JP2010099991A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤し、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥するキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩からなる下層と、サブミクロン顔料、ポリビニルアルコールからなる上層を塗工した後、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールの少なくとも1種とコロイダルシリカからなる湿潤液で処理した後、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体。
【選択図】なし
Description
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(株式会社トクヤマ製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分48%のスチレン−ブタジエン(SBR)ラテックス(JSR株式会社製0623N)83.3部(不揮発分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
上記のように調製されたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)を添加し、上層塗工組成物1を調製した。
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)2.5部(固形分0.25部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液1を得た。
坪量157g/m2の原紙(三菱製紙株式会社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が12g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙を、ソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の質量が12g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。更に得られた塗工紙を、ソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、湿潤液1に5秒間接触させて湿潤した後、温度105℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。このときの湿潤液の乾燥前の付着量は68g/m2であった。
実施例1において、湿潤液1への接触時間を2秒間に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を得た。このときの湿潤液の乾燥前の付着量は37g/m2であった。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液2に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液2の調製]
水84.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)10部(固形分2部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液2を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液3に変更した以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液3の調製]
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液3を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液4に変更した以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液4の調製]
水95.93部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)1.25部(固形分0.125部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液4を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液5に変更した以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液5の調製]
水97.18部に固形分40%のコロイダルシリカ(スノーテックスXL;平均一次粒子径40nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)1.25部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)1.25部(固形分0.125部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液5を得た。
実施例6の湿潤液5におけるコロイダルシリカを、固形分40%、平均一次粒子径75nmのコロイダルシリカ(スノーテックスYL:日産化学工業株式会社製)に変更した湿潤液6を用いた以外は実施例6と同様にして実施例7のインクジェット記録媒体を得た。
実施例5の湿潤液4におけるエチレン鎖含有ポリビニルアルコールを、シラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)に変更した湿潤液7を用いた以外は実施例5と同様にして実施例8のインクジェット記録媒体を得た。
実施例4の湿潤液3におけるエチレン鎖含有ポリビニルアルコールを、シラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)に変更した湿潤液8を用いた以外は実施例4と同様にして実施例9のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液9に変更した以外は実施例1と同様にして実施例10のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液9の調製]
水67.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)27.5部(固形分5.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液9を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液10とした以外は実施例1と同様にして実施例11のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液10の調製]
水93.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)1部(固形分0.1部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液10を得た。
実施例8の湿潤液7におけるコロイダルシリカを、固形分20%、平均粒子径8nmのコロイダルシリカ(スノーテックスS、アニオン性;日産化学工業株式会社製)に変更した湿潤液11を用いた以外は実施例8と同様にして実施例12のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液12とした以外は実施例1と同様にして実施例13のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液12の調製]
水90.93部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)3.75部(固形分0.75部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液12を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液13とした以外は実施例1と同様にして実施例14のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液13の調製]
水91.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)6部(固形分0.6部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液13を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液14とした以外は実施例1と同様にして実施例15のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液14の調製]
水88.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)10部(固形分2部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)1部(固形分0.1部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液14を得た。
実施例8において、湿潤液7のシラノール変性ポリビニルアルコールの銘柄を変更(R−1130;株式会社クラレ製)した湿潤液15を用いた以外は実施例8と同様にして実施例16のインクジェット記録媒体を得た。
実施例1において、湿潤液1を下記湿潤液16に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液16の調製]
水94.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液16を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液17とした以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液17の調製]
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したポリビニルアルコール(PVA−117;株式会社クラレ製)2.5部(固形分0.25部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液17を得た。
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液18とした以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液18の調製]
水94.68部に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液18を得た。
比較例3の湿潤液18におけるシラノール変性ポリビニルアルコールを、エチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)に変更した湿潤液19を用いた以外は比較例3と同様にして比較例4のインクジェット記録媒体を得た。
光沢感の評価は、写像性評価にて行った。写像性は、スガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて測定を行った。本方法による測定においては一般に、60以上の写像性を与える記録媒体は高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
キヤノン株式会社製インクジェットプリンタ(PIXUS 850i)により所定の評価画像を印刷し、各記録媒体のインク吸収性を、画像の細部の判読性を基準とし次の4段階に分類した。ここで、Dは実用上問題があるレベルである。
A;印画部にムラや滲みがなく、非常に良好
B;印画部の異なる色の境界部に若干滲みが確認されるものの、良好
C;異なる色の境界部の滲みが顕著になり、ベタ部に吸収ムラが若干確認される
D;全般に色の境界部で滲みが確認でき、ベタ部の吸収ムラも顕著
面感に関して、記録媒体の光沢面の均一性、ムラ等を目視判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;光沢面はムラなく均一で良好
B;光沢面に若干光沢ムラが散見され、光沢感の若干の変化が視認できる
C;光沢面に光沢ムラが多く、ややぎらつき気味
D;光沢面のムラが顕著で、ぎらつき感が強い
強度の評価は、学振式堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用い、記録媒体の光沢面を、市販の上質紙で300gの荷重条件にて30往復擦り、光沢表面の傷の度合いを目視判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;表面に傷は確認できず、光沢感の変化もない
B;表面に若干の傷もしくは光沢感の若干の変化が視認できる
C;表面に薄い傷が視認でき、光沢感もやや低い
D;表面に深い傷が視認でき、光沢感も低く、不均一である
搬送性の評価は、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタ(PM−A840)により、A4サイズの用紙を1セット=20枚セットし、所定の評価用画像を印刷することで用紙を搬送させて評価した。該手法を用い、3種類の温湿度条件下(13℃/35%RH、23℃/50%RH、30℃/80%RH)で各10セット分(=200枚)の用紙を搬送し、以下の基準で搬送性を判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;紙詰まりや搬送不良発生は1%未満
B;紙詰まりや搬送不良発生が1%以上、3%未満
C;紙詰まりや搬送不良発生が3%以上、5%未満
D;紙詰まりや搬送不良発生が5%以上
Claims (3)
- 透気性の支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤し、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥するキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成され、該下層上に塗設される上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、該塗工層を湿潤する湿潤液が、コロイダルシリカとポリビニルアルコールを少なくとも含有し、該ポリビニルアルコールが、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 該湿潤液中のコロイダルシリカが、平均一次粒子径5nm〜40nmである請求項1記載のインクジェット記録媒体。
- 該湿潤液中のコロイダルシリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの割合が、10〜100質量部であり、且つ湿潤液中の該ポリビニルアルコールの濃度が、0.5質量%以下である請求項1記載のインクジェット記録媒体。
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