JP2010037400A - プリプレグ及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電損失が低く、かつ配線埋め込み性等の流動性に優れたプリプレグ、及び耐クラック性等の硬化特性に優れた、該プリプレグを用いて得られる積層体を提供すること。
【解決手段】共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ、及びこれを用いて得られる積層体。好ましくは、前記共役ジエン系直鎖状重合体が、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンであり、前記共役ジエン系分岐状重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であって、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものである。
【選択図】 なし
【解決手段】共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ、及びこれを用いて得られる積層体。好ましくは、前記共役ジエン系直鎖状重合体が、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンであり、前記共役ジエン系分岐状重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であって、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものである。
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子回路配線基板を含む多層配線基板等に好適なプリプレグ、及びこのようなプリプレグを用いた積層体に関する。
回路基板は、一般に誘電体層と導体層とから構成される。近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波化に動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板の誘電体層は、高周波におけるノイズや伝送ロスを極限まで軽減する必要があり、そのためこのような誘電体層を形成する材料として誘電損失(tanδ)が低い誘電体材料が望まれている。
このような誘電損失の小さい誘電材料としては、ポリブタジエンやポリイソプレン等の共役ジエンポリマーが注目されている。
たとえば、特許文献1には、樹脂成分としての直鎖状の1,2−ポリブタジエンとスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックポリマーに、ジクミルペルオキシドやt−ブチルペルオキシヘキシン−3などの有機過酸化物及び溶媒を加えることにより、スラリーを調製し、得られたスラリーをガラス繊維等の織物ウェブ強化材に含浸させ、溶媒を除去することによりプリプレグを作製し、2枚の銅箔間に複数枚の該プリプレグを積層し、硬化させることにより積層体を得る例が開示されている。
また、特許文献2には、ポリブタジエン樹脂またはポリイソプレン樹脂、引火遅延剤、編織物、粒状充填剤、及び過酸化物硬化剤を含む電気回路材料に、重量平均分子量が50,000未満のエチレン−プロピレンゴムを全樹脂中の6〜12重量%含有させることで、熱老化した際における誘電率等の安定性が改良される点が開示されている。
しかしながら、本発明者が評価したところ、前記文献に記載されるプリプレグでは、配線形成した基材等に積層する際に配線埋め込み性が充分でないという問題や、積層体では、その冷熱衝撃試験においてクラックが発生してしまうという問題などが認められた。
従って、本発明の目的は、誘電損失が低く、かつ配線埋め込み性等の流動性に優れたプリプレグ、及び耐クラック性等の硬化特性に優れた、該プリプレグを用いて得られる積層体を提供することである。
従って、本発明の目的は、誘電損失が低く、かつ配線埋め込み性等の流動性に優れたプリプレグ、及び耐クラック性等の硬化特性に優れた、該プリプレグを用いて得られる積層体を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、樹脂成分として共役ジエン系直鎖状重合体及び共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を、強化繊維に含浸させることにより得られるプリプレグが、微細配線等を形成させた配線基板に積層し、積層体とした場合に、配線間への充分な埋め込みが可能で、しかも硬化も充分に行うことができ、さらには、得られた積層体が冷熱衝撃試験における耐クラック性に優れることも見出し、このような知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグが提供される。
好ましくは、前記共役ジエン系直鎖状重合体が、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンである。
好ましくは、前記共役ジエン系分岐状重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であって、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものである。
好ましくは、前記共役ジエン系分岐状重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であって、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものである。
また、本発明によれば、上記いずれかのプリプレグと、前記プリプレグまたは他の材料とを積層し、硬化することにより得られる積層体が提供される。
本発明によれば、誘電損失が低く、かつ配線埋め込み性等の流動性に優れたプリプレグ、及び耐クラック性等の硬化特性に優れた、該プリプレグを用いて得られる積層体を提供することができる。特に、本発明の積層体は、誘電損失が低く、配線埋め込み性に優れるため、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に使用することができる。
本発明のプリプレグは、共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるものである。
まず、本発明で用いる硬化性樹脂組成物を構成する各成分について、説明する。
共役ジエン系直鎖状重合体
本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体は、共役ジエン単量体単位を少なくとも含む共役ジエン系の重合体であって、直鎖状のものである。
本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体は、共役ジエン単量体単位を少なくとも含む共役ジエン系の重合体であって、直鎖状のものである。
本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体を形成する共役ジエン単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シアノブタジエン、ペンタジエンなどが挙げられる。これらのなかでも、ブタジエンやイソプレンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体は、上記共役ジエン単量体以外の共重合可能な単量体を共重合させたものであってもよく、このような共重合可能な単量体としては、特に限定されないが、シアノ基含有ビニル単量体、アミノ基含有ビニル単量体、ピリジル基含有ビニル単量体、アルコキシル基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体などが挙げられる。これらのなかでも、シアノ基含有ビニル単量体や芳香族ビニル単量体が好ましく、特に芳香族ビニル単量体が好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体における、共役ジエン単量体単位と共重合可能な単量体単位との割合は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択され、共役ジエン単量体単位と共重合可能な単量体単位との重量比(共役ジエン単量体単位/共重合可能な単量体単位)で、通常95/5〜5/95、好ましくは90/10〜10/90、より好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70の範囲である。共役ジエン単量体単位と共重合可能な単量体単位との割合を上記範囲とすることにより、プリプレグと積層体において、配線埋め込み性と耐クラック性とのバランスを良好なものとすることができる。
なお、本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体の重合様式としては、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良い。また、該重合体は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは2種以上の重合体を組み合わせて用いてもよい。
このような共役ジエン系直鎖状重合体の具体例としては、ポリブタジエン及び/又はポリイソプレンなどが挙げられ、特にポリブタジエンが好適である。
本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体の共役ジエン重合体部分の1,2−ビニル結合量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常10モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上である。共役ジエン重合体部分の1,2−ビニル結合量を上記範囲とすることにより、プリプレグ及び積層体の機械強度や耐熱性がより向上する。
また、本発明で用いる共役ジエン系直鎖状重合体の分子量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)で測定される重量平均分子量で、通常500〜500,000、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000の範囲である。
本発明の共役ジエン系直鎖状重合体は公知の方法により製造することができる。
共役ジエン系分岐状重合体
本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体は、共役ジエン単量体単位を少なくとも含む共役ジエン系の重合体であって、分岐を有するものである。
本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体は、共役ジエン単量体単位を少なくとも含む共役ジエン系の重合体であって、分岐を有するものである。
本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体を形成するための共役ジエン単量体としては、上記共役ジエン系直鎖状重合体と同様のものを用いることができる。また、本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体は、共役ジエン単量体以外の単量体を共重合させたものであってもよく、このような共重合可能な単量体としては、上記共役ジエン系直鎖状重合体と同様のものを用いることができる。さらに、共役ジエン単量体単位と共重合可能な単量体単位との割合も、上記共役ジエン系直鎖状重合体と同様とすれば良い。
本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体としては、特に限定されないが、配線埋め込み性と耐クラック性とを高度にバランスさせる観点から、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体(以下、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体という。)であって、かつ、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものが好ましい。このような、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体であって、かつ、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものとしては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。たとえば、特開2000−86814号公報に記載されている方法に従って、有機リチウム系触媒によって重合したリビング末端を有する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体に、多官能カップリング剤を反応させて得られるものを用いることができる。
共役ジエン系分岐状重合体を製造する際に用いる共役ジエン−芳香族ビニル共重合体としては、たとえば、スチレン・ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。また、共役ジエン系分岐状重合体を製造する際に用いる多官能カップリング剤としては、たとえば、フェニルスズクロリド、ブチルスズクロリド、四塩化スズなどの多官能スズカップリング剤が挙げられる。
本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体の共役ジエン重合体部分の1,2−ビニル結合量は、上記共役ジエン系直鎖状重合体と同様の範囲とすれば良い。また、本発明で用いる共役ジエン系分岐状重合体の分子量も、上記共役ジエン系直鎖状重合体と同様の範囲とすれば良い。
共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体との比率
硬化性樹脂組成物中における、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体との割合は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、配線埋め込み性と耐クラック性とを高度にバランスさせる観点から、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体との重量比(共役ジエン系直鎖状重合体/共役ジエン系分岐状重合体)で、通常10/90〜90/10、好ましくは15/85〜85/15、より好ましくは20/80〜80/20の範囲である。
硬化性樹脂組成物中における、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体との割合は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、配線埋め込み性と耐クラック性とを高度にバランスさせる観点から、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体との重量比(共役ジエン系直鎖状重合体/共役ジエン系分岐状重合体)で、通常10/90〜90/10、好ましくは15/85〜85/15、より好ましくは20/80〜80/20の範囲である。
ラジカル発生剤
本発明で用いるラジカル発生剤は、上記共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体とを架橋させ得るものであれば良く、特に限定されない。該ラジカル発生剤は架橋剤として用いられる。例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。中でも、有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤が、プリプレグ及び積層体のQ値(=1/tanδ)を高めることができるという点で特に好適である。
本発明で用いるラジカル発生剤は、上記共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体とを架橋させ得るものであれば良く、特に限定されない。該ラジカル発生剤は架橋剤として用いられる。例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。中でも、有機過酸化物や非極性ラジカル発生剤が、プリプレグ及び積層体のQ値(=1/tanδ)を高めることができるという点で特に好適である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;などが挙げられる。中でも、ジアルキルペルオキシド類およびペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
ラジカル発生剤の1分半減期温度は、ラジカル発生剤の種類及び使用条件により適宜選択されるが、通常、50〜350℃、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜230℃の範囲である。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ラジカル発生剤の使用量は、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体の合計量100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
その他の配合剤
本発明で用いる硬化性樹脂組成物には、上記共役ジエン系直鎖状重合体、共役ジエン系分岐状重合体、及びラジカル発生剤に加えて、充填剤、架橋助剤、難燃剤などのその他の配合剤を配合しても良い。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物には、上記共役ジエン系直鎖状重合体、共役ジエン系分岐状重合体、及びラジカル発生剤に加えて、充填剤、架橋助剤、難燃剤などのその他の配合剤を配合しても良い。
充填剤としては、工業的に一般に使用される粒子状充填剤であれば良く、特に限定されないが、無機系充填剤、有機系充填剤のいずれも用いることができるが、無機系充填剤が好ましく用いられる。硬化性樹脂組成物に、充填剤を配合することにより、得られるプリプレグ及び積層体の耐熱性を向上させることができる。
無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化アンチモン、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子;窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。これらの中でも、プリプレグ及び積層体の誘電特性と耐熱性とのバランスを良好なものとすることができるという点より、金属粒子、無機酸化物粒子、無機水酸化物粒子、無機ケイ酸塩粒子及びチタン酸塩粒子などが好ましく、無機酸化物粒子やチタン酸塩粒子などがより好ましい。
有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、廃プラスチック等の粒子などが挙げられる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化性樹脂組成物中における、充填剤の配合量は、共役ジエン系直鎖状重合体と共役ジエン系分岐状重合体の合計100重量部に対して、通常1〜1,500重量部、好ましくは10〜1,000重量部、より好ましくは50〜750重量部、特に好ましくは100〜500重量部の範囲である。充填剤の配合量を上記範囲とすることにより、得られるプリプレグ及び積層体の耐熱性と配線埋め込み性とのバランスを良好なものとすることができる。
架橋助剤としては、工業的に一般的に用いられるものであれば良く、特に限定されない。硬化性樹脂組成物に、架橋助剤を配合することにより、硬化性樹脂組成物の強化繊維への含浸性を高めることでき、また、耐クラック性等の他の特性を良好なものとしながら、硬化して得られる積層体の配線埋め込み性を向上させることができる。プリプレグ及び積層体の配線埋め込み性と耐熱性等の硬化特性のバランスを良好なものとすることができるという点より、多官能架橋助剤が好適に用いられる。
多官能架橋助剤としては工業的に一般的に用いられるものであれば良く、特に限定されないが、例えば、一分子中に炭素−炭素不飽和結合を2つ以上有する多官能架橋助剤を用いることができる。多官能架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの2官能架橋助剤;トリイソプロペニルベンゼン、トリアクリルイソシアネート、トリメタアリルイソシアネートなどの3官能架橋助剤;等が挙げられる。
これらの架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化性樹脂組成物中における、架橋助剤の配合量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されるが、共役ジエン系直鎖状重合体及び共役ジエン系分岐状重合体の合計100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部の範囲である。
難燃剤としては、工業的に一般的に用いられるものであれば良く、特に限定されないが、ハロゲン系難燃剤やノンハロゲン系難燃剤を用いることができる。
ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエン、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、含ハロゲン縮合燐酸エステルなどの低分子ハロゲン含有有機化合物や、ハロゲン含有量が40〜70重量%のハロゲン化パラフィン類;ハロゲン化エラストマー;塩素化ポリスチレン、ヨウ化ポリスチレンなどのハロゲン化ポリスチレン;ハロゲン含有量が50重量%以上の高塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィン;塩素化ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ポリ塩化ビニル;などの高分子量のハロゲン含有有機化合物が挙げられる。
ノンハロゲン系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物系難燃剤、金属酸化物系難燃剤、燐系難燃剤、窒素系難燃剤、燐と窒素との双方を含有する難燃剤などが挙げられる。
金属水酸化物系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
金属酸化物系難燃剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
金属酸化物系難燃剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
燐系難燃剤としては、赤燐;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等の燐酸エステル;等が挙げられる。燐酸エステルのなかでも、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどの比較的分子量の大きい3級燐酸エステルが好ましい。
窒素系難燃剤としては、たとえば、メラミン誘導体類、グアニジン類、イソシアヌル酸などが挙げられるが、好ましくはメラミン誘導体類である。
メラミン誘導体類としては、たとえば、メラミン、メラミン樹脂、メラム、メレム、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、硫酸メラミン、硫酸グアニルメラミン、硫酸メラム、硫酸メレムなどが挙げられ、これらのなかでも、硫酸メラミンが好ましい。
グアニジン類としては、たとえば、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、重炭酸アミノグアニジンなどが挙げられ、これらのなかでも、硝酸グアニジンが好ましい。
メラミン誘導体類としては、たとえば、メラミン、メラミン樹脂、メラム、メレム、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、硫酸メラミン、硫酸グアニルメラミン、硫酸メラム、硫酸メレムなどが挙げられ、これらのなかでも、硫酸メラミンが好ましい。
グアニジン類としては、たとえば、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、重炭酸アミノグアニジンなどが挙げられ、これらのなかでも、硝酸グアニジンが好ましい。
燐と窒素との双方を含有する難燃剤としては、たとえば、ポリ燐酸アンモニウム、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラム、燐酸グアニジン、フォスファゼン類などが挙げられ、これらのなかでも、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラムが好ましい。
これらの難燃剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。難燃剤の配合量は、共役ジエン系直鎖状重合体及び共役ジエン系分岐状重合体の合計100重量部に対して、通常10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部、より好ましくは30〜150重量部の範囲である。
上記充填剤、架橋助剤、及び難燃剤以外の配合剤としては、その他の樹脂成分、老化防止剤、着色剤、染料、顔料などが挙げられ、これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、その配合量は、特に限定されず、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明に使用される硬化性樹脂組成物は、上記各成分を混合して得ることができる。混合方法としては、特に限定されず、常法に従って行なうことができる。
強化繊維
本発明で用いる強化繊維としては、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス等の繊維が好適に用いることができる。
本発明で用いる強化繊維としては、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、シリカ繊維などの無機繊維;などを挙げることができる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、Hガラス等の繊維が好適に用いることができる。
これらの強化繊維は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。強化繊維の配合量は、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されるが、プリプレグまたは積層体中において、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。配合量をこの範囲とすることにより、プリプレグ及び積層体の誘電特性と耐熱性とのバランスを良好なものとすることができる。
プリプレグ
本発明のプリプレグは、上記硬化性樹脂組成物を上記強化繊維に含浸することにより製造される。
本発明のプリプレグは、上記硬化性樹脂組成物を上記強化繊維に含浸することにより製造される。
本発明のプリプレグを製造する際における含浸方法としては、常法に従えばよく、例えば、ウェット法やホットメルト法(ドライ法)などが挙げられるが、通常は、ウェット法が用いられる。
ウェット法によれば、樹脂成分、ラジカル発生剤、及び所望により添加される、充填剤、老化防止剤やその他の配合剤を溶媒に溶解し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を調製し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させ、次いで、脱溶媒させることにより、プリプレグを調製する。低粘度化した硬化性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
ホットメルト法(ドライ法)によれば、リリースペーパー上に硬化性樹脂組成物(実質的に溶媒を含まない。)をコーティングし、その上に強化繊維を引き揃え、加熱溶解した樹脂をロールあるいはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後、放冷することにより、プリプレグを調製する。
ウェット法によれば、樹脂成分、ラジカル発生剤、及び所望により添加される、充填剤、老化防止剤やその他の配合剤を溶媒に溶解し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を調製し、低粘度化した硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸させ、次いで、脱溶媒させることにより、プリプレグを調製する。低粘度化した硬化性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
ホットメルト法(ドライ法)によれば、リリースペーパー上に硬化性樹脂組成物(実質的に溶媒を含まない。)をコーティングし、その上に強化繊維を引き揃え、加熱溶解した樹脂をロールあるいはドクターブレード等で加圧含浸させ、その後、放冷することにより、プリプレグを調製する。
ウェット法で含浸させた後の乾燥温度は、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の範囲であるが、本発明では、この温度範囲とすることに加えて、硬化性樹脂組成物に含有させたラジカル発生剤(架橋剤)の1分半減期温度を考慮した温度とすることがさらに好ましい。すなわち、乾燥温度は、好ましくはラジカル発生剤の1分半減期温度以下、より好ましくは1分半減期温度の10℃以下の温度、さらに好ましくは1分半減期温度の20℃以下の温度である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。例えば、ジ−t−ブチルペルオキシドでは186℃、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシンでは194℃である。乾燥時間は適宜選択すればよいが、通常0.1〜120分間、好ましくは0.5〜60分間、より好ましくは1〜30分間の範囲である。
本発明のプリプレグの厚みは、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択すれば良いが、通常0.001〜10mm、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.02〜0.2mmの範囲である。厚みを上記範囲とすることにより、プリプレグの操作性や、プリプレグを硬化して得られる積層体の機械強度と靭性の特性とのバランスを良好なものとすることができる。
本発明のプリプレグの揮発成分量は、200℃にて1時間の条件で加熱した場合における揮発量で、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。プリプレグの揮発成分量が多すぎると、プリプレグのベタ付きが発生し操作性及び保存安定性が悪くなり、また、硬化後の積層体にボイドが発生し外観や機械強度が低下したり、ブリードや、耐熱性、耐薬品性等の低下の問題が生ずる傾向があるため、好ましくない。
積層体
本発明の積層体は、上記本発明のプリプレグを2以上積層し、必要に応じて賦形し、硬化することにより製造される。あるいは、上記本発明のプリプレグを他の材料(本発明のプリプレグ以外の材料)と積層して、必要に応じて賦形し、硬化することにより製造される。
本発明の積層体は、上記本発明のプリプレグを2以上積層し、必要に応じて賦形し、硬化することにより製造される。あるいは、上記本発明のプリプレグを他の材料(本発明のプリプレグ以外の材料)と積層して、必要に応じて賦形し、硬化することにより製造される。
本発明のプリプレグに積層させる他の材料としては、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、熱可塑性樹脂材料、金属材料などが挙げられ、特に金属材料が好適に用いられる。金属材料としては、回路基板で一般に用いられるものを用いることができ、通常、金属箔、好ましくは銅箔が用いられる。金属材料の厚みは、特に限定されず、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜50μm、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する際における、積層及び硬化方法としては、常法に従えはよく、例えば、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて加熱プレスを行なうことができる。
積層及び硬化を行う際における加熱温度は、ラジカル発生剤による架橋が起こる温度であり、通常ラジカル発生剤の1分半減期温度以上、好ましくはラジカル発生剤の1分半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくはラジカル発生剤の1分半減期温度より10℃以上高い温度であり、通常は100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、通常0.1〜180分、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜20分の範囲である。プレス圧力は、通常0.1〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。また、熱プレスは、真空または減圧雰囲気下で行ってもよい。
このようにして得られる本発明の積層体は、高周波領域での誘電特性、及び配線埋め込み性に優れるため、広範囲に用いられる高周波基板材料として好適に用いることができる。具体的には、本発明の積層体は、通信機器用途等のマイクロ波またはミリ波等の高周波回路基板に好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
また、試験、評価は下記によった。
また、試験、評価は下記によった。
(1)誘電損失
積層体について、インピダンスアナライザーを用いて1GHzにおける誘電損失(tanδ)を容量法で測定した。なお、測定結果は以下の基準で評価した。
良好:0.01以下
不良:0.01超
積層体について、インピダンスアナライザーを用いて1GHzにおける誘電損失(tanδ)を容量法で測定した。なお、測定結果は以下の基準で評価した。
良好:0.01以下
不良:0.01超
(2)配線埋め込み性
積層体の中心部分を配線に対して垂直方向に切断し、得られた切断面における複数の配線箇所のうち任意の5断面を観察することにより、配線埋め込み性の評価を行った。なお、結果は以下の基準で評価した。
良好:5断面を観察した結果、配線が埋め込まれていない部分が確認されない
不良:5断面のうち、配線が埋め込まれていない部分が確認される
積層体の中心部分を配線に対して垂直方向に切断し、得られた切断面における複数の配線箇所のうち任意の5断面を観察することにより、配線埋め込み性の評価を行った。なお、結果は以下の基準で評価した。
良好:5断面を観察した結果、配線が埋め込まれていない部分が確認されない
不良:5断面のうち、配線が埋め込まれていない部分が確認される
(3)耐クラック性
積層体について、−50℃〜100℃の冷熱衝撃試験を300サイクル行い、300サイクルの冷熱衝撃試験後の積層体の外観観察を行うことで、以下の基準に従って耐クラック性を評価した。
良好:外観観察の結果、クラックの発生が確認されない
不良:外観観察の結果、クラックの発生が確認される
積層体について、−50℃〜100℃の冷熱衝撃試験を300サイクル行い、300サイクルの冷熱衝撃試験後の積層体の外観観察を行うことで、以下の基準に従って耐クラック性を評価した。
良好:外観観察の結果、クラックの発生が確認されない
不良:外観観察の結果、クラックの発生が確認される
製造例1〜4
攪拌器付きオートクレーブに表1記載の共重合体になるように所定量のシクロヘキサン、テトラメチルエチレンジアミン、スチレン及びn−ブチルリチウムを添加して60℃で重合を開始し、次いでブタジエン、スチレンの順でモノマーを逐次添加して重合転化率が100%となったところで、カップリング剤としての塩化第二スズを添加して20分間反応させた。次いで、変性アルコールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング法で脱溶剤し、24時間真空乾燥することにより、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A〜Dを得た。
そして、得られたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A〜Dについて、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行い、ポリスチレン換算にて重量平均分子量を求めた。さらに、GPC分析における測定チャートから、カップリング剤を介して結合したカップリング体(4分岐体)に相当するピークが確認された。ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量は、1H−NMR測定により、不飽和結合ピーク総量と、1,2−付加重合に由来する不飽和結合ピークとの面積比から求めた。共重合体A〜D中の、ブタジエン単位とスチレン単位の含有割合は、1H−NMR測定により求めた。
攪拌器付きオートクレーブに表1記載の共重合体になるように所定量のシクロヘキサン、テトラメチルエチレンジアミン、スチレン及びn−ブチルリチウムを添加して60℃で重合を開始し、次いでブタジエン、スチレンの順でモノマーを逐次添加して重合転化率が100%となったところで、カップリング剤としての塩化第二スズを添加して20分間反応させた。次いで、変性アルコールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング法で脱溶剤し、24時間真空乾燥することにより、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A〜Dを得た。
そして、得られたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A〜Dについて、テトラヒドロフランを溶離液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析を行い、ポリスチレン換算にて重量平均分子量を求めた。さらに、GPC分析における測定チャートから、カップリング剤を介して結合したカップリング体(4分岐体)に相当するピークが確認された。ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量は、1H−NMR測定により、不飽和結合ピーク総量と、1,2−付加重合に由来する不飽和結合ピークとの面積比から求めた。共重合体A〜D中の、ブタジエン単位とスチレン単位の含有割合は、1H−NMR測定により求めた。
製造例5
カップリング剤としての塩化第二錫を加えなかった以外は、製造例1と同様にして、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eを製造した。そして、得られたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eについて、製造例1と同様にして、重量平均分子量及びポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量を求めた。また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eについては、GPC分析における測定チャートから、カップリング体に相当するピークが全く確認できなかった。
カップリング剤としての塩化第二錫を加えなかった以外は、製造例1と同様にして、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eを製造した。そして、得られたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eについて、製造例1と同様にして、重量平均分子量及びポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量を求めた。また、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Eについては、GPC分析における測定チャートから、カップリング体に相当するピークが全く確認できなかった。
実施例1
共役ジエン系直鎖状重合体としてのポリブタジエン(ポリブタジエン樹脂B3000、日本曹達(株)製、重量平均分子量3000、1,2−ビニル結合量95モル%)100部、製造例1にて得られた4分岐構造を有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A20部、難燃剤としての9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド80部、充填剤としてのシリカ(アドマファイン製、体積平均粒子径0.5μm)150部及びラジカル発生剤としてのジ−t−ブチルペルオキシド1.2部を溶媒としてのキシレン中で混合し、硬化性樹脂組成物を得た。
共役ジエン系直鎖状重合体としてのポリブタジエン(ポリブタジエン樹脂B3000、日本曹達(株)製、重量平均分子量3000、1,2−ビニル結合量95モル%)100部、製造例1にて得られた4分岐構造を有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体A20部、難燃剤としての9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド80部、充填剤としてのシリカ(アドマファイン製、体積平均粒子径0.5μm)150部及びラジカル発生剤としてのジ−t−ブチルペルオキシド1.2部を溶媒としてのキシレン中で混合し、硬化性樹脂組成物を得た。
次いで、得られた硬化性樹脂組成物をガラスクロス(Eガラス)に含浸させ、加熱することにより、溶媒としてのキシレンを除去してシート状のプリプレグを作製した。プリプレグ中における強化繊維(ガラスクロス)含有量は41%であった。
次いで、上記にて作製したプリプレグシート5枚を重ね、200℃で10分間、3MPaにて加熱プレスを行うことにより、積層体を得た。得られた積層体について、上記方法に従い、誘電損失、配線埋め込み性及び耐クラック性の各評価を行った。結果を表2に示す。
実施例2〜4
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Aの代わりに、製造例2〜3で得られた4分岐構造を有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合B〜Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を作製し、得られた積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表2に示す。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Aの代わりに、製造例2〜3で得られた4分岐構造を有するスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合B〜Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を作製し、得られた積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表2に示す。
比較例1
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Aの代わりに、製造例5で得られた直鎖状のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を作製し、得られた積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表2に示す。
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体Aの代わりに、製造例5で得られた直鎖状のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリプレグ及び積層体を作製し、得られた積層体について実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示すように、共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグを用いて得られる積層体は、誘電損失が低く、配線埋め込み性及び耐クラック性に優れたものとなる結果となった(実施例1〜4)
これに対して、共役ジエン系分岐状重合体を含有しない場合には、配線埋め込み性及び耐クラック性に劣る結果となった(比較例1)。
これに対して、共役ジエン系分岐状重合体を含有しない場合には、配線埋め込み性及び耐クラック性に劣る結果となった(比較例1)。
Claims (4)
- 共役ジエン系直鎖状重合体と、共役ジエン系分岐状重合体と、ラジカル発生剤と、を含む硬化性樹脂組成物を強化繊維に含浸してなるプリプレグ。
- 前記共役ジエン系直鎖状重合体が、ポリブタジエンおよび/またはポリイソプレンである請求項1に記載のプリプレグ。
- 前記共役ジエン系分岐状重合体が、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体であって、多官能カップリング剤を介してなる3つ以上の分岐を有するものである請求項1または2に記載のプリプレグ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグと、前記プリプレグまたは他の材料とを積層し、硬化することにより得られる積層体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008200181A JP2010037400A (ja) | 2008-08-01 | 2008-08-01 | プリプレグ及びそれを用いた積層体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008200181A JP2010037400A (ja) | 2008-08-01 | 2008-08-01 | プリプレグ及びそれを用いた積層体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010037400A true JP2010037400A (ja) | 2010-02-18 |
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ID=42010283
Family Applications (1)
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JP2008200181A Pending JP2010037400A (ja) | 2008-08-01 | 2008-08-01 | プリプレグ及びそれを用いた積層体 |
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-
2008
- 2008-08-01 JP JP2008200181A patent/JP2010037400A/ja active Pending
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