JP2010099991A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に高い光沢と十分なインク吸収性、顔料インク適性を有し、且つ塗工層の表面強度が良好であり、銀塩写真用印画紙の質感に近いインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤し、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥するキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩からなる下層と、サブミクロン顔料、ポリビニルアルコールからなる上層を塗工した後、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールの少なくとも1種とコロイダルシリカからなる湿潤液で処理した後、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録媒体、特に高い光沢感と十分なインク吸収性を有し、且つ塗工層の表面強度、特に印刷後の取り扱いや印刷時のプリンタ搬送ロール等による傷や光沢感の変化が発生しない非常に優れた強度を有しつつ、搬送不良の発生しない、銀塩写真用印画紙の質感に近いインクジェット記録媒体に関するものである。
近年、インクジェットプリンタやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンタやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途において近年急速に普及している。特に多色インクジェット方式により形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途においては、印刷技術や写真技術よりも安価で済むことから広く応用されている。特に近年の急速なデジタル化、デジタルカメラの普及に伴い、インクジェット記録方式はそのデジタルデータの出力用途、すなわち銀塩写真の代替方式として使用されるようになってきている。
特にインクジェットプリンタ技術の進歩と低価格化、デジタルカメラの普及により、一般家庭で手軽に写真出力がなされるようになってきた。現在のプリンタは階調を滑らかに再現するため、あるいは画像を形成するインクのドットを目立たなくするために、従来よりも濃度の薄いインクを併用し、インクの液滴のサイズを小さくまたは画像に応じてその大きさを可変させるなどして、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物を得ようとしている。その結果、画像形成に使用されるインク量は従来よりも増加してきており、これに伴いインクジェット用の記録媒体はインクを十分に、且つ素早く吸収、乾燥させる特性が求められる。また銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感や保存性、すなわち光沢や取り扱い時の耐傷性などが求められるようになってきている。
また写真画像を出力する用途の場合、その用途が屋内外の展示や個人の記録保存といったものであるため、従来以上に画像の耐候性、画像保存性が求められるようになっている。このような要望に対し、インクおよび用紙の改良が進んでおり、従来よりもかなり良好な保存性が得られるようになってきている。しかしながら、特に耐光性に関しては未だ銀塩写真のレベルには到達しておらず、要求が満たされていないのが現状である。
このような要求を満たすために、最近では顔料タイプのインクが使用されるようになってきている。顔料インクは光劣化も少なく、水によって再溶解しないため、染料タイプのインクよりも耐候性、画像保存性が向上することが知られている。しかし、染料タイプのインクのように着色効率が高くなく、鮮明な発色を得るには、インクを記録媒体表面に留める必要がある。よって、記録媒体表面に亀裂や大きな空隙が存在すると、良好な発色性が得られなくなる。
特に、インクジェット技術進展に伴い、インクジェット記録が銀塩写真方式の代替として使用されるようなってきたことを受け、光沢が付与されたインクジェット記録用紙が多用されるようになってきた(例えば、特許文献1および2参照。)。しかしながら、従来のキャスト塗被紙は、銀塩写真に用いられる印画紙と同等の質感、すなわち、画像の再現性、鮮鋭性や光沢感を有するものではない。
また、高い光沢を実現するため、下層上にカチオン性微細粒子からなる中間層を設け、更にその上にコロイダルシリカを主成分とする光沢層を設けた3層構成のインクジェット記録用紙が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。該手法によって高い光沢を得ることは可能となるものの、高光沢化することでプリンタでの用紙搬送時の搬送傷が目立ちやすくなる。また塗工層表面の亀裂を回避することが困難であり、顔料インクで印字した場合、発色性が低下し、銀塩写真と同等の質感には達していない。
銀塩写真用印画紙の質感と高い光沢、インク吸収性や発色性を実現するために、アルミナ水和物とポリビニルアルコールを含有するような光沢層を設け、これをホウ酸またはホウ酸塩を含有する処理液で処理した後に、湿潤状態のまま加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥せしめたインクジェット記録用紙が提案されている(例えば特許文献4参照。)。該手法により、塗工層最表面の亀裂は軽減され、高い光沢を得ることが可能となるものの、単一層でインクを吸収するため塗工層の厚みが厚くなり、且つ架橋剤を使用していることから塗工層の脆化が顕著となり、折り曲げなど応力がかかった場合に塗工層の割れを容易に生じることがある。また、アルミナ水和物で形成された塗工層表面は擦過により光が乱反射しやすく、少しの傷が非常に目立ち、質感が損なわれる。
また、インク受容層の最表面にポリオキシレン基含有ポリビニルアルコールを含むインクジェット記録用シートも提案されている(例えば、特許文献5参照。)。これによりある程度の表面強度は確保できるものの、インク吸収性の低下や、ポリビニルアルコールのキャストドラムへの貼りつきによる生産性低下や表面のムラ、欠点を生じ、銀塩写真用印画紙と同等の質感、塗工層表面の耐傷性を満たしていない。
更に、下層に吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有し、上層にサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工層を塗設した支持体を、平均一次粒子径40nm以下のコロイダルシリカを少なくとも含有する湿潤液で再湿潤し、湿潤状態のまま加熱鏡面ドラムに圧着乾燥するインクジェット記録用紙が提案されている(特許文献6参照。)。これにより、非常に高い光沢と銀塩写真に近い質感、そして光沢面の表面強度が高い記録用紙を得ることが可能である。しかしながら、印刷時の用紙の搬送や印刷後の取り扱いによって、塗工層表面に光沢感の変化が生じ、また搬送枚数が増えるにつれて、表面改質に使用したコロイダルシリカが搬送用のゴムロール上に徐々に堆積し、搬送性が低下してしまう。よって、銀塩写真用印画紙と同等の質感を有しつつ、プリンタ印刷時の搬送ロール等による傷や光沢面の変化がなく、プリンタの搬送性も良好な用紙を提供することは困難であった。それゆえ、より強い塗工層強度を有するインクジェット記録媒体が要求されている。
特開昭63−264391号公報 特開平2−274587号公報 特開2004−195781号公報 特開2002−293004号公報 特開2007−50580号公報 特開2007−118529号公報
本発明の目的は、実現が従来困難であった、特に高い光沢感と十分なインク吸収性を有し、且つ塗工層の表面強度、特に印刷後の取り扱いや印刷時のプリンタ搬送ロール等による傷や光沢感の変化が発生しない非常に優れた強度を有しつつ、搬送不良の発生しない、銀塩写真用印画紙の質感に近いインクジェット記録媒体を提供することにある。
この課題に対し検討を行った結果、本発明のインクジェット記録媒体、すなわち透気性の支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤し、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥するキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成され、該下層上に塗設される上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成されるインクジェット記録媒体において、該塗工層を湿潤する湿潤液が、コロイダルシリカとポリビニルアルコールを少なくとも含有し、且つ該ポリビニルアルコールがシラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種とすることで、特に高い光沢感と十分なインク吸収性、顔料インク適性を有し、且つ塗工層の表面強度が良好な、銀塩写真用印画紙の質感に近いインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
特に該湿潤液のコロイダルシリカが、平均一次粒子径5nm〜40nmであることで、特に高い光沢感と発色性、インク吸収性を得ることが可能となった。
また、湿潤液中のコロイダルシリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの割合が、10〜100質量部であり、且つ該ポリビニルアルコールの濃度が、0.5質量%以下であることで、高い光沢感を維持しつつ、生産性に影響を及ぼさず、表面欠陥のない、塗工層の表面強度に優れたインクジェット記録媒体を得ることが可能になった。
本発明により、従来実現が困難であった、特に高い光沢感と十分なインク吸収性を有し、且つ塗工層の表面強度、特に印刷後の取り扱いや印刷時のプリンタ搬送ロール等による傷や光沢感の変化が発生しない非常に優れた強度を有しつつ、搬送不良の発生しない、銀塩写真用印画紙の質感に近いインクジェット記録媒体が得られる。
以下、本発明のインクジェット記録材料を詳細に説明する。
本発明者は、銀塩写真用印画紙の質感を再現すべく、高い光沢感と十分なインク吸収性を有し、塗工層表面強度の高いインクジェット記録媒体に関し鋭意検討した。その結果、透気性の支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤せしめ、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥せしめるキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、支持体に接する下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物で形成することで、上層に含有するポリビニルアルコールの架橋剤であるホウ酸およびその塩を均一に塗工層内に分布させることが可能となり、均一な、亀裂発生がない上層が形成可能となった。また、ポリビニルアルコール等の水溶性合成高分子を含有しないため、下層塗工組成物の安定性が非常に高く、塗布欠点等の発生がない。更に高い表面平滑性および熱可塑性を有する下層が形成されることにより、非常に平滑で光沢の高い上層を形成することが可能となる。また、下層上に塗設せしめる上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成されることで、塗工層表面に亀裂のない、発色性、インク吸収性に優れた塗工層を形成することが可能となり、銀塩写真用印画紙の質感をかなり再現することが可能となった。
そこで本発明者は、銀塩写真用印画紙の質感に近似させるべく、更に鋭意検討を行った。その結果、該塗工層を湿潤せしめる湿潤液が、コロイダルシリカとポリビニルアルコールを少なくとも含有し、且つ該ポリビニルアルコールが、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種とすることで、銀塩写真用印画紙に迫る高い光沢感を付与しながら、良好な発色性とインク吸収性を有し、且つプリンタでの搬送性低下を引き起こさずに、特に印刷後の取り扱いや印刷時のプリンタ搬送ロール等による塗工層最表面の耐傷性を向上させ、且つ付与できることを見出した。
本発明におけるインクジェット記録媒体には、透気性を有する支持体を用いている。透気性の支持体としては、通常使用される紙基材を用いることができ、必要に応じて、透気性を有する樹脂フィルムシート類を用いることもできる。本発明で使用される紙基材としては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどの木材パルプと従来公知の填料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙、バライタ紙などの塗工紙も含まれる。このような原紙および塗工紙に、そのまま本発明にかかる塗工層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。
また、支持体を挟んだインク受理層の反対面には、カール適性を付与するために、バックコート層を塗工することも可能であり、その際の顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン微粒子、マイクロカプセル、尿素樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子などの有機顔料などが挙げられるが、特に平板状顔料や加水ハロイサイトが好ましい。
該バックコート層のバインダーとしては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールまたはその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;あるいはこれら各種重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体または共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤などを挙げることができる。
本発明において下層とは、記録媒体のより支持体に近い側に形成される塗工層を言い、また本発明において上層とは、下層上に塗設、形成される塗工層を言う。これらの塗工組成物は通常、水中に各材料を溶解ないし分散せしめた水性液の形で用いられる。本発明において通常、下層と上層は隣接しているが、下層と上層の相互作用を強く阻害しない範囲で、下層と上層の間に1層または2層以上の中間層を設けても良く、また下層と支持体の間および上層の表面側にも1層または2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着し、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去し記録媒体に光沢を付与する処理を言う。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置であるが、本発明には、同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、塗工組成物を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウエット法、上層塗工組成物、または上下両層の塗工組成物を塗工後、乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法などの方式を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100mL以上の水が使用される無機顔料を言い、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、珪酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、二酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いても良く、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、珪酸ナトリウムなどの珪酸塩と、硫酸などの酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕などの工程を経て得られる多孔質の二酸化珪素をいい、その主要な製法としては沈降法およびゲル法が知られているが、本発明の下層塗工組成物には、そのいずれをも好ましく用いることができる。
本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸水量は、インク吸収性の観点からは高いほうが好ましいが、一方吸水量が高すぎると塗工層の強度が低下することがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸水量は、1〜5mL/gであることが好ましく、2〜4mL/gであることがより好ましい。また、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの粒径は、小さすぎると塗工組成物の粘度が高くなり塗工操作が困難になることがあり、一方大きすぎるとキャスト処理後の記録媒体の光沢が発現しにくくなることがある。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明の下層塗工組成物へのホウ酸またはその塩の添加量は、塗工組成物のpHにも依存するが、少なすぎると乾燥後の上層に亀裂が発生して光沢が低下することがあり、多すぎると塗工層の強度が低下することがあることから、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
本発明においてラテックスとは、実質的に非水溶性の熱可塑性高分子化合物が水中に分散した液状物を指し、一旦乾燥した後は熱水にも実質的に溶解しない点で水溶性高分子化合物の水溶液と明らかに区別される。その例としては、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、およびこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられる。これらのラテックスは、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において下層塗工組成物へのラテックスの添加量は、少なすぎると得られた記録媒体の機械的強度が十分にならないことがあり、多すぎるとインク吸収性やキャスト処理後の光沢が十分に得られないことがあるから、ラテックス/(吸水性無機顔料+コロイダルシリカ)の質量比が10/100〜60/100であることが好ましく、15/100〜40/100であることがより好ましい。
本発明の下層塗工組成物には、本発明の効果を損なわない程度に、ビニルピロリドン重合体、(メタ)アクリル酸重合体、(メタ)アクリルアミド重合体等の水溶性高分子化合物を添加することもできる。ただし、ポリビニルアルコールのように高い結晶性を有する水溶性高分子化合物は、キャスト処理後に得られるインクジェット記録媒体の光沢を著しく低下させることから、実質的に含まれないことが好ましい。
本発明においてサブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指す。本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料の種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上の粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗工組成物を塗工後高速に乾燥しても塗工層の裂けなどの欠陥が生じにくいことから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがあるから好ましくない。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m/gのものを用いることが好ましく、150〜400m/gのものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
本発明において、上層塗工組成物のサブミクロン顔料としてアルミナ水和物を用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。本発明に用いられるアルミナ水和物は、一般式Al・nHOにより表すことができる。アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を超え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、nが1を超え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでも良く、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ水和物において平均一次粒子径が3nm〜40nmのアルミナ水和物が好ましい。特に好ましい平均一次粒子径は5nm〜30nmのものである。またこれらが凝集した平均二次粒子径としては、50nm〜300nmにするのが好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、本発明に用いるキャスト工程の方式としてリウエット法を用いる場合には、けん化度95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入した変性ポリビニルアルコール、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足したりすることがあるので好ましくなく、一方でポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがあるので好ましくない。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の上層塗工組成物のポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いもののほうが、添加量が比較的少量であっても塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高すぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z 8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において湿潤液とは、支持体上に塗設した塗工層を湿潤し、該塗工層を、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥することで、該鏡面ドラムの表面を効率よく塗工層に転写する働きを持つ。本発明においては、該湿潤液中にコロイダルシリカとポリビニルアルコールを含有し、且つ該ポリビニルアルコールが、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である。これにより、該コロイダルシリカを上層表面近傍に効率よく分布させつつ、コロイダルシリカ同士およびコロイダルシリカと上層表面の接着を強固にし、耐傷性に優れた皮膜を形成することが可能となり、結果として高い光沢感およびインク吸収性、優れた塗工層の表面強度を実現することが可能となった。
本発明の湿潤液に含有するポリビニルアルコールは、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールである。ここで、本発明にかかるポリビニルアルコール以外の一般的なポリビニルアルコールを使用した場合、実用に耐えうる皮膜強度を得ることができず、また、ブロッキングやキャストドラムへの貼りつきが発生しやすい。
本発明の湿潤液に含有するコロイダルシリカは、その平均一次粒子径が5nm〜40nm、好ましくは15〜30nmである。該粒子径は、塗工層最表面の高い光沢感、インク吸収性、発色性、そして塗工層強度を得るために必要であり、ここで平均一次粒子径が5nmより小さい場合、インクの吸収性が極端に低下し、また40nmを超える場合、塗工層の光沢が低下し、擦過時の塗工層表面の傷も目立ちやすくなる。なお、該コロイダルシリカの平均一次粒子径は、動的散乱法を用いて測定されたものである。
本発明の湿潤液に用いるコロイダルシリカのイオン性は特に限定されるものではなく、通常一般的なアニオン性のコロイダルシリカ、粒子表面を四級アンモニウム塩等のカチオン性樹脂やアルミニウム化合物等で処理したカチオン性のコロイダルシリカを使用することができる。とりわけアニオン性コロイダルシリカは、イオン性がカチオン性である上層塗工組成物と強固に反応し、表面の塗工層強度が非常に高まることから好ましい。
本発明において、湿潤液にコロイダルシリカやポリビニルアルコールとともに界面活性剤を含有せしめることが好ましい。該湿潤液に界面活性剤を添加することで、湿潤液の塗工層への付着が均一となり、最終的に形成される面の均一性が格段に向上する。ここで用いられる界面活性剤は、コロイダルシリカやポリビニルアルコールとの混和性に問題がなければ特に制限はなく、通常一般的な界面活性剤、例えば、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤などが使用できる。
該界面活性剤は、上層表面と湿潤液の濡れ性を調節し、湿潤液で均一に濡らす効果、湿潤せしめる塗工層の再膨潤を促進する効果を持つ。湿潤液中の界面活性剤の濃度は特に限定されるものではないが、少なすぎると塗工層表面を均一に濡らすことができず、多すぎると塗工層への湿潤液の浸透が顕著となり、塗工層強度の低下や光沢不良を引き起こすことがあるため、その量は0.005質量%から0.1質量%の範囲であることが好ましい。
本発明において、湿潤液は塗工層を再膨潤させるために必要十分な量が付与されることが望ましく、その量はキャスト処理設備、湿潤からキャスト処理までの時間、再膨潤せしめる塗工層等によって変化するものの、概ね湿潤直後の付着量で40〜120g/mであることが好ましい。ここで湿潤液の付着量が40g/mを下回る場合、塗工層の十分な再膨潤がなされず、光沢の低下や、部分的に光沢が出なくなるような光沢不良を引き起こすことがある。また、付着量が120g/mを超えて過剰な場合、キャスト処理後の塗工層表面に凹凸が現れ、面質が低下することがある。
本発明における湿潤液中のコロイダルシリカの濃度は特に限定されるものではないが、インクジェット記録媒体としての諸特性上の観点および塗工層を再膨潤させるために必要な付着量から、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましい。ここでコロイダルシリカの濃度が低すぎると、インク吸収性の低下やブロッキングの発生、キャストドラムへの貼りつきに伴う表面欠陥等が発生し、また、コロイダルシリカの濃度が高くなると、発色性低下、摩擦低下に伴う搬送性不良や表面強度が低下することがある。
本発明における湿潤液中のポリビニルアルコールの濃度は、インクジェット記録媒体としての諸特性上の観点および塗工層を再膨潤させるために必要な付着量から、0.5質量%以下が好ましく、0.1〜0.3質量%が更に好ましい。ここでポリビニルアルコールの濃度が0.5質量%を超えると、特にインク吸収性が低下し、キャストドラムへの貼りつきによる表面欠陥やブロッキングが発生するとともに、表面の光沢感がぎらついたものとなってしまうことがある。
本発明における湿潤液中のコロイダルシリカとポリビニルアルコールの割合は、使用する素材の特性や所望する特性に応じて変化するが、概ねコロイダルシリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの割合が、10〜100質量部であることが好ましく、25〜70質量部であることが更に好ましい。ここで、ポリビニルアルコールの割合が10質量%未満の場合、十分な表面強度を得ることができないことがある。また、100質量部を超えると、インク吸収性や光沢の低下、キャストドラムへの貼りつきに伴う表面欠陥やブロッキングが発生することがある。
本発明における湿潤液には、最終的なインクジェット記録媒体の特性を低下させない範囲で、水溶性バインダー、熱可塑性樹脂およびエマルジョン、インク定着剤等を添加することができる。
本発明の各塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各塗工層の塗工組成物を塗工する方法、あるいは湿潤液を塗工層に付着する方法に特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、更に上層の塗工に際しては塗工組成物の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗工組成物の塗工に好ましく使用される。
本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する量に特に制限はないが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層がそれぞれ5〜20g/mまた両層の合計では10〜30g/mを塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、両層の合計で最大50g/m程度を塗工することが好ましいこともある。
また、下層塗工組成物または上層塗工組成物を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
また、キャスト装置における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を、本発明の塗工組成物や湿潤液に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウエット法を用いる場合にはリウエットに用いる水に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることができる物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリドなどの高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸などの高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油などが挙げられる。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
[実施例1]
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(HBO換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(株式会社トクヤマ製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分48%のスチレン−ブタジエン(SBR)ラテックス(JSR株式会社製0623N)83.3部(不揮発分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調製]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物1の調製]
上記のように調製されたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)を添加し、上層塗工組成物1を調製した。
[湿潤液1の調製]
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)2.5部(固形分0.25部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液1を得た。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/mの原紙(三菱製紙株式会社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が12g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙を、ソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の質量が12g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。更に得られた塗工紙を、ソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、湿潤液1に5秒間接触させて湿潤した後、温度105℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。このときの湿潤液の乾燥前の付着量は68g/mであった。
[実施例2]
実施例1において、湿潤液1への接触時間を2秒間に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を得た。このときの湿潤液の乾燥前の付着量は37g/mであった。
[実施例3]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液2に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液2の調製]
水84.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)10部(固形分2部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液2を得た。
[実施例4]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液3に変更した以外は実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液3の調製]
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液3を得た。
[実施例5]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液4に変更した以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液4の調製]
水95.93部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)1.25部(固形分0.125部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液4を得た。
[実施例6]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液5に変更した以外は実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液5の調製]
水97.18部に固形分40%のコロイダルシリカ(スノーテックスXL;平均一次粒子径40nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)1.25部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したエチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)1.25部(固形分0.125部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液5を得た。
[実施例7]
実施例6の湿潤液5におけるコロイダルシリカを、固形分40%、平均一次粒子径75nmのコロイダルシリカ(スノーテックスYL:日産化学工業株式会社製)に変更した湿潤液6を用いた以外は実施例6と同様にして実施例7のインクジェット記録媒体を得た。
[実施例8]
実施例5の湿潤液4におけるエチレン鎖含有ポリビニルアルコールを、シラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)に変更した湿潤液7を用いた以外は実施例5と同様にして実施例8のインクジェット記録媒体を得た。
[実施例9]
実施例4の湿潤液3におけるエチレン鎖含有ポリビニルアルコールを、シラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)に変更した湿潤液8を用いた以外は実施例4と同様にして実施例9のインクジェット記録媒体を得た。
[実施例10]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液9に変更した以外は実施例1と同様にして実施例10のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液9の調製]
水67.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)27.5部(固形分5.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液9を得た。
[実施例11]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液10とした以外は実施例1と同様にして実施例11のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液10の調製]
水93.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)1部(固形分0.1部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液10を得た。
[実施例12]
実施例8の湿潤液7におけるコロイダルシリカを、固形分20%、平均粒子径8nmのコロイダルシリカ(スノーテックスS、アニオン性;日産化学工業株式会社製)に変更した湿潤液11を用いた以外は実施例8と同様にして実施例12のインクジェット記録媒体を得た。
[実施例13]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液12とした以外は実施例1と同様にして実施例13のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液12の調製]
水90.93部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)3.75部(固形分0.75部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液12を得た。
[実施例14]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液13とした以外は実施例1と同様にして実施例14のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液13の調製]
水91.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)2.5部(固形分0.5部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)6部(固形分0.6部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液13を得た。
[実施例15]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液14とした以外は実施例1と同様にして実施例15のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液14の調製]
水88.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)10部(固形分2部)を添加し、次に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)1部(固形分0.1部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液14を得た。
[実施例16]
実施例8において、湿潤液7のシラノール変性ポリビニルアルコールの銘柄を変更(R−1130;株式会社クラレ製)した湿潤液15を用いた以外は実施例8と同様にして実施例16のインクジェット記録媒体を得た。
[比較例1]
実施例1において、湿潤液1を下記湿潤液16に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液16の調製]
水94.68部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液16を得た。
[比較例2]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液17とした以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液17の調製]
水92.18部に固形分20%のコロイダルシリカ(スノーテックス20;平均一次粒子径20nm、アニオン性、日産化学工業株式会社製)5部(固形分1部)を添加し、次に固形分10%に調製したポリビニルアルコール(PVA−117;株式会社クラレ製)2.5部(固形分0.25部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液17を得た。
[比較例3]
実施例1の湿潤液1を下記湿潤液18とした以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録媒体を得た。
[湿潤液18の調製]
水94.68部に固形分10%に調製したシラノール変性ポリビニルアルコール(POLYVIOL P6060;Wacker社製)5部(固形分0.5部)を添加し、更に固形分70%の界面活性剤(ペレックスOT−P;花王株式会社製)0.07部(固形分0.049部)および固形分40%の離型剤(ノプコートPEM−17;サンノプコ株式会社製)0.25部(固形分0.1部)を添加し、混合して湿潤液18を得た。
[比較例4]
比較例3の湿潤液18におけるシラノール変性ポリビニルアルコールを、エチレン鎖含有ポリビニルアルコール(エクセバールRS−2117;株式会社クラレ製)に変更した湿潤液19を用いた以外は比較例3と同様にして比較例4のインクジェット記録媒体を得た。
[光沢感(写像性)の評価]
光沢感の評価は、写像性評価にて行った。写像性は、スガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて測定を行った。本方法による測定においては一般に、60以上の写像性を与える記録媒体は高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
[インク吸収性の評価]
キヤノン株式会社製インクジェットプリンタ(PIXUS 850i)により所定の評価画像を印刷し、各記録媒体のインク吸収性を、画像の細部の判読性を基準とし次の4段階に分類した。ここで、Dは実用上問題があるレベルである。
A;印画部にムラや滲みがなく、非常に良好
B;印画部の異なる色の境界部に若干滲みが確認されるものの、良好
C;異なる色の境界部の滲みが顕著になり、ベタ部に吸収ムラが若干確認される
D;全般に色の境界部で滲みが確認でき、ベタ部の吸収ムラも顕著
[面感の評価]
面感に関して、記録媒体の光沢面の均一性、ムラ等を目視判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;光沢面はムラなく均一で良好
B;光沢面に若干光沢ムラが散見され、光沢感の若干の変化が視認できる
C;光沢面に光沢ムラが多く、ややぎらつき気味
D;光沢面のムラが顕著で、ぎらつき感が強い
[強度の評価]
強度の評価は、学振式堅牢度試験機(テスター産業株式会社製)を用い、記録媒体の光沢面を、市販の上質紙で300gの荷重条件にて30往復擦り、光沢表面の傷の度合いを目視判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;表面に傷は確認できず、光沢感の変化もない
B;表面に若干の傷もしくは光沢感の若干の変化が視認できる
C;表面に薄い傷が視認でき、光沢感もやや低い
D;表面に深い傷が視認でき、光沢感も低く、不均一である
[搬送性の評価]
搬送性の評価は、セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタ(PM−A840)により、A4サイズの用紙を1セット=20枚セットし、所定の評価用画像を印刷することで用紙を搬送させて評価した。該手法を用い、3種類の温湿度条件下(13℃/35%RH、23℃/50%RH、30℃/80%RH)で各10セット分(=200枚)の用紙を搬送し、以下の基準で搬送性を判定した。ここで、Dは実用上問題となるレベルである。
A;紙詰まりや搬送不良発生は1%未満
B;紙詰まりや搬送不良発生が1%以上、3%未満
C;紙詰まりや搬送不良発生が3%以上、5%未満
D;紙詰まりや搬送不良発生が5%以上
各実施例、各比較例で得られた記録媒体の光沢感(写像性)、インク吸収性、面感、強度を表1に示す。
Figure 2010099991
表1より、支持体に接する下層を吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成し、該下層上に塗設される上層をサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成し、該塗工層を、コロイダルシリカと、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールのいずれかを少なくとも含有する湿潤液で処理した後にキャスト処理をした実施例1〜16は、高い光沢感と良好なインク吸収性および面感を有し、塗工層表面の耐傷性が良好で、搬送性も実用上問題ないことがわかる。
湿潤液中にシラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールを含まない比較例1は、良好なインク吸収性や光沢感を有するものの、塗工層表面の耐傷性が低く、連続給紙時の搬送性も悪い。湿潤液に通常のポリビニルアルコールを使用している比較例2においても、十分と言える塗工層表面の耐傷性および良好な搬送性が得られない。湿潤液中にコロイダルシリカを含有せず、シラノール変性またはエチレン鎖含有ポリビニルアルコールのみとした比較例3および4では、塗工層表面の耐傷性は良好だが、インク吸収性が低く、また光沢面にムラが多く不均一であるため、銀塩写真と同等の質感とは言い難い。

Claims (3)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも2層の塗工層を順次塗設した後、湿潤液により該塗工層を湿潤し、湿潤状態のまま加熱した鏡面ドラムに圧着乾燥するキャスト法により製造されるインクジェット記録媒体において、下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成され、該下層上に塗設される上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成され、該塗工層を湿潤する湿潤液が、コロイダルシリカとポリビニルアルコールを少なくとも含有し、該ポリビニルアルコールが、シラノール変性または主鎖にエチレン単位を有するポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 該湿潤液中のコロイダルシリカが、平均一次粒子径5nm〜40nmである請求項1記載のインクジェット記録媒体。
  3. 該湿潤液中のコロイダルシリカ100質量部に対するポリビニルアルコールの割合が、10〜100質量部であり、且つ湿潤液中の該ポリビニルアルコールの濃度が、0.5質量%以下である請求項1記載のインクジェット記録媒体。
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