剤層形成用の組成物の塗布と、コート層形成用の組成物の塗布を同時に行う同時塗布方式によって、負極合剤層とコート層とを同時に形成してもよい。
なお、負極材料に係るSiOは不可逆容量が比較的大きいため、本発明に係る負極においては、予めLiを導入しておくことも好ましく、この場合には更なる高容量化が可能となる。
負極へのLiの導入方法としては、例えば、負極のコート層(電子伝導性を有する材料も含有するコート層)の負極合剤層側とは反対側の表面にLi含有層を形成しておき、このLi含有層から負極合剤層内のSiOへLiを導入する方法が好ましい。
SiOにLiを導入するとSiOの体積変化によって負極の湾曲が生じる虞がある。しかし、負極にコート層を形成すれば、電池の有する非水電解液が存在する環境下(例えば電池内部)では、負極合剤層中のSiOにLi含有層中のLiが電気化学的に導入されるが、非水電解液の存在しない環境下では、SiO中へのLiの導入反応は殆ど生じない。このように、前記のLi導入法を採用する場合、負極に係るコート層は、非水電解液を介してLi含有層中のLiを負極合剤層へ供給する機能も有しており、これにより、SiOとLiとの反応性を制御して、Liの導入に伴う負極の湾曲などを抑制することができる。
負極にLiを導入するためのLi含有層は、抵抗加熱やスパッタリングなどの一般的な気相法(気相堆積法)で形成したもの(すなわち、蒸着膜)であることが好ましい。気相法により、蒸着膜としてコート層上に直接Li含有層を形成する方法であれば、コート層の全面にわたって均一な層を、所望の厚み形成することが容易であるため、Liを、SiOの不可逆容量分に対して過不足なく導入することができる。
気相法によってLi含有層を形成する場合には、真空チャンバ内で蒸着源と、負極に係るコート層とを対向させ、所定の厚みの層になるまで蒸着すればよい。
Li含有層は、Liのみで構成されていてもよく、例えば、Li−Al、Li−Al−Mn、Li−Al−Mg、Li−Al−Sn、Li−Al−In、Li−Al−CdなどのLi合金により構成されていてもよい。Li含有層がLi合金で構成されている場合には、Li含有層中におけるLiの含有比率は、例えば、50〜90mol%であることが好ましい。
Li含有層の厚みは、例えば、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。Li含有層をこのような厚みで形成することで、Liを、SiOの不可逆容量分に対して、より過不足なく導入することができる。すなわち、Li含有層が薄すぎると、負極合剤層に存在するSiO量に対するLi量が少なくなって、予め負極にLiを導入することによる容量向上効果が小さくなることがある。また、Li含有層が厚すぎると、Li量が過剰となる虞があり、また、蒸着量が多くなるため生産性も低下する。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部は、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
本発明のリチウム二次電池に係る正極には、従来公知のリチウム二次電池に用いられている正極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることが可能である。上記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などのほか、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiMn3/5Ni1/5Co1/5など)などを例示することができる。
導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料が用いられ、バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などフッ素樹脂が用いられ、これらの材料と活物質とが混合された正極合剤により正極合剤層が、例えば集電体表面に形成される。正極合剤層の厚みは、例えば、50〜200μmであることが好ましい。
また、正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部も負極側のリード部と同様に、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
電極は、前記の正極と前記の負極とを、前記のセパレータを介して積層した積層体電極群や、更にこれを巻回した巻回体電極群の形態で用いることができる。なお、本発明の電池では、セパレータに係る多孔質層(I)が少なくとも負極に面していることが好ましく、前記のような電極群は、セパレータの多孔質層(I)が負極に面するように形成することが推奨される。
詳細な理由は不明であるが、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)が少なくとも負極に面するようにセパレータを配置した場合には、正極側に配置した場合よりも、シャットダウンを生じた場合に、多孔質層(I)から溶融した樹脂(A)のうち、電極合剤層に吸収される割合が少なくなり、溶融した樹脂(A)がセパレータの孔を閉塞するのに、より有効に利用されるため、シャットダウンによる効果がより良好となる。
また、例えばリチウム二次電池が、温度上昇により電池の内圧が上昇した際に、電池内部のガスを外部に排出して電池の内圧を下げる機構を有する場合には、この機構が作動した際に、内部の非水電解液が揮発して、電極が直接空気に曝される状態となる虞がある。電池が充電状態にある場合に、前記のような状態となり、負極と空気(酸素や水分)が接触すると、負極に吸蔵されたLiイオンや負極表面に析出したリチウムと空気とが反応して発熱し、時には発火することもある。また、この発熱により電池の温度が上昇して正極活物質の熱暴走反応を引き起こし、その結果、電池が発火に至ることもある。
しかしながら、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)が負極に面するように構成した電池の場合には、高温時には多孔質層(I)の主体である樹脂(A)が溶融して負極表面を覆うことから、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構の作動に伴う負極と空気との反応を抑制することができる。そのため、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構が作動することによる発熱の虞をなくし、電池をより安全に保つことができる。
また、多孔質層(II)に用いる耐熱温度が150℃以上のフィラーとして、耐酸化性に優れた材料(例えば、無機酸化物)を用いた場合、多孔質層(II)を正極側に向けることによって、正極によるセパレータの酸化を抑制することが可能となり、高温時の保存特性や充放電サイクル特性に優れた電池とすることができるため、多孔質層(II)を正極側に向ける構成とすることがより好ましい。例えば、樹脂(A)を主体とする多孔質層(I)や、多孔質層(II)を複数有するセパレータの場合、負極側が多孔質層(I)となり、かつ正極側が多孔質層(II)となるようにセパレータを構成することがより好ましい。
なお、前記のような正極合剤層を有する正極や、負極合剤層を有する負極は、例えば、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒に分散させてなる正極合剤層形成用組成物(スラリーなど)や、負極合剤をNMPなどの溶媒に分散させてなる負極剤層形成用組成物(スラリーなど)を集電体表面に塗布し、乾燥することにより作製される。この場合、例えば、これら電極の合剤層形成用組成物を集電体表面に塗布し、該組成物が乾燥する前に、多孔質層形成用の組成物を塗布して作製した電極とセパレータ[多孔質層(I)または多孔質層(II)]との一体化物を用いて、リチウム二次電池を構成することもできる。
本発明のリチウム二次電池は、例えば前記の電極群と、非水電解液とを、常法に従い外装体内に封入して構成される。電池の形態としては、従来公知のリチウム二次電池と同様に、筒形(円筒形や角筒形)の外装缶を使用した筒形電池や、扁平形(平面視で円形や角形の扁平形)の外装缶を使用した扁平形電池、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池などとすることができる。また、外装缶には、スチール製やアルミニウム製のものが使用できる。
本発明のリチウム二次電池は、温度が上昇した際に電池内部のガスを外部に排出する機構を有していることが好ましい。かかる機構としては、従来公知の機構を用いることができる。すなわち、スチール缶やアルミニウム缶などの金属缶を外装缶とする電池では、一定の圧力で亀裂が生じる金属製の開裂ベント、一定の圧力で破れる樹脂製のベント、一定の圧力で蓋の開くゴム製のベントなどを用いることができるが、中でも金属製の開裂ベントを用いるのが好ましい。
一方、ソフトパッケージ電池では、封止部分が樹脂の熱融着により封止されているため、そもそも温度と内圧が上昇した場合に、こうした高温、高圧に耐えられる構造とすることが難しく、特別な機構を設けなくても温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることが可能である。すなわち、ソフトパッケージ電池においては、外装体の封止部(熱融着部)が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する。また、ソフトパッケージ電池の場合、封止部分の幅を特定の場所だけ狭くするなどの方法によっても、温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることができる(すなわち、前記特定の場所が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する)。
非水電解液としては、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF などの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類、エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
非水電解液中のリチウム塩の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、高容量で、信頼性および安全性に優れていることから、こうした特性を生かして、小型で多機能な携帯機器の電源を始めとして、従来公知のリチウム二次電池が用いられている各種用途と同じ用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。また、各実施例で示す多孔質層(I)および多孔質層(II)における各成分の体積含有率は、多孔質基体(不織布)を使用している場合には、この多孔質基体を除く全構成成分中の体積含有率である。更に、各実施例で示す樹脂(A)の融点(融解温度)は、JIS K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定した値である。
実施例1
(負極の作製)
SiO(平均粒径5.0μm)を沸騰床反応器中で約1000℃に加熱し、加熱された粒子にメタンと窒素ガスからなる25℃の混合ガスを接触させ、1000℃で60分間CVD処理を行った。このようにして前記混合ガスが熱分解して生じた炭素(以下「CVD炭素」ともいう)をSiOの表面に堆積させて被覆層を形成し、負極材料を得た。被覆層形成前後の質量変化から前記負極材料の組成を算出したところ、SiO:CVD炭素=85:15(質量比)であった。前記負極材料:80質量部(固形分全量中の含有量、以下同じ)と、黒鉛:10質量部と、導電助剤としてケッチェンブラック(平均粒径0.05μm):2質量部と、バインダとしてポリアミドイミド:8質量部と、脱水N−メチルピロリドン(NMP)とを混合して負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、塗布長が表面500mm、裏面440mmになるように間欠塗布し、100℃で乾燥した後、カレンダ処理を行って全厚が60μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、さらに、遠赤外線ヒーターを用いて160℃で15時間熱処理を施し、幅45mmになるように切断して、長さ510mm、幅45mmの負極を作製した。作製した負極の銅箔の露出部には、タブを溶接してリード部を形成した。
(正極の作製)
正極活物質であるLiCoO:95質量部、導電助剤であるケッチェンブラック:2.5質量部、およびバインダであるPVDF:2.5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、塗布長が表面500mm、裏面425mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ520mm、幅43mmの正極を作製した。さらにこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
(セパレータの作製)
有機バインダであるSBRのエマルジョン(固形分比率40質量%):100gと、水:4000gとを容器に入れ、均一に分散するまで室温で攪拌した。この分散液に耐熱温度が150℃以上のフィラーである板状ベーマイト粉末(板状、平均粒径1μm、アスペクト比10):4000gを4回に分けて加え、ディスパーにより2800rpmで5時間攪拌して均一なスラリー[多孔質層(II)形成用スラリー]を調製した。ポリエチレン製多孔質膜[多孔質層(I):厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.02μm、融点135℃]上に、前記のスラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して多孔質層(II)を形成することで、厚みが22μmのセパレータを得た。このセパレータの多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラーの体積比率は97体積%、多孔質層(II)の空孔率は48%であった。
(電池の組み立て)
前記のようにして得た正極と負極とセパレータを樹脂多孔質膜[多孔質層(I)]が負極側に向くように介在させつつ重ね、渦巻状に巻回して巻回体電極群を作製した。得られた巻回体電極群を押しつぶして扁平状にし、厚み6mm、高さ50mm、幅34mmでのアルミニウム製外装缶に入れ、電解液(エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを体積比で1対2に混合した溶媒にLiPFを濃度1.0mol/lで溶解したもの)を注入した後に封止を行って、リチウム二次電池を作製した。なお、この電池は、缶の上部に内圧が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出するための開裂ベントを備えている。
実施例2
セパレータ作製に用いた耐熱温度が150℃以上のフィラーを、一次粒子が凝集した二次粒子形状のベーマイト(平均粒径0.6μm)に替えた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池に用いたセパレータの総厚みは22μmで、セパレータの多孔質層(II)における前記フィラーの体積比率は97体積%、多孔質層(II)の空孔率は44%であった。
実施例3
セパレータ作製に用いた耐熱温度が150℃以上のフィラーを、粒状のアルミナ(平均粒径0.4μm)に替えた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池に用いたセパレータの総厚みは20μmで、セパレータの多孔質層(II)における前記フィラーの体積含有率は96体積%であり、多孔質層(II)の空孔率は55%であった。
実施例4
セパレータ作製に用いた多孔質膜(I)を、PE/PP/PEの三層構造の微多孔膜(厚さ16μm、空孔率43%、平均孔径0.008μm、融点135℃)に替えた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池に用いたセパレータの総厚みは22μmで、セパレータの多孔質層(II)における前記フィラーの体積含有率は97体積%であり、多孔質層(II)の空孔率は48%であった。
実施例5
PET製不織布(厚み12μm、目付け8g/m)を基材とし、これを実施例1で調製したものと同じ多孔質層(II)形成用のスラリー中に通して引き上げ塗布を行い、乾燥することで、多孔質層(II)を作製した。多孔質層(II)における前記フィラーの体積含有率は97体積%であり、多孔質層(II)の空孔率は33%であった。また、多孔質層(I)として、実施例1で用いたものと同じPE製微多孔膜を用い、この多孔質層(I)と前記の多孔質層(II)を一体化せずに重ね合わせてセパレータとして用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例6
α−アルミナ(平均粒径1μm)94質量%(固形分全量中の含有量、以下同じ)と、PVDF6質量%と、脱水NMPとを混合してコート層形成用スラリーを調製した。
ブレードコーターを用いて、実施例1で調製したものと同じ負極合剤含有スラリーを下層、コート層形成用スラリーを上層として、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、実施例1における負極合剤含有スラリーの塗布長と同じ塗布長で塗布した以外は、実施例1と同様にして、負極合剤層とコート層とを両面に有する負極を作製した。前記負極は、集電体の片面あたりの負極合剤層の厚みが25μmであり、コート層の厚みが5μmである。また、前記負極は、負極合剤層と集電体との接着性、および負極合剤層とコート層との接着性は強固であり、裁断や折り曲げによっても、負極合剤層が集電体から剥離することはなく、またコート層が負極合剤層から剥離することもなかった。
前記負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例1
セパレータとして、PE製微多孔膜(厚み22μm、空孔率49%、平均孔径0.09μm、融点135℃)を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例2
PET製不織布(厚み15μm、目付け12g/m)を基材とし、これを実施例1で調製したものと同じ多孔質層(II)形成用のスラリー中に通して引き上げ塗布を行い、乾燥することで、多孔質層(II)を作製した。この多孔質膜(II)のみをセパレータとして用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例3
負極活物質として黒鉛を用い、正極と負極の容量比が実施例1と同じになるよう正極および負極の合剤層の厚みを調整した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例1〜6および比較例1〜3のリチウム二次電池に使用したセパレータについて、150℃の恒温槽内に3時間放置して熱収縮率を測定した。熱収縮率の測定は、次のようにして行った。
4cm×4cmに切り出したセパレータの試験片を、クリップで固定した2枚の厚さ5mmのガラス板で挟みこみ、150℃の恒温槽内に3時間放置した後に取り出し、各試験片の長さを測定し、試験前の長さと比較して長さの減少割合を収縮率とした。また、実施例5のセパレータについては、より熱収縮の少ない多孔質層(II)の熱収縮率をセパレータの熱収縮率とした。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 2009272153
表1に示す通り、実施例1〜6のリチウム二次電池に用いたセパレータの150℃での熱収縮率は、いずれも1%以下である。
次に、実施例1〜6および比較例1〜3のリチウム二次電池について、以下の条件で充放電を行い、放電容量を求めた。充電は、0.2Cの電流値で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行い、次いで、4.2Vでの定電圧充電を行う定電流−定電圧充電とした。充電終了までの総充電時間は15時間とした。充電後の電池を、0.2Cの放電電流で、電池電圧が2.5Vになるまで放電を行ったところ、実施例1〜6の電池、比較例1〜3の電池ともに、充電時のリチウムデンドライトの生成が抑止され電池として良好に作動することが確認できた。
また、実施例1〜6および比較例1〜3のリチウム二次電池について、下記の評価を行った。まず、以下の方法により、それぞれの電池に用いたセパレータのシャットダウン温度を求めた。放電状態の電池を恒温槽に入れ、30℃から150℃まで毎分5℃の割合で温度上昇させて加熱し、電池の内部抵抗の温度変化を求めた。そして、抵抗値が30℃での値の5倍以上に上昇したときの温度を、シャットダウン温度とした。
また、前記のシャットダウン温度測定を行ったものとは別の電池について、0.2Cの電流値で電池電圧が4.25Vになるまで定電流充電を行い、次いで、4.25Vでの定電圧充電を行う定電流−定電圧充電とした。充電終了までの総充電時間は15時間とした。前記条件で充電した電池を、30℃から150℃まで、毎分5℃の割合で昇温し、その後引き続き150℃で3時間放置し、電池の表面温度および電池電圧を測定した。
更に、前記の各試験を行ったものとは別の電池に、100mΩの抵抗を介して正負極を短絡させる外部短絡試験を行い、電池表面の最高温度を測定した。前記の各評価結果を表2に示す。
Figure 2009272153
表2に示すように、実施例1〜6の電池では、電池の高温での安全性を確保するのに適切な温度範囲でシャットダウンを生じることが明らかとなった。また、実施例1〜6の電池では、150℃で3時間保持しても、電池の表面温度が上昇したりするといった異常は見られなかった。
これに対し、比較例1の電池は、150℃の保持で、50分後に表面温度が上昇した。また、比較例2の電池は、150℃での保持では異常がなかったが、外部短絡試験においては、電池の表面温度が異常に上昇することが確認された。これは、シャットダウン特性がセパレータに付与されていないためと考えられる。一方、比較例3の電池は150℃の保持、ならびに外部短絡試験において問題はみられなかったが、容量が他の電池と比べて30%以上低下した。
本発明のリチウム二次電池に係る負極のうち、負極合剤層表面に、Liと反応しない絶縁性の材料を含有する多孔質層を有する負極の一例を示す断面模式図である。
符号の説明
1 負極
2 Liと反応しない絶縁性の材料を含有する多孔質層(コート層)
3 負極合剤層
4 集電体

Claims (9)

  1. 正極、負極およびセパレータを有するリチウム二次電池であって、
    前記セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有しており、
    前記負極は、SiとOを構成元素に含む化合物(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である)と、導電性材料とを含有する負極合剤層を有していることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方が、板状粒子を含有している請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 多孔質層(I)および多孔質層(II)の少なくとも一方が、一次粒子が凝集した二次粒子構造の粒子を含有している請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラーが、アルミナ、シリカおよびベーマイトよりなる群から選択される少なくとも1種の粒子である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  5. 多孔質層(I)が、融点が100〜140℃のポリオレフィンを含有している請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  6. 負極合剤層が、導電性材料として炭素材料を含有している請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム二次電池。
  7. SiとOを構成元素に含む化合物と炭素材料とが複合体を形成している請求項6に記載のリチウム二次電池。
  8. 前記複合体の表面が、更に炭素材料で被覆されている請求項7に記載のリチウム二次電池。
  9. 負極合剤層の含有する炭素材料が、炭化水素系ガスを気相中で加熱した際の熱分解により生じたものである請求項6〜8のいずれかに記載のリチウム二次電池。
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