JP2010102660A - 車群走行支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることができる車群走行支援装置を提供する。
【解決手段】回生制動可能に構成された車両を有する車群の走行を支援する車群走行制御部1であって、車群内の走行順位ごとの走行計画及び車両の回生能力に基づいて回生可能な回生エネルギーを走行順位ごとに算出し、回生エネルギーに基づいて車群全体のエネルギー効率を車群内の車両の並び方ごとに算出するエネルギー効率算出部12と、エネルギー効率に基づいて車群内の車両の並び方を決定し走行を支援する走行支援部13と、を備えることで、走行順位による走行計画の違い、及び各車両の回生能力の違いを加味して車両の並び方ごとに車群全体のエネルギー効率を算出することができるので、車群全体としてエネルギー効率の良い車両の並び方を決定することが可能となる。
【選択図】図3
【解決手段】回生制動可能に構成された車両を有する車群の走行を支援する車群走行制御部1であって、車群内の走行順位ごとの走行計画及び車両の回生能力に基づいて回生可能な回生エネルギーを走行順位ごとに算出し、回生エネルギーに基づいて車群全体のエネルギー効率を車群内の車両の並び方ごとに算出するエネルギー効率算出部12と、エネルギー効率に基づいて車群内の車両の並び方を決定し走行を支援する走行支援部13と、を備えることで、走行順位による走行計画の違い、及び各車両の回生能力の違いを加味して車両の並び方ごとに車群全体のエネルギー効率を算出することができるので、車群全体としてエネルギー効率の良い車両の並び方を決定することが可能となる。
【選択図】図3
Description
本発明は、車群走行を支援する車群走行支援装置に関するものである。
従来、車群走行を支援する装置として、車群の形成を支援する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、車群内の各車両から受信した制動特性から各車両の制動距離を算出し、制動距離の長い車両を前方に配置するように車群を形成させるものである。
特開平10−293899号公報
しかしながら、従来の車群走行支援装置にあっては、例えば回生システムを持つハイブリット車両が車群内に存在した場合、先行車両の制動に伴い後続のハイブリット車両において回生能力を超える制動が生じる場合がある。このような事態が生じた場合、車群全体としてエネルギーの効率化が妨げられるおそれがある。
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることができる車群走行支援装置を提供することを目的とする。
すなわち本発明に係る車群走行支援装置は、回生制動可能に構成された車両を有する車群の走行を支援する車群走行支援装置であって、車群内の走行順位ごとの走行計画及び車両の回生能力に基づいて回生可能な回生エネルギーを走行順位ごとに算出し、回生エネルギーに基づいて車群全体のエネルギー効率を車群内の車両の並び方ごとに算出するエネルギー効率算出手段と、エネルギー効率に基づいて車群内の車両の並び方を決定し走行を支援する車両順位支援手段と、を備えて構成される。
この発明によれば、車群内の走行順位ごとの走行計画、及び回生制動可能に構成された車両の回生能力に基づいて、車両の走行順位ごとの回生エネルギーを算出し、算出した回生エネルギーに基づいて車群全体のエネルギー効率を、車群内の車両の並び方ごとにそれぞれ算出し、算出したエネルギー効率に基づいて車両の並び方を決定して走行支援することができる。このように、走行順位による走行計画の違い、及び各車両の回生能力の違いを加味して車両の並び方ごとに車群全体のエネルギー効率を算出することができるので、車群全体としてエネルギー効率の良い車両の並び方を決定することが可能となる。よって、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることができる。
ここで、エネルギー効率算出手段は、走行計画として加速度パターンを用い、加速度パターン及び車両の回生能力に基づいて回生制動の減速度及び回生制動の頻度を算出して回生エネルギーを走行順位ごとに算出してもよい。
また、車両順位支援手段は、エネルギー効率が最大となる車両の並び方で走行するように支援することが好適である。このように構成することで、エネルギー効率の最も優れた車両の並び方を決定し走行支援することができる。
また、エネルギー効率算出手段は、回生能力として最大回生減速度及びエネルギー蓄積容量を用いることが好適である。このように構成することで、バッテリ等の容量の制限を考慮して、車群全体のエネルギー効率を算出することができる。これにより、車群全体のエネルギー効率を精度良く算出することが可能となるので、エネルギー効率の優れた車両の並び方を的確に決定して走行支援することができる。
また、エネルギー効率算出手段は、車両の並び方の違いに基づいた空気抵抗を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出することが好適である。このように構成することで、車群走行における空気抵抗減少効果を考慮して、車群全体のエネルギー効率を算出することができる。これにより、車群全体のエネルギー効率を精度良く算出することが可能となるので、エネルギー効率の優れた車両の並び方を的確に決定して走行支援することができる。
さらに、車群が手動運転車両に追従して走行する際に、手動運転車両が後続追従車両の最大回生減速度を超える減速を行った場合には、後続追従車両の回生能力を超える減速分の減速度だけ手動運転車両の減速度を小さくする減速度制御手段を備えることが好適である。
このように構成することで、後続車両が回生能力を超えた制動を行うことにより力学エネルギーを熱廃棄等することを回避することができるので、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることが可能となる。
本発明によれば、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る車群走行支援装置は、車群の走行を支援する装置であって、例えば、車群内の車両順位を決定して走行させる場合に好適に採用されるものである。
本実施形態に係る車群走行支援装置は、車群の走行を支援する装置であって、例えば、車群内の車両順位を決定して走行させる場合に好適に採用されるものである。
最初に、本実施形態に係る車群走行支援装置(車群走行制御部)の構成を説明する。図1は本発明の実施形態に係る車群走行制御部1を備えた車両3の構成を示すブロック図である。
図1に示す車両3は、例えば、自動運転機能を有し車群走行可能に構成された車両であって、モータ(不図示)及びバッテリ(不図示)を含むハイブリットシステム30を備えている。
ハイブリットシステム30は、エンジン及びモータの2つの駆動源を、単独であるいは組み合わせて駆動させることにより車両3を走行させる機能を有している。モータは、バッテリから供給される電力、あるいは発電機(不図示)を介して供給される電力により駆動する機能を有している。また、ハイブリットシステム30は、回生ブレーキあるいは発電機により、モータを回転させて運動エネルギーを電気エネルギーに変換する回生制御を行う機能を有している。すなわち、モータは発電機としても機能する。そして、ハイブリットシステム30は、得られた電気エネルギーをバッテリに充電する機能を有している。また、ハイブリットシステム30は、後述するECU(Electronic Control Unit)10に接続され、ECU10から出力される信号に基づいて駆動制御、回生制御を行う機能を有している。
また、車両3は、例えば、センサ20、ナビゲーションシステム21、GPS(Global Positioning System)受信機22、通信装置23、ECU(Electronic Control Unit)10、操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32及びスロットルアクチュエータ33を備えている。ここで、GPSは、衛星を用いた計測システムのことであり、自車両の現在位置の把握に好適に用いられるものである。また、ECUは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random AccessMemory)、及び入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
センサ20は、車両3の周囲の走行環境情報や、車両3の車両状態情報を取得する機能を有している。センサ20としては、例えば、車両3の走行レーンを認識するためのレーン認識センサや画像センサ、車両3の周辺の障害物や後続車両を検知し距離情報を取得する電磁波センサやミリ波センサ、ヨーレートを計測するヨーレートセンサ、バッテリのSOC(State Of Charge)を検出するセンサ、モータの回転数を検出するセンサ、エンジンの回転数を検出するセンサ、ハンドル舵角及びタイヤ角を検知する舵角センサ、加速度を検出する加速度センサ、車輪速を計測する車輪速センサ等が用いられる。また、センサ20は、取得した情報をECU10へ出力する機能を有している。
ナビゲーションシステム21は、所定地点(例えば目的地)までの経路案内等を行う機能を有している。また、ナビゲーションシステム21は、例えば地図データベースから現在走行中付近の道路情報を読み出し、その道路情報をナビ信号としてECU10へ出力する機能を有している。さらに、ナビゲーションシステム21は、信号機点灯情報等の交通情報をナビ信号としてECU10へ出力する機能を有している。
GPS受信機22は、車両3の位置情報を受信する機能を有している。また、GPS受信機22は、受信した位置情報をECU10へ出力する機能を有している。
通信装置23は、路側に配置された走行支援装置や他車両と情報を送受信する機能を有している。通信装置23は、ECU10と入出力可能に構成されており、受信した情報をECU10へ出力するとともに、ECU10から入力した情報を送信する機能を有している。
ECU10は、車群走行計画生成部11、エネルギー効率算出部(エネルギー効率算出手段)12及び走行支援部(車両順位支援手段)13を備えており、エネルギー効率算出部12及び走行支援部13により車群走行制御部1が構成されている。
車群走行計画生成部11は、走行計画として、例えば、時刻又は距離に依存した速度を示す速度パターン、及び、時刻又は距離に依存した加速度を示す加速度パターンを生成する機能を有している。車群走行計画生成部11は、車群全体の走行計画として、車群内の走行順位(配置)ごとに走行計画を生成する機能を有している。例えば、車車間通信等によって車群を構成する車両数を把握して、当該車両数に応じた数の走行計画を生成する機能を有している。
車群走行計画生成部11は、例えば図2に示すように、車群内の走行順位ごとに所定時刻における目標進行位置を設定する機能を有している。図2は、3台の車両からなる車群において、各車両の目標進行位置の時間依存性を示すグラフであり、縦軸が目標進行位置、横軸が時間を示している。また、時刻tにおける先頭から1台目と2台目との車間距離をL1、2台目と3台目との車間距離をL2として示している。車群走行においては、フェールセーフ等のため、速度に応じて車間距離L1、L2等を広げる走行計画を採用することが好適である。このため、安全性や車群形成に必要な車間、乗り心地等を考慮した理想的な車群内の車両の走行計画は、走行順位によって加速度パターンが異なるものとなる。車群走行計画生成部11は、例えば、図2に示す目標進行位置に基づいて、走行順位ごとに速度パターン及び加速度パターンを生成する機能を有している。また、車群走行計画生成部11は、生成した走行順位ごとの速度パターン及び加速度パターンをエネルギー効率算出部12へ出力する機能を有している。
エネルギー効率算出部12は、車群走行計画生成部11が出力した走行順位ごとの加速度パターン、及び車両3の回生能力に基づいて回生可能な回生エネルギーを算出する機能を有している。車両3の回生能力は、例えば回生制動が可能な最大減速度(最大回生減速度)により規定される。また、最大回生減速度は、例えばハイブリットシステム30に備わる回生機構やバッテリの入力密度等により規定される。エネルギー効率算出部12は、所定の走行順位において、加速度パターンの減速度が車両3の回生能力を超えていなければ、減速区間の減速度を回生制動時の減速度(回生減速度)とする機能を有している。一方、例えば、加速度パターンの減速度が最大回生減速度を超えていれば、最大回生減速度を回生減速度とする機能を有している。すなわち、エネルギー効率算出部12は、速度パターン及び回生能力に基づいて、走行行程において行う回生制動の加速度パターンを生成する機能を有している。そして、この回生制動による加速度パターンに基づいて、回生減速度と回生制動の頻度を入力し、回生制動によりバッテリに充電することができるエネルギー(回生エネルギー)を算出する機能を有している。また、エネルギー効率算出部12は、同様の算出方法で、全ての走行順位において、車両3の回生エネルギーを算出する機能を有している。さらに、車車間通信等により、車両3以外に回生制動可能な車両の存在を認識した場合には、同様の方法で、回生制動可能な車両について、走行順位ごとに回生エネルギーを算出する機能を有している。
そして、エネルギー効率算出部12は、算出した走行順位ごとの回生エネルギーに基づいて、車群内の車両の並び方ごとにエネルギー効率を算出する機能を有している。例えば、所定の車両の並び方において、各車両の回生可能な回生エネルギーの総和を計算し、車群全体の回生エネルギーとする機能を有している。そして、全ての車両の並び方ごとに車群全体の回生エネルギーを算出する機能を有している。そして、算出した車群全体の回生エネルギーに基づいて、車両の並び方ごとにエネルギー効率を算出する機能を有している。エネルギー効率算出部12は、車群全体の回生エネルギーが大きくなるほど、エネルギー効率を大きく計算する機能を有している。例えば、エネルギー効率として、車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比が用いられる。また、エネルギー効率算出部12は、算出したエネルギー効率を走行支援部13へ出力する機能を有している。
走行支援部13は、エネルギー効率算出部12が全ての車両の並び方ごとに算出したエネルギー効率に基づいて、車両の並び方を決定する機能を有している。走行支援部13は、例えば、算出した車群全体でのエネルギー効率のうち、エネルギー効率が最大となる車両の並び方、すなわち、車群全体での回生エネルギーが最大となる車両の並び方を、支援目標に設定する機能を有している。そして、走行支援部13は、設定した走行順位となるように操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32、スロットルアクチュエータ33及びハイブリットシステム30に対して走行支援を行う機能を有している。操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32及びスロットルアクチュエータ33は、車両の走行を制御する機械的な構成要素である。操舵アクチュエータ31として、例えば操舵角制御モータ等が用いられる。ブレーキアクチュエータ32として、例えば各車輪のブレーキ油圧の調整を行うバルブ等が用いられる。スロットルアクチュエータ33として、例えばスロットルバルブが用いられる。また、走行支援部13は、設定した車両の並び方を通信装置23へ出力し、通信装置23を介して目標とする走行順位を車群内の他車両に送信させる機能を有している。
次に、第1実施形態に係る車群走行制御部1の動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る車群走行制御部1の動作を示すフローチャートである。図3に示す制御処理は、例えばイグニッションオンされてから、あるいは車両3に備わる実行ボタンがONされてから所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、車群が3台のハイブリット車両3A〜3Cで構成されている例を説明する。また、ハイブリット車両3A〜3Cは車両3と同一構成とし、図3に示す制御処理は、車両3Aに備わる車群走行制御部1が実行するものとする。
図3に示す制御処理は、走行計画入力処理から開始される(S10)。S10の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、車群走行計画生成部11により生成された車群内の走行順位1〜3の走行計画を入力する処理である。エネルギー効率算出部12は、例えば図4(b)に示す速度パターンV1(t)、V2(t)、V3(t)を入力する。図4(b)において、縦軸は速度、横軸は時間を示しており、速度パターンV1(t)、V2(t)、V3(t)は、それぞれ走行順位1、2、3の場合の速度パターンである。入力する速度パターンV1(t)、V2(t)、V3(t)は、走行順位が大きくなるに連れて制動距離が大きくなる、すなわち走行順位が大きくなるに連れて加減速の絶対値が小さくなる速度パターンである。また、エネルギー効率算出部12は、図4(b)に示す速度パターンV1(t)、V2(t)、V3(t)に対応する車両順位1〜3の加速度パターンa1(t)、a2(t)、a3(t)をそれぞれ入力する(図4(a))。図4(a)において、縦軸は加速度、横軸は時間を示している。S10の処理により、例えば図5(a)に示すように、走行順位ごとの走行計画のテーブルを作成することができる。S10の処理が終了すると、最大回生減速度入力処理へ移行する(S12)。
S12の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、車群を構成するハイブリット車両3A〜3Cのそれぞれの最大回生減速度al_A、al_B、al_Cを入力する処理である。エネルギー効率算出部12は、例えば自車両のメモリ上に格納された諸元情報に基づいて車両3Aの最大回生減速度al_Aを入力する。また、例えば通信装置23による車車間通信によってECU10に出力された車両諸元情報に基づいて車両3B、3Cの最大回生減速度al_B、al_Cを入力する。S12の処理により、例えば図5(b)に示すように、車両ごとの最大回生減速度のテーブルを作成することができる。S12の処理が終了すると、回生エネルギー算出処理へ移行する(S14)。
S14の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、車群全体の回生エネルギーJを算出する処理である。エネルギー効率算出部12は、車両3A〜3Cの各車両を走行順位1〜3とした場合において、目標とする走行行程全体で回生可能な回生エネルギーJn(n:車両順位)をそれぞれ算出する。まず、エネルギー効率算出部12は、加速度パターンa1(t)、a2(t)、a3(t)と各車両の最大回生減速度al_A、al_B、al_Cに基づいて、回生制動時の回生減速度を算出する。加速度パターンa1(t)、a2(t)、a3(t)により規定される減速度の絶対値が最大回生減速度al_A、al_B、al_Cの絶対値を超えていなければ、回生ブレーキが有効に作動するため、加速度パターンa1(t)、a2(t)、a3(t)により規定される減速度が回生減速度となる。一方、車両の回生能力を超えた場合、すなわち最大回生減速度al_A、al_B、al_Cを超えた場合には、回生ブレーキはそれ以上の制動力を発生させることができないので、回生ブレーキとともに油圧ブレーキ等を作動させて最大回生減速度を超えた分の減速度を発生させる。すなわち、最大回生減速度al_A、al_B、al_Cを超える減速度の場合には、回生減速度は最大回生減速度al_A、al_B、al_Cとなり、超えた分の減速度に係るエネルギーは油圧ブレーキ作動により熱廃棄される。このため、エネルギー効率算出部12は、各走行順位における減速度の絶対値が各車両3A〜3Cの最大回生減速度の絶対値より大きいか否かを判定する。
ここで、説明理解の容易性を考慮して、各車両3A〜3Cのうち車両3Aの場合を例に説明する。なお、車両3Aの最大回生減速度al_Aは、図4(a)の2点鎖線で示す大きさであるとする。
例えば、走行順位1で車両3Aが走行する場合には、加速度パターンa1(t)に基づいた走行制御となるので、減速時に発生させる減速度は、最大回生減速度al_Aよりも大きくなる。このため、走行順位1で車両3Aが走行する場合の回生減速度arは、車両3Aの最大回生減速度al_Aとなる。同様に、走行順位2で車両3Aが走行する場合の回生減速度arは、車両3Aの最大回生減速度al_Aとなる。一方、走行順位3で車両3Aが走行する場合には、加速度パターンa3(t)に基づいた走行制御となるので、減速時に発生させる減速度は、最大回生減速度al_Aよりも小さくなる。このため、走行順位3で車両3Aが走行する場合の回生減速度arは、加速度パターンa3(t)に規定される減速度となる。
エネルギー効率算出部12は、算出した回生減速度arに基づいて回生エネルギーを生成し、走行行程全体で回生可能な回生エネルギーJnを算出する。エネルギー効率算出部12は、例えば、車両3Aが所定の走行順位で走行する際に、回生可能なエネルギーを全走行行程に渡って時間積分して、回生エネルギーJnを算出する。ここで、車両3Aの重量をm、制動力をFrとすると、車両3Aが走行順位nで走行する場合の回生エネルギーJnは、以下式1で表される。
式1を用いることで、回生減速度ar及び回生制動の頻度に基づいて走行行程全体の回生エネルギーJnを算出できる。エネルギー効率算出部12は、式1を用いて車両3Aが走行順位1〜3で走行した場合における回生エネルギーJ1〜J3を算出する。同様に、車両3B、3Cについても、走行順位1〜3で走行した場合における回生エネルギーJ1〜J3を算出する。
次に、エネルギー効率算出部12は、各車両3A〜3Cの車両の並び方を導出し、車群全体の回生エネルギーJを算出する。エネルギー効率算出部12は、車両数が3であるので3!通りの並び方に対して、算出した回生エネルギーJ1〜J3を割り当てる。例えば、図5(a)の走行順位と図5(b)の車両とを組み合わせて、図5(c)に示すように、走行順位ごとに算出した回生エネルギーJ1〜J3を割り当てて、車両の並び方ごとに回生エネルギーJを算出する。ここで、回生エネルギーJは、回生エネルギーJ1〜J3の総和で表現される。このように、エネルギー効率算出部12は、6通りの全ての車両の並び方について、回生エネルギーJを算出する。回生エネルギーJを算出すると、S14の処理が終了し、車両順位決定処理へ移行する(S16)。
S16の処理は、エネルギー効率算出部12及び走行支援部13が実行し、S14の処理で生成した回生エネルギーJに基づいて、エネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定する処理である。エネルギー効率算出部12は、例えば車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比によってエネルギー効率を算出する。よって、回生エネルギーJが大きいほど、エネルギー効率が大きくなる。次に、走行支援部13は、エネルギー効率が最も大きい車両の並び方を選択する。例えば図5(c)に示す6つの回生エネルギーJの中から、最も大きい回生エネルギーJとなる車両の並び方を採用する。S16の処理が終了すると、図3に示す制御処理を終了する。
図3に示す制御処理を実行することにより、エネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定することができる。走行支援部13は、図3に示す制御処理により決定した車両の並び方になるように、車両3Aのハイブリットシステム30、操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32及びスロットルアクチュエータ33に対して命令を出力する。そして、通信装置23を介して、車両3B、3Cに対して決定した車両の並び方を送信する。車両3B、3Cが、受信した車両の並び方に基づいて走行することで、図3に示す制御処理で決定した車両の並び方で車群走行することが可能となる。これにより、エネルギー効率が良い車両の並び方で車群走行することができる。
以上、第1実施形態に係る車群走行制御部1によれば、車群内の走行順位1〜3ごとの加速度パターンa1(t)、a2(t)、a3(t)、及び回生制動可能に構成された車両3A〜3Cの回生能力に基づいて、車両3A〜3Cの走行順位1〜3ごとの回生エネルギーJ1〜J3を算出し、算出した回生エネルギーJ1〜J3に基づいて車群全体のエネルギー効率を、車群内の車両3A〜3Cの並び方ごとにそれぞれ算出し、算出したエネルギー効率に基づいて車両3A〜3Cの並び方を決定して走行支援することができる。このように、走行順位1〜3による加速度パターンの違い、及び車両3A〜3Cの回生能力の違いを加味して車両3A〜3Cの並び方ごとに車群全体のエネルギー効率を算出することができるので、車群全体としてエネルギー効率の良い車両の並び方を決定することが可能となる。よって、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることができる。すなわち、車群全体の燃費向上、排出CO2の低減を図ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、車両の回生能力としてバッテリの蓄電可能容量を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出する点が相違する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第2実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、車両の回生能力としてバッテリの蓄電可能容量を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出する点が相違する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る車群走行制御部を備えた車両の構成は、第1実施形態に係る車群走行制御部1を備えた車両と同様である。また、本実施形態に係る車群走行制御部は、第1実施形態に係る車群走行制御部1と同様に構成されており、エネルギー効率算出部12が有する機能が相違する。
エネルギー効率算出部12は、車両の回生能力として、バッテリのSOCを考慮する機能を有している。例えば、満充電状態までの充電量(充電可能容量)を所定のタイミングでセンサ20から入力し、回生エネルギーと充電可能なエネルギーとに基づいて車群全体で廃棄するエネルギーを算出する機能を有している。そして、廃棄エネルギーが小さくなるほどエネルギー効率が良くなるように、エネルギー効率を算出する機能を有している。例えば、エネルギー効率として、車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比が用いられる。その他の機能については、第1実施形態に係るエネルギー効率算出部12と同様である。
次に、第2実施形態に係る車群走行制御部の動作について説明する。図6は、第2実施形態に係る車群走行制御部の動作を示すフローチャートである。図6に示す制御処理は、例えばイグニッションオン又は車両3に備わる開始ボタンがオンされてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、車群が3台のハイブリット車両3A〜3Cで構成されている例を説明する。また、ハイブリット車両3A〜3Cは車両3と同一構成とし、図6に示す制御処理は、車両3Aに備わる車群走行制御部1が実行するものとする。
図6に示す制御処理は、走行計画入力処理から開始される(S20)。S20の処理は、車群内の走行順位1〜3の減速区間の走行計画を入力する処理であり、図3のS10の処理と同様である。これにより、例えば図7(a)に示すように、走行順位ごとの走行計画のテーブルを作成することができる。S20の処理が終了すると、最大回生減速度入力処理へ移行する(S22)。
S22の処理は、車群を構成するハイブリット車両3A〜3Cのそれぞれの最大回生減速度al_A、al_B、al_Cを入力する処理であり、図3のS12の処理と同様ある。これにより、例えば図7(b)に示すように、車両ごとの最大回生減速度al_A、al_B、al_Cのテーブルを作成することができる。S22の処理が終了すると、充電可能容量算出処理へ移行する(S24)。
S24の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、車両3A〜3Cの充電可能容量を算出する処理である。エネルギー効率算出部12は、例えば、車両3A〜3Cの諸元情報等に基づいてバッテリの充電容量を入力し、バッテリの充電容量から現在のSOCを減算して充電可能容量Ea、Eb、Ecを算出する。例えば図7(b)に示すように、車両3A〜3Cごとの充電可能容量Ea、Eb、Ecのテーブルを作成することができる。S24の処理が終了すると、回生エネルギー算出処理へ移行する(S26)。
S26の処理は、車両3A〜3Cの各車両を走行順位1〜3とした場合において、目標とする走行行程全体で回生可能な回生エネルギーJn(n:車両順位)をそれぞれ算出する処理であり、図3のS14の処理と同様である。S26の処理が終了すると、車両順位決定処理へ移行する(S28)。
S28の処理は、エネルギー効率算出部12及び走行支援部13が実行し、S24の処理で算出した充電可能容量Ea、Eb、Ec、及び、S26の処理で生成した回生エネルギーJnに基づいて、エネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定する処理である。エネルギー効率算出部12は、充電可能容量Ea、Eb、Ec、及び回生エネルギーJnに基づいて車群全体で廃棄する廃棄エネルギーJHを算出する。例えば、先頭から車両3A、3B、3Cの順に並ぶ車両の並び方の場合、廃棄エネルギーJHは以下の式2で表される。
エネルギー効率算出部12は、式2を用いて、全ての車両の並び方について廃棄エネルギーJHを算出する。これにより、図7(c)に示すように、全ての車両の並び方についての廃棄エネルギーJHのテーブルを作成することができる。エネルギー効率算出部12は、車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比によってエネルギー効率を算出する。よって、廃棄エネルギーJHが小さいほど、エネルギー効率が大きくなる。次に、走行支援部13は、エネルギー効率が最も大きい車両の並び方を選択する。例えば図7(c)に示す6つの廃棄エネルギーJHの中から、最も小さい廃棄エネルギーJHとなる車両の並び方を採用する。S28の処理が終了すると、図6に示す制御処理を終了する。
図6に示す制御処理を実行することにより、バッテリの容量を考慮してエネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定することができる。走行支援部13は、図6に示す制御処理により決定した車両の並び方になるように、車両3Aのハイブリットシステム30、操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32及びスロットルアクチュエータ33に対して命令を出力する。そして、通信装置23を介して、車両3B、3Cに対して決定した車両の並び方を送信する。車両3B、3Cが、受信した車両の並び方に基づいて走行することで、図6に示す制御処理で決定した車両の並び方で車群走行することが可能となる。これにより、エネルギー効率が良い車両の並び方で車群走行することができる。
以上、第2実施形態に係る車群走行制御部によれば、時々刻々と変化するバッテリの容量の制限を考慮して、その時点での(すなわち、局所的な)車群全体のエネルギー効率を算出することができる。これにより、時々刻々と変化する回生能力を有効に生かす走行順位を決定することが可能となる。そして、車群全体のエネルギー効率を精度良く算出することが可能となるので、エネルギー効率の優れた車両の並び方を的確に決定して走行支援することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、車群走行特有の空気抵抗を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出する点が相違する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第3実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、車群走行特有の空気抵抗を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出する点が相違する。なお、第3実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る車群走行制御部を備えた車両の構成は、第1実施形態に係る車群走行制御部1を備えた車両と同様である。また、本実施形態に係る車群走行制御部は、第1実施形態に係る車群走行制御部1と同様に構成されており、エネルギー効率算出部12が有する機能が相違する。
エネルギー効率算出部12は、車群内の車両配置によって変動する空気抵抗を算出し、空気抵抗により消費される消費エネルギーを算出する機能を有している。例えば、エネルギー効率算出部12は、車群(隊列)を構成する車両のボディー形状、車間距離及び並び方等によって、隊列の前面投影面積、及び隊列全体の空気抵抗係数を算出し、前面投影面積、空気抵抗係数、及び空気の粘度等に基づいて、隊列全体の空気抵抗を算出する機能を有している。そして、空気抵抗に基づいて車両の並び方ごとに消費エネルギーを算出する機能を有している。また、エネルギー効率算出部12は、走行抵抗が小さくなるほどエネルギー効率が良くなるように、エネルギー効率を算出する機能を有している。例えば、エネルギー効率として、車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比が用いられる。その他の機能については、第1実施形態に係るエネルギー効率算出部12と同様である。
次に、第3実施形態に係る車群走行制御部の動作について説明する。図8は、第3実施形態に係る車群走行制御部の動作を示すフローチャートである。図8に示す制御処理は、例えばイグニッションオン又は車両3に備わる開始ボタンがオンされてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、車群が3台のハイブリット車両3A〜3Cで構成されている例を説明する。また、ハイブリット車両3A〜3Cは車両3と同一構成とし、図8に示す制御処理は、車両3Aに備わる車群走行制御部1が実行するものとする。
図8に示す制御処理は、走行計画入力処理から開始される(S30)。S30の処理は、車群内の走行順位1〜3の減速区間の走行計画を入力する処理であり、図3のS10の処理と同様である。これにより、例えば図9(a)に示すように、走行順位ごとの走行計画のテーブルを作成することができる。S30の処理が終了すると、情報入力処理へ移行する(S32)。
S32の処理は、車群を構成するハイブリット車両3A〜3Cのそれぞれの最大回生減速度al_A、al_B、al_C及びボディー形状を入力する処理である。最大回生減速度を入力する処理は、図3のS12の処理と同様ある。また、エネルギー効率算出部12は、車両3A〜3Cのそれぞれの諸元情報から最大回生減速度を入力するとともに、各車両のボディー形状に関する情報を入力する。ボディー形状は、トラック、1BOX、セダン、オープン等、数種類に分類されている。これにより、例えば図9(b)に示すように、最大回生減速度al_A、al_B、al_C及びボディー形状Ba、Bb、Bcのテーブルを作成することができる。S32の処理が終了すると、消費エネルギー算出処理へ移行する(S34)。
S34の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、車群全体の空気抵抗分の消費エネルギーJairを算出する処理である。まず、エネルギー効率算出部12は、隊列全体の空気抵抗Rairを算出する。例えば、空気の粘度をρ、隊列の前面投影面積をS、空気抵抗係数をCdとすると、隊列全体の空気抵抗Rairは、以下の式3で表される。
エネルギー効率算出部12は、式3を用いて空気抵抗Rairを算出し、算出した空気抵抗Rairを用いて空気抵抗による消費エネルギーJairを算出する。消費エネルギーJairは、以下の式4で表される。
エネルギー効率算出部12は、全ての車両の並び方について、式3及び式4を用いて消費エネルギーJairを算出する。これにより、図9(c)に示すように、全ての車両の並び方に対して、消費エネルギーJairのテーブルを作成することができる。S34の処理が終了すると、回生エネルギー算出処理へ移行する(S36)。
S36の処理は、車両3A〜3Cの各車両を走行順位1〜3とした場合において、目標とする走行行程全体で回生可能な回生エネルギーJn(n:車両順位)をそれぞれ算出する処理であり、図3のS14の処理と同様である。S36の処理が終了すると、車両順位決定処理へ移行する(S38)。
S38の処理は、エネルギー効率算出部12及び走行支援部13が実行し、S34の処理で算出した消費エネルギーJair、及び、S36の処理で生成した回生エネルギーJnに基づいて、エネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定する処理である。エネルギー効率算出部12は、車群全体での変更可能な消費エネルギーJTを算出し、走行支援部13は、消費エネルギーJTが最小となる車両の並び方を決定する。ここで、隊列走行のトータル走行抵抗は、路面抵抗、加速抵抗、勾配抵抗及び空気抵抗の合計から回生制動による抵抗を減算した値となる。すなわち、車両の並び方によって変動する走行抵抗は、空気抵抗と回生制動抵抗であるので、車両の並び方ごとの消費エネルギーJTは、消費エネルギーJair及び回生エネルギーJnに基づいて算出される。例えば、先頭から車両3A、3B、3Cの順に並ぶ車両の並び方の場合、消費エネルギーJTは以下の式5で表される。
エネルギー効率算出部12は、式5を用いて、全ての車両の並び方について消費エネルギーJTを算出する。これにより、図9(c)に示すように、全ての車両の並び方について消費エネルギーJTのテーブルを作成することができる。エネルギー効率算出部12は、車両走行に用いられるエネルギー量と燃料が実際に使用されて生じるエネルギー量との比によってエネルギー効率を算出する。よって、回生エネルギーJが大きいほど、消費エネルギーJTは小さくなるので、エネルギー効率を大きく算出する。また、消費エネルギーJairが大きいほど、消費エネルギーJTは大きくなるので、エネルギー効率を小さく算出する。次に、走行支援部13は、算出したエネルギー効率が最も大きい車両の並び方を選択する。例えば図9(c)に示す6つの消費エネルギーJTの中から、最も小さい消費エネルギーJTとなる車両の並び方を採用する。S38の処理が終了すると、図8に示す制御処理を終了する。
図8に示す制御処理を実行することにより、車両の並び方による空気抵抗を考慮してエネルギー効率が最も良い車両の並び方を決定することができる。走行支援部13は、図8に示す制御処理により決定した車両の並び方になるように、車両3Aのハイブリットシステム30、操舵アクチュエータ31、ブレーキアクチュエータ32及びスロットルアクチュエータ33に対して命令を出力する。そして、通信装置23を介して、車両3B、3Cに対して決定した車両の並び方を送信する。車両3B、3Cが、受信した車両の並び方に基づいて走行することで、図8に示す制御処理で決定した車両の並び方で車群走行することが可能となる。これにより、エネルギー効率が良い車両の並び方で車群走行することができる。
以上、第3実施形態に係る車群走行制御部によれば、車群走行における空気抵抗減少効果を考慮して、車群全体のエネルギー効率を算出することができる。すなわち、車両の並び方によって変動する空気抵抗及び回生制動抵抗を考慮して、車群全体で消費するエネルギーJTを算出し、消費エネルギーJTが最小になる車両の並び方で走行させることができる。このように、空気抵抗減少効果を含めて車群全体のエネルギー効率を精度良く算出することが可能となるので、エネルギー効率の優れた車両の並び方を的確に決定して走行支援することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、先行車両の制動力を制御する機能を有する点が相違する。なお、第4実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第4実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第1実施形態に係る車群走行制御部1とほぼ同様に構成されるものであって、車群走行制御部1と比べ、先行車両の制動力を制御する機能を有する点が相違する。なお、第4実施形態においては、第1実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る車群走行制御部を備えた車両の構成は、第1実施形態に係る車群走行制御部1を備えた車両と同様である。また、本実施形態に係る車群走行制御部は、第1実施形態に係る車群走行制御部1と同様に構成されており、エネルギー効率算出部12及び走行支援部(減速度制御手段)13が有する一部機能が相違する。
エネルギー効率算出部12は、車両3の先行車両の減速度を車車間通信等やセンサ20等により動的に入力する機能を有している。また、エネルギー効率算出部12は、先行車両の減速度によって生じる車両3に必要な減速度を算出し、車両3の最大回生減速度より大きいか否かを判定する機能を有している。また、エネルギー効率算出部12は、判定結果を走行支援部13へ出力する機能を有している。その他の機能については、第1実施形態に係るエネルギー効率算出部12と同様である。
走行支援部13は、最大回生減速度を超える減速度が発生すると判定した場合には、先行車両の減速度を小さくさせる機能を有している。例えば、走行支援部13は、先行車両の減速により、車両3の減速度が最大回生減速度を超える場合には、通信装置23を介して先行車両の減速度を小さくする命令を出力する機能を有している。その他の機能については、第1実施形態に係る走行支援部13と同様である。
次に、第4実施形態に係る車群走行制御部の動作について説明する。図10は、第4実施形態に係る車群走行制御部の動作を示すフローチャートである。図10に示す制御処理は、例えばイグニッションオン又は車両3に備わる開始ボタンがオンされてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、車両3Aに車両3Bが追従して走行する例を説明する。また、車両3Bは車両3と同一構成とし、図10に示す制御処理は、車両3Bに備わる車群走行制御部1が実行するものとする。
図10に示す制御処理は、ECU10が実行し、手動運転判定処理から実行する(S40)。ECU10は、通信装置23から得られた情報に基づいて、先行車両である車両3Aが手動により操作されて運転されているか否かを判定する。S40の処理において、手動運転でない場合、すなわち自動運転である場合には、図10に示す制御処理を終了する。一方、S40の処理において、車両3Aが手動運転であると判定した場合には、最大回生制動力入力処理へ移行する(S42)。
S42の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、後続車両である車両3Bの最大回生減速度を入力する処理である。エネルギー効率算出部12は、車両3Bの諸元情報に基づいて最大回生減速度al_Bを入力する。S42の処理が終了すると、減速度判定処理へ移行する(S44)。
S44の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、先行車両である車両3Aの減速により、車両3Bにおいて最大回生減速度を超える減速が必要となるか否かを判定する処理である。エネルギー効率算出部12は、先行車両である車両3Aの減速度を通信装置23を介して入力し、車両3Bの実行すべき減速度を算出し、算出した減速度が最大回生減速度al_Bを超えているか否かを判定する。S44の処理において、車両3Bの実行すべき減速度が最大回生減速度al_Bを超えていない場合には、図10に示す制御処理を終了する。一方、S44の処理において、車両3Bの実行すべき減速度が最大回生減速度al_Bを超えている場合には、制動力制御処理へ移行する(S46)。
S46の処理は、走行支援部13が実行し、最大回生減速度al_Bを超えないように先行車両の走行を制御する処理である。走行支援部13は、先行車両である車両3Aの減速度を、最大回生減速度al_Bを超えた分だけ減少させる。走行支援部13は、例えば、車車間通信により最大回生減速度al_Bを超えた分の減速度を車両3Aへ送信し、車両3Aの実行減速度から最大回生減速度al_Bを超えた分を減算し車両3Aを減速させる。S46の処理が終了すると、図10に示す制御処理を終了する。
図10に示す制御処理を実行することにより、先行車両3Aが手動運転の場合、すなわち走行計画を持たない場合であっても、後続車両3Bが回生能力を超えて油圧ブレーキ等を作動させることを回避することができる。このため、力学エネルギーを熱廃棄することを回避することができるので、エネルギー効率を向上させることができる。例えば、先行車両3Aが図11(a)に示す点線の加速度パターンaX(t)で走行するように手動制御されているものとする。そうすると、追従する後続車両3Bは図11(b)に示す点線の加速度パターンaX+1(t)で走行することとなり、一点鎖線で示す最大回生減速度al_Bを超えた分の減速度U1については油圧ブレーキを作動させるため、減速度U1に係る運動エネルギーは熱により廃棄されてしまう。しかしながら、本実施形態に係る車群走行制御部によれば、最大回生減速度al_Bを超えた分の減速が起きないように、先行車両3Aの減速度から減速度U1をキャンセルし、図11(a)の実線に示す加速度パターンaY(t)とすることができる。これにより、車両3Bは、図11(b)の実線に示す加速度パターンaY+1(t)で走行させることができるので、運動エネルギーを熱廃棄することを回避することができる。
以上、第4実施形態に係る車群走行制御部によれば、後続車両3Bが回生能力を超えた制動を行うことにより力学エネルギーを熱廃棄等することを回避することができるので、エネルギー効率の優れた車群走行を実現させることが可能となる。また、車群内の相対加速度は変化することがないので、相対速度、相対距離を変化させず、車両間の相対位置関係の安定性を保ったまま熱廃棄するエネルギーのみ低減させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第4実施形態に係る車群走行制御部とほぼ同様に構成されるものであって、走行の安全性を確認した後に先行車両の制動力を制御する機能を有する点が相違する。なお、第5実施形態においては、第1〜4実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第5実施形態に係る車群走行制御装置(車群走行制御部)は、第4実施形態に係る車群走行制御部とほぼ同様に構成されるものであって、走行の安全性を確認した後に先行車両の制動力を制御する機能を有する点が相違する。なお、第5実施形態においては、第1〜4実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点を中心に説明する。
本実施形態に係る車群走行制御部を備えた車両の構成は、第1実施形態に係る車群走行制御部1を備えた車両と同様である。また、本実施形態に係る車群走行制御部は、第4実施形態に係る車群走行制御部と同様に構成されており、エネルギー効率算出部12及び走行支援部13が有する一部機能が相違する。
エネルギー効率算出部12は、先行車両の安全停止減速度を算出する機能を有している。安全停止減速度は、走行の安全性を確保するために必要な減速度であり、例えば、車速や車間距離によって規定されるものである。なお、その他の機能については、第4実施形態に係るエネルギー効率算出部12と同様である。
走行支援部13は、最大回生減速度を超える減速度が発生すると判定した場合には、先行車両の安全停止減速度を下回らないように、先行車両の減速度を小さくさせる機能を有している。例えば、走行支援部13は、先行車両の減速により、車両3の減速度が最大回生減速度を超える場合には、安全停止減速度を下回らないように先行車両の減速度を小さくする命令を、通信装置23を介して出力する機能を有している。その他の機能については、第4実施形態に係る走行支援部13と同様である。
次に、第5実施形態に係る車群走行制御部の動作について説明する。図12は、第5実施形態に係る車群走行制御部の動作を示すフローチャートである。図12に示す制御処理は、例えばイグニッションオン又は車両3に備わる開始ボタンがオンされてから、所定のタイミングで繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、以下では、車両3Aに車両3Bが追従して走行する例を説明する。また、車両3Bは車両3と同一構成とし、図12に示す制御処理は、車両3Bに備わる車群走行制御部1が実行するものとする。
図12に示す制御処理は、ECU10が実行し、手動運転判定処理から実行する(S50)。この処理は、図10のS40の処理と同様である。S50の処理において、手動運転でない場合、すなわち自動運転である場合には、図12に示す制御処理を終了する。一方、S50の処理において、車両3Aが手動運転であると判定した場合には、最大回生制動力入力処理へ移行する(S52)。
S52の処理は、後続車両である車両3Bの最大回生減速度を入力する処理であり、図10のS42の処理と同様である。S52の処理が終了すると、減速度判定処理へ移行する(S54)。
S54の処理は、先行車両である車両3Aの減速により車両3Bが最大回生減速度を超える減速が必要となるか否かを判定する処理であり、図10のS44の処理と同様である。S54の処理において、車両3Bの実行すべき減速度が最大回生減速度al_Bを超えていない場合には、図12に示す制御処理を終了する。一方、S54の処理において、車両3Bの実行すべき減速度が最大回生減速度al_Bを超えている場合には、安全停止減速度の算出処理へ移行する(S56)。
S56の処理は、エネルギー効率算出部12が実行し、先行車両3Aの安全停止減速度を算出する処理である。エネルギー効率算出部12は、例えば、図13に示すように車両3Aの進行方向に障害物Xが存在する場合には、センサ20や通信装置23を介して、障害物Xと車両3Aとの相対距離Lr、相対速度Vrを入力する。また、車両3Aの諸元情報等から安全マージン分距離Lmを入力する。そして、以下の式6を用いて安全停止減速度G1(t)を算出する。
S56の処理が終了すると、制動力制御処理へ移行する(S58)。
S58の処理は、走行支援部13が実行し、最大回生減速度al_Bを超えないように先行車両の走行を制御する処理である。走行支援部13は、先行車両である車両3Aの減速度を、最大回生減速度al_Bを超えた分だけ減少させる。このとき、減少後の減速度がS56の処理で求めた車両3Aの安全停止減速度G1(t)より小さくならないように、車両3Aの減速度の減少量を調整する。そして、走行支援部13は、例えば、車車間通信により減少させる減速度を車両3Aへ送信し、車両3Aの実行減速度から設定した減速度を減算して車両3Aを減速させる。S58の処理が終了すると、図12に示す制御処理を終了する。
図12に示す制御処理を実行することにより、先行車両3Aが手動運転の場合、すなわち走行計画を持たない場合であっても、安全性を確保した範囲で後続車両3Bの回生能力を超えて油圧ブレーキ等を作動させることを回避できる。このため、力学エネルギーを熱廃棄することを回避することができるので、エネルギー効率を向上させることができる。例えば、先行車両3Aが図14(a)に示す点線の加速度パターンaX(t)で走行するように手動制御されているものとする。そうすると、追従する後続車両3Bは図14(b)に示す点線の加速度パターンaX+1(t)で走行することとなり、最大回生減速度al_Bを超えた分の減速度U2については油圧ブレーキが作動するため、減速度U2に係る運動エネルギーは熱により廃棄されてしまう。しかしながら、本実施形態に係る車群走行制御部によれば、車両3Aの安全停止減速度G1(t)以下とならない範囲で、最大回生減速度al_Bを超えた分の減速が軽減されるように先行車両3Aの減速度を減速度U3の分だけキャンセルすることができるので、図11(a)の実線に示す加速度パターンaY(t)とすることができる。これにより、車両3Bは、図11(b)の実線に示す加速度パターンaY+1(t)で走行させることができるので、運動エネルギーを熱廃棄することを最小化することができる。
以上、第5施形態に係る車群走行制御部によれば、先行車両3Aが進行方向のリスクに対して安全性を確保できる減速度を残した状態で、追従する後続車両3Bが回生できずに廃棄するエネルギーを最小化することができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る車群走行支援装置の一例を示すものである。本発明に係る車群走行支援装置は、各実施形態に係る車群走行支援装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る車群走行支援装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上述した実施形態では、車群を構成する車両が全て自動運転機能を有する車両であるとして説明したが、ディスプレイやスピーカ等の報知手段により報知された内容に応じて手動運転する車両で車群構成した場合に適用してもよい。
また、第1〜第3実施形態では、車両3Aが配置位置を決定して走行制御する例を説明したが、例えば、車群内の他の車両、あるいは路側支援装置が各車両の運転不適正状態を取得して各車両の配置位置及び配置順序を決定し、決定した配置位置及び配置順序を各車両に報知する中央集権型の走行制御であってもよい。また、車群内の全ての車両が各自で配置位置を決定して走行制御する自律型の走行制御であってもよい。
また、第1〜第3実施形態では、車群を構成する車両が全てハイブリット車両である場合を説明したが、車群を構成する車両が全てハイブリット車両である必要はなく、車群内に回生制動可能に構成された車両が少なくとも一台存在する場合であればよい。この場合、車群内において、回生制動可能に構成されていない車両は、回生能力がない車両として取り扱えばよい。また、第4、5実施形態では、後続車両3Bが車群を構成していてもよく、さらに、その車群を構成する車両が回生制動可能に構成された車両である必要はなく、車群内に回生制動可能に構成された車両が少なくとも一台存在する場合であればよい。
また、第4、5実施形態では、後続車両3Bが先行車両3Aの制動力を制御する例を説明したが、他の後続車両が先行車両3Aの制動力を制御してもよい。
また、第5実施形態では、先行車両3Aの安全停止減速度G1(t)を考慮して先行車両3Aの減速度を小さくする例を説明したが、後続車両3Bの安全停止減速度を更に考慮し、後続車両3Bの安全停止減速度より小さくならないように先行車両3Aの減速度を小さくしてもよい。
また、上述した実施形態では、車群が2台あるいは3台の車両によって構成されている例を説明したが、この台数に限られることはなく、複数台で構成されていればエネルギー効率に優れた車群走行に寄与することができる。
さらに、上述した実施形態では、フローチャートを用いて動作を説明したが、処理効率化の範囲内であればフローチャートにおけるステップの順番を変更してもよい。例えば、図3のS10及びS12の順番、図6のS20〜S24の順番、図8のS30及びS32の順番、図10のS42及びS44の順番、図12のS52〜S56の順番は適宜変更可能である。
1…車群走行制御部(車群走行支援装置)、3…車両、10…ECU、12…エネルギー効率算出部(エネルギー効率算出手段)、13…走行制御部(車両順位支援手段、減速度制御手段)。
Claims (6)
- 回生制動可能に構成された車両を有する車群の走行を支援する車群走行支援装置であって、
車群内の走行順位ごとの走行計画及び前記車両の回生能力に基づいて回生可能な回生エネルギーを走行順位ごとに算出し、前記回生エネルギーに基づいて車群全体のエネルギー効率を車群内の車両の並び方ごとに算出するエネルギー効率算出手段と、
前記エネルギー効率に基づいて車群内の車両の並び方を決定し走行を支援する車両順位支援手段と、
を備える車群走行支援装置。 - 前記エネルギー効率算出手段は、前記走行計画として加速度パターンを用い、前記加速度パターン及び前記車両の回生能力に基づいて回生制動の減速度及び回生制動の頻度を算出して前記回生エネルギーを走行順位ごとに算出する請求項1に記載の車群走行支援装置。
- 前記車両順位支援手段は、前記エネルギー効率が最大となる車両の並び方で走行するように支援する請求項1又は2に記載の車群走行支援装置。
- 前記エネルギー効率算出手段は、前記回生能力として最大回生減速度及びエネルギー蓄積容量を用いる請求項1〜3の何れか一項に記載の車群走行支援装置。
- 前記エネルギー効率算出手段は、車両の並び方の違いに基づいた空気抵抗を考慮して車群全体のエネルギー効率を算出する請求項1〜4の何れか一項に記載の車群走行支援装置。
- 前記車群が手動運転車両に追従して走行する際に、手動運転車両が後続追従車両の最大回生減速度を超える減速を行った場合には、前記後続追従車両の回生能力を超える減速分の減速度だけ前記手動運転車両の減速度を小さくする減速度制御手段を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の車群走行支援装置。
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