JP2011043223A - 電動ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩耗の補償に要するエネルギーが少なく、しかも、タイミングよく(制動が解除されるときに)摩耗の補償を行うことが可能な摩耗補償機構を備えた電動ブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】電動ブレーキ装置では、各ライニング(制動部材)の摩耗に応じてピストンをディスクロータ(被制動部材)に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構40が回転クサビ(回転−直動変換機構)とピストン間に介装されている。摩耗補償機構40は入力部材41、出力部材42、レバー43、捩りバネ44(付勢部材)を備えていて、回転クサビの回転部材21が第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、レバー43が調整可能状態とされてレバー43の爪43aが出力部材42に設けたラチェット歯42aの一歯を乗り越えるように設定されている。
【選択図】 図3
【解決手段】電動ブレーキ装置では、各ライニング(制動部材)の摩耗に応じてピストンをディスクロータ(被制動部材)に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構40が回転クサビ(回転−直動変換機構)とピストン間に介装されている。摩耗補償機構40は入力部材41、出力部材42、レバー43、捩りバネ44(付勢部材)を備えていて、回転クサビの回転部材21が第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、レバー43が調整可能状態とされてレバー43の爪43aが出力部材42に設けたラチェット歯42aの一歯を乗り越えるように設定されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電動ブレーキ装置に係り、特に、支持体に組付けられるブレーキキャリパと、このブレーキキャリパに組付けられる電動モータおよびピストンと、前記電動モータと前記ピストン間に介装されて前記電動モータの回転を前記ピストンの軸線方向移動に変換する回転−直動変換機構と、前記ピストンの軸線方向移動によって押動されて被制動部材(例えば、ディスクロータ)を制動する制動部材(例えば、ブレーキパッド)とを備えるとともに、前記制動部材の摩耗(ライニング摩耗)に応じて前記ピストンを前記被制動部材に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構を備えている電動ブレーキ装置に関する。
この種の電動ブレーキ装置は、例えば、下記特許文献1に記載されていて、前記摩耗補償機構が、前記回転−直動変換機構と前記電動モータ間に介装されて前記電動モータに接続される入力部材と前記回転−直動変換機構の回転部材に接続される第1の出力部材と調整スクリュに接続される第2の出力部材を備えた差動減速機構と、前記回転−直動変換機構の回転部材と直動部材間に装着されて回転部材が遊びの範囲を超えて回転しようとするときに回転部材の回転を制限して前記調整スクリュを回転させるリミッタと、前記第2の出力部材と前記ピストン間に介装されて前記第2の出力部材の前記ピストンに対する回転を所定値に制限するウエーブワッシャ等を備えていて、前記調整スクリュが軸線方向に移動することで前記制動部材の摩耗が補償されるように構成されている。
上記した特許文献1に記載されている電動ブレーキ装置の摩耗補償機構では、調整スクリュの外周に設けた雄ネジがブレーキキャリパに設けた雌ネジに対して軸線方向に進退可能に螺着されていて、前記制動部材の摩耗を補償するために調整スクリュが軸線方向に移動する際には、上記した差動減速機構からピストンまでの全ての部材が調整スクリュと一体的に軸線方向に移動する。このため、前記制動部材の摩耗を補償するために大きなエネルギーを必要とする。
また、上記した特許文献1の摩耗補償機構では、制動部材によって被制動部材を制動すべく、電動モータによってピストンを軸線方向に移動させるときに、詳細には、回転−直動変換機構の回転部材が、リミッタの遊びの範囲を超えて回転しても、ピストンが制動部材を被制動部材に押圧しない場合(すなわち、制動の解除時に生じるピストンと被制動部材間のクリアランスが設定値以上に大きい場合)に、調整スクリュが軸線方向に移動するように設定されている。このため、かかる場合には、その制動前におけるピストンと被制動部材間のクリアランスが設定値以上に大きくて、制動開始タイミング(クリアランスがゼロとなるタイミング)が設定値以上に遅れるおそれがある。
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、支持体に組付けられるブレーキキャリパと、このブレーキキャリパに組付けられる電動モータおよびピストンと、前記電動モータと前記ピストン間に介装されて前記電動モータの回転を前記ピストンの軸線方向移動に変換する回転−直動変換機構と、前記ピストンの軸線方向移動によって押動されて被制動部材を制動する制動部材とを備えるとともに、前記制動部材の摩耗に応じて前記ピストンを前記被制動部材に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構を備えている電動ブレーキ装置であって、前記摩耗補償機構が、前記回転−直動変換機構と前記ピストン間に介装されていて、前記回転−直動変換機構の直動部材と一体的に軸線方向に移動可能かつ回転不能な入力部材と、この入力部材と前記ピストン間に設けられていて前記入力部材の軸方向端面に摩擦係合可能で内周にラチェット歯を有し外周に雄ネジを有していて同雄ネジにて前記ピストンの内周に形成した雌ネジに対して軸線方向にて進退可能に螺着されている出力部材と、前記入力部材に組付けられていて前記ラチェット歯に係合・離脱可能な爪を有するとともに前記回転−直動変換機構の回転部材に設けた第1押動突起および第2押動突起と選択的に係合・離脱可能な係合突起を有するレバーと、このレバーの前記爪が前記ラチェット歯に係合する方向に付勢する付勢部材を備えており、前記回転部材が初期位置に戻るときに、前記第1押動突起が前記係合突起に係合して、前記レバーが初期状態に戻され、前記回転部材が初期位置から第1設定量以上に回転されるときに、前記第2押動突起が前記係合突起に係合して押動し、前記回転部材が前記第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、前記レバーが調整可能状態とされて前記爪が前記ラチェット歯を乗り越えるように設定されていることに特徴がある。この場合において、前記レバーが調整可能状態とされているとき、前記爪が前記ラチェット歯を一歯乗り越えるように設定されていることが望ましい。
本発明による電動ブレーキ装置においては、電動モータの回転が回転−直動変換機構によってピストンの軸線方向移動に変換される。このため、電動モータを一方向(制動方向)に回転駆動させることで、ピストンを被制動部材に向けて軸線方向に移動させて、ピストンによって制動部材を被制動部材に向けて押動することができ、この制動部材によって被制動部材を制動することが可能である。また、電動モータを他方向(解除方向)に回転駆動させることで、ピストンを被制動部材から遠ざけることができて、ピストンによる制動部材の押動を解除することができ、これによって制動部材による被制動部材の制動を解除することが可能である。
また、本発明による電動ブレーキ装置においては、制動部材の摩耗に応じてピストンを被制動部材に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構が回転−直動変換機構とピストン間に介装されている。このため、制動部材が摩耗した場合には、摩耗補償機構によってピストンが被制動部材に向けて軸線方向に移動されて、制動部材の摩耗が補償される(ピストンと被制動部材間のクリアランスが調整される)。
また、本発明による電動ブレーキ装置においては、摩耗補償機構が上述した入力部材、出力部材、レバー、付勢部材を備えていて、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置に戻るとき(制動を解除されるとき)に、この回転部材に設けた第1押動突起がレバーの係合突起に係合して、レバーが初期状態に戻されるように設定されている。また、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置から第1設定量以上に回転されるとき(制動されるとき)に、この回転部材に設けた第2押動突起がレバーの係合突起に係合して押動し、更に、前記回転部材が前記第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、レバーが調整可能状態とされてレバーの爪が出力部材に設けたラチェット歯を乗り越えるように設定されている。
このため、制動時に、制動部材の摩耗量(この摩耗量は、制動部材が新品と交換されたときの初期摩耗量、または、摩耗補償機構によって制動部材の摩耗が補償された後の摩耗量である)が設定値より少なくて、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置から第2設定量以上に回転されないときには、レバーの爪が出力部材のラチェット歯を乗り越えない。したがって、このときには、制動の解除に際して、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置に戻るのに伴って、レバーが初期状態に戻されるものの、出力部材のラチェット歯はレバーによって回転方向に送られず、出力部材は回転されない。このため、出力部材に対して軸線方向にて進退可能に螺着されているピストンは、出力部材に対して軸線方向に移動せず、制動部材の摩耗は補償されない。
一方、制動時に、上記した制動部材の摩耗量が設定値より多くなって、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置から第2設定量以上に回転される場合には、レバーの爪が出力部材のラチェット歯を乗り越える。したがって、このときには、制動の解除に際して、回転−直動変換機構の回転部材が初期位置に戻るのに伴って、レバーが初期状態に戻されるときに、出力部材のラチェット歯がレバーによって回転方向に送られ、出力部材は所定量回転する。このため、出力部材に対して軸線方向にて進退可能に螺着されているピストンは、出力部材に対して被制動部材に向けて軸線方向に移動して、制動部材の摩耗が補償される。
ところで、本発明による電動ブレーキ装置の摩耗補償機構では、制動部材の摩耗が補償される際に、ピストンのみが軸線方向に移動し、他の構成部材は軸線方向に移動しない。このため、制動部材の摩耗を補償するために必要とするエネルギーは従来に比して少ない。また、本発明による電動ブレーキ装置の摩耗補償機構では、制動時において制動部材の摩耗量が設定値より多くなった場合において、制動部材の摩耗が補償され、しかも、制動部材の摩耗が補償されるタイミング(ピストンが出力部材に対して被制動部材に向けて軸線方向に移動されるタイミング)は制動の解除時である。したがって、制動が解除された状態でのピストンと被制動部材間のクリアランスは設定値未満に小さくされていて、その後の制動時の制動開始タイミング(クリアランスがゼロとなるタイミング)が設定値以上に遅れることはない。
また、本発明の実施に際して、前記レバーが調整可能状態とされているとき、前記爪が前記ラチェット歯を一歯乗り越えるように設定されている場合には、上記した制動部材の摩耗が補償される際に、ピストンが出力部材に対して被制動部材に向けて軸線方向に過度に移動されることがなくて、上記した制動部材の摩耗が過度に補償されることを防止することが可能である。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3に示した本発明による電動ブレーキ装置は車両用のディスクブレーキ装置であり、この電動ブレーキ装置EMBは、車軸ハブ(図示省略の回転体)に組付けられて車輪(図示省略)と一体的に回転するディスクロータ11と、このディスクロータ11の外周部の一部分を跨ぐようにして配置されるブレーキキャリパ12と、このブレーキキャリパ12に組付けた電動モータ13およびピストン14等を備えている。
また、電動ブレーキ装置EMBは、電動モータ13とピストン14間に介装した回転−直動変換機構としての回転クサビ20と、この回転クサビ20と電動モータ13間に介装したサイクロイド減速機30と、回転クサビ20とピストン14間に介装した首振り動作許容機構SMおよび摩耗補償機構40を備えていて、これらはブレーキキャリパ12内に組付けられている。
また、電動ブレーキ装置EMBは、ディスクロータ11とピストン14間に介装したインナー側ブレーキパッド15と、ディスクロータ11とブレーキキャリパ12のアーム部12a間に介装したアウター側ブレーキパッド16を備えている。ディスクロータ11は、インナー側ブレーキパッド15のライニング15aとアウター側ブレーキパッド16のライニング16aによって挟持可能であり、制動時にインナー側ブレーキパッド15のライニング15aおよびアウター側ブレーキパッド16のライニング16aによって挟持されることにより、回転を制動される(ブレーキ力が発生する)ようになっている。
ブレーキキャリパ12は、図1に示したように、ディスクロータ11の一部の外周を跨ぐ形状に形成されていて、上記したアーム部12aを有するとともにシリンダ部12bを有しており、周知のように、マウンティング17を介して図示省略の車体(支持体)に組付けられるようになっていて、マウンティング17に対してはロータ軸方向(ピストン14の軸線方向に平行)に移動可能に組付けられている。
電動モータ13は、ケース13aにてブレーキキャリパ12のシリンダ部12bに一体的に組付けられていて、周知のように、ブレーキペダル(図示省略)の操作量(踏み込み量または踏力)に応じて回転駆動を電気制御装置(図示省略)によって制御されるように構成されている。また、電動モータ13は、出力軸13bにてサイクロイド減速機30の入力部材31に動力伝達可能に連結されている。
ピストン14は、カップ状に形成されていて、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12b内にリターンスプリング18(ピストン14を電動モータ13側に向けて軸線方向に付勢する圧縮コイルスプリング)とともに組付けられており、ディスクロータ11の軸線に平行な軸線方向に移動可能かつ首振り動作可能(ロータ軸方向に沿って移動可能かつブレーキキャリパ12に対して首振り動作可能)とされている。
このピストン14は、その外周に軸線方向に延びるガイド溝14aを有していて、ガイドピン19によって軸線方向への移動を許容され回転を規制されている。ガイドピン19は、ブレーキキャリパ12に脱着可能に組付けられていて、先端部にてガイド溝14aに摺動可能に係合している。また、ピストン14は、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12b外に突出する端部に切欠14bを有している。
このため、ガイドピン19がブレーキキャリパ12から取り外されている状態にて、切欠14bに係合する工具(図示省略)を用いることにより、ブレーキキャリパ12に対してピストン14を回転することが可能であり、このピストン14の回転により同ピストン14をブレーキキャリパ12のシリンダ部12b内に移動させること(パッド交換後にピストン14を図1に示した初期位置に戻すこと)が可能である。なお、ピストン14の回転は、後述する摩耗補償機構40の出力部材42(環状の調整ネジ)に対してなされる。
回転クサビ20は、電動モータ13の回転をピストン14の軸線方向移動(直線運動すなわち直動)に変換するものであり、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12b内にサイクロイド減速機30およびホルダ51とともに組付けられている。また、回転クサビ20は、図1および図2に示したように、回転部材21と、3組の転動体22と、直動部材23を備えるとともに、各転動体22を回転可能に支持する環状の支持プレート24を備えている。
回転部材21は、各転動体22に係合する回転カム21aを有するとともに、支持プレート24と直動部材23を貫通する筒部21bを有していて、電動モータ13の出力軸13bにラジアルニードルベアリング61を介して回転可能に組付けられている。また、回転部材21は、キー71を介してサイクロイド減速機30の出力部材32に動力伝達可能に連結されていて、サイクロイド減速機30の出力部材32と一体的に回転する。
各転動体22は、同軸的に配置された一対のローラによって構成されていて、周方向にて等間隔(120度の間隔)に配置されており、支持プレート24に対して径方向の軸線回り(径方向に配置した支持軸回りに)に回転可能に組付けられている。直動部材23は、各転動体22に係合する回転カム23aを有するとともに、回転部材21の直動部材23に対する回転方向の初期位置と回転量を規定する円弧状のストッパ突起23bを有していて、外周に形成したキー溝23c(図2参照)にてキー72を介してホルダ51に回転不能かつ軸線方向に移動可能に組付けられている(図1参照)。なお、円弧状のストッパ突起23bは、回転部材21の筒部21bに形成した扇状のストッパ突起21bo(図2参照)と係合・離脱可能に設けられている。
サイクロイド減速機30は、それ自体周知のものであり、電動モータ13における出力軸13bの回転を減速して回転クサビ20の回転部材21に伝達するものであり、入力部材31と出力部材32を備えている。入力部材31は、ホルダ51に設けた係合部51aに係合する突起31aを有していて、電動モータ13における出力軸13bの偏心軸部13b1にラジアルニードルベアリング62を介して組付けられている。出力部材32は、入力部材31の外周に配置されていて、ホルダ51に対してラジアルボールベアリング63とスラストニードルベアリング64を介して回転可能に組付けられている。
ホルダ51は、ブレーキキャリパ12のシリンダ部12bに対してキー73を介して回転不能かつピストン14の軸線方向に移動可能に組付けられ、電動モータ13の出力軸13bに対してラジアルニードルベアリング65を介して組付けられている。また、ホルダ51には、3個の荷重センサ52(図1では1個のみ示されている)が組付けられている。各荷重センサ52は、制動時におけるピストン14からの軸線方向反力(ブレーキ力に相当するもの)を検出して電動モータ13の回転駆動を制御する電気制御装置(図示省略)に出力するものであり、ピストン14の中心軸線を中心として周方向にて等間隔(120度の間隔)に配置されていて、先端部(検出部)にて電動モータ13のケース13aに当接している。
一方、首振り動作許容機構SMは、ピストン14のブレーキキャリパ12に対する首振り動作を許容するものであり、ピストン14の中心軸線を中心線とする円錐面23dと、この円錐面23dに摺動可能に接触する球状面41aとを有している。円錐面23dは、回転クサビ20における直動部材23の内周部分に形成されている。球状面41aは、摩耗補償機構40における入力部材41の内周部分に形成されている。
摩耗補償機構40は、インナー側ブレーキパッド15のライニング15aとアウター側ブレーキパッド16のライニング16aが摩耗するときに、ライニングの摩耗量に応じてピストン14をディスクロータ11に向けて所定量ずつ間欠的に突出させる(軸線方向に移動させる)ものであり、図1および図3に示したように、入力部材41と出力部材42とレバー43と捩りバネ44(付勢部材)を備えている。
入力部材41は、図1に示したように、上記した球状面41aを有するとともに、中間部左側に環状の摩擦係合面41bを有していて、回転クサビ20の回転部材21における筒部21bの外周に対して相対回転可能に配置されている。また、入力部材41は、連結ピン49と戻し捩りバネ48を介して回転クサビ20における回転部材21の筒部21bに連結されるとともに、その外周部にてキー74を介して回転クサビ20の直動部材23と一体的に軸線方向に移動可能かつ回転不能に連結されていて、ブレーキキャリパ12に対して回転不能とされている。なお、直動部材23には、図2に示したように、キー74のためのキー溝23eが形成されている。
戻し捩りバネ48は、一端を入力部材41に固着した連結ピン49に係止され、他端を回転部材21の筒部21bに形成した切欠21b4(図2参照)に係止されていて、回転部材21を初期位置(制動を解除された非制動位置)に向けて回転付勢している。このため、回転クサビ20の回転部材21が電動モータ13によって初期位置から回転されて制動状態とされるときには、戻し捩りバネ48が捩じられてバネ力を高められる。したがって、制動状態にある回転クサビ20の回転部材21は、電動モータ13への通電を遮断して出力軸13bを自由に回転可能とすることでも、戻し捩りバネ48によって初期位置(非制動位置)に戻すことが可能である。
出力部材42は、入力部材41とピストン14間に配置した環状の調整ネジであり、内周全周に多数のラチェット歯42aを有し、外周に雄ネジ42bを有していて、図1の右側面にて入力部材41の摩擦係合面41bに摩擦係合可能である。各ラチェット歯42aは、レバー43によって出力部材42を図3の時計回転方向に回転させるためのものであり、レバー43の爪43aが係合・離脱可能となっている。雄ネジ42bは、ピストン14の内周に形成した雌ネジ14cに対して軸線方向にて進退可能に螺着されていて、出力部材42が図3の時計回転方向に回転することで図1に示したピストン14がブレーキキャリパ12のシリンダ部12b外に向けた軸線方向に移動する(ディスクロータ11に向けて移動する)ように構成されている。
レバー43は、図3に示したように、上記した爪43aを有するとともに、係止突起43b、長孔43cおよび係合突起43dを有している。長孔43cは、図3に示したように、上下方向(出力部材42の径方向)に長い形状に形成されていて、レバー43が、入力部材41に固着したレバー支持ピン45に対して、長孔43cの長手方向に移動可能かつピン回りに回転可能に組付けられている。係合突起43dは、内周に向けて突出していて、回転クサビ20の回転部材21における筒部21bに設けた第1押動突起21b1および第2押動突起21b2と選択的に係合・離脱可能とされている。
捩りバネ44は、図3に示したように、中間部にて入力部材41に固着したバネ支持ピン46に組付けられていて、基端にて入力部材41に係止され、先端部にてレバー43の係止突起43bに係合している。この捩りバネ44は、レバー43の係止突起43bを常に図3の上方(出力部材42の径外方向)に向けて付勢していて、上記した第1押動突起21b1および第2押動突起21b2とによってレバー43の動きをコントロールしている。
上記のように構成したこの実施形態においては、電動モータ13が制動方向(回転クサビ20の回転部材21(筒部21b)が図3の時計回転方向に回転駆動される方向)に回転駆動されると、電動モータ13の出力軸13bからサイクロイド減速機30を介して回転クサビ20の回転部材21に回転駆動力が伝達されて、回転クサビ20の直動部材23がディスクロータ11に向けてピストン14の軸線方向に移動する。
このため、回転クサビ20の直動部材23から摩耗補償機構40の入力部材41と出力部材42を介してピストン14がディスクロータ11に向けて押動されるとともに、その反力によってブレーキキャリパ12がピストン14とは逆方向に移動する。これにより、ディスクロータ11がインナー側ブレーキパッド15のライニング15aとアウター側ブレーキパッド16のライニング16aによって挟持されて制動される。なお、この制動時には、摩耗補償機構40の入力部材41と出力部材42がその間の摩擦係合力で一体的に移動し、出力部材42が回転することはない。
また、この制動時には、ピストン14からの軸線方向反力が摩耗補償機構40の出力部材42から入力部材41に伝わり、この入力部材41の球状面41aから回転クサビ20における直動部材23の円錐面23dに伝わる。また、ピストン14からの軸線方向反力は、回転クサビ20の直動部材23から各転動体(ローラ)22と回転部材21を介してサイクロイド減速機30の出力部材32に伝わり、更に、サイクロイド減速機30の出力部材32からスラストニードルベアリング64とホルダ51を介して各荷重センサ52に伝わり、電動モータ13のケース13aにて受承される。
また、この実施形態においては、回転クサビ20とピストン14間に、ピストン14の軸線を中心線とする円錐面23dと、この円錐面23dに摺動可能に接触する球状面41aとを有して、ピストン14のブレーキキャリパ12に対する首振り動作を許容する首振り動作許容機構SMが介装されている。このため、円錐面23dと球状面41aの接触部(円環線状の接触部)が摺動可能であるときには、制動時において、ブレーキキャリパ12の撓みや各ライニング15a、16a(制動部材)の偏摩耗に追従して、ピストン14を円環線状の接触部にて摺動させて傾動させることができ、各ライニング15a、16a(制動部材)をディスクロータ11(被制動部材)に均一に押しつけることが可能である。
また、この実施形態においては、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗に応じてピストン14をディスクロータ11に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構40が回転クサビ20とピストン14間に介装されている。このため、各ライニング15a、16a(制動部材)が摩耗した場合には、摩耗補償機構40によってピストン14がディスクロータ11に向けて軸線方向に移動されて、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償される(ピストン14とディスクロータ11間のクリアランスが調整される)。
また、この実施形態においては、摩耗補償機構40が上述した入力部材41、出力部材42、レバー43、捩りバネ44を備えていて、図3に示したように、回転クサビ20の回転部材21が初期位置に戻るとき(制動を解除されるとき)に、この回転部材21に設けた第1押動突起21b1がレバー43の係合突起43dに係合して、レバー43が初期状態に戻されるように設定されている。また、回転クサビ20の回転部材21が図3に示した初期位置から図5〜図7に示したように第1設定量以上に回転されるとき(制動されるとき)に、この回転部材21に設けた第2押動突起21b2がレバー43の係合突起43dに係合して押動し、更に、回転部材21が前記第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、図6に示したようにレバー43が調整可能状態とされてレバー43の爪43aが出力部材42に設けたラチェット歯42aの一歯を乗り越えるように設定されている。
このため、制動時に、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗量(この摩耗量は、各ブレーキパッド15、16が新品と交換されたときの初期摩耗量、または、摩耗補償機構40によって各ライニング15a、16aの摩耗が補償された後の摩耗量である)が設定値より少なくて、回転部材21が図3に示した初期位置から第2設定量以上に回転されないときには、図5に例示したように、レバー43の爪43aが出力部材42のラチェット歯42aを乗り越えない。したがって、このときには、制動の解除に際して、回転部材21が図3に示した初期位置に戻るのに伴って、レバー43が図4の状態を経て図3の初期状態に戻されるものの、出力部材42のラチェット歯42aはレバー43によって回転方向に送られず、出力部材42は回転されない。このため、出力部材42に対して軸線方向にて進退可能に螺着されているピストン14は、出力部材42に対して軸線方向に移動せず、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗は補償されない。
一方、制動時に、上記した各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗量が設定値より多くなって、回転部材21が図3に示した初期位置から第2設定量以上に回転される場合には、図6に例示したように、レバー43の爪43aが出力部材42のラチェット歯42aを一歯乗り越える。したがって、このときには、制動の解除に際して、回転部材21が初期位置に戻るのに伴って、レバー43が初期状態に戻されるときに、出力部材42のラチェット歯42aがレバー43によって回転方向に送られ、出力部材42は所定量(ラチェット歯42aの一歯分)回転する。このため、出力部材42に対して軸線方向にて進退可能に螺着されているピストン14は、出力部材42に対してディスクロータ11に向けて軸線方向に移動して、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償される。
ところで、この実施形態の摩耗補償機構40では、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償される際に、ピストン14のみが軸線方向に移動し、他の構成部材は軸線方向に移動しない。このため、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗を補償するために必要とするエネルギーは従来に比して少ない。また、この摩耗補償機構40では、制動時において各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗量が設定値より多くなった場合において、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償され、しかも、各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償されるタイミング(ピストン14が出力部材42に対してディスクロータ11に向けて軸線方向に移動されるタイミング)は制動の解除時である(図8参照)。
したがって、制動が解除された状態でのピストン14とディスクロータ11間のクリアランスは設定値未満に小さくされていて、その後の制動時の制動開始タイミング(クリアランスがゼロとなるタイミング)が設定値以上に遅れることはない。なお、制動が解除されるときには、摩耗補償機構40の入力部材41が回転クサビ20の直動部材23によってディスクロータ11に向けて押動されていないため、摩耗補償機構40の入力部材41と出力部材42間の摩擦係合力は小さくて、出力部材42はレバー43によって入力部材41に対して容易に回転させることが可能である。
また、この実施形態においては、レバー43が調整可能状態とされているとき、レバー43の爪43aがラチェット歯42aを一歯乗り越えるように設定されている(詳細には、回転部材21が第2設定量を超えて回転されるときには、レバー43が図6および図7に示したように作動するように、長孔43cの形状が設定されていて、レバー43は一歯乗り越えたラチェット歯42aに係合するが、それ以外とは係合しないように設定されている)。このため、上記した各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が補償される際に、ピストン14が出力部材42に対してディスクロータ11に向けて軸線方向に過度に移動されることがなくて、上記した各ライニング15a、16a(制動部材)の摩耗が過度に補償されることを防止することが可能である。
上記した実施形態においては、図3〜図8に示したように、回転部材21が第2設定量を超えて如何に回転されても、レバー43の爪43aがラチェット歯42aを一歯乗り越えるように長孔43cの形状(長さ)を設定して実施したが、図9に示した実施形態のように、回転部材21が第2設定量を超えて第3設定量以上に回転されるときに、レバーの爪43aがラチェット歯42aを二歯乗り越えるように長孔43cの形状を設定して実施することも可能であり、適宜変更が可能である。なお、図3〜図9において、黒点を施したラチェット歯42aは、回転部材21が図3の初期位置にあるときに、レバー43の爪43aが係合しているラチェット歯42aである。
EMB…電動ブレーキ装置、11…ディスクロータ(被制動部材)、12…ブレーキキャリパ、13…電動モータ、14…ピストン、14c…雌ネジ、15…インナー側ブレーキパッド、15a…インナー側ブレーキパッドのライニング(制動部材)、16…アウター側ブレーキパッド、16a…アウター側ブレーキパッドのライニング(制動部材)、17…マウンティング、20…回転クサビ(回転−直動変換機構)、21…回転部材、21b1…第1押動突起、21b2…第2押動突起、22…転動体(コロ)、23…直動部材、30…サイクロイド減速機、SM…首振り動作許容機構、40…摩耗補償機構、41…入力部材、42…出力部材、42a…ラチェット歯、42b…雄ネジ、43…レバー、43a…爪、43b…係止突起、43c…長孔、43d…係合突起、44…捩りバネ
Claims (2)
- 支持体に組付けられるブレーキキャリパと、このブレーキキャリパに組付けられる電動モータおよびピストンと、前記電動モータと前記ピストン間に介装されて前記電動モータの回転を前記ピストンの軸線方向移動に変換する回転−直動変換機構と、前記ピストンの軸線方向移動によって押動されて被制動部材を制動する制動部材とを備えるとともに、前記制動部材の摩耗に応じて前記ピストンを前記被制動部材に向けて軸線方向に移動させる摩耗補償機構を備えている電動ブレーキ装置であって、
前記摩耗補償機構が、前記回転−直動変換機構と前記ピストン間に介装されていて、前記回転−直動変換機構の直動部材と一体的に軸線方向に移動可能かつ回転不能な入力部材と、この入力部材と前記ピストン間に設けられていて前記入力部材の軸方向端面に摩擦係合可能で内周にラチェット歯を有し外周に雄ネジを有していて同雄ネジにて前記ピストンの内周に形成した雌ネジに対して軸線方向にて進退可能に螺着されている出力部材と、前記入力部材に組付けられていて前記ラチェット歯に係合・離脱可能な爪を有するとともに前記回転−直動変換機構の回転部材に設けた第1押動突起および第2押動突起と選択的に係合・離脱可能な係合突起を有するレバーと、このレバーの前記爪が前記ラチェット歯に係合する方向に付勢する付勢部材を備えており、
前記回転部材が初期位置に戻るときに、前記第1押動突起が前記係合突起に係合して、前記レバーが初期状態に戻され、
前記回転部材が初期位置から第1設定量以上に回転されるときに、前記第2押動突起が前記係合突起に係合して押動し、前記回転部材が前記第1設定量を超えて第2設定量以上に回転されるときに、前記レバーが調整可能状態とされて前記爪が前記ラチェット歯を乗り越えるように設定されていることを特徴とする電動ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電動ブレーキ装置において、前記レバーが調整可能状態とされているとき、前記爪が前記ラチェット歯を一歯乗り越えるように設定されていることを特徴とする電動ブレーキ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009192797A JP2011043223A (ja) | 2009-08-24 | 2009-08-24 | 電動ブレーキ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2009192797A JP2011043223A (ja) | 2009-08-24 | 2009-08-24 | 電動ブレーキ装置 |
Publications (1)
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JP2011043223A true JP2011043223A (ja) | 2011-03-03 |
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ID=43830788
Family Applications (1)
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JP2009192797A Abandoned JP2011043223A (ja) | 2009-08-24 | 2009-08-24 | 電動ブレーキ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101306636B1 (ko) | 2012-08-30 | 2013-09-10 | 주식회사평화발레오 | 기준위치의 조정이 용이한 마모보상 클러치 액츄에이터 |
CN113915264A (zh) * | 2021-09-23 | 2022-01-11 | 华为数字能源技术有限公司 | 一种制动装置及车辆 |
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2009
- 2009-08-24 JP JP2009192797A patent/JP2011043223A/ja not_active Abandoned
Cited By (3)
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