JP2010094707A - H形鋼の圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな設備投資を行うことなく、断面積の小さいブルームから、効率よく広幅フランジの大形H形鋼を製造する。
【解決手段】ブルームを素材とし、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上げ圧延工程により製造するH形鋼の圧延方法において、ブルーム断面の長辺を高さ、短辺を幅とした場合に、ブルームの高さ方向がH形鋼のフランジ幅方向となるように、前記粗圧延工程で山形状の突部を有する割り込み孔型でブルームの高さ方向に割り込みを入れ、ブルームの高さ方向にフランジ幅を成形しつつ、最終の割り込み孔型によりブルームの高さに対して(1)式を満たすウェブ厚みまで割り込みを入れた後、ブルームの高さ方向を垂直にした姿勢のまま、台形状の突部を有する開孔型のウェブ内法拡幅孔型によりウェブ内法拡幅圧延を行い、粗形鋼片に造形する。
0.20≦Tc/Sh≦0.45 (1) Tc:最終の割り込み孔型で圧延後のウェブ厚み、Sh:ブルームの高さ。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的に比較的小形のH形鋼用の素材鋼片として用いられる角形断面鋼片(以下、「ブルーム」と称する)から、フランジ幅250mmを超え、ウェブ高さ500mm以上の広幅フランジを有する大形H形鋼を効率よく製造するための圧延方法に関するものである。
一般に、圧延により製造される小形のH形鋼の製造では、素材鋼片としてブルームなどの角形断面鋼片(角形鋼片)が使用されることが多い。一方、大形のH形鋼の製造ではスラブやビームブランクが使用される。製鋼工程の生産性、製造コストからは鋼片断面を集約することが望ましく、1つの鋼片断面から幅広いシリーズのH形鋼を製造できることが望ましい。
H形鋼の製造は一般に、図6に例示されるように、粗圧延機1による粗圧延工程16、粗ユニバーサル圧延機2およびエッジャー圧延機3を用いる中間圧延工程17、並びに仕上げユニバーサル圧延機4を用いる仕上げ圧延工程18により行われる。このうち、小形H形鋼や細幅系列の大形H形鋼が主体の工場では、粗圧延工程16は1基または複数基の二重式の粗圧延機1で行われ、中間圧延工程17および仕上げ圧延工程18としては、図6(a)のように2基の粗ユニバーサル圧延機2をタンデム配置にしてリバース圧延を行ったり、図6(b)のように複数のユニバーサル圧延機2あるいは4とエッジャー圧延機3を一列に配置し連続圧延を行ったりする。その場合、素材鋼片としては多品種との共用性を考慮してブルームが多く用いられる。
ここで、ブルーム5を素材とするH形鋼の製造方法を図7で説明する。まず、粗圧延機1で、ブルーム5を転回しながら複数のボックス孔型により造形角6を成形した後、複数の孔型によって粗形鋼片7に成形する。次いで、粗ユニバーサル圧延機2でウェブ厚みとフランジ厚みを整形し、エッジャー圧延機3でフランジ幅を整形し、最後に仕上げユニバーサル圧延機4でH形鋼8とする。
一般的に小形のH形鋼の製造においては、ブルームの幅SwはH形鋼のウェブ高さHよりも大きく、ブルームの高さShもH形鋼のフランジ幅Bよりも1.5倍以上必要である。したがって、
Sw×Sh>1.5×H×B
となり、製品の見かけ断面積(H×B)が素材断面積Sw×Shの約70%を超えるH形鋼は製造できない。このように、同一ブルームから製造できるH形鋼のシリーズには制約がある。
近年、建築物の大型化や大スパン化が進展し、H形鋼需要に占めるウェブ高さやフランジ幅の大きい大形H形鋼の比率が高まっている。そこで、こうした工場で素材を偏平断面鋼片(スラブ)に変更して大形H形鋼を製造しようとすると、粗圧延機1のロールリフト量が不足するため、粗圧延機1を更新しなければならない。また、ビームブランクを使用する方法もあるが、新たに製鋼工程に大きな設備投資が必要となる。そこで、同一のブルーム断面から広幅フランジの大形H形鋼まで製造できるようにすることが望ましい。
これに対して、特許文献1では、ブルームを孔型圧延により粗形鋼片に造形するにあたり、必要以上にフランジ幅を縮小しないように孔型圧延におけるフランジ幅を断面積に基づく数式により調整して圧延した後、ユニバーサル圧延で凸形状の竪ロールを用いて圧延することにより、見かけ断面積(H×B)が素材断面積に対して100%を超える(実施例では108%まで)H形鋼の製造が可能となったとしている。しかし、特許文献1では、その実施例(ブルームは高さ210mm、幅160mmで、H形鋼はウェブ高さ200mm、フランジ幅182mm)のように小形のH形鋼を対象としており、そのまま広幅フランジの大形H形鋼に適用することは困難である。
また、特許文献2には、ブルームから比較的大きなH形鋼を製造するための粗形鋼片の製造方法が開示されている。その方法は、ブルームの幅方向の拡がりを拘束しつつ、ブルームの上面および下面の中央部に溝を形成する第一工程と、ブルームの幅方向の拡がりを拘束しないでウェブのみを圧下して、前記の溝を拡大する第二工程と、複数の閉孔型によって溝をさらに拡大すると共にフランジ厚を薄くする第三工程とから構成するものである。この方法では、ウェブ内法の拡幅圧延に複数の閉孔型を使用して圧延するために以下のような課題があり、大きなウェブ内法の増加が容易に行えない。
すなわち、フランジ外面と孔型側壁との接触が上下フランジで非対称であるうえ、各孔型に十分にフランジを充満させるという閉孔型の本来機能から1孔型あたりの拡幅量は十分大きくできない。また、複数の閉孔型で圧延するために、圧延前のフランジ断面形状が上下フランジで異なるので拡幅の対称性が損なわれやすく、1孔型あたりの拡幅量が大きくできない。加えて、閉孔型を多数配置する場合には隣合う閉孔型どうしの間隔が大きくなり、ロール胴長内に配置できる拡幅孔型数も少なくなる。こうした理由により、製造可能なH形鋼のシリーズ範囲は、その実施例からわかるように、0.83×(Sw×Sh)≧H×B(H形鋼の例では、ウェブ高さ500mm、フランジ幅200mmおよびウェブ高さ350mm、フランジ幅250mm)までであり、さらにウェブ高さやフランジ幅の大きい(素材断面積に対して製品の見かけ断面積(H×B)が110%以上の)大形H形鋼の製造は困難である。
このように、小形H形鋼の製造工程では多品種との共用性を考慮すると鋼片としてはブルームが有利であるが、同一断面のブルームから製造できるシリーズを増やして大形のH形鋼を製造しようとすると、製造できるシリーズに制約が大きい。
なお、特許文献3にはスラブを素材として大形のH形鋼の製造方法が開示されているが、この場合、スラブの短辺部に割り込みを入れて押し広げ、その厚み方向(ブルームで定義した幅方向)にフランジ幅を生成し、スラブの長辺方向(ブルームで定義した高さ方向)をウェブ高さとしているように圧延方法がブルームを素材とした場合と異なるうえ、その実施例より、製造できるH形鋼の見かけ断面積(H×B)は最大でも素材断面積の1.07倍しかない。
特開昭59−229202号公報 特開平5−7901号公報 特開2003−10902号公報
こうした状況から、小形H形鋼と細幅系列の大形H形鋼が主体の工場で、ウェブ高さやフランジ幅の大きい大形H形鋼を製造するために、ブルームの断面寸法を大きくすることも考えられるが、小形H形鋼に対して、粗圧延工程のパス回数が多くなったり、孔型への充満が過剰となって孔型から噛み出しが生じたり、製品の伸び長さが大きくなりすぎたりして製造に問題が生じる。また、製鋼工程の設備改造が必要となる。
本発明は、このような課題を解決するために、大きな設備投資を行うことなく、断面積の小さいブルームから、素材断面積に対して製品の見かけ断面積(H×B)が110%以上にもなるようなフランジ幅250mmを超え、ウェブ高さ500mm以上の広幅フランジの大形H形鋼を効率よく製造する方法を提供するものである。
発明者らは数値解析や実験により孔型圧延でのメタルフローを詳細に検討し、断面積の小さいブルームから効率的にフランジ幅とウェブ高さの大きい粗形鋼片を成形する方法を検討した結果、以下の知見を得た。
まず、小さな断面のブルーム5から広幅のフランジを成形可能とするために、ブルーム5の幅方向をフランジ幅方向として割り込み圧延を行い、ウェブ内法の大きな拡幅を行うために、その姿勢のまま開孔型でウェブ内法拡幅圧延を行うことが有利であることがわかった。
また、図5(a)に示す割り込み孔型12による割り込み圧延後の中間鋼片9のウェブ厚みTcを変化させ、次に、図5(b)に示す台形状の突部を有する開孔型13でウェブ内法の拡幅を行いつつ、ブルーム高さShの15%のウェブ厚みTwまで圧下を行った。この場合について、ブルームの高さShに対する比Tc/Shと、ブルーム高さShに対して生成されるフランジ幅B1の比B1/Shの関係の一例を図5(c)に示す。
図5より、割り込み孔型12でのブルーム5の高さ方向の圧下量を増やした方が大きなフランジ幅の確保が容易なこと、すなわち、Tc/Shを小さくすることで開孔型13によるウェブ内法拡幅圧延でのフランジ断面の長手方向への延伸(フランジ幅引けとフランジ厚みの減少)が抑制されることが明らかとなった。また、Tc/Shを小さくすることで、開孔型13で上下左右対称にウェブ内法が拡幅されやすくなった。一方、ウェブ厚みの小さい方が拡幅の際のフランジ断面積減少は小さいが、拡幅孔型でのリバース圧延でウェブ厚の圧下を行うことによってウェブ高さが増加する効果もあることから、Tc/Shを小さくしすぎてウェブ厚みの圧下が少なくなるとウェブ高さの増加が不十分になる。したがって、Tc/Shの値には、フランジ断面積の減少を小さくし、かつ、ウェブ内法を拡幅しやすい、大形H形鋼を圧延するのに適当な値の範囲が存在することがわかった。
なお、図3に示す割り込み孔型12の突部の高さDを製品のフランジ片幅に対して大きくすることで広幅のフランジの生成に有利である。
次に、ウェブ拡幅孔型では孔型のウェブ内法をブルームの幅Swに対して、所定の範囲に設定することにより圧下したメタルを効率的にウェブ高さ方向に移動させることができ、少ない孔型で大きなウェブ高さの拡幅が行えることがわかった。
こうした結果に基づき、一定のブルーム断面から製造可能となる従来よりも大きいH形鋼シリーズとの関係を見出した。
すなわち、本発明の要旨は、上記の知見に基づいて成されたもので以下のとおりである。
(1)ブルームを素材とし、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上げ圧延工程により製造するH形鋼の圧延方法において、ブルーム断面の長辺を高さ、短辺を幅とした場合に、ブルームの高さ方向がH形鋼のフランジ幅方向となるように、前記粗圧延工程で山形状の突部を有する割り込み孔型でブルームの高さ方向に割り込みを入れ、ブルームの高さ方向にフランジ幅を成形しつつ、最終の割り込み孔型によりブルームの高さに対して(1)式を満たすウェブ厚みまで割り込みを入れた後、ブルームの高さ方向を垂直にした姿勢のまま、台形状の突部を有する開孔型のウェブ内法拡幅孔型によりウェブ内法拡幅圧延を行い粗形鋼片に造形することを特徴とするH形鋼の圧延方法。
0.20≦Tc/Sh≦0.45 ・・・(1)
ここで、Tc:最終の割り込み孔型で圧延後のウェブ厚み、Sh:ブルームの高さ。
(2)前記ブルームとH形鋼の断面寸法の関係が(2)〜(4)式を満たすことを特徴とする前記(1)に記載のH形鋼の圧延方法。
71≦(Sw×Sh)/(H×B)≦0.91 ・・・(2)
0.40≦Sw/H≦0.63 ・・・(3)
1.43≦Sh/B≦1.82 ・・・(4)
ここで、Sh:ブルームの高さ、Sw:ブルームの幅、H:H形鋼のウェブ高さ、B:H形鋼のフランジ幅。
(3)前記粗圧延工程において、3つ以上のウェブ内法拡幅孔型により順次ウェブ内法を広げて粗形鋼片に造形することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のH形鋼の圧延方法。
(4)前記粗形鋼片のウェブ外法がブルームの幅に対して合計で300mm以上大きいことを特徴とする前記(3)に記載のH形鋼の圧延方法。
(5)前記最終の割り込み孔型の突部の高さが製品のフランジ片幅に対して90%以上を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のH形鋼の圧延方法。
(6)粗ユニバーサル圧延機の第1パスでウェブ内法を拡幅することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のH形鋼の圧延方法。
本発明により、小形H形鋼と細幅系列の大形H形鋼が主体の工場においても、製鋼工場や粗圧延機への投資を行うことなく、既存のブルームを用いて従来は成形が困難であったフランジ幅およびウェブ高さの大きい大形H形鋼用の粗形鋼片が造形でき、従来よりも大形のH形鋼の製造が可能となる。
図6(a)のように粗圧延機1、粗ユニバーサル圧延機2、エッジャー圧延機3、および仕上げユニバーサル圧延機4によりH形鋼を製造する場合を代表例として、本発明の粗圧延方法を説明する。
本発明においては、図1に示すように断面寸法が幅Sw、高さSh(Sh>Sw)のブルーム5を素材として、上下ロールからなる二重式の粗圧延機1に配置した図2のような複数の孔型により圧延を行う。まず、中央部に山形状の突部を有する割り込み孔型11で図3(a)のようにブルーム5の高さ方向に圧下を行い、割り込み溝を入れる。次に、その割り込み溝をさらに大きい山形状の突部を有する割り込み孔型12で図3(b)のように深く割り込み、中間鋼片9に造形する。続いて、複数配置した台形状の突部を有する開孔型のウェブ内法拡幅孔型13〜15で中間鋼片9の割り込み溝を順次ウェブ高さ方向に押し広げて、ウェブ内法の拡大を行う。
ここで、最終の割り込み孔型12では、図3(b)に示すように割り込み圧延後のウェブ厚みTcがブルーム高さShに対する比でTc/Sh=0.20〜0.45になるまで圧下を行う。こうすることで、ウェブ内法拡幅圧延でのフランジ断面積の減少を抑制でき、ウェブ内法拡幅圧延後のフランジ幅を大きく確保できる。また、ウェブ内法拡幅圧延でのウェブ厚圧下によるウェブ高方向のメタルフローが過剰にならず、フランジ外側中央部が孔型から噛み出すことを防止できる。さらに、割り込み圧延後にウェブがフランジよりも先行したクロップが成形されるため、開孔型でウェブのコーナー部を圧下してウェブ内法を拡幅しても、長さ方向の端部で発生しやすい噛み出しも抑制できる。Tc/Shが0.45よりも大きい場合は、ウェブ内法の拡幅圧延の際にフランジの延伸によるフランジ幅の減少が大きくなり、特に、フランジ幅250mmを超える広幅フランジの成形が困難となる。また、ウェブ内法拡幅圧延でフランジ外側中央部が孔型から噛み出しやすくなる。一方、Tc/Shが0.20よりも小さいと、ウェブ内法拡幅圧延でのウェブ厚圧下が少なくなりすぎるために、複数のウェブ拡幅孔型でウェブ高さの拡幅を行うにあたって、ウェブ厚み圧下によるウェブ高さの拡幅効果が小さくなる。すなわち、Tc/Shの値には、フランジ断面積の減少を小さくし、かつ、ウェブ内法を拡幅しやすい、大形H形鋼を圧延するのに適当な値の範囲があり、0.20≦Tc/Sh≦0.45である。さらに、この範囲内で、中間・仕上げ圧延工程で効率的かつ安定的にフランジ幅を整形するには、Tc/Shは0.40以下であることが好ましく、最も効果が大きいのはTc/Sh=0.25〜0.35の範囲である。ところで、最終の割り込み孔型12の孔底幅は、特許文献2にも記載されているとおり、第1の割り込み孔型の孔底幅よりも大きくし、ウェブ高方向の拡がりを拘束しすぎないほうが望ましい。
ここで、本発明で製造される大形H形鋼8とブルーム5の断面寸法の関係を図1に示す。このように、ブルーム5断面の長辺を高さSh、短辺を幅Swとした場合に、ブルーム5の高さ方向がH形鋼のフランジ幅方向となるように、前記粗圧延工程で山形状の突部を有する割り込み孔型でブルーム5の高さ方向に割り込みを入れ、ブルーム5の高さ方向にフランジ幅を成形しつつ、最終の割り込み孔型12によりブルーム5の高さに対して0.20≦Tc/Sh≦0.45を満たすウェブ厚みまで割り込みを入れた後、ブルーム5の高さ方向を垂直にした姿勢のまま、台形状の突部を有する開孔型のウェブ内法拡幅孔型によりウェブ内法拡幅圧延を行うので、次の(2)’〜(4)’式で表される範囲で一定のブルーム5断面から広幅フランジの大形H形鋼8が製造できる。なお、以下の式においてShはブルーム5の高さ、Swはブルーム5の幅、HはH形鋼のウェブ高さ、BはH形鋼のフランジ幅をそれぞれ表す。
1×(Sw×Sh)≦H×B≦1.4×(Sw×Sh) ・・・(2)’
1.6×Sw≦H≦2.5×Sw ・・・(3)’
0.55×Sh≦B≦0.70×Sh ・・・(4)’
(2)’、(3)’および(4)’式の各左辺は従来技術の上限である。本発明により、一定のブルーム5断面から従来技術以上にウェブ高さの高い広幅フランジの大形H形鋼8が圧延で製造できることになった。ただし、上限は存在し、(2)’、(3)’および(4)’式の各右辺である。
(2)’〜(4)’式の各式を変形することにより、簡単に(2)
〜(4)式を得ることができる。
71≦(Sw×Sh)/(H×B)≦0.91 ・・・(2)
0.40≦Sw/H≦0.63 ・・・(3)
1.43≦Sh/B≦1.82 ・・・(4)
逆に、目的とする最大製品シリーズが決まれば(2)
〜(4)式で決まるブルーム5断面を用いればよいことになり、同一断面の鋼片から製造するその他の小形のH形鋼製品を考慮して最適なブルーム5の断面寸法を決定する。(2)〜(4)式の上限は、それよりも大きくなれば従来の圧延方法で製造できる可能性があり、(2)〜(4)式の下限は、それ未満になるとウェブ内法拡幅孔型の数が多くなりすぎて粗圧延機1の増設が必要になる上、ブルーム5からの製造よりもスラブやビームブランクからの製造の方が効率的になる。また、広幅のフランジを生成するためには、最終の割り込み孔型12の突部の高さDが製品のフランジ片幅F(図1に示す)に対して90%以上とすることが望ましい。最終的には、割り込み孔型12でフランジ幅を必要以上に圧下しないように、かつ、少なくとも割り込み孔型の最終パスではフランジ先端が孔型に充満するように、製品フランジ幅とTc/Shに応じて深さDを決定する。この場合、最終の割り込み孔型12の突部の高さDを製品のフランジ片幅Fに対して90%以上とすると、Tc/Sh≦0.45とした効果が顕著となる。
次に、図4(a)に示すように台形状の突部を有する第1のウェブ内法拡幅孔型13で中間鋼片9の割り込み溝をウェブ高さ方向に押し広げて、ウェブ内法の拡大を行う。この場合、効率的にウェブ高さの拡幅を行うためには、第1ウェブ内法拡幅孔型13の内幅W1をブルーム5の幅Swに対して、0.5≦W1/Sw≦0.7に設定することが好ましい。また、ウェブ内法拡幅圧延でフランジ外側中央部が孔型から噛み出すことをより効果的に抑制できる。ここでは、図4のように内幅Wは台形状の突部のコーナーRを挟む両側の直線あるいは曲線どうしの交点の左右間隔で定義する。W1/Swが0.5よりも小さい場合には、所定の拡幅量を得るのに多数のウェブ内法拡幅孔型が必要になり、W1/Swが0.7よりも大きい場合には、フランジ先端から接触が始まりフランジ断面の減少が著しく、噛み込み角も大きくなるため対称な拡幅が損なわれやすくなる。本発明ではウェブ内法拡幅孔型は開孔型としており、第1パスではフランジ内面を孔型の突部により押し広げてウェブ内法を拡幅し、フランジ外側は孔型に必ずしも充満させる必要はない。むしろ、第1パスではフランジ外側は未充満としておき、同一孔型でのリバース圧延でウェブ厚を圧下することでウェブ内法の増加させることが望ましい。
続く第2ウェブ内法拡幅孔型14でも図4(b)のように圧延を行い、内幅W2は同様な理由で0.9≦W2/Sw≦1.1に設定することが好ましい。さらに、例えば図4(c)に示すように、第3のウェブ内法拡幅孔型15以降も必要なウェブ内法を有する粗形鋼片7を得るために、内幅を決めて順次拡幅圧延を行う。こうして、3つ以上の拡幅孔型でウェブ内法を拡幅して造形した粗形鋼片7のウェブ外法Woをブルームの幅に対して300mm以上大きくすることもできる。
本発明では、ブルーム5断面から限られた孔型数でウェブ高さ500mm以上のH形鋼を製造するので、1孔型あたりのウェブ高さの拡幅量を大きくするために、ウェブ内法拡幅孔型をすべて開孔型とする。また、同一の拡幅孔型でのリバース圧延によりウェブ厚み圧下を行うことによってウェブ内法が増加するため、次の拡幅孔型の内幅をより大きく設定できる。そして、ウェブ内法拡幅孔型数を3つ以上とすることでウェブ高さ500mm以上のH形鋼を製造するためのウェブ内法の拡幅が行いやすくなる。一方、ウェブ内法拡幅孔型の数を多くすれば、1孔型あたりのウェブ高さの拡幅量が少なくても目標のウェブ高さにまで造形できるが、6つ以上になると現実的には粗圧延機1に配置することが困難となる。そのために、1孔型あたりの拡幅量を大きくし、ウェブ内法拡幅孔型数を少なくするために内幅が適正条件を満たすことやリバース圧延でウェブ厚を圧下することが好ましくなる。
ここでは、粗圧延工程16の孔型を1基の粗圧延機1に配置する例で説明したが、図6(b)のように複数の粗圧延機1に孔型を配置して圧延してももちろんよい。また、粗圧延機1の孔型配置は図2に限定するものではない。図2では第2ウェブ内法拡幅孔型14と第3ウェブ内法拡幅孔型15とはフランジ部を共有する孔型配置としたが、それぞれ独立した孔型としてもよい。さらには、第2番目以降のウェブ内法拡幅孔型では、ウェブ部を他のウェブ内法拡幅孔型と共用するようにラップして配置することも可能である。
こうして圧延成形した粗形鋼片7を、中間・仕上げ圧延工程17、18において、粗ユニバーサル圧延機2でウェブ厚みとフランジ厚みを整形し、エッジャー圧延機3でフランジ幅を整形し、最後に仕上げユニバーサル圧延機4でH形鋼8とする。ここで、第1の粗ユニバーサル圧延機の水平ロール胴幅を最終のウェブ内法拡幅孔型の内幅よりも大きくし、その第1パスで粗形鋼片7のウェブ内法を拡幅することも有効である。
中間・仕上げ圧延工程17、18としては、図6(a)のように2基の粗ユニバーサル圧延機2をタンデム配置にしてリバース圧延としても、図6(b)のように連続スタンド配置にしてもよく、これらに限定しない。中間・仕上げ圧延工程17、18の圧延機が大形の製品に対応していない場合には、後者では一部の圧延機を改造することによりリバース圧延で製造する方法もある。
(実施例1)
幅300mm、高さ450mmのブルームを用いてウェブ高さ500mm、フランジ幅300mmシリーズのH形鋼を製造した。この場合、(Sw×Sh)/H×B=0.90、Sw/H=0.60、Sh/B=1.50である。まず、ブルームの高さ方向に溝付けをした後、高さ130mmの突部を有する割り込み孔型12でTc/Sh=0.38となるウェブ厚みまでブルームの高さ方向に割り込みを入れた。次に、台形状の突部を有する3つの開孔型でブルーム幅に対して310mmのウェブ高さの拡幅を行い、粗形鋼片を製造した。これを中間・仕上げユニバーサル圧延工程で圧延し良好な寸法形状の製品を得た。なお、従来の圧延方法では、同寸法のブルームでは、ウェブ高さ500mmの場合、フランジ幅225mmまでしか製造できなかった。
(実施例2)
幅300mm、高さ500mmのブルームを用いて、その高さ方向に溝付けをした後、高さ145mmの突部を有する割り込み孔型でTc/Sh=0.35となるウェブ厚みまでブルームの高さ方向に割り込みを入れた。次に台形状の突部を有する4つの開孔型(それぞれの孔型内幅は、順に190mm、310mm、420mm、525mm)でブルーム幅に対して420mmのウェブ高さの拡幅を行い、ウェブ高さ600mm、フランジ幅300mmシリーズのH形鋼用の粗形鋼片に圧延した。このときの粗形鋼片の寸法はウェブ外法720mm、フランジ幅320mm、ウェブ厚40mm、フランジ厚75mmであり、ウェブ高さ600mm、フランジ幅300mmのH形鋼には十分な寸法形状であった。この場合、(Sw×Sh)/(H×B)=0.83、Sw/H=0.50、Sh/B=1.67である。
また、さらに1つの開孔型を追加し、粗ユニバーサル圧延機の第1パスと合わせて120mmのウェブ内法拡幅を行うことにより、ウェブ高さ700mm、フランジ幅300mmシリーズのH形鋼用の粗形鋼片も製造できた。
なお、従来の圧延方法では、同寸法のブルームではウェブ高さ350mm、フランジ幅300mmまでしか製造できなかった。
素材ブルームと粗形鋼片、製品断面の関係の説明図である。 本発明の粗圧延方法の説明図である。 本発明の割り込み孔型による圧延方法の説明図である。 本発明のウェブ拡幅孔型による圧延方法の説明図である。 本発明のウェブ拡幅圧延でのフランジ幅変化の説明図である。 H形鋼の製造プロセスの説明図である。 従来の圧延方法の説明図である。
符号の説明
1.粗圧延機
2.粗ユニバーサル圧延機
3.エッジャー圧延機
4.仕上げユニバーサル圧延機
5.ブルーム
6.造形角
7.粗形鋼片
8.H形鋼
9.中間鋼片
10.中間鋼片
11.第1割り込み孔型
12.最終割り込み孔型
13.第1ウェブ内法拡幅孔型
14.第2ウェブ内法拡幅孔型
15.第3ウェブ内法拡幅孔型
16.粗圧延工程
17.中間圧延工程
18.仕上げ圧延工程
Tc.最終の割り込み孔型で圧延後のウェブ厚み
Sh.ブルームの高さ
Sw.ブルームの幅
H.H形鋼のウェブ高さ
B.H形鋼のフランジ幅

Claims (6)

  1. ブルームを素材とし、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上げ圧延工程により製造するH形鋼の圧延方法において、ブルーム断面の長辺を高さ、短辺を幅とした場合に、ブルームの高さ方向がH形鋼のフランジ幅方向となるように、前記粗圧延工程で山形状の突部を有する割り込み孔型でブルームの高さ方向に割り込みを入れ、ブルームの高さ方向にフランジ幅を成形しつつ、最終の割り込み孔型によりブルームの高さに対して(1)式を満たすウェブ厚みまで割り込みを入れた後、
    ブルームの高さ方向を垂直にした姿勢のまま、台形状の突部を有する開孔型のウェブ内法拡幅孔型によりウェブ内法拡幅圧延を行い粗形鋼片に造形することを特徴とするH形鋼の圧延方法。
    0.20≦Tc/Sh≦0.45 ・・・(1)
    ここで、Tc:最終の割り込み孔型で圧延後のウェブ厚み、Sh:ブルームの高さ。
  2. 前記ブルームとH形鋼の断面寸法の関係が(2)〜(4)式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のH形鋼の圧延方法。
    71≦(Sw×Sh)/(H×B)≦0.91 ・・・(2)
    0.40≦Sw/H≦0.63 ・・・(3)
    1.43≦Sh/B≦1.82 ・・・(4)
    ここで、Sh:ブルームの高さ、Sw:ブルームの幅、H:H形鋼のウェブ高さ、B:H形鋼のフランジ幅。
  3. 前記粗圧延工程において、3つ以上のウェブ内法拡幅孔型により順次ウェブ内法を広げて粗形鋼片に造形することを特徴とする請求項1または2に記載のH形鋼の圧延方法。
  4. 前記粗形鋼片のウェブ外法がブルームの幅に対して合計で300mm以上大きいことを特徴とする請求項3に記載のH形鋼の圧延方法。
  5. 前記最終の割り込み孔型の突部の高さが製品のフランジ片幅に対して90%以上を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のH形鋼の圧延方法。
  6. 粗ユニバーサル圧延機の第1パスでウェブ内法を拡幅することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のH形鋼の圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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