JP2010051162A - Pmモータの制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】周期的な外乱であるトルクリプルを精度よく抑制することができるPMモータの制御方法及び制御装置を提供すること。
【解決手段】本制御装置は、モータ角速度ω、非線形摩擦補償トルクTf(ω)、及びモータトルク指令値Tref等からトルクリプル値を推定するトルクリプル推定手段と、第1のスイッチを外乱1周期の間のみオンにして、トルクリプル推定手段によって推定したトルクリプル値から繰り返し補償信号を生成し、かつ、周期外乱データをメモリに保存し、第2のスイッチをオンにして、周期外乱データを、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号として順番に出力することで補償を行う周期信号発生器とを備えている。
【選択図】図8
【解決手段】本制御装置は、モータ角速度ω、非線形摩擦補償トルクTf(ω)、及びモータトルク指令値Tref等からトルクリプル値を推定するトルクリプル推定手段と、第1のスイッチを外乱1周期の間のみオンにして、トルクリプル推定手段によって推定したトルクリプル値から繰り返し補償信号を生成し、かつ、周期外乱データをメモリに保存し、第2のスイッチをオンにして、周期外乱データを、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号として順番に出力することで補償を行う周期信号発生器とを備えている。
【選択図】図8
Description
本発明は、PMモータの制御装置及び制御方法に関する。より詳細には、本発明は、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御法を用いたPMモータのトルクリプルを抑制する制御に関する。
永久磁石同期モータ(PMSM)は、産業界で広く用いられている。しかしながら、PMモータを駆動させる場合には、当該PMモータにおけるトルクリプルの発生が問題となる。このトルクリプルを発生させる要因として、界磁磁極の構造に起因して存在し得る空間高調波が挙げられる。また、インバータのデッドタイム、電流センサのオフセット、及び測定誤差も、高調波を発生させる原因となり、当該高調波がトルクリプルを発生させる要因となる。このトルクリプルの発生によって、損失が増大して効率の悪化が生じたり、振動騒音が発生したりする。従って、このトルクリプルを抑制することが、PMモータの効率性及び制御性の観点から、不可欠なものであると考えられる。
各種モータにおけるトルクリプルに関する諸問題に対しては、従来から様々な研究開発が行われており、その測定法、解析、及び電流制御による補償など、多くの例がすでに提案されている。
埋込型永久磁石同期モータ(IPMSM)においては、高調波に同期した回転座標系でトルクリプルを抑制する方法が提案されている(非特許文献1参照)。また、高調波を含めたプラントモデルを用いることによって、誘起電圧が歪んでいるIPMSMにおけるトルクリプルを低減する手法が提案されている(非特許文献2参照)。更に、エンコーダ位置情報によりトルクリプルをモデル化したフィードフォワード補償による手法が提案されている(非特許文献3参照)。
K. Yoshimoto, Y. Kitajima: "A Novel Harmonic Current Control for IPMSMs", International Power Electronics Conference Niigata, pp. 2042-2048, 2005
Y. Kawano, A. Kawamura: "Analysis on Current Regulation for Torque Control for a Very Distorted CEMF Type IPSMS", Power Conversion Conference Nagoya, pp. 694-698, 2007
D. Kawase, M. Iwasaki, M. Kawafuku, H. Hirai: "Modeling and Compensation for Cogging Torque in Ball Screw-Driven Table System", IIC-08-131, pp. 88-94, 2008 (in Japanese)
T. Nakai, H. Fujimoto: "Proposal of harmonic current suppression method of PM motor based on repetitive perfect tracking control", SPC-07-37, pp. 37-42, 2007 (in Japanese)
河村篤男:「現代パワーエレクトロニクス」,数理工学社,2005年
K. Sakata, H. Fujimoto: "Perfect Tracking Control of Servo Motor Based on Precise Model Considering Current Loop and PWM Hold", T. IEEJapan, Vol. 127-D, No. 6, pp. 587-593, 2007 (in Japanese)
H. Fujimoto, Y. Hori, A. Kawamura: "Perfect Tracking Control Method Based on MultirateFeedforward Control", T. SICE, Vol. 36, No. 9, pp. 766-772, 2000 (in Japanese)
しかしながら、上記のようなPMモータのトルクリプルの抑制制御において、サンプル点ごとに数ms程度の応答の遅れが生じるという問題点があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御を施すことによって、周期的な外乱であるトルクリプルを精度よく抑制することができるPMモータの制御装置及び制御方法を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の一態様は、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御法を用いたPMモータのトルクリプルを抑制する制御装置であって、モータ角速度ωと非線形摩擦補償トルクTf(ω)とモータトルク指令値Trefと測定可能な
とに基づいてトルクリプル値
を推定するトルクリプル推定手段と、第1のスイッチを外乱1周期の間のみオンにして、トルクリプル推定手段によって推定したトルクリプル値から繰り返し補償信号を生成し、かつ、周期外乱データをメモリに保存し、第2のスイッチをオンにして、周期外乱データを、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号として順番に出力することで補償を行う周期信号発生器とを備えたことを特徴とする。
ここで、本制御装置において、トルクリプル推定手段によって推定されるトルクリプル値は、以下の式
から算出され、メモリに保存される周期外乱データは、Td/Ts個(Td:外乱周期、Ts:ディジタル信号プロセッサの制御周期)とすることができる。
また、本制御装置において、周期信号発生器の出力に、非周期外乱を除去するためのQフィルタを更に備えることができる。
本発明の別の態様は、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御法を用いたPMモータのトルクリプルを抑制する制御方法であって、モータ角速度ωと非線形摩擦補償トルクTf(ω)とモータトルク指令値Trefと測定可能な
とに基づいてトルクリプル値
を推定するトルクリプル推定ステップと、第1のスイッチを外乱1周期の間のみオンにして、トルクリプル推定ステップによって推定したトルクリプル値から繰り返し補償信号を生成し、かつ、周期外乱データをメモリに保存し、第2のスイッチをオンにして、周期外乱データを、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号として順番に出力することで補償を行う、周期信号発生器による外乱補償信号出力ステップとを有することを特徴とする。
ここで、本制御方法において、トルクリプル推定ステップで推定されるトルクリプル値は、以下の式
から算出され、メモリに保存される周期外乱データは、Td/Ts個(Td:外乱周期、Ts:ディジタル信号プロセッサの制御周期)とすることができる。
また、本制御方法において、周期信号発生器の出力に取り付けられたQフィルタにより、非周期外乱を除去する非周期外乱除去ステップを更に有することができる。
本発明によれば、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御を施すことによって、周期的な外乱であるトルクリプルを精度よく抑制することが可能となり、サンプル点ごとの応答の遅れを改善して目標値に追従させる制御を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態におけるモータモデル及び離散化について、以下において説明する。
まず、本発明の実施形態におけるモータモデル及び離散化について、以下において説明する。
<dqモデル>
本発明の実施形態では、モータモデルとして、dqモデル(すなわち、dq座標系)を用いる。当業者にとっては周知であるように、dq座標系において、d軸電流は励磁電流を表し、q軸電流はトルク電流を表す。
本発明の実施形態では、モータモデルとして、dqモデル(すなわち、dq座標系)を用いる。当業者にとっては周知であるように、dq座標系において、d軸電流は励磁電流を表し、q軸電流はトルク電流を表す。
ここで、dq座標系におけるPMSMの電圧方程式は、以下の式(1)によって表される。
ただし、vは電圧であり、Rは抵抗であり、Lはインダクタンスであり、ωは角速度であり、iは電流であり、Keは誘起電圧定数である。また、添え字のd及びqはそれぞれ、d軸及びq軸を表している。
PMSMが表面型永久磁石同期モータ(SPMSM)である場合、Ld=Lq=Lである。また、トルクT及び角速度ωは、電流idの値に関わらず、電流iqの値のみによって定まるので、電流iq、トルクT、及び角速度ωの関係は、以下の式(2)のようになる。
ただし、Ktはトルク定数である。これより、dq座標で表したSPMSMの制御ブロック図が、図1のように表される。
一般に、dqモデルで制御を行う場合、簡単化のため干渉項(COUPLING TERM)を打ち消すように、式(1)に、以下の式(3)及び(4)を適用して、非干渉制御(DECOUPLING CONTROL)を施す。
弱め界磁制御は行わず、idの値が0に保たれていると仮定すると、q軸のプラントをDCモータモデルとみなすことができる。このとき、電流指令値から出力電流までの特性は、図2に示すように、一次遅れ系となる。
ここで、状態変数xを電流iとし、入力uを電圧v’とすると、連続時間系の状態方程式は、以下の式(5)となる。
ただし、AC=−R/Lであり、BC=1/Lであり、CC=1である。
<PWMホールドに基づく離散化>
図3は、単相インバータの一例を示している。この例において、任意の出力電圧V[k]は出力することができず、0か、又はインバータの直流印加電圧±E[V]のみが出力される。これをPWMホールド(非特許文献5参照)ととらえ、そのパルス幅を制御することを考える。
図3は、単相インバータの一例を示している。この例において、任意の出力電圧V[k]は出力することができず、0か、又はインバータの直流印加電圧±E[V]のみが出力される。これをPWMホールド(非特許文献5参照)ととらえ、そのパルス幅を制御することを考える。
制御対象の状態方程式を以下の式(6)とすると、以下の式(7)に示すように、スイッチング時間ΔT[k]を制御入力u[k]とした、より緻密な離散化モデルを作成することができる。
ここで、
であり、
であり、CS=CCである。ただし、ΔT[k]が負のときは、−E[V]を出力することにする。
ここで、制御対象をSPMSMとした場合、dqモデルから制御系を設計するので、制御入力は、dq座標系でのスイッチング時間となるが、インバータとして3相インバータを用いるので、3相系でのPWMパルスを出力するための制御入力を導出し(非特許文献6参照)、当該制御入力を用いる。
<トルクリプル成分の抽出>
トルクリプルの抑制を行うために、SPMSMを用いてトルクリプルを測定する。
トルクリプルの抑制を行うために、SPMSMを用いてトルクリプルを測定する。
非特許文献3において、一定速度駆動試験時のモータトルク指令値には、トルクリプル及び非線形摩擦の補償トルクが含まれていることが記載されている。更に、当該モータトルク指令値には、速度脈動分の加速トルクも含まれていることが記載されている。従って、一定速度駆動試験のモータトルク指令値からトルクリプル以外の成分を除去することにより、トルクリプルの抽出を行う。更に、負荷側を速度制御して一定速度駆動とした上で、メインのモータをトルク制御して、トルクリプルの抽出を行う。
非線形摩擦トルクが、モータ角速度ωの関数として表されるものとすると、モータの運動方程式は、以下の式(8)のようになる。
ただし、Trefはモータトルク指令値であり、Tf(ω)は、角速度ωの関数で定義される非線形摩擦補償トルクであり、Tr(θ)は、モータ位置に依存するトルクリプルである。
上述したように、負荷側で速度制御をしているので、定常状態においては、
及びTr(θ)について時間的な平均をとると、0になる。従って、上記の式(8)より、モータトルク指令値からTf(ω)を求めることができる。
図4は、モータ角速度ωに対するTf(ω)をプロットしたグラフを示している。ただし、ωはモータの電気角における角速度である。また、このグラフの横軸は、角速度ω[rad/s]であり、このグラフの縦軸は、非線形摩擦補償トルクTf(ω)[N・m×10-3]である。モータ角速度ωに対するTf(ω)のプロットから割り出した回帰曲線が、このグラフに示されている。これにより、モータ角速度ωに対するTf(ω)の値が既知となる。すなわち、関数Tf(ω)が既知となる。また、
は、測定可能な項である。
従って、トルクリプル推定値を
とすると、既知となった関数Tf(ω)、モータトルク指令値Tref、及び測定可能な
、並びに式(8)を用いることにより、
を、以下の式(9)から求めることができる。
図5は、式(9)に基づいて抽出したトルクリプルの推定波形のグラフを示している。このグラフでは、横軸がモータ位置θ[rad]を表し、縦軸がトルクリプル(Torque)[N・m]を表している。また、5[Hz]、10[Hz]、及び25[Hz]という3つの凡例は、駆動周波数を電気角で表している。図示するように、モータ速度が変化しても、モータ位置θに対するトルクリプルは変わらず、モータ角度のみに依存するトルクリプルの抽出が可能であることが確認できる。
図6は、駆動周波数が10Hz(電気角)である場合における、トルクリプル測定値の周波数解析結果(トルクリプルスペクトル)を示すグラフである。このグラフでは、横軸がモータ回転周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸がトルクリプル測定値(Torque)[N・m]を表している。図示するように、トルクリプルは、主に、モータ回転周波数の電気角2次、6次、12次、及び18次の成分であることが確認できる。
<制御系>
完全追従制御(PTC)法
図7は、PTC法に従う電流制御ブロック図を示している。図示するように、PTC法は、フィードフォワード制御器と、フィードバック制御器とから構成される、2自由度制御系である。フィードフォワード制御器は、プラントの安定な逆システムとなっており、ノミナルプラントに対しては、サンプル点上で完全に追従誤差が零になることが保証されている。外乱やプラント変動が存在する場合には、フィードバック制御器が追従誤差を抑圧する仕組みになっている。
完全追従制御(PTC)法
図7は、PTC法に従う電流制御ブロック図を示している。図示するように、PTC法は、フィードフォワード制御器と、フィードバック制御器とから構成される、2自由度制御系である。フィードフォワード制御器は、プラントの安定な逆システムとなっており、ノミナルプラントに対しては、サンプル点上で完全に追従誤差が零になることが保証されている。外乱やプラント変動が存在する場合には、フィードバック制御器が追従誤差を抑圧する仕組みになっている。
非特許文献7において、n次の制御対象に対しては、1サンプル点間にn回制御入力を切り替えるマルチレート制御により完全追従が保証されることが記載されている。図7に示す場合には、制御対象が1次であるので、通常のシングルレート制御によりPTCが実現される。
次にフィードフォワード制御器の設計について説明する。上記のPWMホールドを用いて、上記の式(5)を、制御入力周期Tuで離散化する。これにより、制御入力u[k]を時間入力ΔT[k]とした離散時間系のプラントである以下の式(10)が得られる。
ただし、
であり、
であり、C=1である。
よって、プラントの安定な逆モデルは、以下の式(11)となり、ノミナル出力は、以下の式(12)となる。
また、図7に示したCPI[z]は、PI制御器であり、極零相殺を用いて以下の式(13)のように設計したものを、制御周期TsでTustin変換を用いて離散化して構成している。ただし、τは1[ms]としている。
PTCに基づく電流制御法
図8は、本発明の実施形態に係るPMモータの制御装置における、PTCに基づく電流制御法に従うシングルレート制御系のブロック図を示している。PTCに基づく電流制御法は、上述したPTC法に繰り返し制御を適用したものであり、周期的な外乱を抑圧するためのものである(非特許文献4参照)。任意波形の指令値の場合には、PTCから、PTCに基づく電流制御に切り替えることで、切り替え前の良好な目標値追従特性も確保する構成となっている。
図8は、本発明の実施形態に係るPMモータの制御装置における、PTCに基づく電流制御法に従うシングルレート制御系のブロック図を示している。PTCに基づく電流制御法は、上述したPTC法に繰り返し制御を適用したものであり、周期的な外乱を抑圧するためのものである(非特許文献4参照)。任意波形の指令値の場合には、PTCから、PTCに基づく電流制御に切り替えることで、切り替え前の良好な目標値追従特性も確保する構成となっている。
図9は、本発明の実施形態に係るPMモータの制御装置における、スイッチの切り替えを示すタイミング図である。図示するように、このPTCに基づく電流制御法では、定常状態に達してから、スイッチ1(SWITCH1)を外乱(駆動)1周期の間のみオンにし、この間、スイッチ2(SWITCH2)をオフにする。これにより、繰り返し補償信号を生成し、その後は、この補償信号を順番に出力することで、繰り返し補償を行う。従って、このケースでは、フィードフォワード補償となる。
外乱周期Tdと、ディジタル信号プロセッサ(DSP)の制御周期Tsとを用いると、TdとTsとNd段のメモリとの関係は、Nd=Td/Tsとなる。このメモリに保存されるNd個のデータ(すなわち、周期外乱)は、図8に示した周期信号発生器(PSG:Periodic Signal Generator)を用いて、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号となって出力される。PSGは、外乱が急変しない限り適切な指令値を与え、周期外乱をサンプル点ごとに抑圧することができる。
[第1の実施形態 − 1次のモデルを用いた制御]
<制御系設計>
図10は、上述した1次のモデルを用いた、トルクリプルを含むモータモデルを示している。
<制御系設計>
図10は、上述した1次のモデルを用いた、トルクリプルを含むモータモデルを示している。
<シミュレーション1>
図10に示したようなモータに対して、本明細書で提案した手法を用いてシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、駆動周波数を電気角で10Hzとし、その2次、6次、12次、及び18次成分のトルクリプルとしてそれぞれ、12[mN・m]、22[mN・m]、4[mN・m]、及び4[mN・m]ずつ加えていった。シミュレーション開始後1.0sから学習を開始し、繰り返し補償については、シミュレーション開始後1.1sから開始した。上記の式(9)に従って繰り返し補償信号を生成し、トルクを直接測定可能として評価を行った。
図10に示したようなモータに対して、本明細書で提案した手法を用いてシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、駆動周波数を電気角で10Hzとし、その2次、6次、12次、及び18次成分のトルクリプルとしてそれぞれ、12[mN・m]、22[mN・m]、4[mN・m]、及び4[mN・m]ずつ加えていった。シミュレーション開始後1.0sから学習を開始し、繰り返し補償については、シミュレーション開始後1.1sから開始した。上記の式(9)に従って繰り返し補償信号を生成し、トルクを直接測定可能として評価を行った。
図11〜図13は、本シミュレーション結果のグラフを示している。図11(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによるトルクの経時変化(トルク波形)を示し、図11(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる
の経時変化を示している。図11(a)及び図11(b)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図12(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償前のトルクスペクトルを示し、図12(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示している。図12(a)及び図12(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図13(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、操作量の経時変化を示し、図13(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示している。図13(a)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸は操作量(uq)[s×10-6]を表している。図13(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸は操作量(u)[s×10-7]を表している。
以上のシミュレーション結果から、繰り返し補償を行うことによって、補償後にトルクリプルの影響が抑制されていることが確認できる。
<実験1>
本明細書で提案した手法を用いてトルクリプル抑制の実験を行った。本実験では、図1のブロック図により示されたSPMSMを用い、負荷側のモータで駆動周波数が電気角で10Hzとなるよう速度制御を行い、メインのモータでトルク制御を行った。本実験で用いたPMモータの各種パラメータの値は、以下の表1に示す通りである。
本明細書で提案した手法を用いてトルクリプル抑制の実験を行った。本実験では、図1のブロック図により示されたSPMSMを用い、負荷側のモータで駆動周波数が電気角で10Hzとなるよう速度制御を行い、メインのモータでトルク制御を行った。本実験で用いたPMモータの各種パラメータの値は、以下の表1に示す通りである。
また、本実験では、上記の式(9)に従って繰り返し補償信号を生成し、信号に含まれる非周期外乱を低減させるために、10周期分の平均値フィルタを用いた。更に、本実験では、センサによるノイズや非周期外乱を除去するために、Qフィルタと呼ばれるフィルタを、PSGの出力に取り付けた(図14参照)。また、上述したシミュレーションでは、デッドタイム補償等は考慮していないが、本実験においては、繰り返し補償前及び繰り返し補償後ともに、常にデッドタイム補償を行った状態にした。PSGの出力をr[k]とし、Qフィルタの出力をrf[k]とすると、r[k]とrf[k]との関係は、以下の式(14)により表される。
このQフィルタは、位相遅れのないローパスフィルタであり、上記の式(14)から分かるように、1サンプル先の値を必要とする。また、調節パラメータγの値が小さいほど、ロールオフが得られて安定性が増すが、繰り返し外乱に対する抑圧は失われる。本実験では、γ=2とし、カットオフ周波数を1.8kHzとした。本実験では、トルクセンサが低帯域であることから、トルクの実測値を用いることができないため、トルクの推定値と、速度脈動分の加速トルクとを用いて評価を行った。
図15〜図17は、本実験結果のグラフを示している。図15(a)は、本実施形態における実験による、トルクリプル推定値の経時変化を示し、図15(b)は、本実施形態における実験による、
の経時変化を示している。図15(a)及び図15(b)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図16(a)は、本実施形態における実験による、繰り返し補償前のトルクスペクトルを示し、図16(b)は、本実施形態における実験による、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示している。図16(a)及び図16(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図17(a)は、本実施形態における実験による、操作量の経時変化を示し、図17(b)は、本実施形態における実験による、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示している。図17(a)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸は操作量(uq)[s×10-5]を表している。図17(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸は操作量(u)[s×10-8]を表している。
以上の実験結果から、シミュレーション結果と同様、繰り返し補償を用いることによって、トルクリプル成分が抑圧できていることが確認できる。
[第2の実施形態 − 2次のモデルを用いた制御]
次に、2次のモデルを用いた制御について説明する。
次に、2次のモデルを用いた制御について説明する。
<制御系設計>
非干渉制御を行わない場合のPMSMにおけるq軸電流iqとq軸入力電圧vqとの関係、及びq軸電流iqと角速度ωとの関係はそれぞれ、以下の式(15)及び(16)により表される。
非干渉制御を行わない場合のPMSMにおけるq軸電流iqとq軸入力電圧vqとの関係、及びq軸電流iqと角速度ωとの関係はそれぞれ、以下の式(15)及び(16)により表される。
d軸電流が0に制御されていると仮定すると、iq及びωを状態変数とした制御対象の状態方程式は、以下の式(17)のようになる。
ただし、
であり、
であり、
である。上記の状態方程式を用いて、マルチレートフィードフォワード制御を行う。
次に、マルチレートフィードフォワード制御器の導出について説明する。周期Trで離散化された制御対象のA、B、C、及びD行列は、周期Tuで離散化された制御対象の可制御正準系状態方程式である以下の式(18)が得られると、以下の式(19)のように導出できる。
ここで、上記の式(19)のB行列は正則となるので、以下の式(20)及び(21)のようにマルチレート化することにより、1サンプル先の状態変数xd[i+1]を入力変数とする制御対象の安定な逆システムを実現できる。
これにより、ノミナルプラントに対して周期Trごとの完全追従が保証できる。
<シミュレーション2>
本実施形態における上記の制御則を用いてシミュレーションを行った。図18は、本実施形態に係るPMモータの制御ブロック図を示している。角速度ωの目標値は、ステップ状の指令値を、ローパスフィルタを通して得ている。定常値を電気角10Hzとなるようにし、ローパスフィルタの時定数を0.5秒とした。また、電流の目標値は、速度のフィードバックコントローラC2(s)を通して得られた電流指令値を用いている。その他のシミュレーション条件は、第1の実施形態におけるシミュレーション条件と同一である。
本実施形態における上記の制御則を用いてシミュレーションを行った。図18は、本実施形態に係るPMモータの制御ブロック図を示している。角速度ωの目標値は、ステップ状の指令値を、ローパスフィルタを通して得ている。定常値を電気角10Hzとなるようにし、ローパスフィルタの時定数を0.5秒とした。また、電流の目標値は、速度のフィードバックコントローラC2(s)を通して得られた電流指令値を用いている。その他のシミュレーション条件は、第1の実施形態におけるシミュレーション条件と同一である。
図19〜図22は、本シミュレーション結果のグラフを示している。図19(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、トルクの経時変化(トルク波形)を示し、図19(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、電流の経時変化(電流波形)を示し、図19(c)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、操作量の経時変化(操作量波形)を示している。図19(a)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表し、図19(b)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸は電流(i)[A]を表し、図19(c)において、横軸は時間(Time)[s]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図20(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償前のトルクスペクトルを示し、図20(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示している。図20(a)及び図20(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸はトルク(Torque)[N・m]を表している。また、図21(a)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償前の電流スペクトルを示し、図21(b)は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償後の電流スペクトルを示している。図21(a)及び図21(b)において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸は電流(i)[A]を表している。また、図22は、本実施形態におけるシミュレーションによる、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示している。図22において、横軸は周波数(Frequency)[Hz]を表し、縦軸は操作量(u)[s×10-7]を表している。
図20(a)及び図20(b)に示したシミュレーション結果から、2次、6次、12次、及び18次成分について抑圧できていることが確認できる。
以上説明したように、本発明によれば、完全追従制御(PTC)に基づく電流制御を施すことによって、周期的な外乱であるトルクリプルを精度よく抑制することが可能となり、サンプル点ごとの応答の遅れを改善して目標値に追従させる制御を行うことができる。
の経時変化を示すグラフである。
図10に示したモータモデルにおけるシミュレーション結果のグラフを示す図であり、(a)は、繰り返し補償前のトルクスペクトル、(b)は、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示すグラフである。
図10に示したモータモデルにおけるシミュレーション結果のグラフを示す図であり、(a)は、操作量の経時変化、(b)は、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示すグラフである。
センサによるノイズや非周期外乱を除去するためのQフィルタが取り付けられる周期信号発生器の制御ブロック図である。
図10に示したモータモデルにおける実験結果のグラフを示す図であり、(a)は、トルクリプル推定値の経時変化、(b)は、
の経時変化を示すグラフである。
図10に示したモータモデルにおける実験結果のグラフを示す図であり、(a)は、繰り返し補償前のトルクスペクトル、(b)は、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示すグラフである。
図10に示したモータモデルにおける実験結果のグラフを示す図であり、(a)は、操作量の経時変化、(b)は、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示すグラフである。
本発明の一実施形態に係るPMモータの制御ブロック図である。
図18に示した実施形態におけるシミュレーション結果を示す図であり、(a)は、トルクの経時変化(トルク波形)、(b)は、電流の経時変化(電流波形)、(c)は、操作量の経時変化(操作量波形)を示すグラフである。
図18に示した実施形態におけるシミュレーション結果を示す図であり、(a)は、繰り返し補償前のトルクスペクトル、(b)は、繰り返し補償後のトルクスペクトルを示すグラフである。
図18に示した実施形態におけるシミュレーション結果を示す図であり、(a)は、繰り返し補償前の電流スペクトル、(b)は、繰り返し補償後の電流スペクトルを示すグラフである。
図18に示した実施形態におけるシミュレーション結果を示す図であり、繰り返し補償後の操作量スペクトルを示すグラフである。
Claims (6)
- 前記周期信号発生器の出力に、非周期外乱を除去するためのQフィルタ
を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。 - 完全追従制御(PTC)に基づく電流制御法を用いたPMモータのトルクリプルを抑制する制御方法であって、
モータ角速度ωと非線形摩擦補償トルクTf(ω)とモータトルク指令値Trefと測定可能な
第1のスイッチを外乱1周期の間のみオンにして、前記トルクリプル推定ステップによって推定したトルクリプル値から繰り返し補償信号を生成し、かつ、周期外乱データをメモリに保存し、第2のスイッチをオンにして、該周期外乱データを、1サンプル先の予見値を与える外乱補償信号として順番に出力することで補償を行う、周期信号発生器による外乱補償信号出力ステップと
を有することを特徴とする制御方法。 - 前記周期信号発生器の出力に取り付けられたQフィルタにより、非周期外乱を除去する非周期外乱除去ステップ
を更に有することを特徴とする請求項4又は5に記載の制御方法。
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