JP2011093947A - 難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、難燃性ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及び難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】難燃剤及び発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂を粒子状としてなる難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、前記難燃剤は、分子内に臭素原子を有し、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内であり、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。これを予備発泡し、さらに型内発泡して得られた難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示された従来技術は、難燃剤を有機溶媒に予め溶解することにより押出機、オートクレーブ中に供給しているが、難燃剤を有機溶媒に溶かす工程において揮発性溶媒を用いることは、環境に与える悪影響が大きく、発泡成形体からの揮発性有機化合物(VOC)の発生の観点から好ましいものではない。また、発泡に使用する低級脂肪族炭化水素(ブタン、ペンタン)に溶解する工程も発泡剤の揮発による作業環境の悪化などの問題がある。
前記難燃剤は、分子内に臭素原子を有し、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内であり、
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
本発明の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、該樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)が0.8〜1.2の範囲内であるものなので、樹脂粒子中に難燃剤が均一に存在しており、樹脂粒子中に難燃剤が不均一に存在しているものと比べ、得られる難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械強度が高くなり、成形性や外観にも優れた発泡成形体が得られる。
また、本発明の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法において、樹脂中に所定濃度で前記難燃剤を含むマスターバッチ材を前記ポリスチレン系樹脂とともに樹脂供給装置内に供給し、該装置内で溶融混練することによって、難燃剤をより均一に樹脂粒子に含有させることができる。
本発明の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、分子内に臭素原子を有し、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内である難燃剤及び発泡剤を添加、混練し、難燃剤・発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴としている。
臭素分含有量が70質量%を超え、分子内にベンゼン環を有さない難燃剤は、環境や生物に対する安全性が高い難燃剤となり難く、また機械強度・成形性・外観にも優れた難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供するという本発明の効果を達成し難くなる。臭素分含有量の下限は特に限定しないが50質量%以上であれば難燃効率が良いので好ましい。臭素分含有量のより好ましい範囲は55〜69質量%である。
また、該難燃剤の5質量%分解温度が200℃未満であると、難燃剤とポリスチレン系樹脂とを押出機1内で溶融混練する際に、難燃剤が分解して難燃効果が得られなくなる恐れがある。5質量%分解温度が300℃を超える難燃剤を用いた場合には、得られる発泡成形体の難燃性が低下してしまう。該難燃剤の5質量%分解温度の好ましい範囲は230〜300℃であり、より好ましい範囲は240〜295℃であり、最も好ましい範囲は265〜290℃である。
本発明の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記難燃剤の添加量は、難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の樹脂分100質量部に対して0.5〜8.0質量%の範囲とすることが好ましく、1.0〜6.0質量%の範囲が更に好ましい。難燃剤の添加量が前記範囲未満であると、得られる発泡成形体の難燃性が低下してしまう。難燃剤の添加量が前記範囲を超えると、得られる発泡成形体の機械強度・成形性・外観が劣化してしまう恐れがある。
すなわち、本発明の難燃性発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前記難燃剤が樹脂粒子内に均一に含有されている。本発明の難燃性発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記比(B/A)は、0.9〜1.1の範囲内であることがより好ましく、0.95〜1.05の範囲内であることがさらに好ましい。前記比(B/A)が0.8〜1.2の範囲を外れると、得られる難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械強度、成形性、外観及び難燃性が劣る恐れがある。
本発明の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、該樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)が0.8〜1.2の範囲内であるものなので、樹脂粒子中に難燃剤が均一に存在しており、樹脂粒子中に難燃剤が不均一に存在しているものと比べ、得られる難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械強度が高くなり、成形性や外観にも優れた発泡成形体が得られる。
<予備発泡粒子の嵩密度と嵩発泡倍数>
先ず、難燃性ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cm3を一定にし、その質量と体積を測定し、下記式に基づいて難燃性ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
また、予備発泡粒子の嵩発泡倍数は次式により算出される数値である。
嵩発泡倍数(倍)=1/嵩密度(g/cm3)
本発明の難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は特に限定されないが、通常は0.010〜0.033g/cm3の範囲内とし、0.015〜0.025g/cm3の範囲内とするのが好ましい。
<発泡成形体の密度と発泡倍数>
50cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数(倍)=1/密度(g/cm3)
(発泡性スチレン系樹脂粒子の製造)
基材樹脂としてポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM−10N」)100質量部に対して、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬社製)を50質量%含むポリスチレン樹脂マスターバッチ7質量部(難燃剤量で3.5質量部相当)、微粉末タルク0.3質量部を、予めタンブラーミキサーにて均一に混合したものを、時間当たり160kg/hrの割合で口径90mmの単軸押出機押出機内へ供給し、樹脂を加熱溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のイソペンタンを押出機途中より圧入した。そして、押出機内で樹脂と発泡剤を混練しつつ、押出機先端部での樹脂温度が190℃となるように冷却しながら、押出機に連接しヒーターにより320℃に保持した、直径0.6mm、ランド長さ3.0mmのノズルを200個有する造粒用ダイスを通して、30℃の冷却水が循環するチャンバー内に押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターをダイスに密着させて、毎分3000回転で切断し、脱水乾燥して球形の発泡性ポリスチレン樹脂粒子を得た。得られた発泡性樹脂粒子は変形、ヒゲ等の発生もなく、平均粒径1.1mmであった。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
前記の通り製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置した後、円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.015g/cm3(嵩発泡倍数67倍)であった。続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。 得られた発泡成形体は、密度0.015g/cm3(発泡倍数67倍)であった。
難燃剤含有量(質量%)=臭素元素含有量測定値×(難燃剤全体の分子量/難燃剤全体中の臭素元素量)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)の測定方法を以下に述べる。
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、図2に示すように、ポリスチレン系樹脂発泡成形体21から得られた試料樹脂2gを温度190℃にて熱プレスして35mmφのタブレットを作製する。このタブレットの質量を測定後、坪量を算出し、バランス成分をPSにし、臭素量を蛍光X線分析法によりオーダー分析にて樹脂中の臭素含有量を算出する。得られた臭素含有量から次式により難燃剤含有量を算出し、樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)とした。
難燃剤含有量(質量%)=臭素元素含有量測定値×(難燃剤全体の分子量/難燃剤全体中の臭素元素量)
次に、図2に示すように、発泡成形体表皮部22をハムスライサー(富士島工機製:FK−18N型)を用いて厚み0.3mmでカットし、発泡成形体表皮部22から得られた試料樹脂2gを温度190℃にて熱プレスして35mmφのタブレットを作製する。このタブレットの質量を測定後、坪量を算出し、バランス成分をPSにし、臭素量を蛍光X線分析法によりオーダー分析にて樹脂中の臭素含有量を算出する。得られた臭素含有量から次式により難燃剤含有量を算出し、樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)とした。
難燃剤含有量(質量%)=臭素元素含有量測定値×(難燃剤全体の分子量/難燃剤全体中の臭素元素量)
分析に用いる機器、測定条件は以下の通り。
測定装置:リガク社製 蛍光X線分析装置 RIX−2100
X線管 :縦型Rh/Cr管(3/2.4kW)
分析径 :30mmφ
スリット:標準
分光結晶:LiF
検出器 :SC
測定モード:定性分析(FP薄膜法−BrPS30−バランス成分C8H8)
上記により求められた難燃剤含有量(B)を難燃剤含有量(A)で除すことにより、(A)と(B)との比(B/A)を算出した。
測定試料とするポリスチレン系樹脂発泡成形体21の密度は、0.02g/cm3(発泡倍数50倍)とした。なお、発泡性不良により成形体21の密度が0.02g/cm3未満の場合は最低密度となる成形体21をもって測定試料とした。
実施例(及び比較例)で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を15℃の保冷庫に72時間保管した後、これを円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み蒸気圧0.05MPaの水蒸気により2分間に亘って加熱し、得られた予備発泡粒子の嵩発泡倍数を下記の通り測定し、次の評価基準:
嵩発泡倍数60倍以上を○、
嵩発泡倍数50倍以上60倍未満を△、
嵩発泡倍数50倍未満を×、に照らし、ビーズ発泡性の評価を行った。
上記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を発泡成形機の金型に充填し、水蒸気を用いて二次発泡させることによって長さ400mm、幅300mm、厚み50mmの直方体状の発泡成形体を得た。
発泡成形体の外観を目視観察し、下記の基準に基づいて評価をした。
◎(極めて良):発泡粒子間の間隙がなく、表面が極めて平滑な状態である。
○(良):発泡粒子間の間隙がなく、表面が平滑な状態である。
△(やや良):発泡粒子間の間隙が少なく、表面の平滑が少し劣る。
×(不良):発泡粒子間の間隙が大きく、表面の平滑がかなり劣る。
JIS A 9511:1995「発泡プラスチック保温材」測定方法A記載の方法で測定した。
試験片は、発泡成形体試料から厚さ10mm長さ200mm幅25mmを5個切り出し、規定の着火限界指示線及び燃焼限界指示線を付ける。試験片を火源用ろうそくで着火限界指示線まで燃焼させた後、炎を後退させ、その瞬間から炎が消えるまでの時間(秒)を測定し、下記の基準で難燃性を判断した。
○・・・5個の試験片すべてについて炎が3秒以内に消えると共に残塵がなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼しなかった。
×・・・○の基準を満たさない、または自消性がなかった。
前記<ビーズ発泡性の評価>、<難燃性の評価>及び<発泡成形体の外観評価>の各評価項目について、不良(×)が無いものを良(○)とし、1つ以上不良(×)が有るものを不良(×)として総合評価した。
難燃剤を20mg採取して試料とし、示差熱・熱量同時測定装置 TG/DTA 300型(セイコー電子工業社製)を用いて、窒素ガス量30ミリリットル/分、加熱温度10℃/分、測定温度30〜800℃の条件下にて試料の質量減少率を測定し、縦軸に試料の質量減少率を、横軸に温度をとったグラフを得る。そして、得られたグラフに基づいて、試料の質量減少率が5%に達した時の温度を5質量%分解温度とした。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡倍数67倍の発泡成形体を製造した。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)(第一工業製薬社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡倍数67倍の発泡成形体を製造した。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)3.2質量部、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)0.3質量部を混合して用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡倍数67倍の発泡成形体を製造した。
難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(第一工業製薬社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
難燃剤として、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
難燃剤として、ペンタブロモベンジルアクリレート(第一工業製薬社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
難燃剤として、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェート(大八化学社製)を同量用いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を製造した。
発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法として下記に示す懸濁重合法により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡倍数67倍の発泡成形体を製造した。
(懸濁重合法)
内容積100リットルの撹拌機付オートクレーブにリン酸三カルシウム(大平化学社製)120g、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ4g、過酸化ベンゾイル(純度75%)140g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを投入した後、100rpmの撹拌下で溶解及び分散させて懸濁液を形成した。
引き続き、撹拌羽を100rpmで撹拌しながらオートクレーブ内の温度を90℃まで昇温した後、90℃で6時間保持した。
その後、さらにオートクレーブ内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間保持した後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が0.6〜0.85mmで重量平均分子量が30万のスチレン系樹脂粒子を得た。
次いで、100リットルの撹拌機付オートクレーブに純水30kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダ4g、ピロリン酸マグネシウム100gを入れ、さらに前記記載の粒子径0.60〜0.85mmで重量平均分子量が30万のポリスチレン核粒子11kgを加えて120rpmで撹拌し液中に分散させた。
次いで、予め用意しておいた乳濁液を75℃に保持した反応器に添加した。この乳濁液は、純水6kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ2g、ピロリン酸マグネシウム20gの分散液に、重合開始剤の過酸化ベンゾイル(純度75%)88g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート50gを溶解したスチレン5kgを加え、ホモミキサーで撹拌して乳濁化させたものである。その後、スチレン系樹脂粒子中にスチレンと重合開始剤とがよく吸収されるように30分間保持し、その後スチレン28kgを160分かけてオートクレーブ内を75℃から108℃まで0.2℃/分で昇温しながら連続的に滴下した。 次に、スチレンの滴下が終了してから20分後に、1℃/分の割合で120℃まで昇温し、90分間保持してシード重合によりポリスチレン粒子を得た。
温水2kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.8gの分散液に、アジピン酸ジイソブチル(田岡化学工業社製、商品名:DI4A)308gを加え、ホモミキサーで撹拌して乳濁液を調製した。
その後1℃/分の割合で90℃までオートクレーブを冷却後、予め調製しておいた前記乳濁液を反応器に添加した。この乳濁液を添加してから30分後に、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬社製)1540gを添加後、密閉し、発泡剤としてペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20/80)3520gを窒素加圧してオートクレーブ内に30分間で圧入し、その状態で3時間保持した後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が0.85〜1.2mmで重量平均分子量が30万の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)(第一工業製薬社製)を同量用いたこと以外は、比較例5と同様にして発泡倍数67倍の発泡成形体を製造した。
また、前記実施例1〜4及び比較例1〜6の測定・評価結果を表2にまとめて記す。
一方、臭素分含有量が75質量%と多く、分子中にベンゼン環の無い難燃剤Dを用いた比較例1は、ビーズ発泡性が不良となり、発泡体の外観もやや劣っていた。
また、分子中にベンゼン環の無い難燃剤Eを用いた比較例2は、ビーズ発泡性が不良となり、発泡体の外観も不良となった。
また、臭素分含有量が75質量%と多く、5質量%分解温度が300℃を超える難燃剤Fを用いた比較例3は、ビーズ発泡性がやや不良であり、難燃性が不良であり、発泡体の外観がやや不良となった。
また、臭素分含有量が75質量%と多く、分子中にベンゼン環が無く、5質量%分解温度が300℃を超える難燃剤Gを用いた比較例4は、ビーズ発泡性、難燃性、発泡体の外観のいずれも不良となった。
また、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内である難燃剤A、Cをポリスチレン樹脂粒子に含浸させる方法を用いた比較例5、6は、難燃性及び発泡体の外観がいずれも不良であった。
Claims (10)
- 難燃剤及び発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂を粒子状としてなる難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、
前記難燃剤は、分子内に臭素原子を有し、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内であり、
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の全体の難燃剤含有量(A)と、該樹脂粒子の表面の難燃剤含有量(B)との比(B/A)が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とする難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。 - 樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に難燃剤及び発泡剤を添加、混練し、難燃剤・発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る溶融押出法により得られたものである請求項1に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAまたはその誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項3に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して得られた難燃性ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項5に記載の難燃性ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られた難燃性ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
- 樹脂供給装置内でポリスチレン系樹脂に、分子内に臭素原子を有し、臭素分含有量が70質量%未満であり、分子内にベンゼン環を有し、且つ該難燃剤の5質量%分解温度が200〜300℃の範囲内である難燃剤及び発泡剤を添加、混練し、難燃剤・発泡剤含有の溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から直接冷却用液体中に押し出し、押し出すと同時に押出物を切断するとともに、押出物を液体との接触により冷却固化して請求項1に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールAまたはその誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項7に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 前記難燃剤が、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項8に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 樹脂中に所定濃度で前記難燃剤を含むマスターバッチ材を前記ポリスチレン系樹脂とともに樹脂供給装置内に供給し、該装置内で溶融混練する請求項7〜9のいずれか1項に記載の難燃剤含有発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
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