JP7096978B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
このような構成によれば、セパレータの抵抗特性と短絡耐性とが両立された非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、扁平角型のリチウムイオン二次電池を例にして、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
セパレータ70は、例えば、電池ケース30の外部から荷重が印加されていること等によって、正極50および負極60と密着していることが好ましい。
第1層72では、セラミック粒子間の空隙により、多孔質構造が形成される。
セラミック粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、酸化亜鉛等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、ベーマイト、タルク、カオリンクレー、モンモリロナイト、マイカ、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ砂等の粒子が挙げられ、なかでも、ベーマイト粒子およびアルミナ粒子が好ましい。これらは融点が高く、耐熱性に優れる。またモース硬度が比較的高く、機械的強度および耐久性にも優れる。さらに比較的安価なため原料コストを抑えることができる。
第1層72中のセラミック粒子の含有量は、特に制限はないが、好ましくは90重量%以上97重量%以下である。
バインダの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系ポリマー、アクリル系バインダ、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリオレフィン系バインダ等が挙げられる。
第1層72中のバインダの含有量は、特に制限はないが、好ましくは3重量%以上10重量%以下である。
第1層72の厚みは、好ましくは、1.5μm以上6μm以下である。
好適には、第2層74がPP層、第3層76がPE層、および第4層78がPP層の組み合わせである。
これらの樹脂層は、延伸等によって多孔化された多孔質膜であってよい。あるいは、樹脂微粒子から形成された多孔質層であってもよい。
第2層74と第3層76とは、熱溶着、接着剤による接着等によって接合されていることが好ましい。第3層76と第4層78とは、熱溶着、接着剤による接着等によって接合されていることが好ましい。
なお、細孔径は、例えば、水銀圧入法により求めることができる。具体的には、水銀ポロシメータを用いて第3層76の細孔分布曲線を取得し、ピーク位置の細孔径を、第3層76の細孔径とすることができる。
第2層74の厚みは、好ましくは3μm以上5μm以下である。
第3層76の厚みは、好ましくは4.65μm以上10μm以下である。
第4層78の厚みは、好ましくは3μm以上5μm以下である。
本実施形態におけるこの総厚みの範囲は、従来のセパレータの総厚みに対しては、厚みが小さい領域にある。セパレータの厚みが小さいと、セパレータの抵抗を小さくすることができる。しかしながら、従来技術においては、本実施形態のように総厚みが小さい場合には、内部短絡が発生しやすい。これは、次の現象が起こることによる。
非水電解質二次電池では出荷前に、電池内部に存在する金属製の異物を酸化反応で電解質中に溶解させることにより除去することが行われるが、正極において溶解した異物は、負極まで拡散して還元反応によって金属として析出する。この析出した金属は、セパレータの総厚みが小さいと、セパレータを突き破って内部短絡を起こす。
正極50において、酸化反応により異物を溶解させる必要があるため、正極50近傍に非水電解質の非水溶媒が十分に存在していることが必要である。そのため、本実施形態においては、本実施形態では、第1層72の密度を1.0g/cm3以上1.5g/cm3以下という小さい範囲に限定している。そして、細孔径を0.11μm以上0.21μm以下とした第3層76の厚みを、第2層74の厚みよりも大きくしている(具体的には、第3層76の厚み/第2層74の厚み=1.5以上2.5以下、すなわち、第3層76の厚みは、第2層74の厚みの1.5倍~2.5倍である)。このように第3層76の空間を大きくすることで、析出した金属をトラップしてセパレータ70を貫通することを抑制することができる。その結果、内部短絡を抑制することができる。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましく、その具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩(好ましくはLiPF6)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
ポリエチレン層の両面にポリプロピレン層が形成された三層構造(PP/PE/PP)の多孔質フィルムの片面に、無機粒子を含有する耐熱層が設けられたセパレータシートを用意した。このセパレータシートにおいては、耐熱層が上記第1層、これに隣接するPP層が上記第2層、PE層が上記第3層、負極側のPP層が上記第4層に該当する。かかる構成のセパレータシートについて、総厚み、細孔容積、各層の厚み、耐熱層(第1層)の無機粒子の材質、耐熱層(第1層)の密度、第3層(PE層)の細孔径が異なるものを用意した。なお、セパレータシートの細孔容積および第3層(PE層)の細孔径は、水銀ポロシメータを用いて測定した値である。
上記用意したセパレータを用い、セパレータの枚数が異なる3種のCR2032型コイン電池を作製した。具体的には、2枚のアルミ箔の間に、φ18mmで打ち抜いたセパレータを1枚、2枚、または3枚配置して、非水電解質を含浸させて、電池を作製した。非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
この電池のインピーダンスを測定し、セパレータの枚数とインピーダンスの直流成分値とのプロットし、一次近似直線の傾きを、セパレータ抵抗として求めた。
各試験例について、使用したセパレータの構成と、セパレータ抵抗の評価結果を表1に示す。
正極活物質粉末としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、LNCM:AB:PVdF=90:8:2の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより正極シートを作製した。
負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、プレスすることにより負極シートを作製した。
上記で作製した正極シートと、負極シートと、2枚の上記用意したセパレータシートとを積層し、捲回した後、側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体を作製した。積層の際には、セパレータシートの耐熱層が正極に対向する(接する)ようにした。
所定の厚みの鉄板を円柱状に打ち抜き、捲回電極体内に挿入した。
次に、捲回電極体に正極端子および負極端子を接続し、電解液注入口を有する角型の電池ケースに収容した。
続いて、電池ケースの電解液注入口から非水電解質を注入し、当該注入口を気密に封止した。なお、非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
このようにして作製した評価用リチウムイオン二次電池を、4Cの電流値で4Vまで充電した後、63℃で20時間エージング処理した。その後、3日間放置した。20℃での電圧を基準として、3日間放置した際の電圧降下量を測定した。電圧降下量が0.2V以上であった電池に対し、短絡があったと判定した。
捲回電極体内に挿入する鉄板の厚みを変化させて、短絡の有無を調べ、短絡があった鉄板の厚み(μm)の中で最も厚みが小さいものを、短絡耐性の指標とした。
各試験例について、使用したセパレータの構成と、短絡耐性の評価結果を表1に示す。
また、セパレータの総厚みが16μm~22μmである試験例の中で、第2層の厚みに対する第3層の厚みの比(厚み比)が小さい試験例2および3では短絡耐性が低かった。一方で、厚み比が1.55~2.5である試験例4~11において、良好な短絡耐性が得られた。
したがって、セパレータ抵抗と短絡耐性を両立させるには、セパレータの総厚みを16μm~22μmとし、第3層の厚みを大きくする、具体的には、第2層の厚みに対する第3層の厚みの比を1.55~2.5とすることが有効であることがわかる。
上記短絡耐性評価と同様の方法で、正極シートおよび負極シートを作製した。
作製した正極シートと、負極シートと、2枚の上記用意したセパレータシートとを積層し、捲回した後、側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状の捲回電極体を作製した。積層の際には、セパレータシートの耐熱層が正極に対向する(接する)ようにした。
次に、捲回電極体に正極端子および負極端子を接続し、電解液注入口を有する角型の電池ケースに収容した。
続いて、電池ケースの電解液注入口から非水電解質を注入し、当該注入口を気密に封止した。なお、非水電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
このようにして作製した評価用リチウムイオン二次電池を1000個作製した。
各評価用リチウムイオン二次電池を、4Cの電流値で4Vまで充電した後、63℃で20時間エージング処理した。その後、3日間放置した。20℃での電圧を基準として、3日間放置した際の電圧降下量を測定した。電圧降下量が0.2V以上であった電池に対し、短絡があったと判定した。
1000個の評価用リチウムイオン二次電池のうち、短絡があったものの割合を、短絡率(%)として求めた。
各試験例について、使用したセパレータの構成と、短絡率の評価結果を表2に示す。
ここで、セパレータの細孔容積を大きくする方法として、第3層等の各層の厚みを大きくする方法があるが、上述のように抵抗の観点からセパレータの総厚みには制限があるために、得策とはいえない。
内部短絡抑制のためにはまず酸化反応により異物を溶解させる必要があるため、正極近傍に非水電解質の非水溶媒が多く保持されるようにすることを考慮すれば、第1層の密度を小さくすることが有効であると考えられる。また、第2層よりも厚みの大きい第3層の細孔径を制御することが有効であると考えられる。
これらのことから、表2の結果より、第1層の密度を1.0g/cm3以上1.5g/cm3以下という小さい範囲し、第3層の細孔径を0.11μm以上0.21μm以下の範囲にすることが有効であるといえる。
すなわち、上記説明した本実施形態の非水電解質二次電池によれば、セパレータの抵抗特性と短絡耐性とを両立できることがわかる。
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
72 第1層
74 第2層
76 第3層
78 第4層
80 非水電解質
100 リチウムイオン二次電池
Claims (1)
- 正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に介在するセパレータと、
を備える非水電解質二次電池であって、
前記セパレータは、第1層、第2層、第3層、および第4層の順に積層された4つの多孔質層を含む4層構造を有し、
前記第1層は、前記正極に接しており、
前記第1層は、セラミック粒子を含有し、
前記第1層の密度は、1.0g/cm3以上1.5g/cm3以下であり、
前記第2層、前記第3層、および前記第4層はそれぞれ、樹脂層であり、
前記第3層の細孔径は、0.11μm以上0.21μm以下であり、
前記第2層の厚みに対する前記第3層の厚みの比(第3層の厚み/第2層の厚み)は、1.55以上2.5以下であり、
前記第1層、前記第2層、前記第3層、および前記第4層の総厚みが、16μm以上22μm以下であり、
前記セパレータの細孔容積が、0.7mL/g以上1.5mL/g以下である、
非水電解質二次電池。
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