JP2010174973A - 車両用動力伝達機構の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構を有する車両であっても、車両の緩減速中にロックアップクラッチ解放やフューエルカット復帰による飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止でき、ドライバビリティ向上を図ることができる車両用動力伝達機構の制御装置を提供する。
【解決手段】CVT2と、ロックアップクラッチ11を有するトルクコンバータ4とを備え、所定のロックアップ解放車速以下となるとロックアップクラッチ11を解放する車両用動力伝達機構1において、電子制御装置100は、車両の減速走行状態を検出するとともに車両が緩減速中であるか否かを判定し、緩減速中と判定した場合に減速走行状態時に増加させられるベルト挟圧力の増加量を急減速中の増加量に比べて小さい増加量に変更し、かつ緩減速中でない場合のロックアップ解放車速に比べてロックアップ解放車速を高車速側に変更する。
【選択図】図9
【解決手段】CVT2と、ロックアップクラッチ11を有するトルクコンバータ4とを備え、所定のロックアップ解放車速以下となるとロックアップクラッチ11を解放する車両用動力伝達機構1において、電子制御装置100は、車両の減速走行状態を検出するとともに車両が緩減速中であるか否かを判定し、緩減速中と判定した場合に減速走行状態時に増加させられるベルト挟圧力の増加量を急減速中の増加量に比べて小さい増加量に変更し、かつ緩減速中でない場合のロックアップ解放車速に比べてロックアップ解放車速を高車速側に変更する。
【選択図】図9
Description
本発明は、車両用動力伝達機構の制御装置に関し、特に、無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構の制御装置に関する。
一般に、車両用動力伝達機構として、自動変速機とロックアップ機能を有するトルクコンバータとを採用した車両用動力伝達機構が知られている。
このような車両用動力伝達機構においては、エンジン出力軸に連結された入力側と自動変速機に連結された出力側との回転の伝達を流体を媒介して行うことによる流体のスリップに起因した動力伝達効率の低下を抑制するため、トルクコンバータにロックアップクラッチを設けて、このロックアップクラッチの係合により入力側と出力側とを機械的に直接連結することができるようになっている。これにより、上述の車両用動力伝達機構においては、車両の走行状態に応じて例えば駆動輪の回転による負荷が低い領域においてトルクコンバータの入力側と出力側とを機械的に直接連結し、流体を媒介せずに回転を伝達させることによって動力伝達効率の低下を抑制することができる。
このような車両用動力伝達機構においては、エンジン出力軸に連結された入力側と自動変速機に連結された出力側との回転の伝達を流体を媒介して行うことによる流体のスリップに起因した動力伝達効率の低下を抑制するため、トルクコンバータにロックアップクラッチを設けて、このロックアップクラッチの係合により入力側と出力側とを機械的に直接連結することができるようになっている。これにより、上述の車両用動力伝達機構においては、車両の走行状態に応じて例えば駆動輪の回転による負荷が低い領域においてトルクコンバータの入力側と出力側とを機械的に直接連結し、流体を媒介せずに回転を伝達させることによって動力伝達効率の低下を抑制することができる。
また、上述のような車両用動力伝達機構にあっては、自動変速機としてベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)を採用するものも知られており、この種のベルト式無段変速機は、V溝状のプーリ溝を備えた駆動側のプライマリプーリと従動側のセカンダリプーリとにベルトを巻き掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルトの巻き掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。このような、ベルト式無段変速機を備える車両用動力伝達機構にあっては、ロックアップクラッチを係合した状態のままでもスムーズに変速を行うことができるため、一般的な多段式変速機を備える車両用動力伝達機構と比較して低い車速においてもロックアップクラッチの係合を行うことが可能となる。
また、上述のようなベルト式無段変速機を備える車両では、車両の減速走行時に運転者により再度アクセルペダルが踏み込まれた場合に再加速を円滑に行うために、車速の低下とともにベルト式無段変速機の変速比をロー変速比側に変速させるようになっている。そのため車両の減速走行中にロックアップクラッチの係合を続けていると、車速の低下と同時にエンジンへの負荷が次第に増大することにより、運転者が意図するよりも急激にエンジンブレーキが増大するようになる。したがって、従来、このような急激なエンジンブレーキの増大を回避するため、減速走行中の車両がある所定の車速(以下、ロックアップ解放車速という)以下まで減速するとロックアップクラッチの係合を解除して、意図しないエンジンブレーキの増大を抑えていた。
ところが、このようなベルト式無段変速機を備える車両用動力伝達機構にあっては、減速走行中の車両がロックアップ解放車速に達してロックアップクラッチの解放が行われると、エンジンの負トルクが急減する。そのため、エンジンブレーキによる車両の減速状態が急激に解消されて運転者に違和感を与えるという問題があった。
そこで、従来、車両の減速走行中にロックアップクラッチが解放されることによる運転者に与える違和感を抑制することを目的として、車速が予め設定された第1の車速以下になると、締結中のロックアップクラッチを徐々に解放するスムーズロックアップ解除手段と、車速が第2の車速以下になると、ロックアップクラッチを解放するロックアップ解放手段と、を備え、予め設定した変化率で差圧指令値を徐々に低減するように演算する差圧指令値演算手段と、車速が低下するにつれて差圧指令値が小さくなるように補正する差圧指令値補正手段と、を備えた自動変速機の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の自動変速機の制御装置は、スムーズロックアップ解除手段が車両のコースト状態などの減速時に所定の車速まで低下すると、エンジンストールを回避するため、徐々にロックアップクラッチを解放するスムーズロックアップ解除制御を行うようにしている。さらに、この自動変速機の制御装置は、スムーズロックアップ解除手段によるスムーズロックアップ解除制御中においては、車速が低下するにつれて差圧指令値が小さくなるように差圧指令値補正手段により補正されるので、第2の車速に達する時点では差圧指令値を十分低く、かつ、減速度の大小に係わらずほぼ一定にすることが可能となり、減速度の大きさに係わらずロックアップクラッチ解放時のショックの発生を抑制するようにしている。
また、近年、車両の減速走行中(エンジンアイドル状態)においてロックアップクラッチの係合を行っている間は、エンジンへの燃料供給を停止するいわゆるフューエルカット制御を実行するものも知られており、より低車速までロックアップクラッチの係合を行うことができる無段変速機を備える車両においては、一般的な多段変速機を備える車両に比べて、より長期間に亘って車両の減速走行中にフューエルカットを実行することにより、燃費の向上を図ることができるようになっている。
ところで、特に車両が緩減速状態で走行する例えば狭い路地や雪上路等のような繊細なコントロール性が要求される運転状況においては、車両の緩減速中のロックアップクラッチの解放やフューエルカットからの復帰が行われることによる駆動力変化に起因した飛び出し感等の運転者に与える違和感は、特に顕著に体感される。このような運転状況においては、前述の飛び出し感等の違和感を運転者に与えるのを抑制して、ドライバビリティの向上を図ることが重要である。
しかしながら、上述のような従来の自動変速機の制御装置において、自動変速機として無段変速機を採用した場合にあっては、例えばブレーキがONとなり車両が減速走行状態となると、最大変速比側(ローギア側)への変速に伴い、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトの滑りを抑制するべく、定速走行時のベルト挟圧力に比べて減速時のベルト挟圧力が増加するようベルト挟圧力が制御されるようになっている。
このように、車両の減速時にベルト挟圧力を増加させると、ベルト式無段変速機の変速比が最大変速比側(ローギア側)に変速しやすくなると同時に、最大変速比側(ローギア側)への変速に伴いエンジンブレーキの増大により車両の減速度が増大することとなる。このため、特に、車両の走行状態が急減速状態であるときには、短時間で速やかに最大変速比側(ローギア側)に変速比を戻す必要があるため、車両の減速時にベルト挟圧力を増加させる制御は有効である。ところが、車両の走行状態が緩減速状態であるにも係わらず、急減速時のベルト挟圧力と同様の増加量でベルト挟圧力を増加させると、エンジンブレーキの増大により車両の減速度が増大し、この状態でロックアップクラッチの解放が行われると、エンジンブレーキによる車両の減速状態が急激に解消されることとなる。
したがって、車両の緩減速中にロックアップクラッチの解放が行われることにより、飛び出し感等の違和感を運転者に与え、ひいてはドライバビリティの低下に繋がるという従来の問題点について未だ改善の余地があった。
また、より低車速までロックアップクラッチの係合を行うとともに、フューエルカットを実行することができるベルト式無段変速機を備える車両にあっては、車両の緩減速中にフューエルカットにより停止していたエンジンへの燃料供給が再開される(フューエルカットから復帰)と、エンジンの駆動力変化に起因して上述のロックアップクラッチの解放と同様に飛び出し感等の違和感を運転者に与え、ひいてはドライバビリティの低下に繋がるという問題点があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構を採用する車両であっても、車両の緩減速中にロックアップクラッチの解放やフューエルカットからの復帰による飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる車両用動力伝達機構の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用動力伝達機構の制御装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路にプライマリプーリおよびセカンダリプーリと前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機と、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結するロックアップクラッチを有する流体伝動装置と、を備えた車両用動力伝達機構の制御装置であって、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに対して前記ベルトが滑りを生じないようベルト挟圧力を予め定められたベルト挟圧力に制御するベルト挟圧力制御手段と、前記車両の車速が予め定められたロックアップ解放車速以下となると、前記ロックアップクラッチに供給される油圧を制御することにより、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチの解放を行うロックアップ制御手段と、前記車両の減速走行状態を検出するとともに前記車両が緩減速中であるか否かを判定する緩減速判定手段と、前記緩減速判定手段により前記車両の減速走行状態が検出された場合に、前記ベルト挟圧力制御手段により制御されるベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加手段と、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量を前記車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更手段と、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記車両が緩減速中でない場合の前記ロックアップ解放車速に比べて前記ロックアップ解放車速を高車速側に変更するロックアップ解放車速変更手段とを備えている。
この構成により、緩減速判定手段により車両が緩減速中であると判定された場合には、ロックアップ解放車速変更手段により緩減速時のロックアップ解放車速が高車速側に変更される。そのため、ロックアップクラッチが係合された状態において車両が緩減速中である場合には、エンジンブレーキにより車両の減速度が増大する前に、ロックアップクラッチを解放することができる。
また、緩減速判定手段により車両が緩減速中であると判定された場合には、ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量が車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更される。すなわち、緩減速時においては、急減速時のように短時間で速やかに最大変速比(ローギア側)まで変速比を戻す必要がないので、急減速時のベルト挟圧力よりも小さいベルト挟圧力とすることができる。そのため、最大変速比(ローギア側)まで戻すための時間を長くすることができ、これにより急減速時のような急激なエンジンブレーキの増大を防止して減速度が増大していかないようにすることができる。
したがって、車両の緩減速中にロックアップクラッチを解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
上記(1)に記載の車両用動力伝達機構の制御装置において、(2)前記ロックアップ制御手段は、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合には、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチの解放を行う際に、前記直結していたロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させるよう構成する。
この構成により、緩減速判定手段により車両が緩減速中であると判定された場合には、ロックアップ解放車速の変更およびベルト挟圧力の増加量の変更に加えて、ロックアップ制御手段がロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させるようにしたので、ロックアップクラッチの伝達トルク容量を次第に低下させることによりロックアップクラッチの解放を滑らかに行うことができる。
そのため、車両の緩減速中にロックアップクラッチを解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、更なるドライバビリティの向上を図ることができる。
本発明に係る車両用動力伝達機構の制御装置は、上記目的達成のため、(3)内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路にプライマリプーリおよびセカンダリプーリと前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機と、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結するロックアップクラッチを有する流体伝動装置と、を備えた車両用動力伝達機構の制御装置であって、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに対して前記ベルトが滑りを生じないようベルト挟圧力を予め定められたベルト挟圧力に制御するベルト挟圧力制御手段と、前記車両の車速が予め定められたロックアップ解放車速以下となると、前記ロックアップクラッチに供給される油圧を制御することにより、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチの解放を行うロックアップ制御手段と、前記車両の減速走行状態を検出するとともに前記車両が緩減速中であるか否かを判定する緩減速判定手段と、前記緩減速判定手段により前記車両の減速走行状態が検出された場合に、前記ベルト挟圧力制御手段により制御されるベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加手段と、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量を前記車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更手段とを備え、前記ロックアップ制御手段は、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合には、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させることを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。
この構成により、緩減速判定手段により車両が緩減速中であると判定された場合には、ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量が車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更される。すなわち、緩減速時においては、急減速時のように短時間で速やかに最大変速比(ローギア側)まで変速比を戻す必要がないので、急減速時のベルト挟圧力よりも小さいベルト挟圧力とすることができる。そのため、最大変速比(ローギア側)まで戻すための時間を長くすることができ、これにより急減速時のような急激なエンジンブレーキの増大を防止して減速度が増大していかないようにすることができる。
また、緩減速判定手段により車両が緩減速中であると判定された場合には、ロックアップ制御手段がロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させるようにしたので、ロックアップクラッチの伝達トルク容量を次第に低下させることによりロックアップクラッチの解放を滑らかに行うことができる。
したがって、車両の緩減速中にロックアップクラッチを解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
また、上記(1)〜(3)に記載の車両用動力伝達機構の制御装置において、(4)前記車両の減速時に前記内燃機関への燃料供給を中止するとともに、前記内燃機関の回転数が予め定められたフューエルカット復帰回転数になったと判断したとき、前記内燃機関への燃料供給を再開するフューエルカット制御手段を備えるものであってもよい。
この構成により、車両の緩減速中に内燃機関の回転数が予め定められたフューエルカット復帰回転数に達し、内燃機関への燃料供給を再開するフューエルカット復帰動作が行われた場合であっても、車両の緩減速中において、フューエルカット復帰動作に伴う飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
本発明によれば、無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構を採用する車両であっても、車両の緩減速中にロックアップクラッチの解放やフューエルカットからの復帰による飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる車両用動力伝達機構の制御装置を提供することができる。
以下、本発明に係る車両用動力伝達機構の制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、構成について説明する。
図1に示すように、車両に搭載されたベルト式無段変速機(以下、単にCVTという)2を含む車両用動力伝達機構1は、例えば、横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、内燃機関としてのエンジン3を備えている。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、車両に搭載されたベルト式無段変速機(以下、単にCVTという)2を含む車両用動力伝達機構1は、例えば、横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、内燃機関としてのエンジン3を備えている。
エンジン3の出力は、トルクコンバータ4から前後進切換装置5、CVT2および減速歯車6を介して差動歯車装置7に伝達されて、左右の駆動輪8L、8Rに分配されるようになっている。すなわち、CVT2は、エンジン3から左右の駆動輪(例えば、前輪)8L、8Rに至る動力伝達経路に設けられ、前後進切換装置5から伝達されるエンジン3の駆動力を所望の変速比で差動歯車装置7に伝達するようになっている。
また、流体伝動装置としてのトルクコンバータ4は、エンジン3のクランク軸に連結されたポンプ翼車9pおよびタービン軸10を介して前後進切換装置5に連結されたタービン翼車9tと、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持された固定翼車9sとを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。
また、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tの間には、ポンプ翼車9pおよびタービン翼車9tを一体的に連結して相互に一体回転させることができるようにするためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)11が設けられている。
ロックアップクラッチ11は、後述する油圧制御回路31のロックアップコントロール弁60(図4参照)などによって係合側油室12および解放側油室13に対して供給される油圧が切り換えられることによって、ロックアップクラッチ11が係合または解放されるようになっている。また、ロックアップクラッチ11が係合されることにより、トルクコンバータ4のエンジン3側と駆動輪8L、8R側とを直結するようになっている。
前後進切換装置5は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置から構成されている。また、トルクコンバータ4のタービン軸10は、サンギヤ14sに連結されており、CVT2の入力軸15は、キャリア14cに連結されている。
そして、キャリア14cとサンギヤ14sとの間に配設された前進クラッチ16が係合させられると、前後進切換装置5が一体回転させられてタービン軸10が入力軸15に直結されて、前進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
また、リングギヤ14rとハウジング17との間に配設された後進ブレーキ18が係合させられるとともに、前進クラッチ16が開放されると、入力軸15はタービン軸10に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
一方、CVT2は、入力軸15に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ19と、出力軸20に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ21と、プライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21のそれぞれに形成されたV溝に巻き掛けられた伝動ベルト22とを備えており、動力伝達部材として機能する伝動ベルト22にプライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21のV溝の内壁面との間の摩擦力を介して動力伝達が行われるようになっている。
具体的には、プライマリプーリ19は、互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ19Aと固定シーブ19Bとを備えており、可動シーブ19Aと固定シーブ19BのV溝に伝動ベルト22が巻き掛けられている。
また、セカンダリプーリ21は、互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ21Aと固定シーブ21Bとを備えており、可動シーブ21Aと固定シーブ21BのV溝に伝動ベルト22が巻き掛けられている。
プライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21は、それぞれのV溝幅、すなわち伝動ベルト22の掛かり径を変更するための可動シーブ19Aに形成された入力側油圧シリンダ19aおよび可動シーブ21Aに形成された出力側油圧シリンダ21aを備えて構成されており、可動シーブ19Aの入力側油圧シリンダ19aに供給、あるいはそれから排出される作動油の流量が油圧制御回路31内の変速制御弁装置32(図3参照)によって制御されることにより、プライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21のV溝幅が変化して伝動ベルト22の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=実際の入力回転数NIN/実際の出力回転数NOUT)が連続的に変化させられるようになっている。
また、可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21a内のベルト挟圧力制御圧PBは、セカンダリプーリ21の伝動ベルト22に対する挟圧力および伝動ベルト22の張力にそれぞれ対応するものであって、伝動ベルト22の張力、すなわち、伝動ベルト22のプライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21のV溝内壁面に対する押圧力に密接に関係していることから、ベルト挟圧力制御圧、ベルト張力制御圧、ベルト押圧力制御圧とも称され得るものであり(以下、ベルト挟圧力制御圧という)、伝動ベルト22が滑りを生じないように、油圧制御回路31内の挟圧力制御弁33(図2参照)により調圧されるようになっている。
次に、図2および図3を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の油圧制御回路31におけるベルト挟圧力制御圧の調圧作動に関連する回路および変速比制御に関連する回路について説明する。
図2に示すように、オイルタンク34に還流した作動油は、エンジン3(図1参照)に直接的に連結されてエンジン3により回転駆動される、例えば、ギヤ式の油圧ポンプ35により圧送され、図示しないライン圧調圧弁によりライン圧PLに調圧された後、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36および挟圧力制御弁33に元圧として供給される。
ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36は、電子制御装置100(図5参照)から出力される励磁電流で連続的に制御されることにより、油圧ポンプ35から供給された作動油の油圧から、その励磁電流に対応した大きさの制御圧PSを発生させて挟圧力制御弁33に供給する。
挟圧力制御弁33は、制御圧PSが高くなるに従って上昇させられる油圧すなわちベルト挟圧力制御圧PBを発生させ、可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21aに、このベルト挟圧力制御圧PBを供給することにより、伝動ベルト22が滑りを生じない範囲で可及的に伝動ベルト22に対する挟圧力、すなわち、伝動ベルト22の張力を小さくするように動作する。また、ベルト挟圧力制御圧PBは、その上昇に伴ってベルト挟圧力、すなわち、プライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21と伝動ベルト22との間の摩擦力を増大させる。
ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36には、カットバック弁37のON時にカットバック弁37から出力される制御圧PSが供給される油室36aが設けられる一方、カットバック弁37のOFF時には、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36の油室36aへの制御圧PSの供給が遮断されて油室36aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁37のON時にはOFF時よりも制御圧PSの特性が低圧側に切り換えられるようになっている。
また、カットバック弁37は、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11のON(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることによりONに切り換えられるようになっている。
図3において、変速制御弁装置32は、ライン圧PLの作動油を専ら可動シーブ19Aの入力側油圧シリンダ19aに供給し、かつその作動油流量を制御することによりアップ方向の変速速度を制御するアップ変速制御弁41および可動シーブ19Aの入力側油圧シリンダ19aから排出される作動油の流量を制御することにより、ダウン方向の変速速度を制御するダウン変速制御弁42から構成されている。
アップ変速制御弁41は、ライン圧PLを導くライン油路Lと連通する入力ポート41aを有し、ライン油路Lと入力側油圧シリンダ19aとの間を開閉するスプール弁43と、スプール弁43を閉弁方向に付勢するスプリング44と、アップ側電磁弁45から出力される制御圧を導く制御油室46とを備えている。
また、ダウン変速制御弁42は、ドレーン油路Dと入力側油圧シリンダ19aとの間を開閉するスプール弁47と、スプール弁47を閉弁方向に付勢するスプリング48と、ダウン側電磁弁49から出力される制御圧を導く制御油室50とを備えている。
アップ側電磁弁45およびダウン側電磁弁49は、電子制御装置100によってデューティ駆動されることにより、連続的に変化する制御圧を制御油室46および制御油室50に供給し、CVT2の変速比γをアップ側(変速比の小さくなる側)またはダウン側(変速比の大きくなる側)に連続的に変化させる。
また、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aには調圧弁51が接続されている。この調圧弁51は、スプリング53によって押圧されているピストン52の正面側に、ライン圧PLが供給される入力ポート54が形成され、かつピストン52の正面側と背面側とに連通した出力ポート55とを有するバルブから構成されており、出力ポート55がダウン変速制御弁42の入力ポート42aに連通されている。
また、入力ポート54には開口面積の小さいダブルオリフィス56を介してライン圧PLが供給されている。すなわち、調圧弁51は、ライン圧PLからスプリング53の弾性力を減じた圧力の油圧になるようにライン圧PLを調圧し、この調圧されたライン圧PLが出力ポート55、すなわち、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aに生じるように構成されている。
次に、図4を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1におけるロックアップクラッチ11の係合および解放を制御するロックアップコントロール弁60を含む油圧回路について説明する。
図4に示すように、ロックアップコントロール弁60は、第2調圧弁からライン圧PL2がそれぞれ供給される第1入力ポート60aおよび第2入力ポート60bと、トルクコンバータ4の係合側油室12に接続された係合側ポート61と、トルクコンバータ4の解放側油室13に接続された解放側ポート62と、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71から出力される係合信号圧PDSUが供給される信号圧ポート63とを備えている。
このロックアップコントロール弁60は、係合信号圧PDSUが信号圧ポート63に供給された場合には、図中、中心線より右側半分に示されるように、スプール64がスプリング65の付勢力に抗して下方へ移動させられたON状態となる。これにより、第1入力ポート60aと係合側ポート61とが連通させられ、ロックアップ係合油圧PLUが係合側油室12へ供給される一方、解放側ポート62がドレーンポート66に連通させられることにより、解放側油室13内の作動油がドレーンされ、ロックアップクラッチ11が係合させられる。
上述のロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71は、OFFすなわち非励磁の状態においては、係合信号圧PDSUの出力を停止する一方、ONすなわち励磁の状態においては、係合信号圧PDSUを出力するようになっている。そして、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71は、励磁の状態では、電子制御装置100から出力されるロックアップ油圧指令値SPLUに基づき、励磁電流がデューティ制御されることにより、係合信号圧PDSUを連続的に変化させるようになっている。
また、ロックアップコントロール弁60には、フィードバック油室67が備えられており、このフィードバック油室67にはロックアップ係合油圧PLUが供給されるようになっている。そして、ロックアップコントロール弁60は、ロックアップ係合油圧PLUが係合信号圧PDSUと釣り合うようにスプール64が移動させられるようになっている。これにより、ロックアップ油圧指令値SPLUに基づき制御されるロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71の係合信号圧PDSUに応じて、ロックアップ係合油圧PLUを連続的に制御することが可能となる。そのため、このロックアップ係合油圧PLUに応じてロックアップクラッチ11の係合力を連続的に変化させるようになっている。
一方、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71がOFFすなわち非励磁の状態になり係合信号圧PDSUの出力が停止させられると、ロックアップコントロール弁60は、図中、中心線より左側半分に示されるように、スプリング65の付勢力によってスプール64が上方へ移動させられ、原位置に保持されるOFFの状態となる。これにより、ロックアップコントロール弁60は、第2入力ポート60bと解放側ポート62とが連通され、ライン圧PL2が解放側油室13に供給される。同時に、係合側ポート61と排出ポート68とが連通させられることにより、係合側油室12内の作動油が排出ポート68から排出されて、ロックアップクラッチ11をOFFすなわち解放するようになっている。
また、ロックアップコントロール弁60には、バックアップポート69が設けられており、このバックアップポート69は、ロックアップソレノイドSL72の出力油圧PSLが供給されるようになっている。また、バックアップポート69に出力油圧PSLが供給されると、ロックアップコントロール弁60は、上述の係合信号圧PDSUの供給に係わらずOFF状態に維持され、ロックアップクラッチ11を強制的に解放するようになっている。ここで、上述のロックアップソレノイドSL72は、ON−OFFソレノイドとして構成されており、ライン圧PLをそのまま出力油圧PSLとして出力するものである。これにより、ロックアップソレノイドSL72は、例えば車両の発進停止時等の低車速時に油圧PSLを出力することにより、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71のONフェール等に伴い、ロックアップクラッチ11が係合することによるエンジンストールの発生を防止することができるようになっている。
次に、図5を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100の構成について説明する。
図5に示すように、電子制御装置100は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。これにより、電子制御装置100は、減速感および燃費が最適となるようCVT2の変速制御を実行するようになっている。
図5に示すように、電子制御装置100は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。これにより、電子制御装置100は、減速感および燃費が最適となるようCVT2の変速制御を実行するようになっている。
また、電子制御装置100には、シフトレバー操作位置センサ101、アクセル操作量センサ102、エンジン回転数センサ103、スロットルセンサ104、プライマリ回転数センサ105、セカンダリ回転数センサ106、圧力センサ107、加速度センサ108、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36、変速制御弁装置32、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71、ロックアップソレノイドSL72、スロットルアクチュエータ24、燃料噴射装置81、点火装置82などが接続されている。
シフトレバー操作位置センサ101は、車両室内に配設されたシフトレバー109の操作位置Pshを検出し、この操作位置Pshに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
アクセル操作量センサ102は、アクセルペダル23(図1参照)の開度papすなわちアクセル開度papを検出し、このアクセル開度papに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
エンジン回転数センサ103は、エンジン3の回転数Neを検出し、このエンジン3の回転数Neに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
スロットルセンサ104は、スロットルアクチュエータ24によって駆動されるスロットル弁25(図1参照)の開度θthすなわちスロットル開度θthを検出し、このスロットル開度θthに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
スロットルセンサ104は、スロットルアクチュエータ24によって駆動されるスロットル弁25(図1参照)の開度θthすなわちスロットル開度θthを検出し、このスロットル開度θthに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
プライマリ回転数センサ105は、プライマリプーリ19の入力軸15(図1参照)の実際の入力回転数NINを検出し、このプライマリプーリ19の実際の入力回転数NINに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
セカンダリ回転数センサ106は、セカンダリプーリ21の出力軸20(図1参照)の実際の出力回転数NOUTを検出し、このセカンダリプーリ21の実際の出力回転数NOUTに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。また、車両の車速Vは、上述のセカンダリ回転数センサ106により検出されたセカンダリプーリ21の実際の出力回転数NOUTに基づいて、電子制御装置100によって算出される。
圧力センサ107は、可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21aの内圧である実際のベルト挟圧力制御圧PBを検出し、このベルト挟圧力制御圧PBに応じた油圧信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
加速度センサ108は、車両の略重心位置に配置されており、車両の前後方向に作用する加速度、すなわち車両の前後方向に作用する減速度G(負の加速度)を検出し、この減速度Gに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
また、上述の電子制御装置100は、図6に示す変速マップに基づいて変速制御を行うようになっている。なお、図6に示す変速マップは、横軸を車速、縦軸をプライマリプーリ19の目標入力回転数として、パラメータをアクセル開度とした変速マップであり、この変速マップは、電子制御装置100のROMに記憶されている。
図6に示すように、電子制御装置100は、アクセル開度をパラメータとしてCVT2の変速比γが最小の状態(γmin)から最大の状態(γmax)までの範囲で、アクセル開度毎に車速とプライマリプーリ19の目標入力回転数NINT(目標値)との関係に基づき、変速制御を実行するようになっている。
また、上述の変速マップは、アクセル開度と車速とから運転者が必要とする目標エンジン出力を決定し、決定された目標エンジン出力をエンジン3の最適燃費線上で実現できるように決定されたプライマリプーリ19の目標入力回転数NINTであり、アクセル開度が大きくなるにつれて変速比が最小の状態から変速比が最大の状態になるように設定されている。
このように、電子制御装置100が実行するCVT2の変速制御においては、車速やアクセル開度の情報に基づいて、最適な変速比と変速速度とを実現できるようにプライマリプーリ19の目標入力回転数NINTが設定される。
すなわち、電子制御装置100は、プライマリプーリ19の目標入力回転数NINTとプライマリ回転数センサ105から入力される実際の入力回転数NINとが一致するように、変速制御弁装置32およびベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36に制御信号を出力して、変速比の最適化を図り、プライマリ回転数センサ105から入力される実際の入力回転数NINが目標入力回転数NINTになるように制御するようになっている。
また、電子制御装置100は、アイドル時の空気流量を制御するISC(Idle Speed Control)制御を実行するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、スロットル弁25(図1参照)のバイパス通路を流れる空気量を図示しないアイドルスピードコントロール弁により調整して、アイドル回転数を所望の回転数(例えば、550rpm)に制御するようになっている。
また、電子制御装置100は、エンジン3の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号Se、例えばスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などをそれぞれスロットルアクチュエータ24、燃料噴射装置81、点火装置82に出力するようになっている。例えば、電子制御装置100は、アクセル開度papに応じたスロットル開度θthとなるようにスロットル弁25(図1参照)を開閉するスロットル信号をスロットルアクチュエータ24に出力して、エンジントルクTeを制御するようになっている。
また、電子制御装置100は、車両が予め定められた運転状態になりフューエルカット条件が成立すると、エンジン3への燃料の供給を停止する一方、予め定められたフューエルカット復帰条件を満足するとフューエルカット状態からの復帰を行うフューエルカット制御を実行するようになっている。例えば、電子制御装置100は、スロットルセンサ104から得られるスロットル開度θthが略全閉状態であるか、あるいは2〜3%程度以下の微開状態であるようなスロットルOFFの車両の減速走行時において、エンジン回転数センサ103から得られるエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット開始回転数Nek(例えば1400rpm程度)以下となり、かつエンジン3の回転数Neが低下に向かう走行状態となってから所定の遅延時間Tfcを経過した等の所定のフューエルカット条件が成立したときに、フューエルカットを開始するように、エンジン3への燃料供給を停止する停止指令信号Sfcを燃料噴射装置81に出力するようになっている。なお、上述のフューエルカット条件は、例示であってこれに限定されるものではない。
一方、電子制御装置100は、車両の減速走行によりエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefに達することによりフューエルカット復帰条件を満足すると、フューエルカットをOFFするようエンジン3への燃料供給の停止指令信号Sfcの出力を中止するようになっている。これにより、エンジン3は、フューエルカットがOFFされると、燃料供給が再開されて速やかに起動するようになっている。なお、本実施の形態において、電子制御装置100は、車両の減速時にエンジン3への燃料供給を停止するとともに、エンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefになったと判断したとき、エンジン3への燃料供給を再開するフューエルカット制御手段を構成している。
なお、上述のフューエルカット復帰回転数Nefは、燃料供給が再開されたときにエンジン3が速やかに起動されるための予め実験的に求めて記憶されたエンジン回転数判定値であり、例えば550rpm程度のアイドル回転数やそれ以下の300〜500rpm程度のエンジン3の回転数Neが設定されるようになっている。
また、電子制御装置100は、セカンダリ回転数センサ106により検出されたセカンダリプーリ21の実際の出力回転数NOUTに基づいて算出された車速Vおよびスロットルセンサ104により検出されたスロットル開度θthに基づき、車両の減速走行状態を検出するようになっている。さらに、電子制御装置100は、加速度センサ108で検出された車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつ予め実験的に求めて記憶されたしきい値G(TH)以下の状態の継続時間が、所定時間T1(例えば、3秒程度)を経過したか否かにより、車両が緩減速中であるか否かを判定する緩減速判定処理を実行するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、車両の減速度Gがしきい値G(TH)以下の状態の継続時間が、所定時間T1を経過した場合には、車両が緩減速(減速度が小さい)中であると判定する緩減速判定処理を実行するようになっている。なお、本実施の形態において、電子制御装置100、スロットルセンサ104、セカンダリ回転数センサ106および加速度センサ108は、緩減速判定手段を構成している。
ここで、上述のしきい値G(TH)は、例えば走行中の車両が緩減速中か否かを判断するために用いられるしきい値であって、捩じりが解放されると車両にショックを発生させるほどのエネルギーが駆動伝達系に蓄積される程度の減速度が設定される。
また、電子制御装置100は、スロットル弁開度θthおよび車速Vをパラメータとして予め記憶された切換マップに基づいて、スロットルセンサ104から得られる実際のスロットル弁開度θthおよびセカンダリ回転数センサ106から得られたセカンダリプーリ21の実際の出力回転数NOUTに基づいて検出された車速Vに応じて、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71およびロックアップコントロール弁60を制御することにより、ロックアップクラッチ11の係合または解放を切り換えるようになっている。
具体的には、電子制御装置100は、ロックアップクラッチ11の係合状態において、予め記憶された切換マップに基づいて車速Vが低車速側に変化したり、スロットル弁開度θthが高スロットル弁開度側に変化すると、ロックアップクラッチ11を解放させるようになっている。なお、本実施の形態において、ロックアップコントロール弁60、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71および電子制御装置100は、車両の車速Vが予め定められたロックアップ解放車速以下となると、ロックアップクラッチ11の係合側油室12に供給されるロックアップ係合油圧PLUを制御することにより、エンジン3とCVT2とを直結していたロックアップクラッチ11の解放を行うロックアップ制御手段を構成している。
ここで、電子制御装置100は、ロックアップクラッチ11を解放する車速(ロックアップ解放車速)を、車両の減速度に応じて変更するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、後述するように、上述の緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定した場合には、車両が緩減速中でない場合のロックアップ解放車速に比べて、ロックアップ解放車速を高車速側に変更するようになっている。なお、本実施の形態において、電子制御装置100は、ロックアップ解放車速変更手段を構成している。
次に、図7を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1におけるロックアップ解放車速について説明する。
図7(a)、図7(b)に示すように、車両が緩減速中である場合には、車速Vの低下に伴い、CVT2は、再加速性を確保するため、最大変速比側(ローギア側)へと徐々に変速される。このとき、車両は減速走行中であるため、車両用動力伝達機構1の駆動輪側からエンジン3側にトルクが逆入力されている。このとき、ロックアップクラッチ11が係合した状態にあると、駆動輪側から逆入力されるトルクがトルクコンバータ4内の流体を介さずにロックアップクラッチ11を介して直接的にエンジン3側に伝達される。
図7(a)、図7(b)に示すように、車両が緩減速中である場合には、車速Vの低下に伴い、CVT2は、再加速性を確保するため、最大変速比側(ローギア側)へと徐々に変速される。このとき、車両は減速走行中であるため、車両用動力伝達機構1の駆動輪側からエンジン3側にトルクが逆入力されている。このとき、ロックアップクラッチ11が係合した状態にあると、駆動輪側から逆入力されるトルクがトルクコンバータ4内の流体を介さずにロックアップクラッチ11を介して直接的にエンジン3側に伝達される。
したがって、駆動輪側からトルクがエンジン3側に逆入力される減速走行中においては、ロックアップクラッチ11を係合した状態で変速比を最大変速比側(ローギア側)に変速させると、駆動輪側から入力される回転数に対して、エンジン3側に出力される回転数が大きくなる。この結果、最大変速比側(ローギア側)への変速に伴い、駆動輪側の回転負荷が大きくなり、車両に掛かるエンジンブレーキが増大する。
従来、車両が緩減速中であるときには、図7(a)中、一点鎖線で示すように、ロックアップ解放車速を車速V0で示す通常のロックアップ解放車速SPDREFに設定して、図7(c)中、一点鎖線で示すように、車速Vが低車速側となる時間t0までロックアップクラッチを係合し続けると、車両に掛かるエンジンブレーキが増大し、この結果、図7(d)中、一点鎖線で示すように、車両の減速度Gが増大して、車両が急激に減速されるようになる。
この点、本実施の形態においては、電子制御装置100は、上述の緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定した場合には、図7(a)に示すように、ロックアップ解放車速を通常のロックアップ解放車速SPDREFから高車速側の車速V1で示すロックアップ解放車速(通常のロックアップ解放車速SPDREF+α(α>0))に変更するロックアップ解放車速変更制御を実行するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、例えば平坦路において車両が緩減速中であると判定した場合には、通常のロックアップ解放車速SPDREF(例えば、時速12〜14km)から高車速側に変更されたロックアップ解放車速SPDREF+α(例えば、時速20km)において、ロックアップクラッチ11を解放するようになっている。
したがって、ロックアップクラッチ11は、図7(c)中、実線で示すように、図7(a)中、車速V1で示すロックアップ解放車速(通常のロックアップ解放車速SPDREF+α(α>0))に対応する時間t1において、解放されるようになっている。
この結果、本実施の形態においては、車両のエンジンブレーキの増大が抑制され、図7(d)中、実線で示されるように車両の減速度Gが増大することを防止することができる。
この結果、本実施の形態においては、車両のエンジンブレーキの増大が抑制され、図7(d)中、実線で示されるように車両の減速度Gが増大することを防止することができる。
一方、電子制御装置100は、上述の緩減速判定処理において、車両が緩減速中でないと判定されている場合には、通常のロックアップ解放車速SPDREFにおいてロックアップクラッチ11を解放するようになっている。
また、上述の電子制御装置100は、油圧制御回路31のベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36に対する励磁電流を制御することにより挟圧力制御弁33から可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21aに供給されるベルト挟圧力制御圧PBを制御して、プライマリプーリ19およびセカンダリプーリ21に対して伝動ベルト22がベルト滑りを発生させない範囲で、ベルト挟圧力を予め定められたベルト挟圧力に制御するベルト挟圧力制御を実行するようになっている。なお、本実施の形態において、挟圧力制御弁33、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36および電子制御装置100は、ベルト挟圧力制御手段を構成している。
一般的に、ベルト挟圧力、すなわち可動シーブの出力側油圧シリンダ内のベルト挟圧力制御圧PBは、例えば図8に示すように、伝達トルクに対応するアクセル操作量papおよび変速比γをパラメータとして予め実験的に求められ、記憶された必要油圧(ベルト挟圧力に相当する)のベルト挟圧力マップに基づき、電子制御装置および油圧制御回路等によって調圧制御されるようになっている。なお、上述の必要油圧すなわちベルト挟圧力制御圧PBは、入力トルクTin、摩擦係数μ、プライマリプーリのベルト掛かり径R、プーリ面積Aを用いて、基本的に次式(1)によって求められるようになっており、入力トルクTinおよびベルト掛かり径Rは、それぞれ前述のアクセル操作量pap、変速比γに対応するものであり、図8に示すベルト挟圧力マップは、前述の(1)式に基づいて定められている。また、(1)式におけるαは、制御誤差等を考慮した安全率であって、1.0より大きな値となっている。なお、アクセル操作量papの代わりにエンジンのスロットル弁開度やトルク等を用いることも可能である。
PB=(Tin/μ・R・A)×α ・・・(1)
また、電子制御装置100は、例えばブレーキONとなり、車両が急減速および緩減速を含む減速中となった場合には、変速比が最大変速比側(ローギア側)に変速されることに伴い、伝動ベルト22の滑りを抑制するべく、ベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加制御を実行するようになっている。具体的には、電子制御装置100は、油圧制御回路31のベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36から挟圧力制御弁33に供給される制御圧PSを励磁電流により制御することにより、挟圧力制御弁33から可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21aに供給されるベルト挟圧力制御圧PBを車両の減速度に応じて、所定値(増加値PUP)だけ増加させて、ベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加制御を実行するようになっている。このベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPは、車両の減速走行状態すなわち急減速状態および緩減速状態のそれぞれの状態に応じて、予め実験的に求めて記憶された伝動ベルト22がベルト滑りを発生させない程度の増加値PUPが設定される。なお、本実施の形態において、挟圧力制御弁33、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36および電子制御装置100は、ベルト挟圧力増加手段を構成している。
PB=(Tin/μ・R・A)×α ・・・(1)
また、電子制御装置100は、例えばブレーキONとなり、車両が急減速および緩減速を含む減速中となった場合には、変速比が最大変速比側(ローギア側)に変速されることに伴い、伝動ベルト22の滑りを抑制するべく、ベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加制御を実行するようになっている。具体的には、電子制御装置100は、油圧制御回路31のベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36から挟圧力制御弁33に供給される制御圧PSを励磁電流により制御することにより、挟圧力制御弁33から可動シーブ21Aの出力側油圧シリンダ21aに供給されるベルト挟圧力制御圧PBを車両の減速度に応じて、所定値(増加値PUP)だけ増加させて、ベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加制御を実行するようになっている。このベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPは、車両の減速走行状態すなわち急減速状態および緩減速状態のそれぞれの状態に応じて、予め実験的に求めて記憶された伝動ベルト22がベルト滑りを発生させない程度の増加値PUPが設定される。なお、本実施の形態において、挟圧力制御弁33、ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁36および電子制御装置100は、ベルト挟圧力増加手段を構成している。
ここで、本実施の形態においては、電子制御装置100は、上述の緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更するようになっている。これにより、電子制御装置100は、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更制御を実行するようになっている。なお、本実施の形態において、電子制御装置100は、ベルト挟圧力増加量変更手段を構成している。
次に、図9を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100により実行される制御処理について説明する。
図9に示すように、電子制御装置100は、エンジン3がアイドル状態(アイドルON)であるか否かを判断する(ステップS101)。具体的には、電子制御装置100は、車速Vが所定値以上でかつスロットル開度θthが略0のアイドルON状態であるか否かを判断して、車両の走行状態が減速走行状態であるか否かを判断する。すなわち、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態であると判断する。ステップS101において、エンジン3がアイドルON状態でないと判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態でないと判断して本処理を終了する。
図9に示すように、電子制御装置100は、エンジン3がアイドル状態(アイドルON)であるか否かを判断する(ステップS101)。具体的には、電子制御装置100は、車速Vが所定値以上でかつスロットル開度θthが略0のアイドルON状態であるか否かを判断して、車両の走行状態が減速走行状態であるか否かを判断する。すなわち、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態であると判断する。ステップS101において、エンジン3がアイドルON状態でないと判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態でないと判断して本処理を終了する。
一方、ステップS101において、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、電子制御装置100は、例えば、エンジン回転数センサ103から得られるエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット開始回転数Nek(例えば1400rpm程度)以下となり、かつエンジン3の回転数Neが低下に向かう走行状態となってから所定の遅延時間Tfcを経過した等の所定のフューエルカット条件が成立すると、フューエルカットを開始(フューエルカットON)して、エンジン3への燃料供給を停止する(ステップS102)。
次いで、電子制御装置100は、加速度センサ108で検出された車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつ予め実験的に求めて記憶されたしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1(例えば、3秒程度)を経過したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、電子制御装置100は、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過していないと判定された場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過したと判定された場合には、車両が緩減速中であると判定(緩減速判定ON)し(ステップS104)、後述するステップS105およびステップS106における各制御を実行する。
ステップS105において、電子制御装置100は、ロックアップ解放車速を通常のロックアップ解放車速SPDREFから高車速側のロックアップ解放車速(通常のロックアップ解放車速SPDREF+α(α>0))に変更するロックアップ解放車速変更制御を実行する。これにより、例えば、平坦路において車両が緩減速中であると判定された場合には、通常のロックアップ解放車速SPDREF(例えば、時速12〜14km)から高車速側に変更されたロックアップ解放車速SPDREF+α(例えば、時速20km)において、ロックアップクラッチ11を解放することができる。
また、ステップS106において、電子制御装置100は、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更制御を実行する。具体的には、電子制御装置100は、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更する。
次いで、電子制御装置100は、例えばエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefに達することによりフューエルカット復帰条件を満足すると、フューエルカットをOFFして、エンジン3への燃料供給を再開する(ステップS107)。
次いで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは運転者によりアクセルペダル23が踏み込まれたり、例えば平坦路を走行中の車両が下り坂走行に移行したことにより、車速Vが所定速度Vb以上となったか否かを判断する(ステップS108)。ここで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下および所定速度Vb以上の何れにも達していないと判断した場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは車速Vが所定速度Vb以上となったと判断した場合には、車両の走行状態が緩減速中でなくなったもの(緩減速判定OFF)と判断して(ステップS109)、本処理を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置は、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合には、電子制御装置100によりロックアップ解放車速を通常のロックアップ解放車速SPDREFから高車速側のロックアップ解放車速(通常のロックアップ解放車速SPDREF+α(α>0))に変更される。そのため、ロックアップクラッチ11が係合された状態において車両が緩減速中である場合には、エンジンブレーキにより車両の減速度Gが増大する前に、ロックアップクラッチ11を解放することができる。
また、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合には、電子制御装置100は、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更することで、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更する。すなわち、緩減速時においては、急減速時のように短時間で速やかに最大変速比(ローギア側)まで変速比を戻す必要がないので、急減速時のベルト挟圧力よりも小さいベルト挟圧力とすることができる。そのため、最大変速比(ローギア側)まで戻すための時間を長くすることができ、これにより急減速時のような急激なエンジンブレーキの増大を防止して減速度Gが増大していかないようにすることができる。
したがって、車両の緩減速中にロックアップクラッチ11を解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置について、説明する。
なお、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置においては、第1の実施の形態における電子制御装置100の制御処理に後述するロックアップクラッチ11のスムーズOFF制御を付加した点で異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置について、説明する。
なお、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置においては、第1の実施の形態における電子制御装置100の制御処理に後述するロックアップクラッチ11のスムーズOFF制御を付加した点で異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
まず、図4、図10を用いて、本発明の第2の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100において実行されるロックアップクラッチ11のスムーズOFF制御について、ロックアップ係合状態と、エンジン3の回転数Neおよびタービン軸10の回転数(タービン回転数Nt)と、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71における励磁電流のデューティ比と、ロックアップ係合油圧PLUおよびロックアップON−OFF差圧との関係に基づいて説明する。
図4、図10に示すように、電子制御装置100(図5参照)は、緩減速判定処理において、車両が緩減速中であると判定した場合には、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71に出力するロックアップ油圧指令値SPLUに基づき、励磁電流をデューティ制御することにより、すなわちロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71における励磁電流のデューティ比を徐々に低下させることにより、ロックアップコントロール弁60の調圧レベルを変化させてロックアップ係合油圧PLUを予め実験的に求めて記憶された変化率で減少させるようロックアップ係合油圧PLUの油圧勾配を緩勾配に設定するようになっている(t1〜t2区間)。すなわち、電子制御装置100は、ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU71から出力される係合信号圧PDSUを徐々に低下させるよう制御することにより、ロックアップクラッチ11の係合側油室12内の油圧PONと解放側油室13内の油圧POFFとの差圧(ロックアップON−OFF差圧)すなわちロックアップ係合油圧PLUを予め実験的に求めて記憶された変化率で減少させるようになっている(t1〜t2区間)。これにより、電子制御装置100は、ロックアップクラッチ11を解放する際には、ロックアップクラッチ11の伝達トルク容量を次第に低下させてロックアップクラッチ11を緩やかに解放するスムーズOFF制御を実行することができる。
次に、図11を用いて、本発明の第2の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100により実行される制御処理について説明する。
図11に示すように、電子制御装置100は、エンジン3がアイドル状態(アイドルON)であるか否かを判断する(ステップS201)。具体的には、電子制御装置100は、車速Vが所定値以上でかつスロットル開度θthが略0のアイドルON状態であるか否かを判断して、車両の走行状態が減速走行状態であるか否かを判断する。すなわち、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態であると判断する。ステップS201において、エンジン3がアイドルON状態でないと判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態でないと判断して本処理を終了する。
一方、ステップS201において、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、電子制御装置100は、例えば、エンジン回転数センサ103から得られるエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット開始回転数Nek(例えば1400rpm程度)以下となり、かつエンジン3の回転数Neが低下に向かう走行状態となってから所定の遅延時間Tfcを経過した等の所定のフューエルカット条件が成立すると、フューエルカットを開始(フューエルカットON)して、エンジン3への燃料供給を停止する(ステップS202)。
次いで、電子制御装置100は、加速度センサ108で検出された車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつ予め実験的に求めて記憶されたしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1(例えば、3秒程度)を経過したか否かを判定する(ステップS203)。ここで、電子制御装置100は、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過していないと判定された場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、ステップS203において、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過したと判定された場合には、車両が緩減速中であると判定(緩減速判定ON)し(ステップS204)、後述するステップS205〜ステップS207における各制御を実行する。
ステップS205において、電子制御装置100は、ロックアップ解放車速を通常のロックアップ解放車速SPDREFから高車速側のロックアップ解放車速(通常のロックアップ解放車速SPDREF+α(α>0))に変更するロックアップ解放車速変更制御を実行する。これにより、例えば、平坦路において車両が緩減速中であると判定された場合には、通常のロックアップ解放車速SPDREF(例えば、時速12〜14km)から高車速側に変更されたロックアップ解放車速SPDREF+α(例えば、時速20km)において、ロックアップクラッチ11を解放することができる。
また、ステップS206において、電子制御装置100は、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更制御を実行する。具体的には、電子制御装置100は、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更する。
さらに、ステップS207において、電子制御装置100は、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71に出力するロックアップ油圧指令値SPLUに基づき、励磁電流をデューティ制御することにより、すなわちロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71における励磁電流のデューティ比を徐々に低下させることにより、ロックアップコントロール弁60の調圧レベルを変化させてロックアップ係合油圧PLUを徐々に低下させるようロックアップ係合油圧PLUの油圧勾配を緩勾配に設定する。これにより、電子制御装置100は、ロックアップクラッチ11を解放する際には、ロックアップクラッチ11の伝達トルク容量を次第に低下させてロックアップクラッチ11を緩やかに解放するスムーズOFF制御を実行することができる。
次いで、電子制御装置100は、例えばエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefに達することによりフューエルカット復帰条件を満足すると、フューエルカットをOFFして、エンジン3への燃料供給を再開する(ステップS208)。
次いで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは運転者によりアクセルペダル23が踏み込まれたり、例えば平坦路を走行中の車両が下り坂走行に移行したことにより、車速Vが所定速度Vb以上となったか否かを判断する(ステップS209)。ここで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下および所定速度Vb以上の何れにも達していないと判断した場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは車速Vが所定速度Vb以上となったと判断した場合には、車両の走行状態が緩減速中でなくなったもの(緩減速判定OFF)と判断して(ステップS210)、本処理を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置は、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合には、ロックアップ解放車速の変更およびベルト挟圧力の増加量の変更に加えて、電子制御装置100がロックアップクラッチ11に供給されるロックアップ係合油圧PLUを予め実験的に求めて記憶された変化率で減少させるようにしたので、ロックアップクラッチ11の伝達トルク容量を次第に低下させることによりロックアップクラッチ11の解放を滑らかに行うことができる。
そのため、車両の緩減速中にロックアップクラッチ11を解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、更なるドライバビリティの向上を図ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置について、説明する。
なお、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置においては、ロックアップ解放車速変更制御に代わって第2の実施の形態におけるロックアップクラッチ11のスムーズOFF制御を組み合わせた点で第1の実施の形態と異なっているが、他の構成は同様に構成さている。したがって、同一の構成については、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
そこで、図12を用いて、本発明の第3の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100における制御処理について説明する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置について、説明する。
なお、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置においては、ロックアップ解放車速変更制御に代わって第2の実施の形態におけるロックアップクラッチ11のスムーズOFF制御を組み合わせた点で第1の実施の形態と異なっているが、他の構成は同様に構成さている。したがって、同一の構成については、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
そこで、図12を用いて、本発明の第3の実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の電子制御装置100における制御処理について説明する。
図12に示すように、電子制御装置100は、エンジン3がアイドル状態(アイドルON)であるか否かを判断する(ステップS301)。具体的には、電子制御装置100は、車速Vが所定値以上でかつスロットル開度θthが略0のアイドルON状態であるか否かを判断して、車両の走行状態が減速走行状態であるか否かを判断する。すなわち、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態であると判断する。ステップS301において、エンジン3がアイドルON状態でないと判定した場合には、車両の走行状態が減速走行状態でないと判断して本処理を終了する。
一方、ステップS301において、エンジン3がアイドルON状態であると判定した場合には、電子制御装置100は、例えば、エンジン回転数センサ103から得られるエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット開始回転数Nek(例えば1400rpm程度)以下となり、かつエンジン3の回転数Neが低下に向かう走行状態となってから所定の遅延時間Tfcを経過した等の所定のフューエルカット条件が成立すると、フューエルカットを開始(フューエルカットON)して、エンジン3への燃料供給を停止する(ステップS302)。
次いで、電子制御装置100は、加速度センサ108で検出された車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつ予め実験的に求めて記憶されたしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1(例えば、3秒程度)を経過したか否かを判定する(ステップS303)。ここで、電子制御装置100は、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過していないと判定された場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、車両の減速度Gが、0よりも大きく、かつしきい値G(TH)以下となる状態の継続時間が、所定時間T1を経過したと判定された場合には、車両が緩減速中であると判定(緩減速判定ON)し(ステップS304)、後述するステップS305およびステップS306における各制御を実行する。
ステップS305において、電子制御装置100は、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更制御を実行する。具体的には、電子制御装置100は、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更する。
さらに、ステップS306において、電子制御装置100は、ロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71に出力するロックアップ油圧指令値SPLUに基づき、励磁電流をデューティ制御することにより、すなわちロックアップ係合圧制御用ソレノイドDSU71における励磁電流のデューティ比を徐々に低下させることにより、ロックアップコントロール弁60の調圧レベルを変化させてロックアップ係合油圧PLUを徐々に低下させるようロックアップ係合油圧PLUの油圧勾配を緩勾配に設定する。これにより、電子制御装置100は、ロックアップクラッチ11を解放する際には、ロックアップクラッチ11の伝達トルク容量を次第に低下させてロックアップクラッチ11を緩やかに解放するスムーズOFF制御を実行することができる。
次いで、電子制御装置100は、例えばエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefに達することによりフューエルカット復帰条件を満足すると、フューエルカットをOFFして、エンジン3への燃料供給を再開する(ステップS307)。
次いで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは運転者によりアクセルペダル23が踏み込まれたり、例えば平坦路を走行中の車両が下り坂走行に移行したことにより、車速Vが所定速度Vb以上となったか否かを判断する(ステップS308)。ここで、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下および所定速度Vb以上の何れにも達していないと判断した場合には、本処理を終了する。
一方、電子制御装置100は、車速Vが所定速度Va以下となったか、あるいは車速Vが所定速度Vb以上となったと判断した場合には、車両の走行状態が緩減速中でなくなったもの(緩減速判定OFF)と判断して(ステップS309)、本処理を終了する。
以上のように、本実施の形態に係る車両用動力伝達機構1の制御装置は、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合には、電子制御装置100は、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPに任意の補正値を掛けることで、緩減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPを、急減速時のベルト挟圧力制御圧PBの増加値PUPよりも小さい値(例えば、急減速時の半分程度の増加値)に変更することで、ベルト挟圧力の増加量を車両の減速走行状態が急減速中であるときのベルト挟圧力の増加量よりも小さい増加量に変更する。すなわち、緩減速時においては、急減速時のように短時間で速やかに最大変速比(ローギア側)まで変速比を戻す必要がないので、急減速時のベルト挟圧力よりも小さいベルト挟圧力とすることができる。そのため、最大変速比(ローギア側)まで戻すための時間を長くすることができ、これにより急減速時のような急激なエンジンブレーキの増大を防止して減速度Gが増大していかないようにすることができる。
また、緩減速判定処理において車両が緩減速中であると判定された場合には、ロックアップ解放車速の変更およびベルト挟圧力の増加量の変更に加えて、電子制御装置100がロックアップクラッチ11に供給されるロックアップ係合油圧PLUを予め実験的に求めて記憶された変化率で減少させるようにしたので、ロックアップクラッチ11の伝達トルク容量を次第に低下させることによりロックアップクラッチ11の解放を滑らかに行うことができる。
したがって、車両の緩減速中にロックアップクラッチ11を解放したとき、飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
また、上述の各実施の形態においては、車両の緩減速中に、例えばエンジン3の回転数Neが予め定められたフューエルカット復帰回転数Nefに達することによりフューエルカット復帰条件を満足し、エンジン3への燃料供給を再開するフューエルカット復帰動作が行われた場合であっても、上述のロックアップクラッチ11の解放時と同様に、フューエルカット復帰動作に伴う飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができる。
なお、上述の各実施の形態では、加速度センサ108の検出結果に基づき、車両の減速度を算出(検出)するようにしたが、これに限らず、例えば、ブレーキペダルの踏力に基づいて車両の減速度を算出するようにしてもよい。具体的には、ブレーキペダルの踏み込み量を検知するブレーキセンサを設けて、例えばブレーキペダルの踏み込み量や、踏み込み時間、踏み込み速度、または踏み込み量の時間積分値、あるいはこれらの組み合わせ等のようなブレーキセンサの検出結果に基づくパラメータによって、車両の減速度を算出(検出)するようにしてもよい。この場合、上述のブレーキセンサの検出結果に基づくパラメータによって、運転者の減速要求の大きさやブレーキペダルが踏み込まれてからの車両の減速態様を容易かつ適正に把握することができる。そのため、緩減速判定処理において、車両の緩減速状態を容易かつ適切に判断して、少なくともロックアップ解放車速の変更、ベルト挟圧力の変更、スムーズOFF制御を適正な時期に行うことができる。
この他、セカンダリ回転数センサ106により検出された実際の出力回転数に基づき算出された車速Vを時間で微分することにより、車両の減速度を算出(検出)するようにしてもよい。
この他、セカンダリ回転数センサ106により検出された実際の出力回転数に基づき算出された車速Vを時間で微分することにより、車両の減速度を算出(検出)するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、電子制御装置100により車両が緩減速中であると判定された場合に、ベルト挟圧力増加量変更制御、ロックアップ解放車速変更制御やスムーズOFF制御を実行するようにしたが、これに限らず、例えば車両の緩減速走行が予想される市街地、寒冷地や挟路を車両が走行中であるとナビゲーション装置からの情報に基づき判断された場合、またはABS(Antilock Braking System)作動履歴やタイヤスリップ検出履歴などにより、スリップが生じやすい低μ路と判定された道路を車両が走行中であると判断された場合に、ベルト挟圧力増加量変更制御、ロックアップ解放車速変更制御やスムーズOFF制御を実行するようにしてもよい。
また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る車両用動力伝達機構の制御装置は、無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構を採用する車両であっても、車両の緩減速中にロックアップクラッチの解放やフューエルカットからの復帰による飛び出し感等の違和感を運転者に与えることを防止することができ、ドライバビリティの向上を図ることができるという効果を有し、無段変速機とロックアップクラッチ付流体伝動装置とを含む車両用動力伝達機構の制御装置等として有用である。
1 車両用動力伝達機構
2 ベルト式無段変速機(無段変速機)
3 エンジン(内燃機関)
4 トルクコンバータ(流体伝動装置)
11 ロックアップクラッチ
19 プライマリプーリ
21 セカンダリプーリ
22 伝動ベルト(ベルト)
33 挟圧力制御弁(ベルト挟圧力制御手段、ベルト挟圧力増加手段)
36 ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁(ベルト挟圧力制御手段、ベルト挟圧力増加手段)
60 ロックアップコントロール弁(ロックアップ制御手段)
71 ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU(ロックアップ制御手段)
100 電子制御装置(ベルト挟圧力制御手段、ロックアップ制御手段、緩減速判定手段、ベルト挟圧力増加手段、ベルト挟圧力増加量変更手段、ロックアップ解放車速変更手段、フューエルカット制御手段)
104 スロットルセンサ(緩減速判定手段)
106 セカンダリ回転数センサ(緩減速判定手段)
108 加速度センサ(緩減速判定手段)
2 ベルト式無段変速機(無段変速機)
3 エンジン(内燃機関)
4 トルクコンバータ(流体伝動装置)
11 ロックアップクラッチ
19 プライマリプーリ
21 セカンダリプーリ
22 伝動ベルト(ベルト)
33 挟圧力制御弁(ベルト挟圧力制御手段、ベルト挟圧力増加手段)
36 ベルト挟圧力制御用リニアソレノイド弁(ベルト挟圧力制御手段、ベルト挟圧力増加手段)
60 ロックアップコントロール弁(ロックアップ制御手段)
71 ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイドDSU(ロックアップ制御手段)
100 電子制御装置(ベルト挟圧力制御手段、ロックアップ制御手段、緩減速判定手段、ベルト挟圧力増加手段、ベルト挟圧力増加量変更手段、ロックアップ解放車速変更手段、フューエルカット制御手段)
104 スロットルセンサ(緩減速判定手段)
106 セカンダリ回転数センサ(緩減速判定手段)
108 加速度センサ(緩減速判定手段)
Claims (4)
- 内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路にプライマリプーリおよびセカンダリプーリと前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機と、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結するロックアップクラッチを有する流体伝動装置と、を備えた車両用動力伝達機構の制御装置であって、
前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに対して前記ベルトが滑りを生じないようベルト挟圧力を予め定められたベルト挟圧力に制御するベルト挟圧力制御手段と、
前記車両の車速が予め定められたロックアップ解放車速以下となると、前記ロックアップクラッチに供給される油圧を制御することにより、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチの解放を行うロックアップ制御手段と、
前記車両の減速走行状態を検出するとともに前記車両が緩減速中であるか否かを判定する緩減速判定手段と、
前記緩減速判定手段により前記車両の減速走行状態が検出された場合に、前記ベルト挟圧力制御手段により制御されるベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加手段と、
前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量を前記車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更手段と、
前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記車両が緩減速中でない場合の前記ロックアップ解放車速に比べて前記ロックアップ解放車速を高車速側に変更するロックアップ解放車速変更手段とを備えたことを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記ロックアップ制御手段は、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合には、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させることを特徴とする請求項1に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
- 内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路にプライマリプーリおよびセカンダリプーリと前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有する無段変速機と、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結するロックアップクラッチを有する流体伝動装置と、を備えた車両用動力伝達機構の制御装置であって、
前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに対して前記ベルトが滑りを生じないようベルト挟圧力を予め定められたベルト挟圧力に制御するベルト挟圧力制御手段と、
前記車両の車速が予め定められたロックアップ解放車速以下となると、前記ロックアップクラッチに供給される油圧を制御することにより、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチの解放を行うロックアップ制御手段と、
前記車両の減速走行状態を検出するとともに前記車両が緩減速中であるか否かを判定する緩減速判定手段と、
前記緩減速判定手段により前記車両の減速走行状態が検出された場合に、前記ベルト挟圧力制御手段により制御されるベルト挟圧力を増加させるベルト挟圧力増加手段と、
前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合に、前記ベルト挟圧力増加手段により増加させられるベルト挟圧力の増加量を前記車両の減速走行状態が急減速中であるときの増加量よりも小さい増加量に変更するベルト挟圧力増加量変更手段とを備え、
前記ロックアップ制御手段は、前記緩減速判定手段により前記車両が緩減速中であると判定された場合には、前記内燃機関と前記無段変速機とを直結していた前記ロックアップクラッチに供給される油圧を予め定められた変化率で減少させることを特徴とする車両用動力伝達機構の制御装置。 - 前記車両の減速時に前記内燃機関への燃料供給を中止するとともに、前記内燃機関の回転数が予め定められたフューエルカット復帰回転数になったと判断したとき、前記内燃機関への燃料供給を再開するフューエルカット制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用動力伝達機構の制御装置。
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