JP2011109874A - モータ制御装置および車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】センサ故障判定部40は、レゾルバ8の出力信号の異常を検出すると、第2モードから、第1モードに、モータ制御モードを切り換える。制御モードが第1モードに切り換えられると、レゾルバ8の故障直前のq軸指示電流Iq *が負の値であるか否かが判別される。レゾルバ故障前のq軸指示電流Iq *が零または正の値である場合には、バッファ部28内に保存されているレゾルバ故障直前のロータ回転角θEが、制御角θCの前回値θC(n-1)の切換初期値として設定される。一方、レゾルバ故障前のq軸指示電流Iq *が負の値である場合には、バッファ部28内に保存されているレゾルバ故障直前のロータ回転角θEを、180°ずらした値(θE+π)が、制御角θCの前回値θC(n-1)の切換初期値として設定される。
【選択図】図1
Description
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、磁極の位相を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
この発明では、制御モードが第2モードから第1モードに切り換えられたときに、制御角の前回値(θC(n-1))の初期値が、切換初期値設定手段によって設定される。具体的には、制御モードが切り換えられたときに、回転角センサの故障検出直前の第2軸電流指示値の符号が正であるか負であるかが判別される。そして、故障検出直前の第2軸電流指示値が第1軸電流指示値と同符号である場合には、故障検出直前に回転角センサによって検出されたロータ回転角が、制御角の前回値の初期値として設定される。一方、故障検出直前の第2の軸電流指示値が第1軸電流指示値と異符号である場合には、故障検出直前に回転角センサによって検出されたロータ回転角を180度ずらした回転角が、制御角の前回値の初期値として設定される。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3内のロータの回転角を検出するレゾルバ8(回転角センサ)と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。レゾルバ8は、ロータ回転角(ロータ回転位置)に対応する正弦波信号および余弦波信号を生成するものである。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
Iq=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、操舵トルクリミッタ20と、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、加算角リミッタ24と、制御角演算部26と、回転角演算部27と、バッファ部28と、切換初期値設定部29と、第1指示電流値生成部31と、第2指示電流値生成部32と、電流偏差演算部30と、PI制御部33と、指示電圧反転部34Aと、γδ/αβ(dq/αβ)変換部34Bと、αβ/UVW変換部34Cと、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/αβ変換部36Aと、αβ/γδ(αβ/dq)変換部36Bと、センサ故障判定部40と、指示電流値切換部41と、角度切換部42とが含まれている。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmaxの既定値とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
LL=−ωmax …(5)
加算角リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z−1は信号の前回値を表す)。
回転角演算部27は、レゾルバ8の出力信号に基づいてロータ50の回転角θEを演算する。バッファ部28は、回転角演算部27によって演算されたロータ回転角θEを、最新のものから過去所定回数前までの複数回分保存する。
第1指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θCに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ *およびδ軸指示電流値Iδ *(以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ *」という。)を生成する。第1指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ *を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ *を零とする。より具体的には、第1指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出され、操舵トルクリミッタ20による制限処理を受けた検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ *を設定する。
センサ故障判定部40は、レゾルバ8の故障の有無を判定し、その判定結果に応じてモータ3の制御モードの切換を行なうものである。つまり、センサ故障判定部40は、故障検出手段および切換手段として機能する。たとえば、センサ故障判定部40は、レゾルバ8の信号線に導出される信号を監視することによって、レゾルバ8の故障、レゾルバ8の信号線の断線故障、レゾルバ8の信号線の接地故障を検出することができる。センサ故障判定部40は、レゾルバ8の故障の有無の判定結果に応じて、第1モードと第2モードとの間で制御モードを切り換え、モード切換指令を生成する。このモード切換指令に応じて、指示電流値切換部41および角度切換部42における切換が実行される。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
図3は、前記第1モードのときの前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、加算角リミッタ24の機能は省略してある。
一方、前記第2モードにおいては、検出操舵トルクTに応じた二相指示電流値Idq *が設定され、モータ3の電流が当該二相指示電流値Idq *に収束するようにフィードバック制御が行なわれる。そして、レゾルバ8の出力信号に基づいてロータ50の回転角θEが求められ、この回転角θEを用いて、γδ/αβ(dq/αβ)変換部34Bおよびαβ/γδ(αβ/dq)変換部36Bにおける座標変換が行なわれることになる。つまり、第2モードでは、回転角センサであるレゾルバ8を用いてモータ3が制御されることにより、適切な操舵補助が行なわれる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
センサ故障判定部40は、レゾルバ8の故障の有無を判定する(ステップS11)。センサ故障判定部40は、レゾルバ8の故障が生じていないと判定している場合(センサ故障を検出していない場合)には(ステップS11:NO)、前記第2モードを選択する(ステップS12)。すなわち、検出操舵トルクTに対応した二相指示電流値Idq *が達成されるように、回転角演算部27により演算された回転角θEに基づいて、モータが制御される。 一方、レゾルバ8の故障が発生したと判定した場合(センサ故障を検出した場合)およびレゾルバ8が故障中であると判定した場合には(ステップS11:YES)、センサ故障判定部40は、前記第1モードを選択する(ステップS13)。すなわち、指示操舵トルクT*が達成されるように制御角θCを演算周期毎に更新して負荷角θLを調整するモータ制御(負荷角調整法)が実行される。
前記ステップS18において、レゾルバ故障前のq軸指示電流Iq *が負の値であると判別された場合に、レゾルバ故障直前のロータ回転角を180°ずらした値を、制御角θCの前回値θC(n-1)の切換初期値として設定している理由と、前記ステップS19において、PI制御部33から生成された二相指示電圧Vγδ *(Vdq *)の符号を反転させている理由について説明する。
レゾルバ故障前のq軸指示電流Iq *が負の値である場合に、第2モードから第1モードに切り換えられると、指示電流値がq軸指示電流Iq *からγ軸指示電流Iγ *に切り換わるため、指示電流値が負から正に切り換わる。そして、切換後の二相指示電流Iγδ *と検出電流Iγδとの偏差に応じたPI制御が行なわれるようになると、二相指示電圧Vγδ *の符号が制御モード切換前の二相指示電圧Vdq *の符号と反転する。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、PI制御部23によって加算角αを求めているが、PI制御部23に代えて、PID(比例・積分・微分)演算部を用いて加算角αを求める構成とすることもできる。
Claims (2)
- ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の第1軸電流指示値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、前記制御角に加算すべき加算角を演算する加算角演算手段と、所定の演算周期毎に、前記加算角演算手段によって演算された加算角を制御角の前回値に加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、を含む負荷角制御手段と、
前記ロータ回転角を検出するための回転角センサと、
前記ロータ回転角に従う回転座標系の第2軸電流指示値を設定するための指示電流設定手段と、
前記回転角センサが故障したことを検出する故障検出手段と、
前記回転角センサの故障が検出されたときに、前記回転角センサの検出値と前記指示電流設定手段の設定値とに基づくモータ制御から、前記負荷角制御手段によるモータ制御に、制御モードを切り換える切換手段と、
前記切換手段によって制御モードが切り換えられたときに、前記制御角の前回値の初期値を設定する切換初期値設定手段とを含み、
前記切換初期値設定手段は、
前記切換手段によって制御モードが切り換えられたときに、前記回転角センサの故障検出直前の前記第2軸電流指示値の符号が正であるか負であるかを判別する手段と、
故障検出直前の前記第2軸電流指示値が前記第1軸電流指示値と同符号である場合には、故障検出直前に前記回転角センサによって検出されたロータ回転角を、前記制御角の前回値の初期値として設定する手段と、
故障検出直前の前記第2軸電流指示値が前記第1軸電流指示値と異符号である場合には、故障検出直前に前記回転角センサによって検出されたロータ回転角を180度ずらした回転角を、前記制御角の前回値の初期値として設定する手段とを含む、を含むモータ制御装置。 - 車両の舵取り機構に駆動力を付与するモータと、
前記モータを制御する請求項1に記載のモータ制御装置とを含む、車両用操舵装置。
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