JP2010123428A - 白色導電性粉末およびその製造方法 - Google Patents

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Akira Nakabayashi
明 中林
Motohiko Yoshizumi
素彦 吉住
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Abstract

【課題】 白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、アンチモン等の有害成分を含有せずに優れた導電性を有し、かつ環境汚染等を生じる虞がなく、環境への負担が少ない白色導電性粉末を提供する。
【解決手段】 白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、導電層は、酸素欠陥がほぼ均一に形成された酸化第二錫からなり、粉体体積抵抗が、10Ω・cm以下であることを特徴とする、白色導電性粉末である。好ましくは、白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることにより、酸化第二錫中に酸素欠陥が形成された導電層を有する白色導電性粉末である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アンチモン等を含有せずに優れた導電性を有する白色粉末に関する。より詳しくは、本発明は、白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、アンチモン等の有害成分を含有せずに優れた導電性を有し、環境汚染等を生じる虞のない白色導電性粉末に関する。
導電粉末は帯電防止・帯電制御・静電防止・防塵等の用途に現在広く用いられている。従来、導電性を高めるために、アンチモン等をドープした導電粉末が使用されているが、近時、環境汚染防止等の観点から、アンチモンフリーの導電材料が求められている。
具体的には、従来、白色導電粉末として、例えば、酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛、二酸化チタン粉末等の表面に酸化アンチモンをドープした酸化錫膜を形成した白色導電粉末が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、アンチモン成分を含有する酸化錫からなる導電被膜をチタン酸カリウム繊維に形成した白色導電繊維が知られている(特許文献3、特許文献4)。さらに、二酸化チタン粒子表面に酸化錫およびリンを含む導電層を形成した白色導電性二酸化チタン粉末が知られている(特許文献5)。しかし、これらは透明性を有しない。
透明導電粉としては、アンチモンドープ酸化錫が知られている。また、これらのドープ成分を含有しない表面改質した透明導電性酸化錫粉末が知られている(特許文献6)。
しかしながら、酸化アンチモンをドープした酸化錫膜を有する白色導電性粉末は、導電性が安定しているものの、環境汚染防止等の観点から、アンチモンフリーの導電粉末が求められている。一方、リンをドープした酸化錫膜を有する酸化チタンは、導電性が不安定であり、またリンの偏在性の問題があった。さらに、表面改質されたノンドープ酸化錫からなる透明導電性酸化錫粉末はカーボン残存等の問題があり、また白色粉末ではないので外観や機能性の点から白色環境を要求される用途には適さないという問題もある。
特開昭58−209002号公報 特開昭62−180903号公報 特開昭61−136532号公報 特開平07−053217号公報 国際公開WO2005/012449号公報 特開2006−59806号公報
本発明は、従来の導電粉末における上記問題を解決したものであり、白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、アンチモン等の有害成分を含有せずに優れた導電性を有し、かつ環境汚染等を生じる虞がなく、環境への負担が少ない白色導電性粉末を提供するものである。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した白色導電性粉末とその製造方法に関する。
(1)白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、導電層は、酸素欠陥がほぼ均一に形成された酸化第二錫からなり、粉体体積抵抗が、10Ω・cm以下であることを特徴とする、白色導電性粉末。
(2)白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることにより、酸化第二錫中に酸素欠陥が形成された導電層を有する、上記(1)の白色導電性粉末。
(3)粉末の色調が、Lab表色系においてL値が70以上である、上記(1)または(2)記載の白色導電性粉末。
(4)白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をして、酸化第二錫に酸素欠陥を形成することを特徴とする、酸素欠陥がほぼ均一に形成された導電層を有する白色導電性粉末の製造方法。
(5)第二錫塩に対して、第一錫塩が0.1mol%以上15mol%以下である、上記(4)記載の製造方法。
(6)上記(1)〜(3)のいずれか記載の白色導電性粉末を分散してなる分散液。
(7)上記(1)〜(3)のいずれか記載の白色導電性粉末を含有する膜組成物。
本発明(1)の白色導電性粉末は、上記アンチモン等のドープ成分を含まずに高い導電性を有し、アンチモン、リン、インジウムを何れも含まないので、製造が容易であり、環境汚染を生じる懸念がなく、かつ低コストである。この白色導電性粉末は、導電層がほぼ均一であるので、高い導電率を有するものが安定して得られる。また、この白色導電性粉末は水に分散可能であるので、水性塗料等の導電材料として用いることができ、さらに、表面抵抗が低い透明樹脂被膜が、容易に得られる。また、本発明(2)の白色導電性粉末は、第二錫塩と第一錫塩の比率を変えることにより、白色導電性粉末に所望の導電性を得るための制御を容易に行うことができるため、目的の導電性を有する粉末を容易に製造することができる。本発明(3)の白色導電性粉末は、外観や機能面から白色環境が求められる用途、例えば、半導体製造クリーンルームやコンピュータルーム、病院等の内装材ないしカーペットなどにおける導電材料として好適である。
本発明の白色導電性粉末の製造方法により、アンチモン等のドープ成分を含まずに高い導電性を有する白色導電性粉末を、極めて容易に製造することができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
〔白色導電性粉末〕
本発明の白色導電性粉末は、白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、導電層は、酸素欠陥がほぼ均一に形成された酸化第二錫からなり、粉体体積抵抗が、10Ω・cm以下であることを特徴とする。
白色無機粉末としては、酸化チタン、白雲母、チタン酸カリウムなどを用いることができる。酸化チタンはルチル型、アナターゼ型の何れでもよい。なお、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンを用いたときより少量の導電層材料(例えば、酸化錫)で、高い導電性が得られるので、好ましい。酸化チタンの粒径は、0.01〜1μmが好ましい。白雲母の粒径は、1〜30μmが好ましい。チタン酸カリウムは、線維径0.1〜1.0μm、繊維長さ5〜25μmのものが好ましい。ここで、粒径は、動的散乱法で測定するメジアン径をいう。白色無機粉末の形状は、粒状、薄片状、繊維状が好ましい。なお、白雲母は、後述するLab表色系においてL値が70以上であることが好ましい。
導電層は、酸素欠陥が、内部までほぼ均一に形成された酸化第二錫からなり、酸素欠陥により、酸化第二錫に導電性が付与される。ここで、「ほぼ均一」とは、導電層の内部(白色無機粉末の表面近傍)から表面までの全体に酸素欠陥が形成されており、導電層の表面もしくは表面近傍に酸素欠陥が偏在していないことをいう。なお、第一錫塩や原料に含まれ得る塩素、フッ素等の蒸気圧の高い成分は、導電層の内部より、表面近傍での濃度が低いことがあり得る。なお、導電層は、実質的に酸化第二錫であればよい。
本発明の白色導電性粉末の導電性は、粉体体積抵抗が10Ω・cm以下であり、好ましくは10Ω・cm以下の導電性を有することができる。
なお、粉体体積抵抗が10Ω・cmより大きいと、帯電防止効果を発揮する表面抵抗10Ω/□を得るために必要な樹脂への混入量が多くなり、樹脂の物性を劣化させてしまう。本発明の白色導電性粉末は、粉体体積抵抗が小さいのでこのような問題がない。ここで、粉体体積抵抗は、試料粉末を圧力容器に入れて100kgf/cmで圧縮し、この圧粉をデジタルマルチメーターによって測定する。
本発明の白色導電性粉末は、好ましくは、白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をして、酸化第二錫中に酸素欠陥が形成された導電層を有するものである。
第一錫塩としては、フッ化第一錫、塩化第一錫、ホウフッ化第一錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、硝酸第一錫、ピロリン酸錫、スルファミン酸錫、亜錫酸塩などの無機系の塩、アルカノールスルホン酸第一錫、スルホコハク酸第一錫、脂肪族カルボン酸第一錫などの有機系の塩などが挙げられる。
第二錫塩としては、上記第一錫塩のそれぞれの第二錫塩が挙げられるが、気体であるもの、難溶性のものなどがあるので、液体である塩化第二錫またはその水溶液を用いるのが一般的である。
溶液としては、第二錫塩と第一錫塩をともに溶解可能なものであればよく、水、アルコール等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール等が挙げられる。なお、溶液に水を用いる場合には、第二錫塩および第一錫塩を溶解した後、第二錫塩及び/又は第一錫塩が自発的に加水分解を始める前に、共沈させることが好ましい。
白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成する。
共沈は、第二錫塩、第一錫塩の加水分解反応等による。ここで、水酸化錫化合物は、第二錫塩と第一錫塩がほぼ均一に混合されているものであることが好ましい。ここで、「ほぼ均一」とは、第二錫塩を第一錫塩で被覆しているいわゆるコアシェル構造や、第二錫塩マトリックス中に第一錫塩が分散している構造のように、第二錫塩と第一錫塩が明瞭に分離していないことをいう。なお、この水酸化錫化合物には、第二錫塩と第一錫塩が共存していると考えられるが、X線回折では、酸化第二錫と同定されるパターンを示す。
中間体である共沈物を、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることにより、酸化第二錫中に、還元された酸素欠陥を形成した導電層となる。ここで、第一錫塩の可溶性蒸気のための溶媒としては、水、アルコール、酢酸エチル、氷酢酸等が挙げられ、水またはアルコールが扱い易く、低コストであるので好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等が挙げられる。メカニズムは明確でないが、この熱処理中に、可溶性蒸気により、第一錫イオンが活性化され、酸素欠損が形成された酸化第二錫となる、と考えられる。
また、第二錫塩への酸素欠損は、ハロゲン、例えば塩素による以下の反応式:
Figure 2010123428
によっても形成され得、第二錫イオンへの酸素欠損の形成は、この反応によるものと上記第一錫イオンによるものとの相乗効果により、促進されるようである。
導電層は、白色導電性粉末に対して、5〜40%が適当であり、10〜30%が好ましい。導電層が5%以上であると、所望の導電性が得られ易く、40%以下であると、凝集が起きにくく、かつコスト高にならない。
これらの処理による白色導電性粉末は、ほぼ均一に酸素欠陥を形成された酸化第二錫からなる導電層を有し、低抵抗である。
また、本発明の白色導電性粉末は、粉末の色調が、Lab表色系においてL値が70以上であるものが、より好ましい。ここで、白色導電性粉末のL値は、例えば、スガ試験機社製装置(SM−7-IS−2B)を用いて測定する。
本発明の白色導電性粉末は、酸化錫層にアンチモン、リン、インジウムを何れも含まないので環境汚染を生じる懸念がない。また、アンチモン、リン、インジウムを含まないので低コストである。なお、本発明において、アンチモン、リン、およびインジウムを含まないとは、原料および工程中でアンチモン、リン、およびインジウム源を使用せず、従って検出限界500ppmの標準的な測定装置によってこれらの元素が検出されないことをいう。
本発明の白色導電性粉末は、上記アンチモン等のドープ成分を含まずに高い導電性を有しており、とくに酸化錫層に酸素欠陥が形成され、安定した高い導電性を有するので、安全な導電材料として各種の機器に広く用いることができる。具体的には、例えば、静電塗装プライマー、帯電防止効果を有する樹脂やタイル、導電性塗料、静電記録材料、複写機関連の帯電ローラー、感光ドラム、トナー、静電ブラシなどにおける導電材料として好適である。
本発明の白色導電性粉末の粒径は、特に限定されないが、0.01〜1μmが好ましい。ここで、粒径は、動的散乱法で測定するメジアン径をいう。白色導電性粉末の形状は、粒状、薄片状、繊維状が好ましい。
〔製造方法〕
本発明の白色導電性粉末は、白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をして、酸化第二錫に酸素欠陥を形成させることによって、製造することができる。
白色無機粉末、第二錫塩、第一錫塩および溶液中については、上記の通りである。
溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩を共沈させる方法としては、(1)アルカリ溶液に白色無機粉末を分散させ、第一錫塩と第二錫塩の混合溶液を撹拌下に滴下する方法、(2)アルカリ溶液に白色無機粉末を分散させ、第一錫溶液、第二錫溶液それぞれを、撹拌下に同時に滴下する方法、(3)水中に白色無機粉末を分散させ、アルカリ溶液と、第一錫塩と第二錫塩の混合溶液とを、撹拌下に同時に滴下する方法など、一般的な方法が用いられる。共沈は、加水分解反応等により起こるが、加水分解反応等を促進させるために加熱してもよい。この方法の種類、各方法での滴下速度等により、共沈物の一次粒子径を制御することができ、この一次粒子径は、白色導電性粉末を用いた塗膜の導電性、色彩等に影響を与える。
共沈させる第二錫塩に対して、第一錫塩が0.1mol%以上15mol%以下であると好ましく、0.5mol%以上10mol%以下であるとより好ましく、1mol%以上8mol%以下であると特に好ましい。0.1mol%より少ないと導電性が不十分となり、逆に15mol%より多いと酸素欠陥が多くなると共に、L値が70より低くなる場合があり、白色環境が求められる用途における導電材料として好ましくない。
表面に水酸化錫化合物が形成された白色無機粉末は、残留する塩を除去するため、十分水洗することが好ましい。
次に、得られた表面に水酸化錫化合物が形成された白色無機粉末を、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をする。
不活性ガス雰囲気中に、第一錫イオンの可溶性溶媒蒸気を導入する方法は限定されない。熱処理炉の不活性ガス雰囲気中に可溶性溶媒蒸気を導入してもよく、また、共沈した水酸化錫化合物を含むスラリーのまま、またはその乾燥を適度にして湿った状態にしてもよい。あるいは、不活性ガスを可溶性溶媒に通じてバブリングさせてもよい。
可溶性溶媒の蒸気圧は飽和蒸気圧30%以上であると、白色導電性粉末の導電性向上の点で、好ましい。この蒸気圧を保って熱処理をするには密閉型の熱処理炉を用いるのが好ましい。
また、雰囲気から酸素を排除して加熱する。従来、酸素を含む不活性ガス下で熱処理をする方法が知られているが、酸素が含まれていると、安定して低抵抗粉末が得られず、また導電性が不均一である。酸素は、不活性ガスに対して、1%以下が好ましい。
熱処理温度は、300℃以上800℃以下が好ましく、400℃以上700℃以下が特に好ましい。300℃以上であると、酸化第二錫の生成、酸化第二錫への酸素欠損の形成ができ、800℃以下であると導電性が高い。また、熱処理時間は、10分以上100分以下が好ましく、20分以上80分以下が特に好ましい。10分以上80分以下であると導電性が高くなる。
これらの処理により、白色無機粉末表面に、酸素欠陥がほぼ均一に形成された酸化第二錫からなる導電層を有する、低抵抗の白色導電性粉末が得られる。
〔用途〕
本発明の白色導電性粉末は水に分散可能であるので、分散液として水性塗料等の導電材料に用いることができる。
また、本発明の白色導電性粉末は、その利用の際に、塗料、インク、エマルジョン、繊維その他のポリマー中に容易に分散混練することができ、導電性に優れた白色導電性粉末の膜組成物を得ることができる。
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例において、粉体体積抵抗は、試料粉末を圧力容器に入れて100kgf/cmで圧縮し、この圧粉を、デジタルマルチメーター(横河電機製:型式7561−02)によって測定した。塗膜の表面抵抗は、導電性酸化錫粉末16gを関西ペイント製アクリル塗料(商品名:アクリリック、樹脂含有量30%)13.3g、トルエン30gに加え、ビーズを入れた容器に入れ、ペイントシェーカーで30分撹拌し、スラリーを測定した。このスラリーをアプリケータでPETフィルム上に膜厚約100μmに塗布し、乾燥後の塗膜の表面抵抗を、表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ社製ロレスタGP)を用いて測定した。粉末のL値は、スガ試験機社製装置(SM−7-IS−2B)を用いて測定した。
〔実施例1〕
酸化チタン粉末(ルチル型)150gを水1Lに分散させ、90℃に加温した。塩化第二錫50%溶液100g(0.19mol)に、塩化第一錫二水塩4.3g(0.019mol=10mol%)を溶解し、水で200mLとしたものと、1N水酸化ナトリウム溶液とを、同時に撹拌下にpH3〜4に保ちながら15分で滴下した。処理した粉末を、充分水洗した後、ろ過し、90℃で乾燥した。これを内径約5cm、長さ約60cmの石英管状炉に入れ、水を通して水蒸気を飽和させた窒素ガスを0.3L/分の割合で30分間炉内に流し、酸素を排除した後、500℃まで15分で昇温し、500℃で70分間熱処理した。同様に、塩化第一錫を2.1g(5mol%)、1.1g(2.5mol%)とし、湿式処理、水洗、ろ過、乾燥後、同条件で熱処理を行い、白色導電性粉末を得た。これらの粉体体積抵抗と、白色導電性粉末を含む樹脂塗膜の表面抵抗と、L値を測定した結果を、表1に示す。
Figure 2010123428
〔実施例2〕
酸化チタン粉末(ルチル型)150gを水1Lに分散させ、80℃に加温した。塩化第二錫50%溶液100g(0.19mol)に、50%ホウフッ化第一錫溶液11.1g(0.019mol=10mol%)を溶解し、水で200mLとしたものと、1N水酸化ナトリウム溶液とを、同時に撹拌下にpH3〜4に保ちながら15分で滴下した。処理した粉末を、充分水洗した後、ろ過し、90℃で乾燥した。これを内径約5cm、長さ約60cmの石英管状炉に入れ、水を通して水蒸気を飽和させた窒素ガスを0.3L/分の割合で30分間炉内に流し、酸素を排除した後、600℃まで20分で昇温し、600℃で40分間熱処理した。同様に、50%ホウフッ化第一錫溶液を5.6g(5mol%)、2.8g(2.5mol%)とし、湿式処理、水洗、ろ過、乾燥後、同条件で熱処理を行い、白色導電性粉末を得た。これらの粉体体積抵抗と、白色導電性粉末を含む樹脂塗膜の表面抵抗と、L値を測定した結果を、表2に示す。
Figure 2010123428
〔実施例3〕
酸化チタン粉末(ルチル型)150gを水1Lに分散させ、50℃に加温した。塩化第二錫50%溶液100g(0.19mol)に、フッ化第一錫3.0g(0.019mol=10mol%)を溶解し、水で200mLとしたものと、1N水酸化ナトリウム溶液とを、同時に撹拌下にpH3〜4に保ちながら15分で滴下した。処理した粉末を、充分水洗後、ろ過し、80℃で乾燥した。これを内径約5cm、長さ約60cmの石英管状炉に入れ、水を通して水蒸気を飽和させた窒素ガスを0.3L/分の割合で30分間炉内に流し、酸素を排除した後、600℃まで20分で昇温し、600℃で40分間熱処理した。同様に、フッ化第一錫を1.5g(5mol%)、0.7g(2.5mol%)とし、湿式処理、水洗、ろ過、乾燥後、同条件で熱処理を行い、白色導電性粉末を得た。これらの粉体体積抵抗と、白色導電性粉末を含む樹脂塗膜の表面抵抗と、L値を測定した結果を、表3に示す。
Figure 2010123428
〔実施例4〕
酸化チタン粉末(ルチル型)150gを水1Lに分散させ、80℃に加温した。塩化第二錫50%溶液100g(0.19mol)に、硫酸第一錫4.1g(0.019mol=10mol%)を溶解し、200mLとしたものと、1N水酸化ナトリウム溶液とを、同時に撹拌下にpH3〜4に保ちながら15分で滴下した。処理した粉末を、充分水洗した後、ろ過し、80℃で乾燥した。これを内径約5cm、長さ約60cmの石英管状炉に入れ、水を通して水蒸気を飽和させた窒素ガスを0.3L/分の割合で30分間炉内に流し、酸素を排除した後、600℃まで20分で昇温し、600℃で40分間熱処理した。同様に、硫酸第一錫を2.0g(5mol%)、1.0g(2.5mol%)とし、共沈、水洗、ろ過、乾燥した後、同条件で熱処理を行い、白色導電性粉末を得た。これらの粉体体積抵抗と、白色導電性粉末を含む樹脂塗膜の表面抵抗と、L値を測定した結果を、表4に示す。
Figure 2010123428
〔比較例1〕
実施例1同様、酸化チタン粉末(ルチル型)150gを水1Lに分散させ、90℃に加温した。塩化第二錫50%溶液100g(0.19mol)に、塩化第一錫二水塩4.3g(0.019mol=10mol%)を溶解し、水で200mLとしたものと、1N水酸化ナトリウム溶液とを、同時に撹拌下にpH3〜4に保ちながら15分で滴下した。処理した粉末を、充分水洗した後、ろ過し、90℃で乾燥した。これを内径約5cm、長さ約60cmの石英管状炉に入れ、水を通して水蒸気を飽和させた空気を0.3L/分の割合で30分間炉内に流し、500℃まで15分で昇温し、500℃で70分間熱処理した。同様に、塩化第一錫を2.1g(5mol%)、1.1g(2.5mol%)とし、湿式処理、水洗、ろ過、乾燥した後、同条件で熱処理を行い、白色導電性粉末を得た。これらの粉体体積抵抗と、白色導電性粉末を含む樹脂塗膜の表面抵抗と、L値を測定した結果を、表5に示す。
Figure 2010123428
表1〜4から明らかなように、実施例1〜4の白色導電性粉末は、非常に低い粉体体積抵抗、高いL値を示し、これらの導電性酸化錫粉末を用いた塗膜は、非常に低い塗膜表面抵抗を示した。これに対して、表5に示した共沈物を空気中で熱処理した比較例1の白色導電性粉末は、高い粉体体積抵抗を示し、この導電性酸化錫粉末を用いた塗膜は、高い塗膜表面抵抗を示した。
本発明は、実施例1〜4に示したように、アンチモン等の有害成分を含有せずに優れた導電性、白色度を有し、環境汚染等を生じる虞がなく、環境への負担が少ない導電性酸化錫粉末を提供するものである。

Claims (7)

  1. 白色無機粉末表面に導電層を有する白色導電性粉末であって、導電層は、酸素欠陥がほぼ均一に形成された酸化第二錫からなり、粉体体積抵抗が、10Ω・cm以下であることを特徴とする、白色導電性粉末。
  2. 白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をすることにより、酸化第二錫中に酸素欠陥が形成された導電層を有する、請求項1記載の白色導電性粉末。
  3. 粉末の色調が、Lab表色系においてL値が70以上である、請求項1または2記載の白色導電性粉末。
  4. 白色無機粉末、第二錫塩、および第一錫塩を含む溶液中で、白色無機粉末表面に、第二錫塩と第一錫塩の共沈により水酸化錫化合物を形成し、第一錫塩の可溶性蒸気が存在し、かつ酸素を排除した不活性ガス雰囲気中で熱処理をして、酸化第二錫に酸素欠陥を形成することを特徴とする、酸素欠陥がほぼ均一に形成された導電層を有する白色導電性粉末の製造方法。
  5. 第二錫塩に対して、第一錫塩が0.1mol%以上15mol%以下である、請求項4記載の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の白色導電性粉末を分散してなる分散液。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項記載の白色導電性粉末を含有する膜組成物。
JP2008296655A 2008-11-20 2008-11-20 白色導電性粉末およびその製造方法 Pending JP2010123428A (ja)

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